説明

IL−6受容体アゴニストもしくはアンタゴニスト活性を有するポリペプチド

【課題】 IL−6受容体のアゴニストもしくはアンタゴニスト活性を有するポリペプチドの提供を課題とする。
【解決手段】 スリーフィンガー様スキャフォールドを有する蛋白質に由来するライブラリを用いて、IL-6Rと結合するポリペプチドを取得することに成功した。さらに、スリーフィンガー様スキャフォールドを有する蛋白質のN末端側1番目のループ領域のみを含むペプチドがIL-6Rと結合する活性を示すことを見出した。さらに、該ペプチドは細胞アッセイにより、IL-6Rのアゴニストもしくはアンタゴニストとしての機能を有することが見出された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターロイキン6(IL−6)の受容体に結合してIL−6とIL−6受容体の結合を阻害するアンタゴニスト、またはIL-6に代わってIL-6受容体に作用するアゴニストの効果によって、IL−6の異常産生に伴う疾患の予防・治療に寄与し得るIL−6シグナル伝達関連ペプチドに関する。
【背景技術】
【0002】
サイトカインは、細胞間の情報伝達を担う蛋白性の化学物質であり、標的細胞の表面上に特徴的な受容体が発現している。そして、サイトカインが持つ細胞増殖、分化などの生理活性はこの受容体分子とサイトカインが結合することによって発揮される。サイトカインの異常産生は、さまざまな病態に関与することが知られている。
【0003】
IL−6は炎症性サイトカインの一つであり、その異常産生が病態の中心と考えられる疾患が多くみられる。そのような疾患の例として、慢性関節リウマチ、血管炎症候群、二次性アミロイドーシス、キャッスルマン病、間質性肺炎(LIP)、増殖性糸球体腎炎、炎症性腸疾患(クローン病)、腎移植に伴う拒絶、骨粗鬆症、エイズ、IL−6産生腫瘍(多発性骨髄腫、腎癌、子宮頸癌、肺癌、心房粘液腫)あるいは悪液質などが挙げられる。
また、これまでにIL−6の異常産生に伴う疾患に対して、ヒト型化抗IL−6受容体抗体(MRA)によるIL−6の機能阻害が、有効な治療法になることを示している。
【0004】
一方、IL-6自体のシグナル増強はヒト造血幹細胞の増幅に必須であることが知られている(非特許文献1)。このためIL-6に代わってより効果的なアゴニストができれば従来の骨髄移植のような外科手術に頼らない治療法が確立される可能性がある。
このようにIL-6のアンタゴニストやアゴニストの取得は様々に有効な治療法を提供することになる。
【0005】
しかし、MRAはヒト型化とはいえマウス異種蛋白を含むため、MRAに対する抗体の出現を否定することはできず、MRAの作用低下あるいはアナフィラキシー出現の危険性も完全に除外するわけにはいかない。また、MRAは抗体で高分子(150kd)であるため、経静脈注入を余儀なくされ、患者の利便性を著しく損なっている。さらに高額であるため経済的にも負担がかかる。
また、アゴニストとしてはIL-6とsoluble IL-6Rを遺伝子工学的に連結した融合タンパク質(130kd)が使われているが、MRAと同様の課題を有している。
【0006】
【非特許文献1】Sui X、et al、Proc Natl Acad Sci U S A. (1995) 92(7):2859-63.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、以上の障害を改善し、より低分子で経口可能な安全性の高いIL−6機能エフェクター分子を提供しようとするものである。即ち本発明は、IL−6受容体のアゴニストもしくはアンタゴニスト活性を有するポリペプチドの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
エフェクター分子候補としてα型神経毒(α-neurotoxin)がある。これは、elapidae科をはじめとするヘビ毒に多く見いだされる蛋白質群であり、そのうちのいくつかは共通するスリーフィンガー様スキャフォールドを含む。このタイプの神経毒は、通常は60−70アミノ酸(MW:7−8kDa)を含む小さい蛋白質であり、4−5個のジスルフィド結合、3〜5個のアンチパラレルβシート、およびスリーフィンガー構造を形成する3つの突起ループを含む(Endo T、Tamiya N. (1987)、Pharmacol Ther.、34、403-451)。スリーフィンガー様スキャフォールドの分子は、温度に対して高い安定性を有し、60−70℃に耐えられる(Sivaraman T、Kumar TK、Hung KW、Yu C. Comparison of the structural stability of two homologous toxinsisolated from the Taiwan cobra (Naja naja atra) venom. Biochemistry. 2000 Aug 1;39(30):8705-10.)。ジスルフィド・フレームワークの形は、βシートを形成するアミノ酸残基の種類が異なっていても、これらの分子の間で高度に保存されている。天然のレセプターへの結合事象に関与するアミノ酸もまた非常に高い頻度で保存されている(Antil、S.、Servent、D. and Menez、A. (1999). J. Biol. Chem.、274、34851-34858; Teixeira-Clerc F、Menez A、Kessler P. (2002) J. Biol. Chem.、277、25741-25747)。神経毒はそれぞれのレセプターに対して非常に高い特異性を有しており、この特性はループの先端の残基により付与される。天然のレセプターとの相互作用にはループI、ループIIおよびテール領域が関与することが知られており、例えば、ヘビ神経毒の1つであるα-cobratoxin (Naja kaouthia 由来)では、I5−D8、K23、W25、D27、A28、F29、R33、R36、K47およびF65などの残基に点突然変異を導入することにより標的との結合特性が変化することが報告されており、これらの残基が相互作用に関与していることが示唆されている。一方、結晶学および変異実験を用いた最近の研究によれば、ループIIIは標的との結合には関与していないようである(Antil、S.、Servent、D. and Menez、A. (1999)、J. Biol. Chem.、274、34851-34858; Bourne Y、Talley TT、Hansen SB、Taylor P、Marchot P. (2005)、EMBO J.、24、1512-1522)。
【0009】
また、蛋白質スキャフォールドを利用して蛋白質のコンビナトリアルライブラリを作製し、抗体に代わる新規な蛋白質を発見する試みが行われている(Nygren、P-A and Skerra、A. (2004)、J. Immunol. Methods.、290、3-28)。この方法においては、蛋白質のフレームワーク領域の構造を維持しながら、相互作用に関与する領域(例えばループ領域)のアミノ酸配列がランダムであるように設計された蛋白質ライブラリを作製し、所望の標的と接触させて、その標的に結合しうる蛋白質を選択し、その構造を決定することにより、所望の標的に結合しうる新規な蛋白質を同定することができる。
【0010】
スリーフィンガー様スキャフォールドは、比較的サイズが小さく、安定性が高いため、このような蛋白質ライブラリを作製するのに適していると考えられる。これまでに複数の研究グループが、ループIまたはループII、あるいはこれらの両方に部位特異的な突然変異を導入することにより結合特性に関わるアミノ酸残基を解析する試みは行われてきた。しかしながら、スリーフィンガーの親和性向上や認識特異性を変える試みはなされてきていない。
【0011】
そこで本発明者らはスリーフィンガー様スキャフォールドの親和性や認識特異性を進化工学的手段であるIn vitro virus法(Nemoto N、et al.、FEBS lett、414、405-408、1997). またはcDNA display法(Biyani M、et al. Nucleic Acids Research、34、e140、2006)と組み合わせることで変化させる試みを行った。その結果、本来アセチルコリンレセプターに結合するスリーフィンガーのループ先端部分をランダムにしたライブラリからIL-6Rに特異的に結合するスリーフィンガーの取得に成功した。
しかしながら、スリーフィンガーは4つのS-S結合を持つことから、大腸菌、等で発現した後、リフォールディングした際に機能を持つ形で回収することが難しいという欠点を有する。また、ペプチド化学合成を行うには60残基以上の合成は難度が高く、4つのS-S架橋を有するために高度な技術とコストがかかるという問題がある。
【0012】
さらに本発明者らは鋭意研究を行った結果、スリーフィンガーのうちの1本の指の部分のみでスリーフィンガーそのものと同等の効果、即ち、IL-6Rに対するアゴニストもしくはアンタゴニスト効果を有することを見出した。この1本の指の部分のみからなるポリペプチドにおいてN末端側から2番目のシステイン残基をグリシンに変えて1つのループ部分のみを持つポリペプチドを合成し、細胞アッセイを行った。そして本発明者らは、実際にIL-6Rに対するアゴニストもしくはアンタゴニスト活性を有する新規ポリペプチドを取得することに成功した。
【0013】
本発明は、IL−6受容体のアゴニストもしくはアンタゴニスト活性を有するポリペプチドに関し、より具体的には、
〔1〕 以下の(1)または(2)に記載のポリペプチド、
(1)配列番号:1に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド
(2)配列番号:1に記載のアミノ酸配列において1もしくは複数のアミノ酸が付加、欠失もしくは置換されたアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、IL−6受容体に対してアゴニスト活性を有するポリペプチド
〔2〕 以下の(1)または(2)に記載のポリペプチド、
(1)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド
(2)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1もしくは複数のアミノ酸が付加、欠失もしくは置換されたアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、IL−6受容体に対してアンタゴニスト活性を有するポリペプチド
〔3〕 〔1〕または〔2〕に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
〔4〕 〔3〕に記載のポリヌクレオチドを有するベクター、
〔5〕 〔3〕に記載のポリヌクレオチド、または〔4〕に記載のベクターを含む宿主細胞、
〔6〕 〔1〕に記載のポリペプチドを有効成分とする、IL−6受容体作動薬、
〔7〕 〔2〕に記載のポリペプチドを有効成分とする、IL−6受容体阻害薬、
〔8〕 以下の工程(a)〜(c)を含む、IL−6受容体に対してアゴニストもしくはアンタゴニスト活性を有するポリペプチドの製造方法、
(a)〔4〕に記載のベクターを細胞へ導入する工程、
(b)前記細胞を培養する工程、
(c)前記細胞培養物からIL−6受容体に対してアゴニストもしくはアンタゴニスト活性を有するポリペプチドを回収する工程
を、提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、IL−6受容体のアゴニストもしくはアンタゴニスト活性を有するポリペプチドが提供された。本発明のポリペプチドの開発により、従来のMRAの作用低下あるいはアナフィラキシー出現の危険性を排除することができる。また、本発明のポリペプチドはより低分子で経口可能な安全性の高いIL−6機能エフェクター分子であり、非常に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、IL−6受容体のアゴニストもしくはアンタゴニスト活性を有するポリペプチド(本明細書において単に「本発明のポリペプチド」と記載する場合あり)に関する。
【0016】
本発明のポリペプチドの好ましい態様としては、例えば、以下の(1)〜(4)に記載のポリペプチドが挙げられる。
(1)配列番号:1に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド
(2)配列番号:1に記載のアミノ酸配列において1もしくは複数のアミノ酸が付加、欠失もしくは置換されたアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、IL−6受容体に対してアゴニスト活性を有するポリペプチド
(3)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド
(4)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1もしくは複数のアミノ酸が付加、欠失もしくは置換されたアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、IL−6受容体に対してアンタゴニスト活性を有するポリペプチド
【0017】
本発明のポリペプチドは、天然のタンパク質のほか、遺伝子組み換え技術を利用した組換えタンパク質として調製することができる。組換えタンパク質は、本発明のポリペプチドをコードするDNAで形質転換した細胞を培養することにより調製することが可能である。
【0018】
本発明のポリペプチドは、必ずしも具体的に示される上記のポリペプチド(配列番号:1または2)のみに限定されるものではない。本発明のポリペプチドと機能的に同等なポリペプチド(例えば、IL-6Rと実質的に結合する活性、もしくはIL-6Rに対してアゴニストもしくはアンタゴニスト活性を有するポリペプチド)であれば、いかなる形態(構造)のポリペプチドであってもよい。例えば、配列番号:1または2に記載のアミノ酸配列において1もしくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、実質的にIL-6Rと結合する機能を有するポリペプチド、またはIL-6Rに対してアゴニストもしくはアンタゴニスト活性を有するポリペプチドは本発明のポリペプチドに含まれる。
【0019】
具体的なアミノ酸配列(例えば、配列番号:1または2)が開示された場合においては、当業者であれば、これらアミノ酸配列を基に、適宜アミノ酸が改変された配列からなるポリペプチドを作製し、当該ポリペプチドについて、上述の機能を有するか否かを評価し、本発明のポリペプチドを適宜選択することが可能である。
【0020】
例えば、所望のポリペプチドについてIL-6Rとの結合活性(相互作用活性)は、当業者においては、公知の技術、例えば、免疫沈降法及びプルダウンアッセイ等を利用して、適宜、評価(測定)することができる。
【0021】
また、本発明のポリペプチドは、上記ポリペプチドにおいて、IL-6Rとの結合領域を有する部分断片ペプチドであってもよい。
【0022】
また、本発明のポリペプチドは、配列番号:1または2に記載のポリペプチドの改変体であって、IL-6Rと実質的に結合する機能を有するポリペプチドであってもよい。
【0023】
これらのポリペプチドは、通常、配列番号:1または2に記載のアミノ酸配列において、1もしくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドである。
【0024】
本明細書において用いられる「ポリペプチド」は、複数のアミノ酸からなる重合体を意味し、そのアミノ酸の長さは特に制限されない。従って、本発明のポリペプチドには、所謂「オリゴペプチド」および「タンパク質」も含まれる。ポリペプチドは、天然に存在する状態から修飾されていないもの、および修飾されているものの双方を含む。修飾としては、アセチル化、アシル化、ADP-リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合の形成、メチル化、脱メチル化、共有架橋の形成、シスチンの形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、γ-カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解処理、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化のようなタンパク質へのアミノ酸の転移RNA媒介付加、ユビキチン化等が含まれる。
【0025】
なお、本発明のポリペプチドは、特に制限されないが、配列番号:1または2に記載のポリペプチドにおいてN末端およびC末端のそれぞれから最初のシステイン残基(例えば、配列番号1のN末端から3番目およびC末端から2番目のシステイン)を有しているものが好ましい。これらのシステイン残基間は、特に制限されないが、架橋を形成(例えば、SS結合等)していてもよい。
【0026】
本発明のポリペプチドは、そのアミノ酸配列に従って、一般的な化学合成法により製造することが可能であり、該方法には、通常の液相法および固相法によるペプチド合成法が包含される。かかるペプチド合成法は、より詳しくはアミノ酸配列の情報に基づいて、各アミノ酸を1個ずつ逐次合成させて鎖を延長していくステップワイズエロンゲーション法と、アミノ酸数個からなるフラグメントを予め合成し、次いで各フラグメントをカップリング反応させるフラグメント・コンデンセーション法を包含し、本発明のポリペプチドの合成は、いずれの方法を用いてもよい。
【0027】
このようなペプチド合成法にて用いられる縮合法も、各種方法に従って行うことができる。その具体例としては、例えばアジド法、混合酸無水物法、DCC法、活性エステル法、酸化還元法、DPPA(ジフェニルホスホリルアジド)法、ウッドワード法等を例示できる。
【0028】
これら各種方法に利用できる溶媒もまた、一般的に使用されるものを適宜利用することができる。その例としては、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサホスホロアミド、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル等及びこれらの混合溶媒等を挙げることができる。なお、上記ペプチド合成反応に際して、反応に関与しないアミノ酸およびペプチドにおけるカルボキシル基は、一般にはエステル化により、例えばメチルエステル、エチルエステル、第三級ブチルエステル等の低級アルキルエステル、例えばベンジルエステル、P−メトキシベンジルエステル、P−ニトロベンジルエステルアラルキルエステル等として保護することができる。また、側鎖に官能基を有するアミノ酸、例えばTyrの水酸基は、アセチル基、ベンジル基、ベンジルオキシカルボニル基、第三級ブチル基等で保護されてもよいが、必ずしもかかる保護は必須ではない。また、例えば、Argのグアニジノ基は、ニトロ基、トシル基、2−メトキシベンゼンスルホニル基、メチシレン−2−スルホニル基、ベンジルオキシカルボニル基、イソボルニルオキシカルボニル基、アダマンチルオキシカルボニル基等の適当な保護基により保護することができる。
【0029】
上記のようにして得ることが可能な本発明のポリペプチドは、通常の方法に従って、例えばイオン交換樹脂、分配クロマトグラフィー、ゲルクロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、向流分配法等のペプチド化学の分野で汎用されている方法に従って、適宜、精製を行うことができる。
【0030】
本発明のポリペプチドは、例えば配列番号:1または2に記載のポリペプチド、または該ポリペプチドをコードするDNA核酸分子を合成し、次いで適当な発現ベクターへ導入した後、宿主細胞内において発現させる遺伝子工学的手法によっても取得することができる。
【0031】
一例を示せば、まず配列番号:1または2に記載されたアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを合成する。該方法としては、リン酸トリエステル法やリン酸アミダイト法などの化学合成手段〔J. Am.Chem. Soc.、89、4801 (1967);同 91、3350 (1969);Science、 150、178 (1968);Tetrahedron Lett.、22、1859 (1981);同 24、245 (1983)〕及びそれらの組合せ方法などが例示できる。より具体的には、DNAの合成は、ホスホルアミダイト法またはトリエステル法による化学合成により行うこともでき、市販されている自動ポリヌクレオチド合成装置上で行うこともできる。二本鎖断片は、相補鎖を合成し、適当な条件下で該鎖を共にアニーリングさせるか、または適当なプライマー配列と共にDNAポリメラーゼを用い相補鎖を付加するかによって、化学合成した一本鎖生成物から得ることもできる。
【0032】
本発明のポリペプチドには、例えば、本発明者らによって配列番号:1または2からなるポリペプチドと機能的に同等なポリペプチドが含まれる。ここで「機能的に同等」とは、対象となるポリペプチドが、配列番号:1または2からなるポリペプチドと同様の(同等の)生物学的あるいは生化学的機能(活性)を有することを指す。このような機能としては、例えば該ポリペプチドが有する機能、即ち、IL-6Rと結合する機能、IL-6Rに対するアゴニストもしくはアンタゴニスト活性等を挙げることができる。対象となるポリペプチドが、上記ポリペプチドと同等の生物学的あるいは生化学的な機能(活性)を有しているか否かは、例えばIL-6Rとの結合活性、または後述の細胞アッセイ等を実施することにより適宜評価することが可能である。
【0033】
あるポリペプチドと機能的に同等なポリペプチドを調製するための、当業者によく知られた方法としては、例えばポリペプチド中のアミノ酸配列に変異を導入する方法が挙げられる。具体的には当業者であれば部位特異的変異誘発法(Hashimoto-Gotoh、T. et al. (1995) Gene 152、271-275、Zoller、MJ、and Smith、M.(1983) Methods Enzymol. 100、468-500、Kramer、W. et al. (1984) Nucleic Acids Res. 12、9441-9456、Kramer W、and Fritz HJ(1987) Methods. Enzymol. 154、350-367、Kunkel、TA(1985) Proc Natl Acad Sci USA. 82、488-492、Kunkel (1988) Methods Enzymol. 85、2763-2766)などを用いて、配列番号:1または2に記載のアミノ酸配列に適宜変異を導入することにより、該ポリペプチドと機能的に同等なポリペプチドを調製することができる。また、ポリペプチド中のアミノ酸の変異は自然に生じることもある。このように、人工的か自然に生じたものかを問わず、本発明者らにより同定されたポリペプチド(配列番号:1または2)のアミノ酸配列において1もしくは複数のアミノ酸配列が変異したアミノ酸配列を有し、該ポリペプチドと機能的に同等なポリペプチドは、本発明のポリペプチドに含まれる。
【0034】
上記変異体における、変異するアミノ酸数は、本発明のポリペプチドの有する機能が保持される限り制限はないが、通常10アミノ酸以内であり、好ましくは5アミノ酸以内であり、より好ましくは3アミノ酸以内であり、さらに好ましくは1もしくは2アミノ酸である。なお、本発明のポリペプチドのN末端もしくはC末端へ、さらにポリペプチドが付加される場合には、本発明のポリペプチドの機能が保持される限りにおいてその付加されるポリペプチドの長さは制限されないが、通常、100アミノ酸以内であり、好ましくは50アミノ酸以内であり、より好ましくは10アミノ酸以内であり、さらに好ましくは5アミノ酸以内であり、最も好ましくは1〜4アミノ酸である。
【0035】
変異するアミノ酸残基としては、アミノ酸側鎖の性質が保存されている別のアミノ酸に変異されることが望ましい。例えばアミノ酸側鎖の性質としては、疎水性アミノ酸(A、I、L、M、F、P、W、Y、V)、親水性アミノ酸(R、D、N、C、E、Q、G、H、K、S、T)、脂肪族側鎖を有するアミノ酸(G、A、V、L、I、P)、水酸基含有側鎖を有するアミノ酸(S、T、Y)、硫黄原子含有側鎖を有するアミノ酸(C、M)、カルボン酸及びアミド含有側鎖を有するアミノ酸(D、N、E、Q)、塩基含有側鎖を有するアミノ離(R、K、H)、芳香族含有側鎖を有するアミノ酸(H、F、Y、W)を挙げることができる(括弧内はいずれもアミノ酸の一文字表記を表す)。好ましくは、配列番号:1または2で示されるポリペプチドにおいて、C末端側2番目のアミノ酸からN末端側7番目までのアミノ酸の領域が保存されていることが好ましい。
【0036】
あるアミノ酸配列に対する1または複数個のアミノ酸残基の欠失、付加及び/又は他のアミノ酸による置換により修飾されたアミノ酸配列を有するポリペプチドがその生物学的機能(活性)を維持し得ることはすでに知られている(Mark、D. F. et al.、Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1984) 81、5662-5666、Zoller、M. J. & Smith、M. Nucleic Acids Research (1982) 10、6487-6500 、Wang、A. et al.、Science 224、1431-1433 、Dalbadie-McFarland、 G. et al.、Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1982) 79、6409-6413)。
【0037】
本発明のポリペプチドのアミノ酸配列に複数個のアミノ酸残基が付加されたポリペプチドには、これらポリペプチドを含む融合ポリペプチドが含まれる。融合ポリペプチドは、これらポリペプチドと他のペプチド又はポリペプチドとが融合したものである。融合ポリペプチドを作製する方法は、本発明のポリペプチド(配列番号:1または2)をコードするポリヌクレオチドと他のペプチド又はポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをフレームが一致するように連結してこれを発現ベクターに導入し、宿主で発現させればよく、当業者に公知の手法を用いることができる。本発明のポリペプチドとの融合に付される他のペプチド又はポリペプチドは、特に制限されない。
【0038】
本発明のポリペプチドとの融合に付される他のペプチドとしては、例えばFLAG(Hopp、T. P. et al.、BioTechnology (1988) 6、1204-1210)、6個のHis(ヒスチジン)残基からなる6×His、10×His、インフルエンザ凝集素(HA)、ヒトc-mycの断片、VSV-GPの断片、p18HIVの断片、T7-tag、HSV-tag、E-tag、SV40T抗原の断片、lck tag、α-tubulinの断片、B-tag、Protein Cの断片等の公知のペプチドを使用することができる。また、本発明のポリペプチドとの融合に付される他のタンパク質としては、例えば、GST(グルタチオン−S−トランスフェラーゼ)、HA(インフルエンザ凝集素)、イムノグロブリン定常領域、β−ガラクトシダーゼ、MBP(マルトース結合タンパク質)等が挙げられる。市販されているこれらペプチドまたはポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと融合させ、これにより調製された融合ポリヌクレオチドを発現させることにより、融合ポリペプチドを調製することができる。
【0039】
またあるポリペプチドと機能的に同等なポリペプチドを調製する当業者によく知られた他の方法としては、ハイブリダイゼーション技術(Sambrook、J et al.、Molecular Cloning 2nd ed.、9.47-9.58、Cold Spring Harbor Lab. press、1989)を利用する方法が挙げられる。即ち、当業者であれば、本発明のポリペプチド(例えば、配列番号:1または2)をコードするポリヌクレオチドもしくはその一部をもとに、同種または異種生物由来のポリヌクレオチド試料から、これと相同性の高いポリヌクレオチドを単離して、該ポリヌクレオチドから本発明のポリペプチドと機能的に同等なポリペプチドを単離することも通常行いうることである。
【0040】
本発明には、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドであって、本発明のポリペプチドと機能的に同等なポリペプチドが含まれる。
【0041】
本発明のポリペプチドと機能的に同等なポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを単離するためのハイブリダイゼーションの条件は、当業者であれば適宜選択することができる。ハイブリダイゼーションの条件としては、例えば、低ストリンジェントな条件が挙げられる。低ストリンジェントな条件とは、ハイブリダイゼーション後の洗浄において、例えば42℃、0.1×SSC、0.1%SDSの条件であり、好ましくは50℃、0.1×SSC、0.1%SDSの条件である。より好ましいハイブリダイゼーションの条件としては、高ストリンジェントな条件が挙げられる。高ストリンジェントな条件とは、例えば65℃、5×SSC及び0.1%SDSの条件である。これらの条件において、温度を上げる程に高い相同性を有するDNAが効率的に得られることが期待できる。但し、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響する要素としては温度や塩濃度など複数の要素が考えられ、当業者であればこれら要素を適宜選択することで同様のストリンジェンシーを実現することが可能である。
【0042】
本発明のポリペプチドは「成熟」ポリペプチドの形であっても、融合ポリペプチドのような、より大きいポリペプチドの一部であってもよい。本発明のポリペプチドには、リーダー配列、プロ配列、多重ヒスチジン残基のような精製に役立つ配列、または組換え生産の際の安定性を確保する付加的配列などが含まれていてもよい。
【0043】
これらハイブリダイゼーション技術や遺伝子増幅技術により単離されるポリヌクレオチドがコードする、本発明のポリペプチドと機能的に同等なポリペプチドは、通常、該ポリペプチド(配列番号:1または2)とアミノ酸配列において高い相同性を有する。本発明のポリペプチドには、配列番号:1または2に記載のポリペプチドと機能的に同等であり、かつ該ポリペプチドのアミノ酸配列と高い相同性を有するポリペプチドも含まれる。高い相同性とは、アミノ酸レベルにおいて、通常、少なくとも50%以上の同一性、好ましくは75%以上の同一性、さらに好ましくは85%以上の同一性、さらに好ましくは95%以上(例えば、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上)の同一性を指す。ポリペプチドの相同性を決定するには、文献(Wilbur、W. J. and Lipman、D. J. Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1983) 80、726-730)に記載のアルゴリズムに従えばよい。
【0044】
アミノ酸配列の同一性は、例えば、Karlin and Altschul によるアルゴリズムBLAST (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264-2268、1990、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-5877、 1993)によって決定することができる。このアルゴリズムに基づいて、BLASTXと呼ばれるプログラムが開発されている(Altschul et al. J. Mol. Biol.215: 403-410、1990)。BLASTXによってアミノ酸配列を解析する場合には、パラメーターは例えば、score = 50、wordlength = 3とする。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合には、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。これらの解析方法の具体的な手法は公知である(http://www.ncbi.nlm.nih.gov.)。
【0045】
本発明のポリペプチドは、当業者に公知の方法により、組み換えポリペプチドとして調製することが可能である。例えば、本発明のポリペプチド(例えば、配列番号:1または2)をコードするポリヌクレオチドを、適当な発現ベクターに組み込み、これを適当な宿主細胞に導入して得た形質転換体を回収し、抽出物を得た後、イオン交換、逆相、ゲル濾過などのクロマトグラフィー、あるいは本発明のポリペプチドに対する抗体をカラムに固定したアフィニティークロマトグラフィーにかけることにより、または、さらにこれらのカラムを複数組み合わせることにより精製し、調製することが可能である。
【0046】
また、本発明のポリペプチドをグルタチオンS-トランスフェラーゼタンパク質との融合ポリペプチドとして、あるいはヒスチジンを複数付加させた組み換えポリペプチドとして宿主細胞(例えば、動物細胞や大腸菌など)内で発現させた場合には、発現させた組み換えポリペプチドはグルタチオンカラムあるいはニッケルカラムを用いて精製することができる。融合ポリペプチドの精製後、必要に応じて融合ポリペプチドのうち、目的のポリペプチド以外の領域を、トロンビンまたはファクターXaなどにより切断し、除去することも可能である。
【0047】
また、本発明のポリペプチドは例えば、IL-6R結合領域を認識する抗体の作製、および、IL-6Rとの結合を変化させる化合物のスクリーニング等に利用することが可能である。
本発明のポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドをコードし得るものであればいかなる形態でもよい。即ち、mRNAから合成されたcDNAであるか、ゲノムDNAであるか、化学合成DNAであるかなどを問わない。また、本発明のポリペプチドをコードしうる限り、遺伝暗号の縮重に基づく任意の塩基配列を有するポリヌクレオチドが含まれる。
【0048】
また、本発明のポリヌクレオチドの作成においては、発現に使用する宿主のコドン使用頻度を考慮し、より発現効率の高い塩基配列を設計することができる(Grantham、 R. et al.、 Nucelic Acids Research (1981) 9、r43-74)。また、本発明のポリヌクレオチドは、市販のキットや公知の方法によって改変することができる。改変としては、例えば、制限酵素による消化、合成オリゴヌクレオチドや適当なDNAフラグメントの挿入、リンカーの付加、開始コドン(ATG)及び/又は終止コドン(TAA、TGA、又はTAG)の挿入等が挙げられる。
【0049】
また本発明は、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、および該ポリヌクレオチドを有するベクターを提供する。さらに、本発明のポリヌクレオチド、または、上記ベクターを含む宿主細胞に関する。
【0050】
また本発明は、本発明のポリペプチド、または該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むベクターを有効成分とする、IL-6R作動薬(IL-6R作用薬)もしくはIL-6R阻害薬(本明細書においては単に「本発明の薬剤」と記載する場合あり)を提供する。
【0051】
上記ベクターとしては、通常、本発明のポリペプチドをコードするDNAを担持するプラスミドもしくはウイルスベクターが一般的である。当業者においては、所望のDNAを有するベクターを、一般的な遺伝子工学技術によって、適宜、作製することが可能である。通常、市販の種々のベクターを利用することができる。
【0052】
本発明のベクターは、宿主細胞内において本発明のポリヌクレオチドを保持したり、本発明のポリペプチドを発現させるためにも有用である。
【0053】
本発明におけるポリヌクレオチドは、通常、適当なベクターへ担持(挿入)され、宿主細胞へ導入される。該ベクターとしては、挿入したDNAを安定に保持するものであれば特に制限されず、例えば宿主に大腸菌を用いるのであれば、クローニング用ベクターとしてpBluescriptベクター(Stratagene社製)などが好ましいが、市販の種々のベクターを利用することができる。本発明のポリペプチドを生産する目的としてベクターを用いる場合には、特に発現ベクターが有用である。発現ベクターとしては、試験管内、大腸菌内、培養細胞内、生物個体内でポリペプチドを発現するベクターであれば特に制限されないが、例えば、試験管内発現であればpBESTベクター(プロメガ社製)、大腸菌であればpETベクター(Invitrogen社製)、培養細胞であればpME18S-FL3ベクター(GenBank Accession No. AB009864)、生物個体であればpME18Sベクター(Mol Cell Biol. 8:466-472(1988))などを例示することができる。ベクターへの本発明の核酸の挿入は、常法により、例えば、制限酵素サイトを用いたリガーゼ反応により行うことができる。
【0054】
上記宿主細胞としては特に制限はなく、目的に応じて種々の宿主細胞が用いられる。ポリペプチドを発現させるための細胞としては、例えば、細菌細胞(例:ストレプトコッカス、スタフィロコッカス、大腸菌、ストレプトミセス、枯草菌)、昆虫細胞(例:ドロソフィラS2、スポドプテラSF9)、動物細胞(例:CHO、COS、HeLa、C127、3T3、BHK、HEK293、Bowesメラノーマ細胞)および植物細胞を例示することができる。宿主細胞へのベクター導入は、例えば、リン酸カルシウム沈殿法、電気パルス穿孔法(Current protocols in Molecular Biology edit. Ausubel et al. (1987) Publish. John Wiley & Sons.Section 9.1-9.9)、リポフェクション法(GIBCO-BRL社製)、マイクロインジェクション法などの公知の方法で行うことが可能である。
【0055】
宿主細胞において発現したポリペプチドを小胞体の内腔に、細胞周辺腔に、または細胞外の環境に分泌させるために、適当な分泌シグナルを目的のポリペプチドに組み込むことができる。これらのシグナルは目的のポリペプチドに対して内因性であっても、異種シグナルであってもよい。
【0056】
上記製造方法におけるポリペプチドの回収は、本発明のポリペプチドが培地に分泌される場合は、培地を回収する。本発明のポリペプチドが細胞内に産生される場合は、その細胞をまず溶解し、その後にポリペプチドを回収する。
【0057】
組換え細胞培養物から本発明のポリペプチドを回収し精製するには、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、アニオンまたはカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィーおよびレクチンクロマトグラフィーを含めた公知の方法を用いることができる。
【0058】
本発明は、上述の方法によってポリペプチドを回収する工程を含む、IL−6受容体に対してアゴニストもしくはアンタゴニスト活性を有するポリペプチドの製造方法もまた本発明に含まれる。
【0059】
本発明の製造方法の好ましい態様としては、例えば、以下の工程(a)〜(c)を含む方法が挙げられる。
(a)本発明のベクターを細胞へ導入する工程、
(b)前記細胞を培養する工程、
(c)前記細胞培養物からIL−6受容体に対してアゴニストもしくはアンタゴニスト活性を有するポリペプチドを回収する工程
【0060】
また、動物の生体内で本発明のポリヌクレオチド(DNA)を発現させる方法としては、本発明のDNAを適当なベクターに組み込み、例えば、レトロウィルス法、リポソーム法、カチオニックリポソーム法、アデノウィルス法などにより生体内に導入する方法などが挙げられる。これにより、癌治療を行うことが可能である。用いられるベクターとしては、例えば、アデノウイルスベクターやレトロウイルスベクターなどが挙げられるが、これらに制限されない。ベクターへの本発明のDNAの挿入などの一般的な遺伝子操作は、常法に従って行うことが可能である(Molecular Cloning、5.61-5.63)。生体内への投与は、ex vivo法であっても、in vivo法であってもよい。
【0061】
本発明の薬剤は、IL-6の異常生産(IL-6増加もしくは減少等)に伴う疾患に対して予防・もしくは治療効果を有する。従って、本発明は、本発明の上記薬剤を有効成分とする、IL-6の異常生産に伴う疾患の治療剤を提供する。該疾患の例として、例えば、慢性関節リウマチ、血管炎症候群、二次性アミロイドーシス、キャッスルマン病、間質性肺炎(LIP)、増殖性糸球体腎炎、炎症性腸疾患(クローン病)、腎移植に伴う拒絶、骨粗鬆症、エイズ、IL−6産生腫瘍(多発性骨髄腫、腎癌、子宮頸癌、肺癌、心房粘液腫)あるいは悪液質などが挙げられる。
【0062】
また、本発明の薬剤は、「治療剤」、「医薬品」、「医薬組成物」、「治療用医薬」等と表現することもできる。
【0063】
なお、本発明における「治療」には、疾患の発症を予め抑制し得る予防的な効果も含まれる。また、必ずしも、完全な治療効果を有する場合に限定されず、部分的な効果を有する場合であってもよい。
【0064】
本発明の薬剤は、生理学的に許容される担体、賦形剤、あるいは希釈剤等と混合し、医薬組成物として経口、あるいは非経口的に投与することができる。経口剤としては、顆粒剤、散剤、錠剤、カプセル剤、溶剤、乳剤、あるいは懸濁剤等の剤型とすることができる。非経口剤としては、注射剤、点滴剤、外用薬剤、あるいは座剤等の剤型を選択することができる。注射剤には、皮下注射剤、筋肉注射剤、あるいは腹腔内注射剤等を示すことができる。外用薬剤には、経鼻投与剤、あるいは軟膏剤等を示すことができる。主成分である本発明の薬剤を含むように、上記の剤型とする製剤技術は公知である。
【0065】
例えば、経口投与用の錠剤は、本発明の薬剤に賦形剤、崩壊剤、結合剤、および滑沢剤等を加えて混合し、圧縮整形することにより製造することができる。賦形剤には、乳糖、デンプン、あるいはマンニトール等が一般に用いられる。崩壊剤としては、炭酸カルシウムやカルボキシメチルセルロースカルシウム等が一般に用いられる。結合剤には、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、あるいはポリビニルピロリドンが用いられる。滑沢剤としては、タルクやステアリン酸マグネシウム等が公知である。
【0066】
本発明の薬剤を含む錠剤は、マスキングや、腸溶性製剤とするために、公知のコーティングを施すことができる。コーティング剤には、エチルセルロースやポリオキシエチレングリコール等を用いることができる。
【0067】
また注射剤は、主成分である本発明の薬剤を適当な分散剤とともに溶解、分散媒に溶解、あるいは分散させることにより得ることができる。分散媒の選択により、水性溶剤と油性溶剤のいずれの剤型とすることもできる。水性溶剤とするには、蒸留水、生理食塩水、あるいはリンゲル液等を分散媒とする。油性溶剤では、各種植物油やプロピレングリコール等を分散媒に利用する。このとき、必要に応じてパラベン等の保存剤を添加することもできる。また注射剤中には、塩化ナトリウムやブドウ糖等の公知の等張化剤を加えることができる。更に、塩化ベンザルコニウムや塩酸プロカインのような無痛化剤を添加することができる。
【0068】
また、本発明の薬剤を固形、液状、あるいは半固形状の組成物とすることにより外用剤とすることができる。固形、あるいは液状の組成物については、先に述べたものと同様の組成物とすることで外用剤とすることができる。半固形状の組成物は、適当な溶剤に必要に応じて増粘剤を加えて調製することができる。溶剤には、水、エチルアルコール、あるいはポリエチレングリコール等を用いることができる。増粘剤には、一般にベントナイト、ポリビニルアルコール、アクリル酸、メタクリル酸、あるいはポリビニルピロリドン等が用いられる。この組成物には、塩化ベンザルコニウム等の保存剤を加えることができる。また、担体としてカカオ脂のような油性基材、あるいはセルロース誘導体のような水性ゲル基材を組み合わせることにより、座剤とすることもできる。
【0069】
本発明の薬剤を遺伝子治療剤として使用する場合は、本発明の薬剤を注射により直接投与する方法のほか、核酸が組込まれたベクターを投与する方法が挙げられる。上記ベクターとしては、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター等が挙げられ、これらのウイルスベクターを用いることにより効率よく投与することができる。
【0070】
また、本発明の薬剤をリポソームなどのリン脂質小胞体に導入し、その小胞体を投与することも可能である。例えば、本発明のポリペプチドもしくはベクターを保持させた小胞体をリポフェクション法により所定の細胞に導入する。そして、得られる細胞を例えば静脈内、動脈内等に全身投与する。癌組織等に局所的に投与することもできる。
【0071】
本発明の薬剤は、安全とされている投与量の範囲内において、ヒトを含む哺乳動物に対して、必要量(有効量)が投与される。本発明の薬剤の投与量は、剤型の種類、投与方法、患者の年齢や体重、患者の症状等を考慮して、最終的には医師または獣医師の判断により適宜決定することができる。一例を示せば、年齢、性別、症状、投与経路、投与回数、剤型によって異なるが、例えばアデノウィルスの場合の投与量は1日1回あたり106〜1013個程度であり、1週〜8週間隔で投与される。
【0072】
また本発明のポリペプチドを細胞内へ導入することによって、IL-6とIL-6Rとの結合を阻害することができる。従って、本発明は、本発明のポリペプチドを有効成分として含む、IL-6とIL-6Rとの結合阻害剤を提供する。また、本発明のポリペプチドを細胞内へ導入することを特徴とする、IL-6とIL-6Rとの結合を阻害する方法を提供する。
【0073】
本方法において「ポリペプチドを細胞内へ導入する」とは、該ポリペプチド直接細胞内へ導入することに加えて、例えば、該ポリペプチドを発現し得るベクターを細胞内へ導入することも含まれる。
【0074】
細胞内への導入は、例えば本発明のポリペプチドを脂溶性の高い物質、例えばリポソームなどのリン脂質小胞体に導入し、その小胞体を導入することによって実施することができる。あるいは別の態様として、該ポリペプチドを細胞内へ移行する活性を有する分子(薬物)と結合(修飾)させることによっても行うことができる。該分子としては、ペプチドあるいは核酸の移行の際に利用可能な、種々の公知の物質、例えば、担体、運搬体、ベクター、デリバリー分子、キャリア分子等を利用することができる。
【実施例】
【0075】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0076】
〔実施例1〕
スリーフィンガー様スキャフォールドの蛋白質ライブラリの作製
インビトロウイルス(IVV)法による進化分子工学を用いて、標的と結合しうるスリーフィンガー型のポリペプチドを取得するために、3つのループ領域をランダム化した蛋白質ライブラリ(3F−IVVライブラリ)を作製した。スリーフィンガー様スキャフォールドのシステインのフレームワークは、いくつかの短い神経毒の間で保存されていることが知られている。アセチルコリンレセプターへの結合に関与すると推定されているアミノ酸を含む部分およびその周辺のアミノ酸残基をランダム化した。ループIのT5−P10(6アミノ酸)、ループIIのK25−V34(10アミノ酸)およびループIIIのA46−H52(7アミノ酸)をランダム化した(図1)。ベータシートを形成しているアミノ酸は変更しなかった。
【0077】
3F−IVVライブラリ用の全長コンストラクトの調製:
3F−IVVライブラリ用の全長コンストラクトは、ループ部分のアミノ酸配列をランダム化したCTx3遺伝子の5’側にSP6プロモーター、キャップ部位、Xenopusグロブリン非翻訳配列(UTR)および翻訳開始部位を含むSP6−UTRフラグメントを付加し、3’側にスペーサー(GGGS)2、C−末端His6−タグ、スペーサー(GGGS)およびY−タグ配列を付加するよう設計した(図2)。SP6−UTRはCT3x遺伝子のインビトロ転写および翻訳のために、His6−タグ配列はライブラリの精製のために、Y−タグ配列はmRNAとピューロマイシンリンカーへのライゲーションのために、それぞれ付加されている。
【0078】
CTx3のヌクレオチド配列を4つのフラグメントに分割し、各フラグメントに対応するオリゴヌクレオチドを慣用のホスホルアミダイト化学により合成した。最初の3つのフラグメントはそれぞれ、3F遺伝子のループ配列に対応するランダム化ヌクレオチドおよび非ランダム化ベータシート配列に対応するヌクレオチドを含む。第1のフラグメントの5’末端にはSP6−UTRの一部が含まれている。第4のフラグメントは、Y−タグ、スペーサー(GGGS)2、C−末端His−タグ、スペーサー(GGGS)を含む。これらの4つのフラグメントは、それぞれ3’側にオーバーラップ配列を含む。この実験に用いたオリゴヌクレオチドの一覧を以下に示す。NはA、G、CまたはTを表し、SはCまたはGを表す。
【0079】
F1: 5'-CGCTCAACTTTGGCAGATCTACCATGGGAGGTTCACTTGTATGTTACACA(NNS)6CCTCCTG GAACCTTAGAGACTTG-3' (配列番号:3)
F2: 5’-ACGCATGAGAACAATACTGGGTAAC(SNN)10TTTTTTAACACATGTGAAATCATCTGGACAA GTCTCTAAGGTTCCAGG-3' (配列番号:4)
F3: 5’-TCCGTTGCATTTGTCTGTTTGGCAACA(SNN)7AAACTCATAGGACGCCGGTATCGCACACGC ATGAGAACAATACTGGGT-3’(配列番号:5)
F4: 5’-tttccccgccgccccccgtcctTGAGCCACCTCCAGAACCACCGCCATGGTGGTGATGATGGTGAGACCCTCCGCCTGAGCCTCCACCTCCGTTGCATTTGTCTGTTTGG- 3’(配列番号:6)
SP6−UTR: 5’-ATTTAGGTGACACTATAGAATACAAGCTTGCTTGTTCTTTTTGCAGAAGCTCAGAATAAACG CTCAACTTTGGCAGATCTACCATGG-3’(配列番号:7)
【0080】
下線を付した配列はPCR用のオーバーラップ配列を示す。F4において、小文字で示される配列はY−タグ配列を示し、これは転写されたmRNAをピューロマイシン−リンカーにライゲーションさせるための配列である。
【0081】
ライブラリ生成のためにPCRを3工程で行った(図3を参照):
工程1 最初の3つのフラグメント(ランダム化配列を含む)のPCRによりF1−F2−F3を生成する。
工程2 F1−F2−F3とF4とのPCRによりF1−F2−F3−F4を生成する。
工程3 SP6−UTRとF1−F2−F3−F4とのPCRにより全長コンストラクトを生成する。
【0082】
PCRは、25ユニットのKODポリメラーゼ(Toyobo、Japan)および100pmoleの各フラグメントを用いて製造元から供給されたバッファ中で行った。94℃を15秒間、64℃を10秒間および74℃を30秒間を25サイクル行い、生成物を変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)により分析し、全長コンストラクト(SP6−UTR)−F1−F2−F3−F4(約370塩基対)を含む対応するバンドを切り出した。標準的な方法によりDNAを抽出し、分光高度計で260nmで測定した。100ピコモルの各フラグメントから出発して、出発物質からの最終収率24%が得られた。
【0083】
配列決定による初期ライブラリの質の評価:
次に、上述で得られた全長コンストラクトを直接配列決定してループ領域のランダム化の程度を評価した。図4に示されるように、ランダム化ヌクレオチド(ループに対応)は、非ランダム化ピークと比較して短いピークを有していた。ランダム化部分における短いピークは、種々のヌクレオチドが種々のDNAコピーの同じ位置に存在するための不適切なシグナルによるものであり、一方非ランダム化部分においてはDNAのすべてのコピーに単一のヌクレオチドが存在して、鋭い明確なピークを与える。このことは、コンストラクト中にランダム化部分が首尾良く挿入されたことを示す。
【0084】
さらに、ライブラリをクローニングして、20個の単一コロニーを無作為に取り出し、配列決定した。20個のクローンのすべてにおいて、ランダム化ヌクレオチドは異なっており、ライブラリが適切な多様性からなることが確認された。ヌクレオチドの組成についても、SについてはCまたはGのいずれか、Nについては4つのヌクレオチドのいずれかを含むことが確認された。したがって、上述の方法により作製したライブラリは、多様性および質の点で満足しうるものであった。
【0085】
ピューロマイシン・ビオチン・リンカーの合成:
IVVは、リボソーム上の発生しつつあるペプチドと、これをコードするmRNAとがピューロマイシンを介して結合している複合体である。IVVを形成するためのピューロマイシン・ビオチン・リンカーの構造を図5に示す。ビオチン・ループの3’末端は、ライゲーションしたmRNAからの逆転写の際のプライマーとして機能する。ビオチンは、IVVの精製のために用い、制限酵素部位におけるDNAの切断により、IVVを回収することができる。
【0086】
ピューロマイシン・ビオチン・リンカーは、ヘテロ二官能性試薬(EMCS)を用いて以下の2つの修飾オリゴヌクレオチドを架橋させることにより合成した。
Puro-F-S:5’-(S)-TC(F)-(Spc18)-(Spc18)-(Spc18)-(Spc18)-CC-(Puro)-3’
ビオチン・ループ:
5’-CCCGGTGCAGCTGTTTCATC(T-B)CGGAAACAGCTGCACCCCCCGCCGCCCCCCG(T)CCT-3’(配列番号:8)
【0087】
(S)は5’−チオール−モディフィアーC6、(F)はフルオレセイン−dT、(Puro)はピューロマイシンCPG、(Spc18)はスペーサーホスホルアミダイト18、(T)はアミノ−モディフィアーC6dT、(T−B)はビオチン−dTを表す。すべての修飾ホスホルアミダイト試薬はGlen Research(Sterling、VA、USA)から購入した。
【0088】
Puro−F−Sのチオール基の還元反応は室温で6時間行った。反応液は総量100μl中に10nmolのPuro−F−S、1mM TCEP、50mMリン酸バッファ(pH7)を含む。架橋反応の前に、NAP5カラム(Amersham)により50mMリン酸バッファ(pH7)を用いて生成物を精製した。
【0089】
10nmolのビオチン・ループおよび20μlのジメチルホルムアミド(DMF)中の2μmolのEMCSを0.2Mリン酸バッファ(pH7)に加えて総量100μlとした。反応混合物を室温で30分間撹拌し、NAP5カラムにより1mMリン酸バッファ(pH7)を用いて精製して、過剰のEMCSを除去した。ビオチン・ループとEMCSとのコンジュゲートを含む画分を回収し、沈殿により濃縮した後、スピードバキュームで乾燥した。生成物を10μlの0.2Mリン酸バッファ(pH7)に溶解し、上述のように還元したPuro−F−Sを加え、反応混合物を4℃で一晩撹拌することにより、Puro−F−Sとビオチン・ループとを結合させて、ピューロマイシン・ビオチン・リンカーを得た。この溶液にTCEPを最終濃度4mMで加え、室温で15分間インキュベートした。ピューロマイシン・ビオチン・リンカーおよびビオチン・ループをエタノール沈殿により濃縮して、過剰のPuro−F−Sを除去した。さらに、これを0.1M TEAAで平衡化したC18調製用カラム(5mm内径;250mm長さ;AR−300、Waters、MA、USA)に負荷し、80%アセトニトリル(15から35%)の直線勾配で0.5ml/分間で合計33分間の溶出を行うことにより、過剰のビオチン・ループを除去した。各画分を変性尿素PAGEで分析した。このようにして精製したピューロマイシン・ビオチン・リンカーはスピードバキュームで乾燥し、ジエチルピロカーボネート(DEPC)処理水で10μMの最終濃度に希釈した。
【0090】
ライブラリDNAの転写:
ランダム化CTx3遺伝子の全長コンストラクトDNAを94℃に加熱し、ゆっくり冷却することによりアニーリングさせて、適切に塩基対形成した二本鎖DNAを形成した。テンプレートDNAを、Ribo MAX大量合成システム(Promega、Madison、USA)を用いて、SP6RNAポリメラーゼにより転写させて、mRNAを生成した。DNaseIを加えることにより反応を停止させ、フェノール/クロロホルム法により精製した。RNA濃度は分光光度計により260nmで測定した。
【0091】
ピューロマイシン−リンカーのmRNAへのライゲーション:
mRNAのYタグ配列をリンカーにアニーリングさせ、ライゲーション部位でT4 RNAリガーゼによりライゲーションさせて、mRNAとピューロマイシン・ビオチン・リンカーとを結合させた。mRNAは、1xリガーゼバッファ(Takara、Japan)中で94℃に加熱し、ゆっくり冷却することにより、Y−タグ配列を介してピューロマイシン・ビオチン・リンカー(1:1比)とアニーリングさせた。T4キナーゼおよびT4RNAリガーゼ(Takara、Japan)を加え、25℃で1時間反応させることにより、mRNAとピューロマイシン・ビオチン・リンカーとをライゲーションさせた(図5B)。生成したmRNA−ピューロマイシン・ビオチン・リンカーは、RNeasyキット(Qiagen)を用いて精製した。ライゲーション効率および生成物の純度はポリアクリルアミドゲル電気泳動により確認した。
【0092】
インビトロウイルス形成:
mRNA−ピューロマイシン・ビオチン・リンカーを、Rectic Lysate IVT Kit(Ambion、Texas、USA)を用いて30℃で10分間翻訳させた。翻訳後、65mM MgClおよび750mM KClの存在下で37℃で2時間インキュベートすることにより、mRNA−ピューロマイシン・ビオチン・リンカー−蛋白質の複合体を形成させた。この複合体をビオチン−ストレプトアビジン相互作用を利用して精製し、続いてM−MLV逆転写酵素(Takara、Japan)反応により、DNA/RNAハイブリッドを形成した。次に、DNA/mRNA−ピューロマイシン・ビオチン・リンカー−蛋白質を制限酵素PvuIIで消化することにより、ビオチン−ストレプトアビジン複合体から切断した。得られたDNA/mRNA−ピューロマイシン−蛋白質を、C−末端His6−タグを利用してNi−NTA磁気ビーズ(Qiagen)により精製し、Beacon2000(Panvera、Wisconsin、USA)により定量した。以上のようにして、3F−IVVライブラリを形成した。推計サイズ1×1011の分子が得られ、これを以後の実験においてIL−6R結合蛋白質の選択の出発物質として用いた。
【0093】
ライブラリの質の評価:
初代3F−IVVライブラリのアフィニティーを固定化IL−6RおよびCTx3の天然のリガンドであるAChBPに対する結合アッセイにより調べて、ライブラリの質を評価した。等量の3F−IVVライブラリを250nMの固定化IL−6RまたはAChBPとともにPBS中で室温で30分間インキュベートした。PBS−Tで数回洗浄した後、結合した物質を溶出し、PCR増幅し、ゲル電気泳動により分析した。PCRプライマーの配列は以下のとおりである:
【0094】
PCR-フォワード: 5’-GAAGCTCAGAATAAACGCTCAACTTTGGCAGATCT-3’(配列番号:9)
PCR-リバース: 5’-TTTCCCCGCCGCCCCCCGTCCTGCTTCCGCCGTGATGAT-3’(配列番号:10)
3F−IVVライブラリの出発量の1/50および1/250の希釈物を用いたPCR産物も同様にゲル電気泳動して、シグナル強度の比較により、IL−6に結合した3F−IVVライブラリのパーセントを求めた。
【0095】
結果を図6に示す。ライブラリのIL−6RおよびAChBPに対する結合は、それぞれ約0.3%および0.2%であることがわかった。このことは、初代3F−IVVライブラリの両方のレセプターへの結合は無視しうる程度であることを示す。
【0096】
〔実施例2〕
3F−IVVライブラリからのIL−6R結合蛋白質の選択:
上述のようにして構築した3F−IVVライブラリを用いて、新規なIL−6Rの結合分子および/または阻害分子の発見を試みた。選択圧を順次高くする条件下で、3F−IVVライブラリの生成と選択との一連のラウンドを繰り返すことにより、IL−6Rに結合する蛋白質を選択した。
【0097】
IL−6R(−)誘導化および(IL−6R)誘導化セファロースの調製:
IL−6RをアミンカップリングによりNHS活性化セファロース4 Fast Flow(Amersham Biosciences、Uppsala、Sweden)に固定化した。同様にして、IL−6RなしのIL−6R(−)誘導化セファロース4 Fast Flowビーズを同時に調製した。カップリング効率は、初期および未結合レセプターの吸光度を280nmで測定することにより評価した。
【0098】
IL−6R結合蛋白質の選択:
3F−IVVライブラリからIL−6Rに結合する分子を選択した。選択の各ラウンドは、IL−6R(−)誘導化およびIL−6R誘導化セファロースビーズを用いて、100mMNaClおよび0.1%Tween−20を含むPBS中でバッチ選択モードで行った。
【0099】
IL−6R結合蛋白質を選択する前に、ライブラリをIL−6R(−)誘導化セファロースと2時間プレインキュベートすることにより、非特異的セファロース結合蛋白質を除去した。次に、このライブラリをIL−6Rセファロースと1時間インキュベートした。インキュベート後、IL−6Rセファロースを同じバッファで数回洗浄し、50mMDTT(ジチオスレイトール)を含む同じバッファで溶出した。溶出した生成物をPCRフォワードおよびリバースプライマーを用いてPCR増幅した。
【0100】
増幅産物を精製し、これをテンプレートとして用いて、さらにSP6−UTRを用いてPCR増幅した。得られた増幅産物をゲル精製し、上述のようにして転写させ、得られたmRNAをピューロマイシンリンカーにライゲーションさせ、翻訳させ、逆転写した。得られたIVVを精製し、Beacon2000により定量して、次のラウンドで用いた。以降の選択のラウンドにおいては、IL−6Rの濃度を300nMから30nMに、インキュベーション時間を1時間から15分間にそれぞれ徐々に減少させ、洗浄の回数を3から15に徐々に増加させることにより、選択圧を順次高くした。このようにして10ラウンドの選択を行った後、溶出したプールをPCRで増幅し、TAクローニングベクター(Invitrogen、Carlsbad)にクローニングした。
【0101】
3F−IVVライブラリからのIL−6R結合蛋白質の選択の進行をモニターするために、ラウンド5および10のDNAプールを直接配列決定した。結果を図7に示す。ランダム化部分のピークの長さは選択の進行とともに増加していた。このことは、IL−6R結合蛋白質の選択にしたがってライブラリの多様性が低下したことを示す。
【0102】
IL−6R結合蛋白質の評価:
ラウンド10のIVVプール(R10プール)のIL−6Rに対する結合能力および特異性を評価するために、種々の条件下で結合分析を行った。結果を図8に示す。図中、1/50は出発量の50倍希釈を示し、1/250は250倍希釈を示し、1/1は希釈なしを示す。R10プールは、非誘導化セファロース(ダミービーズ)について無視しうるアフィニティー(〜0.2%)を示したが、IL−6Rセファロースには有意に結合した(〜2%)。このことは、このプールがR10プールとIL−6Rとの間のアフィニティーにより濃縮されたことを示す(図8−1、2)。
【0103】
IL−6Rとのアフィニティーが蛋白質部分とDNA/mRNAハイブリッド部分とのいずれで生じているかを確認するために、R10プールをプロテイナーゼKで消化して蛋白質部分を除去した。この条件下では、プールは無視しうる程度(〜0.2%)にしかIL−6Rセファロースに結合しなかった(図8−3)。このことは、R10プールが蛋白質−DNA/mRNAハイブリッドではなく蛋白質−蛋白質相互作用を介してIL−6Rに結合したことを示す。
【0104】
さらに、8倍過剰の可溶性IL−6Rを加えて、250nMのIL−6Rセファロースとの間の競合実験を行った。溶出物は無視しうる量(〜0.2%)のIVVを含んでおり、IL−6RセファロースがR10プールに対して可溶性IL−6Rと競合したことが確認された(図8−4)。以上のことから、R10プールはIL−6Rに結合し、この結合はIVVの蛋白質部分を介して生じていることが示された。
【0105】
IL−6R結合蛋白質の配列の確認:
R10プールをクローン化し、無作為に選択した20個のクローンの一次配列を決定してアライメントにより分析した。3つのループ配列は異なるが、残りの配列はほぼ同一であった。Rはラウンドを示し、10は10番目のラウンドを示し、続く数字はクローン番号を示す。配列の分析により、プールはループ配列の類似性に基づいて5つのグループに分けることができた(図9)。ほぼ同一の配列を含むクローンの組をグループIとしてグループ化し、これは配列決定されたクローンの70%を占めた。グループIIおよびIIIがこれに続き、それぞれ約10%を含み、グループIVおよびVはそれぞれ約5%を含んでいた。非ランダム化配列は数個の変異を除いてほとんど変化していなかった。わずかの変異の存在は、おそらくはライブラリが650サイクルのPCRに供されたためにポリメラーゼのプルーフリーディングに失敗があったためであろう。
【0106】
蛋白質の調製:
得られたIL−6R結合蛋白質についてさらに詳細に調べるために、クローンR15-L1から蛋白質を調製した。蛋白質は、pBAD/TOPOThio融合発現キット(Invitrogen、Carlsbad)を用いてチオレドキシン融合蛋白質として調製した。また、対照実験において用いるためにチオレドキシンも調製した。プールのクローン化DNAをPCR増幅し(C−末端His6−タグをコード)、pBAD/TOPOThio融合発現ベクター中にクローニングし、大腸菌をトランスフォームした。配列決定によりフレームの確認を行った。
【0107】
ポジティブクローンを50μg/mlのアンピリシンを含むLB培地で16時間前培養した。少量の前培養物を新たなLB−アンピリシン培地に移し、OD600が0.5に達するまで増殖させた。培養物を0.02%アラビノースで37℃で4時間誘導した。3000rpmで20分間で細胞を回収し、1μg/mlDNase、1μg/mlRNaseおよびプロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma)の存在下でBugbuster蛋白質抽出試薬(Novagen)で溶解した。短時間インキュベーションした後、溶解物を遠心分離し、上清(可溶性画分)およびペレット(不溶性画分)に分離し、SDS−PAGEで分析した。可溶性画分は発現したペプチドのHis6−タグについてNi−NTA(Qiagen)アフィニティーで非変性条件下でほぼ均一にまで精製した。不溶性画分は精製してインクルージョンボディーとし、50mMCAPS、pH11.0、0.3%N−ラウロイルサルコシン(Novagen)および0.1%β−メルカプトエタノール(Sigma)を含むバッファに溶解し、Ni−NTAアフィニティーカラムで変性条件下でほぼ均一にまで精製した。精製後、変性した蛋白質を酸化還元条件下で再フォールディングさせた。蛋白質は、抗His抗体(Penta..HisHRP、Qiagen)によりHis6−タグについてのウエスタンブロッティングにより確認した。蛋白質濃度は、ウシ血清アルブミン(BSA)を標準物質としてBio−rad蛋白質アッセイキット(Bio−rad、Hercules、USA)により、およびBSA等の既知の蛋白質の濃度を標準としてSDS−PAGE上の蛋白質バンドのデンシトメトリにより測定した。
【0108】
直接結合アッセイ:
精製した蛋白質を7、70および700nMの濃度で、1xPBS中で1μMビオチン化IL−6Rとともに室温で1時間インキュベートした。ストレプトアビジン磁気ビーズを混合物に加え、さらに15分間インキュベートした。ビーズをPBS−T(Tween0.1%)で数回洗浄し、溶出し、抗His抗体(Penta..HisHRP、Qiagen)およびECL検出システム(Amersham Biosciences、Uppsala、Sweden)を用いて、ウエスタンブロッティングによりペプチドのHis6−タグについて分析した。バックグラウンドをモニターするために、蛋白質のSAビーズに対するアフィニティーも測定した。
【0109】
ペプチドR15-L1のIL−6Rに対する結合は、10倍増加濃度の蛋白質および一定量の1μMのIL−6Rで試験した。ペプチドは濃度依存的様式でIL−6Rに結合することが明らかになった(図10)。最も高い濃度のペプチド(700nM)で無視しうる程度のバックグラウンドが観察された。
【0110】
間接的結合アッセイ:
融合ペプチドの結合アフィニティー(Kd)は、Friguetら(Friguet、 B.、 Chaffotte、 A. F.、 Djavadi-Ohaniance、 L. and Goldberg M. E. (1985)、 J. Immunol. Methods.、 77、 305-319)に記載の方法にしたがい、いくつかの改変を加えて測定した。PBS中の一定量のペプチド(50nM)を種々の量のIL−6R(1nM−1μM)とともに、平衡に達するまでインキュベートした。また、チオレドキシンもアッセイしてバックグラウンドをモニターした。混合物を一定量の固定化IL−6R(200nM)に加え、さらに30分間インキュベートした。PBS−Tで数回洗浄した後、固定化IL−6Rに結合したペプチド(すなわち、可溶性IL−6Rに結合しない)を溶出し、抗His抗体(Penta..HisHRP、Qiagen)およびBio−rad Chemicdoc(Bio−rad、Hercules、USA)のECL検出システムを用いて、ウエスタンブロッティングによりペプチドのHis6−タグについて分析した。シグナルはデンシトメトリによりBio−rad Quantity Oneソフトウエアを用いて定量した。結果を図12に示す。検出シグナルは、可溶性レセプター濃度の増加にともなって減少し、このことは、ペプチドの可溶性レセプターへの結合は濃度依存的であることを示す。Graph Pad Prism 4(GraphPad software Inc.、SanDiego、USA)を用いてシグナル強度(Y−軸)を可溶性IL−6R濃度(X−軸)に対してプロットし、非線形回帰曲線への当てはめにより解離定数を計算した。その結果、R15-L1について解離定数115nMを得た。この範囲の解離定数での相互作用は非常に強く、イムノグロブリンに匹敵する。このことは、本発明にしたがう3F−IVVライブラリから未知の高分子標的に対して強く結合する分子を取得することが可能であることを実証する。
【0111】
阻害アッセイ:
競合阻害実験によりペプチドR15-L1によるIL−6とIL−6Rとの相互作用の阻害をアッセイした。一定量のビオチン化IL−6(45nM)および種々の量のペプチド(1nM−2μM)を一定量の固定化IL−6R(350nM)とともにインキュベーションして、IL−6Rについて競合させた。IL−6の濃度は、予め間接結合法により決定したIL−6Rの解離定数(20nM)の約2倍高い45nMと設定した。数回の洗浄の後、生成物を溶出してビオチン化IL−6(阻害分析用)およびHis6−タグペプチド(結合分析用)について、ウエスタンブロッティングおよびECL検出システムにより分析した。グラフは上述のようにしてプロットした。
【0112】
結果を図11に示す。R15-L1は濃度(用量)依存的に相互作用を阻害した。同様の条件下では、チオレドキシンは結合せず、(IL−6)−(IL−6R)相互作用を阻害しなかった。さらに、阻害は競合するペプチドのIL−6Rへの結合により生じたことが確認された(図11A2)。シグナル強度対ペプチドの濃度のプロットから、IC50を計算したところ、10nMの値が得られた(図11B)。
【0113】
特異性アッセイ:
100nMのペプチドR15-L1を1μMの種々の可溶性蛋白質(IL−6R、AChBPおよびIgG)とともに室温で1時間インキュベーションした。混合物をさらに300nMのIL−6Rセファロースとともに1時間インキュベーションして、未結合蛋白質を捕捉した。よく洗浄した後に溶出し、ウエスタンブロッティングによりペプチドのHis6−タグについて分析した。結果を図12に示す。IL−6Rのレーンは弱いバンドを含むが、AChBPおよびIgGは強いバンドを含み、このことは、R15-L1がIL−6Rに特異的に結合するがAChBPおよびIgGには結合しないことを示す。
【0114】
〔実施例3〕
スリーフィンガー(3−F)からシングルフィンガー(1−F)への改変
3−Fの4つのS-S結合を形成するシステイン残基のうち、N末端側から2番目のシステイン残基をグリシンに変えてさらに(図13)のように1つのループをもつペプチドに分断しこれをペプチド合成した。ペプチド合成はIL-6Rに結合する2種類の3−Fを選んだ。今回はアゴニスト効果をもつ「10−14」という3−Fからデザインした10-14-L1(配列:LVCYAPLP YTPGTLETGPDDFTCV(配列番号:1))とアンタゴニスト効果をもつ3−F「15-L1」からデザインした10-15−L1(配列:LVCYQLLAGRPGTLETGPDDFTCV(配列番号:2))をジーンワールド社(日本)に依頼して化学合成を行った。
【0115】
細胞アッセイ
まず最初に細胞アッセイは、アメリカATCC(The American Type Culture Collection)よりDS−1細胞を購入し以下のようにIL−6依存増殖アッセイを行った。
【0116】
細胞培養条件は、
・培地:RPMI1640、10%FBS、10mMHEPES、ペニシリン、カナマイシン
・継代用培地としては上記にIL−6 を10U/ml となるよう添加した。
・培養は37℃、5%CO にて行った。
2.0×10 cells/well にて24well プレートにDS−1 細胞をまき、24 時間培養した後、(37℃、5%CO )以下のようにIL−6 を添加し刺激を行った。
IL−6(U/ml)0 、0.312、0.625、1.25、2.5、5、10
それぞれの濃度に対して3つのwellを用いて培養し、刺激後36時間後および42時間後に細胞数を計数した。
細胞数(3wellの平均)を縦軸に、IL−6の濃度を横軸に取り、グラフを作成した。(図14)
この実験から、DS−1細胞のIL−6容量依存的な増殖が確認された。
【0117】
次に、IL−6の代わりに「10−14」、「10−14−L1」を以下のような最終濃度になるように添加して同様の実験を行ったものがそれぞれ図15、16である。
濃度(単位はM/l)はいずれも、
10−11、10−10、10−9、10−8、10−7、10−6
である。
【0118】
この結果、「10−14」、「10−14−L1」はいずれもアゴニスト効果を有し、しかも、その効果が変わらないことがわかった。
【0119】
次に「15−L1」に関するアンタゴニスト効果は以下のように行った。ポシティブコントロールとしてAnti−IL−6Rモノクローナル抗体(Anti−IL−6 receptor、 Human、 Goat−poly; R&D systems: 型番AF−227−NA)を用いた。
【0120】
2.2×10 cells/well にて24wellプレートにDS−1細胞をまき、24 時間インキュベート(37℃、5%CO)後、IL−6(10U/ml)とAnti−IL−6Rモノクローナル抗体、15−L1を以下の容量で同時に添加し刺激を行った。
【0121】
Anti−IL−6Rモノクローナル抗体(U/ml)0、0.03、0.06、0.13、0.25、0.5、1、2
10−15−L1 (M) 0、10−11、10−10、10−9、10−8、10−7、10−6
【0122】
それぞれの濃度に対して3つのwellを用いて培養し、刺激後36時間後および42時間後に細胞数をカウントした。カウントした細胞数(3wellの平均)を縦軸に、Anti−IL−6Rモノクローナル抗体、10−15−L1の濃度を横軸に取り、グラフを作成した(平均±標準誤差)。[今回は42時間培養の結果を示す。](図17、図18)
【0123】
この実験から、10−15−L1がIL−6(10U/ml)存在下でAnti−IL−6Rモノクローナル抗体と同様にDS−1細胞の増殖を抑えることが確認できた。つまり、アンタゴニスト効果があることを確認した。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】図1は、CTx3のアミノ酸配列を示す図である。
【図2】図2は、3F−IVVライブラリ作製用の全長コンストラクトの構造を示す図である。
【図3】図3は、3F−IVVライブラリ作製用の全長コンストラクトの製造工程を示す図である。
【図4】図4は、初代ライブラリの塩基配列解析の結果を示す図である。
【図5】図5は、3F−IVVライブラリ作製用のピューロマイシン・ビオチン・リンカーの構造を示す図である。
【図6】図6は、結合分析による初期ライブラリの質の評価を示す写真である。
【図7】図7は、3F−IVVライブラリからのIL−6R結合蛋白質の濃縮の進行を示す図である。
【図8】図8は、ラウンド10の3F−IVVプールのIL−6Rへの結合を示す写真である。
【図9】図9は、CTx3遺伝子とラウンド10の3F−IVVプールとのアミノ酸配列の比較を示す図である。
【図10】図10は、クローンR10−15のIL−6Rへの結合を示す写真である。
【図11】図11は、クローンR10−15による(IL−6)−(IL6−R)相互作用の阻害アッセイの結果を示す写真および図である。
【図12】図12は、クローンR10−15のIL−6Rに対する特異性を示す図である。
【図13】図13は、スリーフィンガー(3-F)からシングルフィンガー(1-F)への改変の具体的な態様を示す図である。
【図14】図14は、本発明のポリペプチドを用いた細胞アッセイの結果を示す図である。
【図15】図15は、本発明のポリペプチドを用いた細胞アッセイの結果を示す図である。
【図16】図16は、本発明のポリペプチドを用いた細胞アッセイの結果を示す図である。
【図17】図17は、本発明のポリペプチドを用いた細胞アッセイの結果を示す図である。
【図18】図18は、本発明のポリペプチドを用いた細胞アッセイの結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(1)または(2)に記載のポリペプチド。
(1)配列番号:1に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド
(2)配列番号:1に記載のアミノ酸配列において1もしくは複数のアミノ酸が付加、欠失もしくは置換されたアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、IL−6受容体に対してアゴニスト活性を有するポリペプチド
【請求項2】
以下の(1)または(2)に記載のポリペプチド。
(1)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド
(2)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1もしくは複数のアミノ酸が付加、欠失もしくは置換されたアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、IL−6受容体に対してアンタゴニスト活性を有するポリペプチド
【請求項3】
請求項1または2に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項4】
請求項3に記載のポリヌクレオチドを有するベクター。
【請求項5】
請求項3に記載のポリヌクレオチド、または請求項4に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項6】
請求項1に記載のポリペプチドを有効成分とする、IL−6受容体作動薬。
【請求項7】
請求項2に記載のポリペプチドを有効成分とする、IL−6受容体阻害薬。
【請求項8】
以下の工程(a)〜(c)を含む、IL−6受容体に対してアゴニストもしくはアンタゴニスト活性を有するポリペプチドの製造方法。
(a)請求項4に記載のベクターを細胞へ導入する工程、
(b)前記細胞を培養する工程、
(c)前記細胞培養物からIL−6受容体に対してアゴニストもしくはアンタゴニスト活性を有するポリペプチドを回収する工程

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図9】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図3】
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【図6】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−193922(P2008−193922A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−30883(P2007−30883)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度文部科学省「ベンチャー開発戦略研究センター」委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(506367434)ジェナシス株式会社 (6)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】