説明

LEDライトストリップによって照らされる窓ガラスアセンブリおよび製造方法

照明システムを有する窓ガラスアセンブリが、少なくとも、a)窓ガラス(1)と、b)窓ガラス(1)の縁部に接続片(6)によって取り付けられたLEDライトストリップ(2)であって、少なくとも、b.1)LED回路板(3)、b.2)LED(4)、b.3)電気接続ケーブル(7)、b.4)LED回路板(3)、LED(4)および電気接続ケーブル(7)のポリマーシース(5)を含むLEDライトストリップ(2)と、c)窓ガラス(1)に取り付けられた反射板(8)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明付き窓ガラスアセンブリ、その製造方法、およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
照明付き窓ガラスアセンブリは、窓ガラスと窓ガラスの縁部上に直接取り付けられた照明手段とを備える。窓ガラスの表面上の隆起した反射要素が窓ガラス領域の照明を可能にする。したがって、内部空間が、さらには建物ファサードも非常に均一に照明されうる。照明付き窓ガラスアセンブリは、建物および自動車の内外の多くの応用分野に見られる。
【0003】
フロアランプやシーリングランプなどの点光源とは対照的に、非常に均一な面光(area light)が、照明付き窓ガラスアセンブリによって生成されうる。使用される照明光源および作動電子回路(activation electronics)に応じて、様々な光効果もまた実現されうる。具体的には、カラーLEDの使用で、様々な色彩効果が混合されうる。したがって、移動光効果が、個々のLEDの的を絞った作動および消灯によってもたらされうる。観察者には、光は色の波が広がるように見える。色の多数の波が互いに重なり合うと、色モアレ効果などのさらなる効果がもたらされる。これらの光と色の効果はまた、広告スペースのために、または芸術的建築学的効果をもたらすために使用されうる。
【0004】
LEDなどの照明手段の取付けは、普通は剛体LEDストリップで行われる。並べて取り付けられるLEDは、窓ガラス上の固定されたプラスチックまたは金属ハウジング内のLED回路板上に取り付けられる。それによって得られたLEDストリップと窓ガラスの様々な材料特性により、取付けは、実現が困難であることが多い。さらに窓ガラスの幾何形状とLEDストリップの幾何形状とが互いにわずかにずれた場合、恒久的な取付けはさらに困難になる。特に電気接続部および電線との取付許容差は、多くの場合、水分が浸透しうる非密封点をも作りだす。多くの場合、この水分は、電気的短絡を引き起こし、時間と費用のかかる修理が必要となる。
【0005】
独国実用新案第29510238号明細書は、周辺領域内に取り付けられた投光手段または光ガイドを有する窓を開示している。窓上に取り付けられた反射板(光偏向手段)が、光を偏向させて窓の中で結合されるのを可能にする。可能な光源としては、白熱電球、蛍光管、LEDなどがある。
【0006】
独国特許出願公開第19852593号明細書は、透明グレージングを用いた面光を開示している。光源が消灯されたときに、窓ガラスは透明である。光源が点灯されたときに、グレージングは面光として機能する。
【0007】
独国特許出願公開第10224421号明細書は、コンピュータワークステーションの背後に配置されたランプ付き光壁を開示している。光壁は、好ましくはLEDによって照らされる透明なガラスまたはプラスチックの窓ガラスからなる。明度および色成分は、制御ユニットによって調整されうる。制御ユニットは、コンピュータワークステーションのPCに直接接続されることができ、ワークステーションの明度をモニタの明度に応じて調整することができる。
【0008】
独国実用新案第202006006051号明細書は、自動車の後部窓を開示している。窓ガラス上に取り付けられたシンボルを照らし出すことを可能にする光源は窓ガラスの縁部上に配置される。
【0009】
欧州特許第1346178号明細書は、サンドイッチ状パネル要素を開示している。2枚のパネルは、光に対してほとんど透明である。太陽電池素子が、パネルの中間スペース内またはパネル上に取り付けられる。光源が少なくとも一方のパネルの前面上に配置され、追加の照明を可能にする。
【0010】
追加のLED付き照明ユニットが、独国特許出願公開第102004035756号明細書、欧州特許出願公開第1998103号明細書、米国特許出願公開第2008/0316741号明細書、および特開2007−036044号公報にも見られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】独国実用新案第29510238号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第19852593号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第10224421号明細書
【特許文献4】独国実用新案第202006006051号明細書
【特許文献5】欧州特許第1346178号明細書
【特許文献6】独国特許出願公開第102004035756号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第1998103号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2008/0316741号明細書
【特許文献9】特開2007−036044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、窓ガラス上へのLEDライトストリップの緊密な水分不浸透性であると同時に柔軟な取付けを可能にする照明付き窓ガラスアセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の目的は、本発明により、照明付き窓ガラスアセンブリ、その製造方法、独立請求項1、11、12および15によるその使用によって達成される。好ましい実施形態が従属請求項に示されている。
【0014】
照明付き窓ガラスアセンブリは少なくとも、窓ガラスと、接続片と、窓ガラスの縁部上に接続片によって取り付けられたLEDライトストリップと、を備える。窓ガラスは、ガラスおよび/または透明ポリマーなどの材料を含んでいる。窓ガラスは、85%を超える光透過率を有することが好ましい。原理上、窓ガラスの様々な幾何形状が考えられ、例えば矩形形状、台形形状、および円形形状が考えられる。
【0015】
接続片は、LEDライトストリップを窓ガラスに接続し装着する。接続片は、好ましくは、窓ガラスに相当する光透過率を有する。接続片は、好ましくは、薄い、接着性かつ/または粘着性ポリマー膜を備える。接続片の厚みは、好ましくは5mm未満、特に好ましくは1mm未満である。接続片は、以下に説明するLEDストリップのポリマーシースと同様かつ/または同一の組成を有することが好ましい。
【0016】
LEDライトストリップは少なくとも、LED回路板、LED、電気接続ケーブル、およびポリマーシースを備える。LED回路板は、市販の回路板および/またはカードを備える。これらは、電気接続部が付着される電気絶縁材料で作られる。絶縁材料の例としては、非導電性ポリマー、例えばエポキシ樹脂含浸ガラス繊維、テフロン(登録商標)、セラミック、および/またはポリエステル膜がある。電気接続部(例えば導線)は、好ましくは、銅、鉄、スズ、ニッケル、金、および/または銀を含有する。LEDは、LED回路板上に取り付けられ、電気接続部を介して接触する。電気接続ケーブルは電源との接続部である。電気接続ケーブルと電源との間に制御装置も配置されることが好ましい。この制御装置は個々のLEDの標的照明を可能にする。LED回路板上に様々なカラーLEDを配置することにより、色光の効果が生成されうる。LED回路板、LED、および電気接続ケーブルを備えるLEDライトストリップの構成要素の全体的な配置は、ポリマーシース内に位置する。好ましくは完全に閉鎖されたポリマーシースが構成要素を密閉し、水分および汚染物の浸透を阻止する。ポリマーシースの化学組成および厚み次第で、LEDライトストリップは可撓性であり、円形窓ガラス上にも取り付けられうる。ポリマーシースは、LEDの光の出力側に高光沢面を有することが好ましい。
【0017】
窓ガラス上に取り付けられた反射板は、光を反射してLEDライトストリップから外側に向かって窓ガラスの中で結合される。窓ガラス上に個別の反射板だけが取り付けられている場合、窓ガラスは反射板の領域内だけが明るくなる。窓ガラスの表面全体に反射板が設けられている場合、それに応じて窓ガラス全体が明るくなる。
【0018】
接続片は、両面光透過性接着テープを含むことが好ましい。接着テープ上の接着剤の選定は、窓ガラスまたはポリマーシースの材料によって決定される。
【0019】
光透過性接着テープは、ポリマーシースに面する側にシリコーン系接着剤を含み、窓ガラスに面する側にアクリレート系接着剤を含むことが好ましい。したがって、例えば、シリコーンで作られたポリマーシースが、ガラスまたはポリアクリル酸で作られた窓ガラスにしっかりと接合されうる。
【0020】
光透過性は、好ましくは接着テープであり、好ましくはコロナ放電によって活性化される。接着テープの接着性を高めることができる極性分子または分子画分が接着テープの表面上に生じる。極性分子に加えて、ラジカル分子画分またはイオンが活性化接着テープの表面上に生じることができる。
【0021】
窓ガラスは、ガラスおよび/またはポリマー材料、特に好ましくは平面ガラスおよび/またはポリメチルメタクリレート材料のうちの1つを含むことが好ましい。
【0022】
窓ガラスは、好ましくは0.2mより大きい面積を、特に好ましくは1mより大きい面積を、さらに好ましくは5mより大きい面積を有する。
【0023】
ポリマーシースは、シリコーン、ポリイソプレン、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンアクリロニトリルゴム、および/またはポリアクリレート、ならびにそれらの混合物および/または共重合体を含有することが好ましい。
【0024】
シリコーンは、RTV(室温加硫)シリコーンゴム、HTV(加硫処理することができる)シリコーンゴム、過酸化物加硫シリコーンゴム、2成分LSR(液状シリコーンゴム)シリコーンゴム、および/または付加加硫シリコーンゴム、ならびにそれらの混合物および/または共重合体を含むことが好ましい。
【0025】
ポリマーシースの光透過率は、60%超、好ましくは75%超、特に好ましくは85%超であることが好ましい。
【0026】
ポリマーシースは、押出シリコーン成形体を含むことが好ましい。押出シリコーン成形体は、透明性の高い過酸化物加硫シリコーンゴムおよび/または付加加硫シリコーンゴムから作られることが好ましい。光透過率は、好ましくは75%超、特に好ましくは85%超である。押出シリコーン成形体は、別個に前もって作られうる。LED、LED回路板、および電気接続ケーブルは、後で押出シリコーン成形体内に挿入されることができ、シリコーン成形体は封止されることができる。
【0027】
ポリマーシースは、紫外線安定剤および保存料を含むことが好ましい。紫外線安定剤の例としては、ヒドロキシベンゾフェノンおよびジアルキルジチオカルバメートがある。
【0028】
接続片は、アクリレート接着剤、メチルメタクリレート接着剤、シアノアクリレート接着剤、ポリエポキシ、シリコーン接着剤、および/またはシラン架橋ポリマー接着剤、ならびにそれらの混合物および/または共重合体を含むことが好ましい。
【0029】
接続片の光透過率は、80%超、特に好ましくは90%超であることが好ましい。
【0030】
LEDとしては、LED(発光ダイオード)とOLED(有機発光ダイオード)の両方であることが好ましい。
【0031】
LEDは、窓ガラスからの距離が1mm未満、特に好ましくは0.5mm未満であることが好ましい。
【0032】
反射板は、光拡散構造、特に好ましくは、粒子、ドットパターン、ステッカ、堆積物、凹部、切開部、線パターン、重ね刷り、および/またはシルクスクリーン印刷を含むことが好ましい。
【0033】
LED回路板は、銀、銅、スズ、ニッケル、金、アルミニウム、鉄、タングステン、および/またはクロム、ならびに/あるいは導電性接着テープを含むことが好ましい。
【0034】
本発明はさらに、照明付き窓ガラスアセンブリを製造する方法を含む。最初のステップで、LEDおよび電気接続ケーブルがLED回路板上に取り付けられる。これは、例えばプラグ接続および/またははんだ付けによって行われることができる。それによって得られたLEDアレイは型内に挿入される。型は、LEDライトストリップのその後の寸法を予め決定する。次いで、型は原料ポリマーシースで充填される。原料ポリマーシースは、高温加硫シリコーンまたは付加加硫シリコーンを含むことが好ましい。[型内に]充填されたポリマーシースは、使用される高温加硫シリコーンまたは付加加硫シリコーンに応じて、120℃から250℃までの温度で硬化して(加硫処理をうけて)ポリマーシースを形成する。得られたLEDライトストリップは、接続片を用いて窓ガラスに接続される。接続片は、好ましくは液体硬化性シリコーンから製造され、硬化後に窓ガラスとLEDライトストリップとを接続する。
【0035】
本発明による照明付き窓ガラスアセンブリを製造する代替方法では、最初のステップで、LEDおよび電気接続ケーブルがLED回路基板上に取り付けられる。これは、例えばプラグ接続、接着、および/またははんだ付けによって行われることができる。得られたLEDアレイはポリマーシース内に挿入される。ポリマーシースは、過酸化物加硫シリコーンゴムまたは付加加硫シリコーンゴムを含有することが好ましい。ポリマーシースは、それがLEDアレイを溝に収容しかつ後方を開放するように設計される。LEDアレイは開口から挿入される。ポリマーシースの外側縁上に輪郭溝が取り付けられうることが好ましい。輪郭溝は、金属またはシリコーンで作られた追加の反射板の取付けを可能にする。ポリマーシースは、LEDの光の出力側に高光沢面を有することが好ましい。次いで、ポリマーシースは封止される。封止は、光透過性ポリマー、例えばRTVシリコーンゴムで行われることが好ましい。得られたLEDライトストリップは、接続片を用いて窓ガラスに接続される。
【0036】
接続片は、好ましくは液体硬化性シリコーンから製造され、硬化後にLEDライトストリップを窓ガラス上に取り付ける。
【0037】
LEDライトストリップの電気接続ケーブルには、LEDライトストリップのポリマーシースの完全な封止を確実にするポリマーシースが完全に設けられることが好ましい。
【0038】
接続片は両面光透過性接着テープを含むことが好ましい。接着テープには、片側にシリコーン含有接着剤が設けられ、反対側にアクリレート含有接着剤が設けられることが特に好ましい。
【0039】
接続片ならびに接続片と接触する窓ガラスの領域および/またはポリマーシースは、プラズマ処理、照射、および/またはコロナ処理によって活性化されることが好ましい。接着テープの接着性を高めることができる極性分子または分子画分が接着テープの表面上に生じる。極性分子に加えて、ラジカル分子画分またはイオンが活性化された接着テープの表面上に生じることができる。
【0040】
本発明はさらに、照明付き窓ガラスアセンブリを、建物の屋内照明、建物の屋外照明、広告媒体、および/または自動車の窓ガラスとして使用することを含む。
【0041】
以下では、本発明について、図面および例示的な一実施形態ならびに比較例を参照して詳細に説明される。図面は、単に略図であり、原寸に比例して描かれていない。図面は、決して本発明を限定するものではない。
【0042】
本発明の例示的な一実施形態が図面に描かれており、以下で詳細に記述される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明による照明付き窓ガラスアセンブリの断面図である。
【図2】照明付き窓ガラスアセンブリを製造する本発明による方法の好ましい一実施形態のフローチャートを表す図である。
【図3】照明付き窓ガラスアセンブリを製造する本発明による方法のもう一つの実施形態のフローチャートを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、本発明による窓ガラスアセンブリ(A)の断面を示す。LEDライトストリップ(2)は、少なくとも1つのLED回路板(3)とそれに取り付けられたLED(4)とを備える。電気接続部(7)はLED回路板(3)に電力を供給する。LEDライトストリップ(2)はポリマーシース(5)を有する。光透過性ポリマーで作られたポリマーシース(5)は、LEDライトストリップ(2)をその環境に対して封止する。LEDライトストリップ(2)は、窓ガラス(1)の縁部に接続片(6)によって接続される。接続片は両面光透過性接着テープを含む。LEDライトストリップから窓ガラス(1)の中を照らす光(a)は、窓ガラス(1)上に取り付けられた反射板(8)による反射光として、窓ガラス(1)から放射される。
【0045】
図2は、本発明による照明付き窓ガラスアセンブリ(A)を製造するための好ましい一実施形態のフローチャートを示す。最初のステップで、LED(4)および電気接続ケーブル(7)がLED回路板(3)上に取り付けられる。これは、例えばプラグ接続、接着、および/またははんだ付けによって行われることができる。製造されたLEDアレイは型内に挿入される。ここで、型の温度耐性は、使用されるシリコーンの加硫温度を上回るように選択されなければならない。使用される型は、それが密閉されたLEDの光の出力面上に高光沢面を有するように設計されることが好ましい。
【0046】
次いで、型は原料ポリマーシースで充填される。原料ポリマーシースは、ショアA硬さが30から90の光透過性HTVシリコーンを含む。あるいは、ショアA硬さが30から90の光透過性2成分LSR(液状シリコーンゴム)シリコーンゴムも使用されうる。エラストマに対するショア硬さの定義は、DIN53505およびDIN7868に見られる。[型に]充填された原料ポリマーは、使用される高温加硫シリコーンまたは付加加硫シリコーンに応じて、好ましくは160℃から200℃までの温度と150kNから250kNの締付け力とで加硫処理される(硬化する)。
【0047】
得られたLEDライトストリップ(2)は、ガラスで作られた窓ガラス(1)に、両面光透過性接着テープ(6)で作られた接続片(6)によって接続される。接着テープ(6)は、LEDライトストリップ(2)に面する側にシリコーン含有接着剤を含む。接着テープは、窓ガラス(1)に面する側にアクリレート系接着剤を含む。接着テープはまた、コロナ放電によって処理され活性化されうる。コロナ放電の継続時間および強さは、接着テープのサイズと接着テープ上に使用される接着剤の種類とに適合される。
【0048】
図3は、本発明による照明付き窓ガラス配置(A)を製造するもう一つ方法のフローチャートを示す。最初のステップで、LED(4)および電気接続ケーブル(7)がLED回路板(3)上に取り付けられる。これは、例えばプラグ接続および/またははんだ付けによって行われることができる。得られたLEDアレイはポリマーシース(5)内に挿入される。ポリマーシース(5)は、過酸化物加硫シリコーンゴムまたは付加加硫シリコーンゴムを含む。ポリマーシース(5)は、それがLEDアレイを溝に収容することができるように後方を開放する。ポリマーシース(5)は、LEDの光の出力側に高光沢面を有することが好ましい。次いで、ポリマーシース(5)は封止される。封止は、光透過性ポリマー、例えば室温加硫シリコーンゴムで行われる。電気接続ケーブル(7)には、システムの完全な封止を確実にするポリマーシースが設けられる。得られたLEDライトストリップ(2)は、ガラスで作られた窓ガラス(1)に、両面光透過性接着テープ(6)で作られた接続片(6)によって接続される。接着テープ(6)は、LEDライトストリップ(2)に面する側にシリコーン含有接着剤を含む。接着テープ(6)は、窓ガラス(1)に面する側にアクリレート系接着剤を含む。接着テープ(6)はまた、コロナ放電によって活性化されうる。コロナ放電の継続時間および強さは、接着テープ(6)のサイズと接着テープ上に使用される接着剤の種類とに適合される。
【0049】
参照文字は下記を意味する:
(1)窓ガラス
(2)LEDライトストリップ
(3)LED回路板
(4)LED
(5)ポリマーシース
(6)接続片
(7)電気接続ケーブル
【0050】
以下では、本発明について、本発明による方法の実施例および比較例に関してより詳細に説明される。
【0051】
本発明による照明付き窓ガラス配置(A)の安定性および密封性が2つの試験シリーズで試験された。そのために、本発明による実施例1ならびに比較例2および3のLEDライトストリップ(2)は、酸性条件および高湿度下で負荷試験を受けた。LEDライトストリップ(2)(長さ450mm、幅18mm、高さ11.4mm)には、すべての実施例に、72個のLED(青24個、赤24個、緑24個)を含めた。すべての試験が、LEDの100%全負荷(24V、6ワット)で行われた。本発明による実施例1と比較例2には共に、重量比1:1のElastosil(R)LR 3003/60 AとElastosil(R)LR 3003/60 Bとでなるポリジメチルシロキサン系の同じLSRシリコーンゴムを含めた(Wacker Chemie AG,D−70178 Stuttgart)。比較例3にはシースを含めなかった。
【0052】
実施例1(本発明による)
DIN50018/ISO3231による第1の試験シリーズにおいて、本発明による照明付き窓ガラスアセンブリのLEDライトストリップ(2)は、オン状態でSO雰囲気に20日間さらされた。
【0053】
DIN500167による第2の試験シリーズにおいて、本発明による照明付き窓ガラスアセンブリのLEDライトストリップ(2)は、オン状態で50℃、湿度100%の雰囲気に140日間さらされた。
【0054】
実施例2(比較例)
比較例2は、LEDライトストリップ(2)を剛体アルミニウムハウジング内にカプセル封入するという点で、本発明による照明付き窓ガラスアセンブリとは異なる。アルミニウムハウジングとLED回路板(3)およびLED(4)との間の中間領域は、実施例1と同じLSRシリコーンゴムで充填された。本発明による実施例1とは対照的に、電気接続ケーブル(7)にはポリマーシース(5)が設けられなかった。他の寸法は本発明による実施例1と同じにした。
【0055】
DIN50018/ISO3231による第1の試験シリーズにおいて、比較例2のLEDライトストリップ(2)は、オン状態でSO雰囲気に20日間さらされた。
【0056】
DIN500167による第2の試験シリーズにおいて、比較例2のLEDライトストリップ(2)は、オン状態で50℃、湿度100%の雰囲気に140日間さらされた。
【0057】
実施例3(比較例)
比較例3は、LED回路板(3)およびLED(4)のシースがないという点で、本発明による照明付き窓ガラスアセンブリとは異なる。電気接続ケーブル(7)にはポリマーシース(5)が設けられなかった。他の寸法は本発明による実施例1と同じにした。
【0058】
DIN50018/ISO3231による第1の試験シリーズにおいて、比較例3のLEDライトストリップ(2)は、オン状態でSO雰囲気に20日間さらされた。
【0059】
DIN500167による第2の試験シリーズにおいて、比較例3のLEDライトストリップ(2)は、オン状態で50℃、湿度100%の雰囲気に140日間さらされた。
【0060】
本発明による実施例1と比較例2および3の結果は表1に要約されている。
【表1】

【0061】
表1から分かるように、本発明による照明付き窓ガラス配置(1)の耐用寿命は、比較例2および3の耐用寿命より明らかに高度であった。したがって、本発明による照明付き窓ガラスアセンブリに予想される維持費は、従来技術による比較例の場合より著しく低い。これらの結果は、驚くべきであり予想外である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明付き窓ガラスアセンブリであって、少なくとも、
a)窓ガラス(1)と、
b)窓ガラス(1)の縁部上に接続片(6)によって取り付けられたLEDライトストリップ(2)であって、少なくとも、
b.1)LED回路板(3)、
b.2)LED(4)、
b.3)電気接続ケーブル(7)、
b.4)LED回路板(3)、LED(4)および電気接続ケーブル(7)のポリマーシース(5)
を含むLEDライトストリップ(2)と、
c)窓ガラス(1)上に取り付けられた反射板(8)と
を備える、窓ガラスアセンブリ。
【請求項2】
接続片(6)が両面光透過性接着テープを含む、請求項1に記載の窓ガラスアセンブリ。
【請求項3】
光透過性接着テープが、LEDライトストリップ(2)に面する側にシリコーン含有接着剤を含み、窓ガラス(1)に面する側にアクリレート系接着剤を含む、請求項2に記載の窓ガラスアセンブリ。
【請求項4】
光透過性接着テープがコロナ放電によって活性化される、請求項1から3の一項に記載の窓ガラスアセンブリ。
【請求項5】
ポリマーシース(5)が、シリコーン、ポリイソプレン、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンアクリロニトリルゴム、および/またはポリアクリレート、ならびにそれらの混合物および/または共重合体を含有する、請求項1から4の一項に記載の窓ガラスアセンブリ。
【請求項6】
シリコーンが、RTVシリコーンゴム、HTVシリコーンゴム、過酸化物加硫シリコーンゴム、および/または付加加硫シリコーンゴム、ならびにそれらの混合物および/または共重合体である、請求項5に記載の窓ガラスアセンブリ。
【請求項7】
ポリマーシース(5)の光透過率が、60%超、好ましくは75%超、特に好ましくは85%超である、請求項1から6の一項に記載の窓ガラスアセンブリ。
【請求項8】
ポリマーシース(5)が押出シリコーン成形体を含む、請求項1から7の一項に記載の窓ガラスアセンブリ。
【請求項9】
接続片(6)が、アクリレート接着剤、メチルメタクリレート接着剤、シアノアクリレート接着剤、ポリエポキシ、シリコーン接着剤、および/またはシラン架橋ポリマー接着剤、ならびにそれらの混合物および/または共重合体を含有する、請求項1から8の一項に記載の窓ガラスアセンブリ。
【請求項10】
接続片(6)の光透過率が、80%超、好ましくは90%超である、請求項1から9の一項に記載の窓ガラスアセンブリ。
【請求項11】
照明付き窓ガラスアセンブリを製造する方法であって、少なくとも、
a.)LED回路板(3)上に少なくとも1つのLED(4)および電気接続ケーブル(7)を取り付けてLEDアレイを製造することと、
b.)LEDアレイを型内に挿入することと、
c.)原料ポリマーシースを型内に充填することと、
d.)原料ポリマーシースを硬化させてポリマーシース(5)にし、LEDライトストリップ(2)を製造することと、
e.)LEDライトストリップ(2)を、接続片(6)を用いて窓ガラス(1)の1つの縁部に接続することと
を含む、方法。
【請求項12】
照明付き窓ガラスアセンブリを製造する方法であって、少なくとも、
a.)LED回路板(3)上に少なくとも1つのLED(4)および電気接続ケーブル(7)を取り付けてLEDアレイを製造することと、
b.)LEDアレイをポリマーシース(5)内に挿入することと、
c.)ポリマーシース(5)を封止してLEDライトストリップ(2)を製造することと、
d.)LEDライトストリップ(2)を、接続片(6)を用いて窓ガラス(1)の1つの縁部に接続することと
を含む、方法。
【請求項13】
両面透明接着テープが接続片(6)として使用される、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
接続片(6)、窓ガラス(1)、および/またはポリマーシース(5)が、プラズマ処理、照射、および/またはコロナ放電によって活性化される、請求項11から13の一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1から10の一項に記載の窓ガラスアセンブリの、建物の屋内照明、建物の屋外照明、広告媒体、および/または自動車の窓ガラスとしての使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−525669(P2012−525669A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507673(P2012−507673)
【出願日】平成22年4月19日(2010.4.19)
【国際出願番号】PCT/EP2010/055097
【国際公開番号】WO2010/124951
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(500374146)サン−ゴバン グラス フランス (388)
【Fターム(参考)】