説明

JAK2変異

本明細書に開示される発明は,JAK2遺伝子およびJAK2蛋白質における新規変異の同定に基づく。本発明は,新生物疾患,例えば,骨髄増殖性疾患を診断するのに有用な方法および組成物を提供する。本発明はまた,新生物疾患を有すると診断された個体の予後を判定するのに有用な方法および組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,癌の診断および治療の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
以下の本発明の背景に関する記載は,単に読者の本発明に関する理解を促進するために提供するものであり,本発明に対する従来技術を記述または構成すると認めるものではない。
【0003】
ある種の新生物疾患,例えば,真性赤血球増加症(PV),本態性血小板血症(ET),および慢性突発性骨髄線維症(IMF)等の非CML骨髄増殖性疾患(MPD),および未だに分類されていない骨髄増殖性疾患(MPD−NC)は,血液細胞の異常な増加を特徴とする。例えば,Vainchenker and Constantinescu,Hematology(American Society of Hematology),195−200(2005)を参照。この増加は,一般に骨髄に存在する多能性の造血幹細胞の自然突然変異により引き起こされる(上掲)。変異により,幹細胞は特定のリニアージの血液細胞を正常よりはるかに多く産生し,それによって赤血球細胞,巨核球,顆粒球,および単球などの細胞の過剰生成が起こる。MPDを有する患者に共通する症状には脾腫大,肝腫大,白血球,赤血球,および/または血小板数の増加,凝血(血栓),脱力感,目まい,および頭痛がある。PV,ET,およびIMF等の疾病は白血病の前兆であり得るが,病態変化の(例えば急性転化に至るまでの)速度は各疾患によって異なる(上掲)。
【0004】
多くのMPDに関与する特定の遺伝子およびそれに付随する突然変異(単数または複数)は不明である。しかしながら,細胞質性非レセプターチロシンキナーゼであるヤヌスキナーゼ2(JAK2)遺伝子の変異が多くのMPDで同定されている。例えばこの変異は97%ものPV患者,および,ETまたはIMF患者の40%以上で報告されている。例えば,Baxter et al.,Lancet 365:1054−1060(2005);James et al.,Nature 438:1144−1148(2005);Zhao,et al.,J.Biol.Chem.280(24):22788−22792(2005);Levine et al.,Cancer Cell,7:387−397(2005);Kralovics,et al.,New Eng.J.Med.352(17):1779−1790(2005);Jones,et al.,Blood 106:2162−2168(2005);Steensma,et al.,Blood 106:1207−2109(2005)を参照。
【0005】
ヤヌスキナーゼはサイトカイン・シグナリングに関与するチロシンキナーゼ・ファミリーである。例えばJAK2キナーゼは膜結合型サイトカインレセプター(例えばエリスロポエチンレセプター(EpoR))とシグナル伝達経路の下流のメンバー(例えばSTAT5(シグナル伝達・転写活性化蛋白質5;Signal Transducers and Activators of Transcription protein 5))との間の介在物質として作用する。例えば,Schindler,C.W.,J.Clin Invest.109:1133−1137(2002);Tefferi and Gilliland,Mayo Clin.Proc.80:947−958(2005);Giordanetto and Kroemer,Protein Engineering,15(9):727−737(2002)を参照。サイトカインレセプター/リガンド複合体が付随するJAK2キナーゼをリン酸化するとJAK2が活性化される(上掲)。次にJAK2はその基質分子,例えばSTAT5をリン酸化および活性化し,これが核に入り,他の調節蛋白質と相互作用して転写に作用を及ぼす(上掲;Nelson,M.E.,andSteensma,D.P.,Leuk.Lymphoma47:177−194(2006))。
【0006】
あるJAK2変異体では,617位のアミノ酸でバリン(コドン"GTC")がフェニルアラニン(コドン"TTC")で置換されている("V617F変異体")。Baxter et al.,Lancet 365:1054−1060(2005)。617位のアミノ酸は第12エクソンに位置するが,そこにはシュードキナーゼ(JH2(Jakホモロジー2ドメイン)と呼ばれる自己阻害(または負制御)ドメイン)が含まれる(上掲;James et al,Nature 438:1144−1148(2005))。
【0007】
このドメインはキナーゼ活性を有さないが,キナーゼ活性を有するJH1(Jakホモロジー1)ドメインと相互作用する。Baxter et al,Lancet 365:1054−1060(2005)。野生型蛋白質では2つのドメインが適切に接触することによって適切なキナーゼ活性および調節が行われる。しかし,V617F変異によって2つのドメインの接触は不適切となり,その結果,変異型JAK2蛋白質では構成的キナーゼ活性が生ずる(上掲)。
【0008】
種々の異なるアプローチおよび多くの証拠により,JAK2のV617F変異は,もし存在すれば,MPDの発病機序に関与することが示唆されている。例えば,Kaushansky,Hematology(Am Soc Hematol Educ Program),533−7(2005)を参照。変異は血液サンプル,骨髄,および口腔サンプルから検出されており(例えば,Baxter et al.,Lancet 365:1054−1060(2005);James et al.,Nature 438:1144−1148(2005);Zhao,et al.,J.Biol.Chem.280(24):22788−22792(2005);Levine et al.,Cancer Cell,7:387−397(2005);Kralovics,et al.,New Eng.J.Med.352(17):1779−1790(2005)を参照),ホモ接合性およびヘテロ接合性の細胞集団がMPD患者で報告されている。Baxter et al,Lancet 365:1054−1060(2005)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の概要
本発明は,JAK2遺伝子および蛋白質中の,これまでに知られていない変異の発見に基づく。詳細には,JAK2遺伝子変異には,G1920T/C1922T二重変異,G1920A変異,およびT1923C変異が含まれ,これらはそれぞれ,JAK2蛋白質のJH2ドメインにおいて,V617F,V617I,およびC618Rのアミノ酸置換を生ずる。本発明はさらに,新生物疾患,例えば骨髄増殖性疾患の診断および予後予測に有用な方法および組成物を提供する。
【0010】
したがって,1つの観点においては,本発明は,新生物疾患を診断する方法を提供する。この方法は,患者のJAK2核酸における1またはそれ以上の変異の存在または非存在を判定することを含み,前記変異は,G1920A,T1923C,およびG1920T/C1922Tからなる群より選択される。
【0011】
別の観点においては,本発明は,新生物疾患と診断された個体の予後を判定する方法を提供する。この方法は,患者のJAK2核酸における1またはそれ以上の変異の存在または非存在を判定し,前記変異はG1920A,T1923C,およびG1920T/C1922Tからなる群より選択され,そして変異状態を用いて個体の臨床転帰を予測することを含む。
【0012】
ある態様においては,JAK2核酸は,G1920T変異,G1920T/C1922T変異,またはG1920A変異と組み合わせて,T1923C変異を有する。予後予測のための好ましい方法においては,JAK2変異状態を少なくとも1つの別の臨床パラメータと組み合わせる。適当な臨床パラメータとしては,例えば,年齢および芽細胞数のパーセンテージが挙げられる。
【0013】
別の観点においては,本発明は,新生物疾患を診断する方法を提供する。この方法は,患者のJAK2蛋白質における変異の存在または非存在を判定することを含み,前記変異はV617AおよびC618Rからなる群より選択される。
【0014】
ある態様においては,JAK2蛋白質は,別のJAK2変異,例えば,V617A変異およびV617F変異に加えてC618R変異を含む。
【0015】
別の態様においては,JAK2核酸および/またはJAK2蛋白質のいずれかにおける1またはそれ以上の変異は,JAK2キナーゼ活性に影響を及ぼす。好ましくは,JAK2キナーゼ活性は低下する。より好ましくは,JAK2キナーゼ活性は,JAK2のJH2(シュードキナーゼ)ドメインとJH1ドメインとの間の相互作用が低下することにより低下する。
【0016】
本発明の方法の主題である新生物疾患としては,骨髄増殖性疾患,例えば,真性赤血球増加症,本態性血小板血症,突発性骨髄線維症,および未分類の骨髄増殖性疾患が挙げられる。
【0017】
別の態様においては,JAK2蛋白質および/または核酸は,患者の生物学的サンプル(例えば体液)から得られる。別の態様においては,体液は無細胞の体液である。
【0018】
別の観点においては,本発明は単離されたJAK2核酸を提供する。好ましいJAK2核酸は配列番号1の少なくとも12個の連続するヌクレオチドを含み,ここで,核酸は,G1920A,T1923C,およびG1920T/C1922Tからなる群より選択される変異またはその相補体を含む。好ましくは,JAK2核酸は,G1920T変異,G1920T/C1922T変異,またはG1920A変異と組み合わせて,T1923C変異を含む。別の好ましい態様においては,JAK2核酸は,少なくとも14,16,18,20,22,25,3040,50,75,100,150,200,250,500,またはそれ以上のヌクレオチドを含む。任意に,JAK2核酸はさらに検出可能な標識(例えば蛍光標識)を含んでいてもよい。
【0019】
別の観点においては,本発明は,単離されたJAK2ポリペプチドを提供する。好ましいJAK2ポリペプチドは,配列番号3の少なくとも10個の連続するアミノ酸を含み,ここで,ポリペプチドは,V617I変異および/またはC618R変異を含む。別の好ましい態様においては,JAK2ポリペプチドは,少なくとも12,14,16,18,20,22,25,3040,50,75,100,150,200,250,500,またはそれ以上のアミノ酸を含む。
【0020】
本明細書において用いる場合,"血漿"とは,血液中に含まれる無細胞液を表す。"血漿"は,当該技術分野において知られる方法(例えば,遠心分離,濾過等)により血液から全細胞物質を除去することによって得ることができる。本明細書において用いる場合,"末梢血血漿"とは,末梢血サンプルから得られる血漿を表す。
【0021】
本明細書において用いる場合,"血清"とは,血漿または血液を凝固させ,凝固画分を除去した後に得られる血漿画分を含む。
【0022】
"核酸"または"核酸配列"との用語は,オリゴヌクレオチド,ヌクレオチドまたはポリヌクレオチド,およびそのフラグメントまたは一部を表し,これは一本鎖であっても二本鎖であってもよく,センス鎖であってもアンチセンス鎖であってもよい。核酸はDNAであってもRNAであってもよく,天然または合成起源のものであってもよい。例えば,核酸はmRNAまたはcDNAであってもよい。核酸は(例えばポリメラーゼ連鎖反応を用いて)増幅された核酸であってもよい。"NTwt###NTmut"との慣例表記法は,核酸の###位において野生型ヌクレオチドNTwtが変異体NTmutで置き換えられることにより生ずる変異を表すために用いられる。例えば,G1920Aは,配列番号1(参照ヌクレオチド配列)のヌクレオチド位置1920において野生型のグアニンがアデニンに変化(変異)している変異を表す。
【0023】
"アミノ酸配列"とは,ポリペプチドまたは蛋白質の配列を表す。"AAwt###AAmut"との慣例表記法は,ポリペプチドの###位において野生型アミノ酸AAwtが変異体AAmutで置き換えられることにより生ずる変異を表すために用いられる。例えば,C618Rは,配列番号3(参照ポリペプチド配列)のアミノ酸位置618において野生型のシステインがアルギニンに変化(変異)している変異を表す。
【0024】
"野生型"との用語は,集団において最も高頻度で観察され,疾病に伴うものではない遺伝子または遺伝子産物を表す。"野生型"は,特定のヌクレオチド位置(単数または複数)における配列,または特定のコドン位置(単数または複数)における配列,または特定のアミノ酸位置(単数または複数)における配列も表す。例えば,遺伝子は,ヌクレオチド位置1849またはコドン617において"野生型"であってもよい。本明細書において用いる場合,"変異体","改変型"または"多型"とは,野生型の遺伝子または遺伝子産物と比較して,配列および/または機能性が改変されている(すなわち特性が変化した)遺伝子または遺伝子産物を表す。"変異体","改変型"または"多型"はまた,特定のヌクレオチド位置(単数または複数)における配列,または特定のコドン位置(単数または複数)における配列,または特定のアミノ酸位置(単数または複数)における配列も表す。
【0025】
"変異"とは,核酸配列中に,正常型配列または野生型配列と比較して少なくとも1つのヌクレオチドの変化を含むことを意味する。変異には置換,欠失,逆位,または挿入がある。コードされたポリペプチドに関して,変異は"サイレント"であってコードされるポリペプチド配列に変化をもたらさなくてもよく,または変異によってコードされるポリペプチド配列に変化が生じてもよい。例えば変異によって,コードされるポリペプチドに置換が起こってもよい。変異によって,コードされるポリペプチド配列にフレームシフトが起こってもよい。
【0026】
本明細書において用いる場合,"コドン"との用語は,蛋白質合成の際にポリペプチド鎖に特定のアミノ酸の挿入または蛋白質合成を停止させるシグナルを決定する遺伝子コードを構成する,3つの隣接するヌクレオチド(RNAでもDNAでもよい)の配列を表す。"コドン"との用語はまた,元のDNAが転写されたメッセンジャーRNA中の3つのヌクレオチドの対応する(および相補的な)配列を表すためにも用いられる。
【0027】
"実質的にすべて"との用語は,約60−100%,より好ましくは約70−100%、より好ましくは約80−100%,より好ましくは約90−100%,より好ましくは約95−100%を意味する。
【0028】
標的核酸に特異的なオリゴヌクレオチド(例えば,プローブまたはプライマー)は,好適な条件下で標的核酸に"ハイブリダイズ"する。本明細書において用いる場合,"ハイブリダイゼーション"または"ハイブリダイズする"とは,一本鎖のオリゴヌクレオチドが所定のハイブリダイゼーション条件下で塩基対形成により相補的な鎖にハイブリダイズするプロセスを表す。
【0029】
核酸(例えばオリゴヌクレオチド)に関して"単離された"とは,それが天然に生ずるゲノムの実質的な部分から分離されている核酸を意味する。例えば,合成により製造された(例えば一連の塩基縮合により)任意の核酸は,単離されていると考えられる。同様に,組換え発現された,プライマー伸張反応(例えばPCR)により生成した,またはその他の方法によりゲノムから切り出されている核酸も単離されていると考えられる。
【0030】
"特異的ハイブリダイゼーション"とは,核酸配列が高度の相補性を共有することを示す。許容されるアニーリング条件では,特異的ハイブリダイゼーション複合体が形成され,続く洗浄段階の後にもハイブリダイズしたままである。核酸配列のアニーリングについての許容される条件は,当業者が日常的に決定することができ,例えば,約6×SSCの存在下で65℃で生ずる。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは,部分的には,洗浄工程を行う温度により表すことができる。そのような温度は,典型的には,所定のイオン強度およびpHにおける特定の配列の熱溶融点(Tm)より約5℃から20℃低いように選択される。Tmは50%の標的配列が完全にマッチしたプローブとハイブリダイズする温度(所定のイオン強度およびpHにおける)である。Tmを計算するための等式および核酸ハイブリダイゼーションの条件は当該技術分野において知られている。
【0031】
標的核酸を特異的に増幅(すなわち,特定の標的核酸配列を増幅),または特異的に検出(すなわち,特定の標的核酸配列を検出)するためのプライマーまたはプローブとして用いられるオリゴヌクレオチドは,一般に,標的核酸に特異的にハイブリダイズすることができる。
【0032】
JAK2核酸配列について,"変異"とは,参照配列であるGenBank受託番号NM004972と比較して少なくとも1つの核酸の変化を含むJAK2核酸配列を意味する。便宜のために,JAK2のcDNA配列を図1(配列番号1)に示し,シュードキナーゼドメインのcDNA配列を図2(配列番号2)に示す。変異には,置換,欠失または挿入が含まれる。JAK2核酸における変異により,コードされるポリペプチド配列が変化してもよく,または変異はコードされるポリペプチド配列に関してサイレントであってもよい。ポリペプチド配列の変化をもたらすJAK2変異の例としては,限定されないが,V617Fが挙げられる。アミノ酸配列の変化は,配列番号3(図3)を参照アミノ酸配列として比較することにより判定することができる。
【0033】
核酸において"1またはそれ以上の変異の存在または非存在を判定する"ことは,核酸を検出することも含む。例えば,JAK2の変異の存在または非存在の判定においては,JAK2核酸の検出も行われる。1またはそれ以上の変異の存在または非存在を判定する方法は,当該技術分野において知られる種々の方法を含み,例えば,JAK2RNAのcDNAへの逆転写,JAK2核酸の増幅,プローブまたはプライマーのJAK2核酸へのハイブリダイズ,およびJAK2核酸の配列決定の1またはそれ以上が挙げられる。
【0034】
"オリゴヌクレオチド"との用語は,主として所定の間隔で配列された同一のモノマー単位から構成される骨格上に塩基の配列を有する分子であると理解される。塩基は,オリゴヌクレオチドの塩基と相補的な塩基の配列を有する核酸と結合することができるように,骨格上に配置される。最も一般的なオリゴヌクレオチドは,糖リン酸単位の骨格を有する。2’位にヒドロキシル基を有しないオリゴデオキシリボヌクレオチドと,この位置にヒドロキシル基を有するオリゴリボヌクレオチドは区別される。また,オリゴヌクレオチドには,ヒドロキシル基の水素が有機基,例えばアリル基で置き換えられている誘導体も含まれる。本発明の方法においてプライマーまたはプローブとして機能するオリゴヌクレオチドは,一般に少なくとも約10−15ヌクレオチドの長さであり,より好ましくは少なくとも約15−25ヌクレオチドの長さであるが,より短いまたは長いオリゴヌクレオチドも本発明の方法において用いることができる。正確なサイズは多くの因子によって異なり,これらはオリゴヌクレオチドの最終的な機能または用途によって異なる。オリゴヌクレオチドは,任意の方法により,例えば,化学合成,DNA複製,逆転写,PCR,またはこれらの組み合わせにより生成することができる。オリゴヌクレオチドは修飾してもよい。例えば,オリゴヌクレオチドは,検出可能なシグナルを生成する物質(例えば蛍光団)で標識してもよい。
【0035】
"プライマー"とは,プライマー伸張(例えばPCR等の適用にともなうプライマー伸張)が開始される条件に置かれたときに合成の開始点として作用することができるオリゴヌクレオチドを表す。オリゴヌクレオチド"プライマー"は,精製した制限酵素消化物におけるように天然に存在するものであってもよく,合成してもよい。
【0036】
"プローブ"とは,ハイブリダイゼーションにより標的核酸と相互作用するオリゴヌクレオチドを表す。プローブは,標的核酸配列に完全に相補的であってもよく,部分的に相補的であってもよい。相補性のレベルは,一般にはプローブの機能に基づく多くの因子によって異なる。プローブ(単数または複数)を用いて,例えば,標的の配列特性を利用して,核酸配列における変異の存在または非存在を検出することができる。プローブは標識されていてもよく,標識されていなくてもよく,または当該技術分野においてよく知られる多くの方法のいずれかにより修飾されていてもよい。プローブは標的核酸に特異的にハイブリダイズすることができる。
【0037】
"標的核酸"とは,プローブオリゴヌクレオチドおよび/またはプライマーオリゴヌクレオチドと少なくとも部分的な相補性を有する配列を含む核酸分子を表す。プローブは,標的核酸に特異的にハイブリダイズすることができる。
【0038】
本明細書において用いる場合,JAK2に関して"活性化ドメイン"との用語は,一般に,細胞活性化に関与するドメインを表す。活性化ドメインの例は,キナーゼまたはシュードキナーゼドメインである。
【0039】
本明細書において用いる場合,"シュードキナーゼドメイン"との用語は,機能的キナーゼと相同性を示すが触媒活性を有しない,ポリペプチドの一部またはポリペプチドの一部をコードする核酸を表す。シュードキナーゼドメインは"キナーゼ様ドメイン"とも称される。シュードキナーゼドメインの例は,JAK2シュードキナーゼドメインであり,これはJH2ドメインとも称され,配列番号2(図2)に示される。
【0040】
"キナーゼドメイン"との用語は,ポリペプチドのキナーゼ活性(例えばチロシンキナーゼ活性)に必要な,ポリペプチドの一部またはポリペプチドの一部をコードする核酸を表す。
【0041】
本発明のある方法においては,変異は"JAK2キナーゼ活性に影響を及ぼす"ものであってもよい。影響されるJAK2キナーゼ活性としては,キナーゼ活性が上昇する,低下する,構成的になる,完全に停止する,またはより多くの,より少ない,または異なる標的に影響を与えることが含まれる。キナーゼ活性に影響を及ぼす変異は,キナーゼドメインに存在していてもよく,またはキナーゼドメインと関連するドメイン,例えばJAK2シュードキナーゼドメインに存在していてもよい。
【0042】
本明細書において用いる場合,"診断する"または"診断"または"診断すること"との用語は,疾病,症候群または状態を鑑別または識別すること,または特定の疾病,症候群または状態を有する個人を鑑別または識別することを表す。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1はJAK2の核酸配列である。
【図2】図2はJAK2シュードキナーゼドメイン領域の核酸配列である。
【図3】図3はJAK2のアミノ酸配列である。
【図4】図4はJAK2シュードキナーゼドメイン領域のアミノ酸配列である。
【図5】図5は一連の電気泳動像の出力である。図5Aは,アミノ酸617をコードするコドンがGTC(バリン)である野生型JAK2遺伝子からの電気泳動像の出力を示す。図5Bは,配列番号1の1920位に対応するヌクレオチド位置においてヘテロ接合性を示す個体の血液細胞サンプルからのJAK2遺伝子の電気泳動像の出力である。ドットはチアミンにともなうピークを示す。図5Cは,図5Bで用いたものと同じ個体からの血漿サンプルの電気泳動像の出力であり,この個体が1920位のチアミン点突然変異についてホモ接合性または半接合性であることを示す。
【図6】図6は,一連の電気泳動像の出力である。図6Aは,野生型JAK2遺伝子からの電気泳動像である。図6Bは,コドン617における二重点突然変異(灰色矢印)およびコドン618における単一の点突然変異(黒矢印)を有する個体からの電気泳動像である。変異したコドン617および618はそれぞれTTTおよびCGTである。図6Cは,変異体の電気泳動像である。それぞれの場合において,ヌクレオチドの番号付けはGenbank受託番号NM004972を参照している。参考までに,2343位は配列番号1の1920位に対応する。
【図7】図7は,一連の電気泳動像の出力である。図7Aは,配列番号1の1920位に対応するヌクレオチド位置においてG>A点突然変異を有する個体からの電気泳動像である。図7Bは,配列番号1の1920位に対応するヌクレオチド位置においてG>T点突然変異を有する個体からの電気泳動像である。図7Cは,野生型JAK2遺伝子の電気泳動像である。それぞれの場合において,ヌクレオチドの番号付けはGenbank受託番号NM004972を参照している。参考までに,2343位は配列番号1の1920位に対応する。
【発明を実施するための形態】
【0044】
発明の詳細な説明
本発明は,骨髄増殖性疾患と関連づけられているJAK2遺伝子および蛋白質において,これまでに知られていない変異を発見したことに基づく。より詳細には,JAK2遺伝子変異は,G1920T/C1922T二重変異,G1920A変異,およびT1923C変異を含み,これらはそれぞれ,JAK2蛋白質におけるV617F,V617I,およびC618Rのアミノ酸置換をもたらす。
【0045】
生物学的サンプルの収集および調製
本発明の方法および組成物を用いて,個体から取得した生物学的サンプルを用いて,JAK2遺伝子および/またはJAK2蛋白質中の変異を検出することができる。核酸(DNAまたはRNA)は,当該技術分野においてよく知られる任意の方法にしたがってサンプルから単離することができる。必要な場合には,サンプルは遠心分離等により収集または濃縮することができる。サンプルの細胞は,酵素,熱,界面活性剤,超音波またはこれらの組み合わせによる処理により,溶解することができる。溶解処理は,ポリメラーゼ連鎖反応を用いて検出するのに十分な量の、個体の細胞に由来するDNAを得るために行う。あるいは,JAK2遺伝子中の変異は,米国特許出願11/408,241(本明細書に参照として組み込まれる)に記載されている方法にしたがって,無細胞体液を用いて検出することができる。
【0046】
DNAまたはRNAの単離にはDNA抽出の種々の方法が適している。好適な方法としては,フェノール・クロロホルム抽出が挙げられる。Maniatis et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,2d,Cold Spring Harbor Laboratory Press,page16.54(1989)を参照。多くの市販のキット,例えば,限定されないが,QIAamp(商標)ミニブラッドキット,Agencourt Genfind(商標),Roche Cobas(登録商標),Roche MagNA Pure(登録商標),またはEppendorf Phase Lock Gels(登録商標)を用いるフェノール:クロロホルム抽出,およびNucliSens抽出キット(Biomerieux,Marcyl’Etoile,France)を用いて適当なDNAおよびRNAを得ることができる。別の方法においては,MagNA Pure LC mRNA HSキットおよびMagNA Pure LC装置(Roche Diagnostics Corporation,Roche Applied Science,Indianapolis,IN)を用いて患者血液/骨髄サンプルからmRNAを抽出することができる。
【0047】
核酸の抽出および増幅
組織,細胞,血漿,または血清から抽出した核酸を,当該技術分野でよく知られる核酸増幅手法を用いて増幅することができる。これらの増幅方法の多くは,単にオリゴヌクレオチドプライマーまたはプローブを特定の標的配列と特異的に相互作用またはハイブリダイズするよう設計することにより,変異の存在を検出するためにも用いることができる。限定されないが,これらの手法の例として,ポリメラーゼ連鎖反応(PCR),リバーストランスクリプターゼポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR),ネステッドPCR,リガーゼ連鎖反応(例えば,Abravaya,K.,et al.,Nucleic Acids Research 23:675−682,(1995)を参照),分枝DNAシグナル増幅(Urdea,M.S.,et al.,AIDS 7(supp l2):S11−S14,(1993)),増幅可能RNAレポーター,Q−ベータ複製,転写増幅,ブーメランDNA増幅,鎖置換活性化,サイクリングプローブ法,等温核酸配列増幅(NASBA)(Kievits,T.et al.,J Virological Methods 35:273−286,(1991)を参照),インベーダー技術,または他の配列複製アッセイまたはシグナル増幅アッセイが挙げられる。
【0048】
RNAからcDNAへの逆転写
いくつかの方法は,RNAからcDNAへの逆転写を用いる。認識されるように,逆転写および増幅の方法は,既に報告または推奨されている方法により行うことができ,そのような参考文献はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。種々の逆転写酵素を用いることができ,例えば,限定されないが,MMLV RT,MMLV RTのRNaseH変異体,例えばSuperscriptおよびSuperscript II(Life Technologies,GIBCO BRL,Gaithersburg,Md.),AMV RT,およびThermus Thermophilus由来の熱安定性逆転写酵素が挙げられる。例えば,血漿または血清から抽出されたRNAをcDNAに変換するために用いることができる唯一の方法ではないが1つの方法は,Rashtchian,A.,PCR Methods Applic.4:S83−S91,(1994)に記載されるSuperscript II Preamplification system(Life Technologies,GIBCO BRL,Gaithersburg,Md.;カタログ番号18089−011)を適用したプロトコルであり,これを以下のように改変する。
【0049】
13μlのDEPC処理水と混合した,血漿または血清から抽出した1−5マイクログラムのRNAを清浄なマイクロ遠心チューブに入れる。次に1マイクロリットルのオリゴ(dT)(0.5mg/ml)またはランダムヘキサマー溶液(50ng/μl)を加え,穏やかに混合する。次に混合物を70℃で10分間加熱した後,氷上で1分間インキュベーションする。次に,これを軽く遠心し,2μlの10×合成バッファー(200mMTris−HCl,pH8.4,500mM KCl,25mM塩化マグネシウム,1mg/mlのBSA),1μlの各10mMのdNTPミックス,2μlの0.1M DTT,1μlのSuperScript II RT(200U/μl)(Life Technologies,GIBCO BRL,Gaithersburg,Md.)を加える。穏やかに混合した後,軽く遠心して反応液を集め,室温で10分間インキュベーションする。チューブを42℃の水浴またはヒートブロックに移し,50分間インキュベーションする。次に,チューブを70℃で15分間インキュベーションすることにより反応を停止し,氷上に置く。軽く遠心して反応液を集め,1μlのRNaseH(2ユニット)を加え,37℃で20分間インキュベーションした後,核酸増幅を行う。
【0050】
核酸増幅
cDNA混合物に以下を加える:8μlの10×合成バッファー(200mM Tris−HCl,pH8.4,500mM KCl,25mM塩化マグネシウム,1mg/mlのBSA),68μlの滅菌二度蒸留水,1μlの増幅プライマー1(10μM),1μlの増幅プライマー2(10μM),1μlのTaqDNAポリメラーゼ(2−5U/μl)。穏やかに混合し,反応混合物にミネラルオイルを重層する。混合物を94℃で5分間加熱して,残余のRNA/cDNAハイブリッドを変性させる。次に,自動化熱サイクラーで次のようにPCR増幅を行う:94℃で1分間,55℃で30−90秒間,および72℃で2分間を15−50サイクル。サイクルのパラメータおよびマグネシウムの濃度は増幅すべき特定の配列によって様々であろうが,最適化の手順および方法も当該技術分野においてよく知られている。
【0051】
また,プライマーは,適当な制限部位を含んでいてもよく,増幅産物を制限酵素消化して,変異型と野生型配列とをさらに区別することができる。
【0052】
代替法
用いることができる核酸増幅の別の方法としては,RT−PCRの変法,例えば,定量的RT−PCR(例えば,Wang,A.M.et al.,PNAS USA 86:9717−9721,(1989),またはKaret,F.E.,et al.,Analytical Biochemistry2 20:384−390,(1994)により記載される方法を適用)が挙げられる。
【0053】
用いることのできる核酸増幅または変異検出の別の方法は,リガーゼ連鎖反応(LCR)である。これはWiedmann,et al.,PCR Methods Appl.3:551−564,(1994)に記載されている。リガーゼ連鎖反応においては,血漿または血清から抽出したRNAをcDNAに逆転写する。LCRは単一塩基変異を検出する手法である。プライマーを2つのフラグメントとして合成し,2つのプライマーフラグメントの境界位置に変異を有する可能性のあるテンプレートとアニーリングさせる。2つのフラグメントがテンプレート配列と完全にマッチすれば,リガーゼはこれらをライゲーションさせる。プライマーがライゲーションされた場合にのみ,続くPCR反応により増幅が生ずる。制限部位を利用して変異型配列と野生型配列とを区別することもできる。
【0054】
増幅または変異検出の別の方法は,アレル特異的PCR(ASPCR)である。ASPCRはテンプレートとプライマーの3’末端塩基との間のマッチまたはミスマッチを利用するものであり,当該技術分野においてよく知られている。例えば,米国特許5,639,611を参照。
【0055】
用いることができる増幅または変異検出の別の代替方法は分枝鎖DNAシグナル増幅であり,例えば,Urdea,M.S. et al、AIDS 7(supp l2):S11−S14,(1993)に記載の方法を,下記のように改変して適用することができる。血漿または血清からRNAを抽出し,マイクロウエルに直接加える。次に,目的とする腫瘍関連または腫瘍付随RNAまたはcDNAに特異的な標的プローブを用い,血漿または血清標本中の腫瘍関連RNAの量に比例した化学発光の発光量を用いて,Urdea,et al(上掲)に記載されるようにして,腫瘍関連または腫瘍付随RNAを検出する方法を実施する。この方法の詳細は,Urdea,M.S.et al,Nucleic Acids Research Symposium Series 24:197−200,(1991)(この文献の全体は参照により本明細書に組み込まれる)にさらに記載されている。
【0056】
用いることができる増幅または変異検出の別の方法は、等温核酸配列塩基増幅(NASBA)であり,例えば,Kievits,T.et al(J Virological Methods 35:273−286,(1991))またはVandamme,A.M.et al(J.Virological Methods 52:121−132,(1995))に記載される方法を適用することができる。
【0057】
用いることができる核酸の定性的または定量的増幅の別の方法としては,限定されないが,Qベータ複製,他の自己持続配列複製アッセイ,転写系増幅アッセイ,および増幅可能RNAレポーター,ブーメランDNA増幅,鎖置換活性化,およびサイクリングプローブ技術が挙げられる。
【0058】
変異検出の別の方法は核酸配列決定である。配列決定は,当該技術分野において知られる多くの方法,キットまたはシステムのいずれかを用いて行うことができる。1つの例は,色素ターミネーター化学およびABI配列決定装置(Applied Biosystems,Foster City,CA)を用いるものである。配列決定はまた,単一ヌクレオチドプライマー伸張("SNapShot"配列決定法)またはアレルまたは変異特異的PCR等の単一塩基決定法を含んでいてもよい。
【0059】
JAK2核酸変異の検出の例示的方法
核酸(例えば全核酸)は,任意の適当な方法を用いて患者の生物学的サンプルから抽出することができる。次に,全核酸調製物またはRNA調製物のいずれかを用いてRT−PCR反応を行って,患者RNAの一部を特異的に増幅する。1工程RT−PCR系の例は,Superscript III System(Invitrogen,Carlsbad,CA)である。RT−PCR反応用の他の方法およびシステムは当該技術分野においてよく知られており,市販されている。プライマー対は,目的とする領域,例えば,配列番号1のヌクレオチド1920−1923を包含するよう設計して,PCR産物を得る。例として,限定されないが,JAK2用のプライマー対は,5’−GACTACGGTCAACTGCATGAAA−3’(配列番号5),および5’−CCATGCCAACTGTTTAGCAA−3’(配列番号6)であることができる。得られるRT−PCR産物は273ヌクレオチドの長さである。次に,RT−PCR産物をゲル精製等により精製し,得られた精製した産物を配列決定する。核酸配列決定法は当該技術分野において知られており,配列決定法の例としては,ABI Prism BIgDye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems,FosterCity,CA)が挙げられる。次に,JAK2核酸中の1またはそれ以上の変異の存在または非存在について,配列決定データを分析することができる。また,配列決定データを分析して,サンプル中に存在する野生型体変異型核酸の比率を決定することができる。
【0060】
変異型JAK2蛋白質の検出
変異したJAK2蛋白質の検出は,例えば,抗体,アプタマー,リガンド/基質,他の蛋白質または蛋白質フラグメント,または他の蛋白質結合試薬を用いて行うことができる。好ましくは,蛋白質検出試薬は,本発明の変異したJAK2蛋白質に対して特異的であり,したがって,変異した蛋白質と野生型蛋白質または他の変種との間を区別することができる。これは,一般に,例えば,変異型と野生型蛋白質との間で相違する蛋白質の領域に結合する検出試薬を選択または設計することにより行うことができる。
【0061】
変異したJAK2蛋白質を検出するための1つの好ましい試薬は,変異の蛋白質に選択的に結合しうる抗体である。野生型と変異型JAK2蛋白質とを区別しうる抗体は,当該技術分野において知られる任意の適当な方法により作成することができる。抗体はモノクローナル抗体であってもポリクローナル抗体であってもよく,一本鎖であっても二本鎖であってもよく,キメラ抗体またはヒト化抗体であってもよく,または抗原結合フラグメントに対応することが当該技術分野において知られている部分を含むイムノグロブリン分子の一部であってもよい。
【0062】
ポリクローナル抗体を製造する方法は当該技術分野においてよく知られている。典型的には,抗体は,変位したJAK2蛋白質を白色ニュージーランドラビットに投与(例えば皮下注射により)することにより作成する。JAK2抗原は,典型的には複数の部位に注射し,注射を複数回繰り返して(例えば,およそ2週間に1回)免疫応答を誘導する。望ましくは,ラビットに同時にアジュバントを投与して,抗JAK2免疫を増強する。次に,例えば同じJAK2抗原を用いて抗体を捕捉するアフィニティークロマトグラフィーを用いて,血清サンプルからポリクローナル抗体を精製する。
【0063】
また,変異したJAK2蛋白質を検出するためのインビトロ方法としては,例えば,酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA),ラジオイムノアッセイ(RIA),ウエスタンブロット,免疫沈殿,免疫蛍光,および蛋白質アレイ/チップ(例えば,抗体またはアプタマーのアレイ)が挙げられる。イムノアッセイおよび関連する蛋白質検出方法のさらなる情報については,Current Protocols in Immunology,John Wiley&Sons,N.Y.,およびHage,"Immunoassays",Anal Chem.1999 Jun.15;71(12):294R−304Rを参照。アミノ酸変異型を検出する別の分析法としては,限定されないが,電気泳動移動度の変化(例えば2次元電気泳動),トリプシンによるペプチド消化の変化,細胞系または無細胞系アッセイにおけるJAK2キナーゼ活性の変化,リガンドまたは抗体の結合パターンの変化,等電点の変化および直接アミノ酸配列決定が挙げられる。
【0064】
診断ツール
本発明のJAK2核酸としては,例えば,配列番号1のJAK2ヌクレオチド配列の一部と実質的に同一であり,さらに以下の変異:G1920A,G1920T,G1920T/C0922T,およびT1923Cの1またはそれ以上を含む核酸またはその相補体が挙げられる。これらの核酸は,個体が骨髄増殖性疾患を有しているか(または発症しやすいか)を診断するためのツールとして使用することができる。あるいは,JAK2変異状態は,単独でまたは他の臨床パラメータと組み合わせて用いて,骨髄増殖性疾患を有すると診断された患者の予後を判定するために用いることができる。好ましい態様においては,JAK2核酸は,少なくとも10,12,14,16,18,20,25,30,40,50,75,100,またはそれ以上のヌクレオチドを有する。
【0065】
別の好ましい態様においては,JAK2核酸はさらに検出可能な標識を含み,患者サンプルにおいて変異したJAK2核酸を検出するためのプローブ("JAK2プローブ")として用いられる。JAK2プローブは当該技術分野において知られる方法により検出可能なように標識することができる。有用な標識としては,例えば,蛍光色素(例えば,Cy5(登録商標),Cy3(登録商標),FITC,ローダミン,ランタニド蛍光体,テキサスレッド,FAM,JOE,Cal Fluor Red 610(登録商標),Quasar 670(登録商標)),放射性同位体(例えば,32P,35S,3H,14C,125I,131I),高電子密度試薬(例えば金),酵素(例えば,西洋ワサビペルオキシダーゼ,ベータ−ガラクトシダーゼ,ルシフェラーゼ,アルカリホスファターゼ),比色標識(例えば金コロイド),磁気標識(例えば,Dynabeads(商標)),ビオチン,ジゴキシゲニン,またはそれに対する抗血清またはモノクローナル抗体が利用可能なハプテンおよび蛋白質が挙げられる。他の標識としては,それぞれ対応するレセプターまたはオリゴヌクレオチド相補体と複合体を形成しうるリガンドまたはオリゴヌクレオチドが挙げられる。標識は,検出すべき核酸中に直接取り込ませてもよく,または検出すべき核酸にハイブリダイズまたは結合するプローブ(例えばオリゴヌクレオチド)または抗体に結合させてもよい。
【0066】
別の好ましい態様においては,JAK2プローブはTaqMan(登録商標)プローブ,分子ビーコン,およびスコーピオン(例えばScorpion(商標)プローブ)である。これらのタイプのプローブは,蛍光消光の原理に基づいており,ドナー蛍光団および消光成分を含む。本明細書において用いる場合,"蛍光団"との用語は,特定の波長(励起周波数)の光を吸収し,続いてより長い波長(放出周波数)の光を放出する分子を表す。本明細書において用いる場合,"ドナー蛍光団"との用語は,消光剤成分と近接している場合に,放出エネルギーを消光剤に供与ないし移動させる蛍光団を意味する。消光剤成分にエネルギーを供与した結果,ドナー蛍光団それ自体は,近接して配置された消光剤成分が存在しない場合よりも少ない特定の放出周波数の光を放出する。
【0067】
本明細書において用いる場合,"消光剤成分"との用語は,ドナー蛍光団の近傍に位置して,ドナーにより生成された放出エネルギーを取り込み,エネルギーを熱またはドナーの放出波長より長い波長の光として消散させる分子を意味する。後者の場合,消光剤はアクセプター蛍光団であると考えられる。消光成分は,近接(すなわち衝突)消光により,またはフォスターないし蛍光共鳴エネルギー移動("FRET")により作用する。TaqMan(登録商標)プローブにおいては一般にFRETによる消光が用いられ,分子ビーコンおよびScorpion(商標)タイプのプローブにおいては近接消光が用いられる。適当な消光剤は,特定の蛍光団の蛍光スペクトルに基づいて選択される。有用な消光剤としては,例えば,Black Hole(商標)消光剤のBHQ−1,BHQ−2,およびBHQ−3(Biosearch Technologies,Inc.),およびATTOシリーズの消光剤(ATTO 540Q,ATTO 580Q,およびATTO 612Q;Atto−TecGmbH)が挙げられる。
【0068】
スコーピオンプライマーを用いると,配列特異的プライミングおよびPCR産物の検出を単一の分子を用いて行うことができる。スコーピオンプライマーは,ハイブリダイズしていない状態ではステム・ループ構造を保持している。蛍光団は,5’末端に結合しており,3’末端に結合している成分により消光されているが,好適な態様ではこの配置は逆でもよい。ステムの3’部分はまた,プライマーの伸張産物に相補的な配列を含む。この配列は,特異的プライマーの5’末端に増幅可能でないモノマーを介して連結されている。プライマー成分の伸張後,特異的プローブ配列は伸張されたアンプリコン中のその相補体に結合することができ,このためヘアピンループが開く。このことにより蛍光の消光が妨害され,シグナルが観察される。特異的標的は,リバースプライマーおよびスコーピオンプライマーのプライマー部分により増幅され,伸張産物が生ずる。スコーピオンプライマーのプローブ要素(例えばJAK2プローブ)が伸張産物に結合することにより,蛍光団が消光剤から離れ,蛍光シグナルが生成する。
【0069】
TaqMan(登録商標)プローブ(Heid,et al.,Genome Res 6:986−994,1996)は,Taqポリメラーゼの蛍光発生性5’エキソヌクレアーゼ活性を使用して,cDNAサンプル中の標的配列の量を測定する。TaqMan(登録商標)プローブは,5’塩基またはその近くにドナー蛍光団を含み,典型的には3’塩基またはその近くに消光成分を含むオリゴヌクレオチドである。消光剤成分は,TAMRA等の色素であってもよく,例えば4−(4−ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL)等の非蛍光分子であってもよい。Tyagi,et al.,16 Nature Biotechnology 49−53(1998)を参照。照射されると,励起された蛍光ドナーは,蛍光を発生するのではなく,FRETによりエネルギーを近傍の消光成分に移動させる。すなわち,ドナーと消光剤とが近接することにより,ドナー蛍光の放出が妨害されるが,プローブは無傷のままである。
【0070】
TaqMan(登録商標)プローブは,PCR産物の内部領域にアニーリングするよう設計される。ポリメラーゼ(例えばリバーストランスクリプターゼ)がTaqMan(登録商標)プローブが結合したテンプレートを複製すると,その5’エキソヌクレアーゼ活性によりプローブが切断される。このことにより,消光剤(FRETなし)の活性が消失し,ドナー蛍光団は蛍光を放出し始め,これは各サイクルでプローブの切断速度と比例して増加する。PCR産物の蓄積は,レポーター色素の増加をモニターすることにより検出する(プライマーは標識されていないことに注意)。消光剤がアクセプター蛍光団である場合には,PCR産物の蓄積は,アクセプター蛍光団の蛍光の減少をモニターすることにより検出することができる。
【0071】
JAK2変異を検出するためのキット
本発明はまた,JAK2変異を検出するためのキットを提供する。キットは,配列番号1のヌクレオチド1920−1923を包含する標的JAK2核酸配列を増幅することができるプライマー対,および標的中でJAK2変異を検出する手段を少なくとも含む。好ましくは,キットのプライマー対を用いる増幅により,少なくとも20,40,60,80,100,125,150,200,300,500,またはそれ以上のヌクレオチドを有する反応生成物が得られる。適当なプライマー対としては,例えば,配列番号5および6の配列を有するプライマーが挙げられる。反応生成物においてJAK2変異を検出するための適当な手段としては,検出可能なように標識されたJAK2プローブ,例えば本明細書に記載されるものを使用することができる。
【0072】
診断および予後予測
JAK2変異,例えば,V617F,V617IおよびC618Rの単独変異,互いの組み合わせ,または他のJAK2変異との組み合わせの存在は,疾病の指標となりうる。さらに,これらの変異の接合状態により,疾病の進行およびある患者集団についての患者寿命を予測することができる。患者サンプルにおける変異型対野生型核酸の比率は,疾病の進行および治療効力などの事実をモニターするために用いることができる。
【0073】
接合状態およびサンプル中の野生型対変異型核酸の比率は,当該技術分野において知られる配列特異的,定量的検出法等の方法を用いて決定することができる。他の方法は,標準的な配列決定電気泳動像,例えばABI Sequencing Systems,(Applied Biosystems,Foster City CA)を用いて作成されたものから,配列決定ピークの曲線下の面積を測定することを含む。例えば,電気泳動像の特定のヌクレオチドを示す位置に1つのピーク,例えば"G"のみが存在すれば,これはサンプル中の核酸がその位置に1つのヌクレオチド"G"のみを含むことを示す。この場合,このサンプルは1つのアレルのみが検出されるためホモ接合性であると分類される。電気泳動像の同じ位置に2つのピーク,例えば"G"のピークと"T"のピークが存在することは,サンプルが2つの核酸種,すなわち,問題とするヌクレオチド位置に"G"を有する種と,問題とするヌクレオチド位置に"T"を有する種を含むことを示す。この場合,このサンプルは2以上のアレルが検出されるためヘテロ接合性であると分類される。
【0074】
2つのピークのサイズを決定し(例えば,それぞれの曲線の下の面積を測定することにより),2つの異なる核酸種の比率を計算することができる。野生型体変異型の核酸の比率を用いて,疾病の進行をモニターし,治療を決定し,または診断を行うことができる。例えば,本発明により同定される変異の1またはそれ以上を有する癌性細胞の数は,骨髄増殖性疾患の経過の間に変化するであろう。疾病の初期にベースラインの比率を定め,後に変異型核酸の野生型核酸に対する高い比率が測定されれば,これは疾病が悪化しているか,または治療が有効ではなく,患者において変異を有する細胞の数が増加していることを示すであろう。野生型対野生型核酸の比率が低ければ,これは治療が奏功しているか,または疾病が進行しておらず,患者において変異を有する細胞の数が減少していることを示すであろう。
【実施例】
【0075】
実施例1:JAK2変異の検出
MPD状態が不明の634名の個体の全血サンプルを,配列番号3のアミノ酸617をコードするコドンの周辺領域におけるJAK2変異について調べた。また,MPDが確認された患者からの130の血漿サンプルも調べた。
【0076】
NucliSense Extraction Kit(bioMerieux Inc.,Durham,NC)を用いて、製造元により推奨されるようにして,混合物から総RNAを抽出した。PCRプライマー対は,JAK2遺伝子のアミノ酸671をコードする領域の全体を増幅するよう設計した。PCRおよび配列決定に用いたプライマー配列は以下のとおりである:JAK2−F(5’−GACTACGGTCAACTGCATGAAA?3’)配列番号5(配列番号1のヌクレオチド1776−1797に対応),およびJAK2−R(5’−CCATGCCAACTGTTTAGCAA−3’)配列番号6(配列番号1のヌクレオチド2029−2048に対応)。1工程RT−PCRは,25μlの反応容量中で,SuperScript III one−step RT−PCRシステムをPlatinum Taq(Invitrogen,Carlsbad,CA)とともに用いて行った。RT−PCRにおいて用いた濃度は次のとおりである:1X反応バッファー,各400nMのフォワードおよびリバースJAK2プライマー,1ユニットのSupers Script IIIおよび5μLのRNAテンプレート。熱サイクル条件は次のとおりである:逆転写55℃,30分間,次に94℃で2分間,および94℃で15秒間,60℃で30秒間,68℃で1分間を40サイクル,68℃で7分間の最終工程。
【0077】
増幅産物はMultiscreen PCR plate(Millipore,Billerica,MA)を用いて濾過精製し,次に,ABI Prism BigDye Terminator V3.1 Cycle Sequencing KitおよびABI PRISM 3100 Genetic Analyzer(Applied Biosystems,Foster City、CA)を用い,GenBank受託番号NM004972のJAK2配列を参照として用いて,順方向および逆方向の両方で配列決定した。
【0078】
最も普通に検出されたものは,G1920T変異から生ずるJAK2蛋白質のV617Fアミノ酸置換である。図5は,細胞に基づく,および血漿に基づくJAK2変異分析からの代表的な電気泳動像の出力を示す。図5Aは,正常な(野生型)個体からの出力を示す。図5Bおよび5Cは,G1920T変異を有する個体の血液細胞および血漿サンプルからの出力を示す。図5Bは,この個体がG1920T変異についてヘテロ接合性であることを示す。ドットはチアミン塩基にともなうピークを示す。しかし,図5Cは,同じ個体から得た血漿サンプルであり,この個体が変異についてホモ接合性または半接合性であることを示す。血液細胞サンプルからの誤った結果は,おそらくは,高レベルの正常血液細胞が白血病細胞の核酸を希釈/夾雑した結果であろう。したがって,血漿は,腫瘍特異的核酸が豊富であり,MPDを検出するためのより信頼性のあるアッセイ基質を提供する。
【0079】
2つの新規なJAK2点突然変異が1名の患者から発見された。図6に示されるように,この患者はV617Fアミノ酸置換をもたらす変異型の核酸変異と,C618Rアミノ酸置換をもたらす第2の核酸変異との両方を有していた。図6Aは,正常な(野生型)JAK2を有する患者からの電気泳動像の出力を示す。図6Bは,アミノ酸617をコードするコドンにおける二重点突然変異を示す。特に,野生型GTCコドン(バリン)は,G1920T/C1922Tの二重点突然変異(灰色矢印)を含み,その結果TTTコドン(アルギニン)となっている。また,この個体は,TGT(システイン)からCGT(アルギニン)へのコドン変化をもたらすT1923C点突然変異(黒矢印)を有することが発見された。
【0080】
異なる患者において別の新規JAK2点突然変異が発見された。図7に示されるように,この患者はJAK2蛋白質のV617Iアミノ酸置換を生ずるG1920A点突然変異を有していた。
【0081】
特に明記しないかぎり,本明細書で用いられるすべての技術および科学用語は,本発明が属する分野の当業者が一般に理解するものと同じ意味をもつ。
【0082】
本明細書に例示的に記載される本発明は,本明細書に具体的に開示されていない任意の要素(単数または複数),制限(単数または複数)を適宜除いて実施することができる。したがって,例えば"・・・を含む","・・・を含有する","・・・が含まれる"等の用語は広範に,制限なしに理解すべきである。さらに,本明細書で用いられる用語および表現は,記述のための用語として使用するものであって制限を与えるものではなく,それらの用語および表現の使用に際しては,表示および記述する特徴の同等物またはその一部のいずれをも除外する意図はなく,特許請求の範囲に記載される本発明の範囲内で種々の改変が可能であることが認識される。
【0083】
すなわち,好ましい態様および選択可能な特徴によって本発明を具体的に開示してきたが,当業者は,本明細書に開示する本発明の改変,改善,および変更をなすことができ,それらの改変,改善,および変更は本発明の範囲内に含まれるとみなされる。本明細書に記載される物質,方法,および実施例は好ましい態様の代表的なものであり,例証であって,本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0084】
本発明について広範かつ一般的に記載した。包括的な開示に含まれる,より狭義の種および亜群もそれぞれ本発明の一部を為す。属(genus)から任意の対象を除去する条件付きまたは消極的制限を有する本発明の一般的な記述は,その除外された要素が具体的に本明細書に記載されているか否かに拘わらず,これに含まれる。
【0085】
さらに,本発明の特徴または観点がマーカッシュ群で記載されている場合,当業者に認識されるように,本発明はマーカッシュ群の任意の個々のメンバーまたはメンバーの亜群に関しても記載されている。
【0086】
本明細書に記載する全ての文献,特許出願,特許,および参照は,そのそれぞれが個々に参照により組み込まれたのと同程度に,その全体が参照により明確に本明細書に組み込まれる。不一致が生じる場合,定義を含む本明細書が優先する。
【図1−1】

【図1−2】

【図1−3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
新生物疾患を診断する方法であって,患者のJAK2核酸における1またはそれ以上の変異の存在または非存在を測定することを含み,前記変異は,G1920A,T1923C,およびG1920T/C1922Tからなる群より選択されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記変異はG1920Aである,請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記変異はG1920T/C1922Tである,請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記変異はT1923Cである,請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記JAK2核酸はさらにG1920T変異を含む,請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記JAK2核酸はさらにG1920T/C1922T変異を含む,請求項4記載の方法。
【請求項7】
前記JAK2核酸はさらにT1920A変異を含む,請求項4記載の方法。
【請求項8】
前記新生物疾患は骨髄増殖性疾患である,請求項1記載の方法。
【請求項9】
骨髄増殖性疾患は,真性赤血球増加症,本態性血小板血症,突発性骨髄線維症,および未分類骨髄増殖性疾患からなる群より選択される,請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記変異はJAK2キナーゼ活性に影響を及ぼす,請求項1記載の方法。
【請求項11】
新生物疾患と診断された個体の予後を判定する方法であって,
患者のJAK2核酸における1またはそれ以上の変異の存在または非存在を測定し,前記変異は,G1920A,T1923C,およびG1920T/C1922Tからなる群より選択され,そして
変異状態を用いて個体の臨床転帰を予測する,
ことを含む方法。
【請求項12】
前記変異はG1920Aである,請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記変異はG1920T/C1922Tである,請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記変異はT1923Cである,請求項11記載の方法。
【請求項15】
前記JAK2核酸はさらにG1920T変異を含む,請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記JAK2核酸はさらにG1920T/C1922T変異を含む,請求項14記載の方法。
【請求項17】
前記JAK2核酸はさらにT1920A変異を含む,請求項14記載の方法。
【請求項18】
前記新生物疾患は骨髄増殖性疾患である,請求項11記載の方法。
【請求項19】
骨髄増殖性疾患は真性赤血球増加症,本態性血小板血症,突発性骨髄線維症,および未分類骨髄増殖性疾患からなる群より選択される,請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記変異はJAK2キナーゼ活性に影響を及ぼす,請求項11記載の方法。
【請求項21】
変異状態を少なくとも1つの他の臨床パラメータと組み合わせて,個体の臨床転帰を判定する,請求項11記載の方法。
【請求項22】
少なくとも1つの他の臨床パラメータは,年齢および芽細胞数のパーセントからなる群より選択される,請求項21記載の方法。
【請求項23】
新生物疾患を診断する方法であって,患者のJAK2蛋白質中の変異の存在または非存在を判定することを含み,前記変異はV617AおよびC618Rからなる群より選択されることを特徴とする方法。
【請求項24】
前記変異はV617Aである,請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記変異はC618Rである,請求項23記載の方法。
【請求項26】
前記JAK2蛋白質はさらにV617F変異を含む,請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記新生物疾患は骨髄増殖性疾患である,請求項23記載の方法。
【請求項28】
骨髄増殖性疾患は真性赤血球増加症,本態性血小板血症,突発性骨髄線維症,および未分類骨髄増殖性疾患からなる群より選択される,請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記変異はJAK2キナーゼ活性に影響を及ぼす,請求項23記載の方法。
【請求項30】
配列番号1の少なくとも14ヌクレオチドを含む単離された核酸であって,G1920A,T1923C,およびG1920T/C1922Tからなる群より選択される変異またはその相補体を含むことを特徴とする核酸。
【請求項31】
前記変異はG1920Aである,請求項30記載の核酸。
【請求項32】
前記変異はG1920T/C1922Tである,請求項30記載の核酸。
【請求項33】
前記変異はT1923Cである,請求項30記載の核酸。
【請求項34】
前記核酸はさらにG1920T変異を含む,請求項33記載の核酸。
【請求項35】
前記核酸はさらにG1920T/C1922T変異を含む,請求項33記載の核酸。
【請求項36】
前記核酸はさらにT1920A変異を含む,請求項33記載の核酸。
【請求項37】
前記核酸は少なくとも50ヌクレオチドを含む,請求項30記載の核酸。
【請求項38】
前記核酸はさらに検出可能な標識を含む,請求項30記載の核酸。
【請求項39】
配列番号3の少なくとも10個の連続するアミノ酸を含む単離されたポリペプチドであって,V617IおよびC618Rからなる群より選択される変異を含むことを特徴とするポリペプチド。
【請求項40】
前記変異はV617Iである,請求項39記載のポリペプチド。
【請求項41】
前記変異はC618Rである,請求項39記載のポリペプチド。
【請求項42】
前記ポリペプチドはさらにV617I変異を含む,請求項41記載のポリペプチド。
【請求項43】
前記ポリペプチドは少なくとも50アミノ酸を含む,請求項39記載のポリペプチド。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−502519(P2011−502519A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533290(P2010−533290)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/082860
【国際公開番号】WO2009/062078
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(505063050)クエスト ダイアグノスティックス インヴェストメンツ インコーポレイテッド (20)
【Fターム(参考)】