説明

I.A.脱髄炎症疾患の処置のためのCCR1アンタゴニスト

本発明は特定の式を有する化合物に関する。本発明はまた、1つ以上の上記化合物を、それを必要とする被験体に投与することを含む疾患または障害の処置方法に関する。開示される化合物は、CCR1アンタゴニスト活性を有する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願
本願は、2002年11月13日に出願された米国仮出願番号60/425,947号の利益を主張する。上記出願のすべての教示を参考により本明細書中に援用する。
【0002】
発明の背景
化学誘引物質のサイトカインまたはケモカインは、Tリンパ球等の多系統の白血球の動員および活性化を促進する前炎症メディエータのファミリーである。ケモカインは、活性化後、多種の組織細胞によって放出され得る。炎症部位でのケモカインの放出は、慢性炎症の間にエフェクター細胞の進行性遊走を媒介する。現在までに特徴付けられたケモカインは一次構造に関連性があり、ジスルフィド結合を形成する4つの保存されたシステインを含む。ケモカインファミリーは、最初の2つの保存されたシステインが、各々、介在残基によって分離されているか、または隣接しているC-X-Cケモカイン(α-ケモカイン)およびC-Cケモカイン(β-ケモカイン)を含む(Baggiolini,M.およびDahinden,C. A., Immunology Today,15:127-133(1994))。
【0003】
ケモカインレセプターは、シグナル伝達の共通の作用機序を反映する構造的特徴を共有するGタンパク質共役型レセプター(GPCR)のスーパーファミリーのメンバーである(Gerard,C.およびGerard,N. P.,Annu Rev. Immunol.,12:775-808(1994);Gerard,C.およびGerard,N. P.,Curr. Opin. Immunol.,6:140-145(1994))。保存された特徴は原形質膜にひろがる7つの疎水性ドメインを含み、それは親水性の細胞外および細胞内ループによって連結されている。大部分の一次配列ホモロジーは、疎水性膜貫通領域において生じ、親水性領域はより多様である。クローン化し、発現されたC−Cケモカインに対する最初のレセプターは、ケモカインであるMIP-1αおよびRANTESと結合する。したがって、このMIP-1α/RANTESレセプターは、C-Cケモカインレセプター1と命名された(また、CCR-1またはCKR-1ともいう;Neote,K.ら、Cell, 72:415-425(1993); Horuk,R.ら,1994年5月26日のWO 94/11504;Gao,J.‐I.ら,J. Exp. Med.,177:1421-1427(1993))。CCR1はまた、ケモカインCCL2(MCP-1)CCL4(MIP-1β)、CCL7(MCP-3)、CCL8(MCP-2)、CCL13(MCP-4)、CCL14(HCC-1)、CCL15(Lkn-1)、CCL23(MPIF-1)に結合する。(Murphy P.M.ら、International Union of Pharmacology. XXII. Nomenclature for Chemokine Receptors, Pharmacol.Rewiews, 52:145-176(2000).)単球の方向付けられた遊走および循環T細胞のメモリー集団を誘導するRANTESおよびMIP-1α等のケモカインの能力は、これらの疾患がT細胞および単球の破壊的浸潤物によって特徴付けられるので、ケモカインおよびケモカインレセプターが慢性炎症性疾患において重要な役割を演じうることを示唆する(例えば、Schall,T.ら、Nature, 347:669-71(1990)参照)。
【0004】
RANTESおよびMIP-1αを含む、C-Cケモカインレセプター(例えば、CCR1)およびそのリガンド間の相互作用の低分子アゴニストは、レセプターリガンド相互作用により「トリガー」される病原性プロセスを阻害するのに有用である化合物を提供する。
【0005】
発明の要旨
本発明は、以下の式:
【化1】

式中、R1はハロゲンである、
またはその生理学的に許容されうる塩に関する。
【0006】
本発明はさらに病原性白血球動員、病原性白血球活性化または病原性白血球動員および活性化により特徴付けられる疾患の処置方法に関する。本方法は、本明細書中に記載される化合物の有効量を、それを必要とする被験体に投与することを含む。
【0007】
本発明はさらに、本明細書中に記載される化合物および薬学的または生理学的に許容されうる担体または賦形剤を含有する医薬組成物に関する。
【0008】
本発明はさらに、治療(待期治療、治療的処置および予防的治療を含む)または診断における本明細書中に記載される化合物の使用、ならびに本明細書中に記載される特定の疾患または状態(例えば、炎症性関節炎(例えば、リウマチ様関節炎)、炎症性脱髄性疾患(例えば、多発性硬化症))の処置のための医薬の製造のためのかかる化合物の使用に関する。
【0009】
発明の詳細な説明
本発明は、C-Cケモカインレセプター1(CCR1)のアンタゴニスト、該化合物を含有する組成物および該化合物の1つ以上を投与することを含む疾患または障害の処置方法に関する。アンタゴニスト化合物は、CCR1に対するリガンドの結合を阻害しうる(例えば、CCL2(MCP-1)CCL3(MIP-1α)、CCL4(MIP-1β)、CCL5(RANTES)、CCL7(MCP-3)、CCL8(MCP-2)、CCL13(MCP-4)、CCL14(HCC-1)、CCL15(Lkn-1)、CCL23(MPIF-1))ケモカインリガンド)。従って、CCR1へのケモカインの結合により媒介されるプロセスまたは細胞応答(白血球遊走、インテグリン活性化、細胞内遊離カルシウム[Ca++]i濃度の一過的増大、および/または炎症後メディエータの顆粒放出)は阻害(全てまたは一部が減少するか、または抑制される)される。
【0010】
化合物は、式:
【化2】

式中、R1はハロゲンである、
またはその薬学的に許容されうる塩を有する。好ましくは、ハロゲンは、塩素、臭素およびフッ素からなる群より選ばれる。より好ましくは、ハロゲンは塩素である。
【0011】
本明細書中に記載されるように、式(I)および式(Ia)の化合物は、ラセミ化合物または実質的に純粋なエナンチオマー(>99%エナンチオマー過剰率)として調製されうる。式(I)および式(II)の化合物の立体異性体の光学的立体配置は、Cahn-Ingold-Prelogの(R),(S)法を用いて割り当てる(J. March,"Advanced Organic Chemistry",第4版,Wiley Interscience,New York,pp.109-111(1992)参照)。
【0012】
好ましい態様では、式(I)の化合物は(S)-エナンチオマー、および構造式:
【化3】

式中、R1はハロゲンである、
を有するか、または薬学的に許容されうる塩を有する。
【0013】
特に好ましい態様では、化合物は、R1が塩素である式IIの化合物である。
【0014】
他の好ましい態様では、式(Ia)の化合物は(S)-エナンチオマーであり、構造式:
【化4】

式中、R1はハロゲンである、
を有するか、またはその薬学的に許容されうる塩である。
【0015】
特に好ましい態様では、化合物は式IIaの化合物であり、式中、R1は塩素である。
【0016】
本発明の(S)-および(R)-エナンチオマーは、任意の適切な方法を用いて調製されうる。例えば、エナンチオマーは、キラルクロマトグラフィーまたは再結晶化をもちいてラセミ体から分離されうる。好ましくは、(S)-および/または(R)-エナンチオマーは、立体特異的合成により調製される。
【0017】
化合物の構造式、本明細書中に記載される化合物中の末端メチル基は、化合物の構造式を示す従来の方法に従って、末端に「CH3」有りまたは無しの直鎖:
【化5】

として示されうる。
【0018】
本明細書中に開示される化合物は、EおよびZ立体配置異性体として得られうる。これは、本発明が、三環部分と分子の残余とを連結する二重結合の周りのE立体配座およびZ立体配座の化合物、ならびにE立体配座、Z立体配座異性体の化合物、およびその混合物で被験体を処置する方法を含むことが明示される。従って、本明細書中に示される構造式において、シンボル:
【化6】

は、E立体配座およびZ立体配座の両方を表す。一方の立体配座は他方よりも大きい活性を有する。好ましくは、ピリジル環およびピペリジニル環は、式(II)および式(IIa)に示されるシス立体配座である。
【0019】
本発明は、開示される化合物の全ての異性体形態およびラセミ混合物、両方の純粋な異性体およびその混合物(ラセミ混合物を含む)で被験体を処置する方法を含む。
【0020】
本明細書中に記載される化合物は、中性の化合物、塩、エステル、アミドおよび/またはプロドラッグとして調製され、投与されうる。本明細書中で使用される「薬学的または生理学的に許容されうる塩、エステル、アミド、およびプロドラッグ」は、過度の毒性、刺激、アレルギー応答等を伴わずに被験体の組織と接触させて使用するのに適切であり、合理的な利益/リスク比で釣り合い、意図される使用に有効である本発明の化合物の塩(例えば、カルボン酸塩、アミノ酸付加塩)、エステル、アミド、およびプロドラッグ、ならびに本発明の化合物の可能な両性イオン形態である。
【0021】
本明細書中に記載される化合物の薬学的または生理学的に許容されうる酸付加塩としては、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、フッ化水素酸、亜リン酸等の非毒性無機酸に由来する塩、脂肪族モノまたはジカルボン酸、フェニル置換アルカノン酸、ヒドロキシアルカノン酸、アルカンジオール酸(alkanedioic acid)、芳香族酸、脂肪族および芳香族スルホン酸等の非毒性有機酸に由来する塩が挙げられる。かかる酸付加塩としては、例えば、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、一水素リン酸塩、二水素リン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、三フッ化酢酸塩、プロピオン酸塩、カプリル酸塩、イソ酪酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、安息香酸塩、クロロベンゼン酸塩、メチルベンゼン酸塩、ジニトロベンゼン酸塩、フタル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩およびメタンスルホン酸塩が挙げられる。アルギン酸塩、グルコン酸塩、ガラクツロン酸塩等のアミノ酸の塩もまた意図される。(例えば、Berge S.M.ら、"Pharmaceutical Salts," J.Pharma.Sci.,66:1 (1977).)
【0022】
塩基性基(例えば、アミン)を含む化合物の酸付加塩は適切な方法を用いて調製されうる。例えば、酸付加塩は、化合物の遊離塩基形態と従来の方法で塩を生成するための所望の酸の十分な量とを接触させることにより調製されうる。遊離塩基形態は、塩と塩基とを接触させ、従来の方法で遊離塩基を単離することにより生成されうる。遊離塩基形態の化合物は、極性溶媒中での溶解度等の所定の物理特性で塩形態とは幾分か異なりうる。
【0023】
薬学的または生理学的に許容されうる塩は、アルカリおよびアルカリ土類金属等の適切な金属もしくはアミンまたは有機アミンを用いて形成されうる。塩基付加塩のカチオンとして使用するのに適切である金属の例としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等が挙げられる。塩基付加塩のカチオンとして使用するのに適切なアミンは、N,N'-ジベンジルエチルレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミン、およびプロカインが挙げられる(例えば、Berge S.M.ら、"Pharmaceutical Salts," J.Pharma.Sci., 66:1 (1977).)。
【0024】
酸性基を含む塩基酸塩(例えば、カルボン酸)は適切な方法を用いて調製されうる。例えば、遊離酸形態の化合物を、従来の方法で塩を生成するための十分な量の所望の塩基と接触させうる。遊離酸形態は、塩形態と適切な酸とを接触させ、従来の方法で遊離酸を単離することにより生成されうる。化合物の遊離酸形態は、極性溶媒中での溶解度等の所定の物理特性において塩基付加塩とは幾分か異なりうる。
【0025】
用語「プロドラッグ」は、代謝プロセスまたは他のプロセスによりインビボ(例えば、動物への投与後)で形質転換されて、例えば、血液中での加水分解により上記formulaeの化合物を生じる化合物をいう。詳細な考察は、T.HiguchiおよびV.Stella, "Pro-drugs as Novel Delivery Systems," Vol.14, A.C.S. Symposium Series;およびBioerversible Carriers in Drug Design, 編Edward B.Roche, American Pharmaceutical AssociationおよびPergamon Press, 1987に提供されており、これらの両方が参考として本明細書中に援用される。適切なプロドラッグとしては、本明細書中に記載される化合物の薬学的または生理学的に許容されうるエステルおよびアミドが挙げられる。薬学的または生理学的に許容されうる本発明の化合物のエステルは、C1〜C6アルキルエステルを含む。所定の態様では、アルキルエステルのアルキル基は、直鎖または分枝鎖のC1〜C6アルキル基である。許容されうるアルキルエステルはまた、C5〜C7シクロアルキルエステル並びベンジル(これに限定されない)等のアリールアルキルエステルが挙げられる。C1〜C4エステルが好ましい。本発明の化合物のエステルは、任意の適切な方法を用いて調製されうる。
【0026】
本発明の化合物の薬学的または生理学的に許容されうるアミドの例としては、アンモニア、第1C1〜C6アルキルアミンおよび第2C1〜C6ジアルキルアミンに由来するアミンが挙げられ、ここであるきる基は直鎖または分枝鎖である。第2アミンの場合、アミンはまた、1つの窒素原子を含む5員または6員の複素環の形態である。アンモニアに由来するアミド、C1〜C3アルキル第一アミン、およびC1〜C2ジアルキル第2アミンが好ましい。本発明の化合物のアミドは任意の適切な方法を用いて調製されうる。
【0027】
組成物
本発明はまた、本明細書中に記載される1つ以上の化合物を含む医薬組成物および/または生理学的組成物に関する。かかる組成物は、経口、局所、吸入(例えば、気管支内、鼻内、経口吸入または鼻内滴下)、直腸内、経皮、または非経口等の任意の適切な経路により投与されうる。一般に、組成物は、活性成分として本発明の化合物(すなわち、1つ以上の化合物)および(1つ以上の)適切な担体、希釈剤、賦形剤、アジュバントおよび/または防腐剤を含有する。投与される化合物の製剤は、選択される投与の経路に応じて変化する(例えば、溶液、エマルジョン、カプセル)。標準的な医薬製剤化技術が使用されうる。(例えば、一般に、"Remington's Pharmaceutical Science," 第18版、Mack Publishing. (1990); Bakerら、"Controlled Release of Biological Active Agents," John Wiley and Sons (1986), 前述の両方の全体の教示が参考として本明細書中に援用される。)
【0028】
組成物中の微生物の存在は、種々の抗細菌剤および/または抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、アルコール(例えば、フェノール、ベンジルアルコール)、ソルビン酸等により管理されうる。また、等張剤、例えば、糖質、塩化ナトリウム等を含むことも好ましい。
【0029】
非経口注射に適切な組成物は、生理学的に許容されうる無菌性の水溶液または非水溶液、分散剤、懸濁物またはエマルジョン、および無菌性注射可能な溶液または分散剤に再構築するための無菌粉体を含みうる。適切な水性または非水性担体、希釈剤、溶媒、賦形剤またはビヒクルの例としては、生理食塩水、リン酸緩衝化生理食塩水、Hankの溶液、リンゲル液等、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール等)、植物油(オリーブ油等)およびオレイン酸エチル等の注射可能な有機エステル、またはそれらの任意の適切な混合物が挙げられる。流動性は、例えば、レシチン等の被覆の使用により、分散剤の場合には必要とされる粒径の維持により、および界面活性剤の使用により調製されうる。注射可能な医薬組成物の長期間の吸収が望まれる場合、吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンが含まれうる。
【0030】
経口投与のための固体投薬形態としては、例えば、カプセル、タブレット、ピル、粉体および顆粒が挙げられる。かかる個体投薬形態では、活性成分(すなわち、1つ以上の本発明の組成物)は、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウム等の1つ以上の担体または賦形剤と混合されうる;(a)充填剤または増量剤、例えば、スターチ、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、ケイ酸、ポリエチレングリコール等;(b)結合剤、例えば、カルボキシルメチルセルロース、アルギン酸塩(alignate)、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、およびアカシア;(c)湿潤剤、例えば、グリセロール;(d)崩壊剤、例えば、アガー-アガー、カルボン酸カルシウム、芋またはタピオカスターチ、アルギン酸、特定の複合ケイ酸塩およびカルボン酸ナトリウム;(e)溶液凝固遅延剤、例えばパラフィン;(f)吸収促進剤、例えば、第4アンモニウム化合物;(g)湿潤剤、例えば、セチルアルコール、およびグリセロールモノステアレート;(h)吸着剤、例えば、カオリンおよびベントナイト;および(i)潤滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、またはそれらの混合物。経口投与用の組成物等の固体の組成物はまた緩衝剤を含みうる。かかる固体組成物または記載されるものに類似した固体組成物は、所望される場合、軟または硬ゼラチンカプセル中で提供されうる。
【0031】
タブレット、糖衣錠、カプセル、ピルおよび顆粒などの固体投薬形態は、腸溶被覆または他の適切な被覆または殻等の被覆および殻と共に調製されうる。いくつかのかかる被覆および/または殻は当該分野で周知であり、不透明化剤を含み得、また遅延様式で腸管の特定の部分に活性な化合物を放出する組成物であり得る。使用されうる包埋組成物の例は、高分子物質およびワックスである。活性な化合物はまた、マイクロカプセル形態で、適切である場合、1つ以上の上記担体または賦形剤と共に使用されうる。
【0032】
経口投与のための液体投薬形態としては、薬学的に許容されうるエマルジョン、溶液、懸濁物、シロップ、およびエリキシル剤が挙げられる。活性な化合物に加えて、液体投薬形態は、水または他の溶媒等の適切な担体または賦形剤、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、カルボン酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、塩化ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油、特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステルまたはこれらの物質の混合物等を含みうる。所望であれば、組成物はまた、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、調味剤、および/または香料を含みうる。懸濁物は、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、アガー-アガー、トラガカント等の懸濁化剤を含みうる。所望であれば、懸濁化剤の混合物が使用されうる。座薬(例えば、結腸投与または膣投与のために)が、1つ以上の本発明の成分と適切な刺激の少ない賦形剤または担体(例えば、室温では固体であるが、直腸または膣では融解し、それにより活性成分を放出するカカオバター、ポリエチレングリコール、または座薬ワックス)とを混合することにより調製されうる。
【0033】
局所投与用の投薬形態としては、軟膏、粉体、スプレーおよび吸入が挙げられる。活性成分は、適切な条件(例えば、無菌条件)下では活性成分は、必要でありうる場合、生理学的に許容されうる担体および任意の保存剤、バッファー、または促進剤と共に混合されうる。眼科用製剤は、眼軟膏剤、粉体、および溶液がまた使用されうる。吸入のために、化合物は、投与用の適切な分配器に負荷(例えば、(安定な条件下で))されうる。
【0034】
組成物中の活性成分(1つ以上の本発明の化合物)の質は、約0.1%〜約99.9%重量%の範囲でありうる。好ましくは、約10%〜約90重量%、または、約20%〜約80重量である。単位投薬量調製物は、1mg〜約1000mgの活性成分、好ましくは約10mg〜約100mgの活性成分を含みうる。組成物はまた、所望される場合、テオフィリン、β-アドレナリン作用性気管支拡張剤、コルチコステロイド、抗ヒスタミン、抗アレルギー剤、免疫抑制剤(例えば、シクロスポリンA、FK-506、プレドニゾン、メチルプレニドソロン)、ホルモン(例えば、副腎皮質ホルモン(ACTH)、サイトカイン(例えば、インターフェロン(例えば、IFNβ-1a、IFNβ-1b))等を含みうる。
【0035】
ある態様では、組成物は、(S)-5-{3-[4-(4-クロロ-フェニル)-4-ヒドロキシ-3,3-ジメチル-ピペリジン-1-イル]-プロピリデン}-5,11-ジヒドロ-10-オキサ-1-アザ-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-7-カルボン酸および生理学的に許容されうる担体または賦形剤を含有する。別の態様では、組成物は、(R)-5-{3-[4-(4-クロロ-フェニル)-4-ヒドロキシ-3,3-ジメチル-ピペリジン-1-イル]-プロピリデン}-5,11-ジヒドロ-10-オキサ-1-アザ-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-7-カルボン酸(少なくとも約98%または少なくとも約99%のエナンチオマー過剰率の(S)-5-{3-[4-(4-クロロ-フェニル)-4-ヒドロキシ-3,3-ジメチル-ピペリジン-1-イル]-プロピリデン}-5,11-ジヒドロ-10-オキサ-1-アザ-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-7-カルボン酸を含む)を実質的に含まない。
【0036】
別の態様では、組成物は、(S)-5-{3-[4-(4-クロロ-フェニル)-4-ヒドロキシ-3,3-ジメチル-ピペリジン-1-イル]-プロピリデン}-5,11-ジヒドロ-10-オキサ-1-アザ-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-7-カルボン酸、(R)-5-{3-[4-(4-クロロ-フェニル)-4-ヒドロキシ-3,3-ジメチル-ピペリジン-1-イル]-プロピリデン}-5,11-ジヒドロ-10-オキサ-1-アザ-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-7-カルボン酸および生理学的に許容されうる担体または賦形剤を含有する。ある態様では、組成物は、ラセミ化合物-5-{3-[4-(4-クロロ-フェニル)-4-ヒドロキシ-3,3-ジメチル-ピペリジン-1-イル]-プロピリデン}-5,11-ジヒドロ-10-オキサ-1-アザ-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-7-カルボン酸を含有する。別の態様は、(S)-エナンチオマー:(R)-エナンチオマー(w/w)の比は、少なくとも2:1または約5:1または約10:1または約20:1または約50:1である。
【0037】
ある態様では、組成物は、(S)-5-{3-[4-(4-クロロ-フェニル)-4-ヒドロキシ-3,3-ジメチル-ピペリジン-1-イル]-プロピリジン}-1-オキシ-5,11-ジヒドロ-10-オキサ-1-アザ-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-7-カルボン酸および生理学的に許容されうる担体または賦形剤を含有する。別の態様では、組成物は、(R)-5-{3-[4-(4-クロロ-フェニル)-4-ヒドロキシ-3,3-ジメチル-ピペリジン-1-イル]-プロピリデン}-1-オキシ-5,11-ジヒドロ-10-オキサ-1-アザ-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-7-カルボン酸(少なくとも98%または少なくとも約98%のエナンチオマー過剰率の(S)-5-{3-[4-(4-クロロ-フェニル)-4-ヒドロキシ-3,3-ジメチル-ピペリジン-1-イル]-プロピリデン}-1-オキシ-5,11-ジヒドロ-10-オキサ-1-アザ-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-7-カルボン酸を含む)を含まない。
【0038】
別の態様では、組成物は、(S)-5-{3-[4-(4-クロロ-フェニル)-4-ヒドロキシ-3,3-ジメチル-ピペリジン-1-イル]-プロピレン}-1-オキシ-5,11-ジヒドロ-10-オキサ-1-アザ-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-7-カルボン酸、(R)-5-{3-[4-(4-クロロ-フェニル)-4-ヒドロキシ-3,3-ジメチル-ピペリジン-1-イル]-プロピリデン}-1-オキシ-5,11-ジヒドロ-10-オキサ-1-アザ-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-7-カルボン酸および生理学的に許容されうる担体または賦形剤を含む。ある態様では、組成物は、ラセミ化合物-5-{3-[4-(4-クロロ-フェニル)-4-ヒドロキシ-3,3-ジメチル-ピペリジン-1-イル]-プロピリデン}-1-オキシ-5,11-ジヒドロ-10-オキサ-1-アザ-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-7-カルボン酸を含む。別の態様では、(S)-エナンチオマー:(R)-エナンチオマーの比(w/w)は、少なくとも約2:1または約5:1または約10:1または約20:1または約50:1
である。
【0039】
治療方法
本発明はさらに、サイトカインまたは慢性および急性炎症性障害を含む、ケモカインまたはケモカインレセプター機能により媒介される病原性白血球動員、活性化または動員、および活性化に関連する疾患または障害を処置(例えば、待期、治療、予防)する方法に関する。
【0040】
本明細書中で使用される「病原性白血病動員、活性化または動員および活性化」は、処置対照の疾患または障害のプロセスまたは結果に貢献する白血病動員(例えば、炎症または損傷の部位での白血球の蓄積)および/または活性化(例えば、白血球がエフェクター機能を発揮する生理学的状態)をいう。例えば、多発性硬化症を罹患した被験体における、中枢神経系のT細胞の動員および/活性化は、「病原性白血球増強、病原性白血球活性化または病原性白血球動員および活性化」であると考えられる。なぜならば、動員され、活性化されたT細胞は、その疾患に特徴的な脱髄に寄与するからである。同様に、リウマチ様関節炎に罹患した被験体における、関節部(例えば、滑膜組織また液体)のT細胞の動員および/または活性化は、「病原性白血球動員、病原性白血球活性化または病原性白血球動員および活性化」であると考えられる。なぜならば、動員され、活性化されたT細胞はリウマチ様関節炎に特徴的な組織破壊に寄与するからである。
【0041】
本明細書中に記載される方法により処置されうる病原性白血球動員、病原性白血球活性化または病原性白血球動員および活性化により特徴付けられる疾患または障害は、T細胞、単球または好酸球等のCCL2(MCP-1)CCL3(MCP-1α)、CCL4(MIP-1β)、CCL5(RANTES)、CCL7(MCP-3)、CCL8(MCP-2)、CCL13(MCP-4)、CCL14(HCC-1)、CCL15(Lkn-1)および/はCCL23(MPIF-1)応答細胞により特徴付けられる急性および慢性炎症障害を含む。かかる疾患または障害は、炎症性関節炎(例えば、リウマチ様関節炎)、炎症性脱髄疾患(例えば、多発性硬化症)、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、再狭窄、虚血/再灌流障害、糖尿病(例えば、I型糖尿病)、乾癬、潰瘍性大腸炎等の炎症性腸疾患、クローン病、移植器官または組織の拒絶(急性または慢性)(例えば、急性同種移植拒絶、慢性同種移植拒絶)、対宿主性移植片病、ならびにアレルギーおよび喘息を含むがこれらに限定されない。本明細書中に開示される方法で処置(予防的処置を含む)されうる異常な白血球動員および/または活性化に関連する他の疾患は、ウイルス感染(例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV))、AIDS関連性脳炎、AIDS関連性腸症、AIDS関連門脈周囲性肝炎症およびAIDS関連糸球体腎炎等の細菌感染または真菌感染に関連する炎症性疾患である。方法は、本明細書中に記載される化合物の有効量(すなわち、1つ以上の化合物)を、処置を必要とする被験体に投与することを含む。
【0042】
本明細書中で使用される「炎症性脱髄疾患」は、中枢神経系組織の脱髄により特徴付けられる急性および慢性炎症疾患をいう。炎症性脱髄疾患は、急性炎症性脱髄疾患、例えば、急性散在性脳脊髄炎、ギャン-バレー症候群または急性出血性白質脳炎でありうる。他の態様では、炎症性脱髄疾患は、慢性炎症性脱髄疾患、例えば、多発性硬化症、慢性炎症性脱髄多発根神経障害でありうる。
【0043】
好ましい態様では、本発明は、多発性硬化症を処置する方法を提供し、該方法は、式(I),(Ia),(II)または(IIa)を、多発性硬化症の処置を必要とする被験体に組成物を投与することを含む。MSの発現は変異的であり、MSの臨床過程は、再発寛解型、一次性進行型、二次性進行型および進行再発型の4つのカテゴリーに分類される。本発明の方法は、認識されるそれぞれの臨床過程によって表されるMSを処置するために使用され得る。従って、本発明の化合物は、神経学的障害の進行を抑制または予防するために、MSの進行課程を有する患者に投与され得る。本発明の化合物はまた、再発(例えば急性発作)を阻害するために再発寛解型、二次性進行型または進行再発型のMSを有する被検体に投与され得る。例えば、本発明の化合物は、再発を予防または遅発させるために、病気の寛解段階の間に再発寛解型のMSを有する被験体に投与され得る。
【0044】
本明細書で使用される「炎症性関節炎」とは、免疫系が関節部で炎症を引き起こしているまたは悪化させている関節の病気をいい、強直性脊椎炎、反応性関節炎、ライター(Reiter)症候群、乾癬性関節炎、乾癬性脊椎炎、腸疾患に基づく関節炎、腸疾患に基づく脊椎炎、若年性発症脊椎関節症および未分化脊椎関節症の様なリウマチ様関節炎、若年性リウマチ様関節炎および脊椎関節症を含む。炎症性関節炎は一般的に、白血球による滑膜組織および/または滑液の滑潤により特徴づけられる。
【0045】
他の好ましい態様では、本発明はリウマチ様関節炎を処置する方法を提供し、該方法は、式(I),(Ia),(II)または(IIa)の化合物の有効量を、リウマチ様関節炎の処置を必要とする被験体に投与することを含む。
【0046】
「被験体」は、好ましくは鳥またはヒト(ホモサピエンス)のような哺乳類であるが、例えば家庭内動物(例えばイヌ、ネコ等)、家畜動物(例えばウシ、ヒツジ、ニワトリ、ブタ、ウマ等)および実験用動物(例えばネズミ、マウス、モルモット等)等の獣医学的処置を必要とする動物でもあり得る。
【0047】
化合物の「有効量」とは、レセプター(例えばCCR1)へのケモカインの結合を阻害し、それによって病原性白血球動員、病原性白血球活性化または病原性白血球動員および活性化に関連する病気を有する被験体中の結合によって仲介される1つ以上の進行を阻害する量である。このような過程の例は、白血球の移動、インテグリン活性化、細胞内の自由カルシウム[Ca2+]の濃度の一時的な増加をおよび、先行性炎症メディエータの顆粒放出を含む。化合物の「有効量」は、病原性白血球動員、病原性白血球活性化または病原性白血球動員および活性化に関係する病気に関係する症状の予防もしくは減少を生じる量の様な望ましい治療のおよび/または予防の効果を得ることが出来る。
【0048】
個体に投与される化合物の量は、病気の型および重症度、ならびに一般的な健康状態、年齢、性別、体重および薬物への耐性の様な個体の特徴による。それはまた、病気の程度、重症度および型にもよる。当業者は、これらまたは他の要因によって適切な用量を決定することが出来るであろう。ケモカインレセプター機能のアンタゴニストはまた、テオフィリン、β−アドレナリン作用性器官拡張薬、コルチコステロイド、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー剤、免疫抑制薬(例えばシクロスポリンA、FK−506、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン)、ホルモン(例えば、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH))、サイトカイン(例えばインターフェロン(例えばIFNβ−1a,IFNβ−1b))等の1つ以上のさらなる治療剤と組み合わせて投与され得る。
【0049】
本発明の化合物が、他の治療薬と組み合わせて投与される場合、その化合物および薬剤は、例えば同時にまたは連続的に薬学的活性の重複を生じる様式で投与され得る。
【0050】
化合物は、例えば、カプセル剤、懸濁剤もしくは錠剤で経口的に、または非経口投与によってのなどを含むいずれかの適当な経路によって投与され得る。非経口的な投与は、例えば、筋内、静脈内、皮下または腹腔内への注入による様な全身投与を含み得る。化合物はまた、処置すべき病気または状態に従って、経口的に(例えば食事で)、経皮的に、局在的に、吸入(例えば気管支内で、鼻腔内に、経口吸入または鼻腔内滴下)によって、または直腸に投与され得る。経口的または非経口的な投与は、投与の好ましい形態である。該化合物は、薬学的または生理学的組成物の一部として、個体に投与され得る。
【0051】
本発明の化合物の活性は、レセプター結合分析または走化性分析の様な適当な分析法を用いることによって評価され得る。例えば、実施例で説明されているように、MIP−1αの小分子アンタゴニストは、THP−1細胞膜を利用し同定された。詳細は、THP−1細胞膜に結合する125I−MIP−1αを監視する高処理能レセプター結合分析は、MIP−1αの結合を遮断する小分子アンタゴニストを同定するために使用した。本発明の化合物はまた、ケモカイン(例えばCCL2(MCP−1)CCL3(MIP−1α)、CCL4(MIP−1β)、CCL5(RANTES)、CCL7(MCP−3)、CCL8(MCP−2)、CCL13(MCP−4)、CCL14(HCC−1)、CCL15(Lkn−1)、CCL23(MPIF−1))の、そのレセプター(CCR−1)への結合によって誘発される走化性、インテリン活性化および顆粒媒介物放出等の活性化段階を阻害するそれらの能力によって同定され得る。それらはまた、例えばHL−60細胞、T細胞、末梢血単核細胞または好酸球のケモカイン(例えばCCL2(MCP−1)CCL3(MIP−1α)、CCL4(MIP−1β)、CCL5(RANTES)、CCL7(MCP−3)、CCL8(MCP−2)、CCL13(MCP−4)、CCL14(HCC−1)、CCL15(Lkn−1)、CCL23(MPIF−1))誘導性走化性を遮断するそれらの能力によって同定され得る。
【0052】
実施例
スキーム1
【化7】

【0053】
スキーム2
【化8】

【0054】
スキーム3
【化9】

【0055】
実施例1
【化10】

(S)−5−{3−[4−(4−クロロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−ピペリジン−1−イル]−プロピリデン}−5,11−ジヒドロ−10−オキサ−1−アザ−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−7−カルボン酸
【0056】
工程1:3,3−ジメチル−オキソ−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
4−オキソ−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(125g、628mmol)および無水テトラヒドロフラン(1L)を、磁気攪拌装置、コンデンサー、および10℃の大きい水浴を備えた乾燥2L容二口丸底フラスコに加えた。ヨウ化メチル(85mL、1365mmol)を生じた黄色溶質に加えた。次に、ナトリウムt-ブトキシド(150g、1560mmol)を30分かけて滴下した。特に滴下の始めに、発熱が検出された。反応混合物を温めて、穏やかに還流し、塩基の滴下の速度によって、割合を調整した。混合物を、さらに30分攪拌した。真空状態で、溶媒を取り除いた。油状残渣は、NHCl/水(500mL)で処理し、エーテル(3×200mL)で抽出した。結合した有機物をブラインで洗浄して、NaSOで乾燥し、シリカゲルの短い栓に通して濾過した。溶媒を高減圧下で取り除くと、生じた黄色油は結晶化し始めた。それを高減圧下で一晩中置いた。混合物をヘキサン(50〜100mL)でスラリー化し、1分間音波処理した。黄色固体を濾過して集め、ヘキサン(100mL)で洗浄した。3,3−ジメチル−4−オキソ−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの第1収集物は、黄色固体を生じた。(Vice,Sらの,J.Org.Chem.,66:2487-2492(2001)中の(37)の調製を参照されたい。)
1H-NMR(CDCl3,300MHz)δ:1.13(s,6H),1.49(s,9H),2.49(t,2H),3.43(br s,2H),3.73(t,2H).
【0057】
工程2:4−(4−クロロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
二口2L容丸底フラスコに、2つの125mLの滴液漏斗および攪拌棒を取り付けた。組立品は、乾燥窒素下でフレーム乾燥した。フラスコにTHF(700ml)および、4−ブロモ−クロロベンゼン(33.7g、176mmol、2.5eq.).を入れた。生じた溶液は、ドライアイス/アセトン浴中で−78℃に冷やした。滴液漏斗の1つにブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、70mL、175mmol、2.5当量)を、カニューレを介して加えた。ブチルリチウム溶液を、1時間かけて、ゆっくりと低温THFに加えた。さらに30分攪拌を続けて、白色懸濁液を得た。THF(100ml)中の3,3−ジメチル−4−オキソ−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(16.0g、70.5mmol、1当量)を準備して、1.75時間かけて、第2滴液漏斗によって反応混合物に加えた。生じた溶液を、−78℃で2時間冷やして、その時反応は、TLC分析によって本質的に完了していることがわかった。飽和NHCl水溶液(150mL)を加え、反応を室温に温めた。水(150mL)を加え、混合物を酢酸エチルで(2+1L)で抽出した。化合抽出物を水とブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過して濃縮した。固体残渣を酢酸エチルで粉砕して濾過した。上澄み液を濃縮し、エーテルで粉砕した。生じた上澄み液をエーテル/石油エーテルによって粉砕した。生じた固体は、4−(4−クロロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルをオフホワイトの固体として得た。
1H-NMR(CDCl3,300MHz)δ:0.82(s,6H),1.34-1.44(m,2H),1.49(s,9H),1.49(s,9H)2.67(ddd,1H),3.10-3.73(m,3H),4.00-4.30(m,1H),7.31(d,2H),7.39(d,2H).
【0058】
工程3:4−(4−クロロ−フェニル)−3,3−ジメチル−ピペリジン−4−オール
塩化メチレン(300mL)中の冷やした4−(4−クロロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(10.42g、30.7mmol)の冷却した(0℃)溶液にトリフルオロ酢酸(60mL)を、1.25時間かけて緩徐に加えた。生じた黄色溶液を0℃で、さらに1.5時間かけて攪拌した。混合物を減圧下で濃縮し、残渣を酢酸エチル(1.2L)に溶解し、水酸化ナトリウム(1N、150mL)で洗浄した。酢酸エチル(200mL)を加えながら水層を抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して濃縮した。生じた固体残渣は、4−(4−クロロ−フェニル)−3,3−ジメチル−ピペリジン−4−オールを、オフホワイトの固体として得るために、エーテルで粉砕した。
1H-NMR(CD3OD,300MHz)δ:0.73(s,3H),0.85(s,3H),1.42(ddd,1H),2.36(d,1H),2.61(ddd,1H),2.91(br dd,1H),3.08-3.19(m,2H),7.26-7.32(m,2H), 7.44-7.50(m,2H).
MS m/z:240(M+1)
【0059】
工程4:(S)−4−(4−クロロ−フェニル)−3,3−ジメチル−ピペリジン−4−オールの合成
外観的に清潔な5L容三口フラスコにオーバーヘッド攪拌機を取り付けて、20分間窒素を流した。ラセミ化合物4−(4−クロロ−フェニル)−3,3−ジメチル−ピペリジン−4−オール(202g、843mmol)、L−(+)−酒石酸(114g、759mmol)および400mLブタノン:水混合物(9:1)を、フラスコに加えた。混合物は熱して還流した。水(202mL)を45分かけて、少しずつ加えて(ブタノンと水の比は6:1)固体混合物を完全に溶解した。還流をさらに45分続けて、熱源を切り、フラスコを一晩かけてゆっくりと冷やして室温にした。固体を吸引濾過で取り除き、真空中で約3日間乾燥し、L−(+)−酒石酸としてS−エナンチオマーを得、1MNaOHと塩化メチレン(ブライン洗浄および硫酸ナトリウム乾燥)の間に分配させ、自由塩基を得た。
1H-NMR(CD3OD,300MHz)δ:0.73(s,3H),0.85(s,3H),1.42(ddd,1H),2.36(d,1H),2.61(ddd,1H),2.91(br dd,1H),3.08-3.19(m,2H),7.26-7.32(m,2H),7.44-7.50(m,2H),7.44-7.50(m,2H).
MS m/z:240(M+1)
【0060】
工程5:5−シクロプロピル−5,11−ジヒドロ[1]ベンゾキセピノ[2,3−b]ピリジン−5−オール
乾燥2L容三口丸底フラスコに電磁攪拌棒、ガラス栓、ゴム隔膜、およびアルゴン注入口を取り付けた。アルゴン雰囲気下で、50gの5,11−ジヒドロ[1]ベンゾキセピノ[3,4−b]ピリジン−5−オン(Inoueら、Synthesis1:113−116(1997)の方法によって調製される(0.24mole))および500mLの乾燥テトラヒドロフランをフラスコに加え、フラスコは氷浴で冷やした。新たに調製した臭化シクロプロピルマグネシウムテトラヒドロフラン溶液(50.0gの臭化シクロプロピルマグネシウムを400mL乾燥テトラヒドロフラン中の臭化シクロプロピル(0.41mol)および12.0gマグネシウム転化(0.49mol)より調製した)を5分間かけて、針によって挿入した。氷浴を取り除いて、混合物を30分間かき混ぜた。反応混合物を500mLの飽和塩化アンモニウム溶液に緩徐に注ぎ入れ、混合物は、300mlずつ2回の酢酸エチルによって抽出し、合わせた有機抽出物を、300mlの飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機溶液を飽和無水硫酸マグネシウムで乾燥して濾過し、エバポレートした(アスピレーター減圧、約30℃)。150mLの1:1(v/v)ヘキサン−酢酸エチル混合液を固体残渣に加え、混合物を15分間音波処理し、濾過して1:1(v/v)ヘキサン−酢酸エチル混合液で洗浄し、淡黄色固体として表題の化合物を得た。
【0061】
工程6:5−(3−ブロモプロピリデン)−5,11−ジヒドロ[1]ベンゾキセピノ[2,3−b]ピリジン
75.0gの5−(3−シクロプロピル)−5,11−ジヒドロ[1]ベンゾキセピノ[2,3−b]ピリジン−5−オール(0.30モル)および75mLの酢酸を、磁気攪拌棒を備えた2Lナス型フラスコに加えた。溶液は水(約10℃)で冷やし、120mlの47%飽和臭化水素酸水溶液を5分間かけて加えた。反応混合物を60℃まで温め、1時間攪拌し、約200mLまでエバポレートした(アスピレーター減圧、約50℃)。反応混合物は1500mLの飽和重炭酸ナトリウム水溶液に注ぎ入れ、混合物を、800mlずつ2回で酢酸エチルによって抽出し、合わせた有機抽出物を、500mL飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機溶液は無水硫酸マグネシウムで乾燥して濾過し、エバポレートした(アスピレーター減圧、約30℃)。油状残渣を、ヘキサン:酢酸エチル(5:1〜4:1)(v/v)に溶かして、500gのシリカゲル60でクロマトグラフィーに供した。溶出物をエバポレートし、淡黄色油として表題の化合物を得た。
【0062】
工程7:7−アセチル−5−(3−ブロモプロピリデン)−5,11−ジヒドロ[1]ベンゾキセピノ[2,3−b]ピリジン
乾燥3L容三口丸底フラスコに電磁攪拌棒、ガラス栓、ゴム隔膜、およびアルゴン注入口を取り付けた。アルゴン雰囲気下で、94.0gの5−(3−ブロモプロピリデン)−5,11−ジヒドロ[1]ベンゾキセピノ[2,3−b]ピリジン(0.30モル)および900mLの乾燥ジクロロメタンをフラスコに入れ、フラスコを氷浴で冷やした。78.5gの塩化アルミニウム(0.83モル)を、17.8mLの塩化アセチル(0.25モル)に次いで、ゆっくりと加え、混合物は、0℃で1時間攪拌した。反応混合物を1500gの氷に注ぎ、層を分けた。水層を、400mLずつ3回の酢酸エチルで抽出した。ジクロロメタン層および有機抽出物を合わせ、1 lLの炭酸水素ナトリウム水溶液および1Lの飽和塩化ナトリウム水溶液で、逐次洗浄した。有機溶媒を、無水硫酸マグネシウムで乾燥して濾過し、エバポレートした(アスピレーター減圧、約30℃)。油状残渣をヘキサン:酢酸エチル(5:1〜1:1)(v/v)に溶かして、800gのシリカゲル60でクロマトグラフィーに供した。溶出物をエバポレートし、淡黄色油として表題の化合物を得た。
【0063】
工程8:(S)−1−(5−{3−[4−(4−クロロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−ピペリジン−1−イル]−プロピリデン}−5,11−ジヒドロ−10−オキサ−1−アザ−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−7−イル)−エタノン
アセトニトリル(200ml)および水(50mL)中の(S)−4−(4−クロロ−フェニル)−3,3−ジメチル−ピペリジン−4−オール懸濁液(5.50g、22.94mmol)に、炭酸カリウム(7.17g、51.9mmol)、次いで固体1−[5−(3−ブロモ−プロピリデン)−5,11−ジヒドロ−10−オキサ−1−アザ−ジベンゾ[a,b]シクロヘプテン−7−イル]−エタノン(6.30g、17.3mmol)を加えた。不均一混合物を室温で4時間攪拌し、50℃まで温めて、13時間攪拌した。混合物を室温まで冷やして、アセトニトリルを減圧下で取り除いた。水層を酢酸エチル(750mL)で抽出し、抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して濃縮した。粗製残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサンの比は3:1)で精製し、オフホワイトの固体として(S)−1−(5−{3−[4−(4−クロロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−ピペリジン−1−イル]−プロピリデン}−5,11−ジヒドロ−10−オキサ−1−アザ−ジベンゾ[a,b]シクロヘプテン−7−イル)−エタノンを得た。
1H-NMR(CD3Cl3)δ:0.6-0.9(6H,d),1.2-1.6(4H,m),2.2-2.4(4H,m),2.55(3H,s),2.8(2H,d),5.3(2H,brs),6.25(1H,t),6.85(1H,d),7.27-7.4(6H,m),7.6-7.8(2H,m),8.0(1H,d),8.5(1H,d).
MS m/z:517(M+1)
【0064】
工程9
工程8の生成物(500mg、0.969mmol)、NaOH(水中2M、4.84mmol、2.42mL)、次亜塩素酸ナトリウム(4%有効塩素、3.6mmol)およびDME(10vol、5mL)を25mL丸底フラスコに充填し、室温で一晩攪拌した。12時間後、亜硫酸水素ナトリウム(5mL、飽和水溶液)を加え、反応物を酢酸エチル(4×5mL)で抽出した;有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して減圧下でエバポレートし、500mg(収率96%)の黄色固体を生成した。その固体を水(20vol、10mL)に溶かし、酢酸でpH6.15まで酸性にした。酸性化によってクリーム色の固体を析出し、その固体を濾過して真空乾燥機に約2週間置き、表題の化合物を得た。
1H-NMR(CD3OD)δ:0.75(s,3H),0.86(s,3H),1.63(d,1H),2.49-2.66(m,2H),2.70-2.89(m,2H),2.99-3.23(m,5H),5.10-5.50(brs,2H),6.15(t,1H),6.75(d,2H),7.25-7.31(m,2H),7.39-7.47(m,2H),7.71-7.81(m,2H),7.98(d,1H),8.45(d,1H).
MS m/z:519(M+1)
【0065】
実施例2
【化11】

(R)−5−{3−[4−(4−クロロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−ピペリジン−1−イル]−プロピリデン}5,11−ジヒドロ−10−オキサ−1−アザ−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−7−カルボン酸
第1部:(R)−4−(4−クロロ−フェニル)−3,3−ジメチル−ピペリジン−4−オール
ラセミ化合物4−(4−クロロ−フェニル)−3,3−ジメチル−ピペリジン−4−オール(0.500g、2.086mmol)を最小限の高温イソプロピルアルコール(約5mL)に溶解した。高温溶液を綿の栓に通して、イソプロピルアルコール中(約3mL)の(1S)−(+)−10−樟脳スルホン酸(0.484g、2.086mmol)に移した。その混合物を活発に数分間攪拌し、厚い析出物が形成する間に、0.25時間かけて室温に冷やした。固体は吸引濾過によって取り除き、真空中で乾燥した。乾燥した塩を高温イソプロピルアルコール(約50mL)に溶解し、綿の栓に通して濾過した。一晩平静に、ゆっくりと室温まで冷やした。冷却で形成された固体(95mg、理論上19%)を吸引濾過で取り除き、分析的HPLCによって鏡像的に純粋であることを示した。塩を酢酸エチル中に懸濁し、水酸化ナトリウム(1N)で中和した。不均一有機層を水とブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して乾燥し、R−4−(4−クロロ−フェニル)−3,3−ジメチル−ピペリジン−4−オールを得た。
1H-NMR(CD3OD,300MHz)δ:0.73(s,3H),0.85(s,3H),1.42(ddd,1H),2.36(d,1H),2.61(ddd,1H),2.91(br dd,1H),3.08-3.19(m,2H),7.26-7.32(m,2H),7.44-7.50(m,2H).
MS m/z:240(M+1)
【0066】
第2部
化合物は、実施例1の工程5〜9で示されるように、本質的に調製したが、(S)−4−(4−クロロ−フェニル)−3,3−ジメチル−ピペリジン−4−オールを(R)−4−(4−クロロ−フェニル)−3,3−ジメチル−ピペリジン−4−オールに置き換える。
【0067】
実施例3
【化12】

ラセミ化合物-5-{3-[4-(4-クロロ-フェニル)-4-ヒドロキシ-3,3-ジメチル-ピペリジン-1-イル]-プロピリデン}-5,11-ジヒドロ-10-オキサ-1-アザ-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-7-カルボン酸
ラセミ原料を実施例1の工程5〜9で示されるように、本質的に調製したが、(S)−4−(4−クロロ−フェニル)−3,3−ジメチル−ピペリジン−4−オールをラセミ化合物4−(4−クロロ−フェニル)−3,3−ジメチル−ピペリジン−4−オールに置き換える。
【0068】
実施例4
THP−1細胞膜調製および結合分析
膜はTHP−1細胞(ATCC.#TIB202)から調製した。細胞を、遠心分離により採取し、PBS(リン酸緩衝食塩水)によって2回洗浄し、細胞ペレットを−70℃から−85℃まで凍らせた。凍ったペレットを、5mMのHEPES(N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタン−スルホン酸)pH7.5、2mMのEDTA(エチレンジアミンテトラ酢酸)、5μg/mlの各々、アプロチニン、ロイペプチン、およびキモスタンチン(プロテアーゼインヒビター)、および100μg/mlPMSF(フェニルメタンフッ化スルホニルあるいはプロテアーゼインヒビター)からなる氷冷溶解緩衝液中で5×10細胞数/mlで溶解した。この手順により細胞溶解が生じる。懸濁液をよく混ぜて、全ての凍った細胞ペレットを懸濁した。核および細胞砕片を10分間4℃で400xgの遠心分離で取り除き、上澄み液を清潔な試験管に移し、膜組織断片を30分間4℃で25000xgの遠心分離で収集した。上澄み液を吸引し、ペレットをpH7.5、10mMのHEPES、300mMのスクロース、それぞれが1μg/mlのアプロチニン、ロイペプチン、およびキモスタチン、および10μg/mlのPMSF(およそ10につき0.1ml)から成り立つ凝固緩衝液中で懸濁した。全ての塊は、ミニホモジナイザー、および総タンパク質濃度は、タンパク質分析キット(Hercules,CAのBio-Rad社製、カタログ番号500-0002)を用いて測定した。次に膜組織溶液を分別し、必要になるまで−70℃〜−85℃まで凍らせた。
【0069】
結合分析は、上記の膜組織を利用する。膜タンパク質(全膜タンパク質が2〜20μg)は、無標識競争物(MIP−1α)または様々な化合物の濃度によってまたはなしで、0.1から0.2nMの125I−標識MIPと共に培養した。結合反応は、pHが7.2で10mMのHEPES、1mMのCaCl、5mMのMgCl、および0.5%のBSA(ウシの血清アルブミン)を含んだ60から100μlの結合緩衝液中で発現する。結合反応は、0.3%ポリエチレンイミン中に浸したガラス繊維濾過装置(GF/BまたはGF/C、パッカード)を通した急速濾過によって膜を採取することによって終了させた。濾過物は0.5MのNaClを含んだ、およそ600μlの結合緩衝液によって洗浄して乾燥し、結合放射能の量は、シンチレーション計数によって測定した。試験化合物の活量は、表中で報告する。
【0070】
実施例5
インビボ効能モデル
MIP−1αに応答する好中球動員の動物モデルを、化合物の生物学的/薬理学的活性を評価するために使用した。化合物は、マウスMIP−1α(100pmol/部位)またはリン酸緩衝食塩水(PBS)の皮下注射の30分前に、雌ハートレイモルモットに経口投与した(0.5mg/kg〜5.0mg/kgの範囲の用量)。皮膚パンチ生検を5時間後行い、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)測定のために処理した。MPO活性は、注入部位への好中球の増加の指標として使用した。結果は、表に示される。
【0071】
実施例6
【化13】

(S)-5-{3-[4-(4-クロロ-フェニル)-4-ヒドロシ-3,3-ジメチル-ピペリジン-1-イル]-プロピリデン}-1-オキシ-5,11-ジヒドロ-10-オキサ-1-アザ-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-7-カルボン酸
【0072】
実施例7
【化14】

(R)-5-{3-[4-(4-クロロ-フェニル)-4-ヒドロキシ-3,3-ジメチル-ピペリジン-1-イル]-プロピリデン}-1-オキシ-5,11-ジヒドロ-10-オキサ-1-アザ-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-7-カルボン酸
【0073】
実施例8
【化15】

ラセミ化合物-5-{3-[4-(4-クロロ-フェニル)-4-ヒドロキシ-3,3-ジメチル-ピペリジン-1-イル]-プロピリデン}-1-オキシ-5,11-ジヒドロ-10-オキサ-1-アザ-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-7-カルボン酸
【0074】
参考例
【化16】

参考例は、WO01/09138に記載されるとおりに調製した。
【0075】
【表1】

表に示されたデータは、実施例1および3が、参照例の構造的に関連した化合物と比べて、より大きい口腔生物学的利用能および効能を有することを示す。実施例1および3はまた、他のGタンパク質連結受容体およびイオンチャネルで分析した時、構造的に関連する化合物に比べて、より良い選択性を示す。
【0076】
本発明は、本発明の好ましい態様に関して特に示し、記述したが、様々な変形や改良が当業者によって行われ得る。添付の特許請求の範囲において定義される本発明の範囲から離れることなく、形式や詳細の様々な変更が行われ得ることが、当業者によって理解される。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式:
【化1】

式中、R1はハロゲンである、
を有する化合物またはその生理学的に許容されうる塩。
【請求項2】
R1が塩素、フッ素および臭素からなる群より選ばれる請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R1が塩素である請求項2記載の化合物。
【請求項4】
請求項1記載の化合物および生理学的に許容されうる担体または賦形剤を含有してなる医薬組成物。
【請求項5】
請求項1記載の化合物の有効量を、それを必要する被験体に投与することを含む、病原性白血球動員、病原性白血球活性化または病原性白血球動員および活性化により特徴付けられる疾患の処置方法。
【請求項6】
以下の構造:
【化2】

式中、R1はハロゲンである、
を有する化合物またはその生理学的に許容されうる塩。
【請求項7】
R1が塩素、フッ素および臭素からなる群より選ばれる請求項6記載の化合物。
【請求項8】
R1が塩素である請求項7記載の化合物。
【請求項9】
請求項6記載の化合物および生理学的に許容されうる担体または賦形剤を含有してなる医薬組成物。
【請求項10】
請求項6記載の化合物の有効量を、それを必要する被験体に投与することを含む、病原性白血球動員、病原性白血球活性化または病原性白血球動員および活性化により特徴付けられる疾患の処置方法。
【請求項11】
R1が塩素である請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記疾患が急性または慢性の炎症性疾患である請求項10記載の方法。
【請求項13】
前記疾患が、炎症性関節炎、炎症性脱髄疾患、アテローム性硬化症、動脈硬化症、再狭窄、虚血/再灌流障害、糖尿病、乾癬、炎症性腸疾患、移植片の拒絶、対宿主性移植片病、アレルギーおよび喘息からなる群より選ばれる請求項10記載の方法。
【請求項14】
前記疾患が炎症性関節炎である請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記炎症性関節炎がリウマチ様関節炎である請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記疾患が炎症性脱髄疾患である請求項13記載の方法。
【請求項17】
前記炎症性脱髄疾患が多発性硬化症である請求項16記載の方法。
【請求項18】
請求項1記載の化合物の有効量を、それを必要する被験体に投与することを含む、被験体のC-Cケモカインレセプター1をアンタゴナイズする方法。
【請求項19】
以下の式:
【化3】

式中、R1はハロゲンである、
を有する化合物またはその生理学的に許容されうる塩。
【請求項20】
請求項19記載の化合物および生理学的に許容されうる担体または賦形剤を含有してなる医薬組成物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式:
【化1】

式中、R1はハロゲンである、
を有する化合物またはその生理的に許容されうる塩。
【請求項2】
R1が塩素、フッ素および臭素からなる群より選ばれる請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R1が塩素である請求項2記載の化合物。
【請求項4】
請求項1記載の化合物および生理的に許容されうる担体または賦形剤を含有してなる医薬組成物。
【請求項5】
請求項1記載の化合物の有効量を、それを必要する被験体に投与することを含む、病原性白血球動員、病原性白血球活性化または病原性白血球動員および活性化により特徴付けられる疾患の処置方法。
【請求項6】
以下の構造:
【化2】

式中、R1はハロゲンである、
を有する化合物またはその生理的に許容されうる塩。
【請求項7】
R1が塩素、フッ素および臭素からなる群より選ばれる請求項6記載の化合物。
【請求項8】
R1が塩素である請求項7記載の化合物。
【請求項9】
請求項6記載の化合物および生理的に許容されうる担体または賦形剤を含有してなる医薬組成物。
【請求項10】
請求項6記載の化合物の有効量を、それを必要する被験体に投与することを含む、病原性白血球動員、病原性白血球活性化または病原性白血球動員および活性化により特徴付けられる疾患の処置方法。
【請求項11】
R1が塩素である請求項10記載の方法。
【請求項12】
請求項1〜3または6〜8いずれか記載の化合物の有効量を、それを必要する被験体に投与することを含む、急性または慢性の炎症性疾患の処置方法。
【請求項13】
前記疾患が、炎症性関節炎、炎症性脱髄疾患、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、再狭窄、虚血/再灌流障害、糖尿病、乾癬、炎症性腸疾患、移植片の拒絶、対宿主性移植片病、アレルギーおよび喘息からなる群より選ばれる請求項10または請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記疾患が炎症性関節炎である請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記炎症性関節炎がリウマチ様関節炎である請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記疾患が炎症性脱髄疾患である請求項12記載の方法。
【請求項17】
前記炎症性脱髄疾患が多発性硬化症である請求項16記載の方法。
【請求項18】
請求項1〜3または6〜8いずれか記載の化合物の有効量を、それを必要する被験体に投与することを含む、被験体のC-Cケモカインレセプター1をアンタゴナイズする方法。
【請求項19】
以下の式:
【化3】

式中、R1はハロゲンである、
を有する化合物またはその生理的に許容されうる塩。
【請求項20】
請求項19記載の化合物および生理的に許容されうる担体または賦形剤を含有してなる医薬組成物。
【請求項21】
請求項19記載の化合物の有効量を、それを必要する被験体に投与することを含む、病原性白血球動員、病原性白血球活性化または病原性白血球動員および活性化により特徴付けられる疾患の処置方法。
【請求項22】
前記疾患が、炎症性関節炎、炎症性脱髄疾患、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、再狭窄、虚血/再灌流障害、糖尿病、乾癬、炎症性腸疾患、移植片の拒絶、対宿主性移植片病、アレルギーおよび喘息からなる群より選ばれる請求項21記載の方法。
【請求項23】
請求項19記載の化合物の有効量を、それを必要する被験体に投与することを含む、急性または慢性の炎症性疾患の処置方法。
【請求項24】
前記疾患が炎症性関節炎である請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記炎症性関節炎がリウマチ様関節炎である請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記疾患が炎症性脱髄疾患である請求項23記載の方法。
【請求項27】
前記炎症性脱髄疾患が多発性硬化症である請求項26記載の方法。
【請求項28】
請求項19記載の化合物の有効量を、それを必要する被験体に投与することを含む、被験体のC-Cケモカインレセプター1をアンタゴナイズする方法。
【請求項29】
治療または診断に使用するための請求項1〜3または6〜8いずれか記載の化合物。
【請求項30】
治療または診断に使用するための請求項19記載の化合物。

【公表番号】特表2006−508966(P2006−508966A)
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−552003(P2004−552003)
【出願日】平成15年11月12日(2003.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2003/035817
【国際公開番号】WO2004/043965
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(500287639)ミレニアム・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (98)
【氏名又は名称原語表記】MILLENNIUM PHARMACEUTICALS, INC.
【Fターム(参考)】