説明

LEDパッケージ及び照明装置

【課題】 演色性の良い照明、色再現範囲の広いバックライトの光源として採用できるLEDパッケージを提供する。
【解決手段】 本発明のLEDパッケージ1は、中心波長が600〜680nmの赤色LED素子3と、中心波長が430〜480nmで、赤色LED素子よりも発光面積が広い青色LED素子2と、青色LED素子により励起されて中心波長530〜590nmの光を発光する蛍光体とをパッケージングしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDパッケージ及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に白色LEDは発光効率が高いが、照明用の光源として使用する際に環境光の影響で見た目の色味が大きく変化する演色性の問題があり、バックライト用の光源として使用する際には色再現範囲が狭いといった問題点があった。
【0003】
このような問題点を解決する方法として、白色LEDを使用せずに、例えば、R、G、BのLEDを組み合わせたり、UV(紫外線)のLED素子と蛍光体を組み合わせたりして対応していた。しかし、このような方式では、発光効率が低い、コストが高い、混色が困難、制御が複雑等様々な問題点があった。
【0004】
また、前述の問題を解決するために、特開2004−327492号公報(特許文献1)、特開2004−356116号公報(特許文献2)では、例えば青色LEDと、赤色LEDと、青色LEDにより励起されて発光する蛍光体とを組み合わせたLEDデバイスが提案されている。しかし実際に確認してみると、図7のグラフに示すように、ほぼ同一の出力(電流)で点灯すると、赤色発光が強くて白色発光とはならず、白色発光させるためには青色LEDの電流を増すか、赤色LEDの電流を減らすかする必要がある。ところが、青色LEDの電流を増した場合には、寿命が短くなる問題点があった。他方、赤色LEDの電流を減した場合には単体の発光量が小さくなるため、このLEDデバイスをバックライト装置に光源として組込み所要量の明るさで液晶パネルを照らそうとすれば、多くの個数を必要とし、コスト及びスペース等に問題点があった。
【特許文献1】特開2004−327492号公報
【特許文献2】特開2004−356116号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述したような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、照明用の光源として用いた場合には安価で演色性が良い照明装置とすることができ、またバックライト用の光源として用いた場合にはカラー液晶パネルの色再現範囲を広くできるLEDパッケージを提供することを目的とし、またそのようなLEDパッケージを光源とした備えた照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明のLEDパッケージは、中心波長が600〜680nmの赤色LED素子と、中心波長が430〜480nmで、前記赤色LED素子よりも発光面積が広い青色LED素子と、前記青色LED素子により励起されて中心波長530〜590nmの光を発光する蛍光体とを備えたことを特徴とするものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1のLEDパッケージにおいて、単位面積当たりの発光量がほぼ等しい青色LED素子と赤色LED素子を備え、かつ前記青色LED素子として前記赤色LED素子よりも発光面積の大きいものを備えたことを特徴とするものである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1のLEDパッケージにおいて、単位面積当たりの発光量がほぼ等しい青色LED素子と赤色LED素子を備え、かつ前記青色LED素子の素子数を前記赤色LED素子の素子数よりも多くしたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項4の発明の照明装置は、請求項1〜3のLEDパッケージの複数個を光源として備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のLEDパッケージは、中心波長が600〜680nmの赤色LED素子と、中心波長が430〜480nmで、赤色LED素子よりも発光面積が広い青色LED素子と、青色LED素子により励起されて中心波長530〜590nmの光を発光する蛍光体とを備えているので、青色LED素子に対する単位面積当たりの電流を大きくしなくても、あるいは赤色LED素子に対する単位面積当たりの電流を小さくしなくても、定格通りの電流を給電しながらも青色光を多く発光させることができ、この結果として、照明用の光源として用いた場合には安価で演色性が良い照明装置とすることができ、またバックライト用の光源として用いた場合にはカラー液晶パネルの色再現範囲を広くできるLEDパッケージを提供することができる。
【0011】
また本発明の照明装置は、上記LEDパッケージの複数個を光源として備えているので、これを照明用途とする場合には演色性が良い照明装置を得ることができ、また液晶バックライト用途とする場合には色再現範囲の広いバックライト装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。
【0013】
(第1の実施の形態)図1は本発明の第1の実施の形態のLEDパッケージの上面図である。図1において、1はLEDパッケージ、2は青色LED素子、3は赤色LED素子、4は封止樹脂、5a、5bは青色LED素子2に対する給電部、6a、6bは赤色LED素子3に対する給電部を表している。
【0014】
LEDパッケージ1には、青色LED素子2及び、赤色LED素子3が実装されている。青色LED素子2は、素子寸法が一辺900μmのほぼ正方形であり、赤色LED素子3は素子寸法が一辺300μmのほぼ正方形である。一般的にLED素子の大きさは、LEDに流す電流値によって大きさが異なり、本実施の形態では、青色LED素子2は、定格電流値が350mAであり、赤色LEDの定格電流値は20mAである。LED素子に流すことのできる電流値は、LED発光層のPN接合部の接合温度によって決まる。放熱構造次第では、小さい素子でも大電流を流すことは可能であるが、一般的には、電流密度すなわちLEDのpn接合部の面積で最大電流値が決まってくる。青色LED素子2は、給電部5a、5bに接続されており、また、赤色LED素子3は、給電部6a、6bに接続されている。LEDパッケージ1は、封止樹脂4で充填されており、封止樹脂4には、青色LED素子2の発光により励起され、緑色及び黄色に発光する蛍光体が混合されている。
【0015】
本実施の形態のLEDパッケージ1では、青色LED素子2は中心波長430〜480nmで発光し、赤色LED素子3は中心波長600〜680nmで発光する。また、蛍光体は、青色LED素子2の発光する光により励起されて中心波長530〜590nmの光を発光する。
【0016】
本実施の形態のLEDパッケージ1を定格電流にて点灯させた時の分光分布を図2に示す。分光分布から計算すると相関色温度は7000K程度の白色発光であり、バックライト用光源として好適である。
【0017】
本実施の形態によれば、青色LED素子2と、赤色LED素子3と、青色LED素子2の発光により励起される蛍光体を具備し、実装してあるLED素子の面積比が青色LED素子>赤色LED素子であるLEDパッケージを使用することで、照明用途としては演色性が良い照明装置が作製でき、液晶バックライト用途としては色再現範囲の広いバックライト装置が作製できる。
【0018】
(第2の実施の形態)図3は本発明の第2の実施の形態のLEDパッケージの上面図である。尚、図1と同一の要素には同一の符号を用いて表している。
【0019】
本実施の形態のLEDパッケージ1は、青色LED素子2が2個直列接続されており、また、別系列で赤色LED素子3が1個接続されている。青色LED素子2は給電部5a、5bに接続されており、また、赤色LED素子3は給電部6a、6bに接続されている。両方のLED素子2、3は封止樹脂4で共に充填封止されている。封止樹脂4には、青色LED素子3の発光により励起され、緑色及び黄色に発光する蛍光体が混合されている。青色LED素子2の数と赤色LED素子3の数の比は、図示では2:1である。この素子数の比は、各LED素子2、3の発光効率によって決定されるが、両素子の電流密度をほぼ同等にして、青色光の全発光量が赤色光の全発光量よりも大きくなる比数に設定する。
【0020】
本実施の形態のLEDパッケージ1を点灯させた時の分光分布を図4に示す。分光分布から計算すると相関色温度は7000K程度の白色発光であり、バックライト用光源として好適である。
【0021】
本実施の形態によれば、青色LED素子2と、赤色LED素子3と、青色LED素子2の発光により励起されて、緑色及び黄色に発光する蛍光体を具備し、パッケージに実装してある青色LED素子2と赤色LED3の数量比が、青色LED>赤色LEDであるLEDパッケージ1を光源として使用することで、照明用途としては演色性が良い照明装置が作製でき、また液晶バックライト用途としては色再現範囲の広いバックライトが作製できる。
【0022】
(第3の実施の形態)図5は本発明の第3の実施の形態の照明装置としてのバックライト装置の構造を示す図である。バックライト装置10は、エッジライト方式で、第1の実施の形態又は第2の実施の形態のLEDパッケージ1をLEDアレイ12上に並べて、導光板11の長辺の片側に配置してある。LEDパッケージ1から発光した光は導光板11に入光し、導光板11内で全反射を繰り返しながら進行する。導光板11の裏面のパターン11aに光が当たると、光路が曲げられて全反射の条件が崩れて発光面11bから出射する。
【0023】
図6はLEDアレイ12の構造を示す図である。各LEDパッケージ1間の青色LED素子2同士及び赤色LED素子3同士は直列接続し、青色LED素子2、赤色LED素子3は別々の給電端子121、122に接続され、別駆動させる。別駆動させることで、バックライト装置上の色度の調整が可能となる。また、図示していないが、例えば基板上に温度センサーを設け、温度に応じてLEDの電流を調整する回路と組み合わせたり、バックライト装置の輝度・色度をモニターするカラーセンサーを用いて周囲環境、寿命中で変化する輝度・色度を一定に保つようにコントロールする回路と組合せてもよい。LEDパッケージ1の数が多いときは、青色LED素子2と赤色LED素子3を別接続する限りは、直列接続と並列接続の組合せとしてもよい。
【0024】
本実施の形態のバックライト装置では、中心波長が600〜680nmの赤色LED素子3と、中心波長が430〜480nmで赤色LED素子3よりも発光面積が広い青色LED素子2と、青色LED素子2により励起されて中心波長530〜590nmの光を発光する蛍光体とを備えたLEDパッケージ1を複数個、光源として採用しており、これらのLEDパッケージ1は照明用途としては演色性が良い照明装置が作製でき、また液晶バックライト用途としては色再現範囲の広いバックライトが作製できるものであるであるので、本実施の形態のバックライト装置は色再現範囲の広いバックライトとしてなる。
【0025】
尚、上記第3の実施の形態では照明装置としてエッジライト方式のバックライト装置を示したが、第1、第2の実施の形態のLEDパッケージ1を多数個バックライトケースの底面に配置した直下型バックライト装置を作製することもできる。また、白色照明装置とすることにより、演色性に優れた照明が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施の形態のLEDパッケージの構造を示す上面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態のLEDパッケージを定格電流にて点灯させた時の分光分布を示すグラフ。
【図3】本発明の第2の実施の形態のLEDパッケージの構造を示す上面図。
【図4】本発明の第2の実施の形態のLEDパッケージを定格電流にて点灯させた時の分光分布を示すグラフ。
【図5】本発明の第3の実施の形態のバックライト装置の構造を示す分解斜視図。
【図6】本発明の第3の実施の形態のバックライト装置におけるLEDアレイの構造を示す正面図。
【図7】従来のLEDパッケージを定格電流にて点灯させた時の分光分布を示すグラフ。
【符号の説明】
【0027】
1 LEDパッケージ
2 青色LED素子
3 赤色LED素子
4 封止樹脂
5a、5b、6a、6b 給電部
10 バックライト装置
11 導光板
12 LEDアレイ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心波長が600〜680nmの赤色LED素子と、中心波長が430〜480nmで、前記赤色LED素子よりも発光面積が広い青色LED素子と、前記青色LED素子により励起されて中心波長530〜590nmの光を発光する蛍光体とを備えたことを特徴とするLEDパッケージ。
【請求項2】
単位面積当たりの発光量がほぼ等しい青色LED素子と赤色LED素子を備え、かつ前記青色LED素子として前記赤色LED素子よりも発光面積の大きいものを備えたことを特徴とする請求項1に記載のLEDパッケージ。
【請求項3】
単位面積当たりの発光量がほぼ等しい青色LED素子と赤色LED素子を備え、かつ前記青色LED素子の素子数を前記赤色LED素子の素子数よりも多くしたことを特徴とする請求項1に記載のLEDパッケージ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のLEDパッケージの複数個を光源として備えたことを特徴とする照明装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−27421(P2007−27421A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−207602(P2005−207602)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】