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HIV免疫原性複合体
説明

HIV免疫原性複合体

【課題】本発明は、HIV感染に対する中和抗体のワクチン及び方法に関する。
【解決手段】該ワクチンは、CD4又はCD4の同等物分子の断片と共有結合的に結合したgp(120)の複合体を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願のクロスリファレンス)
本出願は、2000年1月7日に出願された、米国特許出願09/479,675号の継続出願である、2001年7月17日に出願された米国特許出願09/905,962号、1998年5月11日に出願された米国特許出願09/075,544号の分割出願である米国特許第6,328,973号、1995年12月20日に出願された米国特許出願08/464,680号の分割出願である米国特許第6,030,772号、1993年5月7日に出願された米国特許出願08/060,926号の一部継続出願である、1994年5月6日に出願されたPCT/US94/05020の371である米国特許第5,843,454号の一部継続出願であり、現在は放棄された全ては、本明細書において参考文献として組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
(発明の分野)
我々は、共有結合したgp12-CD4複合体が、非複合体分子上に存在しない、gp120及び/又はCD4上の潜在性エピトープの特異的サブセットを示すことを発見した。この複合体は、新規な特異性を有する中和抗体を誘発し、従って、HIV感染に対するワクチン及び免疫療法に有用である。我々は、また、CD4の断片に共有結合的に結合したgp120を含む複合体が抗体の中和を誘発し、従って、HIV感染に対するワクチン及び免疫療法に有用であることを発見した。更に、前記複合体又は抗体は、HIV感染についての免疫学的試験に用いることができる。
【0003】
(発明の背景)
抗体を中和することは、レトロウイルスによって引き起こされる感染を含む、多くのウィルス感染に対する防御にとって重要であると考えられる。HIV感染した個体における中和抗体の最初の報告から、それは、血清における抗体の多価レベルが、より良い臨床結果(3〜5)と相関することがますます明らかになった。これらの研究は、抗体を中和する高い力価を誘発するエピトープの同定が、HIV感染に対するワクチン開発にとって重要であることを示した。
ヒト免疫不全ウィルスタイプ1(HIV 1)のための主要なレセプターは、Tリンパ球の表面で主に見られるCD4分子である。CD4へのHIV-1の結合は、主要なウィルス外被糖タンパク質pg120を経て生じ、ウィルス感染過程が開始される。
ヒト免疫不全による感染に対するワクチンの開発のための現在の戦略は、ウィルス外被糖タンパク質gp120又はその細胞表面レセプターCD4に対する抗体を誘発することに焦点を合わせている。精製されたgp120は、通常、ウィルス分離体中で変化するエピトープに対して反応性のある抗体を特異的に中和するタイプを誘発する。この特徴は、ワクチンとしてのpg120の使用を妨げる。
【0004】
CD4は、HIV-1に対するワクチンの開発のための重要な候補であると考えられている。最近の研究は、sCD4が動物においてHIV-1を中和する抗体を誘発し、SIV感染したアカゲザルにおいて感染の広がることを防止することを立証した(1)。しかし、CD4に対する自己抗体は、通常のT細胞の機能を妨害する場合、免疫化された宿主における免疫異常を引き起こす。Gp120に対する、中和抗体は、HIV感染した個体中でインビボで誘発され、精製された外被糖タンパク質を用いてインビトロで誘発される。しかし、gp120は、5個の高頻度可変領域を含み、その1つは、重要な中和エピトープであるV3ドメインである。系統中のこのエピトープの高頻度可変性は、HIV-1の様々な系統に対して効果的な中和抗体を生成するのに障害となる。この理由のため、精製されたCD4又はpg120を使用するワクチン戦略がいくつかの不都合を示すと信じられていた。
我々は、可溶性CD4、マンノース-特異的レクチンスクシニルコンカナバリンA(SC)又はそれらの同等物のいずれかと化学的に結合したgp120の複合体を免疫原として用いて、抗-HIV-1中和抗体を産生させることによって、タイプ特異的な抗gp120抗体、及びCD4に対する抗体の欠点を克服した。我々は、前記化合物がgp120において同様の構造変化を誘導することを見出した。複合型gp120は、複合化されていない糖タンパク質上に隠されたエピトープの配列を示す構造変化を起こすように思われる。このようなエピトープの一部は、グループ特異的な中和抗体を誘発し、それは、上述したようなタイプ特異的抗体のように制限される系統ではない。我々は、共有結合的に結合したCD4-gp120複合体が、HIV-1の種々の分離体及びHIV-2に対する中和抗体を産生するのに有用であることを発見した。
【0005】
HIVに対するサブユニットワクチンの開発における主要な研究努力は、ウィルスの外被糖タンパク質に向けられてきた。動物へのgp160又はgp120の接種は、HIVに対する中和抗体を誘発する(3、4)。gp120における重要な中和エピトープは、タンパク質の第3の可変性ドメイン(V3ループ)中の306〜326アミノ酸に位置する(4)。このエピトープは、ポリクローナル及びモノクローナル抗体を用いることによって広範に研究された(3、4)。多くの場合において、たとえ、抗V3ループ抗体の弱い中和種が種々の分離体と交差反応することができるとしても、この領域に向けられた抗体は、分離された特異的な方法でHIV-1を中和する。抗-V3ループ抗体のタイプ特異性の理由は、種々の分離体の間の広範な配列可変性である。HIVに感染した細胞を、タイプ特異的抗-V3ループ抗体と一緒に長期に培養することは、中和に抵抗性の回避突然変異を誘発する(9)。
V3ループに加え、外被の遺伝的に保存された領域を包含する、他の中和エピトープが同定されている(10、11)。しかし、前記エピトープに対する免疫化は、低い中和力価を有するポリクローナル血清を誘発する。例えば、保存領域を有する、gp120のCD4結合領域は、種々の分離体に対する中和抗体を誘発する(13)。しかし、この領域は、標準的には、糖タンパク質における免疫優性なエピトープではない。
【0006】
gp120とCD4との相互作用は相当詳細に研究されており、複合体形成に必要な分子の領域は決定されている(14〜16)。現在、CD4を有する相互作用がgp120の構造変化を誘導するという証拠のいくつかの線がある。第1に、gp120と結合する組換型の可溶性CD4(sCD4)は、V3ループのモノクローナル抗体結合、及び外因性プロテイナーゼによる消化に対する感受性を上昇させる(2)。第2に、sCD4の結合は、ウィルスからのgp120の解離を引き起こす(17、18)。gp120における構造変化は、ウィルス接着工程の促進、宿主細胞膜の融合を促進すると考えられる(2)。可溶性CD4及び組換型gp120による免疫化は、それらの自然な親和性によって複合体となるが、共有結合ではなく、抗CD4抗体を産生させる。組換型gp120及びsCD4の混合物の免疫によって、いくつかのマウスモノクローナル抗体が開発された(31、32)。これらの研究において産生された抗体は厳密に複合体特異的でなく、フリーのgp120又はCD4と反応し、gp120の存在下に向上した反応性の種々の度合いを示すけれども、中和抗体はフリーのsCD4と反応する。これらの研究で用いられた複合体は、不安定であり、非共有結合的に結合したgp120及びCD4を含む。
gp120分子上に存在する、高マンノースのN-結合炭水化物の多様性、複合体及びハイブリッドタイプは、gp120と宿主細胞膜との相互作用において役割を果たす(19〜21)。実際、炭水化物が媒介するgp120の反応性は、マンノース結合タンパク質で知られているように、血清レクチンで既に証明されており、CD4+細胞のHIV-1感染を阻害することを示す(22)。Gp120の追加的な炭水化物が媒介する相互作用は、ヒトマクロファージ膜のエンドサイトーシス受容体によって示された(21)。マクロファージ膜に対するgp120上の接触しやすいマンノース残基の高親和性結合はマクロファージによってウィルスの取り込みを導くことが仮定された(21)。
【0007】
組換型可溶性CD4は、主に細胞表面のCD4と競合することによってインビトロでHIV感染を阻害することが示された。この観察は、HIV感染した個体の治療のためにsCD4を用いることの可能性を導き出す(23、24)。更に、sCD4は動物におけるウィルス感染をブロッキングするための免疫原として用いられる。SIVMAC感染したアカゲザルのsCD4による治療は、ヒトCD4に対する抗体反応だけでなく、サルCD4に対する抗体反応を誘発する。このような免疫応答の発生と同時に、SIVはこれらの動物のPBMC及び骨髄マクロファージから分離することができる(1)。また、チンパンジーによる最近の研究は、ヒトCD4がインビトロでHIV感染を阻害する抗-自己CD4抗体を誘発することを証明した(25)。sCD4による免疫化がHIV感染をブロッキングするのに有利であるけれども、自己抗原を認識する血中抗体は、感染していないCD4+細胞と結合することによって免疫異常及び機能不全を誘発する。それにもかかわらず、理論的には、抗-CD4抗体はHIV感染をブロッキングするのに効果的であり、それらは、正常なCD4の機能を妨害することなく、ウィルスの付着及び浸入を崩壊する。理想的には、これらの抗体は、gp120との相互作用の後のみに存在するCD4エピトープを認識しなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、CD4、SC又はそれらの同等物と化学的に結合したgp120の複合体を提供することによって、この分野における欠点を克服する。しかし、人間でない霊長類と同様に小動物の免疫化のようないくつかの例において、このような抗体がCD4を発現するT細胞の免疫学的機能に影響を及ぼすので、免疫された宿主における高濃度のCD4抗体は好ましくない。免疫化に続く、高濃度の抗gp120及び抗複合体抗体、低濃度の抗-CD4抗体を誘発する、最適化された免疫学的性質を有する複合体は、このような例で必要であり、本発明は、またこのような複合体を提供する。特に、本発明は、CD4の断片又はその同等物と化学的に結合したgp120を含む複合体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要約)
我々は、gp120-CD4複合体形成が、非複合体分子には存在しない、gp120及び/又はCD4上の潜在性エピトープの特異的サブセットを誘導することを発見した。これらのエピトープは、新規な特異性を有する中和抗体を誘発し、従って、HIVに感染した患者のワクチン及び/又は免疫療法にとって有用である。更に、該抗体又は複合体は、HIV感染の免疫学的試験に用いることができる。我々は、レクチン、SCが、CD4によって媒介されるのと同様な方法で、gp120の構造における変化を媒介することを証明した。SCのgp120との結合は、ウィルス糖タンパク質における新規なエピトープを誘導するための他のメカニズムである。他のCD4同等物分子のgp120への結合も、また、ウィルス糖タンパク質上のエピトープを誘導するための他のメカニズムである。
我々は、中和抗体を産生するために、化学的に結合したgp120-CD4複合体を用いた。我々は、gp120-CD4複合体が、中和抗体を誘発する、新規なエピトープを有することを見出した。SCを有する結合は、順番にgp120上の潜在性中和エピトープにアンマスキング(unmasked)する、gp120中の高次構造に混乱を生じさせる。
また、我々は、gp120、及びCD4の断片又はその同等物を含む、共有結合的に架橋した複合体が、広範囲の抗-HIV応答を誘発し、従って、HIV感染に対するワクチン及び免疫療法に有用であることを発見した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(好ましい実施態様の詳細な記載)
我々は、強く、広範な中和免疫応答を誘発し得る、gp120及び/又はCD4上の新規なエピトープを隠さないか作成することが必要であることを決定した。我々は、免疫原として、共有結合的に結合した、gp120-CD4複合体を用いた。どんな取り扱いの間でも複合体の完全性を確実にするために、gp120分子を、二価の架橋剤を用いて、可溶性の組換型CD4と共有結合的に結合した。複合体の構成成分は、少なくとも以下の2つの点で、フリーの糖タンパク質と異なると期待される(I)gp120及びCD4上のいくつかのエピトープは、複合体形成によって隠され、及び(II)潜在性のエピトープは、複合体のgp120及びCD4における構造変化の結果として露出される。これらのエピトープが、標的細胞へのウィルス侵入における重要な役割を果たすことができるので、それらに向けられる抗体は、浸入工程のいくつかの局面を阻害しなければならない。我々は、これらの抗体がgp120-CD4相互作用を阻害することができず、変わりに、感染のために必要な後結合(post-binding)融合減少を防止できると信じていた。
【0011】
HIVワクチンに対するこの戦略の応用は、いくつかの他の利点を提供する。第一に、複合型gp120に特異的なエピトープは、インビボにおいて抗体を中和するための正常な標的であると期待されない。HIV-1は37℃で3分で、標的細胞に結合し、浸入する(26)。天然のgp120-CD4複合体の一時的で短命な性質を与えられ、複合体に特異的な抗体を誘発する方法で、それが免疫システムに存在することはありそうにない。従って、インビボにおける免疫性選択の欠如は、種々のウィルス系統の複合体に特異的なエピトープにおける変化の最小の程度において、順番に反映されなければならない。第二に、CD4上の複合体に特異的なエピトープに対する抗体が、正常細胞表面における複合体でないCD4を認識することのできる抗自己抗体を誘発することが期待されない。抗CD4抗体が細胞障害性効果を媒介することができるので、これは特に重要である。
HIVに対するワクチンの開発において、CD4の欠如におけるgp120上の新規なエピトープを誘導する能力は、それは、相当な利益を有する。我々は、これが可能であることを発見した。我々は、マンノース特異的レクチン、SCをgp120と結合させ、SCD4に観察されるのと同様であると思われる、糖タンパク質上の構造変化を誘導した。前記変化は、V3ループの外因性プロテアーゼへの露出、及びウィルス膜からのgp120の解離を含む。従って、共有結合的に結合したgp120-SC複合体は、また、CD4の非存在下で、新規なエピトープ及び複合体特異的抗体を露出するための免疫原として有用である。
【0012】
更に、他のCD4同等物分子と共有結合的に結合したgp120の複合体も、免疫原として有用である。好ましくは、複合体は、CD4同等物分子と共有結合的に架橋したgp120を含む。本明細書において用いられるように、「CD4同等物分子」は、高次構造においてCD4を模倣し、及び/又はCD4によって誘導されるのと同様である構造変化をHIV-1 gp120において誘導する、いずれかの分子を含む。高次構造においてCD4を模倣する分子は、CD4と構造的に同じであることが好ましい。
本発明の免疫原性複合体において用いられることが意図されるCD4同等物分子は、サソリ毒をベースとするCD4模倣性微小タンパク質を含む。サソリ毒をベースとするCD4模倣性微小タンパク質は、gp120との高い親和性相互作用を示し、gp120に対する複合体特異的モノクローナル抗体との結合を向上させ、CD4+T細胞の種々のHIV-1分離体による感染を阻害することがわかった。Vitaらの論文(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96, pp.13091-13096(1999))、及びC.S. Dowdらの論文(Biochemistry 41, pp. 7038-7046(2002))を参照のこと。
また、我々は、高レベルの抗-gp120を誘発する免疫原性複合体、及び免疫後の抗-CD4抗体のレベルを減少する抗複合体抗体が、HIVに対するワクチンの開発において相当な利益を有することを発見した。この目的のため、我々は、CD4の最初の2個のドメインのみを含むCD4断片をgp120と共有結合的に結合させた。CD4の断片と結合したgp120のこの複合体は、gp120上の潜在性エピトープ及び/又は非複合体分子に存在しないCD4断片を示す。更に、前記エピトープは抗体の中和を誘発し、従って、HIV感染に対するワクチン及び免疫療法として有用である。
【0013】
また、CD4の断片は、CD4の第1のドメイン、CD4の第2のドメイン、又はCD4の第1又は第2のドメインと、CD4の第3又は第4のドメインとの組み合わせのいずれかを含む。CD4の断片は、CD4の第1のドメイン、CD4の第2のドメイン、又はCD4の第1及び第2のドメインのいずれかを含むことが好ましい。
いずれかのCD4の断片の同等物は、本発明の免疫原性複合体において含まれていてもよい。本明細書において用いられるように、いずれかのCD4の断片の「同等物」は、CD4の高次構造を模倣し、gp120と結合することのできる分子のいずれかを含む。好ましくは、前記同等物は、CD4断片のいずれかの断片又は断片の組み合わせと構造的に同等である。
好ましくは、本発明のワクチンは、gp120-CD4、gp120-CD4断片、gp120-CD4同等物分子、又はgp120-SCのいずれかと、ワクチンの分野で公知の許容される懸濁液と共に構成される。アジュバントを加えることが更に好ましい。ヒトワクチンに用いるのに許容される唯一のアジュバントはリン酸アルミニウム(アルムアジュバント)であり、従って、本発明のワクチンは、リン酸アルミニウムゲルで処方することが好ましい。参考文献により本明細書に組み入れられる、Dolinらの論文(Ann Intern Med. 1991; 114:119-27)を参照のこと。ワクチンの目的のための免疫原性複合体の投与量は、接種あたり約40μg〜約200μgである。最初の接種の後に、1回又はそれ以上の追加免疫接種をしてもよい。好ましくは、ワクチンプロトコールは、現在臨床ワクチン研究において用いられる、及び参考文献により本明細書に組み入れられる、Dolinらの論文、前記、及びReubenらの論文(J. Acquired Immune Deficiency Syndrome, 1992; 5:719-725)に記載されたのと同じプロトコールである。
また、本発明の免疫原性複合体に対して産生された抗体は、受身免疫又は免疫療法に使用することができることが意図される。前記抗体の接種量及び回数は、免疫グロブリンによる免疫又は免疫療法のためのこの分野で確率されたものに従う。
【0014】
これらに対する、複合体又は抗体は、また、HIV感染の検出のための方法において用いることができる。例えば、基板に結合されるか、又は標識された該複合体は、試験体液と接触し、本発明の複合体と試験体液中の抗体との間で形成された免疫複合体を検出する。好ましくは、本発明の免疫原性複合体に対して産生された抗体は、HIV感染の検出のための方法において用いられる。前記抗体は、当業界において公知の方法に従って固体の担体に結合されるか、標識されてもよい。検出方法は、試験体液を抗体と接触し、試験体液中の抗体と抗原との間に形成された免疫複合体を検出し、これからHIV感染の存在を検出する。検出方法を用いて行われる免疫化学反応は、好ましくは、サンドウィッチ反応、凝集反応、競合反応又は阻害反応である。
上述したパラグラフ中に記載した方法を実施するための試験キットは、本発明の免疫原性複合体、又はそれに対して産生された1以上の抗体のいずれかを含む必要がある。該キットにおいて、免疫原性複合体又は抗体は、固体の基板と結合するか、又は通常の標識で標識される。固体の基板及び標識は、特異的な面学的的試験方法と同様に、Harlow及びLaneの論文、「抗体、研究室のマニュアル」、コールドスプリングハーバー研究所、1988に開示されており、参考文献より本明細書に組み入れられる。
【実施例】
【0015】
新規なエピトープが、gp120及びCD4上に露出され得ることを示すために、我々はいくつかの研究を行った。これらの研究は、また、糖タンパク質の高次構造を変えた処理後に、中和抗体がgp120に対して産生されることを証明した。我々は、また、gp120とCD4の断片との複合体が抗-HIV-1応答を誘発することを証明した。
【0016】
(実施例1)
(a.CD4との複合体形成により誘導される、gp120における構造変化)
我々は、種々の条件下でのウィルス表面からのgp120の遊離を解析した。Molt3/HIV-1IIIB細胞を、35S-メチオニン(150μCi/ml)で3時間標識した。次いで、標識された細胞を洗浄し、非放射性メチオニンを含むRPMI培地中に再懸濁した。次いで、細胞を組換型sCD4(デュポン)の存在下に4時間培養した。細胞を含まない上清を集め、セファクリルS1000カラムを通し、遊離型のウィルスタンパク質からウィルス粒子を分離した。各フランクションを界面活性剤で処理し、抗-HIV-1抗体に陽性のヒト血清で免疫沈降させ、SDS-PAGE及びオートラジオグラフィーで分析した。ウィルス及びウィルスタンパク質を含まないフラクション中に存在するgp120の量を、オートラジオグラフの濃度測定スキャンニングにより測定した。以前の研究(17、18)によれば、我々は、ウィルスのsCD4による処理が、明らかにタンパク質を含まないフラクション中のgp120の量を増加させ、同時にウィルスフラクション中の一時的な減少を生じることを観察し(図1A)、gp120の高次構造がウィルス粒子から解離するために変化することを示した。
sCD4がどのようにgp120の高次構造を変えるかを更に研究するため、我々はgp120のトロンビンによって媒介される開裂の研究を行った。gp120のトロンビンによる消化は、70 KD及び50 KDの生成物を生成した(図2A)。この切断はV3ループで起こる。該ループ内のエピトープに対するモノクローナル抗体は、切断を完全にブロッキングする。gp120のV3ループにおける、トロンビンが媒介する切断は、sCD4との結合の後に向上する。これは、プロテアーゼ切断の影響を更に受けやすくなる、タンパク質表面上のV3ループの増加した露出を示す。
【0017】
(b.スクシニルコンカナバリンAを用いた複合体形成により誘導されるgp120中の高次構造の変化)
HIV-1を、コンカナバリンA又はスクシニルコンカナバリンA等のマンノースに特異的なレクチンとインキュベーションすると、ウィルスの感染力を弱めることが証明された(27、28)。35S-メチオニン標識されたgp120とSCとのインキュベーションは、トロンビン消化に対するV3ループの感受性を向上させる(図2A)。メチルマンノシドを有するレクチンのプレインキュベーションが完全に向上した効果をブロッキングするので、この効果は特異的であった(図2B)。V3ループの露出の増加に加え、HIV-1とSCとの相互作用は、ウィルス膜からのgp120の解離を起こす(図1B)。このような解離の程度は、sCD4で観察される程度よりいくぶん小さかった。それにもかかわらず、この研究は、sCD4及びSCが非常に類似の方法でgp120の高次構造を変えることを明らかに示した。
【0018】
(c.化学的に結合したgp120-CD4複合体の免疫学的特性)
我々は、gp120-sCD4複合体が免疫原性であり、HIV-1中和抗体を誘発し得ることを証明した。免疫親和性工程は、慢性感染した、H9/HIV-1IIIB細胞からgp120を精製するために用いられた。次いで、精製されたgp120は、非切断性の水溶性架橋剤、ビス(スルホスクシニミジル)スベリン酸(BS)を用いてsCD4(デュポン)と架橋された。マウスに複合体を接種し、免疫血清を、HIV-誘導性融合細胞形成における効果について調べた。HIV-1IIIB細胞、及びHIV-1MNに感染した細胞によって誘導された融合細胞形成は、免疫血清によって顕著に阻害された。1つの免疫血清の代表的な阻害カーブを図3Aに示す。非常に関連したHIV-2に感染した細胞によって誘導される融合細胞形成は、血清の存在下に阻害された。これらの結果は、gp120-sCD4複合体が、抗体の中和を広く誘発し得ることを証明する。
【0019】
また、我々は、トロンビンで消化されたgp120及びsCD4を含む複合体をマウスに接種した。この場合においては、gp120のV3ループがプロテアーゼ切断によって修飾されることが予想された。V3がgp120上のエピトープを中和することが報告されているので、このような切断が抗体の中和を誘発するためにどのように複合体の能力に影響を及ぼすかを決定することに興味がある。図3Bに示すように、トロンビンで消化されたgp120-CD4複合体によるマウスの接種は、HIV-1IIIB及びHIV-1MN分離体によって誘導される融合細胞形成をブロッキングすることのできる抗体を誘発する。
我々の予備的な実験は、共有結合的に結合したgp120-CD4複合体は抗体反応を広く中和し得ることを明らかに証明した。次いで、我々は、複合体上の潜在性のエピトープが中和抗体によって認識されるかどうか、及びエピトープの特徴づけに着手した。
【0020】
(実施例2)
(a.gp120-CD4複合体の免疫学的特性)
gp120-CD4複合体を製造するために用いられる、糖タンパク質gp120は、免疫親和性クロマトグラフィーによる、精製されたH9/HIV-1111Bであった。20 mM Tris(ph 8.2)、0.15 M NaCl、1.0% Triton X-100、及び0.1 mMを含む緩衝液中で細胞を溶解した。溶解質(lysate)を100,000×gで1時間遠心分離した。上清中のNaCl濃度を1 Mに調整し、次いで、溶解質を、HIV-抗体陽性患者の血清から精製した抗HIV免疫グロブリンで調整したアフィニティマトリックスと反応させた。結合した抗原を、50 mMジエチルアミン、pH 11.5で溶出し、溶出液のpHを、トリス塩酸で直ちに8.0に調整した。溶出液を、0.5 M NaCl、0.1 mM CaCl2、1 mM MgCl2、及び0.2 mM MnCl2を含む、10 mMリン酸緩衝液(pH 6.5)で広く透析し、トリトンX-100を、界面活性剤の溶液が0.2重量%になるように加えた。次いで、透析した材料を、レンチルレクチンカラムに通した。0.4 Mα-メチルマンノシドで溶出することにより、レンチルレクチンカラムから糖タンパク質を分離し、次いで、1 M NaCl及び0.2% トリトンX-100を含む20 mMトリス塩酸(pH 8.2)で透析した。次いで、透析した材料を、存在するgp160及びgp41を吸収するために、gp41に対して反応性のある、モノクローナル抗体SVM-25(米国特許第4,843,011号明細書)で調製したアフィニティマトリックスにかけた。前記アフィニティカラムを通過した液を、1 mM EDTAを含む10 mM BES(pH 6.5)で広く透析し、同じ緩衝液で平衡化したホスホセルロースカラムにかけた。前記カラムを、0〜500 mM NaClの直線勾配で展開し、gp120を含む画分を貯蔵し、濃縮し、PBSで透析した。
精製された糖タンパク質を、架橋剤としてビス(スルホスクシニミジル)スベリン酸(BS)を用いることにより、sCD4(デュポンから商業的に得られる)と結合させた。Gp120及びsCD4を1:2のモル比でPBS中で混合し、37℃で1時間インキュベートし、0.5 mM Bsと、室温で1時間処理した。複合体を更に4℃で一晩インキュベートした。過剰のBSは、20 mMトリス塩酸(pH 8.0)でブロッキングした。
【0021】
(b.Gp120-CD4複合体特異的モノクローナル抗体の開発)
Balb/Cマウスに、gp120-CD4複合体を、隔週で6回接種した。最初の接種(マウスあたり48μg)を、フロイント完全アジュバントで乳化し、皮下注射により投与した。次の接種(24μg/マウス)は、フロイント不完全で乳化し、腹腔内注射により投与した。最後の接種の2週間後に動物を採血し、血清を、融合細胞ブロッキング検定(syncytium-blocking assay)によりHIV-1中和抗体について試験した。すなわち、CEM細胞(1×105)をHIV-1に感染した細胞(1×104)と試験血清の存在下に培養し、24〜40時間後に巨大細胞を数えた。HIV-1IIIB-、及びHIV-1MN- に感染した細胞によって誘導される融合細胞形成は、gp120-CD4複合体で免役されたマウスの血清によって顕著に阻害された。HIV-2に感染した細胞によって誘導される融合細胞形成も、前記血清により阻害され、gp120-CD4複合体が、マウスにおいて広く中和抗体を誘発し得ることを示す。
マウス中で中和抗体を検出した後、動物は、アジュバントなしでPBS中のgp120-CD4複合体の最終の腹腔内投与を受けた。4日目に、動物を犠牲にし、脾臓を抽出した。脾臓のリンパ球を注射器によって脾臓から流した。細胞(7×107)を、40% PEG1540を含むスーパーHT〔20%ウシ胎児血清(ヒルコン)、0.1 Mグルタミン、10% NCTC-109リンパ球培養上清、0.5 mMピルビン酸ナトリウム、0.2 U/mlインシュリン、1 mMオキサロ酢酸及び100 U/mlペニシリン/ストレプトマイシン〕(ギブコ)中で一晩、1×107のNS-1マウス骨髄腫細胞(ATCC、ロックビル、メリーランド)と融合させた。次いで、細胞を0.4μMアミノプテリンを含むスーパーHTに懸濁し、96穴プレートに入れた。
【0022】
最初に、gp120-CD4及びgp120-CD4複合体特異的抗体の生産のためにハイブリドーマを選択した。貯蔵したハイブリドーマ上清を、gp120、CD4及びgp120-CD4を抗原として用いてELISAにより試験した。複合体に特異的な抗体を含むプールの上清を個々に試験した。興味のあるハイブリドーマをスーパーHTに1細胞/ウェルの密度で再配置することによってクローニングした。クローニングされたハイブリドーマからの上清を、gp120-CD4複合体を用いたELISAにより更に試験した。
ELISAにおいて、gp120-CD4複合体に対して高レベルの反応性を示し、gp120又はsCD4にわずかな反応性を示す免疫グロブリンを分泌する、4つのハイブリドーマを選択した(表1)。特に、モノクローナル抗体の1つ、モノクローナル抗体7E3はIgAアイソタイプであった。次いで、免疫グロブリンを、それぞれのハイブリドーマの腹水体液から精製し、gp120-CD4複合体、フリーのgp120又はsCD4を用いたウェスタンブロットによって解析した。フリーのgp120又はsCD4と反応する抗体はなかったが、抗体7E3及び8F10Bは、複合体、及び複合体の低分子量フラグメントと高いレベルの反応性を示した(図4)。抗体8F10C及び8F10DはElISAにおいて複合体と強く反応したが(表1)、ウェスタンブロットにおける複合体との反応性は弱かった。これらの結果は、モノクローナル抗体8F10Cおよび8F1ODが、モノクローナル抗体7E3および8F10Bによって認識されるエピトープとは異なる、高度な立体構造依存的で複合体特異的エピトープのセットに対するものであることを示唆する。
【0023】
精製した7E3、8F10B、8F10C、及び8F10D免疫グロブリンを、PHAで誘導した抹消血単核細胞(PBMCs)及び種々のHIV-1単離体を用いた、細胞フリーの感染アッセイで試験した。表2に示すように、抗体のいずれもが、研究所で適合された株、HIV-1IIIBによってPBMCの感染にいかなる重要な影響も及ぼさなかった。しかし、抗体7E3、8F10Bおよび8F10Cは、HIV-1 MNの原発性分離体によってPBMCの感染を中和したが、抗体8F10Dは効果を有しなかった。これらの結果と対照的に、抗体のいずれもが、CEM細胞上のH9/HIV-1IIIB又はH9/HIV-1MNによって誘導される融合細胞形成をブロッキングしなかった。我々の予備的な実験は、複合体特異的抗体による細胞フリーの中和の範囲は分離体の感染速度に依存することを示唆する。一般に、より低い感染速度を有する原発性HIV-1株が、HIV-1の研究室で適合された株の毒性よりも、効果的に中和される傾向にある。
【0024】
複合体特異的抗体が、gp120又は複合体のCD4部分に結合するかどうかを決定するため、マンノースに特異的なレクチン、スクシニルconA(SC)がsCD4によって誘導されるのと同様の方法で糖タンパク質の形態を混乱させる、我々の証明を利用した。SC及びgp120はBS3と架橋し、ELISAで試験した。モノクローナル抗体7E3及び8F10Bはgp120-SC複合体と強く反応するが(図5)、フリーのgp120又はSCとは反応しない。対照的に、抗体8F10C及び8F10Dは複合体と弱く結合した。これらの結果は、抗体7E3及び8F10Bが、SC結合に応じてgp120上に露出した潜在性エピトープ、又は架橋の際にBS3と下記化学反応でタンパク質内に形成される新規なエピトープのいずれかに向けられていることを示唆する。これらの抗体の免疫学的特徴は、gp120分子中に誘導される架橋剤BS3の部分に存在するエピトープを認識し、gp120に特異的でないことを示す。
【0025】
(c.ヤギにおける、gp120-CD4複合体に対する免疫応答)
我々は、また、より大きい動物種における、gp120-CD4複合体に対する免疫応答を解析した。フロイントのアジュバント中の100μgのgp120-CD4複合体を、動物(ヤギ69)に繰り返して接種し、5回目の接種の後、gp120、sCD4及び複合体との反応性のためにELISAによって血清を試験した。gp120及びsCD4の両方に対して反応性のある抗体が血清中に検出された。複合体特異的抗体が誘導されたかどうかを決定するため、モノクローナル抗体7E3、8F10B、8F10C及び8F10Dにより交差競合(cross-competition)アッセイで血清を試験した。ヤギ69の2倍系列希釈を、各モノクローナル抗体の限界希釈とインキュベートし、gp120-CD4複合体ELISAで試験した。図6に示すように、ヤギ血清中の抗体は、全ての4つのモノクローナル抗体の結合をブロッキングすることができた。
【0026】
該ヤギ血清を、融合細胞ブロッキング及び細胞フリーの感染アッセイにおける抗体中和について試験した(表3)。比較のために、HIV-1IIIEウィルスgp120を5回接種した後に獲得した他の動物(ヤギ58)由来の血清についても試験を行った。融合細胞アッセイにおいて、ヤギ69血清はHIV-1IIIB及びHIV-1MNに対して、ヤギ69血清は、それぞれ1:640及び1:80の力価で80%以上の融合細胞を減少させ、ヤギ58はそれほど効果的ではなかった。ヤギ69血清は、1:80の力価で、HIV-1IIIBによってCEM細胞の細胞フリー感染を中和した。また、この力価は、ヤギ58血清の力価(1:20)よりも有意に高かった。また、ヤギ69血清は、最初の分離体HIV-1MN及びHIV-1JRFLによる細胞フリーの感染のグループ特異的中和を媒介する(表3)。中和力価(1:80)を、同時に試験した、広く中和するヒト血清(1:160)のそれと比較した。ヤギ58血清は、1:20未満の希釈であってもHIV-1MN感染のブロッキングに失敗した。CEM細胞による予備吸収により抗-CD4抗体を除去した後に、ヤギ69血清を再試験した。このような抗体の除去は、細胞表面結合において、約90%減少を示す、SupT1細胞によるフローサイトメトリー解析によって証明された。この減少にもかかわらず、吸収された血清の中和力価は、吸収されていない血清より2倍低いだけであり(1:40)中和が抗-CD4抗体によって完全ではないことを示した。
この実施例で示された結果は、共有結合的に架橋したgp120-CD4複合体が、多くの免疫原性特的エピトープを有することを示す。前記エピトープの少なくとも一部は複合体のgp120部分に存在する。更に、いくつかの複合体特異的エピトープは、多様なHIV-1株による細胞フリーの感染に対して特に効果的な中和抗体を広く標的とし、PBMCの方へ標的とする最初の分野の分離体を含む。これらの発見に基づき、複合体は、予防接種又は免疫療法試薬として供給されることが可能である。
【0027】
(実施例3)
(a.非複合型CD4由来の、gp120-CD4複合体(1:1モル比)遊離型の調製)
上述した、免疫化プロトコールにより、gp120及びCD4を1:2のモル比で複合体化した。この材料による免疫が抗-CD4抗体の分離を生じたので、我々は、抗-gp120抗体の誘発のための条件を最適化するために、非複合化された受容体分子からgp120-CD4複合体(1:1モル比)遊離型を調製することを欲した。gp120及びCD4(1:1モル比)を37℃で1時間結合させ、BSと室温で1時間、次いで4℃で一晩反応させた。フリーの架橋剤をトリス緩衝液(pH 8.0)でブロッキングした後、溶液を、抗-CD4モノクローナル抗体Eと結合したセファロースで、室温で30分処理した。Eが、gp120と相互作用するのに必要であるCD4上のエピトープと結合するにつれ、この処理は、存在する非複合体CD4を除去する。この方法で調製されたgp120-CD4複合体を示すゲルを図4に示す。分子量170 kD及び340 KD以下の複合体のみがゲル中で明らかである。調製物中にフリーのgp120又はCD4はなかった。
【0028】
(実施例4)
gp-120-CD4複合体に対する免疫応答が個々の成分に対する応答と異なることを正確に決定するために、以下の実験を行った。マウスの個々のグループに、等量のCD4、gp120又はgp120-CD4複合体を接種した。接種後、血清を動物から集めて解析した。表4に示すように、CD4で免疫された動物の全3匹は、HIV-1IIIB及びHIV-1MNに対して効果的な血清抗体(seroantibodies)をブロッキングする融合細胞を有していた。複合体で免疫された動物由来の全4匹の血清は、HIV-1IIIBに誘導される融合細胞をブロッキングし、また、4匹のうち2匹の血清は、HIV-1MNに誘導される融合細胞をブロッキングした。全体的に、複合体で免疫された動物由来の血清中の中和力価は、CD4で免疫された動物由来の血清よりも低かった。意外にも、gp120で免疫された動物は、融合細胞をブロッキングする血清抗体を示さなかった。
CD4で免役された群及び複合体で免疫された群の間の、ELISAにおける、CD4との反応性は同じであった(表4)。1つの例外は、複合体で免疫された動物(マウス8)の有する抗CD4抗体の力価が他の動物よりも有意に低いことであった。複合体で免疫された動物の中で、抗CD4反応性の程度は、融合細胞ブロッキング活性と相関がなかった。マウス9血清は、わずかに高い抗CD4反応性のレベルを有しているとしても、マウス10血清はマウス9血清よりも融合細胞のブロッキングにおいて効果的であった。
全体的に、複合体で免役された動物は、抗V3ループ抗体の低い力価を有しており、このような抗体は、マウス9血清には実質的に存在しなかった。
【0029】
(実施例5)
また、CD4で免役した、及び複合体で免疫した動物由来の血清を、CD4から由来する種々の合成ペプチドとの反応性について試験した(表5)。CD4で免役した、及び複合体で免疫した群との間の抗CD4反応性の全体的なレベルは同じであったが(表4)、直線状エピトープとの反応性は異なっていた。CD4で免疫した動物由来の血清は、CD4のN末端部分から由来するペプチド(ペプチドA及びB)と反応するが、このような反応性は、複合体で免疫した動物由来の血清には存在しなかった。これは、CD4のN末端がgp120と反応するという事実と一致する。また、CD4でのドメイン3(ペプチドD)から由来するペプチドとの反応性の普及は、CD4で免疫した動物に関連して、複合体で免疫した動物の中で減少した。特に、CD4のドメイン4(ペプチドF)由来のペプチドとの反応性は、複合体で免疫された動物10及び11に対して独特であった
まとめると、実施例IV及びVのデータは、gp120-CD4複合体に対する免疫応答が独特であり、フリーのCD4及びフリーのgp120に対する免疫応答と異なることを示唆する。抗複合体応答における相違は、1)gp120 V3ループに対する応答の低下;2)CD4 N-末端における直線状エピトープに対する応答の低下;3)CD4ドメイン4における直線状エピトープに対する応答の上昇に示される。後者のエピトープはフリーのCD4分子中に隠されていることに注目すべきである。
本発明によれば、免疫原としてgp120-sCD4複合体を用いることにより、我々は、複合体に特異的である、HIV-1中和抗体を上昇させることができた。前記抗体で我々が得た結果は、共有結合的に結合したgp120-CD4複合体が、結合していないタンパク質中で正常に機能的でない免疫原性エピトープを有していることを示す。
【0030】
(実施例6)
この実施例においては、我々は、gp120及びCD4のフラグメントの複合体が免疫原性であり、HIV-1中和抗体を誘導することを証明した。特に、gp120の結合に必要である、CD4の最初の2個のドメインのみを含むCD4の断片がクローニングされ、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞中で発現された。図8は、sCD4(SCD4として示される)及びCD4との対比における、このCD4(DID2として示される)の断片の略図を示す。CD4の断片は、CD4の第3及び第4の断片を含まない。
次いで、CHO細胞の上清から、DID2断片を均一に精製した。精製されたDID2断片はgp120と複合化されることがわかり、該複合体は、ウサギ中で抗HIV-1応答を誘導した。DID2の調製、DID2の免疫学的反応性及びgp120-DID2複合体の免疫原性については以下の詳細に議論する。
【0031】
(a.CHO細胞中のDID2の発現)
NIHエイズリサーチ及びリファレンスリージェントプログラムから、ヒト可溶性CD4遺伝子をコードするT4-PMV7プラスミドを細菌懸濁液中で得た。アンピシリンを含む寒天プレート上に、懸濁液由来の細菌で画線した。次いで、コロニーをひろい、プラスミドDNAの十分な量の調製のための大規模培養を行った。gp120結合に必要な最初の2個のドメインをコードするCD4遺伝子の領域を、以下のプライマーを用いてPCR増幅を行った。
【0032】
【化1】

【0033】
【化2】

【0034】
次いで、PCR増幅したCD4断片、DID2を、発現ベクターのCMVプロモーターの下流に挿入した。得られた発現ベクター、PTK13+Neo4を図9に示す。発現ベクター、PTK13+Neo4の配列を、以下に示す配列番号:3に示す。
得られた発現ベクター、PTK13+Neo4をCHO細胞に形質移入し、最初にG418で、次いでG418及びメトトレキセートで選択した。安定したクローンは、抗原捕捉法(antigen capture assay)によってDID2の発現についてスクリーニングされ、DID2の最も高いレベルを分泌するCHOクローンの位置が決められた。このクローンを血清を含まない培地で培養し、次いで、10リットル培養に拡張した。
【0035】
(b.DID2の精製及び免疫学的反応性)
抗-CD4モノクローナル抗体を用いた免疫親和性クロマトグラフィーにより、CHO細胞からDID2を精製した。図10は、DID2精製において用いられたステップを詳細に示すフローチャートである。
次いで、精製したCD4断片、DID2をSDS-PAGEで解析した。図11Aは、sCD4(図11A及び11Bにおいて、"SCD4"として示す)と比較した、DID2のSDS-PAGEのプロフィールを示す。図11Aにおいて、レーン1は精製したDID2であり、レーン2はsCD4であり、レーン3は分子量マーカーである。sCD4及びDID2は、いずれも、それぞれ45 kD以下、25 kD以下の分子量に対応する単一のバンドとして移動し、これは、両方のタンパク質は高い精製の程度で均一に精製されていることを示唆する。
次いで、DID2の免疫学的反応性を、ヒトsCD4で免役したマカクザル由来の過免疫の血清を用いたウェスタンブロット法により解析した。図11Bは、抗-CD4血清とのsCD4及びDID2両方の免疫学的反応性のウェスタンブロットプロフィールを示す。特に、図11Bにおいて、レーン1はsCD4であり、レーン2はDID2であり、レーン3は分子量マーカーである。この図から、sCD4及びDID2の両方は、過免疫の抗-CD4マカクザル血清と強く反応し、従って、免疫学的に反応性のあるエピトープを含む。
【0036】
(HIV-1 gp120とのDID2の共有結合的架橋)
次いで、DID2断片を、HIV-1 IIIB由来のgp120と、共有結合的架橋によって複合体を形成した。特に、DID2断片をgp120と37℃で2時間インキュベートし、次いで、室温で15分間、BS3で処理した。50 mM Tris-HCl(pH 8.0)で反応を停止し、抗-gp120抗体と結合したセファロースカラム(2C6)を通したクロマトグラフィーによって複合体を精製した。次いで、複合体を広範に洗浄し、100 mM Na2CO3で溶出した。複合体を含む溶出液のpHを8.0に調整し、溶液を濃縮した。この処理は、複合体を形成していないDID2(フリーのDID2断片)を除去する。図12は、複合体及びフリーのDID2断片のSDS-PAGEプロフィールを示す、図12において、レーン1は複合体であり、レーン2はフリーのDID2断片であり、レーン3は分子量マーカーである。この図から、DID2がgp120と効率的に結合し、DID2及びgp120の共有結合的架橋は単量体及び多量体の両方を形成する。精製された複合体の調製物は、検出できない程度の量のフリーのDID2断片を含んだ。
【0037】
(d.ウサギ中でのgp120-DID2複合体の免疫原性)
次いで、上述のようにして精製されたgp120-DID2複合体の免疫原性をウサギ中で調べた。Ribiアジュバント中の50μgの複合体で、2匹のウサギ(C2267及びC2271)を、0、4、及び8週にそれぞれ3回免役した。各ウサギ由来の血清を、各免疫の2週後、すなわち2、6、及び10週に集め、解析した。各免疫後に測定した、複合体に対する、ELISAによる抗体力価を下記表6に示す。複合体に対するELISAによる、各免疫後の抗体力価を下記表6に示す。また、gp120、sCD4及びDID2に対する抗体力価を測定し(表1を参照)、その結果、それはgp120-DID2複合体に対する免疫応答が個々の複合体成分に対する免疫応答と異なることを決定することができる。表6から、gp120-DID2複合体が、gp120、sCD4又はDID2よりも、優れた抗体反応を誘発することが明らかである。
次いで、6週及び10週に集めた、複合体で免疫したウサギ由来の血清を、U373細胞中のSHIV162P3分離体の中和について試験した。両方のウサギ由来の血清は、図13に示すように、SHIV162P3ウィルスを中和した。図13において容易に明らかであるように、中和は10週の血清について有意に高かった。
従って、現在、本発明の好ましい実施態様であると信じられていることが記載されると共に、当業者は、本発明の精神及び範囲から逸脱しないで、他の及びさらなる実施態様を構成することを理解し、本発明の真実の範囲に近づくように、全てのさらなる修飾及び変更が含まれることを意図する。
【0038】
【表1】

【0039】
【表2】

【0040】
【表3】

【0041】
【表4】

【0042】
【表5】

【0043】
【表6】

【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1A及び図1Bは、sCD4及びSCの存在下におけるHIV-1からのgp120の解離を示す。図1Aにおいて、標識された細胞は、0(レーン1、2)又は1.5μg/mlのsCD4(レーン3、4)と処理された。ウィルスと結合した(レーン1、3)又は可溶性(レーン2、4)gp120は、HIV-1抗体陽性ヒト血清、SDS-PAGE及びオートラジオグラフィーで検出した。図1Bにおいて、標識された細胞は、0(レーン1、2)、5μg/ml(レーン3、4)又は10μg/mlのSC(レーン5、6)と処理された。ウィルスと結合した(レーン1、3、5)又は可溶性(レーン2、4、6)gp120は1Aのように検出した。
【図2】図2A及び図2Bは、SC及びsCD4の存在下におけるトロンビン消化に対するgp120の感受性を図示する。Molt3/HIV-1IIIB細胞を、35S-メチオニンで4時間標識し、0.25%メチオニンを含む培地で3時間インキュベーションした。図2Aにおいて、標識した培地(1 ml)の一定量をトロンビン(7μg/ml)で37℃で90分消化し、次いで、HIV-1陽性ヒト血清で免疫沈降し、SDS-PAGEで解析した。レーン1は未処理培地を示し、レーン2はトロンビンで処理された培地を示す。トロンビン消化前に、培地の一定量を、2.5μg/ml(レーン3)、10μg/ml(レーン4)の濃度のSC、2.5μg/ml(レーン5)又は10μg/ml(レーン6)の濃度のsCD4で前処理した。トロンビン切断で精製したgp120断片を矢印でマークした。図2Bにおいて、標識された培地の一定量は、前処理なし(レーン1)、5μg/mlのSCによる前処理(レーン2)又は5μg/mLのSC及び0.1 mMのα-メチルピラノシドの混合物による前処理(レーン3)によってトロンビンで消化した。
【0045】
【図3】図3A及び3Bは、gp120-sCD4に対して産生されたマウス抗血清による、HIV-1が誘導する融合細胞形成の阻害を示す。図3Aにおいて、HIV-1IIIB(○)、HIV-1MN(□)又はHIV-2WAVZ(◇)と一緒にCEM細胞にgp120-sCD4に対して産生されるマウス抗血清を加えた。図3Bにおいて、トロンビンで処理したgp120-sCD4に対して産生されたマウス抗血清を試験した。アッセイ条件は、実施例に記載されている。各実験条件については、3つの分離された領域における融合細胞が数えられた。平均値は融合細胞/領域として与えられる。
【図4】図4は、gp120-CD4複合体に対するモノクローナル抗体と、gp120、sCD4及び複合体とのウェスタンブロットアッセイを示す。レーン1はモノクローナル抗体7E3であり、レーン2はモノクローナル抗体8F10Bであり、レーン3はモノクローナル抗体8F10Cであり、レーン4はモノクローナル抗体8F10Dであり、レーン5は抗-gp120モノクローナル抗体であり、レーン6は抗-p24モノクローナル抗体であり(ネガティブコントロール)、レーン7は抗-CD4過免疫ウサギ血清であり、レーン8は正常ウサギ血清である。
【0046】
【図5】図5は、gp120-レクチン複合体に対する、モノクローナル抗体の結合を示すグラフである。モノクローナル抗体A(○)及びB(△)を、gp120-SC(開放した記号)又はgp12(閉じた記号)と、ELISAで試験した。
【図6】図6は、モノクローナル抗体及びヤギ免疫血清を用いた、競合ELISAを示すグラフである。精製モノクローナル抗体7E3(■)、モノクローナル抗体8F10B(○)、モノクローナル抗体8F10C(●)及びモノクローナル抗体8F10D(▲)を、の限界希釈を、段階希釈したヤギ69血清とインキュベートし、gp120-CD4 ELISAで試験した。競合割合は、出血前血清における結合に対する免疫血清中の抗体結合のレベルとして計算される。
【図7】図7は、実施例IIIに従って調製されたgp120-CD4複合体を示すゲルの写真である。図7において、レーン1はgp120であり、レーン2はsCD4であり、レーン3はgp120-CD4複合体であり、レーン4は分子量マーカーである。
【図8】図8は、CD4、sCD4及びヒトCD4の最初の2つのドメインのみを含むヒトCD4の略図である(図8におけるDID2として言及される)。DID2は実施例VIにおいて提供されるように調製される。
【0047】
【図9】図9は、DID2をコードする、発現ベクターPTK13+Neo4の略図である。発現ベクターPTK13+Neo4の配列は、配列番号:3として配列リスト中に示される。
【図10】図10は、実施例V1において提供されるように調製された、DID2の製造を示すフローチャートである。
【図11】図11Aは、DID2及びsCD4のSDS-PAGEプロフィールを示し、図11Bは、DID2及びsCD4に対して産生された抗体のウェスタンブロットアッセイを示す。図11Aにおいて、レーン1はDID2であり、レーン2はsCD4であり、レーン3は分子量マーカーである。図11Bにおいて、レーン1はsCD4であり、レーン2はDID2であり、レーン3は分子量マーカーである。
【図12】図12は実施例VIに従って調製されたDID2及びgp120/DID2のSDS-PAGEプロフィールを示す。レーン1はgp120/DID2複合体であり、レーン2はDID2であり、レーン3は分子量マーカーである。
【図13】図13は、gp120/DID2架橋複合体で免疫されたウサギ由来の血清によるSHIV162P3ウィルスの中和を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CD4の断片又はその同等物と共有結合的に結合したgp120を含む、免疫原性複合体。
【請求項2】
前記CD4の断片が、CD4の第1及び第2のドメインを含む、請求項1に記載の免疫原性複合体。
【請求項3】
潜在性エピトープが見られる、請求項1に記載の免疫原性複合体。
【請求項4】
前記gp120が、前記CD4の断片に共有結合的に架橋結合している、請求項1に記載の免疫原性複合体。
【請求項5】
請求項1に記載の免疫原性複合体を含む、組成物。
【請求項6】
更に、リン酸アルミニウムゲルを含有するアジュバントを含む、請求項5に記載の免疫原性複合体。
【請求項7】
請求項1に記載の免疫原性複合体及び薬学的に許容される担体を含む、組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の免疫原性複合体と反応する抗体。
【請求項9】
モノクローナル抗体である、請求項8に記載の抗体。
【請求項10】
請求項9に記載の抗体を産生する、不死化細胞系。
【請求項11】
薬学的に許容される担体中の、CD4の断片又はその同等物と共有結合的に結合したgp120の複合体の免疫原的に有効な量を患者に投与することを含む、HIVに対する中和抗体を産生する方法。
【請求項12】
前記CD4の断片が、CD4の第1及び第2のドメインを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
CD4の断片又はその同等物と共有結合的に結合したgp120の複合体を、試験体液と接触させ、試験体液中の抗原と前記抗体との間で形成された免疫複合体を検出することを含む、試験体液中のHIV抗原の検出方法。
【請求項14】
固体又は標識化基質に結合する前記抗体、及び該検出方法を実施するための説明書を含む、請求項13に記載の方法を実施するための試験キット。
【請求項15】
薬学的に許容される媒体中に、CD4の断片又はその同等物と共有結合的に結合したgp120の複合体の免疫原的に有効な量を含むワクチン。
【請求項16】
CD4に相当する分子に共有結合的に結合したgp120を含む免疫原性複合体。
【請求項17】
潜在性エピトープが見られる、請求項16に記載の免疫原性複合体。
【請求項18】
前記CD4同等物分子が、サソリ毒をベースとするCD4模倣微小タンパク質である、請求項16に記載の免疫原性複合体。
【請求項19】
前記gp120が、前記CD4同等物分子と共有結合的に架橋結合している、請求項16に記載の免疫原性複合体。
【請求項20】
薬学的に許容される担体中の、CD4同等物分子と共有結合的に結合したgp120の複合体の免疫原的に有効な量を患者に投与することを含む、HIVに対する中和抗体を産生する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2007−534615(P2007−534615A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517744(P2006−517744)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【国際出願番号】PCT/US2004/020757
【国際公開番号】WO2005/019248
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(505470890)アドバンスド バイオサイエンシーズ ラボラトリーズ インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】