説明

EMM−13を用いるアルキル芳香族化合物の製造方法

この開示はモノアルキル芳香族化合物の製造方法に関するものであり、アルキル化可能な芳香族化合物及びアルキル化剤を含む供給原料をアルキル化反応条件下でEMM-13を含む触媒と接触させることを含み、前記EMM-13が酸素原子により橋かけされた四面体原子のフレームワークを含むモレキュラーシーブであり、その四面体原子フレームワークが表3に示された原子座標(ナノメーター)を有する単位セルにより特定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は2008年7月28日に出願された米国仮特許出願第61/084,171号(これが参考として本明細書にそのまま含まれる)の利益を主張する。
本開示はEMM-13(これは特異なXRD特徴を有するMCM-22ファミリー物質である)と称されるモレキュラーシーブ組成物を使用する、アルキル芳香族化合物、特にモノ-アルキル芳香族化合物、例えば、エチルベンゼン、クメン及びsec-ブチルベンゼンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天然及び合成の両方の、モレキュラーシーブ物質は、種々の型の炭化水素変換のための触媒特性を有することが過去に実証されていた。触媒作用に適用があるモレキュラーシーブとして、天然産又は合成の結晶性モレキュラーシーブのあらゆるものが挙げられる。これらのゼオライトの例として、大きい孔のゼオライト、中間の孔サイズのゼオライト、及び小さい孔のゼオライトが挙げられる。これらのゼオライト及びそれらのイソ型が“ゼオライトフレームワーク型のアトラス”, W. H. Meier、D. H. Olson 及びCh. Baerlocher編集, Elsevier, 第5編, 2001に記載されており、これが参考として本明細書に含まれる。大きい孔のゼオライトは一般に少なくとも約7Åの孔サイズを有し、LTL、VFI、MAZ、FAU、OFF、*BEA、及びMOR フレームワーク型ゼオライト (IUPAC Commission of Zeolite Nomenclature)を含む。大きい孔のゼオライトの例として、マザイト、オフレット沸石、ゼオライトL、VPI-5、ゼオライトY、ゼオライトX、オメガ、及びベータが挙げられる。中間の孔サイズのゼオライトは一般に約5Åから約7Å未満までの孔サイズを有し、例えば、MFI、MEL、EUO、MTT、MFS、AEL、AFO、HEU、FER、MWW、及びTON フレームワーク型ゼオライト (IUPAC Commission of Zeolite Nomenclature)を含む。中間の孔サイズのゼオライトの例として、ZSM-5、ZSM-11、ZSM-22、MCM-22、シリカライト1、及びシリカライト2が挙げられる。小さい孔サイズのゼオライトは約3Åから約5.0Å未満までの孔サイズを有し、例えば、CHA、ERI、KFI、LEV、SOD、及びLTA フレームワーク型ゼオライト (IUPAC Commission of Zeolite Nomenclature)を含む。小さい孔のゼオライトの例として、ZK-4、ZSM-2、SAPO-34、SAPO-35、ZK-14、SAPO-42、ZK-21、ZK-22、ZK-5、ZK-20、ゼオライトA、カバザイト、ゼオライトT、グメリン沸石、ALPO-17、及びクリノプチロライトが挙げられる。
【0003】
米国特許第4,439,409 号はPSH-3 と称されるものの結晶性モレキュラーシーブ組成物及びMCM-56 (米国特許第5,362,697号)の合成のための誘導剤として作用する有機化合物である、ヘキサメチレンイミンを含む水熱反応のための反応混合物からのその合成を言及している。ヘキサメチレンイミンはまた結晶性モレキュラーシーブMCM-22 (米国特許第4,954,325号) 及びMCM-49 (米国特許第5,236,575号)の合成における使用につき教示されている。ゼオライトSSZ-25と称されるもののモレキュラーシーブ組成物 (米国特許第4,826,667号) はアダマンタン四級アンモニウムイオンを含む水熱反応のための反応混合物から合成される。米国特許第6,077,498号はITQ-1 と称されるものの結晶性モレキュラーシーブ組成物及び一種又は多種の有機添加剤を含む水熱反応のための反応混合物からのその合成を言及している。
米国特許出願第11/823,129 号はその合成されたままの形態で、13.18±0.25 Å及び12.33±0.23 Åのd-間隔最大を含むX線回折パターン(13.18±0.25 Åにおけるそのd-間隔最大のピーク強さは12.33±0.23 Åのd-間隔最大のピーク強さの少なくとも90%程度に大きい)を有する、EMM-10-Pと称される新規モレキュラーシーブ組成物を開示している。米国特許出願第11/824,742 号はそのアンモニウム交換された形態又はその焼成された形態で、MWWトポロジーを有する単位セルを含む、EMM-10と称される新規モレキュラーシーブ組成物を開示しており、前記結晶性モレキュラーシーブはc方向の単位セル配置からの回折ストリーキングを特徴とする。その結晶性モレキュラーシーブは更に電子回折パターンのアーク状hk0 パターンを特徴とする。その結晶性モレキュラーシーブは更にc* 方向に沿った電子回折パターン中のストリークを特徴とする。米国特許出願第11/827,953 号はその合成されたままの形態で、12.33±0.23 Åのd-間隔最大におけるピーク、12.57 〜約14.17 Åのd-間隔最大における区別できるピーク及び8.8〜11.0Åのd-間隔最大における区別できない(non-discrete)ピークを含むX線回折パターンを有する新規結晶性MCM-22ファミリーモレキュラーシーブを開示しており、12.57〜約14.17Åのd-間隔最大のピーク強さは12.33±0.23 Åのd-間隔最大のピーク強さの90%未満である。
【0004】
本明細書に使用される“MCM-22 ファミリー物質”(又は“MCM-22 ファミリーの物質” もしくは“MCM-22 ファミリーのモレキュラーシーブ”)という用語は、
(i) 普通の第一級(first degree)結晶性ビルディングブロック“MWWフレームワークトポロジーを有する単位セル”からつくられたモレキュラーシーブ。単位セルは原子の空間配置であり、これは三次元空間中でタイルにされて“ゼオライトフレームワーク型のアトラス”, 第五編, 2001(その全内容が参考として含まれる)に記載された結晶を記載する;
(ii) “一つの単位セル厚さ、好ましくは一つのc-単位セル厚さの単層”を形成する、このようなMWWフレームワーク型単位セルの2次元のタイリング(tiling)である、普通の第二級(second degree)ビルディングブロックからつくられたモレキュラーシーブ;
(iii) “一つ以上の単位セル厚さの層”である、普通の第二級ビルディングブロックからつくられたモレキュラーシーブ(一つより多い単位セル厚さの層がMWWフレームワークトポロジーを有する単位セルの一単位セル厚さの少なくとも二つの単層を積み重ね、充填し、又は結合することからつくられる。このような第二級ビルディングブロックの積み重ねは規則的な様式、不規則な様式、ランダム様式、又はこれらのあらゆる組み合わせであってもよい);又は
(iv) MWWフレームワークトポロジーを有する単位セルのあらゆる規則的又はランダムな2次元又は3次元の組み合わせによりつくられたモレキュラーシーブ
を含む。
【0005】
MCM-22ファミリー物質は12.4±0.25Å、3.57±0.07Å及び3.42±0.07 Åのd-間隔最大を含むX線回折パターンを有することを特徴とする(焼成されて、又は合成されたままで)。MCM-22ファミリー物質はまた12.4±0.25Å、6.9±0.15Å、3.57±0.07Å及び3.42±0.07Åのd-間隔最大を含むX線回折パターンを有することを特徴とし得る(焼成されて、又は合成されたままで)。そのモレキュラーシーブを特性決定するのに使用されるX線回折データは通常の技術により入射放射線としての銅のK-α二重線及び収集システムとしてのシンチレーションカウンター及び関連コンピュータを備えたディフラクトメーターを使用して得られる。MCM-22ファミリーに属する物質として、MCM-22 (米国特許第4,954,325号に記載されている)、PSH-3 (米国特許第4,439,409号に記載されている)、SSZ-25 (米国特許第4,826,667号に記載されている)、ERB-1 (欧州特許第0293032号に記載されている)、ITQ-1 (米国特許第6,077,498号に記載されている), ITQ-2 (国際特許公開WO97/17290に記載されている)、ITQ-30(国際特許公開WO2005118476に記載されている)、MCM-36 (米国特許第5,250,277号に記載されている)、MCM-49 (米国特許第5,236,575号に記載されている)及びMCM-56 (米国特許第5,362,697号に記載されている)が挙げられる。これらの特許の全内容が参考として本明細書に含まれる。
上記MCM-22ファミリーのモレキュラーシーブはMCM-22物質がモレキュラーシーブの10員環内部孔系と連通しない12員環表面ポケットを有する点で通常の大きい孔のゼオライトアルキル化触媒、例えば、モルデナイトとは区別されることが理解されるべきである。
MWWトポロジーのものであるIZA-SCにより表示されるゼオライト物質は10員環及び12員環の両方の存在から生じる二つの孔系を有する多層物質である。ゼオライトフレームワーク型のアトラスはこの同じトポロジーを有する5種の異なる名称の物質:MCM-22、ERB-1、ITQ-1、PSH-3、及びSSZ-25を分類する。
【0006】
MCM-22ファミリーのモレキュラーシーブは種々の炭化水素変換方法に有益であるとわかった。MCM-22ファミリーのモレキュラーシーブの例はMCM-22、MCM-49、MCM-56、ITQ-1、PSH-3、SSZ-25、及びERB-1である。このようなモレキュラーシーブは芳香族化合物のアルキル化に有益である。例えば、米国特許第6,936,744 号はポリアルキル化芳香族化合物を少なくとも部分液相条件下かつトランスアルキル化触媒の存在下でアルキル化可能な芳香族化合物と接触させてモノ-アルキル芳香族化合物を生成する工程を含む、モノ-アルキル芳香族化合物、特にクメンの製造方法を開示しており、そのトランスアルキル化触媒は少なくとも2種の異なる結晶性モレキュラーシーブの混合物を含み、モレキュラーシーブの夫々がゼオライトベータ、ゼオライトY、モルデナイト並びに12.4±0.25Å、6.9±0.15Å、3.57±0.07Å及び3.42±0.07Åのd-間隔最大を含むX線回折パターンを有する物質から選ばれる。
2007年に北京での15 IZA会議におけるJ. Ruan、P. Wu、B. Slater、L. Wu、J. Xiao、Y. Liu、M. He、O. Terasaki による報告はISE-MWW 物質及びISE-FER 物質を開示し、前者は出発物質としてのMCM-22-P 物質からつくられた。Tatsumiらの米国特許出願公開第2005/0158238 号はMWW 型ゼオライト物質を開示していた。Oguchiらの米国特許出願公開2004/0092757 号は結晶性MWW 型チタノシリケート触媒を開示していた。W. Fan、P. Wu、S. Namba、及びT. Tatsumi による論文(J. Catalyst 243 (2006) 183-191) はMWW型ラメラ前駆体に似ている構造を有する新規チタノシリケートモレキュラーシーブを開示していた。J. Ruan、P. Wu B. Slater 及びO. Terasaki はISE-MWW と同様のTi-YNU-1 の詳細な構造を開示していた(Angew. Chem. Int. Ed., 2005, 44, 6719) 。P. Wu、J. Ruan、L. Wang、L. Wu、Y. Wang、Y. Liu、W. Fan. M. He、O. Terasaki 及びT. Tatsumi による別の論文はゼオライトラメラ前駆体の分子アルコキシシリル化による膨張された孔ウィンドーを有する結晶性アルミノシリケートの合成方法を開示していた(J. Am. Chem. Soc. 2008, 130, 8178-8187)。
これらの密接に関連する物質は合成されたままの物質及び焼成された物質の両方について(002)、(100)、(101) 及び (102) 反射に相当するd-間隔最大についてのXRD回折パターンを比較することにより更に区別し得る。(002) 反射に相当するd-間隔最大は典型的には14.17 Åから12.57 Åまでの範囲である(約6.15-7.05 °2-θ Cu Kα)。 (100) 反射に相当するd-間隔最大は典型的には12.1 Åから12.56 Åまでの範囲である(約7.3-7.05 °2-θ Cu Kα)。(101) 反射に相当するd-間隔最大は典型的には10.14 Åから12.0 Åまでの範囲である (8.7-7.35 °2-θ Cu Kα)。(102) 反射に相当するd-間隔最大は典型的には8.66 Åから10.13 Åまでの範囲である(10.2-8.7 °2-θ Cu Kα)。下記の表 (表1) は合成されたままの物質及び焼成された物質の両方につき(002)、(100)、(101) 及び(102) 反射に相当するd-間隔最大についてのXRD回折パターンの存在及び/又は特徴に基づいてMCM-22、MCM-49、EMM-10、MCM-56及びTatsumiらにより報告されたチタノシリケート物質の間の差異を要約した。
表1
【0007】

【0008】
(表1続き)

【0009】
結晶形態、サイズ及び凝集/アグロメレーション、又は新しいX線回折が、特に触媒活性及び安定性に関して、触媒挙動に影響し得ることが知られている。
アルキル芳香族化合物、例えば、エチルベンゼン及びクメンは、スチレンモノマーの製造並びにフェノール及びアセトンの夫々の同時製造のために工業上使用される有益な商品化学薬品である。実際に、フェノールの製造に普通の経路はクメンを製造するためのプロピレンによるベンゼンのアルキル化、続いて相当するヒドロペルオキシドへのクメンの酸化、次いで等モル量のフェノール及びアセトンを製造するためのヒドロペルオキシドの開裂を伴なう方法を含む。エチルベンゼンは幾つかの異なる化学方法により製造されてもよい。かなりの程度の商業上の成功を達成していた一つの方法は固体の、酸性ZSM-5ゼオライト触媒の存在下のエチレンによるベンゼンの気相アルキル化である。このようなエチルベンゼン製造方法の例が米国特許第3,751,504 号(Keown)、同第4,547,605 号(Kresge) 及び同第4,016,218 号(Haag)に記載されている。
かなりの商業上の成功を達成していた別の方法はベンゼン及びエチレンからのエチルベンゼンの液相製造方法である。何とならば、それが気相相対方法よりも低い温度で作業し、それ故、副生物の一層低い収率を生じる傾向があるからである。例えば、米国特許第4,891,458 号(Innes) はゼオライトベータによるエチルベンゼンの液相合成を記載し、一方、米国特許第5,334,795 号(Chu) はエチルベンゼンの液相合成におけるMCM-22 の使用を記載している。
【0010】
クメンは長年にわたってフリーデル-クラフツ触媒、特に固体リン酸又は塩化アルミニウム上のプロピレンによるベンゼンの液相アルキル化により商業的に製造されていた。しかしながら、更に最近、ゼオライトをベースとする触媒系がクメンへのベンゼンのプロピル化に一層活性かつ選択的であることがわかった。例えば、米国特許第4,992,606 号(Kushnerick) はプロピレンによるベンゼンの液相アルキル化におけるMCM-22の使用を記載している。
アルキル芳香族化合物、例えば、エチルベンゼン及びクメンを製造するための既存のアルキル化方法は、本来、ポリアルキル化種だけでなく、所望のモノアルキル化生成物を製造する。それ故、そのポリアルキル化種をアルキル化反応器に循環することにより、又は、更に頻繁に、ポリアルキル化種を別のトランスアルキル化反応器に供給することにより、ポリアルキル化種を追加の芳香族供給原料、例えば、ベンゼンでトランスアルキル化して追加のモノアルキル芳香族生成物、例えば、エチルベンゼン又はクメンを製造することが通常である。芳香族種のアルキル化、例えば、エチレン又はプロピレンによるベンゼンのアルキル化、またポリアルキル化種、例えば、ポリエチルベンゼン及びポリイソプロピルベンゼンのトランスアルキル化に使用されていた触媒の例が、米国特許第5,557,024 号(Cheng) にリストされており、MCM-49、MCM-22、PSH-3、SSZ-25、ゼオライトX、ゼオライトY、ゼオライトベータ、酸脱アルミニウム化モルデナイト及びTEA-モルデナイトを含む。また、TEA-モルデナイトの小結晶(<0.5 ミクロン) 形態によるトランスアルキル化が米国特許第6,984,764 号(Roth ら)に開示されている。
アルキル化工程が液相中で行なわれる場合、トランスアルキル化工程を液相条件下で行なうことがまた望ましい。しかしながら、比較的低い温度で作業することにより、液相方法は、特に嵩高のポリアルキル化種が望ましくない副生物を生じないで追加のモノアルキル芳香族生成物に変換される必要があるトランスアルキル化工程で触媒に増大された要件を課する。これは既存の触媒が所望の活性を欠き、又はかなりの量の副生物、例えば、エチルベンゼン及びn-プロピルベンゼンの製造をもたらしていたクメン製造の場合に重大な問題であることが判明していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
それ故、モノアルキル芳香族化合物を結晶性モレキュラーシーブで製造する新規方法についての要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
或る実施態様において、この開示はEMM-13モレキュラーシーブを含む触媒を使用してモノアルキル芳香族化合物を製造するアルキル化方法に関するものであり、そのEMM-13モレキュラーシーブは、その合成されたままの形態、及び焼成された形態で、14.17 〜12.57 Å(約6.15-7.05 °2-θ)の範囲のd-間隔最大、12.1 〜12.56 Å(約7.3-7.05 °2-θ) の範囲のd-間隔最大、10.14 〜12.0 Å(8.7-7.35 °2-θ) の範囲のd-間隔最大、及び8.66 〜10.13 Å(10.2-8.7 °2-θ) の範囲のd-間隔最大を有するピークを含むX線回折パターンを有し、10.14 〜12.0 Å(8.7-7.35 ° 2-θ) の範囲のd-間隔最大及び8.66 〜10.13 Å(10.2-8.7 ° 2-θ) の範囲のd-間隔最大を有する前記ピークがその間に谷を示し、前記谷の最低位置でバックグラウンドについて修正された測定強さが10.14 〜12.0 Å(8.7-7.35 ° 2-θ) の範囲及び8.66 〜10.13 Å(10.2-8.7 ° 2-θ) の範囲のd-間隔最大を有する前記ピークを連結する線上の同じXRDd-間隔における位置での強さの50%より小さく、前記EMM-13モレキュラーシーブが1.6質量%未満のTiを有する。
或る実施態様において、この開示はEMM-13モレキュラーシーブを含む触媒を使用してモノアルキル芳香族化合物を製造するアルキル化方法に関するものであり、そのEMM-13モレキュラーシーブは、その合成されたままの形態、及び焼成された形態で、13.18±0.25Å、12.33±0.23Å、11.06±0.18Å及び9.25±0.13Åのd-間隔最大のピークを含むX線回折パターンを有し、11.06±0.18Å及び9.25±0.13Åの前記ピークが11.06±0.18 Åと9.25±0.13Åの間に谷を示すが、最低位置でバックグラウンドについて修正された測定強さが11.06±0.18Å及び9.25±0.13Åのd-間隔最大を連結する線上の同じXRDd-間隔における位置での強さの50%より小さく、前記EMM-13モレキュラーシーブが1.6質量%未満のTiを有する。
【0013】
その他の実施態様において、モノアルキル芳香族化合物がエチルベンゼン、クメン及びsec-ブチルベンゼンの少なくとも一種を含む。
更に別の実施態様において、この開示の方法がアルキル化剤をEMM-13を含む触媒の存在下でアルキル化条件下でアルキル化可能な芳香族化合物と接触させてモノアルキル芳香族化合物を生成することを含む。
その他の実施態様において、合成されたままの結晶性モレキュラーシーブEMM-13が焼成条件下で更に焼成されて焼成されたEMM-13を生成し、その焼成条件が1分〜500時間の範囲の時間にわたって300〜700℃の範囲の温度を含む。
或る局面において、EMM-13モレキュラーシーブが、その合成されたままの形態及び焼成された形態で、3.57±0.07Å及び3.42±0.07Åのピークを含むX線回折パターンを更に含む。
その他の局面において、EMM-13モレキュラーシーブが、その合成されたままの形態及び焼成された形態で、6.9±0.15のピークを含むX線回折パターンを更に含む。
更に別の局面において、EMM-13焼成モレキュラーシーブがモル関係
X2O3:(n)YO2
(式中、Xは3価の元素であり、アルミニウム、ホウ素、鉄及びガリウムの少なくとも一種を含み、Yは4価の元素であり、ケイ素及びゲルマニウムの少なくとも一種を含み、かつnは少なくとも約10である)
を含む組成を有する。合成されたままの形態で、EMM-13モレキュラーシーブは、無水基準で、かつYO2 nモル当りの酸化物のモル数に関して、以下のとおりの式を有する。
(0.005-1)M2O:(1-4)R:X2O3:nYO2
式中、Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属であり、かつRは有機部分である。好ましい実施態様において、nが約10から約150まで、更に好ましくは約30から約60までである。或る好ましい実施態様において、Xがアルミニウムであり、かつYがケイ素である。
或る実施態様において、EMM13焼成モレキュラーシーブが少なくとも150μモル/g、好ましくは少なくとも250μモル/gのコリジン吸着能を有する。
本発明のこれらの特徴及びその他の特徴が以下の詳細な説明、図面、及び特許請求の範囲から明らかになるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1の5〜11 °2-θ のXRDパターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
序論
本明細書で引用された全ての特許、特許出願、試験操作(例えば、ASTM方法、UL方法等)、優先権書類、文献、刊行物、マニュアル、及びその他の書類はこのような開示が本発明と不一致ではない程度に、またこのような組み込みが許されるあらゆる司法権のために参考として完全に含まれる。
数的下限及び数的上限が本明細書にリストされる場合、あらゆる下限からあらゆる上限までの範囲が意図される。開示の例示実施態様が特殊性でもって記載されたが、種々のその他の変更が開示の精神及び範囲から逸脱しないで当業者に明らかであり、当業者により直ぐになし得ることが理解されるであろう。それ故、特許請求の範囲は本明細書に示された実施例及び記載に限定されることは意図されないが、むしろ請求項は開示が関係する当業者によりその均等物として処理される全ての特徴を含む、本開示にある特許可能な新規性の全ての特徴を含むと見なされることが意図される。
この明細書に使用される“フレームワーク型”という用語は“ゼオライトフレームワーク型のアトラス” 2001に記載された意味で使用される。
本明細書に使用される周期律表の族についてのナンバリングスキームはChemical and Engineering News, 63(5), 27 (1985)に使用されるとおりである。
【0016】
X線粉末回折パターン
格子面間隔、dは、オングストローム単位(Å)で計算され、また線の相対強さ、I/Io(この場合、バックグラウンド、Ioより上の最も強い線の強さが、100とカウントされる)は、プロフィールフィッティングルーチン(又は二次微分アルゴリズム)の使用により誘導された。強さはローレンツ効果及び偏光効果について修正されない。相対強さは記号VS=非常に強い (60より大きく、100まで), S=強い (40より大きく、60まで)、M=中間(20より大きく、40まで) 及びW=弱い(0 から20まで)に関して示される。単一線としてリストされた回折データは多くの重なり線(これらは結晶学的変化の差の如き或る条件下で解像され、又は部分的に解像された線として見えるかもしれない)からなってもよいことが理解されるべきである。典型的には、結晶学的変化として、単位セルパラメーターの微小変化及び/又は結晶シンメトリーの変化(構造の変化を含まない)が挙げられる。相対強さの変化を含む、これらの微小効果は、また陽オン含量、フレームワーク組成、孔充填の性質及び程度、並びに熱履歴及び/又は水熱履歴の差異の結果として生じ得る。回折パターンのその他の変化が物質間の重要な差異を示すことができ、これはMCM-22を同様の物質、例えば、MCM-49、MCM-56、及びPSH-3と比較するための場合である。
格子面間隔、dは、それらがピーク最大から基準線までの50%強さ値と測定された半分の高さで約1.5°以上のピーク幅を示す場合に広いと考えられた。
本明細書に使用される“XRD区別可能なピーク”という用語は明らかに特定されたピーク最大(これは平均バックグラウンドノイズレベルの少なくとも2倍である)を有するXRDピークと定義される。
本明細書に使用されるXRD中の“区別できない”ピーク(また、“解像されない”ピーク)という用語はそれらの間のモノトーンのプロフィール(ノイズ内の一貫して増大し(又は平らに留まり)、又は減少する(又は平らに留まる)連続点)を有するピークを意味する。
本明細書に使用されるXRD中の“区別できる”ピーク(また“解像された”ピーク)という用語は区別できない(解像されない)ことはない一つ以上のXRDピークを意味する。
図1は実施例1の生成物の5〜11°2-θ のXRDパターンを図示する。10.14 〜12.0 Åの範囲のd-間隔最大と8.66Åから10.13Åまでのd-間隔最大の間の最低位置におけるバックグラウンドについて修正された測定強さ(Bと表される)は、最低位置(位置a)と最低位置(位置a)の同じXRDd-間隔におけるバックグラウンド修正線の線上の位置(位置b)の間の距離である。位置bと最低位置の同じXRDd-間隔における10.14〜12.0Åの範囲及び8.66〜10.13の範囲のd-間隔最大を連結する線上の位置(位置c)の間の距離がAと表される。
【0017】
EMM-13の組成物
EMM-13 は膨張した構造及び層間領域への増大された接近を示す前例のないXRDパターンを有する新規MCM-22ファミリーの物質である。それは14.17 〜12.57 Å (約6.15-7.05 ° 2-θ)の範囲のd-間隔最大、12.1 〜12.56 Å(約7.3-7.05 ° 2-θ)の範囲のd-間隔最大、10.14 〜12.0 Å(8.7-7.35 ° 2-θ)の範囲のd-間隔最大、及び8.66 〜10.13 Å(10.2-8.7 ° 2-θ)の範囲のd-間隔最大を有するピークを含む焼成された形態のXRD特徴の特異な特有の組み合わせを示し、10.14 〜12.0 Å(8.7-7.35 ° 2-θ) の範囲のd-間隔最大及び8.66 〜10.13 Å(10.2-8.7 ° 2-θ) の範囲のd-間隔最大を有する前記ピークは間に谷を示し、前記谷の最低位置でバックグラウンドについて修正された測定強さは10.14 〜12.0 Å(8.7-7.35 ° 2-θ) の範囲のd-間隔最大及び8.66 〜10.13 Å(10.2-8.7 ° 2-θ)範囲のd-間隔最大を有する前記ピークを連結する線上の同じXRDd-間隔における位置での強さの50%より小さく、前記EMM-13モレキュラーシーブは1.6質量%未満のTiを有する。
或る実施態様において、EMM-13の組成物は、合成されたままの形態及び焼成された形態で、13.5±0.5、12.33±0.23のd-間隔最大のピークを含むX線回折パターンを有し、11.05±0.2 Å及び9.31±0.2 Åにおけるピーク間に谷を示し、最低位置でバックグラウンドについて修正された測定強さは11.05±0.2 Å及び9.31±0.2 Å付近のd-間隔最大を連結する線上の同じXRDd-間隔における位置での強度の50%より小さく、前記EMM-13モレキュラーシーブは1.6質量%未満のTiを有する。
【0018】
更なる実施態様において、EMM-13の組成物は、合成されたままの形態及び焼成された形態で、3.57 ± 0.06 Å及び3.43 ± 0.06 Åのd-間隔最大におけるピークを含むX線回折パターンを更に有する。更に別の実施態様において、EMM-13の組成物は、合成されたままの形態及び焼成された形態で、6.9±0.15 Åのd-間隔最大におけるピークを含むX線回折パターンを更に有する。更に別の実施態様において、EMM-13の組成物は、合成されたままの形態及び焼成された形態で、3.96 ± 0.08 Åのd-間隔最大のピークを含むX線回折パターンを更に有する。
その他の実施態様において、EMM-13の組成物は、合成されたままの形態及び焼成された形態で、13.5±0.5 (M-VS)、 12.33±0.23(M-VS)のd-間隔最大及び相対強さのピークを含むX線回折パターンを有し、11.05±0.2 Å(W-S) 及び9.31±0.2 Å(W-S) にあるピーク間に谷を示すが、最低位置でバックグラウンドについて修正された測定強さが11.05±0.2 Å及び9.31±0.2 Å付近のd-間隔最大を連結する線上の同じXRDd-間隔における位置での強度の50%より小さい。
表2
【0019】

【0020】
その他の実施態様において、EMM-13の組成物は、合成されたままの形態及び焼成された形態で、3.57 ± 0.06 (W-M) Å及び3.43 ± 0.06 (M-VS) Åのd-間隔最大のピークを含むX線回折パターンを更に有する。更に別の実施態様において、EMM-13の組成物は、合成されたままの形態及び焼成された形態で、6.9±0.15 Å(W-M, 広い)のd-間隔最大のピークを含むX線回折パターンを更に有する。更に別の実施態様において、EMM-13の組成物は、合成されたままの形態及び焼成された形態で、3.96 ± 0.08 Å(W-VS, 広い)のd-間隔最大のピークを含むX線回折パターンを更に有する。
或る好ましい実施態様において、結晶性モレキュラーシーブEMM-13のX線回折パターンが表2にリストされたd-間隔最大及び強さのピークを更に有する。
或る実施態様において、この開示の結晶性モレキュラーシーブのX線回折パターンが28±1 Åのd-間隔最大を更に含む。
その他の実施態様において、EMM-13の組成物がその結晶構造により特定し得る。EMM-13の結晶構造はその単位セル(これはその物質の全ての構造要素を含む最小の構造単位である)により特定し得る。EMM-13の単位セルはP6/mmmスペースグループ及び表3にリストされた四面体原子(T)と酸素原子の原子座標並びにa = 14.198(2) 及びc = 27.647(7) Åの単位セル寸法を有し、この場合、前記EMM-13モレキュラーシーブは1.6質量%未満のTiを有する。四面体原子はその他の結晶力(例えば、無機種又は有機種の存在)のために動きまわるかもしれないので、±0.05 nm の範囲が夫々の座標位置について含まれる。
表3
【0021】

【0022】
表3中、x/a、y/b、z/c は単位セル軸a = b, c と称される単位セル中の原子の分数座標である。Uiso は夫々の原子についての等方性温度係数(Å2)である。量'occ' は夫々の原子についての占有係数であり、即ち、1.0未満の場合、結晶中の夫々の位置に原子又は空位の統計分布がある。
或る実施態様において、焼成されたEMM-13はEMM-10についての約120-200 μモル/g 及びMCM-22についての120 μモル/g と較べて、150 μモル/gより大きく、好ましくは200 μモル/gより大きく、更に好ましくは250 μモル/gより大きく、更に一層好ましくは300 μモル/gより大きく、最も好ましくは350 μモル/gより大きい格別高いコリジン価を示す。いかなる理論により限定されることを意図しないで、本発明者らは焼成されたEMM-13が焼成された場合の前駆体として膨張された形態で固定されたc-単位セルパラメーターを有すると考える。
【0023】
合成されたままのEMM-13 及び焼成されたEMM-13の化学組成
この開示の合成されたままのEMM-13モレキュラーシーブ物質はMCM-22-P前駆体(これはアルカリ金属又はアルカリ土類金属(M)、例えば、ナトリウム又はカリウムの源、陽イオン、3価の元素X、例えば、アルミニウムの酸化物、4価の元素Y、例えば、ケイ素の酸化物、有機(R)誘導剤(以下に更に特別に記載される)、及び水を含む水熱反応のための反応混合物から得られる)から調製されてもよく、その水熱反応のための反応混合物は酸化物のモル比に関する組成を有する:
10〜無限の範囲又は10〜50の範囲のYO2/X2O3;
0.05-5.0の範囲のM/X2O3; 及び
0.01-10の範囲のR/X2O3
この開示の焼成されたEMM-13モレキュラーシーブ物質は合成されたままのEMM-13を有機鋳型Rの少なくとも大半を合成されたままのEMM-13から除去するための焼成条件下で焼成することにより調製し得る。
合成されたままのEMM-13モレキュラーシーブ物質又は焼成されたEMM-13モレキュラーシーブ物質は1.6質量%未満、好ましくは1質量%未満、更に好ましくは0.5質量%未満のチタン、最も好ましくは0.1質量%未満のチタンを有する。
【0024】
EMM-13の製造方法
或る実施態様において、この開示は合成されたままの結晶性モレキュラーシーブEMM-13の製造方法に関するものであり、その方法は
(a) MCM-22-P及び酸性組成物、必要によりスペーシング剤を含む混合物を得る工程、及び
(b) 合成されたままのEMM-13を含む生成物を生成する処理条件でその混合物を処理する工程、並びに
(c) 酸処理された結晶性モレキュラーシーブを回収する工程
を含む。
或る好ましい実施態様において、合成されたままのEMM-13が
(1) 10-無限、好ましくは約10から150までの範囲のSi/Al2 を有するMCM-22-P、及び硝酸、硫酸、塩酸、シュウ酸の少なくとも一種を含む酸性組成物(前記酸は10N以下、好ましくは1N未満の濃度を有する)、必要によりジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、及びテトラエチルシラン (TEOS)の少なくとも一種、好ましくはTEOSを含むスペーシング剤を含む混合物を得、そして
(2) 工程(1)の混合物を処理条件で処理することを含む方法により製造され、その処理条件は、必要により0-1000 RPMの範囲の撹拌速度で、1-24時間の範囲の時間にわたって50-250℃の範囲の温度を含む。
工程(a)の混合物はMCM-22-P、酸性組成物、そして必要によりスペーシング剤を含み、酸性組成物に対するMCM-22-Pの固形分の質量比及びMCM-22-Pの固形分に対するスペーシング剤の質量比が表4にリストされる。工程(b)の処理条件は処理温度、処理時間を含む。処理温度及び処理時間の有益な範囲及び好ましい範囲が表4にリストされる。
表4
【0025】

【0026】
下記の酸性組成物に対する固形分の質量比が有益な下限である: 0.001、0.01、0.05、0.1、0.5、1、5、10、50、100及び500。下記の酸性組成物に対する固形分の質量比が有益な上限である: 0.01、0.05、0.1、0.5、1、5、10、50、100、500及び1000。酸性組成物に対する固形分質量比は、下限が上限以下である限り、上記下限のいずれか一つ〜上記上限のいずれか一つの範囲にある。酸性組成物に対する固形分質量比は一実施態様において、0.01から100まで、また0.1から10まで、また0.1から5までの範囲の量で存在し得る。
下記の比が固形分に対するスペーシング剤の質量比の有益な下限である: 0、0.001、0.01、0.05、0.1、0.5、1、及び1.5。下記の比が固形分に対するスペーシング剤の質量比の有益な上限である: 0.001、0.01、0.05、0.1、0.5、1、1.5、及び2。固形分に対するスペーシング剤の質量比は、固形分に対するスペーシング剤の質量比の下限が固形分に対するスペーシング剤の質量比の上限以下である限り、上記の固形分に対するスペーシング剤の質量比の下限のいずれか一つ〜上記の固形分に対するスペーシング剤の質量比の上限のいずれか一つの範囲にある。固形分に対するスペーシング剤質量比は一実施態様において、0から2まで、また0から1まで、また0.1から0.5までの範囲の量で存在し得る。
下記の温度 (℃) が有益な処理温度下限である: 25、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、及び200。下記の温度 (℃) が有益な処理温度上限である: 50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、及び250。処理温度 (℃) は、処理温度下限が処理温度上限以下である限り、上記処理温度下限のいずれか一つ〜上記処理温度上限のいずれか一つの範囲内にある。処理温度は一実施態様において25℃から250℃まで、また70℃から200℃まで、また90℃から170℃までの範囲の量で存在し得る。
下記の時間 (hr) が処理に有益な時間下限である: 0.01、1、5、10、20、30、50、100、及び150。下記の時間 (hr) が処理に有益な時間上限である1、5、10、20、40、50、70、100、150、200、及び240。処理のための時間 (hr) は、処理のための時間下限が処理のための時間上限以下である限り、処理のための上記時間下限のいずれか一つ〜処理のための上記時間上限のいずれか一つの範囲内にある。処理のための時間は一実施態様において1から100まで、また1から48まで、また1から24までの範囲の量で存在し得る。
【0027】
(1) MCM-22-P
MCM-22-P 生成物が米国特許第4,954,325号(これらの全てが参考として本明細書に含まれる)に開示されている。
米国特許第4,954,325号により開示されたようなMCM-22-Pは表5にリストされる組成(モル比)を有する混合物を結晶化することによりつくられてもよい。
表5
【0028】

【0029】
結晶化後に、MCM-22-P生成物は表6にリストされる組成(モル比)を有する。
表6
【0030】

【0031】
(2) 酸性組成物
この開示に有益な酸性組成物は酸性溶質及び溶媒を含む。酸性溶質は無機酸、例えば、硝酸、塩酸及び硫酸、並びに有機酸、例えば、シュウ酸及び酢酸の少なくとも一種、又は無機酸と有機酸のあらゆる組み合わせを含む。酸性溶質が硝酸であることが好ましい。溶媒は水、メタノール、エタノール、アセトン及びジメチルスルホン(DMSO)の少なくとも一種を含む。
酸性組成物の酸濃度は0.001〜10の範囲である。下記の酸濃度が有益な下限である: 0.001、0.01、0.05、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、及び9。下記の酸濃度が有益な上限である: 0.01、0.05、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10。酸濃度は、下限が上限以下である限り、上記下限のいずれか一つ〜上記上限のいずれか一つの範囲内にある。酸濃度は一実施態様において0.001から5まで、また0.01から4まで、また0.1から2までの範囲の量で存在し得る。
酸性組成物質量比に対して固形分中に使用される酸性組成物の質量は酸性溶質と溶媒の合計質量に基づいて計算される。
【0032】
(3) スペーシング剤
必要により、酸処理工程はまたスペーシング剤を含む。有益なスペーシング剤は膨張された形態(即ち、合成されたままの形態及び焼成された形態の両方で13.5±0.25に特有の (002) ピークを有する)の前駆体を安定化し得る部分を与えることができるあらゆる薬剤である。例えば、スペーシング剤が膨張された形態の前駆体を安定化し得るケイ素部分を与えることができるシリル化剤であってもよい。
スペーシングのための化合物の例として、4価の元素、3価の元素の有機化合物、及び/又は5価の化合物、例えば、有機ケイ素化合物、有機ゲルマニウム化合物、有機チタン化合物、有機ホウ素化合物、有機アルミニウム化合物、及び有機リン化合物が挙げられる。有機ケイ素化合物はシリコーンを含むポリシロキサン、シロキサン、並びにジシラン及びアルコキシシランを含むシランを含んでもよい。
本発明に使用し得るシリコーン化合物として、下記の式の化合物が挙げられる。
【0033】
【化1】

【0034】
式中、R1 は水素、フッ化物、ヒドロキシ、アルキル、アラルキル、アルカリール又はフルオロ-アルキルである。炭化水素置換基は一般に1個から約10個までの炭素原子を含み、メチル基又はエチル基であることが好ましい。R2 はR1と同じ基から選ばれ、かつnは少なくとも2、一般に2から約1000までの範囲の整数である。使用されるシリコーン化合物の分子量は一般に約80〜約20,000 、好ましくは約150〜10,000である。代表的なシリコーン化合物として、ジメチルシリコーン、ジエチルシリコーン、フェニルメチルシリコーン、メチル水素シリコーン、エチル水素シリコーン、フェニル水素シリコーン、フルオロプロピルシリコーン、エチルトリフルオロプロピルシリコーン、テトラクロロフェニルメチルメチルエチルシリコーン、フェニルエチルシリコーン、ジフェニルシリコーン、メチルトリシリコーン、テトラクロロフェニルエチルシリコーン、メチルビニルシリコーン及びエチルビニルシリコーンが挙げられる。シリコーン化合物は線状である必要はないが、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン及びオクタフェニルシクロテトラシロキサンのように環状であってもよい。これらの化合物の混合物だけでなく、その他の官能基を有するシリコーンがまた使用されてもよい。
有益なシロキサン及びポリシロキサンとして、非限定例として、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ヘキサエチルシクロトリシロキサン、オクタエチルシクロテトラシロキサン、ヘプタフェニルシクロトリシロキサン及びオクタフェニルシクロテトラシロキサンが挙げられる。
有益なシラン、ジシラン、又はアルコキシシランとして、下記の一般式を有する有機置換シランが挙げられる。
【0035】
【化2】

【0036】
式中、Rは反応性基、例えば、水素、アルコキシ、ハロゲン、カルボキシ、アミノ、アセトアミド、トリアルキルシリルオキシであり、R1、R2 及びR3 はRと同じであってもよく、又は有機基[これは1個から約40個までの炭素原子のアルキル、アルキル又はアリールカルボン酸(そのアルキルの有機部分は1個から約30個までの炭素原子を含み、またそのアリール基は約6個から約24個までの炭素を含み、これは更に置換されていてもよい)、約7個から約30個までの炭素原子を含むアルキルアリール基及びアリールアルキル基を含んでもよい]であってもよい。アルキルシランのアルキル基は鎖長中に約1個〜約4個の炭素原子であることが好ましい。混合物がまた使用されてもよい。
シラン又はジシランとして、非限定例として、ジメチルフェニルシラン、フェニルトリメチルシラン、トリエチルシラン及びヘキサメチルジシランが挙げられる。有益なアルコキシシランは少なくとも1個のケイ素-水素結合を有するものである。
アルキル化方法
本明細書で供給原料として有益であり得るアルキル化可能な芳香族化合物に関する“芳香族”という用語はその当業界で認められる範囲に従って理解されるべきである。これはアルキル置換及び未置換の単核化合物及び多核化合物を含む。ヘテロ原子を有する芳香族特徴の化合物がまた有益であり得るが、但し、充分な触媒活性が選ばれた反応条件下で維持されることを条件とする。
本明細書でアルキル化し得る置換芳香族化合物はその芳香族核に直接結合された少なくとも1個の水素原子を有する必要がある。芳香族環は1個以上のアルキル、アリール、アルカリール、アルコキシ、アリールオキシ、シクロアルキル、ハライド、及び/又はそのアルキル化反応を妨害しないその他の基で置換し得る。
好適な芳香族化合物として、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ナフタセン、ペリーレン、コロネン、及びフェナントレンが挙げられ、ベンゼンが好ましい。
【0037】
芳香族化合物に置換基として存在し得るアルキル基は一般に1個から約22個までの炭素原子、通常約1個から8個までの炭素原子、最も通常約1個から4個までの炭素原子を含む。
好適なアルキル置換芳香族化合物として、トルエン、キシレン、イソプロピルベンゼン、n-プロピルベンゼン、α-メチルナフタレン、エチルベンゼン、メシチレン、ジュレン、シメン、ブチルベンゼン、シュードクメン、o-ジエチルベンゼン、m-ジエチルベンゼン、p-ジエチルベンゼン、イソアミルベンゼン、イソヘキシルベンゼン、ペンタエチルベンゼン、ペンタメチルベンゼン;1,2,3,4-テトラエチルベンゼン;1,2,3,5-テトラメチルベンゼン;1,2,4-トリエチルベンゼン;1,2,3-トリメチルベンゼン、m-ブチルトルエン;p-ブチルトルエン;3,5-ジエチルトルエン;o-エチルトルエン;p-エチルトルエン;m-プロピルトルエン;4-エチル-m-キシレン;ジメチルナフタレン;エチルナフタレン;2,3-ジメチルアントラセン;9-エチルアントラセン;2-メチルアントラセン;o-メチルアントラセン;9,10-ジメチルフェナントレン;及び3-メチル-フェナントレンが挙げられる。高分子量アルキル芳香族化合物がまた出発物質として使用でき、オレフィンオリゴマーによる芳香族有機化合物のアルキル化により生成されるような芳香族有機化合物を含む。このような生成物は当業界でアルキレートと頻繁に称され、ヘキシルベンゼン、ノニルベンゼン、ドデシルベンゼン、ペンタデシルベンゼン、ヘキシルトルエン、ノニルトルエン、ドデシルトルエン、ペンタデシルトルエン等を含む。非常にしばしば、アルキレートが高沸点留分として得られ、この場合、その芳香族核に結合されたアルキル基が約C6 から約C12までサイズを変化する。クメン又はエチルベンゼンが所望の生成物である場合、本方法は許容できる程少ない副生物、例えば、n-プロピルベンゼン及びキシレンを夫々生じる。このような場合につくられたこれらの副生物は100 wppm未満であり得る。
ベンゼン、トルエン及び/又はキシレンの混合物を含むリフォーメート(reformate)がこの開示のアルキル化方法に特に有益な供給原料を構成する。
この開示の方法に有益であり得るアルキル化剤として、一般にアルキル化可能な芳香族化合物、好ましくは1個から5個までの炭素原子を有するアルキル化基と反応し得る1個以上の利用できるアルキル化脂肪族基を有するあらゆる脂肪族又は芳香族有機化合物が挙げられる。好適なアルキル化剤の例はオレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、例えば、1-ブテン、2-ブテン又はイソブチレン、及びペンテン;アルコール(モノアルコール、ジアルコール、トリアルコール等を含む)、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、及びペンタノール;アルデヒド、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、及びn-バレルアルデヒド;並びにアルキルハライド、例えば、塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、塩化ブチル、及び塩化ペンチル等である。これらの化合物の混合物、例えば、プロピレンとプロパノール混合物がまた有益であり得る。
【0038】
軽質オレフィンの混合物がこの開示のアルキル化方法におけるアルキル化剤として有益である。従って、種々の製油所流、例えば、燃料ガス、ガスプラントオフガス(エチレン、プロピレン等を含む)、ナフサクラッカーオフガス(軽質オレフィンを含む)、製油所FCCプロパン/プロピレン流等の主成分であるエチレン、プロピレン、ブテン、及び/又はペンテンの混合物が有益なアルキル化剤である。例えば、典型的なFCC軽質オレフィン流は下記の組成を有する。
質量% モル%
エタン 3.3 5.1
エチレン 0.7 1.2
プロパン 4.5 15.3
プロピレン 42.5 46.8
イソブタン 12.9 10.3
n-ブタン 3.3 2.6
ブテン 22.1 18.32
ペンタン 0.7 0.4
本開示の方法から得られる反応生成物として、ベンゼンとエチレンの反応からのエチルベンゼン、ベンゼンとプロピレンの反応からのクメン、トルエンとエチレンの反応からのエチルトルエン、トルエンとプロピレンの反応からのシメン、及びベンゼンとn-ブテンの反応からのsec-ブチルベンゼンが挙げられる。その開示の特に好ましいプロセスメカニズムはプロピレンによるベンゼンのアルキル化によるクメンの製造及びエチレンによるベンゼンのアルキル化によるエチルベンゼンの製造に関する。
【0039】
反応体は液相中に部分的又は完全にあってもよく、ニートであってもよく、即ち、その他の物質との意図的な混合物又は希釈を含まなくてもよく、又はそれらはキャリヤーガスもしくは希釈剤、例えば、水素、メタン及び/又は窒素の助けにより触媒組成物と接触し得る。
この開示のアルキル化方法は有機反応体、即ち、アルキル化可能な芳香族化合物及びアルキル化剤が好適な反応ゾーン中で有効なアルキル化条件下で現在必要とされる触媒と接触させられるように行なわれてもよい。このような条件は約0℃から約500℃まで、好ましくは約10℃から約260℃までの温度、約20kPa-aから約25000kPa-aまで、好ましくは約100kPa-aから約5500kPa-aまでの圧力、約0.1:1から約50:1まで、好ましくは約0.5:1から約10:1までのアルキル化可能な芳香族化合物対アルキル化剤のモル比、及び約0.1hr-1から500hr-1まで、好ましくは約0.1hr-1から約100hr-1までの毎時の供給質量空間速度(WHSV)(アルキル化剤を基準とする)を含む。
ベンゼンがエチレンでアルキル化されてエチルベンゼンを生成する場合、そのアルキル化反応は液相中で約150℃から約300℃まで、更に好ましくは約170℃から約260℃までの温度;約20400kPa-aまで、更に好ましくは約2000kPa-aから約5500kPa-aまでの圧力;約0.1hr-1から約20hr-1まで、更に好ましくは約0.5hr-1から約6hr-1までの毎時の質量空間速度(WHSV)(エチレンアルキル化剤を基準とする);及び約0.5:1から約100:1まで(モル比)、好ましくは0.5:1から50:1まで(モル比)、更に好ましくは約1:1から約30:1まで(モル比)、最も好ましくは約1:1から約10:1まで(モル比)のアルキル化反応ゾーン中のベンゼン対エチレンの比を含む条件下で行なわれることが好ましい。
ベンゼンがプロピレンでアルキル化されてクメンを生成する場合、その反応はまた約250℃まで、好ましくは約150℃まで、例えば、約10℃から約125℃までの温度;約25000kPa-a以下、例えば、約100kPa-aから約3000kPa-aまでの圧力;約0.1hr-1から約25hr-1まで、好ましくは約1hr-1から約50hr-1までの毎時の質量空間速度(WHSV)(プロピレンアルキル化剤を基準とする);及び約0.5:1から約100:1まで(モル比)、好ましくは0.5:1から50:1まで(モル比)、更に好ましくは約1:1から約30:1まで(モル比)、最も好ましくは約1:1から約10:1まで(モル比)のアルキル化反応ゾーン中のベンゼン対プロピレンの比を含む液相条件下で行なわれてもよい。
【0040】
ベンゼンがブテンでアルキル化されてsec-ブチルベンゼンを生成する場合、その反応はまた約250℃まで、好ましくは約150℃まで、例えば、約10℃から約125℃までの温度;約25000kPa-a以下、例えば、約1kPa-aから約3000kPa-aまでの圧力;約0.1hr-1から約250hr-1まで、好ましくは約1hr-1から約50hr-1までの毎時の質量空間速度(WHSV)(ブテンアルキル化剤を基準とする);及び約0.5:1から約100:1まで(モル比)、好ましくは0.5:1から50:1まで(モル比)、更に好ましくは約1:1から約30:1まで(モル比)、最も好ましくは約1:1から約10:1まで(モル比)のアルキル化反応ゾーン中のベンゼン対ブテンの比を含む液相条件下で行なわれてもよい。
モレキュラーシーブの製造、変性及び特性決定に関する、モレキュラーシーブ及び/又はゼオライトの要約が、書籍“モレキュラーシーブ- 合成及び同定の原理”; (R. Szostak, Blackie Academic & Professional, London, 1998, 第2編)に記載されている。モレキュラーシーブに加えて、無定形物質、主としてシリカ、ケイ酸アルミニウム及び酸化アルミニウムが、吸着剤及び触媒担体として使用されていた。噴霧乾燥、ピリング、ペレット化及び押出のような、幾つかの長く知られている成形技術が、触媒作用、吸着及びイオン交換における使用のために、例えば、微小孔及びその他の型の両方の多孔性物質の球形粒子、押出物、ペレット及び錠剤の形態のマクロ構造を生成するのに使用されてきたし、また使用されている。これらの技術の要約が “触媒製造” A. B. Stiles 及びT. A. Koch, Marcel Dekker, New York, 1995に記載されている。
【0041】
所望される程度まで、合成されたままの物質の初期の金属陽イオンが当業界で公知の技術に従って、その他の陽イオンとのイオン交換により、少なくとも一部置換し得る。好ましい置換陽イオンとして、金属イオン、水素イオン、水素前駆体、例えば、アンモニウム、これらのイオン及び混合物が挙げられる。特に好ましい陽イオンは或る炭化水素変換反応に触媒活性を適応させる陽イオンである。これらとして、水素、希土類金属及び元素の周期律表の1-17族、好ましくは2-12族の金属が挙げられる。
この開示のEMM-13 結晶性モレキュラーシーブは一般に少なくとも部分的に、脱水されるべきである。これは雰囲気、例えば、空気又は窒素中で、かつ大気圧、大気圧以下の圧力又は大気圧を超える圧力で、例えば、30分〜48時間にわたって、例えば、200℃〜595℃の範囲の温度に加熱することにより行ない得る。脱水の程度は48時間にわたって流れている乾燥窒素(0.001kPa未満の分圧の水蒸気)の下で595℃におけるモレキュラーシーブサンプルの全質量損失に対する質量損失の%により測定される。脱水はまた室温(約25℃)でシリケートを単に真空に置くことにより行ない得るが、長時間が脱水の充分な量を得るのに必要とされる。
この開示のEMM-13 結晶性モレキュラーシーブは特にその金属形態、水素形態及びアンモニウム形態で熱処理により別の形態に有利に変換し得る。この熱処理は一般にこれらの形態の一種を少なくとも1分、一般に1000時間以下にわたって少なくとも370℃の温度で加熱することにより行なわれる。大気圧以下の圧力が熱処理に使用し得るが、大気圧が便利の理由のために所望される。熱処理は約925℃までの温度で行ない得る。熱処理された生成物は特に或る種の炭化水素変換反応の触媒作用に有益である。熱処理された生成物は、特にその金属形態、水素形態及びアンモニウム形態で、特に或る種の有機、例えば、炭化水素、変換反応の触媒作用に有益である。このような反応の非限定例として、米国特許第4,954,325号; 同第4,973,784号; 同第4,992,611号; 同第4,956,514号; 同第4,962,250号; 同第4,982,033号; 同第4,962,257号; 同第4,962,256号; 同第4,992,606号; 同第4,954,663号; 同第4,992,615号; 同第4,983,276号; 同第4,982,040号; 同第4,962,239号; 同第4,968,402号; 同第5,000,839号; 同第5,001,296号; 同第4,986,894号; 同第5,001,295号; 同第5,001,283号; 同第5,012,033号; 同第5,019,670号; 同第5,019,665号; 同第5,019,664号; 及び同第5,013,422号(夫々が触媒反応の記載についての参考として本明細書に含まれる)に記載された反応が挙げられる。
【0042】
この開示のEMM-13 結晶性モレキュラーシーブは多種の粒子サイズに成形し得る。一般に言えば、粒子が粉末、顆粒、又は押出物の如き成形品の形態であってもよい。触媒が、例えば、押出によるように成形される場合、結晶が押し出され、その後に乾燥又は部分乾燥され、次いで押し出される。
EMM-13 モレキュラーシーブをアルキル化方法に使用される温度及びその他の条件に耐性の別の物質と混入することが所望される。このような物質として、活性物質及び不活性物質並びに合成又は天然産のゼオライトだけでなく、無機物質、例えば、クレー、シリカ及び/又は金属酸化物、例えば、アルミナが挙げられる。後者は天然産であってもよく、又はゼラチン質の沈殿もしくはシリカと金属酸化物の混合物を含むゲルの形態であってもよい。EMM-13 モレキュラーシーブと連係しての、即ち、それと合わされ、又はEMM-13の合成中に存在する物質(これは活性である)の使用が、触媒の転化率及び/又は選択率を変える傾向がある。不活性物質は所定の方法で希釈剤として好適に利用できて転化率の量を調節し、その結果、生成物が反応の速度を制御するためのその他の手段を使用しないで経済的かつ規則的に得られる。これらの物質が天然産クレー、例えば、ベントナイト及びカオリンに混入されて、商業上の作業条件下で触媒の圧潰強度を改良し得る。これらの物質、即ち、クレー、酸化物等は触媒のバインダーとして機能する。良好な圧潰強度を有する触媒を得ることが望ましい。何とならば、商用では、触媒を粉末のような物質に分解することから防止することが望ましいからである。これらのクレーバインダーは通常触媒の圧潰強度を改良する目的のためだけに使用されていた。
【0043】
EMM-13 モレキュラーシーブと複合化し得る天然産クレーとして、モンモリロナイト及びカオリンファミリーが挙げられ、これらのファミリーはサベントナイト、並びにディキシークレー、マクナミークレー、ジョージアクレー及びフロリダクレー等として普通に知られているカオリン(その主鉱物成分はハロイサイト、カオリナイト、ジッカイト、ナルサイト、又はアナウキサイトである)を含む。このようなクレーは当初採鉱され、又は初期に焼成、処理もしくは化学変性にかけられた生の状態で使用し得る。本結晶と複合するのに有益なバインダーとして、また無機酸化物、注目すべきはアルミナが挙げられる。
以上の物質に加えて、EMM-13 モレキュラーシーブは多孔性マトリックス物質、例えば、シリカ-アルミナ、シリカ-マグネシア、シリカ-ジルコニア、シリカ-トリア、シリカ-ベリリア、シリカ-チタニアだけでなく、3成分組成物、例えば、シリカ-アルミナ-トリア、シリカ-アルミナ-ジルコニア、シリカ-アルミナ-マグネシア及びシリカ-マグネシア-ジルコニアと複合化し得る。
微細にされたEMM-13 結晶性モレキュラーシーブ及び無機酸化物マトリックスの相対比率は広く変化し、その結晶含量は複合材料の約1質量%から約99質量%までの範囲、更に通常、特にその複合材料がビーズの形態で調製される場合には、約20質量%から約80質量%の範囲である。
以下の実施例は本発明の実施態様を反映し、本発明の範囲を限定することを決して目的とするものではない。
【実施例】
【0044】
実験
粉末X線回折
粉末X線データを単色Cu Kα 放射線を用いるブラッグ-ブレンタノ形状のブルカーD4装置で得た。構造の特性決定に使用されるパターンは2θで1.2°から80°まで及んだ。リートベルド洗練(refinement)のための強さを連続スキャンから抽出した。粉末パターンのインデクシングをMDI 社プログラムJADE中のツールで行なった。
試験モデルの構築(Cerius2 (Accelrys社)中の構造ビルディングモジュールにより促進された)後に、粉末回折プロフィールへのそのフィットをA. C. Larsson & R. B. von Dreele, General Structure Analysis System, GSAS, Los Alamos National Laboratory, Los Alamos, NM, 1994に記載されたプログラムGSASを用いるリートベルド洗練によりつくった。時折、フレームワークをCh. Baerlocher, A. Hepp, & W. M. Meier, Distance Least Squares Refinement Program, DLS-76. ETH, Zuerich, 1977に記載されたプログラムDLSで幾何学的に最適化するであろう。GSASで作成された電子密度マップを単位セル中の付加的な原子を配置するのに使用でき、最初にCerius2 モデルで試験してフレームワーク原子との衝突がないことを確実にした。洗練中に注意を払って異常な結合形状寸法を回避した。フレームワークのために、Si-O 結合距離 (1.61 ± 0.03 Å) 及びO-O 四面体距離 (2.65 ± 0.06 Å)に拘束を課することによりこれを部分的に確実にした。フレームワーク洗練のための重み付け機能を徐々に弛緩したが、夫々の洗練工程後に、結合形状寸法の化学的妥当性を確かめた。単位セルパラメーター、バックグラウンド及びゼロシフトに加えて、プロフィール機能をまた洗練してモデルフィットを改良したが、通常のR値が実験の強さ曲線へのモデルの緊密マッチを必ずしも表さないことが時折見られた。幾つかの場合に、R. A. Young著: The Rietveld Method (R. A. Young編集). Oxford Univ. Press, Oxford, 1995, p. 11によるプラティ(platy)結晶アッセンブリーからブラッグ-ブレンタノデータについて予想される、好ましい配向について調節した。
【0045】
表面積
モレキュラーシーブの全表面積が窒素(液体窒素の温度、77K)の吸着-脱着を使用するブラナウアー-エメット-テラー(BET)方法により測定し得る。内表面積 (ZSA, m2/g) がブラナウアー-エメット-テラー(BET)測定のt-プロットを使用して計算し得る。その内表面積をブラナウアー-エメット-テラー(BET)測定により測定された全表面積から引くことにより外表面積 (ZSA, m2/g) を計算する。微小孔体積 (M-pore 、単位cm3/g) を窒素吸着/脱着(窒素等温)により測定する。
コリジン価測定
モレキュラーシーブのコリジン価はTGAにより測定し得る。サンプルを200℃で一定質量(1時間の期間にわたって±1%未満の質量変化)まで乾燥させる。次いで乾燥されたサンプル、収着物の質量を測定する。収着剤、2,4,6-コリジンを3トルのコリジン分圧に維持されたスパージャーにより送出し、サンプルを60分間にわたって200ml/分で通される窒素によりキャリオーバーする。コリジン価を収着物1g当りに吸着されたマイクロモルとして表す。
【0046】
電子顕微鏡検法及び回折
選ばれた領域の電子回折実験を0.25μmの選ばれた領域の直径を使用するFEI/Philips CM-30 電子顕微鏡で300kVで行なった。或る場合に、三次元傾斜を特定の逆格子のまわりにつくって3-D逆格子をマップアウトした。明視野の電子顕微鏡写真を32,240の直接倍率で得た。視野制限アパーチャが回折情報をd* = 0.08 Å-1まで通した。全ての露出をコダック・バイオマックスMSフィルムで記録した。
予備の強さデータ収集のために、回折フィルムを平床スキャナーでデジタル化し、それらのインデクシング後に、個々のスポットの強さをS. Hovmoeller, Ultramicroscopy 41 (1992) 121)パッケージに記載されたCRISP内のX. D. Zou, Yu. Sukharev & S. Hovmoeller, (Ultramicroscopy 53 (1994) 271によるプログラムELDで推定した。シンメトリー関連反射を平均し、ローレンツ修正を誘導された構造因子大きさに適用しなかった。或る場合に、好適なピーク積分をELDで得ることが困難であった。この場合に、フィルムを平床Joyce Loebl Mk. III ミクロデンシトメーターでスキャンし、ピーク面積をそれらの強さの推定として使用した。データを三次元セットに組み合わせるために、別のゾーンからの共通の反射をD. L. Dorset, Structural Electron Crystallography. Plenum, NY, 1995に説明されたように一つのセットをその他のセットに基準化するために使用した。
電子回折研究のために、構造因子計算をFortran プログラムSFで行ない、既知の構造からの相近似が用意された後に、一次元の静電電位分布をFortran プログラムZPOTで得た。
特定の単位セル逆軸 (一般にa*) のまわりの三次元傾斜をプロットして三次元の逆格子の歪まない図を得た。較正のために通常の金の粉末標準物を使用して、完全単位セルの寸法を測定することができた。これらのプロット中の系統不在から、単位セルシンメトリーをまたTh. Hahn (編集), International Tables for Crystallography. Volume A. Space-Group Symmetry. Kluwer, Dordrecht, 1995に従って推定することができた。
C. J. Gilmore, K. Shankland, & G. Bricogne, Proc. Roy. Soc. London 442 (1993) 97によるプログラムMICEを用いて最大エントロピー及び可能性を使用して構造を3-Dデータセットから判明した。Ch. Baerlocher, L. B.McCusker & L. Palatinus, Z. Krist. 222 (2007) 47に記載されたような典型的なゼオライト密度ヒストグラムを利用してC. J. Gilmore, G. Bricogne & C. Bannister, Acta Cryst. A46 (1990) 297に従って優れた最大可能性図により選ばれる構造の解明を試験の中から更に識別することが有益である。同定された反射の完全要因相置換に代えて、C. J. Gilmore, W. Dong, & G. Bricogne, Acta Cryst. A55 (1999) 70によるNordstroem-Robinson誤差修正コードを使用してその計算を加速した。
【0047】
物質及び合成
実施例1: Si/Al2 〜60を有するMCM-22-Pの合成
その合成混合物を水184 g 、ウサルコ45 1.5g、10 % NaOH22g、ヘキサメチレンイミン17g及びウルトラシル23gで調製した。それを300mlのオートクレーブ中で150℃で100 RPM で反応させた。生成物の組成及び構造の多孔度特性を表7にリストする。
実施例2: Si/Al2 〜 23 を有するMCM-22-Pの合成
その合成は米国特許第4,954,325号、実施例1と同様であった。生成物の組成及び構造の多孔度特性を表7にリストする。
実施例3a: 合成されたままのEMM-13 及び焼成されたEMM-13 を生成するためのシランによるMCM-22-P (実施例1) の酸処理
1 M HNO3 溶液30g(濃硝酸3gを水27gと混合することにより得られた) をスペーシング剤(シリル化剤)ジメチルジエトキシシラン0.3gと混合し、続いて実施例1の合成されたままのMCM-22-P サンプル3gを添加した。その混合物を170℃で24時間反応させた。生成物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させた。処理されたままの物質を合成されたままのEMM-13としてXRDにより同定した。処理されたままの物質を空気中で540℃で4時間にわたって更に焼成した。実施例3aの焼成された物質を焼成されたEMM-13としてXRDにより同定した。生成物の組成及び構造の多孔度特性を表7にリストする。
【0048】
実施例3b: 合成されたままのEMM-13 及び焼成されたEMM-13 を生成するためのMCM-22-P (実施例1) の酸処理
1 M HNO3 溶液30g(濃硝酸3gを水27gと混合することにより得られた) を混合し、続いて実施例1の合成されたままのMCM-22-P サンプル3gを添加した。その混合物を170℃で24時間反応させた。生成物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させた。処理されたままの物質を合成されたままのEMM-13としてXRDにより同定した。処理されたままの物質を空気中で540℃で4時間にわたって更に焼成した。実施例3bの焼成された物質を焼成されたEMM-13としてXRDにより同定した。生成物の組成及び構造の多孔度特性を表7にリストする。
実施例3c: 合成されたままのEMM-13 及び焼成されたEMM-13 を生成するためのシランによるMCM-22-P (実施例1) の酸処理
1 M HNO3 溶液30g(濃硝酸3gを水27gと混合することにより得られた) をヒュームドシリカ(Cab-o-Sil)0.3gと混合し、続いて実施例1の合成されたままのMCM-22-P サンプル3gを添加した。その混合物を170℃で24時間反応させた。生成物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させた。処理されたままの物質を合成されたままのEMM-13としてXRDにより同定した。処理されたままの物質を空気中で540℃で4時間にわたって更に焼成した。実施例3cの焼成された物質を焼成されたEMM-13としてXRDにより同定した。生成物の組成及び構造の多孔度特性を表7にリストする。
実施例4a: MCM-22-P及びMCM-22を生成するためのシランによるMCM-22-P (実施例2) の酸処理
1 M HNO3 溶液30g(濃硝酸3gを水27gと混合することにより得られた) をスペーシング剤(シリル化剤)ジメチルジエトキシシラン0.3gと混合し、続いて実施例2の合成されたままのMCM-22-P サンプル3gを添加した。その混合物を170℃で24時間反応させた。生成物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させた。処理されたままの物質をMCM-22-PとしてXRDにより同定した。処理されたままの物質を空気中で540℃で4時間にわたって更に焼成した。実施例4aの焼成された物質をMCM-22としてXRDにより同定した。生成物の組成及び構造の多孔度特性を表7にリストする。
実施例4b: MCM-22を生成するためのMCM-22-P (実施例1) の酸処理
1 M HNO3 溶液30g(濃硝酸3gを水27gと混合することにより得られた) を混合し、続いて実施例2の合成されたままのMCM-22-P サンプル3gを添加した。その混合物を170℃で24時間反応させた。生成物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させた。処理されたままの物質をMCM-22-PとしてXRDにより同定した。処理されたままの物質を空気中で540℃で4時間にわたって更に焼成した。実施例4bの焼成された物質をMCM-22としてXRDにより同定した。生成物の組成及び構造の多孔度特性を表7にリストする。
表7
【0049】

【0050】
実施例5: 40/1 MCM-22-Pの合成
その調製を上記のように行なったが、下記の反応体のモル比: シリカ/アルミナ = 54/1, OH/Si = 0.15, 水/Si = 35, R/Si = 0.58を有するゲルを用いた。その混合物を170℃で70時間加熱し、生成物を通常の方法により単離した。
実施例6-16: 40/1 MCM-22-PによるEMM-13の合成
濃厚な酸を水と混合して表8記載の酸溶液を生成することにより実施例6-16を行なった。種々の量のスペーシング剤(シリル化剤)ジメチルジエトキシシランを添加し、続いて表8に従って実施例5の合成されたままのMCM-22Pサンプルを添加した。その混合物を表8記載の処理温度及び時間を含む処理条件で反応させた。生成物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させた。生成物の焼成を空気中で540℃で4時間行なった。処理されたままの物質を更に空気中で540℃で4時間焼成した。実施例6-11及び13-16の焼成された物質をXRDによりEMM-13として同定した。
表8
【0051】

【0052】
供給原料前処理
ベンゼン
ベンゼンを商用の源から得た。ベンゼンを等しい部数(容積基準)のモレキュラーシーブ13X、モレキュラーシーブ4A、エンゲルハードF-24クレー、及びセレックスソーブCD(入口から出口への順に)を含む前処理容器に通し、次いでMCM-22触媒を含む前処理容器に通した。全ての供給原料前処理物質を使用する前に260℃のオーブン中で12時間乾燥させた。
プロピレン
プロピレンを商用の商品ガス源から得、ポリマーグレードであった。
エチレン
エチレンを商用の商品ガス源から得、ポリマーグレードであった。
窒素
窒素は超高純度のグレードであり、商用の商品ガス源から得た。
実施例17
3種の65質量%の実施例3aの焼成されたEMM-13及び35質量%のアルミナ触媒を調製した。これらの3種の触媒をクメンを生成するためのプロピレンによるベンゼンアルキル化について試験した。
固定床試験におけるクメン製造のための試験順序
実験を1/8”内部熱伝対を備えた下流配置の固定床3/8” OD管状反応器中で行なった。反応器炉を等温様式で制御した。14/20メッシュのサイズの触媒2gを3/8”反応器に装填した。触媒床は中央炉ゾーン中で軸方向に中心にされた。触媒を不活性サンドで充填し間隙のボイドスペースを充満した。反応条件は130℃、2169kPa-aであり、ベンゼン/プロピレンモル比は3/1であった。毎時の質量空間速度はプロピレン基準で1hr-1であった。
反応器始動時に、反応器を超高純度の窒素で2169kPa-aの反応圧力にし、150℃の反応温度に加熱し、その後にベンゼン供給原料を24時間にわたって導入した。触媒を1日にわたって平衡させ、その後にプロピレンを導入して定常状態を得、その後にデータを収集した。反応器をベンゼン流のもとに130℃に冷却し、次いでプロピレンを導入した。生成物を集め、13日間にわたってオンストリームで分析した。結果は生成物中のクメン(イソプロピルベンゼン、IPB)に対するジイソプロピルベンゼン(DIPB)のモル比が12%〜18%の範囲にあることを示す。
【0053】
実施例18
65質量%のEMM-13(実施例3a)及び35質量%のバーサル300アルミナ(UOPから市販されている)のペレット0.9gをエチレンによるベンゼンアルキル化に使用してエチルベンゼンを生成した。触媒を538℃で2時間焼成した。
エチレンによるベンゼンアルキル化を一定質量の触媒をベンゼンとエチレンを含む混合物(3.5のベンゼン/エチレンモル比)とともに良く混合されたパールオートクレーブ反応器に仕込むことにより行なった。その反応を4時間にわたって220℃及び3893kPa-a(550psig)で行なった。生成物の小サンプルを規則的な間隔で抜き取り、ガスクロマトグラフィーにより分析した。触媒性能を4時間後に動的活性速度定数及びジエチルベンゼン/エチルベンゼン質量比により評価した。EMM-13触媒は3 (hr.gモル/cc)-1 の活性及びジエチルベンゼン/エチルベンゼン質量比により測定された10.1の選択率を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノアルキル芳香族化合物の製造方法であって、アルキル化可能な芳香族化合物及びアルキル化剤を含む供給原料を、アルキル化反応条件下で酸素原子により橋かけされた四面体原子のフレームワークを有するモレキュラーシーブを含む触媒と接触させることを含み、その四面体原子フレームワークが下記の表に示される原子座標(単位ナノメーター)を有する単位セルにより特定されることを特徴とするモノアルキル芳香族化合物の製造方法。

【請求項2】
前記モレキュラーシーブがモル関係
X2O3:(n)YO2
(式中、Xは3価の元素であり、アルミニウム、ホウ素、鉄及びガリウムの少なくとも一種を含み、Yは4価の元素であり、ケイ素及びゲルマニウムの少なくとも一種を含み、かつnは少なくとも約30である)
を含む組成を更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記モレキュラーシーブが、合成されたままの形態で、無水基準で、かつYO2nモル当りの酸化物のモル数に関して、以下のとおりの式:
(0.005-1)M2O:(1-4)R:X2O3:nYO2
(式中、Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属であり、nは少なくとも約30であり、かつRは有機部分である)
を有する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記nが約30から約150までである、請求項2又は3記載の方法。
【請求項5】
Xがアルミニウムであり、かつYがケイ素である、請求項2から4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
1質量%未満のTiを含む、請求項1から5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
少なくとも150μモル/gのコリジン吸着能を有する、請求項1から6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記モレキュラーシーブが、その合成されたままの形態及び焼成された形態で、13.18±0.25Å、12.33±0.23Å、11.05±0.2Å及び9.31±0.2Åのd-間隔最大のピークを含むX線回折パターンを更に有し、11.05±0.2Å及び9.31±0.2Åのd-間隔最大の前記ピークがそれらの間に谷を有し、かつ前記谷の最低位置でバックグラウンドについて修正された測定強さが11.05±0.2Å及び9.31±0.2Åのd-間隔最大を連結する線上の同じXRDd-間隔における位置での強さの50%より小さい、請求項1から7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記モレキュラーシーブが、その合成されたままの形態及び焼成された形態で、6.9±0.15Å、3.57±0.07Å及び3.42±0.07Åのピークを含むX線回折パターンを更に有する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記アルキル化可能な芳香族化合物がベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ナフタセン、ペリレン、コロネン、フェナントレン、キシレン、n-プロピルベンゼン、α-メチルナフタレン、o-ジエチルベンゼン、m-ジエチルベンゼン、p-ジエチルベンゼン、ペンタエチルベンゼン、ペンタメチルベンゼン、1,2,3,4-テトラエチルベンゼン、1,2,3,5-テトラメチルベンゼン、1,2,4-トリエチルベンゼン、1,2,3-トリメチルベンゼン、m-ブチルトルエン、p-ブチルトルエン、3,5-ジエチルトルエン、o-エチルトルエン、p-エチルトルエン、m-プロピルトルエン、4-エチル-m-キシレン、ジメチルナフタレン、エチルナフタレン、2,3-ジメチルアントラセン、9-エチルアントラセン、2-メチルアントラセン、o-メチルアントラセン、9,10-ジメチルフェナントレン、3-メチル-フェナントレン及びこれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項1から9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記アルキル化可能な芳香族化合物がベンゼン及びナフタレンの少なくとも一種を含む、請求項1から10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記アルキル化剤がオレフィン、アルコール、アルデヒド、アルキルハライド及びこれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項1から11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記アルキル化剤がエチレン、プロピレン及びブテンの少なくとも一種を含む、請求項1から12のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記アルキル化反応条件が約0℃から約500℃までの温度、約0.2kPa-aから約25000kPa-aまでの圧力、約0.1:1から約50:1までのアルキル化可能な芳香族化合物対アルキル化剤のモル比、及び約0.1hr-1から500 hr-1までの毎時の供給原料質量空間速度(WHSV)(アルキル化剤を基準とする)を含む、請求項1から13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記アルキル化可能な芳香族化合物がベンゼンを含み、前記アルキル化剤がエチレンを含み、前記モノアルキル芳香族化合物がエチルベンゼンを含み、前記アルキル化反応条件が約150℃から約300℃までの温度、約2000kPa-aから約5500kPa-aまでの圧力、約0.5:1から約50:1までのアルキル化可能な芳香族化合物対アルキル化剤のモル比、及び約0.1hr-1から20hr-1までの毎時の供給原料質量空間速度(WHSV)(アルキル化剤を基準とする)を含む、請求項1から9のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
前記アルキル化可能な芳香族化合物がベンゼンを含み、前記アルキル化剤がプロピレンを含み、前記モノアルキル芳香族化合物がクメンを含み、前記アルキル化反応条件が約10℃から約250℃までの温度、約100kPa-aから約3000kPa-aまでの圧力、約0.5:1から約50:1までのアルキル化可能な芳香族化合物対アルキル化剤のモル比、及び約0.1hr-1から250hr-1までの毎時の供給原料質量空間速度(WHSV)(アルキル化剤を基準とする)を含む、請求項1から9のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
前記アルキル化可能な芳香族化合物がベンゼンを含み、前記アルキル化剤がブチレンを含み、前記モノアルキル芳香族化合物がsec-ブチルベンゼンを含み、前記アルキル化反応条件が約10℃から約250℃までの温度、約1kPa-aから約3000kPa-aまでの圧力、約0.5:1から約50:1までのアルキル化可能な芳香族化合物対アルキル化剤のモル比、及び約0.1hr-1から250hr-1までの毎時の供給原料質量空間速度(WHSV)(アルキル化剤を基準とする)を含む、請求項1から9のいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
モノアルキル芳香族化合物の製造方法であって、前記方法がアルキル化可能な芳香族化合物及びアルキル化剤を含む供給原料をアルキル化反応条件下でEMM-13を含む触媒と接触させることを特徴とするモノアルキル芳香族化合物の製造方法。

【図1】
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【公表番号】特表2011−529890(P2011−529890A)
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521170(P2011−521170)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/050724
【国際公開番号】WO2010/014404
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】