説明

FAXOCRシステムおよびFAXOCRプログラム

【課題】FAX網と通信網との間で通信を仲介するFAXOCRシステムおよびFAXOCRプログラムにおいて、FAXデータの送信先に応じて異なる基準で特別の通知を行うことができるものを提供する。
【解決手段】FAX振分部23は、FAX文書の受信に係るFAX番号または当該FAX文書に記載された発注者情報に基づき、FAX文書のデータ通信先となる受注者のテナント31〜33を特定する。緊急度判別部311は、データ通信先ごとに異なる緊急度定義情報302に基づき、FAX画像の受信を受注者に通知するか否かを判定する。通知すると判定された場合、緊急度通知装置320は、データ通信先ごとに異なる宛先に受信通知メッセージを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はFAXOCRシステムおよびFAXOCRプログラムに関し、とくにFAX網と通信網との間で通信を仲介するものに関する。
【背景技術】
【0002】
FAX網と他の通信網との間の通信を仲介するシステムが公知である。たとえば、特許文献1に記載される電子メールシステムは、FAX網から受信したFAX文書に基づいて宛名抽出を行い、配信先を確定して電子メールでFAX文書の配信を行うFAXOCRシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−37570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、FAXデータの送信先に応じて異なる基準で特別の通知を行うことができないという問題があった。特別の通知とは、あるFAX文書が特別なものであるということを、FAX以外の手段によって受信者に示す通知を意味する。たとえばあるFAX文書の緊急度や重要度が高いということを知らせるメッセージである。
このため、たとえば複数の顧客からFAXデータの中継処理を請け負うシステムにおいて、顧客ごとに異なる基準で緊急の通知メッセージを送信するということができない。
【0005】
この発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、FAXデータの送信先に応じて異なる基準で特別の通知を行うことができるFAXOCRシステムおよびFAXOCRプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の問題点を解決するため、この発明に係るFAXOCRシステムは、FAX網および通信網に接続され、これらの間の通信を仲介するFAXOCRシステムであって、FAX網を介してFAX画像を受信するFAX受信部と、受信したFAX画像のデータ送信先を特定するFAX振分部と、FAX画像に含まれる数字または文字を、テキストデータとして認識するOCR部と、テキストデータに基づいて通信用データを作成するとともに、データ送信先に応じて異なるコンピュータに通信網を介して通信用データを送信する、送信先連携部と、データ送信先に応じて異なる通知判定基準に基づき、FAX画像の受信を通知するか否かを判定する、通知要否判定部と、通知要否判定部が受信を通知すると判定した場合に、データ送信先に応じて異なる宛先に、FAX画像の受信を通知する受信通知メッセージを送信する、通知装置とを備える。
通知判定基準は、テキストデータが所定の文字列を含むか否かという基準を含んでもよい。
FAXOCRシステムは、FAX網において複数のFAX番号を有し、FAX振分部は、FAX画像の受信に係るFAX番号に基づいてデータ送信先を特定してもよい。
FAX振分部は、テキストデータに基づいてデータ送信先を特定してもよい。
また、この発明に係るFAXOCRプログラムは、コンピュータを、上述のFAXOCRシステムとして機能させる。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係るFAXOCRシステムおよびFAXOCRプログラムによれば、FAX振分部がデータ通信先を特定し、緊急度判別部がデータ通信先に応じて異なる緊急度定義情報に基づいて受信を通知するか否かを判定するので、FAXデータの送信先に応じて異なる基準で特別の通知を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1に係るFAXOCRシステムを含む構成を示す図である。
【図2】図1の受注者Aのテナントの構成をより詳細に示す図である。
【図3】図1の確認修正用端末が表示する確認修正画面の例を示す。
【図4】図1のFAXOCRシステムの動作を説明するフローチャートである。
【図5】実施の形態2に係るFAXOCRシステムを含む構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1に、本発明に係るFAXOCRシステム10を含む構成を示す。FAXOCRシステム10は、FAX網60およびインターネット70に接続される。FAX網60は、たとえばFAX装置がG3ファクシミリ規格に従って情報の送受信を行い得る構成を有する。また、インターネット70は、FAX網60以外の通信網であれば他の通信網であってもよい。FAXOCRシステム10は、FAX網60とインターネット70との間の通信を仲介する。
【0010】
本実施形態では、FAXOCRシステム10は商品の受発注業務に関わるものである。たとえば、発注者が受注者に宛てて発信したFAX文書について、発注者FAX装置110からFAX文書を受信し、発注者が指定した受注者に対応するホストシステム120〜122のいずれかに通信用データを送信する。
FAXOCRシステム10は、FAX文書の送受信業務を請け負う中継事業者が管理するシステムである。中継事業者は、複数の受注者(受注者A、BおよびC)に対してFAX文書の送受信業務を請け負っている。各受注者は、中継事業者からみて顧客であり、発注者は、受注者からみて取引先である。
【0011】
FAXOCRシステム10は、FAXサーバ20、OCRサーバ30、複数の確認修正用端末40、およびSBCサーバ装置50を含む。FAXサーバ20、OCRサーバ30、確認修正用端末40およびSBCサーバ装置50は、周知のコンピュータとしての構成を有する。たとえばFAXサーバ20は、演算を行う演算手段と、情報を格納する記憶手段とを備える。演算手段はCPU(中央処理装置)を含み、記憶手段は半導体メモリおよびHDD(ハードディスクドライブ)を含む。
【0012】
また、とくに図示しないが、FAXサーバ20、OCRサーバ30、確認修正用端末40およびSBCサーバ装置50は、使用者が情報を入力するために用いる入力手段として入力装置を備える。この入力装置は、たとえばマウスやキーボード等である。また、FAXサーバ20、OCRサーバ30、確認修正用端末40およびSBCサーバ装置50は、使用者に対して情報を出力する出力手段として出力装置を備える。出力装置は、たとえば液晶ディスプレイ等の表示装置であるが、プリンタ等の印刷装置であってもよい。
FAXサーバ20、OCRサーバ30、確認修正用端末40およびSBCサーバ装置50は、LAN80を介して互いに通信可能に接続される。
【0013】
FAXサーバ20は、他のFAX装置との間でFAX文書の送受信を行うためのインタフェースとしてFAXボード21を備える。本実施形態では、FAXボード21はFAX網60において複数のFAX番号に対応する。すなわち、FAXOCRシステム10はFAX網60において複数のFAX番号を有することになる。
【0014】
本実施形態では、これらのFAX番号はそれぞれ異なる受注者に対応する。すなわち、発注者は、受注者Aに対してFAX文書を送信する場合には受注者Aに対応する第1のFAX番号を宛先としてFAX文書を送信し、受注者Bに対してFAX文書を送信する場合には受注者Bに対応する第2のFAX番号を宛先としてFAX文書を送信するが、これらのFAX文書はいずれもFAXボード21を介して受信される。
【0015】
また、FAXサーバ20の演算手段は、FAXサーバ20の記憶手段に格納されたFAXサーバ用プログラムを実行することにより、FAX受信部22、FAX振分部23およびFAX送信部24として機能するとともに、本明細書に記載される他の機能を実現する。
【0016】
OCRサーバ30の演算手段は、OCRサーバ30の記憶手段に格納されたOCRサーバ用プログラムを実行することにより、受注者Aのテナント31、受注者Bのテナント32および受注者Cのテナント33として機能するとともに、本明細書に記載される他の機能を実現する。ここで、「テナント」とは、各受注者の業務を行う拠点としてのテナントをコンピュータにより仮想的に実現するものであるが、その構成および動作の詳細については図2を用いて後述する。
【0017】
各テナント31〜33は、たとえばそれぞれ個別のオペレーティングシステム(OS)を用いて構成される。すなわち、OCRサーバ30は複数のOSプログラムを並列的に実行する機能を有し(この機能は仮想化ソフトウエア等を用いて実現することができる)、各OSプログラム上で実行される1つまたは複数のアプリケーションプログラムがそのOSに対応するテナントを構成する。
【0018】
受注者Aのテナント31は、インターネット70を介して、受注者Aのホストシステム120および受注者AのPC130と通信可能に接続される。同様に、受注者Bのテナント32は、インターネット70を介して、受注者Bのホストシステム121および受注者BのPC131と通信可能に接続され、受注者Cのテナント33は、インターネット70を介して、受注者Cのホストシステム122および受注者CのPC132と通信可能に接続される。
【0019】
FAXサーバ20およびOCRサーバ30と同様に、確認修正用端末40およびSBCサーバ装置50の演算手段も、それぞれの記憶手段に格納された確認修正用プログラムおよびSBCサーバプログラムを実行することにより、本明細書に記載される他の機能を実現する。
上述のFAXサーバ用プログラムおよびOCRサーバ用プログラムが、本実施形態に係るFAXOCRプログラムを構成する。すなわち、このFAXOCRプログラムは、コンピュータを、FAXサーバ20およびOCRサーバ30を含むFAXOCRシステム10として機能させる。また、FAXOCRプログラムは、確認修正用プログラムおよびSBCサーバプログラムを含むものであってもよい。
【0020】
ホストシステム120〜122およびPC130〜132は、いずれも周知のコンピュータとしての構成を有する。
【0021】
以下、FAXサーバ20の構成について説明する。
FAX受信部22は、FAX網60およびFAXボード21を介して、発注者FAX装置110からFAXサーバ20に送信されるFAX文書を受信する。このFAX文書は、画像として受信される。以下、FAX文書を表す画像を「FAX画像」と呼ぶ。なお、1つのFAX文書が複数のページからなる場合は、FAX画像もまた複数のページからなる画像となる。
【0022】
FAX振分部23は、受信したFAX画像のデータ送信先となる受注者を特定する。本実施形態では、そのFAX画像の受信に係るFAX番号に基づいてデータ送信先を特定する。たとえば、そのFAX画像がFAXボード21において受信された際に、第1のFAX番号が宛先となっていればデータ送信先は受注者Aであると特定し、第2のFAX番号が宛先となっていればデータ送信先は受注者Bであると特定する。たとえば、FAX番号とデータ送信先との対応関係を表す情報をFAXサーバ20の記憶手段に格納しておけば、FAX振分部23はこの情報を用いてデータ送信先を特定することができる。
【0023】
また、FAX振分部23は、特定されたデータ送信先に対応するテナントに、受信したFAX画像を送信する。たとえば、あるFAX画像のデータ送信先を受注者Aと特定した場合には、そのFAX画像を受注者Aのテナント31に送信する。
【0024】
FAX送信部24は、FAXボード21およびFAX網60を介して、発注者FAX装置110にFAX画像を送信する。このFAX画像は、どのようにして入力されるものであってもよく、またどのように作成されるものであってもよいが、たとえばOCRサーバ30が作成することができる。
【0025】
次に、図2を用いてテナント31〜33の構成を説明する。
図2は、受注者Aのテナント31の構成をより詳細に示す図である。受注者Bのテナント32および受注者Cのテナント33も同様の構成を有する。
【0026】
OCRサーバ30の演算手段は、テナント31としての機能の一部として、緊急度判別部311、OCR部312、確認修正部313、ホスト連携部(送信先連携部)314、オーバーレイ帳票作成部315および緊急度通知装置(通知装置)320として機能する。ここで、緊急度判別部311は、FAX画像の受信について受注者に特別の通知を行うか否かを判定する通知要否判定部としての役割を果たす。これらの機能は、たとえばOCRサーバ30の演算手段が、それぞれ対応するアプリケーションプログラムを実行することによって実現可能である。
【0027】
異なるテナントの対応する機能(たとえば、受注者Aのテナント31における緊急度判別部311、受注者Bのテナント32における緊急度判別部311および受注者Cのテナント33における緊急度判別部311)は、同一のアプリケーションプログラムを用いた異なるプロセスとして構成することができる。(ただし、これらは異なるアプリケーションプログラムによって構成されてもよく、また、同一のプロセスとして構成されてもよい。)
【0028】
また、OCRサーバ30の記憶手段は、FAX受信画像301、緊急度定義情報302、帳票定義情報303、修正画面定義情報304、ホスト送信用定義情報305、FAX送信用データ306、オーバーレイフォーム307およびFAX送信画像308を格納する。
【0029】
テナント31は、FAX振分部23からFAX画像を受信し、FAX受信画像301として記憶する。この処理は、たとえばFAXOCRシステム10の演算手段が、テナント31の機能の一部として、FAX入力モジュールを実行することによって実現される。
緊急度判別部311は、緊急度定義情報302に基づき、対応する受注者(テナント31の場合は受注者A)にFAX画像の受信を通知するか否かを判定する。緊急度定義情報302は、テナント31に宛てられたFAX画像につき、そのFAX画像が受信の通知を要するものであるか否かの通知判定基準を含む。また緊急度定義情報302は、受信の通知を行う場合に用いる情報として、通知の方法(電子メール、電話等)、通知先(電子メールのときは電子メールアドレス、電話のときは電話番号等)、通知先の担当者名等を含む。
【0030】
この通知判定基準は、たとえばFAX画像に含まれる文字列(受信テキストデータ)に基づく基準とすることができる。受信テキストデータは、周知のOCR技術等によって認識可能である。基準の例として、認識された受信テキストデータが所定の文字列を含むか否かという基準を用いることができる。この所定の文字列は、「緊急」「至急」「急」「本日」「本日中」「今日」「今日中」等の文字列として具体的に定義することができる。緊急度判定の文字列については、その他、「(同時)指定」、「特急」、「早」、「速」、「即」、「即日」、「午前中」、「夕方まで」、「Express」、「今月中」などが例示される。
FAX画像上の所定の文字列の位置は、任意の位置としてもよいし、所定の範囲内と定めてよい。所定の範囲内と定めるときは、OCR技術等で文字認識する範囲を小さくすることができる。
【0031】
また、通知判定基準は、テナント(データ送信先)に応じて異ならせることができる。すなわち、受注者Aのテナント31に格納される緊急度定義情報302と、受注者Bのテナント32に格納される緊急度定義情報302とは、その内容を異ならせて定義することが可能である(当然ながら同一の内容とすることもできる)。
【0032】
緊急度判別部311がFAX画像の受信を通知すると判定した場合、緊急度通知装置320は、受注者Aに対応する宛先に、当該FAX画像の受信を通知する受信通知メッセージを送信する。この宛先は、たとえば電子メールアドレスとして定義することができ、その場合には緊急度通知装置320は受信通知メッセージを電子メールとして送信することになる。なお、緊急度判別部311が受信を通知すると判定しなかった場合には、緊急度通知装置320は受信通知メッセージを送信しない。
【0033】
受信通知メッセージは、当該FAX画像を特定する情報を含む。たとえば、当該FAX画像をFAXサーバ20が受信した日時、FAXサーバ20においてそのFAX画像を特定する通番、テナント31〜33においてそのFAX画像を特定する通番、その他FAXOCRシステム10が一意に生成する識別番号、等のうち1つまたは複数を含む。
【0034】
PC130は、この電子メールを表示または印刷により出力する機能を有する。すなわち、受注者Aの従業員は、PC130を用いて受信通知メッセージを閲覧することができ、これによって、特別なFAX画像(たとえば緊急の注文に関するもの)があるか否かを知ることができ、ある場合にはそのFAX文書を特定する情報を得ることができる。なお、後述するように、受注者Aの従業員は、ホストシステム120またはPC130を用いて当該FAX画像の内容を確認することができる。
【0035】
受信通知メッセージの宛先は、テナント(データ送信先)に応じて異ならせることができる。すなわち、受注者Aのテナント31において緊急度通知装置320が用いる宛先と、受注者Bのテナント32において緊急度通知装置320が用いる宛先は、異なるものとして定義することが可能である。
【0036】
緊急度判別部311の判定結果に関わらず、OCR部312は、FAX受信画像301に含まれる数字または文字を、帳票定義情報303に基づき、受信テキストデータとして認識する。この処理は、たとえばFAXOCRシステム10の演算手段が、テナント31の機能の一部として、認識モジュールを実行することによって実現される。受信テキストデータは、周知のOCR技術等によって認識可能である。受信テキストデータはたとえば文字列を表すデータであるが、数値を表すデータを含んでもよい。
【0037】
帳票定義情報303は、FAX画像に、所定の情報を表す文字列がどのように含まれるかを定義する情報である。たとえば、FAX画像に含まれる複数のフィールドについて、そのフィールドの名称(たとえば「店名」や「商品コード」)と、フィールドの位置(たとえば二次元座標)を表す情報と、そのフィールドの種別(たとえば、数字、英文字、カナ、漢字、画像のいずれであるか)を表す情報とを関連付けて記憶する。
また、OCR部312は、認識した受信テキストデータを確認修正部313に受け渡す。この受け渡し処理は、たとえばFAXOCRシステム10のテナント31の記憶手段に格納される認識結果ファイル(図示せず)を介して行われる。
【0038】
確認修正部313は、OCR部312から受け取った受信テキストデータと、修正画面定義情報304とに基づき、確認修正画面(図3)を表すデータを作成して確認修正用端末40およびSBCサーバ装置50に送信する。確認修正用端末40およびSBCサーバ装置50はこのデータを受信する。
【0039】
確認修正用端末40は確認修正画面を表示するとともに、確認修正画面に対する入力に基づいて受信テキストデータを修正し、修正した受信テキストデータ(または修正内容)を確認修正部313に送信する。この処理は、たとえば確認修正用端末40の演算手段が、修正モジュールを実行することによって実現される。このように、FAXOCRシステム10を管理する中継事業者の従業員は、確認修正用端末40を用いて、受信テキストデータの閲覧、確認および修正を行うことができる。
【0040】
また、SBCサーバ装置50は、インターネット70を介して確認修正用端末40と同様の機能を実現する。すなわち、SBCサーバ装置50は、インターネット70を介してPC130〜132に確認修正画面を送信し、表示させるとともに、PC130〜132からの確認修正画面に対する入力をインターネット70を介して受信し、これに基づいて受信テキストデータを修正し、修正した受信テキストデータ(または修正内容)を確認修正部313に送信する。
【0041】
ここで、SBCサーバ装置50は、FAX振分部23が特定したデータ通信先に応じて異なるコンピュータに確認修正画面を送信する。この処理は、たとえばSBCサーバ装置50の演算手段が、修正モジュールを実行することによって実現される。
たとえば、あるFAX画像のデータ通信先が受注者Aである場合、確認修正画面はPC130に送信され、受注者Aの従業員がPC130を用いてこれを確認し修正することができるが、このFAX画像の確認修正画面はPC131およびPC132には送信されないので、受注者Bおよび受注者Cの従業員は内容を知ることができない。
このように、各受注者の従業員は、対応するPC130〜132を用いて、当該受注者に宛てられたFAX画像の受信テキストデータの閲覧、確認および修正を行うことができる。
【0042】
図3は、確認修正用端末40およびPC130〜132が表示する確認修正画面の例を示す。
確認修正画面は、FAX画像表示領域F1および確認修正領域F2を含む。FAX画像表示領域F1にはFAX画像が表示される。確認修正領域F2には、FAX画像に含まれるフィールドごとに、フィールド画像表示領域F3およびテキストデータ領域F4が対となって表示される。フィールド画像表示領域F3には、FAX画像のうち帳票定義情報303に基づいて定義されたフィールド内の画像が表示され、テキストデータ領域F4には、OCR部312がそのフィールドについて認識した受信テキストデータが表示される。なお、OCR部312が受信テキストデータの一部または全部について認識処理に失敗した場合には、該当する部分に「◆」マークが表示される。
【0043】
図3は、帳票定義情報303に、社名、店名、店コード、商品名(3箇所)、商品コード(3箇所)、数量(3箇所)を表すフィールドが定義されている場合の例である。
修正画面定義情報304には、各フィールドに対応するフィールド画像表示領域F3およびテキストデータ領域F4を、確認修正領域F2内のどの位置に表示するかを表すレイアウト情報が定義されている。
【0044】
確認修正用端末40およびSBCサーバ装置50は、各フィールドの受信テキストデータ領域について修正入力を受け付ける。たとえば、操作員が「社名」のフィールドを指定し、対応するテキストデータ領域F4に表示されたデータを更新した場合、確認修正用端末40およびSBCサーバ装置50は更新後のデータを新たな受信テキストデータとする。
【0045】
確認修正用端末40およびSBCサーバ装置50は、このような修正入力の対象となるフィールドを示すカーソルF1aおよびF2aを、FAX画像表示領域F1および確認修正領域F2のそれぞれに表示する。FAX画像表示領域F1のカーソルF1aはたとえば緑色の着色によって表すことができ、確認修正領域F2のカーソルF2aはたとえば緑色の枠によって表すことができる。
【0046】
また、確認修正用端末40およびSBCサーバ装置50は、フィールド単位に部分拡大表示を行う機能を有する。たとえば、操作員の操作に応じて各フィールド画像表示領域F3を別ウィンドウに拡大表示し、文字の判読が困難な場合にも修正入力作業を容易にすることができる。
さらに、確認修正用端末40およびSBCサーバ装置50は、確認修正画面に、OCR部312による認識処理の結果を表す統計データを表示してもよい。たとえば認識エラーの総数を表示してもよい。
【0047】
以上のようにして、確認修正部313は、確認修正用端末40からの入力およびSBCサーバ装置50を介したPC130〜132からの入力を受け付け、これに応じて受信テキストデータを修正する。また、確認修正用端末40およびPC130〜132において確認修正作業の終了を示す操作がなされると、確認修正部313は、修正後の受信テキストデータをホスト連携部314に受け渡す。この受け渡し処理は、たとえばFAXOCRシステム10のテナント31の記憶手段に格納される修正済み認識結果ファイル(図示せず)を介して行われる。
【0048】
ホスト連携部314は、確認修正部313から受信テキストデータを受け取り、ホスト送信用定義情報305に基づいて通信用データを作成する。ここで、通信用データとは、インターネット70を介して外部のコンピュータ(この場合はホストシステム120)が受信可能な形式のデータのことであり、たとえばCSV形式のテキストファイルである。ホスト送信用定義情報305は、ホストシステム120のデータ形式に関する情報を含むが、具体的な内容はホストシステム120の構成に応じて当業者が適宜決定することができる。また、ホスト送信用定義情報305は、テナント(データ送信先)に応じて異ならせることができる。すなわち、受注者Aのテナント31に格納されるホスト送信用定義情報305と、受注者Bのテナント32に格納されるホスト送信用定義情報305とは、その内容を異ならせて定義することが可能である。
【0049】
通信用データは、受信テキストデータの認識に用いたFAX画像を特定する情報を含む。この情報は、緊急度通知装置320が送信する受信通知メッセージに含まれる情報に対応するものであり、たとえば、当該FAX画像をFAXサーバ20が受信した日時、FAXサーバ20においてそのFAX画像を特定する通番、テナント31〜33においてそのFAX画像を特定する通番、その他FAXOCRシステム10が一意に生成する識別番号、等のうち1つまたは複数を含む。
【0050】
以上のようなホスト連携部314の処理は、たとえばFAXOCRシステム10の演算手段が、テナント31の機能の一部として、ホスト出力データ変換モジュール、保存イメージ検索ジュールおよび拡張ホストモジュールを実行することによって実現される。また、ホスト連携部314は、これらの処理において中間的にテナント31の記憶手段に格納されるホスト出力データファイル(図示せず)を作成する。また、ホスト連携部314は、作成された通信用データを、テナント31の記憶手段に格納されるマスターファイル(図示せず)に記憶する。
【0051】
また、ホスト連携部314は、このようにして作成した通信用データを、インターネット70を介してホストシステム120に送信する。この送信はたとえばFTPプロトコルに従って行われる。ここで、通信用データの送信先は、テナント(データ送信先)に応じて異なる。すなわち、受注者Aのテナント31のホスト連携部314は通信用データを受注者Aのホストシステム120に送信するが、受注者Bのテナント32のホスト連携部314は通信用データを受注者Bのホストシステム121に送信する。
【0052】
このようにして、ホストシステム120は、受信テキストデータを含む通信用データを受信する。受注者Aは、ホストシステム120において受信テキストデータを出力することができる。
【0053】
以上は発注者が受注者に対してFAX文書を送信する場合の処理である。以下、図2を用いて、逆方向すなわち受注者が発注者に対してFAX文書を送信する場合の処理について説明する。
まず、受注者Aの従業員は、ホストシステム120を操作し、テナント31にFAX送信用データ306を送信する。FAX送信用データ306はたとえばテキストデータである。
【0054】
オーバーレイ帳票作成部315は、FAX送信用データ306およびオーバーレイフォーム307に基づき、FAX送信画像308を作成する。ここで、オーバーレイフォーム307は、FAX送信用データ306に含まれるテキストのうちどの部分を、作成されるFAX送信画像308のどの位置に配置するかを表す情報を含む。
【0055】
テナント31は、オーバーレイ帳票作成部315が作成したFAX送信画像308を、FAXサーバ20のFAX送信部24に送信する。FAX送信部24はこれを受信し、FAXボード21およびFAX網60を介して発注者FAX装置110に送信する。ここで、FAX画像の送信先となる発注者FAX装置110のFAX番号は、FAX送信用データ306に含まれていてもよく、あるいは、FAX送信用データ306に含まれる情報に基づいてテナント31が特定してもよい。
【0056】
以上のように構成されるFAXOCRシステム10の動作およびこれに伴う業務の流れを、図4のフローチャートを用いて説明する。
発注者が、発注者FAX装置110から受注者Aに注文書をFAX送信する例を考える。この注文書は緊急のものであり、「緊急」という文字列を含んでいる。また、受注者Aの緊急度定義情報302には、「緊急」という文字列を含むFAX画像については受信を通知すべきであると定義されているとする。
【0057】
まず発注者は、受注者Aに対応するFAX番号を指定して注文書を送信する。これに応じて、FAX受信部22が当該注文書のFAX画像を受信する(ステップS1)。
次に、FAX振分部23は、このFAX画像の受信に係るFAX番号に基づき、データ送信先を特定する(ステップS2)。この場合はデータ送信先は受注者Aであると特定される。
次に、緊急度判別部311が、受注者Aに対し、注文書の受信を通知するか否かを判定する(ステップS3)。この場合は注文書に「緊急」という文字列が含まれるので、緊急度定義情報302に基づき、通知を行うと判定される。
【0058】
通知を行うと判定された場合、緊急度通知装置320が緊急度定義情報302を参照することにより、通知の方法、通知先、通知先の担当者名を特定し、受信通知メッセージを送信する(ステップS4)。この例では受信通知メッセージは電子メールである。また、この受信通知メッセージは、受注者Aに対応する宛先に送信される。受注者Aの従業員は、PC130を操作してこの受信通知メッセージを確認し、緊急の注文があることを知るとともに、当該注文を特定する情報を取得する。
なお、通知を行わないと判定された場合には、ステップS4は実行されず、したがって受信通知メッセージは送信されない。
【0059】
次に、OCR部312がFAX画像に基づいて受信テキストデータを認識し(ステップS5)、確認修正部313が図3の確認修正画面を介して受信テキストデータの確認処理および修正処理を行う(ステップS6)。
ここで、この確認処理および修正処理は、たとえば確認修正用端末40において中継事業者の従業員が行う。したがって、とくに緊急でないFAX画像の場合は、受注者Aの従業員は確認処理および修正処理を行う必要がないので、受注者Aにおける受注業務を効率化することができる。
【0060】
ただし、この例のようにステップS4において受信通知メッセージが送信されている場合には、受注者Aは当該FAX画像が緊急のものであることを知ることができ、ホストシステム120に通信用データが到着するよりも前にPC130に確認修正画面を表示させることができる。このため、中継事業者の従業員による確認処理および修正処理を待たずに、受注者Aの従業員が直接に確認処理および修正処理を行うことができ、迅速な対応が可能となる。
【0061】
これらの確認処理および修正処理において、中継事業者の従業員または受注者Aの従業員は、確認修正用端末40またはPC130を用いて受信テキストデータの確認および修正を行う。このため、OCR部312の認識にエラーがあったり、認識できない文字があった場合でも、最終的には正確に認識されたテキストデータに基づいて受注業務を実行することができる。
【0062】
次に、ホスト連携部314が、受信テキストデータ(修正された部分については修正後のもの)に基づいて通信用データを作成し、ホストシステム120に送信する(ステップS7)。ここで、ステップS2においてデータ送信先は受注者Aであると特定されているので、通信用データの送信先は受注者Aのホストシステム120となる。
【0063】
なお、受注者から発注者にFAX送信を行う際の処理、すなわちオーバーレイ帳票作成部315およびFAX送信部24の処理については説明を省略する。これらの構成および動作は、当業者が周知技術に基づいて適宜設計可能である。
【0064】
実施の形態2.
実施の形態2は、実施の形態1においてFAXサーバ20の構成および動作を一部変更するものである。
図5は、実施の形態2に係るFAXOCRシステム10aの構成を示す。実施の形態1との相違点は、FAXサーバ20aのFAXボード21aおよびFAX振分部23aの構成が異なる点と、FAXサーバ20aの記憶手段が発注者・受注者対応情報23bを格納している点である。
【0065】
FAXボード21aは、FAX網60において単一のFAX番号を有する。すなわち、発注者は、受注者A〜Cのいずれに宛てたFAX画像であっても、すべて同一のFAX番号を指定して送信することになる。
発注者・受注者対応情報23bは、発注者を表す発注者情報(たとえば発注者の名称)と、受注者すなわちデータ通信先とを関連付けて記憶している。
【0066】
FAX振分部23aは、実施の形態1のFAX振分部23と同様に、受信したFAX画像のデータ送信先となる受注者を特定する。ただし、実施の形態2では、そのFAX画像に含まれる発注者情報に基づいてデータ送信先を特定する。
【0067】
たとえば、FAX振分部23aは、周知のOCR技術を用いて、FAX画像に含まれる数字または文字を、テキストデータとして認識する(すなわち、実施の形態2のFAX振分部23aは、実施の形態1におけるOCR部312の機能を一部含んでいると言える)。
そして、FAX振分部23aは、発注者・受注者対応情報23bに定義される発注者情報のいずれかが、FAX画像から認識したテキストデータに含まれるか否かを判定する。テキストデータにいずれかの発注者情報が含まれていた場合には、FAX振分部23aは、その発注者情報に対応するデータ通信先を、そのFAX画像のデータ通信先として特定する。
【0068】
このような構成によれば、中継事業者はFAXOCRシステム10aについて受注者ごとに異なるFAX番号を準備する必要がない。また、通常、発注者は自己の名称を注文書に記載するので、同一のFAX番号に宛てられたFAX画像であっても、FAX振分部23aは発注者の名称に基づいて対応する受注者を特定することができる。なお、実施の形態2においては、1つの発注者がFAXOCRシステム10aを介して発注をかける受注者は1つに限定しておく必要がある。
【0069】
実施の形態1に係るFAXOCRシステム10および実施の形態2に係るFAXOCRシステム10aについて、以下のような変形を施すことができる。
実施の形態1および2では、テナント31〜33の構成要素はテナントごとに独立して構成されるが、これらは複数のテナントに共通であってもよい。すなわち、たとえば単一の緊急度判別部が全テナントについて通知の要否を判定してもよい。ただし、この場合でも、緊急度定義情報はテナントごとに独立して定義可能とする必要がある。
【0070】
実施の形態1および2では、緊急度定義情報302に含まれる通知判定基準は時間に関する文字列であるが、他の基準を用いてもよい。たとえば発注者FAX装置110のFAX番号を用いてもよく、あるいは、実施の形態2における発注者情報(たとえば発注者の名称)を用いてもよい。このようにすると、特定の発注者からの注文に優先的に対応することができる。
【0071】
実施の形態1および2では、OCR部312による受信テキストデータ認識よりも前に緊急度判別部311による通知要否判定がなされるが、この順序は逆であってもよい。たとえば、OCR部312によって認識されたテキストデータに基づいて緊急度判別部311が判定を行ってもよい。
また、この場合、通知判定基準をより柔軟に定義することができる。たとえば、基準となるフィールドを指定し、そのフィールドに記入された文字列が特定の基準を満たす場合に、受信を通知すると判定してもよい。具体的には、「出荷希望日」を表すフィールドに記入された文字列が受信当日を表す場合、「商品コード」に記入された文字列が緊急性を要する商品である場合、等に受信を通知することができる。
【0072】
実施の形態1および2を組み合わせた構成としてもよい。すなわち、FAXボードに複数のFAX番号を定義した上で、各FAX番号にそれぞれ複数の受注者を対応させてもよい。このような構成において、FAX振分部は、受信に係るFAX番号と、FAX画像から認識したテキストデータに含まれる発注者情報との組み合わせに基づいて、データ通信先を特定してもよい。
【0073】
ハードウエアの構成単位は、実施の形態1および2に示すものに限らない。たとえば、FAXサーバ20およびOCRサーバ30を同一のコンピュータによって構成してもよく、テナント31〜33をそれぞれ個別のコンピュータによって構成してもよく、緊急度判別部311、OCR部312、確認修正部313、ホスト連携部314およびオーバーレイ帳票作成部315のいずれかを独立したコンピュータによって構成してもよい。
これらの場合において、コンピュータをFAXOCRシステムとして機能させるFAXOCRプログラムは、単一のコンピュータまたは複数のコンピュータを全体として1つのFAXOCRシステムとして機能させるものであれば、どのような内部構成であってもよい。たとえば、ハードウエアの構成単位ごとに部分的プログラムを作成し、これらの部分的プログラムが全体として1つのFAXOCRプログラムを構成するものとしてもよい。
【符号の説明】
【0074】
10,10a FAXOCRシステム、20,20a FAXサーバ、21,21a FAXボード、22 FAX受信部、23,23a FAX振分部、23b 発注者・受注者対応情報、24 FAX送信部、30 OCRサーバ、31 受注者Aのテナント、32 受注者Bのテナント、33 受注者Cのテナント、40 確認修正用端末、50 SBCサーバ装置、60 FAX網、70 インターネット(通信網)、110 発注者FAX装置、120 受注者Aのホストシステム、121 受注者Bのホストシステム、122 受注者Cのホストシステム、
301 FAX受信画像、302 緊急度定義情報(通知判定基準)、303 帳票定義情報、304 修正画面定義情報、305 ホスト送信用定義情報、306 送信用データ、307 オーバーレイフォーム、308 FAX送信画像、311 緊急度判別部(通知要否判定部)、312 OCR部、313 確認修正部、314 ホスト連携部(送信先連携部)、315 オーバーレイ帳票作成部、320 緊急度通知装置(通知装置)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
FAX網および通信網に接続され、これらの間の通信を仲介するFAXOCRシステムであって、
前記FAX網を介してFAX画像を受信するFAX受信部と、
受信した前記FAX画像のデータ送信先を特定するFAX振分部と、
前記FAX画像に含まれる数字または文字を、テキストデータとして認識するOCR部と、
テキストデータに基づいて通信用データを作成するとともに、前記データ送信先に応じて異なるコンピュータに前記通信網を介して前記通信用データを送信する、送信先連携部と、
前記データ送信先に応じて異なる通知判定基準に基づき、前記FAX画像の受信を通知するか否かを判定する、通知要否判定部と、
前記通知要否判定部が受信を通知すると判定した場合に、前記データ送信先に応じて異なる宛先に、前記FAX画像の受信を通知する受信通知メッセージを送信する、通知装置と
を備える、FAXOCRシステム。
【請求項2】
前記通知判定基準は、テキストデータが所定の文字列を含むか否かという基準を含む、請求項1に記載のFAXOCRシステム。
【請求項3】
前記FAXOCRシステムは、前記FAX網において複数のFAX番号を有し、
前記FAX振分部は、前記FAX画像の受信に係るFAX番号に基づいて前記データ送信先を特定する、請求項1または2に記載のFAXOCRシステム。
【請求項4】
前記FAX振分部は、テキストデータに基づいて前記データ送信先を特定する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のFAXOCRシステム。
【請求項5】
コンピュータを、請求項1〜4のいずれか一項に記載のFAXOCRシステムとして機能させるためのFAXOCRプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−178691(P2012−178691A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40242(P2011−40242)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(394013002)三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社 (251)
【Fターム(参考)】