説明

GPR146レセプター

本出願人は、配列番号3または配列番号5に示すアミノ酸配列、および配列番号3または配列番号5に示すアミノ酸配列のホモログ、バリアント、または誘導体を含む、GPR146 Gタンパク質共役型レセプター(GPCR)を開示する。GPR146 GPCRポリペプチドをコード化することが可能である核酸、特に、配列番号1A、配列番号1B、配列番号2、または配列番号4に示す核酸配列を含む核酸もまた開示する。GPR146レセプターは、異脂肪血症の診断および治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はGタンパク質共役型レセプター(GPCR)ポリペプチドと核酸に関するものであり、ここでこの後、GPCRファミリーの一種を「GPR146 GPCR」と呼ぶ。本発明はまた、そのような核酸やポリペプチドの活性を阻害または活性化すること、特に脂質代謝異常の治療法の候補を提供することに関わるものである。
【背景技術】
【0002】
Gタンパク質および/または二次メッセンジャー、例えばcAMP(Lefkowitz (1991年), Nature, 第351巻:353-354ページ)を含むシグナル伝達経路に関与するタンパク質は、多くの医学的に重要な生体プロセスを媒介している。このようなタンパク質を、「Gタンパク質経路に関与するタンパク質」または「PPGタンパク質」と呼ぶ。PPGタンパク質の例として、アドレナリン作用因子とドーパミンに対するGPCR(Kobilka, B. K.ら(1987年), Proc. Natl Acad. Sci., USA, 第84巻:46-50ページ、Kobilka B. K.ら(1987年), Science, 第238巻:650-656ページ、Bunzow,J.R.ら(19881年), Nature, 第336巻:783-787ページ)のようなGPCR、Gタンパク質それ自体、例えばホスホリパーゼC、アデニルシクラーゼ、ホスホジエステラーゼなどのエフェクタータンパク質、および、例えばタンパク質キナーゼAやタンパク質キナーゼC(Simon,M.I.ら(1991年), Science, 第252巻:802-8ページ)のようなアクチュエータータンパク質が含まれる。
【0003】
シグナル伝達の一形態では、ホルモンの結合が細胞内のアデニル酸シクラーゼを活性化する。あるGタンパク質は、ホルモンレセプターとアデニル酸シクラーゼを結合させる。ホルモンレセプターにより活性化されたときに、Gタンパク質は結合したGDPをGTPに交換する。GTP結合型タンパク質は、その後アデニル酸シクラーゼに結合してそれを活性化する。Gタンパク質自体により触媒されるGTPからGDPへの加水分解により、そのGタンパク質は基底状態である不活性型に戻る。それゆえGタンパク質はレセプターからエフェクターへのシグナルを伝送する中間体として、およびシグナルの持続時間を制御する時計として、二面的な役割を有している。
【0004】
GPCR膜タンパク質遺伝子スーパーファミリーは、推定7回膜貫通ドメインによって特徴付けられ、このドメインは細胞外または細胞質のループによって結合される膜貫通αヘリックスを表していると考えられている。(7TMレセプターとしても知られている)GPCRは、ホルモン、ウィルス、成長因子、および神経レセプターなど、広範囲の生物学的活性レセプターを含む。20から30アミノ酸残基の7個の保存疎水性伸長領域は、少なくとも8個の多岐親水性ループに結合している。7回膜貫通領域は、それぞれTM1からTM7と表示される。TM3が、シグナル伝達に関与している。GPCRファミリーは、ドーパミンレセプターを含み、ドーパミンレセプターは精神病性および神経性障害を治療するために使用される神経遮断薬に結合する。このファミリーの他の構成員は、カルシトニン、アドレナリン、エンドセリン、cAMP、アデノシン、ムスカリン、アセチルコリン、セロトニン、ヒスタミン、トロンビン、キニン、濾胞刺激ホルモン、オプシン、内皮分化遺伝子1、ロドプシン、嗅覚、およびサイトメガロウィルスレセプターを含むが、それに限定されない。
【0005】
ほとんどのGPCRには、最初の2個の細胞外ループそれぞれに1個の保存システイン残基を有し、そのシステイン残基がジスルフィド結合を形成してタンパク質の構造を安定化していると考えられている。システイン残基のリン酸化および脂質修飾(パルミトイル化またはファルネシル化)は、複数のGPCRシグナル伝達に影響を及ぼす可能性がある。ほとんどのGPCRは、第三の細胞質内ループおよび/またはカルボキシル末端で、潜在的リン酸化部位を含む。β-アドレナリンレセプターのようないくつかのGPCRでは、タンパク質キナーゼAおよび/または特異的なレセプターキナーゼによるリン酸化が、レセプターの脱感作に介在している。いくつかのレセプターでは、GPCRのリガンド結合部位は、いくつかのGPCR膜貫通ドメインが形成する疎水的ソケットを含み、そのソケットはGPCRの疎水性残基に囲まれている。各Gタンパク質共役型レセプター膜貫通ヘリックスの疎水面は、内側に面しており、極性リガンド結合部位を形成すると考えられている。TM3は、複数のGタンパク質共役型レセプターでは、TM3アスパラギン酸残基のようなリガンド結合部位を有すると考えられている。TM5セリン、TM6アスパラギン酸、およびTM6またはTM7フェニルアラニンまたはチロシンもまた、リガンド結合に関わると考えられる。
【0006】
GPCRは、三量体Gタンパク質によって、さまざまな酵素、イオンチャンネル、およびトランスポーターに、細胞内で結合させることができる(Johnsonら(1989), Endoc. Rev., 第10巻:317-331ページ参照)。異なるGタンパク質のαサブユニットは、特定のエフェクターを選択的に刺激し、細胞内のさまざまな生物学的機能を制御する。GPCR細胞内残基のリン酸化は、あるGPCRではGタンパク質との結合を制御する上で重要なメカニズムである。GPCRは、哺乳類宿主内の非常に多くの部位でみられる。350種類近くのGPCR標的治療薬を市場に投入されることに成功されてきた。
【0007】
GPCRには、薬剤標的としてすでに確立し証明された歴史がある。異常、機能不全、および疾患を、予防、改善、または治療する上で役割を果たす可能性があるレセプターを、さらに同定し、特徴付ける必要があるのは明らかである。
【0008】
異脂肪血症は、脂質代謝、特にリポタンパク質の過剰または欠乏を含むリポタンパク質代謝の異常に関わる疾患で、血中脂肪値を変化させる結果となる。特に西洋社会で、血中で一般的に上昇する脂肪として、コレステロールあるいはコレステロールエステルがよく知られている。
【0009】
冠動脈心疾患は、米国およびほとんどの先進国において、主要な死因である。アテローム性動脈硬化は、動脈に沿った内皮とその下の内膜に損傷を与える根底にある疾患である。冠動脈心疾患のほかに、アテローム性動脈硬化は類似した血管の変化を他の動脈に引き起こし、脳卒中、一過性可逆虚血性神経欠損、動脈瘤、および閉塞性血管内膜炎(間欠性跛行)のような種々の疾患をもたらす。
【0010】
アテローム性動脈硬化の進行をもたらす分子的および細胞的事象が、数十年の精力的な科学的研究により解明されてきた。低濃度リポタンパク質(LDL)、および血流に循環するリポタンパク質を含む他のapoBは、内膜の内皮下結合組織に沈着し、そこでグリコシル化または酸化のような複数の修飾を行う。これらの修飾リポタンパク質はマクロファージに取り込まれ、その結果これらの細胞内にコレステロールとコレステロールエステルが蓄積する。これは泡沫細胞への形態的変化をもたらし、泡沫細胞は平滑筋細胞および線維芽細胞の増殖と、部分的炎症反応を促進するサイトカインの放出を誘起する。アテローム性プラークの中心は、泡沫細胞と増殖した線維芽細胞に囲まれた壊死物質、平滑筋細胞、改変された細胞外マトリックス、および免疫細胞を含む。このプラークは、やはり機能状態が改変された内皮に覆われている。このプラークは血流を低下させ、最終的に動脈の狭小化(狭窄症)をもたらすかもしれない。このプラークとそれを覆う内皮は、ある段階で破裂し、動脈の完全閉鎖にいたる血栓事象をもたらす。あるいは、プラークは血管壁の抵抗減弱部であり、これはその血管壁の破裂とそれに続く大量出血にいたることがあるかもしれない。
【0011】
複数の危険因子間における複雑な相互作用が、アテローム性動脈硬化の進行に寄与している。ある個別因子は喫煙であり、別の因子は「メタボリックシンドローム」(「シンドロームX」と同義)の語で要約される。メタボリックシンドロームは一連の代謝異常であり、腹部肥満、耐糖能障害、高血圧、血栓前状態、および異脂肪血症、特に高コレステロール血症を含む。ある定義はまた、血清中のTNF-αまたはIL6のような炎症促進性サイトカインの存在により通常表される炎症促進性状態も含む。メタボリックシンドロームの正確な定義はいくつか異なるが、通常は言及した特徴のうち少なくとも3つが存在すればメタボリックシンドロームであると診断される。大部分のメタボリックシンドローム患者は本格的なアテローム性動脈硬化および/または2型糖尿病に進行する。(Daskalopoulouら(2006年), 「Definitions of metabolic syndrome: Where are we now?」 Curr Vasc Pharmacol 第4巻:185-197ページ)
【0012】
異脂肪血症、特に高コレステロール血症と、アテローム性動脈硬化の相関関係は、十分に立証されており、危険にある人物を診断し、啓蒙し、かつ治療する多大な努力を引き起こした。このキャンペーンは、公的健康啓蒙の努力および医薬的な介入治療の組み合わせにより、メタボリックシンドロームと喫煙が個人の危険因子であることを喧伝することにある程度成功した(Carrollら(2005年), 「Trends in serum lipids and lipoproteins of adults, 1960-2002.」, Jama 第294巻:1773-1781ページ、Greggら(2005年), 「Secular trends in cardiovascular disease risk factors according to body mass index in US adults.」, Jama第293巻:1868-1874ページ)。しかし、心血管系疾患は先進国でいまだに主要な死因であり、危険因子が患者の大多数に存在する(Fordら(2002年), 「Prevalence of the metabolic syndrome among US adults: findings from the third National Health and Nutrition Examination Survey.」, Jama 第287巻:356-359ページ、Khotら(2003年), 「Prevalence of conventional risk factors in patients with coronary heart disease.」, Jama 第290巻:898-904ページ)。近年の臨床研究は、臨床上の結果により測定されたように、LDLコレステロールを現在提案されているよりもさらに減少させることが有用であることを示した。この積極的な治療は、より有意に多量な利用可能薬、主にスタチン、エゼチミブ、フィブラート、およびニコチン酸を必要とするため、副作用がより顕著に現れると予想される。少なくともある程度可能な解決法の一つは利用可能薬を組み合わせることであるが、コレステロールを軽減する新たな戦略が明らかに必要である(BeavenおよびTontonoz, (2006年), 「Nuclear receptors in lipid metabolism: targeting the heart of dyslipidemia.」, Annu Rev Med 第57巻:313-329ページ)。
【0013】
アテローム性動脈硬化と冠動脈心疾患(CHD)のような異脂肪血症の新規で効果的な治療および診断アッセイに、大いに必要であることは明らかである。
【特許文献1】米国特許第5492840号
【特許文献2】米国特許第5482835号
【特許文献3】国際公開第84/03564号
【特許文献4】米国特許第5545807号
【特許文献5】米国特許第6075181号
【特許文献6】米国特許第4946779号
【特許文献7】欧州特許出願公開0239400号
【非特許文献1】Lefkowitz (1991年), Nature 第351巻: 353-354ページ
【非特許文献2】Kobilka,B.K.ら(1987年), Proc. Natl Acad. Sci. USA 第84巻: 46-50ページ
【非特許文献3】Kobilka B.K.ら(1987年), Science 第238巻:650-656ページ
【非特許文献4】Bunzow,J.R.ら(1988年), Nature 第336巻:783-787ページ
【非特許文献5】Simon,M.I.ら(1991年), Science 第252巻:802-8ページ
【非特許文献6】Johnsonら(1989年), Endoc. Rev. 第10巻:317-331ページ
【非特許文献7】Daskalopoulouら(2006年), 「Definitions of metabolic syndrome: Where are we now?」 Curr Vasc Pharmacol, 第4巻:185-197ページ
【非特許文献8】Carrollら(2005年), 「Trends in serum lipids and lipoproteins of adults, 1960-2002.」, Jama 第294巻:1773-1781ページ
【非特許文献9】Greggら(2005年), 「Secular trends in cardiovascular disease risk factors according to body mass index in US adults.」, Jama 第293巻:1868-1874ページ
【非特許文献10】Fordら(2002年), 「Prevalence of the metabolic syndrome among US adults: findings from the third National Health and Nutrition Examination Survey.」, Jama 第287巻:356-359ページ
【非特許文献11】Khotら(2003年), 「Prevalence of conventional risk factors in patients with coronary heart disease.」, Jama 第290巻:898-904ページ
【非特許文献12】BeavenおよびTontonoz, (2006年), 「Nuclear receptors in lipid metabolism: targeting the heart of dyslipidemia.」, Annu Rev Med 第57巻:313-329ページ
【非特許文献13】J.Sambrook, E.F.FritschおよびT.Maniatis(1989年), 「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」第2版, 第1巻-第3巻, Cold Spring Harbor Laboratory Press
【非特許文献14】Ausubel,F.M.ら(1995年),および定期的増補; 「Current Protocols in Molecular Biology」第9章, 第13章, および第16章, John Wiley & Sons, New York, N.Y.
【非特許文献15】A.Kahn,(1996年), 「DNA Isolation and Sequencing: Essential Techniques」, John Wiley & Sons
【非特許文献16】J.M.PolakおよびJames O’D.McGee, (1990年), 「In Situ Hybridization: Principles and Practice」, Oxford University Press
【非特許文献17】M.J.Gait編(1984年), 「Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach」, Irl Press
【非特許文献18】D.M.J.LilleyおよびJ.E.Dahlberg(1992年), 「Methods of Enzymology: DNA Structure Part A: Synthesis and Physical Analysis of DNA Methods in Enzymology」
【非特許文献19】T.E.Creighton, W.H.Freemanら(1993年), 「Proteins - Structure and Molecular Properties」 第2版, New York
【非特許文献20】Wold,F., 「Posttranslational Protein Modifications: Perspectives and Prospects」, 1-12ページ (B.C.Johnson編(1983年), 「Posttranslational Covalent Modification of Proteins」, Academic Press, New York)
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【非特許文献23】Devereuxら(1984年), Nucleic Acids Research 第12巻:387ページ
【非特許文献24】Altschulら(1990年), J Molec Biol 第215巻:403-410ページ
【非特許文献25】Wagnerら(2000年), Cell Physiol Biochem., 第10巻(第1-2号):1-12ページ
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【非特許文献29】Merrifield J.(1963年), J. Am. Chem. Soc. 第85巻:2149-2154ページ
【非特許文献30】Aizawa (1988年), Anal. Chem. Symp. 第17巻: 683ページ
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【非特許文献35】Coliganら(1991年), Current Protocols in Immunology 第1巻(第2号):第5章
【非特許文献36】BlundellおよびJohnson (1976年), 「Protein Crystallography」, Academic Press, New York
【非特許文献37】Parceら(1989年), Science 第246号:243-247ページ
【非特許文献38】Owickiら(1990年) Proc. Nat. Acad. Sci. USA 第87巻:4007-4011ページ
【非特許文献39】Evansら(1981年), Nature 第292巻:154-156ページ
【非特許文献40】Bradleyら(1984年), Nature第309巻:255-258ページ
【非特許文献41】Gosslerら(1986年), PNAS第83巻: 9065-9069ページ
【非特許文献42】Robertsonら(1986年), Nature第322巻:445-448ページ
【非特許文献43】Jaenisch,R.(1988年), Science第240巻:1468-1474ページ
【非特許文献44】Morrisonら(1984年), Proc Natl Acad Sci 第81巻:6851-6855ページ
【非特許文献45】Neubergerら(1984年), Nature第312巻:604-608ページ
【非特許文献46】Takedaら(1985年), Nature 第314巻:452-454ページ
【非特許文献47】O’Connorら(1991年), J Neurochem 第56巻:560ページ
【非特許文献48】Leeら(1979年), Nucleic Acids Res 第6巻:3073ページ
【非特許文献49】Cooneyら(1988年), Science 第241巻:456ページ
【非特許文献50】Dervanら(1991年), Science 第251巻: 360ページ
【非特許文献51】T StrachanおよびP Read(1996年), 「Gene Therapy and other Molecular Genetic-based Therapeutic Approaches(Human Molecular Genetics)」, BIOS Scientific Publishers Ltd第20章
【非特許文献52】A.R.Gennaro編(1985年), 「Remington’s Pharmaceutical Sciences」, Mack Publishing Co.
【非特許文献53】Rautela,GSおよびLiedtke,RJ(1978年), 「Automated enzymic measurement of total cholesterol in serum.」,Clin Chem 第24巻
【非特許文献54】Stadtman TC(1957年), 「Methods In Enzymology」 第3巻:392-394ページ, 678-681ページ
【非特許文献55】Russら(2000年), Nature 第404巻:95-99ページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、GPR146が異脂肪血症に関わり、それゆえ治療および診断標的として有用であるという驚くべき認識に基いている。驚くべきことに発明者は、機能するGPR146遺伝子欠損動物が野生型の動物に比較して、血清コレステロール値の顕著な減少を示すことを発見した。それゆえに、このGPR146レセプターは脂質代謝に関わり、異脂肪血症に対する治療および診断の標的となる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第一の特徴点により、異脂肪血症の治療に適した試薬を同定する方法は、候補試薬がGPR146の活性に影響を及ぼすか否かを決定する工程を含む。
【0016】
本発明の第二の特徴点により、非ヒト遺伝子組換え動物は機能的に破壊された内因性GPR146遺伝子を有する。
【0017】
本発明の第三の特徴点により、機能的に破壊された内因性GPR146遺伝子を有する非ヒト遺伝子組換え動物が異脂肪血症治療のためのGPR146アゴニストまたはアンタゴニストを同定するために使用された。
【0018】
本発明の第四の特徴点により、機能的に破壊された内因性GPR146遺伝子を有する非ヒト遺伝子組換え動物が異脂肪血症のモデルとして使用された。
【0019】
本発明の第五の特徴点により、個体中の異脂肪血症の存在または感受性を決定する方法は、下記の工程を含む。すなわち、(i)患者から単離された試料におけるGPR146遺伝子発現値を決定する、および(ii)対照と比較して、GPR146遺伝子発現値を決定した個体が異脂肪血症を有する、または感受性であるか否かを決定する。
【0020】
本発明の第六の特徴点により、GPR146ポリペプチドの活性に影響を及ぼす試薬が、異脂肪血症の予防または治療のための医薬の製造に使用される。
【0021】
本発明の第七の特徴点により、外因性GPR146ポリヌクレオチドが、異脂肪血症の予防または治療のための医薬の製造に使用される。
【0022】
本発明の第八の特徴点により、GPR146ポリヌクレオチドの発現を増加あるいは減少させる試薬が、異脂肪血症の予防または治療のための医薬の製造に使用される。
【0023】
<配列表>
配列番号1と配列番号2はヒトGPR146の2個のcDNA配列を表す。配列番号3は、配列番号1と配列番号2の両方に由来する翻訳領域を表す。配列番号4は、ヒトGPR146のアミノ酸配列を表す。配列番号5は、マウスGPR146のcDNAの翻訳領域を表す。配列番号6は、マウスGPR146のアミノ酸配列を表す。配列番号7(および図3)は5’arm (5’prF) から3’arm (3’prR)までのゲノム配列を表す。配列番号8から20は、標的部位を含むターゲッティングベクターと試薬の構築と解析で使用したマウスGPR146プライマーの配列を示す。
【0024】
<GPR146 GPCR>
本発明は、GPR146 GPCR、およびGPR146 GPCRのホモログ、バリアント、および誘導体として言及されるロドプシン型7回膜貫通レセプターである新規GPCRに関わる。
【0025】
ヒトGPR146をコード化する増幅されたcDNA産物の配列を解読した結果により示されるように、GPR146は他のGタンパク質共役型レセプターファミリータンパク質に構造的に関連している。配列番号1と配列番号2のcDNA配列は、配列番号4に示されるポリペプチドをコード化する翻訳領域(配列番号3)を含む。ヒトGPR146は、染色体地図上7p22.3に見つけられる。
【0026】
<GPR146に対する同一性および類似性>
TM7予想解析とともに、pfam(http://www.sanger.ac.uk/Software/Pfam/search.shtml)のHMM構造予測ソフトウェアを使用したGPR146ポリペプチド(配列番号4)の解析により、GPR146ペプチドが7TM-1構造クラスのGPCRであることを確認した。
【0027】
ヒトGPR146 GPCRのマウスホモログがクローニングされており、マウスホモログの核酸配列とアミノ酸配列をそれぞれ配列番号5と配列番号6に示す。配列番号5のマウスGPR146 GPCRのcDNAはヒトGPR146 GPCR配列(配列番号3)に高度の同一性を示し、マウスGPR146 GPCRのアミノ酸配列(配列番号6)は、ヒトGPR146 GPCR(配列番号4)に高度の同一性および類似性を示す。
【0028】
それゆえヒトおよびマウスGPR146 GPCRはGPCR一大ファミリーのメンバーである。
【0029】
<GPR146 GPCR関連疾患>
ここに記述される方法と組成物によれば、ある範囲の異脂肪血症の治療と診断にGPR146 GPCRが有用である。ここでは「異脂肪血症」は通常の意味で、当業者に周知であり、脂質代謝、特にリポタンパク質の過剰または欠乏を含むリポタンパク質代謝の異常に関わる疾患で、血中脂肪値が変化する結果となるものを指す。異脂肪血症で増加または減少する可能性があるリポタンパク質は、カイロミクロン、低密度リポタンパク質(LDL)、中間密度リポタンパク質(IDL)、高密度リポタンパク質(HDL)、および超低密度リポタンパク質(VLDL)である。当業者ならば、脂肪が血中にリポタンパク質として輸送されることを理解するであろう。
【0030】
好ましい実施態様では、異脂肪血症は非疾患対照値に比較して血中、より好ましくは血清中の脂肪またはリポタンパク質の増加した値を含む。別の実施態様では、異脂肪血症は非疾患対照値に比較して血中、より好ましくは血清中の脂肪またはリポタンパク質の減少した値を含む。
【0031】
好ましい実施態様では、血中値が変化した脂肪はステロール脂質、より好ましくはコレステロールまたはコレステロールエステルである。この実施態様では、「健常な」(非異脂肪血症)対照値に比較して、低密度リポタンパク質の比率が増加し、高密度リポタンパク質の比率が減少していると予想される。それゆえ、好ましい異脂肪血症は高コレステロール血症である。
【0032】
理論上結びつけられると予想していなかったが、GPR146欠損マウスで観察されたコレステロール値の減少は、内在性合成の減少、あるいは胆汁排出の増加よるかもしれない。両方のメカニズムは高コレステロール血症治療に有用であり、それはスタチン(内在性合成の減少)またはコレステロールおよびコレステロールの代謝産物である胆汁酸の排出を増加させるレジンの有効性により示される。本出願人はマウスをモデル生物として使用し、GPR146の減少または欠損させた機能が高コレステロール血症を引き起こすことを示した。これは、GPR146の生理的機能がコレステロール代謝制御であることを表している。類推によると、高コレステロール血症患者においてGPR146機能を阻害するアンタゴニストが、病的に上昇したコレステロール値を減少させ、そのためアテローム性動脈硬化と、冠動脈心疾患、狭心症、脳卒中、一過性脳虚血発作(TIA)、末梢動脈疾患、狭窄症、あるいは頚動脈または大腿動脈、または大動脈の動脈瘤のような別器官のアテローム性動脈硬化症状の更なる進行を軽減するのかもしれない。
【0033】
これらの異脂肪血症とアテローム性動脈硬化に対する有用な効果に加えて、血清コレステロール減少は通常細胞膜成分の変化に関与している。いくつかのホルモンレセプターあるいは部分的シグナル要素は、脂質ラフトとして知られる特定のコレステロールに富む細胞膜領域に埋め込まれていることが示されてきた。ラフト成分はシグナル伝達効率に非常に重要である。そのメカニズムは、骨格筋、脂肪細胞および肝臓でインスリンレセプターを制御していることが示されてきており、血清コレステロール値減少がインスリン抵抗性(すなわち、細胞のインスリン感受性の増加)を改善することが予想される。この効果は、メタボリックシンドロームの危険因子のうち2つを改善することにより、血清コレステロール値を下げることと相乗的に働くと予想される。さらに、コレステロール合成の減少、あるいは胃腸管からの吸収は、コレステロールの排出を減少させる。コレステロール排出の主な経路は、コレステロールまたはコレステロールの代謝物である胆汁、および胆汁酸経由である。胆汁酸およびコレステロール分泌の減少は、胆汁液の結石形成を減少させ、それゆえ胆嚢結石を軽減する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明の好ましい実施態様では、ここに記述された方法のいずれかによって、GPR146 GPCRを異脂肪血症診断または治療に使用してよい。より好ましくは、アテローム性疾患、アテローム性動脈硬化、冠動脈心疾患、高コレステロール血症を含む異脂肪血症/異リポタンパク血症、胆嚢疾患、耐糖能障害、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、再狭窄、脳卒中、2型糖尿病関連大血管性または微小血管性疾患、狭心症、一過性脳虚血発作(TIA)、末梢動脈疾患(PAD)、狭窄症、あるいは頚動脈または大腿動脈、または大動脈の動脈瘤を診断、予防、または治療するためにGPR146 GPCRを使用する。
【0035】
Joseph GPCRの染色体部位(すなわち染色体7p22.3)と同じ部位、染色体バンド、領域、腕、または染色体に連鎖していると決定された既知の疾患は、2型家族性高アルドステロン症を含む。
【0036】
上記のように、ここで記述された方法および組成物のいずれかを使用するこれらの特定の疾患のうち、いずれを診断、予防、または治療するためにGPR146 GPCRを使用してよい。
【0037】
<使用される方法>
本発明を実行する際に、別途記述がない限り、当業者が可能な範囲の、化学、分子生物学、微生物学、組換えDNAおよび免疫学の通常の技術が使用されるであろう。そのような技術は、文献に説明されている。例えば、J.Sambrook, E.F.FritschおよびT.Maniatis(1989年), 「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」, 第2版, Books 第1巻-第3巻, Cold Spring Harbor Laboratory Press、Ausubel,F.M.ら. (1995年),および定期的増補; Current Protocols in Molecular Biology, 第9章, 第13章, および第16章, John Wiley & Sons, New York, N.Y.)、B.Roe, J.CrabtreeおよびA.Kahn, (1996年), 「DNA Isolation and Sequencing: Essential Techniques」, John Wiley & Sons、J.M.PolakおよびJames O’D.McGee, (1990年), 「In Situ Hybridization: Principles and Practice」, Oxford University Press、M.J.Gait 編 (1984年), 「Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach」, Irl Press、ならびに、D.M.J.LilleyおよびJ.E.Dahlberg(1992年), 「Methods of Enzymology: DNA Structure Part A: Synthesis and Physical Analysis of DNA Methods in Enzymology」, Academic Press.を参照のこと。これらの一般的な文書はそれぞれ、ここで参照として引用されている。
【0038】
<GPR146 GPCRポリペプチド>
ここで、「GPR146 GPCRポリペプチド」とは、配列番号6、より好ましくは配列番号4に表すアミノ酸配列を含むポリペプチド、あるいは、そのポリペプチドのホモログ、バリアント、または誘導体を指す。「ポリペプチド」は、ペプチド結合または修飾ペプチド結合、すなわちペプチドイソスターによってお互いに結合した2またはそれ以上のアミノ酸を含む、ペプチドまたはタンパク質のいずれかを指す。「ポリペプチド」は、ペプチド、オリゴペプチド、またはオリゴマーと通常呼ばれる短い鎖と、タンパク質と一般に呼ばれるより長い鎖の両方を指す。ポリペプチドは、遺伝子にコード化される20種類のアミノ酸以外のアミノ酸を含んでよい。
【0039】
「ポリペプチド」は、翻訳後プロセシングのような天然のプロセス、または当業者に既知の化学修飾技術のいずれかにより修飾されるアミノ酸配列を含む。ペプチドバックボーン、アミノ酸側鎖、およびアミノまたはカルボキシル末端を含むポリペプチドのいずれの部位でも修飾を受ける可能性がある。同型の修飾が、所与のポリペプチドのいくつかの部位で、同じまたは種々の程度存在することがあることが理解されるであろう。所与のポリペプチドは多くの種類の修飾を含んでいてよい。
【0040】
ポリペプチドは、ユビキチン化の結果分岐していてもよく、分岐したまたは分岐していない環状になっていてもよい。環状、分岐、および環状分岐ポリペプチドは、翻訳後の天然プロセスの結果であってよく、あるいは合成法によって作られていてもよい。多くのタンパク質修飾が知られており、例えばT.E.Creighton, W.H.Freemanら(1993年), 「Proteins - Structure and Molecular Properties」第2版, New York、Wold,F., 「Posttranslational Protein Modifications: Perspectives and Prospects」, 1-12ページ (B.C.Johnson編(1983年), 「Posttranslational Covalent Modification of Proteins」, Academic Press, New York)、Seifterら(1990年) 「Analysis for protein modifications and nonprotein cofactors」, Meth Enzymol 第182巻:626-646ページ、およびRattanら(1992年), 「Protein Synthesis: Posttranslational Modifications and Aging」, Ann NY Acad Sci 第663巻:48-62ページを参照のこと。
【0041】
ここで使用される「バリアント」、「ホモログ」、「誘導体」または「フラグメント」の語は、ある配列からまたは配列への、1個(またはそれ以上)のアミノ酸のいかなる置換、変異、修飾、代替、削除、または付加を含む。バリアントは、サイレント変化および機能的に同等なポリペプチドを生成する、欠失、挿入、または置換による変異を有していてよい。大きさ、電荷、疎水性のような、類似した生理化学的な性質に基いて、アミノ酸を意図的に置換してもよい。
【0042】
例えば下記の表に従って、保存的置換を行ってもよい。第2列の同じブロック、好ましくは第3列の同じ行にあるアミノ酸が、相互に置換されてもよい。
【0043】
【表1】

【0044】
文脈上別途認めていない限り、「GPR146」および「GPR146 GPCR」は、前述のようなGPR146のバリアント、ホモログ、誘導体、およびフラグメントに言及することを含む。
【0045】
好ましくは、GPR146に適用したように、アミノ酸配列はGPCR活性を有し、より好ましくは、配列番号4または配列番号6で示されたGPR146 GPCRと少なくとも同じ活性を有する。特に、「ホモログ」の語は、結果としてそのアミノ酸配列がGPCR活性を有する条件で、構造および/または機能の点で同一であるものを包含する。配列の同一性(すなわち類似性)の点で、好ましくは少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%配列が同一であり、あるいは最も好ましくは少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも98%、配列が同一である。これらの語はまた、GPR146 GPCR核酸配列のアリルバリアントであるアミノ酸に由来するポリペプチドを包含する。
【0046】
GPR146 GPCRのようなレセプターの「レセプター活性」あるいは「生物学的活性」に言及した場合、これらの語はGPR146レセプターの代謝または生理機能に言及することが意図されており、類似活性または改善された活性、または望ましくない副作用を軽減した類似活性または改善された活性を含む。GRP146の抗原性および免疫原性活性もまた含まれる。GPCR活性の例、およびこれらの活性をアッセイし定量する方法は当業者に既知であり、ここで別途詳細に記述する。
【0047】
本発明のGPR146ポリペプチドは、典型的にはN末端またはC末端、好ましくはN末端に、異種アミノ酸配列をさらに含んでいてよい。異種配列は、細胞内または細胞外タンパク質標的に影響する(リーダー配列のような)配列を含んでいてよい。異種配列はまた、本発明のポリペプチドの免疫原性を増加する、および/または、ポリペプチドの同定、抽出、および/または精製を容易にする配列を含んでいてよい。特に好ましい別の異種配列は、N末端にあることが好ましいポリヒスチジンのようなポリアミノ酸配列である。少なくとも10アミノ酸、好ましくは少なくとも17アミノ酸だが50アミノ酸より少ないポリヒスチジン配列が、特に好ましい。
【0048】
GPR146 GPCRポリペプチドは、「成熟した」タンパク質の形態であってよく、あるいは融合タンパク質のようにより大きなタンパク質の一部であってもよい。分泌またはリーダー配列、プロ配列、多ヒスチジン残基のような精製に役立つ配列、あるいは組換え生成時の安定化のための付加配列を含めた、付加アミノ酸配列を含むことがしばしば有利になる。
【0049】
本発明のGPR146ポリペプチドは、好ましくは既知の技術を使用して組換え法により作製される。しかし、固相合成のような当業者に既知の技術を使用する合成法によって作製されてもよい。本発明のポリペプチドは、例えば抽出および精製を容易にするために、融合タンパク質として生成されてももよい。融合タンパク質パートナーの例は、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、6xHis、GAL4(DNA結合、および/または転写活性化ドメイン)、およびβ-ガラクトシダーゼを含む。融合タンパク配列を除くことが可能となるように、トロンビン切断部位のようなプロテアーゼ切断部位を融合タンパク質パートナーと対象タンパク質配列の間に含むこともまた有用であろう。好ましくは、融合タンパク質は対象配列のタンパク質機能を阻害しないであろう。
【0050】
本発明のGPR146ポリペプチドは、実質的に単離された形態であってよい。この語は、天然状態からの人為的改変を指すことが意図されている。「単離された」組成物または物質が天然に発生するならば、組成物または物質の本来の環境から変化したか、または取り除かれた、あるいはその両方である。例えば、生きている動物に天然に存在するポリヌクレオチド、核酸、またはポリペプチドは、「単離されて」はいないが、ポリヌクレオチド、核酸、またはポリペプチドの天然状態の共存物質から分離された、同一のポリヌクレオチド、核酸、またはポリペプチドは、ここで「単離されて」の語が使用されるように、「単離されて」いる。
【0051】
しかし、GPR146 GPCRタンパク質は、意図されたタンパク質の性質を阻害せず、なお実質的に単離されているとみなされることができる担体または希釈剤と混合されてもよいことが理解されるであろう。本発明のポリペプチドはまた実質的に精製された形態であってもよく、その場合その形態は、標本中のタンパク質の90%より多い、例えば95%、98%、または99%が本発明のGPR146ポリペプチドである標本中のタンパク質を一般に含むであろう。
【0052】
本発明はまた、本発明によるGPR146ポリペプチドの部位を含むペプチドに関与する。それゆえ、GPR146 GPCRとGPR146 GPCRのホモログ、バリアントまたは誘導体のフラグメントが含まれる。本発明のペプチドは2アミノ酸残基長から200アミノ酸残基長の間であってよく、好ましくは4アミノ酸残基長から40アミノ酸残基長の間である。ペプチドは、例えばトリプシンのような適切な酵素で消化したように、ここに記述されるようGPR146 GPCRポリペプチドに由来してよい。あるいは、ペプチド、フラグメントなどは、組換え法により作製されても、または合成的に合成してもよい。
【0053】
「ペプチド」の語は、レトロインバーソDペプチドのような当業者に既知のさまざまな合成ペプチドバリアントを含む。ペプチドは、抗原決定基および/またはT細胞エピトープであってよい。ペプチドはインビボで免疫原性であってよい。好ましくはペプチドは、インビボで抗体中和を促進ことができる。
【0054】
本発明によるGPR146ポリペプチドは、種間で保存された配列を含んでいてよい。保存領域は少なくとも2種間における高程度の相同性を示す。例えば保存領域は、上述の試験を使用して、アミノ酸レベルで少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも90%、さらにいっそう好ましくは少なくとも95%、同一性を示してもよい。保存領域に相当する配列を含むペプチドは、以下でさらに詳細に説明されるように、治療計画に使用されてよい。あるいは、GPR146 GPCRペプチドは、非保存領域の少なくとも一部に相当する配列を含んでよい。異種領域は、少なくとも2種間における低程度の相同性を示す。
【0055】
<GPR146 GPCRポリペプチドおよび核酸>
本発明は、ここに別途さらに詳細に記述されているように、GPR146ポリヌクレオチド、GPR146ヌクレオチド、およびGPR146核酸、製造法、これらの使用、その他を包含する。「GPR146ポリヌクレオチド」、「GPR146ヌクレオチド」、および「GPR146核酸」の語は、相互に交換して使用されてもよく、配列番号1、配列番号2、配列番号3、または配列番号5に示される核酸配列を含むポリヌクレオチド/核酸、または配列番号1、配列番号2、配列番号3、または配列番号5に示される核酸配列を含むポリヌクレオチド/核酸のホモログ、バリアント、誘導体を指すことを意図されている。好ましくはポリヌクレオチド/核酸は、配列番号1、配列番号2、または配列番号3、もっとも好ましくは配列番号3の核酸配列を含むか、あるいは配列番号1、配列番号2、または配列番号3、もっとも好ましくは配列番号3の核酸配列のホモログ、バリアント、あるいは誘導体であることが好ましい。ここで配列番号1と配列番号2として同定される、2つのヒトGPR146のcDNA配列が同定されていることに注意されたい。配列番号1と配列番号2の両方が、ここで配列番号3と識別される翻訳領域を含む。配列番号1と配列番号2の両方とも、本発明の範囲に含まれる。
【0056】
これらの語はまた、本発明のポリペプチドおよび/またはペプチド、すなわちGPR146ポリペプチドをコード化することが可能である核酸配列を含むことも意図されている。それゆえ、GPR146 GPCRポリヌクレオチドおよび核酸は、配列番号4または配列番号6に示されたアミノ酸配列を含むポリペプチド、または配列番号4または配列番号6に示されたアミノ酸配列を含むポリペプチドのホモログ、バリアント、または誘導体をコード化する核酸配列を含む。好ましくは、GPR146 GPCRポリヌクレオチドおよび核酸は、配列番号4に示されたアミノ酸配列を含むポリペプチド、または配列番号4に示されたアミノ酸配列を含むポリペプチドのホモログ、バリアント、または誘導体をコード化する核酸配列を含む。
【0057】
「ポリヌクレオチド」の語は当業者に既知であり、ポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドのいずれかを指し、修飾または非修飾RNAまたはDNAであってもよい。「ポリヌクレオチド」は、一本鎖および二本鎖分子(および、二本鎖および一本鎖領域を含む分子)に限定されず、一本鎖であってよく、あるいはより典型的には、二本鎖、または一本鎖領域および二本鎖領域の混合であってもよいDNAおよびRNAを含むハイブリッド分子を含む。それに加え、「ポリヌクレオチド」は、RNA、またはDNA、またはRNAおよびDNAの両方を含む三本鎖領域を指す。ポリヌクレオチドの語はまた、1塩基またはそれ以上の修飾塩基を含むDNAまたはRNA、および安定化またはそれ以外の理由でバックボーンを修飾されたDNAまたはRNAも含む。「修飾」塩基は、例えば、トリチル化塩基や、イノシンのような例外的な塩基を含む。さまざまな修飾がDNAおよびRNAに行われてきた;すなわち、「ポリヌクレオチド」は、天然に典型的に見られるような化学的、酵素的、あるいは代謝的に改変された形態のポリヌクレオチド、およびウィルスや細胞に特徴的なDNAやRNAの化学的形態を包含する。「ポリヌクレオチド」はまた、しばしばオリゴヌクレオチドとして言及する相対的に短いポリヌクレオチドも包含する。
【0058】
当業者は、膨大な数のヌクレオチド配列が遺伝コードの縮重の結果、同一のポリペプチドをコード化する可能性があることを理解するであろう。
【0059】
ここでは、「ヌクレオチド配列」の語は、ヌクレオチド配列、オリゴヌクレオチド配列、ポリヌクレオチド配列、およびそれらの(その一部のような)バリアント、ホモログ、フラグメントおよび誘導体を指す。ヌクレオチド配列は、センス鎖またはアンチセンス鎖、あるいはその組み合わせのいずれを表している、二本鎖または一本鎖であってよい、ゲノム、合成または組換え起源のによる、RNAまたは(より好ましくは)DNAであってよい。
【0060】
好ましくは、その結果生じるヌクレオチド配列は、GPCR活性を有するポリペプチドをコード化し、好ましくは配列番号1、配列番号4、または配列番号6に示されたGPCRと少なくとも同等の活性を有する。好ましくは、「ホモログ」の語は、GPCR活性を有するポリペプチドをコード化するポリヌクレオチドを指す。配列の同一性(すなわち相似性)の点に関して、好ましくは、少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、配列が同一である。より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%、配列が同一であることが好ましい。これらの語はまた、配列の異種バリアントも包含する。
【0061】
<配列相同性の計算>
ここで示される配列のいずれについても配列同一性は、他の配列が例えば少なくとも70%その配列(群)に配列同一性があるかを調べるために、一またはそれ以上の配列のいずれかを他の配列と比較する、単純な「眼球」比較(すなわち厳密な比較)によって決定されることができる。
【0062】
相対的な配列同一性もまた、例えば初期設定のパラメータを使用し、同一性決定に適切なアルゴリズムのいずれかを使用して2またはそれ以上の配列間の同一性パーセンテージを計算することが可能なコンピュータプログラムによって決定されることができる。そのようなコンピュータプログラムの例には、CLUSTAL、GCGプログラムパッケージ(Devereuxら(1984年), Nucleic Acids Research 第12巻:387ページ)、FASTA (Altschulら(1990年), J Molec Biol 第215巻:403-410ページ)、およびBLAST (Ausubelら(1999年), 前掲書)が含まれる。
【0063】
好ましくは、http://www.ncbi.nlon,nih.gov/BLASTで提示されるように、パラメータ群が初期値(Histogram = yes; descriptions=100; Expect-10; Alignments=50; matrix-BLOSUM62 (BLASINには他に選択可能なスコア関数がない); Filter-Dust (BLASIN), SEG (他のプログラム))に設定されて、BLASTアルゴリズムが使用される。BLASTアルゴリズムは、ここで参照しているhttp://www.ncbi.nih.gov/BLAST/blast_help.htmlで詳細に記述されている。
【0064】
<ハイブリダイゼーションおよびホモログ>
本発明は、ここに記述された配列、またはそのフラグメントまたは誘導体のいずれかに、あるいは上記のいずれかの相補体にハイブリダイズ可能なヌクレオチド配列を包含する。好ましくは、ハイブリダイゼーション可能な配列は、関係する配列の相補体である。
【0065】
ここに示されるヌクレオチド配列、またはその相補体に選択的にハイブリダイズ可能な本発明の配列は、一般的に少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも85%または90%、さらにより好ましくは少なくとも95%または98%、ここに示される対応するヌクレオチド配列に、少なくとも20ヌクレオチド、好ましくは少なくとも25ヌクレオチドまたは30ヌクレオチド、例えば少なくとも40ヌクレオチド、60ヌクレオチド、または100ヌクレオチド、あるいはそれ以上の近接したヌクレオチド領域にわたって相同である可能性があろう。本発明で好ましいヌクレオチド配列は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、または配列番号5に相同な領域を含み、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、80%、または90%、またはより好ましくは少なくとも95%、配列のうち一つに相同である。
【0066】
「選択的にハイブリダイズ可能」とは、プローブとして使用されるヌクレオチド配列が、本発明の標的ヌクレオチド配列がバックグラウンドより有意に高いレベルでプローブとハイブリダイズする条件下で使用されることを意味する。本発明の範囲には、当業者に既知のプロセスにおいて中間から最大のストリンジェントな条件下で、ここに示されたヌクレオチド配列にハイブリダイズ可能なヌクレオチド配列もまた含まれる。ストリンジェンシーが最大になるのは、Tm値−約5℃(プローブのTm値より5℃低い)が典型的である。すなわち;Tm値より約5℃から10℃低いとき高ストリンジェンシー;Tm値より約10℃から20℃低いとき中間ストリンジェンシー;およびTm値より約20℃から25℃低いとき低ストリンジェンシーである。当業者により理解されるように、同定または同一性を検知するために最大ストリンジェンシーハイブリダイゼーションを使用可能であることにより、ヌクレオチド配列を同定することができ、中間(または低)ストリンジェンシーハイブリダイゼーションを使用して、高い相同性がある類似または関係ヌクレオチド配列を同定、または検知することができる。
【0067】
好ましい実施態様では、ストリンジェントな条件下の(例えば65℃および0.1xSSC(1xSSCは0.15M NaCl, 0.015M クエン酸三ナトリウム, pH7.0))本発明の一またはそれ以上のGPR146 GPCRヌクレオチド配列にハイブリダイズ可能なヌクレオチド配列を包含する。本発明のヌクレオチド配列が二本鎖である場合、二本鎖の両方の鎖は個々にまたは組み合わせて本発明に包含される。ヌクレオチド配列が一本鎖である場合、そのヌクレオチド配列の相補配列もまた本発明の範囲に含まれると理解される。
【0068】
本発明はまた、ここに示される配列、あるいはそのフラグメントまたは誘導体のいずれかの相補物である配列にハイブリダイズ可能なヌクレオチド配列も包含する。同様に本発明は、本発明の配列にハイブリダイズ可能な配列を相補するヌクレオチド配列を包含する。これらのタイプのヌクレオチド配列は、バリアントヌクレオチド配列の例である。この意味では「バリアント」の語は、ここで示すヌクレオチド配列にハイブリダイズ可能な配列を相補する配列を包含する。しかし好ましくは、「バリアント」の語は、ストリンジェントな条件下で(例えば65℃および0.1xSSC(1xSSCは0.15M NaCl, 0.015M クエン酸三ナトリウム, pH7.0))ハイブリダイズ可能な配列を相補する配列を包含する。
【0069】
<GPR146 GPCRのクローニング>
本発明により、ヒトおよびマウス、ブタ、ヒツジなどの他の種から、GPR146 GPCR、GPR146 GPCRのホモログ、および他の構造的または機能的関連遺伝子のクローニングを達成することが可能になる。GPR146 GPCRをコード化する部分または全長cDNAおよびゲノムクローンを適切なライブラリから単離するために、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号5に含まれるヌクレオチド配列またはそのフラグメントにハイブリダイズするポリヌクレオチドを、cDNAおよびゲノムDNAに対するハイブリダイゼーションプローブとして使用してよい。そのようなプローブをまた、GPR146 GPCR遺伝子に配列類似性、好ましくは高い配列類似性を有する他の遺伝子(ヒト以外の種に由来するホモログおよびオルソログをコード化する遺伝子を含む)のcDNAおよびゲノムクローンを単離するためにも使用してよい。ハイブリダイゼーションスクリーニング、クローニングおよび配列決定技術は当業者に既知であり、例えばSambrookら(上述)に記述されている。
【0070】
典型的にはプローブとしての使用に適切なヌクレオチド配列は、指示物の配列に対して60%同一、好ましくは70%同一、好ましくは80%同一、より好ましくは90%同一、さらにより好ましくは95%同一である。プローブは一般に、少なくとも15ヌクレオチド、好ましくは少なくとも30ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも50ヌクレオチドを含むであろう。特に好ましいプローブは、150ヌクレオチドから500ヌクレオチドの間の範囲であり、より詳細には約300ヌクレオチドであろう。
【0071】
ある実施態様では、ヒト以外の種由来のホモログおよびオルソログを含むGPR146 GPCRポリペプチドをコード化するポリヌクレオチドを取得することは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号5またはそのフラグメントを有する標識プローブでストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で適切なライブラリをスクリーニングする、および上述のポリヌクレオチド配列を含む部分または全長cDNAおよびゲノムクローンを単離する工程を含む。そのようなハイブリダイゼーション技術は当業者に既知である。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、上述で定義されるか、または、50%ホルムアミド、5xSSC (150mM NaCl、15mMクエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5xデンハルト溶液、10%硫酸デキストラン、および20μg/ml変成超音波破砕サケ精子DNAを含む溶液中、42℃で一夜インキュベーションし、その後フィルターを約65℃で0.1xSSC中で洗浄する条件である。
【0072】
<GPR146 GPCRの機能アッセイ>
クローニングした推定GPR146 GPCRポリヌクレオチドは、配列解析または機能アッセイにより確認できる。例えば、当業者に既知の活性であるレセプターアッセイ法を使用して、レセプター活性について推定GPR146 GPCRまたはホモログをアッセイすることができる。好ましい方法は、ここに参照して引用されたWagnerら(2000年), Cell Physiol Biochem. 第10巻(第1-2号):1-12ページで言及されている、二電極電圧クランプを使用したアフリカツメガエル卵母細胞システムである。アフリカツメガエルのシステムもまた、以下でさらに詳述するように、既知のリガンド、およびリガンドを活性化する組織/細胞抽出液をスクリーニングするために使用してもよい。
【0073】
<GPR146 GPCR発現アッセイ>
GPR146 GPCR関連疾患を治療するために有用な治療を設計するためには、GPR146 GPCRの発現プロファイル(野生型であろうとも、または特定のバリアントであろうとも)を決定することが有用である。当業者に既知の方法を使用して、GPR146 GPCRが発現している器官、組織および細胞種(および発生段階)を決定してよい。例えば、伝統的なあるいは「電子的な」(すなわち、データベース上で相同性を調べる)ノーザンブロット(Sambrook, 上述, 第7章、およびAusubel,F.M.ら,上述, 第4章および第16章)を実施してもよい。逆転写PCR(RT-PCR)もまた、GPR146遺伝子またはバリアントの発現をアッセイするために使用してよい。GPR146発現プロファイルを決定するためのより高感度な方法は、当業者に既知のリボヌクレアーゼ保護アッセイを含む。
【0074】
<GPR146 GPCRポリヌクレオチドの発現>
本発明は、GPR146 GPCRポリペプチドを生成するプロセスを含む。その方法は一般に、適切な条件(すなわち、GPR146 GPCRポリペプチドが発現する条件)下で、GPR146 GPCRポリペプチド、またはGPR146 GPCRポリペプチドのホモログ、バリアント、または誘導体をコード化する核酸を含む宿主細胞の培養を含む。
【0075】
当業者に既知の方法を、GPR146 GPCRをコード化する配列、および適切な転写および翻訳制御因子を含む発現ベクターを構築するために使用する。これらの方法は、インビトロ組換えDNA技術、合成技術、およびインビボ遺伝子組換えを含む。さまざまな発現ベクター/宿主システムが、GPR146 GPCRをコード化する配列を含む、および発現するために利用されてよい。これらは当業者には自明であり、下記を含むであろうがそれに限定されない。すなわち、組換えバクテリオファージ、プラスミド、またはコスミドDNA発現ベクターで形質転換したバクテリア;酵母発現ベクターで形質転換した酵母;ウィルス発現ベクター(例えば、バキュロウィルス)に感染した昆虫細胞システム;ウィルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウィルス(CAMV)またはタバコモザイクウィルス(TMV))またはバクテリア発現ベクター(例えば、TiまたはpBR322プラスミド)で形質転換した植物細胞システム;あるいは、いくつかのウィルスベースの発現システムを利用してよい、例えばヒト細胞のような特定の哺乳類の動物細胞システム。(例えば酵母やヒトの)人工染色体を、核酸の巨大フラグメントを細胞に送達するために使用してもよい。本発明は、使用される宿主細胞に限定されない。
【0076】
「制御因子」あるいは「制御配列」は、ベクターの翻訳されない領域(すなわちエンハンサー、プロモーター、および5'および3'非翻訳領域)であり、宿主タンパク質と相互作用して転写および翻訳を実行する。そのような因子は強度と特異性が異なっていてもよい。当業者に自明であるように、ベクターシステムと使用される宿主に依存して、構成的および誘導可能プロモーターを含む、いかなる数の適切な転写および翻訳因子を使用してよい。
【0077】
特定の開始シグナルもまた、GPR146 GPCRをコード化する配列をより効率的な翻訳を達成するために使用されてよい。そのようなシグナルは、ATG開始コドンと近傍配列を含む。GPR146 GPCRおよびその開始コドンをコード化する配列、および上流配列が適切な発現ベクターに挿入された場合、さらに転写または翻訳制御シグナルを付加する必要はないであろう。しかし、コード化配列のみ、またはそのフラグメントが挿入された場合、ATG開始コドンを含む外来翻訳制御シグナルが提供されなければならない。さらに開始コドンは、挿入全長の翻訳を確実にするために、正確な読み枠でなければならない。外来翻訳因子および開始コドンは、天然および合成両方の種々の起源であってよい。発現効率を、文献(Scharf,Dら(1994年), Results Probl. Cell Differ.第20巻:125-162ページ)に記述されているように、使用する特定の細胞システムに適切なエンハンサーを含むことにより、上昇させることができる。
【0078】
さらに、挿入配列の発現を制御する、または望ましい形式で発現細胞をプロセシングする能力より宿主細胞系統を選択してよい。そのようなポリペプチドの修飾は、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質付加、およびアシル化を含むがそれに限定されない。タンパク質の「プレプロ」形を切断する翻訳後プロセシングをまた、正確な挿入、折りたたみ、および/または機能を促進するために使用してもよい。(例えばCHO, HeLa, MDCK, HEK293,およびWI38のような)翻訳後活性に特異的な細胞マシナリーや特有のメカニズムを有する異なる宿主細胞は、American Type Culture Collection (ATCC, Bethesda, Md.)より利用可能であり、外来タンパク質の正確な修飾とプロセシングを確実にするために選択されてもよい。
【0079】
長期的視野に立つと、組換えタンパク質の高収率生成と安定な発現が好ましい。例えばGPR146 GPCRを安定に発現可能な細胞系統を、ウィルス複製起点および/または外来発現因子、および同じまたは別のベクター上の選択可能マーカー遺伝子を含む、発現ベクターを使用して形質転換することができる。ベクター導入に続いて、およそ1から2日間富栄養培地で成長させ、その後選択培地にに移してもよい。安定な形質転換細胞の抵抗クローンを、細胞型に適切な組織培養技術を使用して増殖させることができる。いかなる数の選択システムを、当業者に既知のように、形質転換細胞系統を回収するために使用してもよい。
【0080】
あるいは、GPR146 GPCRをコード化する核酸配列を含み、GPR146 GPCRを発現する宿主細胞は、当業者に既知の種々の異なる他の手順により確認してもよい。この手順は、膜、溶液、または核酸またはタンパク質配列の測定および/または定量のためのチップベースの技術を含む、DNA-DNAまたはDNA-RNAハイブリダイゼーションおよびタンパク質生物アッセイ、または免疫アッセイ技術を含むがそれに限定されない。
【0081】
GPR146 GPCRをコード化するヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞を、発現および培養細胞からのタンパク質の回収に適した条件下で培養してよい。形質転換細胞によって生成されたタンパク質は、使用された配列および/またはベクターに依存して、細胞膜に局在したり、分泌されたり、あるいは細胞内に含まれたりしていてよい。当業者により理解されるように、原核または真核細胞の細胞膜を通してGPR146 GPCRを分泌させるシグナル配列を含むように、GPR146 GPCRをコード化するポリヌクレオチドを含む発現ベクターを設計してもよい。他の構築物を使用して、GPR146 GPCRをコード化する配列を、可溶タンパク質の精製を易化するであろうポリペプチドドメインをコード化するヌクレオチド配列と一緒にしてもよい。そのような精製易化ドメインは、固定化金属上に精製することが可能であるヒスチジン―トリプトファンモジュールのような金属キレートペプチド、固定化免疫グロブリン上に精製することが可能であるプロテインAドメイン、およびFLAGS伸張/親和性精製システム(Immunex Corp., シアトル, ワシントン州)で利用されるドメインを含むが、それに限定されない。血液凝固因子Xa、またはエンテロキナーゼ(Invitrogen, サンディエゴ, カリフォルニア州)に特異的な配列のような、切断可能リンカー配列の、精製ドメインとGPR146 GPCRコード化配列の間への含有を使用して、精製を容易化してもよい。そのような発現ベクターの1つにより、GPR146 GPCRおよび、チオレドキシンまたはエンテロキナーゼ切断部位の上流に6ヒスチジン残基をコード化する核酸を含む融合タンパク質の発現が提供される。ヒスチジン残基は固定化金属イオン親和性クロマトグラフィー(IMIAC; Porath,J.ら(1992年) Prot. Exp. Purif. 第3巻:263-281ページに記述)上での精製を容易化し、一方エンテロキナーゼ切断部位により、融合タンパク質からGPR146 GPCRを精製する手段が提供される。融合タンパク質を含むベクターの議論は、Kroll,D.J.ら(1993年), DNA Cell Biol. 第12巻:441-453ページから提供される。
【0082】
GPR146 GPCRのフラグメントは、組換え産物だけでなく、固相技術(Merrifield J. (1963年), J. Am. Chem. Soc. 第85巻:2149-2154ページ)を使用した直接ペプチド合成によって生産してもよい。タンパク合成は、手動の技術または自動で行われてよい。例えばApplied Biosystems 431A peptide synthesizer (Perkin Elmer)を使用して、自動合成を実行してもよい。種々のGPR146 GPCRのフラグメントは別々に合成してもよく、さらに全長分子を生産するために組み合わせてもよい。
【0083】
<バイオセンサー>
GPR146ポリペプチド、核酸、プローブ、抗体、発現ベクター、およびリガンドは、バイオセンサーとして、(およびバイオセンサーの作製にとって)有用である。
【0084】
Aizawa(1988年), Anal. Chem. Symp. 第17巻:683ページによると、例えば、固定化抗体またはGPR146 Gタンパク質共役型レセプターのようなレセプターを含む選択層、および計測された値を伝達する変換器のように、バイオセンサーは分子認識に対するレセプターの特定の組み合わせとして定義される。そのようなバイオセンサーのあるグループは、レセプターと周囲の培地の相互作用による表層の光学的性質に起きる変化を検知するであろう。そのような技術の中には、特定のエリプソメトリーや表面プラズモン共鳴が言及されてよい。GPR146を取り込むバイオセンサーを、例えばペプチドホルモン、プリンまたはプリン類似体のようなヌクレオチド、またはこれらのリガンドの類似体のような、GPR146リガンドの存在またはレベルを検知するために使用することができる。そのようなバイオセンサーの構成は当業者に既知である。
【0085】
それゆえ、レセプターが促進した[3H]イノシトールリン酸または別の二次メッセンジャー形成を介してリガンドを検知するレポーターシステムとして、GPR146レセプターを発現する細胞系統を使用してよい(Wattら(1998年), J Biol Chem 第273巻(第22号):14053-8ページ)。レセプター―リガンドバイオセンサーはまた、Hoffmanら(2000年), Proc Natl Acad Sci U S A.第97巻(第21号):11215-20ページに記述されている。例えばFiglerら(1997年), Biochemistry第36巻(第51号):16288-99ページおよびSarrioら(2000年), Mol Cell Biol 第20巻(第14号):5164-74ページに記述されているように、Gタンパク質と他のタンパク質の相互作用のレベルまたは存在を検知するために、GPR146を含む光学的および他のバイオセンサーを使用してもよい。バイオセンサーの検知単位は、例えば米国特許第5492840号に記述されている。
【0086】
<スクリーニングアッセイ>
本発明のGPR146 GPCRポリペプチドを使用して、GPR146レセプターに結合し、GPR146を活性化(アゴニスト)またはGPR146の活性化を阻害(アンタゴニスト)する試薬をスクリーニングしてよい。異脂肪血症の治療に適した試薬を同定する方法は、候補試薬がGPR146の活性に影響を及ぼすか否かを決定する工程を含む。ここでは、「試薬」の語は、当業者に理解されるようにレセプターの活性に影響を及ぼすことが可能である成分を指す。好ましくはその試薬は、化合物である。それゆえ候補試薬は、それ(候補試薬)がGPR146の活性に影響を及ぼすか否か決定するするために試験された物質である。
【0087】
「化合物」の語は、(例えば、核酸、タンパク質、非ペプチド、または有機分子などの)生体高分子、あるいはバクテリア、植物、菌類、または動物(特に哺乳類)の細胞または組織のような生物学的材料から得られた抽出物のような、(天然に存在または合成された)化学的化合物、あるいは無機成分または無機分子をも指す。好ましくは、その化合物は抗体である。
【0088】
候補試薬がレセプター(GPR146)に結合、または他の様式で活性に影響を及ぼすか否かを決定する方法は、当業者に既知である。インビトロ、インビボ、およびインシリコの(すなわち結合アルゴリズムの使用)方法は、本発明の範囲内にある。
【0089】
本発明のポリペプチドを、例えば細胞内、無細胞標本、化学的ライブラリ、および天然産物混合物中の、低分子基質やリガンドのような試薬の結合査定に使用してよい。これらの基質とリガンドは、天然基質およびリガンドであってよく、あるいは構造または機能擬似物であってよい。Coliganら(1991年), Current Protocols in Immunology 第1巻(第2号):第5章参照のこと。
【0090】
一般に、GPR146 GPCRアゴニストおよびアンタゴニストは、異脂肪血症の治療および予防目的に使用される。
【0091】
GPR146 GPCRタンパク質と相互作用可能でありそうな候補化合物の合理的な設計は、本発明によるポリペプチドの高次構造の構造研究に基かれていてよい。好ましい構造解析は、X線結晶構造解析およびNMRを含む。これらの構造により、どのアミノ酸残基が分子的な接触領域を形成するかについて手本が提供される。タンパク質構造決定の詳細な記述は、例えばBlundellおよびJohnson(1976年), 「Protein Crystallography」, Academic Press, New Yorkを参照のこと。
【0092】
別の合理的設計は、細胞表面に本発明のGPR146レセプターポリペプチドを発現する適切な細胞を作製し、細胞を候補試薬と接触させる事を一般に含む、候補試薬が細胞表面のGPR146活性に影響を及ぼすか否かを決定するためのスクリーニング手順を使用する。
【0093】
レセプターを発現する、哺乳類、酵母、キイロショウジョウバエ、大腸菌由来の細胞を含む適切な細胞(または発現したレセプターを含む細胞膜)を、結合、刺激、または機能的反応阻害を観察するために試験化合物と接触させる。例えば、アフリカツメガエル二電極電圧クランプ法(Wagnerら、上述)を使用してもよい。さらにGPR146レセプター活性をアッセイするために、マイクロフィジオメーターアッセイを使用してもよい。広範囲の二次メッセンジャーシステムの活性化は、細胞から微量の酸の放出をもたらす。放出される酸は主に、細胞内シグナルプロセスを活性化する際に必要な代謝活性の上昇による。細胞周囲の培地のpH変化は非常に小さいが、例えばcytosensor microphysiometer (Molecular Devices Ltd., メンロパーク, カリフォルニア州)によって検知することができる。そしてcytosensorは、本発明のGタンパク質共役型レセプターのような細胞内シグナル伝達を利用するエネルギーに関係したレセプターの活性化を検知することが可能である。
【0094】
各候補化合物を個々にGPR146レセプターに対して試験する代わりに、候補リガンドのライブラリまたはバンクを都合よく作製し、スクリーニングしてもよい。そして、例えば、200以上の推定レセプターリガンドがスクリーニング用に集められる。バンクは以下のものを含む。すなわち:ヒト7TMレセプターを介して作用することが既知の伝達分子、ホルモンおよびケモカイン;ヒト7TMレセプターのアゴニストと推定される天然産化合物、または;哺乳類の対応物が同定されていない、非哺乳類の生物学的活性ペプチド;および天然には発見されていないが、未知の天然リガンドにより7TMレセプターを活性化する化合物。このバンクは、別途さらに詳細に記述したように、機能(すなわちカルシウム、cAMP、マイクロフィジオメーター、卵母細胞電気生理など、別記参照)、および結合両方のアッセイを使用して、既知のリガンドのレセプターをスクリーニングするために使用される。しかし、いまだにアゴニストやアンタゴニストが見つかっていないままの相当数の哺乳類レセプターが存在する。それゆえ、これらのレセプターの活性リガンドは、現在までに同定されたリガンドバンクには含まれていなくてよい。それに従い、本発明のGPR146レセプターはまた、天然リガンドを同定するために、組織抽出物に対して(カルシウム、cAMP、マイクロフィジオメータ、卵母細胞電気生理など、機能スクリーニングを使用して)機能的にスクリーニングされる。活性化リガンドを単離し同定することが可能になるまで分画をここに記述したようにアッセイし、機能反応が陽性である抽出物を順次細分画することができる。
【0095】
HEK293細胞で発現した7TMレセプターは、PLCとカルシウム流動の活性化、および/またはcAMP刺激または阻害に機能的に共役していることが示されている。それゆえ、細胞外pHまたはレセプター活性化によりもたらされる細胞内カルシウム変動を計測するシステムで、本発明のGPR146 GPCRレセプターを発現する細胞(例えば、形質移入アフリカツメガエル卵母細胞、CHO、またはHEK293細胞)を使用することがスクリーニング技術に含まれる。この技術において、化合物を本発明のレセプターポリペプチドを発現する細胞と接触させてもよい。その後、二次メッセンジャー反応、例えばシグナル伝達、pH変化、またはカルシウム値の変化を計測して、潜在的化合物がレセプターを活性化または阻害するか否かを決定する。
【0096】
他の方法には、GPR146レセプター介在cAMP阻害または刺激、および/またはアデニレートシクラーゼ蓄積を決定することによるレセプターインヒビターのスクリーニングが含まれる。そのような方法には、本発明のレセプターを真核細胞に形質移入させ、細胞表面に発現させることを含む。その後、本発明のレセプター存在下、潜在的アンタゴニストに細胞を露出させる。そしてcAMP蓄積量を測定する。潜在的アンタゴニストがレセプターに結合すれば、そしてレセプター結合を阻害すれば、レセプター介在cAMP値、またはアデニレートシクラーゼ値、活性は減少または増加するであろう。
【0097】
本発明のレセプターのアゴニストまたはアンタゴニストを検知する別の方法は、ここに参照して引用されている、米国特許第5482835号に記述されている。
【0098】
候補化合物がタンパク質、特に特定の抗体またはペプチドの場合は、ファージディスプレイ技術を使用して候補化合物のライブラリをスクリーニングしてもよい。ファージディスプレイ法は、組換えバクテリオファージを利用する分子スクリーニングプロトコールである。その技術には、各ファージまたはファージミドが特定の候補化合物を発現するように、候補化合物のライブラリより1個の化合物をコード化する遺伝子によりバクテリオファージを形質転換することが含まれる。形質転換バクテリオファージ(固体支持上に拘束することが好ましい)は適切な候補化合物を発現し、そのファージ被膜上にその候補化合物を提示する。本発明のポリペプチドまたはペプチドに結合可能な特異的候補化合物は、親和性相互作用に基く選択計画により濃縮される。その後成功した候補試薬を特徴付ける。ファージディスプレイ法には、標準的な親和性リガンドスクリーニング技術に勝る利点がある。ファージ表面は、天然に存在する立体構造によりよく類似した三次元立体構造にある候補試薬を提示する。これにより、より特異的および高親和性の結合をスクリーニングの目的のために実現することができる。
【0099】
化合物ライブラリのスクリーニングの別の方法は、化合物のライブラリを発現する組換えDNA分子を安定して形質転換する原核または真核生物宿主細胞を利用する。そのような細胞を、生きた状態または固定した形態で、標準的な結合パートナーアッセイに使用することができる。細胞反応を検出する高感度な方法を記述した、Parceら(1989年), Science 第246号:243-247ページ、およびOwickiら(1990年), Proc. Nat. Acad. Sci. USA 第87巻;4007-4011ページも参照のこと。競合的アッセイは特に有用であり、125I抗体のような本発明のGPR146ポリペプチドに結合することが既知の標識抗体、および結合成分に対する結合親和性が測定される候補化合物のような試験試料と、化合物のライブラリを発現する細胞を接触させたりまたはインキュベートしたりする。結合した、または結合しなかったポリペプチドに対する標識結合パートナーを、その後分離して結合度を査定する。結合した試験試料の量は、ポリペプチドに結合した標識抗体の量に反比例する。
【0100】
結合した結合パートナーを結合していない結合パートナーと分離して結合度を査定するために、多数の技術のいずれか一つを使用することができる。この分離工程は、典型的には、フィルターに接着後洗浄、プラスチックに接着後洗浄、または細胞膜の遠心といった手順を含むことができる。
【0101】
さらに他のアプローチは、例えば形質転換原核または真核生物宿主細胞から抽出した、可溶化、未精製または可溶化精製ポリペプチドまたはペプチドの利用である。これにより、特異性が増強し、自動化可能で、さらに試薬試験のハイスループット化可能といった利点がある「分子」結合アッセイが可能になる。好ましい実施態様では、候補試薬がGPR146活性に影響を及ぼすか否か決定するために、GPR146ポリペプチドをその候補試薬と接触させる。
【0102】
候補試薬スクリーニングの別の技術には、例えば本発明のポリペプチドに対して適切な結合親和性を有する新化合物のハイスループットスクリーニングを提示するアプローチが含まれ、国際公開第84/03564号に詳細に記述されている。最初に、大多数の異なる小ペプチド試験化合物を、例えばプラスチックピンのような固体基質上または他の適切な表面上で合成する;Fodorら(1991年)参照。その後、全てのピンを本発明の可溶化ポリペプチドと反応させ、洗浄する。次の工程は、結合したポリペプチドの検知を含む。そして、ポリペプチドと特異的に相互作用する化合物が同定されるであろう。
【0103】
リガンド結合アッセイは、レセプターの薬理を確認する直接的な方法を提供し、ハイスループット形態に適用できる。精製したレセプターリガンドは、結合調査のために高特異的活性(50から2000Ci/mmol)で放射能標識されてよい。その後放射能標識プロセスがレセプターに対するリガンドの活性を消失させていないかを決定する。バッファー、イオン濃度、pHおよびヌクレオチドのような他の制御因子のアッセイ条件を、膜と細胞全体両方のレセプター源に対して、実現可能なシグナル/ノイズ比を確立するよう最適化する。これらのアッセイのために、過剰量非標識競合リガンド存在下で測定した放射活性を全体の関連放射活性から引いた値として特異的レセプター結合を定義する。可能であれば、1種類より多い競合リガンドを使用して、残留非特異的結合を定義する。
【0104】
アッセイは単に候補化合物に対する結合の試験でよく、候補化合物に直接または非直接会合させた標識によって、あるいは標識競合物との競合を含むアッセイにおいて、ここでレセプターを保持する細胞への接着を検知する。さらにこれらのアッセイにより、表面にレセプターを保持する細胞に適切な検知システムを使用して、候補化合物がレセプターの活性化により発生するシグナルをもたらすか否かを試験してもよい。一般に既知のアゴニスト存在下で活性化のインヒビターをアッセイし、候補化合物の存在による、アゴニストによる活性化に対する効果を観察する。
【0105】
さらにアッセイは、候補化合物をGPR146 GPCRポリペプチドを含む溶液と混合して混合物を形成して、混合物中のGPR146 GPCR活性を測定し、さらに基準値と混合液のGPR146 GPCR活性を比較する工程を単純に含んでよい。
【0106】
GPR146 GPCRのcDNA、タンパク質およびタンパク質の抗体をまた、細胞中のGPR146 GPCR mRNAおよびタンパク質の生成に対する付加化合物の影響を検知するアッセイを設計するために使用してよい。例えば、当業者に既知の標準的方法により、モノクローナルおよびポリクローナル抗体を使用してGPR146 GPCRタンパク質の分泌値または細胞会合値を計測するためにELISA法を構築してもよく、また、適切に操作された細胞または組織からのGPR146 GPCRの生成を阻害または増強(それぞれまたアンタゴニスト、アゴニストと呼ばれる)する可能性がある試薬を発見するためにこれを使用することができる。スクリーニングアッセイを実施する標準的方法は、当業者に既知である。
【0107】
潜在的GPR146 GPCRアンタゴニストの例として、抗体、またはある場合にはプリンおよびプリン類似体を含むヌクレオチドおよびその類似体、オリゴヌクレオチド、あるいは例えばリガンドのフラグメント、またはレセプターの活性を妨害するように、レセプターに結合するが反応を誘引しない低分子のような、GPR146 GPCRのリガンドに密接に関係したタンパク質が含まれる。
【0108】
こうして本発明はまた、本発明のGPR146ポリペプチドおよび/またはペプチドに特異的に結合可能な化合物も提供する。
【0109】
そのようなスクリーニングを実施するために必要な材料を、スクリーニングキットにパッケージしてよい。そのようなスクリーニングキットは、GPR146 GPCRポリペプチド、またはGPR146 GPCRポリペプチドの生成を減少または増加させる化合物に対するアゴニスト、アンタゴニスト、リガンド、レセプター、基質、酵素などを同定する際に有用である。スクリーニングキットは、以下のものを含む。すなわち、(a)GPR146 GPCRポリペプチド;(b)GPR146 GPCRポリペプチドを発現する組換え細胞;(c)GPR146 GPCRポリペプチドを発現する細胞膜;または(d)GPR146 GPCRポリペプチドに対する抗体。スクリーニングキットは、使用説明書を任意に含む。
【0110】
<遺伝子組換え動物>
さらに本発明は、天然の発現値に比較して上昇または減少した値の、天然または組換えGPR146 GPCR、あるいは天然または組換えGPR146 GPCRのホモログ、バリアント、または誘導体を発現可能な遺伝子組換え動物を包含する。遺伝子組換え動物(GPR146ノックアウト)には、(両方のアリルの、すなわち−/−の)GPR146遺伝子の削除を含む、一またはそれ以上の機能変異の結果、機能的GPR146レセプターを発現しないものが含まれる。これらの動物は、機能的に破壊された内因性GPR146遺伝子を有すると言われる。機能的(GPR146)ポリペプチドをまったく発現しない非ヒト動物は、しばしば「機能欠損」変異を有すると呼ばれる。
【0111】
好ましくは遺伝子組換え動物は、ブタ、ヒツジ、または齧歯類などの非ヒト動物である。もっとも好ましくは遺伝子組換え動物は、マウスまたはラットである。GPR146 GPCRのアゴニストおよび/またはアンタゴニストを同定するため、およびそのインビボでの疾患に対する治療としての効果を試験するためのスクリーニング過程に、そのような遺伝子組換え動物を使用してよい。
【0112】
候補試薬がGPR146活性に影響を及ぼすか否かは、以下にさらに詳細に議論するように非ヒト動物を使用して決定することができる。そのようなアッセイに使用した動物は、当業者が理解するように、野生型または遺伝子組換え体でありうることが注意されるべきである。
【0113】
例えば、GPR146 GPCR生産が欠失しているよう改変された遺伝子組換え動物を、GPR146 GPCRのアゴニストおよび/またはアンタゴニストを同定するアッセイに使用してよい。潜在的薬物(候補リガンドまたは化合物)がGPR146 GPCRレセプター非存在下で生理的反応を生み出すか否かを決定するために、その薬物を評価するようあるアッセイは設計される。これは、上記で議論したように遺伝子組換え動物に薬物を投与した後、当業者に自明である特定の反応について動物をアッセイすることにより実行されてよい。薬物がGPR146活性に影響を及ぼすならば、脂質代謝の変化を期待することができる。GPR146ノックアウト動物由来の組織をレセプター結合アッセイで使用して、潜在的薬物(候補試薬、リガンド、または化合物)がGPR146レセプターに結合するか否かを決定してよい。GPR146レセプター生産が欠失するよう改変した遺伝子組換え動物の第一のレセプター標本、および同定されたGPR146リガンドまたは化合物のいずれかに結合することが既知である供給源の第二のレセプター標本を取得することにより、そのようなアッセイを実施することができる。一般に、第一と第二のレセプター標本は、取得した供給源を除いて、全ての点で類似しているであろう。例えば、(前述および後述のように)遺伝子組換え動物の脳組織をアッセイに使用したとき、相当する標準(野生型)動物の脳組織が第二のレセプター標本の供給源として使用される。GPR146レセプターに結合することが既知のリガンドと各レセプター標本を、それのみ、および候補リガンドまたは化合物存在下両方でインキュベートする。好ましくは、複数の異なる濃度で候補リガンドまたは化合物を検査するであろう。
【0114】
既知のリガンドによる結合が試験化合物によって入れ替えられる程度は、第一と第二の両方のレセプター標本に対して決定する。遺伝子組換え動物に由来する組織を直接アッセイに使用してもよく、組織を処理して、それ自体アッセイに使用される膜または膜タンパク質を単離してよい。好ましくは遺伝子組換え動物は、マウスである。結合アッセイに使用可能ないかなる方法を使用して、リガンドを標識してよい。これには、放射能、酵素、蛍光または化学発光標識(および、上記さらに詳細に記述された別の標識技術)が含まれるが、それに限定されない。
【0115】
さらに、機能的GPR146を発現する野生型動物、およびGPR146レセプター機能の発現が減少または消失したことに関係する表現型特性のいずれかを示すことが同定された動物に対して候補化合物などを投与することにより、GPR146 GPCRレセプターのアンタゴニストを同定してよい。
【0116】
非ヒト遺伝子組換え動物を作製する方法は当業者に既知であり、適切な方法のいずれを使用してもよい。模範的な実施態様として、非ヒト動物の生殖系列に導入遺伝子を導入して、本発明の遺伝子組換え非ヒト動物を作製する。1または複数の構築物のコピーが、ゲノム中に挿入されてよい。さまざまな発生段階の胚性ターゲット細胞を、導入遺伝子の導入に使用することができる。胚性ターゲット細胞の発生段階に応じて、異なる方法を使用する。例えばマイクロインジェクション法、エレクトロポーレーション法、あるいはリポフェクション法のような当業者に既知の方法のいずれかによっても、導入遺伝子の胚への導入を実行することができる。受精卵に導入遺伝子構築物を導入した後、その卵をインビトロでさまざまな時間インキュベートしてよく、あるいは代理宿主に再移植してもよく、その両方でもよい。成熟までのインビトロインキュベーションは、本発明の範囲内にある。ある共通の方法は、種に応じてインビトロで卵を1日間から7日間インキュベートし、その後代理宿主に再移植することである。
【0117】
本発明の目的のために、接合体は必須に完全器官に発生することが可能である二倍体細胞で形成される。一般に接合体は、天然、あるいは配偶子または配偶子群由来の一倍体核2個を融合することにより人工的に形成された核を含む卵からなるであろう。
【0118】
接合体に加えられる導入遺伝子構築物のコピー数は、加えられた外因性遺伝子試料の総量に依存し、それは遺伝的形質転換を起こすこと可能な量であろう。理論的には1コピーのみが必要であるが、一般的に1コピーが機能的であることを保障するために、多量のコピー数、例えば1000コピーから20000コピーの導入遺伝子構築物が利用される。本発明に関して、外来DNA配列の表現型的発現を増強するためには、挿入外来DNA配列それぞれの1コピーより多い機能的コピーを有することに利点があることがしばしばあるであろう。
【0119】
細胞、核膜、あるいは他の既存の細胞または遺伝構造に対して破壊性でない限り、外因性遺伝子試料を核遺伝子試料に加えることを可能にするいかなる技術を利用することができる。外因性遺伝子試料は、マイクロインジェクション法により核遺伝子試料に注入されることが好ましい。細胞および細胞構造のマイクロインジェクション法は既知であり、当業者に使用される。
【0120】
再移植は、標準的方法を使用して実行される。通常、代理宿主を麻酔し、卵を卵管に注入する。特定の宿主に移植される卵の数は種によって異なるであろうが、その種が天然に出産する子の数に通常匹敵するであろう。
【0121】
代理宿主の遺伝子組換え子孫を、適切な方法のいずれかによって導入遺伝子の存在および/または発現に対してスクリーニングしてよい。スクリーニングはしばしば、導入遺伝子の少なくとも1ヶ所を相補するプローブを使用して、サザンブロットまたはノーザンブロット解析により実行される。導入遺伝子にコード化されるタンパク質に対する抗体を使用したウェスタンブロット解析を、導入遺伝子産物の存在をスクリーニングする代替的または付加的な方法として使用してもよい。導入遺伝子の存在を評価する代替的または付加的な方法には、酵素および/または免疫アッセイ、特定のマーカーまたは酵素活性に対する組織染色、フローサイトメトリー解析およびそれに類したもののような適切な生化学的アッセイが含まれるが、それに限定されない。血中の導入遺伝子産物の存在の検知、およびさまざまな型の血液細胞および他の血液組成物の値に対する導入遺伝子の効果を評価することに、血液解析もまた有用であってもよい。
【0122】
遺伝子組換え動物の子孫を、遺伝子組換え動物を適切なパートナーと交配して、あるいは遺伝子組換え動物から取得した卵および/または精子の体外受精により取得してもよい。パートナーとの交配を実行するとき、パートナーは遺伝子組換えおよび/またはノックアウトであってよく、またはそうでなくてもよい;遺伝子組換えである場合、それは同一のまたは異なる導入遺伝子、あるいはその両方を含んでよい。あるいは、パートナーは親の系統であってよい。体外受精を使用した場合、受精卵を代理宿主に移植してよく、またはインビトロでインキュベートしてよく、あるいはその両方でもよい。いすれかの方法を使用して、子孫は、上述の方法または他の適切な方法を使用し、導入遺伝子の存在について評価されてよい。
【0123】
本発明に従って作製された遺伝子組換え動物は、外来遺伝子試料を含む。上述のように、外来遺伝子試料は、ある実施態様において、GPR146 GPCRレセプターの生産をもたらすDNA配列であろう。さらにそのような実施態様において、配列を、例えばプロモーターのような、特定のタイプの細胞における導入遺伝子の発現を選択的に可能にする転写制御因子に付加するであろう。
【0124】
導入遺伝子導入の別のターゲット細胞は、胚性幹細胞(ES細胞)である。ES細胞は、インビトロで培養され胚と融合された移植前の細胞から取得される(Evansら(1981年), Nature 第292巻:154-156ページ、Bradleyら(1984年), Nature第309巻:255-258ページ、Gosslerら(1986年), PNAS第83巻: 9065-9069ページ、およびRobertsonら(1986年), Nature第322巻:445-448ページ)。DNA形質移入またはレトロウィルス媒介形質導入により、ES細胞に導入遺伝子を効率的に導入することができる。そのような形質転換ES細胞をその後、非ヒト動物の胚盤胞と組み合わせることができる。その後ES細胞は胚をコロニー形成し、結果生じるキメラ動物の生殖系列に寄与する。Jaenisch,R.(1988年), Science第240巻:1468-1474ページ参照のこと。
【0125】
本出願人はまた、好ましくは上述のようにGPR146レセプター機能のモデルとして、改変GPR146遺伝子を有することにより特徴付けられる遺伝子組換え動物を提供する。遺伝子に対する改変は、欠失または他の機能欠損変異、ターゲティングまたはランダム変異があるヌクレオチド配列を有する外来遺伝子の導入、多種からの外来遺伝子の導入、またはそれらの組み合わせを含む。遺伝子組換え動物は、改変についてホモ接合形またはヘテロ接合形のいずれかであってよい。それに由来する動物および細胞は、GPR146レセプターの機能を制御するかもしれない生物学的活性試薬のスクリーニングに有用である。スクリーニング法は、異脂肪血症に対する潜在的治療の特異性と作用を決定する際に特に有用である。
【0126】
本発明の別の特徴点は、機能的に破壊された内因性GPR146遺伝子を有するが、異種GPR146タンパク質(すなわち別種由来GPR146)をコード化する導入遺伝子もまたゲノム中に保持し発現する、遺伝子組換え非ヒト動物にも関与する。好ましくは、動物はマウスであり、異種GPR146はヒトGPR146である。ヒトGPR146により再構成されている、動物あるいはそのような本発明の動物由来の細胞系統を、インビボおよびインビトロでヒトGPR146を阻害する試薬を同定するために使用することができる。例えば、ヒトGPR146を介してシグナルを誘導する刺激を、試験する試薬の存在下および非存在下で、その動物または細胞系統に投与することができ、その動物または細胞系統の反応を測定することができる。試薬の非存在下の反応と比較して、試薬の存在下の減少した反応に基き、インビボおよびインビトロでヒトGPR146を阻害する試薬を同定することができる。
【0127】
本発明はまた、GPR146 GPCR欠損非ヒト動物(「GPR146 GPCRノックアウト」)も提供する。そのような動物は、好ましくは内因性GPR146 GPCRゲノム配列を破壊または欠失した結果、発現するGPR146 GPCR活性が低下した、またはまったくないものである。好ましくは、そのような動物はGPCR活性をまったく発現しない。より好ましくは、動物は、配列番号4または配列番号6に示されたGPR146 GPCRの活性をまったく発現しない。GPR146 GPCRノックアウトは、以下にさらに詳述されるように、当業者に既知のさまざまな方法により作製してよい。
【0128】
本発明はまた、宿主細胞のGPR146遺伝子を機能的に破壊するための核酸構築物にも関与する。核酸構築物は以下を含む。すなわち(a)非相同置換部分;(b)非相同置換部分の上流に位置する第一の相同領域、第一のGPR146遺伝子配列と実質的に同一の核酸配列を有する第一の相同領域;および(c)非相同置換部分の下流に位置する第二の相同領域、第二のGPR146遺伝子配列と実質的に同一の核酸配列を有する第二の相同領域、天然に存在する内因性GPR146遺伝子中の第一のGPR146遺伝子配列の下流の位置を有する、第二のGPR146遺伝子配列。さらに、核酸分子を宿主細胞に導入したとき、第一と第二の相同領域は、核酸構築物と宿主細胞中の内因性GPR146遺伝子の間で相同組換えを起こすために十分な長さである。好ましい実施態様では、非相同置換部位は発現レポーターを含み、好ましくはlacZおよびポジティブ選択発現カセットを含み、好ましくは制御因子と操作的に連結されたネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子を含む。
【0129】
好ましくは、第一と第二のGPR146遺伝子配列は配列番号7に由来し、配列番号5あるいは配列番号5のホモログ、バリアント、または誘導体を含んでよい。
【0130】
本発明の別の特徴点は、本発明の核酸構築物を挿入された組換えベクターに関与する。本発明のさらに別の特徴点は、本発明の核酸構築物を導入し、それによって核酸構築物と宿主細胞の内因性GPR146遺伝子の間で相同組換えを可能にし、内因性GPR146遺伝子を機能的に破壊する宿主細胞に関与する。宿主細胞は肝臓、脳、脾臓または心臓由来の通常GPR146を発現する哺乳類細胞であってよく、マウス胚性幹細胞のような多能性細胞であってよい。核酸構築物を導入し、内因性GPR146遺伝子と相同組換えを行った胚性幹細胞をさらに発生させ、その胚性幹細胞の子孫でありそれゆえゲノム上にGPR146遺伝子破壊を保持する細胞を有する遺伝子組換え非ヒト動物を作製する。その後生殖系列上にGPR146遺伝子破壊を保持する動物を、選択、飼育して、全ての体細胞と生殖細胞でGPR146遺伝子破壊を有する動物を作製することができる。そのようなマウスをその後、GPR146遺伝子破壊に対してホモ接合性に飼育することができる。
【0131】
GPR146 GPCR欠損遺伝子組換え動物を、実施例1および実施例2に記述されるように作製してもよい。
【0132】
<抗体>
本発明の目的に対して、「抗体」の語は、反対に特定されない限り、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、単鎖、Fabフラグメント、およびFab発現ライブラリによって作製されたフラグメントを含むが、それに限定されない。そのようなフラグメントには、標的基質への結合活性を保持する抗体全体のフラグメント、Fv, F(ab’) およびF(ab’)2 フラグメント、ならびに単鎖抗体(scFv)、融合タンパク質および抗体の抗原結合部位を含む他の合成タンパク質が含まれる。これらの抗体およびフラグメントは、例えば欧州特許出願公開0239400号に記述されているような、ヒト化抗体であってよい。さらに、例えば米国特許第5545807号および第6075181号に記述されているような、完全なヒト可変領域全長(またはそのフラグメント)をもつ抗体もまた使用してよい。中和抗体、すなわち基質アミノ酸配列の生物学的活性を阻害する抗体は、診断と治療に特に好ましい。
【0133】
免疫化またはファージディスプレイライブラリの使用のような標準技術により、抗体を作製してよい。
【0134】
本発明のポリペプチドまたはペプチドを使用して、既知の技術による抗体を開発してよい。そのような抗体は、GPR146 GPCRタンパク質またはホモログ、フラグメントなどに特異的に結合可能であってよい。
【0135】
ポリクローナル抗体が望まれるならば、選択された動物(例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、ウマなど)を、本発明のポリペプチドまたはペプチドを含む免疫組成物で免疫化してよい。宿主種により、フロイントアジュバントおよびアラム(Aluminium Hydroxid)を含むさまざまなアジュバントを使用して、免疫反応を増強してよい。BCG(弱毒ウシ結核菌株)およびコリネバクテリウム・パルブム(Corynebacterium parvum)は潜在的に有用なヒトアジュバントであり、全身防御力を刺激するために、精製された基質アミノ酸配列を免疫学的に易感染性の個体に投与する場合に使用されてよい。
【0136】
本発明のポリペプチドまたはペプチドより取得可能なエピトープに対するモノクローナル抗体もまた、当業者により容易に作製されることができる。ハイブリドーマによるモノクローナル抗体作製の一般的方法論は既知である。
【0137】
さらに、適切な抗原特異性と生物学的活性をもつ分子を取得するために、マウス抗体遺伝子をヒト抗体遺伝子に継ぎ合わせる「キメラ抗体」作製のために開発した技術を使用することができる(Morrisonら(1984年), Proc Natl Acad Sci 第81巻:6851-6855ページ、Neubergerら(1984年), Nature第312巻:604-608ページ、Takedaら(1985年), Nature 第314巻:452-454ページ)。あるいは、単鎖抗体(米国特許第4946779号)の作製のために記述された技術を適用して、基質特異的単鎖抗体を作製することができる。
【0138】
本発明のポリペプチドまたはペプチドより獲得可能なエピトープに対する抗体は、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体両方とも、診断に特に有用であり、中和する抗体は受動免疫療法に有用である。特にモノクローナル抗体を使用して、抗イディオタイプ抗体を作製してよい。抗イディオタイプ抗体は、保護作用が望まれる基質および/または試薬の「内部イメージ」を保持する免疫グロブリンである。抗イディオタイプ抗体を作製する技術は当業者に既知である。これらの抗イディオタイプ抗体もまた、治療に有用であってよい。
【0139】
上記の抗体を使用して、ポリペプチドを発現するクローンを単離または同定したり、あるいは親和性クロマトグラフィーによりポリペプチドを精製してもよい。
【0140】
GPR146 GPCRポリペプチドに対する抗体を使用して、異脂肪血症の治療してもよい。
【0141】
<診断アッセイ>
GPR146は異脂肪血症に関与している。それゆえ、個体、または好ましくは個体から単離された検体中のGPR146の存在および/または活性を検知することにより、当業者に自明であるように、異脂肪血症に対する感受性の存在に基く診断を行うことができる。
【0142】
本発明はまた、診断試薬として診断に、または遺伝子解析においての使用をのためのGPR146 GPCRポリペプチドおよびペプチド(ならびにGPR146 GPCRポリペプチドおよびペプチドのホモログ、バリアント、および誘導体)の使用に関連する。GPR146核酸(ホモログ、バリアント、および誘導体を含む)に対して相補的であるまたはハイブリダイズ可能である核酸、およびGPR146ポリペプチドに対する抗体もまた、そのようなアッセイに有用である。
【0143】
好ましい実施態様では、診断はインビトロで実行される。すなわち、診断は、診断される人物または動物の体表または体内で行われない。
【0144】
個体(すなわち患者)における異脂肪血症の存在または感受性を決定する方法は、以下の工程を含む。すなわち(i)個体から単離された試料におけるGPR146遺伝子の発現値を決定し、(ii)対照と比較して、試料を単離した個体が、異脂肪血症であるか、または異脂肪血症に感受性であるか否かを決定する。
【0145】
機能障害に関係するGPR146 GPCR遺伝子の変異形を検知することにより、GPR146 GPCRの僅少発現、過剰発現、または発現変化の結果生じる疾患あるいは疾患感受性の診断に付加、またはその診断を定義することが可能である診断手段が提供されるであろう。当業者に既知のさまざまな方法により、(制御配列を含む)GPR146 GPCR遺伝子中に変異を保持する個体をDNAレベルで検知してよい。好ましくは、直接シークエンス解読または他の通常使用される方法により変異解析を行う前に、(GPR146 GPCRを含む)対象領域はPCRを使用して増幅される。
【0146】
例えば、DNAを患者から単離し、GPR146のDNA多型パターンを決定してよい。同定されたパターンを、GPR146の過剰、僅少、または異常発現に関連した疾患に罹患したことが既知である患者の対照と比較する。そして、GPR146関連疾患を伴う遺伝子多型パターンを発現している患者を同定してよい。GPR146 GPCR遺伝子の遺伝子解析を、当業者に既知の技術のいずれによって施行してもよい。例えばRFLP(制限断片長多型)またはSSCP(一本鎖DNA高次構造多型)解析により、GPR146アリルのDNA配列を決定して、個体をスクリーニングしてもよい。GPR146またはその発現を制御する配列のいずれかに対する遺伝子配列におけるDNA多型の存在を検知することにより、GPR146の過剰、僅少、または異常発現に関連する疾患の遺伝的素因を有することとして患者を同定してよい。
【0147】
その後、異脂肪血症の発症を予防したり、疾患がさらに発症または進行するのを予防するため、より積極的に異脂肪血症の早期の段階で予防するために、そうして同定された患者を治療することができる。
【0148】
本発明はさらに、GPR146関連疾患に関連した患者の遺伝子多型パターンを同定するキットを開示する。キットは、DNA試料を採取する方法、および遺伝子多型パターンを決定する方法を含み、その後対照試料と比較して、GPR146関連疾患に対する患者の感受性を決定する。GPR146ポリペプチド、および/またはそのようなポリペプチド(またはそのフラグメント)に対する抗体を含むGPR146関連疾患の診断のためのキットもまた提供される。
【0149】
診断アッセイは、記述された方法によりGPR146 GPCR遺伝子の変異を検知することを通して、異脂肪血症に対する感受性を診断したり決定したりするプロセスを提供する。
【0150】
GPR146 GPCRポリペプチドおよび核酸の存在は、試料中で検知されてよい。それゆえ、上に列記されたような感染および疾患を、被験者由来の試料からGPR146 GPCRポリペプチドまたはGPR146 GPCR mRNAの異常に減少または増加した値を決定することを含む方法により診断してよい。試料は、発現値または発現パターンの空間または時間的変化を含む、増加した、減少した、または他に異常なGPR146 GPCR発現に関連した疾患に罹患した、または罹患したと推定される生物由来の細胞または組織試料を含んでよい。そのような疾患に罹患した、または罹患したと推定される生物中のGPR146発現値またはパターンを、疾患の診断手段として通常生物中の発現値またはパターンと有用に比較してよい。
【0151】
それゆえ一般に本発明は、核酸に特異的な少なくとも1個の核酸プローブに試料を接触させ、核酸の存在に対して試料を監視することにより、試料中のGPR146 GPCR核酸を含む核酸の存在を検知する方法を含む。例えば、核酸プローブはGPR146 GPCR核酸またはその部分に特異的に結合してよく、検知された2つの間の結合、すなわち複合体それ自体の存在がまた検知されてもよい。さらに本発明は、ポリペプチドに結合可能な抗体に細胞試料を接触させ、ポリペプチドの存在について試料を監視することにより、GPR146 GPCRポリペプチドの存在を検知する方法を包含する。これは、抗体とポリペプチドの間で形成された複合体の存在を監視する、またはポリペプチドと抗体の間の結合を監視することにより、都合よく実行されてよい。2個の実体間の結合を検知する方法は当業者に既知であり、FRET(蛍光共鳴エネルギー転移)、表面プラズモン共鳴などを含む。
【0152】
減少または増加した発現は、例えばPCR、RT-PCR、リボヌクレアーゼ保護、ノーザンブロッティング、および他のハイブリダイゼーション法のような、当業者に既知であるポリヌクレオチド定量法のいずれかを用いて、RNAレベルにおいて測定されることができる。宿主由来の試料中の、GPR146 GPCRのようなタンパク質の値を決定するために使用されることが可能であるアッセイ方法は、当業者に既知である。そのようなアッセイ方法は、放射免疫アッセイ、競合結合アッセイ、ウェスタンブロッティング、およびELISAアッセイを含む。
【0153】
本発明は疾患または異脂肪血症に対する感受性の診断キットに関連する。診断キットは、GPR146 GPCRポリヌクレオチドまたはそのフラグメント;相補ヌクレオチド配列;GPR146 GPCRポリヌクレオチドまたはそのフラグメント、あるいはGPR146 GPCRポリペプチド抗体を含む。
【0154】
<染色体アッセイ>
本発明のヌクレオチド配列はまた、染色体同定にも有益である。個体のヒト染色体上の特定部位に配列を標的し、ハイブリダイズさせることができる。上記のようにヒトGPR146 GPCRは、染色体7p22.3にマップされて見つけられる。
【0155】
本発明による染色体上への関連配列のマッピングは、遺伝子関連疾患とそれらの配列を関連付ける最初の重要な工程である。一度配列が正確な染色体部位にマップされれば、染色体上の配列の物理的位置を遺伝子マップデータと関連付けることができる。そのようなデータは例えば、V.McKusick, 「Mendelian inheritance in Man」 (Johns Hopkins University Welch Medical Libraryにてオンラインで利用可能)で見つけられる。そして、同一染色体領域にマップされた遺伝子と疾患の関係が連鎖解析(物理的に隣接した遺伝子の共遺伝)を通して同定される。
【0156】
罹患した個体と罹患していない個体の間のcDNAまたはゲノム配列の差異をまた、決定することもできる。変異が複数または全ての罹患した個体で観察されたが、健常個体のいずれにも観察されなければ、その変異は疾患の原因因子である可能性がある。
【0157】
<予防および治療方法>
本発明は、過剰および不十分量両方のGPR146 GPCR活性に関係した異常状態を治療する方法を提供する。
【0158】
GPR146ポリペプチド活性に影響を及ぼす試薬を使用して、異脂肪血症の予防または治療のための薬物を製造することができる。
【0159】
GPR146 GPCR活性が過剰である場合、複数のアプローチが利用可能である。あるアプローチは、上述のように、リガンドのGPR146 GPCRへの結合を阻止することにより、または二次シグナルを阻害する、およびそれにより異常状態を軽減することにより、活性化を阻害する効果に十分量、薬剤として許容可能な担体とともに被験者にインヒビター化合物(アンタゴニスト)を投与することを含む。
【0160】
別のアプローチでは、内因性GPR146 GPCRと競合してリガンドとなお結合可能であるGPR146 GPCRポリペプチドの可溶化形態を投与してよい。そのような競合物の典型的な実施態様は、GPR146 GPCRポリペプチドのフラグメントを含む。
【0161】
さらに別のアプローチでは、内因性GPR146 GPCRをコード化する遺伝子の発現を、発現ブロッキング技術を使用して阻害することができる。既知のそのような技術は、内部で生成されるか、または別に投与されるかいずれかの、アンチセンス配列のような外来ポリヌクレオチドの使用を含む。例えば、Boca Raton, Fla. (1988年)「Oligodeoxvnucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression」, CRC Press中の、O’Connorら(1991年), J Neurochem 第56巻:560ページ参照のこと。あるいは、遺伝子と三重ヘリックスを形成するオリゴヌクレオチドを供給することができる。例えば、Leeら(1979年), Nucleic Acids Res 第6巻:3073ページ、Cooneyら(1988年), Science第241巻:456ページ、Dervanら(1991年), Science 第251巻:360ページを参照のこと。これらのオリゴマーはそれ自体投与されることができ、あるいは関連オリゴマーをインビボで発現することができる。
【0162】
GPR146 GPCRとその活性の僅少発現に関係した異常状態を治療するために、複数のアプローチがまた利用可能である。あるアプローチは、薬物として許容可能な担体と組み合わせて、GPR146 GPCRを活性化する化合物、すなわち上述のアゴニストの治療上有効量を被験者に投与し、それにより異常状態を軽減することを含む。あるいは、遺伝子治療を使用して、被験者の関連細胞によるGPR146 GPCRの内因性産物に影響を及ぼして(好ましくは増加させて)もよい。好ましい実施態様では、外来(宿主外に由来する、好ましくは異種に由来する)GPR146ポリヌクレオチドを、異脂肪血症を治療する医薬の製造に使用する。例えば本発明のポリヌクレオチドは、上記議論されたように、複製欠損レトロウィルスベクター中での発現のために改変されてもよい。レトロウィルス発現構築物を、その後単離し、パッケージ細胞が対象遺伝子を含む感染ウィルス粒子を直ちに生成するように本発明のポリペプチドをコード化するRNAを含むレトロウィルスプラスミドベクターにより形質導入されたパッケージ細胞に導入してもよい。インビボで細胞を改変し、インビボでポリペプチドを発現するために、これらの生産細胞を被験者に投与してよい。遺伝子治療の概観については、T StrachanおよびP Read(1996年), 「Gene Therapy and other Molecular Genetic-based Therapeutic Approaches(Human Molecular Genetics)」, BIOS Scientific Publishers Ltd第20章 (およびそこに引用された文献)参照のこと。
【0163】
<配合物および投与>
GPR146 GPCRポリペプチド可溶体のようなペプチド、アゴニストおよびアンタゴニストペプチド、または低分子を、適切な薬物担体と組み合わせて配合してよい。そのような配合物は、治療上効果的な量のポリペプチドまたは化合物、および薬剤として許容可能な担体または賦形剤を含む。そのような担体は、生理食塩水、緩衝生理食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール、およびそれらの組み合わせを含むが、それに限定されない。配合物は投与方法に適切であるべきで、当業者の技術範囲にある。本発明はさらに、本発明の前述組成物の一またはそれ以上の成分で満たされた一またはそれ以上の容器を含む薬剤包装とキットに関係する。
【0164】
本発明のポリペプチドおよび他の化合物は単独で、または治療化合物のような他の化合物と一緒に使用されてよい。
【0165】
医薬組成物の全身投与の好ましい実施態様は、注射、典型的には静脈注射を含む。皮下注射、筋肉内注射、または腹腔内注射のような、他の注射経路を使用することができる。全身投与の別の方法は、胆汁酸塩またはフシジン酸のような浸透剤、あるいは他の界面活性剤を使用した経粘膜および経内皮投与を含む。さらに、腸溶性またはカプセル化形状で適切に配合されれば、経口投与もまた可能である。これらの化合物の投与はまた、軟膏、ペースト剤、ゲルおよびその類似物の形態で、局所的および/または局在的であってよい。
【0166】
必要とされる投与量範囲は、ペプチドの選択、投与の経路、配合物の性質、被験者の状態の性質、および参加医師の判断に依存する。しかし適切な投与範囲は、被験者1kgあたり0.1μgから被験者1kgあたり100μgである。しかしながら、必要投与量が広範囲にわたることは、利用可能な化合物の多様性、および種々の投与経路で異なる効率から予想される。例えば、経口投与は、静脈注射投与よりも多量の投与量が必要であると予想されるであろう。これらの投与量値の変動は、当業者に既知であるように、最適化のための標準実験ルーチンを使用して、調製されることができる。
【0167】
治療に使用されるポリペプチドを、また上記のように、「遺伝子治療」としばしば呼ばれる治療用式において、被験者中で内因性的に作製することができる。そして例えば、エキソビボでポリペプチドをコード化するDNAまたはRNAのようなポリヌクレオチドとともに、そして例えばレトロウィルスプラスミドベクターを使用して、被験者由来の細胞を改変してもよい。そして細胞は、その被験者に導入される。
【0168】
<医薬組成物>
本発明はまた、治療上効果的な量の本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、ペプチド、ベクター、または抗体、および任意の薬剤として許容可能な担体、希釈剤、あるいは賦形剤(それらの組み合わせを含む)を投与することを含む医薬組成物を提供する。
【0169】
医薬組成物は、医学および獣医学においてヒトまたは動物目的であってよく、典型的には一またはそれ以上の薬剤として許容可能な希釈剤、担体、または賦形剤を含むであろう。治療上の使用が可能な担体または希釈剤は当業者に既知であり、例えばA.R.Gennaro編(1985年), 「Remington’s Pharmaceutical Sciences」, Mack Publishing Co.に記述されている。医薬担体、賦形剤、または希釈剤の選択は、投与および標準的薬剤治療の意図された経路に関連して選択されることができる。医薬組成物は、担体、賦形剤、または希釈剤として、またはそれに加えて、適切な結合剤、潤滑剤、懸濁剤、被膜剤、可溶化剤のいずれを含んでよい。
【0170】
防腐剤、安定剤、染料および香料さえも、医薬組成物に提供されてよい。防腐剤の例には、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、およびp-ヒドロキシ安息香酸のエステルが含まれる。抗酸化剤および懸濁剤もまた使用されてよい。
【0171】
異なった送達システムに応じて、異なった組成物/配合物の必要量であってもよい。
【0172】
適切な部位であれば、座薬またはペッサリー形態の吸入によって、ローション、溶液、軟膏またはパウダーの形態で皮膚パッチを使って局所的に、デンプンまたはラクトースのような賦形剤を含む錠剤の形態、あるいは単独または賦形剤と混合したカプセルまたは胚珠状、または香料または着色料を含むエリキシル剤、溶液、または懸濁液の形態で経口により、医薬組成物を投与することができ、あるいは例えば静脈内、筋肉内、または皮下に非経口的に医薬組成物を注射することができる。非経口投与の際には、例えば溶液を血液と等張にするために十分量の塩、または単糖類のような他の物質を含む無菌水溶液の形態で組成物を使用してよい。頬側または舌下投与の際には、通常の方法で配合されることが可能である錠剤または口内錠で組成物を投与してよい。
【0173】
<ワクチン>
本発明の別の実施態様は、哺乳動物を異脂肪血症から防ぐ抗体および/またはT細胞免疫応答を引き起こすために適切なGPR146 GPCRポリペプチドまたはそのフラグメントを哺乳動物に接種することを含む、哺乳動物の免疫応答を導入する方法に関係する。
【0174】
さらに本発明の別の実施態様は、哺乳動物を疾患から防ぐ抗体を生産するような免疫応答を引き起こすために、インビボでGPR146 GPCRポリヌクレオチドを発現させるベクターを介してGPR146 GPCRポリペプチドを送達することを含む、哺乳動物の免疫応答を導入する方法に関係する。
【0175】
本発明のさらなる実施態様は、哺乳類宿主に導入した際にその哺乳動物においてGPR146 GPCRポリペプチドに対する免疫応答を引き起こす免疫学的/ワクチン配合物(組成物)に関係し、ここでその組成物はGPR146 GPCRポリペプチドまたはGPR146 GPCR遺伝子を含む。ワクチン配合物は、適切な担体をさらに含んでよい。
【0176】
GPR146 GPCRポリペプチドは胃内で破壊される可能性があるため、好ましくは非経口的(皮下、筋肉内、静脈内、皮内などの注射を含む)に投与される。非経口投与に適した配合物には、抗酸化剤、バッファー、無菌薬、およびレシピエントの血液を配合物と等張にする溶質を含んでよい水溶および非水溶無菌注射液;および、懸濁剤または増粘剤を含んでよい水溶および非水溶無菌懸濁液が含まれる。例えば封入アンプルおよびバイアルのような投与単位または多投与単位の容器で配合物を提供してよく、使用直前に無菌液状担体を加えることだけが必要な凍結乾燥状態で配合物を保存してよい。ワクチン配合物はまた、当業者に既知の水中油系および別の系のような、配合物の免疫原性を増強するアジュバント系も含んでよい。投与量は、ワクチンの特異的活性に依存するであろうし、ルーチン実験により容易に決定されることができる。
【0177】
ワクチンは、本発明の一またはそれ以上のポリペプチドまたはペプチドから調製されてよい。
【0178】
活性成分として免疫原性ポリペプチドまたはペプチドを含むワクチンの調製は、当業者に既知である。典型的には、そのようなワクチンは溶液または懸濁液のいずれかのような注射液として調製され;注射の前に液体中に溶液化または懸濁化するために適した固形形態を調製してもよい。調製はまた、エマルジョン化されてもよく、またはリポソーム中にカプセル化されたタンパク質であってもよい。活性免疫原成分は、薬剤として使用可能で活性成分と両立する賦形剤としばしば混合される。適切な賦形剤は、例えば水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール、またはその類似物およびそれらの組み合わせである。
【0179】
さらに望まれれば、ワクチンは湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、および/またはワクチンの効果を増強するアジュバントのような、少量の補助基質を含んでよい。効果があるであろうアジュバントの例は、以下を含むがそれに限定されない。すなわち:水酸化アルミニウム、N-アセチル-ムラミル-L-スレオニル-D-イソグルタミン(thr-MDP)、N-アセチル-ノル-ムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミン(CGP 11637, nor-MDPと呼ぶ)、N-アセチルムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミル-L-アラニン-2-(1’-2’-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ヒドロキシホスホリルオキシ)-エチルアミン(CGP 19835A, MTP-PEと呼ぶ)、およびバクテリアから抽出された3成分、モノホスホリルリピドA、トレハロースジミコレート、および細胞壁骨格(MPL+TDM+CWS)を含む、2%スクアレン/Tween 80エマルジョン中のRIBI。
【0180】
アジュバントと他の試薬のさらなる例は、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)、硫酸ベリリウム、シリカ、カオリン、炭素、油中水エマルジョン、水中油エマルジョン、ムラミルジペプチド、バクテリアエンドトキシン、リピドX、コリネバクテリウム・パルブム(プロピオニバクテリウム・アクネス)、ボルデテラ・パータシス、ポリリボヌクレオチド、アルギン酸ナトリウム、ラノリン、リゾレシチン、ビタミンA、サポニン、リポソーム、レバミソール、DEAE-デキストラン、ブロックされたコポリマー、あるいは他の合成アジュバントを含む。このようなアジュバントは、さまざまな供給源、例えばメルクアジュバント65(Merck and Company, Inc., ラーウェイ, ニュージャージー州)、またはフロイント不完全アジュバントおよび完全アジュバント(Difco Laboratories, デトロイト, ミシガン州)より商業的に利用可能である。
【0181】
典型的には、Amphigen(水中油)、Alhydrogel(水酸化アルミニウム)、またはAmphigenとAlhydrogelの混合物が使用される。水酸化アルミニウムのみがヒトへの使用が認可されている。
【0182】
両方が有効量存在するかぎり、免疫原とアジュバントの比率を広範囲にわたり変動させることができる。例えば、水酸化アルミニウムは、(Al2O3主成分で)ワクチン混合物の約0.5%の量で存在することができる。免疫原を0.2μg/mlから200μg/ml、好ましくは5μg/mlから50μg/ml、もっとも好ましくは15μg/mlの最終濃度で含むよう、都合よくワクチンを配合する。
【0183】
注射、例えば皮下または筋肉内いずれかで、通常非経口でワクチンを投与する。他の投与方法に適した付加配合物は、座薬、ある場合には経口投与を含む。座薬のために、通常の結合剤および担体は、例えばポリアルキレングリコールまたはトリグリセリドを含んでよく;そのような座薬は、0.5%から10%の範囲で、好ましくは1%から2%の範囲で活性成分を含む混合物より形成されてよい。経口配合物は、通常使用される賦形剤、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム、およびその類似物を含む。これらの組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、ピル、カプセル、徐放投与、または粉末の形態をとり、10%から95%の活性成分、好ましくは25%から70%の活性成分を含む。ワクチン組成物を凍結乾燥した場合、凍結乾燥物質を投与前に例えば懸濁液として再構成してもよい。再構成は好ましくはバッファー中で行われる。
【0184】
中性または塩の形態でワクチンに本発明のポリペプチドを配合してよい。薬物として使用可能である塩は、(ペプチドの遊離アミノ基とともに形成される)酸付加塩を含み、その酸付加塩は、例えば塩酸またはリン酸のような無機酸、あるいは酢酸、オキサロ酸、酒石酸、およびマレイン酸のような有機酸とともに形成される。遊離カルボキシル基とともに形成される塩もまた、ナトリウム、カリウム、アンモニア、カルシウム、または水酸化第二鉄のような無機塩基、および、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジンおよびプロカインのような有機塩基に由来してよい。
【0185】
<投与>
典型的には、医師が個々の被験者に最適であろう実際の投与量を決定するであろうし、その投与量は特定の患者の年齢、体重、および反応によって異なるであろう。以下の投与量は平均的な場合の代表的例である。もちろん、より高いまたはより低い投与量範囲のほうが有益である個体例も存在する可能性がある。
【0186】
直接注射により本発明の医薬およびワクチン組成物を投与してよい。非経口、粘膜、筋肉内、静脈、皮下、眼内、または経皮投与のために組成物を配合してよい。典型的には、体重1kgあたり0.01mgから体重1kgあたり30mg、好ましくは体重1kgあたり0.1mgから体重1kgあたり10mg、より好ましくは体重1kgあたり0.1mgから体重1kgあたり1mgの投与量で各タンパク質を投与してよい。
【0187】
「投与される」の語は、ウィルスまたは非ウィルス技術による送達を含む。ウィルス送達メカニズムは、アデノウィルスベクター、アデノ随伴ウィルス(AAV)ベクター、ヘルペスウィルスベクター、レトロウィルスベクター、レンチウィルスベクター、およびバキュロウィルスベクターを含むが、それに限定されない。非ウィルス送達メカニズムは、脂質介在移入、リポソーム、イムノリポソーム、リポフェクチン、カチオン性フェイシャルアンフィフィル(CFAs)、およびそれらの組み合わせを含む。そのような送達メカニズムの経路は、粘膜、経鼻、経口、非経口、胃腸管、局所、または舌下経路を含むが、それに限定されない。
【0188】
「投与される」の語は、例えば点鼻薬または吸入エアロゾルあるいは経口摂取可能溶液のような粘膜経路;および送達が、例えば静脈内、筋肉内、または皮下経路のような注射の形態による非経口経路によって送達することを含むが、それに限定されない。
【0189】
「同時投与される」の語は、例えば本発明のポリペプチドと、アジュバントのような付加物のそれぞれの投与の部位および時間が、免疫系の必要な制御が実行されるようになっていることを意味する。ゆえに、ポリペプチドとアジュバントは同時および同部位に投与されてよい一方、ポリペプチドをアジュバントと別時間および別部位に投与することが有利であってもよい。ポリペプチドとアジュバントはまた、同一の送達媒体で送達されてもよく、そのポリペプチドと抗原は、共役および/または非共役であってよく、遺伝的に共役および/または非共役であってよい。
【0190】
本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、ペプチド、ヌクレオチド、抗体、および任意選択のアジュバントは、宿主被験者に対して、単一投与または多投与で、別個に投与されても、または同時に投与されてもよい。
【0191】
(非経口、皮下、および筋肉内注射を含む)注射、鼻腔内、粘膜、経口、腟内、尿道、または眼球投与のような、複数の異なる経路により本発明のワクチン組成物および医薬組成物を投与してよい。
【0192】
例えば皮下または筋肉内注射による、非経口に都合がよいように本発明のワクチンおよび医薬組成物を投与してよい。他の投与方法に適した付加配合物は、座薬、およびある場合には経口配合物を含む。座薬のために、伝統的な結合剤および担体は、例えばポリアルキレングリコールまたはトリグリセリドを含んでよく;そのような座薬は、0.5%から10%、おそらくは1%から2%の範囲で活性成分を含む混合物より形成されてよい。経口配合物は、例えば医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム、およびその類似物のような、通常使用される賦形剤を含む。これらの組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、ピル、カプセル、徐放投与、または粉末の形態をとり、10%から95%の活性成分、好ましくは25%から70%の活性成分を含む。ワクチン組成物を凍結乾燥した場合、凍結乾燥物質を、投与前に例えば懸濁液として再構成してもよい。再構成は好ましくはバッファー中で行われる。
【実施例】
【0193】
<実施例1 遺伝子組換えGPR146ノックアウトマウス:GPR146遺伝子ターゲティングベクターの構築>
ゲノムデータベースの相同性検索を使用して、バイオインフォマティックスによりGPR146遺伝子を同定した。さまざまなデータベースより、約300kbのマウスゲノムコンティグを構築した。このコンティグにより、ターゲティングベクター中にクローニングするための相同腕の設計を可能にする十分な隣接配列情報が提供された。
【0194】
マウスGPR146遺伝子は、1個の翻訳エクソンを有する。7TM領域の全てを含む、コード化配列の大部分を除去するように、ターゲティング計画を設計する。削除される領域に隣接する4.0kbの5'相同腕と、1.8kbの3'相同腕をPCRにより増幅し、そのフラグメントをターゲティングベクターにクローニングする。腕の増幅に使用された各オリゴヌクレオチドプライマーの5'末端は、レポーター/選択カセットのどちらかの端に位置するベクターポリリンカーのクローニング部位に適合可能で、腕自体に存在しない希少切断制限酵素の異なる認識部位を含むよう合成される。GPR146の場合プライマーは、下記のプライマー表(表1)に列記されたように、NotI/SpeIの5'腕クローニング部位とAscI/FseIの3'腕クローニング部位をもつように設計される。
【0195】
腕のプライマー対(5’armF/5’armR)、および(3’armF/3’armR)に加えて、以下の目的のためにGPR146部位に特異的なさらなるプライマーを設計する。すなわち:単離された推定標的クローンにおいて、標的部位のサザンブロット解析を可能にするための、各腕の外部にある、および各腕を超えて伸張した、非反復ゲノムDNAの2本の短い150bpから300bpのフラグメントを増幅する5'および3'プローブプライマー対(5’prF/5’prRおよび3’prF/3’prR);ベクター特異的プライマー、この場合Asc403とともにマルチプレックスPCRに使用されたとき、野生型、ヘテロ接合型、およびホモ接合型のマウス間を区別することを可能にする、マウスジェノタイピングプライマー対(hetFおよびhetR);そして最後に、3'腕領域末端下流にアニールし、ベクターの3'末端に特異的なプライマー、この場合Asc79と対にされたとき、標的事象特異的1.9kbアンプライマー(Amplimer)を生成する標的スクリーニングプライマー(3'scr)。このアンプライマーは、望まれるゲノム改変を行われた細胞の鋳型DNAのみに由来させることができ、ランダムに挿入されたベクターのコピーを含むクローンのバックグラウンドから、正確な標的細胞の同定を可能とする。これらのプライマーの部位と標的計画に使用したGPR146部位領域のゲノム構造を、配列番号7(および図3)に示す。
【0196】
【表2】

【0197】
相同腕の位置は、GPR146遺伝子を機能的に破壊するように選択される。GPR146と同方向に設定された、発現を促進されるネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(neo)遺伝子からなる選択カセットより上流の内因性遺伝子発現レポーター(lacZ遺伝子に依存しないフレーム)からなる非相同配列と、削除するGPR146領域を置換するようにターゲッティングベクターを調製した。
【0198】
5'および3'相同腕をターゲッティングベクターにクローニングした後、巨大高純度DNA標本を標準の分子生物学技術を使用して作製した。ベクターバックボーンにおいてアンピシリン抵抗遺伝子とバクテリア複製起点の間の特定部位に存在する、別の希少切断制限酵素PmeIにより、新鮮な調製エンドトキシンフリーDNA20μgを切断する。その後直線化DNAを遠心し、リン酸緩衝食塩水100μlに再懸濁して、エレクトロポーレーションに使用することができる。
【0199】
エレクトロポーレーションの24時間後、ネオマイシン200μg/mlを含む培地中で9日間形質移入細胞を培養する。クローンを採取し、96ウェルプレートに移し、複製、展開し、その後(上記のプライマー、3'scrおよびAsc79を使用して)PCRでスクリーニングして、内因性GPR146遺伝子とターゲッティング構築物の間で相同組換えが行われたクローンを同定する。1%から5%の割合で陽性クローンを同定することができる。全て標準の手順(Russら(2000年), Nature 404巻:95-99ページ)を使用して、これらのクローンを展開し、レプリカを凍結し、上述のように調整された外部5'および3'プローブを使用したターゲッティング事象をサザンブロットにより確認するために十分高品質なDNAを調製することが可能となる。診断制限酵素で消化されたDNAのサザンブロットが外部プローブとハイブリダイズしたならば、変異バンドおよび変化しない野生型バンドの存在により、相同的標的ES細胞クローンを確認する。例えば5'プローブを使用して、AvrIIで消化したDNAにより13.9kbの野生型バンドと、7.8kbの標的バンドが得られるであろうし、3'プローブを使用して、AvrII切断DNAにより13.9kbの野生型バンドと、10kbの標的バンドが得られるであろう
【0200】
<実施例2 遺伝子組換えGPR146ノックアウトマウス:GPR146欠損マウスの作製>
C57BL/6メスおよびオスマウスを交配し、妊娠3.5日で胚盤胞を単離する。選択されたクローンから胚盤胞あたり10個から12個の細胞を注入し、7個から8個の胚盤胞を偽妊娠F1メスの子宮に移植する。同腹のキメラ子が、複数の高レベル(100%以下)のアグーチオス(アグーチコートカラーは、標的クローン由来の子孫である細胞の寄与を示している)を含んで誕生する。これらのオスキメラをMF1および129マウスと交配し、生殖系列の伝達はアグーチコートカラーおよびPCRジェノタイピングによって、それぞれ決定される。
【0201】
hetFおよびhetRプライマーと、第三のベクター特異的プライマー(Asc403)を使用して、溶解尾部クリップによりPCRジェノタイピングを実行した。このマルチプレックスPCRにより、hetFおよびhetRプライマーから282bpのバンドを与える(もし存在すれば)野生型部位より増幅することが可能となる。hetF部位はノックアウトマウスから削除されるため、標的アリルからこの増幅は行われない。しかしAsc403プライマーは、3'腕の正確に内側の領域にアニールするhetRプライマーと組み合わせて、標的部位から431bpのバンドを増幅するであろう。それゆえこのマルチプレックスPCRによって、同腹子の遺伝子型が以下のように明らかにされる。すなわち:野生型試料は1本の282bpのバンドを提示し;ヘテロ接合DNA試料から282bpと431bpの2本のバンドが得られ;そしてホモ接合の試料は標的特異的な431bpのバンドのみを示すであろう。
【0202】
<実施例3 血清コレステロール測定>
野生型およびGPR146ノックアウトマウスの、異なる年齢および性の血清コレステロール値をアッセイし、その結果を図2に示す。オスとメス両方に対して、GPR146 GPCRノックアウトマウスにおける血清コレステロール値の減少は有意である(StudentのT検定 p<0.05)。
【0203】
血清コレステロール値をアッセイするために、動物を余熱した後、尾静脈から血液を採取した。ヘパリン処理血液を、10000rpmで10分間卓上遠心基で遠心した。血漿は測定まで凍結保存された。
血清アッセイ法:酵素アッセイ―コレステロールエステラーゼ
試薬供給源:Dade Behring
解析機器:Dade-Behring Dimension RXL
試料量:3μl
アッセイ範囲:1.3 mmol/Lから15.5mmol/L
【0204】
血清コレステロールアッセイは、Rautela,GSおよびLiedtke,RJ(1978年), 「Automated enzymic measurement of total cholesterol in serum.」Clin Chem 第24巻に従って実行された。これは、Stadtman TC(1957年), Methods In Enzymology 第3巻:392-394ページ, 678-681ページの自動化版である。
【0205】
表2は、デュポン社Automated Clinical Analyser(aca)を使用したアッセイ方法の原理である。コレステロールエステルをコレステロールエステラーゼにより加水分解し、脂肪酸と遊離コレステロールを生成させる。後者は、既存遊離コレステロールとともに、コレステロールオキシダーゼが触媒する反応において酸化される。酸化反応産物は、コレステノン(cholest-4-en-3-one)および過酸化水素である。N,N-ジエチルアニリン塩酸塩と4-アミノアンチピリンの酸化に付随して過酸化水素は水に還元され、その後セイヨウワサビペルオキシダーゼが触媒する反応により、反応してキノネイミンダイ(quinoneimine dye)(発色団)、Amax=553nmを形成する。540nmで計測された発色団による吸光度から、600nmの吸光度を引いた値は、コレステロール濃度に正比例する。553nmマイナス600nmの波長の組み合わせはacaでは使用できないが、利用可能な代替の組み合わせ540nmマイナス600nmにより、十分な(約93%にもおよぶ)感度が提供される。acaでは、反応開始と最終吸光度測定の間のインターバルである、上記反応が完了する261.5秒範囲が利用可能である。
【0206】
【表3】

【0207】
上記に言及された全ての出版物が、ここに参照として引用されている。本発明で記述された方法およびシステムのさまざまな改変および変形は、本発明の範囲と意図から離れずとも当業者に自明であろう。本発明は特定の好ましい実施態様と関連して記述されたが、別記請求項のように本発明は、そのような特定の実施態様に過度に限定されるべきではない。実際に、分子生物学または関連分野の当業者に自明な、本発明を実行するために記述された方法のさまざまな改変は、別記請求項の範囲に含むことを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0208】
【図1】遺伝子破壊ベクターを表す図である。
【図2】野生型と比較して、年齢と性が異なるGPR146ノックアウトマウスで血清コレステロールが減少したことを示す。ノックアウトマウスにおけるコレステロール値の減少は、オスおよびメス両方で統計的に有意である(StudentのT検定 p<0.05)。
【図3−1】マウスGPR146のゲノム配列(配列番号7にも含まれる)を表し、ターゲッティング計画で使用したプライマーの位置を示す。
【図3−2】図3―1の続きを表す。
【図3−3】図3―2の続きを表す。
【図3−4】図3―3の続きを表す。
【図3−5】図3―4の続きを表す。
【図3−6】図3―5の続きを表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
候補試薬がGPR146の活性に影響を及ぼすか否かを決定する工程を含む、異脂肪血症治療に適した試薬を同定する方法。
【請求項2】
試薬がGPR146の活性を阻害するアンタゴニストである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
試薬がGPR146の活性を増強するアゴニストである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
GPR146が、ここで配列番号4または配列番号6、あるいは配列番号4または配列番号6に少なくとも70%の配列同一性をもつ配列として同定されるポリペプチドを含む、またはコード化する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
GPR146が、ここで配列番号4または配列番号6、あるいは配列番号4または配列番号6に少なくとも70%の配列同一性をもつ配列として同定されるポリペプチドからなる、またはコード化する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
異脂肪血症が、アテローム性疾患、アテローム性動脈硬化、冠動脈心疾患、高コレステロール血症を含む異脂肪血症/異リポタンパク血症、胆嚢疾患、耐糖能障害、インスリン抵抗性、メタボリックシンドロームX、肥満、再狭窄、脳卒中、2型糖尿病、狭心症、一過性脳虚血発作(TIA)、または末梢動脈疾患(PAD)である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
候補試薬がGPR146の活性に影響を及ぼすか否かを決定するために、GPR146ポリペプチドを候補試薬と接触させる、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
GPR146ポリペプチドを発現する細胞と候補試薬を接触させる、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
GPR146ポリペプチドを発現する非ヒト動物に候補試薬を投与し、非ヒト動物が、変化した脂質代謝を提示するか否かを決定する工程を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
非ヒト動物が機能的GPR146ポリペプチドを発現する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
非ヒト動物が野生型である、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
非ヒト動物が齧歯類である、請求項9から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
機能的に破壊された内因性GPR146遺伝子を有する非ヒト遺伝子組換え動物。
【請求項14】
動物が機能欠損変異を有する、請求項13に記載の非ヒト遺伝子組換え動物。
【請求項15】
動物がGPR146遺伝子に対して−/−である、請求項13または14に記載の非ヒト遺伝子組換え動物。
【請求項16】
異脂肪血症の治療のためにGPR146遺伝子のアゴニストまたはアンタゴニストを同定するための、請求項13から15のいずれか一項に記載の非ヒト遺伝子組換え動物、あるいはその単離細胞または組織の使用。
【請求項17】
異脂肪血症のモデルとしての、請求項13から15のいずれか一項に記載の非ヒト遺伝子組換え動物の使用。
【請求項18】
(i)患者から単離された試料中のGPR146遺伝子の発現値を決定する工程、および(ii)対照と比較して、試料を単離した個体が異脂肪血症を有する、または異脂肪血症に感受性であるか否かを決定する工程を含む、個体における異脂肪血症に対する感受性の存在を決定する方法。
【請求項19】
異脂肪血症の予防または治療のための医薬の製造における、GPR146ポリペプチドの活性に影響を及ぼす試薬の使用。
【請求項20】
異脂肪血症の予防または治療のための医薬の製造における、外因性GPR146ポリヌクレオチドの使用。
【請求項21】
異脂肪血症の予防または治療のための医薬の製造における、GPR146ポリヌクレオチドの転写または発現を増加または減少させる試薬の使用。
【請求項22】
異脂肪血症が請求項6で定義される、請求項16から21のいずれか一項に記載の方法または使用。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図3−4】
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【図3−5】
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【図3−6】
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【公表番号】特表2009−511037(P2009−511037A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−535087(P2008−535087)
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【国際出願番号】PCT/GB2006/003759
【国際公開番号】WO2007/042792
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(507200802)タケダ・ケンブリッジ・リミテッド (6)
【Fターム(参考)】