説明

IVR血管内局所投与用悪性腫瘍の治療剤

【課題】正常細胞を損傷する抗がん剤を使用せずに安全かつ効率的なIVR治療を実施する。
【解決手段】IVR血管内局所投与用製剤としてビスフォスフォネートおよびビタミンK2あるいはそれらの誘導体を主成分とした治療剤を用いることにより悪性腫瘍の治療に大きな効果をもたらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管内局所投与が可能な悪性腫瘍の治療剤に関し、特に固形癌を中心としたIVR血管塞栓術を主体とした固形腫瘍の低侵襲治療との併用に際し、正常細胞を損傷する抗癌剤投与をおこなわずに腫瘍細胞を合理的かつ速やかに消失させる画期的な治療剤を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
身体への負担をできるだけ軽くし、生体が持つ免疫能力を手術ほど低下させることなく、しかも手術をした時と同程度の治療効果をあげようとする治療法(低侵襲治療)のひとつの新しい医学分野としてインターベンショナル・ラジオロジー(Interventional Radiology;以下単に「IVR」と略す)治療がある。 これは放射線診断学の技術を病気治療に転用したもので、その代表例が血管塞栓術であり、正常部位に比して血流が多い悪性腫瘍に対して、血管造影の技術を使って動脈血流の遮断(阻血)を行ない腫瘍の虚血を引き起こす手法である。
【0003】
固形腫瘍に対する血管塞栓術は、とくに腫瘍への血流が多い多血性腫瘍が塞栓による阻血に弱く良い適応となる。 一般的にはこの血管塞栓術を血管内治療といい、その多くは抗癌剤を併用し、抗癌剤と塞栓物質を同時に動脈内に投与することによって、腫瘍内に停滞した抗癌剤の徐放効果と動脈血流遮断による腫瘍の虚血とを相乗的に作用させている。
【0004】
【特許文献1】特開平3−80076号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の固形悪性腫瘍治療に使用される薬剤は、5−FU誘導体などの核酸アナログやシスプラチンやマイトマイシンと言った薬剤が使用されるが、これらは癌細胞だけを殺傷するのではなく正常細胞に対しても悪影響を与えることから重篤な副作用をもたらすことが知られている。 またこれまでの血管内治療では抗癌剤を併用するために、周囲の組織にも大きなダメージを与えることが多い。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明は、正常細胞を損傷するような危険な抗癌剤投与をおこなうことなく、腫瘍細胞を合理的かつ速やかに消失させようとするもので、特に血管塞栓術を主体としたIVR治療と併用することによって、抗癌剤投与をおこなわずに効率的な腫瘍の治療を可能としたものである。
【0007】
具体的には、本願の発明はビスフォスフォネートおよびビタミンK2を主成分としたIVR血管内局所投与用悪性腫瘍の治療剤に関する。また本願の発明はビスフォスフォネートおよびビタミンK2あるいはそれらの誘導体を主成分としたIVR血管内局所投与用悪性腫瘍の治療剤に関する。さらに本願の発明はビスフォスフォネートおよびビタミンK2あるいはそれらの誘導体を主成分とし、さらにスフェレックスを含有させてなるIVR血管内局所投与用悪性腫瘍の治療剤に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、高濃度のビスフォスフォネートおよびビタミンK2による細胞増殖阻害剤、あるいはより低濃度で心臓などへの影響が小さい細胞増殖阻害活性を有するビスフォスフォネートあるいはビタミンK2誘導体を主成分とした治療剤を、血管内局所治療法であるIVR血管塞栓療用として投与することにより、その抗腫瘍効果をより一層高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下において本発明の具体的な内容について説明をすると、本発明はビスフォスフォネートおよびビタミンK2、あるいはビスフォスフォネートおよびビタミンK2あるいはそれらの誘導体を主成分としたIVR血管内局所投与用悪性腫瘍の治療剤、あるいはビスフォスフォネートおよびビタミンK2あるいはそれらの誘導体を主成分とし、さらにスフェレックスを含有させてなるIVR血管内局所投与用悪性腫瘍の治療剤に要旨が存する。
【0010】
なお以下の実施例においては望ましい実施例として、ビスフォスフォネートおよびビタミンK2、あるいはそれらの誘導体による細胞増殖阻害剤を主成分とするIVR治療(血管塞栓術)用悪性腫瘍の治療剤について説明をしている。
【0011】
細胞増殖阻害剤およびアポトーシス誘導剤、ならびにIVR治療についての具体的な内容を説明すると、次の通りである。
【0012】
〔細胞増殖阻害剤、アポトーシス誘導剤〕
本発明において用いられる細胞増殖阻害剤としては、固形腫瘍細胞に対して細胞増殖阻害活性を有する製剤である。 この場合、癌細胞を殺傷するのではなく、癌細胞の増殖を阻害できれば良い。 細胞増殖阻害剤としては、ビスフォスフォネートおよびビタミンK2があげられる。
【0013】
ビスフォスフォネート及びビタミンK2は一般的には骨粗鬆症の治療薬として知られる。 ビスフォスフォネートはインビボにおける効果については全く知られていない。 またビタミンK2は、癌細胞の増殖阻害効果やアポトーシスの誘導や抑制効果の点で近時注目に値する。 一般的にいかなる物質も動物実験やインビトロ試験において抗腫瘍効果が知られていたとしても実際の臨床において必ずしも抗腫瘍効果が求められるとは限らない。
【0014】
これは、動物実験は、純化された特定の遺伝子のみしかもたない動物を使用するのに対して、臨床適用されるヒトは、多種多様の遺伝子を持っているためである。 また、インビトロの試験系は特定の細胞あるいは酵素系だけを体外に取り出して試験を行うのに対して体内には種々の細胞や代謝経路などが存在するために、インビトロでの効果があっても臨床において必ずしも効果があるとは限らず、その効果の有無を推測することも困難である。
【0015】
そのため、動物実験やインビトロ試験において抗腫瘍効果を有する化合物が臨床において抗腫瘍効果を有するとは限らない。現在、薬剤は最終的にヒトへの臨床投与を行うことにより効果を確かめている段階である。 ビスフォスフォネートについて、in vivo特に血管塞栓術においての単独あるいはこれら薬剤の併用による治療で悪性腫瘍が退縮したとする報告はない。
【0016】
ビスフォスフォネートには、アレンドロネート、イパンドロネート、イカンドロネート、エチドロネート、オルパドロネート、クロドロネート、ゾレドロネート、チルドロネード、ネリドロネート、パミドロネート、リセドロネートなどが知られている。 腫瘍にアポトーシスを誘導できるものであれば、いずれのビスフォスフォネートでも使用できる。
【0017】
本発明においては、アレンドロネート、パミドロネートを使用しており、1mg/投与から300mg/投与の範囲で使用できるが、好ましくは、15mg/投与から60mg/投与の範囲で使用できる。 またビタミンK2は一般名「メナテトレノン」とも呼ばれ、化学名は「メナキノン」である。 市販品としてはSUNTORYほかが発売し、またエーザイのglakay(商品名)などがある。 メナキノンは1〜14までの14種類が存在する。
【0018】
またビタミンKは、元来は血液凝固に必要な因子として発見された脂溶性のビタミンでありK1(フィロキノン)とK2(メナキノン)の2種類が存在し、一般的にはカルシウムを骨に付着させる接着剤のような役割を果たすことで知られる。 食品中でビタミンK2「メナキノン」が含まれるのは唯一納豆であり、納豆に含まれるビタミンK2はメナキノン−7である。 またこれら以外のものであっても、腫瘍にアポトーシスを誘導できるものであれば、いずれのビタミンK2誘導体でも使用できる。
【0019】
ビタミンK2は、1mg/投与から300mg/投与の範囲で使用できるが、好ましくは、30mg/投与から120mg/投与の範囲で使用できる。 また薬剤の投与は、動脈内投与が推奨される。 ビスフォスフォネートおよびビタミンK2は、これら化合物の基本骨格に対して、メチル基、エチル基、フェニル基、クロル基などの種々の官能基を導入することにより合成することができる。 これら誘導体は、共通の基本骨格を有することからビスフォスフォネートおよびビタミンK2と同様の抗腫瘍活性を有する。 また、その毒性がより減弱されたものを合成することができる。
【0020】
またアポトーシス誘導製剤としては固形腫瘍細胞に対してアポトーシス誘導効果を与えることができる製剤である。 アポトーシスは、腫瘍細胞の壊死や他殺死など細胞の受動的な死(necrosis)とは異なり、生理的および病理的諸要因により、不要となった細胞や損傷細胞などを積極的に排除するための、いわば自殺過程を意味するもので、寧ろ自殺死であるといえる。 アポトーシスは形態的にもネクローシスと異なるばかりでなく、その発現は遺伝子にプログラムされ、ホメオスタチスなど多岐にわたる生命現象に重要な役割を果たしているといわれる。
【0021】
アポトーシス誘導製剤の具体例としては、例えば特開平10−279574号や特開2001−226283号公報、あるいは特開2002−356428号公報などにあらわされたアポトーシス誘導剤、その他土中に含まれる放線菌から見出されたものでCaspaseやリン酸化酵素などを活性化して癌細胞にアポトーシスを誘導することが可能なサイトトリエニン(Cytotrieninn)や、低分子の乳酸重合体で天然型の乳酸オリゴマー構造をもつ「CPL」(環状重合乳酸)、エトポシド(VP−16)、三酸化二ヒ素、キナーゼカスケードなどがある。
【0022】
上記したアポトーシス誘導製剤のほかに、同じアポトーシス誘導製剤の仲間としてビスフォスフォネートあるいはビタミンK2がある。 これらは前記した細胞増殖阻害剤として取り上げたものであるが、在来型のアポトーシス誘導製剤よりもアポトーシス作用が格段に大きく、とくにIVR治療に際してこれを併用することによって極めて画期的な腫瘍の治療効果を発揮することができる。
【0023】
〔IVR治療〕
鼠径部をキシロカインなどで局所麻酔を行い、穿刺針を大腿動脈内に穿刺し、動脈に添って癌の近傍の動脈までカテーテルを挿入し、抗腫瘍活性を有する薬剤、イオン性造影剤、ゼラチンスポンジを注入し血管塞栓が実施される。
【0024】
血管の塞栓は、ゼラチンスポンジの量などによって調節する事ができき、数分から数十分間行う。血管塞栓術の時間は、好ましくは5分間から40分間程度であるが、さらに好ましくは10分間から20分間程度の時間がよい。 カテーテルは、大腿動脈からだけでなく腕の動脈などから挿入することが可能であり、カテーテルの導入部位は特に限定されない。
【0025】
なお、本発明が適応される癌の種類としては、肝臓癌、すい臓癌、胆のう癌、胆道癌、肺癌、脳腫瘍、大腸癌、胃癌などが挙げられる。 また癌の種類は限定されないが、とくに血管が多数通っている癌に対して有効である。 転移性の癌や肉腫などにも適応可能である。
【0026】
なお本発明の上記実施例では固形腫瘍の治療方法としてビスフォスフォネートおよびビタミンK2、あるいはそれらの誘導体による細胞増殖阻害剤を主成分とした治療剤をIVR血管内局所投与用として悪性腫瘍の治療に用いる場合について説明しているが、細胞増殖阻害剤のほかに免疫賦活剤を併用投与することにより、より大きな抗癌作用を発揮することができる。
【実施例1】
【0027】
[患者]
転移性肝臓癌患者 84歳 女性
第1回目治療 平成12年10月27日
鼠径部をキシロカイン10mlにて局所麻酔を行い、穿刺針にて大腿動脈を穿刺し、セルディンガー法にてカテーテルを挿入した。 カテーテルを上腸間膜動脈に挿入し、CT下動脈性門脈造影を行い、肝臓右葉S8に腫瘍の存在を確認した。
【0028】
次に、腹腔動脈を造影し、肝動脈の走行と分岐状態を観察し、共通肝動脈までカテーテルを挿入した。 そこでCT下肝動脈造影を行い、腫瘍の質的診断と腫瘍血管の多寡を判断した。 パミドロネート(商品名;アレディア、日本化薬社製)60mg/2Vを20mlの注射筒で注射用蒸留水14mlにて溶解し、100ccの薬杯に注入した。 ビタミンK2(商品名;ケーフィー、小林化工社製)60mgを10mlの注射筒で6mlとって同薬杯に注入した。
【0029】
さらにスフェレックス(ヤクルト社製)600mgを10mlの注射筒で10mlとって同薬杯に注入した。 上記三剤を混合したのち、イオン性造影剤、イオキサグル酸(商品名;ヘキサブリックス、田辺製薬社製)30mlを混和した。 カテーテルを腫瘍存在部位である肝臓右葉への栄養血管にまで挿入し、同混和薬剤を10ml/分の速度で全量注入した。 最後にゼラチンスポンジ2.5×4cmを1mm角に裁断し、その2分の1量にて肝動脈右葉枝の塞栓を施行した。
【0030】
第1回血管内治療後のCT所見(平成12年11月27日)
肝臓:右葉全域を占める腫瘍は横径10cmでやや縮小し、内部のgasは残存。 造影剤の残留はない。 Dynamic Studyにて腫瘍の横隔膜側S7に早期相より辺縁が不均一にエンハンスされ、後期相まで持続するalive tumorを認める。 腫瘍内部にも一部Alive tumor有り。 癌細胞95%壊死。 右側胸水の貯溜も消失。 診断:転移性肝癌TAE後1ヶ月follow。 95%Necrosis。 PR(Partial Response)部分寛解・有効。
【0031】
第2回目治療(平成12年12月22日)
鼠径部をキシロカイン10mlにて局所麻酔を行い、穿刺針にて大腿動脈を穿刺し、セルディンガー法にてカテーテルを挿入した。 カテーテルを上腸間膜動脈に挿入し、CT下動脈性門脈造影を行い、腫瘍の存在を確認した。 次に、腹腔動脈を造影し、肝動脈の走行と分岐状態を観察し、共通肝動脈までカテーテルを挿入した。 そこでCT下肝動脈造影を行い、腫瘍の残存域診断と腫瘍血管の多寡を判断した。 下横隔膜動脈からもCT下動脈造影を行い、肝右葉の腫瘍への側副血行路からの栄養血管の供給を確認した。
【0032】
パミドロネート30mg/Vを10mlの注射筒で注射用蒸留水7mlにて溶解し、100ccの薬杯に注入した。 ビタミンK2 30mgを10mlの注射筒で3mlとって同薬杯に注入した。 さらにスフェレックス300mgを5mlの注射筒で5mlとって同薬杯に注入した。 上記三剤を混合したのち、イオン性造影剤、ヘキサブリックス15mlを混和した。 カテーテルを肝臓右葉の腫瘍の一部への栄養血管である下横隔膜動脈の末梢にまで挿入し、そこよりパミドロネート15mg、ビタミンK2 15mgとスフェレックス150mg相当量の混和薬剤を5ml/分の速度で注入した。
【0033】
さらにゼラチンスポンジ2.5×4cmを1mm角に裁断し、その20分の1量にて下横隔膜動脈末梢の塞栓を施行した。 続いて、カテーテルを腫瘍存在部位である肝右葉枝の栄養血管にまで挿入し、同混和薬剤を5ml/分の速度で残りの全量を注入した。 最後に1mm角に裁断した2.5×4cmのゼラチンスポンジを、その8分の1量を投与し肝動脈右葉枝の塞栓を施行した。
【0034】
第2回血管内治療後のCT所見(平成13年1月22日)
肝臓右葉のSOLはlow density化を見る。 造影にて異常な染まり(腫瘍濃染)は認めない。 周囲肝実質の萎縮なし。 胸水・腹水の貯溜を認めない。 診断:転移性肝癌追加TAE後1か月follow。 現時点でCR(Complete Response)完全寛解・著効 すべての病変の100%縮小(消失)が4週間以上持続。
【0035】
腫瘍マーカーの経時的変化 CEA(ng/ml)
平成12年10月25日 493.7
平成12年11月27日 119.8
平成12年12月21日 54.9
平成13年 1月22日 9.2
平成13年 2月21日 4.6
平成13年 3月19日 3.8
平成13年 4月23日 6.3
平成13年 5月21日 5.4
平成13年 6月25日 7.8
平成13年 8月 1日 7.8
平成13年 8月31日 9.4
平成13年10月29日 19.6
【0036】
認定:1回目の血管内治療により癌の退縮が認められ、2回目の血管内治療により転移性肝臓癌の消失が認められた。 また、癌マーカーであるCEAも1回目の血管内治療により明瞭に低下した。 このことよりビスフォスフォネートおよびビタミンK2を使用した血管内治療は、転移性肝臓癌を退縮させる大きな効果があることを明らかとした。
【実施例2】
【0037】
[患者]
肝細胞癌患者 61歳 女性
第1回目治療 平成13年3月13日
鼠径部をキシロカイン10mlにて局所麻酔を行い、穿刺針にて大腿動脈を穿刺し、セルディンガー法にてカテーテルを挿入した。 カテーテルを上腸間膜動脈に挿入し、CT下動脈性門脈造影を行い、肝臓右葉S5および左葉S2に腫瘍の存在を確認した。 次に、腹腔動脈を造影し、肝動脈の走行と分岐状態を観察し、共通肝動脈までカテーテルを挿入した。 そこでCT下肝動脈造影を行い、腫瘍の質的診断と腫瘍血管の多寡を判断した。
【0038】
パミドロネート30mg/Vを10mlの注射筒で注射用蒸留水7mlにて溶解し、100ccの薬杯に注入した。 さらにスフェレックス300mgを10mlの注射筒で5mlとって同薬杯に注入した。 上記二剤を混合したのち、イオン性造影剤、ヘキサブリックス12mlを混和した。 カテーテルを腫瘍存在部位である肝臓左葉への栄養血管にまで挿入し、同混和薬剤を5ml/分の速度で全量注入した。
【0039】
ビタミンK2 30mgを10mlの注射筒で3mlとって同薬杯に注入した。 さらにスフェレックス300mgを10mlの注射筒で5mlとって同薬杯に注入した。 上記二剤を混合したのち、イオン性造影剤、ヘキサブリックス8mlを混和した。 カテーテルを腫瘍存在部位である肝臓右葉への栄養血管にまで挿入し、同混和薬剤を5ml/分の速度で全量注入した。 最後にゼラチンスポンジ2.5×4cmを1mm角に裁断し、その8分の1量にて肝動脈右葉枝の塞栓を、さらに8分の1量にて肝動脈左葉枝の塞栓を施行した。
【0040】
第1回血管内治療後のCT所見(平成13年4月11日)
肝臓S2の前回のCTAPにて径43×30mmであった腫瘍は径2.5cmまで縮小し、早期相での濃染はみとめず中心のLDAは最後まで濃染を受けない。 癌細胞は完全壊死と思われる。
S6の前回のCTAPにて径21mmであった腫瘍は径1.5cmまで縮小し、これも早期相での濃染はみとめない。 門脈は求肝性で閉塞・途絶を認めないが、一部は遠肝性で側副血行路として胃静脈、食道静脈瘤を認める。 診断:肝細胞癌。TAE後1ヶ月 ほぼCR(Complete Response)である。
【0041】
第2回目治療 平成13年4月17日
鼠径部をキシロカイン10mlにて局所麻酔を行い、穿刺針にて大腿動脈を穿刺し、セルディンガー法にてカテーテルを挿入した。 カテーテルを上腸間膜動脈に挿入し、CT下動脈性門脈造影を行い、腫瘍の存在を確認した。次に、腹腔動脈を造影し、肝動脈の走行と分岐状態を観察し、共通肝動脈までカテーテルを挿入した。 そこでCT下肝動脈造影を行い、腫瘍の残存域診断と腫瘍血管の多寡を判断した。 S2の枝は細くなっているが、その末梢に細い屈曲蛇行する腫瘍血管と腫瘍のごく一部の濃染を認めた。 S6の枝は完全閉塞でみとめられず、S5の枝よりリング状の腫瘍濃染を認め、側副血行路からの栄養血管の供給を確認した。
【0042】
パミドロネート30mg/Vを10mlの注射筒で注射用蒸留水7mlにて溶解し、100ccの薬杯に注入した。 ビタミンK2 30mgを10mlの注射筒で3mlとって同薬杯に注入した。 さらにスフェレックス300mgを5mlの注射筒で5mlとって同薬杯に注入した。 上記三剤を混合したのち、イオン性造影剤、ヘキサブリックス15mlを混和した。 カテーテルを右肝動脈にまで挿入し、そこよりパミドロネート20mg、ビタミンK2 20mgとスフェレックス200mg相当量の混和薬剤を5ml/分の速度で注入した。
【0043】
さらにゼラチンスポンジ2.5×4cmを1mm角に裁断し、その20分の1量にて塞栓を施行した。 続いて、カテーテルを肝左葉枝まで挿入し、同混和薬剤を5ml/分の速度で残りの全量を注入した。 最後に1mm角に裁断した2.5×4cmのゼラチンスポンジを、その20分の1量を投与し左肝動脈の塞栓を施行した。
【0044】
第2回血管内治療後のCT所見(平成13年5月17日)
肝臓S2の前回のCTAPにて径43×30mmであった腫瘍はさらに径1.7cmまで縮小し、早期相での濃染はみとめず中心のLDAは最後まで濃染を受けない。 癌細胞は完全壊死と思われる。 S6の前回のCTAPにて径21mmであった腫瘍も同様にさらに径0.7cmまで縮小し、これも早期相での濃染はみとめない。 門脈は求肝性で閉塞・途絶を認めないが、一部は遠肝性で側副血行路として胃静脈、食道静脈瘤を認める。 診断:肝細胞癌。 初回TAE後2ヶ月 2回目TAE後 1ヶ月 CR(Complete Response)である。
【0045】
腫瘍マーカーの経時的変化 AFP(ng/ml)
平成13年 3月12日 2475.38
平成13年 3月20日 809.3
平成13年 4月11日 114.78
平成13年 5月 1日 26.72
平成13年 5月17日 8.9
平成13年 6月11日 6.42
平成13年 7月14日 5.93
平成13年 9月14日 8.54
平成13年10月17日 13.02
【0046】
認定:1回目および2回目の血管内治療により肝細胞癌の退縮が認められ、癌はほぼ消失している。 また、癌マーカーであるAFPも血管内治療により明瞭に低下した。 このことよりビスフォスフォネートおよびビタミンK2を使用した血管内治療は、肝細胞癌を退縮させる効果があることを明らかとした。
【実施例3】
【0047】
《IVR治療と活性化リンパ球療法の併用例》
[患者]
胃癌患者 73歳 女性
第1回目血管内治療 平成14年10月31日
実施例1、2と同じくセルディンガー法にてカテーテルを挿入した。 カテーテルを腹腔動脈に挿入し造影を行い、胃体部から前庭部にかけて腫瘍の存在を確認し、その質的診断と腫瘍血管の多寡の判断を行った。 パミドロネート60mg/2Vを20mlの注射筒で注射用蒸留水14mlにて溶解し、これを100ccの薬杯に注入した。 ビタミンK2 120mgを20mlの注射筒で12mlとって同薬杯に注入した。
【0048】
さらにスフェレックス1200mgを20mlの注射筒で20mlとって同薬杯に注入した。 上記三剤を混合したのちこれにイオン性造影剤、ヘキサブリックスを30mlを混和した。 カテーテルを腫瘍存在部位である胃大網動脈まで挿入し、パミドロネート15mg、ビタミンK2 30mgとスフェレックス300mg相当量の同混和薬剤を5ml/分の速度で注入した。 1mm角裁断ゼラチンスポンジを数片投与し、同動脈の塞栓を施行した。
【0049】
続いて右胃動脈までカテーテルを挿入し、同混和薬剤の12分の1量を1ml/分の速度で注入した。 さらに1mm角裁断ゼラチンスポンジを数片投与し、同動脈の塞栓を施行した。 最後に左胃動脈にカテーテルを挿入し、パミドロネート15mg、ビタミンK2 30mgとスフェレックス300mg相当量の同混和薬剤を5ml/分の速度で注入した。
【0050】
第1回血管内治療後および活性化リンパ球治療前のCT所見
(平成14年11月26日):
胃の癌病巣部の厚みが手術前と比較して、約半分の厚さに減少、また広がりも減少し、腫瘍量が2分の1以下になっている。所属リンパ節の腫大も軽減している。 腹壁への直接浸潤部もすこし隙間があき出している。
【0051】
『活性化リンパ球の投与』
《1》リンパ球の分離
平成14年11月6日、癌患者の静脈から末梢血50mlをヘパリン加採血した。 採血後、これをクリーンベンチ内で無菌的に上記により採血した注射筒の注射針を、接合部近くを触らないようにはずし19G×1 1/2注射針につけ替えた。 別に50ml遠沈管2本に、洗浄用培地(RPMI1640+6)500mlを15mlずつ注ぎ込んだ遠沈管内に、上記により採血した血液全てを2本共に等量になるようにゆっくりと注いだ。 遠沈管の蓋を完全に閉めた後、2〜3回転倒混和した。
【0052】
これを10mlピペットでリンホセパールIを15ml遠沈管6本に各3mlずつ入れ、さらに培地で希釈した血液10mlをそれぞれの遠沈管に、液面を乱さないようにゆっくり重層した。 その後、これを遠心分離機を用いて回転数1,800rpm、遠心分離温度20℃、ブレーキをOFFの状態で15分間遠心した。 遠心後、吸引機により無菌的に遠沈管内のリンパ球層の約1cm上までリンパ球細胞を吸い取らないようにゆっくり吸い取った。
【0053】
さらに5mlピペットマンで血餅の層を吸い取らないようにリンパ球細胞の層をとり、これをあらかじめ、洗浄用培地(RPMI1640+6)を25ml入れておいた50ml遠沈管内に回収した。 遠沈管の蓋を閉め2〜3回転倒混和した後、さらに遠心分離機により、回転数1,800rpm、遠心分離温度20℃の状態で10分間遠心した。 遠心後、上清みを捨て、細胞沈渣をボルテックスにかけて良くほぐした。
【0054】
さらにこれを、培地(RPMI1640+7)44mlに、35,000U/ml IL(インターロイキン)−2 1mlと、ヒト血清5mlを含む培養用培地(以下、単に「培養用培地」と略す)50mlに入れ、良く転倒混和して細胞懸濁液を調製した。 この細胞懸濁液10μlをチューブにとり、これを40μlのチュルク液と混合し、血球計算版に10μlアプライし、顕微鏡下で細胞数を測定した結果、総細胞数は7.6×10個だった。
【0055】
《2》OKT3固相化フラスコの調製
PBS(−)で5μg/mlに調製しておいたOKT3溶液を、底面積225cmの培養用フラスコに10ml入れ、底面に溶液を均一になるよう浸した。 翌日、フラスコのOKT3溶液を吸引機で吸い取り、PBS(−)50mlをフラスコに注ぎ込みフラスコの蓋を閉めて激しく振った後、蓋を開け、液を捨てた。 再度、無菌的にPBS(−)50mlをフラスコに注ぎ込みフラスコの蓋を閉めて激しく振った後、蓋を開け、液を捨てた。 フラスコ内と蓋に残っている液を吸引機で丁寧に吸い取り、OKT3固相化フラスコの調製を行った。
【0056】
《3》リンパ球の活性化培養
前記《1》において調製した細胞懸濁液50mlを、《2》で調整したOKT3固相化フラスコに分注し、37℃、5%濃度の炭酸ガス存在下において培養を開始した。 3日後に培養用培地50mlを加え、37℃、5%濃度炭酸ガス存在下において培養を継続した。 さらに4日後、培養用培地150mlを加え、37℃、5%濃度炭酸ガス存在下において培養を継続した。
【0057】
さらに2日間、37℃、5%濃度炭酸ガス存在下において培養を継続することにより活性化リンパ球を得、このうちの一部の細胞を凍結保存液に懸濁し、3本のチューブにて液体窒素下、凍結保存した(3.6×10個/チューブ)。 また残りの細胞を以下のように拡大培養した。
【0058】
《4》リンパ球の拡大培養(1回目)
上記《3》で調整したリンパ球をLL−7培地、あるいはMedium930 750mlを含むガス透過性培養バッグに移し、炭酸ガスインキュベーター中で37℃、5%炭酸ガス下で培養をおこなった。 3日後、細胞を含むガス透過性培養バッグと新たな培地を含むガス透過性培養バッグを無菌接合装置により連結し、両ガス透過性培養バッグ中の培地を良く混合した後、これを2分割し、再度その結合を切除し、接合部分を無菌的にシールした後、37℃、5%炭酸ガス下で培養を継続した。
【0059】
《5》投与製剤の調整
上記《4》で調製した2バッグのうち1バッグ中の細胞を含む培地を250ml遠心管内に移し、これを遠心分離機による遠心により細胞の分離をおこなった。 デカンテーションにより培養液を除去し、細胞ペレットに0.1%のヒトアルブミンを含む生理食塩水を加えて遠心分離することにより洗浄操作をおこなって細胞ペレットを調整した。 さらに上記細胞ペレットに1%のヒトアルブミンを含む生理食塩水200mlを加えて懸濁し、これを100μのステンレス金網にて濾過後、輸血用のバッグに詰めて投与用製剤とした。 なおこの場合の輸血用バッグに含まれる細胞数は、9.2×10個であった。本リンパ球は、平成14年11月26日に患者の静脈より注入投与した。
【0060】
《6》凍結保存細胞からの調整
前記《3》で調製した凍結細胞を37℃で融解させるとともに、これを培養液で3回洗浄した。 本細胞を使用して《3》、《4》、《5》に示されると同様な方法で投与製剤リンパ球製剤を調整し、4.4×10個の活性化リンパ球を調製した。本リンパ球は、平成14年12月10日に患者の静脈より注入投与した。 上記と同様にして凍結細胞を融解し、6.7×10個の活性化リンパ球を調製した。本リンパ球は、平成14年12月24日に患者の静脈より注入投与した。 上記と同様にして凍結細胞を融解し、3.7×10個の活性化リンパ球を調製し、これを平成15年1月7日に患者の静脈より注入投与した。
【0061】
〔活性化リンパ球療法のスケジュール〕
採血 平成14年11月8日
投与 1回目(02/11/26)−8回目(03/4/1)
活性化リンパ球治療 1クール目
平成14年11月 8日 培養用血液採取 50mlの注射筒で50ml採血
平成14年11月26日 第1回目活性化リンパ球投与
平成14年12月10日 第2回目活性化リンパ球投与
平成14年12月24日 第3回目活性化リンパ球投与
平成15年 1月 7日 第4回目活性化リンパ球投与
【0062】
認定:第1回目IVR治療の後に活性化リンパ球治療を行うことにより腫瘍量の減少を認めた(平成15年1月23日)。 このことにより、本発明の血管塞栓療法と活性化リンパ球治療を併用することにより腫瘍の治療に大きな相乗効果があることを明らかとした。
【0063】
第2回目治療 平成15年1月23日
第1回目治療と同じくセルディンガー法にてカテーテルを挿入、胃体部から前庭部にかけて腫瘍の存在を確認した。腫瘍量の減少を認めたが、腫瘍血管は多く残存していた。パミドロネート60mg/2Vを20mlの注射筒で注射用蒸留水14mlにて溶解し、これを100ccの薬杯に注入した。 さらにビタミンK2 120mgを20mlの注射筒で12mlとって同薬杯に注入した。 さらにスフェレックス600mgを20mlの注射筒で10mlとって同薬杯に注入した。 上記三剤を混合したのち、これにイオン性造影剤、ヘキサブリックス30mlを混和した。
【0064】
カテーテルを腫瘍存在部位である胃大網動脈まで挿入するとともに、さらに腫瘍への栄養血管を供給している分枝に選択的に挿入し、そこよりパミドロネート15mg、ビタミンK2 30mgとスフェレックス150mg相当量の同混和薬剤を3ml/分の速度で注入した。 そして1mm角裁断ゼラチンスポンジを数片投与し、同動脈の塞栓を施行した。 最後に左胃動脈にカテーテルを挿入し、これを介してパミドロネート40mg、ビタミンK2 80mgとスフェレックス400mg相当量の同混和薬剤を3ml/分の速度で注入した。 さらに1mm角裁断ゼラチンスポンジを数片投与し、同動脈の塞栓を施行した。
【0065】
上記と同様にして調製した活性化リンパ球を以下のようなスケジュールで投与を行った。 なおリンパ球の調製は、実施例1と同様にして調製しておこなった
平成15年 1月31日 培養用血液採取 50mlの注射筒で50ml採血
平成15年 2月18日 第1回目活性化リンパ球投与
平成15年 3月 4日 第2回目活性化リンパ球投与
平成15年 3月18日 第3回目活性化リンパ球投与
平成15年 4月 1日 第4回目活性化リンパ球投与
【0066】
上記スケジュールのように、
平成15年 2月18日 4.3×10
平成15年 3月 4日 4.6×10
平成15年 3月18日 2.5×10
平成15年 4月 1日 5.0×10
上記のようにそれぞれ活性化リンパ球を患者の静脈より注入投与した。
【0067】
第2回IVR治療後および活性化リンパ球治療中のCT所見(平成15年2月25日):
胃癌部の壁肥厚は第2回IVR血管内治療時の厚みよりもさらに軽減している。 胃体下部前壁のPolyp状の隆起も直径1.5cmにまで縮小している。 また所属リンパ節も縮小し、直径1.2cmとなっている。 現時点でPR(Partial Response)である。
【0068】
認定:1回目および2回目のIVR血管内治療により胃がんの縮小が認められ、特に活性化リンパ球治療を併用することによりがんの退縮効果が確実に増強されることを明らかとした。
【実施例4】
【0069】
[患者]
肺癌患者 94歳 男性
第1回目IVR治療 平成12年8月28日
実施例1〜3と同様にセルディンガー法にて患者の静脈にカテーテルを挿入し、動脈造影を行った。 肺癌は左気管支動脈の血管により栄養され、屈曲蛇行する腫瘍血管を認め、腫瘍の下半分が濃染されていた。 左鎖骨下動脈の造影にて内胸動脈、胸肩峰動脈のいずれからも栄養血管は認めなかった。
【0070】
パミドロネート30mg/Vを10mlの注射筒で注射用蒸留水7mlにて溶解し、これを100ccの薬杯に注入した。 さらにビタミンK2 30mgを10mlの注射筒で3mlとって同薬杯に注入した。 さらにスフェレックス300mgを10mlの注射筒で5mlとって同薬杯に注入し、上記三剤を混合したのち、これにイオン性造影剤ヘキサブリックス15mlを混和した。 カテーテルを栄養血管である左気管支動脈にまで挿入し、そこよりパミドロネート20mg、ビタミンK2 20mgとスフェレックス200mg相当量の同混和薬剤を5ml/分の速度で注入し、さらに1mm角裁断ゼラチンスポンジを数片投与して塞栓を施行した。
【0071】
第1回血管内治療後のCT所見(平成12年9月29日):
左肺上葉の腫瘍は横径でTAE前8.5cmからTAE後1ヶ月で7.0cmにまで縮小している。 また内部は空洞化している。 診断:Lung CancerのTAE後(治療効果PR以上)再TAEを要す。
【0072】
第2回目治療 平成12年10月16日
第1回目治療と同じく、肺癌は左気管支動脈の血管により栄養され、腫瘍の下半分が濃染された。 パミドロネート30mg/Vを10mlの注射筒で注射用蒸留水7mlにて溶解し、これを100ccの薬杯に注入した。 ビタミンK2 30mgを10mlの注射筒で3m1とって同薬杯に注入した。 さらにスフェレックス300mgを5mlの注射筒で5mlとって同薬杯に注入した。上記三剤を混合したのちイオン性造影剤、ヘキサブリックス15mlを混和した。 カテーテルを左気管支動脈にまで挿入し、そこより同混和薬剤を5ml/分の速度で全量を注入するとともに、さらに1mm角裁断ゼラチンスポンジを数片投与して塞栓を施行した。
【0073】
第2回IVR血管内治療後のCT所見(平成12年10月30日):
左肺上葉の腫瘍は横径で、TAE前8.5cm→TAE後1ヶ月7.0cm→TAE後2ヶ月(再TAE後1ヶ月)→7.5cmと逐次変化している。 肺尖よりの部分と胸膜よりの部分は縮小しているが、肺門側がやや増大している。 内部の空洞化も大きな変化はない。 肺門よりのTAEの効果は不十分で別の血流が関与している可能性が大きい。 しかしIVR血管内治療によりがんの退縮が認められた。 このことよりビスフォスフォネートおよびビタミンK2を使用した血管内治療は、肺がんを退縮させる効果があることが明らかとなった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビスフォスフォネートおよびビタミンK2を主成分としたIVR血管内局所投与用悪性腫瘍の治療剤。
【請求項2】
ビスフォスフォネートおよびビタミンK2あるいはそれらの誘導体を主成分としたIVR血管内局所投与用悪性腫瘍の治療剤。
【請求項3】
ビスフォスフォネートおよびビタミンK2あるいはそれらの誘導体を主成分とし、さらにスフェレックスを含有させてなるIVR血管内局所投与用悪性腫瘍の治療剤。
【請求項4】
治療剤の成分が、ビスフォスフォネート:1mg〜300mg/投与の範囲、ビタミンK2:1mg〜300mg/投与の範囲で含有してなる請求項1〜3のいずれか1に記載のIVR血管内局所投与用悪性腫瘍の治療剤。
【請求項5】
治療剤の成分が、ビスフォスフォネート:15mg〜60mg/投与の範囲、ビタミンK2:30mg〜120mg/投与の範囲で含有してなる請求項1〜3のいずれか1に記載のIVR血管内局所投与用悪性腫瘍の治療剤。
【請求項6】
スフェレックス:150〜400mg相当量を含有してなる請求項1〜5のいずれか1に記載のIVR血管内局所投与用悪性腫瘍の治療剤。

【公開番号】特開2010−100660(P2010−100660A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−25917(P2010−25917)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【分割の表示】特願2004−184628(P2004−184628)の分割
【原出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(503235547)
【出願人】(501005092)株式会社リンフォテック (7)
【Fターム(参考)】