説明

HIV処置用の移植可能デバイス

本発明は、ジメチルスルフォキシド(DMSO)とポリ(ビニルピロリドン)(PVP)との組み合わせ物、ポロキサマーおよびポリソルベートからなる群から選択される1もしくは複数の放出強化剤、およびTMC278と混合された生物適合性の生分解性ポリマーを含んでなる移植可能デバイスに関する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、HIV感染の予防および抑制に使用できるNNRTI TMC278の移植可能デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因であるヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染の処置には、大きな医学的課題が残っている。HIVは免疫学的圧力を逃れ、様々な細胞型および成長条件に適合し、そして現在利用可能な薬剤療法に対する耐性を発生することができる。現在の標準的治療には、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NRTI)、非−ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)、HIV−プロテアーゼ阻害剤(PI)から選択される少なくとも3種の薬剤、およびさらに最近の融合阻害剤の投与が関与する。効果的な抗レトロウイルス療法(ART)を広く取り入れている国では、臨床的な利益は劇的であった。HIV感染者のAIDSへの進行ははるかに少ない。しかしARTへのアドヘレンス(adherence)がこの成功への主要な決定因子と弱点の両方として現れた。抗レトロウイルスのアドヘレンスが、AIDSへの進行およびCD4カウント後の死亡の2番目に強い予測となる。長期のウイルス抑制にはほぼ完全なアドヘレンスが必要であるにもかかわらず、ARTへの不完全なアドヘレンスが処置した個体の全ての群で共通している。生じたウイルス学的な失敗は長期の臨床的成功に対する可能性を下げる。またARTの存在下で進行している複製を通して選択された薬剤耐性HIV株は、非感染または薬剤にナイーブな患者に伝染する可能性があり、彼らの治療的選択肢が少なくなる。
【0003】
アドヘレンスはARTのすべてのクラスの薬剤に重要であるが、特にアドヘレンスが重要であるのはNNRTIのクラスである。ウイルス抑制とこのクラスの薬剤に関する耐性との間のバランスが特に不安定である。この不安定さは、プロテアーゼインヒビターに対してこのNNRTIクラスの薬剤の低い遺伝的バリアの結果である。プロテアーゼインヒビターに対する耐性には複数の突然変異(ここで各突然変異が酵素的効力およびウイルスの適合性(fitness)を下げることができる)が必要であるが、ただ1つの突然変異の獲得で、3種の利用可能なすべて薬剤に対して交差−クラス(cross−class)耐性が付与されるようである。したがってHIVがNNRTIの制御を逃れても、耐性ウイルスはすぐに現れる。
【0004】
現在、利用できるNNRTI療法はすべて経口療法である。したがって耐性を予防するために必要なアドヘレンスの維持は困難である。この高レベルのコンプライアンスを必要とする投薬計画には、毎日摂取される多数の薬剤(pill)に加えて、薬剤投薬の時期も極めて規則的でなければならない。この投薬の規則性により、血漿中の薬剤濃度が維持され、そして最適下レベル未満に落ちないことを確実にする。これを終生、毎日維持することは大変難しく、しかし処方を厳守しないとその結果は致命的となり得る。
【0005】
TMC278は4−[[4−[[4−(2−シアノエテニル)−2,6−ジメチルフェニル}−アミノ]−2−ピリミジニル]−アミノ]ベンゾニトリルとしても知られており、そして総称名はリルピビリン(rilpivirine)であるが、現在、臨床的に開発中のNNRTIである。この化合物ならびにその調製は特許文献1に記載されている。
【0006】
抗HIV薬剤のアドヘレンスに付随する問題を克服する1つの方法は、長期作用薬剤療法を提供することによりるものであり、これにより頻繁に投与せずに効果的な薬剤血漿レ
ベルが長期間維持される。特許文献2はHIV感染の長期予防にTMC278の非経口製剤の使用を記載する一方、特許文献3はHIV感染の長期抑制にTMC278の非経口製剤の使用を記載する。次いで特許文献3はHIV感染の抑制と同時に長期予防のためにミクロ−またはナノ粒子製剤の使用を記載する。これらの先行技術文献に記載された製剤は、長期に持続する効果的な薬剤血漿レベルを提供した。
【0007】
TMC278を用いた臨床試験は、悪心、目眩感(dizziness)、異常な夢、消化不良、無力、皮膚発疹、傾眠および目眩感(vertigo)を含む幾つかの副作用を現したが、これらは市場に出ているNNRTIを用いた場合よりも起こった頻度は低かった。特に発疹は既存のNNRTIでよく起こる副作用であり、通常、処置の最初の3〜4週間以内に発症する。これらの副作用が重篤になれば、薬剤療法は終了しなければならない。この薬剤療法の終了を経口剤形で行うことは容易である。しかし前段の文献に記載された長期持続(long−lasting)製剤の性質では、薬剤を回収することは不可能なので、注入された患者は治療に対する副作用を現すはずである。
【0008】
したがって高薬剤負荷量(pill burden)を回避し、頻繁に投与する必要はないが、しかし悪い薬剤反応が出た場合には除去することができるHIV阻害剤療法が必要とされている。分解性ポリマーおよびTMC278を含んでなるインプラントは、長期間にわたりこの有効成分の徐放性を提供することが分かった。除去できるようにするために、そのようなインプラントは、好ましくは一体型で作られなければならず、そしてさらに長期に持続する治療効果を発揮するように十分量の有効成分を含むための特定サイズでなければならない。そのようなインプラントに付随する問題は、体液がインプラントに浸透するための時間が必要となるので、初期の薬剤放出が不十分な点である。今、特異的作用物質を加えることによりインプラントから放出されるTMC278の初期の低下が克服されることが分かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2003/16306号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2006/106103号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2007/082922号パンフレット
【発明の概要】
【0010】
発明の記載
本発明は、ジメチルスルフォキシド(DMSO)とポリ(ビニルピロリドン)(PVP)との組み合わせ物、ポロキサマー、ポリソルベートからなる群から選択される1もしくは複数の放出強化剤(release−enhancing agent)、およびTMC278と混合された生物適合性の生分解性ポリマーを含んでなる移植可能デバイスに関する。
【0011】
この移植可能なデバイスは特に一体型デバイスである。一つの態様では、このデバイスの重量は100mg以上、または200mg以上、または400mg以上、または500mg以上、または800mg以上、または1000mg以上、または1200mg以上、または1200mg以上である。大きすぎるデバイスは実用的ではなく、上限は約2gまたは約1.5gである。
【0012】
本発明の移植可能デバイス中のTMC278の重量パーセントは、約10%〜約80%、約10%〜約70%、または約20%〜約65%、または約25%〜約60%、または約40%〜約60%、または約50%〜約80%、または約50%〜約60%でよい。一つの態様では、デバイスは約50%〜約70%、または約55%〜約65%、例えば約6
0%のTMC278を含む。より低頻度の投与が望まれる場合、これは投与の便利さと患者の快適性のためにデバイスを十分に小型に維持するために、より高い負荷量のTMC278、例えば約50%から開始される上記範囲が好適である。
【0013】
本発明の移植可能デバイス中の放出強化剤の濃度は、約1%〜約40%、または約5%〜約35%、または約10%〜約40%、または約15%〜約30%、例えば約20%または約30%の範囲でよい。他の態様では移植可能デバイス中の放出強化剤の濃度は、より低くすることができ、これは特にDMSOが存在する場合である。例えば放出強化剤(DMSO含量を除く)の該濃度は、約1%〜約30%、または約1%〜約20%、または約2%〜約15%、または約5%〜約10%の範囲、例えば約5%または約10%でよい。この段落におけるすべての%は、移植可能デバイスの総重量に対する重量/重量である。
【0014】
本発明の移植可能デバイス中の生物適合性の生分解性ポリマーの濃度は、約10%〜約80%、または約10%〜約50%、または約10%〜約40%、または約20%〜約40%の範囲、例えば約20%、約25%、約30%または約40%でよい。この段落におけるすべての%は、移植可能デバイスの総重量に対する重量/重量である。
【0015】
TMC278は塩基形で、または製薬学的に許容され得る塩形として、特に酸付加塩形として使用できる。本明細書で言及する場合はいつも、用語「TMC278」または「リルピビリン」とは塩基形ならびに製薬学的に許容され得る塩形を指す。一つの態様では、TMC278は塩基形で使用される。
【0016】
本発明によるデバイスは、上に挙げた特異的な放出強化剤の添加無しではTMC278を放出しないか、または十分に放出しない。本発明のデバイスは特に、1カ月に1回から3カ月に1回の範囲の時間間隔で使用される。そのような時間間隔で投与するためのデバイスは、デバイスを小型に維持するために、より高負荷量(または濃度)のTMC278を含むことが好ましい。そのようなTMC278の高負荷量デバイスを作成することはできるが、TMC278は上に挙げた特異的な放出強化剤を添加することによってのみ放出されることが分かった。
【0017】
本発明の移植可能デバイスはデバイスからのTMC278の安定な放出を生じ、長期間効果的な血漿レベルを可能にする。TMC278の放出は、デバイスが移植された後直ちに始まり、すなわちディレイは限定的か、または無い。移植可能デバイスは、良くない薬剤反応が現れた場合には身体から取り出すことができるという利点を有する。放出強化剤を含まないデバイスはTMC278を放出しないか、または不十分にしか放出せず、これはインプラント材料の疎水的性質によるものと想定される。TMC278の脂肪親和性により、インプラント材料中への水性媒体の浸透が特に高負荷量のTMC278の場合に妨害されると想定される。上に挙げた特異的放出強化剤だけがTMC278の良好な放出プロファイルをもたらす。
【0018】
本発明の移植可能なデバイスは、さらに十分なコンシステンシーおよび柔軟性を示すので、それらは操作され、身体に投与され、そして所望により身体から取り出すことができる。複数のデバイスを同じ点に適時に、または異なる点に適時に移植することができる。複数のデバイスが移植される場合、これらはより小さいサイズであることができる。移植されるデバイスの数は、非現実的に高くはなく、例えば5以下または2以下である。
【0019】
本発明の移植可能デバイスは、生物適合性の生分解性ポリマーを含んでなる。このポリマーのパラメーターはデバイスの分解速度を制御するために選択することができる。例えばより速く分解する分子量を望む場合、より低い初期分子量のポリマーおよびコポリマー
を使用することができる。コポリマー中のモノマー比率は、ポリマーの分解速度を制御する別の方法である。ポリマーは分解速度の追加制御に、エンドキャップすることができる。
【0020】
生分解性ポリマーは湿性の身体組織に暴露された場合、小さいセグメントに容易に分解する。次いでこのセグメントは身体に吸収されるか、あるいは身体を通過するかのいずれかである。より詳細には生分解したセグメントは身体に吸収されるか、または身体を通過し、でセグメントの永続的な痕跡または残余が身体に残ることはないため、このセグメントが永続する慢性の外来身体反応を現すことはない。また生分解性ポリマーは、生物吸収性ポリマーとも呼ばれ、そして両用語は本発明の文脈において互換的に使用することができる。
【0021】
適切な生物適合性の生分解性ポリマーは脂肪族ポリエステル、ポリ(アミノ酸)、コポリ(エーテル−エステル)、ポリアルキレンオキサレート、ポリアミド、ポリ(イミノカーボネート)、ポリオルトエステル、ポリオキサエステル、ポリアミドエステル、アミン基含有ポリオキサエステル、ポリ(無水物)、ポリホスファゼンおよびそれらのブレンドを含んでなる。本発明の目的のために、脂肪族ポリエステルには限定するわけではないが、ラクチド(これは乳酸、d−、l−およびメソラクチドを含む)、グリコリド(グリコール酸を含む)、ε−カプロラクトン、p−ジオキサノン(1,4−ジオキサン−2−オン)、およびトリメチレンカーボネート(1,3−ジオキサン−2−オン)のホモポリマーおよびコポリマーを含む。一つの態様では、生物適合性の生分解性ポリマーは、ラクチド(これは乳酸、d−、l−およびメソラクチドを含む)およびグリコリド(グリコール酸を含む)のコポリマーである。別の態様では生物適合性の生分解性ポリマーは、約65%のラクチド対約35%のグリコリドのモル比のラクチド対グリコリドのコポリマーである。
【0022】
本発明の移植可能デバイスは、1もしくは複数の特異的放出強化剤を含む。これらの作用物質は表面活性剤および/または乳化剤の種類である。それらは生物適合性の生分解生ポリマーと混合される。一つの態様では、1もしくは複数の特異的放出強化剤が生物適合性の生分解生ポリマーに微細に分散される。また放出強化剤は分子分散物として生物適合性の生分解性ポリマーに分散されてもよく、これは例えば放出強化剤を生物適合性の生分解生ポリマーと融解し、そしてこのように形成された溶融物を、例えば溶融押出しによりさらに処理することによる。
【0023】
有効成分のTMC278は同様に生物適合性の生分解生ポリマーに包含される。一つの態様では、TMC278は生物適合性の生分解生ポリマーに微細に分散される。TMC278は生物適合性の生分解生ポリマーに加えるか、または生物適合性の生分解生ポリマーと1もしくは複数の放出強化剤との混合物に加えることができる。DMSOが使用される場合、TMC278を最初にDMSOと混合することができ、そしてこの混合物をポリマーおよび放出強化剤混合物に加える。またDMSOは、ポリマーおよび放出強化剤混合物に加え、その後にTMC278を加えてもよい。好ましくはポリマー(1もしくは複数)が溶融されると同時にTMC278が加えられる。またここで形成された混合物は、例えば溶融押出しによりさらに処理されることができる。
【0024】
このデバイスに加えることができる放出強化剤の1種は、ポロキサマー(商用名Pluronic(商標)(BASF)でも知られている)の群から選択される。ポロキサマーは非イオン性の3ブロックコポリマーであり、中央のポリオキシプロピレン(ポリプロピレンオキシド)の疎水性鎖が2つのポリオキシエチレン(ポリエチレンオキシド)の親水性鎖に挟まれてなり、ポリマーブロックの長さが変動する。一般名「ポロキサマー」に関して、これらのコポリマーは(ポロキサマーについての)文字“P”で共通して名付けら
れ、これに3つのディジットが続き、最初の2つのディジットx100はポリオキシプロピレンコアのおよその分子量を与え、そして最後のディジットx10はポリオキシエチレン含量のパーセントを与える(例えばP407=分子量4,000g/molのポリオキシプロピレンで、70%のポリオキシエチレン含量を有するポロキサマー)。ポロキサマーは商用名Pluronic(商標)で市販されている。Pluronicの商用名に関して、これらコポリマーのコードは、室温での物理形態を定める文字から始まり(L=液体、P=ペースト、F=フレーク(固体)))、それに2もしくは3つのディジットが続く。数字表示の最初のディジットは(3つのディジット数のうちの2つのディジット)、300を掛けてポリオキシプロピレン疎水性鎖(hydrophobe)のおよその分子量を示す。最後のディジットは10を掛けると、分子中のおよそのエチレンオキシド含量を示す(例えばF127=約3,600g/molのポリオキシプロピレンの分子量および70%のポリオキシエチレン含量のPluronic(商標))。Pluronic(商標)F127はポロキサマーP407(P407)に相当する。
【0025】
一つの態様では、ポロキサマーは約3,000〜約4,800g/molの範囲のポリオキシプロピレン分子量、および約70%〜約80%の範囲のポリオキシエチレン含量を有する。一つの態様では、使用されるPluronic(商標)(BASFから入手可能)は、F127またはF68等級であり、そして特にF108等級である。
【0026】
デバイスに加えることができる別の種類の放出強化剤は、ポリソルベートの群から選択される。これらはペグ−イル化(PEG−ylated)ソルビタンから誘導される油性液体であり、これは脂肪酸でエステル化されたソルビトールの脱水から得られる材料の混合物である。例にはポリソルベート20(Tween(商標)20またはポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート)、ポリソルベート40(Tween(商標)40またはポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート)、ポリソルベート60(Tween(商標)60またはポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート)、およびポリソルベート80(Tween(商標)80またはポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレート)がある。ポリオキシエチレン部分に続く数字20は、この分子中に見いだされるオキシエチレン−(CHCHO)−基の総数を指す。ポリソルベート部分に続く数字は、分子のポリオキシエチレンソルビタン部分に結合する脂肪酸の種類に関する。モノラウレートは20で表され、モノパルミテートは40で表され、モノステアレートは60で、そしてモノオレートは80で表される。
【0027】
デバイスに加えることができる別の種類の放出強化剤は、DMSOとポリビニルピロリドンポリマー(ポビドン:PVPとしても知られている)の群から選択される1もしくは複数のポリマーとの混合物から選択される。これらは市販されており、そして約2,5kD〜約2,500kDの範囲の分子量を有する。例はPVP K25(BASF,MW=29,000)、PVP K30(BASF,MW=40,000)およびPVP K90(BASF,MW=360,000)であり、商用名Kolidon(商標)で販売されている。中でも興味深いのは約250kD〜約500kD、または約300kD〜約400kDの範囲の分子量を有するPVPである。中でも特に興味深いのはPVP K90である。放出強化剤としてPVPのみを含むインプラントは、TMC278の放出が不十分だった。
【0028】
インプラントに微量で加えることができるさらなる賦形剤には、生物適合性の物質、例えば表面活性剤、乳化剤、親水性ポリマーまたは水と混和性の低分子を含む。適切な賦形剤には、限定するわけではないがポリソルベート、ソルビタンエステル、モノおよびジ脂肪酸エステル、アニオン性表面活性剤、脂質、トリグリセリド、ポリエチレングリコール、親水性ポリマー、例えばポリ(ビニルアルコール)、およびそれらの混合物がある。この文脈における微量とは、10%未満、または5%未満、または2%未満、または1%未
満を指し、そのような成分のこれら重量/重量はどれもインプラントの総重量に対する。
【0029】
一つの態様では、この放出強化剤はDMSOと組み合わされる。PVPに関して、DMSOの添加はインプラントからTMC278の許容され得る放出をもたらすために必要である。放出許容剤と組み合わされるDMSOの量は、約2%〜約15%、または約3%〜約15%、または約3%〜約10%、または約5%〜約10%の範囲、例えば約10%でよく、この段落で挙げた各パーセントは、移植可能デバイスの総重量に対する重量/重量である。
【0030】
本発明の移植可能デバイスは固体形態であるので容易に移植でき、そしてTMC278に対するアレルギー反応のような良くない出来事があった場合は取り出すことができる。剤形の形状は、その便利な投与または除去を可能にするために選択される。一つの態様では、このデバイスはロッド状の形態をとり、すなわち小さい直径、例えば約0.5mm〜約6mm、または約1mm〜約5mm、または約1.5mm〜約4mm、または約2mm〜約3mmの範囲の直径を持つ延伸した柱体である。この柱体の長さは変動してよく、例えば約1cm〜約5cm、または約2cm〜約5cm、または約2cm〜約4cm、または約2.5cm〜約3.5cm、例えば約3.5cm、または約3.0cmまたは約2.5cmの範囲であることができる。別の態様では、柱体はコイン様(平らな柱体)形状を取る。そのような場合、高さは約1mmから10mmの間、または2mm〜5mmの間、または1.5から4mmの間で変動するが、直径は約10mm〜約25mm、または約10mm〜約20mm、または約15mm〜約20mmの範囲である。
【0031】
また移植可能デバイスの容量がその形状を決める。デバイスの容量、デバイスは0.1cc以上、または0.2cc以上、または0.4cc以上、または0.5cc以上、または0.8cc以上、または1cc以上、または1.2cc以上、または1.5cc以上である。一つの態様では、移植可能デバイスの容量は約1ccである。大きすぎる容量は現実的ではなく、上限は2ccまたは1.5ccとなり得る。本明細書で使用するccは立方センチメートルである。
【0032】
患者にいかなる悪影響もない場合には、デバイスはポリマーが完全に分解されるまで体内に残る。ポリマーの分解産物および残る湿潤剤または他の賦形剤は、いったんすべての薬剤が放出されれば引き続いて除去する必要はなく身体に吸収される。
【0033】
移植可能デバイスは、生物適合性の生分解性ポリマー、湿潤剤、TMC278および存在するならば他の賦形剤を、適切なミキサーおよびホットメルト押出しを使用したメルトブレンドのような通例の技法を使用して調製することができる。次いでデバイスの材料をダイを通して押出し、そして所望の長さに切断する。
【0034】
本発明におけるようなTMC278の投与は、HIV感染を抑制するために十分となり得るが、多くの場合で他のHIV阻害剤を同時投与することが薦められるかもしれない。このHIV阻害剤には好ましくは他のクラスのHIV阻害剤、特にNRTI、PIおよび融合阻害剤から選択したものを含む。同時投与は経口または非経口でよい。
【0035】
特定の場合、HIV感染の処置は、本発明の移植可能デバイスの投与のみ、すなわちさらなるHIV阻害剤を同時投与しない単独療法に限定することができる。この選択は例えばウイルスの負荷量が比較的低い場合、例えばウイルス負荷量(特定容量の血清中のウイルスRNAのコピー数として表される)が約200コピー/ml未満、特に約100コピー/ml未満、さらに特に50コピー/ml未満、特別にはウイルスの検出限界未満の場合に推薦される。
【0036】
あるいは本発明は、国際公開第2006/106103号明細書の記載と同様に、HIVの伝染に対する予防に使用することができる。上記のように、伝染に対する予防にはTMC278の血漿レベルは、4ng/mlまたは10ng/mlまたは15ng/ml、または20ng/ml、または40ng/mlの最少血漿レベルより上に維持されるべきである。TMC278の血漿レベルは、より低いレベルでは薬剤がもはや効果的ではなく、これによりHIV感染の伝染のリスクが上がるので、好ましくはこれら最少血漿レベルより上に維持すべきである。TMC278の血漿レベルは安全限界(safty margin)を有するために、そして突然変異したHIVの発生を回避するために幾分高いレベル、例えば93ng/mlの最少血漿レベルよりも高く維持することができる。
【0037】
さらなる観点では、移植可能デバイスはTMC278の経口製剤(例えば錠剤)またはさらにHIV阻害剤と組み合わせた経口製剤と一緒に使用することができる。TMC278の経口製剤は、血漿レベルを最少必要レベルにまで直ちに上げ、そして移植可能デバイスは持続期間中、最少必要レベルを維持することができる。デバイスは2週間から6カ月の範囲の時間間隔で断続的に投与することができる。しかし副作用が明らかな場合、経口投与を中断し、そして移植可能デバイスを直ちに取り除くことができる。
【0038】
本発明の移植可能デバイスは、少なくとも2週間の時間間隔で、または特に本明細書で挙げた時間間隔で断続的に投与され、これは移植可能デバイスがさらに介在する追加のTMC278投与無しで投与できることを意味している。換言すれば、本発明の移植可能デバイスは、少なくとも2週間の期間、または特に本明細書に挙げた時間間隔により互いに離れた特定の時点で投与することができ、この間TMC278は投与しなくてよい。そのような投与スケジュールは単純であり、投与をほとんど必要とせず、したがって標準的なHIV薬剤療法が直面する「薬剤負荷量」の問題を劇的に減らす。これは次いで処方された投薬療法に対する患者のコンプライアンスを改善する。
【0039】
本発明の移植可能デバイスは、上に挙げた時間間隔で投与(すなわち移植)することができる。一つの態様では、この時間間隔は2〜3週間、または3〜4週間の範囲内である。別の態様では、この時間間隔は1〜2カ月、または2〜3カ月、または3〜4カ月、または4〜6カ月の範囲内である。時間間隔は数週間、例えば2、3、4、5または6週間、あるいは1もしくは数カ月、例えば2、3、4、5もしくは6カ月、またはさらに長く、例えば7、8、9もしくは12カ月でよい。
【0040】
本明細書で使用する用語「HIV感染の処置」または「HIV感染の抑制」とは、HIVに感染した個体の処置の状況に関する。用語「個体」は特にヒトに関する。
【0041】
移植可能デバイスは単回投与で、例えば少なくとも2週間の時間間隔後に1回の注入または移植により、例えば2週間毎または1カ月毎に1回の注入または移植により投与されることが好ましい。
【0042】
本発明の移植可能デバイス中のTMC278の量である投与されるTMC278の用量は、TMC278の血漿濃度が長期間、最少血漿レベルより上に維持されるように選択される。この文脈において「最少血漿レベル」という用語は最低の有効血漿レベルを指し、これはHIVの効果的処置を提供するTMC278の血漿レベルであり、あるいは別の言い方ではHIVの抑制に効果的なTMC278の血漿レベルである。特にTMC278の血漿レベルは約10ng/ml、または約15ng/ml、または約20ng/ml、または約40ng/mlの最少血漿レベルよりも上のレベルに維持される。特定の態様では、TMC278の血漿レベルは約93ng/mlのレベルより上に維持される。
【0043】
TMC278の血漿レベルは、これら血漿レベルの閾値より上に維持されるべきである
。なぜならより低いレベルでは薬剤がもはや効果的ではなく、これにより突然変異のリスクが上がるからである。投与されるTMC278の用量は、投与される時間間隔にも依存する。用量は投与の頻度が低い場合により高くなる。
【0044】
投与される用量は、約10mg/日〜約200mg/日、または約20mg/日〜約125mg/日に基づき算出されるべきであり、例えば約25mg/日または約100mg/日、特に25mgまたは50mgまたは93mg/日である。これらの用量は1週間の用量には7倍され、そして1カ月の用量には30倍される。
【0045】
本発明の移植可能デバイスは事実上、安定なTMC278の血漿レベルをもたらし、すなわち血漿レベルは限界境界内で変動し、そして長期間にわたりおよそ同じレベルに留まり、これによりゼロ次放出に近づくことが分かった。
【0046】
本発明によるTMC278含有デバイスは、十分な直径のインジェクターニードルまたは套管針を介するような適切なデバイスにより、あるいは小さい切開に貫入させることにより皮下に移植することができる。またTMC278インプラントは、必要ならば皮膚をメスで小さく切開し、そしてピンセットまたはクランプを使用してデバイスを切開を通して抜き取り、そして切開を閉じることにより取り出すことができる。
【0047】
さらなる観点では、すべての放出強化剤はラジカル形成に対して潜在的に感受性であり、このメカニズムを介してTMC278を分解する可能性があることが分かっているが、ガンマ線照射の最終的滅菌法ではTMC278の分解を生じないことが分かった(実施例7を参照にされたい)。
【0048】
本明細書で数値に関連して使用する用語「約」とは、その通例の意味を有する。特定の態様では、用語「約」は無視することができ、そしてその数値だけが適用されるべきである。別の態様では、用語「約」は数値±10%、すなわち±5%、または±2%または±1%を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】60%のTMC278を含有し、DMSOを含まない(左)および10重量/重量%DMSOを含む(右)のPLGA50/50ロッドを、37℃でPBS中にて4週間インキュベーションした後の走査電子顕微鏡写真(SEM)。
【図2】(左)PLGAに分散した再結晶化TMC278の示差走査熱量測定温度記録(第一加熱)、(右)DMSO/PLGAに分散したTMC278の温度記録(第一加熱)。
【図3】(左)再結晶後および(右)再結晶前のTMC278結晶のSEM顕微鏡写真。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下の実施例は本発明を具体的に説明することを意味し、その範囲を限定すると解釈すべきではない。用語「デバイス」および「製剤」は互換的に使用される。本発明によるデバイスは、上に挙げた成分を含んでなる製剤である。
【実施例1】
【0051】
モノマー比65/35の6グラムのポリ(乳酸−コ−グリコール酸)(固有粘度(IV)=0.79dl/g)を、容量30ccのBrabender(商標)ミキサーに入れた。ミキサーを100℃に加熱し、そして混合羽根を60rpmで回した後にポリマーを導入した。ポリマーを導入した後、18グラムのTMC278および6グラムのPlur
onic(商標)F108(BASF)をミキサーに供給した。混合はこれらの設定条件でさらに5分間続行した。材料をミキサーから取り出し、周囲条件で冷却し、そして続いて少量づつDACA配合機に供給した。バレルを110℃に予熱し、そしてスクリュー速度を100rpmに設定した。押出物ストランドを連続的に集め、このストランドの直径は1.5〜2mmの範囲であった。ストランドを50mgのTMC278を含有する約2.54mm長のサンプルに切断した。固体製剤は、密封前にアルミニウムで裏打したパッケージに個別包装し、この包装物をパージし、そして窒素を一晩流し、そして窒素下で密封した。サンプルは最終的にガンマ線照射を使用して15kgyの被爆レベルで滅菌した。
【0052】
種々の湿潤剤をこの溶融処理法を使用してTMC278およびPLGAマトリックスに包含させた。これらの湿潤剤にはDMSOおよびPVPを含むDMSOを含んだ。これらの製剤では、TMC278の濃度は総配合物の26(重量/重量)%で一定であり、そしてPLGA65/35は総配合物の73〜74%で変動した。DMSOは総配合物の5および10%で配合物に加えられ、そしてPluronic(商標)F108サンプルは20%レベルで調製した。この実施例で挙げたすべての百分率は、配合物の総重量に対する(重量/重量)である。
【実施例2】
【0053】
この実施例は、TMC278/F108/PLGAの移植可能デバイスの投与がTMC278/PLGAに比べて血漿中への速い取り込みを生じることを示すことを目的とする実験を表す。この実験はビーグル犬を対象として、60%TMC278/40%PLGA65/35(IV=0.79dl/g)からなる2個のロッドの単回皮下投与と比べて、60%TMC278/20%PLGA65/35(IV=0.79sl/g)/20%F108からなる2個のロッドの単回皮下投与後に、TMC278の血漿中動態(plasma kinetics)および絶対的バイオアベイラビリティを比較するために行った。年齢約3歳、そして体重が実験の開始時に11から12kgの間の6匹のオスのビーグル犬(イヌNo.A1、A2、A3、B1、B2、B3)を本実験に使用した。イヌの左脇腹に投与した。移植領域は最初に毛を剃り、そしてエタノールおよびヨウ素溶液で拭いた。動物は全身麻酔で鎮静させた。製剤は12ゲージの鋭い針を含むトロカールに入れた。この針で皮膚を押し、そして製剤を皮下スペースに放出した。全部で8〜9mg/kgのTMC278用量となる2個のロッドを各イヌに配置した。A群のビーグル犬はTMC278/PLGA製剤を受容し、そしてB群はTMC278/F108/PLGA系を受容した。
【0054】
血液サンプルは投与後、特定の時点でイヌの頸静脈から採血した。採血後、血液サンプルを直ちに融けている氷上に置き、そして遮光した。血液サンプルを約1900Xで10分間、5℃で遠心して血漿を分離させた。分離直後に血漿サンプルを遮光し、融けている氷上に置き、そして−18℃で保存した。
【0055】
イヌの血漿中のTMC278濃度は、固相抽出法(SPE)の後、定量型調査であるLC−MS/MS法により測定した。TMC278の血漿濃度は、適切なサンプル洗浄(clean up)後に測定した。サンプル(血漿の0.1mlアリコート)を固相抽出法(Bond Elut Certify 固体相カラム、130mg、SPE、Varian)を使用して抽出した。SPEカラムは3mlのメタノール、3mlの水、そして1mlの酢酸(1M)でコンディショニングした。3mlの酢酸を0.1mlの血漿アリコートに加えた後、サンプルはカラムで抽出し、続いてカラムを1mlの水、1mlの酢酸(1M)、そして3mlのメタノールで洗浄した。カラムに3mlのメタノール/NHOH25%(98:2 容量/容量)を流した。抽出物を蒸発乾固し、そして150μlのギ酸アンモニウム、0.01M(ギ酸/メタノール(40:60)(容量/容量)でp
H4に調整)で再構成した。質量分析器への流速は、スプリッティング後に約100μl/分であった。LC−MS/MS分析は、HPLCシステムに連結されたAPI−3000システム(Applied Biosystems)で行った。
【0056】
この実験結果を表1にまとめる。結果はF108が不存在の製剤について、血漿中のTMC278の検出前のディレイタイムを示した。このディレイの範囲は7〜21日であった。このディレイ後に、TMC278の持続的な血漿レベルが残りの実験期間続いた。対照的に、F108を含む製剤は、より迅速な血漿への吸収が示された。
【0057】
【表1】

【実施例3】
【0058】
この実施例は、移植後の種々の製剤が血漿への迅速な取り込みに及ぼす効果について試験する。この実験は、Sprague−Dawleyラットを対象として、1)60%TMC278/40%PLGA50/50、または2)60%TMC278/20%F108/20%PLGA50/50、または3)60%TMC278/10%DMSO/30%PLGA50/50、または4)60%TMC278/10%DMSO/5%PVP/25%PLGA50/50のいずれかからなる1ロッドの単回皮下投与(SC)後に、TMC278の血漿中動態および絶対的バイオアベイラビリティを比較するために行った。
【0059】
薬剤およびポリマーからなるデバイス、およびF108を含有する薬剤/ポリマーデバ
イスは、前記実施例に記載のように調製した。DMSO(ジメチルスルフォキシド)を含有するデバイスは、最初に9グラムのPLGA50/50(IV=0.79dl/g)を予熱(120℃)したBrabender混合ボウルに供給することにより調製した。ポリマーをミキサーに供給した後、3グラムのDMSOとその中で予備混合した18グラムのTMC278を粉末状でミキサーに加えた。混合を述べた条件でさらに5分間続行した。次いで混合物をミキサーから取り出し、周囲条件で冷却し、そしてDaca配合機を使用して押出した。押出物は直径1〜2mmのロッド状であった。
【0060】
DMSOおよびPVP(ポリ(ビニルピロリドン))の賦形剤の組み合わせを含有するデバイスは、前記デバイスに類似する様式で調製した。7.5グラムのPLGA50/50のサンプルを、100℃に予熱したBrabenderミキサーボウルに入れた。1.5グラムのPVPサンプルをPLGAを含む予熱ボウルに入れた。3グラムのDMSOをポリマー混合物に加えた。この3成分を60rpmで5分間混合すると、それらはばらつきのない(consistent)製剤に達した。18グラムのTMC278を粉末状で加え、そして混合をさらに5分間続行した。混合物をBrabenderから取り出し、冷却し、そして前記実験のようにDacaを使用して1〜2mmのストランドに押出した。
【0061】
80匹のメスSprague−Dawleyラット(体重250〜350グラム)を本実験に使用した。動物には最初に吸入麻酔(Isofluraneを5.0%で)を使用して麻酔をかけた。麻酔の導入後、背側頚部から背側腰部領域にかけて動物の手術部位を電動動物用バリカンを使用して毛を剃った。この手術部位の回りの領域は、二酢酸クロルヘキシジンでこすり洗いし、アルコールですすぎ、乾燥させ、そして有効ヨウ素1%のヨードフォル水溶液を塗った。長さ約1cmの切開を胸部領域の背側に肩甲骨の触診下端に対して約2cm尾側に作った。皮膚を下の結合組織から離して、小さいポケットを作った。ロッドをこの開口から皮下のスペースに挿入し、そして切開に対して約1〜2cm尾側の部位に移植した。皮膚の切開は2〜3個の創傷クリップで閉じた。約20mg/kgの用量を送達するために、インプラントの質量は約16〜17mgであり、各インプラント中のTMC278の質量は9〜10mgであった。
【0062】
ラットは示した間隔で二酸化炭素の吸入を介して安楽死させた。引き続き血液サンプルをすべてのラットから各時点で心穿刺により集めた。サンプルは直ちに氷上に置き、遮光し、そして遠心して安楽死から1時間以内に血漿を抽出した。血漿中のTMC278含量は、イヌの血漿サンプルについて前記の実施例と同じ方法を使用して測定した。
【0063】
この血漿サンプルの分析結果を表2にまとめる。これらのデータから、薬剤およびPLGAからなるサンプルについて、検出可能なTMC278レベルは移植から4週間後まで観察されなかったことが明らかである。しかし賦形剤を含有する各製剤は、1日以内に検出可能なTMC278レベルを示した。TMC278の最高の血漿濃度はF108を使用した時に観察された。DMSOを含むがPVPは含まない製剤は、最低の血漿レベルと結び付けられた。PVPをDMSO含有製剤に添加すると、TMC278の血漿レベルが劇的に増加した。
【0064】
【表2】

【実施例4】
【0065】
TMC278およびPLGA50/50を含み、そしてDMSOを含む、および含まない製剤、およびさらにDMSOとPVPを含む製剤を、前記実施例に記載のように調製した。サンプルをPBS中で4週間インキュベーションし、すすぎ、そして乾燥させた。乾燥後、サンプルの表面および横断面を走査電子顕微鏡により分析した。インビトロで4週間インキュベーションした後、デバイスに有意な分解が生じた。驚くべきことに、60/40のTMC278/PLGAサンプルの検査では、まるでデバイスが表面から、そしてマトリックスのバルク(bulk)中へと分解しているかのように、ロッドの外周に大きな孔およびボイドが生じたことが示された。最少10(重量/重量)%のDMSOの添加により、インキュベーション中にデバイスの全横断面にわたって発生する孔、通路、ボイドが生じた。10%未満のDMSO濃度で、発生する孔はデバイスの外周に集中した。濃度を10(重量/重量)%DMSOに上げると、水がマトリックスのバルクを浸透するために、マトリックスの「湿潤性」が十分に上がる。すでに10%DMSOを含むデバイスにPVPを加えると、バルクをわたって発生するさらに大きいボイドおよび孔(直径10〜100ミクロン)が生じ、発泡体の外観を与える。この挙動は、賦形剤が使用されない場合、デバイスに浸透し、そして薬剤を抽出するために必要となる水性の周囲流体が、ポリマーおよび薬剤の十分に疎水的な性質によりデバイスの表面に集中することを示唆して
いる。賦形剤の添加により、デバイスのバルクの湿潤性が上がり、水性流体が全デバイスに浸透し、そして薬剤拡散の手段が提供できるようになる。水性流体の吸収がデバイスの疎水性により予防されるならば、薬剤がマトリックスから拡散して出ることができる唯一の通路は、ポリマーが十分に分解された後に、水性流体をデバイスの内部に浸透できるようにすることである。これが賦形剤を含まないデバイスについて移植時と検出可能な血漿レベルが観察された時との間のディレイの原因である。
【実施例5】
【0066】
ポリマーのバルク中への水の取り込みを上げることに加えて、賦形剤を使用してTMC278の結晶化度を下げ、これにより薬剤を溶解するために必要なエネルギーを下げることができる。TMC278はDMSOに高度に溶解性であり、したがってDMSOはTMC278を無定形の形態に、または結晶度が下がった形態のいずれかに「再結晶」させるために使用できる。再結晶したTMC278は10グラムのTMC278を800mlのDMSOに穏やかに2時間撹拌しながら溶解することにより調製した。続いて100ミリリットルの溶液を平底のアルミニウムモールドに注いだ。溶液はDora−Stop MTSシステムを使用して凍結乾燥した。凍結乾燥TMC278を集めた。2グラムのPLGA50/50を、100rpmのスクリュー回転で120℃に設定したDACA配合機に供給した。ポリマーをDACAに供給し、そして融解した後、2グラムの凍結乾燥TMC278を配合機に供給し、そして設定条件でさらに5分間混合した。押出されたストランドを集め、周囲条件で冷却し、そしてプラスチックバックに入れ、そして分析用の窒素ボックスで保存した。
【0067】
示差走査熱量測定を使用して、PLGAを含んで融解処理した後のTMC278の結晶度について差異を検査した。試験PLGA50/50サンプルは、DMSOおよび10(重量/重量)%の残余DMSOから再結晶化した50(重量/重量)%のTMC278を含んだ。対照のPLGA50/50サンプルは、前記実施例に記載したようにPLGAにブレンドした60(重量/重量)%TMC278および10(重量/重量)%DMSOを含んだ。2種のサンプルの第1加熱の温度記録(図2)は、明らかに異なる。DMSOがマトリックスにブレンドされている時のTMC278の融点は231℃であり、明確に定められる。対照的に、再結晶したTMC278がPLGAに分散された時には、明らかに定められるTMC278の融点は観察されなかった。
【0068】
DMSOから再結晶したTMC278の低下した結晶化度は、再結晶化手順後のTMC278結晶の外観の変化にも反映される。薬剤粉末中のTMC278粒子の形態は緻密な針状であるが、再結晶化処理後は粒子が高度に孔質である(図3)。この孔質の形態は表面積の劇的な増加に対応し、したがって溶解媒質に暴露される薬剤の量が上昇し、故により高い溶解性となる。この効果を試験するために、再結晶化TMC278の溶解性を試験し、そして非再結晶化TMC278の溶解性と比較し、そして250xより高い溶解性となることが分かった。
【実施例6】
【0069】
様々な潜在的放出強化剤を用いた実験
ポリ(モノオレオイルグリセリド コ−スクシネート コ−ポリ(エチレングリコール)(MGSAコ−PEG)
12gのポリ(ラクチド コ−グリコリド)(50/50)を、70℃に予熱し、そして二軸スクリュー羽根を60rpmに設定した30ccのBrabenderミキサーに供給した。続いて9gのMGSA コ−PEGを加え、続いて9gのTMC278を加えた。このポリマー表面活性剤は1:1比のポリ(モノステアロイルグリセロール コ−スクシネート)およびポリ(エチレングリコール)であった。このポリマーを調製するために使用したポリエチレングリコールの数平均は、2000ダルトンであった。いったんす
べての成分を加えたら、混合ボウルの温度を100℃に上げ、そしてボウルの内容物をさらに8分間混合した。次いでこの混合サンプルをミキサーから取り出し、周囲条件で冷却し、そして小片としてDaca配合機に供給して試験用のストランドを押出した。Dacaの温度を65℃に設定し、そしてスクリュー速度を100rpmに設定した。押出物は直径約2mmのストランドとして連続的に集めた。
【0070】
押出物のサンプルをTMC278含量についてアッセイした。25mg質量の5種のサンプルを押出物から切断し、そしてDMSOに溶解した。DMSOは全押出物を完全に溶解した。溶液は寸法が3.0mmx150mmx5ミクロン(s/n 105153−01)のDiscovery C18カラムを備えたPerkin Elmer Series 200HPLCを使用して分析した。単一溶液法の移動相は55%水および40%アセトニトリルからなり、アセトニトリルはまた0.1%ギ酸および10mMのギ酸アンモニウムからなった。移動相は0.4ml/分で送液し、カラムは30℃に加熱し、そして検出器は288nmに設定した。5種のサンプル中のTMC278の平均含量は、30(重量/重量)%で3%の標準偏差であった。
【0071】
ポリソルベート80
9グラムのポリソルベート80を9グラムのTMC278と予備混合してペーストを形成した後、ポリマーと共に配合した。12グラムのポリ(ラクチド コ−グリコリド)50/50を、70℃に予熱し、そしてスクリューを60rpmに設定したBrabenderミキサーに供給した。このペーストを暖めたポリマーに加え、温度を100℃に上げ、そして内容物をさらに8分間混合した。混合物をミキサーから掻き取り、周囲条件で冷却し、前記実施例のようにストランドに押出した。押出物のサンプルをTMC278含量についてアッセイした。25mg質量の5種のサンプルを押出物から切り取り、そしてDMSOに溶解した。DMSOは全押出物を完全に溶解した。この溶液は上記のようにHPLCを使用して分析した。5種のサンプル中のTMC278の平均含量は、31(重量/重量)%で0.9%の標準偏差であった。
【0072】
ビタミンE−TPGS
12グラムのPLGA50/50を、70℃に予熱し、そしてスクリュー速度を60rpmに設定したBrabenderミキサーに供給した。続いて9グラムのビタミンE TPGSをポリマーに加え、続いて9グラムのTMC278を加えた。すべての成分をボウルに加えた後、混合ボウルの温度を100℃に上げ、そして内容物をさらに5分間混合した。混合物をミキサーから掻き取り、周囲条件で冷却し、第一実施例に記載のようにストランドに押出した。押出物のサンプルをTMC278含量について上記のようにアッセイした。25mg質量の5種のサンプルを押出物から切り取り、そしてDMSOに溶解した。DMSOは全押出物を完全に溶解した。5種のサンプル中のTMC278の平均含量は、27(重量/重量)%で1.4%の標準偏差であった。
【0073】
ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)
12gのポリ(ラクチド コ−グリコリド)50/50を、70℃に予熱し、そして60rpmに設定したBrabender二軸スクリューミキサーに供給した。続いて9gのDMPCを9gのTMC278と共に混合ポリマーに加えた。混合ボウルの温度を100℃に上げ、そして内容物をさらに5分間混合した。混合物をミキサーから掻き取り、周囲条件で冷却し、そして第一実施例に記載したようにストランドに押出した。押出物のサンプルは、上記のようにTMC278含量についてアッセイした。5種のサンプル中のTMC278の平均含量は、19(重量/重量)%で1.02%の標準偏差であった。
【0074】
カプロラクトン コ−トリメチレンカーボネート コ−ポリ(エチレングリコール)(Cap−TMC−PEG)(組成物の記載は米国特許第2006/0034797号明細書
に見いだすことができる)
12gのポリ(ラクチド コ−グリコリド)50/50を、70℃に予熱し、そして60rpmに設定したBrabender二軸スクリューミキサーに供給した。引き続き9gのCap−TMC−PEG、続いて9gのTMC278を、暖め、かつ混合するポリマーに加えた。このバッチのポリマー表面活性剤の組成は1モルのカプロラクトン、1モルのトリメチレンカーボネートおよび0.15モルのポリ(エチレングリコール)であった。ポリマーの合成に使用するポリ(エチレングリコール)の数平均は750であった。ポリマー表面活性剤、Cap−TMC−PEGの分子量は5800ダルトンであった。混合ボウルの温度を100℃に上げ、そして内容物をさらに5分間混合した。混合したサンプルをミキサーから取り出し、周囲条件で冷却し、そして第一実施例に記載したようにストランドに押出した。押出物のサンプルは、上記のようにTMC278含量についてアッセイした。5種のサンプル中のTMC278の平均含量は、27(重量/重量)%で0.81%の標準偏差であった。
【0075】
F108
6gのPLGA50/50を、100℃および60rpmに設定したBrabenderミキサーの混合ボウルに入れた。引き続き18グラムのTMC278、続いて6グラムF108ポリマーを加えた。混合はすべての成分を加えた後、5分間続行した。サンプルをミキサーから取り出し、周囲温度に冷却し、80℃および100rpmに設定したDaca配合機に供給した。押出物のサンプルを上記のようにTMC278含量についてアッセイした。5種のサンプル中のTMC278の平均含量は、55(重量/重量)%で5.02%の標準偏差であった。
【0076】
TMC278およびPLGA50/50からなる対照サンプル
12gのPLGA50/50を、100℃および60rpmに設定したBrabenderミキサーの混合ボウルに入れた。引き続き18グラムのTMC278を加えた。混合はすべての成分を加えた後、5分間続行した。サンプルをミキサーから取り出し、周囲温度で冷却し、そして80℃および120rpmに設定したDaca配合機に供給した。押出物のサンプルを上記のようにTMC278含量についてアッセイした。5種のサンプル中のTMC278の平均含量は、55(重量/重量)%で1.6%の標準偏差であった。
【0077】
上記の種々のポリマーインプラントを、5群のオスのSprague−Dawleyラット(250〜350グラム)の肩甲骨領域に、各々80mg/kgの用量で移植した。この群の各ラットの尾の静脈から、血液サンプルを3時間後、24時間後、48時間後、7日後、14日後、21日後および28日後に採取した。サンプルを採血した後、これを遠心して血漿を分離した。TMC278を血漿から抽出し、そして含量を分析した。結果を表3にまとめる。
【0078】
【表3】

【0079】
TMC278の血漿レベルに対する種々の表面活性剤を比較する実験結果は、すべての表面活性剤が、表面活性剤を含まない対照サンプルに比べて、より高い初期TMC278血漿レベルを表すことを示した。事実、この実験で使用した用量の増加で、対照サンプルでさえもタイムラグが無くなったが、3時間の時点でピークに達した後、血漿レベルの安定した減少が実験期間中、観察された。ポリソルベート80およびビタミンE TPGSはTMC28の最高初期血漿レベル(両方とも約16ng/ml)と関連したが、ポリソルベート80およびF108だけが28日間にわたり最高のTMC278血漿レベルを維持することができた。
【0080】
対照に加えてF108サンプルは、同時に試験できる動物数が限られたことから、他の強化剤を試験する実験に先立ち1つの実験で試験した。早期実験のサンプル組成は、対照の場合に60%TMC278および40(重量/重量)%PLGA50/50、そして60(重量/重量)%TMC278、20(重量/重量)%F108および20%PLGA50/50であった。対照的に他の強化剤サンプルは、より低濃度(以下に記載)のTMC278を用いて調製した。これは幾つかの他の賦形剤について、高負荷量のTMC278を処理することが不可能であるからだった。したがって同じ実験に含まれる強化剤サンプルに関するTMC278濃度は、20〜30(重量/重量)%に減らした。強化剤濃度は、溶解性に影響を及ぼす表面活性剤が最高に可能な強化を提供するため、30重量/重量%まで増加した。興味深いことに、他の強化剤より低濃度であっても、F108は長期間、より高レベルのTMC278について中でも最高の性能を示した。
【実施例7】
【0081】
滅菌実験
窒素雰囲気下で照射されたこれらサンプルについて、以下の手順に従った。ポリマーインプラントは、上記のように60%TMC278および40%PLGA50/50を含有するように調製した。サンプルは、窒素グローブボックスのアンテチャンバー内のNalgene(商標)キュベットに配置した。8分間の真空パージが3回(その各々に窒素の
再充填が続く)からなる自動化真空サイクルを実行した。サンプルを主チャンバーに移し、そして一晩平衡化した。キュベットをホイルパウチに入れ、そしてパウチを密封した後、窒素グローブボックスから取り出した。サンプルをグローブボックスから取り出し、そして指定されているように照射した。
【0082】
周囲条件下で照射されたこれらのサンプルをバイアルおよびアルミニウムパウチに入れ、これらは周囲条件下でヒートシールし、そして0℃でその温度に達するまで保存した。0℃で処理したサンプルは、0℃で保存した。続いてサンプルをフリーザー環境から取り出し、そして直ちに照射器に配置した。照射後、サンプルはTMC278含量についてアッセイした。結果を表4にまとめる。
【0083】
【表4】

【0084】
データから、照射の暴露レベルが照射されたサンプルからTMC278の完全な回収を達成するために最も重要な因子であることが分かる。15kgy(窒素下)で照射したサンプルの平均100%の回収に比べて、25kgy(窒素下)で照射したサンプルから回収されたTMC278はわずか81%だった。周囲温度で25kgyで照射された2組のサンプルについて、窒素下で包装したサンプルは周囲条件下で包装したサンプルよりもサンプルからの回収にわずかな増加があった。25kgyでは、低温がTMC278の完全な回収を達成するために重要であるが、15kgyでは、温度を低下せずにすでに100%の回収を達成したので、明らかに温度の低下は必要ではない。さらに窒素環境下で15kgyの照射に暴露されたサンプルを、TMC278分解に由来する不純物について分析した。DE/AD MS 07 TSQ Quantum質量分析器を使用して不純物を検出し、そしてその結果は照射により形成された新たな不純物は無いことを示した。
【0085】
TMC278および種々の強化剤を含有するサンプルを、動物試験のための調製で照射した。サンプルには15kgyで窒素環境中および周囲温度で上記のように照射した。各種3つのサンプルをこれらの条件で試験し、そしてサンプルの種類毎に3つの対照(照射なし)の平均と比較した。結果を表5にまとめる。F108、ビタミンE TPGS、Cap−TMC−PEGおよびMGSA コ−PEGを含有するバッチでは、照射と非照射
との間にはほとんど差異は無かった。DMPCまたはポリソルベート80のいずれかを含有するデバイスの場合に、ガンマ線照射とガンマ線非照射バッチとの間で幾らかの変動があるが、測定法での誤差が約5%なので、劇的な差異ではない。
【0086】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジメチルスルフォキシド(DMSO)とポリ(ビニルピロリドン)(PVP)との組み合わせ物、ポロキサマーおよびポリソルベートからなる群から選択される1もしくは複数の放出強化剤、およびTMC278と混合された生物適合性の生分解性ポリマーを含んでなる移植可能デバイス。
【請求項2】
デバイスが100mgより重い請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
デバイスが500mgより重い請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
柱体に成形された請求項1ないし3のいずれかに記載の移植可能デバイス、
【請求項5】
約0.5mm〜約4mmの範囲の直径、および約1.0cm〜約4cmの範囲の長さを有する請求項4に記載の移植可能デバイス。
【請求項6】
約1.0mm〜約3.0mmの範囲の直径、および約1.5cm〜約3.5cmの範囲の長さを有する請求項4に記載の移植可能デバイス。
【請求項7】
デバイスが約10%〜約70%、または約40%〜約60%、または約50%〜約60%のTMC278を含む、請求項1ないし6のいずれかに記載のデバイス。
【請求項8】
生物適合性の生分解性ポリマーが、ラクチド(これは乳酸、d−、l−およびメソラクチドを含む)およびグリコリド(グリコール酸を含む)のコポリマーから選択される請求項1ないし7のいずれかに記載のデバイス。
【請求項9】
生物適合性の生分解性ポリマーが、約50%〜約65%のラクチド対約35%〜約50%のグリコリドのモル比のラクチドおよびグリコリドのコポリマーである請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
デバイスが約15%〜約25%の生物適合性の生分解性ポリマーを含む請求項1ないし9のいずれかに記載のデバイス。
【請求項11】
放出強化剤がポロキサマーである、請求項1ないし10のいずれかに記載のデバイス。
【請求項12】
放出強化剤がポロキサマー338である、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
デバイスが約1%〜約40%、または約10%〜約30%、または約15%〜約25%の上記放出強化剤を含む請求項1ないし12のいずれかに記載のデバイス。
【請求項14】
デバイスが約10〜約80%、または約10%〜約30%、または約15〜約25%、例えば約20%の上記生物適合性の生分解性ポリマーを含む請求項1ないし13のいずれかに記載のデバイス。
【請求項15】
DMSOの量が、存在する場合には、約3%〜約10%の範囲である請求項1ないし14のいずれかに記載のデバイス。
【請求項16】
HIV感染を処置するために、約2週間から約3カ月の時間間隔で断続的に投与される請求項1ないし14のいずれかに記載のデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−513969(P2012−513969A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542837(P2011−542837)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際出願番号】PCT/EP2009/067933
【国際公開番号】WO2010/072844
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(504347371)テイボテク・フアーマシユーチカルズ (94)
【氏名又は名称原語表記】Tibotec Pharmaceuticals
【Fターム(参考)】