説明

LED照明装置

【課題】
複数のLEDチップを含むLEDパッケージを駆動するLED点灯装置の発熱を低減するとともに回路が安定に動作して明るさのちらつきが発生しないLED照明装置を提供する。
【解決手段】
LED照明装置は、照明装置本体と、交流電源電圧を整流する整流回路BRおよび平滑コンデンサC1a、C1bを備えた直流電源DC、ならびに直流電源に接続した入力端、スイッチング素子、インダクタ、フライホールダイオードおよび出力端を含むコンバータを備え、照明装置本体に配設されたLED点灯装置と、複数のLEDパッケージLePおよび基板22aを備えて照明装置本体に配設され、LEDパッケージは直列接続した複数のLEDチップChをケース11内部に含み、基板は複数のLEDパッケージを分散して配置し、かつ直列回路を形成して実装していて、直列回路の両端がLED点灯装置のコンバータの出力端間に接続されたLED光源22とを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(発光ダイオード)を光源とした照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LED照明装置では、光源としてのLEDを照明装置本体に配設するだけでなく、次の理由によりそのLED点灯装置をも一緒に配設するのが一般的である。すなわち、従来の白熱電球や電球形蛍光ランプに比較すると、LEDは直流で動作するとともに動作電圧が低く、また所要の光束を得るために複数のLEDモジュールを用いるために、専用のLED点灯装置を用いている。
【0003】
LED点灯装置には種々の回路方式が既知であり、その中に降圧チョッパを備えたLED点灯装置もある(例えば、特許文献1参照。)。この降圧チョッパを用いたLED点灯装置は、自励発振形であって回路構造が比較的簡単なため、回路部分の小形化が可能で、しかも出力電圧が100Vより低くなるので、比較的小電力のLED照明装置用として適している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4123886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
LEDは、駆動に伴い発熱する。そして、この発熱によりLEDの温度が上昇するとLEDの発光効率が低下するので、LEDによる発生熱の放熱を適切に行う必要がある。他方、LED点灯装置もLEDを駆動するのに伴って発熱し、LEDと相互に影響し合うので、LED点灯装置の発熱を極力抑制するように構成することで、LED照明装置全体としての発熱量を低減すれば、LED点灯装置の回路効率延いてはLED照明装置としての効率を向上することができる。
【0006】
本発明は、複数のLEDチップを含むLEDパッケージを駆動するLED点灯装置の発熱を低減するとともに回路が安定に動作するLED照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のLED照明装置は、照明装置本体と;直流電源、ならびに直流電源に接続した入力端および出力端を含む直流−直流変換回路であるコンバータを備えたLED点灯装置と;複数のLEDパッケージおよび基板を備えて照明装置本体に配設され、LEDパッケージは直列接続した複数のLEDチップを内部に含み、基板は複数のLEDパッケージを配置し、かつ直列回路を形成して実装しているとともに、直列回路の両端がLED点灯装置のコンバータの出力端間に接続されたLED光源と;を具備していることを特徴としている。
【0008】
本発明において、LED照明装置とは、LEDを光源として照明を行う装置を意味する。例えば、従来の白熱電球や電球形蛍光ランプに代替可能なランプ口金を備えた照明装置、従来の白熱電球や電球形蛍光ランプを光源とする照明器具に代替可能な照明器具などあることを許容する。照明装置本体とは、照明装置からLED点灯装置およびLED光源を除外した残余の部分をいい、LED点灯装置は一体で設けられるもの及び別体で設けられるものを含むものである。
【0009】
LED点灯装置は、直流電源およびコンバータを備えている。直流電源は、平滑コンデンサの静電容量を比較的小さくして5次高調波を60%以下にすれば、25W以下の高調波規格であるJIS C61000-3-2 Class Cを満足することができる。例えば、交流電源電圧100Vで整流回路が全波整流回路の場合、平滑コンデンサの静電容量を20μF以下にすることで、上記条件を満足することができる。なお、整流回路は、全波整流回路および倍電圧整流回路のいずれであってもよい。
【0010】
コンバータは、直流−直流変換回路であって、スイッチング方式による定電流電源としてLEDを駆動することで回路効率が高い駆動回路を提供することができる。なお、本発明において、コンバータの具体的回路方式は特段限定されない。例えば、降圧チョッパ、昇圧チョッパおよび昇降圧チョッパなどを適宜選択的に採用することができる。
【0011】
しかし、降圧チョッパは、出力電圧が比較的低くて小電力のLED照明装置用のコンバータとして適している。
【0012】
また、コンバータは、少なくとも入力端および出力端を含んで構成されている。なお、入力端は、直流電源に接続して直流電圧が入力電圧として印加される。出力端は、負荷であるLED光源に接続する。なお、コンバータは、所望により上記に加えてスイッチング素子、インダクタおよびフライホールダイオードなどを含むことができる。
【0013】
LED光源は、複数のLEDパッケージおよび基板を備えていて、コンバータの出力端に接続している。
【0014】
LEDパッケージとは、例えばケースなど既知の各種態様であることを許容するパッケージの内部にLEDチップを封じ込んで基板に実装可能な形態なしたものをいう。また、本発明において、LEDパッケージは、例えばケースなどのパッケージの内部に複数のLEDチップがマウントされ、かつその複数のLEDチップがパッケージの内部で直列接続されている。さらに、LEDパッケージは、後述する基板に実装するために、パッケージから導出された一対の接続端子を備えているとともに、複数のLEDチップの直列接続した両端がパッケージ内部で一対の接続端子間に接続している。なお、上記接続端子は、好
ましくは表面実装形である。これにより薄形で、かつ小形のLEDパッケージを得ることができる。
【0015】
基板は、複数のLEDパッケージを実装しているとともに、複数のLEDパッケージを実質的に直列接続してコンバータの出力端に接続している。このため、複数のLEDパッケージの、それぞれ複数のLEDチップの全てがコンバータの出力端間に直列接続することになる。なお、基板は、LED照明装置に応じた所望の形状であることを許容する。また、基板は、配線基板であってもよいし、LED光源を所定の位置に支持するのを主機能とし、さらに所望により放熱機能を備えていて、配線は別途施すような態様であってもよい。また、上記各機能の複合体であることを許容する。
【0016】
また、LED光源は、その発光特性および上記以外のパッケージ態様などが特段限定されないので、既知の各種発光特性、パッケージ態様および定格などを適宜選択して用いることができる。なお、本発明の効果を有する程度であれば複数のLEDパッケージを直列に接続したパターンを並列に接続するもの態様も許容するものである。
【0017】
本発明の第1の態様は、直流電源が、整流回路および平滑コンデンサが倍電圧整流回路を形成しており;コンバータが、入力端が直流電源の出力端に接続し、入力端および出力端の間にスイッチング素子およびインダクタが直列に接続し、かつ出力端にフリーホイールダイオードおよびインダクタが直列に接続していて、出力端間に出力コンデンサが接続した降圧チョッパであり、交流電源の交流周期の全期間にわたり出力コンデンサの電圧が直流電源の平滑コンデンサの電圧より低くなるように動作する;ことを特徴としている。
【0018】
第1の態様においては、出力コンデンサの電圧が直流電源の出力電圧の1/2以下であれば、交流周期の全期間にわたり平滑コンデンサの電圧が出力コンデンサの電圧より高くなる。その結果、交流周期の全期間にわたり降圧チョッパが正常、かつ安定に動作するので、LED光源の発光にちらつきが生じなくなる。このため、交流電源電圧が例えば100Vの場合、直流電源から200Vの直流電圧が出力されるから、出力コンデンサの電圧が100V以下であれば、降圧チョッパの出力端に接続するLED光源の発光にちらつきが生じなくなる。しかし、出力コンデンサの電圧が低くなるにしたがって回路効率が低下
する傾向があるから、好ましくは70V以上である。すなわち、出力コンデンサの電圧が70〜100Vの範囲内であれば、回路効率を89%以上にすることができる。
【0019】
したがって、第1の態様によれば、LED光源のLEDパッケージの数を多くして光束の大きなLED照明装置を得るのに好適である。
【0020】
本発明の第2の態様は、直流電源が、整流回路および平滑コンデンサが全波整流回路を形成しており;コンバータが、入力端が直流電源の出力端に接続し、入力端および出力端の間にスイッチング素子およびインダクタが直列に接続し、かつ出力端にフリーホイールダイオードおよびインダクタが直列に接続していて、出力端間に出力コンデンサが接続した降圧チョッパであり、交流電源の交流周期の全期間にわたり出力コンデンサの電圧が直流電源の平滑コンデンサの電圧より低くなるように動作する;ことを特徴としている。
【0021】
第2の態様においては、第1の態様におけるのと同様に出力コンデンサの電圧が直流電源の出力電圧の1/2以下であれば、交流周期の全期間にわたり平滑コンデンサの電圧が出力コンデンサの電圧より高くなる。そして、交流電源電圧が例えば100Vの場合、直流電源から100Vの直流電圧が出力されるから、出力コンデンサの電圧が50V以下であれば、降圧チョッパの出力端に接続するLED光源の発光にちらつきが生じなくなる。しかし、出力コンデンサの電圧が低くなるにしたがって回路効率が低下する傾向があるから、好ましくは35V以上である。すなわち、出力コンデンサの電圧が35〜50Vの範
囲内であれば、回路効率を89%以上にすることができる。
【0022】
したがって、第2の態様によれば、LED光源のLEDパッケージの数を少なくて光束の比較的小さなLED照明装置を得るのに好適である。
【0023】
第3の態様は、第1または第2の態様において、直流電源が、倍電圧整流回路および全波整流回路の切り換えが可能に構成されていることを特徴としている。
【0024】
第3の態様においては、切り換えによって倍電圧整流回路および全波整流回路のいずれかを選択できるので、第1および第2の態様において、直流電源または/および降圧チョッパを共通化しておくことにより、直流電源の回路接続を一部切り換えるだけで、第1および第2の態様のいずれにも対応させることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、直列接続した複数のLEDチップをケース内部に含むLEDパッケージの複数を基板に配置し、かつ直列回路を形成して実装しているとともに、直列回路の両端がLED点灯装置のコンバータの出力端間に接続されたLED光源をコンバータの出力端に接続していることにより、LED点灯装置の動作によってLED点灯装置内に発生する熱量が減少し、その分回路効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明のLED照明装置を実施するための第1の形態としてのLED電球を示す断面図である。
【図2】同じくLED実装基板の平面図である。
【図3】同じくLEDパッケージの模式的平面図である。
【図4】同じくLED点灯装置の回路図である。
【図5】同じく直流電源の直流出力電圧および交流電源電圧の波形図である。
【図6】本発明のLED照明装置における第2の実施形態としてのLED電球のLED実装基板の平面図である。
【図7】同じくLED点灯装置の回路図である。
【図8】同じく直流電源の直流出力電圧および交流電源電圧の波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0028】
本実施形態のLED照明装置を実施するための第1の形態は、図1に示すように、LED電球である。
【0029】
LED電球は、放熱体21およびこの放熱体21の一端側に取り付けられたケース24、ケース24の一端側に取り付けられた口金26、放熱体21の他端側に取り付けられたLED光源である発光ダイオードモジュール基板22、発光ダイオードモジュール基板22を覆うグローブ23、およびLED点灯回路基板25を備えている。
【0030】
放熱体21は、一端側の口金26から他端側の発光ダイオードモジュール基板22へと徐々に拡径された略円柱状の放熱体本体と、この放熱体本体の外周面に形成された複数の放熱フィンとを有し、これら放熱体本体および各放熱フィンが、例えば熱伝導性が良好なアルミニウムなどの金属材料、あるいは樹脂材料などにより一体に成形されている。
【0031】
放熱体本体には、他端側に、発光ダイオードモジュール基板22を取り付けるための取付凹部が形成されているとともに、一端側に、ケース24を挿入する嵌合凹部21aが形成されている。また、放熱体本体には、これら取付凹部と嵌合凹部21aとを連通する挿通孔部21bが貫通して形成されている。さらに、放熱体本体の他端側の外周部には、グローブ23の一端側に対向する溝部が全周に亘って形成されている。
【0032】
放熱フィンは、放熱体本体の一端側から他端側へと径方向への突出量が徐々に大きくなるように傾斜して形成されている。また、これら放熱フィンは、放熱体本体の周方向に互いに略等間隔で形成されている。
【0033】
挿通孔部21bは、ケース24側から発光ダイオードモジュール基板22側へと、徐々に拡径するように形成されている。
【0034】
溝部には、グローブ23から下方に拡散された光を反射するリング27取り付けられている。
【0035】
また、ケース24は、例えばPBT樹脂などの絶縁性を有する材料により、嵌合凹部21a内の形状に沿って略円筒状に形成されている。また、このケース24の一端側は、ケース閉塞部である閉塞板により閉塞され、この閉塞板には、挿通孔部21bと略等しい径寸法を有しこの挿通孔部21bに連通する連通孔24aが開口形成されている。さらに、このケース24の一端側と他端側との中間部の外周面には、放熱体21の放熱体本体と口金26との間を絶縁するための絶縁部であるフランジ部24bが径方向に突出して周方向全体に連続形成されている。
【0036】
また、口金26は、E26形であり、図示しない照明器具のランプソケットにねじ込まれるねじ山を備えた筒状のシェル26aと、このシェル26aの一端側の頂部に絶縁部26bを介して設けられたアイレット26cとを備えている。
【0037】
シェル26aは、電源側と電気的に接続されるもので、このシェル26aの内部には、ケース24との間に、LED点灯回路基板25へと給電するための図示しない電源線が挟み込まれてシェル26aに対して導通されている。
【0038】
アイレット26Cは、図示しないグランド電位およびLED点灯回路基板25のグランド電位にそれぞれリード線を介して電気的に接続されている。
【0039】
また、発光ダイオードモジュール基板22は、平面視円形状の基板22aの一面に、複数の発光ダイオードLePがそれぞれ実装されて構成されている。この基板22aは、例えば放熱性が良好なアルミニウムなどの金属材料、あるいは絶縁材料などにより形成されたメタル基板であり、発光ダイオードLePが実装された一面と反対の他面が放熱体21に密着するように図示しないねじなどにより放熱体21に固定されている。また、この基板22aには、中心位置に対して若干径方向にずれた位置に、放熱体21の挿通孔部21bと連通する丸孔状の配線孔22a1が開口形成されている。なお、この基板22aは、放熱体21に対して、例えば放熱性に優れたシリコーン系の接着剤などにより接着してもよい。
【0040】
また、本形態において、LEDパッケージLePは、その7個を図2に示すように、直列接続し、その両端を後述するLED点灯回路基板25の出力コンデンサC3の両端に形成される出力端に接続する。また、LEDパッケージLePは、図3に示すように、複数個、本形態においては3個のLEDチップChをケース11の内部にマウントして封じ込み、かつ直列に接続して、その両端を図示しない一対の接続端子に接続している。
【0041】
配線孔22a1は、LED点灯回路基板25の点灯回路側と発光ダイオードモジュール基板22側とを電気的に接続する図示しない配線を挿通するもので、この配線孔22a1の近傍には、配線の先端部に設けられたコネクタを接続するための図示しないコネクタ受けが基板22aに実装されている。
【0042】
発光ダイオードLePは、発光ダイオードモジュール基板22の外縁部に、互いに略等間隔に離間された状態で発光ダイオードモジュール基板22の中心位置を中心とする同一円周上に配置されている。
【0043】
LED点灯回路基板25は、後述するLED点灯装置からLED光源22を除いた残余の回路部分を実装していて、ケース24内に収納されている。図中の図4と同一符号を付した回路部品は比較的大きな部品であり、図4におけるのと同一の回路部品である。その他の回路部品については比較的小形の部品なので図示を省略しているが、LED点灯回路基板25の図において主として背面側に実装されている。
【0044】
そうして、以上説明したLED電球形は、全体として一体化されていて、白熱電球と同様の感覚で図示しないE26形ソケットにねじ込めば光源としての使用に供することができる。
【0045】
次に、図4を参照してLED点灯装置を説明する。LED点灯装置は、その殆どの部分が図1のLED点灯回路基板25に実装されている。そして、直流電源DCおよび降圧チョッパSDCにより構成されている。また、降圧チョッパSDCは、自励形駆動信号発生回路DSG、ターンオフ回路TOFおよび起動回路STを備えた自励形駆動方式であり、出力端に接続したLED光源22を点灯する。
【0046】
本形態において、直流電源DCは、入力端が例えば定格電圧100Vの商用交流電源などの交流電源ACに接続する全波倍電圧整流回路からなる。この全波倍電圧整流回路は、ブリッジ形整流回路BRのうち2辺のダイオードおよびブリッジ形整流回路BRの直流出力端に直列接続した一対の平滑コンデンサC1a、C1bによって構成されている。そして、ブリッジ形整流回路BRと一対の平滑コンデンサC1との間をジャンパー線JWまたは0Ωのジャンパー抵抗器を介して接続している。したがって、本形態においては、図5に示すように、直流電源DCの出力電圧は交流電源電圧の実効値の2倍前後の200Vで
ある。
【0047】
降圧チョッパSDCは、主回路および制御回路を備えている。主回路は、パワー回路であり、直流電源DCに接続した入力端t1、t2、負荷を接続する出力端t3、t4、スイッチング素子Q1、インピーダンス手段Z1および第1のインダクタL1を直列に含み、入力端t1および出力端t3の間に接続した第1の回路A、ならびに第1のインダクタL1およびダイオードD1を直列に含み出力端t3、t4間に接続した第2の回路Bを備えている。また、出力端t3、t4間には出力コンデンサC3が並列接続して構成されている。
【0048】
本形態において、降圧チョッパSDCのスイッチング素子Q1はFET(電界効果トランジスタ)からなり、そのドレイン、ソースが第1の回路Aに接続される。そして、第1の回路Aが出力コンデンサC3および/または後述する負荷回路LCを介して第1のインダクタL1の充電回路を形成し、第2の回路Bが第1のインダクタL1およびダイオードD1が出力コンデンサC3および/または後述する負荷回路LCを介して第1のインダクタL1の放電回路を形成している。なお、本形態において、インピーダンス手段Z1は、抵抗器からなるが、所望により適度の抵抗成分を有するインダクタまたはコンデンサなど
を用いることができる。
【0049】
LED光源22は、複数のLEDパッケージLePが直列接続していて、降圧チョッパSDCの出力端t3、t4間に出力コンデンサC3に並列接続することで、付勢されて点灯する。
【0050】
自励形駆動回路のうち、自励形駆動信号発生回路DSGは、降圧チョッパSDCの第1のインダクタL1に磁気結合した第2のインダクタL2を備えている。そして、第2のインダクタL2に誘起した電圧をスイッチング素子Q1の制御端子(ゲート)とドレインの間に駆動信号として印加して、そのスイッチング素子Q1をオン状態に維持する。なお、第2のインダクタL2の他端は、インピーダンス手段Z1を介してスイッチング素子Q1のソースに接続している。
【0051】
本形態において、自励形駆動信号発生回路DSGには、上記構成に加えてコンデンサC4と抵抗器R1の直列回路が第2のインダクタL2の一端とスイッチング素子Q1の制御端子(ゲート)との間に直列に介在している。また、自励形駆動信号発生回路DSGの出力端間にツェナーダイオードZD1が接続して、スイッチング素子Q1の制御端子(ゲート)とドレインの間に過電圧が印加されてスイッチング素子Q1が破壊されないよう過電圧保護回路を形成している。
【0052】
ターンオフ回路TOFは、コンパレータCP1、スイッチ素子Q2、第1および第2の制御回路電源ES1、ES2を備えている。そして、コンパレータCP1の端子P1は、その内部の基準電圧回路の基底電位側から導出されてインピーダンス手段Z1と第1のインダクタL1の接続点に接続する。また、上記基準電圧回路は、コンパレータCP1内に付設されていて、後述する第2の制御回路電源ES2から端子P4で電源の供給を受けて基準電圧を生成し、コンパレータCP1内部の演算増幅器の非反転入力端子に基準電圧を印加する。同様に端子P2は、コンパレータCP1の入力端子であり、第1のスイッチン
グ素子Q1とインピーダンス手段Z1の接続点に接続して演算増幅器の反転入力端子に入力電圧を印加する。また、端子P3は、コンパレータCP1の出力端子であり、後述する第2のスイッチング素子Q2のベースに接続して出力電圧を第2のスイッチング素子Q2に印加する。さらに、端子P5は、後述する第1の制御回路電源ES1に接続して、コンパレータCP1に制御電源を供給する。
【0053】
スイッチ素子Q2は、トランジスタからなり、そのコレクタが第1のスイッチング素子Q1の制御端子に接続し、エミッタがインピーダンス素子Z1および第1のインダクタL1の接続点に接続している。したがって、スイッチ素子Q2がオンすることによって、自励形駆動信号発生回路DSGの出力端を短絡する。そうして、スイッチング素子Q1はターンオフする。なお、スイッチ素子Q2のベース・エミッタ間に抵抗器R2が接続している。
【0054】
第1の制御回路電源ES1は、第2のインダクタL2の両端にダイオードD2およびコンデンサC5の直列回路を接続して構成されており、第1のインダクタL1が充電されるときに第2のインダクタL2に発生する誘起電圧でダイオードD2を経由してコンデンサC5が充電され、ダイオードD2およびコンデンサC5の接続点からプラスの電位を出力してコンパレータCP1に制御電圧を印加するように構成されている。
【0055】
第2の制御回路電源ES2は、第1のインダクタL1に磁気結合する第3のインダクタL3の両端にダイオードD3およびコンデンサC6の直列回路を接続して構成されており、第1のインダクタL1が放電するときに第3のインダクタL3に発生する誘起電圧でダイオードD3を経由してコンデンサC6が充電され、ダイオードD3およびコンデンサC6の接続点からプラスの電圧を出力して基準電圧回路に制御電圧を印加して基準電圧を生成するように構成されている。
【0056】
起動回路STは、第1のスイッチング素子Q1のドレイン・ゲート間に接続した抵抗器R3と前記自励形駆動信号発生回路DSGの抵抗器R1およびコンデンサC4に並列接続する抵抗器R10との直列回路、第2のインダクタL2、ならびに前記降圧チョッパSDCの第2の回路Bの出力コンデンサC3および/または負荷回路LCの発光ダイオードLePからなる直列回路により構成され、直流電源DCの投入時に主として抵抗器R3とR10の抵抗値比で決まるプラスの起動電圧が第1のスイッチング素子Q1のゲートに印加されて降圧チョッパSDCが起動する。
【0057】
次に、回路動作について説明する。
【0058】
直流電源DCは、その平滑コンデンサC1a、C1bの合成静電容量が比較的低い値に設定されているから、入力電流波形の5次高調波比率が60%以下となり、その結果入力電流波形の高調波が日本の負荷が25W以下の高調波規格(JIS C61000- Class C)を満足する。
【0059】
直流電源DCが投入され、起動回路STにより降圧チョッパSDCが起動すると、スイッチング素子Q1がオンして、直流電源DCから第1の回路A内を出力コンデンサC3または/および負荷回路LCの発光ダイオードLePを経由して直線的に増加する増加電流が流れ出す。この増加電流により、自励形駆動信号発生回路DSGの第2のインダクタL2にはコンデンサC4側がプラスとなる電圧が誘起され、この誘起電圧がコンデンサC4および抵抗器R1を経由してスイッチング素子Q1の制御端子(ゲート)にプラスの電圧を印加するので、スイッチング素子Q1はオン状態に維持され増加電流が流れ続ける。こ
れと同時に、増加電流によりインピーダンス手段Z1に電圧降下が生じ、その降下電圧がターンオフ回路TOFのコンパレータCP1の端子P2に入力電圧として印加される。
【0060】
上記増加電流の増大に伴いコンパレータCP1の入力電圧が増加して基準電圧を超えると、コンパレータCP1が動作して、端子P3にプラスの出力電圧が発生する。その結果、ターンオフ回路TOFのスイッチ素子Q2がオンして自励形駆動信号発生回路DSGの出力端を短絡するので、降圧チョッパSDCのスイッチング素子Q1がオフし、上記増加電流が遮断される。
【0061】
スイッチング素子Q1がオフすると、第1のインダクタL1に上記増加電流が流れることによってそこに蓄積されていた電磁エネルギーが放出されて、第1のインダクタL1およびダイオードD1を含む第2の回路Bの内部を出力コンデンサC3または/および負荷回路LCの発光ダイオードLePを経由して減少電流が流れ出す。この減少電流により、自励形駆動信号発生回路DSGの第2のインダクタL2にはコンデンサC4側がマイナスとなる電圧が誘起され、この誘起電圧がツェナーダイオードZD1を経由してコンデンサC4にマイナスの電位を印加するとともに、スイッチング素子Q1の制御端子(ゲート)
にゼロ電位が印加されるので、スイッチング素子Q1はオフ状態に維持され減少電流が流れ続ける。
【0062】
第1のインダクタL1内に蓄積されていた電磁エネルギーの放出が終了して減少電流が0になると、第1のインダクタL1に逆起電力が発生して、第2のインダクタL2に誘起される電圧が逆転し、コンデンサC4側が再びプラスに転じるので、この誘起電圧がコンデンサC4および抵抗器R1を経由してスイッチング素子Q1のゲートにプラスの電圧を印加すると、スイッチング素子Q1は再びオン状態に反転して、再び増加電流が流れ出す。
【0063】
以後、以上と同様の回路動作が繰り返されて、増加電流および減少電流が合成されて三角波形の負荷電流が流れることにより、LED光源22のLEDパッケージLePのLEDチップChが発光する。なお、本形態において、点灯時のLEDチップChの電圧降下は3Vである。したがって、1個のLEDパッケージLePの電圧降下が9Vになるから、LED光源22の電圧降下が63Vになるように出力コンデンサC3の端子電圧が制御される。
【0064】
そうして、本形態においては、直流電源DCの出力電圧200Vに対して出力コンデンサC3の電圧が1/2以下の63Vであり、60W形白熱電球相当の光束を得ることができる。また、以上の回路動作において、平滑コンデンサC1a、C1bの直列電圧が交流電圧周期の全期間において出力コンデンサC3の電圧より高くなるので、降圧チョッパSDCが連続的に安定動作するので、発光ダイオードLePに明るさのちらつきが生じない。また、交流電源電圧が例えば100Vの場合、直流電源から200Vの直流電圧が出力されるから、出力コンデンサの電圧が100V以下であれば、降圧チョッパの出力端に接続するLED光源22の発光にちらつきが生じなくなる。なお、出力コンデンサC3の電圧が低くなるにしたがって回路効率が低下する傾向があるから、好ましくは70V以上である。すなわち、出力コンデンサC3の電圧が70〜100Vの範囲内であれば、回路効率を89%以上にすることができる。
【0065】
したがって、第1の態様によれば、LED光源のLEDパッケージの数を多くして光束の大きなLED照明装置を得るのに好適である。
【0066】
なお、ターンオフ回路TOFの動作は、コンパレータCP1およびスイッチ素子Q2の2段階動作により遂行され、コンパレータCP1は、入力電圧が0.3V以下でも安定かつ正確に動作する。このため、インピーダンス手段Z1の抵抗値を小さくすることができるから、従来技術における入力電圧が0.5Vであるとしても、本発明によれば、従来技術におけるのよりインピーダンス手段Z1の電力損失が40%以上低減させることができる。
【0067】
また、ターンオフ回路TOFの温度特性は、コンパレータCP1側で決まり、コンパレータCP1に対して所望の良好な温度特性を付与することができるので、従来のようにスイッチ素子Q2の温度特性に起因する問題はなくなる。なお、コンパレータCP1の温度特性は、例えば基準電圧回路に用いるツェナーダイオードとして、その温度特性が若干負特性ないしフラットな特性を有するものを選択することが容易であるから、このような特性をコンパレータCP1の温度特性として寄与させることができる。これにより、温度特性が良好なLED点灯装置を得ることができる。
【0068】
さらに、ターンオフ回路TOFにコンパレータCP1を配設することにより、スイッチ素子Q2を安定に、かつ正確に動作させることができるので、LED点灯装置の出力のばらつきが低減する。
【0069】
次に、図6ないし図8を参照して本発明を実施するための第2の形態を説明する。なお、図2および図4と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。本形態は、直流電源DCが全波整流回路BRを用いている点で異なる。すなわち、図4におけるジャンパー線JWを除去しているので、ブリッジ形整流回路BRと一対の平滑コンデンサC1a、C1bの直列回路とが並列接続している。このため、図8に示すように、直流出力電圧が交流電源電圧と同じ100Vである。
【0070】
また、LED光源22のLEDパッケージLePが4個直列接続からなる。なお、本形態において、点灯時のLEDチップChの電圧降下は第1の形態におけるのと同様であり、3Vである。したがって、1個のLEDパッケージLePの電圧降下が9Vになるから、LED光源22の電圧降下が36Vになるように出力コンデンサC3の端子電圧が制御される。
【0071】
そうして、本形態においては、直流電源DCの出力電圧100Vに対して出力コンデンサC3の電圧が1/2以下の36Vであり、40W形白熱電球相当の光束を得ることができる。また、以上の回路動作において、平滑コンデンサC1a、C1bの直列電圧が交流電圧周期の全期間において出力コンデンサC3の電圧より高くなるので、降圧チョッパSDCが連続的に安定動作するので、発光ダイオードLePに明るさのちらつきが生じない。
【0072】
以上説明した各形態においては、次の作用効果も奏する。すなわち、LEDパッケージ内の複数のLEDチップが直列接続していることにより、複数のLEDチップ間にVf特性のばらつきがあったとしても、その影響が少なくなるから、LEDチップのVf特性のばらつき管理が容易になる。また、LEDパッケージ内に複数のLEDチップが直列接続していることにより、所要量の光束に対するLEDパッケージの数が少なくてよいから、実装効率が向上する。
【0073】
また、各実施形態において共通する作用は以下の通りである。
【0074】
(1)LEDパッケージの複数のLEDチップおよび複数のLEDパッケージが1つの直列回路を形成するため、LEDパッケージ内の複数のLEDチップが並列している場合に比べて駆動電流が1/(LEDチップの数)となる。LED点灯装置内の発生熱は駆動電流の2乗に比例するから、LED点灯装置の動作によってLED点灯装置内に発生する熱量が顕著に減少し、その分回路効率が向上する。なお、点灯に伴ってLEDパッケージ内に発生する熱量は、LEDチップの数に比例するものの接続の態様如何による変化がないから、この熱がLED点灯装置に移動する分に変化はない。しかしながら、点灯に伴ってLEDパッケージ内に発生する熱による影響を加味しても、本実施形態によれば、LED点灯装置内の動作中における温度上昇が、LEDパッケージ内の複数のLEDチップが並列している場合に比べて約半分程度になる。その結果、LED光源およびLED点灯装置の寿命が長くなるばかりか、LED照明装置の信頼性が向上する。
【0075】
(2)LED点灯装置内の動作中における温度上昇が低減することに伴いLED点灯装置部分の放熱対策レベルを低下させることができるから、放熱部材を減少させることができる。その結果、部品数が減少して構造の簡素化および組み立て工数が減少することによるコストダウンと小形化および軽量化とを図ることができる。
【0076】
(3)LED光源中いずれかのLEDチップがオープンモードで破壊したときには、LED光源の全体が消灯するので、安全である。これに対して、LEDパッケージ内の複数のLEDチップが並列している場合には残余のLEDチップに駆動電流が集中するためにLEDパッケージが異常発熱しやすい。
【0077】
(4)第1および第2の態様において、直流電源の回路接続におけるジャンパー線JWを切り換えるだけで、直流電源または/および降圧チョッパを共通化できる。
【符号の説明】
【0078】
22…LED光源、A…第1の回路、B…第2の回路、BR…全波整流回路、C1a、C1b…平滑コンデンサ、CP1、CP2…コンパレータ、D1、D2、D3…ダイオード、DC…直流電源、DSG…自励形駆動信号発生回路、ES1…第1の制御回路電源、ES2…第2の制御回路電源、L1…第1のインダクタ、LC…負荷回路、LeP…LEDパッケージ、Q1…スイッチング素子、Q2…スイッチ素子、SDC…降圧チョッパ、ST…起動回路、TOF…ターンオフ回路、Z1…インピーダンス手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明装置本体と;
直流電源、ならびに直流電源に接続した入力端および出力端を含む直流−直流変換回路であるコンバータを備えたLED点灯装置と;
複数のLEDパッケージおよび基板を備えて照明装置本体に配設され、LEDパッケージは直列接続した複数のLEDチップを内部に含み、基板は複数のLEDパッケージを配置し、かつ直列回路を形成して実装しているとともに、直列回路の両端がLED点灯装置のコンバータの出力端間に接続されたLED光源と;
を具備していることを特徴とするLED照明装置。
【請求項2】
直流電源は、整流回路および平滑コンデンサが倍電圧整流回路を形成しており;
コンバータは、入力端が直流電源の出力端に接続し、入力端および出力端の間にスイッチング素子およびインダクタが直列に接続し、かつ出力端にフリーホイールダイオードおよびインダクタが直列に接続していて、出力端間に出力コンデンサが接続した降圧チョッパであり、交流電源の交流周期の全期間にわたり出力コンデンサの電圧が直流電源の平滑コンデンサの電圧より低くなるように動作する;
ことを特徴とする請求項1記載のLED照明装置。
【請求項3】
直流電源は、整流回路および平滑コンデンサが全波整流回路を形成しており;
コンバータは、入力端が直流電源の出力端に接続し、入力端および出力端の間にスイッチング素子およびインダクタが直列に接続し、かつ出力端にフリーホイールダイオードおよびインダクタが直列に接続していて、出力端間に出力コンデンサが接続した降圧チョッパであり、交流電源の交流周期の全期間にわたり出力コンデンサの電圧が直流電源の平滑コンデンサの電圧より低くなるように動作する;
ことを特徴とする請求項1記載のLED照明装置。
【請求項4】
直流電源は、倍電圧整流回路および全波整流回路の切り換えが可能に構成されていることを特徴とする請求項2または3記載のLED照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−49527(P2011−49527A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−138780(P2010−138780)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】