EUVミラーモジュール
【課題】EUVリソグラフィシステム等、従来の比較的厚いミラーを採用するように設計された光学システムにおいて、比較的薄い電気鋳造ミラーが使用可能となるようなEUVミラーシステム及び方法。
【解決手段】曲線状の上面22を有する基板20と、曲線状の電気鋳造ミラー30とを備えるEUVミラーモジュール10が開示される。自己調整接着材料40は、基板20と電気鋳造ミラー30との間に配置されている。この接着材料40は、溶融温度で流動可能であり、基板20と電気鋳造ミラー30との間の領域を形状に合わせて充填され、基板20と電気鋳造ミラー30とを接着するように自己調整を行なう。基板20は、ミラーモジュール10を冷却するために、少なくとも一つの冷却チャネルを備えてもよい。
【解決手段】曲線状の上面22を有する基板20と、曲線状の電気鋳造ミラー30とを備えるEUVミラーモジュール10が開示される。自己調整接着材料40は、基板20と電気鋳造ミラー30との間に配置されている。この接着材料40は、溶融温度で流動可能であり、基板20と電気鋳造ミラー30との間の領域を形状に合わせて充填され、基板20と電気鋳造ミラー30とを接着するように自己調整を行なう。基板20は、ミラーモジュール10を冷却するために、少なくとも一つの冷却チャネルを備えてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にミラーに関し、特に、電気鋳造シェル、担持基板、熱伝導接着材料から形成され、EUVリソグラフィシステムで使用される極端紫外光(EUV)ミラーモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、EUVリソグラフィは、線幅50nm未満の半導体回路を加工するための次世代リソグラフィプロセスとして推進されている。EUV電磁放射線は、典型的には10nmから15nmの範囲(例えば、13.5nm)の波長を有する。プリンティングは、EUVリソグラフィにより回折による収差のない極めて良好な特性を有することができる。しかし、EUVリソグラフィでは、原子レベルで高精度な形状と、極めて低い表面粗さとを両立する複数の高精度ミラーのセットが必要となる。
【0003】
このような厳密な光学要件に加え、高精度ミラーは、高真空環境での動作にも適応しなければならない。高精度ミラーがEUV集光器システムのEUV集光器として使用される場合、高熱流束が存在する激しいプラズマ環境に対して耐性を示す必要がある。結果として、EUVミラーは(超)高真空互換材料および技術を使用して加工しなければならず、特定の応用事例に対して熱管理能力を示さなければならない。
【0004】
高精度EUVミラーを形成する一般的方法の一つは、比較的厚みのある基板をマシーニング加工し、研磨することである。例えば、ケイ素、ZERODUR、炭化ケイ等、典型的な被研磨材料からなる基板は、約5cmから10cmの厚みを有する。高精度ミラーを形成する他の方法は、例えば、電気鋳造により薄厚シェル型ミラーを形成することである。電気鋳造後、ミラーシェルは約1mmから2mmの厚みを有する。これら2種類のミラーは、機械的特性(最も顕著なものは構造的剛性)が異なるだけでなく、例えば、熱量、熱伝導率、熱膨張係数等の熱特性が著しく異なる。
【0005】
比較的厚い基板を利用して高精度ミラーを形成する利点は、典型的には蜘蛛の巣状の機械的支持構造を必要とする電気鋳造ミラーシェルに比べて、熱特性および機械特性が一般に望ましいものであるという点にある。一方、高精度な電気鋳造ミラーを形成する利点は、マンドレルを利用して表面形状を容易に再現できる点と、厳密な光学性能要件を満たすように表面を高精度に形成することができる点とにある。
【0006】
したがって、EUVリソグラフィシステム等、従来の比較的厚いミラーを採用するように設計された光学システムにおいて、比較的薄い電気鋳造ミラーが使用可能となるようなEUVミラーシステム及び方法が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願第US2004/0265712A1
【特許文献2】米国特許出願第US2005/0016679A1
【特許文献3】米国特許出願第US2005/0155624A1
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のさらなる特徴および利点は、下記の詳細な説明(発明を実施するための形態)に明記されている。また、それらの一部は詳細な説明の記載内容から当業者にとって直ちに明白となるか、下記の詳細な説明、特許請求の範囲、添付図面を含む、ここに記載された発明を実施することによって認識される。
【0009】
本発明の一態様は、EUVミラーモジュールである。このEUVミラーモジュールは、曲線状の上面を含む本体を有する基板と、曲線状の前面および後面を有する電気鋳造ミラーとを備える。また、基板の上面と電気鋳造ミラーの後面との間に自己調整接着材料が配置されている。自己調整接着材料は、溶融温度で流動可能であり、溶融温度未満の温度で基板と電気鋳造ミラーとを接着する役割を果たす。
このEUVミラーモジュールにおいて、基板および電気鋳造ミラーは同一材料からなることが好ましい。
このEUVミラーモジュールにおいて、基板は、ニッケル、ニッケル合金、銅、銅合金、ケイ素、炭化ケイ素およびZERODURより成る群から選択される基板材料からなることが好ましい。電気鋳造ミラーは、ニッケル、ニッケル合金、銅、銅合金より成る群から選択されるミラー材料からなることが好ましい。
このEUVミラーモジュールにおいて、接着材料は、インジウム、ガリウム、スズおよび鉛の少なくとも1つからなることが好ましい。
このEUVミラーモジュールにおいて、接着材料の溶融温度は140℃から250℃の範囲内であることが好ましい。
このEUVミラーモジュールにおいて、接着材料は10ミクロンから1000ミクロンの厚みを有することが好ましい。
このEUVミラーモジュールにおいて、基板の曲線状の上面は、マシーニング加工された面であることが好ましい。
このEUVミラーモジュールにおいて、基板は5cmから10cmの厚みを有することが好ましい。
このEUVミラーモジュールにおいて、電気鋳造ミラーは1mmから2mmの範囲の厚みを有することが好ましい。
このEUVミラーモジュールにおいて、基板は少なくとも1つの冷却チャネルを有することが好ましい。
このEUVミラーモジュールにおいて、基板は、放射状に配置される複数の冷却チャネルを備えることが好ましい。
このEUVミラーモジュールにおいて、少なくとも一つの冷却チャネルは、基板の上面から距離D1の間隔を空けて配置されることが好ましい。また、距離D1は、5から20mmの範囲内であることが好ましい。
【0010】
本発明の他の態様は、反射レチクルに光を照射するためのEUVリソグラフィシステムである。このシステムは、EUVの光源と、本発明に係るEUVミラーモジュールを有するEUV集光器システムを備える。EUV集光器システムは、EUVを受光し、集束EUVを形成するように構成されている。また、このシステムは、照明器を備える。照明器は、集束EUVを受光し、反射レチクルを照明するための凝縮EUVを形成するように構成されている。
このEUVリソグラフィシステムは、感光性半導体ウエハ上にパターン像を形成するためのものであることが好ましい。このEUVリソグラフィシステムは、投影光学システムをさらに備えることが好ましい。投影光学システムは、反射レチクルの下流に配置され、反射レチクルから反射されたEUVを受光し、そこから感光性半導体ウエハ上にパターン像を形成するように構成されている。
【0011】
本発明のさらに他の態様は、EUVミラーモジュールを形成する方法である。この方法は、曲線状の上面を含む本体を有する基板を用意することと、曲線状の前面および後面を有する電気鋳造ミラーを用意することとを備える。また、この方法は、基板の上面と電気鋳造ミラーの後面との間に自己調整接着材料を配置することを備える。この接着材料は溶融温度を有する。また、この方法は、接着材料を溶融温度まで加熱して、基板の上面と電気鋳造ミラーの後面との間に接着材料を流動させることを備える。さらに、この方法は、接着材料を溶融温度未満の温度に冷却し、基板と電気鋳造ミラーとの間に熱伝導接着部を形成することを備える。
この方法において、接着材料は、インジウム、ガリウム、スズおよび鉛の少なくとも1つからなることが好ましい。
この方法において、溶融温度は140℃から250℃の範囲内であることが好ましい。
この方法は、基板の本体において少なくとも1つの冷却チャネルを形成し、少なくとも一つの冷却チャネルに冷却液を流すことをさらに備えることが好ましい。
この方法は、基板の本体において複数の放射状の冷却ラインを形成することをさらに備えることが好ましい。
この方法は、電気鋳造ミラーおよび基板を同一材料で形成することをさらに備えることが好ましい。
【0012】
上記の背景技術に関する記載と下記の本開示の詳細な説明に関する記載は、本開示の実施形態を提供するものであり、特許請求の範囲に記載されているように、本開示の本質および特徴を理解するための概略または枠組みを提供するものであることを理解すべきである。添付図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。図面は、本開示の様々な実施形態を図示するものであり、本明細書の記載とともに、本開示の原則および実施を説明する一助となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るEUVミラーモジュールの一例の概略分解断面図である。
【図2】図1のEUVミラーモジュールの組み付け状態を示す図である。
【図3A】EUVミラーモジュールの概略側面図であり、領域Rで電気鋳造ミラーと基板との間に配置された溶融および流動前の接着材料を示す図である。
【図3B】図3Aと同一の図であるが、接着材料への熱の印加を示す図である。
【図3C】図1と同様の図であり、領域Rの形に沿って流動され充填された接着層を示す図である。
【図4】図2と同様の図であり、基板が少なくとも1つの冷却チャネルを有する実施形態の一例を示す図である。
【図5】外側冷却チャネルに流体接続される複数の放射状冷却チャネルを有する基板の一例の斜視図である。
【図6】入出力冷却液源にそれぞれ接続された入出力冷却ラインを有するEUVミラーモジュールの一例の断面図である。
【図7】EUVミラーモジュールの概略上面図であり、外側流路(FPO)と交差する複数の放射状流路(FPR)を有する冷却液流路を示す図である。
【図8】同心円状に配置される複数の冷却チャネルを有するEUVミラーモジュールの一例の上面図である。
【図9】本発明のEUVミラーモジュールを採用するEUVリソグラフィシステムの一例の概略図である。
【0014】
図中の様々な構成要素は単に図示されたに過ぎず、必ずしも実際の縮尺通りに図示されている訳ではない。これらの構成要素のうち、ある部分は誇張して図示され、ある部分は最小化して図示されている場合もある。本図面は、当業者によって理解され、適切に実行され得る本開示の実施形態の一例を図示することを意図するものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明に係るEUVミラーモジュール(ミラーモジュール)10の一例の分解断面図である。図2は、組み付け状態のミラーモジュール10の断面図である。
【0016】
ミラーモジュール10は、中心軸A1を有し、曲線状上面22および外縁26を含む基板本体21を有する比較的厚い担持基板(基板)20を備える。また、ミラーモジュール10は、前面32、後面34および外縁36を有する比較的薄い電気鋳造ミラー30を備える。また、ミラーモジュール10は、自己調整接着材料40を有する。自己調整接着材料40は、基板20の上面22と電気鋳造ミラー30の後面34との間に配置され、基板20を電気鋳造ミラー30に接着する。
【0017】
実施形態の一例において、接着材料40は、基板20の上面22と電気鋳造ミラー30の後面34との間で熱伝導を生じる良好な熱伝導率を有する。接着材料40が配置される領域Rは、基板20の上面22と電気鋳造ミラー30の後面34との間に図示されている。実際には、領域Rは比較的小さな領域であり、図3Aから3Cに関連して以下述べるように、ミラーモジュール10の組み付け時、接着材料40は最終的に形状に沿って領域Rを充填するように自己調整する。
【0018】
実施形態の一例において、ミラーモジュール10は、従来のミラー加工方法を使用して加工された単一の厚いモノリシックミラーと略同一の機械寸法を有すると共に、そのモノリシックミラーに匹敵する物理特性および光学機能を有する。基板20の厚みは、例えば、5cmから10cmの間である。電気鋳造ミラー30の厚みは、例えば、1mmから2mmである。接着材料40の厚みは、例えば、10ミクロンから1000ミクロンである。
【0019】
後述の通り、基板20と電気鋳造ミラー30の間において、接着材料40が、初期変形しやすいインターフェイス層として機能する。このため、基板20の上面22は、電気鋳造ミラー30のように正確な表面形状を有する必要はない。一例において、基板20の上面22は、例えば、10ミクロン程度の中程度の表面精度を有する。こうした表面精度であれば、従来のマシーニング方法を使用して手頃な費用で実現することができる。ミラーモジュール10の一例に関する実験では、電気鋳造ミラー30の前面32の形状精度が、マシーニング加工後に基板20の上面22が有する表面精度に比べて、約1ミクロンの二乗平均平方根(RMS)まで極めて良好に維持可能であることが示されている。したがって、一例においては、電気鋳造ミラー30の前面32および後面34は、基板20の上面22に略(実質的)に一致するだけの曲率(表面形状)を有する。
【0020】
実施形態の一例において、基板20および電気鋳造ミラー30は、同一材料からなる。このため、ミラーモジュール10の少なくともこれら2つの構成要素は、実質的に均一な熱膨張係数(CTE)を有する。基板20の材料としては、例えば、ニッケル、ニッケル合金、銅、銅合金、ケイ素、炭化ケイ素およびZERODURが挙げられる。電気鋳造ミラー30の材料としては、例えば、ニッケル、ニッケル合金、銅および銅合金が挙げられる。
【0021】
接着材料40の一例としては、低温接着はんだであり、例えば、インジウム(例えば、90%のInと10%のAgで構成されるインダロイ3)が挙げられる。一例において、接着材料40は、例えば200ミクロン厚の金属ホイル(例えば、インジウムやインジウムベースのホイル)の形状をとる。接着材料40は、例えば140℃から250℃の範囲内の比較的低い溶融温度T40を有することが好ましい。インジウムベースのはんだは、典型的には約150℃の溶融温度T40を有する。溶融温度T40が比較的低いと、室温で基板20と電気鋳造ミラー30との間の領域Rに接着材料40を固体形状で配置可能となる。この配置の一例を図3Aの概略断面図に示す。なお、図3Aの一例に示す時点では、接着材料40が領域Rの全体を占めていない。このような状況があり得るのは、例えば、接着材料40が金属ホイル形状の場合である。接着材料40の他の例として、ガリウム、スズおよび鉛が挙げられる。
【0022】
インジウム等の金属導電材料の形態の接着材料40には、超高真空または激しいプラズマ環境での動作にも適応するという利点がある。有機エポキシとは異なり、インジウムはプラズマに曝露しても劣化やガス抜けが生じない。
【0023】
接着材料40が一旦このように配置されると、次に図3Bに示すように、接着材料40が(例えば、真空オーブン内で)熱Hにより溶融温度T40まで加熱される。図3Cに示されるように、接着材料40は自己調整、即ち、基板20と電気鋳造ミラー30の間の領域Rを流動し、領域Rを形状に沿って充填する。そして、ミラーモジュール10は、溶融温度T40未満に冷却される。すると、接着材料40は、固体形態に戻り、基板20を電気鋳造ミラー30に接着する機能を果たす。このようにして、最終的なミラーモジュール10が形成される。
【0024】
なお、接着材料40は、溶融時、基板20の上面22における任意の表面凹凸に流動し、これを充填することができ、一般に基板20の上面22の曲率と電気鋳造ミラー30の後面34の曲率との違いを埋め合わせることができる。接着材料40が良好な熱伝導率を有する実施形態においては、接着材料40が基板20と電気鋳造ミラー30とを効率的に熱接触させる機能も果たす。
【0025】
流動する接着材料40には剛性がないので、このような自己調整工程において、ミラーモジュール10に対して厳密な機械的制約を課す必要はない。したがって、電気鋳造ミラー30は、毛細管力および熱膨張に対する幾分予測可能でシステマチックな長期調整を行うことにより、ミラー30固有の自立形状に適応する傾向がある。流動する接着材料40は、基板20の上面22と電気鋳造ミラー30の後面34との間の領域Rでの短期変動に対して自己調整を行なう。
【0026】
一例において、例えば、接着層または湿潤層を基板20の上面22および電気鋳造ミラー30の後面34の一方または両方に堆積させることにより、上面22および後面34の一方または両方は接着プロセスを促進するように処理される。
【0027】
(冷却ミラーモジュール)
例えば、EUVリソグラフィシステム、レーザ核融合システム、シンクロトロンミラーに関連する環境等、多くの光学システム環境が存在するが、このような環境では、ミラーモジュール10の温度が接着材料40の溶融温度T40を超えて上昇したり、ミラー表面が加熱によって変形したりするおそれがある。ここで図4を参照すると、図1と同様であるが、基板20に形成された少なくとも1つの冷却チャネル100を備えるミラーモジュール10の一例が示されている。複数の冷却チャネル100が使用される場合、または、同一冷却チャネル100の複数個所が隣接する場合、複数の冷却チャネル(または冷却チャネル部)100を十分離間して配置して、冷却チャネル100に有害な「プリントスルー」を低減するか、取り除くことが好ましい。プリントスルーとは、動作中の不均一な表面温度により、ミラー表面が下層の冷却チャネル100に対応する位置においてわずかに変形する現象である。表面変形は熱負荷時にのみ生じるので、一般にミラー表面の外観検査では発見されない。しかし、表面変形は、ミラーに入射する光路の光が熱負荷時のミラー性能を深刻に低下させるまで逸れてしまう程、十分大きくなり得る。
【0028】
図5は、基板20の一例の斜視図であり、基板本体21に形成される放射配向された複数の冷却チャネル100を示す。冷却液110(例えば、水)は、基板本体21の中心から径方向外側に向かって放射状の冷却チャネル100を流れ、基板20上に連続する冷却路を形成する放射状の冷却チャネル100の外側開口端102に流体接続される外側冷却チャネル100を周流する。このような特別の冷却チャネル構成は、冷却液密度を最大にし、ミラーモジュール10の中心付近でプリントスルーを最小にする利点を有する。したがって、この設計は、ミラーモジュール10の中心で熱負荷が最大となる場合に適している。
【0029】
接着材料40の比較的薄い層により、基板20および電気鋳造ミラー30は軸方向に十分熱接触し、プリントスルーを回避しつつ、基板20の上面22の比較的近傍に冷却チャネル100を配置することができる。一例において、冷却チャネル100は、基板20の上面20から距離D1だけ離れた位置に配置されている。なお、距離D1は、5から20mmの範囲にある。さらに、基板20は効率的な側方への熱拡散を提供する。そして、この熱拡散がプリントスルーの痕跡をふき取ることによりプリントスルー効果を低減する機能を果たす。要するに、電気鋳造ミラー30から冷却チャネル100までの短距離で効率的な複数の熱拡散経路を形成するように、冷却チャネル100を構成することができる。
【0030】
図6は、ミラーモジュール10の一例の側面図であり、基板20が図4に示す冷却チャネル構成を有する際に基板20上に配置される冷却液110の流路を示す。図7は、ミラーモジュール10の上面図であり、基板20上に配置された放射状且つ円形の冷却液流路FPR及びFPOを概略的に示す。
【0031】
図6のミラーモジュール10は、流入出冷却液ユニット120A及び120Bを有する。流入出冷却液ユニット120A及び120Bは、それぞれ冷却ライン130A及び130Bを介して冷却チャネル100に接続されており、それぞれ冷却液110を供給したり回収したりする。
【0032】
図8は、ミラーモジュール10の一例の上面図である。ミラーモジュール10は、流入出冷却液ユニット120A及び120Bにそれぞれ接続される複数の同心円状の冷却チャネル100を備える。ここで、流入出冷却液ユニット120A及び120Bは、それぞれ、各冷却チャネル100からの冷却液110を供給したり回収したりする冷却液マニホールドとして機能する。冷却チャネル100は等間隔に離間配置する必要はない。実施形態の一例では、ミラーモジュール10上の熱負荷分布に応じて、(中心軸A1により画定される)ミラーモジュール10の中心に近い位置、または(基板20の外縁26により画定される)縁に近い位置に密集して配置される。
【0033】
例えば、平行で実質的に均一でありミラーモジュール10が実質的に均一な熱負荷に曝される程の高強度の光線を反射するために、ミラーモジュール10を使用する応用事例を考えてみる。かかる場合、複数の冷却チャネル100は、電気鋳造ミラー30の前面32の(全体ではないにしろ)ほとんどの領域を均一に冷却するように構成されることが好ましい。一方、実質的に不均一でありミラーモジュール10が実質的に不均一な熱負荷に曝される程の高強度の光線を反射するために、ミラーモジュール10を使用する応用事例を考えてみる。かかる場合、複数の冷却チャネル100は、予想される不均一な熱負荷に対応する方法で、電気鋳造ミラー30の前面32の(全体ではないにしろ)ほとんどの領域を不均一に冷却するように構成されることが好ましい。
【0034】
(EUVリソグラフィシステム)
図9は、本発明に係るEUVリソグラフィシステム(リソグラフィシステム)200の一例を示す。リソグラフィシステムの一例は、例えば、米国特許出願第US2004/0265712A1、US2005/0016679A1、US2005/0155624A1に開示されている。なお、当該出願をここで援用する。
【0035】
リソグラフィシステム200は、システム軸ASおよびEUV光源LSを備える。EUV光源LSは、例えば、ホットプラズマ源であり、λ=13.5nmの作用EUV202を照射する。EUV202は、例えば、電気放電源(例えば、放電生成プラズマまたはDPP源)またはレーザ光源(レーザ生成プラズマまたはLPP源)により、リチウム、キセノン、スズの何れかの目標物上に生成される。このようなLPP源から照射されるEUV202は、略等方であってもよい。現在のDPP源では、EUV202は、放電電極によりシステム軸ASから約60度以上の光源照射角に限定されている。なお、目標ペレットを使用するLPP源の等方性は、目標ペレットの質量に依存する。目標物の質量が比較的大きい場合、照射は異方性を帯び、目標物の質量による順方向における吸収のために、照射光のほとんどがレーザ光源に戻る。LPP目標物の質量が小さい場合、そのLPP目標物は、レーザにより略全体にイオン化される。つまり、このときの照射は等方性にかなり近い。
【0036】
リソグラフィシステム200は、上述のようなEUV集光器システム210として機能するミラーモジュール10を有する。EUV集光器システム210は、コレクタ軸ACがシステム軸ASに沿うように、EUV光源LSの下流側近傍に配置されている。EUV集光器システム210は、光源焦点SFに位置するEUV光源LSからの作用EUV202を集光し、中間焦点IFに中間光源像SIを形成する。
【0037】
照明システム216は、入射端217および出射端218を有しており、システム軸ASに沿って配置され、また、入射端217がEUV集光器システム210に隣接するようにEUV集光器システム210の下流側近傍に配置されている。照明システム216は、入射端217において中間光源像SIからのEUV202を受光し、出射端218において実質的に均一なEUV光線220(即ち、凝縮EUV)を出射する。リソグラフィシステム200が走査型システムである場合、EUV光線220は、典型的には反射レチクル236を走査する実質的に均一なラインのEUV202として、反射レチクル236上に形成される。
【0038】
投影光学システム226は、(屈折した)システム軸ASに沿って、照明システム216の下流に配置されている。投影光学システム226は、照明システム216の出射端218に対向する入射端227と、その反対側の出射端228とを有する。反射レチクル236は、投影光学システム226の入射端227に隣接して配置される。半導体ウエハ240は、投影光学システム226の出射端228に隣接して配置されている。反射レチクル236は、半導体ウエハ240に転写されるパターン(図示せず)を有する。そして、半導体ウエハ240は、感光性コーティング(例えば、フォトレジスト層)242を有する。
【0039】
動作時、均一化されたEUV光線220は、反射レチクル236に照射され、反射レチクル236により反射される。そして、投影光学システム226により、半導体ウエハ240の感光性コーティング242の表面上にパターンが結像される。リソグラフィシステム200では、レチクル像が感光性コーティング242の表面を走査し、その結果、露光フィールド上にパターンが形成される。典型的には、反射レチクル236と半導体ウエハ240とを同期させて移動させることにより走査が実行される
【0040】
反射レチクル236のパターンが半導体ウエハ240上に結像されて記録されると、パターン化された半導体ウエハ240は、標準的なフォトリソグラフィ及び半導体プロセス技術を利用して処理される。その結果、集積回路(IC)チップが形成される。
【0041】
なお、一般的にリソグラフィシステム200の構成要素は、図9に示される共通の屈折したシステム軸ASに沿って配置される。当業者であれば、例えば、照明システム216や投影光学システム226の様々な構成要素の入口軸及び出口軸がオフセットされる場合もあり得ることは、理解される。
【0042】
(EUVミラーモジュールの利点)
高性能光学システム内において従来のミラーを電気鋳造ミラーに交換する場合、これまでシステムレベルをかなり変更する必要があった。最低でもミラーの機械実装構造を変更する必要があった。能動的な熱管理システムも使用されている場合、熱量、および、後面の赤外線反射係数がかなり異なることを念頭において、管理システムを修正する必要があった。結果として、実装段、加熱器アセンブリ、制御電子回路等、他のシステム構成についても、実質的に修正または変更が必要となる可能性が高かった。
【0043】
ミラーモジュール10により、光学システム内で従来のミラーを電気鋳造ミラーに交換することが非常に単純になる。ミラーモジュール10は、特定の従来のミラーに極めて近い寸法、熱量、後面反射係数、その他の特徴を有するように形成することができる。例えば、レーザ生成プラズマ(LPP)光源用のミラー集光器である場合、ミラーモジュール10の96%から99%の容量を、これに対応する従来のミラーの容量に極めて近い(または同一の)容量にすることができる。さらに、ミラーモジュール10は、これに対応する従来のミラーに十分近い熱特性を有することができる。このため、光学システム内においてこれら二つのミラーの熱特性が実質的に同一となる。したがって、光学システムレベルの観点からすると、本発明のミラーモジュール10は、光学システム及びその構成要素の調整および修正を最小限に抑えて、ほとんど異なることなく、光学システムで使用することができる。
【0044】
また、従来のミラーでは、正確なマシーニング加工および超研磨加工が費用の主たる要因であったため、従来のミラーを現在必要とする多くの光学システムの応用事例にミラーモジュールを使用すれば、その費用対効果が高くなる。
【0045】
したがって、本来、従来のミラーを使用するように設計された光学システムの予備構成として、費用対効果の高い電気鋳造ミラーを用いたモジュールを使用することができる。
【0046】
ミラーモジュール10の他の利点は、低温接着材料40を利用することにより、ミラーモジュール10を中程度の温度に加熱して電気鋳造ミラー30から基板20を剥離させ、ミラーモジュール10を即座に分解することができる点にある。例えば、電気鋳造ミラー30またはその反射コーティングが寿命に達した時点で、このような分解を実行し、新しい電気鋳造ミラーを基板20に接着して、ミラーモジュールを修復してもよい。
【0047】
当業者には明白であるが、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、本開示に対して様々な修正及び変更を加えることができる。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲およびその均等範囲内において本発明の修正および変更を包含する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にミラーに関し、特に、電気鋳造シェル、担持基板、熱伝導接着材料から形成され、EUVリソグラフィシステムで使用される極端紫外光(EUV)ミラーモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、EUVリソグラフィは、線幅50nm未満の半導体回路を加工するための次世代リソグラフィプロセスとして推進されている。EUV電磁放射線は、典型的には10nmから15nmの範囲(例えば、13.5nm)の波長を有する。プリンティングは、EUVリソグラフィにより回折による収差のない極めて良好な特性を有することができる。しかし、EUVリソグラフィでは、原子レベルで高精度な形状と、極めて低い表面粗さとを両立する複数の高精度ミラーのセットが必要となる。
【0003】
このような厳密な光学要件に加え、高精度ミラーは、高真空環境での動作にも適応しなければならない。高精度ミラーがEUV集光器システムのEUV集光器として使用される場合、高熱流束が存在する激しいプラズマ環境に対して耐性を示す必要がある。結果として、EUVミラーは(超)高真空互換材料および技術を使用して加工しなければならず、特定の応用事例に対して熱管理能力を示さなければならない。
【0004】
高精度EUVミラーを形成する一般的方法の一つは、比較的厚みのある基板をマシーニング加工し、研磨することである。例えば、ケイ素、ZERODUR、炭化ケイ等、典型的な被研磨材料からなる基板は、約5cmから10cmの厚みを有する。高精度ミラーを形成する他の方法は、例えば、電気鋳造により薄厚シェル型ミラーを形成することである。電気鋳造後、ミラーシェルは約1mmから2mmの厚みを有する。これら2種類のミラーは、機械的特性(最も顕著なものは構造的剛性)が異なるだけでなく、例えば、熱量、熱伝導率、熱膨張係数等の熱特性が著しく異なる。
【0005】
比較的厚い基板を利用して高精度ミラーを形成する利点は、典型的には蜘蛛の巣状の機械的支持構造を必要とする電気鋳造ミラーシェルに比べて、熱特性および機械特性が一般に望ましいものであるという点にある。一方、高精度な電気鋳造ミラーを形成する利点は、マンドレルを利用して表面形状を容易に再現できる点と、厳密な光学性能要件を満たすように表面を高精度に形成することができる点とにある。
【0006】
したがって、EUVリソグラフィシステム等、従来の比較的厚いミラーを採用するように設計された光学システムにおいて、比較的薄い電気鋳造ミラーが使用可能となるようなEUVミラーシステム及び方法が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願第US2004/0265712A1
【特許文献2】米国特許出願第US2005/0016679A1
【特許文献3】米国特許出願第US2005/0155624A1
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のさらなる特徴および利点は、下記の詳細な説明(発明を実施するための形態)に明記されている。また、それらの一部は詳細な説明の記載内容から当業者にとって直ちに明白となるか、下記の詳細な説明、特許請求の範囲、添付図面を含む、ここに記載された発明を実施することによって認識される。
【0009】
本発明の一態様は、EUVミラーモジュールである。このEUVミラーモジュールは、曲線状の上面を含む本体を有する基板と、曲線状の前面および後面を有する電気鋳造ミラーとを備える。また、基板の上面と電気鋳造ミラーの後面との間に自己調整接着材料が配置されている。自己調整接着材料は、溶融温度で流動可能であり、溶融温度未満の温度で基板と電気鋳造ミラーとを接着する役割を果たす。
このEUVミラーモジュールにおいて、基板および電気鋳造ミラーは同一材料からなることが好ましい。
このEUVミラーモジュールにおいて、基板は、ニッケル、ニッケル合金、銅、銅合金、ケイ素、炭化ケイ素およびZERODURより成る群から選択される基板材料からなることが好ましい。電気鋳造ミラーは、ニッケル、ニッケル合金、銅、銅合金より成る群から選択されるミラー材料からなることが好ましい。
このEUVミラーモジュールにおいて、接着材料は、インジウム、ガリウム、スズおよび鉛の少なくとも1つからなることが好ましい。
このEUVミラーモジュールにおいて、接着材料の溶融温度は140℃から250℃の範囲内であることが好ましい。
このEUVミラーモジュールにおいて、接着材料は10ミクロンから1000ミクロンの厚みを有することが好ましい。
このEUVミラーモジュールにおいて、基板の曲線状の上面は、マシーニング加工された面であることが好ましい。
このEUVミラーモジュールにおいて、基板は5cmから10cmの厚みを有することが好ましい。
このEUVミラーモジュールにおいて、電気鋳造ミラーは1mmから2mmの範囲の厚みを有することが好ましい。
このEUVミラーモジュールにおいて、基板は少なくとも1つの冷却チャネルを有することが好ましい。
このEUVミラーモジュールにおいて、基板は、放射状に配置される複数の冷却チャネルを備えることが好ましい。
このEUVミラーモジュールにおいて、少なくとも一つの冷却チャネルは、基板の上面から距離D1の間隔を空けて配置されることが好ましい。また、距離D1は、5から20mmの範囲内であることが好ましい。
【0010】
本発明の他の態様は、反射レチクルに光を照射するためのEUVリソグラフィシステムである。このシステムは、EUVの光源と、本発明に係るEUVミラーモジュールを有するEUV集光器システムを備える。EUV集光器システムは、EUVを受光し、集束EUVを形成するように構成されている。また、このシステムは、照明器を備える。照明器は、集束EUVを受光し、反射レチクルを照明するための凝縮EUVを形成するように構成されている。
このEUVリソグラフィシステムは、感光性半導体ウエハ上にパターン像を形成するためのものであることが好ましい。このEUVリソグラフィシステムは、投影光学システムをさらに備えることが好ましい。投影光学システムは、反射レチクルの下流に配置され、反射レチクルから反射されたEUVを受光し、そこから感光性半導体ウエハ上にパターン像を形成するように構成されている。
【0011】
本発明のさらに他の態様は、EUVミラーモジュールを形成する方法である。この方法は、曲線状の上面を含む本体を有する基板を用意することと、曲線状の前面および後面を有する電気鋳造ミラーを用意することとを備える。また、この方法は、基板の上面と電気鋳造ミラーの後面との間に自己調整接着材料を配置することを備える。この接着材料は溶融温度を有する。また、この方法は、接着材料を溶融温度まで加熱して、基板の上面と電気鋳造ミラーの後面との間に接着材料を流動させることを備える。さらに、この方法は、接着材料を溶融温度未満の温度に冷却し、基板と電気鋳造ミラーとの間に熱伝導接着部を形成することを備える。
この方法において、接着材料は、インジウム、ガリウム、スズおよび鉛の少なくとも1つからなることが好ましい。
この方法において、溶融温度は140℃から250℃の範囲内であることが好ましい。
この方法は、基板の本体において少なくとも1つの冷却チャネルを形成し、少なくとも一つの冷却チャネルに冷却液を流すことをさらに備えることが好ましい。
この方法は、基板の本体において複数の放射状の冷却ラインを形成することをさらに備えることが好ましい。
この方法は、電気鋳造ミラーおよび基板を同一材料で形成することをさらに備えることが好ましい。
【0012】
上記の背景技術に関する記載と下記の本開示の詳細な説明に関する記載は、本開示の実施形態を提供するものであり、特許請求の範囲に記載されているように、本開示の本質および特徴を理解するための概略または枠組みを提供するものであることを理解すべきである。添付図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。図面は、本開示の様々な実施形態を図示するものであり、本明細書の記載とともに、本開示の原則および実施を説明する一助となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るEUVミラーモジュールの一例の概略分解断面図である。
【図2】図1のEUVミラーモジュールの組み付け状態を示す図である。
【図3A】EUVミラーモジュールの概略側面図であり、領域Rで電気鋳造ミラーと基板との間に配置された溶融および流動前の接着材料を示す図である。
【図3B】図3Aと同一の図であるが、接着材料への熱の印加を示す図である。
【図3C】図1と同様の図であり、領域Rの形に沿って流動され充填された接着層を示す図である。
【図4】図2と同様の図であり、基板が少なくとも1つの冷却チャネルを有する実施形態の一例を示す図である。
【図5】外側冷却チャネルに流体接続される複数の放射状冷却チャネルを有する基板の一例の斜視図である。
【図6】入出力冷却液源にそれぞれ接続された入出力冷却ラインを有するEUVミラーモジュールの一例の断面図である。
【図7】EUVミラーモジュールの概略上面図であり、外側流路(FPO)と交差する複数の放射状流路(FPR)を有する冷却液流路を示す図である。
【図8】同心円状に配置される複数の冷却チャネルを有するEUVミラーモジュールの一例の上面図である。
【図9】本発明のEUVミラーモジュールを採用するEUVリソグラフィシステムの一例の概略図である。
【0014】
図中の様々な構成要素は単に図示されたに過ぎず、必ずしも実際の縮尺通りに図示されている訳ではない。これらの構成要素のうち、ある部分は誇張して図示され、ある部分は最小化して図示されている場合もある。本図面は、当業者によって理解され、適切に実行され得る本開示の実施形態の一例を図示することを意図するものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明に係るEUVミラーモジュール(ミラーモジュール)10の一例の分解断面図である。図2は、組み付け状態のミラーモジュール10の断面図である。
【0016】
ミラーモジュール10は、中心軸A1を有し、曲線状上面22および外縁26を含む基板本体21を有する比較的厚い担持基板(基板)20を備える。また、ミラーモジュール10は、前面32、後面34および外縁36を有する比較的薄い電気鋳造ミラー30を備える。また、ミラーモジュール10は、自己調整接着材料40を有する。自己調整接着材料40は、基板20の上面22と電気鋳造ミラー30の後面34との間に配置され、基板20を電気鋳造ミラー30に接着する。
【0017】
実施形態の一例において、接着材料40は、基板20の上面22と電気鋳造ミラー30の後面34との間で熱伝導を生じる良好な熱伝導率を有する。接着材料40が配置される領域Rは、基板20の上面22と電気鋳造ミラー30の後面34との間に図示されている。実際には、領域Rは比較的小さな領域であり、図3Aから3Cに関連して以下述べるように、ミラーモジュール10の組み付け時、接着材料40は最終的に形状に沿って領域Rを充填するように自己調整する。
【0018】
実施形態の一例において、ミラーモジュール10は、従来のミラー加工方法を使用して加工された単一の厚いモノリシックミラーと略同一の機械寸法を有すると共に、そのモノリシックミラーに匹敵する物理特性および光学機能を有する。基板20の厚みは、例えば、5cmから10cmの間である。電気鋳造ミラー30の厚みは、例えば、1mmから2mmである。接着材料40の厚みは、例えば、10ミクロンから1000ミクロンである。
【0019】
後述の通り、基板20と電気鋳造ミラー30の間において、接着材料40が、初期変形しやすいインターフェイス層として機能する。このため、基板20の上面22は、電気鋳造ミラー30のように正確な表面形状を有する必要はない。一例において、基板20の上面22は、例えば、10ミクロン程度の中程度の表面精度を有する。こうした表面精度であれば、従来のマシーニング方法を使用して手頃な費用で実現することができる。ミラーモジュール10の一例に関する実験では、電気鋳造ミラー30の前面32の形状精度が、マシーニング加工後に基板20の上面22が有する表面精度に比べて、約1ミクロンの二乗平均平方根(RMS)まで極めて良好に維持可能であることが示されている。したがって、一例においては、電気鋳造ミラー30の前面32および後面34は、基板20の上面22に略(実質的)に一致するだけの曲率(表面形状)を有する。
【0020】
実施形態の一例において、基板20および電気鋳造ミラー30は、同一材料からなる。このため、ミラーモジュール10の少なくともこれら2つの構成要素は、実質的に均一な熱膨張係数(CTE)を有する。基板20の材料としては、例えば、ニッケル、ニッケル合金、銅、銅合金、ケイ素、炭化ケイ素およびZERODURが挙げられる。電気鋳造ミラー30の材料としては、例えば、ニッケル、ニッケル合金、銅および銅合金が挙げられる。
【0021】
接着材料40の一例としては、低温接着はんだであり、例えば、インジウム(例えば、90%のInと10%のAgで構成されるインダロイ3)が挙げられる。一例において、接着材料40は、例えば200ミクロン厚の金属ホイル(例えば、インジウムやインジウムベースのホイル)の形状をとる。接着材料40は、例えば140℃から250℃の範囲内の比較的低い溶融温度T40を有することが好ましい。インジウムベースのはんだは、典型的には約150℃の溶融温度T40を有する。溶融温度T40が比較的低いと、室温で基板20と電気鋳造ミラー30との間の領域Rに接着材料40を固体形状で配置可能となる。この配置の一例を図3Aの概略断面図に示す。なお、図3Aの一例に示す時点では、接着材料40が領域Rの全体を占めていない。このような状況があり得るのは、例えば、接着材料40が金属ホイル形状の場合である。接着材料40の他の例として、ガリウム、スズおよび鉛が挙げられる。
【0022】
インジウム等の金属導電材料の形態の接着材料40には、超高真空または激しいプラズマ環境での動作にも適応するという利点がある。有機エポキシとは異なり、インジウムはプラズマに曝露しても劣化やガス抜けが生じない。
【0023】
接着材料40が一旦このように配置されると、次に図3Bに示すように、接着材料40が(例えば、真空オーブン内で)熱Hにより溶融温度T40まで加熱される。図3Cに示されるように、接着材料40は自己調整、即ち、基板20と電気鋳造ミラー30の間の領域Rを流動し、領域Rを形状に沿って充填する。そして、ミラーモジュール10は、溶融温度T40未満に冷却される。すると、接着材料40は、固体形態に戻り、基板20を電気鋳造ミラー30に接着する機能を果たす。このようにして、最終的なミラーモジュール10が形成される。
【0024】
なお、接着材料40は、溶融時、基板20の上面22における任意の表面凹凸に流動し、これを充填することができ、一般に基板20の上面22の曲率と電気鋳造ミラー30の後面34の曲率との違いを埋め合わせることができる。接着材料40が良好な熱伝導率を有する実施形態においては、接着材料40が基板20と電気鋳造ミラー30とを効率的に熱接触させる機能も果たす。
【0025】
流動する接着材料40には剛性がないので、このような自己調整工程において、ミラーモジュール10に対して厳密な機械的制約を課す必要はない。したがって、電気鋳造ミラー30は、毛細管力および熱膨張に対する幾分予測可能でシステマチックな長期調整を行うことにより、ミラー30固有の自立形状に適応する傾向がある。流動する接着材料40は、基板20の上面22と電気鋳造ミラー30の後面34との間の領域Rでの短期変動に対して自己調整を行なう。
【0026】
一例において、例えば、接着層または湿潤層を基板20の上面22および電気鋳造ミラー30の後面34の一方または両方に堆積させることにより、上面22および後面34の一方または両方は接着プロセスを促進するように処理される。
【0027】
(冷却ミラーモジュール)
例えば、EUVリソグラフィシステム、レーザ核融合システム、シンクロトロンミラーに関連する環境等、多くの光学システム環境が存在するが、このような環境では、ミラーモジュール10の温度が接着材料40の溶融温度T40を超えて上昇したり、ミラー表面が加熱によって変形したりするおそれがある。ここで図4を参照すると、図1と同様であるが、基板20に形成された少なくとも1つの冷却チャネル100を備えるミラーモジュール10の一例が示されている。複数の冷却チャネル100が使用される場合、または、同一冷却チャネル100の複数個所が隣接する場合、複数の冷却チャネル(または冷却チャネル部)100を十分離間して配置して、冷却チャネル100に有害な「プリントスルー」を低減するか、取り除くことが好ましい。プリントスルーとは、動作中の不均一な表面温度により、ミラー表面が下層の冷却チャネル100に対応する位置においてわずかに変形する現象である。表面変形は熱負荷時にのみ生じるので、一般にミラー表面の外観検査では発見されない。しかし、表面変形は、ミラーに入射する光路の光が熱負荷時のミラー性能を深刻に低下させるまで逸れてしまう程、十分大きくなり得る。
【0028】
図5は、基板20の一例の斜視図であり、基板本体21に形成される放射配向された複数の冷却チャネル100を示す。冷却液110(例えば、水)は、基板本体21の中心から径方向外側に向かって放射状の冷却チャネル100を流れ、基板20上に連続する冷却路を形成する放射状の冷却チャネル100の外側開口端102に流体接続される外側冷却チャネル100を周流する。このような特別の冷却チャネル構成は、冷却液密度を最大にし、ミラーモジュール10の中心付近でプリントスルーを最小にする利点を有する。したがって、この設計は、ミラーモジュール10の中心で熱負荷が最大となる場合に適している。
【0029】
接着材料40の比較的薄い層により、基板20および電気鋳造ミラー30は軸方向に十分熱接触し、プリントスルーを回避しつつ、基板20の上面22の比較的近傍に冷却チャネル100を配置することができる。一例において、冷却チャネル100は、基板20の上面20から距離D1だけ離れた位置に配置されている。なお、距離D1は、5から20mmの範囲にある。さらに、基板20は効率的な側方への熱拡散を提供する。そして、この熱拡散がプリントスルーの痕跡をふき取ることによりプリントスルー効果を低減する機能を果たす。要するに、電気鋳造ミラー30から冷却チャネル100までの短距離で効率的な複数の熱拡散経路を形成するように、冷却チャネル100を構成することができる。
【0030】
図6は、ミラーモジュール10の一例の側面図であり、基板20が図4に示す冷却チャネル構成を有する際に基板20上に配置される冷却液110の流路を示す。図7は、ミラーモジュール10の上面図であり、基板20上に配置された放射状且つ円形の冷却液流路FPR及びFPOを概略的に示す。
【0031】
図6のミラーモジュール10は、流入出冷却液ユニット120A及び120Bを有する。流入出冷却液ユニット120A及び120Bは、それぞれ冷却ライン130A及び130Bを介して冷却チャネル100に接続されており、それぞれ冷却液110を供給したり回収したりする。
【0032】
図8は、ミラーモジュール10の一例の上面図である。ミラーモジュール10は、流入出冷却液ユニット120A及び120Bにそれぞれ接続される複数の同心円状の冷却チャネル100を備える。ここで、流入出冷却液ユニット120A及び120Bは、それぞれ、各冷却チャネル100からの冷却液110を供給したり回収したりする冷却液マニホールドとして機能する。冷却チャネル100は等間隔に離間配置する必要はない。実施形態の一例では、ミラーモジュール10上の熱負荷分布に応じて、(中心軸A1により画定される)ミラーモジュール10の中心に近い位置、または(基板20の外縁26により画定される)縁に近い位置に密集して配置される。
【0033】
例えば、平行で実質的に均一でありミラーモジュール10が実質的に均一な熱負荷に曝される程の高強度の光線を反射するために、ミラーモジュール10を使用する応用事例を考えてみる。かかる場合、複数の冷却チャネル100は、電気鋳造ミラー30の前面32の(全体ではないにしろ)ほとんどの領域を均一に冷却するように構成されることが好ましい。一方、実質的に不均一でありミラーモジュール10が実質的に不均一な熱負荷に曝される程の高強度の光線を反射するために、ミラーモジュール10を使用する応用事例を考えてみる。かかる場合、複数の冷却チャネル100は、予想される不均一な熱負荷に対応する方法で、電気鋳造ミラー30の前面32の(全体ではないにしろ)ほとんどの領域を不均一に冷却するように構成されることが好ましい。
【0034】
(EUVリソグラフィシステム)
図9は、本発明に係るEUVリソグラフィシステム(リソグラフィシステム)200の一例を示す。リソグラフィシステムの一例は、例えば、米国特許出願第US2004/0265712A1、US2005/0016679A1、US2005/0155624A1に開示されている。なお、当該出願をここで援用する。
【0035】
リソグラフィシステム200は、システム軸ASおよびEUV光源LSを備える。EUV光源LSは、例えば、ホットプラズマ源であり、λ=13.5nmの作用EUV202を照射する。EUV202は、例えば、電気放電源(例えば、放電生成プラズマまたはDPP源)またはレーザ光源(レーザ生成プラズマまたはLPP源)により、リチウム、キセノン、スズの何れかの目標物上に生成される。このようなLPP源から照射されるEUV202は、略等方であってもよい。現在のDPP源では、EUV202は、放電電極によりシステム軸ASから約60度以上の光源照射角に限定されている。なお、目標ペレットを使用するLPP源の等方性は、目標ペレットの質量に依存する。目標物の質量が比較的大きい場合、照射は異方性を帯び、目標物の質量による順方向における吸収のために、照射光のほとんどがレーザ光源に戻る。LPP目標物の質量が小さい場合、そのLPP目標物は、レーザにより略全体にイオン化される。つまり、このときの照射は等方性にかなり近い。
【0036】
リソグラフィシステム200は、上述のようなEUV集光器システム210として機能するミラーモジュール10を有する。EUV集光器システム210は、コレクタ軸ACがシステム軸ASに沿うように、EUV光源LSの下流側近傍に配置されている。EUV集光器システム210は、光源焦点SFに位置するEUV光源LSからの作用EUV202を集光し、中間焦点IFに中間光源像SIを形成する。
【0037】
照明システム216は、入射端217および出射端218を有しており、システム軸ASに沿って配置され、また、入射端217がEUV集光器システム210に隣接するようにEUV集光器システム210の下流側近傍に配置されている。照明システム216は、入射端217において中間光源像SIからのEUV202を受光し、出射端218において実質的に均一なEUV光線220(即ち、凝縮EUV)を出射する。リソグラフィシステム200が走査型システムである場合、EUV光線220は、典型的には反射レチクル236を走査する実質的に均一なラインのEUV202として、反射レチクル236上に形成される。
【0038】
投影光学システム226は、(屈折した)システム軸ASに沿って、照明システム216の下流に配置されている。投影光学システム226は、照明システム216の出射端218に対向する入射端227と、その反対側の出射端228とを有する。反射レチクル236は、投影光学システム226の入射端227に隣接して配置される。半導体ウエハ240は、投影光学システム226の出射端228に隣接して配置されている。反射レチクル236は、半導体ウエハ240に転写されるパターン(図示せず)を有する。そして、半導体ウエハ240は、感光性コーティング(例えば、フォトレジスト層)242を有する。
【0039】
動作時、均一化されたEUV光線220は、反射レチクル236に照射され、反射レチクル236により反射される。そして、投影光学システム226により、半導体ウエハ240の感光性コーティング242の表面上にパターンが結像される。リソグラフィシステム200では、レチクル像が感光性コーティング242の表面を走査し、その結果、露光フィールド上にパターンが形成される。典型的には、反射レチクル236と半導体ウエハ240とを同期させて移動させることにより走査が実行される
【0040】
反射レチクル236のパターンが半導体ウエハ240上に結像されて記録されると、パターン化された半導体ウエハ240は、標準的なフォトリソグラフィ及び半導体プロセス技術を利用して処理される。その結果、集積回路(IC)チップが形成される。
【0041】
なお、一般的にリソグラフィシステム200の構成要素は、図9に示される共通の屈折したシステム軸ASに沿って配置される。当業者であれば、例えば、照明システム216や投影光学システム226の様々な構成要素の入口軸及び出口軸がオフセットされる場合もあり得ることは、理解される。
【0042】
(EUVミラーモジュールの利点)
高性能光学システム内において従来のミラーを電気鋳造ミラーに交換する場合、これまでシステムレベルをかなり変更する必要があった。最低でもミラーの機械実装構造を変更する必要があった。能動的な熱管理システムも使用されている場合、熱量、および、後面の赤外線反射係数がかなり異なることを念頭において、管理システムを修正する必要があった。結果として、実装段、加熱器アセンブリ、制御電子回路等、他のシステム構成についても、実質的に修正または変更が必要となる可能性が高かった。
【0043】
ミラーモジュール10により、光学システム内で従来のミラーを電気鋳造ミラーに交換することが非常に単純になる。ミラーモジュール10は、特定の従来のミラーに極めて近い寸法、熱量、後面反射係数、その他の特徴を有するように形成することができる。例えば、レーザ生成プラズマ(LPP)光源用のミラー集光器である場合、ミラーモジュール10の96%から99%の容量を、これに対応する従来のミラーの容量に極めて近い(または同一の)容量にすることができる。さらに、ミラーモジュール10は、これに対応する従来のミラーに十分近い熱特性を有することができる。このため、光学システム内においてこれら二つのミラーの熱特性が実質的に同一となる。したがって、光学システムレベルの観点からすると、本発明のミラーモジュール10は、光学システム及びその構成要素の調整および修正を最小限に抑えて、ほとんど異なることなく、光学システムで使用することができる。
【0044】
また、従来のミラーでは、正確なマシーニング加工および超研磨加工が費用の主たる要因であったため、従来のミラーを現在必要とする多くの光学システムの応用事例にミラーモジュールを使用すれば、その費用対効果が高くなる。
【0045】
したがって、本来、従来のミラーを使用するように設計された光学システムの予備構成として、費用対効果の高い電気鋳造ミラーを用いたモジュールを使用することができる。
【0046】
ミラーモジュール10の他の利点は、低温接着材料40を利用することにより、ミラーモジュール10を中程度の温度に加熱して電気鋳造ミラー30から基板20を剥離させ、ミラーモジュール10を即座に分解することができる点にある。例えば、電気鋳造ミラー30またはその反射コーティングが寿命に達した時点で、このような分解を実行し、新しい電気鋳造ミラーを基板20に接着して、ミラーモジュールを修復してもよい。
【0047】
当業者には明白であるが、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、本開示に対して様々な修正及び変更を加えることができる。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲およびその均等範囲内において本発明の修正および変更を包含する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲線状の上面を含む本体を有する基板と、
曲線状の前面および後面を有する電気鋳造ミラーと、
前記基板の前記上面と前記電気鋳造ミラーの前記後面との間に配置される自己調整接着材料と
を備え、
前記自己調整接着材料は、溶融温度で流動可能であり、前記溶融温度未満の温度で前記基板を前記電気鋳造ミラーに接着する役割を果たす
極端紫外光(EUV)ミラーモジュール。
【請求項2】
前記基板および前記電気鋳造ミラーは、同一材料から形成される
請求項1に記載のEUVミラーモジュール。
【請求項3】
前記基板は、ニッケル、ニッケル合金、銅、銅合金、ケイ素、炭化ケイ素およびZERODURより成る群から選択される基板材料からなり、
前記電気鋳造ミラーは、ニッケル、ニッケル合金、銅および銅合金より成る群から選択されるミラー材料からなる
請求項2に記載のEUVミラーモジュール。
【請求項4】
前記接着材料は、インジウム、ガリウム、スズおよび鉛の少なくとも1つからなる
請求項1から3のいずれかに記載のEUVミラーモジュール。
【請求項5】
前記接着材料の前記溶融温度は、140℃から250℃の範囲内である
請求項1から4のいずれかに記載のEUVミラーモジュール。
【請求項6】
前記接着材料は、10ミクロンから1000ミクロンの厚みを有する
請求項1から5のいずれかに記載のEUVミラーモジュール。
【請求項7】
前記基板の前記曲線状の上面は、マシーニング加工された面である
請求項1から6のいずれかに記載のEUVミラーモジュール。
【請求項8】
前記基板は、5cmから10cmの厚みを有する
請求項1から7のいずれかに記載のEUVミラーモジュール。
【請求項9】
前記電気鋳造ミラーは、1mmから2mmの厚みを有する
請求項8に記載のEUVミラーモジュール。
【請求項10】
前記基板は、少なくとも1つの冷却チャネルを有する
請求項1から9のいずれかに記載のEUVミラーモジュール。
【請求項11】
前記基板は、放射状に配置される複数の冷却チャネルを備える
請求項10に記載のEUVミラーモジュール。
【請求項12】
前記少なくとも1つの冷却チャネルは、前記基板の前記上面から距離D1の間隔を空けて配置され、
距離D1は、5から20mmの範囲に含まれる
請求項10または11に記載のEUVミラーモジュール。
【請求項13】
反射レチクルに光を照射するための極端紫外光(EUV)リソグラフィシステムであって、
EUVの光源と、
請求項1から12のいずれかに記載の前記EUVミラーモジュールを有し、前記EUVを受光して集束EUVを形成するように構成されるEUV集光器システムと、
前記集束EUVを受光し、前記反射レチクルに照射するための凝縮EUVを形成するように構成される照明器と
を備える、EUVリソグラフィシステム。
【請求項14】
感光性半導体ウエハ上にパターン像を形成するためのEUVリソグラフィシステムであって、
前記反射レチクルの下流に配置され、前記反射レチクルから反射されたEUVを受光し、そこから前記感光性半導体ウエハ上に前記パターン像を形成するように構成される投影光学システムをさらに備える
請求項13に記載のEUVリソグラフィシステム。
【請求項15】
極端紫外光(EUV)ミラーモジュールを形成する方法であって、
曲線状の上面を含む本体を有する基板を用意することと、
曲線状の前面および後面を有する電気鋳造ミラーを用意することと、
前記基板の前記上面と前記電気鋳造ミラーの前記後面との間に、溶融温度を有する自己調整接着材料を配置させることと、
前記接着材料を前記溶融温度まで加熱して、前記基板の前記上面と前記電気鋳造ミラーの前記後面との間に前記接着材料を流動させることと、
前記接着材料を前記溶融温度未満の温度に冷却し、前記基板と前記電気鋳造ミラーとの間に熱伝導接着部を形成することと
を備える方法。
【請求項16】
前記接着材料は、インジウム、ガリウム、スズおよび鉛の少なくとも1つからなる
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記溶融温度は、140℃から250℃の範囲内である
請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記基板の前記本体において少なくとも1つの冷却チャネルを形成し、前記少なくとも1つの冷却チャネルに冷却液を流すことをさらに備える
請求項15から17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記基板の前記本体において複数の放射状の冷却ラインを形成することをさらに備える
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記電気鋳造ミラーおよび前記基板を同一材料で形成することをさらに備える
請求項15から19のいずれかに記載の方法。
【請求項1】
曲線状の上面を含む本体を有する基板と、
曲線状の前面および後面を有する電気鋳造ミラーと、
前記基板の前記上面と前記電気鋳造ミラーの前記後面との間に配置される自己調整接着材料と
を備え、
前記自己調整接着材料は、溶融温度で流動可能であり、前記溶融温度未満の温度で前記基板を前記電気鋳造ミラーに接着する役割を果たす
極端紫外光(EUV)ミラーモジュール。
【請求項2】
前記基板および前記電気鋳造ミラーは、同一材料から形成される
請求項1に記載のEUVミラーモジュール。
【請求項3】
前記基板は、ニッケル、ニッケル合金、銅、銅合金、ケイ素、炭化ケイ素およびZERODURより成る群から選択される基板材料からなり、
前記電気鋳造ミラーは、ニッケル、ニッケル合金、銅および銅合金より成る群から選択されるミラー材料からなる
請求項2に記載のEUVミラーモジュール。
【請求項4】
前記接着材料は、インジウム、ガリウム、スズおよび鉛の少なくとも1つからなる
請求項1から3のいずれかに記載のEUVミラーモジュール。
【請求項5】
前記接着材料の前記溶融温度は、140℃から250℃の範囲内である
請求項1から4のいずれかに記載のEUVミラーモジュール。
【請求項6】
前記接着材料は、10ミクロンから1000ミクロンの厚みを有する
請求項1から5のいずれかに記載のEUVミラーモジュール。
【請求項7】
前記基板の前記曲線状の上面は、マシーニング加工された面である
請求項1から6のいずれかに記載のEUVミラーモジュール。
【請求項8】
前記基板は、5cmから10cmの厚みを有する
請求項1から7のいずれかに記載のEUVミラーモジュール。
【請求項9】
前記電気鋳造ミラーは、1mmから2mmの厚みを有する
請求項8に記載のEUVミラーモジュール。
【請求項10】
前記基板は、少なくとも1つの冷却チャネルを有する
請求項1から9のいずれかに記載のEUVミラーモジュール。
【請求項11】
前記基板は、放射状に配置される複数の冷却チャネルを備える
請求項10に記載のEUVミラーモジュール。
【請求項12】
前記少なくとも1つの冷却チャネルは、前記基板の前記上面から距離D1の間隔を空けて配置され、
距離D1は、5から20mmの範囲に含まれる
請求項10または11に記載のEUVミラーモジュール。
【請求項13】
反射レチクルに光を照射するための極端紫外光(EUV)リソグラフィシステムであって、
EUVの光源と、
請求項1から12のいずれかに記載の前記EUVミラーモジュールを有し、前記EUVを受光して集束EUVを形成するように構成されるEUV集光器システムと、
前記集束EUVを受光し、前記反射レチクルに照射するための凝縮EUVを形成するように構成される照明器と
を備える、EUVリソグラフィシステム。
【請求項14】
感光性半導体ウエハ上にパターン像を形成するためのEUVリソグラフィシステムであって、
前記反射レチクルの下流に配置され、前記反射レチクルから反射されたEUVを受光し、そこから前記感光性半導体ウエハ上に前記パターン像を形成するように構成される投影光学システムをさらに備える
請求項13に記載のEUVリソグラフィシステム。
【請求項15】
極端紫外光(EUV)ミラーモジュールを形成する方法であって、
曲線状の上面を含む本体を有する基板を用意することと、
曲線状の前面および後面を有する電気鋳造ミラーを用意することと、
前記基板の前記上面と前記電気鋳造ミラーの前記後面との間に、溶融温度を有する自己調整接着材料を配置させることと、
前記接着材料を前記溶融温度まで加熱して、前記基板の前記上面と前記電気鋳造ミラーの前記後面との間に前記接着材料を流動させることと、
前記接着材料を前記溶融温度未満の温度に冷却し、前記基板と前記電気鋳造ミラーとの間に熱伝導接着部を形成することと
を備える方法。
【請求項16】
前記接着材料は、インジウム、ガリウム、スズおよび鉛の少なくとも1つからなる
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記溶融温度は、140℃から250℃の範囲内である
請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記基板の前記本体において少なくとも1つの冷却チャネルを形成し、前記少なくとも1つの冷却チャネルに冷却液を流すことをさらに備える
請求項15から17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記基板の前記本体において複数の放射状の冷却ラインを形成することをさらに備える
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記電気鋳造ミラーおよび前記基板を同一材料で形成することをさらに備える
請求項15から19のいずれかに記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2011−238904(P2011−238904A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−82356(P2011−82356)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【出願人】(509105237)メディア ラリオ ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ (18)
【氏名又は名称原語表記】MEDIA LARIO S.R.L.
【住所又は居所原語表記】Localita Pascolo,I−23842 Bosisio Parini,Lecco,Repubblica Italiana
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82356(P2011−82356)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【出願人】(509105237)メディア ラリオ ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ (18)
【氏名又は名称原語表記】MEDIA LARIO S.R.L.
【住所又は居所原語表記】Localita Pascolo,I−23842 Bosisio Parini,Lecco,Repubblica Italiana
【Fターム(参考)】
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