説明

IL−21の使用方法

IL-21受容体における対立遺伝子変動は、個体においてIFN-γ産生の減少をもたらし、対立遺伝子変種を有さない個体で見られる治療効果を達成するためには異なる用量のIL-21の投与を必要とする可能性がある。患者のIL-21受容体対立遺伝子の遺伝子型に基づいて、IL-21による処置に対する治療反応を予測する方法を開示する。変種IL-21受容体対立遺伝子を有する患者におけるIL-21の使用のための治療計画を選択する方法もまた、開示する。


【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
IL-21は、T細胞由来のサイトカインであり、細胞傷害性T細胞およびNK細胞の強力な調節因子であることが示されている(Parrish-Novak, et al. Nature 408:57-63, 2000(非特許文献1); Parrish-Novak, et al., J. Leuk. Bio. 72:856-863, 2002(非特許文献2); Collins et al., Immunol. Res. 28:131-140, 2003(非特許文献3); Brady, et al. J. Immunol. 172(4):2048-58, 2004(非特許文献4))。IL-21は、NK細胞の増大を同時刺激することが示されており、これらの細胞のエフェクター機能を亢進することが実証されている。T細胞応答は、メモリーT細胞機能が調節する第一の抗原反応の亢進を含む(Kasaian et al., Immunity 16:559-569, 2002(非特許文献5))。IL-15と組み合わせたIL-21は、NK細胞およびT細胞でのインターフェロンγ(IFNγ)、T-bet、IL-2Rα、IL-12Rβ、IL-18R、およびMyD88遺伝子の発現を誘導することが示されている(Strengell et al., J. Immunol. 169:3600-3605, 2002(非特許文献6))。IFNγは、自然免疫応答および適応免疫応答の重要な制御因子として同定されており、これはNK細胞、T細胞、およびマクロファージを活性化することによってTh1免疫応答を促進する(Farrar et al., Annu. Rev. Immunol. 11:571-611, 1993(非特許文献7))。
【0002】
アレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、およびアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患の病原において、IgEが重要な役割を果たしており、これはマスト細胞および好塩基球上での高親和性IgER、FcRεIに結合するIgEの能力に起因し、これによって直ちに過敏症反応が引き起こされ、最終的にヒスタミン、ロイコトリエン、サイトカイン、およびケモカインを含む薬理学的媒介物質の放出がもたらされる。さらに、CD23との相互作用の後、IgEはB細胞によるアレルゲンの捕獲および取り込みを促進し、それはIgEの血清中濃度の増加によって特徴付けられかつそれに付随するアレルギー性状態の永続化および悪化をもたらす(Geha, et al Nat. Rev. Immunol. 3:721, 2003(非特許文献8))。IgE血清レベルはまた、寄生虫症においても上昇し、ここでは宿主免疫防御メカニズムにおいてIgEが役割を担っており、これはウィスコット・アルドリッチ症候群(Derry, et al. Cell 78:635, 1994(非特許文献9))、高IgE症候群(Buckley, R. H. Clin. Rev. Allergy Immunol. 20:139, 2001(非特許文献10))、および免疫機能不全多腺性内分泌障害腸疾患X-結合(IPEX)症候群(Bennett, et al. Immunogenetics 53:435, 2001(非特許文献11))を含む免疫システムのいくつかの稀少な遺伝的疾患においても同様である。しかしながら非病理学的状態では、血清IgEレベルは他のアイソタイプのレベルよりもずっと低く、これはアレルギー性免疫反応を避けるためにIgEの合成が厳重に制御されていることを示す。
【0003】
IgE産生の基礎をなす分子メカニズムは、他のアイソタイプと同様であり、サイトカインおよびTNFRスーパーファミリーメンバーCD40からの特定のシグナルによって制御される(Banchereau, et al. Annu. Rev. Immunol. 12:881, 1994(非特許文献12))。IgEに切り替わるアイソタイプは、DNAの切り出しおよびライゲーションの二段階プロセス、ならびにその後の欠失クラススイッチ組換え(CSR)事象を含む(Manis, et al. Trends Immunol.23:31, 2002(非特許文献13))。CRSは、δを除き、Ig重鎖の各定常(C)領域遺伝子の上流に位置するスイッチ(S)領域間でDNAの欠失をもたらす。IgEを産生するためのCSRの必要条件は、Sε領域の隣接した上流に位置するIεエキソンのプロモーターの活性化であり、これは整列していない生殖系列のε遺伝子の転写をもたらす。生殖系列εの転写の規模が、量的にCSR効率と相関していることから(Manis、同書(非特許文献13))、その調節は、IgEを産生するB細胞の能力に直接影響を与える(Gauchat, et al. Int. Immunol. 4:397, 1992(非特許文献14))。Th2サイトカインであるIL-4およびIL-13は、ヒトB細胞におけるCε生殖系列転写の強力な誘導因子であり(Gauchat, et al. J. Exp. Med. 172:463, 1990(非特許文献15); Punnonen, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:3730, 1993(非特許文献16))、STAT6の活性化を介して機能する(Nelms, et al., Annu. Rev. Immunol. 17:701, 1999(非特許文献17))。
【0004】
近年、IL-21Rにおけるある1塩基多型(T-83C)と上昇したIgE血清レベルの存在との間の関連が報告され(Hecker, et al., Genes Immun. 3:228, 2003(非特許文献18))、これはヒトにおけるこのアイソタイプの産生に、IL-21が機能を有することを示唆する。IL-21の治療的効果は、癌および他の疾患に対する処置として評価されている。したがって、IL-21受容体における多型がIL-21の投与に関連する生物活性にどのように影響を及ぼすかを理解することは有用である。本発明は、IL-21受容体遺伝子型に基づいてIL-21に対する患者の反応を予測しかつ評価する方法を提供する。この使用は、他の使用と同様に、本明細書における教示から、当業者には明らかであろう。
【0005】
【非特許文献1】Parrish-Novak, et al. Nature 408:57-63, 2000
【非特許文献2】Parrish-Novak, et al., J. Leuk. Bio. 72:856-863, 2002
【非特許文献3】Collins et al., Immunol. Res. 28:131-140, 2003
【非特許文献4】Brady, et al. J. Immunol. 172(4):2048-58, 2004
【非特許文献5】Kasaian et al., Immunity 16:559-569, 2002
【非特許文献6】Strengell et al., J. Immunol. 169:3600-3605, 2002
【非特許文献7】Farrar et al., Annu. Rev. Immunol. 11:571-611, 1993
【非特許文献8】Geha, et al Nat. Rev. Immunol. 3:721, 2003
【非特許文献9】Derry, et al. Cell 78:635, 1994
【非特許文献10】Buckley, R. H. Clin. Rev. Allergy Immunol. 20:139, 2001
【非特許文献11】Bennett, et al. Immunogenetics 53:435, 2001
【非特許文献12】Banchereau, et al. Annu. Rev. Immunol. 12:881, 1994
【非特許文献13】Manis, et al. Trends Immunol.23:31, 2002
【非特許文献14】Gauchat, et al. Int. Immunol. 4:397, 1992
【非特許文献15】Gauchat, et al. J. Exp. Med. 172:463, 1990
【非特許文献16】Punnonen, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:3730, 1993
【非特許文献17】Nelms, et al., Annu. Rev. Immunol. 17:701, 1999
【非特許文献18】Hecker, et al., Genes Immun. 3:228, 2003
【発明の開示】
【0006】
発明の概要
一つの局面において、本発明は、IL-21療法を必要とする個体においてIL-21に対する治療反応を予測する方法を提供し、本方法は、患者から生体試料を得る段階および個体のIL-21受容体遺伝子の遺伝子型を検出する段階を含む。一つの態様において、個体のIL-21受容体遺伝子の遺伝子型は、1つの対立遺伝子変種を含む。別の態様において、個体のIL-21受容体遺伝子の遺伝子型は、2つの対立遺伝子変種を含む。別の態様において、個体のIL-21受容体遺伝子の遺伝子型は、IL-21ハプロタイプを含む。さらなる態様において、対立遺伝子変種はT-83C変種である。
【0007】
別の局面において、本発明は、IL-21の使用のための治療計画を選択する方法を提供し、本方法は、個体から生体試料を得る段階、個体のIL-21受容体遺伝子の遺伝子型を検出する段階、および野生型IL-21受容体遺伝子に関してホモ接合性の個体に与えられる用量とは異なる、IL-21組成物の治療的に有効な用量を決定する段階を含む。一つの態様において、治療的に有効な用量は、最適な免疫学的用量である。別の態様において、個体のIL-21受容体遺伝子の遺伝子型は、2つの対立遺伝子変種を含む。別の態様において、個体のIL-21受容体遺伝子の遺伝子型は、1つの対立遺伝子変種を含む。さらなる態様において、対立遺伝子変種はT-83C変種である。さらなる態様は、個体に治療的に有効な用量を投与する段階を含む。さらなる態様は、個体のIL-21受容体遺伝子の遺伝子型がIL-21ハプロタイプを含む場合を包含する。
【0008】
発明の説明
本発明を詳細に説明する前に、下記の用語を定義することはその理解に有用であろう。
【0009】
「対立遺伝子変種」という用語は、本明細書において、同じ染色体座を占める遺伝子の任意の2つまたはそれ以上の別の形態を指すために用いられる。対立遺伝子の変動は、変異を介して自然に生じ、集団内で表現型多型をもたらす可能性がある。遺伝子変異は、サイレントとなり得る(コードされるポリペプチドは変化しない)か、または変化したアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする可能性がある。対立遺伝子変種という用語はまた、本明細書において、遺伝子の対立遺伝子変種によってコードされるタンパク質を指すために用いられる。
【0010】
「アミノ末端」および「カルボキシ末端」という用語は、本明細書においてポリペプチド内の位置を示すために用いられる。文脈によって、これらの用語は、ポリペプチドの特定の配列もしくは部分を参照して近接した位置または相対的位置を指すために用いられる。例えば、ポリペプチド内の参照配列に対してカルボキシル末端に位置する特定の配列は、参照配列のカルボキシル末端の近位に位置するが、必ずしも完全なポリペプチドのカルボキシル末端に存在するわけではない。
【0011】
「癌」または「癌細胞」という用語は、本明細書において、正常な組織もしくは組織細胞と区別する特徴を有する新生物において見出される組織または細胞を指すために用いられる。そのような特徴には以下が含まれるが、これらに限定されない:退生の程度、不規則な形状、不明確な細胞輪郭、核のサイズ、核または細胞質の構造の変化、他の表現型の変化、癌性または前癌性状態の指標となる細胞タンパク質の存在、有糸分裂の回数の増加、および転移能。「癌」に関連する単語には、癌腫、肉腫、腫瘍、上皮腫、白血病、リンパ腫、ポリープ、および硬性癌、形質転換、新生物などが含まれる。
【0012】
「同時投与」という用語は、本明細書において、IL-21ポリペプチドまたはタンパク質および少なくとも1つの他の治療薬を、同時にまたは処置サイクルの異なる時点で与えてもよいことを示すために用いられる。同時投与は、IL-21および他の治療薬の両方の単回同時投与または同時投与の複数サイクルであってよく、IL-21および他の治療薬は両方とも、3ヶ月の期間内に少なくとも1回与えられる。同時投与は、IL-21または他の治療薬のいずれかを患者に投与する場合のみである必要はなく、いずれかの薬剤を単独でもしくはIL-21以外の治療薬と組み合わせて投与してもよい。
【0013】
「併用療法」という用語は、本明細書において、少なくとも1つの治療的に有効な用量のIL-21組成物(「IL-21」)および少なくとも1つの追加の治療薬を、対象に投与することを示すために用いられる。IL-21組成物は、成熟ポリペプチド、その断片、IL-21の生物活性を示す融合物または複合体であってよい。
【0014】
「遺伝子型」という用語は、細胞全体または特定の遺伝子の特定の対立遺伝子構成を指すが、「表現型」という用語は、特定の遺伝子型の外見または他の外部発現を指す。
【0015】
「ハプロタイプ」という用語は、単一の個体由来の単一の染色体上の遺伝子座における1つまたは複数の多型部位で見出されるヌクレオチドの配列を示す。ハプロタイプは、単一の個体由来の単一の染色体上の遺伝子座における全てのまたはサブセットの多型部位で見出されるヌクレオチドの配列であってよく、それは「全長ハプロタイプ」または「部分ハプロタイプ」をもたらす。
【0016】
「ヘテロ接合」という用語は、特定の多型部位で2つの対立遺伝子変種を保有する個体を指す。「ホモ接合」という用語は、同じ対立遺伝子の2つのコピーを保有する個体を指し、野生型対立遺伝子または対立遺伝子変種を含んでもよい。
【0017】
「単離された」という用語は、ポリヌクレオチドに適用する場合、ポリヌクレオチドがその天然の遺伝的環境から取り出され、したがって他の外来性のまたは望ましくないコード配列を含まず、遺伝子操作したタンパク質産生システム内での使用に適した形態であることを示す。そのような単離した分子は、それらの自然環境から分離されたものであり、cDNA、ゲノミッククローン、およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)単位複製配列を含む。本発明の単離したDNA分子は、それらが通常関連する他の遺伝子を含まないが、プロモーターおよびターミネーターなどの天然の5'および3'非翻訳領域を含んでもよい。関連する領域の特定は、当業者には明らかであろう(例えばDynan and Tijan, Nature 316:774-78, 1985を参照されたい)。
【0018】
「単離した」ポリペプチドまたはタンパク質とは、血液および動物組織から離れているような、その自然環境以外の状態で見出されるポリペプチドまたはタンパク質である。好ましい形態において、単離したポリペプチドは、他のポリペプチド、特に動物起源の他のポリペプチドを実質的に含まない。高度に精製した形態、すなわち95%を超える純度、より好ましくは99%を超える純度のポリペプチドを提供することが好ましい。本文脈で用いる場合、「単離された」という用語は、二量体またはその代わりにグリコシル化もしくは誘導体化された形態のような、代替の物理的形態である同じポリペプチドの存在を除外しない。
【0019】
「レベル」という用語について、NK細胞、T細胞、特に細胞傷害性T細胞、B細胞などといった免疫細胞について言及する場合、レベルの上昇とは、細胞数の増加または細胞機能の活性の亢進のいずれかである。
【0020】
ウイルス感染について言及する場合、「レベル」という用語は、ウイルス感染のレベルの変化を指し、CTLまたはNK細胞のレベルの変化(上記に記載の通り)、ウイルス量の減少、抗ウイルス抗体価の増加、アラニンアミノ基転移酵素の血清レベルの減少、または標的組織もしくは臓器の組織学的検査によって判定される改善を含むがこれらに限定されない。これらのレベルの変化が有意な差異または有意な変化であるかどうかの判定は、十分に当業者の範囲内である。
【0021】
細胞について言及する場合、「新生物」という用語は、特に増殖が制御されずかつ進行性であり、結果的に新生物をもたらす組織において、新規で異常な増殖を受ける細胞を指す。新生物細胞は、悪性、すなわち浸潤性および転移性、または良性のいずれかであり得る。
【0022】
「最適免疫応答」という用語は、IL-21の投与後の免疫応答の変化を指し、以下であり得る:(1)活性化されたCD8 T細胞もしくは腫瘍特異的CD8 T細胞の数の増加、(2)グランザイムBもしくはパーフォリンもしくはIFNγを高レベルに発現する活性化されたCD8 T細胞もしくは腫瘍特異的CD8 T細胞の数の増加、(3)NK細胞、単核細胞、もしくは好中球上のFcγ受容体(CD16、CD32、もしくはCD64)の上方制御、(4)血清中の可溶性CD25の増加、(5)例えば癌胎児性抗原(CEA)、IgG、CA-19-9、もしくは卵巣癌抗原(CA125)など、腫瘍細胞から遊離したタンパク質の血清レベルの低下(Taro et al., J. Cell Physiol. 203(1):1-5, 2005を参照されたい)、(6)グランザイムB、パーフォリンもしくはIFNγを高レベルに発現するNK細胞の数の増加、(7)IL-18、IL-15、IFNγなど活性化サイトカインのレベル、およびIP-10、RANTES、IL-8、MIP1a、もしくはMIP1bなど腫瘍へのエフェクター細胞のホーミングを可能にするケモカインのレベルの増加、(8)増加したMHCクラスIもしくはクラスIIの発現、IL-15、IL-18、IFNγ、もしくはIL-21の産生によって活性化を検出することができる末梢もしくは腫瘍部位での活性化されたマクロファージの数の増加、または(9)赤血球数の減少によって示されるようなマクロファージ活性(貧血の重症度)。最適免疫応答を生成するIL-21の用量は「最適免疫学的用量」である。
【0023】
「多型」という用語は、遺伝子またはその一部における少なくとも2つの代替の配列の共存を指す。配列における差異は、単一のヌクレオチドである可能性もあり、置換、挿入、または欠失を包含する可能性もあり、遺伝子発現またはタンパク質機能における検出可能な差異をもたらしてももたらさなくてもよい。
【0024】
「受容体」という用語は、生理活性分子(すなわちリガンド)に結合する細胞結合タンパク質を指し、細胞上でリガンドの作用を媒介する。膜結合型受容体は、細胞外リガンド結合ドメインと、典型的にシグナル伝達に関与する細胞内エフェクタードメインとを含む多ペプチド構造を特徴とする。リガンドの受容体への結合は、結果として受容体のコンホメーション変化をもたらし、これがエフェクタードメインと細胞内の他の分子との間の相互作用を引き起こす。この相互作用は次いで、細胞の代謝の変化をもたらす。受容体-リガンド相互作用に関連する代謝事象には、遺伝子の転写、リン酸化、脱リン酸化、環状AMP産生の増加、細胞内カルシウムの動員、膜脂質の動員、細胞接着、イノシトール脂質の加水分解、およびリン脂質の加水分解、ならびに増殖、分化、またはアポトーシスの誘導が含まれる。概して受容体は、膜結合型、細胞質または核受容体型;単量体(例えば、甲状腺刺激ホルモン受容体、βアドレナリン受容体)または多量体(例えば、PDGF受容体、成長ホルモン受容体、IL-3受容体、GM-CSF受容体、G-CSF受容体、エリスロポエチン受容体およびIL-6受容体)であり得る。
【0025】
「治療的有効量」という用語は、IL-21組成物の量または追加の治療用組成物と組み合わせたIL-21組成物の量として定義され、これは完全寛解、部分寛解、またはIL-21を用いない療法に対する平均反応持続時間を上回って進行の時間が増加する安定した疾患状態をもたらす。
【0026】
「腫瘍関連抗原」という用語は、非腫瘍細胞上で見出される抗原とは異なる発現プロファルを有するペプチドまたはポリペプチドまたはペプチド複合体を指す。例えば、非腫瘍抗原は、腫瘍細胞による場合よりも高頻度または高濃度で、腫瘍細胞によって発現される可能性がある。腫瘍抗原は、非腫瘍抗原とは構造的に異なる可能性があり、例えば抗原は、切断型ポリペプチドとして発現する、抗原をコードするアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列内にいくつかの変異を有する、誤って折り畳まれる、または翻訳後に不適切に修飾される可能性がある。腫瘍抗原は、宿主生物内の正常な非腫瘍細胞上に存在する抗原と類似しており、したがって腫瘍細胞が宿主の免疫監視メカニズムから逃れることを可能にする。
【0027】
「野生型」という用語は、正常に機能し少なくとも1%の頻度で自然母集団内に見出される共通のタイプを代表する対立遺伝子を指す。
【0028】
厳密ではない分析方法(例えばゲル電気泳動)によって決定されたポリマーの分子量および分子長は、近似値であることが理解されるであろう。そのような値が「約」Xまたは「およそ」Xとして表記される場合、記載されるXの値は±10%まで正確であると理解されるであろう。
【0029】
本明細書において引用された全ての参考文献は、その全体が参照により組み入れられる。
【0030】
本発明は、IL-21受容体(IL-21R)における多型がIL-21によるインターフェロンγ(IFN-γ)の誘導の低下と関連するという知見に、一部基づく。
【0031】
A. IL-21の説明
ヒトIL-21は、共同所有された米国特許第6,307,024号および第6,686,178号、WO 04/055168、ならびにParrish-Novak et al. (Nature 408:57-63, 2000)に記載されており、これらは全て参照により本明細書に組み込まれる。IL-21受容体は、共同所有された米国特許第6,576,744号および第6,803,451号(これらは参照により本明細書に組み込まれる)ならびに米国特許第6,057,198号に記載されている。これらの刊行物に記載されるように、ヒトIL-21cDNAの配列は、162アミノ酸のポリペプチド前駆体をコードするオープンリーディングフレームを含む。成熟ポリペプチドは、15 Kdの推定分子量を有し、IL-15およびIL-2と最も高い配列相同性および構造的相同性を有する131アミノ酸の4-ヘリックス-バンドルサイトカインドメインからなる。IL-21は、CD4+活性化T細胞によって産生され、免疫エフェクター細胞を刺激する。IL-21は、B細胞、T細胞、およびNK細胞の活性化ならびに増殖を制御することが示されている。IL-21は、インビボで強力な抗腫瘍活性を有することが示されている(Wang et al., Cancer Res. 63:9016-9022, 2003およびBrady et al., J. Immunol. 172:2048-2058, 2004)。
【0032】
B. IL-21受容体の多型
IL-21Rは、限定されないがIL-2、IL-4、IL-7、IL-15、EPO、TPO、GM-CSF、およびG-CSFに対する受容体を含むクラスIサイトカイン受容体サブファミリーに属す(概説についてCosman,「The Hematopoietin Receptor Superfamily」, Cytokine 5(2): 95-106, 1993を参照されたい)。IL-21受容体は、NK細胞、T細胞、およびB細胞上で同定されており、それはIL-21が造血系列の細胞で作用することを示す。リンパ系細胞で作用する他の公知の4-ヘリックス-バンドルサイトカインには、IL-2、IL-4、IL-7、およびIL-15が含まれる。4-ヘリックス-バンドルサイトカインの概説については、Nicola et al., Advances in Protein Chemistry 52:1-65, 1999およびKelso, A., Immunol. Cell Biol. 76:300-317, 1998を参照されたい。
【0033】
IL21R遺伝子は、IL4RA近傍のヒト染色体16p11上に位置している。本発明者らのIL21R cDNA配列とゲノム配列(AC002303)との比較により、遺伝子が9つのエキソンから構成され、ゲノムDNAの約20キロベース(kb)に及び、かつIL4RA遺伝子から65 kbに位置することが明らかとなった。IL21R遺伝子を含む12 Mbの染色体領域の配列決定により、ゲノムの他の領域に由来する大きな重複セグメントの複数コピーが存在することが明らかとなった(Loftus et al., Genomics 60:295-308, 1999)。これらの複製セグメントまたはデュプリコンは、いくつかの染色体の動原体周囲領域全体に散在し、それらの標的領域をさらに複製または欠失させやすくすることができる(Eichler et al., Genome Res.8:758-762, 1998)。特定されたセグメントの半分以上が少なくとも一回現れることから、16p11領域は、これらの複製セグメントを最も蓄積しやすいものの一つであるようである(Eichler、同書)。これらの反復が、IL21R遺伝子座を乱す染色体異常を媒介するかどうかは不確かである。
【0034】
本発明の方法は、IL-21Rをコードする遺伝子内の少なくとも1つの多型の存在に関連することが見出されたIFN-γ誘導に対するIL-21の調節効果に、個体は差次的な感受性で反応するという知見に基づく。一つの態様において、多型は、エキソン1Bの5'隣接領域におけるヌクレオチド置換の結果である(Heckler et al., Genes Immun.3:228-233, 2003)。T-83C変種の存在は、健常個体において、およびアトピー性個体においてはより大きく、IgE血清レベルの亢進と関連することが見出された(Heckler同書)。本明細書において記載するように、このIL-21R遺伝子変種の1つの対立遺伝子を保有する個体由来のT細胞またはNK細胞は、野生型遺伝子を保有する個体由来の細胞と比較して、IL-21による刺激後、より少ないIFN-γを産生する。したがって、変種の対立遺伝子を有する個体由来のB細胞は、IFN-γによるIgE産生の阻害を同等の程度まで達成するために、より大量のIL-21を必要とする。さらに、IL-21のより低い濃度でのIgE産生レベルは、IL-21R遺伝子変種群において、より顕著であるように見える。したがって、Ig関連B細胞に対するその強力な増殖促進効果に起因して(Parrish-Novak et al. (Nature 408:57-63, 2000)、IL-21はまた、細胞上で発現したその受容体の多型に関連して、B細胞の増殖に差次的に影響を及ぼす。しかしながら、変種IL-21Rを発現しているB細胞上でのIL-21RとIL-21との相互作用は、さらなる検討の対象である。
【0035】
ドナーの両群において、IL-21が亢進するIgE産生は、最も低い濃度で用いられ、対照的にT細胞またはNK細胞によるIFN-γ産生を刺激するためには比較的高い濃度のIL-21が必要であるようである。理論で縛ることは意図しないが、この知見に対する1つの説明としては、IL-21Rのレベルが、それが発現する細胞系列間で異なるということである。この見解に対する根拠は、IL-21Rの発現レベルが、活性化されたT細胞およびNK細胞と比較して、活性化されたB細胞上で一貫して高いことを示したマウスにおける最近の研究にある(Jin, et al. J Immunol 173:657-665. 2004)。同様に、IL-21RのT-83C変種を保有する個体でのIL-21によるIFN-γの産生の減少はまた、野生型IL-21R遺伝子に関してホモ接合性である個体と比較して、T細胞またはNK細胞によるこの受容体の発現レベルがより低いことに起因する。IL-21RのT-83C変種を保有する個体でのIFN-γのIL-21誘導性産生の減少は、野生型IL-21R遺伝子に関してホモ接合性である個体と比較して、T細胞またはNK細胞によるこの受容体の改変された発現レベルに起因する可能性がある。または、T-83C対立遺伝子の存在は、そのリガンドに対する親和性がより低い受容体の発現をもたらす可能性がある。
【0036】
変種のIL-21R対立遺伝子を1つまたは2つのいずれかを有する個体を特定することができる(Heckler et al., 同書, 2003)。T-83C変種遺伝子についてホモ接合性である個体は、ヘテロ接合性の個体と比較して、IgEのより高い血清レベルを有することが報告されており、これは遺伝子が作用することを示唆する。以前に報告されたIL-21Rの遺伝的変動と上昇したIgEの血清レベルの存在との関連は、女性においてのみであったが(Heckler et al., 同書)、IgE合成に対するIL-21の可能な性別限定的な調節効果は、本明細書に開示するような知見によって支持されていない。
【0037】
C. IL-21受容体遺伝子型およびIL-21療法
薬物の有効性および毒性における不均一性が、患者集団において観察されることが確立している。受容体などの薬物標的をコードする遺伝子における遺伝的変動を含む遺伝的差異が、患者における治療結果に影響することは一般に受け入れられている(Evans, W.E and Relling, M.V., Science 286:487-491, 1999; Evans, W. E and McLeod, H.L., N. Engl. J. of Med. 348:538-549, 2003)。個体における特定の対立遺伝子のアイデンティティに基づいてカスタマイズした療法は、薬理ゲノム学として公知である。IL-21受容体変種を同定する公知の診断アッセイを用いて得た情報により、臨床医は、癌、感染症、および自己免疫疾患などのIL-21反応性疾患を治療するための治療計画を推奨する。
【0038】
一つの局面において、本発明はIL-21療法を必要とする個体におけるIL-21に対する治療反応を予測するための診断方法を提供する。特に本発明は、癌、感染症、または自己免疫疾患のための免疫療法処置としてIL-21の使用を企図している患者に対する診断方法を提供する。本方法は、患者の生体試料を得る段階、および個体のIL-21受容体遺伝子の遺伝子型を検出する段階を含む。本発明に基づいて、IL-21受容体遺伝子型の検出は、IL-21組成物の最適免疫学的用量と相関し、これが正の治療結果につながるであろう。個体のIL-21受容体の遺伝子型または多型を判定する方法には、個体から単離した適切な細胞試料または組織試料などの生体試料をスクリーニングする段階が含まれる。本発明の特定の態様において、個体のIL-21受容体遺伝子の遺伝子型は、1つの対立遺伝子変種を含む。一つの態様において、個体のIL-21受容体遺伝子の遺伝子型は、2つの対立遺伝子変種を含む。本発明の別の態様は、IL-21ハプロタイプがT-83C対立遺伝子変種に関連している場合の治療反応を予測する方法を提供する。別の態様において、対立遺伝子変種はT-83C対立遺伝子変種であろう。
【0039】
別の局面において、本発明はIL-21の使用のための治療計画を選択する方法を提供する。特定の態様において、治療計画は、個体における癌、感染症、または自己免疫疾患の治療におけるIL-21の使用に関する。IL-21の使用のための治療計画の選択には、個体から生体試料を得る段階、個体のIL-21受容体遺伝子の遺伝子型を検出する段階、および野生型IL-21受容体遺伝子に関してホモ接合性の個体に与えられる用量とは異なる、IL-21組成物の治療的に有効な用量を決定する段階が含まれる。方法は、IL-21受容体における対立遺伝子変動が特定されていない個体に与える用量とは異なるIL-21組成物の治療的に有効な用量を個体に投与する段階をさらに含む。本発明の特定の態様において、個体のIL-21受容体遺伝子の遺伝子型は、1つの対立遺伝子変種を含む。別の態様において、個体のIL-21受容体遺伝子の遺伝子型は、2つの対立遺伝子変種を含む。別の態様において、対立遺伝子変種はT-83C対立遺伝子変種であろう。
【0040】
客観的状態プロトコルを用いて正の治療結果を測定し、固形腫瘍反応を評価することができる。代表的な診断基準は以下を含む:(1)新しい病変も疾患関連症状も伴わない、測定可能かつ評価可能な疾患全ての完全な消滅として定義される完全寛解(CR)。評価できない疾患の証拠はない。(2)評価可能な疾患の進行も新しい病変も伴わない、測定可能な病変全ての垂直直径の産物の総数においてベースラインから30%を上回るかまたは30%に等しい減少として定義される部分寛解(PR)。RESIST診断基準に従い、患者は少なくとも1つの測定可能な病変を有する。(3)ベースラインと同じ技術を用いて観察される最小数を超える測定可能な病変の産物の総数における20%または10 cm2の増加、または任意の評価可能な疾患の明らかな悪化、または消滅した任意の病変の再出現、または任意の新しい病変の出現、または死亡もしくは悪化した状態(この癌に関係しないものを除く)のために評価に戻れないこととして定義される進行。(4)CR、PR、または進行に当てはまらないものとして定義される安定または寛解なし(Clinical Research Associates Manual, Southwest Oncology Group, CRAB, Seattle, WA, Oct. 6, 1998, 更新Aug. 1999を参照されたい)。
【0041】
IL-21受容体遺伝子型の検出には、限定されないが、個体由来の血球またはDNAを検査してDNA配列内に変異が存在するかどうかを判定する段階を含む当技術分野で公知の方法を使用することができる。特定の態様において、DNA配列におけるTからCへの変異が、-83位に存在する。ヒトIL-21受容体の1位とは、エキソン1bの最初のヌクレオチドとして定義され、ヒト染色体16 BACクローンAC004525の36058位に相当する(Heckler et al., Genes and Immunity 4:228-233, 2003)。ヘテロ接合性の個体は、IL-21受容体のT-83C対立遺伝子の1つのコピーを保有し、ホモ接合性の個体はT-83C対立遺伝子の2つのコピーを保有する。ヘテロ接合性およびホモ接合性の個体はどちらも、変異した対立遺伝子のコピーを保有しない個体に対して用いるIL-21用量を投与した場合、正の治療反応を引き出す能力が低下している可能性がある。
【0042】
本発明はまた、IL-21療法を必要とする個体においてIL-21に対する治療反応を予測する方法を提供し、本方法は、患者から生体試料を得る段階、および個体のIL-21受容体遺伝子の遺伝子型がIL-21ハプロタイプを含む場合の遺伝子型を検出する段階を含む。本発明はさらに、IL-21の使用のための治療計画を選択する方法を提供し、本方法は、個体から生体試料を得る段階、個体のIL-21受容体遺伝子の遺伝子型がIL-21ハプロタイプを含む場合の遺伝子型を検出する段階、および野生型IL-21受容体遺伝子に関してホモ接合性の個体に与えられる用量とは異なる、IL-21組成物の治療的に有効な用量を決定する段階を含む。
【0043】
配列決定の技術は当技術分野において公知である。例えば、対立遺伝子変種および変異は、試料配列を対応する野生型配列と比較することによって、直接配列決定することができる。公知の技術は、Maxam and Gilbert (Proc. Natl. Acad. USA 74:560, 1977)、Sanger et al. (Proc. Natl. Acad. USA 74:5463, 1977)、米国特許第5,547,835号、米国特許第5,605,798号、Cohen et al. (Adv. Chromat. 36:127-162, 1996)、Griffin et al. (Appl. Biochem. Bio. 38:147-159, 1993)、米国特許第5,580,732号、米国特許第5,571676号を含むがこれらに限定されない。
【0044】
遺伝子型分析のためのさらなる方法には以下が含まれる:対立遺伝子特異的蛍光プローブの存在下での選択した領域のPCRによる増幅;DNA挿入蛍光色素または標識した対立遺伝子特異的プローブの存在下でのPCR単位複製配列の融解曲線分析;DNAマイクロアレイ上の配列特異的または対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドへの増幅したDNAのハイブリダイゼーション;質量分析法またはLC/MS/MSによるDNA断片の検出;制限酵素による消化に対する改変された感受性(制限断片長多型);ポリアクリルアミドゲル上での一本鎖DNAの改変された移動度(一本鎖配座多形);および当業者に公知の他の技術(例えばDaly, Ann K. Arch. Pharmacol. 369:133-140, 2004を参照されたい)。
【0045】
IL-21受容体遺伝子型を検出するための別の方法は、受容体の特定の形態と特異的に結合することによって受容体の対立遺伝子型を識別するか、または造血細胞での発現の相対レベルを決定することができる抗体を使用する。当業者に周知の技術を用いて、白血球(WBC)またはWBCのサブセットを個体から単離する。診断手順はまた、生検または切除によって得られた患者由来の組織切片上にてインサイチューで実施することができる。細胞に結合している抗体の測定には、例えば定量的フローサイトメトリー、酵素結合免疫測定法、または蛍光結合免疫測定法など任意の公知の方法を用いることができる。そのような測定技術によって、対立遺伝子変動に関連する表現型を特定することができる。この表現型には、限定されないが、異なるエピトープをもたらす改変されたタンパク質構造、改変されたタンパク質発現、またはIL-21受容体タンパク質の正常な結合パートナーにおける改変が含まれてもよい。
【0046】
本方法は、下記の非限定的な実施例によりさらに説明される。
【0047】
実施例
実施例1
A. ドナーおよび細胞
Ficoll-Hypaque(Amersham Biosciences, Uppsala, Sweden)で遠心分離することによって、15名の健常ドナーおよび17名のアトピー性患者から、ヒトPBMCを単離した(Service des Maladies Respiratoires, CHU Arnaud de Villeneuve, Montpellier, France)。一般的な空気アレルゲンへの曝露の結果生じるアレルゲン特異的IgE血清レベルの上昇、皮膚プリックテストの陽性結果、および陽性の臨床スコアに基づいて、アトピーを定義した。製造業者の推奨に従って、特異的mAbコーティング磁気ビーズ(Miltenyi, Bergisch Gladbach, Germany)および調製用磁気セルソーター(Miltenyi)を用いたポジティブ選択により、健常な臓器ドナーのヒト脾臓断片から、高度に精製した(純度>98%)CD19+脾臓B細胞(Service de Chirurgie Digestive, CHU St Eloi, Montpellier, France)を得た。製造業者の推奨に従い、Rosettesep(登録商標)手法(StemCell Technologies, Meylan, France)を用いて、精製したCD19+ B細胞(純度>98%)も同様にPBMC(Etablissement Francais du Sang, Montpellier)から単離した。FACS Vantage(登録商標)(Becton Dickinson, San Jose, CA)を用いて、文献(Scheffold et al. 2002. Methods in Microbiology Vol 32, ed. S. H. E. Kaufmann, and D. Kabelitz, eds. Academic Press, San Diego, CA. pp707-749)に記載の手順に従い、CD19+ B細胞をFITC結合抗CD27 mAb(PharMingen, La Jolla, CA)の染色およびCD19+,CD27- B細胞のソーティングの後、ナイーブB細胞を得た。ソーティングした細胞の再分析は、>99%純度を示した。
【0048】
B. 試薬および培養条件
Ig産生の誘導は下記の通りに実施した。ナイーブまたはメモリーCD19+ヒトBリンパ球(106/ml)を、組換え(r)IL-4(Schering-Plough, Dardilly, France)およびrIL-21(ZymoGenetics, Seattle, WA)の組み合わせの存在下または不在下で、96ウェル平底培養プレート(Nunc, Roskilde, Denmark)において、六つ一組で最終用量200 mlで10%FCSを補充したYssel培地(Yssel et al., J. Immunol. Methods 72:219, 1984)にて、106g/mlの抗CD40 mAb 89(Valle et al., Eur. J. Immunol. 19:1493, 1989)と共に培養した。抗CD40 mAbの存在下または不在下で、PBMC(106/ml)を同じ組み合わせのサイトカインと共に培養した。示された場合、中和ポリクローナルヤギ抗ヒトIFN-γ受容体1(抗IFN-γ R1)抗体(R&D Systems Europe, Lille, France)、抗IFN-γ R1マウスmAb(Becton Dickinson)、または精製した正常なマウスIgG1(Southern Technologies, Birmingham, Al)を、培養開始時に2 mg/mlの濃度で、その後2日目および4日目に同じ濃度で添加した。37℃、5%CO2での12日間のインキュベーション後、培養上清を回収し、IgE含有量を測定した。平行培養において12日目に回収した同じ培養上清で、IFN-γの産生を決定した。IgE転写物の分析のために、精製したCD19+ B細胞を同じ実験条件下で培養し、5日間の培養後にmRNA単離のため細胞を採取した。
【0049】
C. IgEおよびIFN-γ産生の測定
それぞれLecart et al. (Int. Immunol. 14:1351, 2002)およびLecart et al. (J. Invest. Dermatol. 117:318, 2001)に記載されるように、アイソタイプ特異的ELISAならびにサイトカイン特異的ELISAによって、培養上清のIgEおよびIFN-γ含有量を決定した。
【0050】
生殖系列Ig転写物RNA抽出、逆転写、およびcDNAの増幅(1μgのRNA/PCR試料に相当)のcDNA合成、RT-PCR分析、ならびにノーザンブロッティング分析を、Lecart et al. (Int. Immunol. 14:1351, 2002)に記載されるように実施した。PCRプライマー、Cε生殖系列、およびβアクチン転写物のヌクレオチド配列は以下の通りであった。
Cε生殖系列

β-アクチン

【0051】
Gauchat et al. (J. Exp. Med. 172:463, 1990)に記載されるように、CεおよびβアクチンmRNAに相補的なcRNAプローブを用いるノーザンブロッティングにより、生殖系列εおよびβアクチンmRNA転写物を解析した。
【0052】
D. IL-21R遺伝子の遺伝子型解析
標準的なフェノールクロロホルム抽出およびその後のエタノール沈殿により、ゲノムDNAを末梢血から単離した(Blin, N., and D. W. Stafford. 1976. Nucleic Acids Res.3:2303-2308)。-83T>C多型を含む521-bp PCR断片を、以下のプライマーを用いて増幅した。

100 ng DNA、0.5μMの各プライマー、0.2 mMの各dNTP、1.5 mM MgCl2、5μl 10×緩衝液、および1 U Taq DNAポリメラーゼ(Invitrogen)を含む総容積50μlで、PCRを実施した。試料を10分間94℃で変性させ、その後94℃で45秒、55℃で30秒、72℃で60秒を32サイクル、および72℃で最後の10分間の伸長を行った。製造業者の説明書に従いABI Prism Big Dye Terminator DNA Sequencing Kit(PE Applied Biosystems, Foster City, CA, USA)を用いて断片を配列決定し、ABI Prism 310 Genetic Analyser(Perkin-Elmer, Boston MA)で分析した。IL21Rシークエンシングプライマーは

であった。
【0053】
E. IL-4の存在下で抗CD40で刺激したヒトCD19+ B細胞によるIgE産生を亢進するIL-21
健康な非アトピー性ドナーから得て、rIL-4および増加濃度のrIL-21の存在下で抗CD40 mAbで刺激した精製ヒトCD19+末梢血または脾臓由来B細胞を用いて、rIL-4誘導性IgE産生の産生を調節するrIL-21の能力を検討した。予想通り、rIL-4をこれらの細胞の培養物に添加すると、IgEの産生が誘導された(図1Aおよび1B)。rIL-21のみではIgE合成を誘導しなかったが、B細胞の起源に関わらず、用量依存性様式でIL-4誘導性のIgE産生を強く亢進した。さらに、精製した脾臓のCD19+、CD27-ナイーブB細胞において、rIL-21はrIL-4誘導性IgE産生を亢進した(図1C)。rIL-21の最適なIgE産生を亢進する能力は、サイトカインの1〜10 ng/mlの濃度で観察された。
【0054】
F. 精製したB細胞において生殖系列Cε転写物のIL-4誘導性発現に影響を与えないIL-21
Cε特異的生殖系列転写物の発現は、マウスおよびヒト両方のB細胞のIgE産生への順調なアイソタイプスイッチに先立つ必須の事象であると考えられる。IL-21が亢進するIgE産生が、IL-4誘導性のアイソタイプスイッチの増加と関連するかどうかを検討するため、抗CD40 mAbおよびIL-4刺激CD19+ B細胞による生殖系列εRNAの発現をノーザンブロッティング分析によって判定した。文献で報告された結果と一致して、精製したB細胞を抗CD40 mAbとrIL-4との組み合わせで刺激した結果、生殖系列Cεの転写が強く誘導され(図2A)、一方でCD40のみを介した刺激はいかなる作用も有さなかった。これらの転写物の発現は、rIL21および抗CD40 mAbで刺激した細胞においては観察されなかった。さらに、rIL-21は、ヒトの脾臓でも末梢血由来B細胞でも、IL-4誘導性の生殖系列Cε転写に影響を及ぼさなかった(図2B)。これらの結果は、IL-21によるIL-4誘導性のIgE合成の亢進が生殖系列CεRNA合成の増加に起因しないが、活性化されたB細胞の増殖を促進するその能力の結果である可能性があることを示す。
【0055】
実施例2
T細胞および/またはNK細胞によるIFN-γ産生の誘導を介してIL-4誘導性IgE産生を間接的に阻害するIL-21
IL-21は、ヒトT細胞およびNK細胞によるIFN-γ産生を亢進することが示されている(Strengell et al., J. Immunol. 170:5464, 2003)。さらにIFN-γは、B細胞によるIL-4誘導性IgE産生を強く阻害することが知られており(Pene et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 85:6880, 1988)、これはこのサイトカイン産生の亢進を介したIgE合成においてIL-21が阻害性の役割を有することを示唆する。T細胞およびNK細胞を含むかそれらを欠くかのいずれかのB細胞の集団間で、rIL-4誘導性IgE産生に対するrIL-21の効果を比較することによって、この可能性を検討した。後者のリンパ球が存在するPBMCの培養物にrIL-4を添加すると、低いが再現可能なレベルのIgEの産生がもたらされた。精製したCD19+末梢B細胞に対するその効果(図1)とは対照的に、検査した15名の健常ドナーのうち10名において、rIL-21が3 ng/ml程度の低い濃度で、PBMCの培養物中のIgEの産生を阻害した(図3A)。しかしながら、検査したIL-21の最も低い濃度で、これらのドナーのB細胞によるIL-4誘導性IgE産生は有意にかつ再現性よく亢進された。他の5名のドナーにおいて、IgE合成に対するrIL-21の阻害効果が、30 ng/mlに等しいかまたはそれより高い濃度でのみ検出された一方、rIL-21はIL-4誘導性IgE産生を1〜10 ng/mlの範囲の濃度で亢進した(図3B)。これらの結果は、IL-21の阻害効果に反応するこれら二群のドナーの差次的な感受性の存在を示唆する。
【0056】
IL-21誘導性の阻害効果がIFN-γの合成を誘導するその能力によって説明することができるかどうかを判定するために、rIL-4およびrIL-21で刺激したPBMCの培養物において後者のサイトカインの産生レベルを測定した。ドナーの感受性群(図4Aおよび4B)および低い感受性群(図4Cおよび4D)の両方において、rIL-4誘導性IgE産生のレベルは、これらの培養物において検出されたIFN-γのレベルに逆相関することが見出された。抗CD40 mAbの存在下でrIL-4によって刺激したPBMCの培養物にrIL-21を添加した結果、IgE産生が強く亢進され(図4Eおよび4F)、それが精製したB細胞の培養物において観察されたものを暗示することに注目すべきである。この実験条件下で、B細胞はポリクローナルCD40による強い刺激を受け、したがってIL-4誘導性IgE合成に対するIFN-γの阻害効果は、IL-21のB細胞増殖促進効果によって完全にマスクされる。IL-21が非B細胞によるIFN-γ産生の誘導を介してIgEの産生を阻害することを直接実証するために、中和ヤギ抗IFN-γR1抗体またはマウス抗IFN-γR1 mAbのいずれかを、rIL-4および様々な量のrIL-21の両方で刺激したPBMCの培養物に、様々な時点で添加した。培養物のみの発現時に抗IFN-γR1抗体のいずれかの添加は、IgE産生のIL-21による阻害に影響を及ぼさなかった(図5)。しかしながら、培養の最初の4日間これらを繰り返し添加することにより、IFN-γ産生の完全な中和がもたらされ、それによってIgEの産生がrIL-4のみで観察されるレベルに匹敵するかまたはそれらを上回るレベルまで回復した。対照抗体と一致する非関連性アイソタイプの添加は、効果を有さなかった(図5)。ポリクローナルヤギ抗IFN-γRI抗体の存在に関わらず、90 ng/mlの濃度でIL-21は、IL-4誘導性IgE合成を完全に阻害し、これはこれらの条件下で、IL-21によって誘導されるこの量のIFN-γはもはや中和されないことを示した。
【0057】
実施例3
IL-21Rの遺伝的多型によって判定されるIL-21によるIL-4誘導性IgE合成の阻害の規模
ヒトIL-21Rをコードする遺伝子における多型(T-83C)の存在が、健常個体においておよびアトピー性個体においてはより大きく、IgEの血清レベルの上昇に関連することが報告されている(Heckler et al. 同書)。上記のようにrIL-21の効果に反応するPBMCの差次的な感受性のため、したがって本発明者らは、健常個体およびアトピー性個体の両方からなるドナーのかなりのコホートにおいて、この多型の存在と同様に、これらの臨床状態が、インビトロでのIL-4誘導性IgE合成を調節するIL-21の能力に影響を及ぼすかどうかを判定した。
【0058】
最初の一連の実験において、研究に含まれる健常ドナーおよびアレルギー性ドナー全てのPBMCが、IgE産生を誘導するIL-4の効果に反応するそれらの能力に関して異なったかどうかを調査した。インビトロでのrIL-4誘導性IgE産生のレベルは、健常ドナーとアレルギー性ドナーの間で有意に異ならなかった(p=0.56、マンホイットニー検定)(図6A)。次に、10 ng/ml濃度で、インビトロにおけるrIL-4誘導性IgE合成を阻害または亢進するrIL-21の能力を、rIL-4単独で得られたものと比較して、反応の変動の割合として表した。図6Aに示すように、インビトロでのrIL-4誘導性IgE産生のレベルは、健常ドナーとアレルギー性ドナーの間で有意に異ならなかった(p=0.56、マンホイットニー検定)。同様に、rIL-4誘導性IgE産生に対するrIL-21誘導性の調節効果は、統計的に有意な様式では二群間で異ならず(図6B)、これは後者の効果がアトピーの存在に関連しないことを示す。IL-4誘導性IgE合成に対するIL-21の調節効果への観察された差次的な感受性が、IL-21R遺伝子における遺伝的多型と関連したかどうかもまた、決定した。この分析では、合計で7名の健常ドナーおよび17名のアトピー性ドナー由来のPBMCを用い、T-83C変異IL-21R遺伝子の存在または不在に関して遺伝子型解析を行った。
【0059】
配列分析の結果は、13/24名のドナーがIL-21R遺伝子の野生型対立遺伝子に関してホモ接合性であり、一方11/24名のドナーがヘテロ接合性であり、変異した遺伝子の1つのコピーを発現していたことを示した(表1)。この多型を保有するドナーはいずれも、変異対立遺伝子の2つのコピーを発現しなかった。さらに、インビトロでのIgE合成を促進するIL-4の能力に関して、二群のドナー間で統計的有意差は見られなかった(図7A)。しかしながら、図7Bに示すように、rIL-21によって媒介されるrIL-4誘導性IgE産生の変動は、野生型対立遺伝子を発現するドナーとIL-21R遺伝子の変異コピーを保有するドナーとの間で有意に異なった(p=0.0054、マンホイットニー検定)。したがって、野生型対立遺伝子に関してホモ接合性である13名のドナーのうち12名(92%)のPBMCによるインビトロでのIgE合成は、10 ng/ml rIL-21によってすでに阻害されており、一方多型遺伝子の1つのコピーを保有する11名の個体のうち7名(64%)では、この濃度のrIL-21はインビトロにおいてrIL-4依存性IgE産生を阻害せず、むしろそれを亢進した。最後に、IL-21Rの多型変種を保有する個体と比較して、rIL-21は、野生型個体由来のPBMCによる高レベルのIFN-γ産生を誘導した(図7C;p=0.018、マンホイットニー検定)。総合するとこれらの結果は、IL-21R遺伝子のT-83C変異の少なくとも1つのコピーの存在が、IFN-γ産生を誘導するIL-21の能力の低下に関連し、これは結果としてこの対立遺伝子を保有する個体のIgE産生におけるIL-21の阻害効果に対する感受性の低下をもたらすことを示唆する。
【0060】
【表1】

a 7名の健康非アレルギー性ドナーおよび17名のアトピー性患者の末梢血からゲノムDNAを単離し、上記のように配列決定によってIL-21R遺伝子を分析した。
b Dp、ヤケヒョウヒダニ;Gr、草花粉;Ckrh、ゴキブリ;Peni、ペニシリン;quinol、キノロン。
c 野生型:IL-21R遺伝子の野生型対立遺伝子を両方保有するドナー;変種:T-83C対立遺伝子の1つのコピーを保有するヘテロ接合性ドナー。
【0061】
上記から、本発明の具体的な態様を例示の目的のために本明細書に記載しているが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく様々な改変を加えてもよいことが理解される。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によるものを除いて、制限されない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図1Aおよび1Bは、CD19+末梢B細胞へのIL-4の添加がIgEの産生を誘導したことを示す。図1Cは、IL-21が、CD19+CD27-ナイーブB細胞においてIL-4誘導性IgE産生を亢進したことを示す。
【図2】図2Aは、精製したB細胞を抗CD40 mAbとIL-4との組み合わせで刺激した結果、生殖系列Cεの転写が強く誘導されたことを示す。図2Bは、IL-21が、ヒトの脾臓または末梢血由来B細胞においてIL-4誘導性の生殖系列Cε転写に影響を及ぼさなかったことを示す。
【図3】図3Aは、検査した15名の健常ドナーのうち10名で、IL-21が3 ng/ml程度の低い濃度で、PBMCの培養物中のIgEの産生を阻害したことを示す。図3Bは、5名のドナーにおいて、IgE合成に対するIL-21の阻害効果が、30 ng/mlの濃度でのみ検出された一方、IL-21はIL-4誘導性IgE産生を1〜10 ng/mlの間で亢進したことを示す。
【図4】図4Aおよび4Bは、IL-4およびIL-21で刺激したPBMC培養物において、IL-4誘導性IgE産生のレベルが、ドナーの感受性グループでIFN-γと逆相関したことを示す。図4Cおよび4Dは、IL-4およびIL-21で刺激したPBMC培養物において、IL-4誘導性IgE産生のレベルが、ドナーの非感受性グループでIFN-γと逆相関したことを示す。図4Eおよび4Fは、抗CD40 mAbの存在下でIL-4によって刺激されたPBMCの培養物にIL-21を添加した結果、IgE産生が強く亢進されたことを示す。
【図5】抗IFN-γR1抗体または培養物のみの発現時に対照抗体と一致する非関連性アイソタイプのいずれかの添加が、IgE産生のIL-21による阻害に影響を及ぼさなかったことを示す。
【図6】図6Aは、インビトロでのIL-4誘導性IgE産生のレベルが、健常ドナーとアレルギー性ドナーの間で有意に異ならなかったことを示す。図6Bは、IL-4誘導性IgE産生に対するIL-21誘導性の調節作用が、健常ドナーとアレルギー性ドナーの間で異ならなかったことを示す。
【図7】図7Aは、野生型IL-21R対立遺伝子に関してホモ接合性またはヘテロ接合性である両ドナーが、インビトロでIL-4誘導性の差次的なIgE合成を示したことを表す。図7Bは、IL-21R野生型対立遺伝子に関してホモ接合性またはヘテロ接合性であるドナーにおいて、IL-21が媒介するIL-4誘導性の差次的なIgE合成が示されたことを表す。図7Cは、IL-21Rの多型変種と比較して、IL-21が、野生型個体由来のPBMCによる高レベルのIFN-γ産生を誘導したことを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者から生体試料を得る段階および個体のIL-21受容体遺伝子の遺伝子型を検出する段階を含む、IL-21療法を必要とする個体においてIL-21に対する治療反応を予測する方法。
【請求項2】
個体のIL-21受容体遺伝子の遺伝子型が、1つの対立遺伝子変種を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
個体のIL-21受容体遺伝子の遺伝子型が、2つの対立遺伝子変種を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
個体のIL-21受容体遺伝子の遺伝子型が、IL-21ハプロタイプを含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
対立遺伝子変種がT-83C変種である、請求項2または3記載の方法。
【請求項6】
個体から生体試料を得る段階、個体のIL-21受容体遺伝子の遺伝子型を検出する段階、および野生型IL-21受容体遺伝子に関してホモ接合性の個体に与えられる用量とは異なるIL-21組成物の治療的に有効な用量を決定する段階を含む、IL-21の使用のための治療計画を選択する方法。
【請求項7】
治療的に有効な用量が、最適な免疫学的用量である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
個体のIL-21受容体遺伝子の遺伝子型が、2つの対立遺伝子変種を含む、請求項6記載の方法。
【請求項9】
個体のIL-21受容体遺伝子の遺伝子型が、1つの対立遺伝子変種を含む、請求項6記載の方法。
【請求項10】
対立遺伝子変種がT-83C変種である、請求項8または9記載の方法。
【請求項11】
治療的に有効な用量が、個体に投与される、請求項6記載の方法。
【請求項12】
個体のIL-21受容体遺伝子の遺伝子型が、IL-21ハプロタイプを含む、請求項6記載の方法。
【請求項13】
単離した生体試料中で個体のIL-21受容体遺伝子の遺伝子型を検出する段階を含む、IL-21療法を必要とする個体においてIL-21に対する治療反応を予測するインビトロ方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法を含み、かつ野生型IL-21受容体遺伝子に関してホモ接合性の個体に与えられる用量とは異なるIL-21組成物の治療的に有効な用量を決定する段階をさらに含む、IL-21の使用のための治療計画を選択する方法。
【請求項15】
個体のIL-21受容体遺伝子の遺伝子型が、2つの対立遺伝子変種を含む、請求項13または14記載の方法。
【請求項16】
個体のIL-21受容体遺伝子の遺伝子型が、1つの対立遺伝子変種を含む、請求項13または14記載の方法。
【請求項17】
対立遺伝子変種がT-83C変種である、請求項15または16記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2009−508506(P2009−508506A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531618(P2008−531618)
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【国際出願番号】PCT/EP2006/009239
【国際公開番号】WO2007/039147
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(508087837)インセルム (インスティテュ ナショナル ドゥ ラ サンテ エ ドゥ ラ ルシェルシュ メディカル) (1)
【Fターム(参考)】