説明

HVAC(暖房、換気および空調)システム

【課題】車両のためのHVACシステム。
【解決手段】本HVACシステムは車両のエンジンが動作していないときにHVACシステムのコンポーネントを動作させるために使用できる電池管理制御装置を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設置される暖房、換気および空調(HVAC)装置またはシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
全国各地で商品を移動させるトラック運転者は、彼らが疲労し過ぎないように休息するために旅行途中の種々の時間に車を脇に寄せて止める必要があり得る。トラック運転者が休息するための一般的な場所は、休憩停車場、料金所などを含む。しかしながらこれらの場所は通常、運転者のための如何なる宿泊設備も持たず、その結果、運転者は通常、睡眠区画(スリーピングコンパートメント)内のトラックの運転室内に留まる。運転者に最大の快適さを提供するために睡眠区画は、トラック内の環境が、運転者が必要とする休息を得るのを助けるように、温度制御されるべきである。
【0003】
現在ではトラックは、運転区画(ドライビングコンパートメント)を冷却するために空気調節システムが車両中に冷却剤を循環させてポンプ供給するためのエンジンベルト駆動式圧縮機を使用する傾向がある。更にエンジンベルト駆動式ポンプは、暖房が必要であるときには運転区画中にエンジン廃熱を循環させることができる。不都合なことにこれらのシステムは、エンジンが停止しているときには動作できないという欠点を有する。その結果、運転者は、温度制御システムを動作させるためにエンジン運転(追加の燃料を必要とする)を続けるか、エンジンを停止して空気調節または暖房システムを使用しないか(運転者に不快感を与える可能性がある)、いずれかの選択肢を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の点を考慮すると、エンジンが停止しているときに温度制御を提供することができ、冷暖房システムに必要な電力を供給できるHVACシステムを提供する必要が存在する。一つの選択肢は、HVACシステムに電力供給するためにトラックの電池(バッテリ)を使用することである。この選択肢は、車両が発進できない点にまで電池が消耗しないように、ある一定の点でHVACシステムが止められなくてはならないという欠点を有する。したがって車両が発進できないほどに車両電池が消耗してさえいなければ、エンジンが止まっているときにHVACシステムが稼動できる時間量を最大にする電池管理システムを提供する必要が存在する。
【0005】
もう一つの欠点は、暖房システムで使用されるヒータ(加熱器)がしばしばディーゼル燃料で動作することである。前述のようにエンジンベルト駆動式ポンプは、暖房目的のために運転区画中にエンジン廃熱を循環させることができるが、これらのポンプは燃料を必要とする。代替としてタンクから燃料を引き出して(エンジンが動作していないとき)、空気を直接、あるいは循環水を介して加熱するためにその燃料を燃焼させる専用のバーナ(燃焼器)が使用され得る。したがってディーゼル燃料が消費されないようにエンジンが停止しているときに動作できるHVACシステムにおける暖房システムを提供する必要が存在する。
【0006】
もう一つの欠点は、HVACシステムの交換が労力を要し多大な費用のかかる設置プロセスという結果になる可能性があることである。例えばHVACシステムの交換は、車両に既に存在する既存の十分に機能的な装置の交換、例えば蒸発器、循環ファンまたは配管の交換を意味する可能性がある。したがって容易に設置できて、車両のHVACシステムのすべての既存コンポーネント(構成要素)の交換を必ずしも含まないHVACシステムを提供する必要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、電池管理制御装置を備える、車両に設置されるHVACシステムが開示される。この電池管理制御装置は、第1の電圧を有する第1の電源を電気的に接続するための少なくとも一つの接続部と、第2の電圧を有する第2の電源を電気的に接続するための少なくとも一つの接続部と、を備えることができる。この電池管理制御装置は、温度制御システムを動作させるように、また結合された電圧を有する第1、第2の電源の組合せから温度制御システムに電力供給するように構成されることができ、第2の電源は結合電圧が所定の量より低く降下したときに接続が断たれる。
【0008】
本発明のもう一つの実施形態によれば、逆サイクル暖房システムと、車両のエンジンが停止しているときこの逆サイクル暖房システムを動作させるように構成された電池管理システムとを備える、車両に設置されるHVACシステムが開示される。
【0009】
本発明の更なる実施形態によれば、第1の電源と、圧縮機と、この圧縮機に動作可能に接続されたモータと、凝縮器と、車両のエンジンが停止しているときにモータを動作させるように構成された電池管理システムとを備える、車両に設置されるHVACシステムが開示される。これらの第1の電源と圧縮機とモータと凝縮器は、外部サブシステムとして車両の運転室の外側に在るように構成され得る。
【0010】
上記の一般的説明と下記の詳細な説明が単に例示的、説明的であって、請求されるように本発明を限定しないことは理解されるべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の種々の実施形態は、図面を参照しながら詳細に説明されるであろう。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態による車両に設置されるHVACシステムの模式図である。HVACシステム10は、モータ12と圧縮機14と循環送風機210、212と電力管理制御装置50と電池管理制御装置60とを備え得る。モータは、圧縮機14に動作可能に接続され得る。この圧縮機14は、モータ12によって駆動される無段連続可変速度圧縮機である。圧縮機14は、凝縮器16を介して任意選択の冷却剤受液器・乾燥機18に冷却剤を循環させる。冷却剤受液器・乾燥機18から、冷却剤は、運転区画23を冷房する第1の冷却経路21か、車両の睡眠区画27を冷房する第2の冷却経路25かのいずれかを通過する。第1の冷却経路21に関して冷却剤は、冷却剤計量装置20と蒸発器22とを通り抜ける。冷却剤計量装置20は、膨張装置、例えば従来の仕方で使用されるサーモスタット膨張弁、圧力制御膨張弁、毛細管などであっても、なくてもよい。一構成では冷却剤計量器20は、弁20において、または弁20の近くで膨張が発生しない満杯の蒸発器22に冷却剤を送り込む計量装置であり、したがって蒸発器における正しい液レベルを維持するために十分な速度で冷却液において計量を行うだけである。循環送風機210によって蒸発器22の上に空気が吹き付けられる。蒸発器22によって空気が冷却された後に、この空気は空気ダクト272を通って車両の運転区画23の方に進む。
【0013】
第2の冷却経路25は、冷却剤が冷却剤計量装置24と蒸発器26とを経由して供給される第1の冷却経路21に平行に走っている。空気は、循環送風機212によって蒸発器26に吹き付けられる。蒸発器26によって空気が冷却された後に、この空気は空気ダクト276を通って車両の睡眠区画27の方に進む。睡眠区画27は典型的には運転区画23より小さいので、第2の冷却経路25の蒸発器26は、第1の冷却経路21の蒸発器22より小さくできる。
【0014】
弁28、29の使用を介して二つの冷却剤ループが選択可能であり得る。このような弁を含むことは、運転区画23、睡眠区画27または両区画が、ある特定の時間に空気調節されることを可能にする。弁28、29は、電力管理制御装置50(下記に論じられる)を介して制御され得る。いったん冷却剤が蒸発器22および/または26を通過すると、この冷却剤はこのプロセスを再開するために圧縮機14に戻される前に任意選択の冷却剤アキュムレータ30を通過する。
【0015】
モータ12は、適切な如何なるモータでもよい。例えばモータ12は、正方形または台形の波形によって整流されるブラシレスDCモータであり得る。もう一つの例ではモータ12は、正弦波で整流される同期永久磁石モータであり得る。モータが正弦波によって駆動されると更なる利益が、例えばより良好な駆動効率、より良好な冷房、およびより静かな動作が取得され得る。
【0016】
ブラシレスDCまたは同期永久磁石モータ12によって駆動される可変速度圧縮機14を使用することによって車両のHVACシステムは、エンジンが起動されたとき、またはエンジンが停止されたときに稼動できる。可変速度圧縮機14はまた、HVACシステム10による使用に利用可能な蓄積エネルギーの量を保存するために、HVACシステム10がエンジン停止動作時に、より低い容量で動作することを可能にし得る。この動作のための制御は、電池管理制御装置60が車両の電源の利用可能性と状態とを監視しているときに種々のシステムパラメータを監視する電力管理制御装置50によって与えられる。利用可能な電源は、第1の電源40、第2の電源42、および/または車両の主電力発生システム44を含み得る。
【0017】
同様な仕方で、循環送風機210、212はまた、HVACシステム10による使用に利用可能な蓄積エネルギーの量を保存するためにエンジン停止動作時に、より低い容量で循環送風機が動作できるように、無段連続可変速度を持つことができる。この動作の制御はまた、電力管理制御装置50によって与えられる。
【0018】
電池管理制御装置60は、車両のエンジンが動作しているときに利用可能である車両の主電力発生システム44によって車両のHVACシステム10が電力供給され得るように構成される。車両のエンジンが停止しているとき、HVACシステム10は、電源の電力レベルに依存して第1の電源40および/または第2の電源42によって電力供給され得る(後述される)。一実施形態では第1の電源40は一つ以上の補助ディープサイクル(deep-cycle)電池である可能性があり、第2の電源42は車両の一つ以上の始動機電池でありうる。もう一つの実施形態では第1、第2の電源のうちの一つは、外部接続部を介してシステムに接続されるAC電力の外部電源であり得る。
【0019】
HVACシステム10ではモータ駆動式圧縮機14は、その出力を十分な容量から低い容量にまで調整する能力を持ち得る。調整するこの能力は、運転および/または睡眠区画を冷房または暖め続けるために、エンジンが動作している期間中の高い出力とエンジンが停止している期間中の低い出力との両者のために使用され得る単一のHVACシステムの使用を可能にする。この調整の適正化は、エンジンが停止しているときに圧縮機の速度を減速する電力管理制御装置50によって与えられる。この調整は、利用可能な電源の電荷がよりゆっくり消費されるので、暖房および冷房運転の持続時間を延長する。すなわち圧縮機の減速した速度によって、電力需要も減らされる。
【0020】
図1のもう一つの態様は、車両の各区画に通じる各空気ダクト内に空気ヒータが存在する暖房運転モードである。例えば空気ヒータ270は、運転区画23に通じる空気ダクト272内に配置される。空気ヒータ274は、睡眠区画27に通じる空気ダクト276内に配置される。空気ヒータ270、274は、当分野で公知の如何なるヒータでも、例えば電気抵抗タイプのヒータでもよい。電気抵抗タイプのヒータを使用する利点は、単に第1および/または第2の電源あるいは車両電力発生システムによって電力供給される循環送風機とヒータとだけに依存することによってエンジンまたは追加燃料に依存せずに暖房機能が遂行されることをこのようなヒータが可能にすることである。好ましい一実施形態では、空気ダクト272、276の代わりに空気ヒータ270、274が、循環送風機210、212と同じ囲い内に、しかしなお車両および/または睡眠区画に入るガス流の経路内に配置され得る。もし空気ヒータが循環送風機と同じ囲い内に在れば、設置の複雑さの低減があり得る。
【0021】
暖房モードで動作するために電力管理制御装置50は、圧縮機14を動作させずに単に、運転区画に必要な暖房を供給するために循環送風機210と空気ヒータ270とを、および/または睡眠区画に必要な暖房を供給するために循環送風機212と空気ヒータ274とを、動作させる。この構成は、更なる消費電力の節約を与え、暖房モードでのより長い動作持続時間を可能にする。冷房運転モードでは空気ヒータ270、274は単純には、起動されない。もし温度制御が所望されれば、電力管理制御装置50は好ましくは、空気ヒータ270、274に電力のパルス幅変調制御(PWM)を提供することができる。代替として、温度制御は、それぞれの車両区画に流入する空気の温度を調整するように、空気ヒータ270および/または274の上を通る空気流(蒸発器22および/または26によって冷却され得る、またはされ得ない)を制御するために各ダクト(もし設けられていれば)に配置された当分野で公知の制御ドア(図示せず)によって実行され得る。
【0022】
図1の実施形態は、代替の構成を含み得る。例えば第1または第2の冷却経路は、単に1個の膨張装置と1個の蒸発器と1個の送風機とが存在してアキュムレータ30は存在しないように省略され得る。この構成によって、単に一つの車両区画が温度制御され得る。代替として配管は、第1のチャネルが運転区画に行き、第2のチャネルが睡眠区画に行く別々のチャネルに温度制御された空気を流入させるために使用され得る。この実施形態では、他方の区画を除外して一方の区画に温度制御された空気を流すために制御ドアなどが使用され得る。
【0023】
図2は、本発明の他の実施形態によるHVACシステム10の他の実施形態の模式図である。この実施形態のHVACシステム10は、第1の冷却剤を含む一次冷却剤ループ170と第2の冷却剤を含む二次冷却剤ループ172とを含む。一次冷却剤ループ170内の第1の冷却剤は、圧縮機14によって駆動され、凝縮器16、受液器および乾燥機18、冷却剤計量装置20、第1冷却剤/第2冷却剤熱交換器174を通過して圧縮機14に戻る。
【0024】
これに対して二次冷却剤ループ172内の第2の冷却剤は、低圧液体ポンプ176によって駆動される。この流体は、第2冷却剤/空気熱交換器178とヒータ180と第1冷却剤/第2冷却剤熱交換器174とを通過する。第1冷却剤/第2冷却剤熱交換器174は、一次冷却剤ループ170と二次冷却剤ループ172との間の熱交換手段として働く。第2冷却剤/空気熱交換器178は、循環送風機210によって供給される空気を冷却し、それからこの空気は、配管により、または配管によらずに車両区画に流れる。車両区画の暖房を提供するために電力管理制御装置50は、二次冷却剤ループ172内の低圧液体ポンプ176とヒータ180、および循環送風機210を動作させる必要があるだけである。すなわち圧縮機14には電力は送られず、その結果消費電力量は更に削減され、これは暖房が行われ得る持続時間を延長する。
【0025】
図3は、二次冷却ループ172内に二つの第2冷却剤/空気熱交換器178、182が存在する、図2の代替構成を示す。一方の第2冷却剤/空気熱交換器178は運転区画23に冷房/暖房を提供するために使用され得るが、他方の熱交換器180は配管により、または配管によらずに睡眠区画27に冷房/暖房を提供するために使用され得る。熱交換器178、182のどちらか、または両方を通る液体の通過は、今度は熱交換器182に通じる弁184と熱交換器178に通じる弁186とを制御する電力管理制御装置50によって選択され得る。こうして弁184、186の制御は、運転区画23、睡眠区画25または両区画が、ある特定の時間に空気調節または暖房されることを可能にする。
【0026】
図4は、HVACシステムが逆サイクル暖房システムを使用する本発明のもう一つの実施形態を示す。この逆サイクル暖房システムはまた、第1および/または第2の電源または車両電力発生システムによって電力供給される圧縮機と循環送風機とにだけ依存することによって、エンジンまたは追加燃料に依存せずに暖房機能が遂行されることを可能にする。図1に示す実施形態によるように、図4のHVACシステム10は、モータ12と圧縮機14と循環送風機210、212と電力管理制御装置50と電池管理制御装置60とを備え得る。モータは、圧縮機14に動作可能に接続されるブラシレスDCまたは同期永久磁石モータであり得る。この圧縮機14は、モータ12によって駆動される連続可変速度圧縮機である。この圧縮機には、逆転弁502が接続されており、これは圧縮機が単線矢印520によって示される冷房方向または二重線矢印522によって示される暖房方向に冷媒をポンプ供給することを可能にする。
【0027】
冷房方向に関して圧縮機14は、熱交換器504(圧縮機からの高温の圧縮ガスは熱が放出されると液体に凝縮するので冷房モードでは凝縮器として機能する)を介して、運転区画23に行く空気を熱的に処理する第1の流路510、および/または車両の睡眠区画27に行く空気を熱的に処理する第2の流路512に冷却剤を循環させる。第1の流路510に関して冷却剤は、冷却剤計量装置20と熱交換器506(液体冷却剤は熱がこの冷却液によって吸収されると沸騰してガスを形成するので冷房モードでは蒸発器として機能する)とを通過する。空気は、循環送風機210によって熱交換器506に吹き付けられる。この空気は、熱交換器506によって冷却された後に車両の運転区画23に向かって進む。
【0028】
第2の流路512は、第1の流路510に平行に走っており、冷却剤は冷却剤計量装置24と熱交換器508(液体冷却剤は熱がこの冷却液によって吸収されると沸騰してガスを形成するので冷房モードでは蒸発器として機能する)とを経由して供給される。循環送風機212によって空気が熱交換器508に吹き付けられる。この空気は、熱交換器508によって冷却された後に、車両の睡眠区画27の方に進む。睡眠区画27は典型的には運転区画23より小さいので、第2の流路512の熱交換器508は、第1の流路510の熱交換器506より小さくできる。
【0029】
弁28、29、514、516の使用を介して二つの冷却剤ループが選択可能である。このような弁を含むことは、運転区画23または睡眠区画27または両区画が、ある特定の時間に空気調節されることを可能にする。運転区画だけが温度制御されているときには、弁28、514は開かれて弁29、519は閉じられる。同様に、睡眠区画だけが温度制御されているときには、弁29、516は開かれて弁28、514は閉じられる。弁28、29、514、516は、電力管理制御装置50を介して制御され得る。いったん冷却剤が熱交換器506および/または508を通過すると、冷却剤はこのプロセスを再開するために逆転弁502と圧縮機14とに戻る。
【0030】
暖房方向に関して逆転弁502は、圧縮機によってポンプ供給される冷却剤が二重矢印522によって示される逆方向に流れるように切り替えられる。こうして圧縮機は、弁28、514および弁29、516が開かれるか閉じられるかどうかに依存して冷却剤が第1の流路510および/または第2の流路512を通って流れるようにする。もし弁28、514が開かれれば、冷却剤は熱交換器506(高温のガスは熱を放出すると液体に凝縮されるので暖房モードでは凝縮器として機能する)を通って流れる。循環送風機210によって空気が熱交換器506に吹き付けられる。この空気は、熱交換器506によって加熱された後に車両の運転区画23に向かって進む。一方、冷却剤は、熱交換器506から冷却剤計量装置20を通って熱交換器504(暖房モードでは蒸発器として機能する)に続いて行く。熱交換器504を通って流れた後に冷却剤は、逆転弁502と圧縮機14とに戻る。
【0031】
もし弁29、516が開かれれば、冷却剤は熱交換器508(暖房モードでは凝縮器として機能する)を通って流れる。循環送風機212によって空気が熱交換器508に吹き付けられる。この空気は、熱交換器508によって加熱された後に車両の睡眠区画27に向かって進む。一方、冷却剤は、熱交換器506から冷却剤計量装置24を通って熱交換器504(暖房モードでは蒸発器として機能する)に続いて行く。熱交換器504を通って流れた後、冷却剤は、プロセスを再開するために逆転弁502と圧縮機14とに戻る。
【0032】
図1に示す実施形態と同様に、図4の実施形態は、ブラシレスDCまたは同期永久磁石モータ12によって駆動される可変速度圧縮機14を含むことができ、暖房および冷房運転のための制御は電力管理制御装置50によって与えられ、利用可能な電源は第1の電源40、第2の電源42および/または車両の主電力発生システム44を含むことができ、循環送風機210、212はまた電力管理制御装置50によって制御され得る連続可変速度を持つことができ、また電池管理制御装置60はエンジンが停止しているときに利用可能な電源を監視し制御することができる。
【0033】
また図1の実施形態によるものと同様に、図4は代替の構成を含み得る。例えば第1または第2の冷却経路は、単に1個の冷却剤計量装置と空気が上を通る1個の熱交換器と1個の送風機とが存在するように省略され得る。この構成によって、一つの車両区画だけが温度制御され得る。代替として、温度制御された空気を流すダクトが、第1のチャネルは運転区画に行って第2のチャネルは睡眠区画に行くような多数のチャネルに分割され得る配管が使用され得る。この実施形態では、他方の区画を除外して一方の区画に温度制御された空気を流すために制御ドアなどが使用され得る。
【0034】
HVACシステム10の所要電力と動作は、それぞれ電池管理制御装置60と電力管理制御装置50とによって処理される。二つの制御装置50、60は関連するハードウエアまたは回路を有するソフトウエア制御ループであることが可能で、これらは別々の装置内または同じ装置内に物理的に収容され得る。
【0035】
さて図5(a)を参照しながら電池管理制御装置60が論じられる。電池管理制御装置60は、(1)HVACシステムによる使用に利用可能な電力を最大にすること、(2)エンジンを始動させるために十分な留保電力が利用可能であることを保証すること、(3)すべての接続された電池の使用履歴(充電および放電)を追跡すること、(4)すべての接続された電池の電荷の現在状態を決定すること、(5)すべての接続された電池のそれぞれの電荷レベルに関係なく、これらすべての接続された電池の現在の寿命状態を決定すること、(6)すべての接続された電池の充電および放電サイクルが電池寿命と利用可能な蓄積エネルギーとの間のユーザの好ましい妥協に一致することを保証すること、(7)電池充電システムの過負荷を防止すること、を含む種々の異なる目的を遂行できる。
【0036】
電池管理制御装置60は、複数の電源40、42と結合/分離装置61と充電装置62とに接続されることによってその機能を実行する。一例示的実施形態ではトラックは、4個の電池が第1の電源40として大容量の第1バッテリバンクを提供するために並列に接続され、残り3個の電池が第2の電源42として第2の幾分小容量のバッテリバンクを提供するために並列に接続された7個の電池を持つことができる。
【0037】
第1の電源40および/または第2の電源42は、分離装置61と温度および電圧センサー63およびエンジン始動機64とに接続される。第1、第2の電源(例えば第1、第2のバッテリバンク)は、第1、第2の電源が電気的に結合または分離されることを可能にするように結合/分離装置61に接続される。
【0038】
結合/分離装置61は、HVACシステム10の個別コンポーネントに電力を供給するために電気的に接続されることが可能であり、任意選択的に他の電力アクセサリ、例えば電子レンジ、テレビ、ステレオ、冷蔵庫などに接続され得る。結合/分離装置61は、HVACシステム10のコンポーネントとエンジン始動機64への電力の利用可能性を最大にするために多数の電源を電気的に分割し、また結合するように構成される。更に結合/分離装置61は、放電された電源をある程度充電されたパックに選択的に結合することによって交流発電機といった充電装置62の過負荷を防止するために多数の電池を電気的に分離し、また結合することができる。
【0039】
温度および電圧センサー63は、第1、第2の電源40、42の電圧と温度とを監視できる。これらのセンサーは、電源が過度に放電されるのを防止するように電源の電荷の状態を監視するために使用され得る。
【0040】
エンジン始動機は、車両のエンジンを始動させるために十分な電力を供給するように電源の一つに接続される。エンジン始動機64は、両電源にではなく、第1の電源または第2の電源に接続される。またエンジン始動機64は、結合/分離装置61に直接通じる任意選択的接続部65を持ち得る。
【0041】
充電装置62は、充電装置62からの電力出力が、接続された電源の如何なる個別電源または結合電源にも選択的に経路選択され得るように結合/分離装置61に接続され得る。充電装置は、下記の装置:エンジン交流発電機、アクセサリ発電機(accessory generator)、表示電力接続部(show power connection)、およびその他の充電装置のうちの一つ以上を備え得る。
【0042】
電池管理制御装置60は、制御論理回路66とメモリ67とを含むことができ、電圧・温度センサー63と、ユーザインタフェース51(表示装置310と一つ以上の入力装置312とを備え得る)と、結合/分離装置61と、電力管理制御装置50とに接続され得る。こうして電池管理制御装置60は、電圧・温度センサー63からの測定値とユーザインタフェース51からのユーザ選択とを受信できる。更に電池管理制御装置60は、電力管理制御装置50との間で、双方向的仕方で情報を送受信できる。電池管理制御装置60は、日々の電池性能と電源の最終的寿命との間のユーザが所望する折衷に従うように電源間で放電の程度を調整するために使用される。更に電池管理制御装置のメモリ67は、前の充電および放電サイクル時に得られた履歴データ、例えば電圧および温度レベルを記録(ログ)するために使用されることができ、また将来の充電サイクルの完全さを保証するように放電の許された深さを修正するためにこの履歴データを使用することができる。
【0043】
より伝統的なHVACシステムでは、負荷の下での電池電圧の測定は、充電状態を決定するために使用される。この方法は低コストで実現容易である一方、非常に不正確でもある。電圧は、このような測定値が温度に関連して取られるときだけ、また電池が、ある期間または時間(典型的には1時間以上)「休止状態に」(すなわち無負荷状態に)あった後にだけ充電状態を正確に決定するために使用され得る。これに対して図5(a)の電池管理制御装置60は、使用に利用可能な蓄積エネルギーの量をより正確に決定するために多数の履歴データ源とリアルタイムデータ源とを使用できる。更に電池管理制御装置60は、電池電源の一部分がまだ使用中であるときでも、充電状態の極めて正確な「休止電圧」測定が電力保留分から行われることを可能にする。下記は、エンジンが停止しているときの電源の放電時、エンジンの始動時、およびエンジンが動作しているときの電源の充電時に発生するプロセスの論議である。下記の論議では第1、第2の電源はバッテリバンクであるが、如何なるタイプの電源でも使用可能であることは認められるべきである。例えば第1、第2の電源のうちの一つは外部のAC接続であってもよい。
【0044】
電池管理制御回路が放電中に行うプロセスは、図6(a)に与えられている。第1および/または第2のバッテリバンクの放電は、ステップ402に示すようにエンジンが停止しているときに発生し、またステップ404に示されるようにHVACシステム10のコンポーネントに電力を供給するように電力管理制御装置50(「PMC」)から電池管理制御装置60(「BMC」)にコマンドが発行される。ステップ406で電力管理制御装置50からのコマンドを受信すると、電池管理制御装置60はその制御回路66を介して、電圧・温度センサー63による受信データからの結合されたバンクの現在の電圧と温度とを制御装置60のメモリに記憶された履歴データと比較することによって第1、第2のバッテリバンクの結合の電荷の状態を決定する。もし両電源による十分な電荷が存在すれば、プロセスはステップ408に進む。もし十分な電荷が存在しなければ、プロセスはステップ430に進む。
【0045】
ステップ408で十分な蓄積エネルギーが使用に利用可能であると判断すると、第1、第2のバッテリバンク40、42は、HVACシステム10のコンポーネントに電力を供給するために結合/分離装置61を介して電気的に結合される。HVACシステム10からのパワードロー(power draw)(電流)は監視されており、結合されたバッテリバンク40、42の低下速度は注目されている。このパワードローと低下速度は、バッテリプレートの硫酸化の近似的状態を決定するために履歴データと比較され、この比較から電池の近似的状態は推定される。所与の負荷の下で不十分な状態の電池の電圧は、良好な状態の電池より急速に低下する。その結果、不十分な状態の電池は任意の所与の時間における実際の電圧が同じであっても、より少ない全蓄積エネルギーを有することが予測され得る。一例として電源が電池であるとき電源の動作サイクル中の最大電池放電および/または平均電池放電に関するデータが収集され得る。このデータは、最大および/または平均電池放電の履歴が電池管理制御装置60のメモリ67に記憶されるような時間に亘ってコンパイル(編集)され得る。
【0046】
結合された電池の電圧が降下すると、電池管理制御装置論理回路66は、結合/分離装置61を使用して第1、第2のバッテリバンク40、44を分離すべき好ましい電圧ポイントを決定するために、温度と、負荷と、電圧変化の速度と、推定電池状態と、記憶された履歴データと、ユーザインタフェース51から入力されたユーザ選択とを使用する。ユーザインタフェースは、車両の乗員がHVACシステム10の運転のためのユーザ選択を入力できるように、表示装置310と一つ以上の入力装置、たとえばキーボード、制御パネルなどとを備え得る。例えばユーザ選択は、HVACシステムの運転モード、例えば停止、暖房および冷房運転モードを含み得る。
【0047】
ユーザインタフェース51を使用して入力されたユーザ選択はまた、バッテリバンク40、42が放電することを許容される程度に影響を及ぼす要因でもある。一例は、電池交換寿命である。電池交換寿命は、放電の速度ばかりでなく電源の放電の深さにも関係し、すなわち負荷によって調整される最低電池電圧の関数である。例えば、11.8Vまで一貫して放電された軽い負荷の電池は単に100サイクルの充電/再充電サイクルを通して持続し得るだけであるが、11.8Vまで一貫して放電された重い負荷の電池は200サイクルの充電/再充電サイクルを通して持続し得る。もしユーザ選択が長い電池寿命のために設定されていれば、電池はよりあまり深く放電されず、より長く持続する。しかしながら、より少ない蓄積エネルギーが使用に供されるので、もしより短い電池寿命(および、より深く放電された電池)が選択されれば、所与量の冷房または暖房を供給するためには、このケースよりも多数の電池が必要になる。
【0048】
更にユーザインタフェース51の表示装置310は、車両の乗員といったユーザにHVACシステム10の状態に関する情報を提供することができる。この表示は、英数字表示、図形などのうちの一つ以上を含み得る。例えば表示は、車両内部の周囲温度、外部の周囲温度、循環送風機速度、HVACシステム10に供給される電源(単数または複数)の使用量、および警告メッセージなどを含み得る。一例では、もし第1の電源と第2の電源が電池であれば、表示装置は、各電源に関する現在の近似的電池電荷を車両乗員に示すことができる。
【0049】
HVACシステム運転が続行しながら、結合されたバッテリバンク電圧は連続的に監視され得る。好ましい電圧ポイントは、もし結合された電圧が所定の量より低く降下すれば第1、第2の電源が分離する周囲の動作条件に基づいて動的に決定される所定の量の電圧にこの好ましい電圧点がなるように、温度と、負荷と、電圧変化の速度と、推定される電池状態と、記憶された履歴データと、ユーザ選択と、に基づいて決定される。もし電圧が好ましい電圧ポイントより低く降下しなければ、パワードローと低下速度の監視は続行される。もし結合されたバンク電圧が最終的に好ましい電圧ポイントにまで降下すれば、電池管理制御装置論理回路66は、ステップ410で結合/分離装置61に第1、第2のバッテリバンク40、42を電気的に分離するように指令する。いったん分離されるとHVAC電力は、第1のバッテリバンク40だけによって供給され、第2のバンク(すなわちエンジン始動機64に接続されたバッテリバンク)は隔離されて、第2のバッテリバンクの電圧はある程度、無負荷の休止状態に回復する。ちょうどよい時期に、隔離されたバンクの電荷の状態を正確に決定するために、この「休止」電圧を使用することが可能になる。それから更なる電力が隔離されたバンクから安全に引き出され得るかどうかについての決定が制御論理回路66によって行われる。
【0050】
HVACシステム10の連続した運転によって第1のバッテリバンク40の電圧は低下し続ける。電池管理制御装置論理回路は、利用可能な蓄積エネルギー量を決定するためにパワードローに関するリアルタイムデータと温度と電圧低下の速度とを、記憶された履歴データおよびユーザ入力選択と比較することによって、バッテリバンク40を再分析する。最低システム切断電圧、すなわち電池遮断電圧の決定が行われる。この決定から第1の電池に関する電池消耗までの推定時間の計算が行われ、この推定時間情報は電力管理制御装置50に伝達される。この推定時間情報は静的データ(例えば履歴およびユーザ入力)とリアルタイムデータ(例えば現在の電圧値(レベル)および温度)との両者に基づいているので、HVACシステム10の運転中の性能変化、システム負荷または周囲条件は、利用可能なシステム稼働時間の計算を増加または減少させ得る推定時間情報を変化させる可能性がある。
【0051】
HVACシステム10が稼働し続けながら、第1の電池の電圧レベルはステップ410で監視される。十分な電圧がある限り、電池管理制御装置は第1のバッテリバンクにHVACコンポーネントへの電力供給をさせ続け、また第1のバッテリバンクの電圧レベルを監視し続ける。しかしながらこの電力は最終的に、許容される最低レベル、すなわち電池遮断電圧であって、ステップ412で示されるような第1のバッテリバンク40を電気的に切断すべきであると制御論理回路によって計算されるレベルに電圧が降下するポイントにまで、第1のバッテリバンク40から使い果たされる可能性がある。もしHVACシステム10の連続運転が所望されれば、電池管理制御装置論理回路66は、ステップ414で、もしあれば更なる電力が第2のバッテリバンク42からどれほど多く安全に引き出され得るかを決定するために(単離された)第2のバッテリバンク42の休止電圧測定値を使用する。もし第2のバッテリバンクから電力が利用可能であれば(「イエス」経路)、制御論理回路66はステップ416で第2のより低い電圧レベルを設定し、結合/分離装置61に第2のバッテリバンク42から電力を経路選択し直すように指令する。HVACシステムが稼働し続けると、第2の電池の電圧レベルが監視される。もし電圧レベルが第2の電圧より高いままであれば、プロセスはステップ416に留まる。それから電力は、第2のバンク42の電圧が第2のより低い電圧より下に降下するといったときまで第2のバンク42によって供給され続ける。このとき電池管理制御装置論理回路は、ステップ420で結合/分離装置61にHVACシステム10へのすべての電力を遮断するように指令する。しかしながら、もし第2のバンク42から更なる電力が利用可能でなければ、電池管理制御装置論理回路はステップ420で、直ちに結合/分離装置61にHVACシステム10へのすべての電力を遮断するように指令する。
【0052】
これに対して、もしステップ406で両バッテリバンクに不十分な電荷が存在すれば、電池管理制御装置はステップ430でこれらのバッテリバンクのうちの一つに十分な電荷が存在するかどうかを決定する。もしどちらのバッテリバンクにも十分な電荷が存在しなければ(「ノー」経路)、電池管理制御装置論理回路はステップ420で結合/分離装置61にHVACシステム10へのすべての電力を遮断するように指令する。もしこれらのバッテリバンクのうちの一つに十分な電荷が存在すれば(「イエス」経路)、十分な電荷を有するこの特定のバッテリバンクはステップ432でHVACシステム10のコンポーネントに電力を供給する。電池管理制御装置論理回路は、利用可能な蓄積エネルギー量を決定するためにパワードローに関するリアルタイムデータと温度と電圧低下速度とを、記憶された履歴データおよびユーザ入力選択と比較することによって選択されたバッテリバンクを分析する。最低システム切断電圧、すなわち電池遮断電圧の決定が行われる。この決定から、選択された電池に関する電池消耗までの推定時間の計算が行われ、この推定時間情報は電力管理制御装置50に伝達される。推定時間情報は静止データ(例えば履歴およびユーザ入力)とリアルタイムデータ(例えば現在の電圧レベルおよび温度)の両者に基づいているので、HVACシステム10の運転中の性能変化、システム負荷または周囲条件は利用可能なシステム稼働時間の計算を増加または減少させ得る推定時間情報を変化させる可能性がある。
【0053】
HVACシステム10が稼働し続けながら、選択された電池の電圧レベルは監視される。もし十分な電圧があれば、電池管理制御装置は監視プロセスを続ける。しかしながらこの電力は最終的に、許容される最低レベル、すなわち電池遮断電圧であると制御論理回路によって計算されるレベルに電圧が降下する点にまで、選択されたバッテリバンクから使い果たされる可能性がある。いったん電圧レベルがこの最低値より下に降下すると、電池管理制御装置論理回路はステップ434で結合/分離装置61に選択されたバッテリバンクを電気的に切断するように指令し、こうしてステップ420でHVACシステム10へのすべての電力を遮断する。
【0054】
放電サイクルの終了時に電池管理制御装置60は、第1のバッテリバンク40が第2のバンク42より深く放電されるようにバッテリバンク40、42を調整している。エンジン始動機64が接続されているバンクである第2のバッテリバンク42には更なる電力が留保されており、これによってエンジンを始動させるために十分なエネルギーが利用可能であることを保証している。二つのバンクの電荷レベルは異なるので、電圧レベルもまた異なる。したがって電池管理制御装置論理回路66は、結合/分離装置61にこれら二つのバッテリバンクを電気的に分離して置くように指令し、各バンクの電圧を個別に監視することができる。
【0055】
エンジンの始動時に第2のバンク42には重い電気負荷が印加され、第2のバンク42の電圧を降下させる。降下量は、条件、電荷の状態、および第2のバンク42の温度に依存し、更にエンジン自体にも依存する。したがってある幾つかの悪条件下では追加の電力が利用可能にされなければエンジンが始動できないほど電圧降下が著しいという可能性が存在する。
【0056】
第2のバンク42とは別に第1のバンク40の電圧を監視することによって、またエンジン始動サイクルにおいて電気負荷が印加されるときに第2のバンク42の電圧の充電速度を監視することによって、電池管理制御装置論理装置66は、始動ブースト(昇圧)を提供するための更なる電力が第1のバッテリバンク40において利用可能であるかどうかを決定できる。もし電池管理制御装置論理回路66内の制御アルゴリズムがこのような電力が利用可能であると決定すれば、論理回路66は結合/分離装置61にエンジン始動サイクル時に第1のバッテリバンク40を第2のバッテリバンク42に電気的に結合するように指令する。この場合、エンジン始動機64は、任意選択的接続部65を経由して結合/分離装置61を介して第1、第2のバッテリバンク40、42の結合に接続され、これによってエンジンが始動することを可能にする。エンジンが始動した後に電池管理制御装置論理回路は、次に説明されるようにその充電モードアルゴリズムに切り替わる。
【0057】
図6(b)は、エンジンが始動した後に電池を充電するためのプロセスを示す流れ図である。ステップ450でエンジンが始動した後に、第1、第2のバッテリバンク40、42を再充電するために一つ以上の電源が使用され得る。ステップ452で充電装置62(例えば交流発電機)が起動されると、ステップ454で電池管理制御装置論理回路66は、再充電動作が充電装置62にかけられる負荷の量を推定するために最後の放電サイクルからの履歴データを検討する。この推定負荷が「高い」か、「低い」かどうかを決定するために、ユーザインタフェース51から前に入力されたユーザ入力が使用される。深く放電されたバッテリバンクおよび/または多量の記憶容量を有する大きなバッテリバンクは、より小さな、またはより軽度に放電された電池より「高い」負荷を生じさせる可能性が高い。したがって、もし推定負荷が「高い」と決定されれば、電池管理制御装置論理回路はステップ456で結合/分離装置に充電装置62からの電力を第2のバッテリバンク42(すなわちエンジン始動機64に接続されたバンク)だけに経路選択するように指令する。いったん第2のバンクが充電装置62への負荷を大幅に減らすために十分な電荷の状態に達すると、制御論理回路は、ステップ458で、結合/分離装置61に、すべての電池が再充電されるように第1、第2のバッテリバンク40、42を電気的に結合するように指令する。もし再充電サイクルの開始時に電池管理制御装置論理回路が負荷は「低い」であろうと決定すれば、第1、第2のバッテリバンク40、42両者からのすべての電池は結合/分離装置61を介して結合され、ステップ460で共に充電される。ステップ458またはステップ460のどちらかから両バッテリバンクの充電は、ステップ462で両者が完全に充電されるか、エンジンが停止されるまで続行される。
【0058】
本発明の一実施形態によれば、電池の早すぎるサルフェーション(白色硫酸鉛化現象)と破壊を防止するために電池がサイクル間で完全に再充電されることを保証するように、電池管理制御装置は、放電と再充電のサイクル時に時間と電池の電力レベルとを監視して記憶することもできる。この履歴データは、典型的な放電・再充電サイクルにおいて電池を完全に再充電するために十分な時間と電力とが利用可能であることを検証できる。もし完全に再充電するために十分な時間と電力とがなければ、制御論理回路66は最低電池遮断電圧を上げることによって応答することができ、それによってバッテリバンクから引き出され得る全電力量を減らすことができる。言い換えれば電気管理制御装置60は、第1および/または第2の電源が過度に放電(すなわち消耗)させられないように、また典型的なエンジン稼働時間中に電源が再充電されることを可能にしないレベルにまでこれらの電源が放電させられないように、第1および/または第2の電源を監視することによってこの制御装置が電池交換寿命を最大にすることを可能にする自己学習であるように構成されることが可能である。例えば、電源は電池がレベルXにまで安全に放電できる電池であり得ると考える。そうするとレベルXは、電源がHVACシステムに接続されるべきかどうかの決定時に所定の量の値であり得る。しかしながら、もしエンジンの動作サイクルが短すぎて、電池がある程度放電した後にエンジン動作時に電池が完全に再充電することができないならば、電池を完全に再充電できないことが、電池を深く放電させすぎること(または電荷をあまりに多く消耗すること)とちょうど同じくらい有害であるので、電池はなお時期尚早に破壊される。電池が完全に再充電されないことによる電池の時期尚早な破壊を防止するために、電池管理制御装置60は、電池が完全に再充電されたかどうかを決定するように電源内の電池電荷を監視できる。もし電池が完全には再充電されなければ、制御装置50は、電源が接続されてエンジンが停止される次の動作時に、電池はあまり深く放電されるべきではないこと、すなわち電池はレベルXより高いレベルYまで放電されるべきであることを「学習する」ように構成され得る。そしてレベルYは、この電源がHVACシステムに接続されるべきかどうかの決定時の所定の量の値になり得る。
【0059】
次に電力管理制御装置50が説明される。電力管理制御装置50は、HVACシステム10のコンポーネントを制御し、電池管理制御装置60と協同して働く。電力管理制御装置50の目的は、(1)ユーザインタフェースを介してユーザと通信すること、(2)安全機能を監視して適切な応答を起動すること、(3)周囲状況とユーザ選択とにしたがって凝縮器および蒸発器ファンの速度と圧縮機モータの速度とを最適化することによってHVACシステムの運転効率を最大にすること、(4)凝縮器温度を制御するために凝縮器ファンの速度を調整し、それによって、増加したファンモータ消費電力と増加した圧縮機モータ電力との間の最善の妥協を取得すること、(5)ユーザの温度設定ポイントと実際の周囲温度との間の温度差に比例して蒸発器ファンの速度を調整すること、(6)所望の蒸発器温度を維持するために圧縮機モータの速度を調整することである。
【0060】
電力管理制御装置50は、図5(b)に示すように、電池管理制御装置60とユーザインタフェース51(表示装置310と一つ以上の入力312とを含む)と複数のセンサーとHVACシステムの動作コンポーネントとに動作可能に接続されることによってその機能を実行する。複数のセンサーは、温度センサー304によって検出される車両内部の周囲温度と湿度センサー307を使用することによる車両の区画の湿度と一つ以上の雑音または振動センサー308からの雑音および/または振動とを含む種々のパラメータを検出する。
【0061】
HVACシステムの動作コンポーネントに関して電力管理制御装置50は、圧縮機14を駆動するモータ12と、温度制御された空気を一つ以上の指定された区画(例えば車両区画23および/または睡眠区画27)に吹き付ける循環送風機と、暖房システムのためのヒータ(例えば図1の空気ヒータ272、274または図2のヒータ180)と、温度調整のための制御ドア(適用可能であれば)とを動作させることができる。更に電力管理制御装置50はまた、冷却剤の流れを制御するための如何なる制御弁も(例えば図1の弁28、29または図2の弁178、184)切り替えることができる。一実施形態では圧縮機14のモータ12は、閉ループ比例・積分・微分(PID)制御を使用して電力管理制御装置50によって制御され得る。同様に電力管理制御装置50はまた、圧縮機の制御とは独立しているパルス幅変調(PWM)PID制御ループを介して循環送風機210、212のファン速度を制御できる。
【0062】
一実施形態では電力管理制御装置50は、モータ12の速度を調整でき、それによってモータ12によって駆動される圧縮機14の容量を調整できる。圧縮機の調整は、高圧縮機容量から低圧縮機容量まで変動し得る。圧縮機容量は、電力管理論理回路66によって指令されたように蒸発器温度TEに蒸発器22または26を維持するために必要とされる圧縮機容量に依存して変化し得る。
【0063】
本発明の一例示的実施形態では電力管理制御装置50(「PMC」)は、図7を参照しながら下記に説明されるように働くことができる。電力管理制御装置50は、ステップ702で動作を開始するためにユーザインタフェース51から信号を受信する。ステップ704でHVACシステム10に電力を供給するために、電力供給管理制御装置50から電池管理制御装置60(「BMC」)にコマンドが送られる。ユーザインタフェース51はユーザ選択設定に関して、例えば運転モード、温度制御の場所、および所望の設定ポイント温度Tspに関してポーリング(polling)される。またステップ706で温度センサー304から周囲温度Taが読取られる。
【0064】
もしユーザ選択が「冷房」モードであれば、プロセスはステップ708に送られ、そこで循環送風機210、212のすべてのファンと圧縮機14のモータ12とを最低速度で起動するようにコマンドが発行される。それからステップ710で圧縮機速度は、もし車両区画が冷房されているならば蒸発器22を所定の蒸発器温度TEに導いて保持するように、あるいはもし睡眠区画が冷房されているならば蒸発器26を所定の蒸発器温度TEに導いて保持するように、指令される。ステップ712で凝縮器16のファンは、凝縮器16を所定の凝縮器温度TCに導いて保持するように指令される。
【0065】
もしユーザ選択が「暖房」モードであれば、ステップ714で蒸発器22または26の循環送風機のファンを起動するように電力管理制御装置50からのコマンドが発行される。電気加熱要素270または274は、ステップ716で蒸発器22または26の循環送風機のファン速度に比例する電力レベル(PWM制御を介して)に指令される。
【0066】
現在、暖房または冷房いずれかのモードで稼動しているHVACシステムによって電池管理制御装置60は、ステップ718で使用に利用可能な現在のパワードローと蓄積エネルギーとに基づいて稼働時間の推定値に関してポーリングされる。ステップ720で推定稼働時間は、ユーザインタフェース51を使用してユーザによってユーザ設定値にプログラムされた所望の稼働時間と比較される。電力管理制御装置は、暖房または冷房期間の持続時間(「稼働時間プラン」とも呼ばれる)のために十分な電力が利用可能であることを保証するためにHVACシステム10の出力のプランニングに推定稼働時間と所望稼働時間との差を一要因として含める。稼働時間プランに基づいて電力管理制御装置50は、そのサイクルを通して定期的にHVACシステムの平均容量を増加または減少させることができる。特にもし暖房量(ステップ726、736)または冷房量(ステップ726、728、730)が電源からあまりに多くの電力が引き出されることを必要とすれば、なお電池管理制御装置が全稼働期間を通して電力を供給することを可能にするHVACシステム10の可能な最大容量が使用される。可能な最大容量は、主だった条件に関して最高の効率を与える設定値の組合せによって得ることができる。
【0067】
HVACシステムがその限定された電力供給によって効率的に稼動することを保証するために、ステップ722で種々の測定値が取られる。これらの測定値は、車両内部の実際の周囲温度Taと蒸発器温度TEと凝縮器温度TCとを含む。ステップ722で蒸発器の温度センサーは蒸発器温度TEを測定し、凝縮器の温度センサーは凝縮器温度TCを測定し、車両および/または睡眠区画内のセンサーは周囲温度Taを測定し、ユーザはユーザインタフェース51を介して所望の周囲温度または設定ポイント温度Tspを入力する。
【0068】
冷房または暖房いずれのモードでもHVACコンポーネントの効率的な動作のために周囲温度Taと設定ポイント温度Tspとの差Δが決定されるステップ724で計算が行われる。そして蒸発器22または26における循環送風機は、ステップ726で差Δに比例する速度に指令される。所定のΔに基づく蒸発器における送風機の適切なファン速度の決定は、表定式化(tabular formulations)またはコンピュータモデルといった当分野で公知の多数の方法のうちの任意の一つに基づくことができる。
【0069】
車両および/または睡眠区画に吹き込まれた空気は区画内の周囲温度に影響を与え、したがってHVACシステムの連続運転によって周囲温度Taと設定ポイント温度Tspとの差(Δ)は減少し始める。周囲温度Taが設定ポイント温度Tspに近づくにつれて、ステップ726に見られるように電力管理制御装置50は、Δに基づいて比例的に蒸発器22または26における循環送風機のファン速度を減少させる。もしシステムが冷房モードにあれば、蒸発器22または26の上の減少した空気流は蒸発器温度TEを降下させる。これに応じて電力管理制御装置50は、ステップ728で所望の蒸発器温度TEを維持するために圧縮機14を駆動するモータ12の速度を調整する。同様に蒸発器22または26の変化する容量もまた、凝縮器の温度TCを変化させる。再び電力管理制御装置50は、ステップ730で所望の凝縮温度TCを維持するために凝縮器16のファン速度を調整する。しかしながら循環送風機、圧縮機および凝縮器に関する設定値(ステップ726、728、730でそれぞれ設定された)は、稼働時間プランに基づくHVACシステムの可能な最大容量に支配される。したがってもし最も効率的な運転で稼動していながらこれらのコンポーネントによってあまりに多くの電力が引き出されるならば、これらのコンポーネントの設定値は、システムが、Δによって決定される最も効率的な動作にできるだけ近い状態で動作しながら所望の稼働時間の間、稼動することを可能にするように調整される。
【0070】
プロセスはステップ732に続き、ここで電力管理制御装置は、供給される十分な電力があるかどうかに関して電池管理制御装置60からデータを受信する。もし十分な電力が存在すれば(「イエス」経路)、プロセスはステップ718に戻り、このプロセスは繰り返される。もし不十分な電力が存在すれば(「ノー」経路)、HVACシステムの運転はステップ734で終了する。
【0071】
もしHVACシステムが冷房モードよりむしろ暖房モードで運転していれば、電力管理制御装置50は、蒸発器22または26における循環送風機の変化するファン速度に整合するように抵抗加熱要素270または274のPWMサイクルを変更する。この仕方で、放出される空気の温度は一定に保たれる。こうしてステップ728、730の代わりに図7でステップ736が実行される。同様に冷房運転では、循環送風機とヒータに関する設定値(ステップ726、736でそれぞれ設定された)は、稼働時間プランに基づくHVACシステムの可能な最大容量に支配される。したがってもし最も効率的な動作で稼動していながらこれらのコンポーネントによってあまりに多くの電力が引き出されるならば、これらのコンポーネントの設定値は、システムが、Δによって決定される最も効率的な動作にできるだけ近い状態で動作しながら所望の稼働時間の間、稼動することを可能にするように調整され得る。例えば循環送風機の設定値は、Δに基づく最も効率的な動作のための設定値にできるだけ近い状態で動作しながら全所望稼働時間中の運転を可能にするレベルにまで下げることができる。
【0072】
モータ駆動式圧縮機14と循環送風機210、212とを制御するために、他のシステムパラメータが使用され得る。例えば電力管理制御装置50はまた、湿度センサー307を使用することによって車両の区画の湿度を監視できる。もし区画の湿度が所定の閾値(車両乗員によって設定可能である)より高ければ、電力管理制御装置50は、圧縮機14をスピードアップ(高速化)するように(しかし最高でも高圧縮機容量を超えない)、また循環送風機210および210をスローダウン(低速化)するように制御できる。
【0073】
更に、HVACシステム10の雑音または振動のレベルを決定するために一つ以上の雑音または振動センサー308が使用可能である。いったん信号が電力管理制御装置50に送られると制御装置50は、圧縮機および/または送風機をスピードアップするかスローダウンする必要、したがって圧縮機および/または送風機を制御する必要があるかどうかを決定する。
【0074】
圧縮機および送風機容量を制御するための一つ以上のシステムパラメータ、例えば蒸発器温度、湿度、外部周囲温度、車両の内部温度などの使用は、一つ以上のシステムパラメータを監視することと、例えば当分野で公知の多変量モデルを使用してコンパイルされた電力管理制御装置50内のプログラムを使用することとによって遂行され得る。
【0075】
電力管理制御装置50がHVACシステム内の障害を検出することを可能にし得る他のシステムパラメータも電力管理制御装置50に提供され得る。例えば性能および安全機能が監視されて、圧縮機14のモータ12の過熱の場合にシステムをシャットダウンするといった電力管理制御装置50による適切な応答が起動され得る。
【0076】
図8は、本発明によるHVACシステムのもう一つの実施形態を示す。図8の実施形態は図1の実施形態に似ている。しかしながら図8は、外部サブシステム602が存在する分割システム600と内部サブシステム604とにHVACシステムがどのようにして分割され得るかを示す。外部サブシステム602は、車両の運転室の外部に配置されるコンポーネントを備え得る。内部サブシステム604は、車両の運転室の内部に配置されるコンポーネントを備え得る。例えば図8は、トラックといった大型車両の運転室の外側に配置されるモータ12、圧縮機14、凝縮器16および第1の電源を備える外部サブシステムを示す。更に第2の電源と電力発生システム44も大型車両では普通であるように車両の運転室の外部に配置され得る。
【0077】
内部サブシステム604は、すべて車両の運転室の内側に配置される循環送風機610、蒸発器622、電力管理制御装置50、電池管理制御装置60、表示装置310および入力装置312を備え得る。温度制御された空気は、車両の運転室の内部の異なる区画または領域に通じ得る二つ以上のダクトに分割され得るダクト672に任意選択的に流し込まされ得る。一実施形態ではダクト672は、車両運転室内に既に設置されている車両自身の配管であり得る。更に内部サブシステム604は、車両の既存の蒸発器622と循環送風機610とを備え得る。このような状況において外部サブシステム602は、車両自身の蒸発器といった複数の異なる蒸発器に接続され得るように構成され得る。更に外部サブシステム602は、一度に複数の蒸発器に、例えば運転区画を冷房する/暖めるための一つの蒸発器と睡眠区画を冷房する/暖めるための一つの蒸発器とに接続するように構成され得る。
【0078】
図9では冷却剤計量装置は、外部サブシステム602の一部として車両の運転室の外部に配置されており、これは計量装置が障害となった場合に計量装置の点検修理が容易となるようにできる。代替として冷却剤計量装置20は、内部サブシステム604の一部と運転室の内部に配置されることもできる。
【0079】
分割システム600は、幾つかの利点を有する。第1に、コンポーネントの実質的な一部分が車両の運転室の外部に配置されるので、より小さな空間がこのシステムによって占められる。更に追加の配管が必要とされないように、車両の既存の配管が使用可能である。したがってこのシステムは、より容易な設置プロセスと、改善された効率とより静かな運転とを有することができる。
【0080】
開示された電池管理制御装置とHVACシステムは、車両のエンジンが稼動していない延長された期間中、車両乗員に温度制御を提供できる。更にこのシステムは、エンジンが停止している期間中にHVACシステムが稼動したときでも車両を発進させるために十分な電池電力を保証する。この電池管理およびHVACシステムは、18輪車といった大型トラックに、またそれに加えて他の如何なるタイプの車両にも使用可能である。
【0081】
運転中、電力管理制御装置30は、HVACシステム10の運転モードを決定するためにユーザ入力を処理する。暖房または冷房いずれかの運転モードが選択されたとき、およびエンジンが起動されたとき、必要なコンポーネントに電力供給するために車両電力発生システムが使用される。例えば暖房運転モード時にはヒータと循環送風機が起動されるが、冷房運転モード時には圧縮機と循環送風機とポンプとが起動される。
【0082】
エンジンが停止しているときに暖房モードが動作していると、電力管理制御装置50は、ヒータ(例えば図2の冷却剤ヒータ180または図1の空気ヒータ270、274)と循環送風機210、212に始動するように指令する。電力管理制御装置50はまた、運転および/または睡眠区画の温度を内部設定ポイント温度に維持するためにパルス幅変調(PWM)PID制御ループを介して循環送風機210、212の速度を制御する。種々の開示された実施形態によって運転室内部の暖房はディーゼル燃料に依存せずに実行可能であって、純粋に電池電力によって運転可能である。したがって暖房は、動作している車両のエンジンに依存せずに実行可能である。
【0083】
エンジンが停止しているときに冷房運転モードが使用されると、循環送風機210、212、圧縮機14および/またはポンプ176が起動される。電力管理制御装置50は、運転および/または睡眠区画の温度をPID制御を介して内部設定ポイント温度に維持するために圧縮機14の容量と循環送風機210、212とを調整する。
【0084】
エンジンが停止しているときの暖房または冷房いずれかのモードにおいて、もし第1、第2の電源の結合の電圧が所定の量より低く降下すれば、第1および/または第2の電源は切り離され、HVACシステムは残りの電源だけによって電力供給される。いったん残りの電源の電圧がもう一つの所定のレベルより低く降下すると、電池管理制御装置60は、この残りの電源を切り離し、それによってHVACシステム10をシャットダウンするように構成され得る。
【0085】
車両の発進時に、第1、第2の電源を、これらの電源が完全に充電されるように充電するために(これらが電池であれば)、交流発電機または他の充電装置が使用され得る。本発明の一実施形態では電池管理制御装置60はまた、第2の電源(例えば始動機のバッテリまたはバッテリのバンク)が弱すぎて車両を発進できない状況で、例えば始動機バッテリが外部の極めて低い周囲温度のために弱くなっている場合に、車両の発進時に第1の電源(例えば補助電池または補助電池のバンク)を接続するためにも使用可能である。
【0086】
更にHVACシステムは、より小さな内部空間しかHVACシステムが占めないように、車両の運転室の外部にコンポーネントのかなりの部分を有する分割システムであることが可能である。またより容易な設置プロセスと改善された効率とより静かな運転とのために、車両の既存の蒸発器および/または配管がHVACシステムによって使用可能である。
【0087】
本発明の開示が与えられれば当業者は、本発明の範囲と精神の内で他の実施形態と修正版とが存在し得ることを認めるであろう。したがって本発明の範囲と精神の内で本開示から本技術に精通した人によって達成可能なすべての修正版は、本発明の更なる実施形態として含まれるべきである。本発明の範囲は、前述の請求項に述べられたように定義されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0088】
本発明の特徴、態様および利点は前述の説明、添付の項および下記に簡単に述べられた図面に示された添付の例示的実施形態から明らかになるであろう。
【図1】本発明の一実施形態による車両に設置されるHVACシステムの模式図である。
【図2】本発明のもう一つの実施形態によるHVACシステムの模式図である。
【図3】本発明の一実施形態による図2のHVACシステムの代替構成の模式図である。
【図4】本発明のもう一つの実施形態によるHVACシステムの模式図である。
【図5】本発明の一実施形態による電池管理制御装置および電力管理制御装置それぞれの模式図である。
【図6】本発明の一実施形態による電源の放電時および再充電時それぞれにおける電池管理制御装置の動作を示す流れ図である。
【図7】本発明の一実施形態による電力制御装置の動作を示す流れ図である。
【図8】本発明の一実施形態による車両に設置されるHVACシステムの模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電圧を有する第1の電源を電気的に接続するための少なくとも一つの接続部と、
第2の電圧を有する第2の電源を電気的に接続するための少なくとも一つの接続部と、を備える電池管理制御装置を備える、車両に設置されるHVAC(暖房、換気および空調)システムであって、
前記電池管理制御装置は、温度制御システムを動作させるように、また結合された電圧をもって前記第1、第2の電源の組合せから前記温度制御システムに電力を供給するように構成されており、前記第2の電源は前記結合電圧が所定の量より低く降下したときに接続が断たれるHVACシステム。
【請求項2】
前記第2の電源は前記車両のエンジン始動機に接続された少なくとも一つの電池(バッテリ)である請求項1に記載のHVACシステム。
【請求項3】
前記第1の電源は、少なくとも一つの補助電池である請求項2に記載のHVACシステム。
【請求項4】
前記電池管理制御装置は、前記少なくとも一つの補助電池と前記エンジン始動機に接続された前記少なくとも一つの電池とのうちのいずれか一つに関する履歴データを収集するように構成される請求項3に記載のHVACシステム。
【請求項5】
前記履歴データは、最大または平均電池放電である請求項4に記載のHVACシステム。
【請求項6】
前記少なくとも一つの補助電池または前記エンジン始動機に接続された前記少なくとも一つの電池の現在の近似的電池電荷を示すための表示装置を更に備える請求項3に記載のHVACシステム。
【請求項7】
前記車両が発進困難であるほどに、前記エンジン始動機に接続された前記少なくとも一つの電池が弱くなった場合に、前記車両の発進時に前記エンジン始動機に接続された前記少なくとも一つの電池を支援するために前記少なくとも一つの補助電池を前記エンジン始動機に接続するように構成された結合/分離装置を更に備える請求項3に記載のHVACシステム。
【請求項8】
第1の電源と、圧縮機と、前記圧縮機に動作可能に接続されたモータと、前記圧縮機に流体的に連通する凝縮器と、を更に備える請求項1に記載のHVACシステム。
【請求項9】
前記第1の電源と前記圧縮機と前記モータと前記凝縮器は、外部サブシステムとして前記車両の運転室の外側に在るように構成される請求項8に記載のHVACシステム。
【請求項10】
前記外部サブシステムは、一度に複数の蒸発器に接続するように構成される請求項9に記載のHVACシステム。
【請求項11】
前記外部サブシステムは、前記車両の既存の蒸発器に接続するように構成される請求項10に記載のHVACシステム。
【請求項12】
前記圧縮機は、電力管理制御装置によって制御される無段変速圧縮機である請求項8に記載のHVACシステム。
【請求項13】
前記凝縮器に流体的に連通する蒸発器と前記蒸発器を通して空気を流すように構成された循環送風機とを更に備える請求項8に記載のHVACシステム。
【請求項14】
前記循環送風機は、電力管理制御装置によって制御される無段変速制御器である請求項13に記載のHVACシステム。
【請求項15】
電気抵抗ヒータを更に備える請求項1に記載のHVACシステム。
【請求項16】
逆サイクル暖房システムを更に備える請求項1に記載のHVACシステム。
【請求項17】
前記電池管理制御装置は、充電装置を使用することによって前記第1、第2の電源を再充電するように構成される請求項1に記載のHVACシステム。
【請求項18】
前記電池管理制御装置は、前記第1の電源の電圧が所定のレベルより高いときには前記第1、第2の電源を前記充電装置に接続するように、また前記第1の電源の電圧が所定のレベルより低いときには前記第2の電源だけを前記充電装置に接続するように構成される請求項17に記載のHVACシステム。
【請求項19】
前記所定の量は、周囲の動作条件に基づいて動的に決定される量である請求項1に記載のHVACシステム。
【請求項20】
逆サイクル暖房システムと、
車両のエンジンが停止しているときに前記逆サイクル暖房システムの動作を制御するように構成された電池管理システムと、を備える車両に設置されるHVACシステム。
【請求項21】
前記逆サイクル暖房システムは、もっぱら電池電力によって運転される請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
第1の電源と、
圧縮機と、
前記圧縮機に動作可能に接続されたモータと、
凝縮器と、
車両のエンジンが停止しているときに前記モータを動作させるように構成された電力管理制御装置と、を備える車両に設置されるHVACシステムであって、
前記第1の電源と前記圧縮機と前記モータと前記凝縮器は外部サブシステムとして前記車両の運転室の外側に在るように構成されるHVACシステム。
【請求項23】
前記外部サブシステムは、一度に複数の蒸発器に接続するように構成される請求項22に記載のHVACシステム。
【請求項24】
前記外部サブシステムは、前記車両の既存の蒸発器に接続するように構成される請求項22に記載のHVACシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−120381(P2008−120381A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−295460(P2007−295460)
【出願日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【出願人】(507376392)グレイシア ベイ,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】