説明

II及びIII期結腸癌の分子病期分類並びに予後診断

キット及び物品は、結腸癌をII期又はIII期結腸癌に病期分類するために、7遺伝子分析を行うための試薬を含む。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
結腸癌の正確な病期分類は、疾病予後予測だけでなく、患者の臨床管理及び治療法選択にも寄与する。臨床的及び病理学的特徴に基づくTNMシステムが1940年代に導入され、1980年代からは徐々に発達し、広く利用されている。Quirke et al.(2007)参照。これらのガイドラインにおいて、適正なリンパ節評価は、結腸癌の適切な病期分類のために重要である。しかしながら、患者、外科医、病理医、及び腫瘍関連変数によって、結腸癌患者のうちの63%が、適正なリンパ節評価を受けられない場合がある。Baxter et al.(2005)参照。
【0002】
ゲノム学的手法は、癌の分類及び下位分類の同定、疾病進行予測、並びに治療法選択及び治療反応予測に成功裏に応用されてきた。Bhattacharjee et al.(2001)、Khan et al.(2001)、Sorlie et al.(2003)、Agrawal et al.(2002)、及びWang et al.(2005)参照。遺伝及びエピジェネティック情報は、現在の癌診断及び予後診断の精度を改善するための機会を提供し、臨床的及び病理的パラメータを補完し得る。マイクロアレイ分析を使用して、II期結腸癌患者に対する23遺伝子による予後サインが開発された。Wang et al.(2004)参照。サインは、複数の臨床現場からの独立した試料において更に認証された。Jiang et al.(2008)参照。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、遺伝子サインの予後値は、腫瘍のより正確な病期分類によって強化され得ることが、依然として考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様では、診断は、結腸癌がII期又はIII期(Stage II or Stage II)であるかどうかを判定するための7遺伝子サインを含む。
【0005】
本発明の別の態様では、診断は、II期及びIII期結腸癌を区別するために使用される7個の遺伝子の発現を検出するための試薬を含む。
【0006】
本発明の更に別の態様では、II期及びIII期結腸癌を区別するための、及び/又は転帰の予後を提供するためのキットが、7個のマーカー遺伝子の発現、及び任意に構成的に発現された遺伝子群を検出するための試薬を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】Affymetrixマイクロアレイを使用した、137人のII及びIII期患者に対する7遺伝子サインのROC及びKaplan−Meier生存率分析である。A.7遺伝子サインのROC曲線。B.7遺伝子サインを使用した、137個の凍結腫瘍試料のKaplan−Meier曲線及びログランク検定。高及び低リスク群は、有意に異なる(P=0.007)。
【図2】RTQ−PCRを使用した、123個のFPE II及びIII期試料に対する7遺伝子サインのROC及びKaplan−Meier生存率分析である。A.7遺伝子サインのROC曲線。B.7遺伝子サインを使用した、123個のFPE試料のKaplan−Meier曲線及びログランク検定。高及び低リスク群は、有意に異なる(P=0.0271)。
【図3】RTQ−PCRを使用した、4つの異なる臨床現場からの180個の独立したFPE II期結腸癌試料に対する、7遺伝子サインのKaplan−Meier生存率分析。
【発明を実施するための形態】
【0008】
II期及びIII期結腸癌の病期分類のための最も重要な臨床的因子の1つは、リンパ節の病変であり、臨床ガイドラインは、好適な病期分類のために、少なくとも12個のリンパ節が検査される必要があることを提言した。しかしながら、適正なリンパ節評価を受けるのは、結腸癌患者の40%未満である。Baxter et al.(2005)参照。II期結腸癌における腫瘍再発を予測するための23遺伝子予後サインは、例えば、米国特許公開第20060063157号において既に言及されており、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。続いて、このサインは、新鮮凍結腫瘍標本を使用した123個のII期結腸癌の独立した患者群、及びホルマリン固定されたパラフィン包埋試料を使用した、110人のII期患者群において認証された。Jiang et al.(2008)参照。本発明は、より正確な病期分類に関する。
【0009】
バイオマーカーは、示されたマーカー核酸/タンパク質の任意のしるしである。核酸は、核、ミトコンドリア(ホモプラスミー、ヘテロプラスミー)、ウイルス、細菌、真菌、マイコプラズマ等が挙げられるが、これらに限定されない、当該技術分野において既知の任意の核酸であってもよい。しるしは、直接的又は間接的であってもよく、生理学的パラメータが与えられ、内部制御、プラシーボ、正常組織、又は別の癌腫と比較された、遺伝子の過剰又は過少発現を測定することができる。バイオマーカーとしては、核酸及びタンパク質(過剰及び過少発現、並びに直接及び間接の両方)が挙げられるが、これらに限定されない。核酸のバイオマーカーとしての使用は、DNA増幅、欠失、挿入、複製、RNA、マイクロRNA(miRNA)、ヘテロ接合性の消失(LOH)、単一ヌクレオチド多型(SNP、Brookes(1999))、直接的な、あるいはゲノム増幅によるコピー数多型(CNP)、マイクロサテライトDNA、DNA低メチル化又は過剰メチル化等のエピジェネティック変化、及びFISHの測定が挙げられるが、これらに限定されない、当該技術分野において既知の任意の方法を含むことができる。タンパク質のバイオマーカーとしての使用は、量、活性、グリコシル化、リン酸化反応、ADPリボシル化、ユビキチン化等の修飾、又は免疫組織化学(IHC)及び代謝回転の測定が挙げられるが、これらに限定されない、当該技術分野において既知の任意の方法を含むことができる。他のバイオマーカーとしては、撮像、分子プロファイリング、細胞数、及びアポトーシスマーカーが挙げられる。
【0010】
マーカー遺伝子は、それが配列を含有する場合に、配列番号によって表されるその配列に対応する。遺伝子セグメント又は断片は、その遺伝子の配列であると区別するのに十分な、参照された配列若しくはその相補体の一部を含有する場合に、そのような遺伝子の配列に対応する。遺伝子発現産物は、そのRNA、mRNA、若しくはcDNAがそのような配列を有する組成物(例えば、プローブ)とハイブリダイズする場合に、又はペプチド若しくはタンパク質の場合には、そのようなmRNAによってコードされている場合に、そのような配列に対応する。遺伝子発現産物のセグメント又は断片は、その遺伝子又は遺伝子発現産物の配列であると区別するのに十分な、参照された遺伝子発現産物又はその相補体の一部分を含有する場合に、そのような遺伝子又は遺伝子発現産物の配列に対応する。
【0011】
本明細書に記載及び請求された本発明の方法、組成物、物品、及びキットは、1つ以上のマーカー遺伝子を含む。「マーカー」若しくは「マーカー遺伝子」は、過剰発現又は過少発現が兆候又は組織の種類と関連している任意の遺伝子に対応する、遺伝子及び遺伝子発現産物を指すために、本明細書全体にわたって使用される。
【0012】
遺伝子発現プロファイルを確立するための好ましい方法は、タンパク質又はペプチドをコードすることができる遺伝子によって産生されるRNAの量を判定する工程を含む。これは、逆転写酵素PCR(RT−PCR)、競合RT−PCR、リアルタイムRT−PCR、差次的発現RT−PCR、ノーザンブロット分析、及び他の関連検定によって達成される。個々のPCR反応を使用してこれらの技術を行うことが可能であるが、相補DNA(cDNA)、又はmRNAから産生される相補RNA(cRNA)を増幅し、マイクロアレイを介してそれを分析することが最適である。多くの異なるアレイ構成及びそれらの産生方法は、当業者に既知であり、例えば、第5445934号、第5532128号、第5556752号、第5242974号、第5384261号、第5405783号、第5412087号、第5424186号、第5429807号、第5436327号、第5472672号、第5527681号、第5529756号、第5545531号、第5554501号、第5561071号、第5571639号、第5593839号、第5599695号、第5624711号、第5658734号、及び第5700637号に記載される。
【0013】
マイクロアレイ技術は、何千もの遺伝子の定常状態mRNAレベルの同時測定を可能にし、それによって無制限細胞増殖の発現、停止、又は調節等の効果を同定するための強力なツールを提供する。2つのマイクロアレイ技術が、現在広く使用されている。第1の技術は、cDNAアレイであり、第2の技術は、オリゴヌクレオチドアレイである。これらのチップの構造において差異は存在するが、全てのダウンストリームデータ分析及び出力は本質的に同一である。これらの分析の結果は、典型的には、マイクロアレイ上の既知の位置において核酸配列にハイブリダイズする試料からのcDNA配列を検出するために使用される、標識プローブから受信される信号の強度の測定値である。典型的には、信号の強度は、試料細胞内に発現されるcDNA、したがってmRNAの量に比例している。多くのそのような技術が利用可能であり、かつ有用である。遺伝子発現を決定するための好ましい方法は、第6271002号、第6218122号、第6218114号、及び第6004755号で見ることができる。
【0014】
発現レベルの分析は、そのような信号強度を比較することによって行われる。これは、対照試料における遺伝子の発現強度に対する、検査試料における遺伝子の発現強度の比率マトリックスを生成することによって、最適に行われる。例えば、病変組織からの遺伝子発現強度は、同種類の良性又は正常な組織から生成される発現強度と比較することができる。これらの発現強度の比率は、検査試料と対照試料との間の遺伝子発現における倍数変化を示す。
【0015】
選択は、腫瘍の原発部位に関連する因子間の各遺伝子の差次的発現に対する有意な証拠に関連したランク付けリストを生成する、統計的検定に基づくことができる。そのような検定の実施例としては、ANOVA及びKruskal−Wallisが挙げられる。ランク付けは、一方のクラスが他方よりも有利になる証拠の優位性として、最大でカットオフまで、そのような重みの合計を解釈するように設計されるモデルにおいて、重み付けとして使用することができる。本文献に記載する従来の証拠もまた、重み付けを調整するために使用されてもよい。
【0016】
好ましい実施形態は、安定した対照セットを同定し、このセットを全ての試料にわたってゼロ分散にスケーリングすることによって、各測定値を正規化することである。この対照セットは、アッセイにおける系統誤差によって影響され、この誤差とは無関係に変化することが知られていない、任意の単一の内因性転写物、又は1組の内因性転写物として定義される。全てのマーカーは、平均値又は中央値等、対照セットの任意の記述統計値に対して、又は直接測定値に対して、ゼロ分散を生成する試料特異的な因子によって調整される。あるいは、系統誤差のみに関係する制御の変動の前提が正確ではないが、正規化が実行されると得られた分類誤差がより小さくなる場合、対照セットはなお、上記のとおり使用される。非内因性スパイクコントロールもまた役立ち得るが、好ましくない。
【0017】
遺伝子発現プロファイルは、多くの方法で表示することができる。最も一般的な方法は、未加工の蛍光強度又は比率マトリックスを、縦列が検査試料を示し、横列が遺伝子を示す、グラフィカルデンドグラムに配列させることである。データは、同様の発現プロファイルを有する遺伝子が、相互に近接するように配列される。各遺伝子の発現比は、色として視覚化される。例えば、1未満の比率(下方制御)が、スペクトルの青色部分に表示される一方で、1を超える比率(上方制御)は、スペクトルの赤色部分に表示される。市販のコンピュータソフトウェアプログラムが、「Genepring」(Silicon Genetics,Inc.)、並びに「Discovery」及び「Infer」(Partek,Inc.)を含む、そのようなデータを表示するために利用可能である。
【0018】
遺伝子発現を判定するためにタンパク質レベルを測定する場合、適正な特異性及び感度をもたらすという条件で、当該技術分野において既知の任意の方法が好適である。例えば、タンパク質レベルは、タンパク質に特異的な抗体又は抗体断片に結合し、抗体結合タンパク質の量を測定することによって測定することができる。検出を容易にするために、抗体は、放射性試薬、蛍光試薬、又は他の検出可能な試薬で標識することができる。検出方法としては、酵素免疫吸着アッセイ(ELISA)及び免疫ブロット技術が挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
本発明の方法において使用する調節された遺伝子を、実施例において説明する。差次的に発現される遺伝子は、異なる原発部位からの癌腫を有する患者に対して、特定の原発部位の癌腫を有する患者において、上方制御あるいは下方制御される。上方制御及び下方制御は、ある基準と比較して、遺伝子の発現量において、検出可能な差異(それを測定するために使用されるシステム内のノイズの寄与を超えた)が見つかることを意味する、相対的用語である。この場合、基準は、アルゴリズムに基づいて決定される。次いで、病変細胞における当該遺伝子は、同一の測定方法を使用した基準レベルと比較して、上方制御あるいは下方制御される。この文脈において、病変(diseased)とは、無制限細胞増殖に伴って生じるような、身体機能の適切な能力を遮断若しくは阻害する、又は阻害する可能性がある身体の状態変化を指す。ある人の遺伝子型又は表現型のある側面が、疾病の存在と一致する場合、その人は、その疾病と診断される。しかしながら、診断又は予後診断を行う行為は、再発の可能性、治療の種類、及び治療モニタリングを判定する等の、疾病/状態に関する問題の判定を含み得る。治療モニタリングにおいて、遺伝子発現プロファイルが正常組織とより一致したパターンに変化したかどうか、又は変化しているかどうかを判定するために、遺伝子発現を経時的に比較することによって、所与の治療過程の効果に関して、臨床判断が行われる。
【0020】
遺伝子は、群の遺伝子セットに関して得られる情報が、診断、予後診断、又は治療選択等の臨床的に関連する判断を行うための信頼できる基礎を提供するように、分類することができる。これらの遺伝子セットは、本発明のポートフォリオを構成する。ほとんどの診断マーカーと同様に、正確な医学的判断を行うために十分な最少数のマーカーを使用することが望ましい場合が多い。これは、更なる分析を待つ間の分析の遅延、並びに時間及び資源の非生産的使用を回避する。
【0021】
遺伝子発現ポートフォリオを確立する一方法は、株式ポートフォリオを確立する際に広く用いられる平均分散アルゴリズム等の、最適化アルゴリズムの使用によるものである。この方法は、第20030194734号に詳細に記載される。本質的に、本方法は、リターン(例えば、生成される信号)の変動性を最小限に抑える一方で、使用するために受けるリターンを最適化する、1組の入力(金融上の応用においては株式、本願においては強度別に測定されるような発現)の確立が必要である。多くの商用ソフトウェアプログラムが、そのような操作を行うために利用可能である。本明細書全体にわたって「Wagner Software」と称される、「Wagner Associates Mean−Variance Optimization Application」が好ましい。このソフトウェアは、効率的フロンティアを決定するために、「Wagner Associates Mean−Variance Optimization Library」からの関数を使用し、Markowitz理論における最適ポートフォリオが好ましい。Markowitz(1952)参照。この種類のソフトウェアの使用は、ソフトウェアがその意図された金融分析目的に使用される場合に、株式リターン及びリスク測定が使用される方法で、マイクロアレイデータを入力として処理することができるように、マイクロアレイデータを変換することが必要である。
【0022】
ポートフォリオを選択するプロセスはまた、発見的規則の応用も含むことができる。好ましくは、そのような規則は、生物学、及び臨床結果をもたらすために使用される技術の理解に基づいて公式化される。より好ましくは、それらは、最適化法からの出力に適用される。例えば、ポートフォリオ選択の平均分散法は、癌対象において差次的に発現される多くの遺伝子に対するマイクロアレイデータに適用することができる。本方法からの出力は、末梢血並びに病変組織中に発現されるいくつかの遺伝子を含み得る、最適化された遺伝子セットであり得る。検査方法において使用される試料が、末梢血から得られ、癌の場合に差次的に発現される、ある特定の遺伝子が、末梢血においても差次的に発現され得る場合、末梢血中に差次的に発現されるものを除いて、ポートフォリオが効率的フロンティアから選択される、発見的規則が適用され得る。当然ながら、本規則は、例えば、データ事前選択中に本規則を適用することによって、効率的フロンティアの形成前に適用することができる。
【0023】
当該生物学に必ずしも関連しているとは限らない他の発見的規則が適用され得る。例えば、規定のポートフォリオ割合のみを、特定の遺伝子又は遺伝子群によって表すことができる規則を適用することができる。Wagner Software等の市販のソフトウェアは、これらの種類の経験則を容易に適応させる。これは、例えば、確度及び精度以外の因子(例えば、予想されるライセンス料)が、1つ以上の遺伝子を含むことの望ましさに影響を与える場合に、有用であり得る。
【0024】
本発明の遺伝子発現プロファイルはまた、癌の診断、予後診断、又は治療観察に有用な他の非遺伝的方法と併用することもできる。例えば、ある状況においては、上記の遺伝子発現に基づく方法の診断能力を血清タンパク質マーカー(例えば、Cancer Antigen 27.29(「CA 27.29」))等の従来のマーカーからのデータと組み合わせることが有益である。CA 27.29のような検体を含む、そのようなマーカー範囲が存在する。1つのそのような方法において、血液は、治療患者から定期的に採取され、次いで上記の血清マーカーのうちの1つに対して酵素免疫測定が行われる。マーカーの濃度が腫瘍の再発又は治療の失敗を示唆する場合、遺伝子発現分析に適した試料源を採用する。疑わしい腫瘤が存在する場合、細針吸引(FNA)が行われ、次いで腫瘤から採取した細胞の遺伝子発現プロファイルが、上記のように分析される。あるいは、腫瘍が既に除去された組織の隣接部位から、組織試料が採取されてもよい。このアプローチは、他の検査が曖昧な結果をもたらす場合に、特に有用であり得る。
【0025】
核酸及びタンパク質を単離する方法は、当該技術分野においてよく知られている。例えば、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる米国第6,992,182号、及びインターネットのワールドワイドウェブ上のAmbionウェブサイトにおけるRNAの考察、及び米国第20070054287号を参照されたい。
【0026】
DNA分析は、遺伝子構造を検出するためのメチル化、脱メチル化、染色体分析、倍数性(異数性、倍数性)、DNA完全性(ゲル又は分光測光法によって評価される)、転座、突然変異、遺伝子融合、活性化−非活性化、単一ヌクレオチド多型(SNP)、コピー数、又は全ゲノム増幅が挙げられるが、これらに限定されない、当該技術分野において既知の任意の分析であってもよい。RNA分析は、q−RT−PCR、miRNA、又は転写後修飾が挙げられるが、これらに限定されない、当該技術分野において既知の任意の分析を含む。タンパク質分析は、抗体検出、翻訳後修飾又は代謝回転が挙げられるが、これらに限定されない、当該技術分野において既知の任意の分析を含む。タンパク質は、細胞表面マーカー、好ましくは、上皮、内皮、ウイルス、又は細胞型であってもよい。バイオマーカーは、ウイルス/細菌感染、損傷、又は抗原発現に関連し得る。
【0027】
本発明に従って製造されるキットは、遺伝子発現プロファイルを決定するためのフォーマットされたアッセイを含む。これらは、バイオマーカーが分析される試薬及び命令及び媒体等の、分析を行うために必要とされる材料の全て又は一部を含むことができる。
【0028】
本発明の物品は、疾病を治療、診断、予後予測、及び別様に評価するのに有用な、遺伝子発現プロファイルの表現を含む。これらのプロファイルの表現は、コンピュータ可読媒体(磁気、光等)等、機械によって自動的に読み取ることができる媒体に圧縮することができる。本物品はまた、そのような媒体に、遺伝子発現プロファイルを評価するための命令も含むことができる。例えば、本物品は、上記の遺伝子のポートフォリオの遺伝子発現プロファイルを比較するためのコンピュータ命令を有する、CD ROMを備えてもよい。本物品はまた、患者の試料からの遺伝子発現データと比較できるように、内部にデジタル記録される遺伝子発現プロファイルも含むことができる。あるいは、プロファイルは、異なる表現フォーマットで記録することができる。グラフ記録は、そのようなフォーマットの1つである。上記のPartek,Inc.からの「DISCOVERY」及び「INFER」ソフトウェアに組み込まれるようなクラスタ化アルゴリズムが、そのようなデータの視覚化に最も役立ち得る。
【0029】
本発明に従って製造される異なる種類の物品は、遺伝子発現プロファイルを明らかにするために使用される媒体又はフォーマットされたアッセイである。これらは、当該遺伝子を示す配列が結合して、それらの存在の読み取り可能な決定因子を生成するマトリックスに、配列相補体又はプローブが付加される、マイクロアレイを含むことができる。あるいは、本発明に従った物品は、癌を検出するための当該遺伝子の発現レベルを示すハイブリダイゼーション、増幅、信号生成を実施するための試薬キットにすることができる。
【0030】
以下の実施例は、本発明を説明するためのものであって発明を限定するためのものではない。
【実施例】
【0031】
(実施例1)
材料及び方法
患者試料
78人のコード化されたII期及び59人のIII期結腸癌患者からの凍結腫瘍標本を得た。保管された原発腫瘍試料を手術時に採取した。診断及び腫瘍内容物を確認するために、H&E染色された組織切片に対して、各標本の組織病理学を再検査した。上皮腫瘍細胞の核を数えることによって、腫瘍内容物をパーセントで推定した。患者適格基準は、II及びIII期原発性大腸腺癌、一次治療が、アジュバント療法又はネオアジュバント療法を用いない手術のみであること、組織試料のうち少なくとも70%の腫瘍細胞、及びそれまでに遠位再発を生じた患者を除く、少なくとも3年のフォローアップを含む。患者に対する身体検査、血球数検査、肝機能検査、血清CEA、及び結腸内視鏡検査を含む、結腸癌患者に対する一般診療に従って、術後患者サーベイランスを実行した。選択された患者は、腹部CTスキャン及び胸部X線を受けた。癌の再発が疑われた場合、患者は、選択された患者に対する結腸内視鏡検査、胸部/腹部/骨盤CT及びMRIを含む、診断的精密検査を受けた。実行可能な場合、全ての患者に対して、転移性病変を確認するための診断的生検を実施した。再発までの時間又は無病期間を、再発患者に対しては、手術日から腫瘍再発が確認された日まで、無病患者に対しては、手術日から最終フォローアップ日までと定義した。
【0032】
85人のII期及び38人のIII期結腸癌患者からのFPE腫瘍標本も得た。180個のII期結腸癌のFPE標本もまた、別個に得た。診断及び腫瘍内容物を確認するために、各標本の組織病理学を再検査した。患者適格基準及びフォローアップ手順は、凍結試料の選択と同一であった。
【0033】
マイクロアレイ分析
全ての凍結腫瘍組織をRNA単離のために処理した。Baxter et al.(2005)参照。公開された方法(Affymetrix,Santa Clara,CA)を使用して、ビオチン化標的を調製し、Affymetrix U133a GeneChips(Affymetrix,Santa Clara,CA)にハイブリダイズした。標準的なAffymetrixプロトコルを使用して、アレイをスキャンした。各プローブセットを独立した遺伝子と見なした。Affymetrix GeneChip(登録商標)分析ソフトウェアMAS 5.0を使用し、既に記載した分析方法に従って、各遺伝子の発現値を計算した。Wang et al.(2004)参照。
【0034】
FPE試料からのRNA単離
FPE試料は、ホルマリン固定された(n=45)あるいはHollandes固定された(n=65)FPE組織であった。High Pure RNA Paraffin Kit(Roche Applied Sciences,Indianapolis,IN)を使用した修正プロトコルに従って、FPE組織試料からのRNA単離を実行した。FPE組織ブロックをブロックの大きさに応じて切断した(6〜8mm=6×10μm、8mm以上=3×10μm)。製造者のマニュアルで説明されるように、切片を脱パラフィン化した。組織ペレットを55℃のオーブンで10分間乾燥させ、100μLの組織溶解緩衝液、16μLの10%SDS、及び80μLのプロテイナーゼKに再懸濁した。試料をボルテックスし、400rpmに設定したサーモミキサーで、55℃で3時間インキュベートした。キットのマニュアルに従って、試料処理の後続工程を実行した。RNA試料を、分光光度計を使用したOD 260/280測定値によって定量化し、最終濃度50ng/μLまで希釈した。単離されたRNA試料を、使用するまで、RNaseを含まない水に−80℃で保管した。
【0035】
RTQ−PCR分析
FPE組織から単離されたRNA試料とともに、単一段階マルチプレックスRTQ−PCRアッセイを使用して、遺伝子サイン及びハウスキーピング制御遺伝子を評価した。RTQ−PCR反応の変動性を最小限に抑えるために、β−アクチン、HMBS、及びRPL13Aを含む、3個のハウスキーピング制御遺伝子を、RNAの入力量を正規化するために使用した。増幅による試料中の任意の汚染DNAを回避するために、RTQ−PCRアッセイのためのPCRプライマー又はプローブを、アッセイが任意の残りのゲノムDNAを増幅しないように、イントロンにまたがるように設計した。100ナノグラムの全RNAを単一段階RTQ−PCR反応に使用した。TaqMan(登録商標)単一段階PCR Master Mix試薬キット(Applied Biosystems,Fresno,CA)に含有される、40×Multiscribe and RNase阻害剤混合物を使用して、逆転写を実行した。次いで、cDNAをウラシル−N−グリコシダーゼ(UNG)を含まない2×Master Mixに供した。反応体積が10μLの384ウェルブロックフォーマットを使用したABI 7900HT配列検出システム(Applied Biosystems,Frenso,CA)において、PCR増幅を実行した。プライマー及びプローブの濃度は、それぞれ、4及び2.5μmol/Lであった。逆転写のために、反応混合物を48℃で30分間インキュベートし、次いでAmplitaq(登録商標)活性化工程を95℃で10分間行い、次いで変性のために95℃で15秒間、アニーリングと伸長のために60℃で1分間を40サイクル行った。標準曲線を100pg〜100ngの範囲の出発物質から生成し、R値が0.99よりも大きい場合、サイクル閾値(Ct)値を認めた。加えて、製造者のプロトコルに従って、全てのプライマー及びプローブを同一の増幅効率に最適化した。7個の遺伝子及び3個のハウスキーピング制御遺伝子に対するプライマー及びプローブの配列は以下のとおりであり、それぞれは、5’〜3’の方向に記載される。
EP2MA順方向、CATTATTCAAGGCCGAGTACAGATG、
EP2MA逆方向、CACGTACACGATGTGTCCCTTCT、
EP2MAプローブ、FAM−CAGGCGGTGTGCCTGCTGCAT−BHQ。
KLF5順方向、CCTGAGGACTCACACTGGTGAA、
KLF5逆方向、CAGCTCATCCGATCGCG、
KLF5プローブ、FAM−CAAGTGTACCTGGGAAGGCTGCGACTG−BHQ。
CAPG順方向、CGCAGCTCTGTATAAGGTCTCTGA、
CAPG逆方向、GATATCAGCAGTTCAAGGGCAA、
CAPGプローブ、FAM−AACCTGACCAAGGTGGCTGACTCCAG−BHQ。
LILRB3順方向、AGATGGACACTGAGGCTGCTG、
LILRB3逆方向、CTTCCGTCTAAGGGTCAAGCTG、
LILRB3プローブ、FAM−CCCAGGATGTGACCTACGCCCAG−BHQ。
LAT順方向、CTCCCACCGGACGCCATC、
LAT逆方向、CCTCGTTCTCGTAGCTCGCCA、
LATプローブ、FAM−CGGGATTCTGATGGTGCCAACAGT−BHQ−1−TT。
CHC1順方向、TTTGTGGTGCCTATTTCACCTTT、
CHC1逆方向、CGGAGTTCCAAGCTGATGGTA、
CHC1プローブ、FAM−CCACGTGTACGGCTTCGGCCTC−BHQ。
YWHAH順方向、CCTGTCTCTTGGGAAGCAGTTT、
YWHAH逆方向、GCTCCTGTGGGCTCAAAG、
YWHAHプローブ、FAM−ATCATGGGCATTGCTGGACTGATGG−BHQ。
β−アクチン順方向、AAGCCACCCCACTTCTCTCTAA、
β−アクチン逆方向、AATGCTATCACCTCCCCTGTGT、
β−アクチンプローブ、FAM−AGAATGGCCCAGTCCTCTCCCAAGTC−BHQ。
HMBS順方向、CCTGCCCACTGTGCTTCCT、
HMBS逆方向、GGTTTTCCCGCTTGCAGAT、
HMBSプローブ、FAM−CTGGCTTCACCATCG−BHQ。
RPL13A順方向、CGGAAGAAGAAACAGCTCATGA、
RPL13A逆方向、CCTCTGTGTATTTGTCAATTTTCTTCTC、
RPL13Aプローブ、FAM−CGGAAACAGGCCGAGAA−BHQ。
【0036】
各試料に対して、ΔCt=Ct(標的遺伝子)−Ct(4個の制御遺伝子の平均)を計算した。ΔCt正規化は、臨床RTQ−PCRアッセイにおいて広く使用されている。
【0037】
統計的方法
II期結腸癌患者とIII期結腸癌患者との間の各遺伝子の識別を比較するために、t−検定を使用した。III期である可能性を評価するために、モデルを構築するためのトレーニングセットとして、ロジスティック回帰をCCF患者に使用した。受信者動作特性(ROC)曲線を生成するために、各患者がIII期であるというロジスティックモデルからの確率を使用した。少なくとも90%の特異度(II期患者の少なくとも90%が正確に同定される)を生成するために、確率の閾値を選択した。次いで、試験セットのうちの1つの患者に対して、III期である確率を計算するために、トレーニングセットから構築されるモデルを使用した予測されたII期と予測されたIII期患者との間の無再発生存率の差異を評価するために、Kaplan Meier生存曲線(Kaplan et al.(1958)及びCox比例ハザード回帰から計算されるハザード比を使用した。S−Plus(登録商標)6・1ソフトウェア(Insightful,Fairfax Station,VA)を使用して、全ての統計分析を実行した。
【0038】
結果
患者及び腫瘍の特性
患者及び患者の腫瘍の臨床的及び病理学的特徴を表1及び表2に要約する。
【表1】

【表2】

【0039】
全患者が、年齢、性別、TNM病期、検査されたリンパ節の数、悪性度、及び腫瘍位置に関する情報を有した。全患者が散発性結腸癌を有した。直腸癌患者は本研究から除外した。AJCC第6版のガイドラインに従って、TNM病期分類を実行した。組織学的悪性度又は分化状態もまた、各臨床現場によって報告された。検査されたリンパ節の数は、試料が異なる期間に保管された収集物からのものであるため、現場によって異なった。手術のみによって患者を治療し、ネオアジュバント治療又はアジュバント治療を受けた患者は一人もいなかった。3年未満に再発又は死亡した患者を除外して、本研究における全患者に対して、最低3年のフォローアップデータが利用可能であった。統計分析は、腫瘍の特性が、再発患者と非再発患者との間で有意に異ならなかったことを示唆した。
【0040】
新鮮凍結試料における遺伝子サインの分析。
以前の研究の患者試料群において(Wang et al.(2004))、高分化又は未分化腫瘍をそれぞれ表す腫瘍の2つの下位群が検出された。II期腫瘍を2つの下位群に分類するために、カドヘリン17遺伝子発現を使用し、下位群I(7個の遺伝子)及び下位群II(15個の遺伝子)に対する分類子を含むように、予後遺伝子サインを設計した。本研究において、下位群II(検出できないカドヘリン17)は、78個のII期腫瘍のうちの1個(1.3%)及び59個のIII期腫瘍のうちの1個(1.7%)のみを占めたことがわかった。したがって、現在の研究のためのアルゴリズムにおいて、下位群Iに対して7個の遺伝子のみを含む、改善された遺伝子サインが形成された。7個の遺伝子を、GenBank ID及びAffymetrix U133aチップIDとともに、以下のとおり表3に記載する。
【表3】

【0041】
7遺伝子サインの病期分類特性を評価するために、我々は、臨床的に定義されたII及びIII期患者を識別するための7個の遺伝子の識別力を比較するために、t−検定を使用した。次いで、各患者がIII期又はII期である可能性を評価するために、ロジスティック回帰を137個の試料に適用した。病期予測因子としての7遺伝子サインの能力を評価するために使用したパラメータは、受信者動作特性(ROC)分析の曲線(AUC)よりも下の領域であった。図1Aに示すように、サインは、0.9のAUC値を示した。
【0042】
Kaplan−Meier分析は、予測されたII及びIII期患者に対する生存曲線を生成した(図1B)。明らかに、予測されたII及びIII期患者は、良好な予後(予測されたII期患者)及び不良な予後(予測されたIII期患者)を有する患者の2つの異なる集団に分離した。単変量Cox比例ハザード回帰モデルにおいて、腫瘍再発に対する推定相対リスクは、2.7(95%CI、1.3〜5.5、P=0.007)であった。
【0043】
FPE試料における遺伝子サインの分析
臨床的に関連する試料における7遺伝子サインの病期分類の値を実証するために、RTQ−PCRアッセイを開発し、最初にII及びIII期結腸腫瘍からの123個のFPE試料に対して実行した。RTQ−PCRアッセイは、試料の種類及びアッセイプラットフォームの観点から、マイクロアレイ分析とは完全に異なるため、7つの遺伝子の病期識別力をt検定によって再評価した。これらの123人の患者のRTQ−PCRデータセットに対してロジスティック回帰を使用して、各患者がIII期又はII期である可能性を評価するためのモデルを再び構築した。最初に、ROC曲線を評価した(図2A)。7遺伝子の予測因子は、0.77のAUC値を示した。Kaplan−Meier分析及びログランク検定は、両方、予測されたIII期癌の群と予測されたII期癌の群との間で、再発までの時間の有意差を示した(HR 2.4、95%CI 1.1〜5.2、P=0.02)(図2B)。
【0044】
4つの異なる臨床現場からの独立した試験セットの評価
7遺伝子サインは、臨床的に定義されたII及びIII期結腸癌に対して検査され、そのサインが、マイクロアレイプラットフォーム上の新鮮凍結標本、及びRTQ−PCRプラットフォーム上のFPE標本のこれらの2つのクラスを識別する能力を有することが実証された。所定の7遺伝子サインが、臨床的に定義されたII期結腸癌に対して、良好予後患者と不良予後患者とを識別することができるかどうかを検査するために、7遺伝子の有用性を評価するために、180個の試験セット試料を使用した。123個のII及びIII期試料セットから得られた所定のモデル及びアルゴリズムを適用することによって、180人の臨床II期患者のうちの150人が予測されたII期癌に分類され、30人の臨床II期患者が、予測されたIII期癌に分類された。Kaplan−Meier分析及びログランク検定は、両方、図3に示すように、予測されたIII期癌の群と予測されたII期癌の群との間で、再発までの時間の有意差を示した(HR 2.0、95%CI 1.0〜3.6、P=0.05)。
【0045】
引用文献
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【0046】
〔実施の態様〕
(1) 結腸直腸癌の状態を病期分類する方法であって、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、及び配列番号13から本質的になる遺伝子の組み合わせにおける特異的調節を同定することを含む、方法。
(2) II期及びIII期結腸直腸癌が区別される、実施態様1に記載の方法。
(3) 発現パターンの比較が、パターン認識法を用いて行われる、実施態様2に記載の方法。
(4) 前記パターン認識法が、Cox比例ハザード分析の使用を含む、実施態様3に記載の方法。
(5) 原発腫瘍試料に対して行われる、実施態様1に記載の方法。
(6) 試料の遺伝子発現パターンが、II期を示す前記Cox比例ハザード分析のパターンである場合、前記結腸直腸癌はII期結腸直腸癌であり、そうでない場合は、III期結腸直腸癌である、実施態様1に記載の方法。
(7) 結腸直腸癌患者を病期分類するためのキットであって、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、及び配列番号13を含む遺伝子の組み合わせの単離された核酸配列、それらの相補体、又はそれらの一部を検出するための材料を備える、キット。
(8) 遺伝子の唯一の組み合わせが、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、及び配列番号13、並びにハウスキーピング又は制御遺伝子である、実施態様7に記載のキット。
(9) マイクロアレイ分析を行うための試薬を更に備える、実施態様8に記載のキット。
(10) 前記核酸配列、それらの相補体、又はそれらの一部が分析される媒体を更に備える、実施態様9に記載のキット。
【0047】
(11) 結腸直腸癌の状態を評価するための物品であって、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、及び配列番号13を含む遺伝子の組み合わせの核酸配列、それらの相補体、又はそれらの一部を同定するための材料を備える、物品。
(12) 遺伝子の唯一の組み合わせが、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、及び配列番号13、並びにハウスキーピング又は制御遺伝子である、実施態様11に記載の物品。
(13) マイクロアレイ分析を行うための試薬を更に備える、実施態様12に記載の物品。
(14) 前記核酸配列、それらの相補体、又はそれらの一部が分析される媒体を更に備える、実施態様13に記載の物品。
(15) PCR反応を行うための試薬を含み、前記試薬が、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、及び配列番号13、並びにハウスキーピング又は制御遺伝子から本質的になる遺伝子を検出するためのプローブ及びプライマーを含む、実施態様11に記載の物品。
(16) 結腸直腸癌を病期分類するために、キットの使用の結果を分析するための命令を更に備える、実施態様15に記載の物品。
(17) 前記命令が、コンピュータ命令である、実施態様16に記載の物品。
(18) 前記コンピュータ命令が、磁気又は光媒体に含有される、実施態様17に記載の物品。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結腸直腸癌の状態を病期分類する方法であって、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、及び配列番号13から本質的になる遺伝子の組み合わせにおける特異的調節を同定することを含む、方法。
【請求項2】
II期及びIII期結腸直腸癌が区別される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
発現パターンの比較が、パターン認識法を用いて行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記パターン認識法が、Cox比例ハザード分析の使用を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
原発腫瘍試料に対して行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
試料の遺伝子発現パターンが、II期を示す前記Cox比例ハザード分析のパターンである場合、前記結腸直腸癌はII期結腸直腸癌であり、そうでない場合は、III期結腸直腸癌である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
結腸直腸癌患者を病期分類するためのキットであって、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、及び配列番号13を含む遺伝子の組み合わせの単離された核酸配列、それらの相補体、又はそれらの一部を検出するための材料を備える、キット。
【請求項8】
遺伝子の唯一の組み合わせが、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、及び配列番号13、並びにハウスキーピング又は制御遺伝子である、請求項7に記載のキット。
【請求項9】
マイクロアレイ分析を行うための試薬を更に備える、請求項8に記載のキット。
【請求項10】
前記核酸配列、それらの相補体、又はそれらの一部が分析される媒体を更に備える、請求項9に記載のキット。
【請求項11】
結腸直腸癌の状態を評価するための物品であって、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、及び配列番号13を含む遺伝子の組み合わせの核酸配列、それらの相補体、又はそれらの一部を同定するための材料を備える、物品。
【請求項12】
遺伝子の唯一の組み合わせが、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、及び配列番号13、並びにハウスキーピング又は制御遺伝子である、請求項11に記載の物品。
【請求項13】
マイクロアレイ分析を行うための試薬を更に備える、請求項12に記載の物品。
【請求項14】
前記核酸配列、それらの相補体、又はそれらの一部が分析される媒体を更に備える、請求項13に記載の物品。
【請求項15】
PCR反応を行うための試薬を含み、前記試薬が、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、及び配列番号13、並びにハウスキーピング又は制御遺伝子から本質的になる遺伝子を検出するためのプローブ及びプライマーを含む、請求項11に記載の物品。
【請求項16】
結腸直腸癌を病期分類するために、キットの使用の結果を分析するための命令を更に備える、請求項15に記載の物品。
【請求項17】
前記命令が、コンピュータ命令である、請求項16に記載の物品。
【請求項18】
前記コンピュータ命令が、磁気又は光媒体に含有される、請求項17に記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−509689(P2011−509689A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−544379(P2010−544379)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【国際出願番号】PCT/US2009/031389
【国際公開番号】WO2009/094318
【国際公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(505060347)ベリデックス・エルエルシー (43)
【氏名又は名称原語表記】Veridex,LLC
【住所又は居所原語表記】33 Technology Drive,Warren,NJ 07059,U.S.A.
【Fターム(参考)】