説明

LCD用カラーフィルターでのフッ素含有キナクリドン

【課題】LCD用カラーフィルターでのフッ素含有キナクリドンを提供する。
【解決手段】LCD用カラーフィルターでの式(I)


(式I中、
Aは、1個以上のフッ素原子で置換された有機基であり、
Bは、H、F、Cl、Br、または場合により置換された有機基であって。これは場合によりAと一緒になって環を形成してもよい)
のキナクリドンの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LCD(液晶ディスプレイ)用カラーフィルターにおける特定のフッ素含有キナクリドンの使用に、およびまたかかる着色剤の調合物に、およびカラーフィルターを製造するためのそれらの使用に、カラーフィルターそれ自体に、ならびにまた新規キナクリドンに関する。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルターは現在、液晶ディスプレイおよびスクリーン、色分解機器およびセンサーで主として用いられている。公知の一例は、パソコン、テレビおよびビデオカメラでのフラットスクリーンである。色が塗布される方法においてのみならず、原色の赤、緑および青、並びに黒からの色成分パターンの生成においても異なる、カラーフィルターの様々な製造方法がある。色は、例えば、可溶性染料または顔料を用いるベース層(例えば、ゼラチン)の着色(「染色法」、「染料分散法」)、顔料ペースト、顔料調合物または顔料インクのスクリーン印刷、オフセット印刷またはインクジェット印刷、染料または顔料をベースとするフォトレジストの電着によって、そしてまた、特に、ポリイミド樹脂中(「非感光性ポリイミド法」)、またはフォトレジスト中(「感光性アクリル法」)のどちらかに分散された顔料を使用する、顔料分散法を用いて塗布されてもよい。記載された方法と関連して、印刷による色成分パターンの直接生成、および間接的なフォトリソグラフィー生成の両方とも重要であり、後者は特に、前述の顔料分散法との関連で重要である。「非感光性ポリイミド法」の形態での顔料分散法の技術は、例えば、(特許文献1)(1998年)に開示されている。
【0003】
フォトレジストを必要とする顔料分散法の場合には、色付与顔料は、UV硬化性フォトレジスト中に微細分散(分配)されている。このフォトレジストは、顔料だけでなく、一般にバインダー樹脂、重合性モノマー、光開始剤および、場合により、溶媒からなる。それは、例えば、先ず溶媒および、場合により、バインダー樹脂中の濃縮物の形態で顔料を微細分散させ、塗布の直前に分散系をモノマーおよび光開始剤ならびにその上任意のさらなる成分と一緒に調整することによって製造される。顔料入りフォトレジストは、例えばスピンコーティング法を用いて基材、例えばガラスに均一に塗布され、予備乾燥させられ、フォトマスクを用いてUV露光され、一般に無機アルカリ性溶液を用いて所望の色成分パターンに現像され、このコーティングはきれいにされ、場合により後硬化させられる。この操作は、それぞれの色について、すなわち、三色刷りのためには、例えば、色赤、緑および青で一般に3回繰り返される。
【0004】
顔料分散法と併せての顔料の使用と関連する利点は、染料ベースのコーティングシステムと比べてカラーフィルターの改善された耐光性、耐湿性および耐温度性にある。その一方で、顔料をベースとするコーティングの透明性および色純度は、コーティング法にかかわらず、依然として不十分である。さまざまな顔料が混合物に組み込まれてフォトレジストでの所望の色軌跡値へ混合物を色づけするときに特に、輝度および透明性の望ましくない損失があり、その結果、ディスプレイまたはスクリーン(LCD)の操作がエネルギーコストの増大を不可避的に伴う。
【0005】
赤色カラーフィルターは多くの場合、C.I.ピグメントレッド179などのペリレンテトラカルボン酸ジイミドタイプ、またはC.I.ピグメントレッド254などのジケトピロロピロールタイプ、またはC.I.ピグメントレッド177などのアントラキノンの顔料を使用する。
【0006】
(特許文献2)は、C.I.ピグメントバイオレット19およびC.I.ピグメントレッド122などのキナクリドンの混合結晶、ならびにとりわけカラーフィルター向けのそれらの使用を記載している。特異な混合結晶に加えて、キナクリドンがキナクリドン核上にフッ素で置換された状態でのそれらについての一般的な言及もある。
【0007】
(特許文献3)は、カラーフィルター用の、キナクリドン核上にフッ素で場合により置換されたキナクリドンと、それらのスルホン化誘導体との混合物を開示している。これらのタイプの顔料の幾つかは前々から、高い光堅牢度および色の濃さを特色とする。透明性および色純度は不十分なままである。さらに、混合結晶(固溶体)の製造はしばしば、品質の観点で再現性の問題を伴い、それはその結果、特に透明性および色純度に対して、まさに色の濃さおよび光堅牢度に対しても有害な結果を与えるかもしれない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−217514号公報
【特許文献2】欧州特許出願公開A−1004941号明細書
【特許文献3】特開2002−348493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、従って、赤色有機顔料およびLCD用赤色カラーフィルターでのそれらの使用、そしてまたこれらの欠点を持たない、かかる有機顔料の調合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は従って、LCD用カラーフィルターでの式(I)
【化1】

(式中、
Aは、1個以上のフッ素原子で置換された有機基であり、
Bは、H、F、Cl、Br、または場合によりAと一緒になって環を形成してもよい場合によって置換されていてもよい有機基である)
のキナクリドンの使用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
式(I)の化合物は、好ましくはスルホ基を全く含有しない。
【0012】
好ましくはBは水素であり、且つAは、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、フェニルまたはフェノキシであって、それらのそれぞれは1個以上のフッ素原子で置換されている。
【0013】
同様に好ましくはAおよびBは一緒になって、1個以上のフッ素原子で置換されており、かつ、式(I)のベンゼン環の2つの隣接C原子と共に炭素環であるかまたはO、SもしくはNなどのヘテロ原子を含有していてもよい5員、6員または7員環を形成する架橋を形成する。
【0014】
好適なフッ素置換C〜Cアルキル基またはC〜Cアルコキシ基は、例えば、少なくとも1個のフッ素原子を有する、メチル、エチル、もしくは場合により分岐していてもよい、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルもしくはオクチル基または相当するアルコキシ基である。例は、フルオロメチル、トリフルオロメチル、2−フルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、パーフルオロブチル、パーフルオロオクチル、特に、パーフルオロ−n−オクチル、および相当するアルコキシ基である。
【0015】
好適なフッ素置換フェニルまたはフェノキシ基は、例えば、2−、3−または4−フルオロフェニルまたは−フェノキシ、2,4−または3,4−ジフルオロフェニルまたは−フェノキシ、ペンタフルオロフェニルまたは−フェノキシである。
【0016】
Bの可能な定義として好適な、場合により置換されていてもよい有機基は、好ましくは、1個以上のフッ素原子で置換された有機基、特に、Aとは独立して、基Aと同じ定義を有するものである。Aの好ましい定義、特にトリフルオロメチルが特に好ましい。
【0017】
AとBとによって一緒に形成される好適な架橋は、例えば、
−O−CF−O−、−O−CFCF−O−、−OCHF−CHF−O−、または−O−CFCFCF−O−である。
【0018】
式(I)の好ましい顔料は、式(II)〜(VIII)に相当する。
【化2A】

【化2B】

【0019】
X線回折図(Cu−Kα放射線)で次のd値(d:5.30; d:4.09; d:3.69; d:3.22)にラインを示し、かつ、本明細書で形態A(modification A)と呼ばれる式(II)の新規顔料が特に好ましい。
【0020】
X線回折図(Cu−Kα放射線)で次のd値(d:4.22; d:3.55; d:3.31)にラインを示し、かつ、本明細書で形態Bと呼ばれる式(II)の新規顔料が同様に特に好ましい。
【0021】
本発明に従って使用される顔料の粒度および表面積は、それ自体公知であり、かつ、塩混練またはボールミル粉砕、および/または場合により、例えば、添加剤の添加ありまたはなしで水性、有機もしくは水性/有機溶媒中での熱処理などの後仕上げ工程など、例えば、米国特許第6,068,695号明細書に記載されている方法によって調整することができる。
【0022】
本発明に従って使用される顔料は、好ましくは、40〜200m/gの、特に60〜140m/gの、非常に好ましくは70〜120m/gの比表面積を有する。表面積は、DIN 66131:Brunauer、EmmettおよびTeller(B.E.T.)の方法による、ガス吸着による固形分の比表面積の測定に従って測定される。
【0023】
本発明に従って使用される顔料は、冷間圧延の温度が25℃であり、そして熱間圧延の温度が150℃である、DIN 53775、パート7に従って測定される、10〜500の分散ハーシュネスを有することが好ましい。特に好ましく使用される顔料は、20〜250の分散ハーシュネスを有する。
【0024】
分散ハーシュネスは、DIN 53775、パート7に従って測定され、冷間圧延の温度が25℃であり、そして熱間圧延のそれが150℃である。
【0025】
本明細書に報告される分散ハーシュネスの全ては、この修正DIN仕様に従って測定された。
【0026】
本発明に従って使用される顔料は、好ましくは、10〜200nmの、特に20〜100nmの粒度(透過電子顕微鏡での縦軸サイズ)を有する。好ましくは、本発明に従って使用される顔料は、50%未満の、特に35%未満の、より好ましくは20%未満の相対標準偏差をもつ狭い粒度分布(標準偏差/粒度)を有する。好ましくは本発明に従って使用される顔料は、5:1〜1:1の、特に3:1〜1:1の、より好ましくは2:1〜1.2:1の長さ対幅比を有する。
【0027】
本発明に従って使用される式(I)の顔料はまた、例えば、カラーフィルターの光学特性を最適化する目的のために、他の顔料と組み合わせて用いることもできる。本発明は、可能な追加使用のための他の顔料の選択に関していかなる制限も課さない。有機および無機顔料の両方とも好適である。
【0028】
好ましい有機顔料は、例えば、モノアゾ、ジアゾ、レーキ型アゾ、β−ナフトール、ナフトールAS、ベンズイミダゾロン、キナクリドン、ジアゾ縮合物、アゾ金属錯体、イソインドリンおよびイソインドリノン類のもの、そしてまた、例えば、フタロシアニン、キナクリドン(上記式Iのもの以外のもの)、ペリレン、ペリノン、チオインジゴ、アントラキノン、ジオキサジン、キノフタロンおよびジケトピロロピロール類からなどの多環式顔料である。加えて、レーキ型染料、特にスルホン酸またはカルボン酸基を有する染料のCa、MgおよびAlレーキ。非常に特に好ましくは、アゾバルビツール酸のメラミン挿入(インターカレート型)ニッケル錯体が、併用するための顔料として主張される。
【0029】
場合により併用されることが意図され、かつ、カラーインデックスで知られる他の有機顔料の例は、
カラーインデックス・ピグメントイエロー12、13、14、17、20、24、74、83、86、93、94、109、110、117、125、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173、185、
カラーインデックス・ピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、71、72、73、
カラーインデックス・ピグメントレッド9、97、122、123、144、149、166、168、177、179、180、192、215、216、224、254、272、
カラーインデックス・ピグメントグリーン7、10、36、37、45、
カラーインデックス・ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、
カラーインデックス・ピグメントバイオレット19、23
である。
【0030】
カラーインデックスでは知られていないさらなる顔料は、例えば、式
【化3】

のメラミン挿入(インターカレート)ニッケル−アゾバルビツール酸錯体顔料およびまたその互変異性体形態であり、DE102005033581、特に実施例2で知られている。
【0031】
本発明に従って使用される式(I)の顔料のスルホン化誘導体について同様に言及されてもよい。
【0032】
式(I)のもの以外の「他の顔料」が追加して使用される場合、式(I)に従う、上に定義された「顔料」の割合は、全顔料の用いられる総量を基準として、好ましくは1〜99質量%、特に20〜80質量%である。
【0033】
併用するのに好ましい顔料は、ピグメントレッド122、ピグメントレッド149、ピグメントレッド177、ピグメントレッド179、ピグメントレッド254、ピグメントバイオレット19、ピグメントイエロー138、ピグメントイエロー139、ピグメントイエロー150、またはメラミン挿入ニッケル−アゾバルビツール酸錯体顔料である。
【0034】
LCD用カラーフィルターでの
− 式(I)の少なくとも1つの顔料、
− C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド254、およびC.I.ピグメントバイオレット19からなる群からの少なくとも1つのさらなる赤色顔料
を含む顔料混合物の使用が特に好ましい。
【0035】
好ましい使用のためのこの混合物は、場合により、1つ以上の黄色顔料をさらに含んでもよい。
【0036】
併用される黄色または橙色顔料は、好ましくは、400〜520nmの領域に吸収帯を有する。
【0037】
特にこの好ましい混合物は、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150およびメラミン挿入ニッケル−アゾバルビツール酸錯体顔料からなる群から選択される黄色顔料を含む。
【0038】
混合物はそれ自体、本発明によって同様に提供される。
【0039】
黄色または橙色顔料が「他の顔料」として使用される場合、これらの黄色または橙色の「他の顔料」の割合は好ましくは、全顔料の用いられる総量を基準として、1%〜50質量%、特に5%〜30質量%である。
【0040】
赤色顔料が「他の顔料」として使用される場合、これらの赤色の「他の顔料」の割合は好ましくは、全顔料の用いられる総量を基準として、1〜99質量%、特に20%〜80質量%である。
【0041】
本発明の顔料またはそれらの混合物で製造されるカラーフィルターは、高い色純度および優れた透明性について特に注目に値する。
【0042】
同様に、好ましくは、式(I)の顔料は、式(I)の他に黄色顔料、好ましくは400〜520nmの領域に吸収帯を有するものをまた含む混合物の形態で使用される。特に、この好ましい混合物は、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、およびメラミン挿入1:1ニッケル−アゾバルビツール酸錯体顔料からなる群から選択される黄色顔料を含む。この混合物はそれ自体その上、本発明によって同様に提供される。
【0043】
液晶ディスプレイ用カラーフィルターを製造するための上記の顔料または顔料混合物の本発明に係る使用は、フォトレジスト法に従った顔料分散法の例に関連して以下に記載される。
【0044】
カラーフィルターを製造するための本発明の顔料の本発明に係る使用は、例えば、顔料が、場合によりバインダー樹脂および有機溶媒と共に、場合により分散剤を添加して、均一にされ、次に、特に、99.5%が1000nm未満、好ましくは95%が500nm未満、特に90%が200nm未満の数による粒度(電子顕微鏡測定)にまで、連続または回分湿式粉砕にかけられることを特徴とする。好適な湿式粉砕法には、例えば、撹拌機または溶解機分散、撹拌ボールミルまたはビーズミル、混練機、ロールミルを用いる細砕、高圧均一化または超音波分散が含まれる。
【0045】
この分散処理に、少なくとも1つの光硬化性モノマーおよび光開始剤の添加が伴うかまたは続く。分散後に、さらなるバインダー樹脂、溶媒、または慣用のフォトレジスト補助剤が、カラーフィルターを製造するための所望の感光性コーティング調合物(フォトレジスト)に必要に応じて導入されてもよい。本発明の目的のためには、フォトレジストは、式(I)顔料に加えて、少なくとも1つの光硬化性モノマーと光開始剤とを含む調合物である。
【0046】
有用な分散剤には一般に、例えば、ポリカルボン酸またはポリスルホン酸、およびまたポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドブロックコポリマーをベースとする、高分子の、イオン性または非イオン性分散剤などの、商業的に入手可能な分散剤が含まれる。有機染料の誘導体はまた、さらに、分散剤または共分散剤として使用することができる。
【0047】
カラーフィルターの製造はそれ故、調製に基づいて
− 本明細書の目的のために本発明の顔料と呼ばれる、式(I)の少なくとも1つのキナクリドン、
− 場合により1つ以上の他の顔料、
− 場合によりバインダー樹脂、
− 少なくとも1つの有機溶媒、および
− 場合により分散剤
を含む「調製物」を生じさせる。
【0048】
好ましい一実施態様では、本調製物は、
1〜50質量%の式(I)の少なくとも1つのキナクリドン、
0〜50質量%の1つ以上の他の顔料、
0〜20質量%のバインダー樹脂、
0〜20質量%の分散剤、
10〜94質量%の有機溶媒
を(調製物を基準とする量)含有する。
【0049】
着色画素パターンを生成するための、プレート上へのフォトレジストのコーティングは、直接塗布または間接塗布のどちらかによって実施することができる。言及されてもよい塗布法の例には、インクジェット、ローラーコーティング、スピンコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティングおよびエアナイフコーティングが挙げられる。
【0050】
好適なプレートの例には、用途に依存して、次のものが挙げられる:白色または青色ガラスプレートなどの透明ガラス、ケイ酸塩被覆青色ガラスプレート、例えばポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂もしくは塩化ビニル樹脂をベースとする合成樹脂プレートまたは合成樹脂フィルム、およびさらにアルミニウム、銅、ニッケルもしくはスチールをベースとする金属プレート、およびまた光電子転写要素が塗布されたセラミックプレートまたは半導体プレート。
【0051】
塗布は、一般に、得られる感光層が厚さ0.1〜10μmであるような方法で達成される。
【0052】
塗布に、その層の熱乾燥が続いてもよい。
【0053】
露光は、好ましくは、フォトマスクを用いて画像パターンの形態で活性光ビームに感光層を曝すことによって好ましくは行われる。これは、露光部で層を硬化させる。好適な光源の例には、次のものが挙げられる:高圧および超高圧水銀灯、キセノン灯、ハロゲン化金属ランプ、蛍光灯、および可視領域のレーザービーム。
【0054】
露光後の現像により、コーティングの非露光部を除去して、色成分の所望の画像パターン形態を与える。慣例的な現像法には、水性のアルカリ性現像液の吹き付けもしくはその中への浸漬または、例えば、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウム、メタケイ酸ナトリウムなどの無機アルカリ、またはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミンもしくはそれらの塩などの有機塩基を含有する有機溶媒中への浸漬が含まれる。
【0055】
現像に、画像パターンの熱後乾燥/硬化が一般に続く。
【0056】
例えば、顔料分散法によってカラーフィルターにまたはカラーフィルターを製造するための調製物に、本明細書に基づく「顔料」または顔料調合物(すなわち、バインダー樹脂および式(I)の顔料を含有する)と一緒に使用することができるバインダー樹脂として、本発明は特定の制限を全く課さず、具体的には従来のフィルム形成樹脂がカラーフィルターでの適用に好適である。
【0057】
一例として、カルボキシメチル−ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアミド、ポリアミド−イミン、ならびにポリイミドの群からのバインダー樹脂が好適である。
【0058】
好適なバインダー樹脂には、また、光重合性の不飽和バインダーを含有するものが含まれる。バインダー樹脂は、例えば、アクリル樹脂の群からの樹脂であってもよい。特に、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、スチレンおよびスチレン誘導体などの重合性モノマーのホモポリマーおよびコポリマー、ならびにさらに、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、特に1〜12個の炭素原子のアルキルの、マレイン酸モノアルキルエステルなどのカルボキシルを有する重合性モノマーと、例えば、(メタ)アクリル酸、スチレンおよびα−メチルスチレン、m−もしくはp−メトキシスチレン、p−ヒドロキシスチレンなどの、スチレン誘導体などの重合性モノマーとの間のコポリマーについて言及されてもよい。言及されてもよい例は、カルボキシル含有高分子化合物と、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロイルグリシジルエーテルおよびイタコン酸モノアルキルグリシジルエーテルなどの、各場合に1つのオキシラン環とエチレン系不飽和化合物とを含有する化合物との反応生成物、ならびにまた、カルボキシル含有高分子化合物と、アリルアルコール、2−ブテン−4−オール、オレイルアルコール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミドなどの、ヒドロキシル基とエチレン系不飽和結合とを含有する化合物(不飽和アルコール)との反応生成物であり、この種のバインダー樹脂は、遊離のイソシアネート基を有する不飽和化合物をさらに含んでもよい。
【0059】
一般に、上記バインダー樹脂の不飽和当量(不飽和化合物当たりのバインダー樹脂の分子量)は、十分な光重合性のみならずフィルム硬度をもたらすために、200〜3000、特に230〜1000である。酸価は、一般に、フィルムの露光後の十分なアルカリ現像性をもたらすために、20〜300、特に40〜200である。
【0060】
使用されるべきバインダー樹脂の平均分子量は、1500〜200,000、特に10,000〜50,000g/モルである。
【0061】
カラーフィルター用の顔料調合物(調製物)の本発明に係る使用との関連で使用される有機溶媒は、例えば、ケトン、アルキレングリコールエーテル、アルコール、および芳香族化合物である。例は、ケトンの群から:アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなど;アルキレングリコールエーテルの群から:メチルセロソルブ(エチレングリコールモノメチルエーテル)、ブチルセロソルブ(エチレングリコールモノブチルエーテル)、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールイソプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール第三ブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールイソプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコール第三ブチルエーテルアセテートなど;アルコールの群から:メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、3−メチル−3−メトキシブタノールなど;および芳香族溶媒の群から:ベンゼン、トルレン、キシレン、N−メチル−2−ピロリドン、エチルN−ヒドロキシメチル−2−アセテートなどである。
【0062】
さらなる他の溶媒は、例えば、1,2−プロパンジオールジアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチルアセテート、テトラヒドロフランなどである。溶媒は、個々に、または相互の混合物で使用することができる。
【0063】
本発明は、上に定義した少なくとも1つの顔料または本発明の少なくとも1つの顔料調合物(調製物)と、少なくとも1つの光硬化性モノマー、およびまた少なくとも1つの光開始剤とを含むフォトレジストをさらに提供する。
【0064】
光硬化性モノマーは、分子中に少なくとも1つの反応性二重結合、および場合により他の反応性基、を含有する。
【0065】
光硬化性モノマーはこの文脈では、特に、反応性溶媒または、例えば、モノ−、ジ−、トリ−および多官能性アクリレートおよびメタクリレート、ビニルエーテル、ならびにグリシジルエーテルの群からの、反応性希釈剤と呼ばれるものであると解釈することができる。追加で存在する好適な反応性基には、アリル、ヒドロキシル、ホスフェート、ウレタン、第二級アミン、およびN−アルコキシメチル基が含まれる。この種のモノマーは当業者に公知であり、例えば[Dr.Ulrich Zorll、Roempp Lexikon、Lacke und Druckfarben、New York、Thieme Verlag Stuttgart社、1998年、491/492ページ]に、またはオンラインで「Reaktivverduenner」[反応性希釈剤(Reactive diluents)]という見出しでhttp://www.roempp.comに列挙されている。
【0066】
モノマーの選択は、具体的には、用いられる露光放射線の性質および強度、光開始剤との所望の反応、ならびにフィルム特性によって導かれる。モノマー組み合わせも使用することができる。
【0067】
光反応開始剤または光開始剤は、可視または紫外放射線を吸収することによって、例えば、上述のモノマーおよび/またはバインダー樹脂の部分で重合反応を誘導できる反応性中間体を形成する化合物であると理解されてもよい。光反応開始剤は同様に常識であり、同様に[Dr.Ulrich Zorll、Roempp Lexikon、Lacke und Druckfarben、New York、Thieme Verlag Stuttgart社、1998年、445/446ページ]から、またはオンラインで「Photoinitiatoren」[光開始剤(Photoinitiators)]という見出しでhttp://www.roempp.comで取得できる。
【0068】
本発明は、用いられるべきである光硬化性モノマーまたは光開始剤に関して制限を全く課さない。
【0069】
本発明は、好ましくは、
A)上に定義した少なくとも1つの「顔料」、特に、他の顔料との混合物、またはそれらに基づく本発明の顔料調合物、
B1)少なくとも1つの光硬化性モノマー、
B2)少なくとも1つの光開始剤、
C1)場合により有機溶媒、
D)場合により分散剤、
E)場合によりバインダー樹脂、
および場合によりさらなる添加剤
を含むフォトレジストを提供する。
【0070】
本発明はまた、本発明に従った使用のための固体顔料調合物または顔料に基づく着色画素パターンの生成技術に関して制限を全く課さない。上記のフォトリソグラフィー法に加えて、オフセット印刷、化学研磨、またはインクジェット印刷などの他の方法もまた好適である。好適なバインダー樹脂および溶媒または顔料媒剤(ピグメントベシクル)の、ならびにさらなる添加物の選択は、その特定の方法に適合するべきである。熱的のみならず機械的および圧電機械的インクジェット印刷を包含するインクジェット法の場合には、顔料および場合によりバインダー樹脂のための好適な媒剤(ベシクル)には、純有機媒剤のみならず、水性有機媒剤も含まれ、好適な有機溶媒は上で特定されたものであって、水性有機媒剤が実際に好ましい。
【0071】
本発明は、式(IVa)
【化4】

(式中、Rは、フッ素含有脂肪族基、特にフッ素含有C〜C基、好ましくは、フルオロメチル、トリフルオロメチル、2−フルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、パーフルオロブチル、またはパーフルオロオクチルである)
の化合物をさらに提供する。
【0072】
本発明は、ORで3位に好ましくは置換されたアニリン、特に式(IVb)
【化5】

(式中、Rは、フッ素含有脂肪族基、特にフッ素含有C〜C基、好ましくはフルオロメチル、トリフルオロメチル、2−フルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、パーフルオロブチル、またはパーフルオロオクチルである)
のアニリンが、好ましくは溶媒および酸性触媒の存在下に、スクシニルコハク酸ジメチルと反応させられ、生成物が次に酸化され、かつ、加水分解され、その後、生じたジカルボン酸が、好ましくは単離および乾燥後に、硫酸またはポリリン酸中で縮合させられてキナクリドンを与えることを特徴とする、式(IVa)の化合物の製造方法をさらに提供する。
【0073】
本発明は、式(Va)
【化6】

(式中、Rは、フッ素置換C〜Cアルキレン単位、特に−CF−、−CF−CF−、−CHF−CHF−、または−CF−CF−CF−である)
の化合物をさらに提供する。
【0074】
本発明は、−O−R−O−と好ましくは3,4−位で縮合したアニリン、特に式(Vb)
【化7】

(式中、Rは、フッ素置換C〜Cアルキレン単位、特に−CF−、−CF−CF−、−CHF−CHF−、または−CF−CF−CF−である)
のアニリンが、好ましくは溶媒および酸性触媒の存在下に、スクシニルコハク酸ジメチルと反応させられ、生成物が次に酸化され、かつ、加水分解され、その後、生じたジカルボン酸が、好ましくは単離および乾燥後に、硫酸またはポリリン酸中で縮合させられてキナクリドンを与えることを特徴とする、式(Va)の化合物の製造方法をさらに提供する。
【実施例】
【0075】
〔実施例1〕
a)中間体
1000gのメタノールを導入し、1.00モルのp−トリフルオロメトキシアニリンを添加した。0.44モルのDMSS(スクシニルコハク酸ジメチル)および6gの98%硫酸を導入した。反応を圧力下に85℃で2時間行った。その後、室温で、0.44モルのm−ニトロベンゼンスルホン酸Na塩を導入した。その後、2.05モルの50%水酸化カリウム溶液を滴下により添加し、37gの水を添加した。反応を圧力下に85℃で3時間行った。
さらに、1500gの水で希釈し、リン酸(85%濃度)を使用してpHを4に調整し、混合物をさらに1時間撹拌し、生成物を単離し、洗浄し、乾燥させた。
【0076】
収率:式:
【化8】

の95%ジカルボン酸
【0077】
b)環化
450gのポリリン酸(純度:84%P)を導入し、約100℃に加熱した。実施例1で製造したジカルボン酸0.13モルを、30分にわたって導入した。その後の撹拌を105℃で2時間行った。2.5時間にわたって、375gの75%リン酸を105℃で滴下して添加した。
30分にわたって、その粘稠な懸濁物を500gの水の装入物に滴下して加え、引き続き30分間撹拌した。生成物を単離し、塩がなくなるまで洗浄し、次に1000gの2%三リン酸カリウム溶液に懸濁させ、再び単離し、中性になるまで洗浄した。フィルターケーキを、メタノールとともにすり潰し、次にメタノールがなくなるまで水で洗浄し、乾燥させた。
【0078】
収率:91%のトリフルオロメトキシキナクリドン(式II)結晶形態A
【化9】

【0079】
BET:14m/g
【0080】
c)色相および分散ハーシュネスを測定するためのPVCサンプルの製造
分散ハーシュネスを測定するために、4.2部のVestolit(登録商標)E7004(エマルジョン−PVC粉末)、1.8部のフタル酸ジイソオクチル、0.15部のBaerostab(登録商標)UBZ770(液体バリウム−亜鉛安定剤)および0.125部のMoltopren(登録商標)白ペーストRUN 01(50%のTiOを含有する顔料調合物)から製造したPVCペースト100gを、150℃でCollin実験室混合ロールミルにかけた。ロールニップは0.8mmであった。
【0081】
0.1gのサンプルをPVCシートに塗布し、ロールニップを0.12mmにセットした。圧延シートを取り出し、再びロールにかけた。この操作を8回繰り返した。ロールニップを0.8mmにセットし、圧延シートを取り出した。60×60mmの大きさの試験体を圧延シートから打ち抜いた。
【0082】
シートの残りを次に25℃でロールミルにかけた。ロールニップは0.2mmであった。圧延シートを取り出し、再びロールにかけた。このプロセスを15回繰り返した。冷間圧延によってもはや平滑ではないシートを、0.8mmのロールニップで150℃にてロールにかけた。60秒後に、シートを取り出し、60×60mmの大きさの試験体をそれから打ち抜いた。ロールの回転速度を一定の20rpmに、フリクションを1:1.1に保持した。
【0083】
分散ハーシュネスは、25℃で圧延後の色の濃さの百分率増加である。
【0084】
分散ハーシュネス:78
【0085】
透明な試験体を、同じ方法で製造したが、ただし4.2部のVestolit(登録商標)E7004(E−PVC粉末)、1.8部のフタル酸ジイソオクチル、および0.15部のBaerostab(登録商標)UBZ770(液体バリウム−亜鉛安定剤)からなる試験ペーストを使用した。
【0086】
色相は、Gretag Macbeth分光計を用いて測定した。サンプルを、10°観測者角度、D65光源で、グロストラックなし:反射測定、で測定にかけた:
:65.82 a:38.34 b:−14.39 C:40.95 h°:339.44
【0087】
〔実施例2〕
110gの98%硫酸を20℃で導入した。14.9gのトリフルオロメトキシキナクリドン(実施例1で製造した)を10〜25℃で30分にわたって導入した。この溶液を20gの硫酸で希釈し、20分にわたって約20℃で500mlのメタノールに滴下して加えた。懸濁物を800gの水で希釈し、生成物を単離し、中性まで洗浄し、乾燥させた。
【0088】
収量:13gのトリフルオロメトキシキナクリドン(式II)結晶形態B
【0089】
BET:46m/g
【0090】
色相および分散ハーシュネスを測定するためのPVCサンプルの製造は、実施例1cと同じであった。
【0091】
分散ハーシュネス:600
【0092】
:63.37 a:43.64 b:−17.11 C:46.87 h°:338.59
【0093】
〔実施例3〕
370gのポリリン酸(純度:84%P)を導入し、約100℃に加熱した。実施例1a)で製造した、37.2gのジカルボン酸を30分にわたって導入した。引き続き105℃で1時間撹拌した。その粘稠な溶液を60℃で500mlのメタノールに滴下して加えた。引き続き60℃で1時間撹拌し、生成物を次に単離し、水で洗浄し、乾燥させた。
【0094】
収量:31.6gのトリフルオロメトキシキナクリドン(式II)結晶形態B
【0095】
BET:47m/g
【0096】
色相および分散ハーシュネスを測定するためのPVCサンプルの製造は、実施例1cと同じであった。
【0097】
分散ハーシュネス:106
【0098】
:64.58 a:43.29 b:−14.82 C:45.76 h°:341.11
【0099】
〔実施例4〕
1200gの98%濃度の硫酸を導入した。150gのトリフルオロメトキシキナクリドン(実施例1で製造した)を10〜25℃で30分にわたって導入し、ガラスフリットによって浄化した。
【0100】
1000mlの水を導入し、1500gの氷を導入した。30分にわたって、硫酸溶液を滴下して加え、約2500gの氷の添加によって温度を約−5℃に保持した。引き続き約30分間撹拌し、その後生成物を単離し、塩がなくなるまで洗浄した。
【0101】
収量:146gのトリフルオロメトキシキナクリドン(式II)結晶形態B
【0102】
BET:72m/g
【0103】
c)色相および分散ハーシュネスを測定するためのPVCサンプルの製造は実施例1cと同じであった。
【0104】
分散ハーシュネス:20
【0105】
:66.57 a:43.40 b:−12.91 C:45.28 h°:343.44
【0106】
〔実施例5〕
化合物(IV)を、実施例1についてと同じ方法で(m−トリフルオロメトキシアニリンから出発して)製造し、試験にかけた。
【化10】

【0107】
BET:46m/g
【0108】
分散ハーシュネス:100
【0109】
:64.85 a:30.28 b:−1.16 C:30.30 h°:357.81
【0110】
〔使用例〕
赤調合物の調製および赤色カラーフィルターを製造するためのその使用
〔使用例1(本発明に係らない)〕
使用した顔料:ピグメントレッド122
【0111】
撹拌容器中で774質量部のメトキシブチルアセテートと、ベンジルメタクリレート(70部)/2−ヒドロキシエチルメタクリレート(15部)/メタクリル酸(15部)をベースとするアルカリ可溶性コポリマー(バインダー樹脂)(分子量約25,000g/モル)のメトキシプロピルアセテート中の21%濃度溶液286質量部とを均一に混合した。
【0112】
その後、1質量%未満の残留含水率まで70℃で予め乾燥させた、100質量部のピグメントレッド122を均一に導入した。
【0113】
この顔料懸濁物を、0.14未満の多分散性と併せて150nm未満の有効粒径(メトキシプロピルアセテート中の約0.5質量%希釈物に関してレーザー散乱光相関分光法で測定した)が得られるまで、イットリウム安定化酸化ジルコニウムビーズ(直径0.6〜1.0mm)を用いる水平の密封ビーズミルで何回も磨り潰した(比較のために、メトキシプロピルアセテート中の1%希釈物の乾燥フィルムは、100nmより下の粒子の数の95%で非常に狭い粒度分布を有することが電子顕微鏡法下で観察された)。
【0114】
〔フォトレジストの製造〕
生じた調製物1000質量部中へ、34.5質量部のトリメチロールプロパントリアクリレート(モノマー反応性希釈剤)と、3/1質量部比のベンゾフェノンおよびN,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノンをベースとする13.8質量部の光反応開始剤とを、撹拌しながら均一に導入した。
これはUV硬化性フォトレジストを与え、それを透明な基材に塗布し、現像してカラーフィルターを得た。
【0115】
この目的のために、フォトレジストを、300×350mm大きさのきれいにしたホウケイ酸ガラス(Corning(登録商標)7059、Owens Corning Corp)の一部へスピンコートし、クリーン条件下にオーブン中110℃で5分間乾燥させて約1.5〜2μm厚さのフィルムを得た。
このフィルムを、冷却後に、次にネガティブマスクを用いて、超高圧水銀灯で200mJ/cmの照射量でUV露光して所望の縞画像パターンを得、次に室温で0.06%濃度の水酸化カリウム水溶液を用いて現像し、完全脱塩水で洗浄し、乾燥させた。次に、クリーン条件下にオーブン中235℃で30分間後硬化させた。
【0116】
〔使用例2(本発明)〕
使用した顔料:実施例3からの顔料
【0117】
撹拌容器中で774質量部のメトキシブチルアセテートと、ベンジルメタクリレート(70部)/2−ヒドロキシエチルメタクリレート(15部)/メタクリル酸(15部)をベースとするアルカリ可溶性コポリマー(バインダー樹脂)(分子量約25,000g/モル)の21%濃度のメトキシブチルアセテート中の溶液286質量部とを均一に混合した。
【0118】
その後、1質量%未満の残留含水率まで70℃で予め乾燥させた100質量部の実施例3からの顔料を均一に導入した。
【0119】
この顔料懸濁物を、0.14未満の多分散性と併せて150nm未満の有効粒径(メトキシプロピルアセテート中の約0.5質量%希釈物に関してレーザー散乱光相関分光法で測定した)が得られるまで、イットリウム安定化酸化ジルコニウムビーズ(直径0.6〜1.0mm)を用いる水平の密封ビーズミルで何回も磨り潰した(比較のために、メトキシプロピルアセテート中の1%希釈物の乾燥フィルムは、100nmより下の粒子の数の95%で、非常に狭い粒度分布を有することが電子顕微鏡法下で観察された)。
【0120】
〔フォトレジストの製造〕
生じた調製物1000質量部中へ34.5質量部のトリメチロールプロパントリアクリレート(モノマー反応性希釈剤)と、3/1質量部比のベンゾフェノンおよびN,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノンをベースとする13.8質量部の光反応開始剤とを撹拌しながら均一に導入した。
【0121】
これはUV硬化性フォトレジストを与え、それを透明な基材に塗布し、現像してカラーフィルターを得た。
【0122】
この目的のためにフォトレジストを、300×350mm大きさのきれいにしたホウケイ酸ガラス(Corning(登録商標)7059、Owens Corning Corp)の一部へスピンコートし、クリーン条件下にオーブン中110℃で5分間乾燥させて約1.5〜2μm厚さのフィルムを得た。
【0123】
フィルムを、冷却後に、次にネガティブマスクを用いて超高圧水銀灯で200mJ/cmの照射量でUV露光して所望の縞画像パターンを得、次に室温で0.06%濃度の水酸化カリウム水溶液を用いて現像し、完全脱塩水で洗浄し、乾燥させた。次に、クリーン条件下にオーブン中235℃で30分間後硬化させた。
【0124】
実施例3をベースとして、使用例2に従って製造された、得られた赤色発明カラーフィルター2は、ピグメントレッド122をベースとして使用例1に従って製造された、本発明ではないカラーフィルター1と比べて著しく向上したスペクトル透明性を有していた。カラーフィルター2の色純度および輝度は優れている。
【0125】
〔使用例3(本発明)〕
使用した顔料:
80%の実施例3からの顔料
20%のメラミン挿入1:1ニッケル−アゾバルビツール酸顔料
【0126】
〔赤色調合物の調製および赤色カラーフィルターを製造するためのその使用〕
使用例2に記載したものと同じ方法で、ただし80質量部の実施例3からの顔料および20質量部のメラミン挿入ニッケル−アゾバルビツール酸錯体(DE 10 2005 033 581 B4の実施例2に従って製造した)を用いて、カラーフィルター用の赤色フォトレジストの製造に非常に好適である調製物を調製した。
【0127】
使用例2に記載したように製造したフォトレジスト、およびそれを使用して製造した赤色の本発明のカラーフィルターは、非常に良好なスペクトル透明性ならびにまた優れた色純度および輝度を有していた。
【0128】
〔使用例4(本発明)〕
使用した顔料:
40%の実施例3からの顔料
40%のC.I.ピグメントレッド254
20%のメラミン挿入1:1ニッケル−アゾバルビツール酸顔料
【0129】
〔赤色調合物の調製および赤色カラーフィルターを製造するためのその使用〕
使用例2に記載したものと同じ方法で、ただし40質量部の実施例3からの顔料、40質量部のC.I.ピグメントレッド254、および20質量部のメラミン挿入ニッケル−アゾバルビツール酸錯体(DE 10 2005 033 581 B4の実施例2に従って製造した)を用いて、カラーフィルター用の赤色フォトレジストの製造に非常に好適である調製物を調製した。
【0130】
使用例2に記載したように製造したフォトレジスト、およびそれを使用して製造した赤色の本発明のカラーフィルターは、非常に良好なスペクトル透明性ならびにまた優れた色純度および輝度を有していた。
【0131】
〔使用例5(本発明)〕
使用した顔料:実施例4からの顔料
【0132】
〔赤色調合物の調製および赤色カラーフィルターを製造するためのその使用〕
使用例2に記載されたものと同じ方法で、ただし実施例4からの顔料を使用して、カラーフィルター用の赤フォトレジストの製造に非常に好適である調製物を調製した。
【0133】
使用例2に記載したように製造したフォトレジスト、およびそれを使用して製造した赤色の本発明のカラーフィルターは、非常に良好なスペクトル透明性ならびにまた優れた色純度および輝度を有していた。
【0134】
〔使用例6(本発明)〕
使用した顔料:実施例5からの顔料
【0135】
〔赤色調合物の調製および赤色カラーフィルターを製造するためのその使用〕
使用例2に記載したものと同じ方法で、ただし実施例5からの顔料を使用して、カラーフィルター用の赤色フォトレジストの製造に非常に好適である調製物を調製した。
【0136】
使用例2に記載されたように製造したフォトレジスト、およびそれを使用して製造した赤色の本発明のカラーフィルターは、非常に良好なスペクトル透明性ならびにまた優れた色純度および輝度を有していた。
【0137】
〔使用例7(本発明)〕
使用した顔料:式(III)の顔料
【0138】
〔赤色調合物の調製および赤色カラーフィルターを製造するためのその使用〕
使用例2に記載したものと同じ方法で、ただし式(III)の顔料を使用して、カラーフィルター用の赤色フォトレジストの製造に非常に好適である調製物を調製した。
【0139】
使用例2に記載したように製造したフォトレジスト、およびそれを使用して製造した赤色の本発明のカラーフィルターは、非常に良好なスペクトル透明性ならびにまた優れた色純度および輝度を有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、
Aは、1個以上のフッ素原子で置換された有機基であり、
Bは、H、F、Cl、Br、またはAと一緒になって環を形成していても形成していなくてもよい置換または非置換の有機基である)
のキナクリドンを含む顔料を用いてカラーフィルターを着色する工程を含む、液晶ディスプレイ用カラーフィルターの着色方法。
【請求項2】
前記式中、
Aが、それぞれが1個以上のフッ素原子で置換されている、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、フェニル、またはフェノキシであり、かつ、BがHであるか、
または、
AおよびBが一緒になって架橋であり、前記架橋は1個以上のフッ素原子で置換されており、且つ前記架橋は式(I)のベンゾ環の2つの隣接するC原子とともに、O、SもしくはNなどのヘテロ原子を含むか又は含まない炭素環である5員、6員もしくは7員環を形成している、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記式中、
Aが、フルオロメチル、トリフルオロメチル、2−フルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、パーフルオロブチル、パーフルオロオクチル、またはこれらの相当するアルコキシ基、特にトリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシであり、かつ、BがHであるか、
または、AおよびBが一緒になって、−OCFO−、−OCFCFO−、−OCHFCHFO−、もしくは−OCFCFCFO−である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
式(II)〜(VIII)の少なくとも1つの顔料が、式(I)の顔料として使用される、請求項1に記載の方法。
【化2A】

【化2B】

【請求項5】
式(I)の顔料が他の顔料と組み合わせて使用される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
式(I)の顔料が、モノアゾ、ジアゾ、レーキ型アゾ、β−ナフトール、ナフトールAS、ベンズイミダゾロン、キナクリドン、ジアゾ縮合物、アゾ金属錯体、イソインドリンおよびイソインドリノン類からの顔料と、および/または、例えば、フタロシアニン、キナクリドン(式Iのもの以外のもの)、ペリレン、ペリノン、チオインジゴ、アントラキノン、ジオキサジン、キノフタロン、およびジケトピロロピロール類からなどの多環式顔料と、および/またはレーキ型染料、特にスルホン酸もしくはカルボン酸基を有する染料のCa、MgおよびAlレーキ、と組み合わせて使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
− 式(I)の少なくとも1つの顔料と、
− C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド254、およびC.I.ピグメントバイオレット19からなる群からの少なくとも1つのさらなる赤色顔料と
を含む混合物を用いる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
− 式(I)の少なくとも1つの顔料および
− 400〜520nmの範囲に吸収帯を有する少なくとも1つの黄色顔料
を含む混合物を用いる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
式(I)の顔料が40〜200m/gのB.E.T.表面積を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
式(I)の顔料が、DIN 53775、パート7に準拠し、冷間圧延の温度が25℃であり且つ熱間圧延の温度が150℃で測定して、10〜500の分散ハーシュネスを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの光硬化性モノマーと、少なくとも1つの光開始剤と、請求項1〜10のいずれか一項に記載の式(I)の少なくとも1つの顔料とを含むフォトレジスト。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の少なくとも1つの顔料を含むカラーフィルター。
【請求項13】
請求項12に記載の少なくとも1つのカラーフィルターを含む液晶ディスプレイ。
【請求項14】
X線回折図(Cu−Kα放射線)で次のd値:
d:5.30; d:4.09; d:3.69; d:3.22(A形態)
にラインを有する式(II):
【化3】

の化合物。
【請求項15】
X線回折図(Cu−Kα放射線)で次のd値:
d:4.22; d:3.55; d:3.31(B形態)
にラインを有する式(II):
【化4】

の化合物。
【請求項16】
式(IVa):
【化5】

(式中、Rがフッ素含有脂肪族基、特にフッ素含有C〜C基、好ましくは、フルオロメチル、トリフルオロメチル、2−フルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、パーフルオロブチル、またはパーフルオロオクチルである)
の化合物、特に式(IV):
【化6】

の化合物。
【請求項17】
式(Va):
【化7】

(式中、Rは、フッ素置換C〜Cアルキレン単位、特に−CF−、−CFCF−、−CHFCHF−、または−CFCFCF−である)
の化合物、特に式(V):
【化8】

の化合物。
【請求項18】
− 式(I)の少なくとも1つの顔料と、
− C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド254、およびC.I.ピグメントバイオレット19からなる群からの少なくとも1つのさらなる赤色顔料と
を含む混合物。
【請求項19】
− 式(I)の少なくとも1つの顔料および、
− 400〜520nmの範囲に吸収帯を有する少なくとも1つの黄色顔料
を含む混合物。

【公開番号】特開2009−280819(P2009−280819A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−124342(P2009−124342)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(505422707)ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー (220)
【Fターム(参考)】