説明

ICカードホルダー

【課題】ICカードの表示面を携帯可能な装置によって書き換えることにより、ICカードを介して様々なサービスを提供するとともに、カードホルダーから取り外された後のICカードの利用価値も高めることができるICカードホルダーを提供する
【解決手段】記憶性表示部17及びID情報が記録されたメモリ(13)を備えたICカード10を装着する装着部(E)と、ICカード10との間でデータ転送及び電力供給を行うインターフェース回路(16)と、装置全体の動作の制御を行うカードホルダーCPU21と、ユーザーに対してサービスを提供するサービス用プログラム記憶するメモリ(24)と、ICカード10装着時に記憶性表示部17を視認可能な窓部Wと、を備え、ICカードホルダー20が、ICカード10からID情報を読み出して、ID情報に対応するサービス用プログラムに基づいて記憶性表示部17に情報を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆる電子ペーパーを備えたICカードが装着されるICカードホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、偽造や変造などの不正行為が困難であることから、ICチップを埋め込んだICカードの普及が進んでいる。
ICカード内に記録された情報はそのままでは視認できないため、特許文献1ではICカード内に記録された情報を表示する機能付きの携帯用カードケースが提案されている。
また、ICカード表面に書き換え可能に情報を表示するカードもある。例えばリライタブルマーキングにより表示内容の書き換えが行われるICカードや、液晶ディスプレイと電池を備えて液晶ディスプレイの表示内容を書き換えるICカードがある。特許文献2では、書き換え可能な表示媒体として記憶性画像表示媒体(いわゆる電子ペーパー)を備えたICカードが提案されている。
【特許文献1】特開2005−266879公報
【特許文献2】特開2003−157414公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の発明は、ICカード内に記録された情報を表示する機能を有するだけである。情報表示の前後でICカードの価値が変化するものではない。
また、特許文献2に記載のICカードを含め、カード表面に書き換え可能に情報を表示する上述のICカードは、いずれも比較的長期にわたって情報を表示することを目的としたものであり、その表示面はリアルタイムで何らかのサービスを提供することは考慮されていない。
仮に、リアルタイムで表示面の書き換えを行うためには、書込装置を携帯する必要がある。この点、リライタブルマーキング式のICカードでは、大型の専用書込装置を携帯しなければならないという問題がある。また、ICカードにLCDと電池を実装するとカードの小型化が困難であり、コストが増大するといった問題がある。
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、ICカードの表示面を携帯可能な装置によって書き換えることにより、ICカードを介して様々なサービスを提供するとともに、カードホルダーから取り外された後のICカードの利用価値も高めることができるICカードホルダーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、電源が切断されてもデータ表示を継続可能な記憶性表示部及びID情報が記録されたメモリを備えたICカードを装着する装着部と、前記ICカードとの間でデータ転送及び電力供給を行うインターフェース回路と、装置全体の動作の制御を行うカードホルダーCPUと、ユーザーに対してサービスを提供するサービス用プログラム記憶するメモリと、前記ICカード装着時に前記記憶性表示部を視認可能な窓部と、を備えたICカードホルダーであって、前記ICカードホルダーが、前記ICカードから前記ID情報を読み出して、該ID情報に対応する前記サービス用プログラムに基づいて前記記憶性表示部に情報を表示することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、ホストコンピューターと通信を行う通信回路を備え、前記サービス用プログラムを前記ホストコンピューターからダウンロードすることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、前記インターフェース回路が電磁波を用いて非接触でデータ転送及び電力供給を行うことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、外部からの操作を受け付ける入力手段としてのタッチパネルを前記窓部に備えたことを特徴とする。
【0005】
請求項5に記載の発明は、音による情報提供を行うスピーカーを備えたことを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、振動による情報提供を行う振動装置を備えたことを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、前記ID情報を認証する認証装置を備えたことを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、前記サービス用プログラム終了時に、前記記憶性表示部に表示する情報に書き換えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ICカードを装着するICカードホルダーが駆動源を備えているので、ICカードを大型化することがない。そして、ICカードホルダーは、ICカードのID情報に従ってユーザーにサービスを提供するためのサービス提供用プログラムを動作させて、ICカードの表示面にリアルタイムにサービス内容を表示することができるので、ICカードを介して様々なサービスを提供することが可能となり、ICカードの価値を高めることができる。また、ICカードをICカードホルダーから取り外した後でも、ICカードに必要な情報が表示されて、利便性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
〔第一の実施形態〕
本発明の第一の実施形態について、図1に基づいて説明する。本実施形態においては、表示装置付きICカードの表示部を視認可能に保持するICカードホルダーの制御に基づいてICカードの表示を切り替えて、ICカード表面に様々な情報を表示することによりサービスの提供を可能とした点に特徴がある。
図1は、表示装置付きICカードと、ICカードが挿入されるICカードホルダーの外観図である。
図1(a)に示すように、表示装置付きICカード10(以下、単に「カード10」という。)は、内部にICチップ11と、表面に記憶性表示部17と、裏面にカードI/F16とを備えたカードである。また、ICカードホルダー20(以下、単に「ホルダー20」という。)は、ホルダー20本体に、カード10を出し入れする出入口Eと、カード10の挿入時に記憶性表示部17の内容を視認可能な窓部Wと、ホルダー20及びカード10に対してユーザーから指示を与えるための操作部22と、を備える。本実施形態における操作部22は、幾つかの操作ボタンから構成される。
また図1(b)は、ホルダー20の使用例を示す図である。図示するように、利用者が携帯可能な構成であり、例えば利用者の首に吊り下げて利用することができる。この状態で利用者は、カード10の記憶性表示部17に表示された内容を、ホルダー20に挿入した状態で窓部Wから視認可能である。
【0008】
図2は、本発明の第1の実施形態に係るカード10とホルダー20のハードウェア構成を示したブロック図である。
カード10に内蔵されたICチップ11は、カード10全体の動作の制御を行うCPU12と、カード10を動作させるプログラムとID情報とが記憶されているROM13と、プログラムの実行メモリとなるRAM14と、記憶性表示部17を制御する表示制御回路15と、ホルダー20との間でデータ転送を行うと共にホルダー20から電力供給を受けるカードI/F16と、電源が切断されてもデータ表示を継続できる特性を有する記憶性表示部17と、から構成される。
図1(a)のカード10aは、カードI/F16として接続用IC端子を備えており、いわゆる接触型のICカードである。しかし、カード10aとホルダー20との間の電力供給及びデータ伝送を、例えばRFID等で使用されている電磁波を用いた非接触方式により行うようにしてもよい。この場合、カードI/F16及び後述するホルダーI/F23は互いに物理的な接点を持たないので、接点の汚染・摩耗・変形による接触不良を防止することができ、カード10a及びホルダー20の耐久性を高めることができる。
記憶性表示部17は、電源が切断されてもデータ表示を継続できる特性を有している。例えば、電気泳動型、コレステリック液晶型など各種方式の記憶性表示媒体が存在するが、本発明にはいずれの記憶性表示媒体を用いても良い。
ROM13に記憶されているID情報は、カード10を特定するための識別情報であり、ICカード毎にユニークなID情報を記憶している。
【0009】
一方、ホルダー20は、ホルダー20全体の動作の制御を行うCPU21と、ホルダー20を動作させるプログラムが記憶されているROM24と、プログラムの実行メモリとなるRAM25と、ホルダー20及びカード10に対してユーザーから指示を与えるための操作部22と、カード10との間でデータ転送を行うと共にICカードに対して電力供給を行うホルダーI/F23と、駆動源となる電池26と、から構成される。
即ち、本発明の第1の実施形態に係るカード10とホルダー20は、予め決められたサービス用プログラムをROM24に記憶しておき、そのサービス用プログラムの範囲内でID情報に応じたプログラムを呼び出して、カード10の記憶性表示部17に表示する形態である。従って、サービス用プログラムはROM24に記憶された内容に限定されるため、サービス用プログラムの更新は、ROM24の内容を書き換えるか、或いは、ROM24を書き換え可能なROM(EEPROMやフラッシュメモリ等)により構成して、ホルダーI/F23を介して外部からダウンロードすることにより可能である。
【0010】
次に、このように構成されたカード10とホルダー20の動作について説明する。図3は、カード10とホルダー20の動作について示したフローチャートである。
カード10がホルダー20に装着されると、ホルダーI/F23を介してカード10に電源が供給されてカード10を起動する。ホルダー20はカード10の装着を検出し(ステップS1でYes)、CPU21がホルダーI/F23を通じて、ROM13に記憶されているID情報を読み出す(ステップS2)。読み出したID情報が、ホルダー20で対応しているものであると判断すると(ステップS3でYes)、そのID情報に対応したアプリケーションプログラムを選択して(ステップS4)起動し(ステップS5)、起動したプログラムに基づいて動作する。このプログラムは、ユーザーに対してサービスを提供するサービス用プログラムである。サービス用プログラムは、サービスを提供するために必要なサービス用情報を記憶性表示部17に表示させることができる。
【0011】
例えば、カード10が病院で使用する診察券カードであれば、ROM13には予めICカード種別がわかるような情報(例えば診察券カードである旨の識別情報)がID情報として記憶されている。そして、ID情報からカード10が病院の診察カードであると認識されると、ホルダー20は病院内で必要な案内サービスを行うサービス用プログラムをROM24から選択して起動する。サービス用プログラムは、受診科の窓口までの経路を案内する地図を記憶性表示部17に表示する。ユーザーは、記憶性表示部17に表示された内容を見ながら操作部22を操作して、必要な情報を選択して表示することができる。
なお、ROM13を書き換え可能なROMとし、ROM13内に受診科、受診日時等、サービスを提供するために必要な情報(サービス用情報)を記憶しておいてもよい。このようにすれば、サービス用プログラムが自動的にサービス用情報を読み出して、自動的に経路案内を開始することができる。また、受診科までの経路を案内する地図と共に受診時間を記憶性表示部17に表示することも可能である。
【0012】
また、例えばカード10が医師や看護師が日常的に身につけるカードであれば、記憶性表示部17にその日のスケジュールなどを表示する。
また、例えばカード10が一般企業において使用される来客者カードであれば、記憶性表示部17に会議室までの経路を案内する地図を表示する。あるいは、社員証カードであれば、その社員のスケジュールを表示する。
このようにホルダー20は、挿入されたカード10のID情報に基づいて、カード10保有者に応じたサービスを行うサービス用プログラムを実行する。
以上のように本実施形態によれば、表示装置付きICカードは、電源を備えていないのでICカードが大型化することがない。また、ICカードホルダーに装着するだけでID情報に従ったプログラムが動作するので、操作が簡便である。また、ICカードの表示部を介してユーザーは様々なサービスを受けることができ、ICカードの利用価値が高まる。また、ICカードホルダーは、表示装置を有していないので、ICカードホルダーの小型化を図ることができる。
【0013】
〔第二の実施形態〕
本発明の第二の実施形態について図4、図5に基づいて説明する。本実施形態においては、ホルダーが無線通信手段を備えた点に特徴がある。図4は、本発明の第二の実施形態に係るホルダー30のハードウェア構成を示すブロック図である。図4では、全ての構成要素が記載されており、各実施形態により構成が異なる。即ち、図4では、図2の第1の実施形態の構成に、無線通信回路31、ホストコンピューター32、スピーカー51、バイブレーター52、及び生体認証装置61が追加されている。
即ち、本発明の第2〜6の実施形態に係るカード10とホルダー30〜60は、ホストコンピューターからダウンロードされたサービス内容をRAM25に記憶し、そのサービス内容を呼び出して、カード10の記憶性表示部17に表示する形態である。従って、サービス内容はリアルタイムに変更することが可能であり、ホルダーとカードを特定のサービスに限定する必要がない。
【0014】
図5は、カード10とホルダー30の動作について示したフローチャートである。第一の実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
第二の実施形態では、無線通信回路31、及びホストコンピューター32が追加されている。図4に示すように、ホルダー30は、ホストコンピューター32との間で無線によるデータ通信を行う無線通信回路31を備えている。本実施形態において、ROM24には、アプリケーションプログラムが記憶されていない。つまり、ID情報を読み取ったホルダー30は、ユーザーにサービスを提供するために必要なサービス用プログラムをホストコンピューター32から受信して動作する。例えば、カード10が病院で使用する診察券カードであれば、受診科の窓口までの経路を案内するサービス用プログラムをホストコンピューター32から受信して起動する。
【0015】
次に、カード10とホルダー30の動作について説明する。図5に示すように、カード10がホルダー30に装着されると(ステップS1でYes)、CPU21はホルダーI/F23を通じてカード10のID情報を読み出す(ステップS2)。そして、ホストコンピューター32に接続する(ステップS11)。ホストコンピューター32との間で接続が確立すると、読み出したID情報をホストコンピューター32に送信する(ステップS12)。ホストコンピューター32はID情報を受け取ると、カード10、ホルダー20、ホストコンピューター32から構成されるサービス提供システムに対応しているIDかどうかを判断する(ステップS13)。対応しているIDであると判断すると(ステップS13でYes)、ホストコンピューター32は、そのID情報に対応したアプリケーションプログラムをホルダー30に送信する(ステップS14)。これを受信したホルダー30は(ステップS15)、受信したプログラムを起動して、ユーザーにサービスを行う(ステップS5)。
なお、ステップS13において、ホストコンピューター32が、サービス提供システムに対応したIDではないと判断すると(ステップS13でNo)、ホルダー30に対して、IDがシステムに非対応である旨の通知を行って、図5のフローを終了する。
【0016】
ホストコンピューター32からはサービス用プログラムのみならず、サービス用プログラム実行に必要なサービス用情報をダウンロードするようにしてもよい。具体的に第一の実施形態の診察券カードを例に挙げれば、ID情報に基づいて受診科、検査場所、検査時間等の情報をダウンロードしても良い。また、ROM13には、必要最低限のサービス用プログラムを保持しておき、追加的に必要となったサービス用プログラムのみをダウンロードするようにしてもよい。
このように、本実施形態によれば、ICカードのID情報に応じて必要なサービス用プログラムをその都度ホストコンピューターからダウンロードするので、カードホルダーにアプリケーションプログラムを記録しておく必要がなく、ICカードホルダーのROM領域を有効活用することかできる。また、ICカードにはID情報のみを保存しておくだけで良く、その他の情報は全てダウンロードにより対応できるので、ホストコンピューターでの情報の一元管理が可能になる。
【0017】
〔第三の実施形態〕
本発明の第三の実施形態について図4、図6に基づいて説明する。本実施形態においては操作部として、操作ボタンの代わりにタッチパネルを備えた点に特徴がある。図6はカード及びホルダーの外観図である。以下、第一及び第二の実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図4に示すように、ホルダー40は、操作部22としてタッチパネル41を備えている。また図6に示すように、ホルダー40は、カード10bの記憶性表示部17を視認可能な窓部Wにタッチパネル41を備えている。ハードウェアとしての操作ボタンを有していない分、上述の実施形態と比較して、窓部Wの領域が広くなっている。また、ホルダー40に装着されるカード10bも、窓部Wの領域に合わせて広い記憶性表示部17を有している。ホルダー40は、カード10bが挿入されたときに、タッチパネル41の下面に記憶性表示部17が位置するように設計されている。記憶性表示部17は、サービス用情報とともに操作ボタンを表示する。ユーザーは表示された操作ボタン上のタッチパネル41に触れることで、ホルダー40及びカード10bに動作指示を与えることができる。
このように本実施形態によれば、ホルダーはハードウェアとしての操作ボタンを備える必要が無くなるので、その分ホルダーの窓部を大きくすることができる。したがって、視認性の向上と表示される情報量の増加を図ることができる。
【0018】
〔第四の実施形態〕
本発明の第四の実施形態について図4に基づいて説明する。本実施形態におけるカードホルダーは、音による情報提供を行うスピーカーを備えた点に特徴がある。以下の説明では、第一乃至第三の実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図4に示すように、ホルダー50はスピーカー51を備えているので、ユーザーに対して音によるユーザーインターフェースを提供することができる。例えば、カード10が先の実施形態において例に挙げた診察券カードである場合には、受診科の窓口までの経路を音声ガイドによって案内することかできる。
また、スピーカー51とは別に、又はこれと合わせてバイブレーター52(振動装置)を備えて、振動によるユーザーインターフェースを提供しても良い。例えば、先ほどの診察券の例であれば、ホルダー50は、受診時間が近づいていることを振動により知らせることができる。
このように、本実施形態によれば、ユーザーに対して視覚的なユーザーインターフェースのみならず、音や振動といった各種ユーザーインターフェースを使ったアプリケーションを提供することができる。
【0019】
〔第五の実施形態〕
本発明の第五の実施形態について図4、図7、図8に基づいて説明する。本実施形態におけるカードホルダーは、生体認証装置を備えた点に特徴がある。図7は、本実施形態におけるカードホルダーの外観を示した図である。図8は、カードとホルダーの動作について示したフローチャートである。以下、第一乃至第四の実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
ホルダー60は、図4、図7に示すように、生体認証装置61を備えている。生体認証装置61としては、例えば指紋、静脈などの各種方式が存在し、本実施形態には、いずれの認証装置を用いることもできる。
カード10とホルダー60の動作について説明する。図8に示すように、カード10がホルダー60に装着されると(ステップS1でYes)、CPU21は、カード10のID情報を読み出す(ステップS2)。さらに、記憶性表示部17に生体認証データの入力を促すメッセージを表示する。ユーザーにより生体認証入力がなされると、先に読み出したID情報と生体認証データとの照合を行う(ステップS22)。そして、照合の結果、本人であることを確認すると、ID情報に対応したアプリケーションプログラムを選択して(ステップS4)起動する(ステップS5)。また、ステップS22においてID情報と生体認証データとの照合に失敗した場合には(ステップS22でNo)、認証に失敗した旨のエラーメッセージを表示してフローを終了する(ステップS23)。
このように本実施形態によれば、ICカードに記憶されたID情報に加えて、ユーザー固有の生体認証データを用いて照合し、ID情報と生体認証データとが照合できた場合にのみアプリケーションプログラムを起動するので、高いセキュリティーのアプリケーションの提供が可能になる。
【0020】
〔第六の実施形態〕
本発明の第六の実施形態について図9に基づいて説明する。本実施形態においては、カードホルダーから取り外す前に、起動中のアプリケーションプログラムを終了する旨を操作部から入力された場合にICカードの記憶性表示部の表示内容を書き換える点に特徴がある。
図9は、カードとホルダーの動作について説明するフローチャートである。なお、本実施形態においては、代表的にホルダー20を例にとって説明する。
アプリケーションプログラムが起動され(S31)、ユーザーが、ホルダー20に対して、起動中のアプリケーションプログラムを終了する旨を操作部22から入力すると(S32でYes)、ID情報内データを表示して(S33)、表示が完了すると(S34でYes)、ICカード10がホルダー20から外される(S35)。
本実施形態では、ICカード10をホルダー20から外しても、ICカード10に表示された情報は維持されるため、ユーザーはICカード10だけを携帯するだけで情報を利用できる。先の例で言うと、診察券であれば、次回の予約日をICカード10に表示することで、ホルダー20を病院に返却しても、その情報を保持しておくことができる。また、一般企業の社員証カードであれば、社内ではホルダー20と共に使用することで、スケジュール管理などのツールとして使用し、退社時にホルダー20から外す際に社員証としての社員データを表示することで、このICカード10だけで社員証として使用できる。
本発明によれば、ホルダーからICカードを外す際に、有用なデータが表示され、外した後でも、その表示データが保持されるため、ユーザーは継続的にデータを利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】ICカードとICカードホルダーの外観図であり、(a)は外観図、(b)は使用状態を示す図である。
【図2】第一の実施形態に係るICカードとICカードホルダーのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】第一の実施形態におけるICカードとICカードホルダーの動作について示したフローチャートである。
【図4】第二の実施形態に係るICカードホルダーのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図5】第二の実施形態におけるICカードとICカードホルダーの動作について示したフローチャートである。
【図6】第三の実施形態に係るICカードとICカードホルダーの外観図である。
【図7】第五の実施形態に係るICカードホルダーの外観を示した図である。
【図8】第五の実施形態におけるICカードとICカードホルダーの動作について示したフローチャートである。
【図9】第六の実施形態におけるICカードとICカードホルダーの動作について示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0022】
10、10a、10b…ICカード(カード)、11…ICチップ、12…CPU、13…ROM、14…RAM、15…表示制御回路、16…カードI/F、17…記憶性表示部、20…ICカードホルダー(ホルダー)、21…CPU、22…操作部、23…ホルダーI/F、24…ROM、25…RAM、26…電池、30…ホルダー、31…無線通信回路、32…ホストコンピューター、40…ホルダー、41…タッチパネル、50…ホルダー、51…スピーカー、52…バイブレーター、60…ホルダー、61…生体認証装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源が切断されてもデータ表示を継続可能な記憶性表示部及びID情報が記録されたメモリを備えたICカードを装着する装着部と、前記ICカードとの間でデータ転送及び電力供給を行うインターフェース回路と、装置全体の動作の制御を行うカードホルダーCPUと、ユーザーに対してサービスを提供するサービス用プログラム記憶するメモリと、前記ICカード装着時に前記記憶性表示部を視認可能な窓部と、を備えたICカードホルダーであって、
前記ICカードホルダーが、前記ICカードから前記ID情報を読み出して、該ID情報に対応する前記サービス用プログラムに基づいて前記記憶性表示部に情報を表示することを特徴とするICカードホルダー。
【請求項2】
ホストコンピューターと通信を行う通信回路を備え、前記サービス用プログラムを前記ホストコンピューターからダウンロードすることを特徴とする請求項1記載のICカードホルダー。
【請求項3】
前記インターフェース回路が電磁波を用いて非接触でデータ転送及び電力供給を行うことを特徴とする請求項1又は2記載のICカードホルダー。
【請求項4】
外部からの操作を受け付ける入力手段としてのタッチパネルを前記窓部に備えたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項記載のICカードホルダー。
【請求項5】
音による情報提供を行うスピーカーを備えたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項記載のICカードホルダー。
【請求項6】
振動による情報提供を行う振動装置を備えたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項記載のICカードホルダー。
【請求項7】
前記ID情報を認証する認証装置を備えたことを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項記載のICカードホルダー。
【請求項8】
前記サービス用プログラム終了時に、前記記憶性表示部に表示する情報に書き換えることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項記載のICカードホルダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−146296(P2010−146296A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−322849(P2008−322849)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】