説明

ICカード処理装置及び記録装置

【課題】 ICソケットをシールドしつつ、接触型ICカードの損傷を防止すること。
【解決手段】 ICチップの端子を表面上に露出させた接触型ICカードが挿入され、回
路基板52に配置されるICソケット61と、このICソケット61を回路基板52ごと
囲い、ICソケット61に対向する位置に細長のICカード挿入口121が形成された板
金からなるシールド部材とを備え、ICカード挿入口121の各長辺側縁部121a、1
21bには、接触型ICカードにおけるICチップの端子を避けた部分に対向して、接触
型ICカードを案内する案内片122a、122bが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触型ICカードが挿入されるICソケットを備えたICカード処理装置及
びICソケットを備えた記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ロール状の記録シートを収納する収納部を有する固定側ユニットと、この固定
側ユニットに開閉自在に支持される開閉側ユニットとを備え、収納部から搬送経路に繰り
出された記録シートに記録ヘッドによって画像を記録する記録装置が知られている(例え
ば、特許文献1参照)。この種の記録装置として、金銭処理装置などの外部装置から受信
した売上情報等のデータに基づいて、売上伝票や領収書等の記録シートに印字を行うもの
が知られている。
【特許文献1】特開2004−82721号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、上記記録装置において、売上伝票や領収書等の記録シートに記録される売上情報
などのデータを税務申告等のために記憶する記憶装置を備え、この記憶装置に記憶された
データを接触型ICカードにダウンロードする機能を搭載したいという要望が高まってい
る。
【0004】
そこで、上記記録装置に、接触型ICカードが挿入されるICソケットを備え、このI
Cソケットに挿入されたICカードにデータを書き込むように構成されたICカード処理
装置を搭載するものが提案されている。
【0005】
この種の記録装置では、例えば、外部の静電気又は電波ノイズによって、ICソケット
や、ICソケットが配置される回路基板上の各種電子部品、ICソケットに挿入されたI
CカードのICチップ等が破損してしまう恐れがあるので、ICソケットを回路基板ごと
板金で形成されるシールド部材で囲うのが好ましい。
【0006】
ところで、ICソケットをシールド部材で囲う場合、シールド部材においてICソケッ
トに対向する位置には、細長のICカード挿入口を形成しなければならないが、このIC
カード挿入口に接触型ICカードのICチップの端子が接触しないように、ICカード挿
入口の長辺側縁部の間隔を大きく形成してしまうと、シールド部材による遮蔽効果が低下
してしまうため、この間隔はできるだけ小さく形成しなければならない。しかし、ICチ
ップの端子は露出しているので、ICカード挿入口の長辺側縁部の間隔を小さくすると、
接触型ICカードのICチップの端子がICカード挿入口に接触し易くなり、このICカ
ード挿入口によって損傷する恐れがある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、接触型ICカー
ドの損傷を防止することができるICカード処理装置及び記録装置を提供することにある

【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、ICチップの端子を表面上に露出させた接触型I
Cカードが挿入されるICソケットと、このICソケットを回路基板ごと囲い、前記IC
ソケットに対向する位置に細長のICカード挿入口が形成された板金からなるシールド部
材とを備え、前記ICカード挿入口の各長辺側縁部には、前記接触型ICカードにおける
前記ICチップの端子を避けた部分に対向して、前記接触型ICカードを案内する案内片
が設けられていることを特徴とするものである。前記構成によれば、接触型ICカードを
ICソケットに挿入した際に、接触型ICカードのICチップの端子がICカード挿入口
の各長辺側縁部及び案内片に接触することなく、接触型ICカードが案内片により案内さ
れるので、接触型ICカードのICチップの端子の損傷を防止することができる。
【0009】
また、前記ICカード処理装置において、一方の長辺側縁部に設けられた案内片は、前
記接触型ICカードが表状態で挿入された場合に前記ICチップの端子を避けた接触型I
Cカードの表面に対向すると共に、他方の長辺側縁部に設けられた案内片は、前記接触型
ICカードが表裏反転された裏状態で挿入された場合に前記ICチップの端子を避けた接
触型ICカードの表面に対向するように構成されていることを特徴とするものである。前
記構成によれば、ユーザが誤って接触型ICカードを裏状態でICソケットに挿入した場
合でも、接触型ICカードのICチップの端子が、ICカード挿入口の各長辺側縁部及び
案内片に接触することはないので、接触型ICカードのICチップの端子の損傷を防止す
ることができる。
【0010】
また、前記ICカード処理装置において、前記案内片は、前記長辺側縁部に一体に連な
り、前記シールド部材の内側に折り曲げられて形成されることを特徴とするものである。
前記構成によれば、案内片を折り曲げて形成するだけでよいので、複雑な形状とならず、
簡単な構成で、接触型ICカードのICチップの端子の損傷を防止することができる。
【0011】
また、前記ICカード処理装置において、前記ICソケットは、回路基板に実装され、
この回路基板ごと前記シールド部材に囲われていることを特徴とするものである。前記構
成によれば、回路基板にICソケットが実装されているので、別途、ICソケットと回路
基板との配線作業やICソケットのシールド部材への取り付け作業を行わなくてもよく、
更に、回路基板上の各種電子部品もシールド部材によりシールドされ、このような構成の
ものにおいて、挿入される接触型ICカードのICチップの端子の損傷を防止することが
できるものである。
【0012】
記録ヘッドを備え、記憶装置に記憶されたデータに基づいて前記記録ヘッドにより記録
シートに画像を記録する記録装置において、ICチップの端子を表面上に露出させた接触
型ICカードが挿入され、前記記憶装置に記憶されているデータを前記ICチップに書き
込むか、或いは、前記ICチップからデータを読み出すICソケットと、このICソケッ
トを囲い、前記ICソケットに対向する位置に細長のICカード挿入口が形成された板金
からなるシールド部材とを備え、前記ICカード挿入口の各長辺側縁部には、前記接触型
ICカードにおける前記ICチップの端子を避けた部分に対向して、前記接触型ICカー
ドを案内する案内片が設けられていることを特徴とするものである。前記構成によれば、
接触型ICカードをICソケットに挿入した際に、接触型ICカードのICチップの端子
がICカード挿入口の各長辺側縁部及び案内片に接触することなく、接触型ICカードが
案内片により案内されるので、接触型ICカードのICチップの端子の損傷を防止するこ
とができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、接触型ICカードのICチップの端子がICカード挿入口の長辺側縁
部及び案内片に接触することなく、接触型ICカードが案内片により案内されるので、I
Cソケットをシールドしつつ、接触型ICカードのICチップの端子の損傷を防止するこ
とができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態にかかる記録装置としてのプリンタの外観を示す正面斜視図
であり、図2は、接触型ICカードが挿入された状態のプリンタの外観を示す正面斜視図
であり、図3は、プリンタを示す概略側断面図である。
【0016】
図1及び図2に示すように、プリンタ1は、その四周側面を覆う矩形枠状のプリンタケ
ース本体2と、プリンタ上面の前側部分を覆う前側開閉蓋3及び後側部分を覆う後側開閉
蓋4とを備え、これらによりプリンタケースが構成されている。このプリンタケースは、
プラスチック等の樹脂で形成されている。開閉蓋3、4の間の位置には、記録紙排出口5
が形成されている。
【0017】
このプリンタケースの下部には、ICカード処理装置100が設けられている。このI
Cカード処理装置100は、接触型ICカード200が挿入される挿入口102を前面に
有するケース101を備え、このケース101が不図示のねじ等でプリンタケースの下部
に固定されている。このケース101は、プリンタケースと同様にプラスチック等の樹脂
で形成されている。なお、接触型ICカード200の表面200aには、ICチップ20
1の金メッキされた端子202が露出している。この端子202は、ICチップ201の
全表面を覆って形成されている。なお、接触型ICカード200の基体は、プラスチック
等の樹脂で形成されている。
【0018】
上記後側開閉蓋4には、スライドボタン6が設けられ、このスライドボタン6を操作す
ると、そのロック機構(不図示)が外れて、当該後側開閉蓋4が、後方に跳ね上げられて
、開けることが可能になる。
【0019】
この後側開閉蓋4を開けると、記録シートとしての図3に示すロール状に巻かれた一定
幅の記録紙7(以下、「ロール紙」という。)を収納する収納部8が露出し、この収納部
8に収納されたロール紙7が交換可能になる。このロール紙7は、例えば、ロール状に巻
かれた売上伝票や領収書等である。
【0020】
また、前側開閉蓋3を開けると、インクリボンを収納したリボンカセット9を着脱可能
に装着するリボンカセット装着部10が露出し、リボンカセット9の交換などを行うこと
ができる。プリンタ1は、記録ヘッド20を備え、この記録ヘッド20のヘッド面20a
に対向してプラテン21が配置されている。この記録ヘッド20は、ドットインパクト方
式の記録ヘッドであり、複数の記録ワイヤ(不図示)を備え、これら記録ワイヤをヘッド
面20aから選択的に突出させてプラテン21上に搬送されたロール紙7にリボンカセッ
ト9から繰り出されたインクリボンを介して画像を記録するものである。
【0021】
上記プリンタケースには、プリンタユニット11が内蔵され、このプリンタユニット1
1は、固定側ユニット12と、この固定側ユニット12に設けられた収納部8を開閉可能
に固定側ユニット12に支持される開閉側ユニット13とを備えて構成されている。固定
側ユニット12には、前側開閉蓋3が固定され、開閉側ユニット13には、後側開閉蓋4
が固定されている。
【0022】
この開閉側ユニット13は、固定側ユニット12の後端部分に設けられた回転中心軸3
6を中心として上下に揺動可能な状態で支持されている。
【0023】
固定側ユニット12は、鉄製の板金で形成された本体フレーム40を備えており、この
本体フレーム40の前側部分にはキャリッジガイド軸23が幅方向に架け渡されている。
このキャリッジガイド軸23には、記録ヘッド20を搭載したヘッドキャリッジ22が往
復移動可能な状態で支持されている。また、本体フレーム40には、リボンフレーム41
が装着されている。
【0024】
開閉側ユニット13は、鉄製の板金で形成された開閉フレーム42を備えている。この
開閉フレーム42の後端部分が、本体フレーム40に固定された回転中心軸36の両端部
分によって回転自在に支持されている。これら本体フレーム40及び開閉フレーム42に
より、プリンタフレームが構成されている。
【0025】
本体フレーム40後側の部分には、側方から見た場合に上方に開口した円弧状の底面を
備えた収納部8が形成されている。本体フレーム40は、ベースフレーム40aと、この
ベースフレーム40aの両端に立設される一対のサイドフレーム(不図示)とを備えてい
る。
【0026】
収納部8に収納されたロール紙7は、収納部8の前端部分(収納部8の下流)に配置さ
れているガイドローラ14を介して記録紙搬送路15に導かれる。この記録紙搬送路15
は、前方に向けて上方に僅かに傾斜している搬送路部分16と、この搬送路部分16の前
端から上方に大きな傾斜角度で立ち上がっている前方傾斜路部分17と、この前方傾斜路
部分17の上端から後方に向けて傾斜して記録紙排出口5に繋がっている後方傾斜路部分
18とを備えて構成される。なお、図3においてはロール紙7を二点鎖線で示してある。
【0027】
記録紙搬送路15の搬送路部分16は、一対の搬送ガイド16a、16bにより形成さ
れる。詳細に説明すると、固定側ユニット12の収納部8に連なる固定側の搬送ガイド1
6bと、開閉側ユニット13を閉じた状態で固定側の搬送ガイド16bに対向するように
開閉側ユニット13に設けられる開閉側の搬送ガイド16aとにより記録紙搬送路15の
搬送路部分16が形成される。
【0028】
この搬送路部分16に続く前方傾斜路部分17は、記録ヘッド20のヘッド面20aと
、これに対して一定間隔で対向しているプラテン21とによって規定されており、記録ヘ
ッド20により画像が記録される記録位置となっている。記録ヘッド20は、そのヘッド
面20aが後ろ向きで、上方に傾斜した姿勢で配置されている。記録ヘッド20の傾きに
対応させて、プラテン21の表面は前方に向けて下方に傾斜した状態に配置されている。
記録ヘッド20は、ヘッドキャリッジ22に搭載されており、ヘッドキャリッジ22は、
キャリッジガイド軸23に沿って紙幅方向と同一方向に往復移動可能となっている。
【0029】
ヘッドキャリッジ22の上側には、リボンカセット装着部10が形成されている。当該
リボンカセット装着部10も後方に向けて上側に向かうように傾斜配置されている。従っ
て、ここに装着したリボンカセット9のインクリボンは、記録ヘッド20とプラテン21
との間に、これらと平行となるようにセット可能である。
【0030】
前方傾斜路部分17に連続している後方傾斜路部分18は、プラテン21の上端から後
方に向けて折れ曲がった方向に延びているガイド板28によって規定されている。この後
方傾斜路部分18には、紙送りローラ25と、紙押さえローラ26とを備えた紙送り機構
が配置されている。ロール紙7は、紙送りローラ25と紙押さえローラ26の間に挟まれ
、不図示の駆動源によって紙送りローラ25を回転することによって記録紙搬送路15に
沿って搬送される。
【0031】
記録紙排出口5の近傍には、ロール紙7を切断するための鋏式の自動切断ユニット30
が配置されている。この自動切断ユニット30は、ロール紙7の搬送経路を挟み、前側に
配置された固定刃31と、後側に配置された可動刃32と、可動刃32を動作させるため
の駆動機構33とを備えている。可動刃32及び駆動機構33はケース34に内蔵されて
いる。固定刃31と可動刃32との間にあるロール紙7は、可動刃32が固定刃31の上
面を摺動することによって切断される。また、記録紙排出口5の前縁部分には手動操作に
よりロール紙7を切断可能な切断刃35が取り付けられている。
【0032】
このプリンタユニット11では、ロール紙7の交換作業などを簡単に行うことができる
ように、ロール紙7を収納する収納部8を閉塞している後側開閉蓋4を開けると、収納部
8と共に、記録紙搬送路15も開放状態となるように構成されている。そのために、固定
側ユニット12には、記録紙搬送路15を構成する一方の構成部品を取り付け、移動側で
ある開閉側ユニット13には後側開閉蓋4と、記録紙搬送路15を構成する他方の構成部
品とを取り付け、開閉側ユニット13を開くと、収納部8及び固定側の搬送ガイド16b
が露出されるようになっている。
【0033】
固定側ユニット12は、収納部8、搬送路部分16の固定側の搬送ガイド16b、記録
ヘッド20、紙押さえローラ26及び自動切断ユニット30の固定刃31を備えている。
また、開閉側ユニット13は、搬送路部分16の搬送ガイド16a、前方傾斜路部分17
のプラテン21及び後方傾斜路部分18のガイド板28と、紙送りローラ25と、自動切
断ユニット30の可動刃32及び駆動機構33とを備えている。この可動刃32が何らか
の故障で切断状態、つまり可動刃32が固定刃31と交叉状態で停止されたときであって
も、可動刃32が固定刃31の上側に位置するので、開閉側ユニット13は、移動可能と
なる。
【0034】
このように、開閉側ユニット13を全開にすると、上方からロール紙7を収納部8に落
とし込むという簡単な操作によりロール紙7を収納できる。また、記録紙搬送路15が開
放状態になっているので、記録紙搬送路15に沿ってロール紙7を配置する操作も極めて
簡単である。更に、開閉側ユニット13を閉じて図3に示す状態に戻すと、ロール紙7が
記録ヘッド20とプラテン21の間、及び紙送りローラ25と紙押さえローラ26の間を
通って記録紙排出口5から引き出された状態が自動的に形成される。
【0035】
本体フレーム40のベースフレーム40aの下方には、プリンタ1全体を制御するプリ
ンタ制御回路基板51が配置されている。このプリンタ制御回路基板51の下方には、プ
リンタ制御回路基板51にケーブル53で接続され、ICカード処理装置100を制御す
るフィスカル回路基板52が配置されている。このフィスカル回路基板52には、接触型
ICカード200が挿入されるICソケット61が実装されている。このICソケット6
1は、当該ICソケット61を実装したフィスカル回路基板52ごと、板金で形成された
シールド部材120によって囲われている。従って、別途、ICソケット61とフィスカ
ル回路基板52との配線作業やICソケット61のシールド部材120への取り付け作業
を行わなくてもよい。
【0036】
このICソケット61は、接触型ICカード200が表状態で挿入された場合にICチ
ップ201にデータを書き込むことが可能であり、接触型ICカード200が裏状態で挿
入された場合には、ICチップ201にデータを書き込むことはできない。
【0037】
図4は、各回路基板51、52上の主要構成を示すブロック図である。
フィスカル回路基板52には、挿入された接触型ICカード200のICチップ201
にデータを書き込むICソケット61及びこのICソケット61を駆動するICソケット
駆動回路62等の電子部品が実装され、プリンタ制御回路基板51には、プリンタ1の各
部(記録ヘッド20、ヘッドキャリッジ22のモータ、紙送りローラ25のモータ、自動
切断ユニット30の駆動機構33等)を駆動する駆動回路72、及びこの駆動回路72と
フィスカル回路基板52上のICソケット駆動回路62を制御するマイクロコンピュータ
73等の電子部品が実装される。
【0038】
マイクロコンピュータ73は、CPU73a、ROM73b、RAM73c及びEEP
ROM73dを備えている。
CPU73aは、ROM73bに記憶された制御プログラムに従ってプリンタ1の動作
を制御する。ROM73bには、制御プログラムなどが記憶されている。RAM73cは
、CPU73aが読み出した制御プログラムなどが一時的に格納される。EEPROM7
3dには、不図示の金銭処理装置(外部装置)から取り込んだ、売上伝票や領収書等のロ
ール紙7に記録する売上情報等のデータが記憶される。
【0039】
このマイクロコンピュータ73には、接触型ICカード200がICソケット61に挿
入された場合に、EEPROM73dに記憶したデータを、接触型ICカード200のI
Cチップ201にダウンロードする(書き込む)機能が備えられている。
【0040】
図5及び図6は、ICカード処理装置100の展開斜視図である。
ICカード処理装置100は、板金が略コ字形状に折り曲げられて一体に形成された3
つの側板103a、103b、103cと、板金が略L字形状に折り曲げられて一体に形
成された側板103d及び底板103eとを備え、これら側板103a〜103d、底板
103eで構成される箱体103がケース101の内部に配置される。
【0041】
左右の側板103b、103cには、ケース101にねじ111で固定される複数のね
じ固定部104が設けられ、底板103eには、側板103b、103cにねじ112で
固定するための複数のねじ孔105が設けられている。これらねじ111、112により
、ケース101及び箱体103が一体に固定される。このようにして、ケース101の内
部には、上方が開放した板金の箱体103が固定される。ここで、この箱体103内部に
は、フィスカル回路基板52が配置され、このフィスカル回路基板52が側板103b、
103cに形成された複数のねじ固定部106に下方からねじ113で固定される。
【0042】
ICソケット61の下部には、図6に示すように、不図示の非接触型ICカードのIC
チップよりデータを読み込んだり書き込むことが可能なカードリードライト装置63が設
けられ、底板103eのカードリードライト装置63に対向する部分には、板金の蓋体1
07(図3参照)で閉塞可能な開口108が形成されている。
【0043】
このICカード処理装置100が、図3に示すように、プリンタケースの下部に固定さ
れることで、箱体103の上方が板金で形成されたベースフレーム40aで閉塞される。
つまり、プリンタ制御回路基板51とフィスカル回路基板52とが鉄製の板金で形成され
た箱体103とベースフレーム40aとを有するシールド部材120で囲われることとな
る。
【0044】
さて、図5及び図6に示すように、前方の側板103aには、ケース101の挿入口1
02に対向すると共に、フィスカル回路基板52に配置されたICソケット61に対向す
るICカード挿入口121が形成されている。つまり、図7に示すように、接触型ICカ
ード200は、ケース101の挿入口102を通じ、シールド部材120のICカード挿
入口121を通じてICソケット61に挿入されることとなる。
【0045】
このICカード挿入口121は、図5及び図6に示すように、細長の略矩形状に形成さ
れ、このICカード挿入口121の各長辺側縁部121a、121bには、接触型ICカ
ード200をICソケット61に案内する複数(本実施形態では、それぞれ2つ)の案内
片122a、122bが設けられている。
【0046】
各案内片122a、122bは、各長辺側縁部121a、121bに連なってICカー
ド挿入口121の内側に向かって延びると共に、シールド部材120の内側に折り曲げら
れて形成されている。つまり、一方の長辺側縁部121aには、2つの案内片122aが
他方の長辺側縁部121bに向かって延びると共に、シールド部材120の内側に折り曲
げられて形成され、他方の長辺側縁部121bには、2つの案内片122bが一方の長辺
側縁部121aに向かって延びると共に、シールド部材120の内側に折り曲げられて形
成されている。従って、これら案内片122a、122bによってICカード挿入口12
1を通過する接触型ICカード200は、案内片122a、122bに接触することはあ
っても、長辺側縁部121a、121bのいずれにも接触することはない。
【0047】
図8は、案内片122a、122bが形成される前のICカード挿入口121の平面図
である。両長辺側縁部121a、121bには、案内片122a、122bとなる舌片1
22a−1、122b−1が長手方向に千鳥状に形成されている。更に、各舌片122a
−1、122b−1の長さLは、長辺側縁部121a、121b間の距離Wの半分の長さ
よりも長く設定されている。つまり、一方の長辺側縁部121aに形成された案内片12
2aと、他方の長辺側縁部121bに形成された案内片122bとは、千鳥配列となるよ
うに配置されている。このように、千鳥配列とすることで、各舌片122a−1、122
b−1の長さLを案内片122a、122bを形成するのに必要な長さ以上にするために
長辺側縁部121a、121b間の距離Wを大きく設定する必要がない。従って、長辺側
縁部121aと長辺側縁部121bとの間の距離Wを小さくすることができ、シールド部
材120によって効果的に静電気及び電波ノイズを遮蔽することができる。
【0048】
図9は、ICソケット61に接触型ICカード200が表状態で挿入された場合を示す
、フィスカル回路基板52、及びICソケット61を省略したICカード処理装置100
の部分上面図である。
【0049】
一方の長辺側縁部121aに形成された2つの案内片122aは、接触型ICカード2
00が表状態で挿入された場合にICチップ201の端子202を避けた接触型ICカー
ド200の表面200aに対向するように構成されている。
【0050】
つまり、長辺側縁部121aに形成された案内片122aは、接触型ICカード200
におけるICチップ201の端子202を避けた部分に対向しているので、案内片122
aは、接触型ICカード200の表面200aにおいて、ICチップ201の端子202
以外の部分に接触することはあっても、ICチップ201の端子202に接触することは
ない。
【0051】
なお、この場合、他方の長辺側縁部121bに形成された案内片122bは、接触型I
Cカード200の裏面200bに対向するので、表面200aに露出したICチップ20
1の端子202に接触することはない。
【0052】
従って、接触型ICカード200をICソケット61に挿入した際に、接触型ICカー
ド200のICチップ201の端子202がICカード挿入口121の長辺側縁部121
a及び案内片122aに接触することなく、接触型ICカード200が案内片122a、
122bにより案内されるので、接触型ICカード200のICチップ201の端子20
2の損傷を防止することができる。
【0053】
図10は、ICソケット61に接触型ICカード200が裏状態で挿入された場合を示
す、フィスカル回路基板52、及びICソケット61を省略したICカード処理装置10
0の部分上面図である。つまり、ユーザが誤って接触型ICカード200を表裏反転させ
た裏状態でICソケット61に挿入してしまった場合を示している。
【0054】
他方の長辺側縁部121bに形成された2つの案内片122bは、接触型ICカード2
00が裏状態で挿入された場合にICチップ201の端子202を避けた接触型ICカー
ド200の表面200aに対向するように構成されている。
【0055】
つまり、長辺側縁部121bに形成された案内片122bは、接触型ICカード200
におけるICチップ201の端子202を避けた部分に対向しているので、案内片122
bは、接触型ICカード200の表面200aにおいて、ICチップ201の端子202
以外の部分に接触することはあっても、ICチップ201の端子202に接触することは
ない。
【0056】
なお、この場合、一方の長辺側縁部121aに形成された案内片122aは、接触型I
Cカード200の裏面200bに対向するので、表面200aに露出したICチップ20
1の端子202に接触することはない。
【0057】
従って、ユーザが誤って接触型ICカード200を表裏反転させてICソケット61に
挿入した場合であっても、接触型ICカード200のICチップ201の端子202がI
Cカード挿入口121の長辺側縁部121b及び案内片122bに接触することはなく、
接触型ICカード200が案内片122a、122bにより案内されるので、接触型IC
カード200のICチップ201の端子202の損傷を防止することができる。
【0058】
以上、一実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は、これに限定されるもので
はない。例えば、上記実施形態では、ドットインパクト式の記録ヘッド20を備えたプリ
ンタに関するものであるが、記録ヘッドとしてインクジェットヘッドを用いたプリンタに
対しても本発明を同様に適用可能である。更に、記録ヘッドとしてサーマルヘッドのよう
な接触型のものを用いたプリンタに対しても適用可能である。
【0059】
また、上記実施形態では、一方の長辺側縁部121aに2つの案内片122aを設け、
他方の長辺側縁部121bに2つの案内片122bを設ける場合について説明したが、接
触型ICカード200を案内する機能を果たせば案内片の数をこの数に限定するものでは
なく、一方の長辺側縁部121aに、1つ或いは3つ以上の案内片を設ける場合であって
もよいし、他方の長辺側縁部121bに、1つ或いは3つ以上の案内片を設ける場合であ
ってもよい。この場合、各案内片は、ICチップの端子に接触しないように配置されてい
ればよい。
【0060】
また、上記実施形態では、記憶装置としてマイクロコンピュータ73のEEPROM7
3dを用いた場合について説明したが、これに限るものではなく、コンピュータによりデ
ータの書き換え可能な記憶装置であればよく、例えば、HDD(Hard Disk Drive)装置
等であってもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、記憶装置としてのEEPROM73d内のデータを、ICソ
ケット61により接触型ICカード200のICチップ201に書き込む場合について説
明したが、これに限るものではなく、接触型ICカード200のICチップ201に書き
込まれているデータを、ICソケット61により読み出す場合であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施形態にかかる記録装置としてのプリンタの外観を示す正面斜視図である。
【図2】接触型ICカードが挿入された状態のプリンタの外観を示す正面斜視図である。
【図3】プリンタを示す概略側断面図である。
【図4】各回路基板上の主要構成を示すブロック図である。
【図5】ICカード処理装置の展開斜視図である。
【図6】ICカード処理装置の展開斜視図である。
【図7】ICカード処理装置の要部を示す部分側断面図である。
【図8】案内片が形成される前のICカード挿入口の平面図である。
【図9】表状態で挿入された接触型ICカードを含むICカード処理装置の部分上面図である。
【図10】裏状態で挿入された接触型ICカードを含むICカード処理装置の部分上面図である。
【符号の説明】
【0063】
1…プリンタ(記録装置)、7…ロール紙(記録シート)、8…収納部、20…記録ヘ
ッド、21…プラテン、40a…ベースフレーム(シールド部材)、52…フィスカル回
路基板(回路基板)、61…ICソケット、73…マイクロコンピュータ、73d…EE
PROM(記憶装置)、100…ICカード処理装置、101…ケース、103…箱体(
シールド部材)、120…シールド部材、121…ICカード挿入口、121a,121
b…長辺側縁部、122a,122b…案内片、200…接触型ICカード、200a…
表面、201…ICチップ、202…端子。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICチップの端子を表面上に露出させた接触型ICカードが挿入されるICソケットと
、このICソケットを回路基板ごと囲い、前記ICソケットに対向する位置に細長のIC
カード挿入口が形成された板金からなるシールド部材とを備え、
前記ICカード挿入口の各長辺側縁部には、前記接触型ICカードにおける前記ICチ
ップの端子を避けた部分に対向して、前記接触型ICカードを案内する案内片が設けられ
ていることを特徴とするICカード処理装置。
【請求項2】
一方の長辺側縁部に設けられた案内片は、前記接触型ICカードが表状態で挿入された
場合に前記ICチップの端子を避けた接触型ICカードの表面に対向すると共に、他方の
長辺側縁部に設けられた案内片は、前記接触型ICカードが表裏反転された裏状態で挿入
された場合に前記ICチップの端子を避けた接触型ICカードの表面に対向するように構
成されていることを特徴とする請求項1に記載のICカード処理装置。
【請求項3】
前記案内片は、前記長辺側縁部に一体に連なり、前記シールド部材の内側に折り曲げら
れて形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のICカード処理装置。
【請求項4】
前記ICソケットは、回路基板に実装され、この回路基板ごと前記シールド部材に囲わ
れていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のICカード処理装置。
【請求項5】
記録ヘッドを備え、記憶装置に記憶されたデータに基づいて前記記録ヘッドにより記録
シートに画像を記録する記録装置において、
ICチップの端子を表面上に露出させた接触型ICカードが挿入され、前記記憶装置に
記憶されているデータを前記ICチップに書き込むか、或いは、前記ICチップからデー
タを読み出すICソケットと、
このICソケットを囲い、前記ICソケットに対向する位置に細長のICカード挿入口
が形成された板金からなるシールド部材とを備え、
前記ICカード挿入口の各長辺側縁部には、前記接触型ICカードにおける前記ICチ
ップの端子を避けた部分に対向して、前記接触型ICカードを案内する案内片が設けられ
ていることを特徴とする記録装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−178577(P2006−178577A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−368873(P2004−368873)
【出願日】平成16年12月21日(2004.12.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】