説明

ICコイン処理装置

【課題】ICコインに対するデータの読み取りと書き込みが迅速化でき、装置のコンパクト化と小型化に適した構成とする。
【解決手段】ステッピングモータ21で往復回転する縦方向支持の円盤状ロータ23、このロータのICコイン受け入れ部22のICコインの金額情報の読み取りと残額情報をICコインに書き込むリードライト部25、残額ゼロのICコイン貯留部26、残額情報のICコイン返却部27、待機位置にあるICコイン受け入れ部に対応してリードライト部をロータに対して配置し、円盤状ロータの回転によってICコイン返却部とICコイン貯留部へICコインを搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機において遊技するために使用されるICコインの金額情報の読み取り、遊技終了後の残額の書き込み等を行うICコイン処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機やスロットルマシン等の遊技機が複数台併設された遊技施設において、これら遊技機で使用されるパチンコ玉やメダル等の遊技媒体を貸し出す貸出機が、これら遊技機間に設置されており、遊技客が、この貸出機へ磁気式プリペイドカードを挿入して、パチンコ玉やメダル等の遊技媒体の貸し出しを受けるようになっていたが、この磁気式プリペイドカードに代わって、ICコインが採用されている。
【0003】
このICコインは、概観形状が円盤状のコイン型をしており、合成樹脂製であって、演算処理装置であるCPUや、プCPUが動作するプログラムを記憶するROMや、金額データやIDコード等のデータを記憶するRAM等を備えたICモジュールが内蔵されている。
【0004】
このようなICコインを貸出機に使用するものとして、投入されたICコインの金額データ、残度数データ、ID番号等の管理データを非接触方式によって読み取るリードライト部をICコインの投入口部分に配置し、リードライト部で読み取ったICコインは、残度数がないもの及び読み取りエラーが生じたものは、ICコイン返却経路から遊技客へ返却される。また、リードライト部で読み取ったICコインに残度数がある場合は、リードライト部の後方にあるICコイン収納部に収納されるが、この収納部が満杯のときは排出経路へ導入され、再利用を図る。また、返却スイッチが押されたとき、残度数がある場合は、ICコイン収納部のICコインがリードライト部へ搬送され、その残度数が書き込まれた後、そのICコインは、下方のメイン搬送経路から返却経路を経て、返却口から遊技客へ返却される。このようものが公知である。(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−232048号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1のものは、投入したICコインは、リードライト部で読み取った後、リードライト部の後方にあるICコイン収納部に収納され、遊技終了によって返却スイッチが押されたとき、残度数がある場合は、ICコイン収納部のICコインがリードライト部へ搬送されて、その残度数が書き込まれる仕組みである。このため、読み取り後の収納と書き込み時の再搬送が必要となり、その分の時間が長くなる。また、ICコイン収納部の下方へメイン搬送経路を形成し、この下端で返却経路と排出経路に分岐したため、装置が大きくなる傾向がある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みて、ICコインに対するデータの読み取りと書き込みの処理が迅速化でき、装置のコンパクト化と小型化に適した構成とし、遊技機間に設置される横幅の狭い遊技媒体貸出機に内蔵することに適したICコイン処理装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明のICコイン処理装置は、ICコイン挿入部へ挿入されたICコインを受け入れて、ICコインに記憶された金額情報の読み取り、ICコインへの金額情報の書き込み、ICコインの返却等を行うICコイン処理装置であって、ステッピングモータで往復回転駆動されるように縦方向に支持され1個のICコインを受け入れ保持するICコイン受け入れ部を備えた円盤状ロータと、前記ICコイン挿入部へ挿入されたICコインを前記ICコイン受け入れ部へ導くICコイン導入部と、前記挿入されたICコインの金額情報の読み取りと遊技後の残額情報をICコインに書き込むリードライト部と、遊技後の残額ゼロのICコインを貯留するICコイン貯留部と、遊技後の残額情報を持つICコインを顧客へ返却するICコイン返却部を備え、前記円盤状ロータの待機位置は前記ICコイン受け入れ部が前記ICコイン導入部に対応した位置であり、前記円盤状ロータの待機位置にある前記ICコイン受け入れ部に対応して前記リードライト部が配置され、前記円盤状ロータの回転によって、前記ICコイン返却部又は前記ICコイン貯留部へ前記ICコイン受け入れ部の該当するICコインを搬送することを特徴とする。
【0008】
第2発明は、第1発明において、前記ICコイン返却部は、前記円盤状ロータの回転によって前記ICコイン受け入れ部のICコインが自体で下方へ移動する位置に設けられたことを特徴とする。
【0009】
第3発明は、第1発明又は第2発明において、前記ICコイン貯留部が前記円盤状ロータの一方向回転側に設けられ、前記ICコイン返却部が前記円盤状ロータの逆方向回転側に設けられたことを特徴とする。
【0010】
第4発明のICコイン処理装置は、ICコイン挿入部へ挿入されたICコインを受け入れて、ICコインに記憶された金額情報の読み取り、ICコインへの金額情報の書き込み、ICコインの返却等を行うICコイン処理装置であって、ステッピングモータで往復回転駆動されるように縦方向に支持され1個のICコインを受け入れ保持するICコイン受け入れ部を備えた円盤状ロータと、前記ICコイン挿入部へ挿入されたICコインを前記ICコイン受け入れ部へ導くICコイン導入部と、前記挿入されたICコインの金額情報の読み取りと遊技後の残額情報をICコインに書き込むリードライト部と、遊技後の残額ゼロのICコインを貯留するICコイン貯留部と、遊技後の残額情報を持つICコインを顧客へ返却するICコイン返却部と、前記リードライト部での金額情報の読み取り不良又は書き込み不良のICコインを排出する不良ICコイン排出部と、前記ICコイン貯留部が満杯のとき遊技後の残額ゼロのICコインを所定のストック場所へ導入するストック導入部を備え、前記円盤状ロータの待機位置は前記ICコイン受け入れ部が前記ICコイン導入部に対応した位置であり、前記円盤状ロータの待機位置にある前記ICコイン受け入れ部に対応して前記リードライト部が配置され、前記円盤状ロータの回転によって、前記ICコイン貯留部、前記ICコイン返却部、不良ICコイン排出部、ストック導入部の何れかへ前記ICコイン受け入れ部の該当するICコインを搬送することを特徴とする。
【0011】
第5発明は、第4発明において、前記ICコイン貯留部が前記円盤状ロータの一方向回転側に設けられ、前記ICコイン返却部、不良ICコイン排出部、ストック導入部が、前記円盤状ロータの逆方向回転側に設けられたことを特徴とする。
【0012】
第6発明は、第4発明又は第5発明において、前記ICコイン返却部、前記不良ICコイン排出部、前記ストック導入部は、前記円盤状ロータの回転によって前記ICコイン受け入れ部のICコインが自体で下方へ移動する位置に設けられたことを特徴とする。
【0013】
第7発明は、第4発明又は第6発明において、前記ICコイン受け入れ部の入口は常時開放しており、前記ICコイン返却部、前記不良ICコイン排出部、前記ストック導入部のそれぞれの入口には、それらの入口を閉じるシャッタが配置され、前記円盤状ロータの回転によって前記ICコイン受け入れ部がそれらの入口のうちの一つに対応して停止した位置の入口の前記シャッタがソレノイドによって開放状態となる特徴とする。
【0014】
第8発明は、第1発明乃至第7発明において、遊技媒体貸出機への貨幣の挿入に基づき、前記円盤状ロータが回転して、前記ICコイン貯留部のICコイン1個が前記ICコイン受け入れ部に保持されると共に、前記リードライト部において前記貨幣金額相当の金額情報の書き込みを行うことを特徴とする。
【0015】
第9発明は、第1発明乃至第8発明において、前記ICコイン導入部には、前記ICコイン受け入れ部へ導入されるICコインの個数が、1回の遊技ごとに1個となるように制限する装置を設けたことを特徴とする。
【0016】
第10発明は、第1発明乃至第9発明において、前記ICコイン貯留部は、前記円盤状ロータの回転中心軸線と並行方向に向かって複数のICコインが積層状態で貯留されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
第1の発明では、円盤状ロータの回転によって、遊技後の残額ゼロのICコインはICコイン貯留部へ搬送され、遊技後の残額情報を持つICコインは顧客へ返却するべくICコイン返却部へ搬送されるため、ICコイン貯留部とICコイン返却部へのICコインの搬送路が円形経路となり、これらを縦方向に形成するものに比して小型化できる。また、円盤状ロータの待機位置が、ICコイン受け入れ部がICコイン導入部に対応した位置であり、この待機位置におけるICコイン導入部に対応してリードライト部が配置されている。これによって、遊技のために挿入されたICコインが待機位置に留まった状態で、そのICコインから金額情報等の読み取りと、遊技後の金額情報の書き込みが行えることとなり、ICコインを往復させてこれらの動作を行うものに比してスピーディーとなり、顧客の待ち時間も短くできる。このため、ICコインに対する金額情報等の読み取りと書き込みの処理が迅速化でき、装置のコンパクト化と小型化に適した構成となり、遊技機間に設置される横幅の狭い遊技媒体貸出機に内蔵することに適したICコイン処理装置を提供することができる。
【0018】
第2発明では、第1発明の効果に加えて、円盤状ロータの回転によって、ICコイン受け入れ部がCコイン返却部へ対応する位置になったとき、ICコイン自体でもってICコイン返却部へ移動することにより、駆動力なしにICコインの返却がスムースに行えるものとなる。
【0019】
第3発明では、第1発明又は第2発明の効果に加えて、ICコイン返却部を円盤状ロータの中心よりも下部領域に配置し、ICコイン貯留部を円盤状ロータの中心よりも上部領域に配置することによって、ICコイン受け入れ部がICコイン返却部に対応した状態では、ICコイン自体が転動又はスライドでもって移動できることとなり、駆動力なしにICコインの返却がスムースに行えるものとなる。また、縦方向に支持され円盤状ロータによってICコインを目的の位置へ搬送する方式において、複数枚のICコインを貯えるためのICコイン貯留部の配置がICコイン返却部とは遠くなり、ICコイン返却部による配置制限を受けることなく、小型化を達成する設計が容易となる。
【0020】
第4発明では、円盤状ロータの回転によって、ICコイン貯留部、ICコイン返却部、不良ICコイン排出部、ストック導入部の何れかへ該当するICコインを搬送する搬送路が円形経路となり、これらを縦方向に形成するものに比して小型化できる。また、円盤状ロータの待機位置が、ICコイン受け入れ部がICコイン導入部に対応した位置であり、この待機位置におけるICコイン導入部に対応してリードライト部が配置されている。これによって、遊技のために挿入されたICコインが待機位置に留まった状態で、そのICコインから金額情報等の読み取りと、遊技後の金額情報の書き込みが行えることとなり、ICコインを往復させてこれらの動作を行うものに比してスピーディーとなり、顧客の待ち時間も短くできる。このため、ICコインに対する金額情報等の読み取りと書き込みの処理が迅速化でき、装置のコンパクト化と小型化に適した構成となり、遊技機間に設置される横幅の狭い遊技媒体貸出機に内蔵することに適したICコイン処理装置を提供することができる。
【0021】
第5発明では、第4発明の効果に加えて、縦方向に支持され円盤状ロータによってICコインを目的の位置へ搬送する方式において、複数枚のICコインを貯えるためのICコイン貯留部の配置が、ICコイン返却部、不良ICコイン排出部及びストック導入部から遠くなり、これらの部分による配置制限を受けることなく、小型化を達成する設計が容易となる。
【0022】
第6発明では、第4発明又は第5発明の効果に加えて、円盤状ロータの回転によって、ICコイン受け入れ部が、それぞれICコイン返却部、不良ICコイン排出部、ストック導入部に対応する位置になったとき、ICコイン自体が転動又はスライドでもって移動するため、駆動力なしにICコインの返却、排出、ストックがスムースに行えるものとなる。
【0023】
第7発明は、第4発明又は第6発明の効果に加えて、ICコイン受け入れ部の入口は常時開放しているため、ICコイン導入部のICコインはそのままICコイン受け入れ部へ入る。そして、円盤状ロータの回転によってICコイン受け入れ部が、ICコイン返却部、不良ICコイン排出部、ストック導入部のいずれかの入口に対応して停止したとき、その入口のシャッタが開くため、ICコイン返却部、不良ICコイン排出部、ストック導入部を円盤状ロータの中心よりも下部領域に配置した場合には、ICコイン自体が転動又はスライドでもって、その対応した入口へ入るため、移動することとなり、駆動力なしにICコインの返却、排出、ストックがスムースに行えるものとなる。
【0024】
第8発明では、第1発明乃至第7発明の効果に加えて、金額情報が書き込まれたICコインを購入する場合には、遊技媒体貸出機へ貨幣を挿入することによって、新たなICコインを供給する必要があるが、その場合にも、円盤状ロータが回転して、ICコイン貯留部のICコイン1個がリードライト部へ搬送され、そこで正規の貨幣金額が書き込まれ、そのままこの位置で保持されることとなり、以後の動作の終了までの時間短縮が図れる。
【0025】
第9発明では、第1発明乃至第8発明の効果に加えて、ICコイン導入部には、ICコイン受け入れ部へ導入されるICコインの個数が、1回の遊技ごとに1個となるように制限するため、複数のICコインが挿入された場合にも、円盤状ロータの回転の支障とならず、安定した動作が得られるものとなる。
【0026】
第10発明では、第1発明乃至第9発明の効果に加えて、ICコイン貯留部は、円盤状ロータの回転中心軸線と並行方向に向かって複数のICコインが積層状態で貯留されるため、ICコイン貯留部を円盤状ロータの円周の外側にICコインが順次連なるように長く形成した場合に比して、ICコイン貯留部が小型化でき、遊技機間に設置される横幅の狭い遊技媒体貸出機に内蔵することに適したICコイン処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明のICコイン処理装置は、ICコイン挿入部へ挿入されたICコインを受け入れて、ICコインに記憶された金額情報の読み取り、ICコインへの金額情報の書き込み、ICコインの返却等を行うICコイン処理装置であって、ステッピングモータで往復回転駆動されるように縦方向に支持され1個のICコインを受け入れ保持するICコイン受け入れ部を備えた円盤状ロータと、前記ICコイン挿入部へ挿入されたICコインを前記ICコイン受け入れ部へ導くICコイン導入部と、前記挿入されたICコインの金額情報の読み取りと遊技後の残額情報をICコインに書き込むリードライト部と、遊技後の残額ゼロのICコインを貯留するICコイン貯留部と、遊技後の残額情報を持つICコインを顧客へ返却するICコイン返却部を備え、前記円盤状ロータの待機位置は前記ICコイン受け入れ部が前記ICコイン導入部に対応した位置であり、前記円盤状ロータの待機位置にある前記ICコイン受け入れ部に対応して前記リードライト部が配置され、前記円盤状ロータの回転によって、前記ICコイン返却部又は前記ICコイン貯留部へ前記ICコイン受け入れ部の該当するICコインを搬送するものであり、本発明の実施例を以下に記載する。
【実施例1】
【0028】
次に、本発明のICコイン処理装置の実施形態について説明する。図1は本発明に係るICコイン処理装置を備えた遊技媒体貸出機の内部構成を説明する側面図、図2は本発明に係るICコイン処理装置を備えた遊技媒体貸出機の正面斜視図、図3は本発明に係る遊技媒体貸出機と遊技機が併設された遊技装置の正面図、図4は本発明に係る円盤状ロータとICコイン処理装置の各部の関係を示す側面図、図5は本発明に係るICコイン処理装置の縦断面図である。
【0029】
本発明の実施の形態を図に基づき説明する。1は遊技機であり、パチンコ機やスロットマシン(パチスロ機)等の遊技機を示す。2は遊技機1に併設される遊技媒体貸出機である。遊技機1がパチンコ機の場合は、遊技媒体貸出機2は払い出し口からパチンコ玉をパチンコ機の受け皿1Dに払い出し、遊技機1がスロットマシン(パチスロ機)の場合は、遊技媒体貸出機2は払い出し口に接続したノズル17から遊技メダル200をスロットマシン(パチスロ機)の受け皿1Dに払い出す。図1に示すものは、遊技機1がスロットマシン(パチスロ機)の場合であるため、遊技媒体貸出機2は払い出し口に接続したノズル17から遊技メダル200をスロットマシン(パチスロ機)の受け皿1Dに払い出す。
【0030】
図3には、横並びに設置した遊技機1がスロットマシン(パチスロ機)の場合を示しており、その1台のスロットマシン(パチスロ機)1を代表として、その構成を説明する符号を付している。これにおいて、上記の払い出された遊技メダル200を遊技機1のメダル挿入口1Eへ挿入することによって、遊技機1での遊技が可能となる。即ち、遊技機1がスロットマシン(パチスロ機)の場合は、メダル挿入口1Eに遊技に必要な最低1枚のメダル200を挿入した状態において、スタートレバー1Fを操作することにより、3個のリール1A、1B、1Cが回転する。この状態でタイミングを見て3個のストップボタン1A1、1B1、1C1を押すことにより、リール1A、1B、1Cが順次停止し、表面に表示された各リールの図柄や数字の組み合わせに応じて、入賞メダルが払い出し口ノズル17からメダル受け皿1Dに払い出される仕組みである。以後、パチンコ玉と遊技メダルを含めて、遊技媒体を符号200で示すこととする。
【0031】
遊技客が、この遊技媒体貸出機2へ磁気式プリペイドカードを挿入して、パチンコ玉やメダル等の遊技媒体の貸し出しを受ける代わりに、磁気式プリペイドカードに代わって、ICコインが採用されている。本発明は、このICコインを遊技媒体貸出機2へ挿入して遊技媒体の貸し出しを受ける方式において、挿入されたICコインが持つ情報(データ)の読み出しとICコインへの情報(データ)の書き込み等を行うICコイン処理装置に関するものである。
【0032】
遊技媒体貸出機2は、金額情報を持ったICコイン10の挿入によって、正規の遊技媒体200を遊技機1の受け皿1Dに払い出す。これに関する遊技媒体貸出機2の構成を以下に説明する。遊技媒体貸出機2は、前面側に貨幣挿入口11、表示器12、ICコイン挿入口13、遊技媒体払い出しボタン14、ICコイン返却口15、ICコイン返却ボタン16、遊技媒体払い出し口ノズル17等を配置している。また、遊技媒体貸出機2内には、貨幣挿入口11に挿入された紙幣の識別機能を有する紙幣識別装置18、所定数の遊技媒体200を払い出す遊技媒体供給部19、ICコイン処理装置20等を備えている。
【0033】
次に、ICコイン処理装置20について説明する。ICコイン処理装置20は、遊技媒体貸出機2のICコイン挿入口13へ挿入されたICコイン10を受け入れて、ICコイン10に記憶された金額情報の読み取り、ICコイン10への金額情報の書き込み、ICコイン10の返却等を行うものであり、ステッピングモータ21で往復回転駆動されるように縦方向に支持され1個のICコイン10を受け入れ保持するICコイン受け入れ部22を備えた円盤状ロータ23と、ICコイン挿入部13に挿入されたICコイン10をICコイン受け入れ部22へ導くICコイン導入部24と、挿入されたICコイン10の金額情報の読み取りと遊技後の残額情報をICコイン10に書き込むリードライト部25と、遊技後の残額ゼロのICコイン10を貯留するICコイン貯留部26と、遊技後の残額情報を持つICコイン10を遊技客へ返却するICコイン返却部27を備えている。
【0034】
ICコイン貯留部26が十分な数のICコイン10を貯留できる場合は、ICコイン導入部24に対して、ICコイン貯留部26を円盤状ロータ23の一方向回転側(図1及び図4では反時計回り側)に設け、ICコイン返却部27を円盤状ロータ23の逆方向回転側(図1及び図4では時計回り側)に設ければよい。実施例では、できるだけ横幅の狭い遊技媒体貸出機に内蔵することに適したICコイン処理装置20とするために、ICコイン貯留部26に限られた数のICコイン10を貯留できるようにし、それ以上の数のICコイン10、即ちオーバーフローするICコインをストック導入部29へ導入するようにしている。
【0035】
このため、ICコイン貯留部26が満杯のとき遊技後の残額ゼロのICコイン10を所定のストック場所へ導入するストック導入部29を設けている。また、リードライト部25での金額情報の読み取り不良又は書き込み不良のICコイン10を排出する不良ICコイン排出部28を設けている。円盤状ロータ23の初期作動開始位置、即ち、円盤状ロータ23の待機位置は、ICコイン受け入れ部22がICコイン導入部24に対応した位置であり、円盤状ロータ23の待機位置にあるICコイン受け入れ部22に対応してリードライト部25が配置されている。そして、円盤状ロータ23の上記逆方向回転側(図1及び図4では時計回り側)に、ICコイン貯留部26、ICコイン返却部27、不良ICコイン排出部28、ストック導入部29を配置し、円盤状ロータ23の回転によって、ICコイン貯留部26、ICコイン返却部27、不良ICコイン排出部28、ストック導入部29の何れかへ、ICコイン受け入れ部22の該当するICコイン10を搬送するものである。
【0036】
次に、この構成を更に具体的に説明する。円盤状ロータ23は、相互に組み合わさった第1基板30と第2基板31との間に配置されていて、中心軸23Aを第1基板30に軸受け32でもって回転可能に支持されており、円盤状ロータ23の外周は、第1基板30に形成した(第2基板31に形成してもよい)円形配置の周囲壁46に近接状態で囲まれている。第1基板30と第2基板31とは、それぞれ上下各2箇所において、第1基板30の弾性係合爪30Aが第2基板31の係合孔31Aに係止して組み合わさっている。1個のICコイン10を受け入れ保持する大きさのICコイン受け入れ部22は、円盤状ロータ23に切り欠き又は窪みにて形成されており、ICコイン導入部24からICコイン10が障害なく導入されるようにするために、奥部から円盤状ロータ23の円周面の入口に向けて略扇形に開いた形状をなす。この略扇形に開いたICコイン受け入れ部22の入口開口幅は、ICコイン導入部24の出口幅よりも若干大きい寸法である。このため、図1及び図4に示すように、円盤状ロータ23がICコイン10を受け入れる待機位置においては、ICコイン受け入れ部22の入口開口幅内にICコイン導入部24の出口が対応する状態である。
【0037】
ICコイン導入部24、ICコイン返却部27、不良ICコイン排出部28、及びストック導入部29は、円盤状ロータ23の円周に沿った配置状態であり、第1基板30と第2基板31の間に配置されるようにするために、ICコイン10の厚さよりも若干大なる寸法の厚さと、ICコイン10の直径より若干大なる幅を有するICコイン通路をなし、第1基板30または第2基板31に窪んで形成されている。実施例では、これらは第1基板30に形成している。これによって、図1及び図4に示すように、ICコイン導入部24のICコイン10は、立った状態でこのICコイン通路を転動またはスライドによって斜め下方へ移動し、ICコイン返却部27、不良ICコイン排出部28、及びストック導入部29のICコイン10は、立った状態でこのICコイン通路を転動またはスライドによって斜め下方へ移動する。
【0038】
円盤状ロータ23の往復回転によって、ICコイン受け入れ部22のICコイン10を所定の場所へ搬送するものであるため、ICコイン導入部24に対して、ICコイン貯留部26を円盤状ロータ23の一方向回転側(図1及び図4では反時計回り側)に設け、ICコイン返却部27、不良ICコイン排出部28、ストック導入部29は、円盤状ロータ23の逆方向回転側(図1及び図4では時計回り側)に設けられている。ICコイン返却部27、不良ICコイン排出部28、ストック導入部29は、円盤状ロータ23の回転によってICコイン受け入れ部22が対応したとき、ICコイン受け入れ部22のICコイン10が、動力なしにICコイン10自体で転動またはスライドによって移動するように、円盤状ロータ23の回転中心Pより下方位置において、斜め下方へ傾斜した通路構成となっている。また、ICコイン貯留部26は、円盤状ロータ23のICコイン受け入れ部22に対応する半径上で一方の側面に略垂直の立設状態であり、円盤状ロータ23の直径内の配置であることによって小型化に寄与する。
【0039】
ICコイン返却部27へ導入されたICコイン10は、ICコイン返却口15へ導出されて遊技客へ返却され、不良ICコイン排出部28へ導入されたICコイン10も、ICコイン返却部27へ導出されて遊技客へ返却される。また、ストック導入部29へ導入されたICコイン10は、ICコインストック部34へ導入されて貯留される。
【0040】
ICコイン受け入れ部22の入口は常時開放しており、円盤状ロータ23の待機位置において、ICコイン受け入れ部22の入口がICコイン導入部24の出口に対応する状態である。ICコイン返却部27、不良ICコイン排出部28、ストック導入部29のそれぞれの入口には、それらの入口を常時閉じるシャッタ35、36、37が第1基板30または第2基板31に配置され、これらのシャッタ35、36、37は、第1基板30または第2基板31に取り付けたソレノイド38の励磁によって、その入口を開放状態とするように動作する。このため、円盤状ロータ23の回転によってICコイン受け入れ部22が、それらの入口のうちの一つに対応して停止したとき、その位置の入口を開くように、ソレノイド38によってその入口を開放状態とする。
【0041】
シャッタ35、36、37は、それぞれ作動腕35A、36A、37Aの中間部を回動可能に軸支持部54、55、56で支持されており、作動腕35A、36A、37Aの先端部は、ソレノイド38の作動部材38Aの先端部分に対応している。このため、ソレノイド38が非励磁のときは、作動腕35A、36A、37Aに付与したバネ(図示せず)によって、シャッタ35、36、37が、それぞれ対応するICコイン返却部27、不良ICコイン排出部28、ストック導入部29の入口を閉じるように突出している。そして、ソレノイド38の非励磁によって、ソレノイド38の作動部材38Aの先端部分が、円盤状ロータ23の中心軸23Aの軸線P方向に作動して(図4で紙面の手前側へ作動)、前記バネ力に抗して軸支持部54、55、56を支点として回動させ、シャッタ35、36、37が、それぞれ対応するICコイン返却部27、不良ICコイン排出部28、ストック導入部29の入口を開くように退避する(図4で紙面の奥側へ作動する)構成である。
【0042】
遊技媒体貸出機2の貨幣挿入口11への貨幣(実施例では、1000円紙幣)が挿入された場合は、この挿入に基づき、待機位置にあった円盤状ロータ23が回転して、ICコイン受け入れ部22がICコイン貯留部26に対応した位置に停止し、ICコイン貯留部26のICコイン10の1個が、ICコイン受け入れ部22に供給されて保持された後、円盤状ロータ23が待機位置に回転して停止する。この位置において、リードライト部25によって貨幣金額相当の金額情報(実施例では、1000円情報)の書き込みが行われる。
【0043】
ICコイン挿入口13から挿入されたICコイン10は、ICコイン導入部24からICコイン受け入れ部22へ導入されるが、この場合、ICコイン導入部24には、1個のICコイン10がICコイン受け入れ部22へ導入されるように制限する個数制限装置40を備えている。個数制限装置40は、第1基板30又は第2基板31に設けられ、ソレノイド41と、ソレノイド41によって中間の軸支持43を支点としてシーソー動作をする作動部材42を備え、作動部材42は、ICコイン10の1個が入る間隔をもって上流側の突起42Aと下流側の突起42Bを形成している。
【0044】
ソレノイド41が非励磁のときは上流側の突起42AがICコイン導入部24から退避すると共に下流側の突起42BがICコイン導入部24へ突出した状態となって、下流側の突起42BによってICコイン10が保持され、ソレノイド4の励磁によって、上流側の突起42AがICコイン導入部24へ突出すると共に下流側の突起42BがICコイン導入部24から退避するため、保持されていたICコイン10(先行ICコインと称することとする)は、それ自体で転動またはスライドによってICコイン受け入れ部22へ移動する。
【0045】
このとき、もし後続のICコイン10があれば、その後続のICコイン10は、ICコイン導入部24へ突出している上流側の突起42Aによって、下流側への移動が制限された状態に保持される。先行ICコインがICコイン受け入れ部22へ導入されたタイミングで、ソレノイド41が非励磁となり、上流側の突起42AがICコイン導入部24から退避すると共に下流側の突起42BがICコイン導入部24へ突出した状態となるため、後続のICコイン10は、上流側の突起42Aによる拘束が解かれて下方へ自体で移動し、下流側の突起42Bによって保持された状態となる。このように、ICコイン導入部24からICコイン受け入れ部22へ供給されるICコイン10の個数は、個数制限装置40のソレノイド41の励磁によって1個ずつに制限される動作が得られる。
【0046】
ICコイン貯留部26は、円盤状ロータ23の回転中心軸線Pと並行方向(横方向)に向かって複数のICコインが積層状態で貯留される構成である。実施例では、10枚のICコイン10を貯留する構成である。このため、第1基板30または第2基板31には、下端が開口したICコイン貯留筒44と、その下端開口部において円盤状ロータ23のICコイン受け入れ部22から1枚のICコイン10をICコイン貯留筒44内に入れ、ICコイン貯留筒44から1枚のICコイン10をICコイン受け入れ部22へ出すように動作するICコイン出し入れ機構部45を備えている。
【0047】
円盤状ロータ23は、その外周面に外周歯車47を形成し、この歯車47にステッピングモータ21の回転軸に備えた駆動歯車48が噛み合っており、ステッピングモータ21の一方回転(正方向回転ともいう)と逆方向回転によって、円盤状ロータ23が一方回転(正方向回転ともいう)と逆方向回転を行う。また、点検やサービスのために、円盤状ロータ23を手動で回せるようにするために、外周歯車47に噛み合う補助歯車49を備えている。ステッピングモータ21と補助歯車49は、第1基板30または第2基板31に取り付けられ、補助歯車49は手で回すための操作つまみを備えている。
【0048】
ICコイン10は、外観形状が扁平な円形状、所謂コイン状をなしており、表面と裏面の何れか又は両面に価値、即ち金額数値(実施例では1000)が表示された合成樹脂製である。そして、ICコイン10内には、ICモジュールが埋設され、ICモジュールは、演算処理装置であるCPU、プログラムを記憶したROMや金額情報等の情報(データ)の書き込み・消去可能な不揮発性メモリなどのメモリ、アンテナ、A/D変換部など備えている。
【0049】
このような構成において、遊技客が遊技を行う場合について説明する。待機状態ではソレノイド41が非励磁であり、円盤状ロータ23は、ICコイン受け入れ部22の入口がICコイン導入部24の出口に対応する状態である。遊技客が1000円の金額情報を持つICコイン10をICコイン挿入口13に挿入すると、ICコイン10はICコイン導入部24へ入り、下流側の突起42Bによって保持される。続いて2枚目のICコイン10が挿入された場合は、1枚目のICコイン10に当接して停止する。このとき、上流側の突起42Aは、この当接部の両側に形成される1枚目のICコイン10と2枚目のICコイン10の間の隙間に臨む状態である。
【0050】
ここで、スタートボタンに相当する遊技媒体払い出しボタン14を押すことによって、ソレノイド41が励磁して、上流側の突起42AがICコイン導入部24へ突出して2枚目のICコイン10の移動を阻止すると共に、下流側の突起42BがICコイン導入部24から退避して、保持していた1枚目のICコイン10(先行ICコイン)は、自体で転動またはスライドによってICコイン受け入れ部22へ移動する。ICコイン受け入れ部22に入ったICコイン10は、リードライト部25によって、金額情報(実施例では、1000円情報)やIDコード、有効利用時間情報等の管理情報(データ)が読み取られる。リードライト部25によって読み取られたこれらの管理情報は、制御部50に送られる。リードライト部25は、ICコイン10の管理情報(データ)を非接触状態でもって読み取り、また後述のように書き込むものであり、ICコイン受け入れ部22に対応してリードライト部25としてのアンテナが、待機位置にあるICコイン受け入れ部22に対応して、第1基板30または第2基板31に配置されており、管理情報の読み取りと書き込みを行う回路部分は、制御部50に備えればよい。
【0051】
読み取った金額情報の数字1000が表示器12に表示される。読み取った金額情報が、1回の遊技に必要な金額(例えば、500円)以上であれば、遊技媒体供給部19から1回の遊技に必要な数の遊技媒体(パチンコ玉やメダル等)を払い出し、この払い出された遊技媒体は、遊技媒体払い出し口ノズル17を通して遊技機1の受け皿1Dへ供給される。この遊技媒体の払い出しと共に500円相当の金額が制御部50によって減算され、この残額がリードライト部25によって、ICコイン受け入れ部22に入っているICコイン10に書き込まれる。表示器12には、この残額を示す数字500が表示される。
【0052】
この残額はもう1回の遊技が可能であるため、このICコイン10を返却することなく継続して2回目の遊技を行う場合は、再度スタートボタンに相当する遊技媒体払い出しボタン14を押すことによって、上記同様の動作が行われて、リードライト部25によって、残額の金額情報(実施例では、500円情報)やIDコード、有効利用時間情報等の管理情報(データ)が読み取られる。そして、所定数の遊技媒体(パチンコ玉やメダル等)を払い出し、この払い出された遊技媒体は、遊技媒体払い出し口ノズル17を通して遊技機1の受け皿1Dへ供給される。この遊技媒体の払い出しと共に500円相当の金額が制御部50によって減算され、残額ゼロがリードライト部25によって、ICコイン受け入れ部22に入っているICコイン10に書き込まれる。表示器12には、この残額ゼロを示す数字0が表示される。
【0053】
この残額ゼロとなったことによって、制御部50によって所定数のパルス信号が供給されてステッピングモータ21が回転して、円盤状ロータ23を一方向回転(図では反時計方向回転)させて、ICコイン受け入れ部22をICコイン貯留部26に対応した位置に停止させる。この位置で出し入れ機構部45によって、ICコイン受け入れ部22のICコイン10をICコイン貯留筒44へ収納する。この動作終了のタイミングでもって、又はこの動作終了検知スイッチ(図示せず)が検知したとき、制御部50によって所定数のパルス信号が供給されて、ステッピングモータ21が逆回転して、円盤状ロータ23を逆方向回転(図では時計方向回転)させて、ICコイン受け入れ部22をICコイン導入部24に対応した待機位置に停止させる。このような円盤状ロータ23の停止制御は、前記所定数のパルス信号によって行っているが、安全のために円盤状ロータ23の位置検知、即ち、ICコイン受け入れ部22がICコイン貯留部26に対応した位置に達したとき作動する位置検知スイッチを設けて、この位置検知スイッチと前記所定数のパルス信号の何れかによって、円盤状ロータ23が所定位置に達したこととなったとき、円盤状ロータ23の停止制御を行うようにすればよい。
【0054】
上記において、1回目の遊技が終了した時点で500円相当の金額が残っているため、遊技客はこのICコイン10を手許に戻すことができる。この場合は、ICコイン返却ボタン16を押せば、制御部50によって所定数のパルス信号が供給されて、ステッピングモータ21が逆回転して、円盤状ロータ23を逆方向回転(図では時計方向回転)させて、ICコイン受け入れ部22をICコイン返却部27に対応した位置に停止させる。そして、ソレノイド38の励磁によって、その入口を閉じていたシャッタ35が退避することにより、ICコイン返却部27の入口が開放されるため、ICコイン受け入れ部22のICコイン10は支えを失ってICコイン返却部27に導入され、ICコイン返却口15へ排出され、遊技客へ返却される。この場合も上記同様に、円盤状ロータ23の停止制御のために、円盤状ロータ23の位置検知スイッチを設けて、この位置検知スイッチと前記所定数のパルス信号の何れかによって、円盤状ロータ23が所定位置に達したこととなったとき、円盤状ロータ23の停止制御を行うようにすればよい。
【0055】
ICコイン返却部27には、そこを通貨するICコイン10の通過を非接触で検知する光センサ51を備えている。この光センサ51でICコイン10の通過を検知したとき、即ち、この光センサ51をICコイン10が通過し終わったとき、励磁していたソレノイド38を非励磁とするように、制御部50によって制御する。ソレノイド38の非励磁によって、シャッタ35が突出して、ICコイン返却部27の入口が閉ざされる。シャッタ35は、周囲壁46と同じ円周上に配置されている。また、光センサ51をICコイン10が通過し終わったとき、制御部50によって所定数のパルス信号が供給されて、ステッピングモータ21が回転して、円盤状ロータ23を図では反時計方向回転させて、ICコイン受け入れ部22をICコイン導入部24に対応した待機位置に停止させる。この場合も上記同様に、円盤状ロータ23の停止制御のために、円盤状ロータ23の位置検知スイッチを設けて、この位置検知スイッチと前記所定数のパルス信号の何れかによって、円盤状ロータ23が所定位置に達したこととなったとき、円盤状ロータ23の停止制御を行うようにすればよい。
【0056】
また、上記において、ICコイン受け入れ部22に入ったICコイン10に関して、リードライト部25による金額情報などの管理情報の読み取り不良又は書き込み不良が生じた場合は、制御部50によって所定数のパルス信号が供給されて、ステッピングモータ21が始動して、円盤状ロータ23を図で時計方向回転させて、ICコイン受け入れ部22を不良ICコイン排出部28に対応した位置に停止させる。そして、ソレノイド38の励磁によって、その入口を閉じていたシャッタ36が退避することにより、不良ICコイン排出部28の入口が開放されるため、ICコイン受け入れ部22のICコイン10は支えを失って不良ICコイン排出部28に導入され、遊技媒体貸出機2の前面に設けた返却口15へ返却する。なお、不良ICコイン排出部28に導入されたICコイン10は、不良ICコイン貯留部33に貯留される構成でもよい。この不良の状況は、表示器12に表示される。
【0057】
不良ICコイン排出部28には、そこを通貨するICコイン10の通過を非接触で検知する光センサ52を備えている。この光センサ52でICコイン10の通過を検知したとき、即ち、この光センサ52をICコイン10が通過し終わったとき、励磁していたソレノイド38を非励磁とするように、制御部50によって制御する。ソレノイド38の非励磁によって、シャッタ36が突出して、不良ICコイン排出部28の入口が閉ざされる。シャッタ36は、周囲壁46と同じ円周上に配置されている。また、光センサ52をICコイン10が通過し終わったとき、制御部50によって所定数のパルス信号が供給されて、ステッピングモータ21が回転して、円盤状ロータ23を図では反時計方向回転させて、ICコイン受け入れ部22をICコイン導入部24に対応した待機位置に停止させる。この場合も上記同様に、円盤状ロータ23の停止制御のために、円盤状ロータ23の位置検知スイッチを設けて、この位置検知スイッチと前記所定数のパルス信号の何れかによって、円盤状ロータ23が所定位置に達したこととなったとき、円盤状ロータ23の停止制御を行うようにすればよい。
【0058】
また、上記において、残額ゼロとなったときは、上記のように、ICコイン受け入れ部22のICコイン10をICコイン貯留部26に対応した位置において、出し入れ機構部45によって、ICコイン貯留筒44へ収納するが、上記のように、10枚のICコイン10が貯留されてICコイン貯留筒44が満杯の場合は、この収納動作を行わずに、制御部50によってステッピングモータ21が逆回転して円盤状ロータ23を逆方向回転(図では時計方向回転)させて、ICコイン受け入れ部22をストック導入部29に対応した位置に停止させる。そして、ソレノイド38の励磁によって、その入口を閉じていたシャッタ37が退避することにより、ストック導入部29の入口が開放されるため、ICコイン受け入れ部22のICコイン10は支えを失って、ストック導入部29に導入され、ICコインストック部34に貯留される。
【0059】
ストック導入部29には、そこを通貨するICコイン10の通過を非接触で検知する光センサ53を備えている。この光センサ53でICコイン10の通過を検知したとき、即ち、この光センサ53をICコイン10が通過し終わったとき、励磁していたソレノイド38を非励磁とするように、制御部50によって制御する。ソレノイド38の非励磁によって、シャッタ37が突出して、ストック導入部29の入口が閉ざされる。シャッタ37は、周囲壁46と同じ円周上に配置されている。また、光センサ53をICコイン10が通過し終わったとき、制御部50によって所定数のパルス信号が供給されて、ステッピングモータ21が回転して、円盤状ロータ23を図では反時計方向回転させて、ICコイン受け入れ部22をICコイン導入部24に対応した待機位置に停止させる。この場合も上記同様に、円盤状ロータ23の停止制御のために、円盤状ロータ23の位置検知スイッチを設けて、この位置検知スイッチと前記所定数のパルス信号の何れかによって、円盤状ロータ23が所定位置に達したこととなったとき、円盤状ロータ23の停止制御を行うようにすればよい。
【0060】
また、上記のように1枚目のICコイン10による遊技が終了した状態で、挿入されていた2枚目のICコイン10によって遊技を開始する場合は、再度スタートボタンに相当する遊技媒体払い出しボタン14を押すことによって、上記同様の動作が行われる。また、所定の金額情報を持つ新たなICコインをICコイン挿入口13に挿入することにより、上記同様の動作を行うことができる。
【0061】
次に、ICコインをICコイン挿入口13に挿入するのではなく、貨幣の挿入によって遊技を行うことができる。この場合は、遊技媒体貸出機2の貨幣挿入口11への貨幣(実施例では1000円紙幣)の挿入に基づき、待機位置にあった円盤状ロータ23が回転して、ICコイン受け入れ部22がICコイン貯留部26に対応した位置に停止し、出し入れ機構部45によって、ICコイン貯留部26のICコイン10の1個が、ICコイン受け入れ部22に供給されて保持された後(ICコイン10の1個が、ICコイン受け入れ部22に供給されたことを検知スイッチで検知してもよい)、円盤状ロータ23が待機位置に回転して停止する。この位置において、リードライト部25によって貨幣金額相当の金額情報(実施例では、1000円情報)の書き込みが行われ、その金額情報の数字1000が表示器12に表示される。
【0062】
ここでスタートボタンに相当する遊技媒体払い出しボタン14を押すことによって、遊技媒体供給部19から1回の遊技に必要な数の遊技媒体(パチンコ玉やメダル等)を払い出し、この払い出された遊技媒体は、遊技媒体払い出し口ノズル17を通して遊技機1の受け皿1Dへ供給される。この遊技媒体の払い出しと共に1回の遊技に必要な500円相当の金額が制御部50によって減算され、この残額がリードライト部25によって、ICコイン受け入れ部22に保持されているICコイン10に書き込まれる。表示器12には、この残額を示す数字500が表示される。以後、前述のように、所定の金額情報を持ったICコイン10をICコイン挿入口13に挿入した場合と同様の動作が行われる。
【0063】
上記構成において、ICコイン10には、金額情報の他に、遊技施設専用のIDコード、その遊技施設の1日の営業時間内でのみしようできるようにするための有効利用時間情報、遊戯媒体の払い出し可能な回数、その他の必要情報等、これらの管理情報(データ)がリードライト部25によって書き込まれ、これらの管理情報(データ)がリードライト部25によって読み出される。
【0064】
本発明では、所定の金額情報を持ったICコイン10をICコイン挿入口13に挿入した場合と、遊技媒体貸出機2の貨幣挿入口11への貨幣(実施例では1000円紙幣)を挿入した場合のいずれにおいても、同様の動作を行うことができる。この場合、ICコイン受け入れ部22を備えた円盤状ロータ23は、ステッピングモータで往復回転駆動されるように縦方向に支持されており、円盤状ロータ23の待機位置は、ICコイン受け入れ部22がICコイン導入部24に対応した位置であり、円盤状ロータ23の待機位置にあるICコイン受け入れ部22に対応してリードライト部25が配置されている。このため、ICコイン10の情報の読み出しと情報の書き込み位置が同じとなり、情報の読み出しと情報の書き込みの都度、ICコイン10を情報の読み出し位置と情報の書き込み位置へ搬送する必要がなく、迅速化に適したものである。
【0065】
また、円盤状ロータ23の回転によって、ICコイン貯留部26と、円盤状ロータ23の円周に沿って配置したICコイン返却部27、不良ICコイン排出部28、ストック導入部29の何れかへ、ICコイン受け入れ部22の該当するICコイン10を搬送するものである。これによって、小型化に適したICコイン処理装置となる。
【0066】
また、円盤状ロータ23の中心軸線Pに対して、一方側にICコイン貯留部26が配置され、他方側にICコイン返却部27、不良ICコイン排出部28、ストック導入部29が配置されている。そして、ICコイン返却部27、不良ICコイン排出部28、ストック導入部29は、ICコイン受け入れ部22のICコイン10が自体で下方へ移動する位置に設けられている。また、ICコイン受け入れ部22の入口は常時開放しており、ICコイン返却部27、不良ICコイン排出部28、ストック導入部29のそれぞれの入口には、それらの入口を閉じるシャッタ35、36、37が配置され、円盤状ロータ23の回転によってICコイン受け入れ部22が対応する位置のシャッタがソレノイドによって開放状態となる。このため、一つのソレノイドによって3個のシャッタ35、36、37の開閉を制御できるため、構成が簡素化されて動作が安定した小型化に適したICコイン処理装置となる。
【0067】
また、遊技媒体貸出機2への貨幣の挿入に基づき、円盤状ロータ23が回転して、ICコイン貯留部26のICコイン1個がICコイン受け入れ部22に供給されると共に、リードライト部25において貨幣金額相当の金額情報の書き込みを行うため、金額情報の記憶されたICコインを持っていなくても、遊技客は紙幣の挿入によって同じICコイン処理装置を動作させて遊技を行うことができるため便利である。
【0068】
また、ICコイン貯留部26は、円盤状ロータ23の回転中心軸線Pと並行方向に向かって複数のICコインが積層状態で貯留されるため、ICコイン貯留部26を円盤状ロータ23の円周の外側にICコインが順次連なるように長く形成した場合に比して、ICコイン貯留部26が小型になり、遊技機1間に設置される横幅の狭い遊技媒体貸出機2に内蔵することに適したICコイン処理装置20を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の技術的範囲を逸脱しない限り種々の変更が考えられ、それに係る種々の実施形態を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明に係るICコイン処理装置を備えた遊技媒体貸出機の内部構成を説明する側面図である。(実施例1)
【図2】本発明に係るICコイン処理装置を備えた遊技媒体貸出機の正面斜視図である。(実施例1)
【図3】本発明に係る遊技媒体貸出機と遊技機が併設された遊技装置の正面図である。(実施例1)
【図4】本発明に係る円盤状ロータとICコイン処理装置の各部の関係を示す側面図である。(実施例1)
【図5】本発明に係るICコイン処理装置の縦断面図である。(実施例1)
【符号の説明】
【0071】
1・・・・遊技機
2・・・・遊技媒体貸出機
10・・・紙幣識別装置
11・・・貨幣(紙幣)挿入口
12・・・表示器
13・・・ICコイン挿入口
14・・・遊技媒体払い出しボタン
15・・・ICコイン返却口
16・・・ICコイン返却ボタン
17・・・遊技媒体払い出し口ノズル
18・・・紙幣識別装置
19・・・遊技媒体供給部
20・・・ICコイン処理装置
21・・・ステッピングモータ
22・・・ICコイン受け入れ部
23・・・円盤状ロータ
23A・・円盤状ロータの中心軸
24・・・ICコイン導入部
25・・・リードライト部
26・・・ICコイン貯留部
27・・・ICコイン返却部
28・・・不良ICコイン排出部
29・・・ストック導入部
30・・・第1基板
31・・・第2基板
32・・・軸受け
33・・・不良ICコイン貯留部
34・・・ICコインストック部
35、36、37・・・シャッタ
5A、36A、37A・・・シャッタの作動腕
38・・・ソレノイド
40・・・個数制限装置
41・・・ソレノイド
42A・・上流側の突起
42B・・下流側の突起
43・・・軸支持
44・・・ICコイン貯留筒
45・・・ICコイン出し入れ機構部
46・・・周囲壁
47・・・外周歯車
48・・・駆動歯車
49・・・補助歯車
50・・・制御部
51、52、53・・・光センサ
54、55、56・・・軸支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICコイン挿入部へ挿入されたICコインを受け入れて、ICコインに記憶された金額情報の読み取り、ICコインへの金額情報の書き込み、ICコインの返却等を行うICコイン処理装置であって、ステッピングモータで往復回転駆動されるように縦方向に支持され1個のICコインを受け入れ保持するICコイン受け入れ部を備えた円盤状ロータと、前記ICコイン挿入部へ挿入されたICコインを前記ICコイン受け入れ部へ導くICコイン導入部と、前記挿入されたICコインの金額情報の読み取りと遊技後の残額情報をICコインに書き込むリードライト部と、遊技後の残額ゼロのICコインを貯留するICコイン貯留部と、遊技後の残額情報を持つICコインを顧客へ返却するICコイン返却部を備え、前記円盤状ロータの待機位置は前記ICコイン受け入れ部が前記ICコイン導入部に対応した位置であり、前記円盤状ロータの待機位置にある前記ICコイン受け入れ部に対応して前記リードライト部が配置され、前記円盤状ロータの回転によって、前記ICコイン返却部又は前記ICコイン貯留部へ前記ICコイン受け入れ部の該当するICコインを搬送することを特徴とするICコイン処理装置。
【請求項2】
前記ICコイン返却部は、前記円盤状ロータの回転によって前記ICコイン受け入れ部のICコインが自体で下方へ移動する位置に設けられたことを特徴とする請求項1に記載のICコイン処理装置。
【請求項3】
前記ICコイン貯留部が前記円盤状ロータの一方向回転側に設けられ、前記ICコイン返却部が前記円盤状ロータの逆方向回転側に設けられたことを特徴とする請求項1又は2に記載のICコイン処理装置。
【請求項4】
ICコイン挿入部へ挿入されたICコインを受け入れて、ICコインに記憶された金額情報の読み取り、ICコインへの金額情報の書き込み、ICコインの返却等を行うICコイン処理装置であって、ステッピングモータで往復回転駆動されるように縦方向に支持され1個のICコインを受け入れ保持するICコイン受け入れ部を備えた円盤状ロータと、前記ICコイン挿入部へ挿入されたICコインを前記ICコイン受け入れ部へ導くICコイン導入部と、前記挿入されたICコインの金額情報の読み取りと遊技後の残額情報をICコインに書き込むリードライト部と、遊技後の残額ゼロのICコインを貯留するICコイン貯留部と、遊技後の残額情報を持つICコインを顧客へ返却するICコイン返却部と、前記リードライト部での金額情報の読み取り不良又は書き込み不良のICコインを排出する不良ICコイン排出部と、前記ICコイン貯留部が満杯のとき遊技後の残額ゼロのICコインを所定のストック場所へ導入するストック導入部を備え、前記円盤状ロータの待機位置は前記ICコイン受け入れ部が前記ICコイン導入部に対応した位置であり、前記円盤状ロータの待機位置にある前記ICコイン受け入れ部に対応して前記リードライト部が配置され、前記円盤状ロータの回転によって、前記ICコイン貯留部、前記ICコイン返却部、不良ICコイン排出部、ストック導入部の何れかへ前記ICコイン受け入れ部の該当するICコインを搬送することを特徴とするICコイン処理装置。
【請求項5】
前記ICコイン貯留部が前記円盤状ロータの一方向回転側に設けられ、前記ICコイン返却部、不良ICコイン排出部、ストック導入部が、前記円盤状ロータの逆方向回転側に設けられたことを特徴とする請求項4に記載のICコイン処理装置。
【請求項6】
前記ICコイン返却部、前記不良ICコイン排出部、前記ストック導入部は、前記円盤状ロータの回転によって前記ICコイン受け入れ部のICコインが自体で下方へ移動する位置に設けられたことを特徴とする請求項4又は5に記載のICコイン処理装置。
【請求項7】
前記ICコイン受け入れ部の入口は常時開放しており、前記ICコイン返却部、前記不良ICコイン排出部、前記ストック導入部のそれぞれの入口には、それらの入口を閉じるシャッタが配置され、前記円盤状ロータの回転によって前記ICコイン受け入れ部がそれらの入口のうちの一つに対応して停止した位置の入口の前記シャッタがソレノイドによって開放状態となる特徴とする請求項4又は6に記載のICコイン処理装置。
【請求項8】
遊技媒体貸出機への貨幣の挿入に基づき、前記円盤状ロータが回転して、前記ICコイン貯留部のICコイン1個が前記ICコイン受け入れ部に保持されると共に、前記リードライト部において前記貨幣金額相当の金額情報の書き込みを行うことを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載のICコイン処理装置。
【請求項9】
前記ICコイン導入部には、前記ICコイン受け入れ部へ導入されるICコインの個数が、1回の遊技ごとに1個となるように制限する装置を設けたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のICコイン処理装置。
【請求項10】
前記ICコイン貯留部は、前記円盤状ロータの回転中心軸線と並行方向に向かって複数のICコインが積層状態で貯留されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のICコイン処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−260291(P2007−260291A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−92226(P2006−92226)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】