説明

ICタグの読み取り/書き込み方法及びICタグリーダ

【課題】物品に備えられたICタグの位置を捜したり、ICタグリーダの向きを変えたり等を行うことなく、極めて簡易にICタグを捜し出すことができ、しかも、ICタグの読み取り/書き込みを簡易かつ正確に行うことのできるICタグの読み取り/書き込み方法及びICタグリーダを提供する。
【解決手段】本発明のICタグの読み取り/書き込み方法は、コンクリート供試体11に埋め込まれたICタグ12の情報の読み取り/書き込みを行う方法であり、ループ型アンテナ3、4それぞれのアンテナ面3a、4aが互いに近接した状態で角度θにて互いに交差するICタグリーダ1を用い、ICタグリーダ1のアンテナ面3a、4aをコンクリート供試体11に挿通することにより、ICタグ12の情報の読み取り/書き込みを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICタグの読み取り/書き込み方法及びICタグリーダに関し、更に詳しくは、ICタグの情報の読み取り、または書き込み、あるいは読み取り及び書き込みを、簡単な装置で簡易に行うことのできるICタグの読み取り/書き込み方法及びICタグリーダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、部材や製品等の物品に取り付けられたICタグの情報を読み取るために、このICタグと交信を行うアンテナ部を備えたICタグリーダが用いられている。
ICタグに書き込まれた情報の読み取りは、ICタグリーダに備えられたアンテナ部と、ICタグのアンテナ部との間で電波による交信を行うことにより行なわれている。また、ICタグへの情報の書き込みも、上記のICタグリーダに備えられたアンテナ部と、ICタグのアンテナ部との間で電波による交信を行うことにより行なわれている。
【0003】
例えば、コンクリート試験においては、コンクリート供試体にICタグを埋め込みまたは取り付け、このICタグの情報をICタグリーダを用いて読み取り/書き込みすることが行われている。
このコンクリート試験は、コンクリートの建築物や構造体を建造する際に、打設されたコンクリートの品質を確認するために、このコンクリートと同一組成のコンクリート供試体を用いて行うものである。
このコンクリート試験では、生コンクリートから所定の出荷間隔あるいは打設間隔でその一部を抜き取り、この抜き取られた生コンクリートを用いて所定の規格及び基準に基づきコンクリート供試体を作製し、このコンクリート供試体に所定の養生を施した後、所定の検査機関にて強度試験等の各種試験を行っている。
【0004】
近年では、ICタグ(RFID)等の無線タグを備えた非接触通信媒体をコンクリート供試体中に埋め込みまたは取り付け、この非接触通信媒体に、このコンクリート供試体に用いられたコンクリートに関する情報をICタグリーダにて書き込み、このコンクリートに関する情報とコンクリート供試体とを対応させて管理する方法、あるいは、コンクリート供試体中に埋め込みまたは取り付けられた非接触通信媒体にID番号等を書き込み、このID番号等をICタグリーダにて読み取り、この読み取ったID番号等とサーバやパーソナルコンピュータ等に記憶されたコンクリートに関する情報とを対応させて管理する方法等、が行われている(例えば、特許文献1等参照)。
これらの方法では、コンクリート供試体中に備えられた非接触通信媒体により、コンクリート供試体を作製する際に用いたコンクリートに関する情報と、コンクリート供試体とを対応させることにより、煩雑かつ多忙な作業を無くすとともに、コンクリート供試体及びそれに用いられるコンクリート等の情報を、簡易に、かつ間違いなく正確に管理することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−139173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来のICタグリーダを用いたICタグの読み取り/書き込み方法では、物品から離れた位置で、ICタグリーダのアンテナ面を物品に向けることによりICタグの読み取り/書き込みを行っていた。
しかしながら、この方法では、ICタグの読み取り/書き込みを行う際に、このICタグリーダのアンテナ部のアンテナ面と、ICタグのアンテナ部のアンテナ面とが、概ね平行に相対するように用いる必要があり、これらのアンテナ面の互いの向き(角度)が一定以上ずれてしまうと、ICタグリーダにてICタグを検出することができず、ICタグからの情報の読み取りや、ICタグへの情報の書き込みができなくなるという問題点があった。
したがって、ICタグのアンテナ面がICタグリーダのアンテナ面の向きと異なった向きで物品等に取り付けられていた場合には、ICタグを検出することができず、そこで、ICタグリーダのアンテナ面を物品の近傍で当該物品に向けながら、このICタグリーダを物品等に沿って動かしたり、あるいはICタグリーダのアンテナの向きを変えたりして、ICタグの位置を見つけ出す必要があった。
【0007】
また、ICタグが、ICタグリーダのアンテナの位置に対して、物品の裏側や側面に取り付けられていた場合には、ICタグのアンテナ面とICタグリーダのアンテナ面との向きが一致していても、電波が物品の内部を通過することができず、やはりICタグを検出することができなかった。そこで、同様に、ICタグリーダを物品等に沿って動かしたり、あるいはICタグリーダのアンテナの向きを変えたりして、ICタグの位置を見つけ出す必要があった。例えば、コンクリート供試体にICタグを埋め込んだ場合、外側からではICタグが埋め込まれた位置が分らず、このコンクリート供試体の周囲でICタグリーダを動かし、ICタグの位置を捜す必要があった。
このように、従来のICタグリーダを用いてICタグの読み取り/書き込みを行う場合、読み取り/書き込みを行うための作業が煩雑になるために、作業の効率化、情報管理の正確さを達成することが難しかった。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、物品に備えられたICタグの位置を捜したり、ICタグリーダの向きを変えたり等を行うことなく、極めて簡易にICタグを捜し出すことができ、しかも、ICタグの読み取り/書き込みを簡易かつ正確に行うことのできるICタグの読み取り/書き込み方法及びICタグリーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、物品に取り付けられたICタグの情報の読み取り/書き込みを行う際に、ループ型アンテナを備えたICタグリーダを用いれば、このICタグリーダのループ型アンテナに物品を挿通させるだけで、極めて簡易にICタグを捜し出すことができ、しかも、ICタグの読み取り/書き込みを簡易かつ正確に行うことができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明のICタグの読み取り/書き込み方法の1つは、物品に取り付けられたICタグの情報の読み取り/書き込みを行うICタグの読み取り/書き込み方法であって、ループ型アンテナを備えたICタグリーダを用い、前記物品、前記ICタグリーダのいずれか一方または双方を動かすことにより、前記物品を前記ループ型アンテナに挿通させて前記物品に取り付けられた前記ICタグの情報の読み取り/書き込みを行うことを特徴とする。
【0011】
本発明のICタグの読み取り/書き込み方法の他の1つは、物品に取り付けられたICタグの情報の読み取り/書き込みを行うICタグの読み取り/書き込み方法であって、複数のループ型アンテナを備え、これらのループ型アンテナのそれぞれのアンテナ面を、これらのアンテナ面にて互いに交差させるか、または、これらのアンテナ面の延長上にて互いに交差させたICタグリーダを用い、前記物品、前記ICタグリーダのいずれか一方または双方を動かすことにより、前記物品を前記複数のループ型アンテナのうち1つ以上に挿通させて前記物品に取り付けられた前記ICタグの情報の読み取り/書き込みを行うことを特徴とする。
【0012】
本発明のICタグの読み取り/書き込み方法のさらに他の1つは、物品に取り付けられたICタグの情報の読み取り/書き込みを行うICタグの読み取り/書き込み方法であって、アンテナ線を複数回巻回して複数のループアンテナ部とし、これらのループアンテナ部のそれぞれのアンテナ面を互いに交差させたループ型アンテナを備えたICタグリーダを用い、前記物品、前記ICタグリーダのいずれか一方または双方を動かすことにより、前記物品を前記複数のループアンテナ部のうち1つ以上に挿通させて前記物品に取り付けられた前記ICタグの情報の読み取り/書き込みを行うことを特徴とする。
【0013】
本発明のICタグの読み取り/書き込み方法では、前記物品は、コンクリート供試体であることが好ましい。
【0014】
本発明のICタグリーダの1つは、物品に取り付けられたICタグの情報の読み取り/書き込みを行うICタグリーダであって、複数のループ型アンテナを備え、これらのループ型アンテナのそれぞれのアンテナ面を、これらのアンテナ面にて互いに交差させるか、または、これらのアンテナ面の延長上にて互いに交差させたことを特徴とする。
【0015】
本発明のICタグリーダの他の1つは、物品に取り付けられたICタグの情報の読み取り/書き込みを行うICタグリーダであって、アンテナ線を複数回巻回して複数のループアンテナ部とし、これらのループアンテナ部のそれぞれのアンテナ面を互いに交差させたループ型アンテナを備えてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のICタグの読み取り/書き込み方法によれば、ICタグリーダのループ型アンテナに物品を挿通させるだけで、極めて簡易にICタグを捜し出すことができ、このICタグにおける情報の読み取り/書き込みを簡易かつ正確に行うことができる。したがって、ICタグ情報の読み取り/書き込み作業の繁雑さをなくすことができ、この読み取り/書き込み作業の効率を向上させることができ、この読み取り/書き込みの正確性を向上させることができる。
【0017】
本発明のICタグリーダによれば、このICタグリーダのループ型アンテナに物品を挿通させるだけでよいので、ICタグの情報の読み取り/書き込みを簡易かつ正確に行うことができ、この読み取り/書き込み作業の効率性及び正確性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態のICタグリーダを示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態のICタグリーダを用いたICタグの読み取り/書き込み方法を示す模式図である。
【図3】本発明の第1の実施形態のICタグリーダの変形例を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態のICタグリーダの他の変形例を示す斜視図である。
【図5】本発明の第2の実施形態のICタグリーダを示す斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施形態のICタグリーダを用いたICタグの読み取り/書き込み方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のICタグの読み取り/書き込み方法及びICタグリーダを実施するための形態について、図面に基づき説明する。
なお、本形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0020】
「第1の実施形態」
図1は、本発明の第1の実施形態のICタグリーダを示す斜視図であり、図において、1はICタグリーダであり、物品に取り付けられたICタグの情報の読み取り/書き込みを行う制御回路及びICメモリ等の記憶回路等を内蔵したリーダ本体2と、このリーダ本体2の側面2aから突出する複数のループ型アンテナ3、4(図1では、2つ)とにより構成されている。
【0021】
ループ型アンテナ3、4は、アンテナ線が円環状に曲げ加工されており、それぞれのアンテナ面3a、4aが互いに近接した状態で、これらのアンテナ面3a、4aが、側面2aから略垂直に突出する直線5を軸に回転することにより角度θにて互いに交差するようになっている。
これらのループ型アンテナ3、4は、物品をアンテナ面3a、4aのうち少なくともいずれか一方に挿通することにより、この物品に取り付けられたICタグの情報の読み取り/書き込みを十分に行うことができればよく、これらのアンテナ面3a、4aのなす角度θについても特に制限は無いが、ICタグの情報の読み取り/書き込みの精度や物品の挿通し易さ等を考慮すると、この角度θは、5°〜90°の範囲が好ましく、より好ましくは5°〜45°の範囲である。
【0022】
このICタグリーダ1は、ICタグの情報の読み取り書き込みの両方を行う機能を有しているが、必要に応じて、ICタグの情報を読み取る機能、ICタグに情報を書き込む機能、のいずれか一方のみの機能を有していてもよい。
また、このICタグリーダ1は複数のループ型アンテナ3、4を備えているが、用途や仕様等によっては、ICタグリーダ1は1つのループ型アンテナ3(4)のみを備えた構成としてもよい。
また、上記のICタグとは、RFID等の電波により情報を交信する非接触通信媒体のことである。
【0023】
このICタグリーダ1の形状や大きさ等は、特に限定されないが、例えば、コンクリートの打設現場における使用等を考慮すると、携帯可能な形状や大きさが好ましい。このように、携帯可能な形状や大きさであれば、例えば、重量物であるコンクリート供試体を移動させることなく、作業現場で容易にICタグの情報の読み取り/書き込みを行うことができるので好都合である。
【0024】
特に、生コンクリート工場や建造物の施工現場では、毎日多数のコンクリート供試体を作製し、所定期間保管する必要があるので、多数のコンクリート供試体を保管場所から移動させてICタグの情報の読み取り/書き込みを行い、コンクリート供試体を識別することは実際、困難である。このような場合、携帯可能なICタグリーダを用いることにより、施工現場等で簡易にコンクリート供試体を識別することができる。
【0025】
図3は、本実施形態のICタグリーダの変形例を示す斜視図であり、このICタグリーダ21が上記のICタグリーダ1と異なる点は、ループ型アンテナ3、4のアンテナ面3a、4aが、側面2aと略平行な直線22を軸に回転することにより角度θにて互いに交差するようにした点であり、その他の点については、上記のICタグリーダ1と全く同様である。
【0026】
図4は、本実施形態のICタグリーダの他の変形例を示す斜視図であり、このICタグリーダ31が上記のICタグリーダ1と異なる点は、ループ型アンテナ3、4を互いに離間するように八の字状に広げた点、すなわち、これらのループ型アンテナ3、4のアンテナ面3a、4a上のそれぞれの直線32、33の延長線上の交点34にて、角度θにて互いに交差させた点であり、その他の点については、上記のICタグリーダ1と全く同様である。
【0027】
なお、これらのICタグリーダ1、21、31では、ループ型アンテナ3、4のアンテナ面3a、4aは、側面2aから略垂直に突出する直線5や側面2aと略平行な直線22を軸に回転し、角度θにて互いに交差するだけではなく、側面2aに対して傾いた直線を軸に回転し、角度θにて互いに交差することとしてもよい。
【0028】
次に、このICタグリーダ1を用いてコンクリート供試体の識別を行う方法について説明する。
まず、コンクリート供試体用の型枠内に生コンクリートを打設し、次いで、この生コンクリートを硬化し、その後脱型して、図2に示す所定の大きさ、所定の形状のコンクリート供試体11を作製する。コンクリート供試体11中にはICタグ12が埋め込まれている。作製されるコンクリート供試体11の数は、コンクリート1配合につき3本である。
【0029】
この生コンクリートを打設する際に、この生コンクリート中にICタグ12を埋め込む。埋め込み方法は、型枠内にICタグ12を配置した後、生コンクリートを流し込んでもよく、型枠内に生コンクリートを流し込む途中でICタグ12を埋め込んでもよく、生コンクリートを流し込んだ後、この生コンクリートの打設面からICタグ12を埋め込んでもよい。
【0030】
この場合、ICタグ12のアンテナ部における交信を考慮すると、アンテナ部の方向は問わないが、アンテナ部のアンテナ面は型枠の内面から3cm以内の領域に位置していることが好ましく、より好ましくは1cm以内の領域である。
このICタグ12のアンテナ面の埋め込み位置を、型枠の内面から3cm以内の領域とすることにより、このICタグ12のアンテナ面が型枠の内面に対して3次元のいずれの方向に傾斜した場合であっても、ICタグ12の情報の読み取り/書き込みを行う際の感度及び安定性が良好となる。
【0031】
このICタグ12には、コンクリートに関する情報を書き込んでもよく、あるいは、コンクリートに関する情報をサーバやパーソナルコンピュータ等に保存し、これらに対応するID番号をICタグに書き込み、このID番号をICタグリーダで読み込み、サーバやパーソナルコンピュータ等に保存されたコンクリートに関する情報と対応させてもよい。
このICタグ12への情報の書き込みは、コンクリート供試体への埋め込み前でも埋め込み後でもよい。
【0032】
このICタグ12としては、アクティブ型、パッシブ型のいずれでも構わないが、ICタグ12は強度試験後、廃棄される等の点を考慮すると、パッシブ型が好ましい。また、このICタグ12は、コンクリート供試体11に関する識別情報またはID番号等の書き込み/読み取りが可能なものであればよいが、識別情報の改ざん等を防止するためには、既に書き込まれた識別情報やID番号等の消去や上書きができず、識別情報の追加部分を書き込むのみとしたものが好ましい。
【0033】
コンクリートに関する情報としては、
(1)コンクリート供試体の作製日、生コンクリートを製造した工場名、製造ロット番号等
(2)生コンクリートの品質(スランプ、空気量、塩化物イオン量、練りあがり温度等)
(3)生コンクリートの原材料(骨材の産地、種類、密度等)
(4)生コンクリートの組成(材料の種類、配合比)
(5)生コンクリートの納入先、納入時間、荷下ろし時間
(6)圧縮強度(試験日、試験データ等)
(7)その他、仕様等で定められた項目
等がある。
【0034】
次いで、この生コンクリートを硬化・脱型し、次いで、所定の温度にて所定の時間、水中養生を施し、コンクリート供試体11とする。これにより、ICタグ12が埋め込まれたコンクリート供試体11が得られる。
【0035】
次いで、このコンクリート供試体11のICタグ12に記録された情報をICタグリーダ1を用いて非接触にて読み取り、この読み取った情報を基にコンクリート供試体11の識別を行う。
特に、水中養生を行う際、同一配合のコンクリート供試体を一箇所に集めて養生槽中に静置するためには、コンクリート供試体の識別が必要となる。さらに、所定期間養生したコンクリート供試体は、強度試験が行われるが、この時に、試験日の確認、コンクリート供試体に使用されたコンクリートに関する情報と試験結果を対応させるためにコンクリート供試体の識別が必要となる。
【0036】
ここでは、ICタグリーダ1を手に持ち、ICタグリーダ1のループ型アンテナ3、4のアンテナ面3a、4aを、コンクリート供試体11に対して上から挿通する。
なお、ICタグリーダ21の場合も同様に、このICタグリーダ21のループ型アンテナ3、4のアンテナ面3a、4aを、コンクリート供試体11に対して上から挿通すればよいが、ICタグリーダ31の場合には、ループ型アンテナ3、4が互いに離間しているので、これらのループ型アンテナ3、4のアンテナ面3a、4aのうち少なくともいずれか一方を、コンクリート供試体11に対して上から挿通することとすればよい。
また、ICタグリーダ1が1つのループ型アンテナ3(4)しか備えていない場合には、このICタグリーダ1のループ型アンテナ3(4)のアンテナ面3a(4a)を、コンクリート供試体11に対して上から挿通すればよい。
【0037】
これにより、コンクリート供試体11に埋め込まれたICタグ12のアンテナ面がどのような方向を向いていた場合においても、アンテナ面3a、4aの向きが異なるループ型アンテナ3、4のうち少なくともいずれか一方が、必要とされるお互いのアンテナ面の向き(角度)の条件を満たすことにより、ICタグ12を検出することができる。
【0038】
また、コンクリート供試体11の外側からアンテナをかざすのではなく、ループ型アンテナ3、4のアンテナ面3a、4aを、ICタグ12が埋め込まれたコンクリート供試体11が通過するように、ループ型アンテナ3、4を動かすので、ICタグ12がコンクリート供試体11の裏側や側面に埋め込まれていたとしても、ループ型アンテナ3、4のアンテナ面3a、4aをICタグ12が通過する際に検出することができる。したがって、ICタグリーダ1を様々な方向に動かして、ICタグ12の位置を捜す必要がない。
【0039】
また、コンクリート供試体11を動かすことにより、このコンクリート供試体11をループ型アンテナ3、4のアンテナ面3a、4aを通過するようにしても、全く同様に検出することができる。
さらに、このICタグリーダ1では、ループ型アンテナ3、4間の干渉が問題となる場合には、ループ型アンテナ3、4に交互に信号を送ることもできる。
【0040】
以上により、本実施形態のICタグの読み取り/書き込み方法によれば、ICタグリーダ1のループ型アンテナ3、4の少なくとも一方または双方にコンクリート供試体11を挿通させることにより、極めて簡易にICタグ12を捜し出すことができ、このICタグ12における情報の読み取り/書き込みを簡易かつ正確に行うことができる。したがって、ICタグ12の情報の読み取り/書き込み作業の繁雑さをなくすことができ、この読み取り/書き込み作業の効率を向上させることができ、この読み取り/書き込みの正確性を向上させることができる。
【0041】
本実施形態のICタグリーダ1によれば、複数のループ型アンテナ3、4のそれぞれのアンテナ面3a、4aを、角度θにて互いに交差するようにしたので、ICタグ12が埋め込まれたコンクリート供試体11がループ型アンテナ3、4の少なくとも一方または双方を通るようにICタグリーダ1を動かすだけで、コンクリート供試体11に埋め込まれたICタグ12の情報の読み取り/書き込みを簡易かつ正確に行うことができ、この読み取り/書き込み作業の効率性及び正確性を向上させることができる。
また、ループ型アンテナ3、4を動かす距離を短くすることができ、作業性及び作業効率を向上させることができる。
【0042】
「第2の実施形態」
図5は、本発明の第2の実施形態のICタグリーダを示す斜視図であり、本実施形態のICタグリーダ41が第1の実施形態のICタグリーダ1と異なる点は、第1の実施形態のICタグリーダ1では、リーダ本体2の側面2aから略垂直に突出するループ型アンテナ3、4のアンテナ面3a、4aを、そのアンテナ面3a、4a内にて角度θにて互いに交差するようにしたのに対し、本実施形態のICタグリーダ41では、1本のアンテナ線42を複数回巻回(図5では2回)して円環状に曲げられたループアンテナ部43、44とし、これらのループアンテナ部43、44のそれぞれのアンテナ面43a、44aを、側面2aから略垂直に突出する直線45を軸に回転させることにより角度θにて互いに交差するようにした点であり、それ以外の点については、第1の実施形態のICタグリーダ1と同様である。
【0043】
このICタグリーダ41を用いて、このコンクリート供試体11のICタグ12に記録された情報を非接触にて読み取る場合、このICタグリーダ41を手に持ち、図6に示すように、ICタグリーダ41のループアンテナ部43、44のそれぞれのアンテナ面43a、44aを、コンクリート供試体11に対して上から挿通する。
本実施形態においても、コンクリート供試体11に埋め込まれたICタグ12のアンテナ面がどのような方向を向いていた場合においても、アンテナ面43a、44aの向きが異なるループアンテナ部43、44のうち少なくともいずれか一方が、必要とされるお互いのアンテナ面の向き(角度)の条件を満たすことにより、ICタグ12を検出することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 ICタグリーダ
2 リーダ本体
2a 側面
3、4 ループ型アンテナ
3a、4a アンテナ面
5 直線
11 コンクリート供試体
12 ICタグ
21 ICタグリーダ
22 直線
31 ICタグリーダ
32、33 直線
34 交点
41 ICタグリーダ
42 アンテナ線
43、44 ループ型アンテナ
43a、44a アンテナ面
45 直線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品に取り付けられたICタグの情報の読み取り/書き込みを行うICタグの読み取り/書き込み方法であって、
ループ型アンテナを備えたICタグリーダを用い、
前記物品、前記ICタグリーダのいずれか一方または双方を動かすことにより、前記物品を前記ループ型アンテナに挿通させて前記物品に取り付けられた前記ICタグの情報の読み取り/書き込みを行うことを特徴とするICタグの読み取り/書き込み方法。
【請求項2】
物品に取り付けられたICタグの情報の読み取り/書き込みを行うICタグの読み取り/書き込み方法であって、
複数のループ型アンテナを備え、これらのループ型アンテナのそれぞれのアンテナ面を、これらのアンテナ面にて互いに交差させるか、または、これらのアンテナ面の延長上にて互いに交差させたICタグリーダを用い、
前記物品、前記ICタグリーダのいずれか一方または双方を動かすことにより、前記物品を前記複数のループ型アンテナのうち1つ以上に挿通させて前記物品に取り付けられた前記ICタグの情報の読み取り/書き込みを行うことを特徴とするICタグの読み取り/書き込み方法。
【請求項3】
物品に取り付けられたICタグの情報の読み取り/書き込みを行うICタグの読み取り/書き込み方法であって、
アンテナ線を複数回巻回して複数のループアンテナ部とし、これらのループアンテナ部のそれぞれのアンテナ面を互いに交差させたループ型アンテナを備えたICタグリーダを用い、
前記物品、前記ICタグリーダのいずれか一方または双方を動かすことにより、前記物品を前記複数のループアンテナ部のうち1つ以上に挿通させて前記物品に取り付けられた前記ICタグの情報の読み取り/書き込みを行うことを特徴とするICタグの読み取り/書き込み方法。
【請求項4】
前記物品は、コンクリート供試体であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載のICタグの読み取り/書き込み方法。
【請求項5】
物品に取り付けられたICタグの情報の読み取り/書き込みを行うICタグリーダであって、
複数のループ型アンテナを備え、
これらのループ型アンテナのそれぞれのアンテナ面を、これらのアンテナ面にて互いに交差させるか、または、これらのアンテナ面の延長上にて互いに交差させたことを特徴とするICタグリーダ。
【請求項6】
物品に取り付けられたICタグの情報の読み取り/書き込みを行うICタグリーダであって、
アンテナ線を複数回巻回して複数のループアンテナ部とし、これらのループアンテナ部のそれぞれのアンテナ面を互いに交差させたループ型アンテナを備えてなることを特徴とするICタグリーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−231523(P2010−231523A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78603(P2009−78603)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000183266)住友大阪セメント株式会社 (1,342)
【Fターム(参考)】