HEPA効率および臭気制御のためのPTFEフィルムおよびカーボンウェブを用いたフィルター媒体構築物
本明細書では、とりわけ、真空掃除機の空気濾過カートリッジ用途に使用され得る改善された臭気制御のための複数の層を含んだ改良されたフィルター媒体構築物が開示される。このフィルター媒体は、カビの生育を防止する抗微生物ePTFE HEPAフィルター媒体を含む。フィルター媒体はまた、空気清浄器濾過、住宅および工業用建物の中央空気濾過(HVAC)、クリーンルーム、ならびに超小型電子デバイスにも使用され得る。1つの実施形態において、改良されたフィルター媒体構築物は、少なくとも、PTFE層と、二成分層と、ベース層とを含む。1つの実施形態において、PTFE層は、ePTFEを含む。1つの実施形態において、二成分層は、不織布ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート(PE/PET)を含む。さらに別の実施形態において、ベース層は、活性炭を含む。他の局面および実施形態も、本明細書において提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2010年7月22日に、米国国内企業であるDonaldson Company,Inc.(米国を除く全ての国の指定についての出願人)および米国民であるKirit Patel(米国のみの指定についての出願人)の名において、PCT国際特許出願として出願されるものであり、2009年7月22日に出願された米国仮特許出願第61/227,784号に対する優先権を主張しており、この仮特許出願の内容は、参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、一般に、積層フィルター媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
アレルギー患者および呼吸状態の患者は、多くの場合、空気中の粒状物質に感受性である。真空掃除機および空気清浄器濾過デバイスは、家庭および職場における粒状物質を除去しようとするものであり、こうした粒子を捕捉するためのフィルターを必要とする。そのようなフィルターがなければ、真空掃除機は、粒状物質をただ空気中に戻して再循環させるだけであろう。工業用集塵装置は、規制上の要件がますます厳しくなってきているため、ますます小さい粒子をより高い割合でプロセス空気流から除去することが求められている。ガスタービン吸気濾過システムもまた、多数の非常に小さい粒子を、そうした粒子の存在がタービンブレードに修復不可能な損傷を与え得るため、除去しなければならない。環境の清潔さ、その居住者の健康、工業プロセスの効率、産業設備の保全、および生活の全体的な美しさには、サブミクロンの粒状物質が空気流からフィルターによって直ちに除去される必要がある。
【0004】
そのようなシステムを通過する空気流からのサブミクロン微粒子の除去を達成するために、慣性分離器は、ただ粒状物質の経路に物理的障壁を設け、次いで粒状物質を衝突させて空気流から捕集瓶に入れるだけであることが多い。ペーパーバッグ集塵器は、袋形態の紙濾過器技術に基づくフィルターにすぎない。そのようなペーパーバッグは、空気流から微粒子を分離するために、典型的には、ただ空気流を横切って取り付けられているだけである。
【0005】
より新しいフィルターは、捕集フィルターまたは平板もしくは円筒形カートリッジを備えて設計されてきている。これらの用途では、HEPA濾過材が使用されている。定義上、HEPAフィルターは、直径0.3μm以上の空中浮揚の粒子の少なくとも99.97%を除去するものである。それらの一般的な信頼性および高いレベルの性能ゆえに、HEPAフィルターは、放射性物質、アスベスト、鉛、ベリリウム、および他の有毒な微粒子の放出を最小限に抑えるために使用されることが多い。真空掃除機において、HEPAフィルターは、空気汚染制御のために使用される。多くの場合、HEPA構造物は、発泡PTFE(ePTFE)層をフィルター構築物においてメルトブロー繊維の層と合わせて含むか、またはセルロース濾紙層をフィルター構築物においてメルトブロー繊維の層と合わせて含む。これらの構造物は、多くの場合、フィルターを叩くことによって、または圧縮空気流を用いてフィルターから濾過ケークもしくは微粒子を吹き飛ばすことによって清浄にされる。
【0006】
より新しいフィルターの濾過効率および清浄性は重要である。これらのフィルターは、ダストおよび汚れを除去し得なければならないが、フィルターに損傷を与えることなく容易に清浄にし得なければならない。多くの場合、ダストおよび汚れを取り除くためにフィルターで硬い物体を叩くことによって汚れたフィルターを清浄にすることは、フィルター媒体が故障する原因となり得るか、または多層要素が離層する原因となり得、その結果、フィルター構造物を通るダストおよび汚れの経路の形成により、フィルターが機能しなくなる原因となり得る。別の故障モードは、微細なダスト粒子がフィルター媒体の奥まったところに捕捉される場合に生じ、ダストが典型的なフィルター清浄機構によっては取り除かれ得ないようになり、その結果、真空力が減少し、フィルター寿命が短くなってしまう。
【0007】
真空掃除機バッグにおいて微細繊維層を用いるダストフィルター真空掃除機技術の一例は、Emigらの特許文献1である。発泡PTFEを用いる湿式/乾式真空掃除機におけるフィルターカートリッジの一例は、Scanlonらの特許文献2である。スクリム化(scrimmed)HEPA媒体などのフィルター材料は、多くの場合、高い効率を有するが、多くの場合、耐用年数が短く、水曝露により劣化し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,395,046号明細書
【特許文献2】米国特許第5,783,086号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
より小さい圧力低下およびより高い効率を維持しながら臭気を除去するのに適したフィルター媒体構築物の必要性が依然としてある。さらに、HEPA効率、臭気制御、および抗微生物処理を単一の媒体で提供して、カートリッジ媒体中でのカビの生育を制御するフィルター媒体構築物の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、一般に、改善された臭気制御および濾過のための多層HEPAフィルター媒体に関する。本発明は、改善された臭気制御のための多層抗微生物ePTFE HEPAフィルター媒体を提供する。この媒体は、特に、真空掃除機の空気濾過カートリッジ用途のために設計されているが、これは、様々な他の濾過システムにも使用され得る。そのようなシステムとしては、空気清浄器濾過、住宅および工業用建物の中央空気濾過(HVAC)、クリーンルーム、ならびに超小型電子デバイスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0011】
当該フィルター媒体構築物は、上流側媒体層と、二成分ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート(PE/PET)層と、ベース層との少なくとも3層を典型的に含む。1つの実施形態において、PTFEが、上流側媒体層に使用される。別の実施形態において、上流側媒体層に使用されるPFTEは、発泡PTFE(ePTFE)である。ePTFEフィルム層は、HEPA効率およびHEPA効率での最小限の圧力低下を伴う軽打清浄性(tap cleanability)をはじめとする、濾過媒体にとって重要な利点をいくつも提供する。1つの実施形態において、二成分層は、不織布ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート(PE/PET)を含む。特定の実施形態において、ベース層は、活性炭を含む。
【0012】
本概要は、本願の教示のうちのいくつかの概説であって、本主題の排他的または包括的な扱いを意図するものではない。さらなる詳細は、詳細な説明および添付の特許請求の範囲において見出される。他の態様は、以下の詳細な説明を読み、理解し、その一部を構成する図面を考慮することによって当業者に明らかとなるであろうが、これらはそれぞれ、限定的な意味で解釈されるべきではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびそれらの法的均等物により規定される。
【0013】
本発明は、以下の図面と関連付けて、より完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に従うフィルター構築物の概略正面透視図である。
【図2】本発明の1つの実施形態に従う多層フィルター媒体の横断面図である。
【図3】図2に示されたフィルター媒体の走査電子顕微鏡マイクログラフである。
【図4】本発明の1つの実施形態に従う多層フィルター媒体の横断面図である。
【図5】本発明の1つの実施形態に従う多層フィルター媒体の横断面図である。
【図6】本発明の1つの実施形態に従う多層フィルター媒体の横断面図である。
【図7】本発明の1つの実施形態に従う多層フィルター媒体の横断面図である。
【図8A】本発明に従って作製された媒体をアンモニアでチャレンジしたガス排出試験(off−gassing test)を行った試験結果を示している。
【図8B】本発明に従って作製された媒体をH2Sでチャレンジしたガス排出試験を行った試験結果を示している。
【図9】本発明の1つの実施形態において使用される媒体の2つの異なる試料についての分別効率を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、様々な改変および代替形態が可能であるが、その特定のものが、例として、図面によって示されており、詳細に説明されることになる。しかしながら、本発明は、説明された特定の実施形態に限定されないことが理解されるべきである。それどころか、本発明は、本発明の精神および範囲の内に入る改変物、均等物、および代替物を対象として含むことを意図するものである。
【0016】
汎用の真空掃除機および湿式/乾式真空掃除機システムの市場は、ここ数年の間に、真空掃除機およびそのフィルターに対して一層高い性能基準を課すようになってきている。こうしたデバイスは、住宅、駐車場、地階、店舗、庭、および様々な産業環境におけるしばしば厳しいこともある湿潤または乾燥環境から真空掃除機によって得られた流れから、ますます小さい粒子をますます高い割合で除去することが求められている。この要求の高まりは、健康の改善、アレルギーの低減、清浄性の改善、周囲粒子総数の低減の必要性、ならびに住宅、店舗および産業環境に関する他の要件を満たすものである。
【0017】
先行技術のフィルター媒体は、濾過装置および方法における割り当てられた役割において適切な性能を有してきた。しかしながら、これらの媒体は全て、様々な問題を抱えている。現在のところ、フィルター技術は臭気制御を提供してはいるものの、改善された臭気制御が望まれている。湿ったフィルターは、しばしばフィルター上での好ましくないカビおよび白カビの生育を促進する。このカビが、延いてはカビ胞子を生成し、これが、空気に汚染を加え得る。さらに、典型的に、住居または他の非工業用途に対して所望の効率を達成し得るフィルターは、その用途にとっては大きすぎるフィルター媒体を横切る圧力低下をもたらすことが多い。
【0018】
本発明は、改善された臭気制御のための多層抗微生物ePTFE HEPAフィルター媒体を提供する。この媒体は、特に、真空掃除機の空気濾過カートリッジ用途のために設計されているが、これは、様々な他の濾過システムにも使用され得る。そのようなシステムとしては、空気清浄器濾過、住宅および工業用建物の中央空気濾過(HVAC)、クリーンルーム、ならびに超小型電子デバイスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
フィルター構築物
図1を参照すると、実施例実施形態のフィルター媒体構築物10は、上流側媒体層20と、二成分(PE/PET)層30と、ベース層40との少なくとも3層を含む。使用において、気流は、上流側媒体層20から出発し、二成分層30を通過し、ベース層40を通って出る。
【0020】
1つの実施形態において、PTFEが、上流側媒体層20に使用される。1つの典型的な実施形態において、上流側媒体層20に使用されるPFTEは、発泡PTFE(ePTFE)である。ePTFEフィルム層は、任意選択的なHEPA効率およびHEPA効率での最小限の圧力低下を伴う軽打清浄性をはじめとする、濾過媒体にとって重要な利点をいくつも提供する。HEPA効率は、0.3マイクロメートル粒子で最低99.97%として定義される(米国基準)。
【0021】
1つの実施形態において、ベース層40は、活性炭層を含み、上流側媒体層20は、ePTFEである。別の実施形態において、活性炭層は、最低45%の活性炭を含む。ePTFE濾過層は、熱および圧力下でローメルト二成分層30を用いてカーボンベースの媒体と結合される。
【0022】
図2は、上流側媒体層20がePTFEフィルムを含み、二成分層30が不織布PE/PETであり、ベース層40が活性炭を含む、本発明の1つの実施形態を示している。二成分層30は、抗微生物物質で処理され得る。図2に示されるように、二成分層30はまた、代替的に、ローメルト接着剤ウェブを用いても形成され得る。さらに、ベース層活性炭が、抗微生物物質で処理され得る。図3は、図2に示されたフィルター媒体の走査電子顕微鏡マイクログラフを示している。
【0023】
1つの実施形態において、図4に示されるように、ベース層40は、活性炭およびナノ繊維を含み、上流側媒体層20は、PTFEである。
【0024】
1つの実施形態において、図5に示されるように、ベース層40は、カーボン粒子を含むメルトブロー媒体であり、上流側媒体層20は、PTFEである。
【0025】
1つの実施形態において、図6に示されるように、ベース層40は、カーボン粒子を含む、粒子多配合(particle laden)メルトブローナノ繊維であり、上流側媒体層20は、PTFEである。
【0026】
1つの実施形態において、ベース層40は、カーボン粒子をさらに含有する粒子多配合メルトブロー材料であり、上流側媒体層20は、Donaldson Company,Inc.(Bloomington,Minnesota)によって作り出されたナノ繊維である。この実施形態は、図7に示される。1つの実施形態において、このナノ繊維は、片面がコーティングされ得る。別の実施形態において、このナノ繊維は、両面がコーティングされ得る。種々の実施形態において、ナノ繊維媒体は、他の媒体(例えば、カーボン配合メルトブロー媒体)と一緒にひだ折りされ(co−pleated)得る。
【0027】
例示的材料
本発明は、様々な材料を用いて構築され得る。定義上HEPAフィルターは直径0.3μmの空中浮揚の粒子の少なくとも99.97%を除去するものであるから、HEPA濾過材が好ましい。しかしながら、フィルターの構築物であることから、本発明のフィルターを構築するために使用される出発材料がHEPA効率ではなくても、フィルター媒体構築物全体はHEPA効率となり得る。1つの実施形態において、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が、上流側媒体層に使用される。発泡PTFE(ePTFE)もまた、本発明において利用され得る。典型的に、ePTFE媒体は、非常に大きい圧力低下および適度のHEPA効率を有している。
【0028】
代替的に、図7に示されるように、上流側媒体層20は、ナノ繊維(例えば、Donaldson Company,Inc.(Bloomington,Minnesota)によって作り出されたナノ繊維)を含み得る。こうしたナノ繊維は、中程度の濾過効率を有する低コストの選択肢を提供する。こうしたナノ繊維の例として、メルトブローカーボン媒体と一緒にひだ折りされたまたは結合された、片面がコーティングされたものおよび両面がコーティングされたものが挙げられる。メルトブローカーボン媒体は、様々な商業的供給源(例えば、Hollingsworth and Vose(East Walpole,Massachusetts))から入手可能である。
【0029】
1つの実施形態において、二成分層30は、ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート(PE/PET)を含み得る。別の実施形態において、二成分層30は、ローメルト接着剤ウェブを含み得る。
【0030】
1つの実施形態において、ベース層40は、活性炭を含む。1つの好ましい実施形態において、ベース層40は、最低45%の活性炭を含む。ベース層は、抗微生物処理を行うかまたは行わずに製造され得る。代替的に、ベース層40は、活性炭とともにナノ繊維を含む。本願において、ナノ繊維は多機能目的を有しており、ePTFEフィルムから脱出した空中浮揚の汚染物質を捕捉するのに役立つことに加え、ナノ繊維は、PTFEフィルムのみが使用される場合よりも、全体的な圧力低下を小さくする。したがって、こうした材料の使用により、出発PTFEフィルムがHEPA効率である必要はなくなる。
【0031】
別の実施形態において、ベース媒体40は、カーボン粒子を含んだメルトブロー媒体を含む。カーボン粒子を含んだメルトブロー媒体は、2つの目的に役立つ。これは、臭気制御を助けるだけでなく、ePTFEフィルム層を脱出した空中浮揚の汚染物質を捕捉するのにも役立つ。さらに、全体的な圧力低下はPTFEフィルムのみが使用される場合よりも小さくなるので、出発PTFEフィルムは、HEPA効率である必要はない。
【0032】
さらに別の実施形態において、ベース媒体40は、ナノ繊維を含んだカーボン粒子多配合メルトブロー媒体を含む。そのような材料は、より小さい圧力低下およびより高い効率を有するとともに、臭気を除去するのに適している。この実施形態の出発PTFEフィルムは、HEPA効率である必要はない。
【0033】
ベース媒体40に使用され得る1つの例示的な材料は、Lydall,Inc.(Manchester,Connecticut)によって開発された2種一体型(2−in−1)カーボン支持体である。そのような材料の一例は、Lydall,Inc.(Manchester,Connecticut)によって開発されたC−680 ActiPure(登録商標)媒体である。このActiPure(登録商標)媒体は、不織布材料および活性炭を含む。
【0034】
Interbasic Resources Inc.(IBR)が、媒体に対し、効率試験およびガス排出試験を行った。これを、図8Aおよび8Bに示す。これらの試験は、真空掃除機の臭気制御のためにIBRが開発した試験である。ガス排出試験に関して、媒体は、アンモニアおよびH2Sでチャレンジされた。
【0035】
図8Aは、静的条件下での充填された真空掃除機フィルターからのガス排出を測定するために媒体をアンモニアでチャレンジしたガス排出試験を行った試験結果を示している。ガス排出試験において用いられた汚染物質は、200ppm(体積)のアンモニアで飽和させた50gのIEC 60312試験用家庭ダストであった。この試験は、華氏70度にて、相対湿度48%および気圧736mmHgで行った。試験された媒体試料は、ポケット状に成形された12インチ×12インチ(30.48センチメートル×30.48センチメートル)のフラットシート媒体であり、これに50グラムのダストを充填した。
【0036】
図8Bは、静的条件下での充填された真空掃除機フィルターからのガス排出を測定するために媒体をアンモニアでチャレンジしたガス排出試験を行った試験結果を示している。ガス排出試験において使用された汚染物質は、この試験では、200ppm(体積)のH2Sで飽和させた50gのIEC 60312試験用家庭ダストであった。この試験は、華氏71度にて、相対湿度47%および気圧739mmHgで行った。試験された媒体試料は、ポケット状に成形された12インチ×12インチ(30.48センチメートル×30.48センチメートル)のフラットシート媒体であり、これに50グラムのダストを充填した。
【0037】
図9に示されたベース媒体40における使用のための別の例示的な材料は、その媒体の2つの異なる試料についてのこの材料の分別効率を示す。
【0038】
さらに、フィルター媒体10は、微細な微粒子を除去する効率を改善するためおよび他の目的のために任意の数の方法で処理され得る。例えば、1つ以上の微細繊維層を有するセルロース媒体または当業者に知られた他の種類の媒体が使用され得るのと同様に、静電処理された媒体が使用され得る。フィルター媒体10はまた、フィルター上でのカビの生育を防止するために、抗微生物物質で処理され得る。抗ウイルス剤または抗菌剤もまた、感染性因子の個体数を減少させるためにフィルター媒体10を処理するのに使用され得る。
【0039】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、内容が明らかに別のことを指示しない限り、複数への言及を包含するということに留意されたい。また、用語「または(or)」は、内容が明らかに別のことを指示しない限り、一般に、「および/または(and/or)」を包含する意味で使用されるということにも留意されたい。
【0040】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、語句「構成される(configured)」は、特定の仕事を遂行するかまたは特定の構成を採用するように構築または構成されるシステム、装置、または他の構造物を記載するということにも留意されたい。語句「構成される」は、他の類似の語句(例えば、「配置される(arranged)」、「配置され、構成される」、「構築され(constructed)、配置される」、「構築される」、「製造され(manufactured)、配置される」など)と交換可能に使用され得る。
【0041】
本明細書中の文献および特許出願は全て、本発明が関わる当業者のレベルを示すものである。全ての文献および特許出願は、各個々の文献または特許出願が具体的かつ個別的に参照により示された場合と同じ程度に参照により本明細書に援用される。
【0042】
本願は、本主題の改造物または変形物を対象として含むことが意図されている。上記の記載は、例示することが意図されるものであり、限定することが意図されるものではないことが理解されるべきである。本主題の範囲は、添付の特許請求の範囲を、当該特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲とともに参照して決定されるべきである。
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2010年7月22日に、米国国内企業であるDonaldson Company,Inc.(米国を除く全ての国の指定についての出願人)および米国民であるKirit Patel(米国のみの指定についての出願人)の名において、PCT国際特許出願として出願されるものであり、2009年7月22日に出願された米国仮特許出願第61/227,784号に対する優先権を主張しており、この仮特許出願の内容は、参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、一般に、積層フィルター媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
アレルギー患者および呼吸状態の患者は、多くの場合、空気中の粒状物質に感受性である。真空掃除機および空気清浄器濾過デバイスは、家庭および職場における粒状物質を除去しようとするものであり、こうした粒子を捕捉するためのフィルターを必要とする。そのようなフィルターがなければ、真空掃除機は、粒状物質をただ空気中に戻して再循環させるだけであろう。工業用集塵装置は、規制上の要件がますます厳しくなってきているため、ますます小さい粒子をより高い割合でプロセス空気流から除去することが求められている。ガスタービン吸気濾過システムもまた、多数の非常に小さい粒子を、そうした粒子の存在がタービンブレードに修復不可能な損傷を与え得るため、除去しなければならない。環境の清潔さ、その居住者の健康、工業プロセスの効率、産業設備の保全、および生活の全体的な美しさには、サブミクロンの粒状物質が空気流からフィルターによって直ちに除去される必要がある。
【0004】
そのようなシステムを通過する空気流からのサブミクロン微粒子の除去を達成するために、慣性分離器は、ただ粒状物質の経路に物理的障壁を設け、次いで粒状物質を衝突させて空気流から捕集瓶に入れるだけであることが多い。ペーパーバッグ集塵器は、袋形態の紙濾過器技術に基づくフィルターにすぎない。そのようなペーパーバッグは、空気流から微粒子を分離するために、典型的には、ただ空気流を横切って取り付けられているだけである。
【0005】
より新しいフィルターは、捕集フィルターまたは平板もしくは円筒形カートリッジを備えて設計されてきている。これらの用途では、HEPA濾過材が使用されている。定義上、HEPAフィルターは、直径0.3μm以上の空中浮揚の粒子の少なくとも99.97%を除去するものである。それらの一般的な信頼性および高いレベルの性能ゆえに、HEPAフィルターは、放射性物質、アスベスト、鉛、ベリリウム、および他の有毒な微粒子の放出を最小限に抑えるために使用されることが多い。真空掃除機において、HEPAフィルターは、空気汚染制御のために使用される。多くの場合、HEPA構造物は、発泡PTFE(ePTFE)層をフィルター構築物においてメルトブロー繊維の層と合わせて含むか、またはセルロース濾紙層をフィルター構築物においてメルトブロー繊維の層と合わせて含む。これらの構造物は、多くの場合、フィルターを叩くことによって、または圧縮空気流を用いてフィルターから濾過ケークもしくは微粒子を吹き飛ばすことによって清浄にされる。
【0006】
より新しいフィルターの濾過効率および清浄性は重要である。これらのフィルターは、ダストおよび汚れを除去し得なければならないが、フィルターに損傷を与えることなく容易に清浄にし得なければならない。多くの場合、ダストおよび汚れを取り除くためにフィルターで硬い物体を叩くことによって汚れたフィルターを清浄にすることは、フィルター媒体が故障する原因となり得るか、または多層要素が離層する原因となり得、その結果、フィルター構造物を通るダストおよび汚れの経路の形成により、フィルターが機能しなくなる原因となり得る。別の故障モードは、微細なダスト粒子がフィルター媒体の奥まったところに捕捉される場合に生じ、ダストが典型的なフィルター清浄機構によっては取り除かれ得ないようになり、その結果、真空力が減少し、フィルター寿命が短くなってしまう。
【0007】
真空掃除機バッグにおいて微細繊維層を用いるダストフィルター真空掃除機技術の一例は、Emigらの特許文献1である。発泡PTFEを用いる湿式/乾式真空掃除機におけるフィルターカートリッジの一例は、Scanlonらの特許文献2である。スクリム化(scrimmed)HEPA媒体などのフィルター材料は、多くの場合、高い効率を有するが、多くの場合、耐用年数が短く、水曝露により劣化し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,395,046号明細書
【特許文献2】米国特許第5,783,086号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
より小さい圧力低下およびより高い効率を維持しながら臭気を除去するのに適したフィルター媒体構築物の必要性が依然としてある。さらに、HEPA効率、臭気制御、および抗微生物処理を単一の媒体で提供して、カートリッジ媒体中でのカビの生育を制御するフィルター媒体構築物の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、一般に、改善された臭気制御および濾過のための多層HEPAフィルター媒体に関する。本発明は、改善された臭気制御のための多層抗微生物ePTFE HEPAフィルター媒体を提供する。この媒体は、特に、真空掃除機の空気濾過カートリッジ用途のために設計されているが、これは、様々な他の濾過システムにも使用され得る。そのようなシステムとしては、空気清浄器濾過、住宅および工業用建物の中央空気濾過(HVAC)、クリーンルーム、ならびに超小型電子デバイスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0011】
当該フィルター媒体構築物は、上流側媒体層と、二成分ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート(PE/PET)層と、ベース層との少なくとも3層を典型的に含む。1つの実施形態において、PTFEが、上流側媒体層に使用される。別の実施形態において、上流側媒体層に使用されるPFTEは、発泡PTFE(ePTFE)である。ePTFEフィルム層は、HEPA効率およびHEPA効率での最小限の圧力低下を伴う軽打清浄性(tap cleanability)をはじめとする、濾過媒体にとって重要な利点をいくつも提供する。1つの実施形態において、二成分層は、不織布ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート(PE/PET)を含む。特定の実施形態において、ベース層は、活性炭を含む。
【0012】
本概要は、本願の教示のうちのいくつかの概説であって、本主題の排他的または包括的な扱いを意図するものではない。さらなる詳細は、詳細な説明および添付の特許請求の範囲において見出される。他の態様は、以下の詳細な説明を読み、理解し、その一部を構成する図面を考慮することによって当業者に明らかとなるであろうが、これらはそれぞれ、限定的な意味で解釈されるべきではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびそれらの法的均等物により規定される。
【0013】
本発明は、以下の図面と関連付けて、より完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に従うフィルター構築物の概略正面透視図である。
【図2】本発明の1つの実施形態に従う多層フィルター媒体の横断面図である。
【図3】図2に示されたフィルター媒体の走査電子顕微鏡マイクログラフである。
【図4】本発明の1つの実施形態に従う多層フィルター媒体の横断面図である。
【図5】本発明の1つの実施形態に従う多層フィルター媒体の横断面図である。
【図6】本発明の1つの実施形態に従う多層フィルター媒体の横断面図である。
【図7】本発明の1つの実施形態に従う多層フィルター媒体の横断面図である。
【図8A】本発明に従って作製された媒体をアンモニアでチャレンジしたガス排出試験(off−gassing test)を行った試験結果を示している。
【図8B】本発明に従って作製された媒体をH2Sでチャレンジしたガス排出試験を行った試験結果を示している。
【図9】本発明の1つの実施形態において使用される媒体の2つの異なる試料についての分別効率を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、様々な改変および代替形態が可能であるが、その特定のものが、例として、図面によって示されており、詳細に説明されることになる。しかしながら、本発明は、説明された特定の実施形態に限定されないことが理解されるべきである。それどころか、本発明は、本発明の精神および範囲の内に入る改変物、均等物、および代替物を対象として含むことを意図するものである。
【0016】
汎用の真空掃除機および湿式/乾式真空掃除機システムの市場は、ここ数年の間に、真空掃除機およびそのフィルターに対して一層高い性能基準を課すようになってきている。こうしたデバイスは、住宅、駐車場、地階、店舗、庭、および様々な産業環境におけるしばしば厳しいこともある湿潤または乾燥環境から真空掃除機によって得られた流れから、ますます小さい粒子をますます高い割合で除去することが求められている。この要求の高まりは、健康の改善、アレルギーの低減、清浄性の改善、周囲粒子総数の低減の必要性、ならびに住宅、店舗および産業環境に関する他の要件を満たすものである。
【0017】
先行技術のフィルター媒体は、濾過装置および方法における割り当てられた役割において適切な性能を有してきた。しかしながら、これらの媒体は全て、様々な問題を抱えている。現在のところ、フィルター技術は臭気制御を提供してはいるものの、改善された臭気制御が望まれている。湿ったフィルターは、しばしばフィルター上での好ましくないカビおよび白カビの生育を促進する。このカビが、延いてはカビ胞子を生成し、これが、空気に汚染を加え得る。さらに、典型的に、住居または他の非工業用途に対して所望の効率を達成し得るフィルターは、その用途にとっては大きすぎるフィルター媒体を横切る圧力低下をもたらすことが多い。
【0018】
本発明は、改善された臭気制御のための多層抗微生物ePTFE HEPAフィルター媒体を提供する。この媒体は、特に、真空掃除機の空気濾過カートリッジ用途のために設計されているが、これは、様々な他の濾過システムにも使用され得る。そのようなシステムとしては、空気清浄器濾過、住宅および工業用建物の中央空気濾過(HVAC)、クリーンルーム、ならびに超小型電子デバイスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
フィルター構築物
図1を参照すると、実施例実施形態のフィルター媒体構築物10は、上流側媒体層20と、二成分(PE/PET)層30と、ベース層40との少なくとも3層を含む。使用において、気流は、上流側媒体層20から出発し、二成分層30を通過し、ベース層40を通って出る。
【0020】
1つの実施形態において、PTFEが、上流側媒体層20に使用される。1つの典型的な実施形態において、上流側媒体層20に使用されるPFTEは、発泡PTFE(ePTFE)である。ePTFEフィルム層は、任意選択的なHEPA効率およびHEPA効率での最小限の圧力低下を伴う軽打清浄性をはじめとする、濾過媒体にとって重要な利点をいくつも提供する。HEPA効率は、0.3マイクロメートル粒子で最低99.97%として定義される(米国基準)。
【0021】
1つの実施形態において、ベース層40は、活性炭層を含み、上流側媒体層20は、ePTFEである。別の実施形態において、活性炭層は、最低45%の活性炭を含む。ePTFE濾過層は、熱および圧力下でローメルト二成分層30を用いてカーボンベースの媒体と結合される。
【0022】
図2は、上流側媒体層20がePTFEフィルムを含み、二成分層30が不織布PE/PETであり、ベース層40が活性炭を含む、本発明の1つの実施形態を示している。二成分層30は、抗微生物物質で処理され得る。図2に示されるように、二成分層30はまた、代替的に、ローメルト接着剤ウェブを用いても形成され得る。さらに、ベース層活性炭が、抗微生物物質で処理され得る。図3は、図2に示されたフィルター媒体の走査電子顕微鏡マイクログラフを示している。
【0023】
1つの実施形態において、図4に示されるように、ベース層40は、活性炭およびナノ繊維を含み、上流側媒体層20は、PTFEである。
【0024】
1つの実施形態において、図5に示されるように、ベース層40は、カーボン粒子を含むメルトブロー媒体であり、上流側媒体層20は、PTFEである。
【0025】
1つの実施形態において、図6に示されるように、ベース層40は、カーボン粒子を含む、粒子多配合(particle laden)メルトブローナノ繊維であり、上流側媒体層20は、PTFEである。
【0026】
1つの実施形態において、ベース層40は、カーボン粒子をさらに含有する粒子多配合メルトブロー材料であり、上流側媒体層20は、Donaldson Company,Inc.(Bloomington,Minnesota)によって作り出されたナノ繊維である。この実施形態は、図7に示される。1つの実施形態において、このナノ繊維は、片面がコーティングされ得る。別の実施形態において、このナノ繊維は、両面がコーティングされ得る。種々の実施形態において、ナノ繊維媒体は、他の媒体(例えば、カーボン配合メルトブロー媒体)と一緒にひだ折りされ(co−pleated)得る。
【0027】
例示的材料
本発明は、様々な材料を用いて構築され得る。定義上HEPAフィルターは直径0.3μmの空中浮揚の粒子の少なくとも99.97%を除去するものであるから、HEPA濾過材が好ましい。しかしながら、フィルターの構築物であることから、本発明のフィルターを構築するために使用される出発材料がHEPA効率ではなくても、フィルター媒体構築物全体はHEPA効率となり得る。1つの実施形態において、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が、上流側媒体層に使用される。発泡PTFE(ePTFE)もまた、本発明において利用され得る。典型的に、ePTFE媒体は、非常に大きい圧力低下および適度のHEPA効率を有している。
【0028】
代替的に、図7に示されるように、上流側媒体層20は、ナノ繊維(例えば、Donaldson Company,Inc.(Bloomington,Minnesota)によって作り出されたナノ繊維)を含み得る。こうしたナノ繊維は、中程度の濾過効率を有する低コストの選択肢を提供する。こうしたナノ繊維の例として、メルトブローカーボン媒体と一緒にひだ折りされたまたは結合された、片面がコーティングされたものおよび両面がコーティングされたものが挙げられる。メルトブローカーボン媒体は、様々な商業的供給源(例えば、Hollingsworth and Vose(East Walpole,Massachusetts))から入手可能である。
【0029】
1つの実施形態において、二成分層30は、ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート(PE/PET)を含み得る。別の実施形態において、二成分層30は、ローメルト接着剤ウェブを含み得る。
【0030】
1つの実施形態において、ベース層40は、活性炭を含む。1つの好ましい実施形態において、ベース層40は、最低45%の活性炭を含む。ベース層は、抗微生物処理を行うかまたは行わずに製造され得る。代替的に、ベース層40は、活性炭とともにナノ繊維を含む。本願において、ナノ繊維は多機能目的を有しており、ePTFEフィルムから脱出した空中浮揚の汚染物質を捕捉するのに役立つことに加え、ナノ繊維は、PTFEフィルムのみが使用される場合よりも、全体的な圧力低下を小さくする。したがって、こうした材料の使用により、出発PTFEフィルムがHEPA効率である必要はなくなる。
【0031】
別の実施形態において、ベース媒体40は、カーボン粒子を含んだメルトブロー媒体を含む。カーボン粒子を含んだメルトブロー媒体は、2つの目的に役立つ。これは、臭気制御を助けるだけでなく、ePTFEフィルム層を脱出した空中浮揚の汚染物質を捕捉するのにも役立つ。さらに、全体的な圧力低下はPTFEフィルムのみが使用される場合よりも小さくなるので、出発PTFEフィルムは、HEPA効率である必要はない。
【0032】
さらに別の実施形態において、ベース媒体40は、ナノ繊維を含んだカーボン粒子多配合メルトブロー媒体を含む。そのような材料は、より小さい圧力低下およびより高い効率を有するとともに、臭気を除去するのに適している。この実施形態の出発PTFEフィルムは、HEPA効率である必要はない。
【0033】
ベース媒体40に使用され得る1つの例示的な材料は、Lydall,Inc.(Manchester,Connecticut)によって開発された2種一体型(2−in−1)カーボン支持体である。そのような材料の一例は、Lydall,Inc.(Manchester,Connecticut)によって開発されたC−680 ActiPure(登録商標)媒体である。このActiPure(登録商標)媒体は、不織布材料および活性炭を含む。
【0034】
Interbasic Resources Inc.(IBR)が、媒体に対し、効率試験およびガス排出試験を行った。これを、図8Aおよび8Bに示す。これらの試験は、真空掃除機の臭気制御のためにIBRが開発した試験である。ガス排出試験に関して、媒体は、アンモニアおよびH2Sでチャレンジされた。
【0035】
図8Aは、静的条件下での充填された真空掃除機フィルターからのガス排出を測定するために媒体をアンモニアでチャレンジしたガス排出試験を行った試験結果を示している。ガス排出試験において用いられた汚染物質は、200ppm(体積)のアンモニアで飽和させた50gのIEC 60312試験用家庭ダストであった。この試験は、華氏70度にて、相対湿度48%および気圧736mmHgで行った。試験された媒体試料は、ポケット状に成形された12インチ×12インチ(30.48センチメートル×30.48センチメートル)のフラットシート媒体であり、これに50グラムのダストを充填した。
【0036】
図8Bは、静的条件下での充填された真空掃除機フィルターからのガス排出を測定するために媒体をアンモニアでチャレンジしたガス排出試験を行った試験結果を示している。ガス排出試験において使用された汚染物質は、この試験では、200ppm(体積)のH2Sで飽和させた50gのIEC 60312試験用家庭ダストであった。この試験は、華氏71度にて、相対湿度47%および気圧739mmHgで行った。試験された媒体試料は、ポケット状に成形された12インチ×12インチ(30.48センチメートル×30.48センチメートル)のフラットシート媒体であり、これに50グラムのダストを充填した。
【0037】
図9に示されたベース媒体40における使用のための別の例示的な材料は、その媒体の2つの異なる試料についてのこの材料の分別効率を示す。
【0038】
さらに、フィルター媒体10は、微細な微粒子を除去する効率を改善するためおよび他の目的のために任意の数の方法で処理され得る。例えば、1つ以上の微細繊維層を有するセルロース媒体または当業者に知られた他の種類の媒体が使用され得るのと同様に、静電処理された媒体が使用され得る。フィルター媒体10はまた、フィルター上でのカビの生育を防止するために、抗微生物物質で処理され得る。抗ウイルス剤または抗菌剤もまた、感染性因子の個体数を減少させるためにフィルター媒体10を処理するのに使用され得る。
【0039】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、内容が明らかに別のことを指示しない限り、複数への言及を包含するということに留意されたい。また、用語「または(or)」は、内容が明らかに別のことを指示しない限り、一般に、「および/または(and/or)」を包含する意味で使用されるということにも留意されたい。
【0040】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、語句「構成される(configured)」は、特定の仕事を遂行するかまたは特定の構成を採用するように構築または構成されるシステム、装置、または他の構造物を記載するということにも留意されたい。語句「構成される」は、他の類似の語句(例えば、「配置される(arranged)」、「配置され、構成される」、「構築され(constructed)、配置される」、「構築される」、「製造され(manufactured)、配置される」など)と交換可能に使用され得る。
【0041】
本明細書中の文献および特許出願は全て、本発明が関わる当業者のレベルを示すものである。全ての文献および特許出願は、各個々の文献または特許出願が具体的かつ個別的に参照により示された場合と同じ程度に参照により本明細書に援用される。
【0042】
本願は、本主題の改造物または変形物を対象として含むことが意図されている。上記の記載は、例示することが意図されるものであり、限定することが意図されるものではないことが理解されるべきである。本主題の範囲は、添付の特許請求の範囲を、当該特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲とともに参照して決定されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側媒体層と、
二成分層と、
ベース層と
を含む、多層フィルター媒体構築物。
【請求項2】
前記上流側媒体層が、PTFEを含む、請求項1に記載のフィルター媒体構築物。
【請求項3】
前記PTFEが、発泡PTFEである、請求項2に記載のフィルター媒体構築物。
【請求項4】
前記二成分層が、不織布ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレートを含む、請求項1に記載のフィルター媒体構築物。
【請求項5】
前記ベース層が、活性炭を含む、請求項1に記載のフィルター媒体構築物。
【請求項6】
前記ベース層が、最低45%の活性炭を含む、請求項5に記載のフィルター媒体構築物。
【請求項7】
前記ベース層が、ナノ繊維をさらに含む、請求項5に記載のフィルター媒体構築物。
【請求項8】
前記ベース層が、カーボン配合メルトブロー媒体を含む、請求項1に記載のフィルター媒体構築物。
【請求項9】
前記ベース層が、ナノ繊維をさらに含む、請求項8に記載のフィルター媒体構築物。
【請求項10】
熱および圧力下で二成分層を用いて上流側媒体層をベース層と結合させる工程を包含する、3層フィルター媒体構築物を作製するための方法。
【請求項11】
前記上流側媒体層が、PTFEを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記上流側媒体層が、発泡PTFEを含む、請求項10に記載のフィルター媒体構築物。
【請求項13】
前記二成分層が、不織布ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレートを含む、請求項10に記載のフィルター媒体構築物。
【請求項14】
前記ベース層が、活性炭を含む、請求項10に記載のフィルター媒体構築物。
【請求項15】
前記ベース層が、最低45%の活性炭を含む、請求項14に記載のフィルター媒体構築物。
【請求項16】
前記ベース層が、ナノ繊維をさらに含む、請求項14に記載のフィルター媒体構築物。
【請求項17】
前記ベース層が、カーボン配合メルトブロー媒体を含む、請求項10に記載のフィルター媒体構築物。
【請求項18】
前記ベース層が、ナノ繊維をさらに含む、請求項17に記載のフィルター媒体構築物。
【請求項19】
上流側媒体層と、
二成分層と、
カーボン配合ナノ繊維を含むベース層と
を含む、多層フィルター媒体構築物。
【請求項1】
上流側媒体層と、
二成分層と、
ベース層と
を含む、多層フィルター媒体構築物。
【請求項2】
前記上流側媒体層が、PTFEを含む、請求項1に記載のフィルター媒体構築物。
【請求項3】
前記PTFEが、発泡PTFEである、請求項2に記載のフィルター媒体構築物。
【請求項4】
前記二成分層が、不織布ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレートを含む、請求項1に記載のフィルター媒体構築物。
【請求項5】
前記ベース層が、活性炭を含む、請求項1に記載のフィルター媒体構築物。
【請求項6】
前記ベース層が、最低45%の活性炭を含む、請求項5に記載のフィルター媒体構築物。
【請求項7】
前記ベース層が、ナノ繊維をさらに含む、請求項5に記載のフィルター媒体構築物。
【請求項8】
前記ベース層が、カーボン配合メルトブロー媒体を含む、請求項1に記載のフィルター媒体構築物。
【請求項9】
前記ベース層が、ナノ繊維をさらに含む、請求項8に記載のフィルター媒体構築物。
【請求項10】
熱および圧力下で二成分層を用いて上流側媒体層をベース層と結合させる工程を包含する、3層フィルター媒体構築物を作製するための方法。
【請求項11】
前記上流側媒体層が、PTFEを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記上流側媒体層が、発泡PTFEを含む、請求項10に記載のフィルター媒体構築物。
【請求項13】
前記二成分層が、不織布ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレートを含む、請求項10に記載のフィルター媒体構築物。
【請求項14】
前記ベース層が、活性炭を含む、請求項10に記載のフィルター媒体構築物。
【請求項15】
前記ベース層が、最低45%の活性炭を含む、請求項14に記載のフィルター媒体構築物。
【請求項16】
前記ベース層が、ナノ繊維をさらに含む、請求項14に記載のフィルター媒体構築物。
【請求項17】
前記ベース層が、カーボン配合メルトブロー媒体を含む、請求項10に記載のフィルター媒体構築物。
【請求項18】
前記ベース層が、ナノ繊維をさらに含む、請求項17に記載のフィルター媒体構築物。
【請求項19】
上流側媒体層と、
二成分層と、
カーボン配合ナノ繊維を含むベース層と
を含む、多層フィルター媒体構築物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【公表番号】特表2013−500150(P2013−500150A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521788(P2012−521788)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/042930
【国際公開番号】WO2011/011620
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(591163214)ドナルドソン カンパニー,インコーポレイティド (96)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/042930
【国際公開番号】WO2011/011620
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(591163214)ドナルドソン カンパニー,インコーポレイティド (96)
【Fターム(参考)】
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