説明

LED照明と二次電池を内蔵した脚立及び作業床

【課題】夜間作業や暗い場所での作業の安全性を高めるため、照度確保手段を講じた脚立及び作業床を提供すること。
【解決手段】二本の脚柱2とその間にある一定の間隔で架設された踏桟3とからなり、更にそれらを二つ垂直に立ててその上部に天板1を設け下部は手動で開閉する脚立であって、脚柱2の内側若しくは踏桟3の下部にLED照明4を内蔵することで踏桟3上部に光を照射する形態とし、そのLED照明4を点灯するためのスイッチ5を脚柱2の表面に設け更に電源用に二次電池6を脚柱2に内蔵する脚立と、四隅に建地11を有し垂直にある一定の間隔で架設された足場板9からなる作業床であって、建地11の内側にLED照明4を内蔵し足場板9上部に光を照射する形態とし、そのLED照明4を明暗により自動点灯するために自動点滅器7を建地11に設け更に電源用に二次電池6を建地11に内蔵する作業床とすることで、照度確保により作業の安全性を高めている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、暗い場所での作業において、照度を確保するために、LED照明を内蔵することにより安全性を高めた脚立及び作業床の機能に関する。
【背景技術】
【0002】
建築現場などで使用される従来の脚立及び作業床は、照明器具などが内蔵されてなく、夜間作業や足元が暗い場所で使用する場合、投光器などを別途設置して照度を確保する方法が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
脚立や作業床ではないが、室内で使用する梯子において照明器具を内蔵した技術が提案されている。
【特許文献1】特開平10−37641
【特許文献2】特開2002−242568
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
背景技術の場合では、投光器などを点灯するために商用電源が必要であり、容易に電源を確保できる場所であれば良いが、そうでない場合は発電機などにより電源を確保する対応が行われている。また、作業場所を移動する際、脚立および投光器を共に移動させる必要性があるため、作業上非効率的である。
【0005】
そこで、本発明は脚立及び作業床にLED照明および二次電池を内蔵することで、暗い場所などあらゆる場所での使用を可能とし、照度確保により安全性の向上を図るとともに、作業場所の移動の際には脚立を移動するだけでよく、作業効率も向上する脚立及び作業床を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、左右両側に設けられた脚柱と、脚柱間にある一定の間隔で架設された踏桟とからなり、更にそれらを二つ垂直に立てて、その上部に天板を設け、下部は手動で開閉する脚立であって、脚立の脚柱の内側若しくは踏桟の下部に照明器具を内蔵し、脚柱の内側に内蔵した場合は踏桟の上部に光を照射し、また踏桟の下部に内蔵した場合は当該踏桟の一段下の踏桟上部に光を照射する形態とし、その照明器具を点灯するためのスイッチを左右若しくは左右何れかの脚柱の表面に設ける。照明器具を内蔵することで、建築現場などでの夜間作業や足元が暗い場所での作業において、内蔵された照明器具を点灯させるだけで足元の照度を確保することができ、作業の安全性が向上するとともに、作業場所の移動の際には脚立のみを移動させるだけでよく、作業効率も向上する。
【0007】
請求項2に記載の発明によれば、四隅に建地を有し、垂直にある一定の間隔で架設された足場板などからなる作業床であって、作業床の建地の内側に照明器具を内蔵し、足場板上部に光を照射する形態とし、その照明器具を明暗により自動点灯するための自動点滅器を建地に設ける。照明器具を内蔵することで、建築現場などでの夜間作業や足元が暗い場所での作業において、内蔵された照明器具を点灯させるだけで足元の照度を確保することができ、作業の安全性が向上する。
【0008】
請求項3に記載の発明によれば、照明器具の電源用にリチウムイオン電池などの充放電可能な二次電池を脚柱や踏桟または建地内部に内蔵することで、充電を行うことで利用を可能とした特徴を有するものである。照明器具の電源用には、乾電池などの一次電池を使用しても良いが、乾電池の場合、容量が無くなれば新しい乾電池と交換する必要があるが、二次電池の場合は充電するだけでよく、新しい電池と交換する必要はないため、使いやすいシステムとすることができる。
【0009】
請求項4に記載の発明によれば、照明器具にLED照明を使用することで、二次電池の利用時間の延長を図るとともに、ランプ交換を長期間不要とした特徴を有するものである。照明器具は蛍光灯や白熱灯などでもよいが、消費電力が少ないLED照明を使用することで、信頼性の高いシステムとすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る脚立及び作業床によれば、建築現場などでの夜間作業や暗い場所での作業において、内蔵されたLED照明により足元の照度を十分確保することができ、作業の安全性が向上するとともに、作業場所の移動の際には脚立のみを移動させるだけでよく、作業効率も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は本発明の実施の一形態を示す脚立の概略図である。
【図2】図2は本発明の実施の一形態を示す作業床の概略図である。
【図3】図3は脚立においてLED照明と二次電池が脚柱に内蔵されている場合の正面図と立面図である。
【図4】図4は脚立においてLED照明と二次電池が踏桟下部に内蔵されている場合の下から見た図と立面図である。
【図5】図5は作業床においてLED照明と二次電池が建地に内蔵されている場合の概略図である。
【図6】図6は脚立において脚柱内側に内蔵された二次電池を充電する場合の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明を実施するための最良の形態として、脚立の概略図である図1と、作業床の概略図である図2と、脚立においてLED照明と二次電池が脚柱に内蔵されている場合の正面図と立面図である図3と、脚立においてLED照明と二次電池が踏桟下部に内蔵されている場合の下から見た図と立面図である図4と、作業床においてLED照明と二次電池が建地に内蔵されている場合の概略図である図5と、脚立において脚柱内側に内蔵された二次電池を充電する場合の概略図である図6を用いて詳細に説明する。
【実施例】
【0013】
図1は、この発明の実施の一形態を示す脚立の概略図であり、図3はLED照明4と二次電池6が脚柱2に内蔵されている場合の正面図と立面図、図4はLED照明4と二次電池6が踏桟3下部に内蔵されている場合の下から見た図と立面図である。本実施例は、左右両側に設けられた脚柱2と、脚柱2間にある一定の間隔で架設された踏桟3とからなり、更にそれらを二つ垂直に立てて、その上部に天板1を設け、下部は手動で開閉する脚立であって、脚立の脚柱2の内側若しくは踏桟3の下部にLED照明4を内蔵し、脚柱2の内側に内蔵した場合は踏桟3の上部に光を照射し、また踏桟3の下部に内蔵した場合は当該踏桟3の一段下の踏桟3上部に光を照射する形態とし、そのLED照明4を点灯するためのスイッチ5を左右若しくは左右何れかの脚柱2の表面に設け、更にLED照明4の電源用に二次電池6を脚柱2に内蔵することで、作業の安全性を高めるものである。
【0014】
更に詳しく説明すると、本実施例の脚立は、建築現場などにおける、夜間作業や足元が暗い場所など十分な照度が確保されていない場所において、高所作業のために使用されており、概略高さ2m未満のものである。使用する際は、脚立の脚柱2内側若しくは踏桟3下部に内蔵されているLED照明4をスイッチ5により点灯することで踏桟3上部に光を照射させ、足元の照度を確保し、作業場所に当該脚立を設置のうえ昇降する。作業が終了し、他の作業場所へ移動する際は、移動時の足元の照度確保のために脚立の脚柱2内側若しくは踏桟3下部に内蔵されているLED照明4を点灯したまま移動しても良い。照度が十分確保された場所での移動の際は、スイッチ5によりLED照明4を消灯して移動し、作業場所に到着した際は、再びスイッチ5によりLED照明4を点灯することで足元の照度を確保し、昇降に使用する。
【0015】
このように、脚柱2内側若しくは踏桟3下部に内蔵されたLED照明4により足元の照度が十分確保され、夜間作業や足元が暗い場所など十分な照度が確保されていない場所においても脚立をより安全に昇降することができる。また、作業が終了して次の作業場所へ移動する際も、脚柱2内側若しくは踏桟3下部に内蔵されているLED照明4により足元の照度を確保することができ、作業の安全性が向上するとともに、移動時は脚立のみの移動だけでよく、別途投光器など他の照明装置を移動させる必要性がないため、作業効率も向上する。
【0016】
図2は、この発明の実施の一形態を示す作業床の概略図であり、図5はLED照明4と二次電池6が建地11に内蔵されている場合の概略図である。本実施例は、四隅に建地11を有し、垂直にある一定の間隔で架設された足場板9などからなる作業床であって、作業床の建地11の内側にLED照明4を内蔵し、足場板9上部に光を照射する形態とし、そのLED照明4を明暗により自動点灯するために自動点滅器7を建地11に設け、更にLED照明4の電源用に二次電池6を建地11に内蔵することで、作業の安全性を高めているものである。
【0017】
更に詳しく説明すると、本実施例の作業床は、建築現場などの建物周辺作業用に高さを確保するために組み立てられるものである。一度組み立てたら、作業が終了するまでの一定期間はそのままの状態にある。作業者は、作業床を使用して高い場所での作業を行うが、作業床は作業場所の移動にも使用されるものであり、使用頻度は高い。夜間作業になると、建物周辺は特に照度が確保できにくく足元は見えにくい状態にあるが、夜間になれば建地11に設けられている自動点滅器7により建地11に内蔵されているLED照明4が明暗により自動点灯されることにより、足場板9へ光が照射されることで足元の照度が確保される。
【0018】
このように、建地11に内蔵されているLED照明4により足元の照度が十分確保され、夜間作業においても作業をより安全に行うことができる。
【0019】
図6は、脚柱2内側に内蔵された二次電池6を充電する場合の概略図であり、二次電池6の電池容量が不足した場合は、充電器15を最寄のコンセント14に差し込むことで、二次電池6の充電をすることができる。充電が完了すれば、充電器15を取りはずし、再び脚立を使用することができる。また、作業場所の傍にコンセント14がある場合は、充電器15をコンセント14に差し込んだまま使用しても良い。
【0020】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係わる脚立及び作業床は、LED照明4及び二次電池6が内蔵されていることで、照度確保により暗い場所などあらゆる場所での使用が可能となり、作業の安全性が向上するとともに、脚立においては、作業場所の移動の際には脚立のみを移動させるだけでよく、作業効率も向上するものである。
【産業上の利用可能性】
【0021】
LED照明及び二次電池の組み合わせは、脚立や作業床ばかりでなく、暗い場所での作業において使用するものであれば、どのようなものへも適用が可能である。
【符号の説明】
【0022】
1 天板
2 脚柱
3 踏桟
4 LED照明
5 スイッチ
6 二次電池
7 自動点滅器
8 手すり
9 足場板
10 筋交い
11 建地
12 LED
13 アクリルカバー
14 コンセント
15 充電器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右両側に設けられた脚柱と、脚柱間にある一定の間隔で架設された踏桟とからなり、更にそれらを二つ垂直に立てて、その上部に天板を設け、下部は手動で開閉する脚立であって、脚立の脚柱の内側若しくは踏桟の下部に照明器具を内蔵し、脚柱の内側に内蔵した場合は踏桟の上部に光を照射し、また踏桟の下部に内蔵した場合は当該踏桟の一段下の踏桟上部に光を照射する形態とし、その照明器具を点灯するためのスイッチを左右若しくは左右何れかの脚柱の表面に設けていることを特徴とする脚立。
【請求項2】
四隅に建地を有し、垂直にある一定の間隔で架設された足場板からなる作業床であって、作業床の建地の内側に照明器具を内蔵し、足場板上部に光を照射する形態とし、その照明器具を明暗により自動点灯するために自動点滅器を建地に設けていることを特徴とする作業床。
【請求項3】
照明器具の電源用にリチウムイオン電池などの充放電可能な二次電池を脚柱や踏桟に内蔵または建地内部に内蔵することで、電池の取換作業を不要とし、充電を行うことで使用可能とした請求項1記載の脚立及び請求項2記載の作業床。
【請求項4】
照明器具にLED照明を使用することで、二次電池の利用時間の延長を図るとともに、ランプ交換を長期間不要とした請求項1記載の脚立及び請求項2記載の作業床。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−163847(P2010−163847A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−9153(P2009−9153)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【出願人】(591080678)株式会社中電工 (64)
【Fターム(参考)】