説明

JNKのピリミジニルピリドンインヒビター

本出願は、式I[式中、A、R、R、R、及びmは、本明細書における定義のとおりである]によるJNKを阻害する新規なピリミジニルピリドン誘導体を開示する。本明細書において開示される化合物は、JNKの活性を調節し、過剰なJNKの活性に関連する疾患を処置するのに有用である。本化合物は、自己免疫性、炎症性、代謝性、神経性疾患、並びに癌の処置に有用である。また、さらに、式Iの化合物を含む組成物及び治療有効量の式Iの化合物をそれを必要とする対象に投与することを含む処置の方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、医薬品化学の分野及び炎症性障害の処置の分野に関する。より具体的には、本発明は、JNKのピリミジニルピリドンインヒビター、JNKの阻害のための方法及び処方並びにJNK介在障害等の処置に関する。
【0002】
JNK、すなわち、c−Jun N末端キナーゼ(JNK)は、p38及び細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)と共に、分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼファミリーのメンバーである。10種のスプライスバリアントをコードする3種の別個の遺伝子(jnk1、jnk2及びjnk3)が同定されている。JNK1及びJNK2は、多種多様な組織で発現するが、一方JNK3は、主としてニューロンで発現し、程度は少ないが心臓及び精巣でも発現する。JNKファミリーのメンバーは、腫瘍壊死因子α(TNF−α)及びインターロイキン−1β(IL−1β)のような炎症促進性サイトカイン、更には環境ストレスにより活性化する。JNKの活性化には、その上流のキナーゼであるMKK4及びMKK7が、Thr−183及びTyr−185の二重リン酸化により介在している。MKK4及びMKK7は、外部刺激及び細胞状況に応じて、MEKK1及びMEKK4を含む多様な上流のキナーゼにより活性化されうることが示されている。JNKシグナル伝達の特異性は、JNK相互作用タンパク質と呼ばれる足場タンパク質を用いて、キナーゼカスケードの複数の成分を含有するJNK特異的シグナル伝達複合体を形成することにより達成される。JNKは、活性化タンパク質−1(AP1)ファミリーの成分であるc−Jun、及びATF2のような転写因子、更にはIRS−1及びBcl−2のような非転写因子を含む、特異的基質をリン酸化することにより、炎症、T細胞機能、アポトーシス及び細胞生存において重要な役割を演じていることが示されている。JNKの過剰活性化は、自己免疫性、炎症性、代謝性、神経性疾患、並びに癌における重要な機序であると考えられている。
【0003】
関節リウマチ(RA)は、関節の慢性炎症を特徴とする全身性自己免疫疾患である。炎症過程に起因する関節腫脹及び疼痛に加えて、大部分のRA患者は、最終的には消耗性の関節損傷及び変形を起こす。細胞及び動物モデルにおける数系統の説得力ある薬理学的及び遺伝学的証拠は、RAの発症機序における活性化JNKの関連性及び重要性を強く示唆している。最初に、JNKの異常活性化は、RA患者からのヒト関節炎の関節及び関節炎の動物モデルからの齧歯類の関節炎の関節の両方において検出された。更に、選択的JNKインヒビターによるJNK活性化の阻害は、ヒト滑膜細胞、マクロファージ及びリンパ球における、炎症促進性サイトカイン及びMMP産生をブロックした。重要なことに、アジュバント関節炎のラットにおける又はコラーゲン誘導関節炎のマウスにおける選択的JNKインヒビターの投与は、サイトカイン及びコラゲナーゼ発現を阻害することによって、破壊から関節を効果的に保護し、そして足蹠腫脹を有意に軽減した。
【0004】
喘息は、細胞性炎症過程の存在、及び気道の構造変化に伴う気管支過敏性を特徴とする気道の慢性炎症性疾患である。この障害は、Tリンパ球、好酸球、肥満細胞、好中球及び上皮細胞を含む、気道内の多くの細胞種により促進されることが示されている。JNKは、最近の概念実証試験に基づく喘息の有力な治療標的として浮上している。JNKインヒビターは、活性化ヒト気道平滑細胞におけるRANTES産生を有意にブロックすることが証明されている。更に重要なことには、JNKインヒビターは、細胞浸潤、炎症、過敏性、平滑筋増殖、及びIgE産生を減少させる、その能力に関して慢性のラット及びマウスモデルにおいて良好な効果を示した。これらの知見は、アレルギー性炎症、過敏性を伴う気道リモデリング過程におけるJNKの重要な役割を示唆している。したがって、JNK活性の遮断は、喘息の処置に有益であることが期待されている。
【0005】
2型糖尿病は、酸化ストレスを伴う慢性の低レベル炎症及び異常脂質代謝の結果としてのインスリン抵抗性及びインスリン分泌障害を特徴とする、最も重篤かつ一般的な代謝疾患である。JNK活性は、肥満及び糖尿病状態下の種々の糖尿病標的組織において異常に上昇していることが報告されている。炎症促進性サイトカイン及び酸化ストレスによるJNK経路の活性化は、インスリン受容体基質−1(IRS−1)のSer307でのリン酸化を介してインスリンシグナル伝達を負に制御し、これによってインスリン抵抗性及び耐糖能に寄与する。
【0006】
説得力ある遺伝学的証拠は、遺伝性(ob/ob)肥満マウス又は食餌性肥満マウスのいずれかと交配させたjnk−/−マウスを用いるエレガントな動物モデル研究によって得られた。JNK1の消失(JNK1−/−)(JNK2機能は消失(jnk2−/−)していない)は、肥満マウスを体重増加から保護し、血糖の定常状態レベルを増大させ、そして血漿インスリンレベルを減少させた。これらの研究は、肥満/2型糖尿病の処置におけるJNKインヒビターの潜在的な有用性を証明した。アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)及び卒中のような神経変性疾患は、シナプス消失、神経細胞の萎縮及び死を特徴とするCNS疾患である。c−Jun活性化へのJNK経路は、種々の刺激の誘導による、単離初代胚性神経細胞及び複数の神経細胞株のアポトーシスにおける因果的役割を演じていることが示されている。JNKの過剰活性化は、AD患者由来のヒト脳又は神経変性疾患の動物モデル由来の齧歯類脳切片において観察された。例えば、リン酸−JNKの増大は、AD患者からの死後脳において検出された。β−アミロイドペプチド投与により誘導されたADの齧歯類モデルにおける、JNK阻害ペプチド(JIP−1ペプチド)の投与は、シナプス可塑性機能障害を妨げた。PDの動物モデル(MPTPモデル)では、リン酸−MKK4及びリン酸−JNKの上昇が、神経細胞死に相伴って観察された。マウスの線条体中へのJNK阻害ペプチド(JIP−1ペプチド)のアデノウイルスによる遺伝子導入は、MPTP介在性JNK、c−Jun及びカスパーゼ活性化を阻害し、よって黒質において神経細胞死をブロックすることにより、行動障害を軽減させた。更に、グルタミン酸興奮毒性により誘導された虚血性卒中の動物モデルでは、JNK3が欠損しているが、JNK1又はJNK2は欠損していないマウスは、カイニン酸(グルタミン酸受容体アゴニスト)介在性発作又は神経死に抵抗性であった。これらのデータは、JNK3が、虚血症状における重要な成分である、グルタミン酸興奮毒性を主として担っていたことを示唆している。総合すると、データは、JNKが、神経細胞死を伴う複数のCNS疾患の格好の標的であることを示唆している。
【0007】
制御されない細胞成長、増殖及び遊走は、無秩序な血管新生と同調して、悪性腫瘍の形成をもたらす。JNKシグナル伝達経路は、専らアポトーシスにおいて作用するのではなく、最近、AP1活性化に至る持続的JNK活性化が、神経膠腫及びBCL−ABL形質転換Bリンパ芽球のような特異的癌型の細胞生存への寄与に関わっているとされている。神経膠腫の場合には、増強されたJNK/AP1活性が、大部分の原発性脳腫瘍試料において見られた。形質転換Bリンパ芽球については、BCL−ABLは、JNK経路を活性化し、これが次に抗アポトーシスbcl−2遺伝子の発現をアップレギュレートしたことが証明された。興味深いことに、処置が無効なAML(急性骨髄性白血病)患者において見られる多剤耐性及び過剰増殖は、これらのAML試料中に存在する持続的JNK活性に原因として関係している。白血病細胞におけるJNKの活性化は、多剤耐性を担うmdr1及びMRP1のような排出ポンプの誘導発現をもたらした。また、グルタチオン−S−トランスフェラーゼπ及びγ−グルタミルシステインシンターゼを含む、酸化ストレスに応じて延命効果を持つ遺伝子もまた、活性化JNK経路によりアップレギュレートされた。したがって、JNKモジュレーターは、種々の疾患及び/又は状態を処置するのに有用である。
細胞増殖の制御におけるサイクリン依存性キナーゼ(“cdk”)の役割は、十分に確立されている。抗増殖性治療剤としての、Cdk4、Cdk2及びCdk1経路における標的を阻害する化合物の使用を有効なものとする多くの文献が存在する。例えば、J. Lukas et al., Nature (1995) 79:573-82; J.R. Nevins, Science (1992)258:424-29; I.K. Lim et al., Mol Carcinogen (1998) 23:25-35; S.W. Tam et al.,Oncogene (1994) 9:2663-74; B. Driscoll et al., Am. J. Physiol. (1997) 273 (LungCell. Mol. Physiol.) L941-L949; 及び J. Sang etal., Chin. Sci. Bull. (1999) 44:541-44参照。細胞増殖のインヒビターは、異常な細胞成長を特徴とする疾患過程、例えば癌、並びに例えば炎症(例えば、良性前立腺肥大、家族性腺腫(familial adeomauosis)、ポリポーシス、神経線維腫症、アテローム性動脈硬化症、肺線維症、関節炎、乾癬、炎症性腸疾患、移植拒絶感染症)、ウイルス感染症(ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、エプスタイン−バーウイルスを含むが、これらに限定されない)、自己免疫疾患(例えば、狼瘡、関節リウマチ、乾癬、炎症性腸疾患)、神経変性障害(アルツハイマー病を含むが、これに限定されない)、及び神経変性疾患(例えば、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、網膜色素変性症、脊髄性筋萎縮症、及び大脳変性)を含む他の細胞増殖性障害の処置に有用である可逆性細胞増殖抑制剤として作用する。
【0008】
1つの態様において、本出願は、式I:
【0009】
【化1】


[式中、
は、R1a又はR1bであり;
1aは、H、ハロ、アシル、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、−CN、又は−OHであり;
1bは、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、又はフェニルであり、場合により1つ以上のR1b’で置換されており;
各R1b’は、独立して、ハロ、−OH、低級アルコキシ、アミノ、低級アルキル又は低級ハロアルキルであり;
は、低級アルキル、低級ヘテロアルキル、低級アルコキシ、シクロアルキル、フェニル、ヘテロシクロアルキル、又はヘテロアリールであり、場合により1つ以上のR2aで置換されており;
各R2aは、独立して、−OH、ハロ、低級アルキル、アミノ、低級アルコキシ、又はR2bであり;
2bは、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、又はフェニルであり、場合により1つ以上のR2b’で置換されており;
各R2b’は、独立して、ハロ、−OH、低級アルコキシ、アミノ、低級アルキル又は低級ハロアルキルであり;
は、ハロ、アミノ、低級アルキル、低級アルコキシ、又は低級ハロアルキルであり;
Aは、O又はA’であり;
A’は、C(R)(R’)又はN(R5b)であり;
及びR’は、独立して、R5a又はR5bであり;
5aは、−H、ハロ、−OH、又はA”であり;
5bは、低級アルキル、A”、又は低級ヘテロアルキルであり、場合により1つ以上のR6aで置換されており;
6aは、−OH、ハロ、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、又はアミノであり;
A”は、−NHC(=O)R、−NHC(=O)OR、−N(R)S(=O)、−S(=O)、−C(=O)R、又は−C(=O)ORであり;
は、低級アルキル又はシクロアルキルであり;
は、シクロアルキル、シクロアルキル低級アルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル低級アルキル、又は低級アルキルであり、その各々は、場合によりハロ、−OH、低級アルコキシ、アミノ、又は低級アルキルで置換されていてよく;
は、H又は低級アルキルであり;
mは、0〜4である]の化合物(そのエナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ混合物及び薬学的に許容されうる塩を含む)を提供する。
【0010】
もう1つの実施態様では、本出願は、式I:
【0011】
【化2】


[式中、
は、R1a又はR1bであり;
1aは、H、ハロ、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、−CN、又は−OHであり;
1bは、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、又はフェニルであり、場合により1つ以上のR1b’で置換されており;
各R1b’は、独立して、ハロ、−OH、低級アルコキシ、アミノ、低級アルキル又は低級ハロアルキルであり;
は、低級アルキル、低級ヘテロアルキル、低級アルコキシ、シクロアルキル、フェニル、ヘテロシクロアルキル、又はヘテロアリールであり、場合により1つ以上のR2aで置換されており;
各R2aは、独立して、−OH、ハロ、低級アルキル、アミノ、低級アルコキシ、又はR2bであり;
2bは、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、又はフェニルであり、場合により1つ以上のR2b’で置換されており;
各R2b’は、独立して、ハロ、−OH、低級アルコキシ、アミノ、低級アルキル又は低級ハロアルキルであり;
は、ハロ、アミノ、低級アルキル、低級アルコキシ、又は低級ハロアルキルであり;
Aは、O又はA’であり;
A’は、C(R)(R’)又はN(R5b)であり;
及びR’は、独立して、R5a又はR5bであり;
5aは、−H、ハロ、−OH、又はA”であり;
5bは、低級アルキル、A”、又は低級ヘテロアルキルであり、場合により1つ以上のR6aで置換されており;
6aは、−OH、ハロ、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、又はアミノであり;
A”は、−NHC(=O)R、−NHC(=O)OR、−NHS(=O)、−S(=O)、−C(=O)R、又は−C(=O)ORであり;
は、低級アルキル又はシクロアルキルであり;
は、シクロアルキル、シクロアルキル低級アルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル低級アルキル、又は低級アルキルであり、その各々が、場合によりハロ、−OH、低級アルコキシ、アミノ、又は低級アルキルで置換されていてよく;
mは、0〜4である]の化合物(そのエナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ混合物及び薬学的に許容されうる塩を含む)を提供する。
【0012】
ある実施態様において、Aは、A’であり、A’は、C(R)(R’)である。
【0013】
ある実施態様において、Rは、R5aであり、R5aは、Hである。
【0014】
ある実施態様において、Rは、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、フェニル、フェニルアルキル、シクロアルキルアルキル、低級アルキル、又は低級ヘテロアルキルである。
【0015】
ある実施態様において、R’は、R5aであり、R5aは、Hである。
【0016】
ある実施態様において、化合物は:
【0017】
【化3】


からなる群より選択される。
【0018】
ある実施態様において、化合物は、ラセミの5−アミノ−2−シクロヘキシルアミノ−8−((1R/1S,3R/3S)−3−ヒドロキシ−シクロペンチル)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンである。
【0019】
ある実施態様において、Rは、シクロアルキルである。
【0020】
ある実施態様において、シクロアルキルは、シクロブチルである。
【0021】
ある実施態様において、mは、1である。
【0022】
ある実施態様において、Rは、メチルである。
【0023】
ある実施態様において、Rは、メチルである。
【0024】
1つの実施態様では、化合物は、ラセミの5−アミノ−8−シクロブチル−6−メチル−2−((1R/1S,2S/2R)−(2−メチル−シクロヘキシルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンである。
【0025】
1つの実施態様では、化合物は、ラセミの5−アミノ−8−シクロブチル−6−メチル−2−((1R/1S,2R/2S)−2−メチル−シクロヘキシルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンである。
【0026】
1つの実施態様では、化合物は、5−アミノ−8−シクロブチル−6−メチル−2−((1R,2R)−2−メチル−シクロヘキシルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンである。
【0027】
1つの実施態様では、化合物は、5−アミノ−8−シクロブチル−6−メチル−2−((1S,2S)−2−メチル−シクロヘキシルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンである。
【0028】
ある実施態様において、R’は、R5aであり、R5aは、−OHである。
【0029】
ある実施態様において、化合物は:
【0030】
【化4】


からなる群より選択される。
【0031】
ある実施態様において、R’は、R5aであり、R5aは、A”であり、A”は、−NHC(=O)R又は−NHC(=O)ORであり、Rは、低級アルキルである。
【0032】
ある実施態様において、化合物は:
【化5】


からなる群より選択される。
【0033】
1つの実施態様では、化合物は、ラセミの2−(1−アセチル−ピペリジン−4−イルアミノ)−5−アミノ−8−((1R/1S,3R/3S)−3−ヒドロキシ−シクロペンチル)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンである。
【0034】
ある実施態様において、R’は、R5aであり、R5aは、A”であり、A”は、−C(=O)Rであり、Rは、ヘテロシクロアルキルである。
【0035】
ある実施態様において、化合物は:
【0036】
【化6】


からなる群より選択される。
【0037】
ある実施態様において、Aは、N(R5b)であり、R5bは、A”であり、A”は、−S(=O)であり、Rは、低級アルキルである。
【0038】
ある実施態様において、化合物は:
【0039】
【化7】


からなる群より選択される。
【0040】
ある実施態様において、R’は、R5aであり、R5aは、A”であり、A”は、−NHS(=O)であり、Rは、低級アルキルである。
【0041】
ある実施態様において、化合物は:
【0042】
【化8】


からなる群より選択される。
【0043】
ある実施態様において、式中、Aは、Oである。
【0044】
ある実施態様において、化合物は:
【0045】
【化9】


からなる群より選択される。
【0046】
ある実施態様において、Aは、A’であり、A’は、N(R5b)であり、R5bは、A”であり、A”は、−C(=O)R又は−C(=O)ORであり、R及びRは、低級アルキルである。
【0047】
ある実施態様において、化合物は:
【0048】
【化10】


からなる群より選択される。
【0049】
1つの実施態様では、化合物は、ラセミの2−(1−アセチル−ピペリジン−4−イルアミノ)−5−アミノ−8−((1R/1S,3R/3S)−3−ヒドロキシ−シクロペンチル)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンである。
【0050】
ある実施態様において、R及びR’は共にFである。
【0051】
ある実施態様において、化合物は:
【0052】
【化11】


からなる群より選択される。
【0053】
ある実施態様において、R’は、低級ヘテロアルキルである。
【0054】
1つの実施態様では、化合物は:
【0055】
【化12】


である。
【0056】
1つの態様において、本出願は、式II:
【0057】
【化13】


[式中:
は、R1a又はR1bであり;
1aは、H、ハロ、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、−CN、又は−OHであり;
1bは、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、又はフェニルであり、場合により1つ以上のR1b’で置換されており;
各R1b’は、独立して、ハロ、−OH、低級アルコキシ、アミノ、低級アルキル又は低級ハロアルキルであり;
は、低級アルキル、低級ヘテロアルキル、アルコキシ、シクロアルキル、フェニル、ヘテロシクロアルキル、又はヘテロアリールであり、場合により1つ以上のR2aで置換されており;
各R2aは、独立して、−OH、ハロ、低級アルキル、アミノ、低級アルコキシ、又はR2bであり;
2bは、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、又はフェニルであり、場合により1つ以上のR2b’で置換されており;
各R2b’は、独立して、ハロ、−OH、低級アルコキシ、アミノ、低級アルキル又は低級ハロアルキルであり;
は、H、ハロ、アミノ、低級アルキル、低級アルコキシ、又は低級ハロアルキルであり;
mは、0〜5である]の化合物(そのエナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ混合物及び薬学的に許容されうる塩を含む)を提供する。
【0058】
ある実施態様において、化合物は:
【0059】
【化14】


からなる群より選択される。
【0060】
1つの態様において、本出願は、式III:
【0061】
【化15】


[式中:
は、R1a又はR1bであり;
1aは、H、ハロ、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、−CN、又は−OHであり;
1bは、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、又はフェニルであり、場合により1つ以上のR1b’で置換されており;
各R1b’は、独立して、ハロ、−OH、低級アルコキシ、アミノ、低級アルキル又は低級ハロアルキルであり;
は、低級アルキル、低級ヘテロアルキル、低級アルコキシ、シクロアルキル、フェニル、ヘテロシクロアルキル、又はヘテロアリールであり、場合により1つ以上のR2aで置換されており;
各R2aは、独立して、−OH、ハロ、低級アルキル、アミノ、低級アルコキシ、又はR2bであり;
2bは、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、又はフェニルであり、場合により1つ以上のR2b’で置換されており;
各R2b’は、独立して、ハロ、−OH、低級アルコキシ、アミノ、低級アルキル又は低級ハロアルキルであり;
は、ハロ、アミノ、低級アルキル、低級アルコキシ、又は低級ハロアルキルであり;mは、0〜3である]の化合物(そのエナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ混合物及び薬学的に許容されうる塩を含む)である。
【0062】
1つの実施態様では、化合物は、構造:
【0063】
【化16】


を有する。
【0064】
1つの態様において、本出願は、JNK介在障害を有する対象における、JNK介在障害の処置の方法であって、上記化合物のいずれかの治療有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。
【0065】
JNK介在障害の処置の方法のある実施態様において、JNK介在障害は、細胞増殖によって特徴づけられる。
【0066】
JNK介在障害の処置の方法のある実施態様において、JNK介在障害は、関節炎である。
【0067】
JNK介在障害の処置の方法のある実施態様において、関節炎は、関節リウマチである。
【0068】
JNK介在障害の処置の方法のある実施態様において、JNK介在障害は、喘息である。
【0069】
JNK介在障害の処置の方法のある実施態様において、JNK介在障害は、糖尿病である。
【0070】
JNK介在障害の処置の方法のある実施態様において、JNK介在障害は、アルツハイマー病である。
【0071】
JNK介在障害の処置の方法のある実施態様において、JNK介在障害は、パーキンソン病である。
【0072】
JNK介在障害の処置の方法のある実施態様において、JNK介在障害は、虚血性脳卒中である。
【0073】
JNK介在障害の処置の方法のある実施態様において、JNK介在障害は、癌である。
【0074】
JNK介在障害の処置のための方法のある実施態様において、JNK介在障害は、癌であり、癌は、脳癌である。
【0075】
JNK介在障害の処置のための方法のある実施態様において、JNK介在障害は、癌であり、癌は、白血病である。
【0076】
1つの態様において、本出願は、細胞増殖、関節炎、喘息、糖尿病、アルツハイマー病、パーキンソン病、虚血性脳卒中又は癌のようなJNK介在障害を有する対象におけるJNK介在障害の処置の方法であり、上記化合物のいずれかの治療有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。
【0077】
1つの態様において、本出願は、少なくとも1つの薬学的に許容されうる担体、賦形剤又は希釈剤と混合した、上記実施態様のいずれか1つの化合物を含む医薬組成物を提供する。
【0078】
本開示において引用するすべての刊行物は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。別途示さない限り、明細書及び請求項を含む本出願で使用する以下の用語は、以下に与える定義を有する。文脈が明確に別途規定しない限り、明細書及び添付請求項で使用される単数形「a」、「an」、及び「the」は複数形の指示対象を含むことに注意する必要がある。したがって、本明細書で使用する表現「『a』又は『an』存在物」は、1つ以上のその存在物を指し;例えば、1つの化合物(a compound)は、1つ以上の化合物又は少なくとも1つの化合物を指す。そのようなものとして、用語「a」(又は「an」)、「1つ以上」、及び「少なくとも1つ」は、本明細書にて交換可能に使用されうる。
【0079】
本明細書では、請求項における移行句であるか本文であるかを問わず、用語「含む(comprise(s))」及び「含む (comprising)」は、オープンエンドの意味を有すると解釈されるべきである。すなわち、これらの用語は、語句「少なくとも〜を有する(having at least)」又は「少なくとも〜を含む(including atleast)」と同意語として解釈されるべきである。方法に関連して使用する場合、用語「含む(comprising)」は、方法が少なくとも記載された工程を含むが、さらなる工程を含みうることを意味する。化合物又は組成物に関連して使用する場合、用語「含む (comprising)」は、化合物又は組成物が、少なくとも記載された特徴又は成分を有するが、さらなる特徴又は成分も含みうることを意味する。
【0080】
本明細書において使用する用語「又は」は、別段具体的に示さない限り、「及び/又は」の「包括的」意味で使用され、「いずれか/又は」の「排他的」意味では使用されない。
【0081】
用語「独立して」は、本明細書において、同一の化合物内で、同じ又は異なる定義を有する変数の存在又は不在に関わらず、変数が、任意の1つの場合に適用されることを示す。したがって、R”が2回出現し、それが「独立して炭素又は窒素」と定義される化合物においては、両方のR”が炭素であることも、両方のR”が窒素であることも、又は一方のR”が炭素であり、他方が窒素であることもありうる。
【0082】
本発明で用いる又はクレームされている化合物を図示し記載するいずれかの部分又は式において、いずれかの変数(例えば、m、n、R、R、R、R2a、R2b,R、R、R、R5a、R、R6a、R、R、R、A、A’及びA”)が1回より多く出現する場合、各出現についてのその定義は、全ての他の出現におけるその定義から独立している。また、置換基及び/又は変数の組み合わせは、当該化合物が安定な化合物になる場合にのみ許容されうる。
【0083】
結合の終端部の記号「*」又は結合を貫いて延伸する「------」は、各々、官能基又は他の化学部分の、それがその一部である分子の残りとの結合点を指す。したがって、例えば:
【0084】
【化17】


である。
【0085】
環系中に引かれる結合(明確な頂点で連結されたものと対照をなす)は、結合が適切な環原子のいずれかに結合されうることを示す。
【0086】
本明細書において、用語「場合による」又は「場合により」は、続いて記載される事象又は状況が起こってもよいが起こる必要もなく、その記載は、その事象又は状況が起こる場合と起こらない場合とを含むことを意味する。例えば「場合により置換されている」は、場合により置換される部分が、水素又は置換基を組み込みうることを意味する。
【0087】
句「場合による結合」は、結合が、存在する又は存在しない可能性があること、及びその記載が単結合、二重結合又は三重結合を含むことを意味する。ある置換基が、「結合」又は「不在」であると明示された場合、置換基に結合している原子が次に直接結合する。
【0088】
用語「約」は本明細書において、およそ、ほぼ、おおまかに、〜前後、を意味する。用語「約」が数値範囲との組み合わせで使用される場合、それは記載される数値の上及び下に境界を拡張することによってその範囲に変更を加える。一般に、用語「約」は本明細書において、数値を、記載される値の上及び下に20%の変動で変更するように使用される。
【0089】
本発明のある種の化合物は互変異性を示す。互変異性化合物は、2つ以上の相互転換可能な種として存在できる。プロトン性(prototropic)互変異性体は、2つの原子間における共有結合した水素原子の移動によって生じる。互変異性体は、一般的に平衡状態で存在し、個々の互変異性体を単離しようとすると、通常、化合物の混合物と変わらない化学的及び物理的性質を有する混合物を生成する。平衡の位置は、分子内の化学的特徴部分に依存する。例えば、アセトアルデヒドなどの多くの脂肪族アルデヒド及びケトンでは、ケト型が優位を占める一方、フェノールでは、エノール型が優位を占める。一般的なプロトン性互変異性体は、ケト/エノール(−C(=O)−CH−⇔−C(−OH)=CH−)、アミド/イミド酸(−C(=O)−NH−⇔−C(−OH)=N−)及びアミジン(−C(=NR)−NH−⇔−C(−NHR)=N−)互変異性体である。後者2つはヘテロアリール及び複素環において特に一般的であり、本発明は本化合物のすべての互変異性型を含む。
【0090】
本明細書において用いられる技術及び科学用語は、特に定義されない場合、本発明が関連する技術における当業者によって、一般に理解される意味を有する。当業者に知られた様々な方法論及び材料を、本明細書において引用する。Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics, 10thEd., McGraw Hill Companies Inc., New York (2001)を含む標準引例は、薬理学の一般的原理を説明するのに役立つ。当業者に知られた任意の適切な材料及び/又は方法を、本発明を実施する際に用いることができる。しかしながら、好ましい材料及び方法は記載する。以下の記載及び実施例で引用する材料、試薬等は、特に指示のない場合、商業的供給源より入手可能である。
【0091】
本明細書に記載される定義は、例えば、「ヘテロアルキルアリール」、「ハロアルキルヘテロアリール」、「アリールアルキルヘテロシクリル」、「アルキルカルボニル」、「アルコキシアルキル」等の化学的に関連する組み合わせを形成するために加えられる。用語「アルキル」が、「フェニルアルキル」又は「ヒドロキシアルキル」のように、他の用語に続く接尾語として用いられる場合、これは、他の具体的に名前を挙げた基から選択される1〜2個の置換基によって置換されている上記に定義したアルキル基を指すことを意図する。したがって、例えば、「フェニルアルキル」は、1〜2個のフェニル置換基を有するアルキル基を示し、したがって、ベンジル、フェニルエチル、及びビフェニルを含む。「アルキルアミノアルキル」は、1〜2個のアルキルアミノ置換基を有するアルキル基を示す。「ヒドロキシアルキル」は、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル、2−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシブチル、2−(ヒドロキシメチル)、3−ヒドロキシプロピル等を含む。したがって、本明細書において使用する用語「ヒドロキシアルキル」は、以下に定義されるヘテロアルキル基のサブセットを定義するために用いられる。用語−(ar)アルキルは、非置換アルキル又はアラルキル基を示す。用語−(ヘテロ)アリール又は(het)アリールは、アリール又はヘテロアリール基を示す。
【0092】
本明細書において使用する用語「アシル」は、式−C(=O)Rの基を示し、式中、Rは、水素又は本明細書で定義された低級アルキルである。本明細書において使用する用語「アルキルカルボニル」は、式C(=O)Rの基を示し、式中、Rは、本明細書において定義されたアルキルである。用語C1−6アシルは、6個の炭素原子を含む基−C(=O)Rである。本明細書において使用する用語「アリールカルボニル」は、式C(=O)R(式中、Rは、アリール基である)を意味し、本明細書において使用する用語「ベンゾイル」は、「アリールカルボニル」基(ここでRは、フェニルである)を意味する。
【0093】
本明細書において使用する用語「アルキル」は、1〜10個の炭素原子を含む、非分岐又は分岐鎖の飽和一価の炭化水素残基を表す。用語「低級アルキル」は、1〜6個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐鎖の炭化水素残基を表す。本明細書で使用される「C1−10アルキル」は、1〜10個の炭素からなるアルキルを指す。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル又はペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、及びオクチルをはじめとする低級アルキル基を含むがこれらに限定されない。
【0094】
用語「アルキル」が、「フェニルアルキル」又は「ヒドロキシアルキル」のように別の用語の後に接尾辞として使用される場合、これは、他の具体的に名前を挙げた基から選択される1個又は2個の置換基により置換されている、上記で定義されたアルキル基を意味することが意図される。したがって、例えば、「フェニルアルキル」は、基R’R”−(ここで、R’は、フェニル基、R”は、アルキレン基を表し、これらは本明細書で定義されたとおりであり、フェニルアルキル部分の結合点はアルキレン基上であると理解される。アリールアルキル基の例は、ベンジル、フェニルエチル、3−フェニルプロピルを含むがこれらに限定されない。用語「アリールアルキル」又は「アラルキル」は、R’がアリール基であることを除き、同様に解釈される。用語「(het)アリールアルキル」又は「(het)アラルキル」は、R’が、場合によりアリール又はヘテロアリール基である以外、同様に解釈される。
【0095】
本明細書において使用する用語「アルキレン」は、別に示さない限り、1〜10個の炭素原子の二価の飽和直鎖炭化水素基(例えば、(CH)又は、2〜10個の炭素原子の二価の飽和分岐鎖炭化水素基(例えば、−CHMe−又は−CHCH(i−Pr)CH−)を表す。メチレンの場合を除いて、アルキレン基のオープン結合価は、同じ原子には結合していない。アルキレン基の例は、メチレン、エチレン、プロピレン、2−メチル−プロピレン、1,1−ジメチル−エチレン、ブチレン、2−エチルブチレンを含むがこれらに限定されない。
【0096】
本明細書において使用する用語「アルコキシ」は、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、n−ブチルオキシ、i−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ(これらの異性体を含む)のような、−O−アルキル基(ここで、アルキルは、上記と同義である)を意味する。本明細書で使用される「低級アルコキシ」は、前記と同義の「低級アルキル」基を有するアルコキシ基を意味する。本明細書で使用される「C1−10アルコキシ」は、−O−アルキル(ここで、アルキルは、C1−10である)を指す。
【0097】
本明細書において使用する用語「アルコキシアルキル」は、基R’R”−(ここで、R’は、本明細書で定義されたアルコキシ基であり、R”は、本明細書で定義されたアルキレン基であり、アルコキシアルキル部分の結合点はアルキレン基上であると理解される)を指す。C1−6アルコキシアルキルは、アルキル部分が、その基のアルコキシ部分の炭素原子を除いて、1−6個の炭素原子からなる基を表す。C1−3アルコキシ−C1−6アルキルは、アルキル部分が、1−6個の炭素原子を含み、アルコキシ基が、1−3個の炭素である基を表す。例は、メトキシメチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシメチル、エトキシエチル、エトキシプロピル、プロピルオキシプロピル、メトキシブチル、エトキシブチル、プロピルオキシブチル、ブチルオキシブチル、t−ブチルオキシブチル、メトキシペンチル、エトキシペンチル、プロピルオキシペンチル(これらの異性体を含む)である。
【0098】
用語「アルキルチオ」又は「アルキルスルファニル」は、−S−アルキル基(ここで、アルキルは、上記と同義である)、例えば、メチルチオ(meththio)、エチルチオ、n−プロピルチオ、i−プロピルチオ、n−ブチルチオ、ヘキシルチオ(これらの異性体を含む)を指す。本明細書で使用される「低級アルキルチオ」は、前記と同義の「低級アルキル」基を有するアルキルチオ基を表す。本明細書で使用される「C1−10アルキルチオ」は、−S−アルキル(ここで、アルキルは、C1−10である)を指す。「フェニルチオ」は、アリールがフェニルである「アリールチオ」部分を指す。
【0099】
本明細書において使用する用語「アルキルカルボニルアミノ」及び「アリールカルボニルアミノ」は、式−NC(=O)Rの基(ここで、Rは、それぞれアルキル又はアリールであり、アルキル及びアリールは、本明細書で定義されたとおりである)を指す。
【0100】
本明細書において使用する用語「アルキルスルフィニル」及び「アリールスルフィニル」は、式−S(=O)Rの基(式中、Rは、それぞれアルキル又はアリールであり、アルキル及びアリールは、本明細書で定義されたとおりである)を指す。
【0101】
本明細書において使用する用語「アルキルスルホニル」及び「アリールスルホニル」は、式−S(=O)Rの基(式中、Rは、それぞれアルキル又はアリールであり、アルキル及びアリールは、本明細書で定義されたとおりである)を指す。本明細書において使用する用語「ヘテロアルキルスルホニル」は、式−S(=O)Rの基(式中、Rは、本明細書で定義された「ヘテロアルキル」である)を表す。
【0102】
本明細書において使用する用語「アルキルスルホニルアミノ」及び「アリールスルホニルアミノ」は、式−NR’S(=O)Rの基(式中、Rは、それぞれアルキル又はアリールであり、R’は、水素又はC1−3アルキルであり、アルキル及びアリールは、本明細書で定義されたとおりである)を指す。
【0103】
「アリール」は、単環式、二環式又は三環式の芳香環からなる、一価の環式芳香族炭化水素部分を意味する。アリール基は、場合により本明細書で定義されたように置換されうる。アリール部分の例は、場合により置換されたフェニル、ナフチル、フェナントリル、フルオレニル、インデニル、ペンタレニル、アズレニル、オキシジフェニル、ビフェニル、メチレンジフェニル、アミノジフェニル、ジフェニルスルフィジル、ジフェニルスルホニル、ジフェニルイソプロピリデニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾフラニル、ベンゾジオキシリル、ベンゾピラニル、ベンゾオキサジニル、ベンゾオキサジノニル、ベンゾピペラジニル(benzopiperadinyl)、ベンゾピペラジニル(benzopiperazinyl)、ベンゾピロリジニル、ベンゾモルホリニル、メチレンジオキシフェニル、エチレンジオキシフェニル等(それらの部分的に水素化された誘導体を含む)を含むがこれらに限定されない。
【0104】
「シクロアルキル」は、単環式又は二環式環からなる一価の飽和炭素環式部分を意味する。シクロアルキルは、場合により1つ以上の置換基で置換されうるが、ここで、各々の置換基は、別段の具体的な指定のない限り、独立して、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、アミノ、モノアルキルアミノ、又はジアルキルアミノである。シクロアルキル部分の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペプチル等(部分的に不飽和なその誘導体を含む)を含むがこれらに限定されない。
【0105】
「シクロアルキルアルキル」は、式−R−Rの部分(ここで、Rは、アルキレンであり、Rは、シクロアルキルであり、本明細書で定義されたとおりである)を意味する。
【0106】
本明細書において使用する用語「ヘテロアルコキシ」は、−O−(ヘテロアルキル)基(ここで、ヘテロアルキルは、本明細書において定義したとおりである)を意味する。本明細書で使用される「C1−10ヘテロアルコキシ」は、−O−(ヘテロアルキル)(ここで、アルキルは、C1−10である)を指す。代表的な例は、2−ジメチルアミノエトキシ及び3−スルホンアミド−1−プロポキシを含むがこれらに限定されない。
【0107】
本明細書において使用する用語「ヘテロアルキル」は、本明細書で定義されたアルキル基(ここで1、2又は3個の水素原子が、−OR、−NR、及び−S(O)(ここでnは、0〜2の整数である)からなる群より独立して選択される置換基で置き換えられている)を指し、ヘテロアルキル基の結合点は、炭素原子を介すると理解され、Rは、水素、アシル、アルキル、シクロアルキル、又はシクロアルキルアルキルであり;R及びRは、互いに独立して、水素、アシル、アルキル、シクロアルキル、又はシクロアルキルアルキルであり;nが0である場合、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、又はシクロアルキルアルキルであり、nが1又は2である場合、Rは、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アミノ、アシルアミノ、又はアルキルアミノである。代表的な例は、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチルエチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1−ヒドロキシメチルエチル、3−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシブチル、2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、2−メチルスルホニルエチル、アミノスルホニルメチル、アミノスルホニルエチル、アミノスルホニルプロピル、メチルアミノスルホニルメチル、メチルアミノスルホニルエチル、メチルアミノスルホニルプロピル等を含むがこれらに限定されない。
【0108】
本明細書において使用する用語「ヘテロアリール」又は「複素芳香族」は、1個の環につき4〜8個の原子を含み、1個以上のN、O、又はSヘテロ原子を組み込んでおり、残りの環原子が炭素である、少なくとも1個の芳香環を有する、5〜12個の環原子の単環式又は二環式基を意味し、このヘテロアリール基の結合点が芳香環上にあると理解される。当業者には周知のとおり、ヘテロアリール環は、その全部が炭素の対応物よりも芳香族性が低い。したがって、本発明の目的には、ヘテロアリール基は、ある程度の芳香族性があれば充分である。ヘテロアリール部分の例は、5〜6個の環原子及び1〜3個のヘテロ原子を有する単環式芳香族複素環を含み、特に限定されないが、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、トリアゾリン、チアジアゾール及びオキサジアキソリンを含み、そしてこれらは、場合により、ヒドロキシ、シアノ、アルキル、アルコキシ、チオ、低級ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロ、ハロアルキル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、ハロゲン、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、及びジアルキルアミノアルキル、ニトロ、アルコキシカルボニル及びカルバモイル、アルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、アリールカルバモイル、アルキルカルボニルアミノ及びアリールカルボニルアミノから選択される1個以上、好ましくは1個又は2個の置換基で置換されうる。二環式部分の例は、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール及びベンゾイソチアゾールを含むがこれらに限定されない。二環式部分は、場合により、いずれかの環上で置換されうるが、しかし、結合点は、ヘテロ原子を含む環上にある。
【0109】
本明細書において使用する用語「ヘテロシクリル」、「複素環」又は「ヘテロシクロアルキル」は、1個以上の環ヘテロ原子(N、O又はS(O)0−2から選択される)を組み込んでいる、1個の環につき3〜8個の原子の1個以上の環、好ましくは1〜2個の環よりなる、一価の飽和環基を表し、そしてこれらは、特に断りない限り、場合により、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ニトロ、アルコキシカルボニル、アミノ、アルキルアミノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルアミノスルホニル、アリールアミノスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノから選択される、1個以上、好ましくは1個又は2個の置換基で独立に置換されうる。複素環基の例は、アゼチジニル、ピロリジニル、ヘキサヒドロアゼピニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、キヌクリジニル及びイミダゾリニルを含むがこれらに限定されない。好ましくは「ヘテロシクリル」、「複素環」又は「ヘテロシクロアルキル」は、モルホリニル, ピロリジニル、ピペリジニル又はテトラヒドロフラニルである。
【0110】
本明細書において使用する用語「ヒドロキシアルキル」は、本明細書において定義したアルキル基(ここで、異なる炭素原子上の1〜3個の水素原子が、ヒドロキシル基で置き換えられている)を表す。
【0111】
よく利用される略語は、以下を含む:アセチル(Ac)、アゾ−ビス−イソブチリルニトリル(AIBN)、大気(Atm)、9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9−BBN又はBBN)、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、ジ−tert−ブチルピロカルボネート又はboc無水物(BOCO)、ベンジル(Bn)、ブチル(Bu)、Chemical AbstractsRegistration Number(CAS RN)、ベンジルオキシカルボニル(CBZ又はZ)、カルボニルジイミダゾール(CDI)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、三フッ化ジエチルアミノ硫黄(DAST)、ジベンジリデンアセトン(dba)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1,2−ジクロロエタン(DCE)、ジクロロメタン(DCM)、ジエチルアゾジカルボキシラート(DEAD)、ジ−イソ−プロピルアゾジカルボキシラート(DIAD)、ジイソブチルアルミニウム水和物(DIBAL又はDIBAL−H)、ジ−イソ−プロピルエチルアミン(DIPEA)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、4−N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、1,1’−ビス−(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)、1,1’−ビス−(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppf)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)、エチル(Et)、酢酸エチル(EtOAc)、エタノール(EtOH)、2−エトキシ−2H−キノリン−1−カルボン酸エチルエステル(EEDQ)、ジエチルエーテル(EtO)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート酢酸(HATU)、酢酸(HOAc)、1−N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、イソ-プロパノール(IPA)、リチウムヘキサメチルジシラザン(LiHMDS)、メタノール(MeOH)、融点(mp)、MeSO−(メシル又はMs)、メチル(Me)、アセトニトリル(MeCN)、m−クロロ過安息香酸(MCPBA)、質量分析(ms)、メチル−t−ブチルエーテル(MTBE)、N−ブロモスクシンイミド(NBS)、N−カルボン酸無水物(NCA)、N−クロロスクシンイミド(NCS)、N−メチルモルホリン(NMM)、N−メチルピロリドン(NMP)、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)、二クロム酸ピリジニウム(PDC)、フェニル(Ph)、プロピル(Pr)、イソ−プロピル(i−Pr)、ポンド/平方インチ(psi)、ピリジン(pyr)、室温(rt又はRT)、tert−ブチルジメチルシリル又はt−BuMeSi(TBDMS)、トリエチルアミン(TEA又はEtN)、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシル(TEMPO)、トリフラート又はCFSO−(Tf)、トリフルオロ酢酸(TFA)、1,1’−ビス−2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−2,6−ジオン(TMHD)、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフロオロボラート(TBTU)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、テトラヒドロフラン(THF)、トリメチルシリル又はMeSi(TMS)、p−トルエンスルホン酸一水和物(TsOH又はpTsOH)、4−Me−CSO−又はトシル(Ts)、N−ウレタン−N−カルボキシ無水物(UNCA)。接頭辞のノルマル(n)、イソ(i−)、第二級(sec−)、第三級(tert−)及びネオを含む従来の命名法は、アルキル部分と共に使用されるとき、これらの通例の意味を有する(J. Rigaudy and D. P. Klesney, Nomenclaturein Organic Chemistry, IUPAC 1979Pergamon Press, Oxford.)。
【0112】
「ヘテロアルキル」は、1個、2個又は3個の水素原子が、−OR、−NR、及び−S(O)(ここで、nは、0〜2の整数である)よりなる群から独立に選択される置換基で置き換えられている、分岐鎖のC−Cアルキルを含む、本明細書において定義されたアルキル部分を意味し、このヘテロアルキル基の結合点が、炭素原子を介すると理解され、Rは、水素、アシル、アルキル、シクロアルキル、又はシクロアルキルアルキルであり;R及びRは、相互に独立に、水素、アシル、アルキル、シクロアルキル、又はシクロアルキルアルキルであり;nが0であるとき、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、又はシクロアルキルアルキルであり;nが1であるとき、Rは、アルキル、シクロアルキル、又はシクロアルキルアルキルであり;nが2であるとき、Rは、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アミノ、アシルアミノ、モノアルキルアミノ、又はジアルキルアミノである。代表例は、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチルエチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1−ヒドロキシメチルエチル、3−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシブチル、2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、2−メチルスルホニルエチル、アミノスルホニルメチル、アミノスルホニルエチル、アミノスルホニルプロピル、メチルアミノスルホニルメチル、メチルアミノスルホニルエチル、メチルアミノスルホニルプロピル等を含むがこれらに限定されない。
【0113】
「ヘテロアリール」は、N、O、又はSから選択される1個、2個、又は3個の環ヘテロ原子を含有し、残りの環原子がCである、少なくとも1個の芳香環を有する、5〜12個の環原子の単環又は二環部分を意味し、このヘテロアリール基の結合点が、芳香環上にあると理解される。このヘテロアリール環は、場合により本明細書において定義されたように置換されていてもよい。ヘテロアリール部分の例は、場合により置換されているイミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピラジニル、チエニル、チオフェニル、フラニル、ピラニル、ピリジニル、ピロリル、ピラゾリル、ピリミジル、ピリダジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾピラニル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、トリアゾリル、トリアジニル、キノキサリニル、プリニル、キナゾリニル、キノリジニル、ナフチリジニル、プテリジニル、カルバゾリル、アゼピニル、ジアゼピニル、アクリジニル等(それらの部分的に水素化された誘導体を含む)を含むがこれらに限定されない。
【0114】
用語「ハロ」、「ハロゲン」、及び「ハロゲン化物」は、本明細書では互換的に使用されており、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードを指す。
【0115】
「ハロアルキル」は、1個以上の水素が、同一か又は異なるハロゲンで置換されている、本明細書において定義されたアルキルを意味する。典型的なハロアルキルは、−CHCl、−CHCF、−CHCCl、−CFCF、−CF等を含む。
【0116】
「ヘテロシクリル」又は「ヘテロシクロアルキル」は、1個、2個、又は3個又は4個のヘテロ原子(窒素、酸素又は硫黄から選択される)を取り込んでいる、1〜2個の環よりなる、一価の飽和部分を意味する。このヘテロシクリル環は、場合により、本明細書において定義されたように置換されていてもよい。ヘテロシクリル部分の例は、場合により置換されているピペリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、アゼピニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、キヌクリジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、チアジアゾリジニル、ベンゾチアゾリジニル、ベンゾアゾリリジニル、ジヒドロフリル、テトラヒドロフリル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、ジヒドロキノリニル、ジヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル等を含むがこれらに限定されない。
【0117】
「場合により置換されている」は、低級アルキル、ハロ、OH,シアノ、アミノ、ニトロ、低級アルコキシ又はハロ低級アルキルから選択される、0〜3個の置換基で独立して置換されている置換基を意味する。
【0118】
「脱離基」とは、合成有機化学において関連づけられてきた意味を有する基を意味する、すなわち、置換反応条件下で置き換え可能な原子又は基である。脱離基の例は、ハロゲン、アルカン−又はアリーレンスルホニルオキシ、例えば、メタンスルホニルオキシ、エタンスルホニルオキシ、チオメチル、ベンゼンスルホニルオキシ、トシルオキシ、及びチエニルオキシ、ジハロホスフィノイルオキシ、場合により置換されたベンジルオキシ、イソプロピルオキシ、アシルオキシ等を含むがこれらに限定されない。
【0119】
「場合による」又は「場合により」は、続いて記載される事象又は状況が起こってもよいが起こる必要もなく、その説明は、その事象又は状況が起こる場合と起こらない場合とを含むことを意味する。
【0120】
「アゴニスト」は、別の化合物又はレセプター部位の活性を増強する化合物を指す。
【0121】
「アンタゴニスト」は、別の化合物又はレセプター部位の作用を減少させるか、又は防止する化合物を指す。
【0122】
用語「ドラッグ候補」とは、それが如何なる生物活性を有するかに関わらず、動物における疾患状態の処置における推定効果を試験することになっている化合物又は製剤を指す。
【0123】
本明細書において使用する用語「相同」は、別の対象種において実質的に同じ機能を果たし、実質的な配列同一性を有するタンパク質であって、当技術分野において、見出される種が主に異なる、同一タンパク質の異なる型として認識されるタンパク質を指す。したがって、例えば、ヒトERG、マウスERG、及びラットERGは、すべて互いに相同であると考えられる。
【0124】
「モジュレーター」は、標的と相互作用する分子を意味する。相互作用は、本明細書で定義されたとおりのアゴニスト、アンタゴニスト等を含むがこれらに限定されない。
【0125】
「疾患」及び「疾患状態」は、あらゆる疾患、状態、症状、障害又は適応症を意味する。
【0126】
用語「細胞株」は、不死化した哺乳類細胞のクローンを指す。「安定」細胞株とは、経時的に(例えば、2倍になるたびに)実質的に一貫した特徴を示す細胞株である。本発明の範囲内で、安定細胞株は、約50MOhmより大きいシール抵抗、約200pAよりも大きい電流振幅、そして制御条件下、1時間の間に、変動幅が約20%を越えない電流振幅を提供することができる細胞をかなり大きな割合で提供する。
【0127】
化合物の「薬学的に許容されうる塩」は、本明細書で定義された薬学的に許容されうる塩であり、親化合物の所望の薬理学的活性を有する塩を意味する。このような塩は:
(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等のような無機酸で形成される酸付加塩;又は酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシナフト酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコン酸、2−ナフタレンスルホン酸、プロピオン酸、サリチル酸、コハク酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、トリメチル酢酸等のような有機酸で形成される酸付加塩;あるいは
(2)親化合物に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、又はアルミニウムイオンで置き換えられているか;又は有機若しくは無機の塩基と配位結合する際に形成される塩。許容されうる有機塩基は、ジエタノールアミン、エタノールアミン、N−メチルグルカミン、トリエタノールアミン、トロメタミン等を含む。許容されうる無機塩基は、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムを含む。
【0128】
薬学的に許容されうる塩に関するすべての記載は、その酸付加塩の、本明細書で定義された溶媒付加形態(溶媒和物)又は結晶形(多形)を含むと理解されるべきである。
【0129】
好適な薬学的に許容されうる塩は、酢酸、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、マレイン酸、リン酸、酒石酸、クエン酸、ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛、及びマグネシウムから形成された塩である。
【0130】
「溶媒和物」は、化学量論又は非化学量論量の溶媒のいずれかを含む、溶媒付加形態を意味する。いくつかの化合物は、一定モル比の結晶固体状態の溶媒分子を補足し、溶媒和物を形成する傾向がある。溶媒が水である場合、形成される溶媒和物は水和物であり、溶媒がアルコールである場合、形成される溶媒和物はアルコラートである。水和物は、1つ以上の水分子と、物質の1つとの組合せにより形成され、ここで、水は、HOとしてその分子状態を保持し、このような組合せにより1種類以上の水和物を形成できる。
【0131】
「対象」は、哺乳動物及び鳥類を意味する。「哺乳動物」は、哺乳綱の任意の成員を意味し、ヒト;ヒト以外の霊長類、例えばチンパンジー及びその他の類人猿並びにサルの種;家畜、例えばウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、及びブタ;飼い慣らされた動物、例えばウサギ、イヌ、及びネコ;齧歯類、例えばラット、マウス、及びモルモットを含む実験動物;等を含むがこれらに限定されない。用語「対象」は、特定の年齢及び性別を示すものではない。
【0132】
「治療有効量」は、疾患状態の処置の対象に投与された場合、かかる疾患状態の処置を有効にするのに十分な量を意味する。「治療有効量」は、化合物、処置対象の疾患状態、重症度又は処置対象の疾患、対象の年齢及び相対的な健康状態、投与の経路及び形態、担当の医師又は獣医師の判断並びに他の要因に依存して変動するであろう。
【0133】
本明細書で使用される「薬理学的効果」は、意図された治療の目的を達成する、対象に生じる効果を含む。例えば、薬理学的効果は、治療対象における尿失禁の予防、緩和又は削減をもたらすものでありうる。
【0134】
「疾患状態」は、あらゆる疾患、状態、症状、又は適応症を意味する。
【0135】
疾患状態を「処置すること」又はその「処置」は、(i)疾患状態の予防、すなわち疾患状態に暴露され又は罹患しうるが、まだ疾患状態の症状を経験又は示していない対象において、その疾患状態の臨床症状を発症(発現)させないようにすること;(ii)疾患状態の阻害、すなわち疾患状態又はその臨床症状の進展を制止すること、あるいは(iii)疾患状態の緩和、すなわち疾患状態又はその臨床症状を一時的又は永久的に後退させることを含む。
【0136】
本明細書において特定されたすべての特許及び刊行物は、その全文が参照により本明細書に組み込まれる。
【0137】
本発明に含まれ、本発明の範囲に入る代表的な化合物の例を、下表に記載する。これらの例及びそれに続く製剤は、当業者が本発明をより明確に理解し、実施するために提供される。これらは、本発明の範囲を限定するものとみなすべきではなく、単に説明的かつその代表的なものである。
【0138】
一般に、本出願において使用される命名法は、IUPACの系統的命名法の生成のためのバイルシュタイン研究所(Beilstein Institute)のコンピュータ化システムである、オートノムTM(AUTONOMTM)v.4.0に基づく。示される構造とその構造に与えられる名称との間に矛盾が存在する場合、示される構造により重きを置く。さらに、構造又は構造の部分の立体化学が、例えば、太線又は破線で示されていない場合、構造又は構造の部分はその全ての立体化学を含むと解釈されるべきである。
【0139】
本発明は、炎症性障害の処置のための化合物及び組成物、並びにJNK介在障害の処置方法を提供する。
【0140】
合成反応スキームの出発材料及び中間体を、所望であれば、従来技術(濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィー等を含むがこれらに限定されない)を用いて単離し、精製することができる。これらの材料は、従来の手段(物理定数及びスペクトルデータを含む)を用いて、特徴づけることができる。
【0141】
本明細書に記載された反応は、反することが記載されない限り、好ましくは約−78℃〜約180℃、最も好ましくそして簡便には室温(又は周囲温度)、例えば約20℃で、大気圧の不活性雰囲気下で実施される。
【0142】
以下のスキームでは、本発明の目的である化合物を導く可能な合成経路の幾つかを示す。基R、R、R、R、R、及びRは、特別の定めのない限り、上記と同義である。
【0143】
【化18】

【0144】
工程A:AcO、ピリジン、80℃;
工程B:NaH、RX、DMSO;
工程C:LiHMDS、THF;
工程D:NaH、RX、DMSO、50℃;
工程E:MeMgBr、AcO、トルエン、還流。
【0145】
工程Aにおいて、4−アミノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−カルボニトリルは、無水酢酸及びピリジンの存在下、約80℃で加熱することによりアセチル化することができる。このようにして形成されたアセチルアミドは、極性溶媒、例えばDMSO中の、強無機塩基、例えば、水素化ナトリウム、及びアルキル化剤、たとえば、ヨウ化メチルの存在下で、工程Bに記載したようにアルキル化することができる。あるいは、4−アミノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−カルボニトリルをまず、工程Bの記載と同様にアルキル化し、次に無極性非プロトン性溶媒、例えば、トルエン(工程D及び工程E)中でメチルマグネシウムブロミド及び無水酢酸で処理することによりアシル化することもできる。工程Cに示すように、一般式Iのアミドは、極性溶媒、例えば、THF中、強塩基、例えば、リチウムビス(トリメチルシリル)アミドの存在下で、対応する5−アミノ−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンの形態に環化することができる。
【0146】
【化19】

【0147】
工程A:RNH、DCM;
工程B:NaOH、EtOH、還流;
工程C:ベンゾトリアゾール、EDCI、DCM;
工程D:LDA、EtOAc、THF、−78℃;又は1)NaH、t−BuOCOCHCOOEt、DMF、0℃、2)TFA、還流;
工程E:DIPEA、DBU、加熱。
【0148】
工程Aにおいて、4−クロロ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−カルボン酸エチルエステルは、無極性溶媒、例えば、DCM中で、適切な第一級アミン RNHとのSAr反応により、一般式IIの対応するアニリンを生じる。アニリンIIは、次に、極性プロトン性溶媒、例えば、EtOH中で、還流下、水及び強無機塩基、例えば、NaOHの存在下で加熱することにより、対応する酸IIIに加水分解することができる。酸IIIは、工程Cに記載のように、無極性溶媒、例えば、DCM中で、カップリング剤、例えば、EDCIの存在下、ベンゾトリアゾールと反応させることにより、対応する活性化エステルIVに変換することができる。活性化エステルIVは、工程Dで示したように、−78℃で、極性非プロトン性溶媒、例えば、テトラヒドロフラン中で、インシチューでリチウムジイソプロピルアミドを用いて発生させた酢酸エチルのリチウムエノラートとの反応により、対応するマロン酸エステルVに変換することができる。あるいは、IVは、0℃で、極性溶媒、例えば、DMF中の強塩基、例えば、NaHの存在下、マロン酸tert−ブチルエチルと反応させることができ、そして結合生成物を次に、TFAの存在下で加熱還流することにより、加水分解及び脱炭酸させて、マロン酸エステルVを得ることができる。マロン酸エステルVは、工程Eに示すように、2つの強有機塩基、例えば、DIEPA及びDBUの存在下で加熱することにより、対応する5−ヒドロキシ−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンVIに変換することができる。
【0149】
【化20】

【0150】
工程A:POBr、DCE、100℃;
工程B:NaN、DMF、90℃、MW;
工程C:PPh、THF、35℃又はH、Pd(OH)/C、AcOH。
【0151】
工程Aにおいて、式Iの5−ヒドロキシ−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンは、マイクロ波条件下、100℃で、無極性溶媒、例えば、ジクロロエタン中で、オキシ臭化リンと共に加熱することにより、ブロモ化することができる。式IIのブロミドは、工程Bに記載のように、マイクロ波条件下、90℃で、極性溶媒、例えば、DMF中で、アジ化ナトリウムと共に加熱することにより、S反応を経ることができる。式IIIのアジドを、次に、工程Cで、極性溶媒、例えば、THF中で、水性HClの存在下、35℃で、還元剤、例えば、トリフェニルホスフィンとの反応により、対応するアミンIVに還元することができる。あるいは、アジドIIIを、触媒、例えば、炭素上の水酸化パラジウム、及び、極性プロトン性溶媒、例えば、酢酸を用いて水素化することにより、還元することができる。
【0152】
【化21】

【0153】
は、PMB又はHである。
工程A:1)TfO、TEA、DCM、−78℃;2)NH(PMB)、100℃、MW;
工程B:1)OXONE(商標)、アセトン/水又はm−CPBA、CHCl;2)塩基、RCy、加熱;
工程C:HClO、DCM。
【0154】
工程Aにおいて、式Iの5−ヒドロキシ−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンは、無極性溶媒、例えば、DCM中で、有機塩基、例えば、EtNの存在下、−78℃で、トリフルオロメタンスルホン酸無水物と反応させることができ、脱離基を次に、マイクロ波条件下、100℃で加熱することにより、ビス−(4−メトキシベンジル)−アミンとの反応により置き換えて、一般式IIのアミンを得ることができる。一般式IIの化合物のチオメチル部分は、アセトンと水との混合物中の酸化剤、例えば、OXONE(商標)との反応、又はDCM中の3−クロロ過安息香酸との反応で、酸化させ、対応するスルホン又はスルホキシド、又は上記の混合物を得ることができる。このようにして作成した脱離基は、次に、工程Bに記載したように、THF中で、塩基、例えば、EtN又はDIPEAと共に又は塩基無しに加熱することにより、置換されたシクロヘキシルアミンと置き換えることができる。一般式IIIのアミン(式中Rは、PMB)は、次に、工程Cに示すように、DCM中の過塩素酸との反応により脱保護することができる。
【0155】
【表1】











【0156】
有用性
本発明の化合物は、JNKモジュレーターであり、そのため、広範なJNK介在障害の処置に有効であると予想される。JNK介在障害の例は、自己免疫障害、炎症性障害、代謝障害、神経性の疾患、及び癌を含むがこれらに限定されない。したがって、本発明の化合物は、これらの障害の1つ以上を処置するために使用することができる。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、JNK介在障害、例えば、関節リウマチ、喘息、2型糖尿病、アルツハイマー病、パーキンソン病又は脳卒中の処置に使用することができる。
【0157】
投与及び医薬組成物
本発明は、少なくとも1つの本発明の化合物、又は個々の異性体、異性体のラセミ若しくは非ラセミの混合物、あるいは薬学的に許容されうる塩又はその溶媒和物を、少なくとも1つの薬学的に許容されうる担体、並びに場合により他の治療用及び/又は予防用の成分と一緒に含む医薬組成物を含む。
【0158】
一般に、本発明の化合物は、類似の有用性を持つ薬品に許容される任意の投与様式により治療有効量で投与される。適切な用量範囲は、処置すべき疾患の重篤度、対象の年齢及び相対的な健康状態、使用される化合物の効力、投与の経路及び剤形、投与が指示される適応症、並びに関与する医師の選択及び経験のような、多くの因子に応じて、典型的には1日に1〜500mg、好ましくは1日に1〜100mg、そして最も好ましくは1日に1〜30mgである。このような疾患の処置において当業者であれば、過度の実験なしに、個人の知識及び本出願の開示に頼って、所定の疾患に対する本発明の化合物の治療有効量を確定することができよう。
【0159】
本発明の化合物は、経口(バッカル及び舌下を含む)、直腸内、鼻内、局所、肺内、膣内、又は非経口(筋肉内、動脈内、髄腔内、皮下及び静脈内を含む)投与に適したものを包含する製剤として、あるいは吸入又は吹入による投与に適した剤形で投与しうる。投与の好ましいやり方は、一般に、病気の程度により調整することができる、便利な1日用量処方を用いる経口投与である。
【0160】
本発明の化合物は、1つ以上の従来の補助剤、担体、又は希釈剤と一緒に、医薬組成物及び単位用量の剤形にすることができる。この医薬組成物及び単位用量剤形は、追加の活性化合物又は成分を含むか含まない、従来比の従来成分からなっていてよく、そして単位用量剤形は、使用すべき所望の1日用量範囲に釣り合った、任意の適切な有効量の活性成分を含むことができる。この医薬組成物は、錠剤若しくは充填カプセル剤のような固体、半固体、粉剤、徐放製剤、又は液剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤、若しくは経口使用のための充填カプセル剤のような液体として;あるいは直腸内又は膣内投与のための坐剤の剤形で;あるいは非経口使用のための滅菌注射液の剤形で使用することができる。
【0161】
錠剤1錠当たり、約1ミリグラムの活性成分、又は更に広く約0.01〜約100ミリグラムを含む製剤が、適切な代表的単位用量剤形である。
【0162】
本発明の化合物は、多種多様の経口投与用剤形に処方することができる。この医薬組成物及び剤形は、活性成分として本発明の化合物(一種又はそれ以上)又は薬学的に許容されうるその塩を含んでよい。薬学的に許容されうる担体は、固体であっても液体であってもよい。固体製剤は、粉剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、及び分散性顆粒剤を含む。固体担体は、希釈剤、香味料、可溶化剤、滑沢剤、懸濁剤、結合剤、保存料、錠剤分解剤、又は封入材料としても作用することができる、1つ以上の物質であってよい。粉剤では、担体は一般に、微粉化された活性成分との混合物である、微粉化された固体である。錠剤では、活性成分は一般に、適切な割合で必要な結合能力を有する担体と混合され、所望の形状とサイズに成形される。粉剤及び錠剤は、好ましくは約1〜約70パーセントの活性化合物を含む。適切な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、砂糖、乳糖、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ロウ、ココアバターなどを含むがこれらに限定されない。用語「調製」は、活性成分が、担体と一緒に又は担体なしで、関係している担体に取り巻かれているカプセル剤を与える、封入材料を担体とする活性成分の処方を含むことを意図する。同様に、カシェ剤及びトローチ剤を含む。錠剤、粉剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤、及びトローチ剤は、固体剤形として経口投与に適していよう。
【0163】
経口投与に適した他の剤形は、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤、水性液剤、水性懸濁剤を含む液体剤形の製剤、又は使用の直前に液体剤形の製剤に変換することが意図される固体剤形の製剤を含む。乳剤は、溶液中、例えば、水性プロピレングリコール溶液中で調製することができるか、又は乳化剤、例えば、レシチン、モノオレイン酸ソルビタン、若しくはアラビアゴムなどを含んでいてもよい。水性液剤は、活性成分を水に溶解して、適切な着色料、香味料、安定化剤、及び増粘剤を加えることにより調製することができる。水性懸濁剤は、微粉化した活性成分を、天然又は合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び他の周知の懸濁剤のような、粘稠物質で水に分散させることにより調製することができる。固体剤形の製剤は、液剤、懸濁剤、及び乳剤を含み、そして活性成分に加えて、着色料、香味料、安定化剤、緩衝剤、人工及び天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含んでいてよい。
【0164】
本発明の化合物は、非経口投与〔例えば、注射(例えば、ボーラス注射又は持続注入)による〕用に処方することができ、そしてアンプル、充填済みシリンジ、少量注入液の単位用量剤形で、又は保存料を加えた多回投与用容器として提供することができる。この組成物は、懸濁液、溶液、又は油性若しくは水性ビヒクル中の乳液、例えば水性ポリエチレングリコール中の溶液のような形態をとることができる。油性又は非水性担体、希釈剤、溶媒又はビヒクルの例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(例えば、オリーブ油)、及び注射用有機エステル類(例えば、オレイン酸エチル)を含み、そして保存料、湿潤剤、乳化剤又は懸濁剤、安定化剤及び/又は分散剤のような配合剤を含んでもよい。あるいは、活性成分は、無菌固体の無菌的単離により得られるか、又は溶液からの凍結乾燥により得られる粉末の形状であってよく、適切なビヒクル、例えば、無菌の発熱物質を含まない水とともに使用に先立って構成される。
【0165】
本発明の化合物は、軟膏剤、クリーム剤又はローション剤として、あるいは経皮パッチとして、表皮への局所投与のために処方することができる。軟膏剤及びクリーム剤は、例えば、適切な増粘剤及び/又はゲル化剤を加えた水性又は油性基剤と共に処方することができる。ローション剤は、水性又は油性基剤と共に処方することができ、そして一般には1つ以上の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、又は着色剤を含むであろう。口内の局所投与に適した処方は、活性物質を香味つき基剤(通常ショ糖及びアラビアゴム又はトラガカント)中に含むトローチ剤;活性成分をゼラチンとグリセリン又はショ糖とアラビアゴムのような不活性基剤中に含む香錠;及び活性成分を適切な液体担体中に含む洗口液を含む。
【0166】
本発明の化合物は、坐剤としての投与のために処方することができる。脂肪酸グリセリドの混合物又はココアバターのような低融点ロウを最初に融解して、例えば、撹拌により、活性成分を均質に分散させる。この融解した均質混合物を次に便利なサイズの鋳型に注ぎ入れ、冷却させて、凝固させる。
【0167】
本発明の化合物は、膣内投与のために処方することができる。活性成分に加えて、当該分野において適切であることが知られている担体を含む、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム又はスプレー剤が適切である。
【0168】
対象化合物は、鼻内投与のために処方することができる。液剤又は懸濁剤が、従来法により、例えば、スポイト、ピペット又はスプレーで、鼻腔に直接適用される。この処方は、単回又は多回投与剤形として提供することができる。スポイト又はピペットの後者の場合には、患者が適切な所定容量の液剤又は懸濁剤を投与することにより、これを達成することができる。スプレーの場合には、例えば、計量噴霧スプレーポンプを用いて、これを達成することができる。
【0169】
本発明の化合物は、特に気道へのエアロゾル投与(鼻内投与を含む)のために処方することができる。この化合物は、一般に、例えば、5ミクロン以下程度の小さな粒度を持つ。このような粒度は、当該分野において既知の手段により、例えば、微粉化により得ることができる。活性成分は、クロロフルオロカーボン(CFC)、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、若しくはジクロロテトラフルオロエタン、又は二酸化炭素又は他の適切なガスのような、適切な推進剤を伴う加圧パックとして提供される。エアロゾルは、便利にはレシチンのような界面活性剤も含む。薬物の用量は、計量バルブにより制御することができる。あるいは、活性成分は、ドライパウダー、例えば、乳糖、デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなデンプン誘導体及びポリビニルピロリドン(PVP)のような適切な粉末基剤中の化合物の粉末混合物の剤形で提供することができる。粉末担体は、鼻腔内でゲルを形成する。この粉末組成物は、単位用量剤形、例えば、ゼラチンの、例えば、カプセル若しくはカートリッジとして、又はそこから吸入器を用いて粉末を投与することができるブリスターパックとして提示することができる。
【0170】
所望であれば、処方は、活性成分の持続放出性又は制御放出性の投与に適合させた腸溶性コーティングをして調製することができる。例えば、本発明の化合物は、経皮又は皮下薬物送達デバイス中に処方することができる。これらの送達システムは、化合物の持続放出が必要であるとき、及び治療計画の患者のコンプライアンスがきわめて重要であるときに好都合である。経皮送達システム中の化合物は、しばしば皮膚接着性固体支持体に取り付けられている。この重要な化合物はまた、浸透増強剤、例えば、アゾン(1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン)と組合せることができる。持続放出送達システムは、手術又は注入により、皮下層に皮下挿入される。皮下インプラントは、脂溶性膜、例えば、シリコーンゴム、又は生分解性ポリマー、例えば、ポリ乳酸に化合物を封入している。
【0171】
本医薬製剤は、好ましくは単位用量剤形にする。このような剤形では、本製剤は、適切な量の活性成分を含む単位用量に細分される。この単位用量剤形は、包装された製剤であってよく、この包装品は、パケットにした錠剤、カプセル剤、及びバイアル又はアンプル中の粉剤のように、個別量の製剤を含む。また、この単位用量剤形は、カプセル剤、錠剤、カシェ剤、又はトローチ剤それ自体であってもよく、あるいは包装形態にした適切な数のこれらの任意のものであってもよい。他の適切な薬剤担体及びその処方は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy 1995, edited by E. W. Martin, MackPublishing Company, 19th edition, Easton,Pennsylvaniaに記載されている。本発明の化合物を含有する代表的な医薬配合物を、以下に記載する。
【0172】
本発明の更なる目的、利点、及び新規な特徴は、以下の本発明の実施例(限定することを意図しない)を検討することにより、当業者に明らかとなるであろう。
【0173】
略語リスト
AcO(無水酢酸);AcOH(酢酸);DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン);DCE(1,2−ジクロロエタン);DCM(ジクロロメタン/塩化メチレン);DIPEA(ジイソプロピルエチルアミン);DMF(N,N−ジメチルホルムアミド);DMSO(ジメチルスルホキシド);EDCI(1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩);EtO(ジエチルエーテル);EtOH(エタノール/エチルアルコール);EtOAc(酢酸エチル);HOBt(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール);LDA(リチウムジイソプロピルアミド);LiHMDS(リチウムビス(トリメチルシリル)アミド);m−CPBA(3−クロロペルオキシ安息香酸);MeOH(メタノール/メチルアルコール);MW(マイクロ波);NMP(1−メチル−2−ピロリジノン);PMB(4−メトキシベンジル);RT(室温);TBME(tert−ブチルメチルエーテル);TFA(トリフルオロ酢酸);TfO(トリフルオロメタンスルホン酸無水物);THF(テトラヒドロフラン);TLC(薄層クロマトグラフィー)。
【0174】
実施例
以下の調製及び実施例は、当業者が、本発明をより明瞭に理解し、かつ実践することができるように与えられる。これらは、本発明の範囲を限定するものと考えるべきでなく、単に本発明の例示及び代表と捉えるべきである。
【0175】
調製1:(4−アミノ−シクロヘキシル)−モルホリン−4−イル−メタノン塩酸塩の合成
(4−アミノ−シクロヘキシル)−モルホリン−4−イル−メタノン塩酸塩の合成は、スキーム1に示す方法に従って行った。
【0176】
【化22】

【0177】
工程A:1−メチル−2−ピロリジノン(150mL)中の4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−シクロヘキサンカルボン酸(10.0g、41mmol)、EDCI(23.64g、123mmol)及びHOBt(18.88g、123mmol)の混合物を室温で3時間撹拌した。モルホリン(10.75mL、123mmol)を次に加え、得られた混合物を、室温で78時間撹拌した。反応物を水を加えることによりクエンチし、得られた混合物を、EtOAcで抽出した。有機層を分離し、KCO(飽和水溶液)及びHCl(水溶液、10%)で2回洗浄し、飽和KCO(飽和水溶液)及びブラインで再び1回だけ洗浄した。有機層を次に無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。粗残留物をEtOでトリチュレートし、濾過して、[4−(モルホリン−4−カルボニル)−シクロヘキシル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル5.9gを白色の粉末として得た。
【0178】
工程B:HCl(2M水溶液、150mL)をMeOH中の[4−(モルホリン−4−カルボニル)−シクロヘキシル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(5.8g)の懸濁液に加え、得られた混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を減圧下で蒸発させ、油状の残留物をEtOAc中に取り、得られた混合物を超音波処理した。形成された固体は、濾過により回収し、減圧下で乾燥させて、(4−アミノ−シクロヘキシル)−モルホリン−4−イル−メタノン塩酸塩5.2gを得た。
【0179】
調製2:5−アミノ−8−メチル−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンの合成
5−アミノ−8−メチル−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンの合成をスキーム2の方法に従って実施した。
【0180】
【化23】

【0181】
工程A:ピリジン(66mL)中の4−アミノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−カルボニトリル(5.45g)の懸濁液に、室温でAcO(31mL)を加えた。反応混合物を、80℃で23時間撹拌し、次に室温に冷まし、減圧下で蒸発させた。残留物をDCM(150mL)中に溶解し、NaHCO(飽和水溶液)及びブラインで洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗残留物をフラッシュクロマトグラフィー(0から>50%EtOAc/ヘキサン、20分間)により精製して、N−(5−シアノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−4−イル)−アセトアミド3.25g(収率48%)を黄色の固体として得た。MS=167[M−CO+1]
【0182】
工程B:無水DMSO(14mL)中のN−(5−シアノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−4−イル)−アセトアミド(562mg、2.70mmol)及びヨウ化メチル(1.7mL、27.0mmol)の溶液に、NaH(60%wt.鉱油中の分散液、130mg、3.23mmol)を0℃で加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌し、次に水(50mL)を加えることによりクエンチした。得られた混合物をEtOAc(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(2×100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗残留物をフラッシュクロマトグラフィー(0から>33%EtOAc/ヘキサン、5分間)により精製して、N−(5−シアノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−4−イル)−N−メチル−アセトアミド431mg(収率72%)をオフホワイトの固体として得た。MS=223[M+1]
【0183】
工程C:THF(18mL)中のN−(5−シアノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−4−イル)−N−メチル−アセトアミド(400mg、1.80mmol)の溶液に、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(ヘキサン中1.0M、7.2mL、7.20mmol)の溶液を室温で加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌し、次に水(100mL)でクエンチした。得られた混合物をEtOAc(100mL)で抽出し、有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗残留物をフラッシュクロマトグラフィー(10から>100%までEtOAc/ヘキサン、10分間)により精製して、5−アミノ−8−メチル−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン163mg(収率41%)を黄色の固体として得た。
【0184】
上記の手順及び適切な出発材料を用いて、以下の化合物を調製した:
− 5−アミノ−8−エチル−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン;MS=237[M+1]
− 5−アミノ−8−シクロプロピルメチル−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン;及び
− 5−アミノ−8−ベンジル−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン。
【0185】
調製3:5−アミノ−8−シクロペンチル−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]−ピリミジン−7−オンの合成
スキーム3に示した方法に従って、5−アミノ−8−シクロペンチル−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンの合成を行った。
【0186】
【化24】

【0187】
工程A:オキシ臭化リン(11.3mL)を、ジクロロエタン(13mL)中の8−シクロペンチル−5−ヒドロキシ−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(2.56g、9.23mmol)の混合物に室温で加えた。反応混合物を、マイクロ波反応器中で1時間100℃に加熱し、次に室温に冷却した。得られた混合物をEtOAc(200mL)及びNaHCO(飽和水溶液、200mL)とに分配し、水層をEtOAc(100mL)で抽出した。合わせた有機層を、NaHCO(飽和水溶液、3×100mL)及び水(2×100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させて、5−ブロモ−8−シクロペンチル−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン1.58g(収率50%)を得た。MS=340,342[M+H]
【0188】
工程B:アジ化ナトリウム(543mg、8.35mmol)を、DMF(17mL)中の5−ブロモ−8−シクロペンチル−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(1.42g、4.17mmol)の混合物に室温で加え、反応混合物を、マイクロ波反応器中で90℃に30分間加熱した。得られた混合物を次に室温に冷却し、水(70mL)でクエンチした。形成された固体を、濾過により回収し、減圧下で乾燥させ、THF中に溶解し、シリカゲルに吸着させた。この材料を、フラッシュクロマトグラフィー(10から>25% EtOAc/ヘキサン、20分間)により精製して、5−アジド−8−シクロペンチル−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン0.720g(収率57%)を、黄色の固体として得た。MS=303[M+H]
【0189】
工程C:トリフェニルホスフィン(1.68g、6.40mmol)を、室温でTHF(43mL)中の5−アジド−8−シクロペンチル−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(1.29g、4.27mmol)の溶液に加えて、反応混合物を35℃で2時間撹拌した。HCl(1M、22mL)を次に加え、反応混合物を2時間加熱還流し、次に4℃で一晩保存した。得られた混合物を、NaHCO(飽和水溶液)でpH8まで中和し、EtOAc(2×200mL)で抽出した。合わせた有機層を、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。粗残留物をフラッシュクロマトグラフィー(2から>5%MeOH/DCM、20分間)により精製して、5−アミノ−8−シクロペンチル−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン0.89g(収率75%)を黄色の固体として得た。MS=277[M+1]
5−アミノ−8−シクロヘキシル−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンを、上記の手順及び適切な出発材料を用いて調製した。
【0190】
調製4:8−シクロペンチル−5−ヒドロキシ−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンの合成
【0191】
【化25】

【0192】
工程A:シクロペンチルアミン(12.7mL、129.3mmol)を、DCM(250mL)中の4−クロロ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−カルボン酸エチルエステル(10g、43.10mmol)の溶液に室温で加え、得られた混合物を3日間撹拌した。反応混合物を水で3回洗浄し;水性抽出物を合わせ、DCMで2回抽出した。合わせた有機抽出物をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させて、4−シクロペンチルアミノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−カルボン酸エチルエステル 12.8gを更に精製しないで粗油状物として得た。
【0193】
工程B:NaOH(1M水溶液、31mL)を、EtOH(14mL)中の4−シクロペンチルアミノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−カルボン酸エチルエステル(11.7g、41.6mmol)の懸濁液に加え、得られた混合物を1.5時間加熱還流した。反応混合物を室温に冷却し、HCl(1M水溶液)を、pH4になるまで加えた。溶液からクラッシュアウトした白色の固体を濾過により回収し、水及びヘプタンで洗浄し、次に減圧下で乾燥させて、4−シクロペンチルアミノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−カルボン酸 10.241g(収率97%)を得た。
【0194】
工程C:EDCI(7.690g、40.26mmol)及びベンゾトリアゾール(4.796g、40.26mmol)を、DCM(250mL)中の4−シクロペンチルアミノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−カルボン酸(10.186g、40.26mmol)の懸濁液に室温で加え、反応混合物を1時間撹拌した。得られた混合物を水で3回洗浄し;合わせた水性抽出物を、DCMで2回抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させて、粗油状物を得た。この材料を、高温のtert−ブチルメチルエーテルでトリチュレートし、混合物を一晩放置した。形成された白色の固体を濾過により回収して、ベンゾトリアゾール−1−イル−(4−シクロペンチルアミノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−イル)−メタノン 7.698g(収率54%)を得た。
【0195】
以下の化合物を、上記の手順及び適切な出発材料を用いて調製した。:
− ベンゾトリアゾール−1−イル−(4−シクロヘキシルアミノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−イル)−メタノン;
− ベンゾトリアゾール−1−イル−(4−シクロプロピルアミノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−イル)−メタノン。
【0196】
工程D:リチウムジイソプロピルアミド(トルエン中1.8M、26.6mL)の溶液を、THF(100mL)中のEtOAc(2.33mL、23.92mmol)の溶液に−78℃で滴下し、得られた混合物を−78℃で1時間撹拌した。THF(60mL)中のベンゾトリアゾール−1−イル−(4−シクロペンチルアミノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−イル)−メタノン(7.698g、21.74mmol)の溶液を、反応混合物にカニューレで加え、得られた混合物を−78℃で4時間、室温で15時間撹拌した。反応混合物を次にpH2になるまでHCl(1M水溶液)で、次いでHCl(6M水溶液)で処理した。得られた混合物を室温で1時間撹拌し、次にEtOAcで希釈した。有機層を分離し、水で3回洗浄し、水層を合わせて、EtOAcで3回、イソプロパノール及びクロロホルムの混合物(1:1)で3回抽出した。合わせた有機抽出物を、NaSOで乾燥させ、濾過し、及び減圧下で蒸発させた。粗残留物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/EtOAc、100/0〜80/20)により精製して、3−(4−シクロペンチルアミノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−イル)−3−オキソ−プロピオン酸エチルエステル 3.03g(収率42%)を得た。
【0197】
工程E:ジイソプロピルエチルアミン(12mL)及びDBU(1.62mL)を、3−(4−シクロペンチルアミノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−イル)−3−オキソ−プロピオン酸エチルエステル(3.0g、9.29mmol)に加え、得られた混合物を120℃にて1時間加熱した。反応混合物を次に室温に冷却し、HCl(1M水溶液)でpH1まで酸性化した。得られた混合物をEtOAcで希釈し、HCl(1M水溶液)で3回洗浄した。合わせた水層をEtOAcで、次にイソプロパノール及びクロロホルムの1:1の混合物で3回抽出した。合わせた有機抽出物をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させて、8−シクロペンチル−5−ヒドロキシ−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン 2.5g(収率97%)を得た。
5−ヒドロキシ−2−メチルスルファニル−8−フェニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンを、上記手順及び適切な出発材料を用いて調製した。
【0198】
調製5:8−シクロヘキシル−5−ヒドロキシ−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンの合成
【0199】
【化26】

【0200】
工程A:水素化ナトリウム(鉱油中60%分散液、6.07g、151.60mmol)を、窒素雰囲気下、0℃で、無水DMF(400mL)中のベンゾトリアゾール−1−イル−(4−シクロヘキシルアミノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−イル)−メタノン(25.4g、68.95mmol)及びtert−ブチルエチルマロン酸(14.36mL、75.83mmol)の混合物に少しずつ加え、得られた混合物を室温で15時間撹拌した。反応混合物を、NaHSO(10%水溶液、1L)及び氷(200mL)の混合物に注ぎ、次にEtOAc(2×200mL)で注意深く抽出した。合わせた有機抽出物を水(2×100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。得られた黄色の油状物をDCM(30mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(60mL)を加えた。反応混合物を1時間加熱還流した。得られた混合物を冷却し、溶媒を減圧下で蒸発させた。NaHCO(飽和水溶液)を、pH7になるまで加え、得られた混合物をEtOAc(3×100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。粗残留物をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン 10/90〜15/85)により精製して、3−(4−シクロヘキシルアミノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−イル)−3−オキソ−プロピオン酸エチルエステル20.9g(収率90%)を得た。
【0201】
工程B:DBU(11.05mL)を、アルゴン雰囲気下、3−(4−シクロヘキシルアミノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−イル)−3−オキソ−プロピオン酸エチルエステル(21.5g)及びDIPEA(85mL)の混合物に滴下し、得られた混合物を125℃で1時間加熱し、次に室温で一晩撹拌した。揮発性物質を減圧下で蒸発させ、残留物をEtOAc及びHCl(1M水溶液)で希釈した。固体残留物を濾過により回収し、有機層を分離し、水層をEtOAcで3回抽出した。合わせた有機抽出物をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。合わせた固体を、NaHSO(10%水溶液)で3回、水で2回、ヘキサン(8×100mL)、そしてヘキサン及びEtOAc(4×100mL)の2:1の混合物で洗浄し、減圧下で乾燥後、8−シクロヘキシル−5−ヒドロキシ−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン19.9g(収率99%)を更に精製しないで得た。
8−シクロプロピル−5−ヒドロキシ−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンを、上記手順及び適切な出発材料を用いて調製した。
【0202】
調製6:N−(4−アミノ−シクロヘキシル)−アセトアミド塩酸塩の合成
N−(4−アミノ−シクロヘキシル)−アセトアミド塩酸塩の合成をスキーム6に示した方法に従って行った。
【0203】
【化27】

【0204】
工程A:DCM(300mL)中の(4−アミノ−シクロヘキシル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(15g)の冷却した懸濁液に、AcO(10.8mL)を、次にTEA(2.19mL)を加え、得られた混合物を室温で3時間撹拌した。反応混合物を次にDCM及び水に分配し、イソプロピルアミンを加えて、分離を促進した。有機層をNaHCOの希釈水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。残留物をEtOでトリチュレートし、固体を濾過により回収し、減圧下で乾燥させて、(4−アセチルアミノ−シクロヘキシル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル14.3gを得た。
【0205】
工程B:HCl(MeOH中2.0M、200mL)を、MeOH(100mL)中の(4−アセチルアミノ−シクロヘキシル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(14.3g)の懸濁液に加え、得られた混合物を室温で18時間撹拌した。HCl(MeOH中2.0M、100mL)の第2のアリコートを次に加え、得られた混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を次に減圧下で濃縮し、残留物をEtOでトリチュレートした。トルエンで処理してから、吸湿性の強い固体を濾過により回収し、次に減圧下で50℃で乾燥させて、N−(4−アミノ−シクロヘキシル)−アセトアミド塩酸塩12.46gを得た。
N−(4−アミノ−シクロヘキシル)−メタンスルホンアミド塩酸塩を、上記手順(工程Aでは、塩化メタンスホニルを使用した)及び適切な出発材料を用いて調製した。
【0206】
調製7:(4−アミノ−シクロヘキシル)−カルバミン酸メチルエステル塩酸塩の合成
【0207】
【化28】

【0208】
クロロギ酸メチル(0.468mL、6.06mmol)を、THF(6mL)中の(4−アミノ−シクロヘキシル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(1.0g、4.67mmol)及びピリジン(0.479mL、6.06mmol)の混合物に、アルゴン雰囲気下、0℃で20分かけて滴下し、得られた混合物を室温で24時間撹拌した。反応混合物を次に減圧下で蒸発させ、水(300mL)を固体残留物に加えた。得られた混合物をEtOAc(100mL)で3回抽出し、合わせた有機物を水(100mL)で3回、NaHSO(1%水溶液、150mL)で2回、水(150mL)で2回洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残っている白色の固体をHCl(MeOH中2.0M、200mL)と混合し、得られた混合物を室温で5時間撹拌した。反応混合物を次に減圧下で蒸発させ、(4−アミノ−シクロヘキシル)−カルバミン酸メチルエステル塩酸塩1.1gを得た。
【0209】
調製8:5−アミノ−8−シクロプロピル−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンの合成
【0210】
【化29】

【0211】
炭素上の水酸化パラジウム(10重量%、150mg)を、氷酢酸(80mL)中の5−アジド−8−シクロプロピル−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(1.5g)の溶液に加え、得られた混合物を2時間H(バルーン圧)下で撹拌した。DCM及びMeOH(80/20、100mL)の混合物を加え、得られた混合物をCELITE(商標)パッドで濾過し、フィルターケーキをDCM及びMeOH(80/20、500mL)の混合物で洗浄した。濾液を減圧下で濃縮し、5−アミノ−8−シクロプロピル−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン 1.7gを緑の固体として更に精製しないで得た。MS=248.9[M+H]
【0212】
調製9:5−アミノ−8−シクロブチル−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンの合成
【0213】
【化30】

【0214】
工程A:水素化ナトリウム(鉱油中の60%懸濁液、480mg、12.0mmol)を、DMSO(20mL)中の4−アミノ−2−(メチルチオ)ピリミジン(1.66g、10.0mmol)の溶液に室温で加え、得られた混合物を30分間撹拌した。シクロブチルブロミド(1.9mL、20.0mmol)を次に加え、反応混合物を50℃で64時間撹拌した。得られた混合物を次に室温に冷却し、水(200mL)でクエンチし、EtOAc(2×400mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(200mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。粗残留物をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、0/100〜30/70、10分間)により精製して、4−シクロブチルアミノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−カルボニトリル 354mg(収率16%)を白色の固体として得た。MS=221[M+H]
【0215】
工程B:メチルマグネシウムブロミド(EtO中で3.0M、0.58mL、1.75mmol)の溶液を、トルエン(32mL)中の4−シクロブチルアミノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−カルボニトリル(350mg、1.59mmol)の溶液に室温で加え、得られた混合物を30分間撹拌した。AcO(3.0mL、31.8mmol)を次に加え、反応混合物を5日間加熱還流した。反応混合物を次に室温に冷却し、水(100mL)でクエンチし、EtOAc(2×100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。粗残留物をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、0/100〜30/70、10分間)により精製して、N−(5−シアノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−4−イル)−N−シクロブチル−アセトアミド207mg(収率50%)を黄色の固体として得た。
【0216】
工程C:リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(THF中1.0M、0.78mL、0.781mmol)の溶液を、THF(7.8mL)中のN−(5−シアノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−4−イル)−N−シクロブチル−アセトアミド(205mg、0.781mmol)の溶液に室温で加え、得られた混合物を1時間撹拌した。反応混合物を次に水(10mL)でクエンチし、EtOAc(2×20mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をMgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。粗残留物をフラッシュクロマトグラフィー(MeOH/DCM、1/99〜5/95、10分間)により精製して、98mg(収率48%)を白色の固体として得た。MS=263[M+H]
【0217】
調製10:5−アミノ−8−[3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−プロピル]−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンの合成
【0218】
【化31】

【0219】
水素化ナトリウム(鉱油中の60%懸濁液、468mg)を、アルゴン雰囲気下、無水DMSO(20mL)中のN−(5−シアノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−4−イル)−アセトアミド(2.03g、9.75mmol)の溶液に少しずつ室温で加え、得られた混合物を室温で40分間撹拌した。(3−ブロモプロポキシ)−tert−ブチルジメチルシラン(3.39mL、14.63mmol)を、次に2分間かけて室温で滴下し、反応混合物を2時間撹拌した。得られた混合物を次に85℃で2時間加熱し、2回目のNaH(鉱油中の60%懸濁液、78mg)を次に加え、30分後に(3−ブロモプロポキシ)−tert−ブチルジメチルシラン(0.45mL)を加えた。得られた混合物を85℃で1時間加熱し、水で冷却してクエンチした。得られた混合物をEtOAc(3×50mL)で抽出し、合わせた有機層を水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。粗残留物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、5−アミノ−8−[3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−プロピル]−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン800mg(収率22%)及び非環化N−[3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−プロピル]−N−(5−シアノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−4−イル)−アセトアミド600mgを得て、調製2工程Cに記載のようにリチウムビス(トリメチルシリル)アミドで処理して標記化合物に変換した。
【0220】
調製11:5−アミノ−8−(trans−3−ヒドロキシ−シクロペンチル)−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンの合成
【0221】
【化32】

【0222】
工程A:2−メチル−2−チオプソイド尿素硫酸塩(17g)を、あらかじめ0℃に冷却したMeOH(180mL)中のKOH(9g)の溶液に加え、得られた白色の混合物を、室温で1時間撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液を0℃に保持し、(Z)−2−シアノ−3−エトキシ−アクリル酸エチルエステル(33g)を粉砕粉末として加えた。鮮黄色の懸濁液を、室温で2時間撹拌した。固体を濾過により回収し、冷MeOH(2×100mL)及びEtO(100mL)で洗浄した。鮮黄色の固体を、水酸化ナトリウムの水溶液(0.5M、180mL)に加え、得られた混合物を80℃で20分間加熱した。固体を濾過により除去し、濾液をHCl(6M水溶液)を添加することにより酸性化した。得られた混合物を1時間放置し、形成された沈殿物を、濾過により回収して、真空オーブンで乾燥後、4−ヒドロキシ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−カルボニトリル 11gを白色の固体として得た。
【0223】
工程B:4−ヒドロキシ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−カルボニトリル(2.76g)及びオキシ塩化リン(15mL)の混合物をアルゴン雰囲気下、3時間加熱還流した。反応混合物を冷却し、次に減圧下で蒸発させた。ヘキサンを残留物に加えて、混合物を加熱還流し、得られた混合物をデカントし、同様の手順を4回繰り返した。合わせた上澄層を蒸発させて、4−クロロ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−カルボニトリル 1.13gを白色の粉末として得た。
【0224】
工程C:TEA(0.84mL、6.04mmol)を、アルゴン雰囲気下、無水THF(10mL)中のtrans−3−アミノ−シクロペンタノール(1.83g)の溶液に加えた。4−クロロ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−カルボニトリル(1.13g、6.04mmol)を次に2回に分けて加え、得られた混合物を、アルゴン雰囲気下、室温で2時間撹拌した。液体層をデカントし、THFをガム状の残留物に加えた。抽出手順を繰り返し、合わせた抽出物を減圧下で蒸発させた。粗残留物をシリカゲルに吸着させ、フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)により精製し、trans−4−(3−ヒドロキシ−シクロペンチルアミノ)−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−カルボニトリル1.0gを得た。
【0225】
工程D:無水DMF(15mL)中のtrans−4−(3−ヒドロキシ−シクロペンチルアミノ)−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−カルボニトリル(500mg、2.0mmol)の混合物に、室温で、アルゴン雰囲気下、イミダゾール(680mg、10.0mmol)を、次いでtert−ブチルジメチルシリルクロリド(750mg、5.0mmol)を加え、得られた混合物を室温で64時間撹拌した。反応混合物をNHCl(飽和水溶液、20mL)でクエンチし、EtOAc(3×20mL)で抽出した。合わせた有機層を水(2×10mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。粗残留物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、95/5)により精製して、4−[trans−3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−シクロペンチルアミノ]−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−カルボニトリル 660mgを白色の固体として得た。
【0226】
工程E:水素化ナトリウム(鉱油中の60%懸濁液、303mg、7.59mmol)を、アルゴン雰囲気下、無水DMF(10mL)中の4−[trans−3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−シクロペンチルアミノ]−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−カルボニトリル(658mg、1.81mmol)の混合物に一度に加え、得られた混合物を室温で30分間撹拌した。無水AcO(2.56mL、27.1mmol)を35分間かけて滴下し、反応混合物を、さらに10分間撹拌した。得られた混合物をNHCl(飽和水溶液、50mL)でクエンチし、EtOAc(3×20mL)で抽出した。合わせた有機層を水(2×10mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。粗残留物をMeOH(15mL)中に溶解し、ヒドラジン水和物(0.877mL、18.08mmol)を滴下した。得られた混合物をマイクロ波反応器中で85℃で50分間加熱した。溶媒を減圧下で蒸発させ、水を残留物に加えた。得られた混合物をEtOAc(3×20mL)で抽出した。合わせた有機層を水(3×10mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。粗残留物をフラッシュクロマトグラフィー(DCM/MeOH)により精製して、5−アミノ−8−[trans−3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−シクロペンチル]−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン 800mgを得た。
【0227】
工程F:フッ化テトラブチルアンモニウム(THF中1M、0.576mL)の溶液を、室温で、アルゴン雰囲気下、無水THF(5mL)中の5−アミノ−8−[trans−3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−シクロペンチル]−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(200mg、0.443mmol)の混合物に滴下し、得られた混合物を一晩撹拌した。フッ化テトラブチルアンモニウム(THF中1M、0.6mL)溶液の第2のアリコートを次に加え、反応混合物を2時間撹拌した。フッ化テトラブチルアンモニウム(THF中1M、1.8mL)溶液の第3のアリコートを次に加え、反応混合物を2時間撹拌した。フッ化テトラブチルアンモニウム(THF中1M、1.3mL)の溶液の第4のアリコートを次に加え、反応混合物を一晩撹拌した。反応物を水(20mL)、次いでNHCl(飽和水溶液)でクエンチした。得られた混合物をEtOAc(10×20mL)で抽出し、合わせた有機抽出物をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。粗残留物を分取TLC(DCM/MeOH、90/10)により精製し、5−アミノ−8−(trans−3−ヒドロキシ−シクロペンチル)−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン 106mg(収率82%)を得た。
【0228】
調製12:5−アミノ−8−シクロペンチル−6−メチル−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンの合成
【0229】
【化33】

【0230】
水素化ナトリウム(鉱油中の60%懸濁液、82mg、2.05mmol)を、無水DMF(15mL)中の4−シクロペンチルアミノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−カルボニトリル(400mg、1.91mmol)の混合物に、アルゴン雰囲気下、室温で一度に加え、得られた混合物を室温で30分間撹拌した。無水プロピオン酸(0.264mL、2.05mmol)を40分間かけて滴下し、得られた混合物をさらに10分間撹拌した。反応混合物を塩化アンモニウム(30mL)の飽和水溶液を添加してクエンチし、EtOAc(20mL)で3回抽出した。合わせた有機抽出物を水(20mL)で2回洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。粗残留物をフラッシュクロマトグラフィー(DCM/MeOH、95/5)により精製し、5−アミノ−8−シクロペンチル−6−メチル−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン210mgを得た。
【0231】
調製13:trans−5−アミノ−8−シクロペンチル−2−(4−ヒドロキシ−シクロヘキシルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンの合成
【0232】
【化34】

【0233】
工程A:TEA(1.13mL、8.12mmol)を、DCM(20mL)中の8−シクロペンチル−5−ヒドロキシ−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(1.5g、5.41mmol)の溶液に、窒素雰囲気下で加えた。得られた混合物を−78℃に冷却し、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(1.093mL、6.50mmol)を加え、反応混合物を次に−78℃で1時間撹拌した。ジクロロエタン(20mL)中のビス−(4−メトキシ−ベンジル)−アミン(4.14g、16.24mmol)の溶液を、−78℃で加え、得られた混合物を室温で1時間撹拌し、次にマイクロ波反応器中で100℃で4時間加熱した。反応混合物をDCMで希釈し、水で3回洗浄した。水層を合わせて、DCMで3回抽出した。合わせた有機抽出物をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させて、褐色の粗油状物を得た。この材料を、フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/EtOAc、100/0〜80/20)により精製して、5−[ビス−(4−メトキシ−ベンジル)−アミノ]−8−シクロペンチル−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン510mg(収率18%)、及びトリフルオロ−メタンスルホン酸8−シクロペンチル−2−メチルスルファニル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−5−イルエステル 1.01gを得た。
【0234】
工程B:OXONE(商標)(0.759g、1.23mmol)を、アセトン(6.6mL)及び水(1.6mL)の混合物中の、5−[ビス−(4−メトキシ−ベンジル)−アミノ]−8−シクロペンチル−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(510mg、0.988mmol)の溶液に室温で加え、得られた混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を次にEtOAcで希釈し、水で3回洗浄した。合わせた水層を、EtOAcで2回、クロロホルム及びイソプロパノール、1/1の混合物で1回抽出した。合わせた有機抽出物をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させて、5−[ビス−(4−メトキシ−ベンジル)−アミノ]−8−シクロペンチル−2−メタンスルフィニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン及び5−[ビス−(4−メトキシ−ベンジル)−アミノ]−8−シクロペンチル−2−メタンスルホニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン、72/28の混合物を得た。無水THF(4mL)中のこの混合物(0.49mmol)の溶液に、TEA(0.206mL、1.482mmol)、次いでtrans−アミノシクロヘキサノール(113mg、0.988mmol)を室温で加え、得られた混合物を60℃で18時間撹拌した。反応混合物を次にEtOAcで希釈し、水で3回洗浄した。合わせた水層をEtOAcで2回、クロロホルム及びイソプロパノールの混合物で1回抽出した。合わせた有機抽出物をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。粗残留物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、5−[ビス−(4−メトキシ−ベンジル)−アミノ]−8−シクロペンチル−2−(4−ヒドロキシ−シクロヘキシルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン103mgを得た。
【0235】
工程C:過塩素酸(0.1mL)を、DCM(0.9mL)中の5−[ビス−(4−メトキシ−ベンジル)−アミノ]−8−シクロペンチル−2−(4−ヒドロキシ−シクロヘキシルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(51mg、0.087mmol)の溶液に、室温で徐々に加え、得られた混合物を室温で20分間撹拌した。反応混合物を次にDCMで希釈し、NaHCO(飽和水溶液)を徐々に加えた。有機層をNaHCO(飽和水溶液)で4回洗浄した。合わせた水層をDCMで3回、クロロホルム及びイソプロパノールの混合物で1回抽出した。合わせた有機抽出物をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。粗残留物を分取TLC(DCM/MeOH 90/10)により精製して、trans−5−アミノ−8−シクロペンチル−2−(4−ヒドロキシ−シクロヘキシルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン31.9mgを黄色の固体として得た。MS=344[M+H];MP=246.5−248.0℃。
【0236】
上記の手順及び適切な出発材料を用いて、以下の化合物を調製した:
− trans−5−アミノ−2−[4−(モルホリン−4−カルボニル)−シクロヘキシルアミノ]−8−フェニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン;MS=449.14[M+H]
− trans−5−アミノ−2−(4−ヒドロキシ−シクロヘキシルアミノ)−8−フェニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン;MS=352.14[M+H];
− trans−5−アミノ−8−シクロペンチル−2−[4−(モルホリン−4−カルボニル)−シクロヘキシルアミノ]−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(黄色の固体);MS=441[M+H];MP=292.5−295.3℃;及び
− 5−アミノ−2−シクロヘキシルアミノ−8−フェニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン;MS=336.15[M+H]
【0237】
調製14:5−アミノ−2−(4,4−ジフルオロ−シクロヘキシルアミノ)−8−メチル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンの合成
【0238】
【化35】

【0239】
DCM(200mL)中の5−アミノ−8−メチル−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(163mg、0.733mmol)の溶液に、3−クロロペルオキシ安息香酸(最大77%、164mg、0.733mmol)を室温で加え、得られた混合物を1時間撹拌した。反応混合物を次に減圧下で蒸発させて、残留物を無水ジメチルスルホキシド(7.3mL)中に溶解した。この溶液の部分(1.8mL)に、TEA(0.13mL、0.90mmol)、次いで4,4−ジフルオロシクロヘキシルアミン塩酸塩(62mg、0.36mmol)を室温で加えた。反応混合物を80℃で4.5時間撹拌し、次に水でクエンチした。得られた混合物をEtOAc(20mL)で2回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。粗残留物をフラッシュクロマトグラフィー(0から>10%MeOH/DCM、10分間)により精製して、5−アミノ−2−(4,4−ジフルオロ−シクロヘキシルアミノ)−8−メチル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン27mg(収率49%)を黄色の固体として得た。MS=310[M+H]
上記の手順及び適切な出発材料を用いて、以下の化合物を調製した:
− trans−5−アミノ−2−(4−ヒドロキシ−シクロヘキシルアミノ)−8−メチル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(黄色の固体);MS=290[M+H]
− 5−アミノ−2−シクロヘキシルアミノ−8−エチル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(褐色の固体);MS=288[M+H];融点=147.7−150.1℃;
− 5−アミノ−8−シクロペンチル−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(オフホワイトの固体);MS=330[M+H];融点=120.0−124.0℃;
− 5−アミノ−2−シクロヘキシルアミノ−8−シクロペンチル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(黄色の固体);MS=328[M+H];融点=125.0−130.0℃;
− trans−5−アミノ−8−シクロヘキシル−2−(4−ヒドロキシ−シクロヘキシルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(明褐色の粉末);MS=358[M+H];融点=292.0−294.0℃;
− trans−5−アミノ−8−シクロヘキシル−2−[4−(モルホリン−4−カルボニル)−シクロヘキシルアミノ]−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(黄色の粉末);MS=455[M+H];融点=185.0−203.0℃;
− 5−アミノ−8−シクロヘキシル−2−シクロヘキシルアミノ−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(オフホワイトの粉末);MS=342[M+H];融点=243.1−244.9℃;
− trans−N−[4−(5−アミノ−8−シクロヘキシル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−2−イルアミノ)−シクロヘキシル]−アセトアミド(明黄色の固体);MS=399[M+H]
− trans−5−アミノ−8−シクロヘキシル−2−(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(明褐色の粉末);MS=421[M+H];融点=250.0−254.0℃;
− trans−[4−(5−アミノ−8−シクロヘキシル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−2−イルアミノ)−シクロヘキシル]−カルバミン酸メチルエステル(褐色の粉末);MS=415[M+H];融点=193.9−198.0℃;
− 5−アミノ−8−シクロヘキシル−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(明黄色の粉末);MS=344[M+H];融点=160.0−164.0℃;
− 2−(1−アセチル−ピペリジン−4−イルアミノ)−5−アミノ−8−シクロヘキシル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(褐色のロウ状の固体);MS=385[M+H]
− 5−アミノ−8−シクロヘキシル−2−(4,4−ジフルオロ−シクロヘキシルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(明黄色の粉末);MS=378[M+H];融点=240.0−244.1℃;
− cis−N−[4−(5−アミノ−8−シクロペンチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−2−イルアミノ)−シクロヘキシル]−アセトアミド(オフホワイトの固体);MS=385[M+H];融点=172.6−176.6℃;
− 5−アミノ−8−シクロプロピルメチル−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(オフホワイトの固体);MS=316[M+H];融点=135.0−137.4℃;
− 5−アミノ−8−ベンジル−2−シクロヘキシルアミノ−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(オフホワイトの固体);MS=350[M+H];融点=221.9−223.8℃;
− 5−アミノ−8−ベンジル−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(オフホワイトの固体);MS=352[M+H];融点=245.6−246.8℃;
− 5−アミノ−2−シクロヘキシルアミノ−8−シクロプロピルメチル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(オフホワイトの固体);MS=314[M+H];融点=133.0−135.0℃;
− 5−アミノ−2−シクロブチルアミノ−8−シクロプロピルメチル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(オフホワイトの固体);MS=286[M+H];融点=236.1−239.1℃;
− trans−5−アミノ−8−シクロプロピル−2−(4−ヒドロキシ−シクロヘキシルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(明黄色の粉末);MS=315[M];融点=256.3−258.7℃;
− 5−アミノ−2−シクロヘキシルアミノ−8−シクロプロピル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(明褐色の固体);MS=299[M];融点=117.0−118.0℃;
−[4−(5−アミノ−8−シクロプロピル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−2−イルアミノ)−シクロヘキシル]−カルバミン酸メチルエステル(オフホワイトの粉末);MS=372[M];融点=257.0−259.0℃;
− 5−アミノ−8−シクロプロピル−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(オフホワイトの粉末);MS=301[M];融点=264.4−266.8℃;
− 5−アミノ−8−シクロプロピル−2−(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(明褐色の固体);MS=378[M];融点=224.5−226.0℃;
− 5−アミノ−8−シクロブチル−2−シクロヘキシルアミノ−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(オフホワイトの固体);MS=313[M];融点=120−121.5℃;
−[4−(5−アミノ−8−シクロブチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−2−イルアミノ)−シクロヘキシル]−カルバミン酸メチルエステル(オフホワイトの固体);MS=387[M];融点=154.3−156.0℃;
− (4−{5−アミノ−8−[3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−プロピル]−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−2−イルアミノ}−シクロヘキシル)−カルバミン酸メチルエステル;
− 2−(1−アセチル−ピペリジン−4−イルアミノ)−5−アミノ−8−(trans−3−ヒドロキシ−シクロペンチル)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(黄色の粉末);MS=387[M+H];融点=192.0−194.0℃;
− N−{4−[5−アミノ−8−(trans−3−ヒドロキシ−シクロペンチル)−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−2−イルアミノ]−シクロヘキシル}−アセトアミド(黄色の粉末);MS=401[M+H];融点=210.0−211.5℃;
− 5−アミノ−2−シクロヘキシルアミノ−8−(trans−3−ヒドロキシ−シクロペンチル)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(黄色の粉末);MS=344[M+H];融点=169.5−170.0℃;
− 5−アミノ−8−シクロペンチル−6−メチル−2−[4−(モルホリン−4−カルボニル)−シクロヘキシルアミノ]−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(明黄色の粉末);MS=455[M+H];融点=186.8−188.0℃;
− N−[4−(5−アミノ−8−シクロペンチル−6−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−2−イルアミノ)−シクロヘキシル]−アセトアミド(黄色の粉末);MS=399[M+H];融点=296.2−298.2℃;及び
− 2−(1−アセチル−ピペリジン−4−イルアミノ)−5−アミノ−8−シクロペンチル−6−メチル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(明褐色の粉末);MS=385[M+H];融点=281.0−283.0℃。
【0240】
調製15:5−アミノ−2−シクロヘキシルアミノ−8−(3−ヒドロキシ−プロピル)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンの合成
【0241】
【化36】

【0242】
DCM(9mL)中の5−アミノ−8−[3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−プロピル]−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(150mg、0.395mmol)の溶液に、3−クロロ過安息香酸(最大77%、106mg、0.474mmol)を、アルゴン雰囲気下で室温で加え、得られた混合物を40分間撹拌した。反応混合物を、次に減圧下で蒸発させ、残留物を無水ジメチルスホキシド(約9mL)中に溶解した。次にシクロヘキシルアミン(0.226mL、1.975mmol)を、室温で加え、得られた混合物を80℃で1.5時間撹拌した。反応混合物を次に水(70mL)及び塩化アンモニウム飽和水溶液(30mL)でクエンチした。得られた混合物をEtOAcで抽出し、有機抽出物を水(50mL)で2回洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。THF中に溶解した残留物に、フッ化テトラブチルアンモニウム(THF中1M、0.59mL)の溶液を室温で加え、得られた混合物を一晩撹拌した。形成された固体を、濾過により回収し、ヘキサンで洗浄し、分取TLC(DCM/MeOH、90/10)により精製して、5−アミノ−2−シクロヘキシルアミノ−8−(3−ヒドロキシ−プロピル)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン30mgを黄色の粉末として得た。MS=318[M+H];融点=131.0−132.5℃。
【0243】
調製16:{4−[5−アミノ−8−(3−ヒドロキシ−プロピル)−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−2−イルアミノ]−シクロヘキシル}−カルバミン酸メチルエステルの合成
【0244】
【化37】

【0245】
(4−{5−アミノ−8−[3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−プロピル]−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−2−イルアミノ}−シクロヘキシル)−カルバミン酸メチルエステル(実施例2に記載のように調製した)(0.280mmol)を、氷酢酸、THF及び水(3/1/1、25mL)の混合物に溶解し、得られた混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、粗残留物を分取TLC(MeOH/DCM、15/85)により精製して、{4−[5−アミノ−8−(3−ヒドロキシ−プロピル)−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−2−イルアミノ]−シクロヘキシル}−カルバミン酸メチルエステル11mgを黄色の粉末として得た。MS=391[M+H];融点=190.0−191.0℃。
【0246】
N−{4−[5−アミノ−8−(3−ヒドロキシ−プロピル)−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−2−イルアミノ]−シクロヘキシル}−アセトアミド(黄色の粉末)を上記手順及び適切な出発材料を用いて調製した。MS=375[M+H];融点>300℃。
【0247】
調製17:5−アミノ−6−シアノ−8−シクロブチル−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンの合成
【0248】
【化38】

【0249】
工程A:DCM(120mL)中の5−アミノ−8−シクロブチル−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(1.3g、4.46mmol)の混合物に、N−ブロモスクシンイミド(0.87g、4.9mmol)を、0℃で、5回にわけて5分間かけて加えた。30分間撹拌した後、DCMを減圧下で蒸発させ、残留物を水100mL及びNaHCO(飽和水溶液)100mLで処理した。粗生成物をEtOAc(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層をNaHCO(4×60mL)及び水(2×50mL)で洗浄し、減圧下で蒸発させて、5−アミノ−6−ブロモ−8−シクロブチル−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン 1.3gを褐色の固体として得た。
【0250】
工程B:NMP0.5mL中の5−アミノ−6−ブロモ−8−シクロブチル−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(50mg、0.15mmol)の溶液に、シアン化銅(I)(56mg、0.63mmol)を加えた。得られた混合物をマイクロ波反応器中で、220℃で20分間加熱した。冷却後、反応混合物を、NaHCO(飽和水溶液)及びEtOAcの混合物で処理した。混合物を濾過し、回収した固体を次にNHOH(15%、水溶液)と混合した。水性混合物をEtOAcで抽出し、次に有機層を合わせて、減圧下で蒸発させた。粗残留物を分取TLC(DCM/MeOH、93/7)により精製して、5−アミノ−6−シアノ−8−シクロブチル−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン 29mgを固体として得た。
【0251】
調製18:5−アミノ−8−シクロブチル−2−メチルスルファニル−6−フェニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンの合成
【0252】
【化39】

【0253】
工程A:トルエン0.6mL 及びEtOH0.6mL中の5−アミノ−6−ブロモ−8−シクロブチル−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(50mg、0.15mmol)、フェニルボロン酸(28mg、0.22mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(17mg、0.015mmol)の混合物に、炭酸セシウム(0.17g、0.52mmol)を加えた。得られた混合物をマイクロ波反応器中で、100℃で30分間加熱した。反応混合物を冷却し、NaHCO(飽和水溶液)を加え、混合物をEtOAc(3×20mL)で抽出した。合わせた有機層を水(2×10mL)で洗浄し、減圧下で蒸発させた。粗残留物を分取TLC(ヘキサン:EtOAc、2:1)により精製して、5−アミノ−8−シクロブチル−2−メチルスルファニル−6−フェニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン 40mgを固体として得た。
【0254】
生物学的アッセイ
実施例1:インビトロJNKアッセイ
JNK活性は、GST−ATF2(19−96)の[γ−33P]ATPでのリン酸化により測定した。酵素反応は、25mM HEPES、pH7.5、2mMジチオトレイトール、150mMNaCl、20mMMgCl、0.001%Tween(登録商標)20、0.1%BSA及び10%DMSOを含有する緩衝液中で、最終容量40μlでのATP及び基質のKm濃度で行った。ヒトJNK2α2アッセイは、1nM酵素、1μM ATF2、1μCi[γ−33P]ATPを含む8μM ATPを含有していた。ヒトJNK1α1アッセイは、2nM酵素、1μM ATF2、1μCi[γ−33P]ATPを含む6μM ATPを含有していた。ヒトJNK3(Upstate Biotech #14-501M)アッセイは、2nM酵素、1μM ATF2、1μCi[γ−33P]ATPを含む4μM ATPを含有していた。酵素アッセイは、数種の化合物濃度の存在下又は不存在下に実施した。JNK及び化合物は、10分間予備インキュベートし、その後、ATPと基質を加えることにより酵素反応を開始した。反応混合物は、30℃で30分間インキュベートした。インキュベーションの最後に、反応混合物25μlを、135mM EDTAを含有する150μlの10%グルタチオンSepharose(登録商標)スラリー(Amersham #27-4574-01)に移すことにより、反応を停止した。反応生成物をアフィニティー樹脂上に捕集し、濾過プレート(Millipore, MABVNOB50)上でリン酸塩緩衝塩水で6回洗浄して、遊離の放射性ヌクレオチドを除去した。33PのATF2への組み込みは、マイクロプレートシンチレーションカウンター(Packard Topcount)上で定量した。JNKに対する化合物の阻害能は、3−パラメーターモデル:%阻害=最大/(1+(IC50/[インヒビター])slope)に当てはめた10種の濃度の阻害曲線からもたらされたIC50値により測定した。データは、パラメーター推定用のマイクロソフトエクセル上で分析した。代表的な結果を下表Yに示す:
【0255】
【表2】

【0256】
具体的な実施態様に言及しながら本発明を記載したが、本発明の精神及びその範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能であり、同等物と置き換えることが可能であることが、当業者には理解されよう。さらに、特定の状況、材料、物質の組成、方法、方法工程又は工程を、本発明の客観的精神及び範囲に適応させるために、多くの改変を行い得る。これらの改変のすべてが、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化40】


[式中、
は、R1a又はR1bであり;
1aは、H、ハロ、アシル、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、−CN、又は−OHであり;
1bは、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、又はフェニルであり、場合により1つ以上のR1b’で置換されており;
各R1b’は、独立して、ハロ、−OH、低級アルコキシ、アミノ、低級アルキル又は低級ハロアルキルであり;
は、低級アルキル、低級ヘテロアルキル、低級アルコキシ、シクロアルキル、フェニル、ヘテロシクロアルキル、又はヘテロアリールであり、場合により1つ以上のR2aで置換されており;
各R2aは、独立して、−OH、ハロ、低級アルキル、アミノ、低級アルコキシ、又はR2bであり;
2bは、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、又はフェニルであり、場合により1つ以上のR2b’で置換されており;
各R2b’は、独立して、ハロ、−OH、低級アルコキシ、アミノ、低級アルキル又は低級ハロアルキルであり;
は、ハロ、アミノ、低級アルキル、低級アルコキシ、又は低級ハロアルキルであり;
Aは、O又はA’であり;
A’は、C(R)(R’)又はN(R5b)であり;
及びR’は、独立して、R5a又はR5bであり;
5aは、−H、ハロ、−OH、又はA”であり;
5bは、低級アルキル、A”、又は低級ヘテロアルキルであり、場合により1つ以上のR6aで置換されており;
6aは、−OH、ハロ、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、又はアミノであり;
A”は、−NHC(=O)R、−NHC(=O)OR、−N(R)S(=O)、−S(=O)、−C(=O)R、又は−C(=O)ORであり;
は、低級アルキル又はシクロアルキルであり;
は、シクロアルキル、シクロアルキル低級アルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル低級アルキル、又は低級アルキルであり、その各々は、場合によりハロ、−OH、低級アルコキシ、アミノ、又は低級アルキルで置換されていてよく;
は、H又は低級アルキルであり;
mは、0〜4である]の化合物(そのエナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ混合物及び薬学的に許容されうる塩を含む)。
【請求項2】
式I:
【化41】


[式中、
は、R1a又はR1bであり;
1aは、H、ハロ、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、−CN、又は−OHであり;
1bは、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、又はフェニルであり、場合により1つ以上のR1b’で置換されており;
各R1b’は、独立して、ハロ、−OH、低級アルコキシ、アミノ、低級アルキル又は低級ハロアルキルであり;
は、低級アルキル、低級ヘテロアルキル、低級アルコキシ、シクロアルキル、フェニル、ヘテロシクロアルキル、又はヘテロアリールであり、場合により1つ以上のR2aで置換されており;
各R2aは、独立して、−OH、ハロ、低級アルキル、アミノ、低級アルコキシ、又はR2bであり;
2bは、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、又はフェニルであり、場合により1つ以上のR2b’で置換されており;
各R2b’は、独立して、ハロ、−OH、低級アルコキシ、アミノ、低級アルキル又は低級ハロアルキルであり;
は、ハロ、アミノ、低級アルキル、低級アルコキシ、又は低級ハロアルキルであり;
Aは、O又はA’であり;
A’は、C(R)(R’)又はN(R5b)であり;
及びR’は、独立して、R5a又はR5bであり;
5aは、−H、ハロ、−OH、又はA”であり;
5bは、低級アルキル、A”、又は低級ヘテロアルキルであり、場合により1つ以上のR6aで置換されており;
6aは、−OH、ハロ、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、又はアミノであり;
A”は、−NHC(=O)R、−NHC(=O)OR、−NHS(=O)、−S(=O)、−C(=O)R、又は−C(=O)ORであり;
は、低級アルキル又はシクロアルキルであり;
は、シクロアルキル、シクロアルキル低級アルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル低級アルキル、又は低級アルキルであり、その各々は、場合によりハロ、−OH、低級アルコキシ、アミノ、又は低級アルキルで置換されていてよく;
mは、0〜4である]の化合物(そのエナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ混合物及び薬学的に許容されうる塩を含む)。
【請求項3】
AがA’であり、A’がC(R)(R’)である、請求項1又は2記載の化合物。
【請求項4】
がR5aであり、R5aがHである、請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物。
【請求項5】
が、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、フェニル、フェニルアルキル、シクロアルキルアルキル、低級アルキル、又は低級ヘテロアルキルである、請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項6】
’がR5aであり、R5aがHである、請求項1〜5のいずれか1項記載の化合物。
【請求項7】
がシクロアルキルである、請求項1〜6のいずれか1項記載の化合物。
【請求項8】
’がR5aであり、R5aが−OHである、請求項1〜5のいずれか1項記載の化合物。
【請求項9】
’がR5aであり、R5aがA”であり、A”が−NHC(=O)R又は−NHC(=O)ORであり、Rが低級アルキルである、請求項1〜5のいずれか1項記載の化合物。
【請求項10】
’がR5aであり、R5aがA”であり、A”が−C(=O)Rであり、Rがヘテロシクロアルキルである、請求項1〜5のいずれか1項記載の化合物。
【請求項11】
’がR5aであり、R5aがA”であり、A”が−NHS(=O)であり、Rが低級アルキルである、請求項1〜5のいずれか1項記載の化合物。
【請求項12】
AがOである、請求項1の化合物。
【請求項13】
AがA’であり、A’がN(R5b)であり、R5bがA”であり、A”が−C(=O)R又は−C(=O)ORであり、R及びRが低級アルキルである、請求項1〜5のいずれか1項記載の化合物。
【請求項14】
及びR’が共にFである、請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物。
【請求項15】
’が低級ヘテロアルキルである、請求項1〜5のいずれか1項記載の化合物。
【請求項16】
式II:
【化42】


[式中、
は、R1a又はR1bであり;
1aは、H、ハロ、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、−CN、又は−OHであり;
1bは、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、又はフェニルであり、場合により1つ以上のR1b’で置換されており;
各R1b’は、独立して、ハロ、−OH、低級アルコキシ、アミノ、低級アルキル又は低級ハロアルキルであり;
は、低級アルキル、低級ヘテロアルキル、アルコキシ、シクロアルキル、フェニル、ヘテロシクロアルキル、又はヘテロアリールであり、場合により1つ以上のR2aで置換されており;
各R2aは、独立して、−OH、ハロ、低級アルキル、アミノ、低級アルコキシ、又はR2bであり;
2bは、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、又はフェニルであり、場合により1つ以上のR2b’で置換されており;
各R2b’は、独立して、ハロ、−OH、低級アルコキシ、アミノ、低級アルキル又は低級ハロアルキルであり;
は、H、ハロ、アミノ、低級アルキル、低級アルコキシ、又は低級ハロアルキルであり;
mは、0〜5である]の化合物(そのエナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ混合物及び薬学的に許容されうる塩を含む)。
【請求項17】
式III:
【化43】


[式中:
は、R1a又はR1bであり;
1aは、H、ハロ、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、−CN、又は−OHであり;
1bは、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、又はフェニルであり、場合により1つ以上のR1b’で置換されており;
各R1b’は、独立して、ハロ、−OH、低級アルコキシ、アミノ、低級アルキル又は低級ハロアルキルであり;
は、低級アルキル、低級ヘテロアルキル、低級アルコキシ、シクロアルキル、フェニル、ヘテロシクロアルキル、又はヘテロアリールであり、場合により1つ以上のR2aで置換されており;
各R2aは、独立して、−OH、ハロ、低級アルキル、アミノ、低級アルコキシ、又はR2bであり;
2bは、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、又はフェニルであり、場合により1つ以上のR2b’で置換されており;
各R2b’は、独立して、ハロ、−OH、低級アルコキシ、アミノ、低級アルキル又は低級ハロアルキルであり;
は、ハロ、アミノ、低級アルキル、低級アルコキシ、又は低級ハロアルキルであり;
mは、0〜3である]の化合物(そのエナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ混合物及び薬学的に許容されうる塩を含む)。
【請求項18】
JNK介在障害を有する対象における、JNK介在障害の処置の方法であって、請求項1〜17のいずれか1項記載の化合物の治療有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む方法。
【請求項19】
少なくとも1つの薬学的に許容されうる担体、賦形剤又は希釈剤と混合した、請求項1〜17のいずれか1項記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項20】
JNK介在障害の治療的及び/又は予防的処置のための医薬の調製のための請求項1〜16のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項21】
JNK介在障害が、自己免疫障害、炎症性障害、代謝障害、神経性の疾患、又は癌である、請求項20記載の使用。
【請求項22】
JNK介在障害が、関節リウマチ、喘息、2型糖尿病、アルツハイマー病、パーキンソン病又は脳卒中である、請求項20の使用。
【請求項23】
JNK介在障害の処置における使用のための、請求項1〜17のいずれか1項記載の化合物。
【請求項24】
上記定義の発明であって、特に、新規な化合物、中間体、医薬、用途及び方法に関する発明。

【公表番号】特表2011−518854(P2011−518854A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−506651(P2011−506651)
【出願日】平成21年4月20日(2009.4.20)
【国際出願番号】PCT/EP2009/054638
【国際公開番号】WO2009/132980
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】