説明

GICミラー及びスズワイヤEUV・LPPターゲットシステムを備える光源集光モジュール

【課題】より安価で、より単純で、より堅牢で、一般的に商業的に実現可能な光源集光モジュール(SOCOMO)を提供する。
【解決手段】EUVを放射するレーザ生成プラズマ(LPP)を生成するためのSOCOMOと、入射端および出射端を有し、LPPに相対配置される斜入射集光器(GIC)ミラーとに関する。LPPは、光源部およびターゲット部を備えるLPPターゲットシステムを使用して形成される。光源部からのパルスレーザ光線は、ターゲット部によって供給されるSnワイヤを照射する。GICミラーは、LPPに相対配置され、入射端でEUVを受光し、受光したEUVを、出射端に隣接する中間焦点に集束する。中間焦点に供給され、さらに/または、下流のイルミネータに導かれるEUVの量を増加させるために、少なくとも一つの漏斗部を有する放射集光強化装置を使用してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、斜入射集光器(GIC)に関し、特に、スズワイヤを使用して極端紫外光(EUV)を生成するレーザ生成プラズマ(LPP)ターゲットシステムを採用する極端紫外光(EUV)リソグラフィシステムにおいて使用される光源集光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ生成プラズマ(LPP)は、例えば、Sn液滴に集束レーザ光線を照射して形成される。LPPは、電磁スペクトルの極端紫外光(EUV)の範囲において放射する。このため、LPPは、EUVリソグラフィシステムにとって有望なEUV放射源として期待されている。
【0003】
図1は、直入射集光器(NIC)ミラーMNを利用する従前のLPP方式の光源集光モジュール(SOCOMO)10の一般構成の概略図である。一方、図2は、図1の「LPP・NIC」型SOCOMO10のより具体的な例の構成図である。LPP・NIC型SOCOMO10は、高出力レーザ光源12を備えている。高出力レーザ光源12は、焦点F13を有する高出力で高反復率のレーザ光線13を生成する。また、LPP・NIC型SOCOMO10は、光学軸A1に沿って、折り返しミラーFMと、大型の(例えば、径が600mm以下の)楕円形NICミラーMNとを備えている。NICミラーMNは、多層コーティング18を含む表面16を有する。多層コーティング18は、EUVの波長において良好な反射率を確保するために不可欠である。また、LPP・NIC型SOCOMO10は、スズ(Sn)供給源20を備えている。Sn供給源20は、レーザ光線の焦点F13にSnペレット(液滴)22を通過させる。
【0004】
LPP・NIC型SOCOMO10の動作時、Snペレット22がレーザ光線の焦点F13を通過する際、レーザ光線13がSnペレット22を照射し、これにより高出力LPP24が生成される。LPP24は、典型的には、NICミラーMNから約数百ミリメートルの距離に位置し、エネルギーSnイオン、粒子、中性原子、赤外線(IR)とともにEUV30を発する。EUV30の一部は、NICミラーMNに導かれ、NICミラーMNによって集光され、中間焦点IFに導かれ(焦点が合わせられ)る。その結果、焦点スポットFSが形成される。中間焦点IFは、開口絞りAS上または開口絞りASに隣接して配置される。開口絞りASを通過するEUV30の一部のみが中間スポットFSを形成する。なお、中間スポットFSは、中間焦点IFの直上に配置される極めて小さな点というよりは、中間焦点IFをほぼ中心とするEUV30の分布である。
【0005】
LPP・NIC型SOCOMO10は、光学設計が簡素であること(即ち、単一の楕円形NICミラーが使用されている)に利点があると共に、NICミラーMNが、LPP24から放出されたEUV30を広角度で集光するように設計可能であるため、理論上、集光率を高くすることができることに利点がある。なお、LPP24の反対側に配置される単反射型NICミラーMNを使用することにより、中間焦点IFが形成され、幾何学的に便利であるものの、NICミラーMNから中間焦点IFに送られるEUV30をSn供給源20が著しく妨げないようにする必要がある。したがって、例えば、Snペレット22のペレット流の吐出に器材が必要となることを除き、LPP・NIC型SOCOMO10には、一般的に障害は存在しない。
【0006】
LPP・NIC型SOCOMO10は、実験室および実験装置において良好に動作し、こうした環境ではLPP・NIC型SOCOMO10の寿命や交換コストは問題視されない。しかし、商業的に利用されるEUVリソグラフィシステムには、長寿命のSOCOMOが必要とされる。残念ながら、NICミラーMNの表面16およびその表面上の多層コーティング18からLPP24までの距離が短いため、放射線集光プロセスのほぼ通常の入射特性が加わると、典型的なEUV方式の半導体製造条件では、多層コーティング18を妥当な時間、損傷なく維持することは極めて困難である。
【0007】
LPP・NIC型SOCOMO10には、塵埃軽減装置と連動させることができないというさらなる問題点がある。なお、塵埃軽減装置は、複数の放射ラメラに基づくものであり、放射ラメラにガスを通過させることにより、LPP24から放出されたイオンや中性原子がNICミラーMNに到達するのを効果的に阻止する。LPP・NIC型SOCOMO10を塵埃軽減装置と連動させることができないのは、NICミラーMNによるEUV30の反射も放射ラメラにより妨げられるからである。
【0008】
また、多層コーティング18にSnが堆積すると、コーティングに入射して反射されるEUV30をSnが著しく吸収してしまうため、多層コーティング18の性能が著しく低下しやすく、多層コーティングされた楕円形ミラーの反射効率が低下する。また、LPP24によって生成される上記のエネルギーイオン、原子、粒子は、多層コーティング18に衝突し、多層コーティング18の上層を順に破壊する。さらに、エネルギーイオン、原子および粒子は、多層コーティング18を侵食する。また、IRの生成時に発生する熱により、多層コーティング18の層が混合したり相互拡散したりする場合もある。
【0009】
上述のLPP・NIC型SOCOMO10の問題を解消するために、様々な解決策が提案されているが、これらの解決策は、全て、商業ベースのEUVリソグラフィシステムにLPP・NIC型SOCOMO10を組み込むことが非現実的になる程度までSOCOMOの費用および複雑性を増大させる。さらに、Sn液滴型LPP・EUV光源は、LPP・NIC型SOCOMO10の複雑で高価な部分である。したがって、より単純で費用対効果の高いLPP方式のEUV源を利用するEUVリソグラフィシステムには、より安価で、より単純で、より堅牢で、一般的に商業的に実現可能なSOCOMOが必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許仮出願第61/341,806号
【特許文献2】米国特許出願第US2004/0265712A1号
【特許文献3】米国特許出願第US2005/0016679A1号
【特許文献4】米国特許出願第US2005/0155624A1号
【特許文献5】米国特許出願第12/592,735号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、一般に、斜入射集光器(GIC)に関し、特に、EUVリソグラフィシステムで使用される光源集光モジュール(SOCOMO)を形成するために使用されるGICミラーに関する。ここで、SOCOMOは、EUVを生成するためにスズワイヤとレーザ光源とを使用するLPPターゲットシステムを備える。
【0012】
本発明の一態様は、極端紫外光(EUV)リソグラフィシステムのSOCOMOである。ここで、SOCOMOは、レーザ光源と折り返しミラーとを備える。レーザ光源は、パルスレーザ光線を生成する。折り返しミラーは、光源集光モジュール軸に沿って配置され、パルスレーザ光線を受光して光源集光モジュール軸の第1方向にパルスレーザ光線を反射するように構成されている。また、SOCOMOは、Snワイヤ源を備える。Snワイヤ源は、Snワイヤがパルスレーザ光線によって照射される照射位置を含むワイヤ案内経路にSnワイヤを移動させるように構成されている。そして、これにより、第1方向とほぼ反対の第2方向にEUVを放射するLPPが生成される。また、SOCOMOは、GICミラーを備える。GICミラーは、入射端および出射端を有する。そして、GICミラーは、入射端においてEUVを受光し、出射端に隣接する中間焦点において、受光したEUVを集束するように配置されている。
上述のSOCOMOは、供給リール、巻き取りリール、少なくとも一つの案内ワイヤ部をさらに備えることが好ましい。供給リールは、レーザ光線で照射される所定の長さのSnワイヤを収容する。巻き取りリールは、レーザ光線で照射されたSnワイヤを受ける。少なくとも一つの案内ワイヤ部は、Snワイヤをワイヤ案内経路に案内するように構成される。
上述のSOCOMOにおいて、少なくとも一つの案内ワイヤ部は少なくとも一つのローラを備えることが好ましい。
上述のSOCOMOにおいて、少なくとも一つのローラの一つは駆動ローラであることが好ましい。
上述のSOCOMOにおいて、Snワイヤは、テープ、チェーン、ホイルテープ、ビーズ状チェーン、リボン、ロープ、ケーブル、糸、従前のワイヤ、ラインを含む群から選択されることが好ましい。
上述のSOCOMOにおいて、Snワイヤは、約0.5ミクロン以上の厚みのSnで被覆された非Sn構造を備えることが好ましい。
上述のSOCOMOは、放射線集光強化装置(RCED)をさらに備えることが好ましい。RCEDは、中間焦点に隣接して配置される。RCEDは、少なくとも一つの漏斗部を有する。少なくとも一つの漏斗部は、軸方向において中間焦点の少なくとも片側に配置される。また、少なくとも一つの漏斗部は、中間焦点に近接する幅狭端を有する。
上述のSOCOMOにおいて、RCEDは、第1漏斗部と第2漏斗部とを備えることが好ましい。第1漏斗部と第2漏斗部とは、中間焦点の各側に配置される。
上述のSOCOMOにおいて、GICミラーは、多層コーティングを含まない第1反射面を有することが好ましい。
上述のSOCOMOにおいて、GICミラーは、Ruコーティング及び多層コーティングのいずれかを有することが好ましい。
上述のSOCOMOにおいて、GICミラーは、少なくとも一つの区分化GICシェルを備えることが好ましい。少なくとも一つの区分化GICシェルは、多層コーティングを含まない第1反射面と、多層コーティングを含む第2反射面とを有する。
本発明の他の態様は、反射レチクルに光を照射する極端紫外光(EUV)リソグラフィシステムである。このEUVリソグラフィシステムは、上述の光源集光モジュールと、イルミネータとを備える。このイルミネータは、中間焦点に形成された集束EUVを受光して凝縮EUVを形成し、その凝縮EUVを反射レチクルに照射するように構成される。
上述のEUVリソグラフィシステムは、感光性半導体ウエハ上にパターン像を形成するためのEUVリソグラフィシステムであることが好ましい。このEUVリソグラフィシステムは、投影光学システムをさらに備えることが好ましい。この投影光学システムは、反射レチクルの下流に配置される。また、この投影光学システムは、反射レチクルによって反射されたEUVを受光し、そこから感光性半導体ウエハ上にパターン像を形成するように構成される。
【0013】
本発明の他の態様は、LPPからEUVを集光する方法である。この方法は、入射端および出射端を有するGICミラーを軸方向に配置することを備える。また、この方法は、所定の径を有するSnワイヤを供給するように構成されるLPPターゲットシステムをGICミラーの入射端に隣接して配置し、照射位置を通過するようにSnワイヤを移動させることを備える。また、この方法は、GICミラーの軸方向にパルスレーザ光線を照射し、パルスレーザ光をGICミラーの出射端からGICミラーを介して入射端まで通過させ、照射位置のSnワイヤに到達させることにより、EUVを放射するLPPを形成することをさらに備える。また、この方法は、GICミラーを使用して、LPPからのEUVの一部をGICミラーの入射端で集光し、集光したEUVをGICミラーの出射端から出射し、中間焦点に焦点スポットを形成することを備える。
上述の方法は、中間焦点に近傍に放射線集光強化装置(RCED)を配置することをさらに備えることが好ましい。RCEDは、少なくとも一つの漏斗部を有する。少なくとも一つの漏斗部は、軸方向において中間焦点の少なくとも片側に配置される。また、少なくとも一つの漏斗部は、中間焦点に近接した幅狭端を有する。
上述の方法は、GICミラーの出射端と中間焦点との間に上流漏斗部を設けると共に、上流漏斗部を使用して、通常は中間焦点に導かれないEUVの一部を中間焦点に導くことと、中間焦点からEUVを集光し、集光したEUVを下流位置に導くように、GICミラーとは反対側の中間焦点に隣接する位置に下流漏斗部を設けることをさらに備えることが好ましい。
上述の方法は、収容リール、巻き取りリール、少なくとも一つのワイヤ案内部により規定されるワイヤ案内経路でSnワイヤを移動させることをさらに備えることが好ましい。
上述の方法は、多層コーティングを含まない第1反射面を有するGICミラーを設けることをさらに備えることが好ましい。
上述の方法は、Ruコーティング及び多層コーティングのいずれかを有するGICミラーを設けることをさらに備えることが好ましい。
上述の方法は、第1反射面と第2反射面とを有する少なくとも一つの区画化GICシェルを備えるGICミラーを設けることをさらに備えることが好ましい。ここで、第2反射面は多層コーティングを有する。
上述の方法は、中間焦点においてEUVから凝縮EUVを形成し、凝縮EUVを反射レチクルに照射することをさらに備えることが好ましい。
上述の方法は、反射レチクルによって反射されたEUVを受光し、そこから投影光学システムを使用して感光性半導体ウエハ上にパターン像を形成することをさらに備えることが好ましい。
【0014】
本発明の他の態様は、LPPターゲットシステムである。LPPターゲットシステムは、レーザ光源と、Snワイヤ収容リールと、Snワイヤ巻き取りリールとを備える。レーザ光源は、パルスレーザ光線を生成する。Snワイヤ収容リールは、所定の長さのSnワイヤを収容する。Snワイヤ巻き取りリールは、所定の長さの照射済Snワイヤを収容する。また、LPPターゲットシステムは、少なくとも一つのワイヤ案内部を備える。少なくとも一つのワイヤ案内部は、ワイヤ案内経路にSnワイヤを、収容リールから巻き取りリールまで案内する。ワイヤ案内経路は、収容リールと巻き取りリールとの間に照射位置を含む。照射位置では、Snワイヤがパルスレーザ光線で照射される。
【0015】
本発明のさらなる特徴および利点は、下記の詳細な説明(発明を実施するための形態)に明記されている。また、それらの一部は、詳細な説明の記載内容から当業者にとって直ちに明白となるか、下記の詳細な説明、特許請求の範囲、添付図面を含む、ここに記載された発明を実施することによって認識される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従前のLPP・NIC型SOCOMOの一般例の概略図である。
【図2】図1に係る従前のLPP・NIC型SOCOMOの特定例の概略図である。
【図3A】LPP源用のGIC型SOCOMO(LPP・GIC型SOCOMO)の一例の一般概略図である。本図では、LPP及び中間焦点は、GICミラーの反対側に位置する。
【図3B】図3Aと同様の図である。本図では、LPP・GIC型SOCOMOが、GICミラーと中間焦点との間に配置された放射線集光強化装置(RCED)をさらに選択的に備え、RCEDが中間焦点の両側にそれぞれ上流漏斗部と下流漏斗部とを有することが示されている。
【図4】図3Bの一般構成に基づくLPP・GIC型SOCOMOの一例の概略図であり、LPPターゲットシステムの光源部およびターゲット部を示す図である。
【図5】図4のLPPターゲットシステムのターゲット部の詳細な概略側面断面図である。このターゲット部には、EUVを生成するSnワイヤ源が含まれている。
【図6】EUVの第1反射および第2反射を実現する第1面および第2面をそれぞれ有する2つの区画を備えるGICミラーの一例の断面図である。
【図7】GICミラーの一例の概略部分断面図であって、GICミラーの外側部分において使用される2つの区画を有する複数のGICシェルのうちの2つのシェルを示す図である。
【図8】図7のGICミラーの概略部分断面図であって、全8つのGICシェルとLPPとを示す図である。
【図9A】複数のGICシェルに対して多項式表面形状補正を適用せずに遠隔フィールド像の均一性を向上させる場合における、正規化遠隔フィールド位置に対する強度(任意の単位)のプロット図である。
【図9B】図9Aと同様のプロット図であって、遠隔フィールド像の均一性を向上させる多項式表面形状補正が実行された場合のプロット図である。
【図10】本発明に係るLPP・GIC型SOCOMOを利用するEUVリソグラフィシステムの概略図である。
【0017】
図中の様々な構成要素は単に図示されたに過ぎず、必ずしも実際の縮尺通りに図示されている訳ではない。これらの構成要素のうち、ある部分は誇張して図示され、ある部分は最小化して図示されている場合もある。本図面は、当業者によって理解され、適切に実行され得る本発明の実施形態の一例を図示することを意図するものである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本願では、一般に、GICが開示され、特に、EUVリソグラフィシステムに利用される光源集光モジュール(SOCOMO)を形成するために使用されるGICミラーが開示される。なお、EUVリソグラフィシステムは、LLP方式のEUV光源を有する。
【0019】
図3A及び図3Bは、LPP・GIC型SOCOMO100の一般例の概略図である。本図では、LPP24及び中間焦点IFはGICミラーMGの反対側に位置する。GICミラーMGは、入射端3および出射端5を有する。LPP24を生成するLPPターゲットシステム40についても図示されており、以下、LPPターゲットシステム40の例について詳細に議論する。図3Bにおいて、LPP・GIC型SOCOMO100は、さらに放射線集光強化装置(RCED)110を選択的に備えている。RCED110については米国特許仮出願第61/341,806号(発明の名称:EUVの集光を強化したEUV集光システム)に記載されており、当該仮出願は本出願に援用される。RCED110は、光学軸A1に沿って、GICミラーMG側で中間焦点IFおよび開口絞りASに隣接して配置される。RCED110は、開口絞りASを通過して中間焦点IFに達し焦点スポットFSを形成するEUV30の光量を増大させるように構成されている。この構成は、RCED110により方向転換され、開口絞りASを通過して中間スポットFSを形成する屈折EUV光線30Sにより図示されている。
【0020】
実施形態の一例では、RCED110は、逆漏斗状部(下流漏斗部)111Dを備える。逆漏斗状部111Dは、中間焦点IFの下流に配置され、EUV30を中間焦点IFから下流位置(例えば、後述の図10に示す照明光学系)に導くように構成されている。こうした実施形態は、下流のイルミネータで投影されたEUV30をより均一な状態にし、レチクル面で良好に利用する際に有効となる。RCED110は、上流漏斗部111Uおよび下流漏斗部111Dを備えてもよい。なお、ここに記載する「上流」および「下流」は、中間画像IFの位置を基準に定義されている。RCED110は、上流漏斗部111U(例えば図4を参照)および下流漏斗部111Dのいずれかを備えてもよい。他の例では、RCED110は、別個の構成要素ではなく、連続型(一体型)の構成要素であり、上流漏斗部111Uと下流漏斗部111Dとを結合して、上流漏斗部と下流漏斗部とを有する一つの漏斗部111を形成する。一つの漏斗部111を使用する場合、漏斗部111を単純にRCED110と称する。
【0021】
図4は、図3Bの一般構成に基づくLPP・GIC型SOCOMO100の一例の概略図である。図4のLPP・GIC型SOCOMO100は、光源部41およびターゲット部42を備えるLPPターゲットシステム40を利用する。光源部41は、光学軸A1に垂直な軸A2に沿ってレーザ光線13を発するレーザ光源12を備える。また、光源部41は、光学軸A1及び軸A2の交点に光学軸A1に沿って配置される折り返しミラーFMを備える。なお、交点は、GICミラーMGと中間焦点IFとの間(例えば、GICミラーMGとRCED110との間)に位置する。これにより、マルチシェル型GICミラーMG(図4の一例では、2つのGICシェルM1及びM2を有する)が、光学軸1に沿ってLPP24と中間焦点IFとの間に配置される構成が実現する。詳細は後述するが、レーザ光線13をターゲット部42の焦点F13に焦点合わせし、LPP24を形成する際に、レーザ光源12に隣接するレンズ17がこれを補助する。一実施形態において、GICシェルM1及びM2は、各反射面にRuコーティング(図示せず)を有する。
【0022】
ターゲット部42は、光学軸A1に沿って−X方向にGICミラーMGを進行するレーザ光線13によって照射される。これにより、ほぼ+X方向に放射されるEUV30が生成される。折り返しミラーFMによる軸方向の広がりは最小となっている。したがって、レーザ光線13は、ほぼ光学軸A1に沿ってGICミラーMGを一方向(即ち、−X方向)に進行し、EUV30はほぼ反対方向(即ち、+X方向)にGICミラーMG、RCED110を進行し、中間焦点IFに到達する。
【0023】
(LPPターゲットシステム)
図5は、EUV30を生成するSnワイヤ源を構成するターゲット部42の一例の概略側面図である。参考として、直交座標X、Y、Zを示す。ターゲット部42は、内部空間122を有する真空チャンバ120を備える。真空システム126は、真空チャンバ120の内部空間122に空気圧接続されており、内部空間122を真空状態にするように動作可能である。ターゲット部42は、測定量のSnワイヤ132を供給するように構成されるワイヤリールシステム130を内部空間122に備える。実施形態の一例では、Snワイヤ132は、Snで非Sn構造を被覆することにより形成される。また、実施形態の一例では、約0.5ミクロン以上の厚みで被覆されている。ワイヤリールシステム130は、所定量のSnワイヤ132を収容するワイヤ供給リール140と、所定量の処理済Snワイヤ132を受けて収容する巻き取りリール150とを備える。Snワイヤ132は、ワイヤ案内経路134を移動する。
【0024】
ワイヤ供給リール140に関連する構成要素は、第1ワイヤ案内部142である。第1ワイヤ案内部142は、例えば、複数のローラ144を備える。複数のローラ144は、Snワイヤ132を案内するように構成される。同様に、ワイヤ巻き取りリール150に関連する構成要素は、第2ワイヤ案内部152である。例えば、第2ワイヤ案内部152は、複数のローラ154を備える。複数のローラ154は、Snワイヤ132を案内するだけでなく、Snワイヤ132を駆動し、適切なワイヤ張力を与えるように構成される。駆動部158は、ローラ144の一つに動作可能に接続され、矢印145で示されるように駆動ローラを形成する。
【0025】
ワイヤ案内経路134でのSnワイヤ132の移動、必要なワイヤ張力、ワイヤ速度、その他のワイヤリールシステム動作パラメータを維持するために、ワイヤ供給リール140はSnワイヤ132を供給するように動作可能であり、ワイヤ巻き取りリール150はSnワイヤ132を回収するように動作可能である。
【0026】
また、ターゲット部42は、第3ワイヤ案内部162を備える。第3ワイヤ案内部162は、例えば、複数のローラ164を備える。ローラ164は、Snワイヤ132を案内し、照射位置170を光学軸A1上に設けるように構成されている。照射位置170では、Snワイヤ132がレーザ光線13で照射されてEUV30が形成される。ワイヤ案内部142、152、162は、ワイヤリールシステム130においてワイヤ案内経路134を規定する役割を果たす。
【0027】
ターゲット部42は、制御部200を備えている。制御部200は、真空システム126、駆動部158、LPPターゲットシステム40の光源部41のレーザ光源12(図4参照)に動作可能に接続されている。一例において、制御部200は、コンピュータ読み込み可能な媒体(メモリ)に指示(ソフトウェア)を保存可能なパーソナルコンピュータを備え、コンピュータに(搭載されたプロセッサを介して)当該指示を実行させ、LPPターゲットシステム40がLPP24を生成するように動作させる。
【0028】
引き続き図5を参照すると、ターゲット部42の動作時、制御部200は、真空システム126に信号Sg0を送信する。これにより、真空システム126は、真空チャンバ120の内部空間122を真空状態にする。ここで、真空チャンバ120は、LPP・GIC型SOCOMO100を収容するより大型の真空チャンバ(図示せず)に接続されるか、その一部であることが想定されている。また、制御部200は、駆動部158に信号Sg1を送信して駆動部158にローラ144を駆動させる。すると、Snワイヤ132は、ワイヤ供給リール140から繰り出され、照射位置170を通過し、巻き取りリール150までワイヤ案内経路134を案内される。駆動ローラの速度情報は、フィードバック信号Sbを介して制御部200にフィードバックされる。このため、Snワイヤの速度の正確な制御が可能となる。
【0029】
また、制御部200は、光源部41(図4)内のレーザ光源12に信号Sg2を送信して、レーザ光線13を形成し始めさせる。一例では、レーザ光線13のレーザ中間焦点(焦点スポット)FSは、Snワイヤ132の径よりも小さいことが好ましい。これにより、照射位置170を通過する移動中のSnワイヤ132の一部がレーザ光線13で照射され、LPP24が形成される。その結果、略+X方向にEUV30が放射される。
【0030】
照射位置170を通過するようにSnワイヤ132を連続的に移動させることにより、Snワイヤ源が連続的に供給され、LPP24を高繰り返し率で長時間生成することができる。実施形態の一例では、Snワイヤ132は、レーザ光線13の各レーザパルスが未使用のSn表面に入射するように所定速度で移動する。実施形態の一例では、Snワイヤの移動方向が反転され、Snワイヤ132の未使用部分がレーザ光線13で照射されるようにワイヤ案内経路134がZ方向にずらされる。この実施形態が特に有用となるのは、Snワイヤ132が、同一地点を二度照射されることなくZ方向の複数位置を照射されるようなZ方向の幅を有する場合である。レーザ光線13が25ミクロンの焦点サイズを形成し、レーザ光源12が1KHzのパルス繰り返し率を有する例では、ワイヤ速度は約1インチ/秒または約300フィート/時である。
【0031】
照射位置170ですべてのSnワイヤ132がLPP24の形成時に消費される訳ではないが、これにより、「処理済」Snワイヤ132がワイヤ案内経路134に沿って巻き取りリール150まで連続することになる。このように、Snワイヤ132は、レーザ光線13による照射で破壊されないように構成されている。よって、破壊によって処理済Snワイヤ132が巻き取れなくなる、または、張力とワイヤ速度が維持できなくなる、といった不具合は防止されている。
【0032】
Snワイヤ132は、従前のワイヤだけでなく、テープ、チェーン、ホイルテープ、ビーズ状チェーン、リボン、ロープ、ケーブル、糸、従前のワイヤ、ライン等、様々な形態であってもよい。ここでの理解として、「ワイヤ」との用語には、収容リールに収容され、照射位置170を含む案内経路に案内され、巻き取りリール150に収容可能な連続/隣接フレキシブルSn(またはSn被覆)構造が含まれるものと一般に解釈すべきである。
【0033】
実施形態の他の例では、Snワイヤ源180は、ワイヤ供給リール140に動作可能に接続され、Snワイヤ132を連続的に供給する。これにより、LPPターゲットシステム40全体の動作が、Snワイヤ132がなくなることなく継続可能である。例えば、Snワイヤ源180の一例は、別途設けられたワイヤ供給リール140である。
【0034】
(多層第1ミラーのないSOCOMO)
LPP・GIC型SOCOMO100の一構成例では、多層コートが設けられていない「第1ミラー」が設けられている。即ち、EUV30が最初に入射する(最初に反射する)ミラーまたはミラー部が、多層コーティング18を有していない。LPP・GIC型SOCOMO100の他の構成例では、第1ミラーは、実質的に斜入射ミラーである。また、他の実施形態では、第1ミラーが多層コーティング18を有してもよい。
【0035】
LPP・GIC型SOCOMO100の主な利点は、その性能が多層被覆反射面の残存に依存しない点にある。一実施形態例に係るGICミラーMGは、例えば、図6に示されるGICシェルM1等のような、少なくとも一つの区画化GICシェルを有している。GICシェルM1は、2つのミラー区画、即ち、第1面Sf1を有するミラー区画M1Aと、第2面Sf2を有するミラー区画M1Bとを有することが示されている。第1面Sf1により第1反射が行われ(したがって、「第1ミラー」であり)、第2面Sf2により第2反射が行われる。なお、第2反射はLPP24の目標線上に位置しない。一実施形態例では、第2面Sf2が、多層コーティング18を支持する。これは、EUV30が一旦反射されると、その強度が相当弱められると共に、通常はLPP24が目標線上に位置しないため、多層コーティング18に入射するイオン及び中性原子の量が最小になるからである。
【0036】
(GIC型SOCOMO対NIC型SOCOMO)
LPP・NIC型SOCOMO10とLPP・GIC型SOCOMO100とには、あるトレードオフの関係が成立する。例えば、LPP24からのEUV30の特定の集光角度に関しては、LPP・NIC型SOCOMO10は、LPP・GIC型SOCOMO100よりもコンパクトに設計することができる。
【0037】
また、LPP・NIC型SOCOMO10は、原則、(光学軸A1に対して)90°を超える角度で、Sn光源20から放射されたEUV30を集光するように設計することができ、集光効率をより高めることができる。しかし、NICの径が過度に大きくなる、または、EUV30が中間焦点IFにおいて光学軸A1となす角度が過度に大きくなるので、通常、上記の利点が実際に利用されることはない。
【0038】
また、LPP・GIC型SOCOMO100により生成される遠隔フィールドの強度分布は、GICシェルM1及びM2の厚みの影と、複数のGICミラーMGを支持する機械的構造体の厚みの影とが原因でさらに広がる。しかし、本発明において以下議論する実施形態では、GICの表面が、表面補正機能を有している。この表面補正機能により、GICの複数のシェルの厚みによる陰影効果が低減され、中間焦点IFにおける中間スポットFSの均一性が向上する。
【0039】
さらに、LPP・GIC型SOCOMO100は、LPP・NIC型SOCOMO10に比べて、中間焦点IFにおいて一般的により大きな中間スポットFSを形成する。こうした大きさの相違は、主としてGICミラーの形状誤差に関係があり、技術進歩に伴い低減されつつある。
【0040】
全体としては、LPP・GIC型SOCOMO100から得られる利益、即ち、より長い動作寿命、費用の低減、簡素であること、維持費用および問題の低減が、上記のトレードオフを上回るものであると一般に考えられている。
【0041】
(LPP・GIC型SOCOMO用GICミラーの一例)
図7は、LPP・GIC型SOCOMO100用のGICミラーMGの一例の概略部分側面図である。一例として、光学設計上、図7のGICミラーMGは、実際には、図8に示されるように、光学軸A1周りに対称な円筒状の8つの入れ子状GICシェル250から構成されている。この例では、GICシェル250の数を最小化するために、3つの最内部GICシェル250は楕円形を有し、残りの5つの最外部GICシェル250は、楕円形かつ双曲線状の断面を有する軸外し二重反射設計に基づいている。なお、このようなGICミラーMGは、欧州特許出願公報第EP1901126A1(発明の名称:コレクタ光学システム)等に記載されており、当該公報は本出願に援用される。図7は、2つの最外部GICシェル250を図示している。当該最外部GICシェル250は、それぞれ、楕円形部250Eおよび双曲線部250Hを有する。また、図7には、光源焦点SF、仮想共通焦点CFおよび中間焦点IFに加えて、GICシェル250の楕円形部250Eおよび双曲線部250Hそれぞれの軸AEおよび軸AHが図示されている。仮想共通焦点CFと中間焦点IFとの間の距離は、ΔLである。仮想共通焦点CFは、光学軸A1から距離Δr分だけオフセットされている。光学軸A1周りに楕円形部250Eおよび双曲線部250Hの断面を1回転させることで、光学面全体が得られる。
【0042】
GICミラーMGの一例の設計例が、下記の表1及び表2に掲載されている。当該設計の主な光学パラメータは、a)LPP24と中間焦点IFとの間の距離ΔL=2400mm、b)LPP側の最大集光角度=70.7°である。一実施形態例では、各GICシェル250はRuコーティングを有し、各EUV波長での反射率が改善される。複数のGICシェル250の光学面がRuで被覆された場合、波長13.5nmのEUV30に対するGICミラーMGの理論上の集光効率は、LPP24からの2πステラジアン放射に対して37.6%となる。
【0043】
LPP・EUV光源は、放電生成プラズマ(DPP)EUV光源に比べて随分小型(典型的には、約10分の1の面積)である。このため、LPP24を使用すれば、GICミラーMGの出射とイルミネータ入射との間の面積効率(etendue)を良好に一致させることができる。特に、LPP24における集光角度は、GICミラーMGとイルミネータの面積効率との不一致による効率損失が無視できる程度の状態または極めて限定的な状態で、極めて大きな値に増加し得る。一実施形態例において、集光半角は約70度であるか70度を超える。
【0044】
特定の集光器の光学設計に関して、遠隔フィールドにおける強度分布の均一性がDPP源よりも劣る傾向にあるという点で、LPP24の寸法には問題がある。事実、LPP24は、小型であるため、DPP源に比べて、複数のGICシェル250の厚みによる遠隔フィールドの影がよりくっきりとする傾向がある。
【0045】
こうした効果を少なくとも部分的に相殺するために、各GICシェル250に対して表面形状(即ち光学プロファイル)補正が加えられ、遠隔フィールドにおける強度分布の均一性が改善されている(例えば、国際特許出願公報第WO2009−095219A1号(発明の名称:EUV及びX線を適用する改良型斜入射集光器光学システム)を参照。なお、当該公報は本出願に援用される。)。このように、GICミラーMGの一実施形態例では、各GICシェル250は、GICシェルの2つの縁において、ゼロに等しい多項式補正(放物線補正)が重畳されている。なお、その値は、最大でも0.01mmである。
【0046】
表1および表2には、図10に示されるGICミラーMGの一設計例が示されている。「ミラー番号」は、特定のGICシェル250の番号であり、最内部GICシェル250から順に最外部GICシェル250まで付与されている。
【0047】
【表1】

【0048】
【表2】

【0049】
図9Aは、GICシェルのプロファイルを補正しない場合における、中間焦点IFにおける正規化遠隔フィールド位置と、そこに入射する光線の強度(任意の単位)との関係を表すプロットである。当該プロットは、中間焦点IFにおいて形成されるLPP24の中間画像(即ち、「中間スポット」FS)の均一性に関する測定値である。LPP24は、0.2mmの径を有する球体としてモデル化されている。
【0050】
図9Bは、複数のGICシェル250に上記補正を適用したことを除いて、先と同様のプロットである。図9Aのプロットと図9Bのプロットとを比較すると、図9Bの強度においては振幅が相当低減されており、複数のGICシェル250の表面形状を補正した結果、中間焦点IFにおける中間スポットFSでの遠隔フィールド均一性が著しく改善されていることがわかる。
【0051】
(LPP・GIC型SOCOMOを備えるEUVリソグラフィシステム)
図10は、本発明に係るEUVリソグラフィシステム(以下、リソグラフィシステムと称す)300の一例である。リソグラフィシステム300は、例えば、米国特許出願第US2004/0265712A1号、第US2005/0016679A1号、第US2005/0155624A1号に開示されており、当該出願は本出願に援用される。
【0052】
リソグラフィシステム300は、システム軸A3およびEUV光源LSを備えている。EUV光源LSは、LPP・GIC型SOCOMOを備えている。LPP・GIC型SOCOMOは、光学軸A1を有し、上述のスズワイヤ方式のLPPターゲットシステム40を備えている。LPPターゲットシステム40は、λ=13.5nmの作用EUV30を放出するLPP24を生成する。
【0053】
LPP・GIC型SOCOMO100は、上述の通り、GICミラーMGを備え、RCED110を選択的に備えている。一実施形態例において、GICミラーMGは、米国特許出願第12/592,735号に記載されるように冷却される。なお、当該米国特許出願は、本出願に援用される。また、一例においては、RCED110が冷却される。
【0054】
GICミラーMGは、EUV光源LSの下流側の近傍に配置されており、光学(集光器)軸A1がシステム軸A3に沿うようにして配置されている。GICミラーMGは、光源焦点SFに位置するEUV光源LSからの作用EUV30(即ち、光線LR)を集光する。そして、集光された放射光線は、中間焦点IFに中間光源像IS(即ち、焦点スポット)を結像する。RCED110は、中間焦点IFに通常は到達しないEUV30を中間焦点IFに到達させることにより、EUV30の集光を強化する。LPP・GIC型SOCOMO100は、一例において、LPPターゲットシステム40、GICミラーMG及びRCED110を備えている。
【0055】
図3Bに関連して上述したRCED110の実施形態では、少なくとも一つの漏斗部111が備えられている。一例では、漏斗部111は、下流漏斗部111Dあり、EUV30を中間焦点IFの中間焦点(焦点スポット)FSから、下流位置(例えば、中間焦点IFの下流に位置する照明光学系(イルミネータ)の位置)に導くように構成されている。他の例では、漏斗部111は、上流漏斗部111Uであり、中間焦点IFに中間焦点(焦点スポット)FSを形成するようにEUV30を導く。このとき、通常は中間焦点(焦点スポット)FSの形成に寄与しない放射線を集光することも含まれる。一例では、RCED110は、上流漏斗部111Uおよび下流漏斗部111Dの両方を備える。RCED110は、イルミネータで投影された放射線をより均一にし、レチクル面で良好に利用する役割を果たす。
【0056】
照明システム316は、入射端317および出射端318を有する。また、照明システム316は、入射端317がGICミラーMG側に配置された状態で、システム軸A3に沿ってGICミラーMGの下流側の近傍に配置されている。照明システム316は、入射端317において中間光源像ISからのEUV30を受け、出射端318において略均一なEUVビーム320(即ち、凝縮EUV)を出射する。リソグラフィシステムシステム300が走査型システムである場合、EUVビーム320は、典型的には、反射レチクル336を走査する略均一なライン状のEUV30として、反射レチクル336上に形成される。
【0057】
投影光学システム326は、(屈折した)システム軸A3に沿って、照明システム316の下流および反射レチクル336の下流に配置されている。投影光学システム326は、照明システム316の出射端318に対向する入射端327と、反対側の出射端328とを有する。反射レチクル336は投影光学システム326の入射端327に隣接して配置されており、半導体ウエハ340は投影光学システム326の出射端328に隣接して配置されている。反射レチクル336は、半導体ウエハ340に転写されるパターン(図示せず)を有し、半導体ウエハ340は感光性コーティング(例えば、フォトレジスト層)342を有する。動作時において、均一化されたEUVビーム320は、反射レチクル336を照射し、レチクル336によって反射される。そして、投影光学システム326によって、半導体ウエハ340の感光性コーティング342の表面上に、レチクル336上のパターンが結像される。走査型リソグラフィシステムシステム300では、反射レチクル像が感光性コーティング342の表面上を走査し、露光フィールド上にパターンが形成される。典型的には、反射レチクル336と半導体ウエハ340とを同期させて移動させることにより、走査が実行される。
【0058】
一旦、レチクルパターンが半導体ウエハ340に結像されて記録されると、パターン化された半導体ウエハ340は、標準的なフォトリソグラフィ技術および半導体プロセス技術を使用して処理される。その結果、複数の集積回路(IC)チップが形成される。
【0059】
なお、一般的にリソグラフィシステム300の構成要素は、図10に図示されるように、共通の屈折したシステム軸A3に沿って配置される。当業者であれば、例えば、照明システム316や投影光学システム326の様々な構成要素の入口軸および出口軸がオフセットされる場合もあり得ることは、理解される。
【0060】
当業者には明白であるが、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、本発明に対して様々な修正および変更を加えることができる。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲およびその均等範囲内において本発明の修正および変更を包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
極端紫外光(EUV)リソグラフィシステムの光源集光モジュールであって、
パルスレーザ光線を生成するレーザ光源と、
光源集光モジュール軸に沿って配置され、前記パルスレーザ光線を受光して前記光源集光モジュール軸の第1方向に前記パルスレーザ光線を反射するように構成される折り返しミラーと、
前記Snワイヤが前記パルスレーザ光線に照射される照射位置を含むワイヤ案内経路に前記Snワイヤを移動させるように構成され、前記第1方向とほぼ反対の第2方向にEUVを生成するレーザ生成プラズマ(LPP)を形成するSnワイヤ源と、
入射端および出射端を有し、前記入射端において前記EUVを受光し、前記出射端に隣接する中間焦点において、受光した前記EUVを集束するように配置される斜入射集光器(GIC)ミラーと
を備える、光源集光モジュール。
【請求項2】
前記レーザ光線で照射される所定の長さのSnワイヤを収容する供給リールと、
前記レーザ光線で照射されたSnワイヤを受ける巻き取りリールと、
前記Snワイヤを前記ワイヤ案内経路に案内するように構成される少なくとも一つの案内ワイヤ部と
をさらに備える、請求項1に記載の光源集光モジュール。
【請求項3】
前記少なくとも一つの案内ワイヤ部は、少なくとも一つのローラを有する
請求項2に記載の光源集光モジュール。
【請求項4】
前記少なくとも一つのローラの一つは、駆動ローラである
請求項3に記載の光源集光モジュール。
【請求項5】
前記Snワイヤは、テープ、チェーン、ホイルテープ、ビーズ状チェーン、リボン、ロープ、ケーブル、糸、従前のワイヤ、ラインからなる群から選択される
請求項1から4のいずれかに記載の光源集光モジュール。
【請求項6】
前記Snワイヤは、約0.5ミクロン以上の厚みのSnで被覆された非Sn構造を備える
請求項1から4のいずれかに記載の光源集光モジュール。
【請求項7】
前記中間焦点に隣接して配置される放射線集光強化装置(RCED)をさらに備え、
RCEDは、軸方向において前記中間焦点の少なくとも片側に配置される少なくとも一つの漏斗部を有し、
前記少なくとも一つの漏斗部は、前記中間焦点に近接する幅狭端を有する
請求項1から6のいずれかに記載の光源集光モジュール。
【請求項8】
前記RCEDは、前記中間焦点の各側に配置される第1漏斗部と第2漏斗部とを備える
請求項7に記載の光源集光モジュール。
【請求項9】
前記GICミラーは、多層コーティングを含まない第1反射面を有する
請求項1から8のいずれかに記載の光源集光モジュール。
【請求項10】
前記GICミラーは、Ruコーティング及び多層コーティングのいずれかを有する
請求項1から8のいずれかに記載の光源集光モジュール。
【請求項11】
前記GICミラーは、少なくとも一つの区画化GICシェルを有し、
前記区画化GICシェルは、多層コーティングを含まない第1反射面と、多層コーティングを含む第2反射面とを有する
請求項1から8のいずれかに記載の光源集光モジュール。
【請求項12】
反射レチクルに光を照射する極端紫外光(EUV)リソグラフィシステムであって、
請求項1から11のいずれかに記載の光源集光モジュールと、
前記中間焦点に形成された前記集束EUVを受光して凝縮EUVを形成し、前記凝縮EUVを前記反射レチクルに照射するように構成されるイルミネータと
を備える、EUVリソグラフィシステム。
【請求項13】
前記EUVリソグラフィシステムは、感光性半導体ウエハ上にパターン像を形成するためのEUVリソグラフィシステムであり、
前記反射レチクルの下流に配置され、前記反射レチクルによって反射されたEUVを受光し、そこから前記感光性半導体ウエハ上に前記パターン像を形成するように構成される投影光学システムをさらに備える
請求項12に記載のEUVリソグラフィシステム。
【請求項14】
レーザ生成プラズマ(LPP)から極端紫外光(EUV)を集光する方法であって、
入射端および出射端を有する斜入射集光器(GIC)ミラーを軸方向に配置することと、
所定の径を有するSnワイヤを供給するように構成されるLPPターゲットシステムを前記GICミラーの入射端に隣接して配置し、照射位置を通過するように前記Snワイヤを移動させることと、
前記GICミラーの軸方向にパルスレーザ光線を照射し、前記パルスレーザ光を前記GICミラーの前記出射端から前記GICミラーを介して前記入射端まで通過させ、前記パルスレーザ光を前記照射位置の前記Snワイヤ上に前記Snワイヤの径よりも小さな焦点スポットで集束させることにより、EUVを放射する前記LPPを形成することと、
前記GICミラーを使用して、前記LPPからのEUVの一部を前記GICミラーの入射端で集光し、集光した前記EUVを前記GICミラーの出射端から出射し、中間焦点に焦点スポットを形成することと
を備える方法。
【請求項15】
前記中間焦点の近傍に放射集光強化装置(RCED)を配置することをさらに備え、
RCEDは、軸方向において前記中間焦点の少なくとも片側に配置される少なくとも一つの漏斗部を有し、
前記少なくとも一つの漏斗部は、前記中間焦点に近接する幅狭端を有する
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記GICミラーの出射端と前記中間焦点との間に上流漏斗部を設けると共に、前記上流漏斗部を使用して、通常は前記中間焦点に導かれない前記EUVの一部を前記中間焦点に導くことと、
前記中間焦点からEUVを集光し、前記集光したEUVを下流位置に導くように、前記GICミラーとは反対側の前記中間焦点に隣接する位置に下流漏斗部を設けることと
をさらに備える、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
収容リール、巻き取りリール、少なくとも一つのワイヤ案内部により規定されるワイヤ案内経路で前記Snワイヤを移動させることをさらに備える
請求項14から16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
多層コーティングを含まない第1反射面を有する前記GICミラーを設けることをさらに備える
請求項14から17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
Ruコーティング及び多層コーティングのいずれかを有する前記GICミラーを設けることをさらに備える
請求項14から17のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
第1反射面と、前記多層コーティングを有する第2反射面とを有する少なくとも一つの区画化GICシェルを有する前記GICミラーを設けることをさらに備える
請求項14から17のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記中間焦点においてEUVから凝縮EUVを形成し、前記凝縮EUVを反射レチクルに照射することをさらに備える
請求項14から17のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記反射レチクルによって反射されたEUVを受光し、そこから投影光学システムを使用して前記感光性半導体ウエハ上に前記パターン像を形成することをさらに備える
請求項21に記載の方法。
【請求項23】
パルスレーザ光線を生成するレーザ光源と、
所定の長さのSnワイヤを収容するSnワイヤ収容リールと、
所定の長さの照射済Snワイヤを収容するSnワイヤ巻き取りリールと、
前記Snワイヤが前記パルスレーザ光線で照射される照射位置を前記収容リールと前記巻き取りリールとの間に含むワイヤ案内経路に、前記Snワイヤを前記収容リールから前記巻き取りリールまで案内する少なくとも一つのワイヤ案内部と
を備える、レーザ生成プラズマ(LPP)ターゲットシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−54548(P2012−54548A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−179986(P2011−179986)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(509105237)メディア ラリオ ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ (18)
【氏名又は名称原語表記】MEDIA LARIO S.R.L.
【住所又は居所原語表記】Localita Pascolo,I−23842 Bosisio Parini,Lecco,Repubblica Italiana
【Fターム(参考)】