説明

HIV阻害性2(4−シアノフェニルアミノ)ピリミジン誘導体

そのXがNR、S、SO又はSOである式(I)のHIV複製インヒビター、それらの製薬学的に許容され得る付加塩又は立体化学的異性体形態物;これらの化合物の調製並びにこれらの化合物を含んでなる製薬学的組成物;HIV感染症の予防又は処置のためのこれらの化合物の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はHIV(ヒト免疫不全ウイルス)複製阻害特性を有するピリミジン誘導体、それらの調製及びこれらの化合物を含んでなる製薬学的組成物に関する。本発明は更に、HIV感染症の予防又は処置におけるこれらのピリミジン誘導体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
近年入手可能なHIV剤に対するHIVの耐性は治療の失敗の主要な原因であり続ける。これが通常、異なる活性プロファイルを有する2種以上の抗−HIV剤の組み合わせ治療の導入をもたらした。それにより処置されたHIV患者人口における罹患率及び死亡率の著しい減少をもたらした「HAART」(高度活性抗−レトロウイルス治療)の導入により著しい進歩がもたらされた。HAARTはヌクレオシド逆転写酵素インヒビター(NRTI)、非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター(NNRTI)及びプロテアーゼインヒビター(PI)のような異なるクラスから選択されるHIVインヒビターの種々の組み合わせを伴う。問題は残るが、HAARTは有効に適用されてきた。とりわけ、抗−HIV組み合わせ治療を受けている患者の半数は、主として使用される1種以上の薬剤に対するウイルスの耐性のために処置に完全には応答しない。更に、耐性ウイルスは新規感染個体に継代され、それが、これらの薬剤に新規の患者に対して極めて限定された治療選択肢をもたらすことが示された。従って、抗レトロウイルス治療に対する最近の指針は初期の処置のためでも、3種組み合わせ治療計画を推奨する。最後にこれらの多剤治療のいずれもHIVを完全には阻止せず、長期の処置が通常、多剤耐性をもたらす。
【0003】
従って、HIVに有効な活性成分の新規の組み合わせ物の継続的需要が存在する。これらの新規薬剤組み合わせ物を考案するために、化学構造及び活性プロファイルの異なる、新規の抗−HIVの有効な活性成分が必要とされる。従って、このような有効成分を発見することは達成するための著しく望ましい目標である。
【0004】
本発明は特別な新規のビスアリール置換アミノピリミジンに関する。あるクラスのビスアリール置換ピリミジンはHIVインヒビターとして特許文献1に記載されている(特許文献1参照)。しかし本発明のビスアリール置換アミノピリミジンは先行技術で知られるものと構造が異なり、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の複製を阻害するそれらの能力のみならずまた、突然変異株、とりわけ薬剤又は多剤耐性HIV株と呼ばれる、1種以上の知られたNNRTI薬剤に耐性になった株の複製を阻害するそれらの改善された能力に関して好ましく作用する。
【特許文献1】国際公開第00/27825号パンフレット
【発明の開示】
【0005】
本発明は式
【0006】
【化1】

【0007】
[式中XはNH、S、SO又はSOである]
の化合物、それらの製薬学的に許容され得る付加塩及び立体化学異性体形態物に関する。
【0008】
本発明はまた、HIV感染症の処置又は予防のための医薬の製造のための、本明細書に明記された通りの式(I)の化合物の使用に関する。
【0009】
本明細書及び請求の範囲において、スルホキシド及びスルホンはそれぞれSO及びSOにより、又はそれぞれS=O及びO=S=Oにより、又はそれぞれS→O又はO←S→Oにより表わすことができる。
【0010】
治療的使用のための式(I)の化合物の塩はその対イオンが製薬学的に許容され得るものである。しかし製薬学的に許容できない酸及び塩基の塩もまた、例えば製薬学的に許容され得る化合物の調製又は精製において使用を見いだすことができる。製薬学的に許容できてもできなくても、すべての塩が本発明の範疇内に包含される。
【0011】
前述された製薬学的に許容され得る付加塩は式(I)の化合物が形成することができる治療的に有効な無毒の酸付加塩形態を含んでなることを意味する。後者は好都合には塩基形態を、無機酸、例えばハロゲン化水素酸(例えば塩酸、臭化水素酸等);硫酸;硝酸;リン酸等;又は有機酸、例えば酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、2−ヒドロキシプロパン酸、2−オキソプロパン酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−メチルベンゼンスルホン酸、シクロヘキサンスルファミン酸、2−ヒドロキシ安息香酸、4−アミノ−2−ヒドロキシ安息香酸等の酸のような適当な酸で処理することにより得ることができる。反対に、塩形態はアルカリとの処理により遊離塩基形態に転化させることができる。
【0012】
特に興味深いものは式(I)の化合物の塩基形態である。本明細書で使用される用語「塩基形態」はその遊離塩基形態で存在する式(I)の化合物を表わす。用語付加塩はまた、式(I)の化合物が形成することができる水和物及び溶媒付加物形態を含んでなる。このような形態の例は例えば水和物、アルコラート等である。
【0013】
用語「式(I)の化合物」又は「本発明の化合物」等のようなあらゆる同様な用語はまた、式(I)の化合物のあらゆる第四級アミンをも含んでなることを意味する。用語「第四級アミン」は、式(I)の化合物が、式(I)の化合物の塩基性窒素と、例えば、場合により置換されていてもよいアルキルハロゲン化物、アリールハロゲン化物又はアリールアルキルハロゲン化物(例えば、ヨウ化メチル又はヨウ化ベンジル)のような適当な四級化剤との間の反応により形成することができる第四級アンモニウム塩を意味する。アルキルトリフルオロメタンスルホネート、アルキルメタンスルホネート及びアルキルp−トル
エンスルホネートのような有効な離脱基をもつ他の反応物も使用することができる。第四級アミンは正に帯電した窒素を有する。製薬学的に許容され得る対イオンはクロロ、ブロモ、ヨード、トリフルオロアセテート及びアセテートを包含する。選択するべき対イオンはイオン交換樹脂を使用して導入することができる。
【0014】
用語「式(I)の化合物」又は「本発明の化合物」等のようなあらゆる同様な用語はまた、そこで1個又は数個の第三級窒素原子がN−オキシド形態に酸化されている式(I)の化合物の、式(I)の化合物のあらゆるN−オキシド形態を含んでなることを意味する。
【0015】
本明細書で使用されるような用語「立体化学的異性体形態物」又は「立体異性体形態物」は、その中に式(I)の化合物が存在することができるすべての可能な立体異性体形態物を規定し、本発明の範疇内に包含されることが意図される。
【0016】
化合物の好ましいサブグループは前記に明記されたような式(I)の化合物あるいはそのXがNH又はSである、あるいはXがNHである、あるいはXがSである、本明細書に明記された式(I)の化合物の任意のサブグループである。
【0017】
式(I)の化合物は、そのWが例えばハロゲン(例えば、クロロ、ブロモ等)のような適当な離脱基を表わす以下の反応スキームに概説されるように、式(II)又は(IV)の中間体を式(III)又は(V)の中間体と反応させることにより製造することができる。
【0018】
【化2】

【0019】
ピリミジン誘導体(II)又は(IV)の、シアノアニリン(III)又はシアノフェニル誘導体(V)との反応は好ましくは、例えば、アルコール(例えば、エタノール、2−プロパノール);N,N−ジメチルホルムアミドのような極性の非プロトン溶媒;N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリジノン及びアセトニトリル;テトラ
ヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテルのようなエーテル、のような適当な溶媒中で実施される。これらの反応は適当な酸(例えば、カンファースルホン酸)及び適当な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン又はアルコール(例えば、エタノール、1−又は2−プロパノール)のような)の量を添加するかあるいは、アルカノール(エタノール、1−又は2−プロパノールのような)中に溶解された酸性化溶媒(例えば、塩酸)を使用することにより得ることができる酸条件下で実施することができる。
【0020】
XがNR又はSである式(I)の化合物の、式(I−a)の化合物はまた、以下の反応スキームに概説されるように、シアノフェニル誘導体(VI)をピリミジン誘導体(VII)と反応させることにより、又はシアノフェニル誘導体(VIII)をピリミジン誘導体(IX)と反応させることにより製造することができる。
【0021】
【化3】

【0022】
これらの反応スキームにおいて、XはNR又はSであり、そしてWは例えば、ハロゲン(例えば、クロロ及びブロモ)のような適当な離脱基を表わす。これらの反応は好ましくは適当な溶媒、とりわけ(II)の(III)との反応に関連した前記のいずれかの溶媒中で実施される。
【0023】
式(I)の化合物を調製する更にもう1つの方法は出発物質(X)を遊離臭素により又はN−ブロモスクシンイミドのような臭素供与体により臭素化することにより実施される。この臭素化反応は好ましくは、エーテルのような適当な反応不活性溶媒中で、とりわけTHF中で実施される。N−ブロモ−スクシンイミドは酢酸の存在下で使用することができる。
【0024】
【化4】

【0025】
式(I)の化合物は更に、当該技術分野で知られた官能基交換反応(functional group transformation reactions)に従い式(I)の化合物を相互に転化させることにより製造することができる。XがSである式(I)の化合物は、酸化反応により、とりわけ適当な過酸化物化合物を使用することにより、XがSO又はSOである式(I)の対応する化合物に転化させることができる。適当な過酸化物化合物は過酸化水素又はその誘導体及びペルオキシ酸を含んでなる。酸化剤を選択し、反応環境を制御することにより、反応をスルホキシド又はスルホンを形成する方向に向けることができる。必要な場合は、双方を結晶化により又はカラムクロマトグラフィーにより相互から分離することができる。スルホキシドを得るための適当な過酸化物化合物はm−クロロペルオキシ安息香酸(MCPBA)のようなペルオキシ安息香酸である。
【0026】
スルホキシド又はスルホン部分は合成の初期段階で、すなわち式(I)の最終生成物を製造するために使用される中間体の1つに導入することができる。とりわけXがSである式(II)、(IV)又は(X)の中間体を、m−クロロペルオキシ安息香酸のようなペルオキシ酸との出発中間体の制御された酸化反応により、XがSOである式(II)、(IV)又は(X)の対応する中間体に転化させることができる。次に、このようにして得られる、XがSOである中間体II)、(IV)又は(X)をXがSOである対応する最終生成物(I)に転化させる。より強力な酸化環境を使用することにより、例えば、過剰量の適当な過酸化物(N−オキシドの製造のために以下に記載の過酸化物のような)を使用することにより、XがSOである中間体を得て、それをXがSOである対応する最終生成物(I)に転化させることができる。
【0027】
式(I)の化合物はそのN−オキシド形態へ第三級窒素を転化させるための当該技術分野で知られた方法に従って、対応するN−オキシド形態に転化させることができる。該N−酸化反応は概括的に、式(I)の出発物質を適当な有機又は無機過酸化物と反応させることにより実施することができる。適当な無機過酸化物は例えば、過酸化水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属酸化物、例えば過酸化ナトリウム、過酸化カリウムを含んでなり、適当な有機過酸化物は例えば、ベンゼンカルボペルオキソ酸又はハロ置換ベンゼンカルボペルオキソ酸(例えば、3−クロロベンゼンカルボペルオキソ酸)、ペルオキソアルカン酸(例えば、ペルオキソ酢酸)、アルキルヒドロペルオキシド(例えば、tert−ブチルヒドロ−ペルオキシド)のようなペルオキシ酸を含んでなることができる。適当な溶媒は例えば、水、低級アルコール(例えば、エタノール等)、炭化水素(例えば、トルエン)、ケトン(例えば、2−ブタノン)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン)及びこのような溶媒の混合物である。
【0028】
XがSOである式(I)の化合物及び幾つかのそれらの前駆中間体は非対称原子を含有するかも知れない。該化合物及び該中間体の純粋な立体化学的異性体形態物は当該技術分野で知られた方法の適用により得ることができる。エナンチオマーは最初に該ラセミ混合物を例えば、キラル酸のような適当な分割剤によりジアステレオマー塩又は化合物の混合
物に転化させ、次に、例えば、選択的結晶化又はクロマトグラフィー法(例えば、液体クロマトグラフィー等の方法)によりジアステレオマー塩又は化合物の該混合物を物理的に分離し、そして最後に前記の分離したジアステレオマー塩又は化合物を対応するエナンチオマーに転化させる工程により、ラセミ混合物から得ることができる。介入する反応が立体特異的に起ると仮定すると、純粋な立体化学的異性体形態物はまた、適当な中間体及び出発物質の純粋な立体異性体形態物から得ることができる。
【0029】
式(I)の化合物を調製するために使用される幾つかの中間体及び出発物質は知られた化合物であり、そして市場で入手できるか又は当該技術分野で知られた方法に従って調製することができる。反応スキームにおいて式(I)の化合物又はそれらの任意のサブグループに対して特定されたように、XがNR又はSであり、そしてWが適当な離脱基、とりわけクロロ又はブロモを表わす幾つかの中間体の合成は、以下に更に詳細に説明される。これらの中間体のブロモ基はPOBrのようなハロゲン化剤によりブロモ基に転化させることができる、ヒドロキシ又は保護ヒドロキシ(例えば、ベンジルオキシ)のようなブロモ基の前駆体により置換されることができる。これは望ましくない副反応を回避するために実施することができる。
【0030】
XがXである、式(I)の中間体の、式(II−a)の中間体は以下の反応スキームに概説されるように製造することができる。式(II)の他の中間体はXがSである式(II−a)の中間体から、対応するスルホキシド又はスルホンへの酸化反応により誘導することができる。
【0031】
【化5】

【0032】
同様な方法で、XがXである式(IV)の中間体の、中間体(IV−a)は以下のスキームに概説のように、ピリミジン(XIV)から出発して製造することができる。
【0033】
【化6】

【0034】
前記の反応において、アミノ基は適当な保護基により保護されても、されなくてもよい。後者はベンジル、ベンジルオキシカルボニル、t−ブチルオキシカルボニル等を含んでなる。
【0035】
中間体(IX)は、以下のスキームに概説のように、ピリミジン誘導体(XV)を4−アミノベンゾニトリルとともに縮合させることにより製造することができる。副反応を回避することが望ましい場合は、−XH及び/又はアミノ基を保護し、臭素を前記に示したような臭素の前駆体により置換することができ、そこで生成される中間体(IX’)は中間体(IX)又は、中間体(IX)の前駆体を包含する。
【0036】
【化7】

【0037】
式(X)の中間体は以下の反応スキームで概説されるように製造することができる。
【0038】
【化8】

【0039】
最初に4−アミノベンゾニトリルをシアンアミドと反応させて、4−シアノフェニルグアニジン(XVI)を生成する。この反応を高温、例えば、約50℃〜70℃で例えば、約60℃で、強酸、例えば、塩酸の存在下で水中で実施することができる。後者は式(XVII)のジC1−6アルキルマロン酸エステルと反応させ、ここで各Rは独立してC
−6アルキルであり、各Rは好ましくはメチルである。この反応は還流温度のような高温でアルカリ金属アルコキシド、例えばナトリウムメトキシドのような強塩基の存在下で、適当な溶媒、例えばメタノールのようなアルコール中で実施することができる。
【0040】
このようにして得られた4,6−ジヒドロキシピリミジン(XVIII)を、各Wが離脱基、とりわけハロ、好ましくはクロロ又はブロモであるピリミジン誘導体(XIX)に転化させる。この転化はPOCl又はPOBrのような適当なハロゲン化剤を使用することにより実施することができる。この反応は適当な溶媒、とりわけ極性の非プロトン性溶媒中で、例えばDMF、DMA、HMPT、N−メチルピロリドン、DMSO等中で、好ましくはアセトニトリル中で実施することができる。反応は高温で、好ましくは還流温度で実施することができる。他の離脱基は当該技術分野で知られたアルコールの離脱基への転化反応に従って導入することができる。
【0041】
ピリミジン誘導体(XIX)はXが前記のような4−置換ベンゾニトリル(XX)と反応させて、所望の中間体(XXI)を生成する。(XIX)の(XX)との反応は、エーテル(例えば、THF)、ハロゲン化炭化水素(例えばCHCl、CHCl)そしてとりわけ極性の非プロトン性溶媒(例えばDMF、DMA、HMPT、アセトニトリル、DMSO等のような適当な溶媒中で、そして好ましくは、N−メチルピロリドン中で実施することができる。反応の過程中に放出される酸を捕捉するために、塩基、例えば炭酸カリウムのようなアルカリ金属炭酸塩を添加することができる。(XX)との(XIX)の反応は僅かに高温で、例えば、約30℃〜50℃、例えば約40℃で実施することができる。
【0042】
式(X)の中間体又はそれらの酸付加塩は前記の中間体(XXI)をアミノ基導入剤と反応させることにより製造することができる。この反応は好ましくはアルコール(例えば、メタノール又はエタノール)、エーテル(例えば、THF)又はエチレンもしくはプロピレングリコールエーテル(エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGMME)のような)、極性の非プロトン性溶媒(例えばDMF、DMA、HMPT、アセトニトリル、DMSO等)のような適当な溶媒中でそしてとりわけN−メチルピロリドン中で実施される。適当なアミノ基導入剤は液体又は気体形態のアンモニア、水に溶解又はアルコール(例えば、メタノール又はエタノール)のような有機溶媒中又は、DMF、DMA、HMPT、アセトニトリル、DMSO等のような極性の非プロトン性溶媒中に溶解されたアンモニアを含んでなる。あるいはまた、アミン基導入剤はそれによる反応がベンジルアミノ基を生成するベンジルアミンであってもよい。後者は適当な脱ベンジル化反応により、例えば、触媒による水素化反応、例えば、Pdのような貴金属触媒の存在下における水素に対するにベンジルアミノ化合物により、アミノ基に転化させることができる。
【0043】
好ましいアミノ基導入剤はアンモニアである。それは好ましくは、高温で、例えば100℃から反応混合物の沸点まで、とりわけ120℃から160℃、例えば、約140℃から150℃で、そして高圧、例えば約2〜10バールの間、とりわけ約3〜8バール、例えば約4〜5バールの間の圧力のような高圧で、出発物質及び溶媒の混合物に添加される。反応混合物はこの温度で数時間、例えば約5〜24時間の期間、又は約8〜10時間の期間、維持することができる。W基の反応性が低い幾つかの場合には、反応混合物をこの温度で、1日又は数日間、例えば1〜10日間、とりわけ2〜8日間維持される。
【0044】
反応は反応混合物を例えば約100℃の熱水中に注入することにより終結させることができる。所望の生成物を例えば更なる量の水を添加し、混合物を放置冷却することにより、結晶化させる。利用できる場合は、結晶化過程を容易にするために、以前の反応法から得ることができた少量の最終生成物を混合物に播種することができる。
【0045】
XがSO又はSOである式(X)の中間体は前記のような適当な酸化反応により、XがSである対応する中間体(X)から製造することができる。
【0046】
以下の反応スキームに概説されるように、その−XHが−SHである式(XX)の中間体の、式(XX−a)の中間体は対応する4−ヒドロキシベンゾニトリル(XXV)から製造することができる。
【0047】
【化9】

【0048】
中間体(XXIV)を最初に、ジメチルチオカバモイルクロリドと反応させて、中間体(XXIII)を生成し、それを中間体(XXIII)を加熱することによる熱転化により中間体(XXII)に転化させる。中間体(XXII)を塩基、とりわけNaOH又はKOHと反応させて、メルカプト誘導体(XX−a)を生成する。
【0049】
式(I)の化合物は、とりわけ、ヒトにおける後天性免疫不全症候群(AIDS)の病因学的物質であるヒト免疫不全ウイルス(HIV)に対する抗レトロウイルス特性(逆転写酵素阻害特性)を示す。HIVウイルスは優先的にヒトのT−4細胞に感染し、それらを破壊するか又はそれらの正常な機能、特に免疫系の調整を変化させる。その結果、感染患者はT−4細胞数がずっと減少し続け、それが更に異常に作用する。従って、免疫学的防御系が感染症及び腫瘍と闘うことができず、そしてHIV感染被験体は通常、肺炎のような日和見感染症により又は癌により死亡する。HIV感染症に伴うその他の状態は血小板減少症、カポジ肉腫及び、痴呆並びに、進行性構音障害、運動失調及び見当識障害のような症状をもたらす進行性脱髄を特徴として示す中枢神経系の感染症を包含する。HIV感染症は更に、末梢神経障害、進行性全身リンパ節腫脹(PGL)及びAIDS関連合併症(ARC)と関連付けられてきた。
【0050】
本発明の化合物はまた、(多剤)薬剤耐性HIV株、とりわけ(多剤)薬剤耐性HIV−1株に対する活性を示し、更にとりわけ本発明の化合物は、1種又は複数の当該技術分野で知られた非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターに耐性を獲得したHIV株、特にHIV−1株に対する活性を示す。当該技術分野で知られた非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターは本発明の化合物以外で、そして当業者に知られた非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター、とりわけ市販の非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターである。本発明の化合物はまた、ヒトのα−1酸性糖タンパク質にほとんど又は全く親和性をもたず、ヒトのα−1酸性糖タンパク質は本発明の化合物の抗HIV活性に影響を与えないか又はごく弱
い影響を有するのみである。
【0051】
式(I)の化合物は、それらの抗レトロウイルス特性、特にそれらの抗HIV特性、特にそれらの抗HIV−1活性のために、HIVにより感染された個体の処置に、そしてHIV感染の予防において有用である。概括的に、本発明の化合物はその存在が酵素の逆転写酵素により仲介されるか又はそれに依存するウイルスで感染された温血動物の処置に有用である可能性がある。本発明の化合物により予防又は処置することができる状態、特にHIV及びその他の病原性レトロウイルスと関連する状態は、AIDS、AIDS−関連合併症(ARC)、進行性全身リンパ節腫脹症(PGL)、並びに例えば、HIV仲介痴呆及び多発性硬化症のようなレトロウイルスにより誘起される慢性中枢神経系疾患を包含する。
【0052】
従って本発明の化合物又はそれらのあらゆるサブグループは前記の状態に対する医薬として使用することができる。医薬としての前記の使用又は処置法はHIV及びその他の病原性レトロウイルス、特にHIV−1と関連した状態を抑制するための有効量の、HIV感染被験体への投与を含んでなる。とりわけ、式(I)の化合物はHIV感染症の処置又は予防のための医薬の製造に使用することができる。
【0053】
式(I)の化合物の有用性を考慮すると、ウイルス感染症、特にHIV感染症を罹患するヒトを包含する温血動物を処置する方法又はヒトを包含する温血動物がウイルス感染症、特にHIV感染症を罹患することを予防する方法が提供される。該方法は、ヒトを包含する温血動物に、有効量の式(I)の化合物、そのN−オキシド形態、製薬学的に許容され得る付加塩、第四級アミン又は可能な立体異性体形態物の投与、好ましくは経口投与を含んでなる。
【0054】
本発明はまた、治療的に有効量の式(I)の化合物及び製薬学的に許容され得る担体又は希釈剤を含んでなるウイルス感染症を処置するための組成物を提供する。
【0055】
本発明の化合物又はそれらのあらゆるサブグループは投与の目的のための種々の剤形に調合することができる。適当な組成物としては、全身投与剤のために通常使用されるすべての組成物を引用することができる。本発明の製薬学的組成物を調製するために、有効成分として、場合により付加塩形態の有効量の特定の化合物を、投与に所望される調製形態に応じて広範な形態を採ることができる製薬学的に許容され得る担体と均一な混合物に混合される。これらの製薬学的組成物は特に経口、直腸内、経皮的又は非経口注射による投与に適した単位投与剤形にあることが望ましい。例えば、経口投与剤形の組成物を調製する際には、懸濁物、シロップ、エリキシル、エマルション及び液剤のような経口液体調製物の場合には、例えば、水、グリコール、油、アルコール等のような任意の通常の製薬学的媒質、あるいは散剤、ピル、カプセル及び錠剤の場合には、デンプン、糖、カオリン、希釈剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤等のような固形の担体、を使用することができる。投与におけるそれらの容易さのために、錠剤及びカプセルがもっとも有利な経口投与単位剤形を表わし、その場合には、明らかに固形の製薬学的担体が使用される。非経口組成物に対しては、担体は通常、例えば、溶解度を補助するために他の成分を包含することができるが、少なくとも大部分は滅菌水を含んでなるであろう。例えば、その担体が生理食塩溶液、ブドウ糖溶液又は生理食塩水とブドウ糖溶液の混合物を含んでなる注射液を調製することができる。注射用懸濁液もまた、調製することができ、その場合には、適当な液体の担体、懸濁剤等を使用することができる。更に、使用の直前に液体形態の調製物に転化させることを意図される固体形態の調製物も包含される。経皮的投与に適した組成物中では、担体は場合により、任意の性状の、少量の、皮膚に有意な有害効果を引き起こさない適当な添加剤と組み合わせた透過性促進剤及び/又は適当な湿潤化剤を含んでなる。該添加剤は皮膚に対する投与を容易にしそして/又は所望の組成物を調製する補助になることができる。これらの組成物は種々の方法で、例えば、経皮的パッチ剤として、スポットオン剤として、軟膏として投与することができる。本発明の化合物はまた、この方法による投与に対して当該技術分野で使用される方法及び調合物により吸入又は通気(insufflation)により投与することができる。従って、概括的に本発明の化合物は溶液、懸濁物又は乾燥粉末の形態で肺に投与することができる。経口又は鼻による吸入又は通気による液剤、懸濁物又は乾燥末剤の送達のために開発された任意のシステムが本発明の化合物の投与に適する。
【0056】
式(I)の化合物の溶解度を補助するために、適当な成分、例えばシクロデキストリンを組成物中に包含することができる。適当なシクロデキストリンは、そこでシクロデキストリンのアンヒドログルコース単位の1個又は複数のヒドロキシ基がC1−6アルキル、特にメチル、エチル又はイソプロピル(例えばランダムにメチル化されたβ−CD);ヒドロキシ−C1−6アルキル、特にヒドロキシエチル、ヒドロキシ−プロピル又はヒドロキシブチル;カルボキシ−C1−6アルキル、特にカルボキシメチル又はカルボキシエチル;C1−6アルキルカルボニル、特にアセチルで置換されている、α−、β−、γ−シクロデキストリン又はそれらのエーテル及び混合エーテルである。錯体形成剤及び/又は可溶化剤として特に注目すべきものは、β−CD、ランダムメチル化β−CD、2,6−ジメチル−β−CD、2−ヒドロキシエチル−β−CD、2−ヒドロキシエチル−β−CD、2−ヒドロキシエチル−β−CD及び(2−カルボキシメトキシ)プロピル−β−CD、そしてとりわけ2−ヒドロキシプロピル−β−CD(2−HP−β−CD)である。
【0057】
用語の混合エーテルは、そこで少なくとも2個のシクロデキストリンのヒドロキシ基が例えばヒドロキシ−プロピル及びヒドロキシエチルのような異なる基でエーテル化されているシクロデキストリン誘導体を意味する。
【0058】
平均モル置換度(M.S.)はアンヒドログルコース1モル当りのアルコキシ単位の平均モル数の指標として使用される。平均置換度(D.S.)はアンヒドログルコース単位当りの置換ヒドロキシルの平均数を表わす。M.S.及びD.S.値は核磁気共鳴(NMR)、質量分析(MS)及び赤外線分光分析(IR)のような種々の分析法により測定することができる。使用される方法により、1つの与えられるシクロデキストリン誘導体に対して僅かに異なる値が得られるかも知れない。好ましくは、質量分析により測定される時のM.S.は0.125〜10の範囲内にあり、D.S.は0.125〜3の範囲内にある。
【0059】
経口又は直腸内投与に適するその他の組成物は、式(I)の化合物及び1種又は複数の適当な製薬学的に許容され得る水溶性ポリマーを含んでなる固体分散物からなる粒子を含んでなる。
【0060】
以下に使用される用語「固体分散物」は、そこで一方の成分が他方の1種又は複数(可塑化剤、保存剤等のような当該技術分野で一般に知られた更なる製薬学的に許容され得る調合剤が包含される場合)の成分中に多少とも均一に分散されている、少なくとも2種の成分、この場合は式(I)の化合物と水溶性ポリマー、を含んでなる固体状態(液体又は気体状態に対するような)にある系と定義する。成分の該分散物が、系が全体に化学的にそして物理的に均一又はホモジナスであるか又は熱力学で定義されるような1つの相からなるようなものである時は、そのような固体分散物は「固溶体」と呼ばれるであろう。固溶体はその中の成分が通常、それらが投与される生体に容易に生物相容性であるために好ましい物理的系である。この利点は恐らく、該固溶体が胃腸液のような液体媒質と接触すると液体溶液を形成することができる容易性により説明することができる。溶解の容易性は、少なくとも一部は、固溶体からの成分の溶解に要するエネルギーが結晶又は微細結晶の固相からの成分の溶解に要するものより小さい事実に起因させることができる。
【0061】
用語「固体分散物」はまた、固溶体より全体にホモジナスではない分散物を含んでなる。このような分散物は全体に化学的、そして物理的に均一でないか又は2相以上を含んでなる。例えば、用語「固体分散物」はまた、式(I)の非晶質、微細結晶又は結晶性化合物あるいは非晶質、微細結晶又は結晶性水溶性ポリマーあるいはその双方が、水溶性ポリマー又は式(I)の化合物を含んでなるもう1つの相あるいは式(I)化合物及び水溶性ポリマーを含んでなる固溶体中に多少とも均一に分散されている、ドメイン又は小領域を有する系に関連する。該ドメインは幾らかの物理的特徴、小サイズにより明確に区別され、そして固体分散物全体に均一にそしてランダムに分布された固体分散物内の領域である。
【0062】
固体分散物を調製するために、溶融押し出し法、噴霧乾燥法及び溶液蒸発法を包含する種々の方法が存在する。固体分散物を調製後、得られた生成物を場合により粉砕し、ふるうことができる。固体分散生成物は600μm未満、好ましくは400μm未満、そしてもっとも好ましくは125μm未満の粒度を有する粒子に微粉砕(milled)又は粉砕(ground)することができる。
【0063】
次に、前記のように調製された粒子を通常の方法により錠剤及びカプセルのような製薬学的剤形に調合することができる。
【0064】
粒子中の水溶性ポリマーは、2%(w/v)の水溶液中に20℃で溶解される時に、1〜5000mPa.s、より好ましくは1〜700mPa.s、そしてもっとも好ましくは1〜100mPa.sの見かけの粘度を有するポリマーである。例えば、適当な水溶性ポリマーはアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロースのアルカリ金属塩、カルボキシアルキルアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロースエステル、デンプン、ペクチン、キチン誘導体、二糖、オリゴ糖及び、トレハロースのような多糖、アルギン酸又はそれらのアルカリ金属及びアンモニウム塩、カラゲーナン、ガラクトマンナン、トラガカント、アガアガ、アラビアガム、グアガム及びキサンタンガム、ポリアクリル酸及びそれらの塩、ポリメタクリル酸及びそれらの塩、メタクリレートコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンの酢酸ビニルとのコポリマー、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンの組み合わせ物、ポリアルキレンオキシド並びにエチレオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー、を包含する。好ましい水溶性ポリマーはヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0065】
更に1種又は複数のシクロデキストリンを国際公開第97/18839号パンフレットに開示されたように、前記の粒子の調製物中の水溶性ポリマーとして使用することができる。これらのシクロデキストリンは当該技術分野で知られた、製薬学的に許容され得る未置換及び置換シクロデキストリン、更に特にはα、β又はγシクロデキストリン又は製薬学的に許容され得るそれらの誘導体、を包含する。
【0066】
前記の粒子を調製するために使用することができる置換シクロデキストリンは米国特許第3,459,731号明細書に記載のポリエーテルを包含する。更なる置換シクロデキストリンは、その1個又は複数のシクロデキストリンのヒドロキシ基の水素がC1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、カルボキシC1−6アルキル又はC1−6アルキルオキシカルボニルC1−6アルキル又はそれらの混合エーテルにより置換されているエーテルである。とりわけこのような置換シクロデキストリンは、その1個又は複数のシクロデキストリンのヒドロキシ基の水素がC1−3アルキル、ヒドロキシC2−4アルキル又はカルボキシC1−2アルキルによりあるいは更にとりわけ、メチル、エチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、カルボキシ−メチル又はカルボキ
シエチルにより置換されているエーテルである。
【0067】
特に有用なものは、β−デキストリンエーテル、例えばジメチル−β−シクロデキストリン及びポリエーテル、例えばヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン及びヒドロキシエチルβ−シクロデキストリンである。このようなアルキルエーテルは約0.125〜3、例えば約0.3〜2の置換度をもつメチルエーテルであることができる。このようなヒドロキシプロピルシクロデキストリンは例えば、β−シクロデキストリンとプロピレンオキシド間の反応から形成することができ、約0.125〜10、例えば約0.3〜3のMS値をもつことができる。
【0068】
使用することができるもう1つのクラスの置換シクロデキストリンは、スフホブチルシクロデキストリンである。
【0069】
式(I)の化合物の水溶性ポリマーに対する比率は広範に変動してもよい。例えば、1/100〜100/1の比率を適用することができる。シクロデキストリンに対する式(I)の化合物の興味深い比率は約1/10〜10/1の範囲内にある。より興味深い比率は約1/5〜5/1の範囲内にある。
【0070】
更に、式(I)の化合物を、それらの表面上に、1000nm未満の有効平均粒度を維持するために十分量の表面修飾剤を吸着させたナノ粒子の形態に調合することは好都合であるかも知れない。有用な表面修飾剤は式(I)の化合物の表面に物理的に吸着するが、該化合物に化学的には結合しないものを包含すると考えられる。
【0071】
適当な表面修飾剤は知られた有機及び無機の製薬学的賦形剤から選択することができる。このような賦形剤は種々のポリマー、低分子量オリゴマー、天然産物及び界面活性剤を包含する。好ましい表面修飾剤は非イオン性及びアニオン界面活性剤を包含する。
【0072】
式(I)の化合物を調合する更にもう1つの興味深い方法は、親水性ポリマー中に式(I)の化合物を取り込み、そしてこの混合物を小ビード上にコートフィルムとして適用して、それを更に経口投与用組成物に加工することができる工程を伴う。これらのビードは中心の丸い又は球状のコア、親水性ポリマーのコートフィルム及び式(I)の化合物及び場合によりシール−コート層を含んでなる。これらのビード中のコアとしての使用に適する材料は、該材料が製薬学的に許容でき、そして適当なディメンション及び硬度を有すると仮定すると多様である。このような材料の例はポリマー、無機物質、有機物質及び糖類及びそれらの誘導体である。
【0073】
投与の容易さ及び投与の均一性のために、前記の製薬学的組成物を単位投与剤形に調合することは特に有利である。本明細書で使用される投与単位剤形は、単位剤形として適当な物理的に分離された単位物を意味し、ここで各単位は、必要とする製薬学的担体と一緒に所望の治療効果をもたらすように計算された、前以て計算された量の有効成分を含有する。このような単位投与剤形の例は錠剤(刻み目付き又はコート錠を包含する)、カプセル、ピル、散剤分包、ウエファー、座薬、注射液又は懸濁物等及び隔離されたそれらの複数物である。
【0074】
HIV感染症の処置における当業者は本明細書に提示された試験結果から有効な1日量を決定することができると考えられる。概括的に、1日有効量は0.01mg/kg〜50mg/kg体重、より好ましくは0.1mg/kg〜10mg/kg体重であろうと推定される。1日全体で適当な間隔を空けて、2、3、4又はそれ以上の分服量として必要量を投与することが適当かも知れない。該分服量は単位投与剤形当り例えば、1〜1000mg、そしてとりわけ5〜200mgの有効成分を含有する単位投与剤形として調合することができる。
【0075】
投与の正確な量及び回数は、当業者に周知のように、使用される式(I)の特定の化合物、処置されている特定の状態、処置されている状態の重篤度、特定の患者の年齢、体重及び全般的身体状況並びに個体が摂取しているかも知れない他の投薬に左右される。更に、前記の有効な1日量は処置される被験体の反応及び/又は本発明の化合物を処方している医師の評価に応じて減量又は増量されることができることは明らかである。従って、前記の有効な1日量の範囲は指針のみであり、どんな程度にも本発明の範囲又は使用を限定することは意図されない。
【0076】
本発明の式(I)の化合物はウイルス感染症の処置のために、単独で、あるいは抗ウイルス剤、抗生物質、免疫調整剤又はワクチンのような他の治療剤と組み合わせて使用することができる。それらはまた、ウイルス感染症の予防のために、単独で又は他の予防剤と組み合わせて使用することができる。本発明の化合物は長期間にわたりウイルス感染症に対して個体を防御するためのワクチン及び方法に使用することができる。化合物はワクチン中の逆転写酵素インヒビターの通常の利用と一致した方法で、単独で、又は本発明の他の化合物と一緒に又は他の抗ウイルス剤と一緒にこのようなワクチン中に使用することができる。従って、本発明の化合物はワクチン中に通常使用される製薬学的に許容され得る補助剤と合わせて、HIV感染症に対して長期間にわたり個体を防御するために予防的に有効量を投与することができる。
【0077】
更に、1種以上の更なる抗レトロウイルス化合物及び式(I)の化合物の組み合わせ物を医薬として使用することができる。従って、本発明はまた、抗−HIV処置における同時の、別々の又は連続的な使用のための組み合わせ調製物としての、(a)式(I)の化合物及び(b)1種又は複数の更なる抗レトロウイルス化合物を含有する製品に関する。異なる薬剤を製薬学的に許容され得る担体と一緒に単一調製物中に合わせることができる。前記の他の抗レトロウイルス化合物は、スラミン、ペンタミジン、チモペンチン、カスタノスペルミン、デキストラン(デキストラン硫酸)、フォスカルネット−ナトリウム(トリナトリウムホスホノホルメート);ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター(NRTI)、例えばジドブジン(AZT)、ジダノシン(ddI)、ザルシタビン(ddC)、ラミブジン(3TC)、スタブジン(d4T)、エムトリシタビン(FTC)、アバカビル(ABC)、D−D4FC(ReversetTM)、アロブジン(MIV−310)、アムドキソビル(DAPD)、エルブシタビン(ACH−126,443)、等;非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター(NNRTI)(例えば、デラルビジン(DLV)、エファヴィレンズ(EFV)、ネヴィラピン(NVP)、カプラヴィリン(CPV)、カラノリドA、TMC120、エトラビリン(TMC125)、TMC278、BMS−561390、DPC−083等);ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター(NtRTI)、例えば、テノフォビル(TDF)及びテノフォビルジソプロキシルフマレート等;TIBO(テトラヒドロイミダゾ[4,5,1−jk][1,4]−ベンゾジアゼピン−2(1H)−オン及びチオン)−タイプの化合物、例えば、(S)−8−クロロ−4,5,6,7−テトラヒドロ−5−メチル−6−(3−メチル−2−ブテニル)イミダゾ−[4,5,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピン−2(1H)−チオン;α−APA(α−アニリノフェニルアセトアミド)タイプの化合物、例えば、α−[(2−ニトロフェニル)アミノ]−2,6−ジクロロベンゼン−アセトアミド等;TAT−インヒビターのようなトランス−活性化タンパク質のインヒビター、例えば、RO−5−3335;REVインヒビター;プロテアーゼインヒビター、例えばリトナビル(RTV)、サクイナビル(SQV)、ロピナビル(ABT−378又はLPV)、インジナビル(IDV)、アムプレナビル(VX−478)、TMC−126、BMS−232632、VX−175、DMP−323、DMP−450(Mozenavir)、ネルフィナビル(AG−1343)、アタザナビル(BMS 232,632)、パリナビル、TMC−114、RO033−4649、フォサムプレナビル(GW433908又はVX−175)、P−1946、BMS 186,318、SC−55389a、L−756,423、チプラナビル(PNU−140690)、BILA 1096 BS、U−140690等;融合インヒビターを含んでなる侵入インヒビター(例えば、T−20、T−1249)、付着インヒビター及び共受容体インヒビター;後者はCCR5アンタゴニスト及びCXR4アンタゴニスト(例えば、AMD−3100)を含んでなる;侵入インヒビターの例はエンフビルチド(ENF)、GSK−873,140、PRO−542、SCH−417,690、TNX−355、マラビロク(UK−427,857)である;例えば、成熟インヒビターはPA−457(Panacos Pharmaceuticals)である;ウイルスインテグラーゼのインヒビター;リボヌクレオチド還元酵素インヒビター(細胞のインヒビター)、例えば、ヒドロキシ尿素等、のような任意の知られた抗レトロウイルス化合物であってもよい。
【0078】
ウイルスの生命周期の異なる事象を標的にする他の抗ウイルス剤とともに本発明の化合物を投与することにより、これらの化合物の治療効果を強化することができる。前記のような組み合わせ治療は、組み合わせ物の各成分がHIV複製の異なるサイトに作用するために、HIV複製を阻害するときに相乗効果を与える。このような組み合わせ物の使用はその薬剤が単独治療として投与される時に比較されると、所望の治療又は予防効果のために要すると考えられる一定の通常の抗レトロウイルス剤の用量を減少させることができる。これらの組み合わせ物は薬剤の抗ウイルス作用を妨げずに、通常の単独抗レトロウイルス治療の副作用を減少又は排除することができる。これらの組み合わせはあらゆる関連する毒性を最少にしながら、単独薬剤治療に対する耐性の可能性を減少させる。これらの組み合わせはまた、関連する毒性を増加せずに、通常の薬剤の効果を増加させることができる。
【0079】
本発明の化合物はまた、AIDS及びARC、例えば痴呆のようなHIV感染症と関連した感染症及び疾患又は疾患の症状を予防又は抑制するために、免疫調整剤、例えばレバミソール、ブロピリミン、抗ヒト・アルファインターフェロン抗体、インターフェロンアルファ、インターロイキン2、メチオニンエンケファリン、ジエチルジチオカルバメート、腫瘍壊死因子、ナルトレキソン等;抗生物質、例えば、ペンタミジン・イセチオレート等;コリン作動性薬剤、例えばタクリン、リバスチグミン、ドネペジル、ガランタミン等;NMDAチャンネル遮断剤、例えば、メマンチンと組み合わせて投与することができる。式(I)の化合物はまた、式(I)のもう1つの化合物と組み合わせることができる。
【0080】
本発明は、HIV感染症を予防又は処置するための本発明の化合物の使用に焦点を当てているが、本発明の化合物はまた、それらの生命周期における必須の事象のための同様な逆転写酵素に左右されるその他のウイルスに対する阻害物質として使用することができる。
【0081】
以下の実施例は本発明を具体的に説明することを意図され、それらにその範囲を限定することは意図されない。
【0082】
[実施例]
【実施例1】
【0083】
4−アミノ−3,5−ジメチルベンゾニトリルの調製
【0084】
【化10】

【0085】
75gの中間体A、180mlのDMF及び40.2gのCuCNを混合し、150℃で4時間加熱した。次に全体を90℃に冷却し、500mlの1,2−ジアミノプロパンを添加し、混合物を30分間撹拌し、その後、20℃に冷却した。形成された沈殿物を濾取し、濾取した生成物を3.0lのジクロロメタンに溶解した。200gのシリカゲルをこの溶液に添加し、全体を30分間撹拌した。シリカゲルを濾去し、溶媒を50℃で蒸発させると、43gの4−アミノ−3,5−ジメチルベンゾニトリル(中間体B)を与えた。
定性:Lc面積%:>95%.
【実施例2】
【0086】
【化11】

【0087】
77.98gの、知られた生成物の、中間体C、43gの中間体B、300mlのNMP及び43.7gのジイソプロピルエチルアミンを混合し、155℃で48時間撹拌した。混合物を90℃に冷却し、90mlの水を添加した。最終生成物を25℃に緩徐に冷却することにより結晶化させた。次に最終生成物を濾過単離し、50℃で乾燥した。このようにして単離された生成物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製した。収量:2.8gの中間体D。
定性:Lc面積%:>98%
【実施例3】
【0088】
【化12】

【0089】
2.16gの中間体D及び200mlのプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGMME)を混合し、次にNHガスを1バールで添加した。混合物を145℃に加熱し、4.5バールの圧力に到達するまで更にNHを添加した。4.5バールのNH雰囲気下で維持しながら全体を145℃で20時間撹拌した。次に混合物を更に、120℃で6日間、7バールのNH雰囲気下で撹拌した。その後、混合物を20℃に冷却し、溶媒を蒸発除去すると3.2gの中間体Eを生成した。
定性:Lc面積%:95.3%
【実施例4】
【0090】
化合物1の調製
【0091】
【化13】

【0092】
3.2gの中間体Eを150mlのTHF、50mlの水及び1.6gのKCOとともに25℃で混合した。0℃に冷却後、0℃に温度を維持しながら1.03gのBrを10分間にわたり混合物に添加した。次に、過剰なBrをNa水溶液で分解した。水層を除去し、有機層を蒸発させた。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製すると1.3gの化合物1を与えた。
定性:Lc重量%:98.8%.
【実施例5】
【0093】
【化14】

【0094】
21.91gの中間体F、200mlのDMA及び14.9gのNaH60%の混合物を70℃で1時間撹拌した。25℃に冷却後、混合物を2Lの水中に注入した。このようにして得られた混合物水溶液のpHを塩酸の添加によりpH2にした。最終生成物Gを濾過単離すると36.92gの化合物Gを与えた。
定性:GC面積%:100%
【実施例6】
【0095】
【化15】

【0096】
36.92gの中間体Gを220〜240℃に1時間加熱した。室温に冷却後、50mlのTHF、50mlのMeOH及び16.9gのKOHを混合物に添加した。50℃で1時間撹拌後、反応混合物を2Lの水で分解した。このように得られた混合物水溶液のpHを塩酸を添加することによりpH2にした。最終生成物を濾取すると、13.25gの化合物Hを生成した。
定性:Gc:100%P。
【実施例7】
【0097】
【化16】

【0098】
17.23gの中間体C、11.61gの中間体H、52mlのNMP及び9.9gのKCOの混合物を混合し、40℃で45分間撹拌した。44mlの水添加後、所望の最終生成物を25℃に緩徐に冷却することにより結晶化させた。最終生成物を濾過単離し、50℃で乾燥した。湿った生成物を65mlのアセトン中に再スラリー化し、生成物を濾過単離し、50℃で乾燥すると、19.43gの中間体Iを生成した。
定性:Lc面積%:77%生成物。
【実施例8】
【0099】
【化17】

【0100】
前実施例で調製した3gの中間体I及び30mlのNMPの混合物を145℃に加熱した。NHガスを4.5バールの圧力に達するまで添加した。4.5バールのNH雰囲気に圧力を維持しながら145℃で4時間撹拌後、溶媒を蒸発除去すると、1.8gの中間体Jを与えた。
定性:Lc面積%:81%
【実施例9】
【0101】
【化18】

【0102】
1.46gの中間体Jの混合物を150mlのCHCl、50mlの水及び0.68gのKCOと25℃で混合した。0℃に冷却後、0.93gのBrを0℃で10分間にわたり添加した。このようにして得られた混合物を0℃で1時間撹拌した。過剰なBrをNa水溶液で分解した。水層を除去じ、有機層を蒸発させた。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製すると、1gの化合物2を与えた。
定性:Lc面積%:98%
【実施例10】
【0103】
【化19】

【0104】
9gの中間体I、500mlのCHCl及び7.28gのm−クロロペルオキシ安息香酸(MCPBA)の混合物を還流温度で16時間撹拌した。次に混合物を室温でNaOHで洗浄し、溶媒を蒸発させると、11.45gの中間体Kを与えた。
定性:Lc面積%:62.3%中間体K及び
24.9%対応するSO−生成物
【実施例11】
【0105】
【化20】

【0106】
11gの中間体K(前実施例で得られたような)及び300mlのTHFの混合物を40℃に加熱し、4.5バールの圧力まで、NHガスを添加した。40℃及び4.5バールのNH雰囲気下で2時間撹拌後、50mlのNMPを添加し、全体を40℃、4.5バールのNH雰囲気下で更に4時間撹拌した。反応終結後、溶媒を蒸発させた。生成物を2.5lのCHClを使用して残渣から抽出し、2lの水で洗浄した。分離後、有機層の溶媒を蒸発させると、6gの生成物Lを与えた。
定性:Lc面積%:34%P。
【実施例12】
【0107】
【化21】

【0108】
3.5gの中間体L(前実施例で得られた)、150mlのTHF、10mlの水及び1.1gのKCOを25℃で混合した。0℃に冷却後、4.04gのBrを0℃で10分間添加した。混合物を0℃で1時間撹拌し、次に過剰なBrをNa水溶液で分解した。分離した有機層を蒸発させ、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製すると、0.58gの化合物3を与えた。
定性:Lc面積%:98%。
【実施例13】
【0109】
調合物
カプセル
【0110】
化合物1をエタノール、メタノール又はメチレンクロリドのような有機溶媒、好ましくはエタノール及びメチレンクロリドの混合物に溶解する。典型的には5mPa.sを有するポリビニルピロリドンのビニルアセテートとのコポリマー(PVP−VA)又はヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)のようなポリマーをエタノール、メタノール、メチレンクロリドのような有機溶媒に溶解する。好ましくはポリマーはエタノールに溶解する。ポリマー及び化合物の溶液を混合し、次に噴霧乾燥する。化合物/ポリマーの比率は1/1〜1/6に選択する。中間の範囲は1/1.5〜1/3であることができる。適当な比率は1/6であることができる。次に噴霧乾燥粉末、固体分散物を投与用カプセルに充填する。1カプセル中の薬剤充填量は使用されるカプセルサイズに応じて50〜100mg間にある。
【0111】
フィルムコート錠
錠剤コアの調製
1000gの化合物1、2850gのラクトース及び1000gのデンプンの混合物を十分混合し、その後、25gのドデシル硫酸ナトリウム及び50gのポリビニルピロリドンの溶液(約1000mlの水中)で湿らせる。湿った粉末混合物をふるい、乾燥し、再度ふるう。次に500gの微細結晶セルロース及び75gの水素化植物油を添加する。全体を十分混合し、打錠すると、有効成分を各100mg含んでなる10,000錠を与える。
【0112】
コーティング
10gのメチルセルロースの溶液(75mlの変性エタノール中)に5gのエチルセルロースの溶液(150mlのジクロロメタン中)を添加する。次に75mlのジクロロメタン及び2.5mlの1,2,3−プロパントリオールを添加する。10gのポリエチレングリコールを融解し、75mlのジクロロメタン中に溶解する。後者の溶液を前者に添
加し、次に2.5gのマグネシウムオクタデカノエート、5gのポリビニルピロリドン及び30mlの濃厚色素懸濁物を添加し、全体をホモジナイズする。錠剤コアをコート装置中でこのようにして得られた混合物でコートする。
【実施例14】
【0113】
抗ウイルススペクトル
薬剤耐性HIV株の発生増加のために、本発明の化合物を幾つかの突然変異体を隠蔽する臨床的に単離されたHIV株に対するそれらの効力を試験した。これらの突然変異体は逆転写酵素インヒビターに対する耐性を伴い、例えばAZT及びデラビルジンのような近年市販されている薬剤に種々の度合いの表現型交差耐性を示すウイルスをもたらす。
【0114】
本発明の化合物の抗ウイルス活性は、野生型HIV及び逆転写酵素遺伝子において突然変異体を担持するHIV突然変異体の存在下で評価された。化合物の活性は細胞アッセイを使用して評価され、残余活性(residual activity)をpEC50値で表わす。表中のカラムIIIB及びA〜Gは種々の株IIIB、A〜Gに対するpEC50を与える。
【0115】
株IIIBは野生型HIV−LAI株である。
【0116】
株AはHIV逆転写酵素中に突然変異体Y181Cを含有する。
【0117】
株BはHIV逆転写酵素中に突然変異体V106Aを含有する。
【0118】
株CはHIV逆転写酵素中に突然変異体L100Iを含有する。
【0119】
株DはHIV逆転写酵素中に突然変異体Y188Lを含有する。
【0120】
株EはHIV逆転写酵素中に突然変異体L100I及びK103Nを含有する。
【0121】
株FはHIV逆転写酵素中に突然変異体K103N及びY181Cを含有する。
【0122】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

[式中、XはNH、S、SO又はSOである]
の化合物、その製薬学的に許容され得る付加塩又は立体化学的異性体形態物。
【請求項2】
XがNHである請求項1記載の化合物。
【請求項3】
XがSである請求項1記載の化合物。
【請求項4】
医薬としての使用のための請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
製薬学的に許容され得る担体及び、有効成分として治療的に有効量の請求項1〜3のいずれか1項に記載のような化合物を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項6】
有効成分及び担体を均一に混合する工程を含んでなる請求項5記載の組成物を調製する方法。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれかに記載された式(I)の化合物の製造方法であって、
(a)Xが請求項1〜3のいずれかに定義された通りであり、そしてWが適当な離脱基を表わす、以下の反応スキームに概説されるように、式(II)又は(IV)の中間体を式(III)又は(V)の中間体と反応させ、
【化2】

(b)XがNR又はSであり、そしてWが適当な離脱基を表わす、以下の反応スキームに概説されるように、シアノフェニル誘導体(VI)をピリミジン誘導体(VII)と反応させるか、又はシアノフェニル誘導体(VIII)をピリミジン誘導体(IX)と反応させて、XがNR又はSである式(I)の化合物の、式(I−a)の化合物を製造し、
【化3】

(c)Xが請求項1〜3のいずれかに定義された通りである、以下のスキームに概説されるように、出発物質(X)を遊離臭素又は、N−ブロモスクシンイミドのような臭素供与体により臭素化し、
【化4】

(d)XがSである式(I)の化合物を、例えば適当な過酸化物化合物を用いる酸化反応により、XがSO又はSOである式(I)の対応する化合物に転化させ、
(e)式(I)の化合物を適当な酸との処理により製薬学的に許容され得るその酸付加塩形態物に転化させ、そして反対に式(I)の化合物の製薬学的に許容され得る酸付加塩形態物を適当な塩基との塩の処理により遊離塩基形態物に転化させる、
上記製造方法。

【公表番号】特表2008−528554(P2008−528554A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−552651(P2007−552651)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【国際出願番号】PCT/EP2006/050490
【国際公開番号】WO2006/079656
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(504347371)テイボテク・フアーマシユーチカルズ・リミテツド (94)
【Fターム(参考)】