説明

KID31およびKID31に結合する抗体

本発明は疾患及び癌関連の抗原、KID31を同定及び特性付けを提供する。本発明は又、抗原KID31に結合するモノクローナル抗体のファミリー、KID31を発現する種々のヒトの癌及び疾患を診断及び治療する方法を提供する。本明細書に開示される発明は、既知の抗原、カルボキシペプチダーゼM(KID31)が種々のヒト原発及び転移の両方の癌に存在し、抗KID31抗体はこのような癌を治療するために使用される場合があるという発見に関する。本発明は種々のヒト癌に発現されるKID31に結合するKID31拮抗剤、モジュレーター及びモノクローナル抗体を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生物学及び免疫学の分野に属する。より詳細には、既知の抗原であるカルボキシペプチダーゼMが種々のヒトの癌及び関係する疾患に関連しているという発見に関する。本発明は更に、抗カルボキシペプチダーゼM抗体等のカルボキシペプチダーゼMに結合する拮抗剤、モジュレーター及びペプチドを使用したカルボキシペプチダーゼMに関連する種々のヒトの疾患及び癌の診断及び/又は治療を提供する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ヒトカルボキシペプチダーゼMは、ペプチド又はタンパク質からカルボキシ末端のアルギニン又はリジン残基を特異的に切断する膜結合メタロプロテアーゼ−ペプチドである。カルボキシペプチダーゼMは、分子量約62kDaの糖タンパク質であり、調節メタロカルボキシペプチダーゼタンパク質のファミリーのメンバーである。
【0003】
カルボキシペプチダーゼMは、種々のヒト組織に広範に発現されており、細胞表面のペプチドホルモン及び成長因子の活性の制御において、並びに細胞外タンパク質の膜限局分解において役割を果たしていると考えられている(非特許文献1)。カルボキシペプチダーゼM特異的抗体を使用することにより、研究者等はマクロファージ成熟のマーカーとしてカルボキシペプチダーゼMを同定した。
【0004】
マクロファージ成熟のマーカーとして説明されているにもかかわらず、カルボキシペプチダーゼMの発現と癌の間の何れかの相関を示すデータは殆どない。カルボキシペプチダーゼMの発現は、免疫組織化学的技法及びカルボキシペプチダーゼMに特異的な抗体を使用して、従来の明細胞腎臓癌内の肉芽腫性の反応を有する患者において報告されている(非特許文献2)。
【0005】
診断におけるそれらの既知の使用の他に、抗体は治療薬として有用であることがわかっている。例えば免疫療法、即ち治療目的のための抗体の使用は、癌の治療に近年使用されている。受動免疫療法では、癌治療においてモノクローナル抗体を使用する。例えば、非特許文献3を参照されたい。これらの抗体は、腫瘍細胞の成長又は生存の直接の抑制により、並びに身体の免疫系の天然の細胞殺傷活性をリクルートするその能力の両方により、固有の治療上の生物学的活性を有することができる。これらの薬剤は、単独又は放射線照射若しくは化学療法剤と組み合わせて投与することができる。非ホジキンリンパ腫及び乳癌の治療にそれぞれ承認されているリツキシマブ及びトラスツズマブは、そのような治療薬の2つの例である。或いは、抗体が毒性の薬剤に連結され、腫瘍に特異的に結合することによりその薬剤を腫瘍に指向させる、抗体コンジュゲートを作製するために、抗体を使用することができる。ゲムツズマブポゾガマイシンは、白血病の治療に使用される承認された抗体コンジュゲートの一例である。癌細胞に結合し、診断及び治療のための潜在的な用途を有するモノクローナル抗体が、刊行物に開示されている。例えば、特に一部の分子量の標的タンパク質を開示している以下の特許出願、即ち、特許文献1(200kD c−erbB−2(Her2)及び大きさ40〜200KDのその他の未知の抗原)及び特許文献2(50kD及び55kDの癌胎児タンパク質)を参照されたい。臨床治験における、及び/又は固形腫瘍の治療に承認された抗体の例には、トラスツヅマブ(抗原:180kD、HER2/neu)、エドレコロマブ(抗原:40〜50kD、Ep−CAM)、抗ヒト乳脂肪小球(HMFG1)(抗原>200kD、HMWムチン)、セツキシマブ(抗原:150kD及び170kD、EGF受容体)、アレムツズマブ(抗原:21〜28kD、CD52)及びリツキシマブ(抗原:35kD、CD20)が含まれる。
【0006】
乳癌の治療に使用されるトラスツヅマブ(Her−2受容体)及び数種の癌の治療に関して臨床治験中のセツキシマブ(EGF受容体)の抗原は、皮膚、結腸、肺、卵巣、肝臓及び膵臓を含む多数の正常ヒト成人組織にある程度検出可能な量で存在している。これらの治療薬の使用における安全性の限界は、これらの部位における抗体の発現量又は触容易性又は活性の相違によりおそらくは決定される。
【0007】
免疫療法の別の型には、能動免疫療法、即ち特定の癌に存在する抗原、又は個体における免疫応答を後に惹起する抗原の発現を指向する、即ち自身の癌に対抗する抗体を能動的に産生するように固体を誘導するDNAコンストラクトを使用した、ワクチン投与がある。能動免疫療法は、受動免疫療法又は免疫毒素ほど頻繁には使用されていない。
【0008】
疾患(癌を含む)の進行の幾つかのモデルが示唆されている。理論は、単一の感染性/形質転換性の事象による誘起から、最終的には完全な病原性又は悪性の可能性をもたらす進行的に「疾患様」又は「癌様」となる組織型の発生にまでわたっている。例えば癌の場合、単一の突然変異の事象が悪性の誘発に十分であるとする説もあれば、その後の改変も必要であるとする説もある。他方では、増大する突然変異性の負荷及び腫瘍の等級が、細胞レベルにおける突然変異の選択事象の継続を介した真生物形成の開始並びに進行の何れにも必要であることも示唆されている。癌の標的は腫瘍組織においてのみ存在するものもあるが、正常組織にも存在し、腫瘍組織でアップレギュレート及び/又は過剰発現されるものもある。このような状況において、過剰発現が悪性疾患の獲得に関連すると示唆する研究者もいれば、過剰発現は増大する疾患状態への過程に沿った傾向のマーカーにすぎないと示唆する研究者もいる。
【0009】
理想的な診断及び/又は治療用の抗体は、多数の癌に存在するが、如何なる正常組織にも存在しないか、又は少量しか存在しない抗原に特異的であると思われる。癌に特異的に関連する新規の抗原の同定、特性付け及び単離は、多くの方法において有用であると思われる。第一に、抗原は抗原に対抗するモノクローナル抗体を作製するために使用できると思われる。抗体は、癌細胞に対する生物学的活性を有し、外来性抗原に対する免疫系の応答をリクルートできることが理想的とされる。抗体は治療薬単独として、又は現在の治療と組み合わせて投与でき、或いは毒性物質に連結した免疫コンジュゲートを調製するために使用できると思われる。単独で投与された場合に同じ特異性を有するが生物学的活性は低値か皆無である抗体は又、コンジュゲート型が抗原含有細胞に毒素を指向する抗体により生物学的活性を有するような放射性同位体、毒素又は化学療法剤若しくは化学療法剤を含有するリポソームにより免疫コンジュゲートを調製するために抗体が使用できるという点において有用である。
【0010】
理想的な診断及び/又は治療用の抗体に望まれる一態様には、種々の癌に関連する抗原の同定及び特性付けがある。多数の型の癌に発現される抗原(即ち「汎癌」抗原)であって、非癌細胞での発現が限定されているものは殆どない。このような抗原の単離及び精製は、抗原をターゲティングする抗体(例えば診断用又は治療用)を作製するために有用であると思われる。「汎癌」抗原に結合する抗体は、癌の唯一特定の型にのみ関連する抗原に対する抗体とは対照的に、種々の組織中に存在する種々の癌をターゲティングできると思われる。抗原は又、創薬(例えば小分子)のため、並びに細胞の調節、成長及び分化の更なる特性付けのためにも有用であると思われる。
【0011】
必要とされているものは、細胞表面の標的を特異的に認識する抗体及びその他の薬剤で疾患及び/又は癌を診断及び治療するために使用される場合がある、そのような疾患及び/又は癌の表面上の新しい標的である。更に必要とされているものは、本明細書に開示した発見に基づくと、カルボキシペプチダーゼMの疾患誘発活性を低減又は増強することの何れかによりモジュレートすることができる細胞表面上の標的を特異的に認識する新規の抗体及びその他の薬剤である。本発明の目的は、疾患関連の活性を抑制することができるヒトカルボキシペプチダーゼMの拮抗剤を同定することである。本発明の別の目的は、カルボキシペプチダーゼMの試験において使用するため、及び免疫原として使用するため、又は抗ヒトカルボキシペプチダーゼM抗体を選択するための、新規の化合物を提供することである。
【0012】
以下でより詳細に説明する通り、本発明者等は、本明細書に記載した新規の拮抗剤、モジュレーター及び抗体の抗原標的として同定された、本明細書において本発明者等がKID31と称する既知の抗原、カルボキシペプチダーゼMを発見した。
【特許文献1】米国特許第6,054,561号明細書
【特許文献2】米国特許第5,656,444号明細書
【非特許文献1】Reverterら、J.Mol.Bio.(2003)Vol.338,pp.257−269
【非特許文献2】Kovacsら、Pathology Oncology Res.,(2004)Vol.10,No.pp.169−171
【非特許文献3】Cancer:Principles and Practice of Oncology, 第6版 (2001) Chapt. 20 pp. 495−508
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の要旨)
本明細書に開示される発明は、既知の抗原、カルボキシペプチダーゼM(KID31)が種々のヒト原発及び転移の両方の癌に存在し、抗KID31抗体はこのような癌を治療するために使用される場合があるという発見に関する。本発明は種々のヒト癌に発現されるKID31に結合するKID31拮抗剤、モジュレーター及びモノクローナル抗体を提供する。
【0014】
別の態様において、本発明は、PTA#6516のPatent Deposit Designationと共に、American Type Culture Collectionにおいて2005年1月12日に寄託された宿主細胞系統KIDNEY.5.4B8.1A4により産生されるモノクローナル抗体抗KID31である。
【0015】
更に別の態様において、本発明は、(a)免疫原で宿主哺乳類を免疫化する手順;(b)哺乳類からリンパ球を得る手順;(c)リンパ球(b)をミエローマ細胞系統と融合させてハイブリドーマを産生する手順;(d)(c)のハイブリドーマを培養して、モノクローナル抗体を産生する手順;及び(e)疾患性及び/又は癌細胞又は細胞系統には結合するが非癌性又は正常細胞又は細胞系統には結合しないか、低水準又は異なる態様では正常細胞に結合する抗体のみを選択するように抗体をスクリーニングする手順からなる、疾患性及び/又は癌細胞と反応するモノクローナル抗体、抗KID31を生成する方法である。
【0016】
別の態様において、本発明は、抗KID31抗体を生成する方法であって、そのような抗体又はその子孫をコーティングする宿主細胞を、抗体の産生が可能な条件下で培養すること、及び抗KID31抗体を精製することからなる方法である。
【0017】
別の態様において、本発明は、好適な細胞において抗体(単一の軽鎖又は重鎖として別個に発現される場合があり、又は軽鎖及び重鎖の両方が1つのベクターから発現される)をコーティングするポリヌクレオチドを1つ以上発現し、その後一般的には目的の抗体又はポリペプチドを回収及び/又は単離することにより、本明細書に記載した抗体(又はポリペプチド)の何れかを作製する方法を提供する。
【0018】
別の態様において、本発明は、KID31への抗KID31抗体の優先的結合を競合的に抑制する(抗体である場合もあれば、抗体でない場合もある)抗KID31抗体又はポリペプチドである。一部の実施形態において、本発明は、他の抗KID31抗体と同じか異なるKID31上エピトープに優先的に結合する抗体又はポリペプチド(抗体である場合もあれば、抗体でない場合もある)である。
【0019】
別の態様において、本発明は、KID31への抗KID31抗体の優先的な結合を競合的に抑制するKID31モジュレーター(ポリペプチドである場合もあれば、ポリペプチドでない場合もある)である。一部の実施形態において、本発明は、他の抗KID31抗体と同じか異なるKID31上エピトープに優先的に結合する小分子又は化学物質であってもよい。
【0020】
更に別の態様において、本発明は、KID31のエピトープに対して特異的な抗体により結合されたKID31を含む組成物である。一実施形態において、抗体は抗KID31である。他の実施形態において、抗KID31抗体は2つ以上投与され、それらの抗体はKID31の複数の異なるエピトープをマッピングしている。一部の実施形態において、抗KID31抗体は、治療薬又は検出可能な標識に連結される。
【0021】
別の態様において、本発明は、抗KID31抗体のフラグメント又は領域を含む抗体である。一実施形態において、フラグメントは抗体の軽鎖である。別の実施形態において、フラグメントは抗体の軽鎖及び/又は重鎖の可変領域を1つ以上含有する。更に別の実施形態において、フラグメントは、抗体の軽鎖及び/又は重鎖の相補性決定領域(CDR)1つ以上を含有する。
【0022】
別の態様において、本発明は、抗KID31抗体の、(a)軽鎖又は重鎖由来の1つ以上のCDR(又はそのフラグメント);(b)軽鎖由来の3つのCDR;(c)重鎖由来の3つのCDR;(d)軽鎖由来の3つのCDR及び重鎖由来の3CDR;(e)軽鎖可変領域;(f)重鎖可変領域、の何れかを含むポリペプチドである(抗体である場合もあれば、抗体でない場合もある)を提供する。
【0023】
別の実施形態において、本発明はヒト化抗体である。一部の実施形態において、ヒト化抗体は、非ヒト抗KID31抗体の1つ以上のCDRを含む。一部の実施形態において、ヒト化抗体は、他の抗KID31と同じか又は異なるエピトープに結合する。一般的に、本発明のヒト化抗体は、元の非ヒト抗KID31抗体のCDRと同じである、及び/又はそれより誘導したCDR1つ以上(1、2、3、4、5、6個又はそのフラグメント)を含む。一部の実施形態において、ヒト抗体は、他の抗KID31抗体と同じか又は異なるエピトープに結合する。別の態様において、本発明は、非ヒト抗KID31抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域から誘導された可変領域、並びにヒト抗体の重鎖及び軽鎖の定常領域から誘導された定常領域を含むキメラ抗体である。
【0024】
別の態様において、本発明は、ATCC PTA No.6516の寄託番号を有する宿主細胞又はその子孫により産生される抗体mu−抗KID31をコーティングする単離されたポリヌクレオチドである。本発明は、上記の通り特定した抗体の何れかの固有の結合又は生物学的活性有する抗体ポリペプチドを包含する。別の態様において、本発明は、抗体(抗体フラグメントを含む)の何れか並びに本明細書に記載したその他何れかのポリペプチドをコーティングするポリヌクレオチドを提供する。
【0025】
別の態様において、本発明は、本明細書に記載したポリペプチド(本明細書に記載した抗体の何れかを含む)又はポリヌクレオチドの何れかを含む医薬組成物、例えば化学療法剤に連結した抗KID31抗体、抗KID31抗体のフラグメントを含む抗体、非ヒト抗KID31抗体のヒト化抗体、非ヒト抗KID31抗体の可変領域から誘導した可変領域及びヒト抗体から誘導した定常領域を含むキメラ抗体、又は化学療法剤(例えば放射活性部分)に連結した本明細書に記載の非ヒト抗KID31抗体又は抗KID31抗体の何れか1つ以上の特性を有するヒト抗体、及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物である。
【0026】
一態様において、本発明は、疾患性又は癌細胞に存在するKID31に結合した抗KID31抗体を含む組成物である。好ましい実施形態において、癌細胞は、腎臓、卵巣、肺、前立腺、膵臓、結腸及び乳房の癌の細胞よりなる群から選択される。一部の実施形態において、癌細胞は単離される。一部の実施形態において、癌細胞は生物学的試料に含まれる。一般的に、生物学的試料は個体、例えばヒトに由来する。
【0027】
別の態様において、本発明は、個体由来の細胞においてKID31を検出することによる個体における疾患、特に個体における炎症性又は自己免疫性の応答に関連する疾患又は障害を診断する方法である。本発明の他の態様において、方法は個体における炎症性又は自己免疫性の応答をモジュレートすることを可能とする。本発明の組成物及び方法を使用した治療に付される場合がある炎症及び自己免疫障害に起因する疾患及び病態には、例えば多発性硬化症、髄膜炎、脳炎、卒中、その他の大脳外傷、炎症性腸疾患、例えば潰瘍性結腸炎及びクローン病、重症筋無力症、狼瘡、慢性関節リューマチ、喘息、急性若年発症性糖尿病、エイズ痴呆、アテローム性動脈硬化症、腎炎、網膜炎、アトピー性皮膚炎、乾癬、心筋虚血及び急性白血球媒介肺傷害が含まれるが、これらに限定されない。
【0028】
本発明の抗体及びその他の治療薬の治療上の使用の更に別の適応には、臓器又は移植片の拒絶の危険性がある個体への投与が含まれる。近年、組織及び臓器、例えば皮膚、腎臓、肝臓、心臓、肺、膵臓及び骨髄を移植する外科的技法の効率が大きく向上している。おそらくは、移植された同種移植片又は臓器に対するレシピエントの免疫寛容を誘導する満足できる薬剤が存在しないことが、主な未解決の問題となっている。同種移植片の細胞又は臓器を宿主に移植する(即ち、供与者及び被供与者が同じ種の異なる個体である)場合、宿主の免疫系は、移植片における外来性抗原への免疫応答を上昇させ(宿主対移植片疾患)、移植された組織の破壊をもたらす可能性がある。
【0029】
別の態様において、本発明は、個体が癌を有しているかどうかを診断する方法であって、個体に由来する選択された細胞においてKID31の発現があるかどうかを測定することからなり、前記細胞におけるKID31の発現が前記癌を示すものとなる方法である。一部の実施形態において、KID31の発現は、抗KID31抗体を使用して測定される。一部の実施形態において、この方法は、細胞からのKID31の発現量を検出することを伴う。本明細書で使用される「検出」という用語には、対照の比較参照を伴うかにかかわらず、定性的及び/又は定量的な検出(量測定)が含まれる。
【0030】
更に別の態様において、本発明は、個体由来の細胞における、又は細胞から放出されたKID31を検出することによって個体の癌を診断する方法であり、ここで、癌は、副腎腫瘍、エイズ関連癌、胞状軟部肉腫、星状細胞腫、膀胱癌(扁平上皮癌及び移行上皮癌)、骨癌(アダマンチノーム、動脈瘤性骨嚢胞、骨軟骨腫、骨肉腫)、脳及び脊髄の癌、転移性脳腫瘍、乳癌、頸動脈小体腫瘍、子宮頸癌、軟骨肉腫、脊索腫、色素嫌性腎細胞癌、明細胞癌、結腸癌、結腸直腸癌、皮膚良性線維性組織球腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、上衣細胞腫、ユーイング腫、骨外性粘液様軟骨肉腫、線維形成性不完全骨(fibrogenesis imperfecta ossium)、骨の線維性形成異常、胆嚢及び胆管の癌、妊娠性栄養膜疾患、生殖細胞腫瘍、頭部及び頚部の癌、島細胞肉腫、カポジ肉腫、腎臓癌(腎芽細胞腫、乳頭状腎細胞)、白血病、脂肪腫/良性脂肪腫様腫瘍、脂肪肉腫/悪性脂肪腫様腫瘍、肝癌(胚芽細胞腫、肝細胞癌)、リンパ腫、肺癌、髄芽細胞腫、黒色腫、髄膜腫、多発性内分泌線腺腫、多発性骨髄腫、脊髄形成異常症候群、神経芽腫、神経内分泌腫瘍、卵巣癌、膵臓癌、乳頭状甲状腺癌腫、甲状腺腫瘍、小児癌、末梢神経鞘癌、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、前立腺癌、後ブドウ膜黒色腫、希少な血液学的障害、腎転移癌、杆状腫瘍、横紋筋肉腫、肉腫、皮膚癌、軟組織肉腫、扁平上皮細胞癌、胃癌、滑膜肉腫、精巣癌、胸腺癌、胸腺腫、甲状腺転移癌及び子宮癌(頸癌、内膜癌及び平滑筋腫)を含むがこれらに限定されない群から選択される。
【0031】
別の態様において、本発明は、個体における癌(例えば腎臓、卵巣、肺、前立腺、膵臓、結腸及び乳房の癌を含むがこれらに限定されない)の診断を支援する方法であって、個体由来の生物学的試料中のKID31の発現を測定することからなる方法である。一部の実施形態において、KID31の発現は、抗KID31抗体を使用して測定される。一部の実施形態において、この方法は、細胞からのKID31の発現量を検出することである。癌から放出されたKID31は、KID31又はその一部の上昇した量が体液(例えば身体、唾液又は腸の粘膜の分泌物)中で検出可能となることに寄与する場合がある。
【0032】
更に別の態様において、本発明は、癌細胞の成長を低減するのに十分なKID31に結合する抗体の有効量を投与することにより癌を治療する方法である。一部の実施形態において、抗体は抗KID31抗体である。一部の実施形態において、癌細胞は副腎腫瘍、エイズ関連癌、胞状軟部肉腫、星状細胞腫、膀胱癌(扁平上皮癌及び移行上皮癌)、骨癌(アダマンチノーム、動脈瘤性骨嚢胞、骨軟骨腫、骨肉腫)、脳及び脊髄の癌、転移性脳腫瘍、乳癌、頸動脈小体腫瘍、子宮頸癌、軟骨肉腫、脊索腫、色素嫌性腎細胞癌、明細胞癌、結腸癌、結腸直腸癌、皮膚良性線維性組織球腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、上衣細胞腫、ユーイング腫、骨外性粘液様軟骨肉腫、線維形成性不完全骨(fibrogenesis imperfecta ossium)、骨の線維性形成異常、胆嚢及び胆管の癌、妊娠性栄養膜疾患、生殖細胞腫瘍、頭部及び頚部の癌、島細胞肉腫、カポジ肉腫、腎臓癌(腎芽細胞腫、乳頭状腎細胞)、白血病、脂肪腫/良性脂肪腫様腫瘍、脂肪肉腫/悪性脂肪腫様腫瘍、肝癌(胚芽細胞腫、肝細胞癌)、リンパ腫、肺癌、髄芽細胞腫、黒色腫、髄膜腫、多発性内分泌線腺腫、多発性骨髄腫、脊髄形成異常症候群、神経芽腫、神経内分泌腫瘍、卵巣癌、膵臓癌、乳頭状甲状腺癌腫、甲状腺腫瘍、小児癌、末梢神経鞘癌、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、前立腺癌、後ブドウ膜黒色腫、希少な血液学的障害、腎転移癌、杆状腫瘍、横紋筋肉腫、肉腫、皮膚癌、軟組織肉腫、扁平上皮細胞癌、胃癌、滑膜肉腫、精巣癌、胸腺癌、胸腺腫、甲状腺転移癌及び子宮癌(頸癌、内膜癌及び平滑筋腫)を含むがこれらに限定されない群から選択される。特定の好ましい実施形態において、癌細胞は、乳癌、結腸癌、前立腺癌、肺癌、肉腫、腎転移癌、甲状腺転移癌及び明細胞癌を含むがこれらに限定されない固形腫瘍の群から選択される。
【0033】
更に別の態様において、本発明は、癌を有する個体における転移の発生を遅延させる方法であって、KID31に特異的に結合する抗体のファミリーの少なくとも1つの有効量を投与することからなる方法である。一実施形態において、抗体は抗KID31抗体である。別の態様において、本発明は、方法in vitro又は個体内における癌細胞の成長及び/又は増殖を抑制する方法であって、細胞培養物又は試料又は個体に化学療法剤と会合(連結を含む)した抗KID31抗体を含む組成物の有効量を投与することからなる方法である。
【0034】
更に別の態様において、本発明は、KID31に特異的に結合する抗体のファミリーの少なくとも1つのメンバーの有効量を個体に投与することにより個体の癌細胞に治療薬を送達する方法である。別の実施形態において、抗KID31抗体は、別の治療薬と組み合わせて(連結を含む)個体に送達される。
【0035】
一部の実施形態において、抗KID31抗体は、本明細書で命名した抗体から誘導したヒト化抗体(必ずではないが一般的には抗体の部分的又は完全なCDRを1つ以上含む)である。一部の実施形態において、抗KID31抗体は、命名した抗体の特性を1つ以上有するヒト化抗体である。一部の実施形態において、化学療法剤(例えば毒素又は放射性分子)は癌細胞に送達される(内在化する)。一部の実施形態において、薬剤はサポリンである。
【0036】
別の態様において、本発明は、個体における癌を治療する方法であって、個体に化学療法剤と会合(連結を含む)した抗KID31抗体を含む組成物の有効量を投与することからなる方法である。
【0037】
本発明は更に、原形質シグナリング相手とのKID31の会合を、増強又は低減の何れかによりモジュレートする方法を提供する。原形質シグナリング相手とのKID31の会合は、KID31へのシグナリング相手の結合をモジュレートする薬剤に細胞表面に呈示されたKID31分子を接触させることにより影響を与える可能性がある。KID31のその結合及び/又はシグナリング相手との会合をブロック又は低減する薬剤は、KID31媒介の炎症又は免疫応答に関与する生物学的又は病理学的な過程をモジュレートするために使用できる。この作用が関与する病理学的過程には、腫瘍関連細胞成長が含まれる。
【0038】
薬剤は、結合パートナー、例えば抗KID31受容体抗体とのKID31の会合をブロック、低減、増強又は他の態様でモジュレートするその能力について試験することができる。詳細には、結合パートナー及び被験薬剤と共にKID31相互作用部位を含むペプチドを(一般的には完全な生細胞に存在するネイティブなコンホーメーションとして)インキュベートし、KID31ペプチドへの結合パートナーの結合を被験薬剤が低減又は増強するかどうか測定することにより、このような相互作用をモジュレートする能力について薬剤を試験することができる。
【0039】
KID31機能のアゴニスト、拮抗剤及びその他のモジュレーターは、本発明の適用範囲に明示的に含まれる。これらのアゴニスト、拮抗剤及びモジュレーターは、KID31に1つ以上の抗原決定部位を含むか、このような部位のフラグメント、このような部位の変異体、又はこのような部位のペプチドミメティックの1つ以上を含むポリペプチドである。これらのアゴニスト、拮抗剤及及びKID31調節化合物は、線形又は環化された形態で提供され、場合により一般的には天然でない少なくとも1つのアミノ酸残基、又は少なくとも1つのアミド同配体を含む。これらの化合物はグリコシル化される場合がある。本発明のKID31機能のアゴニスト、拮抗剤及びその他のモジュレーターは、望ましくは抗体の参考として上で説明した全ての実施形態及び方法において使用される。
【0040】
本発明のその他の態様は、本明細書において同定されKID31と称される新規の抗原に関する。この抗原は、免疫原としての使用に、及び種々の研究、診断及び治療の目的に好適である。
【0041】
特定の態様において、本発明は、(i)個体から得た血液又は組織の試料中のKID31の存在を試験する手順;(ii)正常(非疾患)血液又は組織の試料と比べて増量したKID31マーカーを前記試料が有するかどうか検出する手順;及び(iii)疾患に関して、増量した前記マーカーを陽性診断に相関させるか、又は増量した前記マーカーの非存在を陰性診断に相関させる手順からなる、個体における疾患の診断を支援する方法である。特定の実施形態において、マーカーは抗KID31抗体を使用して検出される。特定の実施形態において、この方法は、放射性核種画像化、フローサイトメトリー及び免疫組織化学よりなる群から選択される技法により行われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
(発明の詳細な説明)
本発明は、例えば肺、腎臓、膵臓、卵巣及び結腸癌を含むがこれらに限定されない種々の組織型の癌性細胞に発現される、本明細書においてKID31と称する既知の抗原、カルボキシペプチダーゼMを提供する。更に、本発明は、KID31に結合するモノクローナル抗体及びポリペプチド、並びにKID31の発現及び/又は過剰発現に関連する種々の疾患及びヒトの癌を診断及び治療するためにこれらの抗体及びポリペプチドを作製及び使用する方法を提供する。
【0043】
(I.一般的技法)
本発明の実施では、特段の指示がない限り、当該技術分野に含まれる分子生物学(組み換え技法を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学及び免疫学の従来の技法を使用する。このような技法は、文献、例えば、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, second edition (Sambrookら、1989) Cold Spring Harbor Press;Oligonucleotide Synthesis (M. J. Gait, ed., 1984);Methods in Molecular Biology, Humana Press;Cell Biology: A Laboratory Notebook (J. E. Cellies, ed., 1998) Academic Press;Animal Cell Culture (R. I. Freshney, ed., 1987);Introduction to Cell and Tissue Culture (J. P. Mather and P. E. Roberts, 1998) Plenum Press;Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures (A. Doyle, J. B. Griffiths, and D, G. Newell, eds., 1993−8) J. Wiley and Sons;Methods in Enzymology (Academic Press, Inc.);Handbook of Experimental Immunology (D. M. Weir and C. C. Blackwell, eds.);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells (J. M. Miller and M. P. Calos, eds., 1987);Current Protocols in Molecular Biology (F. M. Ausubelら、eds., 1987);PCR: The Polymerase Chain Reaction, (Mullisら、eds., 1994);Current Protocols in Immunology (J. E. Coliganら、1991);Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons, 1999);Immunobiology (C. A. Janeway and P. Travers, 1997);Antibodies (P. Finch, 1997) Antibodies: a practical approach (D. Catty., ed., IRL Press, 1988−1989) Monoclonal antibodies: a practical approach (P. Shepherd and C. Dean, eds., Oxford University Press, 2000);Using antibodies: a laboratory manual (E. Harlow and D. Lane (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1999);The Antibodies (M. Zanetti and J. D. Capra, eds., Harwood Academic Publishers, 1995);及びCancer: Principles and Practice of Oncology (V. T. DeVitaら、eds., J. B. Lippincott Companry, 1993)において詳細に説明されている。
【0044】
(II.定義)
「KID31」とは、本発明の抗体が指向する相手となる約60kDa〜80kDaの分子量を有するポリペプチド抗原、カルボキシペプチダーゼMを指す。KID31は抗KID31抗体により結合され、皮膚及び膵管及び数種の型の癌に存在する細胞表面タンパク質である。この抗原は、複数の異なるエピトープを有する場合がある。現在、KID31は特定の癌細胞中において、その正常組織相応物よりも過剰に発現される場合があると考えられている。
【0045】
機能のアゴニスト、拮抗剤及びその他のモジュレーターは、本発明の適用範囲に明示的に含まれる。これらのアゴニスト、拮抗剤及びモジュレーターは、KID31に1つ以上の抗原決定部位を含むか、このような部位のフラグメント、このような部位の変異体、又はこのような部位のペプチドミメティックの1つ以上を含むポリペプチドである。これらのアゴニスト、拮抗剤及びKID31調節化合物は、線状又は環化された形態で提供され、場合により一般的には天然でない少なくとも1つのアミノ酸残基、又は少なくとも1つのアミド同配体を含む。これらの化合物はグリコシル化される場合がある。
【0046】
より詳細には、本明細書で使用される「KID31モジュレーター」という用語は、(1)ヒトKID31とそのネイティブリガンド又は抗KID31抗体の間の相互作用を破壊又はブロックすることができ;(2)ヒトKID31及びそのネイティブのリガンド又は抗KID31抗体に結合することができ;(3)ヒトKID31及びそのネイティブのリガンド又は抗KID31抗体に結合することができる抗体を生じさせることに使用できる抗原部位を含有し;(4)ヒトKID31及びそのネイティブのリガンド又は抗KID31抗体に結合することができる抗体のスクリーニングに使用できる抗原部位を含有し;(5)ヒトKID31とそのネイティブのリガンド又は抗KID31抗体の間の相互作用を破壊又はブロックすることができる抗体を生じさせることに使用できる抗原部位を含有し;(6)ヒトKID31とそのネイティブのリガンド又は抗KID31抗体の間の相互作用を破壊又はブロックすることができる抗体のスクリーニングに使用できる抗原部位を含有する、何れかの化合物として定義される。KID31モジュレーターは、その活性が正常なKID31の生物学的活性を増強するか抑制するかに応じて、それぞれ「KID31アゴニスト」である場合もあれば、「KID31拮抗剤」である場合もある。
【0047】
KID31のアゴニスト、拮抗剤及びモジュレーターには、KID31の変異体、KID31のペプチド拮抗剤、ペプチドミメティック及び小分子、抗KID31抗体及び免疫グロブリン変異体、ヒトKID31のアミノ酸変異体(例えばアミノ酸置換、欠失及び付加変異体)、又はこれらの何れかの組み合わせ及びキメラ免疫グロブリンが含まれる。本発明のKID31アゴニスト、拮抗剤及びモジュレーターは、ヒトKID31のそのネイティブリガンド又は抗KID31抗体への結合に関与するKID31ドメインを本発明者等が同定したことに基づいている。即ち、本発明は、ヒトKID31の抗KID31結合ドメインの1つ以上を複製又は模倣する分子構造を有するKID31のアゴニスト、拮抗剤及びモジュレーターを提供する。
【0048】
本明細書で使用される「KID31変異体」とは、アミノ酸置換、欠失及び付加の変異体又はその何れかの組み合わせを含むヒトKID31の何れかのアミノ酸変異体を指す。この定義は、キメラ分子、例えばヒトKID31/非ヒトキメラ及びその他のハイブリッド分子を包含する。更にこの定義には、分子の変異体又はハイブリッドの領域を含むKID31変異体分子の何れかのフラグメントも含まれる。
【0049】
「抗体」とは、免疫グロブリン分子の可変領域に位置する抗原認識部位の少なくとも1つを介して標的、例えば炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチド等に特異的に結合することができる免疫グロブリン分子である。本明細書で使用されるこの用語は、未損傷のポリクローナル又はモノクローナル抗体のみならず、そのフラグメント(例えばFab、Fab’、F(ab’)、Fv)、1本鎖(ScFv)、その突然変異体、天然の変異体、必要な特異性の抗原認識部位を有する抗体タンパク質を含む融合タンパク質、ヒト化抗体、キメラ抗体、及び必要な特異性の抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子のその他何れかの修飾された配置も包含する。
【0050】
「モノクローナル抗体」とは、モノクローナル抗体が抗原の選択的結合に関与する(天然の及び非天然の)アミノ酸よりなる場合の均質な抗体集団を指す。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一の抗原部位に対して指向している。「モノクローナル抗体」という用語は、未損傷のモノクローナル抗体及び完全長のモノクローナル抗体のみならず、そのフラグメント(例えばFab、Fab’、F(ab’)、Fv)、1本鎖(ScFv)、その突然変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、ヒト化モノクローナル抗体、キメラモノクローナル抗体、及び必要な特異性及び抗原に結合する能力の抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子のその他何れかの修飾された配置も包含する。抗体の原料又はそれを作製する態様(例えばハイブリドーマ、ファージ選択、組み換え体発現、トランスジェニック動物等)にリガンドとして限定する意図はない。この用語には、「抗体」の定義に関して上で説明した全体としての免疫グロブリン並びにフラグメント等が含まれる。
【0051】
「ヒト化」抗体とは、非ヒト種の免疫グロブリンから誘導した抗原結合部位、及びヒト免疫グロブリンの構造及び/又は配列に基づく分子の残余免疫グロブリン構造を有する、組み換え技法により一般的に調製されるキメラ分子を指す。抗原結合部位は、定常領域に融合した完全な可変ドメイン又は可変ドメインの適切なフレームワーク内にグラフトした相補性決定領域(CDR)のみの何れかを含む場合がある。抗原結合部位は、野生型である場合もあれば、1つ以上のアミノ酸置換で修飾される場合もある。これによりヒト個体内の免疫原としての定常領域が排除されるが、外来の可変領域に対する免疫応答の可能性は残存する(LoBuglio, A. F.ら、(1989) Proc Natl Acad Sci USA 86: 4220−4224)。別の手法では、ヒト誘導定常領域を提供することのみならず、ヒトの型に可能な限り近似してそれらを再成形(reshape)できるように可変領域を修飾することにも着目している。重鎖及び軽鎖の両方の可変領域は、所定の種において比較的保存されており、相補性決定領域(CDR)のスカホールドを与えると推定される4つのフレームワーク領域(FR)でフランキングされた、目的の抗原に応答して変動し、結合能力を決定する3つのCDRを含有することが知られている。特定の抗原に関して非ヒト抗体を調製する場合、可変領域は、修飾するヒト抗体に存在するFR上の非ヒト抗体から誘導されるCDRをグラフトすることにより、「再成形」又は「ヒト化」することができる。種々の抗体へのこの手法の適用については、Sato, K.ら、(1993) Cancer Res 53: 851−856;Riechmann, L.ら、(1988) Nature 332: 323−327;Verhoeyen, M.ら、(1988) Science 239: 1534−1536;Kettleborough, C. A.ら、(1991) Protein Engineering 4: 773−3783;Maeda H.ら、(1991) Human Antibodies Hybridoma 2: 124−134;Gorman, S. D.ら、(1991) Proc Natl Acad Sci USA 88: 4181−4185;Tempest, P. R.ら、(1991) Bio/Technology 9: 266−271;Co, M. S.ら、(1991) Proc Natl Acad Sci USA 88: 2869−2873;Carter, P.ら、(1992) Proc Natl Acad Sci USA 89: 4285−4289;及びCo, M. S.ら、(1992) J Immunol 148: 1149−1154において報告されている。一部の実施形態において、ヒト化抗体は全てのCDR配列(例えばマウス抗体由来の6個全てのCDRを含有するヒト化マウス抗体)を保持している。他の実施形態において、ヒト化抗体は、元の抗体由来の1つ以上のCDR「から誘導された」1つ以上のCDRとも称される、元の抗体に関して改変されているCDRを1つ以上(1、2、3、4、5、6個)有する。
【0052】
抗体又はポリペプチドに「特異的に結合」又は「優先的に結合」(本明細書で交換可能に使用される)するエピトープは、当該技術分野で十分理解されている用語であり、このような特異的又は優先的な結合を測定する方法も、当該技術分野でよく知られている。分子は、それが特定の細胞又は物質に対して、別の細胞又は物質に対するよりも、より頻繁に、より急速に、より長い時間にわたり及び/又はより大きな親和性で反応又は会合する場合に「特異的結合」又は「優先的結合」を示すとされる。抗体は、それが標的に対し、他の物質に対するよりも、より大きな親和性、結合力で、より容易に、及び/又はより長い時間にわたり結合する場合に「特異的に結合」又は「優先的に結合」する。例えば、KID31エピトープに特異的又は優先的に結合する抗体は、そのKID31エピトープへの結合が、他のKID31エピトープ又は非KID31エピトープへの結合よりも、より大きな親和性、結合力で、より容易に、及び/又はより長い時間にわたり行われる抗体である。更にこの定義の解釈では、例えば、第1の標的に特異的又は優先的に結合する抗体(又は部分又はエピトープ)は、第2の標的に特異的又は優先的に結合する場合もあれば、結合しない場合もあることが理解される。即ち、「特異的結合」又は「優先的結合」は、排他的結合を(包含するが)必ずしも必要としない。一般的に、必ずではないが、結合の言及は優先的結合を意味する。
【0053】
エピトープの存在に言及する場合の「免疫学的活性を有する」又は「免疫学的活性を維持する」という用語は、異なる条件下における、例えばエピトープが還元又は変性の条件に付された後の、エピトープに結合する抗体(例えば抗KID31抗体)の能力を指す。
【0054】
抗KID31抗体は種々の生物学的機能に関わっており、例えばKID31(例えば、肺癌、腎臓癌、膵臓癌、卵巣癌、及び結腸癌の細胞を含むがこれらに限定されない癌細胞におけるKID31)に結合する能力;in vitro又はin vivoで生存細胞の表面に曝露されたKID31の部分に結合する能力;KID31を発現している癌細胞(例えば、肺癌、腎臓癌、膵臓癌、卵巣癌、及び結腸癌の細胞)に化学療法剤を送達する能力;KID31を発現している癌細胞内に治療薬又は検出可能なマーカーを送達する能力が含まれるが、これらに限定されない。本明細書で考察される本発明のポリペプチド(抗体を含む)は、これらの特徴の何れか1つ以上を有する場合がある。
【0055】
「抗KID31等価抗体」又は「抗KID31等価ポリペプチド」とは、例えば結合特異性のような抗KID31抗体が関わっている生物学的機能を1つ以上有する抗体又はポリペプチドを指す。
【0056】
本明細書で使用される「薬剤」とは、生物学的、薬学的又は化学的化合物を指す。具体例には、単物質又は複合体の有機又は無機の分子、ペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチド、抗体、抗体誘導体、抗体フラグメント、ビタミン誘導体、炭水化物、毒素又は化学療法化合物が含まれるが、これらに限定されない。種々の化合物、例えば小分子及びオリゴマー(例えばオリゴペプチド及びオリゴヌクレオチド)及び種々のコア構造に基づく合成有機化合物を合成することができる。加えて、種々の天然の原料、例えば植物性又は動物性の抽出物等がスクリーニングのための化合物を提供することができる。本発明の薬剤の構造的性質については制約がないことは、当業者は容易に認識することができる。
【0057】
本発明の方法において使用される薬剤は、無作為に選択するか、又は合理的に選択若しくは設計することができる。本明細書で使用される薬剤とは、KID31のそのネイティブの結合パートナー又は既知の抗体との会合に関与する特定の配列を考慮することなく薬剤が無作為に選択される場合に、無作為に選択されると称する。無作為に選択される薬剤の例には、化学ライブラリ又はペプチドコンビナトリアルライブラリの使用がある。
【0058】
本明細書で使用される薬剤とは、薬剤の作用との関連において標的部位の配列及び/又はそのコンホーメーションを考慮する非無作為を基本に薬剤が選択される場合に、合理的に選択又は設計されると称する。抗KID31薬剤に関して、現時点では、抗体を培養する対象となるKID31には少なくとも3つのエピトープが存在し、従ってKID31と抗KID31の相互作用をブロックする薬剤の作用部位が少なくとも3つ存在すると考えられている。本発明は又、KID31とそのネイティブの結合パートナーの間の相互作用の部位において作用する薬剤も包含するが、他のリガンド及びその活性KID31相互作用部位も又、現時点で既知であるか後に同定されるかにかかわらず、本発明の適用範囲に包含されるものとする。薬剤は、受容体/リガンド及び/又はKID31/抗KID31抗体の複合体の接触部位を構成するペプチド配列を利用することにより、合理的に選択されるか合理的に設計することができる。例えば、合理的に選択されたペプチド薬剤は、そのアミノ酸配列が、ネイティブの環境において生存細胞の表面に曝露されている状態でKID31に発現しているエピトープと同一であるペプチドであってもよい。このような薬剤は、抗KID31抗体又はネイティブのリガンドへの結合により、所望に応じて、KID31との抗KID31抗体の会合、又はKID31のそのネイティブのリガンドとの会合を低減又はブロックする。
【0059】
本明細書で使用される、抗体に関する「標識された」という用語は、検出可能な物質、例えば放射性物質又は蛍光団(例えばフルオレセインイソチオシアネート(FITC)又はフィコエリスリン(PE))を抗体にカップリング(即ち物理的に連結)することによる抗体の直接の標識、並びに検出可能な物質との反応性によるプローブ又は抗体の間接的な標識を包含するものとして意図される。
【0060】
本明細書で使用される、抗体に関する「会合」という用語には、薬剤(例えば化学療法剤)への共有結合による及び非共有結合による連結又は結合が含まれる。抗体が結合し、その内部では薬剤は抗体が結合するものと同じ癌細胞にターゲティングされないか、又は薬剤の力価が低減しないように生理学的条件下において抗体及び薬剤が実質的に解離しない、癌細胞への薬剤の局在化を抗体が指向できるように、抗体は直接又は共通のプラットホームへの連結を介して間接的に薬剤(例えば化学療法剤)と会合することができる。
【0061】
「生物学的試料」は、個体から得た種々の試料の型を包含し、診断又はモニタリングの試験において使用できる。この定義に包含されるものとしては、唾液、血液及びその他の生体起源の液体試料、固体組織試料、例えば生検標本又は組織培養物又はそれらから誘導される細胞、及びそれらの子孫、例えば癌を有していることが疑われる個体から採取した組織試料から、好ましい実施形態においては卵巣、肺、前立腺、膵臓、結腸及び乳房の組織から得た細胞がある。この定義には又、取得後に何れかの方法において、例えば試薬による処理、可溶化、タンパク質又はポリヌクレオチドのような特定の成分のリッチ化、又は切片化目的のための半固体又は固体のマトリックス内への包埋により操作された試料も含まれる。「生物学的試料」という用語は、臨床試料を包含し、更に培養中の細胞、細胞上澄み、細胞溶解物、血清、血漿、生体液及び組織試料も含む。
【0062】
「宿主細胞」には、ポリヌクレオチドインサートの取り込みのためのベクターのレシピエントであってもよく、又はレシピエントとなっている個々の細胞又は細胞培養物が含まれる。宿主細胞には、単一の宿主細胞の子孫が含まれ、子孫は天然、偶発又は意図的な突然変異により元の親細胞と必ずしも完全に同一(形態学的又はゲノムDNA補体において)ではない場合もある。宿主細胞には、本発明のポリヌクレオチドでin vivoにおいてトランスフェクトされた細胞が含まれる。
【0063】
本明細書において「転移の発生を遅滞させる」とは、転移の発生を変化、遮蔽、緩徐化、遅延、安定化、及び/又は延期させることを意味する。この遅滞は、癌の病歴及び/又は治療する個体に応じて、種々の長さの時間であってよい。当業者のよく知る通り、十分又は有意な遅滞は、事実上、個体が転移を発症しないという点において予防を包含してもよい。
【0064】
一実施形態において、医薬組成物の「有効量」とは、有益又は所望の結果、例えば腫瘍(癌に関しては、例えば乳癌又は前立腺癌)の大きさの縮小、癌細胞の成長の遅延、転移の発生の遅滞、疾患に起因する症状の低減、疾患に罹患した者のクオリティオブライフの向上、疾患を治療するために必要な他の医薬の用量の低減、ターゲティング及び/又は内在化等による別の医薬の作用の増強、疾患の進行の遅滞、及び/又は個体の生存の延長等を起こすのに十分な量である。有効量は1回以上の投与において投与することができる。本発明において、薬剤、化合物又は医薬組成物の有効量は、直接又は間接的に、癌細胞の増殖を低減する(又は破壊する)のに、及び癌細胞の転移の発生又は成長を低減及び/又は遅滞させるのに十分な量である。一部の実施形態において、薬剤、化合物又は医薬組成物の有効量は、別の薬剤、化合物又は医薬組成物と組み合わせて達成される場合もあれば、達成されない場合もある。即ち、「有効量」は、1つ以上の化学療法剤を投与するという意味において考えられる場合があり、単一の薬剤は、1つ以上の他の薬剤と組み合わせた場合に所望の結果が達成されるかその可能性がある場合に有効量にて与えられると考えられる場合がある。個体の要求は変動するものの、各成分の有効量の最適範囲の決定は、当業者のよく知る通りである。一般的な用量は、0.1〜100mg/kg体重を含む。好ましい用量は、1〜100mg/kg体重を含む。最も好ましい用量は、10〜100mg/kg体重を含む。
【0065】
本明細書で使用される核酸分子又は薬剤、抗体、組成物又は細胞等は、その核酸分子、薬剤、抗体、組成物又は細胞等がその起源原料に由来する夾雑する核酸分子、抗体、薬剤、組成物又は細胞等から実質的に分離されている場合に「単離された」と称する。
【0066】
「個体」は脊椎動物、好ましくは哺乳類、より好ましくはヒトである。哺乳類には、牧場動物、競技用動物、ペット、霊長類、マウス及びラットが含まれるが、これらに限定されない。
【0067】
「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」という用語は、何れかの長さのアミノ酸のポリマーを指すものとして本明細書で交換可能に使用される。ポリマーは直鎖又は分枝鎖である場合もあれば、修飾されたアミノ酸を含む場合もあり、非アミノ酸が介在する場合もある。これらの用語は更に、天然に又は介入により、例えばジスルフィド結合の形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、ホスホリル化により、又は標識化合物とのコンジュゲート形成のようなその他何れかの操作又は修飾により、修飾されているアミノ酸ポリマーを包含する。この定義に含まれるものとしては更に、例えば、アミノ酸の1つ以上の類縁体(例えば非天然のアミノ酸等)並びに当該技術分野で既知のその他の修飾を含有するポリペプチドがある。本発明のポリペプチドは抗体を基にしているため、ポリペプチドは1本鎖又は会合した鎖として存在できると理解される。
【0068】
本発明の適用範囲に包含されるものとしては更に、本明細書に記載したKID31ペプチドアゴニスト、拮抗剤及びモジュレーター(抗KID31抗体を含む)のペプチドミメティックもある。このようなペプチドミメティックには、少なくとも1つのアミノ酸残基が一般的には天然でないアミノ酸残基、例えばアミノ酸のD異性体又はアミノ酸のNアルキル化物質種で置換されているペプチドが含まれる。他の実施形態において、ペプチドミメティックは、アミド同配体でKID31ペプチドアゴニスト、拮抗剤又はモジュレーター中の少なくとも1つのアミド結合(−C(=O)−NH−)を置き換えることにより構築される。好適なアミド同配体には、−CH−NH−、−CH−S−、−CH−S(O)−(n=1又は2)、−CH−CH−、−CH=CH−(E又はZ)、−C(=O)−CH−、−CH(CN)−NH−、−C(OH)−CH−及び−O−C(=O)−NH−が含まれる。アミド同配体との置き換えのための好適な候補であるKID31ペプチドアゴニスト、拮抗剤又はモジュレーターにおけるアミド結合には、KID31ペプチドアゴニスト、拮抗剤又はモジュレーターの治療を意図する対象の内因性のエステラーゼ又はプロテアーゼにより加水分解される結合が含まれる。
【0069】
本明細書で使用される「実質的に純粋」とは、少なくとも50%純粋(即ち夾雑物を含有しない)、より好ましくは少なくとも90%純粋、より好ましくは少なくとも95%純粋、より好ましくは少なくとも98%純粋、より好ましくは少なくとも99%純粋、又はそれよりも高純度の物質を指す。
【0070】
「毒素」とは、細胞内部において有害応答を起こす何れかの物質を指す。例えば、癌細胞に指向された毒素は、癌細胞に対して有害な、場合により害毒となる作用を有すると思われる。毒素の例には、放射性同位体、カリシアマイシン及びメイタンシノイド類が含まれるが、これらに限定されない。
【0071】
本明細書で使用される「治療」又は「治療する」とは、有益又は所望の結果、例えば好ましくは臨床結果を得るための手法である。本発明において、有益又は所望の臨床結果には、例えば、癌細胞の増殖の低減(又は破壊)、癌に存在する癌細胞の転移の低減、腫瘍の大きさの縮小、疾患に起因する症状の低減、疾患に罹患した者のクオリティオブライフの向上、疾患の治療に必要なその他の医薬の用量の低減、疾患の進行の遅滞、及び/又は個体の生存の延長の1つ以上が含まれるが、これらに限定されない。
【0072】
(III.抗体及びポリペプチドの作製方法)
モノクローナル抗体の作製方法は、当該技術分野で知られている。使用される場合がある1つの方法には、Kohler and Milstein, Nature 256: 495−497 (1975)の方法又はその変法がある。一般的に、モノクローナル抗体は、非ヒト種、例えばマウスにおいて発現される。一般的に、マウス又はラットが免疫化に使用されるが、その他の動物も使用される場合がある。抗体は、ヒトKID31を含有する細胞、細胞抽出物又はタンパク質調製物の免疫原性量でマウスを免疫化することにより産生される。免疫原は、一次細胞、培養細胞系統、癌細胞、核酸又は組織であってもよいが、これらに限定されない。一実施形態においては、ヒト胎児腎上皮細胞が使用される。別の実施形態においては、ヒト膀胱又は膵臓の先祖細胞が使用される。ヒト胎児腎臓細胞を単離し培養する方法は、実施例1で詳細に記述する。免疫化に使用される細胞、例えばヒト胎児腎臓、膀胱細胞又はヒト膵臓先祖細胞は、免疫原として使用する前の一定時間(少なくとも24時間)にわたり培養される場合がある。細胞(例えばヒト胎児腎臓、膀胱細胞又はヒト膵臓先祖細胞)はそれ自体として、又は非変性アジュバント、例えばRibiと組み合わせて免疫原として使用される場合がある。一般的に、細胞は、免疫原として使用する際には損傷のまま、好ましくは生存状態で保持する必要がある。未損傷の細胞は、破壊された細胞よりも良好に、抗原が免疫化動物により検出できるようになる場合がある。変性又は過酷処理用のアジュバント、例えばフロイントのアジュバントを使用すると、ヒト胎児腎臓又はその他の細胞を破壊する場合があり、従って推奨されない。免疫原は複数回、周期的間隔において、例えば週2回、週1回投与される場合もあれば、動物における(例えば組織組み換え体における)生存性を維持するような態様で投与される場合もある。実施例2は、抗KID31抗体を生成するために使用される方法を説明しており、KID31に結合するその他のモノクローナル抗体を生成するために使用される場合がある。
【0073】
一実施形態において、KID31に結合するモノクローナル抗体は、免疫原としてKID31を過剰発現する宿主細胞を使用することにより得る。このような細胞には、例えばヒト胎児腎細胞及びヒト結腸癌細胞が含まれるが、これらに限定されない。
【0074】
抗体の応答をモニタリングするには、少量の生物学的試料(例えば血液)を動物から採取し、免疫原に対する抗体力価を試験する場合がある。脾臓及び/又は数種の大型のリンパ節を摘出し、解離させて単細胞とすることもできる。所望により、脾細胞は、細胞懸濁液を抗原でコーティングしたプレート又はウェルに適用することにより、(非特異的付着細胞の除去後に)スクリーニングされる場合がある。抗原に特異的なB細胞発現膜結合免疫グロブリンは、プレートに結合し、懸濁液の残余と共に洗浄除去されることはない。得られるB細胞又は解離した脾細胞は次に、ミエローマ細胞(例えばX64−Ag8.653及びCell Distribution CenterのSalk Institute[米国カリフォルニア州サンディエゴ]より入手できるもの)と融合させることができる。ポリエチレングリコール(PEG)を使用して、脾細胞又はリンパ球をミエローマ細胞と融合させることにより、ハイブリドーマを形成する場合もある。次にハイブリドーマは選択培地(例えば、「HAT培地」としても知られる、ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン培地)中で培養される。得られたハイブリドーマは、次に限界希釈によりプレーティングされ、FACS又は免疫組織化学(IHCスクリーニング)を使用して免疫原(例えばヒト胎児腎細胞表面、癌細胞系統表面、Ag−KID31、胎児膀胱切片等)に特異的に結合する抗体の産生について試験される。選択されたモノクローナル抗体分泌ハイブリドーマは、次にin vitro(例えば組織培養ビン又は中空糸反応器)又はin vivo(例えばマウス腹水)で培養される。実施例2及び3は、抗KID31抗体を得て、精製し、スクリーニングするために利用される方法に関する更に詳細な説明を提供する。
【0075】
細胞融合の技法の別の代替法として、EBV不朽化B細胞を使用して、本発明のモノクローナル抗体を産生する場合がある。ハイブリドーマは増殖され、所望によりサブクローニングされた上で、上澄みが従来の試験法(例えばFACS、IHC、ラジオイムノアッセイ、酵素免疫試験、蛍光免疫試験等)により抗免疫原活性に関して試験される。
【0076】
別の代替法においては、モノクローナル抗体抗KID31及びその他何れかの等価な抗体を配列決定し、当該技術分野で知られる何れかの手段(例えばヒト化、トランスジェニックマウスを使用した完全ヒト抗体の産生、ファージディスプレイ技術等)によって組み換えにより産生することができる。一実施形態において、抗KID31モノクローナル抗体を配列決定し、次にポリヌクレオチド配列を発現又は増殖用のベクター内にクローニングする。目的の抗体をコーティングする配列が宿主細胞内のベクター中に維持される場合があり、その後宿主細胞を将来の使用のために増殖させ、凍結させることができる。
【0077】
モノクローナル抗体KID31及びその他何れかの等価な抗体のポリヌクレオチド配列を遺伝子操作に使用することにより、「ヒト化」抗体を生成したり、親和性又は他の抗体の特徴を向上させる場合がある。抗体のヒト化における一般的な原理は抗体の抗原結合部分の基本配列を保持しつつ、ヒト抗体配列との抗体の非ヒト残余部の交換を行うことを包含する。モノクローナル抗体をヒト化するためには4つの一般的手順が存在する。これらは、(1)開始抗体軽鎖及び重鎖可変ドメインのヌクレオチド及び予測アミノ酸配列を決定する手順、(2)ヒト化抗体を設計する手順、即ちヒト化過程においてどの抗体フレームワーク領域を使用すべきか決定する手順、(3)実際のヒト化方法/技法、及び(4)ヒト化抗体のトランスフェクション及び発現である。例えば、米国特許第4,816,567号;第5,807,715号;第5,866,692号及び第6,331,415号を参照されたい。
【0078】
非ヒト免疫グロブリンから誘導された抗原結合部位を含む幾つかの「ヒト化」抗体分子が報告されており、例えばげっ歯類又は修飾げっ歯類V領域を有するキメラ抗体、及びヒト定常ドメインに融合したその関連の相補性決定領域(CDR)が挙げられる。例えば、Winterら、Nature 349: 293−299 (1991), Lobuglioら、Proc. Nat. Acad. Sci. USA 86: 4220−4224 (1989),Shawら、J. Immunol. 138: 4534−4538 (1987)、及びBrownら、Cancer Res. 47: 3577−3583 (1987)を参照されたい。その他の参考文献では、適切なヒト抗体定常ドメインとの融合の前にヒトサポートフレームワーク領域(FR)にグラフトさせたげっ歯類CDRについて記載している。例えば、Riechmannら、Nature 332: 323−327 (1988);Verhoeyenら、Science 239: 1534−1536 (1988)及びJonesら、Nature 321: 522−525 (1986)を参照されたい。別の参考文献では、組み換え作成されたげっ歯類フレームワーク領域によりサポートされたげっ歯類CDRについて記載している。例えば、欧州特許公開第519,596号を参照されたい。これらの「ヒト化」分子は、ヒトレシピエントにおけるこれらの部分の治療用途の持続時間及び有効性を制限するげっ歯類抗ヒト抗体分子に対する望ましくない免疫学的応答を最小限にするように設計されている。同様に利用される場合がある抗体をヒト化するその他の方法については、Daughertyら、Nucl. Acids Res., 19: 2471−2476 (1991)及び米国特許第6,180,377号;第6,054,297号;第5,997,867号及び第5,866,692号に開示されている。
【0079】
本発明は又、KID31のような本発明の抗体の1本鎖可変領域フラグメント(scFv)を包含する。1本鎖可変領域フラグメントは短い連結ペプチドを使用して軽鎖及び/又は重鎖の可変領域を連結することにより作製する。Birdら、(1988) Science 242: 423−426は1つの可変領域のカルボキシ末端と別の可変領域のアミノ末端の間の約3.5nmを架橋する連結ペプチドの例を記載している。他の配列のリンカーも設計され使用されている(Birdら、(1988))。リンカーも同様に、薬剤の連結又は固体支持体の連結など、付加的機能のために修飾できる。1本鎖変異体は組み換え又は合成により産生することができる。scFvの合成による産生においては、自動合成装置を使用できる。scFvの組み換えによる産生においては、scFvをコーティングするポリヌクレオチドを含有する好適なプラスミドを真核生物、例えばコウボ、植物、昆虫又は哺乳類細胞、又は原核生物、例えばE.coliのような好適な宿主細胞内に導入することができる。目的のscFvをコーティングするポリヌクレオチドはポリヌクレオチドのライゲーションのような日常的な操作により作製できる。得られたscFvは標準的なタンパク質精製技法を使用して単離することができる。
【0080】
本発明には、その特性を大きく損なわない抗体の機能的等価物及びポリペプチドを含めたKID31アゴニスト、拮抗剤、モジュレーター及び抗体の修飾、及び増強又は低減された活性を有する変異体が含まれる。ポリペプチドの修飾は、当該技術分野における日常的な慣行であり、本明細書において詳細に説明する必要はない。修飾されたポリペプチドの例には、アミノ酸残基の保存的な置換、機能的活性を大きく悪変させないアミノ酸の1つ以上の欠失又は付加、又は化学的類縁体の使用を行ったポリペプチドが含まれる。相互に保存的に置換できるアミノ酸残基には例えば、グリシン/アラニン;バリン/イソロイシン/ロイシン;アスパラギン/グルタミン;アスパラギン酸/グルタミン酸;セリン/スレオニン;リジン/アルギニン;及びフェニルアラニン/チロシンが含まれる。これらのポリペプチドには又、グリコシル化及び非グリコシル化されたポリペプチド、並びに異なる糖によるグリコシル化、アセチル化及びホスホリル化のようなその他の翻訳後の修飾を有するポリペプチドが含まれる。好ましくは、アミノ酸の置換は保存的であり、即ち置換されたアミノ酸は元のアミノ酸と同様の化学的特性を有する。このような保存的置換は当該技術分野で知られており、上に例が示されている。アミノ酸の修飾は、1つ以上のアミノ酸の変化又は修飾から可変領域のような領域の完全な再設計に渡ってもよい。可変領域の変化は、結合親和性及び/又は特異性を改変する可能性がある。その他の修飾方法には、当該技術分野で知られるカップリング技法、例えば酵素的手段、酸化的置換及びキレート化の使用が含まれる。修飾はイムノアッセイ用の標識の結合、例えばラジオイムノアッセイ用の放射性部分の結合に使用できる。修飾されたポリペプチドは、当該技術分野で確立された手順を使用して作製し、当該技術分野で知られる標準的な試験を使用してスクリーニングすることができる。
【0081】
本発明は又、本発明のポリペプチド及び抗体のフラグメント又は領域1つ以上を含む融合タンパク質を包含する。一実施形態において、融合ポリペプチドは可変軽鎖領域の少なくとも10連続アミノ酸及び可変重鎖領域の少なくとも10アミノ酸を含むものが提供される。別の実施形態において、融合タンパク質は非相同免疫グロブリン定常領域を含有する。別の実施形態において、融合タンパク質は本明細書に記載したATCCに寄託されたハイブリドーマから産生された抗体の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含有する。本発明において、抗体融合タンパク質は、抗KID31ポリペプチド1つ以上及び、それがネイティブの分子においては結合していない別のアミノ酸配列、例えば別の領域に由来する非相同の配列又は相同の配列を含有する。
【0082】
抗KID31ポリペプチド及び他のKID31アゴニスト、拮抗剤及びモジュレーターは当該技術分野で知られる方法、例えば合成又は組み換えにより生成することができる。KID31アゴニスト、拮抗剤及びモジュレーターを産生する1つの方法では、ポリペプチドの化学合成、次いでネイティブのコンホーメーション、即ち正しいジスルフィド結合を得るために適切な酸化条件下の処理を行う。これは当業者のよく知る方法を使用して達成することができる(Kelley, R. F. & Winkler, M. E., Genetic Engineering Principles and Methods, Setlow, J. K., ed., Plenum Press, N. Y., Vol. 12, pp.1−19 (1990);Stewart, J. M. & Young, J. D., Solid Phase Peptide Synthesis Pierce Chemical Co. Rockford, Ill. (1984)を、更に米国特許第4,105,603号;第3,972,859号;第3,842,067号及び第3,862,925号も参照されたい)。
【0083】
本発明のポリペプチドは固相ペプチド合成法を使用して好都合に調製される場合がある(Merrifield, J. Am. Chem. Soc., 85;2149 (1964);Houghten, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82: 5132 (1985))。
【0084】
更に別の代替例においては、特定のヒト免疫グロブリンタンパク質を発現するように操作されている市販のマウスを使用して完全なヒト抗体を得る場合がある。より望ましい(例えば完全ヒト抗体)又はより頑健な免疫応答を得るために設計されたトランスジェニック動物も又、ヒト化又はヒト抗体の生成に使用される場合がある。このような技術の例には、Abgenix, Inc.(米国カリフォルニア州フリーモント)のXenomouseTM及びMedarex, Inc.(米国ニュージャージー州プリンストン)のHuMAb−Mouse(登録商標)及びTCMouseTMがある。
【0085】
別の例において、抗体は当該技術分野で知られる何れかの方法を使用して組み換えにより作製及び発現される場合がある。宿主動物から作製した抗体をまず単離し、遺伝子配列を獲得し、そして遺伝子配列を使用して宿主細胞(例えばCHO細胞)内で抗体を組み換え発現させることによって、抗体が組み換えにより作製される場合がある。使用される場合がある別の方法は植物(例えばタバコ)又はトランスジェニック乳汁中で抗体配列を発現することである。植物又は乳汁中で組み換えにより抗体を発現させるための方法は開示されている。例えばPeeters,et al.(2001)Vaccine 19:2756;Lonberg,N.and D.Huszar(1995)Int.Rev.Immunol.13:65;及びPollock,et al.(1999)J Imunol Methods 231:147を参照されたい。抗体の誘導体、例えばヒト化1本鎖等を作製するための方法は、当該技術分野で知られている。別の代替例において、抗体はファージディスプレイ技術によって組み換えにより作製される場合がある。例えば米国特許第5,565,332号;第5,580,717号;第5,733,743号;第6,265,150号及びWinterら、Annu. Rev. Immunol. 12: 433−455 (1994)を参照されたい。
【0086】
目的の抗体又はタンパク質は、該技術分野でよく知られるEdman分解による配列決定に付される場合がある。質量スペクトル分析又はEdman分解から得られたペプチドの情報を使用して目的のタンパク質をクローニングするために使用されるプローブ又はプライマーを設計することができる。
【0087】
目的のタンパク質をクローニングする別の方法は目的の抗体又はタンパク質を発現する細胞に対する精製されたKID31又はその部分を使用する「パニング」によるものである。この「パニング」手順は、目的の抗体又はタンパク質を発現する組織又は細胞からcDNAライブラリを得て、第2の細胞型においてcDNAを過剰発現させ、KID31に特異的な結合について第2の細胞型のトランスフェクトされた細胞をスクリーニングすることにより実施される。「パニング」により細胞表面タンパク質をコーディングする哺乳類遺伝子をクローニングする際に使用される方法の詳細な説明は、当該技術分野で報告されている。例えばAruffo, A. and Seed, B. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84, 8573−8577 (1987)及びStephan, J.ら、Endocrinology 140: 5841−5854 (1999)を参照されたい。
【0088】
抗KID31抗体及びその他のKID31ペプチドアゴニスト、拮抗剤及びモジュレーターをコーティングするcDNAは、当該技術分野における標準的な方法に従って特定の細胞型からmRNAを逆転写することにより得ることができる。特にmRNAは、Sambrook, et al.(同上)に記載される手順に従って種々の分解酵素又は化学溶液を使用して単離するか、又は市販の核酸結合樹脂により、製造元(例えばQiagen、Invitrogen、Promega)が提供する添付の説明書に従って抽出することができる。合成されたcDNAは次に発現ベクターに導入して、第2の型の細胞内で目的の抗体又はタンパク質を産生する。発現ベクターはエピソームとして、又は染色体DNAの統合された部分として、宿主細胞内で複製できるものでなければならない。好適な発現ベクターには、プラスミド、ウィルスベクター、例えばアデノウィルス、アデノ関連ウィルス、レトロウィルス及びコスミドが含まれるが、これらに限定されない。
【0089】
目的のポリヌクレオチドを含有するベクターは、エレクトロポレーション;塩化カルシウム、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAEデキストラン又はその他の物質を使用したトランスフェクション;マイクロプロジェクタイルボンバードメント;リポフェクション;及び感染(例えばベクターがワクシニアウィルスのような感染性物質である場合)を含めた幾つかの適切な手段の何れかにより宿主細胞内に導入することができる。ベクター又はポリヌクレオチドの導入の選択は、宿主細胞の特徴により異なる場合が多い。
【0090】
非相同DNAを過剰発現できる何れかの宿主細胞を目的の抗体、ペプチド又はタンパク質をコーティングする遺伝子を単離する目的に使用できる。哺乳類宿主細胞の例には、COS、HeLa及びCHO細胞が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、宿主細胞は、宿主細胞内に相当する内因性の目的抗体又はタンパク質が存在する場合はそれよりも約5倍高値、より好ましくは10倍高値、更に好ましくは20倍高値の水準でcDNAを発現する。KID31への特異的結合に関する宿主細胞のスクリーニングは、イムノアッセイ又はFACSにより行う。目的の抗体又はタンパク質を過剰発現する細胞を同定することができる。
【0091】
親KID31ペプチドアゴニスト、拮抗剤又はモジュレーター分子と比べて、得られたタンパク質のアミノ酸配列の付加、欠失又は変化をコーティングする突然変異体のKID31ペプチドアゴニスト、拮抗剤及びモジュレーターを生成するために現在使用される場合がある種々の技法が存在する。
【0092】
本発明には、本発明の抗体のアミノ酸配列を含むポリペプチドが含まれる。本発明のポリペプチドは、当該技術分野で知られる手順により作製することができる。ポリペプチドは、抗体のタンパク質分解又は他の分解により、上述の組み換え法(即ち単一又は融合のポリペプチド)により、又は化学合成により産生することができる。抗体のポリペプチド、特に約50アミノ酸までのより短いポリペプチドは、化学合成により好都合に作製される。化学合成の方法は当該技術分野で知られており、市販されている。例えば抗KID31ポリペプチドは、固相法を使用した自動ポリペプチド合成装置により産生できるとされる。
【0093】
(IV.ポリペプチド及びモノクローナル抗体のスクリーニングのための方法)
数種の方法を使用してKID31に結合するポリペプチド及びモノクローナル抗体をスクリーニングする場合がある。「結合」とは、生物学的又は免疫学的に該当する結合、即ち免疫グロブリン分子がコーティングされている対象となる、又は、ポリペプチドが指向されている対象となる独特の抗原に対して特異的な結合を指す。非特異的標的に対して極めて高濃度で免疫グロブリンが使用される場合に起こりえる非特異的な結合を指すものではない。一実施形態において、モノクローナル抗体は標準的なスクリーニング技法を使用してKID31に対する結合に関してスクリーニングされる。この態様においては、抗KID31モノクローナル抗体が得られた。ブダペスト条約に従って、抗KID31モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、PTA#6516のPatent Deposit Designationと共に2003年3月20日にAmerican Type Culture Collection (ATCC) 10801 University Blvd., Manassas VA20110−1109に寄託されている。
【0094】
KID31に結合するモノクローナル抗体は癌性の組織及び非癌細胞への結合に関してスクリーニングする。一実施形態において、KID31に結合し、そしてヒトの癌細胞又は組織とも交差反応性を有するが正常な細胞又は組織に対してはそれと同程度の反応性を有さないモノクローナル抗体を選択する。スクリーニングに使用される場合がある1つの方法は免疫組織化学(IHC)である。標準的な免疫組織化学の技法は、平均的な当業者のよく知る通りである。例えばAnimal Cell Culture Methods (J. P. Mather and D. Barnes, eds., Academic Press, Vol. 57, Ch. 18 and 19, pp. 314−350, 1998)を参照されたい。生物学的試料(例えば組織)は生検試料、剖検試料又は検死試料から得る場合がある。KID31が癌性の細胞にのみ存在することを確認するためには、抗KID31抗体を使用して癌保有個体由来の組織上のKID31の存在を検出する場合があり、一方で癌に離間した個体に由来する他の非癌性の組織又は癌を保有しない個体に由来する組織を対照として使用する。組織は凍結の間の損傷を防止する固体又は半固体の物質(例えばアガロースゲル又はOCT)中に包埋し、次に切片化して染色することができる。種々の臓器及び異なる等級の癌をモノクローナル抗体のスクリーニングに使用できる。スクリーニングの目的に使用される場合がある組織の例には、卵巣、乳房、肺、前立腺、結腸、腎臓、皮膚、甲状腺、脳、心臓、肝臓、胃、神経、血管、骨、上部消化管及び膵臓が含まれるが、これらに限定されない。スクリーニングの目的に使用される場合がある種々の癌の型の例には、癌腫、腺癌、肉腫、腺肉腫、リンパ腫及び白血病が含まれる。
【0095】
更に別の代替例においては、癌細胞系統、例えばBT474(ATCC#HTB−20)、MCF7(ATCC#HTB−22)、ES−2(ATCC#CRL−1978)、SKOV3(ATCC#HTB−77)、SKMES−1(ATCC#HTB−58)、CA130(Raven専売の肺腺癌細胞系統)、CaLu3(ATCC#HTB−55)、9926(Raven専売の膵臓腺癌細胞系統)、AsPC−1(ATCC#CRL−1682)、Hs700T(ATCC#HTB−147)、Colo205(ATCC#CCL−222)、HT−29(HTB−38)、Cos7(ATCC#CRL−1651)、RL−65(ATCC#CRL−10345)、A204(ATCC#HTB−82)、G292(ATCC#CRL−1423)、HT1080(ATCC#CCL−121)、MG63(ATCC#CRL−1427)、RD(ATCC#CCL−136)、RD−ES(ATCC#HTB−166)、SKES−1(ATCC#HTB−86)、SKLMS−1(ATCC#HTB−88)、SKUT−1(ATCC#HTB−114)、SW684(ATCC#HTB−91)、SW872(ATCC#HTB−92)、786−O(ATCC#CRL−1932)、A498(ATCC#HTB−44)、CaKi−2(ATCC#HTB−47)、22RV1(ATCC#CRL−2505)、DU145(ATCC#HTB−81)、LNCaP(ATCC#CRL−1740)及びその該当する組織に由来する正常細胞を使用して、癌性組織に特異的なモノクローナル抗体を得るためにスクリーニングする場合がある。種々の臓器の正常組織由来の一次、又は低継代の細胞培養物、例えば腎臓、卵巣、乳房、肺、前立腺、結腸、腎臓、皮膚、甲状腺、大動脈平滑筋及び内皮細胞を陰性対照として使用することができる。癌性又は非癌細胞はスライドガラス又はカバーガラス上で、又は、プラスチック面上で成長させることができ、又は第WO01/43869号に記載の通りCellArrayTM中に調製することができ、そして組織に関して上述の通りIHCを使用して抗体の結合に関してスクリーニングすることができる。或いは、非タンパク質分解的な手段を使用して成長表面から細胞を採取し、遠心分離してペレット化し、次にこれを上述のIHC分析用の組織と同様に包埋して処理する場合がある。細胞は免疫不全動物に接種し、腫瘍を成長させ、次にこの腫瘍を回収し、包埋し、そしてIHC分析用の組織原料として使用される場合がある。別の代替例において、単細胞は一次抗体、蛍光分子に連結した二次「レポーター」抗体と共にインキュベートし、次に蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)機器を使用して分析することによりスクリーニングされる場合がある。
【0096】
数種の検出系を利用して組織切片への抗体の結合を検出される場合がある。一般的に、免疫組織化学では一次抗体の組織への結合を行い、次いで一次抗体由来の物質種に対して反応性を有する二次抗体を生成し、そして検出可能なマーカー(例えばセイヨウワサビペルオキシダーゼ、HRP、又はジアミノベンジジン、DAB)にコンジュゲートした。使用される場合がある1つの代替法はポリクローナル鏡像相補抗体、即ちpolyMICAである。D. C. Mangham and P. G. Isaacson (Histopathology (1999) 35(2): 129−33)に記載したpolyMICA(ポリクローナル鏡像相補抗体)の技法は、一次抗体(例えば抗KID31抗体)の正常及び癌性の組織への結合を試験するために使用できる。数種のpolyMICATM検出キットが、Binding Site Limited(P. O. Box 4073 Birmigham B29 6AT England)より販売されている。製品番号HK004.Dは、DABクロマゲンを使用しているpolyMICATM検出キットである。製品番号HK004.Aは、AECクロマゲンを使用しているpolyMICATM検出キットである。或いは、一次抗体を検出可能なマーカーで直接標識する場合もある。
【0097】
適切な抗体を選択するためのIHCスクリーニングにおける第1の手順は、1つ以上の免疫原(例えば細胞又は組織の試料)へのマウス中に培養された一次抗体(例えば抗KID31抗体)の結合である。一実施形態において、組織の試料は種々の臓器に由来する凍結組織の切片である。細胞又は組織の試料は癌性又は非癌性の何れかであることができる。
【0098】
当該技術分野でよく知られる多くの方法の何れかにより、凍結組織を調製し、固定又は未固定で切片化し、そしてIHCを実施する。例えばStephan, et al. Dev. Biol. 212: 264−277 (1999)及びStephan, et al. Endocrinology 140: 5841−54 (1999)を参照されたい。
【0099】
(V.抗KID31抗体を特性付ける方法)
数種の方法を使用して抗KID31抗体を特性付けることができる。1つの方法はそれが結合するエピトープを同定することである。エピトープマッピングは種々の入手元、例えばPepscan Systems(Edelhertweg 15,8219PH Lelystad,The Netherlands)から販売されている。エピトープマッピングは抗KID31抗体が結合する配列を決定するために使用できる。エピトープは、線状のエピトープであってもよく、即ちアミノ酸の単一のストレッチ内に含有されてもよく、或いは必ずしも単一のストレッチに含有されない場合があるアミノ酸の三次元相互作用により形成されるコンホーメーションエピトープであってもよい。種々の長さ(例えば少なくとも4〜6アミノ酸長)のペプチドを単離又は合成(例えば組み換えによる)し、そして抗KID31抗体との結合試験に使用することができる。抗KID31抗体が結合するエピトープは細胞外配列より誘導したオーバーラッッピングペプチドを使用し、そして抗KID31抗体による結合を測定することにより、系統的スクリーニングにおいて決定することができる。
【0100】
抗KID31抗体を特性付けるために使用できる更に別の方法は、同じ抗原、例えばKID31に結合することが解っている他の抗体を使用した競合試験を使用して抗KID31抗体が他の抗体と同じエピトープに結合するかどうか測定することである。KID31に対する市販抗体の例が利用できる場合もあれば、当該技術分野でよく知られる結合及び競合試験を使用して同定される場合がある。抗KID31抗体は更にそれが結合する組織、癌の型又は腫瘍の型に関して特性付けることができる。
【0101】
抗KID31抗体を特性付ける別の方法はそれが結合する高原によるものである。抗KID31抗体は種々のヒト癌由来の細胞溶解物を使用したウエスタンブロットにおいて使用した。当該技術分野でよく知られており、ウエスタンブロットでは変性又は非変性ゲル上で細胞溶解物及び/又は細胞画分を泳動し、ニトロセルロース紙にタンパク質を移行させ、そして次に抗体(例えば抗KID31抗体)を使用してブロットをプローブすることによりどのタンパク質が抗体により結合されたかを測定する。或は細胞表面上のタンパク質はビオチン化することができ、抗KID31抗体はビオチン化KID31を免疫沈降するために使用することができる。次にビオチン化KID31はHRP−ストレプトアビジンを使用して可視化できる。この手順は実施例4において詳述する。KID31は種々の組織の種々のヒトの癌、例えば肺、腎臓、膵臓、卵巣及び結腸に伴っている。KID31に関する説明は更に実施例5及び6において行う。
【0102】
(VI.抗KID31抗体及びKID31モジュレーターを使用した癌の診断の方法)
本明細書に記載した方法により作製されたKID31に対するモノクローナル抗体を使用して診断目的のために種々の組織、例えば卵巣、乳房、肺、前立腺、結腸、腎臓、膵臓、皮膚、甲状腺、脳、心臓、肝臓、胃、神経、血管、骨及び上部消化管における癌細胞の有無を同定される場合がある。本明細書に開示した方法により作製されたKID31に対するモノクローナル抗体は又、固形腫瘍から放出された後に血中を循環している癌細胞の有無、又はその量を測定するために使用される場合がある。このような循環している抗原は、未損傷のKID31抗原、又は本発明に記載した方法で検出されるべき能力を保持しているそのフラグメントである場合がある。このような検出は、当該技術分野で一般的に使用されている標準的な方法を使用してFACS分析により行われる場合がある。
【0103】
これらの使用においては、KID31とKID31に特異的に結合する抗体の間の複合体の形成を行うことができる。このような抗体の例には、PTA#6516の標記を有するATCCに寄託されたハイブリドーマにより産生される抗KID31モノクローナル抗体が含まれる。このような複合体の形成はin vitro又はin vivoで行うことができる。理論に制約されないが、モノクローナル抗体の抗KID31は、KID31の細胞外ドメインを介してKID31に結合することができ、その後内在化する場合がある。
【0104】
本発明の診断方法の好ましい実施形態において、抗体は検出可能な標識を担持する。使用される場合がある標識の例には、放射活性物質又は蛍光団、例えばフルオロイソチオシアネート又はフィコエリスリンが含まれる。
【0105】
診断及び治療の目的で商業的に使用されているその他の既知の抗体の場合と同様に、本発明の標的抗原は、正常組織において広範に発現される。一部の腫瘍においてはアップレギュレートされる。従って、診断又は治療薬に使用される場合の本発明の抗体の特定の送達用量及び送達経路は、対象となる特定の腫瘍又は疾患状態並びに治療中の特定の個体に適合される。
【0106】
診断のために抗体を使用する1つの方法は放射活性又は放射線不透明の物質に抗体を連結すること、抗体を個体に投与すること、及び、X線又は他の画像化装置を使用して抗原を発現している癌細胞の表面の標識された抗体の局在化を可視化することによる、in vivoの腫瘍の画像化である。抗体は生理学的条件において結合を促進する濃度において投与する。
【0107】
KID31を検出するin vitroの技法は、当該技術分野で日常的なものであり、例えば酵素連結免疫吸着試験(ELISA)、免疫沈降、免疫蛍光、酵素免疫試験(EIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)及びウエスタンブロット分析が含まれる。
【0108】
本発明の態様において、腫瘍又は新生物の放射線画像化の方法、又は放射標識抗体を使用した治療方法の有効性を測定する方法は、放射標識腫瘍特異的抗体を本発明の実施に従って固体に投与する手順を含む。放射標識された抗体は、好ましくはテクネチウム−99m、インジウム−111、ヨウ素−131、レニウム−186、レニウム−188、サマリウム−153、ルテチウム−177、銅−64、スカンジウム−47、イットリウム−90よりなる群から選択される放射標識を含むモノクローナル又はポリクローナル抗体である場合がある。抗体の免疫反応性を犠牲にせず、in vivoで分解されない、ヨウ素−131、レニウム−188、ホルミウム−166、サマリウム−153及びスカンジウム−47のような治療用の放射性核種で標識されたモノクローナル抗体が特に好ましい。その他の放射性同位体も知られており、特定の用途に適している場合があることを、当業者は理解する。放射線画像化は、単一光子発光コンピュータ断層撮影(SPECT)、陽電子発光断層撮影(PET)、コンピュータ断層撮影(CT)又は磁気共鳴画像化(MRI)を使用して実施される場合がある。放射線免疫画像化により特定される転移の位置のより優れた解剖学的定義を可能にする相関性画像化も意図される。
【0109】
別の方法においては、癌細胞を摘出し、当該技術分野でよく知られる方法により免疫組織化学用に組織を調製する(例えば凍結用化合物中に包埋し、凍結し、そして固定化を行うか行うことなく切片化する;固定化及び抗原の開腹及び逆染色の種々の方法を使用するか使用することなく包埋する)。モノクローナル抗体は又、発生の種々の段階における癌細胞を同定するために使用される場合もある。抗体は又、どの個体の腫瘍が予め決定された量でその表面に抗原を発現し、そしてそのため、該抗原に対して指向された抗体を使用した免疫療法のための候補となりえるかを測定するために使用される場合もある。抗体はKID31を発現する腎臓、卵巣、前立腺及び膵臓の原発癌及び転移癌の両方及び肺の原発癌を認識する場合がある。本明細書において、検出は定性的及び/又は定量的な検出を含む場合もあれば、測定された量を癌細胞におけるKID31の発現の増大した量に関して正常細胞と比較することを含む場合もある。
【0110】
本発明は又、KID31に結合する何れかの抗体を使用して個体における癌(例えば卵巣癌、肺癌、膵臓癌、前立腺癌、結腸癌又は乳癌)の診断を支援する方法、及び、KID31発現量を決定するために使用できる他の方法を提供する。本明細書において「診断を支援する」方法とは、これらの方法が癌の分類又は性質に関する臨床的判断を行う場合に補助を行うことを意味し、最終的診断に関して決定的である場合もあれば、決定的でない場合もある。従って、癌の診断を支援する方法は、個体から得た生物学的試料中のKID31の量を検出する手順及び/又は試料中のKID31の発現量を測定する手順を含んでもよい。抗原又はその部分を認識する抗体も又、血液、唾液、肺の流体又は腹水を含むがこれらに限定されない体液中の生存又は死滅している癌細胞から放出又は分泌された抗原を検出する診断イムノアッセイを作成するために使用される場合がある。
【0111】
目的の特定の腫瘍中の細胞が全てKID31を発現するわけではなく、他の組織の癌細胞がKID31を発現する場合があり、即ち、個体は個体における免疫療法の有用性を測定するために癌細胞におけるKID31の有無についてスクリーニングしなければならない。本明細書に記載した方法で作製された抗KID31抗体は、癌を有すると診断された個体がKID31に対して指向された抗体を使用した免疫療法の対象候補と見なされるかどうかを決定するために使用される場合がある。一実施形態において、癌性の腫瘍又は生検試料は、KID31に対して指向された抗体を使用してKID31の発現に関して試験される場合がある。KID31を発現する癌細胞を有する個体はKID31に対して指向された抗体を使用した免疫療法の対象候補と適している。抗KID31抗体による染色も又、正常組織から癌性組織を判別するために使用される場合がある。
【0112】
診断目的のために抗KID31抗体を使用する方法は抗癌治療の何れかの形態、例えば化学療法又は放射線療法の前及び後の両方において、どの腫瘍が所定の治療に応答する可能性が最も高いかについて、癌を有する個体の予後について、腫瘍のサブタイプ又は転移疾患の起源について、そして、疾患の予後又は治療への応答について判断するために有用である。
【0113】
本発明の組成物は又、その他の疾患(非癌)細胞に適用する一般的に上に記載する方法を使用した、癌以外の疾患状態の診断にも好適である。本発明の方法での使用に好適な疾患状態には、個体における炎症又は自己免疫の応答に関連する疾患又は障害が含まれるが、これらに限定されない。上述の方法は個体における炎症又は自己免疫の応答をモジュレートするために使用される場合がある。本発明の組成物及び方法を使用した診断及び/又は治療に付される場合がある炎症及び自己免疫の障害に起因する疾患及び病態には、例えば、多発性硬化症、髄膜炎、脳炎、卒中、その他の大脳外傷、炎症性腸疾患(例えば潰瘍性結腸炎及びクローン病)、重症筋無力症、狼瘡、慢性関節リューマチ、喘息、急性若年発症性糖尿病、エイズ痴呆、アテローム性動脈硬化症、腎炎、網膜炎、アトピー性皮膚炎、乾癬、心筋虚血及び急性白血球媒介肺傷害が含まれるが、これらに限定されない。
【0114】
本発明の抗体及びその他の治療薬の診断及び/又は治療上の使用のための更に別の適応症には、臓器又は移植片の拒絶の危険性がある個体への投与が含まれる。近年、組織及び臓器、例えば皮膚、腎臓、肝臓、心臓、肺、膵臓及び骨髄を移植する外科的技法の効率が大きく向上している。おそらくは、移植された同種移植片又は臓器に対するレシピエントの免疫寛容を誘導する満足できる薬剤が存在しないことが、主な未解決の問題となっている。同種移植片の細胞又は臓器を宿主に移植する(即ち、供与者及び被供与者が同じ種の異なる個体である)場合、宿主の免疫系は、移植片における外来性抗原への免疫応答を上昇させ(宿主対移植片疾患)、移植された組織の破壊をもたらす可能性がある。
【0115】
抗KID31抗体への使用について言及する本出願の何れかに記載された使用は又、本明細書に記載されるその他のKID31のアゴニスト、拮抗剤及びモジュレーターの使用を包含する。そのような実施形態において、KID31のアゴニスト、拮抗剤又はその他の非抗体モジュレーターは、上述の手順においてKID31抗体の代替となり、当業者の技術の範囲内の改変は、代替されたKID31調節組成物に対してこの方法を適合させるために行われる。
【0116】
(VII.本発明の組成物)
本発明は又、抗KID31抗体、抗KID31抗体から誘導したポリペプチド、抗KID31抗体をコーティングするポリヌクレオチド、及び本明細書に記載したその他の物質を含む医薬組成物のような組成物も包含する。本明細書で使用される組成物は更に、KID31、KID31アゴニスト、拮抗剤、モジュレーターに結合する抗体、ポリペプチド及び/又はタンパク質の1つ以上、及び/又はKID31に結合する抗体、ポリペプチド及びタンパク質の1つ以上をコーティングする配列を含むポリヌクレオチドの1つ以上を含む。
【0117】
本発明は更に、何れかのKID31ペプチドアゴニスト、拮抗剤又はモジュレーターと特定のKID31ペプチドアゴニスト、拮抗剤又はモジュレーターの意図する機能を支援する別の化学的構造のコンジュゲートを提供する。これらのコンジュゲートには、本明細書において考察する診断、スクリーニング又は精製手順で使用される何れかの不溶性の固体支持体マトリックスのような巨大分子と共有結合したKID31ペプチドアゴニスト、拮抗剤又はモジュレーターが含まれる。好適なマトリックス物質には、化学的に不活性であり、高い多孔性を有し、ペプチドリガンドと共有結合を形成できる官能基多数を有する何れかの物質が含まれる。マトリックス物質及びマトリックス−リガンドコンジュゲートの調製手順の例については、Dean, et al. (eds) Affinity Chromatography: A practical Approach, IRL Press (1985);Lowe, ”An Introduction to Affinity Chromatography”, in Work, et al. (eds) Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology, Vol. 7, Part II, Notrh−Holland (1979);Porathら、”Biospecific Affinity Chromatography”, in Neurath, et al. (eds), The Proteins, 3rd ed., Vol. 1, pp. 95−178 (1975);及びSchott, Affinity Chromatography, Dekker (1984)に記載されている。
【0118】
本明細書では又、本明細書において考察する診断手順で使用されるKID31ペプチドアゴニスト、拮抗剤又はモジュレーターと何れかのレポーター部分のコンジュゲートも提供される。
【0119】
抗KID31抗体を含めた本発明のKID31ペプチドアゴニスト、拮抗剤又はモジュレーターの薬剤、ポリペプチド及びタンパク質は更に、以下の基準、即ち、(a)KID31(卵巣、前立腺、膵臓、肺、結腸又は乳癌細胞を含むがこれらに限定されない癌細胞のKID31を含む)に結合する能力;(b)元の抗体が優先的に結合するものと同じKID31エピトープに優先的に結合する能力を含めた、KID31への既知の抗KID31抗体の優先的結合を競合的に抑制する能力;(c)in vivo又はin vitroで生存細胞の表面に曝露しているKID31の部分に結合する能力;(d)卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、肺癌、結腸癌又は乳癌の細胞を含むがこれらに限定されない生存癌細胞の表面に曝露しているKID31の部分に結合する能力;(e)KID31を発現している癌細胞(例えば卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、肺癌、結腸癌又は乳癌の細胞を含むがこれらに限定されない)に化学療法剤又は検出可能なマーカーを送達する能力;(f)KID31を発現している癌細胞(例えば卵巣癌の細胞を含むがこれらに限定されない)内に治療薬を送達する能力の何れか(1つ以上)により同定及び特性付けられる。
【0120】
一部の実施形態において、本発明の抗体は、寄託番号ATCC No. PTA#6516を有する宿主細胞又はその子孫により産生される抗体である。本発明は又、これらの寄託されたハイブリドーマにより産生される抗体及び等価な抗体又はポリペプチドのフラグメント(例えばFab、Fab’、F(ab’)、Fv、Fc等)、キメラ抗体、1本鎖(ScFv)、その突然変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、ヒト化抗体、及び、必要な特異性の抗原(KID31)認識部位を含むこれら及び等価な抗体のその他何れかの修飾された配置の種々の製剤を包含する。本発明は又、抗KID31ファミリーメンバーの生物学的特性1つ以上をディスプレイするヒト抗体を提供する。抗KID31ファミリー(ヒト化抗体及びヒト抗体を含む)の等価な抗体、ポリペプチドフラグメント及びこれらのフラグメントの何れかを含むポリペプチドは上述の5つの基準の何れか(1つ以上)により同定し、特性付ける。
【0121】
一部の実施形態において、KID31に結合する本発明の抗体、ポリペプチド及びタンパク質はKID31への本明細書に特定した抗KID31抗体の優先的結合を競合的に抑制する抗体、ポリペプチド及びタンパク質である。一部の実施形態において、抗体、ポリペプチド及びタンパク質は抗体mu−抗KID31が優先的に結合するものと同じKID31上エピトープに優先的に結合する。
【0122】
従って、本発明は(a)上記の寄託番号を有する宿主細胞又はその子孫により産生される抗体;(b)そのような抗体のヒト化形態;(c)そのような抗体の軽鎖及び/又は重鎖1つ以上を含む抗体;(d)そのような抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域と相同又はそれより誘導された可変領域及びヒト抗体の重鎖及び軽鎖の定常領域と相同又はそれより誘導された定常領域を含むキメラ抗体;(e)そのような抗体の軽鎖及び/又は重鎖のCDRの1つ以上(少なくとも1、2、3、4、5又は6個)を含む抗体;(f)そのような抗体の重鎖及び/又は軽鎖を含む抗体;(g)そのような抗体に等価なヒト抗体の何れか(又はこれらの何れかを含む医薬組成物のような組成物)を提供する。抗体のヒト化形態は元の抗体又は上記寄託番号を有する宿主細胞により産生される抗体と同一のCDRを有する場合もあれば、有さない場合もある。CDR領域の決定は当該技術分野でよく知られている。一部の実施形態において、本発明は、上で同定した寄託ハイブリドーマの1つにより産生される抗体、又は、上記寄託番号を有する宿主細胞により産生される抗体の少なくとも1つのCDR、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つのCDRに実質的に相同である(或いは、一部の実施形態において、これらの抗体の1つの、又はこれらの抗体の1つより誘導された、全6CDRに実質的に相同である)CDR少なくとも1つを含む抗体を提供する。その他の実施形態には、本明細書で同定された寄託ハイブリドーマから産生された抗体の、又はそのような抗体から誘導された少なくとも2,3、4、5又は6個のCDRに実質的に相同である少なくとも2,3、4、5又は6個のCDRを有する抗体が含まれる。本発明において、結合特異性及び/又は全体的活性(癌細胞の成長及び/又は増殖を低減するため、癌細胞のアポトーシス細胞死を誘導するため、転移の発生を遅滞させるために化学療法剤を送達すること、及び/又は待機的に治療することという意味におけるものである場合がある)は一般的に保持されるが、活性の範囲は寄託ハイブリドーマにより産生される抗体と比較して変動する場合がある(増減する場合がある)。本発明は又これらの抗体の何れかを作製する方法を提供する。抗体の作製方法は当該技術分野で知られており、本明細書に記載する通りである。
【0123】
本発明は又本発明の抗体のアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供する。一部の実施形態において、ポリペプチドは抗体の軽鎖及び/又は重鎖の可変領域を1つ以上含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは抗体の軽鎖及び/又は重鎖のCDR1つ以上を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは抗体の軽鎖及び/又は重鎖の3つのCDRを含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、元の抗体の配列の少なくとも5連続アミノ酸、少なくとも8連続アミノ酸、少なくとも10連続アミノ酸、少なくとも15連続アミノ酸、少なくとも20連続アミノ酸、少なくとも25連続アミノ酸、少なくとも30連続アミノ酸の何れかを有する抗体のアミノ酸配列を含み、ここでアミノ酸の少なくとも3つは抗体の可変領域由来である。一実施形態において、可変領域は元の抗体の軽鎖に由来する。別の実施形態において、可変領域は抗体の重鎖に由来する。別の実施形態において、5つ(又はそれより多い)の連続アミノ酸が抗体の相補性決定領域(CDR)に由来する。
【0124】
本発明の一部の実施形態においてKID31、KID31の部分、抗KID31抗体又は本発明の他のKID31結合ポリペプチドを発現する本発明の細胞を個体に直接投与することにより、そのin vivoのKID31生物学的活性をモジュレートする。
【0125】
(VIII.治療目的のためにKID31モジュレーター及び抗KID31抗体を使用する方法)
KID31に対するモノクローナル抗体は、癌又はその他の疾患を有する個体において治療の目的に使用される場合がある。抗KID31抗体を使用した治療では、上述の通りin vitro及びin vivoの両方で複合体を形成することができる。一実施形態において、モノクローナル抗体抗KID31を癌細胞に結合させ、その増殖を低減することができる。抗体は生理学的(例えばin vivo)条件において結合を促進する濃度で投与するものとする。別の実施形態において、KID31に対するモノクローナル抗体を肺、腎臓、膵臓、卵巣及び結腸及び他の型の癌、例えば肉腫のような種々の組織の癌細胞に指向させた免疫療法に使用できる。別の実施態様においては、モノクローナル抗体抗KID31単独を癌細胞に結合させて、その細胞分裂を低減することができる。別の実施形態においてモノクローナル抗体抗KID31を癌細胞に結合させて、転移の発生を遅滞させることができる。更に別の実施形態にいては、癌を有する個体に抗KID31抗体を使用した待機的治療を行う。癌個体の待機的治療では、疾患の有害な症状又は癌の進行に直接影響しない疾患に対して行われる別の治療に起因する医原性の症状を治療又は縮小させる。これには疼痛の軽減、栄養補給、性的問題、心理学的苦痛、抑鬱、疲労、精神障害、嘔気、嘔吐の治療が包含される。
【0126】
そのような状況において、抗KID31抗体は個体自身の免疫応答を増強又は指向する薬剤、例えば抗体依存性細胞毒性(ADCC)を強化する薬剤と共に投与される場合がある。他の実施形態において、ADCCを増強するような修飾として抗KID31抗体に存在する少なくとも1つのフコース残基をその抗体のオリゴ糖から除去する。同様の実施形態において、抗KID31抗体に存在するフコース残基を修飾することにより元の修飾されない抗体に比べADCCを増強するために必要な程度その組成を改変する。
【0127】
更に別の実施形態において、抗KID31抗体を放射性分子、毒素(例えばカリケミシン)、化学療法剤分子、リポソーム又は化学療法化合物を含有する他の小胞とコンジュゲート又は会合させ、そしてこのような治療を必要とする個体に投与することにより、これらの化合物を、抗体により認識される抗原を含有する癌細胞にターゲティングし、これにより、癌性又は疾患の細胞を排除する。特定の理論に制約されないが、抗KID31抗体は表面にKID31を担持した細胞により内在化され、これによりコンジュゲート部分を細胞に送達して治療効果を誘導する。更に別の実施形態において、抗体は転移の発生を遅滞させるために抗原を発現する癌の外科的除去の際に補助的治療として使用できる。抗体は又、腫瘍の大きさを低減し、これにより手術の単純化、手術中の組織の節約及び/又は生じる傷跡の低減のために、抗原を発現する腫瘍を有する個体における手術の前に投与することもできる(ネオアジュバント療法)。
【0128】
細胞周期の投与は本発明の実施において意図される。このような実施形態において、化学療法剤を使用することにより、所定の段階において腫瘍又は他の標的疾患細胞の細胞周期と同調する。その後、本発明の抗KID31抗体(単独又は別の治療部分と共に)の投与を行う。別の実施形態において、第2ラウンドの治療の前に細胞周期と同調し、細胞分裂を低減するために抗KID31抗体を使用し;第2ラウンドは、抗KID31抗体及び/又は別の治療部分の投与である場合がある。
【0129】
化学療法剤には、放射性分子、細胞毒又は細胞毒性の薬剤とも称される毒素が含まれ、これには癌細胞の生存性を妨害する何れかの薬剤、及び化学療法化合物を含有するリポソーム又はその他の小胞が含まれる。好適な化学療法剤の例には、1−デヒドロテストステロン、5−フルオロウラシルデカバジン、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、アクチノマイシンD、アドリアマイシン、アルデスロイキン、アルキル化剤、アロプリノールナトリウム、アルトレタミン、アミホスチン、アナストロゾール、アンスラマイシン(AMC)、抗有糸分裂剤、シスジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン、ジアミノジクロロ白金、アントラサイクリン、抗生物質、代謝拮抗物質、アスパラギナーゼ、BCG生菌(嚢内)、リン酸ベタメタゾンナトリウム及び酢酸ベタメタゾン、ビカルタミド、硫酸ブレオマイシン、ブスルファン、カルシウムロイクオリン、カリケマイシン、カペシタビン、カルボプラチン、ロムスチン(CCNU)、カルムスチン(BSNU)、クロランブシル、シスプラチン、クラドリビン、コルヒチン、コンジュゲートエストロゲン、シクロホスファミド、シクロソスファミド、シタラビン、シタラビン、シトカラシンB、シトキサン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダクチノマイシン(以前のアクチノマイシン)、塩酸ダウノルビシン、クエン酸ダウノルビシン、デニロイキンジフチトックス、デキスラゾキサン、ジブロモマンニトール、ジヒドロキシアントラシンジオン、ドセタキセル、ドラセトロンメシレート、塩酸ドキソルビシン、ドロナビノール、E.coliL−アスパラギナーゼ、エメチン、エポエチンアルファ、エルイニアL−アスパラギナーゼ、エステル化エストロゲン、エストラジオール、リン酸エストラムスチンナトリウム、臭化エチジウム、エチニルエストラジオール、エチロロネート、エトポシドシトロロラム因子、エトポシドホスフェート、フィルグラスチン、フロクスウリジン、フルコナゾール、フルダラビンホスフェート、フルオロウラシル、フルタミド、フォリン酸、塩酸ゲムシタビン、グルココルチコイド、酢酸ゴセレリン、グラミシジンD、塩酸グラニセトロン、ヒドロキシ尿素、塩酸イダルビシン、イフォスファミド、インターフェロンアルファ−2b、塩酸イリノテカン、レトロゾール、ロイコボリンカルシウム、酢酸ロイプロリド、塩酸レバミソール、リドカイン、ロムスチン、マイタンシノイド、塩酸メクロレタミン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、塩酸メルファラン、メルカプチプリン、メスナ、メトトレキセート、メチルテストステロン、ミトラマイシン、マイトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、ニルタミド、酢酸オクトレオチド、塩酸オンダンセトロン、パクリタキセル、パミドロネート2ナトリウム、ペントスタチン、塩酸ピロカルピン、プリマイシン、カルムスチンインプラントを有するポリフェプロサン20、ポルフィマーナトリウム、プロカイン、塩酸プロカルバジン、プロプラノロール、リツキシマブ、サルグラモスチン、ストレプトゾトシン、タモキシフェン、タキソール、テニポシド、テノポシド、テストラクトン、テトラカイン、チオエパクロラムブシル、チオグアニン、チオテパ、塩酸トポテカン、クエン酸トレミフェン、トラスツズマブ、トレチノイン、バルルビシン、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン及び酒石酸ビノレルビンが含まれるが、これらに限定されない。
【0130】
好ましい実施形態において、非分裂細胞が相対的に毒性作用から免れるように、細胞毒は細胞の分裂又は急速分裂において特に有効となる。
【0131】
本発明の抗体は、それらが結合する疾患又は癌腫の細胞内に内在化することができ、従って治療用途のため、例えば有害な活性のために内在化が必要である毒素を細胞内に送達するために特に有用である。このような毒素の例には、サポリン、カリケマイシン、オーリスタチン及びマイタンシノイドが含まれるが、これらに限定されない。
【0132】
本発明の抗体又はポリペプチドは、放射性分子、毒素若しくはその他の治療薬、又は共有結合又は非共有結合により、直接又は間接的に治療薬を含有するリポソーム又はその他の小胞に会合(コンジュゲート又は連結を含む)させることができる。抗体は、抗体がその標的KID31に結合できる限り、抗体の任意の位置において放射性分子、毒素又は化学療法剤分子に連結される場合がある。
【0133】
毒素又は化学療法剤は、直接又は間接的に(例えばリンカー基を介するか、又は適切な結合部位を有する連結分子、例えば米国特許第5,552,391号に記載のプラットホーム分子を介して)好適なモノクローナル抗体にカップリング(例えば共有結合)させることができる。本発明の毒素又は化学療法剤は当該技術分野で知られる方法を使用して特定のターゲティングタンパク質に直接カップリングできる。例えば、薬剤と抗体の間の直接の反応は、各々が他方と反応することができる置換基を保有している場合に可能である。例えば一方にある親核基、例えばアミノ又はスルフィドリル基は他方にあるカルボニル含有基、例えば無水物又はハロゲン化酸と、又は、良好な脱離基(例えばハライド)を含有するアルキル基と反応することができる。
【0134】
抗体又はポリペプチドは又、マイクロ担体を介して化学療法剤に連結することができる。マイクロ担体は水中で不溶性であり、約150、120又は100mm未満の大きさ、より一般的には約50〜60μm未満、好ましくは約10、5、2.5、2又は1.5μm未満の大きさを有する生体分解性又は非生体分解性の粒子を指す。マイクロ担体には、約1μm未満、好ましくは約500nm未満の大きさを有する「ナノ担体」が含まれる。このような粒子は当該技術分野で知られている。固相マイクロ担体は生体適合性のある天然のポリマー、合成ポリマー又は合成コポリマーから形成された粒子であり、アガロース又は交差結合アガロース並びに当該技術分野で知られるその他の生体分解性の物質から形成されたマイクロ担体を含む場合もあれば、含まない場合もある。生体分解性の固相マイクロ担体は、哺乳類の生理学的条件下において分解性(例えばポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)及びそのコポリマー)又は腐食性(例えばポリ(オルトエステル)例えば3,9−ジエチリデン−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(DETOSU)又はポリ(無水物)例えばセバシン酸のポリ(無水物))であるポリマーから形成される場合がある。マイクロ担体は又、液相(例えば油脂系又は脂質系)、そのようなリポソーム、抗原を含有しないiscom(免疫刺激複合体、即ちコレステロール及びリン脂質、アジュバント活性サポニンの安定な複合体)、又は、液相マイクロ担体が生体分解性である限りo/w又はw/oエマルジョン中に存在する液滴又はミセルである場合もある。生体分解性の液相のマイクロ担体は、一般的に生体分解性の油脂を配合しており、これらの多くは当該技術分野で知られており、スクワレン及び植物油が含まれる。マイクロ担体は、一般的に球状であるが、球状から外れたマイクロ担体も許容される(例えば楕円、棒状等)。その不溶性の性質(水に関して)のため、マイクロ担体は水及び水系(水性)溶液から濾別することができる。
【0135】
本発明の抗体又はポリペプチドは、毒性の薬剤又は化学療法剤にカップリングすることができる基及び抗体にカップリングすることができる基の両方を含有する2官能性のリンカーを含む場合がある。リンカーは結合能力の妨害とならないように薬剤から抗体を隔たらせるためのスペーサーとして機能する場合がある。リンカーは切断性又は非切断性であってもよい。リンカーは又薬剤又は抗体上の置換基の化学的反応性を増大させ、これによりカップリング効率を上昇させる役割を果たす。化学的反応性の増大は更に、通常ではありえない薬剤又は薬剤上の官能基の使用を容易にする。2官能性のリンカーは当該技術分野で知られる手段により抗体にカップリングできる。例えば活性エステル部分、例えばN−ヒドロキシスクシンイミドエステルを含有するリンカーはアミド結合を介して抗体中のリジン残基にカップリングするために使用できる。別の実施例においては、親核アミン又はヒドラジン残基を含有するリンカーを、抗体の炭水化物残基の解糖酸化により生成するアルデヒド基に結合させることができる。これらの直接的なカップリング方法の他に、リンカーはアミノデキストランのような中間担体を使用して抗体に間接的にカップリングすることができる。これらの実施形態において、修飾された結合はリジン、炭水化物又は中間担体を介する。一実施形態において、リンカーはタンパク質の遊離のチオール残基に部位選択的にカップリングする。タンパク質上のチオール基への選択的カップリングに適する部分は当該技術分野でよく知られている。例としてはジスルフィド化合物、α−ハロカルボニル又はα−ハロカルボキシル化合物及びマレイミドが包含される。親核アミン官能基がα−ハロ又はカルボキシル基と同じ分子中に存在する場合は、アミンの分子内アルキル化を介して環化が起こる可能性が存在する。この問題を回避するための方法は、当該技術分野でよく知られており、例えば望ましくない環化を立体化学的に不利とするようなアリール基又はトランスアルカンのような非柔軟性の基によりアミンとα−ハロ官能基が分離されている分子の調製による等の方法がある。ジスルフィド部分を介したマイタンシノイドと抗体のコンジュゲートの調製に関しては、例えば米国特許第6,441,163号を参照されたい。
【0136】
抗体−薬剤コンジュゲートの調製に使用できる切断可能なリンカーの1つは、受容体媒介エンドサイトーシスの間に遭遇するエンドソーム及びリソソームのような異なる細胞内コンパートメントの酸性環境を利用したシス−アコチン酸に基づく酸不安定性リンカーである。例えば巨大分子担体とのダウノルビシンのコンジュゲートの調製に関しては、Shenら、Biochem, Biophys. Res. Commun, 120: 1048−1054 (1981);抗黒色腫抗体へのダウノルビシンのコンジュゲートの調製に関しては、Yangら、J. Natl, Canc. Inst. 80: 1154−1159 (1988);抗T細胞抗体とのダウノルビシンのコンジュゲートを調製するための同様の態様における酸不安定性リンカーの使用に関しては、Dillmanら、Cancer Res. 48: 6097−6102 (1988);ペプチドスペーサーアームを介した抗体へのダウノルビシンの連結に関しては、Trouetら、Proc. Natl. Acad. Sci. 79: 626−629 (1982)を参照されたい。
【0137】
本発明の抗体(又はポリペプチド)は当該技術分野で知られる何れかの方法により放射性分子にコンジュゲート(連結)する場合がある、抗体を放射標識するための方法に関する考察は、”Cancer Therapy with Monoclonal AntibodiesT”, D. M. Goldenberg, ed. (CRC Press, Boca Raton, 1995)を参照されたい。
【0138】
或いはSegalの米国特許第4,676,980号に記載の通り、抗体を第2の抗体にコンジュゲートして抗体ヘテロコンジュゲートを形成することができる。交差結合抗体の形成は特定の細胞型、例えばKID31を発現する癌又は疾患の細胞に免疫系をターゲティングすることができる。
【0139】
本発明は化学療法剤に連結した抗KID31抗体又はKID31に結合する他の実施形態を使用して癌(例えば肺癌、腎臓癌、膵臓癌、卵巣癌及び結腸癌)を有する個体における転移の発生を遅滞させる方法を提供する。一部の実施形態において、抗体は非ヒト抗KID31抗体のヒト化又はキメラの形態である。
【0140】
更に別の実施形態において、抗体は転移の発生を遅滞させるために抗原を発現する癌の外科的摘出の時点において補助的治療として使用することができる。抗体又は化学療法剤に結合した抗体は又、腫瘍の大きさを低減し、これにより手術の単純化、手術中の組織の節約及び/又は生じる傷跡の低減のために、抗原を発現する腫瘍を有する個体における手術の前に投与することもできる(ネオアジュバント療法)。
【0141】
更に別の実施形態において、本明細書に記載したKID31結合実施形態の何れかをKID31発現癌細胞に結合させ、KID31を発現する癌細胞に対する能動免疫応答を誘導することができる。一部の場合において、能動免疫応答は癌細胞の死滅を誘発(例えばアポトーシスによる細胞死を誘導する癌細胞への抗体の結合)、又は、癌細胞の成長を抑制(例えば細胞周期の進行をブロック)することができる。他の場合においては、本明細書に記載した何れかの新しい抗体を癌細胞に結合させ、そして抗体依存性細胞毒性(ADCC)は抗KID31が結合する癌細胞を排除することができる。従って、本発明は本明細書に記載した組成物の何れかを投与することを含む免疫応答を刺激する方法を提供する。
【0142】
一部の場合において、抗体の結合は又、細胞性及び体液性の免疫応答の両方を活性化してより多くのナチュラルキラー細胞又は個体の免疫系を更に活性化して癌細胞を破壊するサイトカイン(例えばIL−2、IFN−g、IL−12、TNF−a,TNF−b等)の増大した産生をリクルートすることができる。更に別の実施形態において、抗KID31抗体は癌細胞に結合することができ、そしてマクロファージ又は他の貪食細胞が癌細胞をオプソニン作用に付すことができる。
【0143】
抗KID31抗体又はそのフラグメントの種々の製剤が投与に使用される場合がある。一部の実施形態において、抗KID31抗体又はそのフラグメントがそのまま投与される場合がある。薬理活性を有する薬剤の他に、本発明の組成物は、薬理学的に有効な物質の投与を促進するか、又は、作用部位への送達のために薬学的に使用できる製剤への活性化合物の加工を容易にする、当該技術分野でよく知られており、比較的不活性な物質を含む好適な薬学的に許容される担体を含有する場合がある。例えば、賦形剤は形状又は一体性を与え、或いは、希釈剤として機能する。好適な賦形剤には、安定化剤、水和及び乳化剤、浸透圧調節のための塩類、カプセル化剤、緩衝剤及び皮膚浸透性増強剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0144】
非経腸投与に好適な製剤には、水溶性の形態、例えば水溶性の塩としての活性化合物の水溶液が含まれる。更に、油性の注射懸濁液のために適切な活性化合物の懸濁液も投与される場合がある。好適な親油性の溶媒又はベヒクルには、油脂類、例えばゴマ油、又は合成脂肪酸エステル、例えばオレイン酸エチル又はトリグリセリドが含まれる。水性の注射用懸濁液は懸濁液の粘度を増大させるための物質を含有する場合があり、例えばカルボキシセルロースナトリウム、ソルビトール及び/又はデキストランが含まれる。場合により、懸濁液は又安定化剤を含有する場合もある。リポソームは又、細胞内への送達のために薬剤をカプセル化するためにも使用できる。
【0145】
本発明の全身投与のための医薬品製剤は、経腸、非経腸又は局所投与用に製剤化される場合がある。実際、製剤の3種類全てを同時に使用して、活性成分の全身投与を達成する場合がある。非経腸及び経腸の薬剤送達のための賦形剤並びに製剤については、Remington, The Science and Practice of Pharmacy 20th Ed. Mack Publishing(2000)に記載されている。
【0146】
経口投与用の好適な製剤には、ハード又はソフトゼラチンカプセル、丸薬、錠剤、例えばコーティング錠剤、エリキシル、懸濁液、シロップ又は吸入剤及びそれらの制御放出形態が含まれる。
【0147】
一般的に、これらの薬剤は注射(例えば腹腔内、静脈内、皮下、筋肉内等)による投与のために製剤されるが、その他の投与形態(例えば経口、粘膜など)も使用できる。従って、抗KID31抗体は、好ましくは薬学的に許容されるベヒクル、例えば生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液等と組み合わせる。
【0148】
特定の用量用法、即ち、投与量、時期及び反復度は特定の個体及びその個体の病歴により変動する。一般的に少なくとも約100ug/kg体重、より好ましくは少なくとも約250ug/kg体重、更に好ましくは少なくとも約750ug/kg体重、更に好ましくは少なくとも約3mg/kg体重、更に好ましくは少なくとも約5mg/kg体重、更に好ましくは少なくとも約10mg/kg体重の用量を投与する。
【0149】
実験的な検討事項、例えば半減期は一般的に用量の決定に寄与する。ヒト免疫系と適合する抗体、例えばヒト化抗体又は完全ヒト抗体は、抗体の半減期を延長し、そして宿主の免疫系による抗体が攻撃されることを防止するために使用される場合がある。投与の頻度は、治療の過程にわたって決定され調整される場合があり、癌細胞の数の低減、癌細胞の低減の維持、癌細胞の増殖の低減、又は、転移の発生の遅滞に基づいている。或いは、抗KID31抗体の除放持続性の製剤が適している場合がある。除放性を達成するための種々の製剤及び考案物が当該技術分野で知られている。
【0150】
一実施形態において、抗KID31抗体の投与量は、投与を一回以上受けている個体において実験的に決定される場合がある。個体は抗KID31抗体の漸増量を投与される。抗KID31抗体の薬効を評価するためには、特定の癌の疾患状態のマーカーを追跡することができる。これらには触診又は目視による観察を介した腫瘍の大きさの直接の測定、X線又は他の画像化技法による腫瘍サイズの間接的測定;腫瘍試料の直接の腫瘍生検及び顕微鏡観察により評価される改善度;間接的な腫瘍マーカー(例えば前立腺癌のPSA)の測定、疼痛又は麻痺の低減;会話、視野、呼吸又は他の腫瘍に関連する障害の改善;食欲の改善;又は許容性試験により測定されるクオリティオブライフの上昇又は延命が包含される。当業者が知る通り、用量は個体、癌の種類、癌の段階、癌が個体の他の位置への転移を開始しているかどうか、及び過去及び現在併用中の治療により変動する。
【0151】
その他の製剤には、リポソームのような当該技術分野で知られる好適な送達形態が含まれる。例えば、Mahatoら、(1997) Pharm. Res. 4: 853−859を参照されたい。リポソーム製剤には、サイトフェクチン、多層小胞及び単層小胞が含まれるが、これらに限定されない。
【0152】
一部の実施形態において、複数の抗体が存在する場合がある。抗体はモノクローナル又はポリクローナルであってもよい。このような組成物は、癌腫、腺癌、肉腫又は腺肉腫に対して反応性を有する少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個の異なる抗体を含有する場合がある。抗KID31抗体は例えば卵巣、乳房、肺、前立腺、結腸、腎臓、皮膚、甲状腺、骨、上部消化管及び膵臓のような臓器における癌腫、腺癌、肉腫又は腺肉腫に対して反応性を有する1つ以上の抗体と混合することができる。一実施形態において、種々の抗KID31抗体の混合物を使用する。抗体の混合物は、当該技術分野でよく指摘される通り、個体の集団のより広範な範囲を治療する場合に特に有用である。
【0153】
以下の実施例は本発明を説明するものであり、限定する意図はない。
【実施例】
【0154】
実施例1.免疫原としてのヒト腎細胞の調製
胎生期10〜18週のヒト胎児腎をAdvanced Biosciences Research(米国カリフォルニア州アラミダ)から入手した。腎臓は湿潤氷上の組織培養用培地中において入手し、実験室に送付した。到着直後、腎臓を洗浄用培地(ペニシリン/ストレプトマイシン及びゲンタマイシンを含有する冷PBS)に移した。外膜をピンセットで除去し、腎臓を70%エタノール中で短時間洗浄し、次に洗浄用培地で2回漱いだ。100mmの乾燥培養皿中で手術用ハサミを使用して腎臓を1mm角に粉砕した。組織片は、本明細書においてI/3Fと称する所定の血清非含有の培地10ml中にプレーティングした。この培地は、参考として本明細書に組み入れられる米国特許暫定出願第60/504,674号に記載されている。一般的に使用されている細胞培養用の培地の種々のものを本発明の実施において使用される場合があるが、現時点で好ましい実施形態は血清非含有のフラクトース系の細胞培養用培地を使用する。
【0155】
組織片は15mlの遠沈管内に移し、組織片を5分間1000xgで遠心分離した。組織片はインスリン(10ug/ml)、トランスフェリン(10ug/ml)、表皮成長因子(20ng/ml)、ソマトトロピン(0.005IU/ml)、ブタ下垂体抽出物(0.2%)、ニワトリ血清(0.1%)、ゲンタマイシン(100ug/ml)、ペニシリン/ストレプトマイシン(1x)及びコラゲナーゼ/ジスパーゼ(0.1%)を含有するI/3F培地中に再懸濁し、一夜4℃でインキュベートした。翌日、消化した組織片を5分間1000xgで遠心分離し、I/3F培地で2回洗浄した。インスリン(10ug/ml)、トランスフェリン(10ug/ml)、表皮成長因子(20ng/ml)、ソマトトロピン(0.005IU/ml)、ブタ下垂体抽出物(0.2%)及びニワトリ血清(0.1%)を含有するI/3F培地10mlにペレットを再懸濁し、そしてフィブロネクチン予備コーティング10cmプレート中で培養した。
【0156】
これらの培養条件下において、ヒト胎児腎細胞は基盤コーティングプレートに結合し、単層として成長した。培地は週二回交換した。
【0157】
細胞を採取するために、細胞の単層をカルシウム及びマグネシウム非含有のHanks食塩水溶液で一回漱ぎ、15分間37℃でHanks食塩水溶液中10mMEDTA中でインキュベートした。穏やかなピペッティングにより細胞を培養表面から脱着させた。5分間1000xgで遠心分離することにより細胞懸濁液をペレット化した。上澄みを除去し、適宜、非変性アジュバントと共に細胞を血清非含有培地(I/3F培地)に再懸濁した。
【0158】
実施例2.モノクローナル抗体の生成
非変性アジュバント(Ribi、R730、Corixa,Hamilton MT)をリン酸塩緩衝食塩水中2mlとなるように再水和させた。次にこの再水和アジュバント100μlを免疫化に使用する実施例1の細胞ペレットの一部と穏やかに混合した。マウス当たり約10個のヒト胎児腎細胞をBalb/cマウスに脚部手掌を介して概ね週1又は2回注射した。厳密な免疫化の日程は、以下の通りとした。第0日、免疫化+Ribi。第3日、免疫化+Ribi。第7日、免疫化+Ribi。第24日、免疫化−Ribi。第29日、免疫化−Ribi。第32日、免疫化−Ribi。第36日、免疫化−Ribi。第44日、免疫化−Ribi。第51日、免疫化−Ribi。第69日、力価試験用採血。第71日、免疫化+Ribi。第74日、免疫化+Ribi。第81日、免疫化+Ribi。第91日、灌流ブースト(Ribi非存在)。第104日、融合用の結節回収。
【0159】
第69日において、各免疫化動物の尾部から血液を一滴採取し、FACS分析を使用してヒト胎児腎細胞に対する抗体の抗体価を試験した。力価が1:2000に達した時点で、マウスをCOで屠殺し、その後頚椎脱臼断首した。リンパ節を採取してハイブリドーマの調製に付した。
【0160】
マウスのリンパ球は35%ポリエチレングリコール4000を使用してマウスミエローマ系統X63−Ag8.653と融合させた。融合後の第10日に、ハイブリドーマの上澄みを、ヒト胎児腎細胞特異的モノクローナル抗体の存在について、蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)を使用してスクリーニングした。各ハイブリドーマのコンディショニングした培地を少量のヒト胎児腎細胞と共に30分間インキュベートした。インキュベーションの後、細胞試料を洗浄し、0.1ml希釈液中に再懸濁し、そして4℃で30分間ヤギ抗マウスIgGのFITCコンジュゲートF(ab’)フラグメント1μg/mlとともにインキュベートした。細胞を洗浄し、0.2mlのFACS希釈液中に再懸濁し、FACScan細胞分析器(Beckton Dickinson[米国カリフォルニア州サンホゼ])を使用して分析した。更に増殖、クローニング及びFACSによるヒト胎児腎細胞の表面へのその結合に基づいて特性付けるためにハイブリドーマクローンを選択した。KID31と命名された抗原に結合するmu−抗KID31と命名されたモノクローナル抗体を生成するハイブリドーマを選択した。
【0161】
実施例3.mu−抗KID31等の抗KID31抗体の精製
免疫化細胞又は細胞株に対して反応性であり続ける抗体を産生するハイブリドーマを抗体の精製のためにスケーリングする。以下の方法を使用するが、当該技術分野で一般的に知られるその他の方法も適用可能である。陽性のハイブリドーマをT75フラスコ3本にスケーリングした。コンフルエントとなった時点で、細胞及び上澄みを50mlの三角試験管に収集し、遠心分離した。上澄みを吸引し、細胞ペレットをF12/DME(50:50)培地で洗浄し、再度遠心分離した。細胞ペレットを1%超低濃度IgGFBS(GIBCO,Invitrogen Corp.)、10μg/mlrhインスリン及び10μg/mlトランスフェリンを含有する成長培地F12/DME(50:50)50mlに再懸濁した。次に細胞をCL1000(IBS Integra BioScience)のパウチ中に接種し、外部チャンバーを同じ成長培地500mlで充填した。外部チャンバーは第7日及び第14日に新鮮な成長培地と交換する。
【0162】
抗体含有培地は第21日に細胞パウチから採取した。採取した物質25mlをロード緩衝液(3MNaCl、1.5Mグリシン、pH9.0)と1:1混合した。プロテインA樹脂(Amersham)の調製済み5mlカラムに物質を流動させた。次にカラムを20カラム容量のリン酸塩緩衝食塩水(PBS)で洗浄した。抗体は0.1Mグリシン、pH2.8で溶離させ、そして20μlの3MトリスpH9.0中で中和した。次に抗体を透析し、Beckman DU530スペクトル分析器上のA280読み取り値によりタンパク質濃度を求めた。
【0163】
他の実験において、KID31へのmu−抗KID31抗体の結合は生細胞ELISAを使用して試験した。以下の方法を使用するが、当該技術分野で一般的に知られるその他の方法も適用可能である。細胞(HT−29、SKOV3、SKMES−1、SW480、SKBR−3及びHPAFII)を組織培養処理96ウェルプレート(Falcon)上でコンフルエントとなるまで10%ウシ胎児血清(FBS)含有培地中で成長させた。細胞をPBSで洗浄し、次に室温で1時間1%BSA及び0.1%アジ化ナトリウムを含有するHank’s Balanced Salt Solution(HBSS)中で所望の濃度の所望の抗体50μlと共にインキュベートした。次に細胞をHBSSウェル当たり100μlで3回洗浄した後に、室温で30分間セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)二次抗体(HBSS中希釈してウェル当たり50μl)と共にインキュベートした。細胞は最終的にHBSSで3回洗浄し、変色基質(TMB基質、KPL)をウェル当たり100μlで各ウェルに添加した。変色反応は1Mリン酸をウェル当たり100μl添加することにより停止した。次にプレートをOD450nmで読み取った。
【0164】
実施例4.癌細胞株Colo205及びES−2におけるKID31の発現のビオチン化免疫沈降分析
結腸直腸腺癌細胞株Colo205及び卵巣癌細胞株ES−2を175cmの培養皿上でコンフルエントとなるまで成長させた。コンフルエントの単層をHank’s Balanced Salt Solution(重炭酸ナトリウム又はフェノールレッド非含有のHBSS+、10mMHEPESで緩衝、pH7.4;Sigma Chemicals)で3回洗浄し、室温で30分間スルホ−NHS−LC−ビオチン(Pierce Endogen)200μgでビオチン化した。次に細胞を0.1MTris含有のHBSS+、pH7.4(Sigma Chemicals)で洗浄し、室温で15分間0.1MTris含有HBSS+、pH7.4中でインキュベートした。最後に細胞をHBSS+で3回洗浄し、そして溶解緩衝液(2%TritonX−100、2mMPMSF、0.1%アジ化ナトリウム及び溶解緩衝液5ml当たり1錠のEDTA非含有完全ミニプロテアーゼカクテル(Roche Molecular Biochemicals)を含有するHBSS+)中氷上で5分間インキュベートすることにより溶解した。
【0165】
細胞を溶解緩衝液中で掻き取り、溶解物を収集した。溶解物は4℃で1時間14000xgで遠心分離した。清澄化した溶解物を次にヒトIgGコンジュゲート(1mg/ml)CNBr4MBセファロースビーズ(Amersham Pharmacia)5μlと共に4℃で2時間予備清浄化した。ヒトIgGビーズを遠心分離して除去し、次に予備清浄化した溶解物を4℃で2時間CNBr4MBセファロースビーズにコンジュゲートしたモノクローナル抗体mu−抗KID31(1mg/mlでコンジュゲート)と共にインキュベートした。2時間のインキュベーションの後にmu−抗KID31ビーズを遠心分離して除去した。ヒトIgG及びmu−抗KID31ビーズの両方を個々に3回溶解緩衝液1mlで洗浄し、次に1mlのHBSS+で3回洗浄した。洗浄したビーズはSDS−PAGE試料緩衝液30μlを添加し、5分間99℃で煮沸することにより溶出させた。
【0166】
次に試料を4〜20%Novex勾配ゲル(Invitrogen)上で分割し、0.2μmのニトロセルロースメンブレン(Invitrogen)に移行させ、5μg/ブロットのmu−抗KID31を使用したウエスタンブロットにより可視化した。
【0167】
HRPコンジュゲートストレプトアビジンを検出するためには、ニトロセルロースをまずブロッキング緩衝液(0.05%Tween−20含有Tris緩衝食塩水(TBST,Sigma Chemicals)中5%無脂肪乾燥乳)で1時間ブロッキングした。HRPコンジュゲートストレプトアビジンを1μg/mlでTBST中に希釈し、室温で30分間ニトロセルロースに曝露した。次にニトロセルロースを3回PBSTで洗浄し、その後、ECL+で可視化した。
【0168】
このプロトコル及びmu−抗KID31抗体を使用した場合の結果は還元条件下における約60kDa〜80kDaにおける分子量バンドのスミアを示している。mu−抗KID31特異的バンドのスミアのパターン及び分子量は約62kDaの分子量を有する糖タンパク質であるカルボキシペプチダーゼMの分子量と合致している。
【0169】
実施例5.免疫組織化学的方法
癌患者より得た凍結組織試料をOCT化合物に包埋し、ドライアイスを使用してイソペンタン中に急速凍結した。低温切片はLeica3050CMミクロトームを使用して厚さ8〜10μmとなるように切り出し、SuperFrost Plusスライド(VWR#48311−703)に解凍搭載した。切片は75%アセトン/25%エタノールを使用して10℃で固定し、室温で2〜4時間風乾した。固定したセクションは使用時まで−80℃で保存した。
【0170】
免疫組織学的分析のためには、組織の切片を回収し、Tris緩衝0.05%Tween(TB−T)中で洗浄し、室温で30分間ブロッキング緩衝液(TB−T、5%正常ヤギ血清及び100μg/mlアビジン)中ブロッキングした。次にスライドを室温で60〜90分間ブロッキング緩衝液中希釈(1μg/ml)したmu−抗KID31及び対照モノクローナル抗体と共にインキュベートした。次に切片を3回ブロッキング緩衝液で洗浄した。結合したモノクローナル抗体は0.1M酢酸ナトリウム緩衝液pH5.05及び0.003%過酸化水素(Sigma cat. No. H1009)中ヤギ抗マウスIgG+IgM(H+L)F(ab’)−ペルオキシダーゼコンジュゲート及びペルオキシダーゼ基質のジアミノベンジジン(1mg/ml、Sigma cat. No. D5637)を使用して検出した。染色したスライドはヘマトキシリンで逆染色して、Nikon顕微鏡で観察した。
【0171】
一部の場合においては、適切な抗原回収法を使用した後に、パラフィン包埋ホルムアルデヒド固定組織を免疫組織化学的分析に使用した。このような抗原回収法の1つはMangham and Isaacson, Histopathology 35: 129−33 (1999)に記載されている。抗原回収及び/又は検出の別の方法も当業者の知る通り使用される場合がある。凍結組織、又は抗原回収及びポリMICA検出と共に適宜固定組織を使用して実施した同様の実験の結果を実施した。種々の正常及び癌組織への抗KID31抗体の結合を試験した。全ての場合において、対照の固定組織における抗体の結合は、凍結組織のものと相関していた。凍結組織の結果は2者が対照において合致しない場合にのみ使用した。
【0172】
簡便のために、異なる原料から得た凍結外科的組織を使用した数種の実験の複合的結果をまとめて表1及び表2に示す。
【0173】
【表1】

実施例6.免疫細胞化学的結果
モノクローナル抗体mu−抗KID31を使用して組織の種々の型に由来する種々の細胞株に対する反応性を試験した。結果は弱い陽性染色に対しては「+」、中等度の陽性染色に対しては「++」、強度の陽性染色に対しては「+++」そして陰性染色に対しては「−」と評点した。
【0174】
免疫組織化学的結果はWO01/43869に記載の通りCellArrayTM技術を使用して得た。種々の樹立細胞株由来の細胞をプロテアーゼを使用することなく成長表面より採取し、充填し、OCT化合物中に包埋した。細胞を凍結して切片化し、次に標準的なIHCプロトコルを使用して染色した。
【0175】
種々の樹立ヒト正常及び腫瘍細胞株へのmu−抗KID31抗体の結合結果を、便宜上表3にまとめる。表3に示す実験には、本明細書に記載の方法を使用した生細胞ELISA及びCellArrayTM結合実験が含まれる。
【0176】
【表2】

【0177】
【表3】

実施例9.癌細胞株H322Mに対するmu−抗KID31の作用
単層として成長させた場合のin vitroの細胞数を低減させる抗体の能力は被験又は対照の精製抗体の種々の量の存在下又は非存在下において成長させた細胞単層を使用して評価することができ、そして細胞数の変化はMTTを使用して評価できる。MTTはミトコンドリア酵素の活性を測定する染料であり、そして相対的生細胞数と相関している。目的の細胞を96ウェルプレート中10%ウシ胎児血清を添加したF12/DMEM(1:1)成長培地中にプレーティングして成長させた。H322M細胞は96ウェルディッシュの3連のウェル中500、1000、2000又は4000個/ウェルでプレーティングした。プレーティング直後、mu−抗KID31を添加した。細胞は5日間5%COにおいて湿潤インキュベーター中で37°Cでインキュベートした。試験終了時にMTTをPBSに溶解(5mg/ml)し、1:10希釈度でウェルに直接添加した。プレートは4時間インキュベーターに戻した。インキュベーションの後、培地を除去し、100μlのDMSOを添加してMTT沈殿物を溶解した。プレートはOD540nmで読み取った。
【0178】
20μg/mlにおいて、mu−抗KID31は、1000及び2000個/ウェルのプレーティング密度の癌細胞株H322Mの成長を約10%抑制した。
【0179】
実施例10.腎臓下被膜腫瘍モデルにおけるmu−抗KID31抗体の抗腫瘍作用
本試験は非小細胞肺癌由来細胞株であるH322M、及び、腎腫瘍由来細胞株であるCaki−2を使用した腎臓下被膜腫瘍モデルにおける抗KID31抗体に関する用量応答性の抗腫瘍データを試験するために設計されている。H322M及びCaki−2細胞を培地ml当たり1億個の細胞密度で再懸濁した。
【0180】
1型ラット尾部コラーゲンを標準的方法により調製した。慨すれば、成熟育種ラット由来の尾部を採取し、70%エタノールに浸積することにより滅菌した。尾部皮膚を除去し、腱を単離し、計量した。1グラムの腱から100mlのコラーゲン溶液を生成し、そして各尾部は約1〜1.5グラムの腱を与える。コラーゲンを抽出するために、腱をペニシリン、ストレプトマイシン及びフンジゾンを含有する希酢酸溶液(水100ml中腱グラム当たり氷酢酸200μl)中に入れ、そして少なくとも1週間4℃において穏やかに攪拌した。次に溶液を遠心分離し、コラーゲン上澄みを使用時まで4℃で保存した。
【0181】
この試験のために、Earle’s Balanced Salt Solution (EBSS)、NaOH及びNaHCOを含有する硬化溶液中においてラット尾部コラーゲンを重合させることにより50μlのコラーゲンボタンを調製した。重合の後、5×10個の細胞をコラーゲンボタン当たり添加した。細胞を37℃で一夜コラーゲン中でインキュベートした後に移植に付した。
【0182】
腎臓被膜下に細胞を移植するために、マウスをトリブロモエタノールで完全に麻酔した。細胞の設置ができるように腎臓被膜内にポケットを形成し、これは右及び/又は左の腎臓への腰近傍の外科的処置を介して行った。一部の試験においては、両方の腎臓に異種移植片を入れた。外科的処置の後、動物を加温面上で回復させ、麻酔から完全に回復するまで観察した。創傷のクリップは外科的処置の10日後に取り外した。
【0183】
各投与用量群につき、mu−抗KID31はPBSで希釈することにより0.01ml/g体重を投与するために適切な濃度とした。対照群にはPBS(0.01ml/g体重)を投与した。投薬は移植後第2日に開始し、mu−抗KID31又はPBS対照の用量は腹腔内への単回瞬時注射により週3回投与した。
【0184】
投薬期間の終了時に、動物を安楽死させ、腫瘍及び隣接する組織を摘出し、55℃で一夜、プロテイナーゼK(1.45mg/ml)及びRNaseA(0.07mg/ml)を含有する消化緩衝液中でインキュベートすることによりPCR分析に付した。
【0185】
PCR分析のための鋳型を生成するために、Wizard SV Genomic Purification System(Promega)を使用して製造元の説明書に従って腫瘍からゲノムDNAを単離した。各DNA試料を終容量200μlとなるように再懸濁した。
【0186】
腫瘍内のヒトDNAの量はヒトリボソーム遺伝子RPL19に特異的なプライマー及びプローブを使用しながら、Applied Biosystems SDS7000システム上のリアルタイムPCRを使用しながら定量した。
【0187】
各試料を先ずBstX1で消化することにより効率的な増幅を確保した。各反応混合物は鋳型DNA5μl、Taqman Gold 10x反応緩衝液(Applied Biosystems)5μl、5単位のBstX1、4mMMgCl、2.5mMの各デオキシヌクレオチド混合物、250nMの各プライマー、150nMのプローブ、1.5単位のTaqgoldポリメラーゼ(Applied Biosystems)及び水を終容量50μlとなる分含有していた。使用した熱サイクリング条件は30分45℃でBstX1消化、10分95℃でBstX1不活性化及びTaqホットスタート、その後、40サイクルの95℃20秒(変性)及び60℃1分(伸長)を行った。
【0188】
400〜0.09ngDNA/反応の範囲のヒトゲノムDNA(BD Biosciences Clonetech)の4倍連続希釈を使用して標準曲線を作成した。試料DNA濃度は標準曲線から補間した。各腫瘍試料を3連のPCR反応において分析し、平均のDNA濃度を求めた。結果を図1に示す。これらの実験から、mu−抗KID31を投与したH322M腫瘍は対照PBS投与腫瘍と比較してヒトDNA量の70.4%減少を示していた。mu−抗KID31を投与したCaki−2腫瘍は対照PBS投与腫瘍と比較してヒトDNA量の20.6%減少を示していた。
【0189】
本明細書に記載した実施例及び実施形態は、説明のみを目的としたものであり、それらを参照しながら種々の改変又は変更が当業者には示唆されるが、それは本出願の趣旨及び適用範囲に包含されるものである。本明細書において引用した全ての出版物、特許及び特許出願は、個々の出版物、特許及び特許出願が特別に、そして個別に参考として組み入れられるように指示される程度と同じ範囲まで、全ての目的のために参考として全体が本明細書に組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【0190】
【図1】H322M細胞系統及びCaki−2細胞系統を使用した腎臓下の腫瘍モデルに対するmu−抗KID31のin vivo活性のグラフ化した結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
KID31に特異的に結合し、以下の特性:
a.癌細胞のKID31に結合する能力;
b.in vitro又はin vivoで生存細胞の表面に曝露しているKID31の部分に結合する能力;
c.KID31を発現する癌細胞に治療薬又は検出可能なマーカーを送達する能力;及び、
d.KID31を発現する癌細胞内に治療薬又は検出可能なマーカーを送達する能力、
の少なくとも1つ以上を有する、実質的に精製された免疫グロブリンポリペプチド又はその抗原結合フラグメント。
【請求項2】
前記癌細胞が副腎腫瘍、エイズ関連癌、胞状軟部肉腫、星状細胞腫、膀胱癌(扁平上皮癌及び移行上皮癌)、骨癌(アダマンチノーム、動脈瘤性骨嚢胞、骨軟骨腫、骨肉腫)、脳及び脊髄の癌、転移性脳腫瘍、乳癌、頸動脈小体腫瘍、子宮頸癌、軟骨肉腫、脊索腫、色素嫌性腎細胞癌、明細胞癌、結腸癌、結腸直腸癌、皮膚良性線維性組織球腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、上衣細胞腫、ユーイング腫、骨外性粘液様軟骨肉腫、線維形成性不完全骨(fibrogenesis imperfecta ossium)、骨の線維性形成異常、胆嚢及び胆管の癌、妊娠性栄養膜疾患、生殖細胞腫瘍、頭部及び頚部の癌、島細胞肉腫、カポジ肉腫、腎臓癌(腎芽細胞腫、乳頭状腎細胞)、白血病、脂肪腫/良性脂肪腫様腫瘍、脂肪肉腫/悪性脂肪腫様腫瘍、肝癌(胚芽細胞腫、肝細胞癌)、リンパ腫、肺癌、髄芽細胞腫、黒色腫、髄膜腫、多発性内分泌線腺腫、多発性骨髄腫、脊髄形成異常症候群、神経芽腫、神経内分泌腫瘍、卵巣癌、膵臓癌、乳頭状甲状腺癌腫、甲状腺腫瘍、小児癌、末梢神経鞘癌、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、前立腺癌、後ブドウ膜黒色腫、希少な血液学的障害、腎転移癌、杆状腫瘍、横紋筋肉腫、肉腫、皮膚癌、軟組織肉腫、扁平上皮細胞癌、胃癌、滑膜肉腫、精巣癌、胸腺癌、胸腺腫、甲状腺転移癌及び子宮癌(頸癌、内膜癌及び平滑筋腫)に由来する癌細胞よりなる群から選択される、請求項1に記載の精製された免疫グロブリンポリペプチド又は抗原結合フラグメント。
【請求項3】
請求項1に記載の免疫グロブリンポリペプチド又はその抗原結合フラグメントをコード化する単離された核酸配列。
【請求項4】
前記核酸がプロモーターに作動可能に連結している、請求項3に記載の核酸。
【請求項5】
前記プロモーター及び前記核酸が発現ベクター内に含有されている、請求項4に記載の核酸。
【請求項6】
前記ポリペプチドがモノクローナル抗体である、請求項3に記載の核酸。
【請求項7】
請求項3に記載の核酸を含有するベクターでトランスフェクト、形質転換又は感染されている細胞株。
【請求項8】
実質的に精製された免疫グロブリンポリペプチド又はその抗原結合フラグメントを産生する方法であって、
a.該免疫グロブリンポリペプチド又は抗原結合フラグメントが発現される条件下で、請求項3に記載の核酸で形質転換された細胞株を成長させる工程;及び、
b.発現された免疫グロブリンポリペプチド又は抗原結合フラグメントを採取する工程、
を包含する、方法。
【請求項9】
前記細胞株がハイブリドーマである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ハイブリドーマがATCC No. PTA#6516である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記免疫グロブリンポリペプチドがモノクローナル抗体である、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
薬学的に許容される担体と共に、請求項1に記載の精製された免疫グロブリン又は抗原結合フラグメントの治療上有効な量を含む医薬組成物。
【請求項13】
KID31に特異的に結合し、以下の特徴:
a.癌細胞のKID31に結合する能力;
b.in vitro又はin vivoで生存細胞の表面に曝露しているKID31の部分に結合する能力;
c.KID31を発現する癌細胞に治療薬又は検出可能なマーカーを送達する能力;及び、
d.KID31を発現する癌細胞内に治療薬又は検出可能なマーカーを送達する能力、
の少なくとも1つ以上を有するモノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントの治療上有効な量を薬学的に許容される担体と共に含む医薬組成物。
【請求項14】
前記組成物が追加の治療薬部分を含む、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
ATCC No. PTA#6516又はその子孫よりなる単離された細胞株。
【請求項16】
化学療法剤と会合した抗KID31抗体を含む組成物を投与する工程を包含する、癌細胞に該化学療法剤を送達する方法であって、該癌細胞が副腎腫瘍、エイズ関連癌、胞状軟部肉腫、星状細胞腫、膀胱癌(扁平上皮癌及び移行上皮癌)、骨癌(アダマンチノーム、動脈瘤性骨嚢胞、骨軟骨腫、骨肉腫)、脳及び脊髄の癌、転移性脳腫瘍、乳癌、頸動脈小体腫瘍、子宮頸癌、軟骨肉腫、脊索腫、色素嫌性腎細胞癌、明細胞癌、結腸癌、結腸直腸癌、皮膚良性線維性組織球腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、上衣細胞腫、ユーイング腫、骨外性粘液様軟骨肉腫、線維形成性不完全骨、骨の線維性形成異常、胆嚢及び胆管の癌、妊娠性栄養膜疾患、生殖細胞腫瘍、頭部及び頚部の癌、島細胞肉腫、カポジ肉腫、腎臓癌(腎芽細胞腫、乳頭状腎細胞)、白血病、脂肪腫/良性脂肪腫様腫瘍、脂肪肉腫/悪性脂肪腫様腫瘍、肝癌(胚芽細胞腫、肝細胞癌)、リンパ腫、肺癌、髄芽細胞腫、黒色腫、髄膜腫、多発性内分泌線腺腫、多発性骨髄腫、脊髄形成異常症候群、神経芽腫、神経内分泌腫瘍、卵巣癌、膵臓癌、乳頭状甲状腺癌腫、甲状腺腫瘍、小児癌、末梢神経鞘癌、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、前立腺癌、後ブドウ膜黒色腫、希少な血液学的障害、腎転移癌、杆状腫瘍、横紋筋肉腫、肉腫、皮膚癌、軟組織肉腫、扁平上皮細胞癌、胃癌、滑膜肉腫、精巣癌、胸腺癌、胸腺腫、甲状腺転移癌及び子宮癌(頸癌、内膜癌及び平滑筋腫)に由来する癌細胞よりなる群から選択される、方法。
【請求項17】
前記化学療法剤が個体に投与される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ハイブリドーマがATCC No. PTA#6516又はその子孫である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
化学療法剤と会合した抗KID31抗体を含む組成物の有効量を個体に投与する工程を包含する、該個体における癌細胞の成長を抑制する方法であって、該癌細胞が副腎腫瘍、エイズ関連癌、胞状軟部肉腫、星状細胞腫、膀胱癌(扁平上皮癌及び移行上皮癌)、骨癌(アダマンチノーム、動脈瘤性骨嚢胞、骨軟骨腫、骨肉腫)、脳及び脊髄の癌、転移性脳腫瘍、乳癌、頸動脈小体腫瘍、子宮頸癌、軟骨肉腫、脊索腫、色素嫌性腎細胞癌、明細胞癌、結腸癌、結腸直腸癌、皮膚良性線維性組織球腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、上衣細胞腫、ユーイング腫、骨外性粘液様軟骨肉腫、線維形成性不完全骨、骨の線維性形成異常、胆嚢及び胆管の癌、妊娠性栄養膜疾患、生殖細胞腫瘍、頭部及び頚部の癌、島細胞肉腫、カポジ肉腫、腎臓癌(腎芽細胞腫、乳頭状腎細胞)、白血病、脂肪腫/良性脂肪腫様腫瘍、脂肪肉腫/悪性脂肪腫様腫瘍、肝癌(胚芽細胞腫、肝細胞癌)、リンパ腫、肺癌、髄芽細胞腫、黒色腫、髄膜腫、多発性内分泌線腺腫、多発性骨髄腫、脊髄形成異常症候群、神経芽腫、神経内分泌腫瘍、卵巣癌、膵臓癌、乳頭状甲状腺癌腫、甲状腺腫瘍、小児癌、末梢神経鞘癌、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、前立腺癌、後ブドウ膜黒色腫、希少な血液学的障害、腎転移癌、杆状腫瘍、横紋筋肉腫、肉腫、皮膚癌、軟組織肉腫、扁平上皮細胞癌、胃癌、滑膜肉腫、精巣癌、胸腺癌、胸腺腫、甲状腺転移癌及び子宮癌(頸癌、内膜癌及び平滑筋腫)に由来する癌細胞よりなる群から選択される、方法。
【請求項20】
前記化学療法剤が前記癌細胞に送達される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記抗KID31抗体がハイブリドーマATCC No. PTA#6516又はその子孫により発現されるモノクローナル抗体である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
個体由来の細胞を抗KID31抗体に接触させ、該細胞由来のKID31と該抗体との複合体があればそれを検出する工程を包含する、該個体における癌細胞の有無を検出する方法であって、該癌細胞が副腎腫瘍、エイズ関連癌、胞状軟部肉腫、星状細胞腫、膀胱癌(扁平上皮癌及び移行上皮癌)、骨癌(アダマンチノーム、動脈瘤性骨嚢胞、骨軟骨腫、骨肉腫)、脳及び脊髄の癌、転移性脳腫瘍、乳癌、頸動脈小体腫瘍、子宮頸癌、軟骨肉腫、脊索腫、色素嫌性腎細胞癌、明細胞癌、結腸癌、結腸直腸癌、皮膚良性線維性組織球腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、上衣細胞腫、ユーイング腫、骨外性粘液様軟骨肉腫、線維形成性不完全骨、骨の線維性形成異常、胆嚢及び胆管の癌、妊娠性栄養膜疾患、生殖細胞腫瘍、頭部及び頚部の癌、島細胞肉腫、カポジ肉腫、腎臓癌(腎芽細胞腫、乳頭状腎細胞)、白血病、脂肪腫/良性脂肪腫様腫瘍、脂肪肉腫/悪性脂肪腫様腫瘍、肝癌(胚芽細胞腫、肝細胞癌)、リンパ腫、肺癌、髄芽細胞腫、黒色腫、髄膜腫、多発性内分泌線腺腫、多発性骨髄腫、脊髄形成異常症候群、神経芽腫、神経内分泌腫瘍、卵巣癌、膵臓癌、乳頭状甲状腺癌腫、甲状腺腫瘍、小児癌、末梢神経鞘癌、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、前立腺癌、後ブドウ膜黒色腫、希少な血液学的障害、腎転移癌、杆状腫瘍、横紋筋肉腫、肉腫、皮膚癌、軟組織肉腫、扁平上皮細胞癌、胃癌、滑膜肉腫、精巣癌、胸腺癌、胸腺腫、甲状腺転移癌及び子宮癌(頸癌、内膜癌及び平滑筋腫)に由来する癌細胞よりなる群から選択される、方法。
【請求項23】
KID31とKID31結合パートナーとの間の以下の相互作用:
a.癌細胞のKID31に結合する能力;
b.in vitro又はin vivoで生存細胞の表面に曝露しているKID31の部分に結合する能力;
c.KID31を発現する癌細胞に治療薬又は検出可能なマーカーを送達する能力;及び、
d.KID31を発現する癌細胞内に治療薬又は検出可能なマーカーを送達する能力、
の少なくとも1つをブロックする薬剤。
【請求項24】
薬学的に許容される担体と共に、請求項23に記載の薬剤の治療上有効な量を含む医薬組成物。
【請求項25】
以下の特徴:
a.ヒトKID31とネイティブのKID31リガンドの間の相互作用を破壊又はブロックする能力;
b.ヒトKID31と抗KID31抗体の間の相互作用を破壊又はブロックする能力;
c.ヒトKID31に結合する能力;
d.ヒトKID31のネイティブのリガンドに結合する能力;
e.抗KID31抗体に結合する能力;
f.ヒトKID31、ネイティブKID31リガンド又は抗KID31抗体に結合できる抗体を生じさせることに使用できる抗原部位を含む;
g.ヒトKID31、ネイティブKID31リガンド又は抗KID31抗体に結合することができる抗体のスクリーニングに使用できる抗原部位;
h.ヒトKID31とネイティブKID31リガンドの間、又はKID31と抗KID31抗体の間の相互作用を破壊又はブロックすることができる抗体を生じさせることに使用できる抗原部位を含む;
i.ヒトKID31とネイティブKID31リガンドの間、又はKID31と抗KID31抗体の間の相互作用を破壊又はブロックすることができる抗体のスクリーニングに使用できる抗原部位を含む;
の少なくとも1つを有するKID31モジュレーター。

【図1】
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【公表番号】特表2008−526256(P2008−526256A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−551402(P2007−551402)
【出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/001245
【国際公開番号】WO2006/076584
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(504258240)レイベン バイオテクノロジーズ,インコーポレイティド (9)
【Fターム(参考)】