説明

F系プロスタグランジン類を調製する方法

【課題】高純度のF系プロスタグランジン化合物を調製する合成中間体を提供する。
【解決手段】下記式(1)に従った固体化合物である。


ここで、TBDMSはtert-ブチルジメチルシリル基を表し、R1はベンジル基などを表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、F系プロスタグランジン化合物と、それらを調製するのに用いられる合成中間体とを合成及び精製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロスタグランジン類は、ほぼ全ての組織及び腺に存在しており、生理学上のプロセスの多様な群の極めて強力な媒介物質である(Funk, C. D. Science, 2001, 294, 1871 -1875)。プロスタグランジン類は、例えば、平滑筋の収縮と弛緩(Andersson, K. E., Forman, A. Acta Pharmacol. Toxicol., 1978, 43 (Suppl. 2), 90-95)、血管の膨張と収縮(Abramovich, D. R., Page, K. R., Parkin, A. M. L. Br. J. Pharmac, 1984, 81, 19-21)、血圧の制御(Anderson, R. J., Berl, T., McDonald, K. M., Schrier, R. W. Kidney International, 1976, 10, 205-215)、炎症及び免疫の調整(Hata, A. N., Breyer, R. M. Pharmacol. Ther., 2004, 703(2), 147-166)などの広範な身体機能に関与できる。一般的に、 プロスタグランジン類及びそれらの化合物は、それらを合成する細胞から運ばれて、それらの生成部位に近いその他の標的細胞に影響を与える。これは、主として、標的細胞のプロスタグランジンレセプターと相互作用して、標的細胞の幾つかの機能を刺激又は抑制することでなされる。それらはまた、それらが合成される細胞の活性を変える。これらの効果の性質は、細胞の種類によって、そして、標的細胞の種類によって変化し得る。
【0003】
プロスタグランジンF2α((Z)-7-((1R,2R,3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-2-((S,E)-3-ジヒドロキシオクト-1-エニル)シクロペンチル)へプト-5-エン酸)は、以下の構造を有する。
【化1】

【0004】
多くのプロスタグランジン類は、シクロペンチル環上の置換基で特徴付けられる。プロスタグランジンF2αとそのプロスタグランジン類似体は、一般的に、互いに対してシス配置である、シクロペンチル環上の2つの水酸基と、互いに対してトランス配置である、シクロペンチル環上の2つの炭化水素側鎖(α及びω側鎖)とを持っている。プロスタグランジンF2α類似体は、炭化水素側鎖に様々な数の炭素−炭素二重結合を有することができ、側鎖の置換基は、様々であり得る。更に、PGF2α類似体では、α側鎖は、カルボン酸部分(遊離酸形態)、カルボン酸エステル部分、又はカルボキサミド部分で終端してよい。PGF2α類似体のエステル形態及びアミド形態は、プロスタグランジンFレセプター(FPレセプター)−媒介条件又は媒介プロセスにおける処理において、プロドラッグとして使用されてよい。
【0005】
プロスタグランジンF2α(PGF2α)は、プロスタグランジンFレセプター(FPレセプター)の内因性リガンドであり、ナノモル濃度範囲のEC50でレセプター媒介生理活性を発揮する。FPレセプターは、多数の種に広範に分布している(Speroff, L, Ramwell, P.W., Am. J. Obstet. Gynecol., 1970, 107, 1111-1 130; Samuelsson, B., Goldyne, M., Granstrom, E., et ai, Ann. Rev. Biochem., 1978, 47, 997-1029)。
【0006】
PGF2αの静脈内投与、眼房内(intracameral)投与及び局所的投与は、眼圧(IOP)、緑内障の一般的な症状の長時間の減少を引き起こすことが分かっている(Camras, C. B., Bito, L. Z., Eakins, K. E., Invest. Ophthamol. Vis. Sci., 1977, 76(12), 1125-1134; Giuffre, G., Graefe's Arch. Clin. Exp. Ophthalmol., 1985, 222, 139-141)。
【0007】
治療上で使用されるPGF2αの合成上及び相対代謝的に安定な類似体には、ラタノプロスト(latanoprost)、ビマトプロスト(bimatoprost)、フルプロステノール(fluprostenol)及びクロプロステノール(cloprostenol)が含まれる。PGF2α類似体ラタノプロスト遊離酸は、EC50値が3.6nMである強力なFPレセプターアゴニストである(Stjernschantz, J., Resul, B., Drugs of the Future, 1992, 17 691 -704)。ラタノプロストイソプロピルエステルは、一般的に、ラタノプロスト(lUPAC名:イソプロピル (Z)-7-[(1R,2R,3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-2-[(3R)3-ヒドロキシ-5-フェニルペンチル]-シクロペンチル]へプト-5-エン酸、慣用名:17-フェニル-13,14-ジヒドロトリノルプロスタグランジンF2αイソプロピルエステル、商品名:キサラタン(Xalatan)(登録商標))として知られており、ラタノプロスト遊離酸のプロドラッグであって、 開放角緑内障と高眼圧症に関連したIOPを低減する眼科用製剤である(Camras, C. B., Schumer, R. A., Marsk, A., et al., Arch. Ophthalmol., 1992, 110, 1733-1738; Camras, C. B., Aim, A., Watson, P., Stjernschantz, J., Ophthalmology, 1996, 103, 1916-1924)。さらに、局所的にラタノプロストを一回滴下すると、緑内障の被験者の視神経頭(optical nerve head)(ONH)における血流が少なくとも一時的に増加した(Tamaki, Y., Nagahara, N., Araie, M., et al., J. Ocular Pharm. Ther., 2001, 77(5), 403-411)。局所的なラタノプロストの投与はまた、発毛のようなプロセスを調整する(Johnstone, M., Am. J. Ophthalmol., 1997, 124, 544-547)。ラタノプロストの長期の局所的使用は、虹彩色素沈着とまつげの伸びとに結びついていた(Chiba, T., Kashiwagi, K., ishijima, K., et al., Jpn. J. Ophthalmol., 2004, 48, 141 -147)。
【化2】

【0008】
PGF2αについて、代謝的に安定なその他の合成類似体が発見されており、様々な疾患の治療薬として開発されてきた。ビマトプロスト(IUPAC名: (Z)-7-[(1R,2R,3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-2-[(E,3S)-3-ヒドロキシ-5-フェニルペント-1-エニル]シクロペンチル]-N-エチルへプト-5-エナミド、 慣用名:17-フェニルトリノルプロスタグランジンF2αエチルアミド、商品名:ルミガン(Lumigan)(登録商標)) は、その遊離酸のN-エチルアミドプロドラッグであって、強力なFPレセプターアゴニストである(Balapure, A. K., Rexroad, C. E., Kawada, K., et al., Biochem. Pharmacol., 1989, 38, 2375-2381 ; Lake, S., Gullberg, H., Wahlqvist, J., et al., FEBS Lett, 1994, 355, 317-325)。ビマトプロストは、緑内障に関連したIOPの治療に承認されており(Woodward, D. F., Krauss, A. H., Chen, J., et al., Survey of Ophthalmology, 2001, 45, S337-S345)、まつげの成長を促進することも報告されている(Tosti, A., Pazzaglia, M., Voudouris, S., Tosti, G., Journal of the American Academy of Dermatology, 2004, 51, S149-S150)。
【化3】

【0009】
遊離酸フルプロステノールは、もう一つの合成PGF2α類似体であって、強力なFPレセプターアゴニストである(Abramovitz, M., Adam, M., Boie, Y., et al., Biochim. Biophys. Acta, 2000, 1483, 285-293)。フルプロステノールイソプロピルエステル(商品名:トラボプロスト(Travoprost)(登録商標)) は、(+)-フルプロステノールのプロドラッグ形態であって、緑内障に関連したIOPの治療に承認されている(Sorbera, L. A., Castaher, J., Drugs of the Future, 2000, 25, 41-45)。ラタノプロストやビマトプロストなどのその他のFPレセプターアゴニストのプロドラッグと同じように、トラボプロストは、まつげの成長を促進することが知られている(Eisenberg, D., Toris, C, Camras, C, Survey of Ophthalmology, 2002, 47, S105-S115)。
【化4】

【0010】
クロプロステノール(遊離酸)はまた、FPレセプターアゴニスト活性を持っている。クロプロステノールとクロプロステノール類似体とは、緑内障と高眼圧症の治療に有用であり(米国特許第6,723,748)、色素沈着とまつげの成長とを促進するのにも有用であろう。
【化5】

【0011】
PGF2α類似体の合成を述べている手順は、開示されている(WO93/00329;EP0364417B1;欧州特許第0544899B1;米国特許第7,498,458)。WO93/00329(及びその後許可された欧州特許第0544899B1)は、(-)-コーリー(Corey)ラクトン para-フェニルベンゾエート(PPB)アルコール、又は、(3aR,4S,5R,6aS)-4-(ヒドロキシメチル)-2- オキソヘキサヒドロ-2H-シクロペンタ[b]フラン-5-イル ビフェニル-4-カルボキシレートからラタノプロストエステルを、以下の8つの工程で調整することを説明している。
【0012】
1.(-)-コーリーラクトンPPBアルコールをモファット酸化して、対応するアルデヒドを生成する。
【化6】

【0013】
2.トリフェニル-2-オキソ-4-フェニルブチルホスホニウムヨウ化物でアルデヒドをウィッティヒ反応させて、以下に示すエノン中間体を生成する。
【化7】

【0014】
3.以下に示すように、エノンの立体選択的還元で、15S-アルコール(3a)及び15R-アルコール(Epi-3a)を含むアルコール混合物に、(3a)の幾らかの富化(enrichment)を与える。
【化8】

【0015】
米国特許第6,689,901は、一般的な手順と類似した具体的な実施例とを説明しており、それらは、エノン還元ステップにおける還元剤として(-)-B-クロロジイソピノカンフェイルボラン((-)-DPC)を用いていることを指摘しておいてもよいだろう。
【0016】
4.以下に示すように、炭素−炭素二重結合を還元する水素化で、ラタノプロストのω−鎖のフレーム構造を作り上げる。
【化9】

【0017】
5−6.以下に示すように、ラクトン還元とその後の脱保護とで、ラクトンを得る。
【化10】

【0018】
7.4-カルボキシブチル-トリフェニルホスホニウムブロミドを用いたその後のウィッティヒ反応で、ラタノプロスト遊離酸を得る。
【化11】

【0019】
8.以下に説明するように、所望のアルコールROHを用いたラタノプロスト遊離酸のエステル化で、対応するラタノプロストエステルを得る。
【化12】

【0020】
WO93/00329で説明されたラタノプロストエステル合成プロセスは、グラムとキログラムの両方の規模にて、低い全収率に悩まされている。貴重な物質の損失は、中間体を精製することが困難であることから生じる。エノン還元ステップで生成される15S/R−アルコール混合物を精製して、例えば、十分に立体的に純粋な(stereopure)15S−アルコール(3a)を単離するため、カラムクロマトグラフィーと再結晶化の両方が用いられており、35%(開始ケトンが200g)と38%(開始ケトンが19.3kg)の収率がもたらされる。
【0021】
代わりのプロセスが説明されており(Resul, B., Stjernschantz, J., No, K., et al., J. Med. Chem., 1993, 36, 243-248)、最初のウィッティヒ手順が、ワズワース−エモンズ方法に置き換えられて、ケトン中間体に、ほんの小さな収率の増加がもたらされている。上記のプロセスとの最も顕著な違いは、しかしながら、ラクトン還元前のPPB保護基の除去であり、それにより、 WO93/00329の収率とほとんど等しい収率が、2つのステップで得られる。結局、この方法は、WO93/00329を超える顕著な利点をもたらさない。米国特許第7,268,239に開示されているプロセスでは、ある実施例にて、以下の式に示す保護されたコーリーラクトン化合物からラタノプロストが、11の連続したステップで合成される。
【化13】

【0022】
そのプロセスは、以下のステップを含んでいる。
【0023】
1.以下に図示するように、触媒量の安定な有機ニトロキシドラジカルを施して、ベンゾイル保護(benzoyl-protected)コーリーラクトンアルコールを、対応するアルデヒドに酸化する。
【化14】

【0024】
2.以下に示すように、アルデヒドをホスホネートエステルと反応させて、ステップ1の出発物質から77%の収率で、白色固体のケトン中間体を得る。
【化15】

【0025】
3.触媒量の(R)-テトラヒドロ-1-メチル-3,3-ジフェニル-1H,3H-ピロロ[1,2-c][1,3,2]オキサザボロール(「コーリー触媒」)の存在下で、ボラン-ジメチルスルフィド錯体を用いて立体選択的にケトンを還元して、(S)-ヒドロキシエピマーが富化されたアルコールエピマー混合物を原油(crude oil)として得る。以下に示すように、結晶化工程と時間が掛かる(tedious)クロマトグラフィーステップとを含む精製をして、65%の収率で所望の異性体を白色固体として得る。
【化16】

【0026】
4.以下に示すように、ベンゾイル保護基を除去して、99.1%の収率で、ジオール中間体を油として得る。
【化17】

【0027】
5.以下に図示するように、その後、α,β-不飽和アルコールを水素化して、94.8%の収率で、飽和ジオール中間体アナログを油として得る。
【化18】

【0028】
6.以下に示すように、約2モル等量のトリエチルクロロシランとジオールを反応させて、97.6%の収率で、bis-トリエチルシリル保護中間体を油として得る。
【化19】

【0029】
7.その後ラクトンを還元して、97.3%の収率で、ラクトールを油として得る。
【化20】

【0030】
8.以下に図示するように、ラクトール中間体と(4-カルボキシブチル)-トリフェニルホスホニウムブロミドを含むウィッティヒ反応で、bis-トリエチルシリル保護トリオール酸(triol acids)の位置異性体混合物を原油として得る。
【化21】

【0031】
原油生成物は、一般的に、bis-シリル化遊離酸中間体のシス形態及びトランス形態の両方の混合物を含んでいる。トランス形態は、通常、クロマトグラフィーで混合物から除去される。
【0032】
9.以下に示すように、カルボン酸の位置異性体混合物を、 2-ヨードプロパンでエステル化して、イソプロピルエステルの対応する混合物を油として得る。
【化22】

【0033】
10.以下に図示するように、エステル混合物をトリエチルクロロシランと反応させて、bis-トリエチルシリル保護ジオールラクトン中間体から3つのステップで、約79%の収率で、単一のtris-トリエチルシリル保護トリオールイソプロピルエステルを油として得る。
【化23】

【0034】
11.触媒量のピリジニウム-p-トルエンスルホナートでtris-トリエチルシリル化中間体を脱保護化し、その後分離用(preparative)HPLCで生成物を精製して、11ステップで、18.7%の収率でラタノプロストを油として得る。
【化24】

【0035】
上述した米国特許第7,268,239のプロセスは、還元反応で作られたエピマーを分離するために、ステップ3にて、結晶化とシリカクロマトグラフィーを両方含んでいる。その開示は、カラムを詰め直す必要なく、複数回注入される不純な生成物を浄化できる中圧液体クロマトグラフィー(MPLC)法を提示しており、充填されたシリカカラムに一回の注入をする従来方法に対して、生成物の精製をするのに配備される固定相と溶離液の量を小さくしている。
【0036】
従来プロセスの問題からすると、ラタノプロストと、関連するPGF2α類似体と、それらの塩とを合成する代わりの方法を提供することが非常に望まれている。また、より容易に且つ効率良く精製される合成中間体を与えることも非常に望まれている。
【発明の概要】
【0037】
典型的な実施例は、構造式(1)又は(2)の高純度の固体化合物を対象にしてよい。R1は、本明細書にて規定されている。
【化25】

【0038】
典型的な実施例はまた、式(1)又は(2)の固体化合物を作る、精製する、及び単離する方法を対象にしてよい。
【0039】
典型的な実施例はまた、高純度のプロスタグランジン類似体を調製する合成中間体として、式(1)又は(2)の高純度の固体化合物の使用を対象にしてよい。
【0040】
本発明のその他の典型的な実施例は、本明細書の詳細な説明から明らかになるだろう。詳細な説明と具体例は、本発明の典型的な実施例を開示する一方で、単に説明を目的としており、本発明の範囲を制限することを意図していないことは理解されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本明細書で説明される典型的な実施例は、式(1)又は(2)の合成中間体ラクトン化合物が固体として存在し得るという発見に基づいてよい。式図に示されたtert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)基が、トリイソプロピルシリル(TIPS)やtert-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)のような他のシリル基に置き換えられる場合を除いて、(1)又は(2)の化合物は油であり、本明細書で説明した実験条件下では固まらない。
【0042】
典型的な実施例は、構造式(1)又は(2)の高純度の固体化合物の夫々を、それらの生成を、そして、高純度のプロスタグランジン類似体を調製するための合成中間体として、それらを続いて使用することを対象にしてよい。
【0043】
典型的な実施例によれば、式(1)又は(2)の化合物は、以下のように示される。
【化26】

ここで、R1は、
【化27】

であり、
Yは、CH2、O、S、又はNHであり、
1、X2、X3、X4、及びX5は個々に、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、(C1-C3)-アルキル, (C1-C3)-アルコキシ, 又は(C1-C3)-アルキルチオである。
【0044】
別の典型的な実施例は、式(1)又は(2)の化合物を対象としてよく、ここで、R1は、-CH2Ph(ベンジル)であり、Phはフェニルを示す。
【0045】
別の典型的な実施例は 式(1)の化合物を対象としてよく、ここで、R1は、
【化28】

である。
【0046】
別の典型的な実施例は 式(1)の化合物を対象としてよく、ここで、R1は、
【化29】

である。
【0047】
別の典型的な実施例は スキーム1に図示すると共に以下に説明するように、式(C1)又は(C2)の何れかに従った化合物から、式(1)又は(2)の化合物の高純度の形態で作製する方法を対象としてよい。
【化30】

ここで、R1は、
【化31】

であり、
Yは、CH2、O、S、又はNHであり、
1、X2、X3、X4、及びX5は個々に、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、(C1-C3)-アルキル、(C1-C3)-アルコキシ、又は(C1-C3)-アルキルチオであり、
1及びQ2の各々は個々に、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)ではない保護基であるか、Q1及びQ2の一方はTBDMSであって、他方はTBDMSではない保護基であるか、又は、Q1及びQ2の一方は水素であって、他方はTBDMSではない保護基であり、
3及びQ4の各々は水素であるか、又は、Q3及びQ4の一方はTBDMSであって、他方は水素である。
【0048】
スキーム1に示すように、従来より説明されている方法で、例えば、WO93/00329、欧州特許第0544899B1、米国特許第6,689,901、米国特許第6,927,300や「Resul, B., Stjernschantz, J., No, K., et al., J. Med. Chem., 1993, 36, 243-248」の方法で、構造式(C1)の立体異性混合物を、又は、(構造式(C1)の化合物の還元体である)構造式(C2)の立体異性混合物を与えることで、プロセスは開始する。ここで、R1、Q1及びQ2は、本明細書で定義されるものである。
【0049】
次に、TBDMSではないQ1及びQ2の保護基が除去されて、構造式(C1)の化合物が構造式(B1)の化合物に変換されるか、構造式(C2)の化合物が構造式(B2)の化合物に変換される。スキーム1の脱保護ステップは、TBDMSではない1又は複数の保護基を除去するのに適切な条件を含んでおり、使用される条件は、Q1及びQ2の一方がTBDMSである場合には、同じ反応時間に渡ってTBDMS基を除去するのには適していない。非芳香族水酸基を保護する官能基の除去に用いられる多数の方法は、「Protective Groups in Organic Synthesis, Second Edition, by Theodora W. Greene and Peter G. M. Wuts, John Wiley and Sons, Inc., pp. 10-118」で議論されている。
【0050】
次に、tert-ブチルジメチルシリル化が、式(B1)又は(B2)の化合物を式(A1)又は(A2)の化合物に夫々変換する。スキーム1のtert-ブチルジメチルシリル化ステップは、bis-ヒドロキシル化若しくはmono-TBDMS-mono-ヒドロキシル化出発物質(B1)又は(B2)が夫々、bis-TBDMS生成物(A1)又は(A2)に変換されることを保証する条件を含んでいる。これらのステップの典型的な実施例は、本明細書にて提示されている。使用できるその他のtert-ブチルジメチルシリル化条件は、「Protective Groups in Organic Synthesis, Second Edition, by Theodora W. Greene and Peter G. M. Wuts, John Wiley and Sons, Inc., pp. 77-80」で説明されている。
【0051】
最後に、式(A1)又は(A2)の生成物が精製されて、式(1)又は(2)の化合物が夫々生成される。スキーム1の各精製ステップは、1又は複数の固体析出(solid precipitation)手順を含んでおり、化合物(A1)又は(A2)の≧1:1 α-/β-OTBDMS(以後、脂肪鎖上のOTBDMSを意味する) 立体異性混合物を溶解させることから開始して、化合物(1)又は(2)として図示したような、α-OTBDMS立体異性体について、立体異性体の生成混合物を夫々富化する。
【0052】
このプロセスの付加的なステップは、元素水素(elemental hydrogen)(H2)を添加することで、シクロペンチル環から出ている脂肪鎖の二重結合を還元するが、スキーム1のプロセスの様々なポイントで起こってよい。故に、スキーム1の適切なポイントで、この二重結合の還元が利用されて、式 (C1)の化合物が式(C2)に、式(B1)の化合物が式(B2)に、式(A1)の化合物が式(A2)に、又は、式(1)の化合物が式(2)に変換されてよい。
【0053】
スキーム1に従って、式(A1)又は(A2)の生成物を式(1)又は(2)の化合物に夫々変換する精製方法は、更に詳細に以下で説明される。代替的な他の実施例において、これらと同じ精製方法が利用されて、スキーム1を用いることなく、式(A1)又は(A2)の生成物が夫々式(1)又は(2)の化合物に変換されてよい。さらに、それらの精製方法は、スキーム1に全く関係なく、式(A1)又は(A2)の生成物を式(1)又は(2)の化合物に夫々変換する必要なく、固体形態の式(1)又は(2)の化合物を更に精製するのに利用されてよい。
【0054】
固体析出を用いており、式(1)の化合物の精製形態を作製して単離する典型的な方法は、以下のステップを含んでいる。
(i). 式(A1)の物質を調製する。ここで、生成混合物は、α-OTBDMSエピマーとβ-OTBDMSエピマーの両方を同じ量含んでいるか、α-OTBDMSエピマーが多いかの何れかである。
(ii). ステップ(i)の生成混合物を有機溶媒に溶解させて、有機溶液を生成する。
(iii). ステップ(ii)の有機溶液に水を加える。
(iv). ステップ(iii)の水を含む(aquified)有機溶液から、ステップ(i)の出発物質(A1)よりも、β-OTBDMSエピマーに対して(式(1)に示した)α-OTBDMSエピマーがより豊富な固体形態の物質を析出する。
(v). 濾過により、ステップ(iv)の固体析出物を単離する。
【0055】
別の典型的な実施例は、式(1)の化合物の精製形態を作製して単離する方法を対象としてよく、固体析出を複数回用いており、以下のステップを含んでいる。
(i). 式(A1)の物質を調製する。ここで、生成混合物は、α-OTBDMSエピマーとβ-OTBDMSエピマーの両方を同じ量含んでいるか、α-OTBDMSエピマーが多いかの何れかである。
(ii). ステップ(i)の生成混合物を有機溶媒に溶解させて、有機溶液を生成する。
(iii). ステップ(ii)の有機溶液に水を加える。
(iv). ステップ(iii)の水を含む有機溶液から、ステップ(i)の出発物質(A1)よりも、β-OTBDMSエピマーに対して(式(1)に示した)α-OTBDMSエピマーがより豊富な固体形態の物質を析出する。
(v). 濾過により、ステップ(iv)の固体析出物を単離する。
(vi). ステップ(iv)の単離された固体を有機溶媒に溶解して有機溶液を生成する。
(vii). ステップ(vi)の有機溶液に水を加える。
(viii). ステップ(v)で単離された物質よりも、β-OTBDMSエピマーに対して(式(1)に示した)α-OTBDMSエピマーがより豊富な固体形態の物質を析出する。
(ix). 濾過により、ステップ(viii)の固体析出物を単離する。
【0056】
更に別の典型的な実施例は、式(2)の化合物の精製形態を作製して単離する方法を対象としてよく、固体析出を複数回用いており、以下のステップを含んでいる。
(i). 式(A1)の物質を調製する。ここで、生成混合物は、α-OTBDMSエピマーとβ-OTBDMSエピマーの両方を同じ量含んでいるか、α-OTBDMSエピマーが多いかの何れかである。
(ii). ステップ(i)の生成混合物を有機溶媒に溶解させて、有機溶液を生成する。
(iii). ステップ(ii)の有機溶液に水を加える。
(iv). ステップ(iii)の水を含む有機溶液から、ステップ(i)の出発物質(A1)よりも、β-OTBDMSエピマーに対して(式(1)に示した)α-OTBDMSエピマーがより豊富な固体形態の物質を析出する。
(v). 濾過により、ステップ(iv)の固体析出物を単離する。
(vi). 元素水素(H2)又は同等物を式(1)の化合物の溶液に加えて、ステップ(v)で単離された式(1)の化合物の炭素−炭素二重結合を還元して、対応する式(2)の化合物を得る。
(vii). ステップ(vi)で調製された還元化合物を有機溶媒に溶解して有機溶液を生成する。
(viii). ステップ(vii)の有機溶液に水を加える。
(ix). ステップ(vi)で調製された物質よりも、β-OTBDMSエピマーに対して(式(2)に示した)α-OTBDMSエピマーがより豊富な固体形態の物質を析出する。
(x). 濾過により、ステップ(ix)の固体析出物を単離する。
【0057】
更に別の典型的な実施例は、式(2)の化合物の精製形態を作製して単離する方法を対象としてよく、固体析出を複数回用いており、以下のステップを含んでいる。
(i). 式(A1)の物質を調製する。ここで、生成混合物は、α-OTBDMSエピマーとβ-OTBDMSエピマーの両方を同じ量含んでいるか、α-OTBDMSエピマーが多いかの何れかである。
(ii). ステップ(i)の生成混合物を有機溶媒に溶解させて、有機溶液を生成する。
(iii). ステップ(ii)の有機溶液に水を加える。
(iv). ステップ(iii)の水を含む有機溶液から、ステップ(i)の出発物質(A1)よりも、β-OTBDMSエピマーに対して(式(1)に示した)α-OTBDMSエピマーがより豊富な固体形態の物質を析出する。
(v). 濾過により、ステップ(iv)の固体析出物を単離する。
(vi). ステップ(v)の単離された固体を有機溶媒に溶解させて、有機溶液を生成する。
(vii). ステップ(vi)の有機溶液に水を加える。
(viii). ステップ(v)で調製された物質よりも、β-OTBDMSエピマーに対して(式(1)に示した)α-OTBDMSエピマーがより豊富な固体形態の物質を析出する。
(ix). 濾過により、ステップ(viii)の固体析出物を単離する。
(x). 元素水素(H2)又は同等物を式(1)の化合物の溶液に加えて、ステップ(ix)で単離された式(1)の化合物の炭素−炭素二重結合を還元して、対応する式(2)の化合物を得る。
(xi). ステップ(x)の単離された固体を有機溶媒に溶解させて、有機溶液を生成する。
(xii). ステップ(xi)の有機溶液に水を加える。
(xiii). ステップ(x)で調製された物質よりも、β-OTBDMSエピマーに対して(式(1)に示した)α-OTBDMSエピマーがより豊富な固体形態の物質を析出する。
(xiv). 濾過により、ステップ(xiii)の固体析出物を単離する。
【0058】
別の典型的な実施例は、式(2)の化合物の精製形態を作製して単離する方法を対象としてよく、固体析出を複数回用いており、以下のステップを含んでいる。
(i). 式(A1)の物質を調製する。ここで、生成混合物は、α-OTBDMSエピマーとβ-OTBDMSエピマーの両方を同じ量含んでいるか、α-OTBDMSエピマーが多いかの何れかである。
(ii). ステップ(i)の生成混合物を有機溶媒に溶解させて、有機溶液を生成する。
(iii). ステップ(ii)の有機溶液に水を加える。
(iv). ステップ(iii)の水を含む有機溶液から、ステップ(i)の出発物質(A1)よりも、β-OTBDMSエピマーに対して(式(1)に示した)α-OTBDMSエピマーがより豊富な固体形態の物質を析出する。
(v). 濾過により、ステップ(iv)の固体析出物を単離する。
(vi). 元素水素(H2)又は同等物を式(1)の化合物の溶液に加えて、ステップ(v)で単離された式(1)の化合物の炭素−炭素二重結合を還元して、対応する式(2)の化合物を得る。
(vii). ステップ(vi)の生成混合物を有機溶媒に溶解させて、有機溶液を生成する。
(viii). ステップ(vii)の有機溶液に水を加える。
(ix). ステップ(vi)で調製された物質よりも、β-OTBDMSエピマーに対して(式(2)に示した)α-OTBDMSエピマーがより豊富な固体形態の物質を析出する。
(x). 濾過により、ステップ(ix)の固体析出物を単離する。
(xi). ステップ(x)の単離された混合物を有機溶媒に溶解させて、有機溶液を生成する。
(xii). ステップ(xi)の有機溶液に水を加える。
(xiii). ステップ(x)で調製された物質よりも、β-OTBDMSエピマーに対して(式(2)に示した)α-OTBDMSエピマーがより豊富な固体形態の物質を析出する。
(xiv). 濾過により、ステップ(xiii)の固体析出物を単離する。
【0059】
別の典型的な実施例は、式(2)の化合物の精製形態を作製して単離する方法を対象としてよく、固体析出を複数回用いており、以下のステップを含んでいる。
(i). 式(A1)の物質を調製する。ここで、生成混合物は、α-OTBDMSエピマーとβ-OTBDMSエピマーの両方を同じ量含んでいるか、α-OTBDMSエピマーが多いかの何れかである。
(ii). ステップ(i)の生成混合物を有機溶媒に溶解させて、有機溶液を生成する。
(iii). ステップ(ii)の有機溶液に水を加える。
(iv). ステップ(iii)の水を含む有機溶液から、ステップ(i)の出発物質(A1)よりも、β-OTBDMSエピマーに対して(式(1)に示した)α-OTBDMSエピマーがより豊富な固体形態の物質を析出する。
(v). 濾過により、ステップ(iv)の固体析出物を単離する。
(vi). ステップ(v)の単離された固体を有機溶媒に溶解させて、有機溶液を生成する。
(vii). ステップ(vi)の有機溶液に水を加える。
(viii). ステップ(v)で調製された物質よりも、β-OTBDMSエピマーに対して(式(1)に示した)α-OTBDMSエピマーがより豊富な固体形態の物質を析出する。
(ix). 濾過により、ステップ(viii)の固体析出物を単離する。
(x). 元素水素(H2)又は同等物を式(1)の化合物の溶液に加えて、ステップ(ix)で単離された式(1)の化合物の炭素−炭素二重結合を還元して、対応する式(2)の化合物を得る。
(xi). ステップ(x)の単離された固体を有機溶媒に溶解させて、有機溶液を生成する。
(xii). ステップ(xi)の有機溶液に水を加える。
(xiii). ステップ(x)で調製された物質よりも、β-OTBDMSエピマーに対して(式(2)に示した)α-OTBDMSエピマーがより豊富な固体形態の物質を析出する。
(xiv). 濾過により、ステップ(xiii)の固体析出物を単離する。
(xv). ステップ(xiv)の単離された固体を有機溶媒に溶解させて、有機溶液を生成する。
(xvi). ステップ(xv)の有機溶液に水を加える。
(xvii). ステップ(xiv)で調製された物質よりも、β-OTBDMSエピマーに対して(式(2)に示した)α-OTBDMSエピマーがより豊富な固体形態の物質を析出する。
(xviii). 濾過により、ステップ(xvii)の固体析出物を単離する。
【0060】
構造式(5)又は(6)のプロスタグランジン類似体を夫々調製するための合成中間体としての、構造式(1)又は(2)の高純度の固体化合物の典型的な使用は、スキーム2に従って記述されてよい。
【化32】

ここで、R1は、上述したように規定され、
2は、-CO23、-CONR45、-C(O)R3、-C(O)CH26、又は、-CH26であり、
6は、ハロゲン、又は、-OR3であり、
3は、水素、(C1-C6)-アルキル、又は、-(CH2)n-フェニルであり、
4及びR5は個々に、水素、(C1-C6)-アルキル、又は、-(CH2)n-フェニルであり、
nは、0、1、又は、2であり、
【数1】

は、炭素−炭素結合又は二重結合を示しており、
3、R4又はR5の任意のフェニルは、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、 トリフルオロメトキシ、アミノ、シアノ、(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-アルコキシ、若しくは、(C1-C6)-アルキルチオの一つ又は組み合わせの1或いは複数と任意選択的に置換されてもよい。
【0061】
スキーム2のプロセスは、典型的には、水酸化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL-Hのような還元剤を用いた(1)又は(2)のラクトン還元で始まり、構造式(7)又は(10)のラクトール中間体が夫々得られる。ラクトール中間体(7)又は(10)は、その後、ヘキサメチルジシラザンナトリウム(NaHMDS、ナトリウム bis-(トリメチルシリル)アミドとも称される)のような過剰塩基(excess base)の存在下で、(4-カルボキシブチル)トリフェニルホスホニウムブロミドと反応されてよく、cis-選択性と共に、主として(8-1a)/(8-1b)又は(11-1a)/(11-1b)を夫々含む遊離酸混合物がもたらされる。遊離酸混合物(8-1a)/(8-1b)又は(11-1a)/(11-1b)は、その後、公知の方法を用いて1又は複数のステップで化学的に処理されてよく、カルボン酸部分は、本明細書で規定される他の官能基R2に変換され、典型的な実施例で説明されているように、混合物(9-Xa)/(9-Xb)又は(12-Xa)/(12-Xb)が夫々得られる。最後に、中間体混合物(9-Xa)/(9-Xb)又は(12-Xa)/(12-Xb)の脱保護化により、構造式(5)又は(6)のプロスタグランジンF2α類似体が夫々得られる。TBDMS保護基を除去するに用いられる脱保護条件の例には、脱シリル化剤の使用が含まれてよく、脱シリル化剤は、好ましくはテトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)又は塩酸水溶液であって、好ましくはテトラヒドロフラン(THF)又はイソプロパノール(IPA)である有機溶媒と夫々混合される。室温での塩酸水溶液の使用は、通常、THFにおけるTBAFの使用よりも効率的な脱保護反応におけるワークアップ(workup)及び精製をもたらす。
【0062】
スキーム2に関する別の典型的な実施例は、混合物(8-1 a)/(8-1b)又は(11-1a)/(11-1b)の脱保護化は、構造式(5)又は(6)の遊離酸プロスタグランジン類似体を夫々与える。ここで、R2は、CO2Hである。
【0063】
更に別の関連した典型的な実施例は、スキーム2のウィッティヒ工程の塩基として、NaHMDSの使用を含んでいる。過剰なNaHMDSの使用は、リチウムヘキサメチルジシラジド(LiHMDS)やカリウムtert-ブトキシド(KOtBu)を含む、使用可能なその他の幾つかの塩基を使用する場合よりも、より好ましいcis-選択性をもたらす。NaHMDSを塩基として使用する別の利点は、時間の掛かるクロマトグラフィーの排除である。当該クロマトグラフィーは、一般的には、大量の trans-異性体を除去するのに用いられている。スキーム2のウィッティヒステップ、又は、スキーム2では説明されていない、プロスタグランジンのα−鎖を挿入する等価な目的を達成するウィッティヒステップにおける塩基としてのNaHMDSの使用は、更に以下の例で詳細にされるように、典型的な実施例における式(5)及び(6)の化合物の全体的な化学純度を高くするのを容易にする。
【0064】
更に別の関連した典型的な実施例は、スキーム2で説明された最後の2つのステップの順序を含んでいる。その典型的な実施例の利点は、(8-1a)/(8-1b)又は(11-1a)/(11-1b)混合物のカルボン酸部分を、(9-Xa)/(9-Xb)又は(12-Xa)/(12-Xb)混合物のR2部分に変換し、その後、本明細書で説明された方法に従ってTBDMSの脱保護化がなされる。R2は、本明細書で規定されたものである。反応ステップのこの順序は、反対の順序、つまり、本分野で開示されている様々な同様の合成経路で用いられている反応ステップの順序に対して利点を与える。なぜなら、通常、本明細書で規定されたR2基へのカルボン酸の変換は、保護されていない複数の水酸基の存在から起こる副反応のリスクが低い状態で進行するからである。
【0065】
スキーム2のある特定の典型的な実施例は、構造式(5a)又は(6a)のプロスタグランジン類似体化合物を調製する合成中間体として、構造式(1a)又は(2a)の夫々の高純度の固体化合物の使用することを対象としてよい。
【化33】

【0066】
化合物(1a)は、PGF2α類似体の立体選択的合成に使用されてよい。PGF2α類似体には、例えば、ラタノプロスト遊離酸、そのエステルとアミノ誘導体、ビマトプロスト遊離酸、そのエステルとアミノ誘導体がある。化合物(1a)は、化合物(Epi-1a)を更に含む混合物の一部として合成されてよい。
【化34】

【0067】
化合物(1a)は、固体析出によって、そのエピマー化合物(Epi-1a)のような不純物から分離されて、スキーム1について説明したような高純度の形態で単離されてよい。トリイソプロピルシリル(TIPS)やtert-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)のようなtert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)以外のシリル保護基がTBDMS保護基に取って代わっており、化合物(1a)に類似しているその他の合成中間体は、油であり、故に、固体析出によって精製されなくともよい。化合物(1a)の結晶度は、カラムクロマトグラフィーを要することなく、不純物からそれが分離されることを可能とする。ラタノプロスト、ビマトプロスト、及びそれらの誘導体の合成のこのステージにおいて、カラムクロマトグラフィーが不要になることで、製造効率が向上する。
【0068】
化合物(2a)は、接触水素化のような公知の方法で、化合物(1a)の炭素−炭素二重結合の還元により調製されてよい。化合物(2a)はまた結晶性であり、固体析出により、そのエピマー化合物(Epi-2a) (以下に示す)のような不純物から分離されてよい。ここで、その他のシリル基がTBDMS保護基に取って代わっており、化合物(2a)に類似する合成中間体は油である。化合物(2a)は、例えば、ラタノプロスト遊離酸、そのエステル及びアミノ誘導体のようなPGF2α類似体の立体選択的合成に使用されてよい。
【化35】

【0069】
TBDMS保護基の使用はまた、ビマトプロストやラタノプロストの置換類似体のような、その他のPGF2α類似体及び同族体の合成に適用されてよく、ここで、フェニル環は、結晶化された一般式(1)又は(2)のbis-TBDMS保護中間体を夫々介して、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、(C1-C3)-アルキル、(C1-C3)-アルコキシ、若しくは(C1-C3)-アルキルチオの一つ又はそれらの組み合わせの1或いは複数で置換されている。TBDMS保護基の使用は更に、結晶化された一般式(1)のbis-TBDMS保護中間体を介して、フルプロステノール、フルプロステノール置換類似体、クロプロステノール、又は、クロプロステノールの置換類似体の合成に適用されてもよい。
【0070】
典型的な実施例はまた、bis-シリル化によって、非保護のジオール前駆中間体から化合物(1a)(又は、上述したその類似体)を生成するプロセスを対象にしてよい。典型的な実施例は更に、その化合物を精製及び単離するプロセスを対象にしてよく、化合物(1a)(又は、上述したその類似体)の固体析出を少なくとも一回含む。典型的な実施例はまた、有用なPGF2α類似体の製造における、精製された化合物(1a)(又は、上述したその類似体)の使用に向けられてもよい。当該分野の現状のプロセスを超える利点は、以下の通りである:
1.固体であるPGF2α類似体の中間体の合成と単離。固体であることで、液体又は油を超えて、さらなる精製と、貯蔵と、取り扱い上の選択肢とを可能にする。
2. 高純度の立体異性体の単離においてクロマトグラフィーを避けるために、PGF2α類似体の固体中間体を精製する。クロマトグラフィーの排除は、効率を改善し、コストを低減し、廃水流を少なくする。
3.生理的に活性な又は治療上役立つPGF2α類似体を合成するために立体化学的に非常に富化された中間体を使用することで、その後の中間体又は最終化合物のより容易な精製が可能となり、所望の生成物の全収率がより高くなる。
【0071】
本明細書に特段の定義がない限り、典型的な実施例に関連して使用されている科学用語及び術語は、当該分野における通常の知識を有する者が普通に理解できる意味を有するものとする。
【0072】
更に、文脈から特段の必要がない限り、単数形の用語は複数を含み、複数形の用語は単数を含む。概して、本明細書で説明されている化学の技術と化学工業に関連して使用されている名称は、当該分野において良く知られており、一般的に使用されている。
【0073】
用語「アルキル」は、単独で又は組み合わされて、線形の又は枝分かれした非環基を意味しており、好ましくは、1乃至約6個の炭素原子を含んでいる。このような基の例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソプチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、iso-アミル、ヘキシル等が含まれる。具体的な置換が特定されていない場合、アルキル基は、ヒドロキシ、スルフヒドリル、メトキシ、エポキシ、アミノ、シアノ、 クロロ、及びフルオロからなる基で任意選択的に置換され得る。置換されたこのようなアルキル基の例には、クロロエチル、ヒドロキシエチル、シアノブチル、アミノフェニル等を含む。
【0074】
様々な炭化水素を含む部分の炭素原子の量は、その部分の炭素原子の下限数と上限数とを指定する接頭部で示される。即ち、接頭部Ci-Cjは、整数「i」乃至整数「j」の炭素原子の部分を包括的に示している。故に、例えば、「(C1-C6)-アルキル」は、1乃至6個の炭素原子のアルキルに包括的に言及している。
【0075】
本明細書で使用されているように、用語「ヒドロキシ」及び「ヒドロキシル」は、OH基を意味する。
【0076】
用語「アルコキシ」は、メトキシ基のような、酸素原子に結合したアルキル基を含む基を意味する。好ましいアルコキシ基は、1乃至約6個の原子を有している。このような基の例には、メトキシ、エポキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、及びtert-ブトキシが含まれる。
【0077】
本明細書で使用されているように、用語「ハロゲン」は、 フルオロ、クロロ、ブロモ,、又はヨードからなる群の一つを意味する。
【0078】
以下の記号は、置換基の結合位置を示す。
【数2】

【0079】
式(1)又は(2)の化合物は、完全な非晶質から完全な結晶質までの範囲の一連の固体状態であってよい。
【0080】
式(1)又は(2)の化合物は、適当な条件下にあると、中間状態(中間相又は液晶)であってよい。中間状態は、純粋な結晶状態と純粋な液体状態(融液又は溶液)の間の中間である。
【0081】
また、式(1)又は(2)の化合物の全ての多形体及び晶相と、それらの同位体で標識された形態とが、本明細書に含まれる。
【0082】
本明細書で使用されているように、用語「析出物(precipitate)」は、完全な非晶質から完全な結晶質までの範囲の一連の固体状態の何れにある物質に言及しており、溶液、懸濁液、乳濁液、又はマイクロエマルションのような混合物から生成するが、これらに限定されない。
【0083】
本明細書で使用されているように、用語「析出」は、析出物が生成する、或いは、溶液、懸濁液、乳濁液、又はマイクロエマルションから析出物が生成される精製プロセスに言及する。析出物は、当該分野における通常の知識を有する者に公知の技術によって、溶液、懸濁液、乳濁液、又はマイクロエマルションのような混合物から生成されてよいが、これらに限定されない。この方法には、長時間の放置、冷却、加熱、共溶媒の付加、掻き混ぜ(スクラッチング(scratching)、攪拌、又は超音波処理等があるが、これらに限定されない)、(例えば、蒸発による)混合物の濃縮、又はシーディング(seeding)が含まれるが、これらに限定されない。
【0084】
本明細書で使用されているように、用語「非晶質」は、空間内で、構成粒子又は分子にロングレンジの順序又は繰り返しパターンがない固体物質に言及している。
【0085】
本明細書で使用されているように、用語「結晶」又は「結晶質固体」は、構成粒子又は分子が、3つの空間次元の全てについて延びた規則的な繰り返しパターンで配置された固体物質に言及している。式(1)又は(2)の化合物は、1又は複数の結晶形態若しくは多形体で存在してよい。式(1)又は(2)の化合物の結晶性析出物は、単一の均質な結晶形態として、結晶形態の混合物として、又は、少なくとも一つの結晶形態と少なくとも一つの非晶質形態との混合物として存在してよい。
【0086】
本明細書で使用されているように、用語「結晶化」は、析出物が完全に又は部分的に結晶質な固体であるタイプの析出に言及している。析出された結晶質固体は、単一の結晶形、複数の結晶形の混合物、又は、少なくとも一つの結晶形態と少なくとも一つの非晶質形態との混合物であってよい。
【0087】
本明細書で使用されているように、用語「再結晶化」は、(精製されるべき)出発物質が完全に又は部分的に結晶質な固体であるタイプの結晶化に言及している。
【0088】
式(1)又は(2)の化合物の固体形態は、例えば、温度又は圧力のような条件を変化させることで、別の固体形態に変換されてよい。
【0089】
典型的な実施例の先の説明と、以下のに提示される実施例とは、基本的に単なる例示であって、故に、それらの変更は、本発明の精神と範囲から逸脱していると認められるべきではない。
【実施例】
【0090】
本明細書で提供される実施例は、化合物(1)又は(2)の何れか或いはその誘導体と、高純度のプロスタグランジン類似体を調製するためにそれらを引き続いて使用することとに関連した固体合成中間化合物を生成する典型的な方法を説明する。
【0091】
フィニガン(Finnigan)MAT LCQ質量分析計(クラシック、シリアルナンバーはLC000930)を用いて、質量スペクトル(MS)は得られた。
【0092】
核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、ブルガー(Bruker)(300 MHz)、バリアン(Varian)INOVA(400 MHz)、又はバリアン(Varian)INOVA(500 MHz)核磁気共鳴分光計を用いて得られた。
【0093】
高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)分析分離が、アジレント(Agilent)1100 HPLCで実行されて、UVmax@633nmのアジレントテクノロジーズG1315Bダイオードアレイディテクタが続いた。
【0094】
実施例1:(3aR,4R,5R,6aS)-5-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-4-((S,E)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-フェニルペント-1 -エニル)ヘキサヒドロ-2H-シクロペンタ[b]フラン-2-オン(ラクトンbis-TBDMS保護ジオール化合物(1a)の調製
【0095】
ステップA:(3aR,4R,5R,6aS)-4-((S,E)-3-ヒドロキシ-5-フェニルペント-1-エニル)-2-オキソヘキサヒドロ-2H-シクロペンタ[b]フラン-5-イル ビフェニル-4-カルボキシレート(3a)と、(3aR,4R,5R,6aS)-4-((R,E)-3-ヒドロキシ-5-フェニルペント-1-エニル)-2-オキソヘキサヒドロ-2H-シクロペンタ[b]フラン-5-イル ビフェニル-4-カルボキシレート(Epi-3a)とを含む混合物の調製
【化36】

【0096】
熱電対が装着された丸底フラスコにて、(3aR,4R,5R,6aS)-2-オキソ-4-((E)-3-オキソ-5-フェニルペント-1-エニル)ヘキサヒドロ-2H-シクロペンタ[b]フラン-5-イル ビフェニル-4-カルボキシレート(1.13g、2.35mmol、1.0モル等量)と、シリカゲル(1.5g、粒径60−200μm)とを、クロロホルム(10mL、8.8容量)に入れた。混合物を激しく攪拌した。水素化ホウ素ナトリウム(0.114g、3.0mmol、1.27モル等量)を脱イオン水 (0.22mL)に溶解させて、ゆっくりと反応混合物に加えた。反応混合物を、室温で一時間攪拌した。反応混合物を0℃に冷却して、過剰な還元剤を、3Mの塩酸(HCI)水溶液(1mL)と反応させた。反応混合物を5分間攪拌した。メタノール(2mL)を加えて、更に5分間攪拌を続けた。シリカゲルを濾過して除去して、体積比が5:1である3mLのクロロホルム−メタノール混合物で2回洗浄した。濾液を酢酸エチルで希釈し、総体積を25mLにした。濾液を真空で濃縮し(20−25mmHg、30−35℃の槽)、ペースト状で白い泡状の固体残留物(1.2g)を得た。HPLC−UV(3a)/(Epi-3a)比は、約7:3である。
【0097】
(3a)/(Epi-3a)混合残留物を、メタノール(6容量)及び酢酸エチル(0.2容量)からなる溶媒混合物と混合して、得られた混合物を続いて60℃に加熱した。得られた溶液を、室温に冷ます一方で、一晩中攪拌した。白色固体が一晩で析出され、それを濾過で集積し、メタノール(2×1容量)で2回洗浄し、吸い上げて、表題の中間体を83.5/16.5(3a)/(Epi-3a)混合物として得た。濾液は、47/53(3a)/(Epi-3a)混合物を含んでいた。
【0098】
1.13gではなく、6.2gの(3aR,4R,5R,6aS)-2-オキソ-4-((E)-3-オキソ-5-フェニルペント-1 -エニル)ヘキサヒドロ-2H-シクロペンタ[b]フラン-5-イル ビフェニル-4-カルボキシレートが使用された点を除いて、この手順が繰り返されて、表題の中間体を55/45(3a)/(Epi-3a)混合物として得た。
【0099】
再結晶化(又は、複数回の再結晶化)やクロマトグラフィーのような方法で(Epi-3a)立体異性体を除去することで、ここで得られた(3a)/(Epi-3a) 混合物の比は、(3a)について更に富化されてよい。
【0100】
ステップB:(3aR,4R,5R,6aS)-5-ヒドロキシ-4-((S,E)-3-ヒドロキシ-5-フェニルペント-1-エニル)ヘキサヒドロ-2H-シクロペンタ[b]フラン-2-オン(ラクトンジオール化合物(4a)と、(3aR,4R,5R,6aS)-5-ヒドロキシ-4-((R,E)-3-ヒドロキシ-5-フェニルペント-1-エニル)ヘキサヒドロ-2H-シクロペンタ[b]フラン-2-オン(ラクトンジオール化合物(Epi-4a)とを含む混合物の調製
【化37】

【0101】
(3aR,4R,5R,6aS)-4-((S,E)-3-ヒドロキシ-5-フェニルペント-1-エニル)-2-オキソヘキサヒドロ-2H-シクロペンタ[b]フラン-5-イル ビフェニル-4-カルボキシレートと、(3aR,4R,5R,6aS)-4-((R,E)-3-ヒドロキシ-5-フェニルペント-1-エニル)-2-オキソヘキサヒドロ-2H-シクロペンタ[b]フラン-5-イル ビフェニル-4-カルボキシレートとの(3a)/(Epi-3a)混合物を含む物質(15g、31mmol、1.0モル等量)を、メタノール(75mL、5容量)に溶解させて、機械攪拌器と熱電対が装着された三つ口フラスコに入れた。炭酸カリウム固体物(6.44g、46.7mmol、1.5 モル等量)を加えて、混合物を室温で15時間以上攪拌した。反応の終了を薄層クロマトグラフィー(TLC)で判断した後、中程度の多孔質の(10−16μg)フリット漏斗で反応混合物内の固体を濾過し、250mLのメタノール2部でリンスした。得られた濾液を、機械攪拌器と熱電対が装着された三つ口フラスコに入れた。メタノール(40mL)で混合物を希釈し、水酸化カリウム(12.22gの87.9%w/wペレット、10.74gの純KOH、192mmol、6モル等量)を入れて、さらに水(7.5mL、0.5容量)を入れた。混合物を攪拌し、23℃から31℃への緩やかな発熱が沈殿前に見られた。混合物を室温で4時間以上攪拌した。反応の終了をTLCで判断した後、中程度の多孔質の(10−16μg)フリット漏斗で濾過し、10mLのメタノール2部でリンスした。濾液を真空中で濃縮し(20−25mmHg、30−35℃の槽)、ペースト状で焦げ茶色の残留物を得た。残留物を水(150mL、10容量)とメチルtert-ブチルエーテル(MTBE、70mL、4.7容量)に溶解させた。層を分離して、上側の有機物層を廃棄した。3M(モル)塩酸水溶液(95mL)で、下側の含水層をpH〜1の酸性にした。混合物を室温で4時間以上攪拌した。この時点で、不浄な白色固体が生成した。酢酸エチル(EtOAc、150mL、10容量)を加えて、その固体を溶解させ、層を分離した。下側のpH〜1の含水層を、100mL(6.7容量)のEtOAc2部で再抽出した。纏めた茶色の上側有機物層を、7%w/w炭酸水素カリウム水溶液(80mL、5.3容量)で洗浄した。下側の含水層は焦げ茶色をしており、そのpHは11であった。層を分離して、下側の含水層を80mL(5.3容量)のEtOAc2部で再抽出した。溶媒を減圧下で除去した。5容量のトルエンで水を追い出した。得られた固体は、予想した収率を超えていた。反応収率を定量的に推定した。
【0102】
幾つかの場合では、幾らかの固体(p-フェニル 安息香酸カリウム塩)が、層間の界面に存在して、相分離がはっきり見えるのを妨げるかも知れない。これが起こる場合、下側の含水層のバルクが抜かれて、残りの混合物(僅かな含水下側層と全ての上側有機物層)が、中程度の多孔質の(10−16μg)フリット漏斗で濾過されるだろう。得られた濾液の層はその後分離されるだろう。
【0103】
ステップC:ラクトンbis-TBDMS保護ジオール化合物の混合物(1a)/(Epi-1a)の調製
【化38】

【0104】
機械攪拌器及び熱電対が装着された三つ口フラスコに、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF、60mL、64容量)に溶解したラクトンジオール化合物の混合物 (4a)/(Epi-4a)(9.4g、31mmol、1モル等量)を入れた。塩化tert-ブチルジメチルシリル(TBDMSCI、11.65g、77.30mmol、25モル等量)と、イミダゾール(7.38g、108mmol、3.5モル等量)と、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP、1.13g、9.2mmol、0.3モル等量) とを加えて、混合物を室温を15時間以上攪拌した。反応の終了をTLCで判断した後、反応混合物を0±5℃まで冷却した。その後、酢酸エチル-ヘプタン溶液(1:1v/v、80mL、8,5容量)で反応混合物を希釈した。5%クエン酸水溶液で混合物をpH〜4まで酸化した。層を分離した。酢酸エチル-ヘプタン溶液(1:1v/v、80mL、8.5容量)2部で含水相を再抽出した。纏めた上側有機物層を結集し、減圧して濃縮し、化合物の粗混合物 1a/Epi-1aを残留物として得た。
【0105】
ステップD及びステップE:
【化39】

【0106】
ステップD:鏡像異性的に富化された化合物(1a)を得るために、ラクトンbis-TBDMS保護ジオール化合物の混合物(1a)/(Epi-1a)を結晶化
【0107】
残留物(上述のステップCで調製された化合物の粗混合物(1a)/(Epi-1a))をメタノール(135mL、14.4容量)に溶解させて、機械攪拌器及び熱電対が装着された500mLの三つ口フラスコに入れた。混合物を室温で攪拌した。攪拌した溶液に脱イオン水(10.5mL、1.1容量)をゆっくり加えた。白色固体が結晶化した。混合物を室温で1時間以上攪拌した。混合物を0±5℃まで冷却した。中程度の多孔質の(10−16μg)フリットガラス製漏斗で白色固体を濾過し、15mLの脱イオン水3部でリンスし、収集し、真空下(5mmHg、45℃)で乾燥させ、白色固体として表題の化合物(14.27g、86.5%の再結晶化回収,85%の全収率)を得た; 1H−NMR(500MHz;CDCl3) d 7.31−7.27(m,2H)、7.22−7.16(m,3H)、5.58−5.53(m,1H)、5.46−5.40(m,1H)、4.99−4.94(m,1H)、4.17−4.12(m,1H)、4.03−3.98(m,1H)、2.81−2.73(m,1H)、2.72−2.57(m,3H)、2.51(dd、1H、J=18.3Hz)、2.50−2.45(m,1H)、2.28−2.22(m,1H)、2.03−1.98(m,1H)、1.88−1.74(m,2H);MS(ESI+) m/z553.8(M+Na+)。
【0108】
ステップE:鏡像異性的に富化されたラクトンbis-TBDMS保護ジオール化合物(1a)の再結晶化
【0109】
上記のステップDの結晶化物質は、ステップDで説明された結晶化手順を繰り返すことで再結晶化されてよく、化合物(1a)が更に富んだ固体化合物が得られる。
【0110】
以下の表は、実施例1の手順で説明されたように得られた混合物の3a/Epi-3a及び1a/Epi-1aのエピマー比を記録しており、それらは、HPLC-UVで特定されている。エピマー対の単一体間の相対吸収度は、等しいと仮定されている。
【表1】

【0111】
実施例2:(3aR,4R,5R,6aS)-5-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-4-((R)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-フェニルペンチル)ヘキサヒドロ-2H-シクロペンタ[b]フラン-2-オン(ラクトンbis-TBDMS保護ジオール化合物2a)の調製
【0112】
ステップA:ラクトンbis-TBDMS保護ジオール化合物の2a/Epi-2aの調製
【化40】

ラクトンbis-TBDMS保護ジオール化合物1a/Epi-1a混合物(実施例1、3.05g、5.75mmol、1モル等量)をEtOAc(30mL、10 容量)に溶解させて、窒素を充填させた圧力管に入れた。炭素担持白金(10%、0.3g、10%wt/wt、乾燥触媒)とトリエチルアミン(Et3N、0.88g、8.7mmol、1.5モル等量)を溶液に加えた。圧力管を密閉し、30ポンド毎平方インチ(psi)で3回、水素ガスでパージした。圧力管を40psiまで加圧して、室温で15時間以上振とう機で振とうした。反応の終了をTLC及びNMRで判断した後、反応混合物を濾過して触媒を除去した。減圧下で濾液を濃縮して、残留物として生成混合物を得た。
【0113】
ステップB及びステップC:
【化41】

【0114】
ステップB:ラクトンbis-TBDMS保護ジオール化合物の混合物2a/Epi-2aの結晶化
【0115】
残留物(上記の実施例2のステップBで調製された化合物の粗混合物1a/Epi-1a)をメタノール(18mL、6容量)に溶解させて、機械攪拌器及び熱電対が装着された丸底フラスコに入れた。混合物を室温で攪拌した。脱イオン水 (1,5mL、0.5容量)を攪拌した溶液にゆっくり加えた。白色固体が結晶化した。混合物を室温で一時間以上攪拌した。混合物を0±5℃まで冷却した。中程度の多孔質の(10−16μg)フリットガラス製漏斗で白色固体を濾過し、2mLの脱イオン水2部でリンスし、真空下(5mmHg、45℃)で乾燥させ、2.65g(87%)の鏡像異性的に富化された表題の化合物(2a)を白色固体として得た。
【0116】
ステップC:鏡像異性的に富化されたラクトンbis-TBDM保護ジオール化合物(2a)の再結晶化
【0117】
ステップCの結晶化物質は、実施例2のステップCで上述の結晶化手順を繰り返すことで再結晶化されてよく、化合物2aが更に富んだ固体化合物が得られる。
【0118】
以下の表は、実施例2の手順で説明されたように得られた混合物3a/Epi-3a(実施例2にて述べられていないが、ステップAの出発物質が起源とする物質)のエピマー比と、混合物1a/Epi-1aのエピマー比と、混合物2a/Epi- 2のエピマー比とを記録しており、それらは、HPLC-UVで特定されている。エピマー対の単一体間の相対吸収度は、等しいと仮定されている。この実験のセットでは、混合物1a/Epi-1aは、(実施例1のステップCの)一回の結晶化で得られており、この実施例(実施例2)のステップAの出発物質として使用された。
【表2】

【0119】
以下の表は、実施例2の手順で説明されたように得られた混合物3a/Epi-3a(実施例2にて述べられていないが、ステップAの出発物質が起源とする物質)のエピマー比と、混合物1a/Epi-1aのエピマー比と、混合物2a/Epi- 2のエピマー比とを記録しており、それらは、HPLC-UVで特定されている。エピマー対の単一体間の相対吸収度は、等しいと仮定されている。この実験のセットでは、混合物1a/Epi-1aは、(実施例1のステップDの)結晶化及び再結晶化で得られており、実施例2のステップAの出発物質として使用された。
【表3】

【0120】
実施例3:精製した(3aR,4R,5R,6aS)-5-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-4-((S,E)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-フェニルペント-1-エニル)ヘキサヒドロ-2H-シクロペンタ[b]フラン-2-オン(1a) からのビマトプロストエチルアミド(5a-2)の調製
【0121】
実施例A:高純度の(3aR,4R,5R,6aS)-5-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-4-((S,E)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-フェニルペント-1 -エニル)ヘキサヒドロ-2H-シクロペンタ[b]フラン-2-オン(1a)からの(3aR,4R,5R,6aS)-5-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-((S,E)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-フェニルペント-1-エニル)ヘキサヒドロ-2H-シクロペンタ[b]フラン-2-オール(7a)の調製
【化42】

【0122】
機械攪拌器と、窒素吸入口付き滴下漏斗(nitrogen inlet addition funnel)と、熱電対とが装着されたジャケット付フラスコに、トルエン(500mL、10容量)に溶解した(3aR,4R,5R,6aS)-5-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-4-((S,E)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-フェニルペント-1 -エニル)ヘキサヒドロ-2H-シクロペンタ[b]フラン-2-オン(1a)(実施例1で説明された方法に従って調製、50g、94mmol、1.0モル等量)からなる溶液を入れた。冷凍サーキュレータで−40℃±5℃に冷却する一方で、溶液を攪拌し続けた。トルエン(135mL、1.4モル等量)に入れた1モルのDIBAL−Hを、滴下漏斗を介してゆっくりと加える一方で、反応混合物の温度を−40℃±5℃に維持した。反応の終了をTLCで判断した後、酢酸エチル(100mL、一度に2容量)で反応混合物をクエンチ(quench)した。15分間攪拌した後、ロッシェル塩の30%溶液(500mL、10容量)を加えて、混合物を室温で一晩攪拌した。層を分離し、下側の含水層を廃棄した。上側の有機物層を減圧下で濃縮して、油を得た。約2乃至18時間、得られた油を高真空下で更に乾燥し、表題の中間体(50g、定量的収率)を油として得た。
【0123】
ステップB:(3aR,4R,5R,6aS)-5-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-4-((S,E)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-フェニルペント-1-エニル)ヘキサヒドロ-2H-シクロペンタ[b]フラン-2-オール(7a)からの(Z)-7-((1R,2R,3R,5S)-3-tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-2-((S,E)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-フェニルペント-1-エニル)-5-ヒドロキシシクロペンチル)へプト-5-エン酸(8a-1a)と、(Z)-7-((1R,2R,3R,5S)-5-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-2-((S,E)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-フェニルペント-1-エニル)-3-ヒドロキシシクロペンチル)へプト-5-エン酸(8a-1b)との混合物の調製
【化43】

【0124】
ステップB.1:イリド生成
【0125】
機械攪拌器と、窒素吸入口付き滴下漏斗と、熱電対とが装着されたジャケット付フラスコに、無水THF(750mL、15容量)と共に、 (4-カルボキシブチル)トリフェニルホスホニウムブロミド(103.7g、234.0mmol、2.5モル等量)を入れた。カニューレを用いて、ナトリウムbis(トリメチルシリル)アミド(NaHMDS、THF中に1M、505mL、5.4モル等量) を滴下漏斗に入れて、反応容器の内部温度を20±5℃に維持するのに適切なレートで、反応容器内にて攪拌されているスラリーに滴下して加えた。80乃至100分間、20±5℃で混合物を攪拌し、その後、冷凍サーキュレータを用いて、−15±5℃に冷却した。
【0126】
ステップB.2:イリドとラクトール(7a)の反応
【0127】
(3aR,4R,5R,6aS)-5-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-4-((S,E)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-フェニルペント-1-エニル)ヘキサヒドロ-2H-シクロペンタ[b]フラン-2-オール(7a)(50g、93.9mmol、1モル等量) をTHF(150mL、3容量)に溶解させて、内部反応温度を−15±5℃に維持するのに適切なレートで反応混合物に加えた。添加を終えた後、反応混合物の温度を調整して、内部温度を−5±2.5℃にした。3乃至6時間、反応混合物を攪拌する一方で、内部温度を−5±2.5℃に維持した。TLCで反応の終了を判断した後、20%塩化アンモニウム(水)溶液(1000mL、20容量)を冷却された反応容器にゆっくりと加えて、反応混合物をクエンチした。1:1v/vヘプタン-酢酸エチル(500mL、10容量) からなる溶液を反応混合物に加えて、1乃至18時間、室温で(15−30℃)攪拌した。層を分離して、下側の含水層を1:1v/vヘプタン-酢酸エチル(250mL、5容量)からなる溶液で再抽出した。纏めた有機物層を合わせて、7%ブライン溶液(250mL、5容量)で5回洗浄した。上側の有機物層を減圧下で濃縮した。得られた油をヘプタン(500mL、10容量)に溶解させ、減圧下で濃縮した。得られた油をヘプタン(500mL、10容量)に溶解させ、完全に溶解するまで15分間攪拌した。溶液を−20℃に冷却した。粗いフリット漏斗を用いて混合物を濾過して固体を除去した。減圧下で、濾液を油まで濃縮した。約2乃至18時間、得られた油を更に乾燥させて、表題の中間体混合物(57g、定量的収率)を淡黄色の油として得た。
【0128】
下の表は、実施例3のステップBで作られた4つの生成物、つまり、(8a-1a)、(8a-1b)、及び、trans-(8a-1a)とtrans-(8a-1b)と称する(8a-1a)と(8a-1b)の各々のtrans異性体の配分を示している。ステップB.1の塩基、時間及び反応温度のパラメータを変えており、ステップB.2の時間及び反応のパラメータを変えている。
【表4】

【0129】
ステップC:(Z)-7-((1R,2R,3R,5S)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-2-((S,E)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-フェニルペント-1-エニル)-5-ヒドロキシシクロペンチル)へプト-5-エン酸(8a-1a)と(Z)-7-((1R,2R,3R,5S)-5-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-2-((S,E)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-フェニルペント-1-エニル)-3- ヒドロキシシクロペンチル)へプト-5-エン酸(8a-1b)との混合物からの(Z)-7-((1R,2R,3R,5S)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)- 2-((S,E)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-フェニルペント-1-エニル)-5-ヒドロキシシクロペンチル)-N-エチルへプト-5-エナミド(9a-2a)と(Z)-7-((1R,2R,3R,5S)-5-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-2-((S,E)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-フェニルペント-1-エニル)-3-ヒドロキシシクロペンチル)-N-エチルへプト-5-エナミド(9a-2b)との混合物の調整
【化44】

【0130】
機械攪拌器と、窒素吸入口付き滴下漏斗と、熱電対とが装備された三つ口丸底フラスコに、ジクロロメタン(570mL、10容量)に入れた粗のbis-TBDMSビマトプロスト遊離酸混合物(8a-1a)及び(8a-1b)(57g、92mmol、1モル等量)からなる溶液を入れた。N-ヒドロキシスクシンイミド(21.2g、185mmol、2モル等量)を溶液に加えて、続いて、Ν,Ν’-ジシクロヘキシルカルボイミド(DCC、38.1g、185mmol、2モル等量)を加えた。20±5℃で少なくとも2時間、混合物を攪拌した。反応の終了をTLCで判断した後、焼結ガラス漏斗で反応混合物を濾過し、ジクロロメタン(115mL、2容量)で固体を洗浄した。丸底フラスコに濾液を戻して、THF(93mL、2モル等量)に入れた2Mエチルアミンで処理した。一晩を超えず、少なくとも2時間、室温で反応混合物を攪拌した。反応の終了をTLCで判断した後、焼結ガラス漏斗で反応混合物を濾過し、ジクロロメタン(115mL、2容量)で固体を洗浄した。脱イオン水(3×250mL、3×4.4容量)で反応混合物を洗浄した。減圧下で有機溶液を濃縮して、表題の中間体の混合物(63.4g)を油として得た。
【0131】
ステップD:(Z)-7-((1R,2R,3R,5S)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-2-((S,E)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-フェニルペント-1-エニル)-5-ヒドロキシシクロペンチル)-N-エチルヘプト-5-エナミド(9a-2a)と、(Z)-7-((1R,2R,3R,5S)-5-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-2-((S,E)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-フェニルペント-1-エニル)-3-ヒドロキシシクロペンチル)-N-エチルヘプト-5-エナミド(9a-2b)との混合物からのビマトプロストエチルアミド(5a-2)の調整
【化45】

【0132】
機械攪拌器と、窒素吸入口付き滴下漏斗と、熱電対とが装備された三つ口丸底フラスコに、THF(570mL、10容量)に入れた(Z)-7-((1R,2R,3R,5S)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-2-((S,E)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-フェニルペント-1-エニル)-5-ヒドロキシシクロペンチル)-N-エチルヘプト-5-エナミド(9a-2a)と、(Z)-7-((1R,2R,3R,5S)-5-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-2-((S,E)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-フェニルペント-1-エニル)-3-ヒドロキシシクロペンチル)-N-エチルヘプト-5-エナミド(9a-2b)との混合物(57g、89mmol、1モル等量)からなる溶液を入れた。テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF、355mL、355mmol、4モル等量)を溶液に一度に加えた。40±5℃で一晩、混合物を攪拌した。反応の終了をTLCで判断した後、酢酸エチル(400mL、7容量)で希釈し、5±5℃に冷却した。反応物に脱イオン水(570mL、10容量)を加えた。層を分離して、下側の含水層を、塩化ナトリウム(100g)の1.8部で処理し、酢酸エチル(400mL、7容量)で再抽出した。減圧下で有機溶液を濃縮した。 酢酸エチル(420mL、7,4容量)に残留物を溶解させて、7%塩化ナトリウム溶液(4×240mL、4×4.2容量)を加えた。減圧下で有機溶液を濃縮し、油状の生成物(52g)を得た。アナロジックス(AnaLogix)(登録商標)フラッシュシリカカラム(600g)で粗生成物を精製した。溶離液として、 酢酸エチルとメタノールを用いた。生成物のフラクションを合わせて、濃縮し、白色固体(23g)を得た。アセトン(184mL、8容量)に固体を溶解させて更に精製し、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE、736mL、32容量)をゆっくり加えて希釈した。室温で一晩、得られた混合物を攪拌した。混合物を5±5℃に冷却し、続いて濾過し、MTBE(2×50mL)で固体を洗浄した。約50℃で真空下で固体を乾燥し、白色固体(21.5g)を得た。得られた固体をアセトン(170mL、8容量)に溶解させて、MTBE(690mL、32容量)をゆっくり加えて希釈した。室温で一晩、得られた混合物を攪拌した。混合物を5±5℃に冷却し、続いて濾過し、MTBE(2×50mL)で固体を洗浄した。約50℃で真空下で固体を乾燥し、精製された表題の化合物(18.54g、HPLC−UVによる純度が>99.99%)を白色固体として得た。
【0133】
実施例4:精製された(3aR,4R,5R,6aS)-5-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-4-((R)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-フェニルペンチル)ヘキサヒドロ-2H-シクロペンタ[b]フラン-2-オン(2a)からのラタノプロストイソプロピルエステル(6a-3)の調製
【0134】
ステップA:高純度の(3aR,4R,5R,6aS)-5-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-4-((R)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-フェニルペンチル)ヘキサヒドロ-2H-シクロペンタ[b]フラン-2-オン(2a)からの(3aR,4R,5R,6aS)-5-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-4-((R)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-フェニルペンチル)ヘキサヒドロ-2H-シクロペンタ[b]フラン-2-オール(10a)の調製
【化46】

【0135】
機械攪拌器と、窒素吸入口付き滴下漏斗と、熱電対とが装備されたジャケット付き10Lフラスコに、トルエン(3000mL、10容量)に溶解させた(3aR,4R,5R,6aS)-5-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-4-((R)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-フェニルペンチル)ヘキサヒドロ-2H-シクロペンタ[b]フラン-2-オン(2a)(実施例2で説明した方法に従って調製、300.15g、563.2mmol、1モル等量)からなる溶液を入れた。攪拌している溶液を冷凍サーキュレータで−40±5℃に冷却した。滴下漏斗を介して、水素化ジイソプロピルアルミニウム(トルエン中に1M、850mL、1.5モル等量)をゆっくり加える一方で、反応混合物の温度を−40±5℃に維持した。反応の終了をTLCで判断した後、酢酸エチル(600mL、一度に2容量)で反応混合物をクエンチした。15分間攪拌した後、ロッシェル塩の30%溶液(3000mL、10容量)を加えて、混合物を室温で一晩攪拌した。層を分離して、下側の含水層を廃棄した。上側の有機物層を減圧下で濃縮した。得られた油をヘプタン(3000mL、10容量)に溶解させて、減圧下で40±5℃で濃縮した。再度、得られた油を得られた油をヘプタン(3000mL、10容量)に溶解させて、減圧下で40±5℃で濃縮した。約2乃至18時間、得られた油を高真空下で更に乾燥し、表題の中間体(298.3g、99.4%収率)を油として得た。
【0136】
ステップB:(3aR,4R,5R,6aS)-5-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-4-((R)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-フェニルペンチル)ヘキサヒドロ-2H-シクロペンタ[b]フラン-2-オール(10a)からの(Z)-7-((1R,2R,3R,5S)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-2- ((R)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-フェニルペンチル)-5-ヒドロキシシクロペンチル)へプト-5-エン酸(11a-1a)と、(Z)-7-((1R,2R,3R,5S)-5-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-2-((R)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-フェニルペンチル)-3-ヒドロキシシクロペンチル)へプト-5-エン酸(11a-b)との混合物の調製
【化47】

【0137】
機械攪拌器と、窒素吸入口付き滴下漏斗と、熱電対とが装着されたジャケット付き10Lフラスコに、無水THF(4125mL、15容量)と共に、(4-カルボキシブチル)トリフェニルホスホニウムブロミド(570.5g、1287mmol、2.5モル等量) を入れた。カニューレを用いて、ナトリウムbis(トリメチルシリル)アミド(NaHMDS、THF中に1M、2780mL、5.4モル等量) を滴下漏斗に入れて、反応容器の内部温度を20±5℃に維持するのに適切なレートで、反応容器内にて攪拌されているスラリーに滴下して加えた。80乃至100分間、20±5℃で混合物を攪拌し、その後、冷凍サーキュレータを用いて、−15±5℃に冷却した。
【0138】
(3aR,4R,5R,6aS)-5-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-4-((R)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-フェニルペンチル)ヘキサヒドロ-2H-シクロペンタ[b]フラン-2-オール(10a) (296.6g、555mmol、1モル等量)をTHF(1100mL、4容量)に溶解させて、内部反応温度を−15±5℃に維持するのに適切なレートで、反応混合物に加えた。添加を終えた後、反応混合物の温度を調整して、内部温度を−5±2.5℃にした。3乃至6時間、反応混合物を攪拌する一方で、内部温度を−5±2.5℃に維持した。TLCで反応の終了を判断した後、20%塩化アンモニウム(水)溶液(5000mL、20容量)を冷却された反応容器にゆっくりと加えて、反応混合物をクエンチした。1:1v/vヘプタン-酢酸エチル(2750mL、10容量) からなる溶液を反応混合物に加えて、1乃至18時間、室温で(15−30℃)攪拌した。層を分離して、下側の含水層を、1:1v/vヘプタン-酢酸エチル(2×1375mL、2×5容量) からなる溶液で2回再抽出した。纏めた有機物層を合わせて、7%ブライン溶液(5×1375mL、5×5容量)で5回洗浄した。上側の有機物層を減圧下で濃縮した。得られた油をヘプタン(2750mL、10容量)に溶解させ、減圧下で濃縮した。得られた油をヘプタン(2750mL、10容量)に溶解させ、完全に溶解するまで15分間攪拌した。溶液を−20℃に冷却した。粗いフリット漏斗を用いて混合物を濾過して固体を除去した。減圧下で、濾液を油まで濃縮した。約2乃至18時間、得られた油を更に乾燥させて、表題の中間体混合物(364.4g、定量的収率)を淡黄色の油として得た。
【0139】
ステップC:(Z)-7-((1R,2R,3R,5S)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-2-((R)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-フェニルペンチル)-5-ヒドロキシシクロペンチル)ヘプト-5-エン酸(11a-1a)と、(Z)-7-((1R,2R,3R,5S)-5-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-2-((R)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-フェニルペンチル)-3-ヒドロキシシクロペンチル)へプト-5-エン酸(11a-1b)との混合物からの(Z)-イソプロピル 7-((1R,2R,3R,5S)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-2-((R)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-フェニルペンチル)-5-ヒドロキシシクロペンチル)ヘプト-5-エン酸(12a-3a) と、(Z)-イソプロピル 7-((1R,2R,3R,5S)-5-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-2-((R)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-フェニルペンチル)-3-ヒドロキシシクロペンチル)ヘプト-5-エン酸(12a-3b)との混合物の調製
【化48】

【0140】
機械攪拌器と、窒素吸入口付き滴下漏斗と、熱電対とが装備された三つ口丸底フラスコに、DMF(3200mL、10 容量)に入れた(Z)-7-((1R,2R,3R,5S)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-2-((R)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-フェニルペンチル)-5-ヒドロキシシクロペンチル)へプト-5-エン酸(11a-1a)と、(Z)-7-((1R,2R,3R,5S)-5-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-2-((R)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-フェニルペンチル)-3-ヒドロキシシクロペンチル)へプト-5-エン酸(11a-1b)とからなる混合物(318.7g、1モル等量)を含む溶液を入れた。炭酸カリウム(149.5g、2.1モル等量)を溶液に加えて、その後、2-ヨードプロパン(202g、2.3モル等量)を加えた。反応混合物を40±5℃に加熱して、40±5℃で2乃至6時間攪拌した。反応の終了をTLCで判断した後、反応混合物を0±5℃に冷却した。蒸留水(6360mL、20容量)で反応混合物を希釈して、その後、5%クエン酸水溶液(4770mL、15容量)をゆっくり加えてクエンチした。1:1v/vヘプタン-酢酸エチル(3180mL、10容量)からなる溶液を加えて、5分未満、室温(15−30℃)で反応混合物を攪拌した。層を分離して、1:1v/vヘプタン-酢酸エチル(2×3180mL、2×10容量)からなる溶液で、下側の含水層を再抽出した。纏めた有機溶液を14%塩化ナトリウム溶液(3180mL、10 容量)で、洗浄し、その後、減圧下で濃縮し、油状の生成物(366.3g)を得た。ヘプタン及び酢酸エチルを溶離液として使用して、バイオタージ(登録商法)カラムを用いて粗生成物を精製した。生成物のフラクションを合わせて、濃縮し、表題の中間体の混合物(329g)を油として得た。
【0141】
ステップD:(Z)-イソプロピル 7-((1R,2R,3R,5S)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-2-((R)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-5- フェニルペンチル)-5-ヒドロキシシクロペンチル)へプト-5-エン酸(12a-3a)と、(Z)-イソプロピル 7-((1R,2R,3R,5S)-5-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-2-((R)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-フェニルペンチル)-3-ヒドロキシシクロペンチル)へプト-5-エン酸(12a-3b)との混合物からのラタノプロストイソプロピルエステル(6a-3)の調製
【化49】

【0142】
機械攪拌器と、窒素吸入口付き滴下漏斗と、熱電対とが装備された三つ口丸底フラスコに、イソプロピルアルコール(IPA) (2480mL、14容量)に入れた、(Z)-イソプロピル 7-((1R,2R,3R,5S)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-2-((R)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-フェニルペンチル)-5-ヒドロキシシクロペンチル)へプト-5-エン酸(12a-3a)と、(Z)-イソプロピル 7-((1R,2R,3R,5S)-5-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-2-((R)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-フェニルペンチル)-3-ヒドロキシシクロペンチル)へプト-5-エン酸(12a-3b)との混合物(176.2g、1モル等量)からなる溶液を加えた。1Mの塩酸水溶液(234mL、0.8モル等量)を溶液に一度に加えた。25±5℃で混合物を一晩攪拌した。反応の終了をTLCで判断した後、反応混合物を0±5℃に冷却して、10%KHCO3水溶液(880mL、5容量)でクエンチした。 酢酸イソプロピル(IPAc)(2640mL、15容量)を加えて、クエンチされた反応混合物に加えて、5分未満攪拌した。層を分離して、IPAc(2×880mL、2×5容量)で、下側の含水層を再抽出した。纏めた有機溶液を7%塩化ナトリウム水溶液(2640mL、15容量)で洗浄した。減圧下で有機溶液を濃縮して油を得た(118.1g)。アナロジックス(AnaLogix)(登録商標)シリカカラム(50μmシリカ粒子)で粗生成物を精製した。溶離液として、へプトンとIPAを使用した。生成物のフラクションを合わせて、減圧下で濃縮して、高純度の(化学的及び立体化学的に)ラタノプロストイソプロピルエステル(6a-3)(107.8g)を油として得た。
【0143】
実施例5:(Z)-イソプロピル 7-((1R,2R,3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-2-((R,E)-3-ヒドロキシ-4-(3-(トリフルオロメチル)フェノキシ)ブテ-1 -エニル)シクロペンチル)へプト-5-エン酸 (フルプロステノール イソプロピルエステル, 又はトラボプロスト(Travoprost)(登録商標))(5b-3)の調製
【0144】
ステップA:メチル 2-(3-(トリフルオロメチル)フェノキシ)アセテートの調製
【化50】

【0145】
機械攪拌器と熱電対が装着された12L三つ口丸底フラスコに、固体炭酸カリウム(709.4g、5.140mol、1.2モル等量)とアセトン(5300mL)を入れた。混合物を攪拌し、500mL滴下漏斗を用いて、1時間に渡って、3-トリフルオロメチルフェノール(694.4g、4.28mol、1.0モル等量)を滴下して加えた。添加の間、内部温度は、19.6℃から28.1℃に上昇した。アセトン(100mL)で滴下漏斗をリンスした。洗い流し液を容器に入れた。混合物を攪拌し、500mL滴下漏斗を用いて、1時間に渡って、クロロ酢酸メチル(786.3g、5.140mol、1.2モル等量)を滴下して加えた。アセトン(100mL)で滴下漏斗をリンスした。洗い流し液を容器に入れた。得られた混合物を攪拌し、加熱して、15時間以上還流した。反応の終了をTLCで判断して、反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチル(2000mL)及び水(2000mL)で希釈した。幾らかの固体は溶解しなかったが、明瞭な層の分離を妨げなかった。層を分離した(下側の含水層のpH: 11)。10%w/wクエン酸水溶液(2000mL)で上側の有機物層を処理した(ゆっくり加えた)。全ての固体が溶解し、層を分離した(下側の含水層のpH: 8)。真空中で(20mmHg、30−35℃の槽)、有機物層を濃縮した。得られた2相の残留物をイソプロピルアセテート(3000mL)に溶解させた。得られた2相の混合物の層を分離した(下側の含水層のpH: 8)。真空中で(20mmHg、30−35℃の槽)、上側の有機物層を濃縮した。得られた残留物を減圧下で蒸留し(沸点:126−130℃、10mmHg)、表題の中間体(861.93g、86%収率)を無色の液体として得た。
【0146】
ステップB:ジメチル 2-オキソ-3-(3-(トリフルオロメチル)フェノキシ)プロピルホスホネートの調製
【化51】

【0147】
機械攪拌器と、窒素吸入口と、熱電対を支持するクライゼンヘッドと、窒素排出口とが装着された、窒素パージ(nitrogen-purged)12L三つ口丸底フラスコに、 n-ブチルリチウム(n−BuLi、1.6M、2.58L、4.13mol、2.05モル等量)及びMTBE(2580mL)を入れた。窒素を吹き流した状態で、混合物を攪拌し、ドライアイス−アセトン槽を用いて−75℃と−70℃の間に冷却した。MTBE(1032mL)に溶解させたジメチルジメチルホスホネート(524.6g、4.23mol、2.1モル等量)を、1L滴下漏斗を用いて滴下させて反応容器に入れる一方で、内部温度を−65℃未満に維持した。添加は、約3.5時間で終了した。約−70℃で0.5時間、混合物を攪拌し、THF(1800mL)に溶解させた4-トリフルオロメチル-フェノキシ-酢酸メチルエステル(471.4g、2.02mol、1.0モル等量)を1L滴下漏斗を用いて滴下させて反応容器に入れる一方で、内部温度を−65℃未満に維持した。添加は、約6時間で終了した。15時間以上、混合物を攪拌する一方で、室温まで徐々に温めた。得られた反応混合物を、氷水槽を用いて0℃と5℃の間に冷却した。1L滴下漏斗を用いて塩酸(3N、2000mL)滴下させて加える一方で、内部温度を25℃未満に維持した。層を分離した。酢酸エチル(2×750mL)2部を用いて、下側の含水層を再抽出した。纏めた有機抽出物を真空中で(20−25mmHg、30−35℃の槽)濃縮した。残留物を酢酸エチル(1550mL)に溶解させた。得られた溶液を、400mLの10%w/w重炭酸カリウム水溶液4部で洗浄した。最後の洗浄液のpHは約9であった。纏めた重炭酸カリウム洗浄液を酢酸エチル(750mL)1部で再抽出した。10%w/w塩化ナトリウム水溶液(4×650mL)4部で、纏めた有機抽出物を洗浄した。750mLの酢酸エチルで、纏めた塩化ナトリウム洗浄液を再抽出した。纏めた有機抽出物を真空中で(20−25mmHg、30−35℃の槽)濃縮した。得られた残留物を、600mLのイソプロピルアセテート2部で共沸的に(azeotropically)蒸留し、表題の中間体(783.3g、濃度:1HNMRで86.3%w/w、92.4%の濃度調整収率(potency adjusted yield))を曇った茶色の油として得た。油は、更に精製されることなく、次のステップで使用された。
【0148】
ステップC:(3aR,4S,5R,6aS)-4-(ヒドロキシメチル)-2-オキソヘキサヒドロ-2H-シクロペンタ[b]フラン-5-イル ビフェニル-4-カルボキシレート((-)-コーリーアルコール、PPB保護)からの(3aR,4R,5R,6aS)-4-ホルミル-2-オキソヘキサヒドロ-2H-シクロペンタ[b]フラン-5-イル ビフェニル-4-カルボキシレート((-)-コーリーアルデヒド、PPB保護)の調製
【化52】

【0149】
機械攪拌器及び熱電対が装着されたジャケット付20L反応器に、PPB保護(-)-コーリーアルコール(250g、0.71mol、1モル等量)、トリクロロイソシアヌル酸(66g、0.29mol、0.4モル等量)、カリウムアセテート(166.9g、1.74mol,2.4モル等量)、及びジクロロメタン(8000mL)を入れた。混合物を攪拌し、サーキュレータで−5℃に冷却した。混合物が所望の温度になると、ジクロロメタン(3mL)に溶解させた2,2,6,6-テトラメチル-ピペリジン-1-オキシル(TEMPO、1.13g、7mmol、0.01モル等量)からなる溶液を、ピペットで一度に入れた。混合物は、白色から明るいオレンジ色に30秒以内で変化した。内部温度は5分以内に17℃に上昇した。サーキュレータを3℃に調節し、混合物を一時間攪拌した。攪拌して15分後、明るいオレンジ色が白色に変わって、内部温度は徐々に下がり始め、3℃になった。得られた白色のスラリーを5%w/w重炭酸カリウム水溶液(5000mL)で処理した(かなり発泡した)。得られた白色の反応混合物を、粗い多孔質の(40−60μm)フリットガラス製漏斗で濾過した。濾過は非常にゆっくりできた。ジクロロメタン(1000mL)で反応器をリンスした。洗い流し液を濾材に通した。得られた2相の濾液の層を分離し、10%w/wヨウ化カリウム水溶液(2500mL)、10%w/wチオ硫酸ナトリウム水溶液(2500mL)、及び10%w/wリン酸二水素カリウム(2500mL)で、下側のジクロロメタン層を洗浄した。下側のジクロロメタン層を硫酸マグネシウム(500g)上で乾燥させた。固体を濾過し、表題の中間体を濾液として次のステップに持ち込んだ。
【0150】
ステップD:PPB保護(-)-コーリーアルデヒドからの(3aR,4R,5R,6aS)-2-オキソ-4-((E)-3-オキソ-4-(3-(トリフルオロメチル)フェノキシ)ブテ-1 -エニル)ヘキサヒドロ-2H-シクロペンタ[b]フラン-5-イル ビフェニル-4-カルボキシレートの調製
【化53】

【0151】
機械攪拌器及び熱電対が装着されたジャケット付20L反応器に、粗のPPB保護(-) コーリーアルデヒドのジクロロメタン溶液(ステップCの濾液、理論上248.4gのアルデヒド、0.71mol、1.0モル等量)と、ジメチル 2-オキソ-3-(3-(トリフルオロメチル)フェノキシ)プロピルホスホネート(ステップBで調製、86.3%w/wの濃度で294.8g、理論上254.4gのホスホネート、0.78mol、1.1モル等量)と、炉乾燥塩化リチウム(32.8g、0.78mol、1.1モル等量)とを入れて、テトラヒドロフラン(2000mL)に溶解させた。得られた濁った混合物をサーキュレータで−10℃に冷却した。125mL滴下漏斗を用いて、30分に渡ってトリエチルアミン(NEt3、108.5mL、78.8g、0.78mol、1.1モル等量)を滴下して加えた。添加が終わると、サーキュレータを−5℃に調整し、この温度で、15時間以上、混合物を攪拌した。反応の終了を1HNMRで判断した後、5%w/wクエン酸水溶液(2500mL)で混合物を処理した。層を分離した(上側の含水層のpH:3)。下側のジクロロメタン層を真空中で(20−25mmHg、30−35℃の槽)濃縮し、約1250mLの体積にした。得られた残留物を、2500mLのメタノール2部で共沸的に蒸留した。最終体積が約1250mLになると、毎回蒸留を止めた。2回目の共沸蒸留の間に白色固体が結晶化した。中程度の多孔質の(10−16μm)のフリットガラス製漏斗をで固体を濾過し、250mLのメタノール3部でリンスし、収集し、真空下(5mmHg、25℃)で乾燥させ、表題の(184.6g、PPB保護(-)-コーリーアルコールから2回のステップで47%の収率)を白色固体として得た。
【0152】
ステップE:(3aR,4R,5R,6aS)-2-オキソ-4-(((E)-3-オキソ-4-(3-(トリフルオロメチル)フェノキシ)ブテ-1-エニル)ヘキサヒドロ-2H-シクロペンタ[b]フラン-5-イル ビフェニル-4-カルボキシレートからの(3aR,4R,5R,6aS)-4-((R,E)-3-ヒドロキシ-4-(3-(トリフルオロメチル)フェノキシ)ブテ-1-エニル)-2-オキソヘキサヒドロ-2H-シクロペンタ[b]フラン-5-イル ビフェニル-4-カルボキシレート(3b)と、(3aR,4R,5R,6aS)-4-((S,E)-3-ヒドロキシ-4-(3-(トリフルオロメチル)フェノキシ)ブテ-1-エニル)-2-オキソヘキサヒドロ-2H-シクロペンタ[b]フラン-5-イル ビフェニル-4-カルボキシレート(Epi-3b)とからなる混合物の調整
【化54】

【0153】
機械攪拌器及び熱電対が装着され、窒素でフラッシュされたジャケット付20L反応器に、(-)-B-クロロジイソピノカンフェイルボラ((-)-DPC) 溶液(63%w/wヘプタン溶液で878.57g、理論上553.5gの(-)-DPC、1.72mol、3.5モル等量)と、テトラヒドロフラン(1200mL)とを入れた。そして、−43℃に設定されたサーキュレータで、混合物を−40℃に冷却した。テトラヒドロフラン(1800 mL)に溶解させた(3aR,4R,5R,6aS)-2-オキソ-4-((E)-3-オキソ-4-(3-(トリフルオロメチル)フェノキシ)ブテ-1 -エニル)ヘキサヒドロ-2H-シクロペンタ[b]フラン-5-イル ビフェニル-4-カルボキシレート(ステップDで調製、271.4g、0.493mol、1.0モル等量) を、1L滴下漏斗を用いて滴下して加える一方で、内部温度を−35℃未満に維持した。添加が終わると、−42℃と−38℃の間で15時間以上、混合物を攪拌した。反応の終了をHPLCで判断した後、アセトン(253mL、200.15g、3.45mol、7.0モル等量)を加えて、混合物を室温までゆっくり温めた。MTBE(2700mL)で混合物を希釈し、8%w/w重炭酸カリウム水溶液(4000mL)で処理した。層を分離した(下側の含水層のpH:8)。上側の有機物層を真空中で(20−25mmHg、30−35℃の槽)濃縮した。4000mLのMTBE2部で残留物を共沸的に蒸留し、その後、2700mLのアセトニトリルで共沸的に蒸留した。残留物をアセトニトリル(4000mL)及びヘプタン(2700mL)に溶解させた。層を分離し、下側のアセトニトリル層を、2700mLのヘプタン3部で更に洗浄した。下側のアセトニトリル層を真空中で(20−25mmHg、30−35℃の槽)濃縮し、澄んだ明るい黄色の油として表題の中間体を得た。油状の生成物を、以下のパラメータを有する順相HPLCで分析した。
i. 溶離液:ヘキサン:エタノール:酢酸(90:10:0.1)、定組成溶離;
ii. カラム: ルナ(Luna)、4.6×150mm 3ミクロン、シリカ(2)、100Å、部品番号:00F-4162-E0;
iii. 検出波長(λ): 210nm;
iv. 結果:(3b)/(Epi-3b)混合物
【化55】

この生成物をさらに精製することなく、次のステップで使用した。
【0154】
ステップF:3b及びEpi-3bを含む混合物からのPPB保護基の除去
【0155】
機械攪拌器及び熱電対が装着された3L三つ口フラスコに、固体の炭酸カリウム(102g、0.739mol、1.5モル等量)を入れた。ステップEで調製した(3b)と(Epi-3b)の混合物(272.22g、0.493mol、1.0モル等量)を、メタノール(1350mL) に溶解させて加えた。室温で15時間以上、混合物を攪拌した。反応の終了をTLCで判断した後、中程度の多孔質の(10−16μm)のフリット漏斗で、反応混合物中の固体を濾過し、250mLのメタノール2部でリンスした。得られた濾液を、機械攪拌器及び熱電対が装着された12L三つ口フラスコに入れた。メタノール(6300mL)で混合物を希釈し、水酸化カリウム(KOH、191.8gの87.9%w/wペレット, 理論的に168.4gのKOH、3.01mol、6.1モル等量)、更に水(135mL)を加えた。混合物を攪拌し、23℃から31℃への緩やかな発熱が、沈殿前に観測された。室温で15時間以上、混合物を攪拌した。反応の終了をTLCで判断した後、混合物を真空中で(20−25mmHg、30−35℃の槽)濃縮し、ペースト状の焦げ茶色の残留物を得た。残留物を水(2700mL)とMTBE(2700mL)に溶解させた。層を分離し、上側の有機物層を廃棄した。3N塩酸(1630mL)を用いて、下側の含水層をpH1に酸化した。不純な白色固体が生成した。MTBE(2700mL)を加えて、固体を溶解し、層を分離した。1350mLのMTBE2部を用いて、下側のpH1の含水層を再抽出した。纏めた茶色の上側の有機物層を、7%w/w炭酸カリウム水溶液(2700mL)で洗浄した。下側の含水層は焦げ茶色をしており、pHは11であった。層を分離し、1350mLのMTBE2部で、下側の含水層を再抽出した。幾らかの固体(p-フェニル安息香酸カリウム塩)が層の界面にあって、相分離が明瞭に見えるのを妨げた。下側の含水層のバルクを捨てて、残りの混合物(僅かな含水下側層と全ての上側有機物層)を中程度の多孔質の(10−16μm)のフリット漏斗で濾過した その後、得られた濾液の層を分離した。機械攪拌器及び熱電対が装着された12L三つ口フラスコに、纏めたMTBE層を入れた。水酸化カリウム(53.4gの87.9%w/wペレット、理論上46.93gのKOH、0.838mol、1.7モル等量)を水(2700mL)に入れた溶液を加えて、得られた2相の混合物を、室温で15時間以上激しく攪拌した。反応の終わりをTLCで判断した後、5L三つ口フラスコに含まれており機械的に攪拌した、酢酸エチル(2700mL)に入れたクエン酸(161g、0.838mol、1.7モル等量)のスラリーに、下側の含水層を注いだ。15乃至20分攪拌した後、層を分離した。1250mLの酢酸エチル5部で、含水相を再抽出した。纏めた酢酸エチル抽出物を真空中で(50mmHg、25℃の槽)濃縮し、約2160mLの体積にした。更に、得られた混合物を、1350mLの酢酸エチル2部で、共沸的に蒸留した。最終体積が約2160mLになると、毎回、蒸留を止めた。一回目の共沸蒸留の最後にて、白色固体が析出し始めた。中程度の多孔質の(10−16μm)のフリットガラス製漏斗で白色固体を濾過し、270mLの酢酸エチル2部でリンスし、収集し、真空下(5mmHg、25℃)で乾燥させて、生成混合物(95.5g、(3aR,4R,5R,6aS)-2-オキソ-4-((E)-3-オキソ-4-(3-(トリフルオロメチル)フェノキシ)ブテ-1 -エニル)ヘキサヒドロ-2H-シクロペンタ[b]フラン-5-イル ビフェニル-4-カルボキシレートから3回のステップで49.6%の収率)を少し灰色な白色固体として得た。生成混合物は、以下に示すように、2-((1R,2R,3R,5S)-3,5- ジヒドロキシ-2-((R,E)-3-ヒドロキシ-4-(3-(トリフルオロメチル)フェノキシ)ブテ-1-エニル)シクロペンチル)酢酸(13b)と、2-((1R,2R,3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-2-((S,E)-3-ヒドロキシ-4-(3-(トリフルオロメチル)フェノキシ)ブテ-1-エニル)シクロペンチル)酢酸(Epi-13b)と、(3aR,4R,5R,6aS)-5-ヒドロキシ-4-((R,E)-3-ヒドロキシ-4-(3-(トリフルオロメチル)フェノキシ)ブテ-1-エニル)ヘキサヒドロ-2H-シクロペンタ[b]フラン-2-オン(4b)とを含んでいた。
【化56】

固体は、以下のパラメータを有する順相HPLCで分析された。
i. 溶離液:ヘキサン:エタノール:酢酸(90:10:0.1), 定組成溶離
ii. カラム: ルナ、4.6×150mm 3ミクロン、シリカ(2)、100Å、部品番号:00F-4162-E0;
iii. 検出波長(λ): 210nm;
iv. 結果:(13b)/(Epi-13b)乃至(4b)比=99.69/0.31; (13b)/(Epi-13b)混合物の保持時間=23.549分;(4b)の保持時間=27.037分;(13b)/(Epi-13b)の相対比は、それらの条件下で2つの対象物が分離しなかったので評価されなかった。
【0156】
ステップG:化合物(13b)、(Epi-13b)及び(4b)を含む混合物を、化合物(4b)及び(Epi-4b)を含む混合物に変換
【0157】
機械攪拌器及び熱電対が装着された1L三つ口フラスコに、化合物(13b)、化合物(Epi-13b)及び化合物(4b)を含む混合物(ステップFで調製、47.5g、0.122mol、1.0モル等量)と、p-トルエンスルホン酸水和物(2.32g、0.0122mol、0.1モル等量)とを固体として入れた。酢酸エチル(380mL)を加えて、得られた白色のスラリーを室温で攪拌した。15分間攪拌した後、固体を完全に溶解させて、反応の終了をTLCで判断した。混合物を更に一時間室温で攪拌し、その間に白色固体が析出した。ドライアイス−アセトン槽を用いて、混合物を−24.1℃に冷却した。中程度の多孔質の(10−16μm)のフリットガラス製漏斗で白色固体を濾過し、50mLの酢酸エチル2部でリンスし、収集し、真空下(5mmHg、25℃)で乾燥させて、表題の中間体混合物(33.4g、73.7%の収率)を白色固体として得た。 順相HPLC分析は以下のパラメータを有している。
i. 溶離液:ヘキサン:EtOH:AcOH(90:10:0.1)、定組成溶離
ii. カラム: ルナ、4.6×150mm 3ミクロン、シリカ(2)、100Å、部品番号:00F-4162-E0
iii. 検出波長(λ): 210nm;
iv. 結果:
【化57】

【0158】
ステップH:(4b)/(Epi-4b)混合物からの高純度の(3aR,4R,5R,6aS)-5-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-4-((R,E)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-4-(3-(トリフルオロメチル)フェノキシ)ブテ-1-エニル)ヘキサヒドロ- 2H-シクロペンタ[b]フラン-2-オン(1b)の調製
【化58】

【0159】
機械攪拌器及び熱電対が装着された1L三つ口フラスコに、(4b)/(Epi-4b)を含む混合物(ステップGで調製、25g、0.067mol、1.0モル等量)、イミダゾール(16g、0.24mol、3.5モル等量)、DMAP(2.2g、0.018モル、0.3 モル等量)、TBDMSCI(25.3g、0.168mol、2.5モル等量)を固体として入れた。N,N-ジメチルホルムアミド(250mL)を加えて、得られた混合物を室温で攪拌した。15時間攪拌した後、固体は完全に溶解し、反応の終了がTLCで判断された。ヘプタン(250mL)で 混合物を希釈し、氷水槽で5.0℃に冷却した。その後、5%w/wクエン酸水溶液(375mL)で混合物を処理した。24℃への発熱があった。冷却槽を除去した。2相の混合物の層を分離した(下側の含水層のpH:5.5乃至6)。ヘプタン-酢酸エチル[(1:1)、250mL]で下側の含水層を再抽出した。纏めた上側の有機物層を真空中で(20−25mmHg、30−35℃の槽)濃縮し、固体残留物を得た。メタノール(365mL)に固体残留物を溶解させた。得られた溶液を、機械攪拌器及び熱電対が装着された1L三つ口フラスコに移した。60mL滴下漏斗を用いて5分間水(30mL)を加えた。白色固体が析出した。中程度の多孔質の(10−16μm)のフリットガラス製漏斗で白色固体を濾過し、50mLの水2部でリンスし、収集し、真空下(5mmHg、25℃)で48時間乾燥させて、表題の中間体混合物(36.1g、89.4%の収率)を白色固体として得た。融点91−93℃;1HNMR(400MHz、CDCl3) δ7.38(t、J=8.06Hz、1H)、7.20(d、J=7.57Hz、1H)、7.08(s、1H)、7.04(d、J=8.3Hz、1H)、5.64(m、2H)、4.94(td、J1=7.08Hz、J2=2.20Hz、1H)、4.51(m、1H)、3.99(q、J=5.86Hz、1H)、3.86(d、J=5.86Hz、2H)、2.75(dd、J1=17.82Hz、J2=0.01Hz、1H)、2.63(qd、J1=7.33、J2=2.20Hz、1H)、2.47(dd、J1=17.82Hz、J2=2.20Hz、1H)、2.46(m、1H)、2.30(dt、J1=14.90Hz、J2=6.60Hz、1H)、1.97(ddd、J1=11.23Hz、J2=5.37Hz、J3=2.20Hz、0.90(s、9H)、0.87(s、9H)、0.09(s、6H)、0.05(s、3H)、0.04(s、3H)。
【0160】
表題の生成物(1b)は、式(5b)及び(6b)のPGF2α類似体の調製に使用されてよい。例えば、実施例3のステップA、B及びD(ステップCは飛ばす)にて、(1b)が(1a)に置き換わって、高純度の(+)-フルプロステノール遊離酸が調製されてよい。(+)-フルプロステノール遊離酸が(11a-1a)/(11a-1 b)混合物の代わりに使用される場合を除いて、実施例4のステップCで説明した条件を用いて、(+)-フルプロステノール遊離酸は、 高純度の(+)-フルプロステノールイソプロピルエステル(トラボプロスト(登録商標))に変換されてよい。
【0161】
本明細書の実施例は、>90:10(つまり、不要な立体異性体に対する所望の立体異性体が90%を超えている)から始めて、「粗の」(1)/(Epi-1)又は(2)/(Epi-2)等モル混合比の精製を説明した。(1)/(Epi-1)又は(2)/(Epi-2)の等モル混合比が約1:1と90:10の間であるそれらの固体混合物も、本明細書で説明された方法で精製されてよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)に従った固体化合物であって、
【化59】

ここで、R1は、
【化60】

であり、
Yは、CH2、O、S、又はNHであり、
1、X2、X3、X4、及びX5は個々に、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、(C1-C3)-アルキル, (C1-C3)-アルコキシ, 又は(C1-C3)-アルキルチオである固体化合物。
【請求項2】
下記式(1a)に従った固体化合物。
【化61】

【請求項3】
下記式(1b)に従った固体化合物。
【化62】

【請求項4】
下記式(1c)に従った固体化合物。
【化63】

【請求項5】
下記式(2)に従った固体化合物であって、
【化64】

ここで、R1は、
【化65】

であり、
Yは、CH2、O、S、又はNHであり、
1、X2、X3、X4、及びX5は個々に、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、(C1-C3)-アルキル, (C1-C3)-アルコキシ, 又は(C1-C3)-アルキルチオである固体化合物。
【請求項6】
下記式(2a)に従った固体化合物。
【化66】

【請求項7】
下記式(1)に従った高純度の固体化合物を生成する方法において、
【化67】

(a) 下記式(C1)に従った化合物を準備する工程であって、
【化68】

ここで、R1は、
【化69】

であり、
Yは、CH2、O、S、又はNHであり、
1、X2、X3、X4、及びX5は個々に、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、(C1-C3)-アルキル、(C1-C3)-アルコキシ、又は(C1-C3)-アルキルチオであり、
1及びQ2の各々は個々に、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)ではない保護基であるか、Q1及びQ2の一方はTBDMSであって、他方はTBDMSではない保護基であるか、又は、Q1及びQ2の一方は水素であって、他方はTBDMSではない保護基である工程と、
(b) 式(C1)に従った化合物からTBDMSではない保護基Q1及びQ2を除去して、下記式(B1)に従った化合物を生成する工程であって、
【化70】

ここで、Q3及びQ4の各々は水素であるか、又は、Q3及びQ4の一方はTBDMSであって、他方は水素である工程と、
(c) tert-ブチルジメチルシリル化工程により、式(B1)に従った化合物を下記式(A1)に従った化合物に変換する工程であって、式(A1)に従った化合物は、脂肪鎖のα-OTBDMS及びβ-OTBDMSの混合物を含んでおり、当該混合物は、脂肪鎖α-OTBDMS/β-OTBDMS混合比を規定する工程と、
【化71】

(d) 式(A1)に従った化合物を精製して、式(1)に従った化合物の固体析出物を生成する工程であって、式(1)に従った化合物の固体析出物の脂肪鎖α-OTBDMS/β-OTBDMS混合比は、式(A1)に従った化合物のα-OTBDMS/β-OTBDMS混合比よりも高い工程と、
を含む方法。
【請求項8】
下記式(1)に従った高純度の固体化合物を生成する方法において、
【化72】

(a)下記式(C1)に従った化合物を準備する工程であって、
【化73】

ここで、R1は、
【化74】

であり、
Yは、CH2、O、S、又はNHであり、
1、X2、X3、X4、及びX5は個々に、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、(C1-C3)-アルキル、(C1-C3)-アルコキシ、又は(C1-C3)-アルキルチオであり、
1及びQ2の各々は個々に、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)ではない保護基であるか、Q1及びQ2の一方はTBDMSであって、他方はTBDMSではない保護基であるか、又は、Q1及びQ2の一方は水素であって、他方はTBDMSではない保護基である工程と、
(b) 式(C1)に従った化合物の保護基Q1及びQ2を除去して、下記式(B1)に従った化合物を生成する工程であって、
【化75】

ここで、Q3及びQ4の各々は水素である工程と、
(c) tert-ブチルジメチルシリル化工程により、式(B1)に従った化合物を下記式(A1)に従った化合物に変換する工程であって、式(A1)に従った化合物は、脂肪鎖のα-OTBDMS及びβ-OTBDMSの混合物を含んでおり、当該混合物は、脂肪鎖α-OTBDMS/β-OTBDMS混合比を規定する工程と、
【化76】

(d) 式(A1)に従った化合物を精製して、式(1)に従った化合物の固体析出物を生成する工程であって、式(1)に従った化合物の固体析出物の脂肪鎖α-OTBDMS/β-OTBDMS混合比は、式(A1)に従った化合物のα-OTBDMS/β-OTBDMS混合比よりも高い工程と、
を含む方法。
【請求項9】
式(A1)に従った化合物を精製する工程(d)は、
(e) 式(A1)に従った化合物を有機溶媒に溶解させて、有機溶液を生成する工程と、
(f) 有機溶液に水を加えて固体析出物を生成する工程と、
(g) 有機溶液を濾過して固体析出物を単離する工程と、
を含んでいる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
式(A1)に従った化合物を精製する工程(d)は更に、
(h) 単離された固体析出物を有機溶媒に溶解させて、有機溶液を生成する工程と、
(i) 有機溶液に水を加えて単離された固体析出物を析出させる工程と、
(j) 有機溶液を濾過して単離された固体析出物を単離する工程と、
を含んでいる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
下記式(2)に従った高純度の固体化合物を生成する方法において、
【化77】

(a) 下記式(C1)に従った化合物を準備する工程であって、
【化78】

ここで、R1は、
【化79】

であり、
Yは、CH2、O、S、又はNHであり、
1、X2、X3、X4、及びX5は個々に、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、(C1-C3)-アルキル、(C1-C3)-アルコキシ、又は(C1-C3)-アルキルチオであり、
1及びQ2の各々は個々に、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)ではない保護基であるか、Q1及びQ2の一方はTBDMSであって、他方はTBDMSではない保護基であるか、又は、Q1及びQ2の一方は水素であって、他方はTBDMSではない保護基である工程と、
(b) 式(C1)に従った化合物からTBDMSではない保護基Q1及びQ2を除去して、下記式(B1)に従った化合物を生成する工程であって、
【化80】

ここで、Q3及びQ4の各々は水素であるか、又は、Q3及びQ4の一方はTBDMSであって、他方は水素である工程と、
(c) tert-ブチルジメチルシリル化工程により、式(B1)に従った化合物を下記式(A1)に従った化合物に変換する工程であって、式(A1)に従った化合物は、脂肪鎖のα-OTBDMS及びβ-OTBDMSの混合物を含んでおり、当該混合物は、脂肪鎖α-OTBDMS/β-OTBDMS混合比を規定する工程と、
【化81】

(d) 式(A1)に従った化合物を精製して、下記式(1)に従った化合物の固体析出物を生成する工程であって、式(1)に従った化合物の固体析出物の脂肪鎖α-OTBDMS/β-OTBDMS混合比は、式(A1)に従った化合物のα-OTBDMS/β-OTBDMS混合比よりも高い工程と、
【化82】

(e) 式(1)に従った化合物に元素水素を導入して、シクロペンチル環から出ている脂肪鎖上の二重結合を還元して、式(2)に従った化合物を生成する工程と、
を含む方法。
【請求項12】
下記式(2)に従った高純度の固体化合物を生成する方法において、
【化83】

(a) 下記式(C1)に従った化合物を準備する工程であって、
【化84】

ここで、R1は、
【化85】

であり、
Yは、CH2、O、S、又はNHであり、
1、X2、X3、X4、及びX5は個々に、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、(C1-C3)-アルキル、(C1-C3)-アルコキシ、又は(C1-C3)-アルキルチオであり、
1及びQ2の各々は個々に、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)ではない保護基であるか、Q1及びQ2の一方はTBDMSであって、他方はTBDMSではない保護基であるか、又は、Q1及びQ2の一方は水素であって、他方はTBDMSではない保護基である工程と、
(b) 式(C1)に従った化合物から保護基Q1及びQ2を除去して、下記式(B1)に従った化合物を生成する工程であって、
【化86】

ここで、Q3及びQ4の各々は水素である工程と、
(c) tert-ブチルジメチルシリル化工程により、式(B1)に従った化合物を下記式(A1)に従った化合物に変換する工程であって、式(A1)に従った化合物は、脂肪鎖のα-OTBDMS及びβ-OTBDMSの混合物を含んでおり、当該混合物は、脂肪鎖α-OTBDMS/β-OTBDMS混合比を規定する工程と、
【化87】

(d) 式(A1)に従った化合物を精製して、下記式(1)に従った化合物の固体析出物を生成する工程であって、式(1)に従った化合物の固体析出物の脂肪鎖α-OTBDMS/β-OTBDMS混合比は、式(A1)に従った化合物のα-OTBDMS/β-OTBDMS混合比よりも高い工程と、
【化88】

(e) 式(1)に従った化合物に元素水素を導入して、シクロペンチル環から出ている脂肪鎖上の二重結合を還元して、式(2)に従った化合物を生成する工程と、
を含む方法。
【請求項13】
式(A1)に従った化合物を精製する工程(d)と元素水素を導入する工程(e)とは、
(f) 式(A1)に従った化合物を有機溶媒に溶解させて、有機溶液を生成する工程と、
(g) 有機溶液に水を加えて、式(1)に従った化合物の高純度の形態の固体析出物を生成する工程と、
(f) 有機溶液を濾過して、固体析出物を単離する工程と、
(i) 単離された固体析出物を含む溶液に元素水素又は同等物を加えて、単離された固体析出物の炭素−炭素二重結合を還元して、式(2)に従った化合物を生成する工程と、
(j) 式(2)に従った化合物の固体析出物を有機溶媒に溶解させて、有機溶液を生成する工程と、
(k) 有機溶液に水を加えて、式(2)に従った化合物の高純度の形態の還元及び単離された固体析出物を析出する工程と、
(l) 有機溶液を濾過して、式(2)に従った化合物の還元及び単離された固体析出物を単離する工程と、
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
式(A1)に従った化合物を精製する工程(d)と元素水素を導入する工程(e)とは更に、
(m) 工程(i)の前に、式(1)に従った化合物の単離された固体析出物を有機溶媒に溶解させて、有機溶液を生成する工程と、
(n) 工程(m)の後であって、工程(i)の前に、有機溶液に水を加えて、式(1)に従った化合物の高純度の形態の単離された固体析出物を析出する工程と、
(o) 工程(i)の前であって、工程(n)の後に、有機溶液を濾過して、式(1)に従った化合物の単離された固体析出物を単離する工程と、
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
式(A1)に従った化合物を精製する工程(d)と元素水素を導入する工程(e)とは更に、
(m) 式(2)に従った化合物の還元及び単離された固体析出物を有機溶媒に溶解させて、有機溶液を生成する工程と、
(n) 有機溶液に水を加えて、式(2)に従った化合物の還元及び単離され、溶解した固体析出物を再析出する工程と、
(o) 式(2)に従った化合物の再析出された析出物を単離する工程と、
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
式(A1)に従った化合物を精製する工程(d)と元素水素を導入する工程(e)とは更に、
(p) 式(2)に従った化合物の還元及び単離された固体析出物を有機溶媒に溶解させて、有機溶液を生成する工程と、
(q) 有機溶液に水を加えて、式(2)の化合物の還元及び単離され、溶解した固体析出物を再析出する工程と、
(r) 式(2)の化合物の再析出された析出物を単離する工程と、
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
下記式(2)に従った高純度の固体化合物を生成する方法において、
【化89】

(a) 下記式(C1)に従った化合物を準備する工程であって、
【化90】

ここで、R1は、
【化91】

であり、
Yは、CH2、O、S、又はNHであり、
1、X2、X3、X4、及びX5は個々に、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、(C1-C3)-アルキル、(C1-C3)-アルコキシ、又は(C1-C3)-アルキルチオであり、
1及びQ2の各々は個々に、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)ではない保護基であるか、Q1及びQ2の一方はTBDMSであって、他方はTBDMSではない保護基であるか、又は、Q1及びQ2の一方は水素であって、他方はTBDMSではない保護基である工程と、
(b) 式(C1)に従った化合物に元素水素を導入して、シクロペンチル環から出ている脂肪鎖上の二重結合を還元して、下記式(C2)に従った化合物を生成する工程と、
【化92】

(c) 式(C2)に従った化合物からTBDMSではない保護基Q1及びQ2を除去して、下記式(B2)に従った化合物を生成する工程であって、
【化93】

ここで、Q3及びQ4の各々は水素であるか、又は、Q3及びQ4の一方はTBDMSであって、他方は水素である工程と、
(d) tert-ブチルジメチルシリル化工程により、式(B2)に従った化合物を下記式(A2)に従った化合物に変換する工程であって、式(A2)に従った化合物は、脂肪鎖のα-OTBDMS及びβ-OTBDMSの混合物を含んでおり、当該混合物は、脂肪鎖α-OTBDMS/ β-OTBDMS混合比を規定する工程と、
【化94】

(e) 式(A2)に従った化合物を精製して、式(2)に従った化合物の固体析出物を生成する工程であって、式(2)に従った化合物の固体析出物の脂肪鎖α-OTBDMS/β-OTBDMS混合比は、式(A2)に従った化合物のα-OTBDMS/β-OTBDMS混合比よりも高い工程と、
を含む方法。
【請求項18】
下記式(2)に従った高純度の固体化合物を生成する方法において、
【化95】

(a) 下記式(C1)に従った化合物を準備する工程であって、
【化96】

ここで、R1は、
【化97】

であり、
Yは、CH2、O、S、又はNHであり、
1、X2、X3、X4、及びX5は個々に、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、(C1-C3)-アルキル、(C1-C3)-アルコキシ、又は(C1-C3)-アルキルチオであり、
1及びQ2の各々は個々に、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)ではない保護基であるか、Q1及びQ2の一方はTBDMSであって、他方はTBDMSではない保護基であるか、又は、Q1及びQ2の一方は水素であって、他方はTBDMSではない保護基である工程と、
(b) 式(C1)に従った化合物に元素水素を導入して、シクロペンチル環から出ている脂肪鎖上の二重結合を還元して、下記式(C2)に従った化合物を生成する工程と、
【化98】

(c) 式(C2)に従った化合物から保護基Q1及びQ2を除去して、下記式(B2)に従った化合物を生成する工程であって、
【化99】

ここで、Q3及びQ4の各々は水素である工程と、
(d) tert-ブチルジメチルシリル化工程により、式(B2)に従った化合物を下記式(A2)に従った化合物に変換する工程であって、式(A2)に従った化合物は、脂肪鎖のα-OTBDMS及びβ-OTBDMSの混合物を含んでおり、当該混合物は、脂肪鎖α-OTBDMS/ β-OTBDMS混合比を規定する工程と、
【化100】

(e) 式(A2)に従った化合物を精製して、式(2)に従った化合物の固体析出物を生成する工程であって、式(2)に従った化合物の固体析出物の脂肪鎖α-OTBDMS/β-OTBDMS混合比は、式(A2)に従った化合物のα-OTBDMS/β-OTBDMS混合比よりも高い工程と、
を含む方法。
【請求項19】
下記式(2)に従った高純度の固体化合物を生成する方法において、
【化101】

(a) 下記式(C1)に従った化合物を準備する工程であって、
【化102】

ここで、R1は、
【化103】

であり、
Yは、CH2、O、S、又はNHであり、
1、X2、X3、X4、及びX5は個々に、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、(C1-C3)-アルキル、(C1-C3)-アルコキシ、又は(C1-C3)-アルキルチオであり、
1及びQ2の各々は個々に、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)ではない保護基であるか、Q1及びQ2の一方はTBDMSであって、他方はTBDMSではない保護基であるか、又は、Q1及びQ2の一方は水素であって、他方はTBDMSではない保護基である工程と、
(b) 式(C1)に従った化合物からTBDMSではない保護基Q1及びQ2を除去して、下記式(B1)に従った化合物を生成する工程であって、
【化104】

ここで、Q3及びQ4の各々は水素であるか、又は、Q3及びQ4の一方はTBDMSであって、他方は水素である工程と、
(c)式(B1)に従った化合物に元素水素を導入して、シクロペンチル環から出ている脂肪鎖上の二重結合を還元して、下記式(B2)に従った化合物を生成する工程と、
【化105】

(d) tert-ブチルジメチルシリル化工程により、式(B2)に従った化合物を下記式(A2)に従った化合物に変換する工程であって、式(A2)に従った化合物は、脂肪鎖のα-OTBDMS及びβ-OTBDMSの混合物を含んでおり、当該混合物は、脂肪鎖α-OTBDMS/ β-OTBDMS混合比を規定する工程と、
【化106】

(e) 式(A2)に従った化合物を精製して、式(2)に従った化合物の固体析出物を生成する工程であって、式(2)に従った化合物の固体析出物の脂肪鎖α-OTBDMS/β-OTBDMS混合比は、式(A2)に従った化合物のα-OTBDMS/β-OTBDMS混合比よりも高い工程と、
を含む方法。
【請求項20】
下記式(2)に従った高純度の固体化合物を生成する方法において、
【化107】

(a) 下記式(C1)に従った化合物を準備する工程であって、
【化108】

ここで、R1は、
【化109】

であり、
Yは、CH2、O、S、又はNHであり、
1、X2、X3、X4、及びX5は個々に、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、(C1-C3)-アルキル、(C1-C3)-アルコキシ、又は(C1-C3)-アルキルチオであり、
1及びQ2の各々は個々に、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)ではない保護基であるか、Q1及びQ2の一方はTBDMSであって、他方はTBDMSではない保護基であるか、又は、Q1及びQ2の一方は水素であって、他方はTBDMSではない保護基である工程と、
(b) 式(C1)に従った化合物から保護基Q1及びQ2を除去して、下記式(B1)に従った化合物を生成する工程であって、
【化110】

ここで、Q3及びQ4の各々は水素である工程と、
(c)式(B1)に従った化合物に元素水素を導入して、シクロペンチル環から出ている脂肪鎖上の二重結合を還元して、下記式(B2)に従った化合物を生成する工程と、
【化111】

(d) tert-ブチルジメチルシリル化工程により、式(B2)に従った化合物を下記式(A2)に従った化合物に変換する工程であって、式(A2)に従った化合物は、脂肪鎖のα-OTBDMS及びβ-OTBDMSの混合物を含んでおり、当該混合物は、脂肪鎖α-OTBDMS/ β-OTBDMS混合比を規定する工程と、
【化112】

(e) 式(A2)に従った化合物を精製して、式(2)に従った化合物の固体析出物を生成する工程であって、式(2)に従った化合物の固体析出物の脂肪鎖α-OTBDMS/β-OTBDMS混合比は、式(A2)に従った化合物のα-OTBDMS/β-OTBDMS混合比よりも高い工程と、
を含む方法。
【請求項21】
下記式(2)に従った高純度の固体化合物を生成する方法において、
【化113】

(a) 下記式(C1)に従った化合物を準備する工程であって、
【化114】

ここで、R1は、
【化115】

であり、
Yは、CH2、O、S、又はNHであり、
1、X2、X3、X4、及びX5は個々に、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、(C1-C3)-アルキル、(C1-C3)-アルコキシ、又は(C1-C3)-アルキルチオであり、
1及びQ2の各々は個々に、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)ではない保護基であるか、Q1及びQ2の一方はTBDMSであって、他方はTBDMSではない保護基であるか、又は、Q1及びQ2の一方は水素であって、他方はTBDMSではない保護基である工程と、
(b) 式(C1)に従った化合物からTBDMSではない保護基Q1及びQ2を除去して、下記式(B1)に従った化合物を生成する工程であって、
【化116】

ここで、Q3及びQ4の各々は水素であるか、又は、Q3及びQ4の一方はTBDMSであって、他方は水素である工程と、
(c) tert-ブチルジメチルシリル化工程により、式(B1)に従った化合物を下記式(A1)に従った化合物に変換する工程であって、式(A1)に従った化合物は、脂肪鎖のα-OTBDMS及びβ-OTBDMSの混合物を含んでおり、当該混合物は、脂肪鎖α-OTBDMS/ β-OTBDMS混合比を規定する工程と、
【化117】

(d)式(A1)に従った化合物に元素水素を導入して、シクロペンチル環から出ている脂肪鎖上の二重結合を還元して、下記式(A2)に従った化合物を生成する工程と、
【化118】

(e) 式(A2)に従った化合物を精製して、式(2)に従った化合物の固体析出物を生成する工程であって、式(2)に従った化合物の固体析出物の脂肪鎖α-OTBDMS/β-OTBDMS混合比は、式(A2)に従った化合物のα-OTBDMS/β-OTBDMS混合比よりも高い工程と、
を含む方法。
【請求項22】
下記式(2)に従った高純度の固体化合物を生成する方法において、
【化119】

(a) 下記式(C1)に従った化合物を準備する工程であって、
【化120】

ここで、R1は、
【化121】

であり、
Yは、CH2、O、S、又はNHであり、
1、X2、X3、X4、及びX5は個々に、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、(C1-C3)-アルキル、(C1-C3)-アルコキシ、又は(C1-C3)-アルキルチオであり、
1及びQ2の各々は個々に、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)ではない保護基であるか、Q1及びQ2の一方はTBDMSであって、他方はTBDMSではない保護基であるか、又は、Q1及びQ2の一方は水素であって、他方はTBDMSではない保護基である工程と、
(b) 式(C1)に従った化合物から保護基Q1及びQ2を除去して、下記式(B1)に従った化合物を生成する工程であって、
【化122】

ここで、Q3及びQ4の各々は水素である工程と、
(c) tert-ブチルジメチルシリル化工程により、式(B1)に従った化合物を下記式(A1)に従った化合物に変換する工程であって、式(A1)に従った化合物は、脂肪鎖のα-OTBDMS及びβ-OTBDMSの混合物を含んでおり、当該混合物は、脂肪鎖α-OTBDMS/ β-OTBDMS混合比を規定する工程と、
【化123】

(d)式(A1)に従った化合物に元素水素を導入して、シクロペンチル環から出ている脂肪鎖上の二重結合を還元して、下記式(A2)に従った化合物を生成する工程と、
【化124】

(e) 式(A2)に従った化合物を精製して、式(2)に従った化合物の固体析出物を生成する工程であって、式(2)に従った化合物の固体析出物の脂肪鎖α-OTBDMS/β-OTBDMS混合比は、式(A2)に従った化合物のα-OTBDMS/β-OTBDMS混合比よりも高い工程と、
を含む方法。
【請求項23】
高純度のプロスタグランジン類似体を生成する方法において、
(a) 下記式(1)に従った固体化合物を生成する工程であって、
【化125】

ここで、R1は、
【化126】

であり、
Yは、CH2、O、S、又はNHであり、
1、X2、X3、X4、及びX5は個々に、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、(C1-C3)-アルキル、(C1-C3)-アルコキシ、又は(C1-C3)-アルキルチオである工程と、
(b) 式(1)に従った固体化合物のラクトン還元を実行して、下記式(7)に従った化合物を生成する工程と、
【化127】

(c) 過剰塩基の存在下で、式(7)に従った化合物を(4-カルボキシブチル)トリフェニルホスホニウムブロミドと反応させて、下記式(8-1a)に従った化合物と下記式(8-1b)に従った化合物とを含む混合物を生成する工程と、
【化128】

(d) 混合物を処理して、カルボン酸部分を他の官能基R2に変換して、下記式(9-Xa)に従った化合物と下記式(9-Xb)に従った化合物とを含む混合物を生成する工程であって、
【化129】

ここで、
2は、-CO23、-CONR45、-C(O)R3、-C(O)CH26、又は、-CH26であり、
6は、ハロゲン、又は、-OR3であり、
3は、水素、(C1-C6)-アルキル、又は、-(CH2)n-フェニルであり、
4及びR5は個々に、水素、(C1-C6)-アルキル、又は、-(CH2)n-フェニルであり、
nは、0、1、又は、2であり、
3、R4又はR5の任意のフェニルは、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、 トリフルオロメトキシ、アミノ、シアノ、(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-アルコキシ、若しくは、(C1-C6)-アルキルチオの一つ又は組み合わせの1或いは複数と任意選択的に置換されてよい工程と、
(e) 式(9-Xa)に従った化合物と式(9-Xb)に従った化合物とを含む混合物を脱保護化して、下記構造式(5)のプロスタグランジンF2α類似体を生成する工程と、
【化130】

を含む方法。
【請求項24】
式(1)に従った固体化合物を生成する工程(a)は、
(f) 下記式(C1)に従った化合物を準備する工程であって、
【化131】

ここで、R1は、
【化132】

であり、
Yは、CH2、O、S、又はNHであり、
1、X2、X3、X4、及びX5は個々に、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、(C1-C3)-アルキル、(C1-C3)-アルコキシ、又は(C1-C3)-アルキルチオであり、
1及びQ2の各々は個々に、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)ではない保護基であるか、Q1及びQ2の一方はTBDMSであって、他方はTBDMSではない保護基であるか、又は、Q1及びQ2の一方は水素であって、他方はTBDMSではない保護基である工程と、
(g) 式(C1)に従った化合物からTBDMSではない保護基Q1及びQ2を除去して、下記式(B1)に従った化合物を生成する工程であって、
【化133】

ここで、Q3及びQ4の各々は水素であるか、又は、Q3及びQ4の一方はTBDMSであって、他方は水素である工程と、
(h) tert-ブチルジメチルシリル化工程により、式(B1)に従った化合物を下記式(A1)に従った化合物に変換する工程であって、式(A1)に従った化合物は、脂肪鎖のα-OTBDMS及びβ-OTBDMSの混合物を含んでおり、当該混合物は、脂肪鎖α-OTBDMS/β-OTBDMS混合比を規定する工程と、
【化134】

(i) 式(A1)に従った化合物を精製して、式(1)に従った化合物の固体析出物を生成する工程であって、式(1)に従った化合物の固体析出物の脂肪鎖α-OTBDMS/β-OTBDMS混合比は、式(A1)に従った化合物のα-OTBDMS/β-OTBDMS混合比よりも高い工程と、
を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
式(1)に従った固体化合物を生成する工程(a)は、
(f) 下記式(C1)に従った化合物を準備する工程であって、
【化135】

ここで、R1は、
【化136】

であり、
Yは、CH2、O、S、又はNHであり、
1、X2、X3、X4、及びX5は個々に、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、(C1-C3)-アルキル、(C1-C3)-アルコキシ、又は(C1-C3)-アルキルチオであり、
1及びQ2の各々は個々に、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)ではない保護基であるか、Q1及びQ2の一方はTBDMSであって、他方はTBDMSではない保護基であるか、又は、Q1及びQ2の一方は水素であって、他方はTBDMSではない保護基である工程と、
(g) 式(C1)に従った化合物における保護基Q1及びQ2を除去して、下記式(B1)に従った化合物を生成する工程であって、
【化137】

ここで、Q3及びQ4の各々は水素である工程と、
(h) tert-ブチルジメチルシリル化工程により、式(B1)に従った化合物を下記式(A1)に従った化合物に変換する工程であって、式(A1)に従った化合物は、脂肪鎖のα-OTBDMS及びβ-OTBDMSの混合物を含んでおり、当該混合物は、脂肪鎖α-OTBDMS/β-OTBDMS混合比を規定する工程と、
【化138】

(i) 式(A1)に従った化合物を精製して、式(1)に従った化合物の固体析出物を生成する工程であって、式(1)に従った化合物の固体析出物の脂肪鎖α-OTBDMS/β-OTBDMS混合比は、式(A1)に従った化合物のα-OTBDMS/β-OTBDMS混合比よりも高い工程と、
を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
式(A1)に従った化合物を精製する工程(i)は、
(j) 式(A1)に従った化合物を有機溶媒に溶解させて、有機溶液を生成する工程と、
(k) 有機溶液に水を加えて固体析出物を生成する工程と、
(l) 有機溶液を濾過して固体析出物を単離する工程と、
を含んでいる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
式(A1)に従った化合物を精製する工程(i)は更に、
(m) 単離された固体析出物を有機溶媒に溶解させて、有機溶液を生成する工程と、
(n) 有機溶液に水を加えて単離された固体析出物を析出させる工程と、
(o) 有機溶液を濾過して単離された固体析出物を単離する工程と、
を含んでいる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
高純度のプロスタグランジン類似体を生成する方法において、
(a) 下記式(2)に従った固体化合物を生成する工程であって、
【化139】

ここで、R1は、
【化140】

であり、
Yは、CH2、O、S、又はNHであり、
1、X2、X3、X4、及びX5は個々に、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、(C1-C3)-アルキル、(C1-C3)-アルコキシ、又は(C1-C3)-アルキルチオである工程と、
(b) 式(2)に従った固体化合物のラクトン還元を実行して、下記式(10)に従った化合物を生成する工程と、
【化141】

(c) 過剰塩基の存在下で、式(10)に従った化合物を(4-カルボキシブチル)トリフェニルホスホニウムブロミドと反応させて、下記式(11-1a)に従った化合物と下記式(11-1b)に従った化合物とを含む混合物を生成する工程と、
【化142】

(d) 混合物を処理して、カルボン酸部分を他の官能基R2に変換して、下記式(12-Xa)に従った化合物と下記式(12-Xb)に従った化合物とを含む混合物を生成する工程であって、
【化143】

ここで、
2は、-CO23、-CONR45、-C(O)R3、-C(O)CH26、又は、-CH26であり、
6は、ハロゲン、又は、-OR3であり、
3は、水素、(C1-C6)-アルキル、又は、-(CH2)n-フェニルであり、
4及びR5は個々に、水素、(C1-C6)-アルキル、又は、-(CH2)n-フェニルであり、
nは、0、1、又は、2であり、
3、R4又はR5の任意のフェニルは、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、 トリフルオロメトキシ、アミノ、シアノ、(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-アルコキシ、若しくは、(C1-C6)-アルキルチオの一つ又は組み合わせの1或いは複数と任意選択的に置換されてよい工程と、
(e) 式(12-Xa)に従った化合物と式(12-Xb)に従った化合物とを含む混合物を脱保護化して、下記構造式(6)のプロスタグランジンF2α類似体を生成する工程と、
【化144】

を含む方法。
【請求項29】
式(2)に従った固体化合物を生成する工程(a)は、
(f) 下記式(C1)に従った化合物を準備する工程であって、
【化145】

ここで、R1は、
【化146】

であり、
Yは、CH2、O、S、又はNHであり、
1、X2、X3、X4、及びX5は個々に、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、(C1-C3)-アルキル、(C1-C3)-アルコキシ、又は(C1-C3)-アルキルチオであり、
1及びQ2の各々は個々に、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)ではない保護基であるか、Q1及びQ2の一方はTBDMSであって、他方はTBDMSではない保護基であるか、又は、Q1及びQ2の一方は水素であって、他方はTBDMSではない保護基である工程と、
(g) 式(C1)に従った化合物からTBDMSではない保護基Q1及びQ2を除去して、下記式(B1)に従った化合物を生成する工程であって、
【化147】

ここで、Q3及びQ4の各々は水素であるか、又は、Q3及びQ4の一方はTBDMSであって、他方は水素である工程と、
(h) tert-ブチルジメチルシリル化工程により、式(B1)に従った化合物を下記式(A1)に従った化合物に変換する工程であって、式(A1)に従った化合物は、脂肪鎖のα-OTBDMS及びβ-OTBDMSの混合物を含んでおり、当該混合物は、脂肪鎖α-OTBDMS/β-OTBDMS混合比を規定する工程と、
【化148】

(i) 式(A1)に従った化合物を精製して、下記式(1)に従った化合物の固体析出物を生成する工程であって、式(1)に従った化合物の固体析出物の脂肪鎖α-OTBDMS/β-OTBDMS混合比は、式(A1)に従った化合物のα-OTBDMS/β-OTBDMS混合比よりも高い工程と、
【化149】

(j)式(1)に従った化合物に元素水素を導入して、シクロペンチル環から出ている脂肪鎖上の二重結合を還元して、式(2)に従った化合物を生成する工程と、
を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
式(2)に従った固体化合物を生成する工程(a)は、
(f) 下記式(C1)に従った化合物を準備する工程であって、
【化150】

ここで、R1は、
【化151】

であり、
Yは、CH2、O、S、又はNHであり、
1、X2、X3、X4、及びX5は個々に、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、(C1-C3)-アルキル、(C1-C3)-アルコキシ、又は(C1-C3)-アルキルチオであり、
1及びQ2の各々は個々に、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)ではない保護基であるか、Q1及びQ2の一方はTBDMSであって、他方はTBDMSではない保護基であるか、又は、Q1及びQ2の一方は水素であって、他方はTBDMSではない保護基である工程と、
(g) 式(C1)に従った化合物から保護基Q1及びQ2を除去して、下記式(B1)に従った化合物を生成する工程であって、
【化152】

ここで、Q3及びQ4の各々は水素である工程と、
(h) tert-ブチルジメチルシリル化工程により、式(B1)に従った化合物を下記式(A1)に従った化合物に変換する工程であって、式(A1)に従った化合物は、脂肪鎖のα-OTBDMS及びβ-OTBDMSの混合物を含んでおり、当該混合物は、脂肪鎖α-OTBDMS/β-OTBDMS混合比を規定する工程と、
【化153】

(i) 式(A1)に従った化合物を精製して、下記式(1)に従った化合物の固体析出物を生成する工程であって、式(1)に従った化合物の固体析出物の脂肪鎖α-OTBDMS/β-OTBDMS混合比は、式(A1)に従った化合物のα-OTBDMS/β-OTBDMS混合比よりも高い工程と、
【化154】

(j)式(1)に従った化合物に元素水素を導入して、シクロペンチル環から出ている脂肪鎖上の二重結合を還元して、式(2)に従った化合物を生成する工程と、
を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
式(A1)に従った化合物を精製する工程(i)と元素水素を導入する工程(j)とは、
(k) 式(A1)に従った化合物を有機溶媒に溶解させて、有機溶液を生成する工程と、
(l) 有機溶液に水を加えて、式(1)に従った化合物の高純度の形態の固体析出物を生成する工程と、
(m) 有機溶液を濾過して、固体析出物を単離する工程と、
(n) 単離された固体析出物を含む溶液に元素水素又は同等物を加えて、単離された固体析出物の炭素−炭素二重結合を還元して、式(2)に従った化合物を生成する工程と、
(o) 式(2)に従った化合物の固体析出物を有機溶媒に溶解させて、有機溶液を生成する工程と、
(p) 有機溶液に水を加えて、式(2)に従った化合物の高純度の形態の還元及び単離された固体析出物を析出する工程と、
(q) 有機溶液を濾過して、式(2)に従った化合物の還元及び単離された固体析出物を単離する工程と、
を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
式(A1)に従った化合物を精製する工程(i)と元素水素を導入する工程(j)とは更に、
(r) 工程(i)の前に、式(1)に従った化合物の単離された固体析出物を有機溶媒に溶解させて、有機溶液を生成する工程と、
(s) 工程(r)の後であって、工程(i)の前に、有機溶液に水を加えて、式(1)に従った化合物の高純度の形態の単離された固体析出物を析出する工程と、
(t) 工程(i)の前であって、工程(s)の後に、有機溶液を濾過して、式(1)に従った化合物の単離された固体析出物を単離する工程と、
を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
式(A1)に従った化合物を精製する工程(i)と元素水素を導入する工程(j)とは更に、
(r) 式(2)に従った化合物の還元及び単離された固体析出物を有機溶媒に溶解させて、有機溶液を生成する工程と、
(s) 有機溶液に水を加えて、式(2)に従った化合物の還元及び単離され、溶解した固体析出物を再析出する工程と、
(t) 式(2)に従った化合物の再析出された析出物を単離する工程と、
を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
式(A1)に従った化合物を精製する工程(i)と元素水素を導入する工程(j)とは更に、
(u) 式(2)に従った化合物の還元及び単離された固体析出物を有機溶媒に溶解させて、有機溶液を生成する工程と、
(v) 有機溶液に水を加えて、式(2)の化合物の還元及び単離され、溶解した固体析出物を再析出する工程と、
(w) 式(2)の化合物の再析出された析出物を単離する工程と、
を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
式(2)に従った固体化合物を生成する工程(a)は、
(f) 下記式(C1)に従った化合物を準備する工程であって、
【化155】

ここで、R1は、
【化156】

であり、
Yは、CH2、O、S、又はNHであり、
1、X2、X3、X4、及びX5は個々に、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、(C1-C3)-アルキル、(C1-C3)-アルコキシ、又は(C1-C3)-アルキルチオであり、
1及びQ2の各々は個々に、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)ではない保護基であるか、Q1及びQ2の一方はTBDMSであって、他方はTBDMSではない保護基であるか、又は、Q1及びQ2の一方は水素であって、他方はTBDMSではない保護基である工程と、
(g) 式(C1)に従った化合物に元素水素を導入して、シクロペンチル環から出ている脂肪鎖上の二重結合を還元して、下記式(C2)に従った化合物を生成する工程と、
【化157】

(h) 式(C2)に従った化合物からTBDMSではない保護基Q1及びQ2を除去して、下記式(B2)に従った化合物を生成する工程であって、
【化158】

ここで、Q3及びQ4の各々は水素であるか、又は、Q3及びQ4の一方はTBDMSであって、他方は水素である工程と、
(i) tert-ブチルジメチルシリル化工程により、式(B2)に従った化合物を下記式(A2)に従った化合物に変換する工程であって、式(A2)に従った化合物は、脂肪鎖のα-OTBDMS及びβ-OTBDMSの混合物を含んでおり、当該混合物は、脂肪鎖α-OTBDMS/β-OTBDMS混合比を規定する工程と、
【化159】

(j) 式(A2)に従った化合物を精製して、式(2)に従った化合物の固体析出物を生成する工程であって、式(2)に従った化合物の固体析出物の脂肪鎖α-OTBDMS/β-OTBDMS混合比は、式(A2)に従った化合物のα-OTBDMS/β-OTBDMS混合比よりも高い工程と、
を含む,請求項28に記載の方法。
【請求項36】
式(2)に従った固体化合物を生成する工程(a)は、
(f) 下記式(C1)に従った化合物を準備する工程であって、
【化160】

ここで、R1は、
【化161】

であり、
Yは、CH2、O、S、又はNHであり、
1、X2、X3、X4、及びX5は個々に、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、(C1-C3)-アルキル、(C1-C3)-アルコキシ、又は(C1-C3)-アルキルチオであり、
1及びQ2の各々は個々に、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)ではない保護基であるか、Q1及びQ2の一方はTBDMSであって、他方はTBDMSではない保護基であるか、又は、Q1及びQ2の一方は水素であって、他方はTBDMSではない保護基である工程と、
(g) 式(C1)に従った化合物に元素水素を導入して、シクロペンチル環から出ている脂肪鎖上の二重結合を還元して、下記式(C2)に従った化合物を生成する工程と、
【化162】

(h) 式(C2)に従った化合物から保護基Q1及びQ2を除去して、下記式(B2)に従った化合物を生成する工程であって、
【化163】

ここで、Q3及びQ4の各々は水素である工程と、
(i) tert-ブチルジメチルシリル化工程により、式(B2)に従った化合物を下記式(A2)に従った化合物に変換する工程であって、式(A2)に従った化合物は、脂肪鎖のα-OTBDMS及びβ-OTBDMSの混合物を含んでおり、当該混合物は、脂肪鎖α-OTBDMS/β-OTBDMS混合比を規定する工程と、
【化164】

(j) 式(A2)に従った化合物を精製して、式(2)に従った化合物の固体析出物を生成する工程であって、式(2)に従った化合物の固体析出物の脂肪鎖α-OTBDMS/β-OTBDMS混合比は、式(A2)に従った化合物のα-OTBDMS/β-OTBDMS混合比よりも高い工程と、
を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項37】
式(2)に従った固体化合物を生成する工程(a)は、
(f) 下記式(C1)に従った化合物を準備する工程であって、
【化165】

ここで、R1は、
【化166】

であり、
Yは、CH2、O、S、又はNHであり、
1、X2、X3、X4、及びX5は個々に、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、(C1-C3)-アルキル、(C1-C3)-アルコキシ、又は(C1-C3)-アルキルチオであり、
1及びQ2の各々は個々に、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)ではない保護基であるか、Q1及びQ2の一方はTBDMSであって、他方はTBDMSではない保護基であるか、又は、Q1及びQ2の一方は水素であって、他方はTBDMSではない保護基である工程と、
(g) 式(C1)に従った化合物からTBDMSではない保護基Q1及びQ2を除去して、下記式(B1)に従った化合物を生成する工程であって、
【化167】

ここで、Q3及びQ4の各々は水素であるか、又は、Q3及びQ4の一方はTBDMSであって、他方は水素である工程と、
(h)式(B1)に従った化合物に元素水素を導入して、シクロペンチル環から出ている脂肪鎖上の二重結合を還元して、下記式(B2)に従った化合物を生成する工程と、
【化168】

(i) tert-ブチルジメチルシリル化工程により、式(B2)に従った化合物を下記式(A2)に従った化合物に変換する工程であって、式(A2)に従った化合物は、脂肪鎖のα-OTBDMS及びβ-OTBDMSの混合物を含んでおり、当該混合物は、脂肪鎖α-OTBDMS/β-OTBDMS混合比を規定する工程と、
【化169】

(j) 式(A2)に従った化合物を精製して、式(2)に従った化合物の固体析出物を生成する工程であって、式(2)に従った化合物の固体析出物の脂肪鎖α-OTBDMS/β-OTBDMS混合比は、式(A2)に従った化合物のα-OTBDMS/β-OTBDMS混合比よりも高い工程と、
を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項38】
式(2)に従った固体化合物を生成する工程(a)は、
(f) 下記式(C1)に従った化合物を準備する工程であって、
【化170】

ここで、R1は、
【化171】

であり、
Yは、CH2、O、S、又はNHであり、
1、X2、X3、X4、及びX5は個々に、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、(C1-C3)-アルキル、(C1-C3)-アルコキシ、又は(C1-C3)-アルキルチオであり、
1及びQ2の各々は個々に、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)ではない保護基であるか、Q1及びQ2の一方はTBDMSであって、他方はTBDMSではない保護基であるか、又は、Q1及びQ2の一方は水素であって、他方はTBDMSではない保護基である工程と、
(g) 式(C1)に従った化合物から保護基Q1及びQ2を除去して、下記式(B1)に従った化合物を生成する工程であって、
【化172】

ここで、Q3及びQ4の各々は水素である工程と、
(h)式(B1)に従った化合物に元素水素を導入して、シクロペンチル環から出ている脂肪鎖上の二重結合を還元して、下記式(B2)に従った化合物を生成する工程と、
【化173】

(i) tert-ブチルジメチルシリル化工程により、式(B2)に従った化合物を下記式(A2)に従った化合物に変換する工程であって、式(A2)に従った化合物は、脂肪鎖のα-OTBDMS及びβ-OTBDMSの混合物を含んでおり、当該混合物は、脂肪鎖α-OTBDMS/β-OTBDMS混合比を規定する工程と、
【化174】

(j) 式(A2)に従った化合物を精製して、式(2)に従った化合物の固体析出物を生成する工程であって、式(2)に従った化合物の固体析出物の脂肪鎖α-OTBDMS/β-OTBDMS混合比は、式(A2)に従った化合物のα-OTBDMS/β-OTBDMS混合比よりも高い工程と、
を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項39】
式(2)に従った固体化合物を生成する工程(a)は、
(f) 下記式(C1)に従った化合物を準備する工程であって、
【化175】

ここで、R1は、
【化176】

であり、
Yは、CH2、O、S、又はNHであり、
1、X2、X3、X4、及びX5は個々に、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、(C1-C3)-アルキル、(C1-C3)-アルコキシ、又は(C1-C3)-アルキルチオであり、
1及びQ2の各々は個々に、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)ではない保護基であるか、Q1及びQ2の一方はTBDMSであって、他方はTBDMSではない保護基であるか、又は、Q1及びQ2の一方は水素であって、他方はTBDMSではない保護基である工程と、
(g) 式(C1)に従った化合物からTBDMSではない保護基Q1及びQ2を除去して、下記式(B1)に従った化合物を生成する工程であって、
【化177】

ここで、Q3及びQ4の各々は水素であるか、又は、Q3及びQ4の一方はTBDMSであって、他方は水素である工程と、
(h) tert-ブチルジメチルシリル化工程により、式(B1)に従った化合物を下記式(A1)に従った化合物に変換する工程であって、式(A1)に従った化合物は、脂肪鎖のα-OTBDMS及びβ-OTBDMSの混合物を含んでおり、当該混合物は、脂肪鎖α-OTBDMS/β-OTBDMS混合比を規定する工程と、
【化178】

(i)式(A1)に従った化合物に元素水素を導入して、シクロペンチル環から出ている脂肪鎖上の二重結合を還元して、下記式(A2)に従った化合物を生成する工程と、
【化179】

(j) 式(A2)に従った化合物を精製して、式(2)に従った化合物の固体析出物を生成する工程であって、式(2)に従った化合物の固体析出物の脂肪鎖α-OTBDMS/β-OTBDMS混合比は、式(A2)に従った化合物のα-OTBDMS/β-OTBDMS混合比よりも高い工程と、
を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項40】
式(2)に従った固体化合物を生成する工程(a)は、
(f) 下記式(C1)に従った化合物を準備する工程であって、
【化180】

ここで、R1は、
【化181】

であり、
Yは、CH2、O、S、又はNHであり、
1、X2、X3、X4、及びX5は個々に、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、(C1-C3)-アルキル、(C1-C3)-アルコキシ、又は(C1-C3)-アルキルチオであり、
1及びQ2の各々は個々に、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)ではない保護基であるか、Q1及びQ2の一方はTBDMSであって、他方はTBDMSではない保護基であるか、又は、Q1及びQ2の一方は水素であって、他方はTBDMSではない保護基である工程と、
(g) 式(C1)に従った化合物から保護基Q1及びQ2を除去して、下記式(B1)に従った化合物を生成する工程であって、
【化182】

ここで、Q3及びQ4の各々は水素である工程と、
(h) tert-ブチルジメチルシリル化工程により、式(B1)に従った化合物を下記式(A1)に従った化合物に変換する工程であって、式(A1)に従った化合物は、脂肪鎖のα-OTBDMS及びβ-OTBDMSの混合物を含んでおり、当該混合物は、脂肪鎖α-OTBDMS/β-OTBDMS混合比を規定する工程と、
【化183】

(i)式(A1)に従った化合物に元素水素を導入して、シクロペンチル環から出ている脂肪鎖上の二重結合を還元して、下記式(A2)に従った化合物を生成する工程と、
【化184】

(j) 式(A2)に従った化合物を精製して、式(2)に従った化合物の固体析出物を生成する工程であって、式(2)に従った化合物の固体析出物の脂肪鎖α-OTBDMS/β-OTBDMS混合比は、式(A2)に従った化合物のα-OTBDMS/β-OTBDMS混合比よりも高い工程と、
を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項41】
高純度のプロスタグランジン類似体を生成する方法において、
(a) 下記式(1)に従った固体化合物を生成する工程であって、
【化185】

ここで、R1は、
【化186】

であり、
Yは、CH2、O、S、又はNHであり、
1、X2、X3、X4、及びX5は個々に、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、(C1-C3)-アルキル、(C1-C3)-アルコキシ、又は(C1-C3)-アルキルチオである工程と、
(b) 式(1)に従った固体化合物のラクトン還元を実行して、下記式(7)に従った化合物を生成する工程と、
【化187】

(c) 過剰塩基の存在下で、式(7)に従った化合物を(4-カルボキシブチル)トリフェニルホスホニウムブロミドと反応させて、下記式(8-1a)に従った化合物と下記式(8-1b)に従った化合物とを含む混合物を生成する工程と、
【化188】

(d) 混合物を処理して、カルボン酸部分を他の官能基R2に変換して、下記式(9-Xa)に従った化合物と下記式(9-Xb)に従った化合物とを含む混合物を生成する工程であって、
【化189】

ここで、
2は、-CO23、-CONR45、-C(O)R3、-C(O)CH26、又は、-CH26であり、
6は、ハロゲン、又は、-OR3であり、
3は、水素、(C1-C6)-アルキル、又は、-(CH2)n-フェニルであり、
4及びR5は個々に、水素、(C1-C6)-アルキル、又は、-(CH2)n-フェニルであり、
nは、0、1、又は、2であり、
3、R4又はR5の任意のフェニルは、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、 トリフルオロメトキシ、アミノ、シアノ、(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-アルコキシ、若しくは、(C1-C6)-アルキルチオの一つ又は組み合わせの1或いは複数と任意選択的に置換されてよい工程と、
(e) 式(9-Xa)に従った化合物と式(9-Xb)に従った化合物とを含む混合物を脱保護化して、下記構造式(5)のプロスタグランジンF2α類似体を生成する工程と、
【化190】

を含む方法。
【請求項42】
高純度のプロスタグランジン類似体を生成する方法において、
(a) 下記式(2)に従った固体化合物を生成する工程であって、
【化191】

ここで、R1は、
【化192】

であり、
Yは、CH2、O、S、又はNHであり、
1、X2、X3、X4、及びX5は個々に、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、(C1-C3)-アルキル、(C1-C3)-アルコキシ、又は(C1-C3)-アルキルチオである工程と、
(b) 式(2)に従った固体化合物のラクトン還元を実行して、下記式(10)に従った化合物を生成する工程と、
【化193】

(c) 過剰塩基の存在下で、式(10)に従った化合物を(4-カルボキシブチル)トリフェニルホスホニウムブロミドと反応させて、下記式(11-1a)に従った化合物と下記式(11-1b)に従った化合物とを含む混合物を生成する工程と、
【化194】

(d) 混合物を処理して、カルボン酸部分を他の官能基R2に変換して、下記式(12-Xa)に従った化合物と下記式(12-Xb)に従った化合物とを含む混合物を生成する工程であって、
【化195】

ここで、
2は、-CO23、-CONR45、-C(O)R3、-C(O)CH26、又は、-CH26であり、
6は、ハロゲン、又は、-OR3であり、
3は、水素、(C1-C6)-アルキル、又は、-(CH2)n-フェニルであり、
4及びR5は個々に、水素、(C1-C6)-アルキル、又は、-(CH2)n-フェニルであり、
nは、0、1、又は、2であり、
3、R4又はR5の任意のフェニルは、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、 トリフルオロメトキシ、アミノ、シアノ、(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-アルコキシ、若しくは、(C1-C6)-アルキルチオの一つ又は組み合わせの1或いは複数と任意選択的に置換されてよい工程と、
(e) 式(12-Xa)に従った化合物と式(12-Xb)に従った化合物とを含む混合物を脱保護化して、下記構造式(6)のプロスタグランジンF2α類似体を生成する工程と、
【化196】

を含む方法。

【公開番号】特開2012−246301(P2012−246301A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−177707(P2012−177707)
【出願日】平成24年8月10日(2012.8.10)
【分割の表示】特願2012−534150(P2012−534150)の分割
【原出願日】平成21年10月16日(2009.10.16)
【出願人】(510298034)ケイマン ケミカル カンパニー, インコーポレーテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】CAYMAN CHEMICAL COMPANY
【Fターム(参考)】