説明

IL−1受容体に対する結合活性を有するポリペプチドおよび当該ペプチドを有効成分として含有する動物用医薬組成物

【課題】 イヌに対する投与に適したIL−1阻害活性を有するポリペプチド、およびその効率的な製造方法を提供する。
【解決手段】 成熟型イヌIL−1raのアミノ酸配列と98%以上の相同性を有し且つN末端がメチオニンであるアミノ酸配列をコードするDNAを含むベクターで形質転換された大腸菌を25℃〜34℃の温度域で培養し、その培養菌体から、成熟型イヌIL−1raのアミノ酸配列と98%以上の相同性を有し且つN末端がメチオニンであるアミノ酸配列からなるIL−1受容体に対する結合活性を有するポリペプチドを採取する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IL−1受容体に対する結合活性を有するポリペプチド、より詳細には動物(特にイヌ)においてIL−1に起因する種々の疾患/病態の症状緩和/治療に有効なポリペプチドに関する。また、本発明は、当該ポリペプチドの製造方法に関する。さらに、本発明は、当該ポリペプチドを有効成分として含む、ヒト以外の動物用医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
インターロイキン−1(以下、IL−1と略す)は、単球・マクロファージを中心とした種々の細胞から生産され、生体が受ける障害に対して急性期の反応を引き起こす多彩な作用を持ったサイトカインである。その多彩な生物学的作用から種々の疾患あるいは病態の形成に直接また間接的に関わっていることが近年知られるようになってきた。特にIL−1は種々の炎症において、その慢性化とその結果としての組織破壊に関して中心的な役割を果たしており、IL−1の作用を抑制することが疾患あるいは病態の治療に役立つという観点から、その抑制物質、すなわちIL−1阻害剤が注目されている。
【0003】
その中でも、生体内に存在するIL−1レセプターアンタゴニスト(以下、IL−1raと略記する)が注目されている。ヒトIL−1raは、1980年代にはすでにIL−1阻害物質として単球性白血病の患者や発熱患者の尿中に存在することが知られていた。1990年、ヒトIL−1raはHannumら、Eisenbergらによってヒト単球培養細胞上清中より精製・同定されるにいたった。ヒトIL−1raは分子量約17kDaの分泌タンパク質で、152個のアミノ酸から構成されている。そのアミノ酸配列はヒトIL−1αと19%、IL−1βと26%の相同性を有する(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3)。
【0004】
実際にこれまでにヒトの疾患・病態においてIL−1とIL−1raのバランスの崩れた状態と考えられる病態、例えば慢性関節リウマチ、敗血性ショック、急性骨髄性白血病、炎症性腸疾患などで組換えIL−1ra投与による病態の改善が数多く報告されている(非特許文献4)。
【0005】
これらの報告の中で注目すべきことは、その多くでIL−1raの投与量の多少に関わらず重篤な副作用がなく、また、IL−1raに対する抗体産生が見られなかったという事実である。これはIL−1raが元来生体内に存在する生理活性物質であることに起因すると考えられ、IL−1raが治療薬として有用な点である。一方で、IL−1raを種々動物の疾病治療の目的で投与する場合、治療対象となる動物種の生体内に元来存在するIL−1raの使用が望ましいことを示唆する。
【0006】
イヌは愛玩動物としても飼育されることが多く、例えば関節性リウマチなどの重篤な炎症性疾患に陥ったイヌを治療するための、副作用の少ない治療薬が求められている。前記観点から、特許文献1は、イヌIL1−raのアミノ酸配列を開示している。また、特許文献2はイヌIL−1raをコードするDNA、および、遺伝子組換え技術を利用したイヌIL1−raの製造方法を開示している。
【0007】
該特許文献2の実施例では、成熟型のイヌIL1−raのアミノ末端にトロンビンの切断認識配列を介してグルタチオン−Sトランスフェラーゼ(GST)を付加した融合蛋白質をコードするDNAを構築し、これを大腸菌細胞内で発現させ、当該融合蛋白質を単離後トロンビンを作用させることにより、成熟型のイヌIL1−raのアミノ末端にGly−Ser−Cysが付加された蛋白質を得ている。
【0008】
このような方法は、大腸菌細胞内で発現させた場合に不溶性の封入体として蓄積し易い蛋白質を、可溶性の蛋白質として得るための手段として有効である。また、大腸菌を宿主として用いた場合に十分な発現量が得られない蛋白質の発現量を向上させる手段としても有効である。
【0009】
しかし、工程が煩雑になるため、目的蛋白質を取得するまでに、より多くの時間と労力を要する。
【0010】
また、特許文献2では、上記方法により取得した、成熟型のイヌIL1−raのアミノ末端にGly−Ser−Cysが付加された蛋白質が、IL−1により引き起こされるIL−6遺伝子の転写誘導を阻害することを、株化されたヒト単球細胞を用いた実験で示している。しかしながら、当該蛋白質がIL−1受容体に対する結合活性を有することは、直接的には示されていない。
【特許文献1】米国特許第6018029号
【特許文献2】米国特許第6063600号
【非特許文献1】Nature,343,p336−340
【非特許文献2】Nature,343,p341−346
【非特許文献3】Nature,344,p633−638
【非特許文献4】医学のあゆみ,174,p1218−1222
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、イヌへの投与に適した、IL−1阻害活性を有するポリペプチドの提供を課題とする。また、当該ポリペプチドの効率的な製造方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、成熟型イヌIL−1raのアミノ酸配列と98%以上の同一性を有し且つN末端がメチオニンであるアミノ酸配列をコードするDNAを含むベクターで形質転換された大腸菌を、大腸菌の生育至適温度より低い温度域で培養することにより、IL−1受容体に対する結合活性を有するポリペプチドを効率良く生産し得ることを見いだした。
【0013】
さらに、本発明者らは、上記方法により生産したIL−1受容体に対する結合活性を有するポリペプチドが、コンカナバリンAにより惹起されるイヌ末梢血単核球の増殖を、用量依存的に抑制する作用があること、即ち、イヌIL−1を阻害する作用があることを見出し、本発明を完成した。
【0014】
すなわち、本発明は以下の(1)から(9)に関する。
(1)配列表の配列番号2で示されるアミノ酸配列と95%以上の相同性を有し且つアミノ末端がメチオニンであるアミノ酸配列からなり、IL−1受容体に対する結合活性を有するポリペプチド。
(2)配列表の配列番号2に示すアミノ酸配列中の0から3個のアミノ酸を他のアミノ酸に置換して得られるアミノ酸配列からなる(1)に記載のポリペプチド。
(3)配列表の配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、または20のいずれかのアミノ酸配列からなる(1)に記載のポリペプチド。
(4)IL−1受容体に対する結合活性を有するポリペプチドの製造方法であって、以下の(a)〜(e)の工程を含む方法:
(a)前記(1)〜(3)のいずれかのいポリペプチドをコードするDNA、大腸菌で機能するプロモーター、およびSD配列を作動可能な状態で連結してなるDNAを作製する工程、
(b)当該DNAを大腸菌で機能するベクターに連結する工程、
(c)当該組換えベクターで大腸菌を形質転換する工程、
(d)当該形質転換大腸菌を25℃以上34℃以下の温度で培養する工程、
(e)当該形質転換大腸菌細胞内に蓄積したIL−1受容体に対する結合活性を有する蛋白質を採取する工程。
(5)大腸菌で機能するプロモーターが、lacプロモーター、trpプロモーター、tacプロモーター、trcプロモーター、lambdaプロモーター、T7プロモーターの群より選択される、(4)に記載の方法。
(6)前記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリペプチドを有効成分として含む、ヒト以外の動物用医薬組成物。
【発明の効果】
【0015】
本発明に従えば、IL−1受容体に対する結合活性を有するポリペプチドの効率的な生産が可能となる。さらに、本発明に従えば、当該ポリペプチドを有効成分とする動物用医薬組成物(ヒト用を除く。特にはイヌ用)が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明のポリペプチドは、配列表の配列番号2で示されるアミノ酸配列(Met付加イヌIL−1ra)と95%以上の同一性を有し、且つ、アミノ末端がメチオニンであるアミノ酸配列からなり、IL−1受容体に対する結合活性を有するポリペプチドである。好ましくは、配列番号2に示すアミノ酸配列中の0から3個のアミノ酸を他のアミノ酸に置換して得られ且つアミノ末端がメチオニンであるアミノ酸配列からなり、IL−1受容体に対する結合活性を有するポリペプチドである。より好ましくは、配列表の配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、または20のいずれかのアミノ酸配列からなるポリペプチドである。
【0017】
配列番号4に示すアミノ酸配列(イヌIL−1ra誘導体1)は、配列番号2で示されるアミノ酸配列中の91番目のリジンをアラニンに置換することにより得られる。配列番号6に示すアミノ酸配列(イヌIL−1ra誘導体2)は、配列番号2で示されるアミノ酸配列中の93番目のリジンをアラニンに置換することにより得られる。配列番号8に示すアミノ酸配列(イヌIL−1ra誘導体3)は、配列番号2で示されるアミノ酸配列中の97番目のリジンをアラニンに置換することにより得られる。配列番号10に示すアミノ酸配列(イヌIL−1ra誘導体4)は、配列番号2で示されるアミノ酸配列中の91番目のリジンをアラニンに、97番目のリジンをアラニンに置換することにより得られる。配列番号12(イヌIL−1ra誘導体5)に示すアミノ酸配列は、配列番号2で示されるアミノ酸配列中の91番目のリジンをアラニンに、93番目のリジンをアラニンに置換することにより得られる。配列番号14(イヌIL−1ra誘導体6)に示すアミノ酸配列は、配列番号2で示されるアミノ酸配列中の93番目のリジンをアラニンに、97番目のリジンをアラニンに置換することにより得られる。配列番号16(イヌIL−1ra誘導体7)に示すアミノ酸配列は、配列番号2で示されるアミノ酸配列中の93番目のリジンをアラニンに、98番目のアルギニンをグリシンに置換することにより得られる。配列番号18(イヌIL−1ra誘導体8)に示すアミノ酸配列は、配列番号2で示されるアミノ酸配列中の91番目のリジンをアラニンに、93番目のリジンをアラニンに、97番目のリジンをアラニンに置換することにより得られる。配列番号20に示すアミノ酸配列(イヌIL−1ra誘導体9)は、配列番号2で示されるアミノ酸配列中の91番目のリジンをアラニンに、93番目のリジンをアラニンに、98番目のアルギニンをグリシンに置換することにより得られる。
【0018】
配列番号4、6、8、10、12、14、16、18、または20のいずれかで示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドはいずれも、配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドよりも抗凝集性が高いことを、本発明者らは見いだした。製剤の有効期限の観点から、抗凝集性がより高い蛋白質が医薬品の有効成分として好ましい。抗凝集性は、例えば、一定濃度のポリペプチド溶液を一定温度で保存し、その濁度を経時的に測定することにより評価できる。そのような条件において、濁度の増加が少ないポリペプチドほど抗凝集性が高いと判断できる。
【0019】
アミノ酸配列の同一性%は、BLASTアルゴリズムに基づくコンピュータプログラムblastp(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87, 2264-2268, 1990、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90, 5873, 1993)を使用して、配列表の配列番号2で示されるアミノ酸配列と対象とするアミノ酸配列を比較することにより決定され得る。
【0020】
IL−1受容体に対する結合活性とは、IL−1受容体に特異的に結合する性質を指し、例えば、ANALYTICAL BIOCHEMISTRY, 237, 70-75 (1996) に記載の方法を用いることにより、それを定量することができる。即ち、可溶性IL−1受容体の溶液に対象サンプルを加えた混合物を、ELISAプレートに固定したIL−1レセプターアンタゴニストに接触させた後、ELISAプレートを洗浄する。洗浄後のELISAプレート上に残留するIL−1受容体可溶性断片を通常のELISA手法で定量し、対象サンプルを加えなかった場合と比較して、IL−1受容体可溶性断片の残留量が有意に低下していれば、対象サンプルにIL−1受容体に対する結合活性が有ると判断できる。
【0021】
また、本発明は、上述したIL−1受容体に対する結合活性を有するポリペプチドの製造方法であって、以下の(a)〜(e)の工程を含む方法である:
(a)配列表の配列番号2で示されるアミノ酸配列と95%以上の同一性を有し且つアミノ末端がメチオニンであるアミノ酸配列をコードするDNA、大腸菌で機能するプロモーター、およびSD配列を作動可能な状態で連結してなるDNAを作製する工程、
(b)当該DNAを大腸菌で機能するベクターに連結する工程、
(c)当該組換えベクターで大腸菌を形質転換する工程、
(d)当該形質転換大腸菌を20℃以上30℃以下の温度で培養する工程、
(e)当該形質転換大腸菌細胞内に蓄積したIL−1受容体に対する結合活性を有する蛋白質を採取する工程。
【0022】
ここで、配列表の配列番号2で示されるアミノ酸配列と95%以上の同一性を有し且つアミノ末端がメチオニンであるアミノ酸配列は、配列番号2に示すアミノ酸配列中の0から3個のアミノ酸を他のアミノ酸に置換して得られ且つアミノ末端がメチオニンであるアミノ酸配列であることが好ましく、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、または20のいずれかで示されるアミノ酸配列であることがより好ましい。
【0023】
配列表の配列番号2で示されるアミノ酸配列と95%以上の同一性を有し且つアミノ末端がメチオニンであるアミノ酸配列をコードするDNAは、当業者にとって周知の技術で作製することができる。例えば、当該アミノ酸配列情報を基に、各アミノ酸に対応するコドンを逐次連結してなる塩基配列を設計し、DNA合成装置を用いて当該塩基配列を有するDNAを作製することができる。当該DNAを複数の部分に分けて合成した後、PCR等の手法を用いて連結することにより作製することも可能である。
【0024】
本発明において、「大腸菌で機能するプロモーター」とは、適当な条件下において大腸菌内で転写活性を示すDNA配列を指し、例えば、lacUV5プロモーター、trpプロモーター、trcプロモーター、tacプロモーター、lppプロモーター、tufBプロモーター、recAプロモーター、pLプロモーター等が挙げられる。
【0025】
本発明において、「SD配列」とは、原核微生物においてリボゾーム結合部位として機能するプリン塩基に富んだ約3から9塩基のDNA配列を指し、AGGAの塩基配列から構成されるものが例示できるが、大腸菌において機能するものであれば、いかなる配列も本発明の方法において使用できる。
【0026】
配列表の配列番号2で示されるアミノ酸配列と95%以上の同一性を有し且つアミノ末端がメチオニンであるアミノ酸配列をコードするDNA、大腸菌で機能するプロモーター、およびSD配列を作動可能な状態で連結してなるDNA」とは、当該プロモーターおよびSD配列が大腸菌内で機能することにより、配列表の配列番号2で示されるアミノ酸配列と95%以上の同一性を有し且つアミノ末端がメチオニンであるアミノ酸配列からなるポリペプチドが生産されるよう、必要に応じて適当なDNAを介して各構成要素を連結することを意味する。必要に応じて、2シストロン発現系(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 83,8506,(1986))を構成するように、各要素を連結することも可能である。
【0027】
本発明において使用するベクターは、所望のDNAを大腸菌内に導入し、それを導入された宿主大腸菌内で維持する機能を有するものであれば、特に限定されない。このようなベクターとしては、例えば、プラスミドベクター、ファージベクター、コスミドベクターなどが挙げられるが、プラスミドベクターが好ましい。これらのベクターを用いて大腸菌を形質転換する手法は、当業者にとって周知の技術である。
【0028】
本発明の方法において、形質転換された大腸菌の培養に用いる培地は、当該菌株が増殖する限り特に制限されず、通常の、炭素源、窒素源、無機塩類、有機栄養素などを含む液体栄養培地を用い得る。
【0029】
本発明の方法において、形質転換された大腸菌の培養温度は、本発明を構成する非常に重要な要素の1つである。本発明者らは、本発明の方法において、形質転換された大腸菌の培養を25℃〜34℃の温度域で実施することにより、目的物である本発明のポリペプチドを効率良く生産し得ることを見いだした。即ち、25℃未満の培養温度では、形質転換された大腸菌の生育が非常に遅く培養に長時間を要すると共に、単位培養液量あたりのIL−1受容体に対する結合活性の生成量が少なく、一方、34℃超の培養温度では、単位培養液量あたりのIL−1受容体に対する結合活性の生成量が少ないと共に、培養時間が至適域を超えると急激に当該活性量が低下し、培養管理が困難となる。このような現象は、目的物であるポリペプチドの性質に依存するものであり、本発明者らが鋭意検討した結果、見いだされた知見である。従って、本発明の方法において、形質転換された大腸菌の培養は25℃〜34℃で実施されるが、28℃〜31℃が好ましい。
【0030】
本発明の方法において、上記条件で培養された形質転換大腸菌の細胞内に蓄積したIL−1受容体に対する結合活性を有するポリペプチドの採取は、当業者にとって周知の技術を用いて実施できる。例えば、当該形質転換大腸菌の培養液から、遠心分離機を用いて菌体を回収し、これを超音波破砕機で破砕した後遠心分離機で菌体残渣を除去することにより、無細胞抽出液を得る。さらに、この無細胞抽出液を、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、限外濾過等に供することにより、IL−1受容体に対する結合活性を有するポリペプチドを単離できる。
【0031】
また、本発明は、本発明のポリペプチドを有効成分として含む、ヒト以外の動物用医薬組成物、とりわけイヌ用医薬組成物である。本発明者らは、本発明のポリペプチドが、コンカナバリンAにより惹起されるイヌ末梢血単核球(PBMC)の増殖を、用量依存的に抑制する作用があることを見出し、本発明に至った。即ち、本発明のポリペプチドがイヌIL−1受容体に結合し、IL−1の作用を阻害することを見出した。
【0032】
本発明の医薬組成物は、本発明のポリペプチドを有効成分として含有するが、必要に応じ、薬学的に許容される種々の添加物を含み得る。また、本発明の医薬組成物の投与形態は、投与によりIL−1を阻害する効果が得られれば特に限定されない。
【実施例】
【0033】
以下、実施例で本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。なお、以下の実施例において%の表示は、特に但書きがない限りw/v%を意味する。以下の実施例においてポリペプチドの定量は、ウシ血清アルブミンを標準として、BCA Protein Assay Kit(タカラバイオ株式会社)を用いて実施した。また、以下の実施例において用いた組み換えDNA技術に関する詳細な操作方法などは、次の成書に記載されている[
Molecular Cloning 2nd Edition (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)、
Current Protocols in Molecular Biology (Greene Publishing Associates and Wiley-Interscience)]。
【0034】
(実施例1)プラスミドの構築
配列表の配列番号2に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドを大腸菌で生産するためのプラスミドを、以下の手順で作製した。
【0035】
まず、ベクターpUCNT(WO94/03613公報)のNdeI部位の直前に配列表の配列番号21に示したDNA配列を挿入し、2シストロン型発現ベクターpUCNT2を構築した(図1)。次に、米国特許第6063600号の情報を基に、成熟型イヌIL−1raのN末端にメチオニンを付加したアミノ酸配列をコードする配列表の配列番号1に示すDNAを合成した。この際、N末端のメチオニンをコードする開始コドン部分に制限酵素NdeI部位を、またC末端のグルタミン酸をコードするコドンの直後に終止コドン及びBglII切断部位を付加した。これをNdeI及びBamHIで消化したベクターpUCNT2に挿入し、プラスミドpK9RAを構築した。プラスミドpK9RAの制限酵素地図を図2に示す。
【0036】
(実施例2)変異プラスミドの構築
配列表の配列番号4、6、8、10、12、14、16、18、または20に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドを大腸菌で生産するためのプラスミドを、以下の手順で作製した。
【0037】
Gene Tailor変異導入システム(Invitrogen社)を用いて、その取り扱い説明書に従い、実施例1で作製した配列番号1に示した塩基配列からなるDNAの271番目のAをGに、272番目のAをCに置換し、配列番号3に示した塩基配列からなるDNAを作製した。作製したDNAをプラスミドpK9RAの構築時と同様にベクターpUCNT2に挿入し、プラスミドpK9RAm3を構築した。
【0038】
これと同様に、配列番号1に示した塩基配列からなるDNAの277番目のAをGに、278番目のAをCに置換し、配列番号5に示した塩基配列からなるDNAが挿入されたプラスミドpK9RAm5を構築した。
【0039】
同様に、配列番号1に示した塩基配列からなるDNAの289番目のAをGに、290番目のAをCに置換し、配列番号7に示した塩基配列からなるDNAが挿入されたプラスミドpK9RAm7を構築した。
【0040】
同様に、配列番号3に示した塩基配列からなるDNAの289番目のAをGに、290番目のAをCに置換し、配列番号9に示した塩基配列からなるDNAが挿入されたプラスミドpK9RAm9を構築した。
【0041】
同様に、配列番号3に示した塩基配列からなるDNAの277番目のAをGに、278番目のAをCに置換し、配列番号11に示した塩基配列からなるDNAが挿入されたプラスミドpK9RAm11を構築した。
【0042】
同様に、配列番号5に示した塩基配列からなるDNAの289番目のAをGに、290番目のAをCに置換し、配列番号13に示した塩基配列からなるDNAが挿入されたプラスミドpK9RAm13を構築した。
【0043】
同様に、配列番号5に示した塩基配列からなるDNAの292番目のCをGに置換し、配列番号15に示した塩基配列からなるDNAが挿入されたプラスミドpK9RAm15を構築した。
【0044】
同様に、配列番号11に示した塩基配列からなるDNAの289番目のAをGに、290番目のAをCに置換し、配列番号17に示した塩基配列からなるDNAが挿入されたプラスミドpK9RAm17を構築した。
【0045】
同様に、配列番号11に示した塩基配列からなるDNAの292番目のCをGに置換し、配列番号19に示した塩基配列からなるDNAが挿入されたプラスミドpK9RAm19を構築した。
【0046】
(実施例3)形質転換体の作製
実施例1および2で作製したプラスミドpK9RA、pK9RAm3、pK9RAm5、pK9RAm7、pK9RAm9、pK9RAm11、pK9RAm13、pK9RAm15、pK9RAm17、およびpK9RAm19の各々を用いて、E.coli HB101 Competent Cells(タカラバイオ株式会社)を形質転換し、形質転換体E.coli HB101(pK9RA)、E.coli HB101(pK9RAm3)、E.coli HB101(pK9RAm5)、E.coli HB101(pK9RAm7)、E.coli HB101(pK9RAm9)、E.coli HB101(pK9RAm11)、E.coli HB101(pK9RAm13)、E.coli HB101(pK9RAm15)、E.coli HB101(pK9RAm17)、およびE.coli HB101(pK9RAm19)を作製した。形質転換方法は、タカラバイオ株式会社の取り扱い説明書に従った。
【0047】
(実施例4)ポリペプチドの単離
配列表の配列番号2に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドを以下に示す方法で単離した。
【0048】
実施例3で作製した形質転換体E.coli HB101(pK9RA)を、トリプトン2.4%、イーストエキス2.4%、リン酸水素二カリウム1.2%、リン酸二水素カリウム0.2%からなる液体培地(pH7.0)200mlを分注した振盪フラスコ5本に接種し、30℃で24時間振盪培養した。培養液から遠心分離により菌体を集め、1mMのEDTAを含む20mMリン酸緩衝液(pH6.5)250mlに懸濁した。これを、UH−600型超音波ホモゲナイザー(SMT社製)を用いて破砕した後、10000×Gで5分間の遠心分離に供し、不溶性画分を除去した。
【0049】
可溶性画分を、1mMのEDTAを含む20mMリン酸緩衝液(pH7.5)にて予め平衡化したSP Sepharose Fast Flow(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)カラム(190mL)に供し、活性画分を吸着させた。同一緩衝液でカラムを洗浄した後、塩化ナトリウムのリニアグラジエント(0Mから0.7Mまで)により活性画分を溶出させた。
【0050】
SP Sepharose Fast Flowカラムクロマトグラフィーにより得られた活性画分に終濃度1.5Mとなるよう硫酸アンモニウムを添加し、1.5Mの硫酸アンモニウムおよび1mMのEDTAを含む50mMリン酸緩衝液(pH6.5)にて予め平衡化したButyl−S Sepharose Fast Flow(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)カラム(180ml)に供し、活性画分を吸着させた。同一緩衝液でカラムを洗浄した後、硫酸アンモニウムのリニアグラジエント(1.5Mから0Mまで)により活性画分を溶出させた。活性画分を集め、1mMのEDTAを含む10mMリン酸緩衝液(pH6.5)に対して透析を行った後、分画分子量5kDaの再生セルロース膜(ミリポア社)を用いて濃縮し、SDS−PAGEにおいて単一バンドを示すポリペプチドの精製品を得た。得られた精製品をSDS−PAGEで解析した結果を図3に示す。
【0051】
(実施例5)変異ポリペプチドの単離
配列表の配列番号4、6、8、10、12、14、16、18、および20に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドを、以下に示す方法で単離した。
【0052】
実施例3で作製した形質転換体E.coli HB101(pK9RAm3)、E.coli HB101(pK9RAm5)、E.coli HB101(pK9RAm7)、E.coli HB101(pK9RAm9)、E.coli HB101(pK9RAm11)、E.coli HB101(pK9RAm13)、E.coli HB101(pK9RAm15)、E.coli HB101(pK9RAm17)、およびE.coli HB101(pK9RAm19)の各々を、トリプトン2.4%、イーストエキス2.4%、リン酸水素二カリウム1.2%、リン酸二水素カリウム0.2%からなる液体培地(pH7.0)200mlを分注した振盪フラスコ5本に接種し、30℃で24時間振盪培養した。培養液から遠心分離により菌体を集め、1mMのEDTAを含む20mMリン酸緩衝液(pH6.5)250mlに懸濁した。これを、UH−600型超音波ホモゲナイザー(SMT社製)を用いて破砕した後、10000×Gで5分間の遠心分離に供し、不溶性画分を除去した。
【0053】
可溶性画分のpHを酢酸を用いて5.5に調整した後、1mMのEDTAを含む20mM酢酸緩衝液(pH5.5)にて予め平衡化したSP Sepharose Fast Flow(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)カラム(190mL)に供し、活性画分を吸着させた。同一緩衝液でカラムを洗浄した後、塩化ナトリウムのリニアグラジエント(0Mから1Mまで)により活性画分を溶出させた。
【0054】
SP Sepharose Fast Flowカラムクロマトグラフィーにより得られた活性画分に終濃度1.5Mとなるよう硫酸アンモニウムを添加し、アンモニア水でpH6.5に調整した後、1.5Mの硫酸アンモニウムおよび1mMのEDTAを含む50mMリン酸緩衝液(pH6.5)にて予め平衡化したButyl−S Sepharose Fast Flow(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)カラム(180ml)に供し、活性画分を吸着させた。同一緩衝液でカラムを洗浄した後、硫酸アンモニウムのリニアグラジエント(1.5Mから0Mまで)により活性画分を溶出させた。活性画分を集め、1mMのEDTAを含む10mMリン酸緩衝液(pH6.5)に対して透析を行った後、分画分子量5kDaの再生セルロース膜(ミリポア社)を用いて濃縮し、SDS−PAGEにおいて単一バンドを示す各ポリペプチドの精製品を得た。得られた精製品をSDS−PAGEで解析した結果を図3および図4に示す。
【0055】
(実施例6)IL−1受容体に対する結合活性の評価
実施例4および5で調製した各精製ポリペプチドのIL−1受容体に対する結合活性を評価した。本発明は動物(特にはイヌ)用医薬組成物として有用なIL−1受容体結合性ペプチドの取得/提供を目指すものであるが、この段階では試材の入手容易性等の観点から、Anal Biochem., 15, 237 (1996) を参考に、ヒトI型IL−1受容体(以下、IL−1R1と略記する)を用いて以下のように評価した。なお、動物(イヌ)用薬としての有効性については、後述の実施例9に示すように、他の評価系にて改めて評価を行った。
【0056】
ヒトIL−1ra(Amgen社)をPBS(リン酸二水素ナトリウム・1水和物0.0157%、リン酸水素二ナトリウム・12水和物0.198%、塩化ナトリウム0.81%)を用いて100μMの濃度に希釈し、これを96穴イムノプレート(Nunc社)のウェル中に50μl分注後、室温で一晩静置して、これを固定化する。ウェル中の溶液を除去し、イムノブロック(大日本住友製薬株式会社)を250μl分注後、室温で2時間静置し、ブロッキングを行う。ウェル中のブロッキング溶液を除去し、PBSにて3回洗浄する。PBSA(リン酸二水素ナトリウム・1水和物0.0157%、リン酸水素二ナトリウム・12水和物0.198%、塩化ナトリウム0.81%、ウシ血清アルブミン3.0%)で段階希釈した被験サンプル12μlと、PBSAで208pMに希釈したヒトIL−1R1溶液48μlとの混合液のうち50μlをウェルに添加し、室温で2時間静置する。ウェル中の溶液を除去し、PBSにて3回洗浄する。PBSAで0.2μg/mlに希釈したラット抗ヒトIL−1R1モノクローナル抗体(Acris Antibodies社)を50μlウェルに分注し、室温で1時間静置する。ウェル中の溶液を除去し、PBSにて3回洗浄する。PBSAで10μg/mlに希釈したHRP標識ウサギ抗ラットIgGポリクローナル抗体(Abcam社)を25μlウェルに分注後、室温で1時間静置する。ウェル中の溶液を除去後、PBSで4回洗浄し、ウェル中の溶液を完全に除去する。発色基質であるテトラメチルベンジジン溶液(Kirkegaard&Perry Laboratories社)を100μl分注して軽く混合し、室温で20分間静置する。TMB Stop Solution(Kirkegaard&Perry Laboratories社)を100μl加えて発色反応を停止し、室温で5分間静置した後、マイクロプレートリーダーを用いて450nmの吸光度を測定した。
【0057】
結果を図5に示した。実施例5で調製した変異ポリペプチドはいずれも、実施例4で調製したポリペプチドとほぼ同等の、IL−1受容体に対する結合活性を有していた。
【0058】
(実施例7)凝集性の評価
実施例5および6で調製した各ポリペプチドの凝集性を、以下のように評価した。
【0059】
まず、1mMのEDTAを含む10mMリン酸緩衝液(pH6.5)を用いて、各ポリペプチドを5mg/mlの濃度に調製した。これを96穴マイクロプレート(岩城硝子株式会社)のウェルに150μlずつ分注し、37℃で8日間静置した。途中、各ポリペプチド溶液の波長410nmにおける吸光度を、マイクロプレートリーダー(Benchmark Plus;Bio−rad社)を用いて測定した。結果を図6に示した。
【0060】
配列番号4、6、8、10、12、14、16、18、および20のアミノ酸配列からなるポリペプチドはいずれも、配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチドと比較して吸光度の増加が小さく、配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチドより抗凝集性が向上していた。
【0061】
(実施例8)形質転換体の培養温度
実施例3で作製した形質転換体E.coli HB101(pK9RA)を、500ml容の振盪培養フラスコ中に調製したトリプトン2.4%、イーストエキス2.4%、リン酸水素二カリウム1.2%、リン酸二水素カリウム0.2%からなる液体培地(pH7.0)50mlに接種し、22℃、25℃、28℃、31℃、34℃、37℃の各温度で36時間振盪培養した。培養開始から12時間、24時間、36時間後の培養液を1ml採取し、遠心分離により菌体を集め、1mlの20mMリン酸緩衝液(pH6.5)に懸濁した。これを、UH−50型超音波ホモゲナイザー(SMT社製)を用いて破砕した後、10000×Gで5分間の遠心分離により不溶性画分を除去し、無細胞抽出液を得た。無細胞抽出液のIL−1受容体に対する結合活性を測定し、無細胞抽出液1ml中の活性量(kU)を算出した結果を表1に示した。
【0062】
IL−1受容体に対する結合活性は以下の方法で算出した。まず、各被験サンプルについて、実施例6と同様にして450nmにおける吸光度を測定した。この時、被験サンプルおよびヒトIL−1Rを添加せずに得られる吸光度値をブランクとし、被験サンプルを添加しない場合に得られる吸光度値を50%減少させるサンプル中の活性量を1Uと定義した。
【0063】
【表1】

(実施例9)イヌIL−1阻害作用の確認
実施例4で調製した精製ポリペプチドのイヌIL−1阻害作用を、イヌの末梢血単核球(PBMC)を用いて、以下のように確認した。
【0064】
まず、NycoPrep 1.077Animal(第一化学薬品製)を用いて、その取扱い説明書に従い、58月齢のビーグル犬(雄)より採取した3mLの末梢血からPBMC画分を分取した。分取したPBMCを、10%のウシ胎児血清(Gibco製)、250U/mLのペニシリン(和光純薬工業製)、および250μg/mLのストレプトマイシン(和光純薬工業製)を添加したRPMI1640培地(Gibco製)に再懸濁し、50000細胞/100μL/ウェルとなるよう96ウェルプレートに分注した。同培地で段階希釈したイヌIL−1ra溶液を各ウェルに50μLずつ添加し、5%CO2雰囲気下、37℃で3時間培養することにより前処理を行った。さらに、同培地で1.0μg/mLの濃度に調製したコンカナバリンA溶液50μLを各ウェルに添加し、同条件下で72時間培養した。
【0065】
培養終了後、各ウェル中の増殖細胞数を、細胞増殖ELISA,BrdU発色キット(ロシュ・ダイアグノスティックス製)を用いて次のように評価した。すなわち、各ウェルにBrdU標識溶液を20μl添加し、培養時と同条件下で2時間静置した後、培地を除いた。続いて、各ウェルにFixDenatを加えて室温で30分間静置後、FixDenatを除き、Anti−BrdU−POD反応液を加えて室温で約90分間静置した。上記反応液を除去してウェルを3回洗浄した後、基質反応液を添加した。450nmにおける各ウェルの吸光度を測定(対照波長は690nm)した結果を図7に示した。本評価系では、高い吸光度を示すウェルほど増殖細胞数が多かったことを意味する。
【0066】
培地にコンカナバリンAを添加すると、添加しない場合と比較して、吸光度は高い値を示した。これは、コンカナバリンAによりPBMCの増殖が惹起された結果と考えられる。しかし、コンカナバリンAの添加前に実施例5で調製した精製ポリペプチドを添加し、前処理したPBMCでは、処理していないものと比較して、吸光度は低い値を示した。また、添加した同ポリペプチドの量が多いほど、吸光度の値は低かった。これらの結果から、同ポリペプチドは、コンカナバリンAにより惹起されるPBMCの増殖を、用量依存的に抑制する作用があると考えられる。即ち、本発明のポリペプチドには、イヌIL−1を阻害する作用があると考えられた。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】ベクターpUCNT2の構築方法を示す図である。
【図2】プラスミドpK9RAの構造を示す図である。
【図3】実施例4および5で調製した精製ポリペプチドをSDS−PAGEで解析した結果を示す図である。
【図4】実施例5で調製した精製ポリペプチドをSDS−PAGEで解析した結果を示す図である。
【図5】実施例4および5で調製した精製ポリペプチドのIL−1受容体に対する結合活性を評価した結果を示す図である。
【図6】実施例4および5で調製した精製ポリペプチドの凝集性を評価した結果を示す図である。
【図7】本発明のポリペプチドで前処理したイヌの末梢血単核球を、さらにコンカナバリンAで刺激した際の増殖結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列表の配列番号2で示されるアミノ酸配列と95%以上の同一性を有し且つアミノ末端がメチオニンであるアミノ酸配列からなり、IL−1受容体に対する結合活性を有するポリペプチド。
【請求項2】
配列表の配列番号2に示すアミノ酸配列中の0から3個のアミノ酸を他のアミノ酸に置換して得られるアミノ酸配列からなる、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
配列表の配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、または20のいずれかのアミノ酸配列からなる、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のポリペプチドの製造方法であって、以下の(a)〜(e)の工程を含む方法:
(a)配列表の配列番号2で示されるアミノ酸配列と95%以上の同一性を有し且つアミノ末端がメチオニンであるアミノ酸配列をコードするDNA、大腸菌で機能するプロモーター、およびSD配列を作動可能な状態で連結してなるDNAを作製する工程、
(b)当該DNAを大腸菌で機能するベクターに連結する工程、
(c)当該組換えベクターで大腸菌を形質転換する工程、
(d)当該形質転換大腸菌を25℃以上34℃以下の温度で培養する工程、
(e)当該形質転換大腸菌細胞内に蓄積したIL−1受容体に対する結合活性を有する蛋白質を採取する工程。
【請求項5】
大腸菌で機能するプロモーターが、lacプロモーター、trpプロモーター、tacプロモーター、trcプロモーター、lambdaプロモーター、T7プロモーターの群より選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
請求項1から3に記載のポリペプチドを有効成分として含む、ヒト以外の動物用医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−107968(P2009−107968A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−282056(P2007−282056)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】