ICタグ装置、サーバ装置、セキュリティシステム
【課題】訪問者の身分などを確認できる他、多種多様な機能を実現できるICタグ装置、サーバ装置、セキュリティシステムを提供する。
【解決手段】ICタグ装置が付加される対象物の機能に関する機能情報と対象物を識別するためのID情報とを記憶しておき、入力される指令に応じて所定の処理を実行することにより、多種多様なシステムを構築できる。例えば、訪問者が携帯する身分証明書に対応するタグ情報をICタグ装置から送信し、ホームサーバ装置2において、タグ情報について照合処理を行う。このように構成すれば、訪問者の身分などを確認できるセキュリティシステムを実現できる。
【解決手段】ICタグ装置が付加される対象物の機能に関する機能情報と対象物を識別するためのID情報とを記憶しておき、入力される指令に応じて所定の処理を実行することにより、多種多様なシステムを構築できる。例えば、訪問者が携帯する身分証明書に対応するタグ情報をICタグ装置から送信し、ホームサーバ装置2において、タグ情報について照合処理を行う。このように構成すれば、訪問者の身分などを確認できるセキュリティシステムを実現できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はICタグ装置、サーバ装置、セキュリティシステムに関し、特にホームセキュリティシステムなどを実現することのできるICタグ装置、サーバ装置、セキュリティシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ICタグを物品に付することにより、その物品の所在を家庭あるいは個人のレベルで管理する技術が特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載されている技術を用いて、物品の移動を管理することにより、盗難を防止するホームセキュリティシステムを構築することが可能である。また、食品などの消耗品に付けて家庭の在庫管理することも可能である。さらに、本特許文献1に記載されている技術を用いて、流通管理や倉庫の在庫管理システムを構築することも可能である。
【特許文献1】特開2002−104626号公報(段落[0006])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載されている技術を用いても、訪問者の身分などを確認することはできず、ホームセキュリティシステムとしては不十分である。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、その目的は訪問者の身分などを確認できる他、多種多様な機能を実現できるICタグ装置、サーバ装置、セキュリティシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の請求項1によるICタグ装置は、対象物に付加されるICタグ装置であって、自装置が付加される対象物の機能に関する機能情報と前記対象物を識別するためのID情報とを含むタグ情報を記憶する記憶手段と、入力される指令に応じて所定の処理を実行する処理実行手段とを有することを特徴とする。このように構成されたICタグ装置を用いれば、訪問者の身分などを確認できるセキュリティシステムを実現できる他、多種多様なシステムを構築できる。
【0005】
本発明の請求項2によるICタグ装置は、請求項1において、操作された時に前記指令を発生させるスイッチを更に有することを特徴とする。このように構成されたICタグ装置を用いれば、ユーザによってスイッチが操作された時に、所定の処理を実行することができる。
本発明の請求項3によるICタグ装置は、請求項1又は2において、前記機能情報は複数のカテゴリからなる複数の情報から構成されており、前記処理実行手段は、前記記憶手段の記憶内容のうち、前記入力される指令に応じて所定カテゴリに属する情報のみを送信することを特徴とする。このように構成されたICタグ装置を用いれば、ユーザのスイッチ操作などによって発生する指令の種類に対応するカテゴリに属する情報のみを送信できる。
【0006】
本発明の請求項4によるサーバ装置は、タグ装置から送信される、該タグ装置が付加される対象物の機能に関する機能情報と前記対象物を識別するためのID情報とを含むタグ情報を取得するタグ情報取得手段と、複数のタグ装置についての前記タグ情報同士を対応付けるデータベースとを有することを特徴とする。タグ情報同士を対応付けることにより、対象物同士の協働動作を実現できる。
【0007】
本発明の請求項5によるサーバ装置は、請求項4において、前記データベースによって対応付けられたタグ情報の一方を受信した場合、対応付けられた他方のタグ情報を記憶しているICタグ装置に所定の処理を実行させるための指令を送信する通信手段を更に有することを特徴とする。タグ情報同士を対応付けることにより、対象物をリンクして動作させることができる。例えば、対象物である「スイッチ」及び「照明器具」について、それぞれのタグ情報同士を対応付ければ、「スイッチ」のオンオフに応じて「照明器具」をオンオフさせることができる。しかも、この場合には、両者間の配線は不要である。
【0008】
本発明の請求項6によるセキュリティシステムは、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のICタグ装置と、請求項4又は5に記載のサーバ装置とを用いて構成されたセキュリティシステムであって、前記対象物は訪問者が携帯する身分証明書であり、前記処理実行手段は前記身分証明書に対応するタグ情報を送信し、前記サーバ装置は前記タグ情報取得手段が取得したタグ情報について照合処理を行うことを特徴とする。このようにセキュリティシステムを構成することにより、訪問者の身分などをローカル処理によって確認することができる。
【0009】
本発明の請求項7によるセキュリティシステムは、請求項6において、前記サーバ装置は、前記タグ情報取得手段が取得したタグ情報を他の装置に送信し、そのタグ情報についての照合処理結果を前記他の装置から取得することを特徴とする。このようにセキュリティシステムを構成することにより、訪問者の身分などをリモート処理によって確認することができる。
【0010】
本発明の請求項8によるセキュリティシステムは、請求項6又は7において、前記身分証明書に対応するタグ情報はカテゴリ分類されており、前記処理実行手段は入力される指令に対応するカテゴリに属する情報のみを送信することを特徴とする。このように構成することにより、状況に応じて個人情報などを送信したり、送信しなかったり、柔軟な対応が可能となる。
【0011】
本発明の請求項9によるセキュリティシステムは、請求項6から請求項7までのいずれか1項において、前記訪問者の身体的特徴に関する情報を取得するセンサを更に有し、前記センサによって取得した情報をも前記照合処理に用いることを特徴とする。このように構成すれば、訪問者の顔画像、声紋、指紋などを認証することができ、その認証結果を利用することにより、セキュリティをより高めることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ICタグ装置が付加される対象物の機能に関する機能情報と対象物を識別するためのID情報とを記憶しておき、入力される指令に応じて所定の処理を実行することにより、訪問者の身分などを確認できるセキュリティシステムを実現できる他、多種多様なシステムを構築できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において参照する各図では、他の図と同等部分は同一符号によって示されている。
(ICタグ装置の構成例)
図1は、本発明の実施形態によるICタグ装置の一構成例を示すブロック図である。同図において、本発明の実施形態によるICタグ装置1は、ICタグ装置自身が付加される対象物の機能に関する機能情報112とその対象物を識別するためのID情報111とを含むタグ情報110を記憶する記憶手段11と、入力される指令に応じて所定の処理を実行する処理実行手段12とを含んで構成されている。
【0014】
ここで、ICタグ装置自身が付加される対象物には、あらゆる物が含まれる。例えば、住宅内に存在するものであれば、照明器具、ドア、カメラ付きインターホン、天井扇などである。対象物の機能とは、照明器具であればオン、オフという機能、ドアであれば施錠、解錠という機能、カメラ付きインターホンであれば撮影、音声出力という機能、天井扇であれば回転開始、回転停止という機能である。
また、処理実行手段12が実行する処理には、記憶手段11の記憶内容を送信する処理、外部装置から送信された信号を受信する処理など、あらゆる処理が含まれる。
【0015】
図2は、本発明の実施形態によるICタグ装置の他の構成例を示すブロック図である。同図において、本発明の実施形態によるICタグ装置1は、図1の構成に、処理実行手段12に入力される指令を発生させるためのスイッチSWが追加された構成である。本例のスイッチSWには、4つのスイッチSW1、SW2、SW3、SW4が含まれている。これらのスイッチSW1〜SW4を操作することにより、異なる指令を処理実行手段12に入力することができる。
【0016】
(データベースの構成例)
図3は、本発明の実施形態によるサーバ装置のデータベースに記憶されるタグ情報の例を示す図である。タグ情報は、ICタグ装置が付加される対象物によって異なる。すなわち、同図(a)を参照すると、装置Aには、その装置特有の機能がある。例えば、機能A1、機能A2、機能A3、機能A4…がある。また、装置Bにもその装置特有の機能B1、機能B2、機能B3、機能B4…がある。これらの機能には、電源オン、電源オフという単純なものの他、複雑な処理や動作も含まれる。これら各装置の機能同士について、対応付ける内容をデータベースに記憶する。
【0017】
ここで、同図(b)を参照すると、照明器具L1は、「オン」、「オフ」という機能を有している。また、スイッチS1は、「オン」、「オフ」という機能を有している。このため、同図(c)のように、スイッチS1の「オン」と照明器具L1の「オン」とを対応付けると共に、スイッチS1の「オフ」と照明器具L1の「オフ」とを対応付ける内容をデータベースに記憶しておけば、このデータベースの内容を参照することでスイッチS1の動作と照明器具L1の動作とをリンクさせることができる。すなわち、スイッチS1を「オン」にすれば照明器具L1が「オン」となり、スイッチS1を「オフ」にすれば照明器具L1が「オフ」となる。この場合、スイッチS1が「オン」に操作されると、スイッチS1に付加されているICタグ装置に指令が送られる。すると、ICタグ装置からサーバ装置に指令が送信され、データベースの記憶内容が参照される。データベースの記憶内容に従って、照明器具L1に付加されているICタグ装置に指令が送られ、そのICタグ装置から照明器具L1に指令が送られる。これにより、照明器具L1が「オン」になる。なお、以上の処理を実現する場合に、スイッチS1から照明器具L1まで電気配線を設けておく必要は無い。
【0018】
また、同図(d)のように、スイッチS2に2つの照明器具L1、L2を対応付けることもできる。同図のようにデータベースに記憶されている場合、スイッチS2が「オン」のときに照明器具L1のみ「オン」(照明器具L2は「オフ」)、スイッチS2が「オフ」のときに照明器具L1及びL2を共に「オン」とすることができる。同図(e)のように、ドアについての機能は「オープン」、「クローズ」、ファンについての機能は「右回転」、「左回転」、「停止」などであり、これらを上記のスイッチS1、S2の「オン」、「オフ」の機能に対応付ける内容をデータベースに記憶しておけば、ICタグ装置から指令が送られ、ドアやファンの動作状態を制御することができる。この他、データベースの記憶内容により、複雑な処理を実現することができる。
【実施例1】
【0019】
図1のICタグ装置と図3のデータベースを有するサーバ装置とを用いて照明器具を制御する場合について、図4を参照して説明する。同図は、サーバ装置のデータベースに記憶されるタグ情報によって制御される照明器具の動作例を示す図である。照明器具L1にはICタグ装置1aが、照明器具L2にはICタグ装置1bが、スイッチS1にはICタグ装置1cが、スイッチS2にはICタグ装置1dが、それぞれ付加されている。
【0020】
このような構成において、サーバ装置のデータベースの記憶内容が図3(b)及び(c)のようになっている場合、スイッチS1をオンにすると、ICタグ装置1cから指令が送信され、ホームサーバ装置2に記憶されているデータベースの内容が参照されることにより、ICタグ装置1aに指令が送られる。これにより、照明器具L1がオンになる。一方、スイッチS1をオフにすると、同様にデータベースの内容が参照され、ICタグ装置1aに指令が送られ、照明器具L1がオフになる。
【0021】
また、スイッチS2をオンにすると、ICタグ装置1dから指令が送信され、ホームサーバ装置2に記憶されているデータベースの内容が参照されることにより、ICタグ装置1a及び1bに指令が送られる。これにより、照明器具L1がオン、照明器具L2がオフになる。一方、スイッチS2をオフにすると、同様にデータベースの内容が参照され、ICタグ装置1a及び1bに指令が送られ、照明器具L1及びL2が共にオンになる。
なお、データベースの記憶内容を変更すれば、オンオフの条件を変更できる。
【実施例2】
【0022】
図2のICタグ装置を用いてホームセキュリティシステムを構成する場合について、図5〜図7を参照して説明する。
(ICタグ装置の構成例)
図5(a)に示されているように、ICタグ装置1は、対象物に内蔵されたり、対象物表面に貼付されたりすることにより、対象物に付加される。ICタグ装置1が付加される対象物は、例えば、家庭電化製品、セキュリティロボット、案内ロボット、受付ロボットなどである。ただし、これらに限定されるものではなく、あらゆるものがICタグ装置1の付加対象物になりうる。同図(b)は、身分証明書にICタグ装置1を付加する場合の構成例を示す図である。同図(b)を参照すると、身分証明書100には、図1を参照して説明したICタグ装置が内蔵されている。身分証明書100の表面には、氏名や会社名が記載されている他、写真Pが貼付されている。身分証明書100の上部には安全ピン101が設けられている。この安全ピン101を利用することにより、訪問者の衣服などに身分証明書100を装着することができる。
【0023】
一方、同図(c)を参照すると、身分証明書100には、図2を参照して説明したICタグ装置1が内蔵されている。また、身分証明書100の表面にはスイッチSW1、SW2、SW3が設けられ、その側面にはスイッチSW4が設けられている。
スイッチSW1、SW2、SW3は押しボタンスイッチであり、操作されたタイミングで指令を発生させることができる。本例では、スイッチSW1の操作部分に「一般」、スイッチSW2の操作部分に「部外秘」、スイッチSW3の操作部分に「秘密」、がそれぞれ記載されている。
【0024】
スイッチSW4はスライド式スイッチであり、矢印Yの方向にスライド操作できる。そして、スライドされた位置に対応する指令を発生させることができる。本例では、オンオフの位置のいずれかにスライド操作でき、オンの位置に操作されている場合に、上記指令を継続的に発生させることができる。
LEDなどを身分証明書100に追加し、これらのスイッチSW1〜SW4が操作された場合に、それを点灯させてもよい。
なお、同図(a)の場合と同様に、身分証明書100の表面に氏名や会社名が記載され、写真Pが貼付され、安全ピン101が設けられている。
【0025】
図6は、身分証明書に付加されるICタグ装置のタグ情報の例を示す図である。同図に示されているように、本例では、身分証明書の「ID情報」は「ID××××」、「氏名」は「本田太郎」、「所属会社」は「A社」、「認証URL」は「http://www.○○○.com/confirID.php」、「電話番号」は「055−252−252」、「電子メールアドレス」は「tarou@○○○.com」、「社員番号」は「923354」、である。これらのタグ情報は、複数のカテゴリに分類されている。本例では、「ID情報」は「公開」のカテゴリ、「氏名」、「所属会社」及び「認証URL」は「一般」のカテゴリ、「電話番号」及び「電子メールアドレス」は「部外秘」のカテゴリ、「社員番号」は「秘密」のカテゴリ、にそれぞれ分類されている。そして、図5を参照して説明した、「一般」、「部外秘」、「秘密」の各スイッチSW1〜SW3を操作すると、対応するカテゴリに属する情報を送信するための指令が発生し、それらの情報が送信される。このとき、ICタグ装置の「ID情報」については、どのスイッチを操作しても必ず送信される。
スイッチSW4がオン操作されている場合は、例えば、「一般」のカテゴリに属する情報のみを送信するための指令を継続的に発生させればよい。
以上のように、特定のカテゴリに属する情報のみを送信することにより、状況に応じて個人情報などを送信したり、送信しなかったり、柔軟な対応が可能となる。
【0026】
(ホームセキュリティシステムの構成例)
図7は、身分証明書にICタグ装置を付加した訪問者についての認証を行うホームセキュリティシステムの構成例を示す図である。同図を参照すると、本例のホームセキュリティシステムは、身分証明書100に付加されたICタグ装置1aと、インターホンIに付加されたICタグ装置1bと、ドア制御盤4に付加されたICタグ装置1cと、ドアD付加されたICタグ装置1dと、タグ情報が記憶されたデータベースDBを有するホームサーバ装置2と、身分証明書を装着した訪問者について認証を行う機能を有する外部サーバ装置3と、ホームサーバ装置2に接続されたディスプレイモニタMとを含んで構成されている。
【0027】
インターホンIは、訪問者の顔画像などを撮影するためのカメラ、音声入力するためのマイクロホン、音声出力するためのスピーカを有しており、押しボタンが操作されるとそれらの動作が開始される。
ドアDは開け閉め可能な玄関ドアであり、施錠(ロック)及び解錠(アンロック)が電気制御可能になっている。このドアDの施錠、解錠するための指令を発生するのがドア制御盤4である。ドア制御盤4には、「施錠」スイッチと、「解錠」スイッチとが設けられており、操作されたスイッチに対応する指令がICタグ装置1cから送信される。
【0028】
ホームサーバ装置2のデータベースDBには、複数のタグ情報同士が対応付けられて記憶されている。
外部サーバ装置3は、ネットワークNWを介してホームサーバ装置2からアクセス可能になっている。ネットワークNWは、例えば、電話回線、携帯電話回線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)、ISDN(Integrated Services Digital Network)などである。
ホームサーバ装置2は、テレビ、ビデオ、オーディオなどのマルチメディア機器と接続されていてもよい。
【0029】
以上のような構成において、身分証明書100を装着した訪問者がインターホンIの前に立ち、その押しボタンを操作すると、ICタグ装置1aに記憶されているID情報が送信される。このとき、身分証明書100に設けられているスイッチを操作することにより、送信したい情報のみを送信できる。
ICタグ装置1aに記憶されているID情報が送信されると、ホームサーバ装置2において、認証処理が行われる。この認証処理は、ホームサーバ装置2内に認証情報が記憶されている場合は、その認証情報と受信したID情報とを比較することによって行われる。ホームサーバ装置2内に認証情報が記憶されていない場合は、ネットワークNWを介して外部サーバ装置3にアクセスし、外部サーバ装置3内に記憶されている認証情報と受信したID情報とを比較することで認証処理を実現する。
【0030】
認証処理の結果は、図示せぬスピーカから音声メッセージによって出力されたり、ディスプレイモニタMの画面に表示されたりする。この認証結果を、住宅の住民が確認した後、ドア制御盤4を操作することになる。認証結果がOKであれば、「解錠」スイッチを操作することにより、ドアDをアンロックするための指令がICタグ装置1cから送信され、その指令を受信したホームサーバ装置2がデータベースDBを参照し、ICタグ装置1dに指令を送信する。この指令を受信したICタグ装置1dは、ドアDの解錠を行う。
【0031】
一方、認証結果がNGであれば、自動的に警察に通報を行うなどの処理を行う。身分証明書100について紛失届けや盗難届けが提出されていれば、その情報を外部サーバ装置3に記憶しておくことにより、ホームサーバ装置2からのアクセスが行われた場合に、認証NGの情報を送信することができる。顔画像については、データベースDBに蓄積して後で確認できるようにしてもよいし、その内容を警察に通報してもよい。
【0032】
訪問者について以上のように認証処理を行うことで、個人情報を保護しつつセキュリティを確保することができる。また、住宅の住民が外出している最中に、訪問者が来た場合は、その住民が携帯している携帯電話機に発呼して来訪者とリアルタイムの通話を実現したり、メール送信して来訪の旨を報知したりすることができる。住民が来訪者に応対できない場合は、インターホンのカメラの画像を録画し、ビデオメッセージとして記録してもよい。
【0033】
(まとめ)
図8はICタグ装置の構成例を示す図、図9はICタグ装置を身分証明書に付加する場合の構成例を示す図、図10は住宅内においてユビキタス環境を実現するための構成例を示す図、図11は訪問者の認証を行う処理例を示す図、図12は住宅の住民が不在であった場合の処理例を示す図である。これらの図に示されている内容に従ってホームセキュリティシステムを構成すれば、訪問者の身分などを確認できる他、多種多様な機能を実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明はホームセキュリティシステム、多種多様なシステムの構築に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態によるICタグ装置の一構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態によるICタグ装置の他の構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態によるサーバ装置のデータベースに記憶されるタグ情報の例を示す図である。
【図4】サーバ装置のデータベースに記憶されるタグ情報によって制御される照明器具の動作例を示す図である。
【図5】身分証明書にICタグ装置を付加する場合の構成例を示す図である。
【図6】身分証明書に付加されるICタグ装置のタグ情報の例を示す図である。
【図7】身分証明書にICタグ装置を付加した訪問者についての認証を行うホームセキュリティシステムの構成例を示す図である。
【図8】ICタグ装置の構成例を示す図である。
【図9】ICタグ装置を身分証明書に付加する場合の構成例を示す図である。
【図10】住宅内においてユビキタス環境を実現するための構成例を示す図である。
【図11】訪問者の認証を行う処理例を示す図である。
【図12】住宅の住民が不在であった場合の処理例を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
1、1a〜1d ICタグ装置
2 ホームサーバ装置
3 外部サーバ装置
4 ドア制御盤
11 記憶手段
12 処理実行手段
100 身分証明書
101 安全ピン
110 タグ情報
111 ID情報
112 機能情報
D ドア
DB データベース
I インターホン
L1、L2 照明器具
M ディスプレイモニタ
NW ネットワーク
P 写真
S1、S2、SW1〜SW4 スイッチ
【技術分野】
【0001】
本発明はICタグ装置、サーバ装置、セキュリティシステムに関し、特にホームセキュリティシステムなどを実現することのできるICタグ装置、サーバ装置、セキュリティシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ICタグを物品に付することにより、その物品の所在を家庭あるいは個人のレベルで管理する技術が特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載されている技術を用いて、物品の移動を管理することにより、盗難を防止するホームセキュリティシステムを構築することが可能である。また、食品などの消耗品に付けて家庭の在庫管理することも可能である。さらに、本特許文献1に記載されている技術を用いて、流通管理や倉庫の在庫管理システムを構築することも可能である。
【特許文献1】特開2002−104626号公報(段落[0006])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載されている技術を用いても、訪問者の身分などを確認することはできず、ホームセキュリティシステムとしては不十分である。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、その目的は訪問者の身分などを確認できる他、多種多様な機能を実現できるICタグ装置、サーバ装置、セキュリティシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の請求項1によるICタグ装置は、対象物に付加されるICタグ装置であって、自装置が付加される対象物の機能に関する機能情報と前記対象物を識別するためのID情報とを含むタグ情報を記憶する記憶手段と、入力される指令に応じて所定の処理を実行する処理実行手段とを有することを特徴とする。このように構成されたICタグ装置を用いれば、訪問者の身分などを確認できるセキュリティシステムを実現できる他、多種多様なシステムを構築できる。
【0005】
本発明の請求項2によるICタグ装置は、請求項1において、操作された時に前記指令を発生させるスイッチを更に有することを特徴とする。このように構成されたICタグ装置を用いれば、ユーザによってスイッチが操作された時に、所定の処理を実行することができる。
本発明の請求項3によるICタグ装置は、請求項1又は2において、前記機能情報は複数のカテゴリからなる複数の情報から構成されており、前記処理実行手段は、前記記憶手段の記憶内容のうち、前記入力される指令に応じて所定カテゴリに属する情報のみを送信することを特徴とする。このように構成されたICタグ装置を用いれば、ユーザのスイッチ操作などによって発生する指令の種類に対応するカテゴリに属する情報のみを送信できる。
【0006】
本発明の請求項4によるサーバ装置は、タグ装置から送信される、該タグ装置が付加される対象物の機能に関する機能情報と前記対象物を識別するためのID情報とを含むタグ情報を取得するタグ情報取得手段と、複数のタグ装置についての前記タグ情報同士を対応付けるデータベースとを有することを特徴とする。タグ情報同士を対応付けることにより、対象物同士の協働動作を実現できる。
【0007】
本発明の請求項5によるサーバ装置は、請求項4において、前記データベースによって対応付けられたタグ情報の一方を受信した場合、対応付けられた他方のタグ情報を記憶しているICタグ装置に所定の処理を実行させるための指令を送信する通信手段を更に有することを特徴とする。タグ情報同士を対応付けることにより、対象物をリンクして動作させることができる。例えば、対象物である「スイッチ」及び「照明器具」について、それぞれのタグ情報同士を対応付ければ、「スイッチ」のオンオフに応じて「照明器具」をオンオフさせることができる。しかも、この場合には、両者間の配線は不要である。
【0008】
本発明の請求項6によるセキュリティシステムは、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のICタグ装置と、請求項4又は5に記載のサーバ装置とを用いて構成されたセキュリティシステムであって、前記対象物は訪問者が携帯する身分証明書であり、前記処理実行手段は前記身分証明書に対応するタグ情報を送信し、前記サーバ装置は前記タグ情報取得手段が取得したタグ情報について照合処理を行うことを特徴とする。このようにセキュリティシステムを構成することにより、訪問者の身分などをローカル処理によって確認することができる。
【0009】
本発明の請求項7によるセキュリティシステムは、請求項6において、前記サーバ装置は、前記タグ情報取得手段が取得したタグ情報を他の装置に送信し、そのタグ情報についての照合処理結果を前記他の装置から取得することを特徴とする。このようにセキュリティシステムを構成することにより、訪問者の身分などをリモート処理によって確認することができる。
【0010】
本発明の請求項8によるセキュリティシステムは、請求項6又は7において、前記身分証明書に対応するタグ情報はカテゴリ分類されており、前記処理実行手段は入力される指令に対応するカテゴリに属する情報のみを送信することを特徴とする。このように構成することにより、状況に応じて個人情報などを送信したり、送信しなかったり、柔軟な対応が可能となる。
【0011】
本発明の請求項9によるセキュリティシステムは、請求項6から請求項7までのいずれか1項において、前記訪問者の身体的特徴に関する情報を取得するセンサを更に有し、前記センサによって取得した情報をも前記照合処理に用いることを特徴とする。このように構成すれば、訪問者の顔画像、声紋、指紋などを認証することができ、その認証結果を利用することにより、セキュリティをより高めることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ICタグ装置が付加される対象物の機能に関する機能情報と対象物を識別するためのID情報とを記憶しておき、入力される指令に応じて所定の処理を実行することにより、訪問者の身分などを確認できるセキュリティシステムを実現できる他、多種多様なシステムを構築できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において参照する各図では、他の図と同等部分は同一符号によって示されている。
(ICタグ装置の構成例)
図1は、本発明の実施形態によるICタグ装置の一構成例を示すブロック図である。同図において、本発明の実施形態によるICタグ装置1は、ICタグ装置自身が付加される対象物の機能に関する機能情報112とその対象物を識別するためのID情報111とを含むタグ情報110を記憶する記憶手段11と、入力される指令に応じて所定の処理を実行する処理実行手段12とを含んで構成されている。
【0014】
ここで、ICタグ装置自身が付加される対象物には、あらゆる物が含まれる。例えば、住宅内に存在するものであれば、照明器具、ドア、カメラ付きインターホン、天井扇などである。対象物の機能とは、照明器具であればオン、オフという機能、ドアであれば施錠、解錠という機能、カメラ付きインターホンであれば撮影、音声出力という機能、天井扇であれば回転開始、回転停止という機能である。
また、処理実行手段12が実行する処理には、記憶手段11の記憶内容を送信する処理、外部装置から送信された信号を受信する処理など、あらゆる処理が含まれる。
【0015】
図2は、本発明の実施形態によるICタグ装置の他の構成例を示すブロック図である。同図において、本発明の実施形態によるICタグ装置1は、図1の構成に、処理実行手段12に入力される指令を発生させるためのスイッチSWが追加された構成である。本例のスイッチSWには、4つのスイッチSW1、SW2、SW3、SW4が含まれている。これらのスイッチSW1〜SW4を操作することにより、異なる指令を処理実行手段12に入力することができる。
【0016】
(データベースの構成例)
図3は、本発明の実施形態によるサーバ装置のデータベースに記憶されるタグ情報の例を示す図である。タグ情報は、ICタグ装置が付加される対象物によって異なる。すなわち、同図(a)を参照すると、装置Aには、その装置特有の機能がある。例えば、機能A1、機能A2、機能A3、機能A4…がある。また、装置Bにもその装置特有の機能B1、機能B2、機能B3、機能B4…がある。これらの機能には、電源オン、電源オフという単純なものの他、複雑な処理や動作も含まれる。これら各装置の機能同士について、対応付ける内容をデータベースに記憶する。
【0017】
ここで、同図(b)を参照すると、照明器具L1は、「オン」、「オフ」という機能を有している。また、スイッチS1は、「オン」、「オフ」という機能を有している。このため、同図(c)のように、スイッチS1の「オン」と照明器具L1の「オン」とを対応付けると共に、スイッチS1の「オフ」と照明器具L1の「オフ」とを対応付ける内容をデータベースに記憶しておけば、このデータベースの内容を参照することでスイッチS1の動作と照明器具L1の動作とをリンクさせることができる。すなわち、スイッチS1を「オン」にすれば照明器具L1が「オン」となり、スイッチS1を「オフ」にすれば照明器具L1が「オフ」となる。この場合、スイッチS1が「オン」に操作されると、スイッチS1に付加されているICタグ装置に指令が送られる。すると、ICタグ装置からサーバ装置に指令が送信され、データベースの記憶内容が参照される。データベースの記憶内容に従って、照明器具L1に付加されているICタグ装置に指令が送られ、そのICタグ装置から照明器具L1に指令が送られる。これにより、照明器具L1が「オン」になる。なお、以上の処理を実現する場合に、スイッチS1から照明器具L1まで電気配線を設けておく必要は無い。
【0018】
また、同図(d)のように、スイッチS2に2つの照明器具L1、L2を対応付けることもできる。同図のようにデータベースに記憶されている場合、スイッチS2が「オン」のときに照明器具L1のみ「オン」(照明器具L2は「オフ」)、スイッチS2が「オフ」のときに照明器具L1及びL2を共に「オン」とすることができる。同図(e)のように、ドアについての機能は「オープン」、「クローズ」、ファンについての機能は「右回転」、「左回転」、「停止」などであり、これらを上記のスイッチS1、S2の「オン」、「オフ」の機能に対応付ける内容をデータベースに記憶しておけば、ICタグ装置から指令が送られ、ドアやファンの動作状態を制御することができる。この他、データベースの記憶内容により、複雑な処理を実現することができる。
【実施例1】
【0019】
図1のICタグ装置と図3のデータベースを有するサーバ装置とを用いて照明器具を制御する場合について、図4を参照して説明する。同図は、サーバ装置のデータベースに記憶されるタグ情報によって制御される照明器具の動作例を示す図である。照明器具L1にはICタグ装置1aが、照明器具L2にはICタグ装置1bが、スイッチS1にはICタグ装置1cが、スイッチS2にはICタグ装置1dが、それぞれ付加されている。
【0020】
このような構成において、サーバ装置のデータベースの記憶内容が図3(b)及び(c)のようになっている場合、スイッチS1をオンにすると、ICタグ装置1cから指令が送信され、ホームサーバ装置2に記憶されているデータベースの内容が参照されることにより、ICタグ装置1aに指令が送られる。これにより、照明器具L1がオンになる。一方、スイッチS1をオフにすると、同様にデータベースの内容が参照され、ICタグ装置1aに指令が送られ、照明器具L1がオフになる。
【0021】
また、スイッチS2をオンにすると、ICタグ装置1dから指令が送信され、ホームサーバ装置2に記憶されているデータベースの内容が参照されることにより、ICタグ装置1a及び1bに指令が送られる。これにより、照明器具L1がオン、照明器具L2がオフになる。一方、スイッチS2をオフにすると、同様にデータベースの内容が参照され、ICタグ装置1a及び1bに指令が送られ、照明器具L1及びL2が共にオンになる。
なお、データベースの記憶内容を変更すれば、オンオフの条件を変更できる。
【実施例2】
【0022】
図2のICタグ装置を用いてホームセキュリティシステムを構成する場合について、図5〜図7を参照して説明する。
(ICタグ装置の構成例)
図5(a)に示されているように、ICタグ装置1は、対象物に内蔵されたり、対象物表面に貼付されたりすることにより、対象物に付加される。ICタグ装置1が付加される対象物は、例えば、家庭電化製品、セキュリティロボット、案内ロボット、受付ロボットなどである。ただし、これらに限定されるものではなく、あらゆるものがICタグ装置1の付加対象物になりうる。同図(b)は、身分証明書にICタグ装置1を付加する場合の構成例を示す図である。同図(b)を参照すると、身分証明書100には、図1を参照して説明したICタグ装置が内蔵されている。身分証明書100の表面には、氏名や会社名が記載されている他、写真Pが貼付されている。身分証明書100の上部には安全ピン101が設けられている。この安全ピン101を利用することにより、訪問者の衣服などに身分証明書100を装着することができる。
【0023】
一方、同図(c)を参照すると、身分証明書100には、図2を参照して説明したICタグ装置1が内蔵されている。また、身分証明書100の表面にはスイッチSW1、SW2、SW3が設けられ、その側面にはスイッチSW4が設けられている。
スイッチSW1、SW2、SW3は押しボタンスイッチであり、操作されたタイミングで指令を発生させることができる。本例では、スイッチSW1の操作部分に「一般」、スイッチSW2の操作部分に「部外秘」、スイッチSW3の操作部分に「秘密」、がそれぞれ記載されている。
【0024】
スイッチSW4はスライド式スイッチであり、矢印Yの方向にスライド操作できる。そして、スライドされた位置に対応する指令を発生させることができる。本例では、オンオフの位置のいずれかにスライド操作でき、オンの位置に操作されている場合に、上記指令を継続的に発生させることができる。
LEDなどを身分証明書100に追加し、これらのスイッチSW1〜SW4が操作された場合に、それを点灯させてもよい。
なお、同図(a)の場合と同様に、身分証明書100の表面に氏名や会社名が記載され、写真Pが貼付され、安全ピン101が設けられている。
【0025】
図6は、身分証明書に付加されるICタグ装置のタグ情報の例を示す図である。同図に示されているように、本例では、身分証明書の「ID情報」は「ID××××」、「氏名」は「本田太郎」、「所属会社」は「A社」、「認証URL」は「http://www.○○○.com/confirID.php」、「電話番号」は「055−252−252」、「電子メールアドレス」は「tarou@○○○.com」、「社員番号」は「923354」、である。これらのタグ情報は、複数のカテゴリに分類されている。本例では、「ID情報」は「公開」のカテゴリ、「氏名」、「所属会社」及び「認証URL」は「一般」のカテゴリ、「電話番号」及び「電子メールアドレス」は「部外秘」のカテゴリ、「社員番号」は「秘密」のカテゴリ、にそれぞれ分類されている。そして、図5を参照して説明した、「一般」、「部外秘」、「秘密」の各スイッチSW1〜SW3を操作すると、対応するカテゴリに属する情報を送信するための指令が発生し、それらの情報が送信される。このとき、ICタグ装置の「ID情報」については、どのスイッチを操作しても必ず送信される。
スイッチSW4がオン操作されている場合は、例えば、「一般」のカテゴリに属する情報のみを送信するための指令を継続的に発生させればよい。
以上のように、特定のカテゴリに属する情報のみを送信することにより、状況に応じて個人情報などを送信したり、送信しなかったり、柔軟な対応が可能となる。
【0026】
(ホームセキュリティシステムの構成例)
図7は、身分証明書にICタグ装置を付加した訪問者についての認証を行うホームセキュリティシステムの構成例を示す図である。同図を参照すると、本例のホームセキュリティシステムは、身分証明書100に付加されたICタグ装置1aと、インターホンIに付加されたICタグ装置1bと、ドア制御盤4に付加されたICタグ装置1cと、ドアD付加されたICタグ装置1dと、タグ情報が記憶されたデータベースDBを有するホームサーバ装置2と、身分証明書を装着した訪問者について認証を行う機能を有する外部サーバ装置3と、ホームサーバ装置2に接続されたディスプレイモニタMとを含んで構成されている。
【0027】
インターホンIは、訪問者の顔画像などを撮影するためのカメラ、音声入力するためのマイクロホン、音声出力するためのスピーカを有しており、押しボタンが操作されるとそれらの動作が開始される。
ドアDは開け閉め可能な玄関ドアであり、施錠(ロック)及び解錠(アンロック)が電気制御可能になっている。このドアDの施錠、解錠するための指令を発生するのがドア制御盤4である。ドア制御盤4には、「施錠」スイッチと、「解錠」スイッチとが設けられており、操作されたスイッチに対応する指令がICタグ装置1cから送信される。
【0028】
ホームサーバ装置2のデータベースDBには、複数のタグ情報同士が対応付けられて記憶されている。
外部サーバ装置3は、ネットワークNWを介してホームサーバ装置2からアクセス可能になっている。ネットワークNWは、例えば、電話回線、携帯電話回線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)、ISDN(Integrated Services Digital Network)などである。
ホームサーバ装置2は、テレビ、ビデオ、オーディオなどのマルチメディア機器と接続されていてもよい。
【0029】
以上のような構成において、身分証明書100を装着した訪問者がインターホンIの前に立ち、その押しボタンを操作すると、ICタグ装置1aに記憶されているID情報が送信される。このとき、身分証明書100に設けられているスイッチを操作することにより、送信したい情報のみを送信できる。
ICタグ装置1aに記憶されているID情報が送信されると、ホームサーバ装置2において、認証処理が行われる。この認証処理は、ホームサーバ装置2内に認証情報が記憶されている場合は、その認証情報と受信したID情報とを比較することによって行われる。ホームサーバ装置2内に認証情報が記憶されていない場合は、ネットワークNWを介して外部サーバ装置3にアクセスし、外部サーバ装置3内に記憶されている認証情報と受信したID情報とを比較することで認証処理を実現する。
【0030】
認証処理の結果は、図示せぬスピーカから音声メッセージによって出力されたり、ディスプレイモニタMの画面に表示されたりする。この認証結果を、住宅の住民が確認した後、ドア制御盤4を操作することになる。認証結果がOKであれば、「解錠」スイッチを操作することにより、ドアDをアンロックするための指令がICタグ装置1cから送信され、その指令を受信したホームサーバ装置2がデータベースDBを参照し、ICタグ装置1dに指令を送信する。この指令を受信したICタグ装置1dは、ドアDの解錠を行う。
【0031】
一方、認証結果がNGであれば、自動的に警察に通報を行うなどの処理を行う。身分証明書100について紛失届けや盗難届けが提出されていれば、その情報を外部サーバ装置3に記憶しておくことにより、ホームサーバ装置2からのアクセスが行われた場合に、認証NGの情報を送信することができる。顔画像については、データベースDBに蓄積して後で確認できるようにしてもよいし、その内容を警察に通報してもよい。
【0032】
訪問者について以上のように認証処理を行うことで、個人情報を保護しつつセキュリティを確保することができる。また、住宅の住民が外出している最中に、訪問者が来た場合は、その住民が携帯している携帯電話機に発呼して来訪者とリアルタイムの通話を実現したり、メール送信して来訪の旨を報知したりすることができる。住民が来訪者に応対できない場合は、インターホンのカメラの画像を録画し、ビデオメッセージとして記録してもよい。
【0033】
(まとめ)
図8はICタグ装置の構成例を示す図、図9はICタグ装置を身分証明書に付加する場合の構成例を示す図、図10は住宅内においてユビキタス環境を実現するための構成例を示す図、図11は訪問者の認証を行う処理例を示す図、図12は住宅の住民が不在であった場合の処理例を示す図である。これらの図に示されている内容に従ってホームセキュリティシステムを構成すれば、訪問者の身分などを確認できる他、多種多様な機能を実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明はホームセキュリティシステム、多種多様なシステムの構築に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態によるICタグ装置の一構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態によるICタグ装置の他の構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態によるサーバ装置のデータベースに記憶されるタグ情報の例を示す図である。
【図4】サーバ装置のデータベースに記憶されるタグ情報によって制御される照明器具の動作例を示す図である。
【図5】身分証明書にICタグ装置を付加する場合の構成例を示す図である。
【図6】身分証明書に付加されるICタグ装置のタグ情報の例を示す図である。
【図7】身分証明書にICタグ装置を付加した訪問者についての認証を行うホームセキュリティシステムの構成例を示す図である。
【図8】ICタグ装置の構成例を示す図である。
【図9】ICタグ装置を身分証明書に付加する場合の構成例を示す図である。
【図10】住宅内においてユビキタス環境を実現するための構成例を示す図である。
【図11】訪問者の認証を行う処理例を示す図である。
【図12】住宅の住民が不在であった場合の処理例を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
1、1a〜1d ICタグ装置
2 ホームサーバ装置
3 外部サーバ装置
4 ドア制御盤
11 記憶手段
12 処理実行手段
100 身分証明書
101 安全ピン
110 タグ情報
111 ID情報
112 機能情報
D ドア
DB データベース
I インターホン
L1、L2 照明器具
M ディスプレイモニタ
NW ネットワーク
P 写真
S1、S2、SW1〜SW4 スイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に付加されるICタグ装置であって、自装置が付加される対象物の機能に関する機能情報と前記対象物を識別するためのID情報とを含むタグ情報を記憶する記憶手段と、入力される指令に応じて所定の処理を実行する処理実行手段とを有することを特徴とするICタグ装置。
【請求項2】
操作された時に前記指令を発生させるスイッチを更に有することを特徴とする請求項1に記載のICタグ装置。
【請求項3】
前記機能情報は複数のカテゴリからなる複数の情報から構成されており、前記処理実行手段は、前記記憶手段の記憶内容のうち、前記入力される指令に応じて所定カテゴリに属する情報のみを送信することを特徴とする請求項1又は2に記載のICタグ装置。
【請求項4】
タグ装置から送信される、該タグ装置が付加される対象物の機能に関する機能情報と前記対象物を識別するためのID情報とを含むタグ情報を取得するタグ情報取得手段と、複数のタグ装置についての前記タグ情報同士を対応付けるデータベースとを有することを特徴とするサーバ装置。
【請求項5】
前記データベースによって対応付けられたタグ情報の一方を受信した場合、対応付けられた他方のタグ情報を記憶しているICタグ装置に所定の処理を実行させるための指令を送信する通信手段を更に有することを特徴とする請求項4に記載のサーバ装置。
【請求項6】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のICタグ装置と、請求項4又は5に記載のサーバ装置とを用いて構成されたセキュリティシステムであって、前記対象物は訪問者が携帯する身分証明書であり、前記処理実行手段は前記身分証明書に対応するタグ情報を送信し、前記サーバ装置は前記タグ情報取得手段が取得したタグ情報について照合処理を行うことを特徴とするセキュリティシステム。
【請求項7】
前記サーバ装置は、前記タグ情報取得手段が取得したタグ情報を他の装置に送信し、そのタグ情報についての照合処理結果を前記他の装置から取得することを特徴とする請求項6記載のセキュリティシステム。
【請求項8】
前記身分証明書に対応するタグ情報はカテゴリ分類されており、前記処理実行手段は入力される指令に対応するカテゴリに属する情報のみを送信することを特徴とする請求項6又は7に記載のセキュリティシステム。
【請求項9】
前記訪問者の身体的特徴に関する情報を取得するセンサを更に有し、前記センサによって取得した情報をも前記照合処理に用いることを特徴とする請求項6から請求項7までのいずれか1項に記載のセキュリティシステム。
【請求項1】
対象物に付加されるICタグ装置であって、自装置が付加される対象物の機能に関する機能情報と前記対象物を識別するためのID情報とを含むタグ情報を記憶する記憶手段と、入力される指令に応じて所定の処理を実行する処理実行手段とを有することを特徴とするICタグ装置。
【請求項2】
操作された時に前記指令を発生させるスイッチを更に有することを特徴とする請求項1に記載のICタグ装置。
【請求項3】
前記機能情報は複数のカテゴリからなる複数の情報から構成されており、前記処理実行手段は、前記記憶手段の記憶内容のうち、前記入力される指令に応じて所定カテゴリに属する情報のみを送信することを特徴とする請求項1又は2に記載のICタグ装置。
【請求項4】
タグ装置から送信される、該タグ装置が付加される対象物の機能に関する機能情報と前記対象物を識別するためのID情報とを含むタグ情報を取得するタグ情報取得手段と、複数のタグ装置についての前記タグ情報同士を対応付けるデータベースとを有することを特徴とするサーバ装置。
【請求項5】
前記データベースによって対応付けられたタグ情報の一方を受信した場合、対応付けられた他方のタグ情報を記憶しているICタグ装置に所定の処理を実行させるための指令を送信する通信手段を更に有することを特徴とする請求項4に記載のサーバ装置。
【請求項6】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のICタグ装置と、請求項4又は5に記載のサーバ装置とを用いて構成されたセキュリティシステムであって、前記対象物は訪問者が携帯する身分証明書であり、前記処理実行手段は前記身分証明書に対応するタグ情報を送信し、前記サーバ装置は前記タグ情報取得手段が取得したタグ情報について照合処理を行うことを特徴とするセキュリティシステム。
【請求項7】
前記サーバ装置は、前記タグ情報取得手段が取得したタグ情報を他の装置に送信し、そのタグ情報についての照合処理結果を前記他の装置から取得することを特徴とする請求項6記載のセキュリティシステム。
【請求項8】
前記身分証明書に対応するタグ情報はカテゴリ分類されており、前記処理実行手段は入力される指令に対応するカテゴリに属する情報のみを送信することを特徴とする請求項6又は7に記載のセキュリティシステム。
【請求項9】
前記訪問者の身体的特徴に関する情報を取得するセンサを更に有し、前記センサによって取得した情報をも前記照合処理に用いることを特徴とする請求項6から請求項7までのいずれか1項に記載のセキュリティシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−193735(P2007−193735A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−13661(P2006−13661)
【出願日】平成18年1月23日(2006.1.23)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月23日(2006.1.23)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】
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