説明

GLP−2ミメティボディ、ポリペプチド、組成物、方法および用途

哺乳動物GLP−2ミメティボディ、ポリペプチドおよび核酸が開示される。GLP−2に関連する疾患を処置するための該ミメティボディおよびポリペプチドの利用方法もまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳動物GLP−2ポリペプチドおよびミメティボディ(mimetibody)、ならびに治療薬としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
グルカゴン様ペプチド−2(GLP−2)は、プログルカゴンの翻訳後プロセシングを介して生成される33アミノ酸の腸栄養性(intestinotrophic)ペプチドホルモンである(非特許文献1;非特許文献2)。哺乳動物では、GLP−2は、消化管内分泌細胞中のプロホルモン転換酵素の細胞特異的発現の結果として、腸および脳でプログルカゴンから遊離されるがしかし膵ではされない(非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6)。高速液体クロマトグラフィーおよび部位特異的GLP−2抗血清の組合せを使用するラットおよびヒト血漿の分析は、2種の主要な循環分子形態、GLP−21−33およびGLP−23−33の存在を示す(非特許文献2;非特許文献7;非特許文献8)。GLP−21−33は、最初の2残基ヒスチジンおよびアラニン(HA)を除去するプロテアーゼ、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP IV)によりin vivoで切断される。生じるペプチドGLP−23−33は本質的に不活性である。
【0003】
GLP−2は、胃運動性、胃酸分泌、腸六炭糖輸送を調節し、そして消化管上皮の障壁機能を増大させる(非特許文献9に総説されている)。それは、腺窩細胞増殖の刺激ならびに腸細胞および腺窩区画でのアポトーシスの阻害を介して粘膜上皮の表面積を有意に増大させる。(非特許文献10)。GLP−2は死亡率を低下させ、かつ、小腸および大腸の炎症における粘膜傷害、サイトカイン発現および細菌敗血症を低下させる(非特許文献11;非特許文献12)。GLP−2はまた、短腸症候群(SBS)を伴うげっ歯類若しくはヒトで栄養吸収および腸管順応も高める(非特許文献13)。
【0004】
GLP−2の作用は、胃、小腸、結腸の消化管内分泌細胞、ならびに腸ニューロンおよび内皮下筋線維芽細胞で発現されるGタンパク質共役型受容体、GLP−2受容体(GLP−2R)により変換される(非特許文献14;非特許文献15;非特許文献16;非特許文献17)。GLP−2受容体を発現するトランスフェクトしたベビーハムスター腎臓線維芽細胞(BHK−GLP−2R細胞)中でのGLP−2Rシグナル伝達の直接活性化は、シクロヘキシミド誘発性のアポトーシスに対する抵抗性を賦与する(非特許文献18)。
【0005】
GLP−2の細胞保護的、修復的およびエネルギー保持的特性は、GLP−2が、腸粘膜上皮の傷害および/若しくは機能不全を特徴とするヒト障害の処置に潜在的に有用でありうることを示唆する。腸上皮の傷害は、クローン病および潰瘍性大腸炎を包含する炎症性腸疾患(IBD)を伴う患者、ならびにセリアック病のような腸での炎症応答を伴う自己免疫疾患を伴う患者で見られる(非特許文献19に総説されている)。加えて、数種の化学療法薬は、用量を制限する毒性の副作用をもたらす腸上皮に対する傷害を引き起こす(非特許文献20)。増大された腸浸透性は急性膵炎の症例でもまた報告されており(非特許文献21)、そして、巨大分子を内皮下区画に接近させることにより食物アレルギーに寄与し得る(非特許文献22)。
【0006】
栄養吸収で重要な調節ホルモンとして、GLP−2は短腸症候群(SBS)を伴う患者の処置でもまた有望である(非特許文献9;非特許文献23;非特許文献24)。SBSは、小腸のかなりの長さの解剖学的若しくは機能の喪失から生じる吸収不良と定義される
(非特許文献25に総説されている)。短腸症候群の原因は成人と小児の間で異なる。すなわち、成人では、それは最もしばしばクローン病若しくは腸間膜梗塞に対する手術後に生じる一方、小児では、該原因は最も一般的には壊死性腸炎、胃壁破裂、閉鎖および腸軸捻症を包含する(非特許文献26)。
【0007】
DPP−IV抵抗性のGLP−2ペプチドアナログ(アラニン−2がグリシンで置換されている(A2G))、テズグルチド(teduglutide)が、SBS、クローン病および小児の胃腸(GI)障害を包含するGI疾患の潜在的処置のため開発中である。テズグルチドは、癌化学療法およびIBDと関連する粘膜炎の処置に対する潜在性もまた有する。しかしながら、該ペプチドの低分子量により、テズグルチドは30分未満の半減期で急速に消失される。従って、治療レベルを維持するために連日の投薬が必要とされる(非特許文献27)。従って、その機能を保持しつつ短い半減期を克服しかつ容易な開発および製造を提供することができる改変GLP−2に対する必要性が存在する。
【0008】
炎症腸閉塞すなわち侵襲的外科手術若しくは外傷性傷害後の協調胃腸運動性の一時的損傷は、大きな臨床上の問題のままであり、入院を延長しかつしばしば回復期の間の内科的合併症に寄与する(非特許文献28)。腸閉塞は、遅延された胃排出、小腸および結腸の拡張、腹部膨満、正常な推進性収縮パターンの喪失、ならびにガス若しくは糞便を排出することの不能を特徴とし、長期の患者不快感(腹部膨満、吐き気、嘔吐)に至る。
【0009】
高齢者若しくは心肺傷害(cardiopulmonary compromise)を伴う患者のような感受性の個体において、腸閉塞は、急性胃拡張、心不整脈、呼吸窮迫症、吸引性肺炎、および外科的吻合の不全を包含するより重大な合併症につながり得る。重篤な症例では、GI管の正常な「ハウスキーピング」収縮活動の長期喪失が、細菌の過増殖および腸障壁機能の崩壊、次いで細菌の転移および全身循環への進入に寄与し得る(非特許文献29)。これは、順に、内毒素血症、敗血症、多臓器不全、および究極的には死亡(高齢患者が最も受けやすい転帰)につながり得る。合併症の非存在下でさえ、正常な腸機能の復帰は病院からの患者の解放の第一の制限因子であり、炎症性腸閉塞は入院を3ないし5日延長する。従って、増大される罹患率および延長された入院から発生する費用はかなりになる可能性がある。
【0010】
腸閉塞の発症および維持に寄与する因子は、腸壁にノルエピネフリンを遊離する中枢性交感神経阻害性反射の活性化、阻害性体液剤、麻酔および鎮痛薬、ならびに炎症メディエーターを包含する(非特許文献30;非特許文献31)。げっ歯類の研究からの結果は、GI管の壁内の炎症が腸閉塞の開始および維持において中心的役割を演じていることを示唆する。
【0011】
術後腸閉塞のげっ歯類モデルを使用する研究は、外筋層が高度に免疫学的に活性の区画であることを示す。普遍的白血球の印象的一群が外筋層内に通常常在する(非特許文献32;非特許文献33)。これらの最も豊富なものは、食道から結腸まで細胞の広範囲のネットワークを形成しかつ胃腸管を潜在的傷害および疾患から防御する態勢を整えている常在性マクロファージである。腹部手術の間の腸への混乱は、このマクロファージネットワークを活性化し、局所分子炎症応答を開始する。活性化されたマクロファージは、筋層内の神経筋通信を抑制しかつ血管内皮細胞上での接着分子(ICAM−1、P−セレクチン)の発現を誘導する炎症前サイトカイン(IL−6、IL−1β、TNFα)およびケモカイン(MCP−1)を遊離する(非特許文献34;非特許文献35、非特許文献36;非特許文献37;非特許文献38)。これは、順に、炎症性細胞浸潤物の規模と腸閉塞の重症度の間に正の相関が存在する、全身循環からの白血球(単球、好中球、T細胞、肥満細胞)の動員を特徴とする細胞性免疫応答につながる(非特許文献39)。浸潤する白血球は付加的なサイトカイン、ならびに神経筋機能不全にさらに寄与するプロスタグランジン、一酸化窒素、プロテアーゼおよび反応性酸素種を遊離する(非特許文献40;非特許文献41)。
【0012】
今日まで、炎症性腸閉塞の管理に診察室で利用可能な選択肢はほとんど存在しない。シサプリドおよびネオスチグミンのような消化管運動機能調整薬は術後の腸運動性を改善することが示された(非特許文献42)。しかしながら、結果は一貫せず、また、これらの薬物は、重症度および患者の感受性に関して予測することが困難と判明した心血管系副作用の増大された危険を有する。COX−2阻害剤は、小腸の術後運動不全に対し保護的であることが動物研究で示された(非特許文献43)が、しかし結腸運動不全に対しほとんど効果を有しなかった(非特許文献44)。セレコキシブおよびロフェコキシブを比較するヒトでの第I相臨床試験が完了し(非特許文献45)、そしていずれの剤も術後運動性を改善することが見出されなかった。
【0013】
手術後の経口摂食への迅速な復帰は、運動性パターンの正常なホルモン調節を刺激するための手段として奨励されてきた。これは、腸のリハビリテーションへの多様なアプローチの一部として使用される場合に患者のあるサブセットで腸機能の復帰を早めかつ快適さを改善することが見出された(非特許文献46)。しかしながら、この処置は入院の長さの有意の短縮をもたらさなかった。さらに、ホルモンパターンの十分な刺激は、多くの患者が耐えることが不可能である閾値熱量負荷を必要とする。
【0014】
遷延性腸閉塞の発症に寄与する最も一般的な因子の1つは、術後鎮痛のためのオピオイド鎮痛薬の投与である。オピオイドは、脳の疼痛処理中枢のニューロンに存在する3種の受容体サブタイプの1種若しくはそれ以上と相互作用することによりそれらの鎮痛効果を発揮する。モルヒネのような最も通用しているオピオイド鎮痛薬は、主としてμおよびδ−オピオイド受容体を活性化することにより作用する。しかしながら、これらの同一の受容体は、腸運動性を制御する胃腸管内のニューロンでもまた発現される。受容体の活性化は、炎症性腸閉塞の存在下であろうと非存在下であろうと、胃腸収縮機能を有意に抑制して、腸の静止および便秘を引き起こす。Adalor Corporationは、血液脳関門を横断しない、末梢に限定されかつ選択的なμ−ORアンタゴニスト、Alvimopanを使用する第IおよびII相臨床試験を実施した。オピオイド鎮痛薬とともに与えられる場合、Alvimopanは腸運動性のオピオイド誘発性の抑制を予防した(非特許文献47)。プラセボと比較した場合、Alvimopanは、腹部手術を受けた後に軽度ないし中等度の術後腸閉塞を経験していた患者で腸機能の復帰を早めかつ入院を短縮することが見出された(非特許文献48)。Alvimopanは炎症を変えない。
【0015】
今日まで、炎症性腸閉塞の処置に利用可能な安全かつ確実な処置の選択肢は存在しない。現在利用可能な最も効果的な治療薬は、性質が支持的であるか、若しくはオピオイド鎮痛薬の複合(compounding effect)効果を改善する。それらは炎症を腸閉塞の根本原因として扱わない。従って重大な満たされていない医学的必要性が存続する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Orskovら、FEBS Lett.247:193−196(1989)
【非特許文献2】Hartmannら、Peptides 21:73−80(2000)
【非特許文献3】Dhanvantariら、Mol.Endocrinol.10:342−355(1996)
【非特許文献4】Rothenbergら、Mol.Endocrinol.10:334−341(1996)
【非特許文献5】Damholtら、Endocrinology 140:4800−4808(1999)
【非特許文献6】Holst、Trends Endocrinol Metab.10:229−235(1999)
【非特許文献7】Brubakerら、Endocrinol.138:4837−4843(1997)
【非特許文献8】Hartmannら、J.Clin.Endocrinol.Metab.85:2884−2888(2000)
【非特許文献9】Drucker、J.Clin.Endocr.Metab.86:1759−1764(2001)
【非特許文献10】Druckerら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.93:7911−7916(1996)
【非特許文献11】Bousheyら、Am.J.Physiol.277:E937−E947(1999)
【非特許文献12】Prasadら、J.Periatr.Surg.35:357−359(2000)
【非特許文献13】Jeppesenら、Gastroenterology 120:806−815(2001)
【非特許文献14】Munroeら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.96:1569−1573(1999)
【非特許文献15】Yustaら、Gastroenterology 119:744−755(2000)
【非特許文献16】Bjerknesら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.98:12497−12502(2001)
【非特許文献17】Orskovら、Regul.Pept.124;105−112(2005)
【非特許文献18】Yustaら、J.Biol.Chem.275:35345−35352(2000)
【非特許文献19】Hanauer、New England J.Med.334:841−848(1996)
【非特許文献20】Oster、Oncology 13:41(1999)
【非特許文献21】Kourisら、Am.J.Surg.181:571−575(2001)
【非特許文献22】Tronconeら、Allergy 49:142−146(1994)
【非特許文献23】Rubin、Gastroenterol.117:261−263(1999)
【非特許文献24】Nightingale、Gut 45:478−479(1999)
【非特許文献25】Jeppesen、J.Nutr.133:3721−3724(2003)
【非特許文献26】Platellら、World J.Gastroenterol.8:13−20(2002)
【非特許文献27】Shinら、Curr.Opin.Endocrin.Diabetes 12;63−71(2005)
【非特許文献28】HolteとKehlet、Br.J.Surg.87:1480−1493(2000)
【非特許文献29】AnupとBalasubramanian、J.Surg.Res.92:291−300(2000)
【非特許文献30】LivingstonとPassaro、Dig.Dis.Sci.35:121−132(1990)
【非特許文献31】Bauerら、Curr.Opin.Crit.Care 8:152−157(2002)
【非特許文献32】Mikkelsen、Histol.Histopathol.10:719−736(1995)
【非特許文献33】Kalffら、Ann.Surg.228:652−663(1998)
【非特許文献34】Kalffら、J.Leukoc.Biol.63:683−691(1998)
【非特許文献35】Josephsら、J.Surg.Res.86:50−54(1999)
【非特許文献36】Kalffら、Gastroenterology 117:378−387(1999)
【非特許文献37】Kalffら、Gastroenterology 118:316−327(2000)
【非特許文献38】Wehnerら、Surgery 137:436−46(2005)
【非特許文献39】Kalffら、Surgery 126:498−509(1999)
【非特許文献40】von Ritterら、Gastroenterology 97:605−609(1989)
【非特許文献41】BielefeldtとConklin、Dig.Dis.Sci.42:878−884(1997)
【非特許文献42】ShibataとToyoda、Surg.Today 28:787−791(1998)
【非特許文献43】Schwarzら、Gastroenterology 121:1354−1371(2001)
【非特許文献44】Turlerら、Anal.Surg.、231(1):56−66(2002)
【非特許文献45】Bourasら、Neurogastroenterol.Motil.16:729−735(2004)
【非特許文献46】HolteとKehlet、Minerva.Anestesiol.、68(4):152−156(2002)
【非特許文献47】Gonenneら、Clin.Gastroenterol.Hepatol.3:784−791(2005)
【非特許文献48】Viscusiら、Surg.Endosc.20:64−70(2006)
【発明の概要】
【0017】
[発明の要約]
本発明の一局面は、一般式(II):
(GLP2RAg−Lk−V2−Hg−C2−C3)(t)
(II)
[式中、GLP2RAgは哺乳動物GLP−2Rアゴニストであり、Lkはポリペプチド若しくは化学結合であり、V2は免疫グロブリン可変領域のC末端の一部分であり、Hgは免疫グロブリン可変ヒンジ領域の少なくとも一部分であり、C2は免疫グロブリンH鎖C2定常領域であり、およびC3は免疫グロブリンH鎖C3定常領域であり、ならびにtは独立に1から10までの整数である]
を有するミメティボディである。
【0018】
本発明の別の局面は、配列番号4、5、6、7、8、9、10、11、42、43、44、45、58、59、60、61、62、63、64、65、75若しくは77に示される配列を有するポリペプチドを含んでなるミメティボディである。
【0019】
本発明の別の局面は、配列番号12、13、14、15、16、17、18、46、47、48、49、66、67、68、69、70、71、72、73、76若しくは78に示される配列を有するポリヌクレオチドまたは相補配列を含んでなるポリヌクレオチドである。
【0020】
本発明の別の局面は、配列番号4、5、6、7、8、9、10、11、42、43、44、45、58、59、60、61、62、63、64、65、75若しくは77に示されるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを含んでなるポリヌクレオチドである。
【0021】
本発明の別の局面は、配列番号52、54、55若しくは74に示される配列を有するポリペプチドを含んでなるポリペプチドである。
【0022】
本発明の別の局面は、配列番号52、54、55若しくは74に示されるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを含んでなるポリヌクレオチドである。
【0023】
本発明の別の局面は、GLP−2ポリペプチド組成物若しくはGLP−2ミメティボディ組成物をそれの必要な患者に投与することを含んでなる、腸粘膜上皮の傷害および/若しくは機能不全を特徴とする障害の症状の低減若しくはその処置方法である。
【0024】
本発明の別の局面は、GLP−2ポリペプチド組成物若しくはGLP−2ミメティボディ組成物をそれの必要な患者に投与することを含んでなる、炎症性腸閉塞の予防、その症状の低減若しくはその治療方法である。
【0025】
[発明の詳細な記述]
本明細で引用される、限定されるものでないが特許および特許出願を挙げることができる全刊行物は、完全に示されるかのように引用することにより本明細書に組み込まれる。一文字アミノ酸記号を本明細書で当業者により理解されるとおり使用する。免疫グロブリン定常領域のアミノ酸残基の番号付けは、野生型IgG1若しくはIgG4 FcドメインのN末端アミノ酸である残基1に基づく。
【0026】
本発明は、哺乳動物GLP−2の特性および活性を有するタンパク質構築物を提供する。本発明の一態様は、下で「GLP−2ミメティボディ」若しくは単に「ミメティボディ」と称される、IgA、IgD、IgE、IgG若しくはIgMのような異なるタイプの免疫グロブリン分子、およびIgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3若しくはIgG4のようなそれらのいずれかのサブクラス、またはそれらの組合せを模倣するタンパク質構築物である。本発明の別の態様は、GLP−2バリアントであるポリペプチドであり、該ポリペプチドは野生型分子の特性および活性を有する。本発明は、GLP−2ミメティボディ、ポリペプチドをコードする核酸、これらの核酸を含有するベクター、宿主細胞、組成物、ならびにGLP−2ミメティボディおよびポリペプチドの作成および使用方法もまた提供する。
【0027】
GLP−2ミメティボディ、ポリペプチドおよび組成物
本発明は、全般として、一般式(I):
(Pep−Lk−V2−Hg−C2−C3)(t)
(I)
[式中、Pepは所望の生物学的特性を有するポリペプチドであり、Lkはポリペプチド若しくは化学結合であり、V2は免疫グロブリン可変領域のC末端の一部分であり、Hgは免疫グロブリンヒンジ領域の少なくとも一部分であり、C2は免疫グロブリンH鎖C2定常領域であり、およびC3は免疫グロブリンH鎖C3定常領域であり、ならびにtは独立に1ないし10の整数である]
を有するミメティボディポリペプチドに関する。
【0028】
より具体的には、本発明は、結合に際してGLP−2Rを活性化することが可能であるGLP−2ミメティボディポリペプチドに関する。該ポリペプチドは一般式(II):
(GLP2RAg−Lk−V2−Hg−C2−C3)(t)
(II)
[式中、GLP2RAgは哺乳動物GLP−2Rアゴニストであり、Lkはポリペプチド若しくは化学結合であり、V2は免疫グロブリン可変領域のC末端の一部分であり、Hgは免疫グロブリンヒンジ領域の少なくとも一部分であり、C2は免疫グロブリンH鎖C2定常領域であり、およびC3は免疫グロブリンH鎖C3定常領域であり、ならびにtは独立に1ないし10の整数である]
を有する。
【0029】
本明細書で使用されるところの「GLP−2Rアゴニスト」は、GLP−2Rに結合することに際してそれを活性化するいかなる分子も包含する。GLP−2Rアゴニストは野生型哺乳動物GLP−2およびGLP−2のペプチドアナログを包含する。例示的一野生型GLP−2ペプチドは配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する。天然に存在するGLP−2中のあるアミノ酸残基を他のアミノ酸残基の代わりに用いることができ、該アナログは野生型GLP−2のGLP−2R結合特性を維持することが既知である。例えば、野生型ヒトGLP−2ペプチドのAla2をSer(A2S)若しくはGly(A2G)で置換し得る。生じるアミノ酸配列をそれぞれ配列番号2および3に示す。
【0030】
本発明において、GLP−2Rアゴニストとして機能する野生型ヒトGLP−2の新規アナログが開発された。これらのアナログのアミノ酸配列を、下に示される配列番号50、51、52、53、54、55、56、57および74に示す(突然変異は野生型GLP−2に対し示す)。これらのアナログはミメティボディのGLP2RAg成分として有用である。
【0031】
【表1】

【0032】
GLP−2ペプチドが自己会合し得そして均質な治療薬候補の開発および製造について問題を提起し得ることが観察された。米国特許出願公開第20040122210 A1号明細書を参照されたい。下の実施例に記述されるとおり、配列番号52、54、55および74に示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドは、pH7.5で単量体でありかつ低下されたヘリックス性向を有するように設計した。従って、これらのヒトGLP−2ペプチドアナログは、ミメティボディ構築物中で、若しくは裸の治療的ペプチドとして、とりわけ有用であるとみられる。
【0033】
本発明のミメティボディ中で、リンカー部分(Lk)は、ミメティボディに代替の方向および結合特性を有させることにより構造の柔軟性を提供する。例示的リンカーは、ペプチド以外の化学結合、若しくはペプチド結合により連結された1ないし20個のアミノ酸を包含し、該アミノ酸は20種の天然に存在するアミノ酸から選択される。リンカー部分は、大多数の、グリシン、アラニンおよびセリンのような立体的に障害されないアミノ酸を包含し得、そしてGS、GGGS(配列番号19)、GSGGGS(配列番号20)およびそれらのポリマー若しくは組合せを包含する。本発明の範囲内の他の例示的リンカーは20残基より長いことができ、そしてグリシン、アラニンおよびセリン以外の残基を包含しうる。
【0034】
本発明のミメティボディ中で、V2はH鎖可変領域のような免疫グロブリン可変領域のC末端ドメインの一部分である。例示的V2アミノ酸配列はGTLVTVSS(配列番号21)である。
【0035】
O−グリコシル化がV2領域の2個のTyr残基で起こり得ることが示されたとは言え、グリコシル化の程度は宿主細胞株に高度に依存し、そして培養条件によってもまた影響されうる。O−グリカンは凝集およびタンパク質分解を阻害するよう作用して、より大きなin vivo安定性をもたらしうる。しかしながら、不均質性および乏しい再現性により、O−グリコシル化を排除することが望ましいかもしれない。従って、代替の一例示的V2アミノ酸配列はGALVAVSS(配列番号22)である。
【0036】
本発明のミメティボディ中で、HgはH鎖可変領域のような免疫グロブリン可変領域のヒンジドメインの一部分である。例示的Hgアミノ酸配列は、EPKSCDKTHTCPPCP(配列番号23)、EPKSADKTHTCPPCP(配列番号24)、ESKYGPPCPSCP(配列番号25)、ESKYGPPCPPCP(配列番号26)およびCPPCP(配列番号27)を包含する。
【0037】
本発明のミメティボディ中で、C2は免疫グロブリンH鎖C2定常領域である。例示的C2アミノ酸配列は:
【0038】
【化1】

【0039】
を包含する。
【0040】
本発明のミメティボディ中で、C3は免疫グロブリンH鎖C3定常領域である。例示的C3アミノ酸配列は:
【0041】
【化2】

【0042】
を包含する。本発明のミメティボディのC3領域は、ある種の組換え系で発現される場合にそのC末端アミノ酸を切断分離させうることが、当業者により認識されるであろう。
【0043】
本発明のミメティボディ中で、免疫グロブリン分子のFcRnスカベンジャー受容体結合部位がC2およびC3領域の結合部に保存されている。FcRn結合は、飲作用された免疫グロブリンの細胞外空隙への戻りを可能にするため、GLP−2ミメティボディの半減期がGLP−2ペプチドに関して有意に延長されるであろうことが期待される。
【0044】
本発明のミメティボディの一態様において、単量体構造(GLP2−Lk−V2−Hg−C2−C3)は、共有結合以外で、若しくは限定されるものでないがCys−Cysジスルフィド結合を挙げることができる共有結合により、他の単量体に連結され得る。
【0045】
IgG1およびIgG4サブクラスはヒンジ領域のシステインの数が異なる。IgG1サブクラスのように、H鎖間のジスルフィド結合に参画するIgG4ヒンジ中の2個のシステインが存在する。しかしながら、L鎖へのジスルフィド結合に通常関与しているIgG1ヒンジ中のシステインはIgG4ヒンジ中で非存在である。従って、IgG4ヒンジはIgG1ヒンジより少なく柔軟性である。
【0046】
加えて、該2アイソタイプは、補体依存性細胞傷害(CDC)および抗体依存性細胞傷害(ADCC)を媒介するそれらの能力が異なる。CDCは補体の存在下での標的の溶解
である。補体活性化経路は、補体系の第一の成分(C1q)の、同族の抗原と複合体形成した分子への結合により開始される。IgG1は補体カスケードおよびその後のCDC活性の強力な誘導因子である一方、IgG4は補体誘導活性をほとんど有しない。
【0047】
ADCCは、Fc受容体(FcR)を発現する非特異的細胞傷害性細胞(例えばナチュラルキラー(NK)細胞、好中球およびマクロファージ)が標的細胞上の結合した抗体を認識しかつその後該標的細胞の溶解を引き起こす細胞媒介性の反応である。IgG1サブクラスはFc受容体に高アフィニティーで結合しかつADCCに寄与する一方、IgG4は弱くのみ結合する。エフェクター機能を活性化することのIgG4の相対的不能は、細胞死滅を伴わない細胞へのミメティボディの送達が可能であるため、望ましい。
【0048】
さらに、FcRnスカベンジャー受容体の結合部位がIgG4およびIgG1アイソタイプに存在し、そして双方は類似の結合の特徴を有する。従って、本発明のIgG1およびIgG4ミメティボディの薬物動態は類似であると期待される。
【0049】
免疫グロブリン領域のヒンジ−C2−C3部分(Hg−C2−C3)もまた、本発明のバリアントを形成するように広範囲に改変しうる。例えば、ミメティボディ分子により必要とされない構造の特徴若しくは機能的活性を提供する1個若しくはそれ以上の天然の部位を除去し得る。これらの部位は、例えば、残基を置換若しくは欠失すること、残基を該部位に挿入すること、または該部位を含有する部分を切断することにより除去しうる。例示的Hg−C2−C3バリアントを下で論考する。
【0050】
1.ジスルフィド結合形成に関与する部位を、欠失若しくは他のアミノ酸での置換により本発明のミメティボディ中で除去し得る。典型的には、これらのモチーフ中に存在するシステイン残基を除去若しくは置換する。これらの部位の除去は、非共有的に一緒に保持される二量体のCH3−CH2−ヒンジドメインをなお見込みつつ、ミメティボディ産生宿主細胞に存在する他のシステイン含有タンパク質とのジスルフィド結合、若しくはIgG4に基づく構築物中でのH鎖内ジスルフィド結合を回避しうる。
【0051】
IgG1のような大部分のIgGタイプ抗体は、2本の同一のH鎖および2本の同一のL鎖から構成されるホモ二量体分子であり、典型的にHと略記される。従って、これらの分子は抗原結合に関して一般に二価である。すなわち、IgG分子の双方の抗原結合(Fab)アームは同一の結合特異性を有する。
【0052】
IgG4アイソタイプH鎖は、H鎖間若しくはH鎖内いずれかのジスルフィド結合を形成することが可能な、それらのヒンジ領域中にCPSC(配列番号34)モチーフを含有する。すなわち、CPSCモチーフ中の2個のCys残基は、他のH鎖中の対応するCys残基とジスルフィド結合を形成しうる(間)か、若しくは所定のCPSCモチーフ内の2個のCys残基が相互とジスルフィド結合しうる(内)。in vivoで異性化酵素がIgG4分子のH鎖間結合をH鎖内結合に転換することが可能であり、そして逆もまた真であると考えられる(AalberseとSchuurman、Immunology
105、9−19(2002))。従って、ヒンジ領域にH鎖内結合をもつIgG4分子中のHL対は相互と共有会合してないため、それらはHL単量体に解離されることができ、それらはその後他のIgG4分子由来のHL単量体と再会合して二特異性のヘテロ二量体IgG4分子を形成しうる。二特異性IgG抗体中で、抗体分子の2個のFabはそれらが結合するエピトープが異なる。IgG4のヒンジ領域のSer228をProで置換することは、「IgG1様挙動」をもたらす。すなわち、該分子はH鎖間で安定なジスルフィド結合を形成し、そして従って他のIgG4分子とのHL交換に対し感受性でない。
【0053】
2.H−C2−C3は、選択された宿主細胞とより適合性の本発明のミメティボディを作成するように改変し得る。例えば、本発明のミメティボディを大腸菌(E.coli)のような細菌細胞中で組換え発現する場合、大腸菌(E coli)酵素プロリンイミノペプチダーゼによる消化を予防するために、ヒンジ中のPro−Ala配列を除去しうる。
【0054】
3.ヒンジ領域の一部分を、選択した宿主細胞で発現される生成物の不均一性を予防するために、本発明のミメティボディ中で欠失若しくは他のアミノ酸で置換し得る。
【0055】
4.1個若しくはそれ以上のグリコシル化部位を本発明のミメティボディ中で除去し得る。典型的にグリコシル化される残基(例えばAsn)は、Fc依存性の細胞媒介性細胞溶解活性をミメティボディに賦与しうる。こうした残基は、欠失しても、若しくはAlaのようなグリコシル化されない残基で置換してもよい。
【0056】
5.C1q結合部位のような補体との相互作用に関与する部位を、本発明のミメティボディ中で除去する。
【0057】
6.FcRnサルベージ受容体(salvage receptor)以外のFc受容体への結合に影響を及ぼす部位を、本発明のミメティボディ中で除去し得る。例えば、ADCC活性に関与するFc受容体を本発明のミメティボディ中で除去し得る。例えば、IgG1のヒンジ領域のLeu234/Leu235のL234A/L235Aへの、若しくはIgG4のヒンジ領域のPhe234/Leu235のP234A/L235Aへの突然変異は、FcR結合を最小限にし、そして補体依存性細胞傷害およびADCCを媒介する免疫グロブリンの能力を低下する。
【0058】
本発明の一態様は、Hg−C2−C3がIgG4サブクラスからでありかつSer228Pro(S228P)置換およびP234A/L235A突然変異を含有する、式(II)のGLP−2ミメティボディである。GLP−2ペプチド配列中のこれらの突然変異ならびにA2SおよびA2Gを有する例示的GLP−2ミメティボディの完全なポリペプチド配列をそれぞれ配列番号4および5に示す。これらの配列は、ミメティボディ構築物のドメインの全部、すなわちGLP2RAg−Lk−V2−Hg−C2−C3ドメインを含有する。これらのミメティボディ構築物は、FcR媒介性のエフェクター機能を誘発しない均質かつ安定な集団であると期待される。ここで示される置換および突然変異は例示的であり;本発明の範囲内のHg−C2−C3ドメインは、他の置換、突然変異および/若しくは欠失を包含しうる。
【0059】
変動可能なリンカー長さをもつ本発明の他の例示的なA2Gに基づくGLP−2ミメティボディの部分的ポリペプチド配列を、配列番号6、7、8、9、10および11に示す。これらの配列はC2およびC3ドメインを除く全ドメインを示す。C2およびC3ドメインが機能的ミメティボディに含有されるとみられることが当業者により理解されるであろう。
【0060】
配列番号50、51、52、53、54、55、56および57に示されるアミノ酸配列を有するGLP−2アナログに基づく本発明の他の例示的GLP−2ミメティボディの部分的ポリペプチド配列を、それぞれ配列番号58、59、60、61、62、63、64および65に示す。これらの配列はC2およびC3ドメインを除く全ドメインを示す。C2およびC3ドメインが機能的ミメティボディに含有されるとみられることが当業者により理解されるであろう。
【0061】
本発明は、結合に際してGLP−2Rを活性化することが可能であるGLP−2ミメテ
ィボディを包含する。本発明のミメティボディは広範なアフィニティーでGLP−2Rを結合し得る。GLP−2Rに対するGLP−2ミメティボディのアフィニティーは、いずれの適する方法、例えばBiacore若しくはKinExA装置を使用する方法、ELISAおよび競合結合アッセイを使用しても実験で測定し得る。
【0062】
本発明のGLP−2ミメティボディおよびポリペプチドは、腸粘膜上皮の炎症、傷害および/若しくは機能不全を特徴とする障害若しくは症状の処置において有用である。GLP−2の効果は、骨形成および維持、ならびに中枢性満腹因子としてのその役割により中枢神経系媒介性の障害でもまた示される。本発明のGLP−2ミメティボディ若しくはポリペプチドを使用して処置し得る疾患若しくは症状は、限定されるものでないが、SBS、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、結腸炎、膵炎、回腸炎、炎症性腸閉塞(術後および他の原因からの双方)、癌化学療法および/若しくは放射線治療に伴う粘膜炎、完全非経口栄養法若しくは虚血により引き起こされる腸萎縮を包含するGI疾患、骨粗鬆症のような骨関連障害、肥満を包含する栄養関連障害、ならびに新生児における壊死性全腸炎による腸不全を包含する小児のGI障害を挙げることができる。本発明のGLP−2ミメティボディ若しくはポリペプチドは、炎症性腸閉塞を予防、その症状を低減かつそれを処置するのにもまた使用し得る。
【0063】
従って、本発明の別の局面は、本発明の最低1種のGLP−2ミメティボディ若しくはポリペプチドおよび当該技術分野で既知の製薬学的に許容できる担体若しくは希釈剤を含んでなる製薬学的組成物である。担体若しくは希釈剤は溶液、懸濁液、乳液、コロイド若しくは粉末であり得る。
【0064】
本発明のGLP−2ミメティボディ若しくはポリペプチドは、治療上若しくは予防上有効な量で製薬学的組成物として処方される。「有効な量」という用語は、一般に、効果的な治療、すなわちそのために処置が探索された症状若しくは障害の部分的若しくは完全な軽減に必要なミメティボディ若しくはポリペプチドの量を指す。前述の症状若しくは障害の発生の見込みを低下させることを意図している予防的処置が効果的な治療の定義内に包含される。
【0065】
該組成物は、場合によっては、本明細書で論考される疾患状態を処置するのに有用な最低1種のさらなる化合物、タンパク質若しくは組成物を含み得る。例えば、本発明のミメティボディ若しくはポリペプチドは、体重を増加させる、腸の治癒で補助する、若しくは栄養吸収を改善することを企図しているグルタミン若しくは他の栄養補助物質と組合せで使用し得る。さらに、抗炎症薬との組合せもまた企図している。本明細書および請求の範囲で使用されるところの「と組合せの」という用語は、記述される剤を、混合物で、単一の剤として同時に、若しくは単一の剤としていずれかの順序で連続して一緒に哺乳動物に投与し得ることを意味している。
【0066】
核酸、ベクターおよび細胞株
本発明の別の局面は、本発明の最低1種のGLP−2ミメティボディ若しくはポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでなる、それに相補的な、若しくはそれとの有意の同一性を有する単離された核酸分子である。本発明の他の局面は、本発明の最低1種の単離されたGLP−2ミメティボディ若しくはポリペプチドをコードする核酸分子を含んでなる組換えベクター、ならびに、該核酸分子を発現することが可能である細胞株および生物体を包含する。該核酸、発現ベクターおよび細胞株は、一般に、本発明のミメティボディを製造するのに使用しうる。
【0067】
一態様において、本発明の核酸組成物は、配列番号4、5、6、7、8、9、10、11、42、43、44、45、58、59、60、61、62、63、64、65、74、75および77のいずれか1種に同一若しくは実質的に相同なアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする。配列番号5、6、7、8、9、10、11、42、43、44、45、58、59、60、61、62、63、64、65、75および77に示されるポリペプチド配列をコードする例示的核酸配列を、それぞれ配列番号12、13、14、15、16、17、18、46、47、48、49、66、67、68、69、70、71、72、73、76および78に示す。前述の核酸の対立遺伝子変異もまた提供される。
【0068】
典型的には、本発明の核酸は、本発明のGLP−2ミメティボディ若しくはポリペプチドの製造のための発現ベクター中で使用する。本発明の範囲内のベクターは、CMVプロモーターに駆動されるベクターのようなウイルスプロモーターに駆動されるベクター、例えばpcDNA3.1、pCEP4およびそれらの誘導体、バキュロウイルス発現ベクター、ショウジョウバエ発現ベクター、ならびにヒトIg遺伝子プロモーターのような哺乳動物遺伝子プロモーターにより駆動される発現ベクターを包含する、真核生物発現のための必要なエレメントを提供する。他の例は、T7プロモーターに駆動されるベクター、例えばpET41、乳糖プロモーターに駆動されるベクター、およびアラビノース遺伝子プロモーターに駆動されるベクターのような原核生物発現ベクターを包含する。
【0069】
本発明は、本発明のGLP−2ミメティボディ若しくはポリペプチドを発現する細胞株にもまた関する。宿主細胞は原核生物若しくは真核生物細胞であり得る。例示的真核生物細胞は、限定されるものでないがCOS−1、COS−7、HEK293、BHK21、CHO、BSC−1、HepG2、653、SP2/0、NS0、293、HeLa、骨髄腫、リンパ腫細胞、若しくはそれらのいずれかの誘導体を挙げることができる哺乳動物細胞である。最も好ましくは、宿主細胞はHEK293、NS0、SP2/0若しくはCHO細胞である。本発明の細胞株は最低1種のGLP−2ミメティボディを安定に発現しうる。細胞株は、当該技術分野で公知である安定若しくは一過性トランスフェクション手順により生成しうる。
【0070】
本発明は、さらに、GLP−2ミメティボディ若しくはポリペプチドが検出可能若しくは回収可能な量で発現される条件下で該細胞株を培養することを含んでなる、最低1種のGLP−2ミメティボディ若しくはポリペプチドの発現方法を提供する。本発明はまた、GLP−2ミメティボディ若しくはポリペプチドが検出可能若しくは回収可能な量で発現されるようなin vitro若しくはin situの条件下で、GLP−2ミメティボディ若しくはポリペプチドをコードする核酸を翻訳することを含んでなる、最低1種のGLP−2ミメティボディ若しくはポリペプチドの生成方法も提供する。本発明は、上の方法により製造されるGLP−2ミメティボディ若しくはポリペプチドもまた包含する。
【0071】
GLP−2ミメティボディは、限定されるものでないが、プロテインA精製、硫酸アンモニウム若しくはエタノール沈殿、酸抽出、陰イオン若しくは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアトパタイトクロマトグラフィーおよびレクチンクロマトグラフィーを挙げることができる公知の方法により回収かつ精製し得る。逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)もまた精製に使用し得る。
【0072】
あるいは、本発明のGLP−2由来ポリペプチドは、当業者に公知の化学合成技術により製造し得る。組換え若しくは化学的いずれの方法により製造された本発明のポリペプチドも、当業者に公知の方法により回収かつ精製し得る。
【0073】
使用方法
GLP−2ミメティボディ若しくはポリペプチドは、とりわけ、研究試薬および治療薬
として有用である。一局面において、本発明は、最低1種のGLP−2ミメティボディ若しくはポリペプチドをそれの必要な哺乳動物に提供することを含んでなる、GLP−2の生物学的活性の改変方法に関する。GLP−2ミメティボディ若しくはポリペプチドはGLP−2Rを通じて細胞のシグナル伝達カスケードを活性化しうる。とりわけ、GLP−2ミメティボディ若しくはポリペプチドはGLP−2Rのアゴニストとして機能しうる。「アゴニスト」という用語は最も広範な意味で使用され、そして、GLP−2Rの1種若しくはそれ以上の生物学的活性を直接若しくは間接的に、部分的に若しくは完全に活性化、増大若しくは促進することが可能である分子を包含する。
【0074】
本発明は、治療上有効な量の最低1種のGLP−2ミメティボディ若しくはポリペプチドの製薬学的組成物をそれの必要な患者に投与することを含んでなる、最低1種のGLP−2関連の状態若しくは疾患の症状の低減若しくはその処置方法もまた提供する。本発明の方法を使用する処置に適する状態および疾患は、限定されるものでないが、SBS、クローン病、および小児GI障害、癌化学療法に伴う粘膜炎、IBD、炎症性腸閉塞を包含するGI疾患、ならびに上述された他の疾患および状態を挙げることができる。
【0075】
GLP−2は腸神経系のニューロン、およびGLP−2を含有する腸内分泌細胞で主に見出されるGLP−2Rと優先的に相互作用する(Guanら、Gastroenterology 130:150−164(2006))。GLP−2の主機能の1つは腺窩絨毛での円柱細胞増殖を促進することであり、そこでそれは上皮細胞ターンオーバーおよび粘膜創傷治癒を高め(Bulutら、Regul.Pept.121:137−43(2004))、粘膜障壁機能を高め(Benjaminら、Gut 47:112−119(2000))、そしてアポトーシスによる細胞死を阻害する(BrubakerとDrucker、Endocrinology 145:2653−2659(2004))。これらの効果は、GLP−2Rが腺窩円柱上皮細胞で発現されないため、神経に依存することが示されている(BjerknesとCheng、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.98:12497−12502(2001))。腸ニューロンでのGLP−2Rの存在は、GLP−2が、運動性、ならびに腸炎症である役割を演じている神経−免疫相互作用を改変しうることを示唆する。
【0076】
従って、本発明は、GLP−2ポリペプチド組成物若しくはGLP−2ミメティボディ組成物をそれの必要な患者に投与することを含んでなる、炎症性腸閉塞の予防、その症状の低減若しくはその処置方法をさらに提供する。本明細書で使用されるところの「炎症性腸閉塞」は、胃腸管、例えば胃、小腸および/若しくは結腸のいずれの部分のイレウスでもあり得る。加えて、「炎症性腸閉塞」は、腸閉塞を引き起こすいずれの要因、例えば、移植手術のような腹部外科手術、若しくは移植手術以外の腹部外科手術、腸切除のような腸外科手術、および整形外科手術を包含する外科手術;外傷性傷害、例えば転落、交通事故、個人的暴行、若しくは外傷性傷害、例えば四肢骨折、肋骨骨折、脊椎の骨折、胸部損傷、虚血、腹膜後血腫から生じるいずれかの続発症;腹腔内炎症、例えば腹腔内敗血症、急性虫垂炎、胆嚢炎、膵炎、尿管疝痛、基底部肺炎(basal pneumonia);心筋梗塞;代謝障害;またはそれらのいずれかの組合せからも生じ得る。
【0077】
上述されたとおり、GLP−2ミメティボディ若しくはポリペプチドの製薬学的組成物は、有効量の最低1種のGLP−2ミメティボディ若しくはポリペプチド、および製薬学的に許容できる担体若しくは希釈剤を含んでなる。所定の治療の有効量は、治癒的であろうと予防的であろうと、一般に、投与手段、標的部位および投与される他の医薬品を包含する多くの異なる因子に依存することができる。従って、処置用量は安全性および有効性を至適化するように滴定される必要があることができる。
【0078】
本発明の方法は、場合によっては、上に列挙された疾患を処置するのに使用されるいず
れかの標準的治療との共投与若しくは併用療法をさらに含み得る。
【0079】
投与の様式は、本発明のGLP−2ミメティボディ若しくはポリペプチドの製薬学的に有効な量を宿主に送達するためのいかなる適する経路でもあり得る。例えば、GLP−2ミメティボディ若しくはポリペプチドは、皮下、筋肉内、皮内、静脈内若しくは鼻内投与のような非経口投与、または当該技術分野で既知のいずれの他の手段を介しても送達し得る。
【0080】
本発明は以下の実施例を参照してさらに記述する。これらの実施例は単に本発明の局面を具体的に説明するためであり、そして本発明の制限として意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】U937細胞ライセートとのインキュベーション後のGLP−2ミメティボディPro置換バリアント(配列番号43および44)のSDS−PAGEゲルの像を示す。
【図2】A2G GLP−2ミメティボディで処置したマウスからの粘膜擦過標本の湿重量の用量依存性の増大を示す。
【図3】A2G−GLP−2ペプチドで処置したマウスでの腸通過の有意の加速を示す。統計学的有意性は対応のないスチューデントのT検定により決定した。
【図4】A2G GLP−2ミメティボディで処置したマウスでの腸通過の有意の加速を示す。統計学的有意性は対応のないスチューデントのt検定により決定した。
【図5】マウスA2G GLP−2ミメティボディで処置したマウスでの術後炎症性腸閉塞と関連する胃腸通過の遅延の有意の減弱を示す。統計学的有意性は、ANOVA、次いでボンフェロニの事後検定により決定した。
【図6】腹部手術後のミエロペルオキシダーゼ(MPO)含有白血球の増大された数を伴う腸筋層のホールマウントを示す。マウスA2G GLP−2ミメティボディでの処置は浸潤細胞の数を有意に低下した一方、IgG2aは影響を有しなかった。
【図7】図6からの蓄積した細胞数でのヒストグラムを示す。統計学的有意性は、ANOVA、次いでボンフェロニの事後検定により決定した。
【0082】
[実施例]
【実施例1】
【0083】
哺乳動物細胞でのGLP−2ミメティボディのクローニング、発現および精製
A2S GLP−2をコードする核酸配列は2段階PCR増幅で生成した。第1回の増幅は、フォワードプライマー
5’−CCAAAGTATACAGGCGCATAGCGATGGTTCTTTCTCTGATGAGATGAACACCATTCTTG−3’(配列番号37)およびリバースプライマー5’−TTGGTCTGAATCAACCAGTTTATAAAGTCTCGAGCGGCAAGATTATCAAGAATGGTGTTCATCTC−3’(配列番号38)を使用して実施した。融解、アニーリングおよび伸長温度はそれぞれ96℃、48℃および72℃に設定した。3サイクルの反応を実施した。
【0084】
第2回の増幅については、フォワードプライマーはNotI制限酵素認識部位を包含し、また、リバースプライマーはBamHI部位を包含した。フォワードプライマーの配列は、5’−TTTGCGGCCGCCCAAAGTATACAGGCG−3’(配列番号39)であり、そしてリバースプライマーは5’−AAAGGATCCGTCAGTGATTTTGGTCTGAATCAACCAG−3’(配列番号40)である。融解、アニーリングおよび伸長温度はそれぞれ96℃、48℃および60℃に設定した。30サイクルの反応を実施した。
【0085】
A2G GLP−2をコードする核酸配列は、第1回の増幅で使用したフォワードプライマーが5’−CCAAAGTATACAGGCGCATGGCGATGGTTCTTTCTCTGATGAGATGAACACCATTCTTG−3’(配列番号41)であることを除き、同一手順で生成した。
【0086】
増幅したPCR産物(A2SおよびA2G GLP−2)を、標準的クローニング手順を使用して、CMVプロモーターに駆動されるヒトIgG4 ΔCH1、Ser to Pro、Ala/Ala発現ベクターのNotI/BamHI部位にクローン化した。
【0087】
A2SおよびA2G GLP−2 IgG4ミメティボディをHEK 293E細胞で一過性に発現させ、そして標準的手順に従ってプロテインAアフィニティークロマトグラフィーを使用して馴化培地から精製した。プロテインAアフィニティーカラムからの溶離された物質を、さらなる精製のためサイズ排除カラムにさらにかけた。
【0088】
精製したA2SおよびA2G GLP−2ミメティボディを、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)、および静的光散乱分析と組み合わせたサイズ排除クロマトグラフィー(SEC−SLS)により分析した。還元および非還元双方の変性条件下でのSDS−PAGEでの精製したミメティボディの移動は期待された範囲にあった。SEC−SLSによる分析は、該ミメティボディの二量体に対応するおよそ123KDの分子量をもつタンパク質を示した。GLP−2ミメティボディはSDS−PAGEゲル上で単量体として移動するため、二量体化は非共有相互作用を介する。
【実施例2】
【0089】
cAMP発現アッセイ
GLP−2ミメティボディのin vitro活性を評価するため、cAMP発現アッセイを開発した。この目標を達成するため、変異ヒトGLP−2Rを発現するクローン細胞株を、HEK 293E細胞をトランスフェクトすることにより生成した。変異ヒトGLP−2Rは、C末端の細胞内領域(配列番号36)内の3アミノ酸位置で野生型ヒトGLP−2R(配列番号35)と異なる。GLP−2ペプチドはこの細胞株でcAMP発現を刺激し、そして、対照ペプチドはcAMP発現を刺激しなかったため、該刺激は特異的であった。
【0090】
A2SおよびA2G IgG4 GLP−2ミメティボディを、組換え細胞株中のcAMP発現を刺激するそれらの能力について、対応するGLP−2ペプチド(A2SおよびA2G)と比較した。簡潔には、細胞を個々のGLP−2ミメティボディ若しくはGLP−2ペプチドと30分間インキュベートした。cAMP発現を、cAMP Direct
Screen装置(カタログ番号CSD 200、Applied Biosystems、マサチューセッツ州ベッドフォード)を使用して定量化した。A2SおよびA2GペプチドのEC50はそれぞれ0.5nMおよび0.8nMであり;A2SおよびA2GミメティボディのEC50はそれぞれ2.2nMおよび3.8nMである。従って、このアッセイでのGLP−2ミメティボディの効力は、ペプチドより約4倍より小さかった。
【実施例3】
【0091】
GLP−2ミメティボディバリアント
GLP−2ミメティボディのリンカー長さの影響を検討するため、多様なリンカー長さをもつ多様な構築物を生成した。コア領域の配列を下に表1に示す。
【0092】
これらのバリアントをHEK 293細胞で一過性に発現させ、精製しかつSDS−PAGEにより分析した。SEC−SLSによる分析は、該ミメティボディの二量体に対応
するものに加えて該ミメティボディの単量体に対応する65〜70kDaの分子量をもつピークを示した。リンカー長さが長くなるほど、単量体集団の比率が高くなることが観察された。
【0093】
リンカー長さおよびV2領域のバリアントを、実施例2に記述されたcAMP発現アッセイで試験した。該データは、EC50により評価されるところのGLP−2ミメティボディの活性が、リンカー長さと直接相関した(すなわち、より長いリンカーをもつミメティボディがより高い活性を有する)ことを示した(表1)。
【0094】
【表2】

【0095】
GLP−2ミメティボディの安定性を増大させるため、V2若しくはHg領域のタンパク質分解性切断感受性部位のアミノ酸残基をProで置換した一連のバリアントを構築した。該GLP−2ミメティボディバリアントのコア領域の配列を下に表2に示す。
【0096】
【表3】

【0097】
Pro置換バリアントをHEK 293細胞で一過性に発現させ、精製しかつSDS−PAGEにより分析した。cAMP発現アッセイからのデータは、EC50により評価されるところのこれらのGLP−2ミメティボディバリアントの活性がA2G GLP−2ミメティボディ(配列番号5)のものに匹敵することを示した。
【0098】
精製したPro置換バリアントを、CompleteMiniプロテアーゼ阻害剤錠剤(カタログ番号1 836 153、Roche Applied Science、インジアナ州インジアナポリス)の存在下でU937細胞ライセートと0、12若しくは24時間インキュベートした。その後、GLP−2ミメティボディバリアントをプロテイン
Aビーズを使用して精製し、そしてSDS−PAGEゲルで分離した。図1に示されるとおり、A2G GLP−2ミメティボディ(配列番号5)と比較して、24時間の試験時間でPro置換バリアント(配列番号43若しくは44)でより少ない分解が存在した。結論すれば、Pro置換バリアントはin vitroでタンパク質分解に対しより抵抗性である。
【実施例4】
【0099】
GLP−2ミメティボディは小腸での粘膜重量増加を刺激する
GLP−2ミメティボディのin vivo活性を示すため、CD1マウスにGLP−2ミメティボディを注入し、そして小腸内のエンドポイントを評価した。簡潔には、雌性CD1マウスに、A2G GLP−2ペプチド(配列番号3)、A2G GLP−2 IgG4ミメティボディ(配列番号5)若しくは対照ミメティボディの連日の皮下注入を10日間与えた。その後、マウスを安楽死させ、そして、小腸を取り出し、生理的食塩水で洗い流し、そして下述されるとおり処理した。
【0100】
具体的には4cm切片を収集した。すなわち(1)幽門に対しすぐ遠位(十二指腸)、(2)トライツ靱帯の2cm遠位で開始する(空腸)、および(3)盲腸に対しすぐ近位(回腸)。トライツ靱帯の約6cm遠位から盲腸に対し4cm近位までの残存する小腸を使用して粘膜擦過標本を調製した。残部の近位および遠位端から、15cm切片が残存するまで等距離を除去し、残部を長軸方向に切断し、すすぎ、そして、ガラス製顕微鏡用スライドガラスの短端を使用して粘膜層を除去した。無傷の小腸区分および粘膜の湿重量を測定した。
【0101】
異なるマウスからの空腸と回腸の間の15cm区分から採取した粘膜擦過標本の重量を図2に示す。A2G GLP−2ミメティボディを注入したマウスについて、粘膜湿重量の重量依存性の増大が観察された。0.8および8mg/kg(それぞれ0.26および2.6nモル)で、増大は対照ミメティボディと比較して統計学的に有意であった(それぞれp<0.0001およびp<0.0004)。
【0102】
統計学的に有意の増大(p<0.0001)は、2.5mg/kg(13.3nモル)のA2G GLP−2ペプチドを注入したマウスでもまた見られた。比較して、A2G GLP−2ミメティボディは、A2G GLP−2ペプチドより50倍より低い用量(モル濃度基準で)でin vivoで有効である。
【実施例5】
【0103】
GLP−2ミメティボディの薬物動態
GLP−2ミメティボディの薬物動態を測定するため、CD1マウスに3mg/kgのA2G GLP−2ミメティボディ(配列番号5)を静脈内若しくは皮下投与した。血液を、ex vivo分解の可能性を最小限にするためのプロテアーゼ阻害剤を含有するクエン酸緩衝液に異なる時点で収集し、そして血漿を遠心分離により分離した。
【0104】
時間分解蛍光(TRF)アッセイを使用して活性のミメティボディを測定した。活性のミメティボディは、該ミメティボディのFc領域になお結合されている該ペプチドの無傷のN末端を反映する。
【0105】
TRF実験に基づき、マウスでのA2G GLP−2ミメティボディの計算された半減期は26.5時間であった。対照的に、ヒトでのGLP−2ペプチドの報告された半減期は7.2±2分である(Hartmannら、J.Clin.Endocrinol.Metab.85:2884−2888(2000))。従って、A2G GLP−2ミメティボディの半減期は、GLP−2ペプチドのものより200倍以上より高い。
【0106】
類似の実験で、カニクイザルに1mg/kgのA2G GLP−2ミメティボディを静脈内投与した。TRFデータに基づけば、カニクイザルでのA2G GLP−2ミメティボディの計算された半減期は4.8日であった。
【実施例6】
【0107】
GLP−2ミメティボディの薬動力学
その延長された薬物動態に基づき、GLP−2ミメティボディはより長い応答期間を有すると期待される。A2G GLP−2ミメティボディの薬動力学を評価するため、マウスに、連日、1日おき、週1回、若しくは試験の開始時に1回のみ投与した。動物の取り扱いについて制御するため、マウスがA2G GLP−2ミメティボディを受領しなかった日に、それらに陰性対照ミメティボディ、すなわちGLP−2ペプチドを含まないミメティボディ免疫グロブリン足場構造を注入した。A2G GLP−2ミメティボディおよび陰性対照の用量は全群について4mg/kg(1.3nモル/kg)であった。試験期間は11日であり、そして組織を実施例4で記述したとおり処理した。
【0108】
A2G GLP−2ミメティボディを週あたり1回投与されたマウスは、対照ミメティボディに比較して有意に増大した粘膜重量を有した。該差違は、A2G GLP−2ミメティボディを毎日若しくは1日おきに投与した場合により顕著であった。類似のパターンが小腸切片湿重量に関して観察された。十二指腸および空腸双方で、対照ミメティボディを上回る重量の有意の増加が、単回投与実験を除く全レジメンで見られた。
【実施例7】
【0109】
GLP−2中の突然変異はペプチド二量体化を予防する
野生型GLP−2ペプチド(配列番号1)は高濃度で二量体化する。例えば、PBS(pH7.5)中で、GLP−2は0.4mg/mLで単量体として、しかし2mg/mLで単量体(約20%)および可逆的に自己会合した二量体(約80%)の混合物として存在する(データは示されない)。自己会合は、均質な治療薬の開発および製造に対する挑戦を課す。
【0110】
野生型GLP−2の生物学的活性を保持しかつ高濃度で単量体として存在するペプチドアナログ(配列番号52、54、55および74)を設計した。GLP−2(A2G、L17Q)(配列番号54)およびGLP−2(A2G、N16G、L17Q)(配列番号55)を合成し、そして>95%純度まで精製した。ペプチドGLP−2(配列番号1)、GLP−2(A2G)(配列番号3)およびGLP−1(配列番号79)を、アナログの特徴付けで対照として包含した。
【0111】
ペプチドの溶液分子量をSEC−SLSにより測定した。簡潔には、0.4ないし2.0mg/mLのPBS(pH7.5)中のペプチド溶液をSuperdexペプチドカラム(Amersham Pharmacia)で分画した。溶離されるピークは690nmでの静的光散乱によりモニターし、そして、Astraソフトウェアパッケージ(Wyatt Inc.)を使用して、溶液分子量をUV280nmで測定した。
【0112】
1mg/mlで、GLP−1は期待された単量体の大きさ内の分子量を伴う単一ピークとして溶離した。GLP−2およびGLP−2(A2G)は、重なる二量体および単量体のピークの同様の分布を表した。アナログペプチドGLP−2(A2G、L17Q)およびGLP−2(A2G、N16G、L17Q)双方は、主に単量体のペプチドと一致した分子量を伴う単一ピークとして溶離した。
【0113】
試験したペプチドの二次構造を、PBS中0.2mg/mLペプチド溶液を使用して決
定した。簡潔には、CDスペクトルを0.1cm光路長セル中25℃で1nm間隔で3検体で収集した。二次構造は、CDスペクトルソフトウェア(CD Spectra Deconvolutionソフトウェア2.1)を使用するCDスペクトルの当てはめにより決定した。全部の試験したペプチドは、αヘリックスの存在に対応するピークを含有した。しかしながら、アナログペプチドGLP−2(A2G、L17Q)およびGLP−2(A2G、N16G、L17Q)のヘリックス含量は約17%であり、GLP−1のものに同様かつGLP−2およびGLP−2(A2G)のものより低かった(表3)。
【0114】
【表4】

【0115】
加えて、トリフルオロエタノール(TFE)はペプチドでヘリックス形成を誘導することが既知である(Soennichsenら、Biochemistry 31:8791(1992))。従って、TFEを使用するヘリックス性向分析を実施した。簡潔には、試験されるペプチドを、0、1、5、15、33若しくは50%TFEを含有するPBS(pH7.5)で0.2mg/mLに希釈した。CDスペクトルを収集し、そして、データ平均化、緩衝液減算および曲線平滑化後にCDプロットを生成した。ヘリックス性向値を%TFEプロットに対する222nmの平均残基楕円率(MRE)から得た。222nmのCDスペクトルの50%変形を遂げたTFEの濃度をヘリックス性向の尺度として使用した。
【0116】
該結果は、GLP−2およびGLP−2(A2G)がより大きなヘリックス性向を表し、最大のヘリックスシグナルへの変形に約16%のTFEを必要としたことを示した。比較において、GLP−1はより低いヘリックス性向を有し、ヘリックス変形に>20%TFEを必要とした。重要なことに、アナログペプチドGLP−2(A2G、L17Q)およびGLP−2(A2G、N16G、L17Q)双方はヘリックス変形に>20%TFEを必要とし、GLP−2よりGLP−1へのより緊密な類似性を持つ。従って、L17Q置換はGLP−2ペプチドのヘリックス形成可能性を低下させた。
【実施例8】
【0117】
GLP−2中の突然変異はミメティボディの二量体化を予防する
A2G、L17Q(配列番号75)およびA2G、N16G、L17Q(配列番号77)をもつGLP−2ミメティボディをコードする核酸配列を、StratageneからのQuickChange XLキットを使用して生成した。これらのミメティボディバリアントをHEK 293E細胞で一過性に発現させ、そして実施例1に記述された手順に従って精製した。
【0118】
SEC−SLS分析に基づけば、GLP−2(A2G、N16G、L17Q)ミメティボディは単量体に一致した分子量を表した一方、GLP−2(A2G、L17Q)ミメティボディは単量体および二量体の混合物を反映する分子量を表した。
【実施例9】
【0119】
GLP−2アナログミメティボディのin vitro活性
GLP−2アナログのin vitro活性をcAMP発現アッセイで試験した。この
アッセイは、HEK 293E細胞中で変異huGLP−2Rを発現する細胞株を利用するApplied BiosystemsからのcAMP Direct Screen装置に基づいた。0.5%BSAを含むPBS中0.01nMから1.0μMまでの範囲にわたる濃度のペプチドを、96ウェルプレート中に懸濁した約50,000細胞に添加した。37℃で30分のインキュベーション後に、溶解緩衝液、次いで発光試薬(Applied Biosystems)を製造元の手順(Applied Biosystems Luminescenceプロトコル:cAMP−Screen Direct装置)に従って添加した。TopCount液体シンチレーション分析機(PerkinElmer)を使用して発光を定量し、そしてSoftmaxソフトウェア(Molecular Devices Corporation)を使用してデータを処理した。ペプチド濃度に対するcAMP濃度のプロットから得たEC−50値を下の表5に列挙する。
【0120】
【表5】

【0121】
該データは、野生型GLP−2に関して、GLP−2(A2G、N16G、L17Q)およびGLP−2(A2G、L17Q)のそれぞれわずか2および3倍より低い活性を示す。
【実施例10】
【0122】
A2G−GLP−2ペプチドは上部GI通過を加速する
正常マウスでの上部消化管通過に対するA2G−GLP−2の効果を試験するため、マウスを2群に無作為に割り当てた(試験群あたり14動物)。各群はA2G−GLP−2ペプチド(50μg/マウス)若しくはリン酸緩衝生理的食塩水ベヒクルいずれかの連日の皮下注入(総容量200ml)を連続10日間受領した。
【0123】
試験の日に、カーマイン色素技術を使用して上部消化管通過を測定した。マウスに、18ゲージ湾曲給餌チューブにより胃内に投与される、0.5%(w/v)メチルセルロースに混合したカーマインコチニール粉末の6%(w/v)溶液0.25mlの試験食を給餌した。経口試験食投与後にマウスをそれらの住居ケージに戻した。マーカー食投与20分後に、マウスを頚部脱臼により迅速に安楽死させ、そして胃腸管全体を遠位結腸から開始しかつ胃幽門に向かって作業して摘出した。切除した消化管は、該臓器を伸展させることを回避するよう注意しつつ、直線的メートル尺定規に平行に長く配置した。小腸を通りカーマイン色素先端により移動された直線的距離を小腸の全長と一緒に測定した。上部消化管通過は、20分の試験時間の間にカーマイン色素先端により移動された小腸全体の比率として表した。すなわち、移動された小腸%=[小腸を通り色素先端により移動された距離(cm)/小腸全長(cm)×100]。図3に示されるとおり、A2G−GLP−2処置は上部消化管通過の加速につながった。
【実施例11】
【0124】
GLP−2ミメティボディは上部GI通過を加速する
正常マウスでの上部通過に対するGLP−2ミメティボディの効果を試験するため、マウスを2群に無作為に割り当てた(群あたり4動物)。各群は、胃腸通過の測定4日前に、A2G GLP−2ミメティボディ(配列番号5)(4mg/kg)若しくはIgG4陰性対照の単回注入を受領した。
【0125】
試験の日に、FITC−デキストラン法を使用して上部消化管通過を測定した。この方法は、胃腸通過の尺度および胃腸管に沿った試験食の分布のパターンの読み出しの双方を提供する。マウスに、18ゲージ湾曲給餌チューブにより胃内に投与される150mlのFITC−デキストラン溶液(0.5%メチルセルロース/脱イオン水中でフルオレセイン−イソチオシアネートに複合した5mg/mlの70,000分子量のデキストラン)の試験食を給餌した。FITC−デキストラン試験食の経口投与後に、マウスをそれらの住居ケージに戻した。30分の試験時間は加速された通過を検出するための至適の時間であった一方、45分の試験時間は遅延された通過を検出するために至適であったことが示された。適切な試験時間後にマウスを二酸化炭素曝露により殺した。下部食道括約筋から結腸末端までの胃腸管全体を取り出した。腸区分を腸間膜縁に沿って開放した。胃の組織および管腔内容物、小腸の10個の等しい区分、盲腸、ならびに結腸の3個の等しい区分を、1mlのPBSを含有する個別のエッペンドルフチューブに入れた。組織を卓上ボルテックスで活発に攪拌し、そして固形物質を遠心分離によりペレットにした。澄明にした上清のアリコートを、96ウェル蛍光プレートリーダーで2検体で読み取り、腸の各区分の蛍光シグナルの大きさを定量化した。これらの値を使用して、胃腸管に沿った蛍光シグナルの加重平均分布と定義される幾何学的中心(GC)、すなわち、GC=Σ(区分あたりの総シグナルの%×区分数)/100を計算した。より高い値は1ないし15の目盛りでより速い通過速度を表す。図4に示されるとおり、GLP−2ミメティボディ処置の1回の単回投与が上部胃腸通過の加速につながった。FITC−デキストランの分布パターンのミメティボディ誘発性の移動を上図に示す。胃での低下された標識、および小腸のより遠位の区分への大量の標識の全体的移動が存在する。統計学的比較のため下図でGCを計算する。正常マウスは30分の試験時間後にGC=6を表し、そしてこれはIgG4足場構造での処置により不変であった。GLP−2ミメティボディでの処置はGCを7.5に増大した。
【実施例12】
【0126】
GLP−2ミメティボディは術後炎症性腸閉塞に関連する損なわれたGI運動性を減弱する
マウスでのヒトIgG4の免疫原性により、マウスGLP−2ミメティボディ、すなわち、マウスIgG2a足場構造中のヒトA2G−GLP2ペプチド(配列番号80)を以下の実験で使用した。
【0127】
術後炎症性腸閉塞に関連した損なわれたGI運動性に対するGLP−2ミメティボディの効果を試験するため、マウスを3群に無作為化し(群あたり8動物)、そして2mg/kgのマウスA2G−GLP−2ミメティボディ、IgG2a若しくはPBSで処置した。1時間後にマウスを開腹および小腸の操作にかけた。簡潔には、雄性CD−1マウスを吸入イソフルランにより麻酔し、そして外科手術のため準備した。腹部を剃毛しそして無菌溶液で処置した。動物をその後外科用ドレープで覆った。正中腺開腹術を介して腹部を開放し、そして小腸全体を無菌ドレープ上に体外露出した。2個の湿らせた無菌の綿棒を使用して、小腸をその後、その長さに沿って、トライツ靱帯から回盲結合部まで穏やかに圧迫した。小腸をその後腹腔に戻し、そして切開を縫合閉鎖した。その後、マウスをそれらの住居ケージに戻した。8動物の第四の群がナイーブな対照としてはたらいた。
【0128】
全マウスが手術の48時間後にFITC−デキストランの経口試験食を受領した。胃腸通過を経口給餌45分後に測定した。図5に示されるとおり、ナイーブな対照は正常の45分の通過(GC=8.2)を表した。腹部外科手術は、PBS処置動物で胃腸通過の有意の遅延につながった。IgG2aでの処置は、通過の外科的に誘発した遅延に対する影響を有しなかった一方、マウスA2G−GLP−2ミメティボディでの処置は通過の有意の改善につながった。
【実施例13】
【0129】
GLP−2ミメティボディは術後炎症性腸閉塞に関連した細胞性炎症を低下させる
細胞性炎症に対するGLP−2ミメティボディの効果を試験するため、術後炎症性腸閉塞を実施例12に記述されたとおりマウスで誘発した。ミエロペルオキシダーゼ組織化学を、術後48時間のマウスの中央小腸から収集した組織で実施した。
【0130】
簡潔には、実施例12に記述される遠心管から中央小腸の区分を収集した。組織をSylgard(R)内張したペトリ皿に平らにピンで止めること、および組織をその長さを2倍およびその幅を1.5倍に伸展することにより、筋層のホールマウントを調製した。粘膜を微細切開により除去した。筋層のホールマウントをその後100%エタノールで1時間固定し、PBSで3回洗浄し、そして0.1%過酸化水素および1mg/ml Hanker−Yates試薬を含有するPBS中で20分間インキュベートした。PBSでの第二の洗浄後に、ホールマウントをスライドガラスに載せ、カバーガラスで覆い、そして光学顕微鏡で見た。ミエロペルオキシダーゼを含有する白血球を、6ないし8個の隣接する200倍光学視野中で計数し、そして平均細胞数を計算かつ記録した。
【0131】
Hanker−Yates試薬を使用してミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性について染色した腸筋層の代表的ホールマウントを図6に示す。黒点は小腸筋層に浸潤するMPO陽性白血球を表す。ナイーブなマウスから収集した組織中でMPO陽性細胞はほとんど見出されなかった。浸潤する白血球の数の顕著な増加が、小腸の外科的操作を受ける前にPBSで処置したマウスで見出された。IgG2aでの処置は浸潤細胞数に対する影響を有しなかった。対照的に、マウスA2G−GLP−2ミメティボディでの処置は浸潤細胞数を有意に低下させた。細胞数を統計学的比較のため図7にまとめる。
【0132】
本発明は今や完全に記述されたため、付随する請求の範囲の技術思想若しくは範囲から離れることなく多くの変更および改変をそれに対しなし得ることが、当業者に明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II):
(GLP2RAg−Lk−V2−Hg−C2−C3)(t)
(II)
[式中、GLP2RAgは哺乳動物GLP−2Rアゴニストであり、Lkはポリペプチド若しくは化学結合であり、V2は免疫グロブリン可変領域のC末端の一部分であり、Hgは免疫グロブリン可変ヒンジ領域の少なくとも一部分であり、C2は免疫グロブリンH鎖C2定常領域であり、およびC3は免疫グロブリンH鎖C3定常領域であり、ならびにtは独立に1から10までの整数である]
のミメティボディ。
【請求項2】
GLP2RAgが、配列番号2、3、50、51、52、53、54、55、56、57若しくは74のアミノ酸配列を有する、請求項1に記載のミメティボディ。
【請求項3】
Hg、C2およびC3がIgG1サブクラスのものである、請求項1に記載のミメティボディ。
【請求項4】
HgのCys220がAlaで置換されており、また、C2のLeu234およびLeu235がAla234およびAla235に突然変異されている、請求項3に記載のミメティボディ。
【請求項5】
HgがIgG4サブクラスのものであり、かつ、C2およびC3がIgG1サブクラスのものである、請求項1に記載のミメティボディ。
【請求項6】
Hg、C2およびC3がIgG4サブクラスのものである、請求項1に記載のミメティボディ。
【請求項7】
HgのSer228がProで置換されており、また、C2のPhe234およびLeu235がAla234およびAla235に突然変異されている、請求項6に記載のミメティボディ。
【請求項8】
ミメティボディがGLP−2受容体に結合する、請求項1に記載のミメティボディ。
【請求項9】
配列番号4、5、6、7、8、9、10、11、42、43、44、45、58、59、60、61、62、63、64、65、75若しくは77に示される配列を有するポリペプチドを含んでなるミメティボディ。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1つに記載のミメティボディをコードするポリヌクレオチド。
【請求項11】
配列番号12、13、14、15、16、17、18、46、47、48、49、66、67、68、69、70、71、72、73、76若しくは78に示される配列または相補配列を有するポリヌクレオチドを含んでなるポリヌクレオチド。
【請求項12】
配列番号4、5、6、7、8、9、10、11、42、43、44、45、58、59、60、61、62、63、64、65、75若しくは77に示されるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを含んでなるポリヌクレオチド。
【請求項13】
請求項11若しくは12に記載のポリヌクレオチドを含んでなるベクター。
【請求項14】
請求項1ないし9のいずれか1つに記載のポリペプチドを発現する細胞株。
【請求項15】
請求項13に記載のベクターを含んでなる細胞株。
【請求項16】
細胞株が、HEK293、NSO、SP2/0若しくはCHO細胞である、請求項15に記載の細胞株。
【請求項17】
請求項16に記載の細胞株を培養する段階、および発現されたポリペプチドを精製する段階を含んでなる、ポリペプチドの製造方法。
【請求項18】
請求項1ないし9のいずれか1つに記載の最低1種のポリペプチドの有効量、および製薬学的に許容できる担体若しくは希釈剤を含んでなる、製薬学的組成物。
【請求項19】
請求項18に記載の製薬学的組成物を哺乳動物に投与することを含んでなる、哺乳動物におけるGLP−2の生物学的活性の改変方法。
【請求項20】
請求項18に記載の製薬学的組成物をそれの必要な患者に投与することを含んでなる、最低1種のGLP−2関連の状態若しくは障害の症状の低減若しくはその処置方法。
【請求項21】
GLP−2関連の状態若しくは障害が、胃腸障害、骨関連障害若しくは栄養関連障害である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
胃腸障害が、短腸症候群、炎症性腸疾患、クローン病、結腸炎、膵炎、回腸炎、粘膜炎若しくは腸萎縮である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
胃腸障害が小児の胃腸障害である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
骨関連障害が骨粗鬆症である、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
栄養関連障害が肥満である、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
請求項18に記載の製薬学的組成物をそれの必要な患者に投与することを含んでなる、炎症性腸閉塞の予防、その症状の低減若しくはその処置方法。
【請求項27】
配列番号52、54、55若しくは74に示される配列を有するポリペプチドを含んでなるポリペプチド。
【請求項28】
請求項27に記載のポリペプチドの有効量、および製薬学的に許容できる担体若しくは希釈剤を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項29】
請求項28に記載の製薬学的組成物を哺乳動物に投与することを含んでなる、哺乳動物におけるGLP−2の生物学的活性の改変方法。
【請求項30】
請求項28に記載の製薬学的組成物をそれの必要な患者に投与することを含んでなる、最低1種のGLP−2関連の状態若しくは障害の症状の低減若しくはその処置方法。
【請求項31】
請求項28に記載の製薬学的組成物をそれの必要な患者に投与することを含んでなる、炎症性腸閉塞の予防、その症状の低減若しくはその処置方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図1】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−502195(P2010−502195A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526928(P2009−526928)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【国際出願番号】PCT/US2007/077364
【国際公開番号】WO2008/028117
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(503054122)セントカー・インコーポレーテツド (74)
【Fターム(参考)】