説明

ICチップ除去構造を有するICタグと抽選券付きICタグ

【課題】 非接触ICタグが使用目的を果たした後に、ICタグ部分を除去して無効化できるICタグと抽選券付きICタグを提供する。
【解決手段】 本発明のICチップ除去構造を有するICタグ1は、ベースフィルム11にダイポールアンテナを形成し、該アンテナにICチップ3を装着した面が表面保護シート5で被覆され、ベースフィルム11の背面に粘着剤層7と剥離紙12を有する非接触ICタグにおいて、非接触ICタグを物品に貼着して目的の使用を終了した後にICタグを無効化するために、ICチップと左右のダイポールアンテナの一部を含む領域を物品面から除去する2本のミシン目線4l,4rがダイポールアンテナの長さ方向に直交しまたは斜行するように、ベースフィルム11の一端から他端方向に形成されていることを特徴とする。抽選券付きICタグは、除去域10に文字表示がされるようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICチップ除去構造を有するICタグと抽選券付きICタグに関する。詳しくは、一旦有効に利用され所定の目的を果たした非接触ICタグからICチップを除去して、ICチップに記録された情報が盗聴されないようにする技術に関する。
また、ICチップ部分を除去することに伴い、当該剥離して除去した部分を利用して抽選券機能を持たせることをも目的とするものである。
従って、本発明の利用分野は非接触ICタグの製造や利用の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
非接触ICタグは、情報を記録して保持し非接触で外部装置と交信して情報交換できるので、商品管理等の各種目的に広範に使用されてきている。特に近年は、従来の近接型非接触ICタグ(13.56MHz)に加えて、より遠距離通信が可能なUHF帯やマイクロ波帯用の非接触ICタグも利用されるようになってきている。
しかし、非接触ICタグは記憶した情報がICチップのメモリに記録されているので、ICタグが使用目的を果たした後であっても、物品に付されている限り、第三者が当該情報を読み取りするのを効果的に防止することができない。特に、非接触読み取りは本人が気が付かない間に読み取りされてしまうので、その過程を知ることもできず、いつの間にか漏洩した情報が悪用され被害を蒙ることも考えられる。このような状態を放置すれば、個人情報保護、プライバシー侵害の観点から社会的にも問題となる。
【0003】
そこで、非接触ICタグを付した商品の販売等が終了し一応の目的を果たした際に、非接触ICタグを商品から取り去ってしまうことや、非接触ICタグの機能を破壊してしまうことが検討され、その対応策も各種提案されている。しかし、上記UHF帯用やマイクロ波帯では従来の13.56MHz帯用とは異なるアンテナ構造なので、従来のICタグ方式をそのままには採用できない問題がある。
【0004】
非接触ICタグの機能を破壊する構造の先行技術としては、特許文献1、特許文献2、特許文献3等がある。特許文献1は、ICタグ自体を崩壊し易い構造にしているが、本願のように切り取り構造とするのとは相違している。特許文献2は、無線ICタグの層構成や切り取り構造が本願と相違している。特許文献3は、平面コイル状アンテナを有するICタグに適用するものであるが、本願のようにダイポールアンテナの場合はアンテナの一部を欠損させただけでは、ICタグを無効化することはできない。
また、非接触ICタグを抽選券に利用した先行技術は特に検出されないが、非接触ICタグを使用した籤及び籤引き抽選システムとして、特許文献4がある。
【0005】
【特許文献1】特開2001− 14442号公報
【特許文献2】実用新案登録第3105286号公報
【特許文献3】特開2006−301828号公報
【特許文献4】特開2006−202099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、利用されるようになってきているダイポールアンテナを有するUHF帯やマイクロ波帯用ICタグにおいて、ICタグの利用後に情報の盗聴を防止する目的で、ICタグを無効化する手段を提供するものである。併せて、ICタグを無効化する際に、抽選券の目的を兼ね備えさせることをも目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明の要旨の1は、ベースフィルムにダイポールアンテナを形成し、アンテナにICチップを装着した該アンテナ面が表面保護シートで被覆され、ベースフィルムの背面に粘着剤層と剥離紙を有する非接触ICタグにおいて、非接触ICタグを物品に貼着して目的の使用を終了した後にICタグを無効化するために、ICチップと左右のダイポールアンテナの一部を含む領域を物品面から除去する2本のミシン目線がダイポールアンテナの長さ方向に直交しまたは斜行するように、ベースフィルムの一端から他端方向に形成されていることを特徴とするICチップ除去構造を有するICタグ、にある。
【0008】
上記課題を解決する本発明の要旨の2は、ベースフィルムにダイポールアンテナを形成し、アンテナにICチップを装着した該アンテナ面が表面保護シートで被覆され、ベースフィルムの下面も接着剤層を介して背面保護シートで被覆されている非接触ICタグにおいて、非接触ICタグを物品に添付して目的の使用を終了した後にICタグを無効化するために、ICチップと左右のダイポールアンテナの一部を含む領域を除去する2本のミシン目線がダイポールアンテナの長さ方向に直交しまたは斜行するように、ベースフィルムの一端から他端方向に形成されていることを特徴とするICチップ除去構造を有するICタグ、にある。
【0009】
上記課題を解決する本発明の要旨の3は、ベースフィルムにダイポールアンテナを形成し、アンテナにICチップを装着した該アンテナ面が表面保護シートで被覆され、ベースフィルムの背面に粘着剤層と剥離紙を有する非接触ICタグにおいて、非接触ICタグを物品に貼着して目的の使用を終了した後にICタグを無効化すると同時に抽選結果を表示するために、ICチップと左右のダイポールアンテナの一部を含む領域を物品面から除去する2本のミシン目線がダイポールアンテナの長さ方向に直交しまたは斜行するように、ベースフィルムの一端から他端方向に形成され、かつベースフィルムの除去域の粘着剤層に接する面には文字表示がされていることを特徴とする抽選券付きICタグ、にある。
【0010】
上記課題を解決する本発明の要旨の4は、ベースフィルムにダイポールアンテナを形成し、アンテナにICチップを装着した該アンテナ面が表面保護シートで被覆され、ベースフィルムの背面に粘着剤層と剥離紙を有する非接触ICタグにおいて、非接触ICタグを物品に貼着して目的の使用を終了した後にICタグを無効化すると同時に抽選結果を表示するために、ICチップと左右のダイポールアンテナの一部を含む領域を物品面から除去する2本のミシン目線がダイポールアンテナの長さ方向に直交しまたは斜行するように、ベースフィルムの一端から他端方向に形成され、かつベースフィルムの除去域の粘着剤層に接する面には離型層と着色層が形成され、当該離型層の形状により着色層が転移して文字表示がされることを特徴とする抽選券付きICタグ、にある。
【0011】
上記課題を解決する本発明の要旨の5は、ベースフィルムにダイポールアンテナを形成し、アンテナにICチップを装着した該アンテナ面が表面保護シートで被覆され、ベースフィルムの背面も接着剤層を介して背面保護シートで被覆されている非接触ICタグにおいて、非接触ICタグを物品に添付して目的の使用を終了した後にICタグを無効化すると同時に抽選結果を表示するために、ICチップと左右のダイポールアンテナの一部を含む領域を除去する2本のミシン目線がダイポールアンテナの長さ方向に直交しまたは斜行するように、ベースフィルムの一端から他端方向に形成され、かつベースフィルムの除去域の接着剤層が保護シートに接する面には離型層と着色層が形成され、当該離型層の形状により着色層が転移して文字表示がされることを特徴とする抽選券付きICタグ、にある。
【発明の効果】
【0012】
本発明のICチップ除去構造を有するICタグ(請求項1〜請求項6)では、ICタグのICチップが2本のミシン目線により除去可能にされているので、ICタグが読み取りされて所定の目的を果たした後には無効化することができ、その後、ICタグを保持した物品を携帯しても第三者がICタグに記録された情報を盗聴することはできない。
【0013】
本発明の抽選券付きICタグ(請求項7〜請求項11)では、ICタグのICチップが2本のミシン目線により除去可能にされているので、ICタグを同様に無効化することができ盗聴を防止できる。併せて、ICチップを除去した部分に抽選結果が表示されるので、非接触ICタグを抽選券と合わせた機能として利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明を説明する。
図1は、ICチップ除去構造を有するICタグの例を示す概略平面図、図2は、粘着剤層を有するICタグの断面図、図3は、背面保護シートを有するICタグの断面図、図4は、抽選券付きICタグの第1実施形態を示す図、図5は、同第2実施形態を示す図、図6は、同第3実施形態を示す図、である。
【0015】
図1は、ICチップ除去構造を有するICタグの例を示す概略平面図である。
図1の場合、半波長ダイポールアンテナ2が、ベースフィルム11面に形成され、左右のアンテナ2L,2Rの間(給電部)にICチップ3が装着されている。近年のICチップ3は微小化(1辺が0.2mm〜2.0mm程度の方形状)しているので、実際には、図1ほど大きな形状には現れない。アンテナ形状は折り畳み形状にされているが、この形状に限られるものではない。また、1波長ループアンテナであってもよいものである。
通常、UHF帯用非接触ICタグ1の1単位は、長さ10cm、幅25mm〜40mm程度の大きさ(基材サイズ)に製造される。アンテナの長さは電波の波長に関連するので、マイクロ波帯の場合は、より短縮された形状のアンテナになる。
【0016】
本発明のICチップ除去構造を有するICタグ1の特徴は、図1各図のように、ICチップ3とICチップ3に接近した左右のアンテナ2L,2Rの一部を含む領域を除去できるように、2本のミシン目線4l,4rが形成されていることにある。ミシン目線4l,4rは、図1(A)のように、ベースフィルム11の長辺の一端から対向する他端に通じるようにしてもよく、図1(B)のように、ICチップ3を超えた部分の途中で終了するようにしてもよい。また、図1(C)のように、ICチップ3を超えた部分でミシン目線4l,4rに直交するミシン目線4t、または半円弧状のミシン目線(不図示)を入れてもよい。前者の場合は、全体として「コ」の字状になり、後者の場合は「U」の字状になる。このミシン目線で囲まれた領域が除去域10となる。除去域10はアンテナ2L,2Rの一部を含むようにする。ICチップ3だけを除去しても良いが、上記のように微小化しているとICチップ3部分だけを除去するのは困難になる。図1の場合、ミシン目線4l,4rはダイポールアンテナ2の長さ方向に直交するようにされているが、斜行していてもよいものである。また、除去域10は帯状にされているが、帯状や矩形状に限らず異なる角度で斜行する2本のミシン目線により略三角形状にしてもよい。
【0017】
図1(B)のように、ミシン目線4l,4rをICチップ3を超えた部分の途中で終了するようにすれば、当該除去域10がICタグ1の本体から分離しないので、ICチップ3が散逸したり周囲を散らかすことを防止できる。一方、図1(A)、または図1(C)のようにする場合は、除去した部分を回収することを容易にし易くなる。これらは使用目的に応じて実施形態を適宜変更すればよい。なお、抽選券付きICタグについては図示してないが、ミシン目線4l,4r等の入れ方は同様にすることができる。
【0018】
図2は、粘着剤層を有するICタグの断面図である。図1(A)のA−A線断面に相当する。非接触ICタグ1は表面にプラスチックフィルムまたは紙基材からなる表面保護シート5を、背面には粘着剤層7と剥離紙12を有し、当該粘着剤層7により物品に貼着して使用する形態のもの(第1形態)と、粘着剤層がなく表面と共に裏面もプラスチックフィルムまたは紙基材からなる背面保護シート8で覆われ、主として吊り下げ札や表示札のように使用する形態のもの(第2形態)とがある。図2は前者のもの、後述する図3は後者のものとなる。
【0019】
物品に貼着して使用する形態の場合も、図2(A)のように、表面保護シート5から粘着剤層7に至るようにミシン目線4l,4rを入れる場合と、図2(B)のように、ベースフィルム11の粘着剤層7に接する面までに、ミシン目線4l,4rを入れる場合とがある。後者の場合は、ベースフィルム11の粘着剤層7に接する面に離型層9を形成しておくことが好ましい。粘着剤層7から除去域10を容易に除去するためである。粘着剤層7の下面には剥離紙12が付されるが、除去して使用するので、当該剥離紙12までミシン目線を入れる必要はない。なお、図2では、接着剤層6aとアンテナ面間は離れて図示されているが、実際には密着しているものである。図3以降の各図も同様である。
【0020】
図3は、背面保護シート8を有するICタグの断面図である。この場合、非接触ICタグ1は、通常物品に貼着しない状態で使用するので、ミシン目線4l,4rにより除去域10を除去すれば、除去域10と左右の2片に分離してしまうことになる。
図3(A)は、ミシン目線4l,4rを背面保護シート8まで貫通させた例である。この形態ではミシン目線4l,4rを、図1(A)のように、ベースフィルム11の長辺の一端から対向する他端に通じるように入れた場合、除去域10を取り去れば、3片に分離してしまうことになる。ただし、読み取り防止の目的は達成できる。
図3(A)の形態では、除去域10に当初から見えないように文字表示をすることができないので、抽選券付きICタグの用途には不向きと考えられる。
【0021】
図3(B)は、ミシン目線4l,4rを背面保護シート8までは貫通させないで接着剤層6bが背面保護シート8に接する面まで切込みする例である。この形態では接着剤層6bと接する背面保護シート8の少なくとも除去域10部分には離型層9が形成されていて、当該部分から容易に除去域10を剥離できるようにされている。従って、ミシン目線4l,4rを、図1(A)のように、ベースフィルム11の一端から他端に通じるように入れた場合も、背面保護シート8が残っているので、ICタグ1が左右に分離してしまうことはない。後述するが、この形態は抽選券付きICタグ用途にも利用できる。
【0022】
次に、本発明の抽選券付きICタグについて説明する。
図4は、抽選券付きICタグの第1実施形態を示す図である。図4(A)は断面状態であり、図4(B)の円内は除去部10を剥離して文字表示部17を拡大して図示した状態である。第1実施形態では、図2(A)の構成の第1形態のICタグ1において、除去域10であってベースフィルム11の粘着剤層7側面に、隠蔽印刷15aと「当たり」等の文字印刷15bからなる印刷部15を設けることができる。あるいは、当該文字印刷のされた小片のラベル(不図示)をベースシート11に貼り付けする方法でもよい。文字印刷の表示内容は抽選券付きICタグ1の表面保護シート5側からは当然のことながら視認できないようにする。
【0023】
除去域10を剥離した際には、図4(B)のように抽選結果の文字表示部17が見られるようになる。粘着剤層7はICタグのベースフィルム11面に付着して残るようにしてもよい。この実施形態では、ICタグを物品に貼着する際、剥離紙12を剥がすと粘着剤層7を透して文字表示16が視認されてしまう。従って、物品に貼着した後に文字表示部17が見えなくなり、抽選券付きICタグとして有効になる。
【0024】
図5は、抽選券付きICタグの第2実施形態を示す図である。
第2実施形態では、図2(B)の第1形態のICタグの構成において、除去域10であってベースフィルム11の粘着剤層7側面の離型層9を文字パターン状に印刷する。そして離型層9の下面(粘着剤層7側)に隠蔽印刷16をさらに行う。
抽選券付きICタグを物品から剥離した際に、離型層9の文字パターン部分は、粘着剤層7側に残り、文字パターンでない部分は除去域10側に残ることになる。従って、離型層9の文字パターンが抜き文字であれば、「当たり」等の文字が除去域10側に残り、袋文字状であれば反対の現象になる。図5(B)は、離型層9の文字パターン部分が抜けて除去域10側に「当たり」の抜き文字が現れた例である。第2実施形態では、隠蔽印刷16があるので、剥離紙12を剥離しても文字形状は視認できない。
【0025】
図6は、抽選券付きICタグの第3実施形態を示す図である。
第3実施形態では、図3(B)の構成の第2形態のICタグにおいて、除去域10であってベースフィルム11の粘着剤層7側面の離型層9を文字パターン状に印刷する。そして離型層9の下面(粘着剤層7側)に隠蔽印刷16をさらに行う。
図5の場合と同様に、抽選券付きICタグを物品から剥離した際に、離型層9の文字パターン部分は、粘着剤層7側に残り、文字パターンでない部分は除去域10側に残ることになる。図6(B)は、離型層9の抜き文字パターン部分が除去域10側に「当たり」の文字形状として現れた例である。第3実施形態の場合も、隠蔽印刷16と背面保護シート8があるので文字形状は視認できない。
【0026】
<材質に関する実施形態>
(1)ベースフィルム
プラスチックフィルムを幅広く各種のものを使用でき、以下に挙げる単独フィルムあるいはそれらの複合フィルムを使用できる。
ポリエチレンテレフタレート(PET)、PET−G(テレフタル酸−シクロヘキサンジメタノール−エチレングリコール共重合体)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリイミド、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリスチレン系、ABS、ポリアクリル酸エステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、等である。
【0027】
(2)表面保護シート、背面保護シート
上質紙やコート紙、合成紙等を使用できるほか、ベースフィルムに使用する各種プラスチックフィルムを使用できる。
【0028】
(3)剥離紙
紙基材に低接触角の薬剤(通常、シリコーン)を塗布して低剥離強度を実現した材料が使用される。紙基材には、上質紙やクラフト紙、グラシン紙、パーチメント紙、スーパーカレンダード紙、等が使用され、これらに直接シリコーンコートするか、ポリエチレンコート、クレー・バインダーコートした後、シリコーンコートして使用されるものが多い。
【0029】
(4)接着剤、粘着剤
本明細書で接着剤という場合は、溶剤型や重合型、紫外線硬化型、エマルジョン型、熱溶融型等の各種のものをいい、いわゆる粘着剤型のものも含むものとする。いずれであっても、双方の材料間を接着すれば目的を達成するからである。
また、本明細書で粘着剤という場合は、徐々に粘度が顕著に上昇することなく、いつまでも中間的なタック状態を保つものをいうものとする。接着剤、粘着剤の樹脂組成物としては、天然ゴム系、ニトリルゴム系、エポキシ樹脂系、酢酸ビニルエマルジョン系、ポリエステル系、アクリル系、アクリル酸エステル共重合体系、ポリビニルアルコール系、フェノール樹脂系、等の各種材料を使用できる。
【0030】
次に、本発明のICタグの製造方法について説明する。本発明のICチップ除去構造を有するICタグは、従来のICタグの製造方法とほぼ同様の工程で製造できるが、離型層9の形成やミシン目の形成工程が追加的に必要になる。
また、抽選券付きICタグでは、さらに隠蔽印刷や文字印刷の工程が必要になる。
【0031】
まず、従来工程で、ベースフィルム11にアンテナ2を形成し、ICチップ3を装着する。ダイポールアンテナ2は、ベースフィルム11に、厚み15μm〜20μm程度のアルミニウム箔をラミネートした基材を使用し、印刷レジストやフォトレジストを用いてエッチング形成する。ベースフィルム11のアンテナ面とは反対側面に、離型層9や隠蔽印刷16、あるいは印刷部15の印刷を行う。隠蔽印刷15aや文字印刷15bはインキジェット印刷により、あるいは転写箔を予め製造し転写することもできる。
次いで、左右のダイポールアンテナ2L,2Rの間にICチップ3を装着する。
【0032】
ベースフィルム11のアンテナパターン2面側に、表面保護シート5をラミネートし、第1形態では反対側面に粘着剤層6を有する剥離紙7をラミネートする。第2形態では、粘着剤層6と剥離紙7に替えて背面保護シート8をラミネートする。
最後に、ミシン目線4l,4r,4tを形成する。ミシン目線はロータリダイカッター等を用いて深さを調製して形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】ICチップ除去構造を有するICタグの例を示す概略平面図である。
【図2】粘着剤層を有するICタグの断面図である。
【図3】背面保護シートを有するICタグの断面図である。
【図4】抽選券付きICタグの第1実施形態を示す図である。
【図5】抽選券付きICタグの第2実施形態を示す図である。
【図6】抽選券付きICタグの第3実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
1 非接触ICタグ
2 ダイポールアンテナ
3 ICチップ
4l,4r,4t ミシン目線
5 表面保護シート
6a,6b 接着剤層
7 粘着剤層
8 背面保護シート
9 離型層
10 除去域
11 ベースフィルム
12 剥離紙
15 印刷部
16 隠蔽印刷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースフィルムにダイポールアンテナを形成し、アンテナにICチップを装着した該アンテナ面が表面保護シートで被覆され、ベースフィルムの背面に粘着剤層と剥離紙を有する非接触ICタグにおいて、非接触ICタグを物品に貼着して目的の使用を終了した後にICタグを無効化するために、ICチップと左右のダイポールアンテナの一部を含む領域を物品面から除去する2本のミシン目線がダイポールアンテナの長さ方向に直交しまたは斜行するように、ベースフィルムの一端から他端方向に形成されていることを特徴とするICチップ除去構造を有するICタグ。
【請求項2】
ベースフィルムの2本のミシン目線で囲まれた除去域の粘着剤層に接する面には離型層が形成されていることを特徴とする請求項1記載のICチップ除去構造を有するICタグ。
【請求項3】
ベースフィルムにダイポールアンテナを形成し、アンテナにICチップを装着した該アンテナ面が表面保護シートで被覆され、ベースフィルムの下面も接着剤層を介して背面保護シートで被覆されている非接触ICタグにおいて、非接触ICタグを物品に添付して目的の使用を終了した後にICタグを無効化するために、ICチップと左右のダイポールアンテナの一部を含む領域を除去する2本のミシン目線がダイポールアンテナの長さ方向に直交しまたは斜行するように、ベースフィルムの一端から他端方向に形成されていることを特徴とするICチップ除去構造を有するICタグ。
【請求項4】
ベースフィルムの2本のミシン目線で囲まれた除去域の接着剤層が背面の保護シートに接する面には離型層が形成されていることを特徴とする請求項3記載のICチップ除去構造を有するICタグ。
【請求項5】
ベースフィルムの2本のミシン目線で囲まれた除去域が完全には分離しないように、ミシン目線がベースフィルムの他端に達しないように形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1の請求項記載のICチップ除去構造を有するICタグ。
【請求項6】
ベースフィルムの2本のミシン目線で囲まれた除去域を部分的に分離するように、ミシン目線が「コ」の字状または「U」の字状に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1の請求項記載のICチップ除去構造を有するICタグ。
【請求項7】
ベースフィルムにダイポールアンテナを形成し、アンテナにICチップを装着した該アンテナ面が表面保護シートで被覆され、ベースフィルムの背面に粘着剤層と剥離紙を有する非接触ICタグにおいて、非接触ICタグを物品に貼着して目的の使用を終了した後にICタグを無効化すると同時に抽選結果を表示するために、ICチップと左右のダイポールアンテナの一部を含む領域を物品面から除去する2本のミシン目線がダイポールアンテナの長さ方向に直交しまたは斜行するように、ベースフィルムの一端から他端方向に形成され、かつベースフィルムの除去域の粘着剤層に接する面には文字表示がされていることを特徴とする抽選券付きICタグ。
【請求項8】
ベースフィルムにダイポールアンテナを形成し、アンテナにICチップを装着した該アンテナ面が表面保護シートで被覆され、ベースフィルムの背面に粘着剤層と剥離紙を有する非接触ICタグにおいて、非接触ICタグを物品に貼着して目的の使用を終了した後にICタグを無効化すると同時に抽選結果を表示するために、ICチップと左右のダイポールアンテナの一部を含む領域を物品面から除去する2本のミシン目線がダイポールアンテナの長さ方向に直交しまたは斜行するように、ベースフィルムの一端から他端方向に形成され、かつベースフィルムの除去域の粘着剤層に接する面には離型層と着色層が形成され、当該離型層の形状により着色層が転移して文字表示がされることを特徴とする抽選券付きICタグ。
【請求項9】
ベースフィルムにダイポールアンテナを形成し、アンテナにICチップを装着した該アンテナ面が表面保護シートで被覆され、ベースフィルムの背面も接着剤層を介して背面保護シートで被覆されている非接触ICタグにおいて、非接触ICタグを物品に添付して目的の使用を終了した後にICタグを無効化すると同時に抽選結果を表示するために、ICチップと左右のダイポールアンテナの一部を含む領域を除去する2本のミシン目線がダイポールアンテナの長さ方向に直交しまたは斜行するように、ベースフィルムの一端から他端方向に形成され、かつベースフィルムの除去域の接着剤層が保護シートに接する面には離型層と着色層が形成され、当該離型層の形状により着色層が転移して文字表示がされることを特徴とする抽選券付きICタグ。
【請求項10】
ベースフィルムの2本のミシン目線で囲まれた除去域が完全には分離しないように、ミシン目線がベースフィルムの他端に達しないように形成されていることを特徴とする請求項7ないし請求項9のいずれか1の請求項記載の抽選券付きICタグ。
【請求項11】
ベースフィルムの2本のミシン目線で囲まれた除去域が部分的に分離するように、ミシン目線が「コ」の字状または「U」の字状に形成されていることを特徴とする請求項7ないし請求項9のいずれか1の請求項記載の抽選券付きICタグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−310539(P2008−310539A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−156976(P2007−156976)
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】