説明

LED素子の放熱構造

【課題】ヒートパイプによってLED素子を冷却し、さらにヒートパイプによってLED素子に電圧を印加する。
【解決手段】電圧が印加されることにより発光する半導体と、その半導体に導通された電極端子2a,2bとを有するLED素子1の放熱構造において、前記LED素子1で発生した熱を作動流体によって輸送して放熱するヒートパイプ6を備えるとともに、そのヒートパイプ6の少なくとも一部が導電性を有するように構成され、前記電極端子2a,2bの少なくとも一つが前記ヒートパイプ6の導電性部分を介して電源8に電気的に接続されている。前記LED素子1が前記ヒートパイプ6の外面に直接接触している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光源として使用されるLED素子の放熱構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、発光ダイオード(LED)を光源とする照明が、低消費電力で長寿命であることなどの利点から表示灯などで使用されて普及している。また、白熱電球や電球型蛍光灯などの既存の照明器具や車載用ハイマウントストップランプ(HMSL)などの光源に置き換えられる高消費電力のものも市場に普及され始めている。このような高消費電力の発光ダイオード(LED)は、発熱が大きいので、熱の影響を考慮する必要がある。すなわち、発光ダイオード(LED)のパフォーマンスを充分に引き出すためにはLEDの放熱設計は必須であり、充分な放熱が確保されないと発光ダイオード(LED)自体の寿命、光度・光束の低下を招いて発光ダイオードの性能が低下する。そのため、発光ダイオード(LED)にはヒートシンクなどを備えた冷却構造が設けられる。このような冷却構造を備えた発光ダイオード(LED)を用いたLED電球が特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1には、一端に口金が設けられ、他端の開口部に向けてラッパ状に拡がるラッパ状金属放熱部、このラッパ状金属放熱部の開口部に取付けられた透光性カバーと、ラッパ状金属放熱部と透光性カバーとにより形成された略球体の内部に設けられた金属基板と、この金属基板の透光性カバーに対向する外面に実装されたLED素子とを備えるLED電球が記載されている。また、金属基板を板状にし、ラッパ状金属放熱部の開口部に絶縁性を有する高熱伝導部材を介して固着した構成、金属基板を一端が口金側に開口し他端が閉塞された筒状とし、この筒状の金属基板の開口部をラッパ状金属放熱部の口金側に絶縁性を有する高熱伝導部材を介して固着した構成、もしくは筒状の金属基板に、LED素子が実装された部分から口金側の周囲に突設され、前記LED素子からの放射光を透光カバー方向に反射させるとともに放熱を行う反射・放熱板を備えた構成とし、さらにLED素子の発熱を抑制して高い発光効率で長寿命とするものが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、複数のLED素子と、複数のLED素子が実装される実装基板を支持する支持部材と、実装基板を収納するバルブとを備えるLEDランプが記載されている。この特許文献2に記載のLEDランプは、ヒートパイプを実装基板に沿わすとともに、ヒートパイプをバルブから突出させることにより、LED素子が発生する熱をヒートパイプによって輸送して外部に放熱させる構成となっている。
【0005】
特許文献3には、高出力発光ダイオード(LED)照明組品が記載されている。このLED照明組品は、熱交換基部と、少なくとも1つのLEDアレイと、少なくとも1つのヒートパイプおよび熱放散モジュールとにより構成されている。ヒートパイプは、加熱部、冷却部および伝導部で構成されて、その内部には作動流体が入っている。この特許文献3に記載の高出力発光ダイオード(LED)照明組品は、LEDによって発生される熱エネルギーは、熱交換基部からヒートパイプの加熱部に伝導され、それによってヒートパイプの動作流体を加熱および蒸発させ、熱放散モジュールで、伝導部から冷却部に放散のため流れる構成となっている。
【0006】
特許文献4には、一端をヒートシンクに熱伝達可能に接続され、かつ電気絶縁層で覆われた複数のLED素子が片面に電気絶縁物を介して載置された板状の熱伝導板と、前記熱伝導板の片面と離間して配置した薄板状の拡散透過層を備えた面発光光源が記載されている。この特許文献4に記載の面発光光源に備えられた熱伝導板は、中空板状で内部に液相、気相の相変化する常温で液体の作動液を封入したヒートパイプ又はサーモサイフォンとされ、面発光光源で発生した熱をこのヒートパイプ又はサーモサイフォンに大きな熱流を流して、LED素子個々の温度も所定温度に保つ構成となっている。
【0007】
特許文献5には、多段層構造として並列に形成される複数の基板を有するLEDランプが記載されている。基板の各々は、取り付けられた複数の発光ダイオードを有する。点灯して発光ダイオードによる熱が生じると、基板の各々は、そのままで、熱放散プレートとして機能するため、多段層基板は、LEDランプの発光ダイオードから生じた熱を、即座かつ効率的に、外に向かって放散し、LEDランプの照明品質の劣化を防止する。このLEDランプには、発光ダイオードから生じた熱を放散するために前記熱放散プレートが備えられるとともに、熱放散デバイスが備えられ、この熱放散デバイスは、複数の伝熱ブロック、複数の水平ヒートパイプ、複数の縦熱放散フィン、複数の縦ヒートパイプおよび複数の水平熱放散プレートを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−243809号公報
【特許文献2】特開2004−296245号公報
【特許文献3】特開2008−243780号公報
【特許文献4】特開2000−30521号公報
【特許文献5】特開2009−32590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記の特許文献1に記載されたLED電球は、LED素子で発生した熱を金属基板からラッパ状金属放熱部に伝達してラッパ状金属放熱部からLED電球の外部に放熱する構造となっている。すなわち、発熱するLED素子からラッパ状金属放熱部までの熱抵抗によって放熱効率が規定もしくは制約される。この熱抵抗は、金属基板やラッパ状金属放熱部など各部材の熱伝導率、サイズおよび形状によって決まる。また、LED素子の放熱効率は、LED素子と金属基板との接着方法・接着剤、金属基板の材質および基板上の配線パターンにも影響される。そのため、LED素子の数量を減少させつつ、照度を維持する場合や用途に応じて更に照度を増大させる場合などには、放熱効率を増大させる必要があり、そのためには特許文献1などの従来から知られている金属熱伝導による冷却構造では放熱することが不十分もしくは困難な場合や冷却構造の大型化や高コスト化するなどの問題があった。
【0010】
また、上記の特許文献2に記載されたLEDランプ、特許文献3に記載された高出力発光ダイオード(LED)照明組品、特許文献4に記載された面発光光源および特許文献5に記載されたLEDランプの冷却では、それらの光源のLED素子が取り付けられている実装基板、回路基板、電気絶縁層および多断層基板などを介して熱を伝達して、それらの介在物(各基板や電気絶縁層)からの熱をヒートパイプなどの熱抵抗が低いもので効率的に放熱している。しかしながら、ヒートパイプでは熱抵抗が低いため冷却効率がよいが、光源のLED素子が取り付けられている実装基板、回路基板、電気絶縁層および多断層基板などを介して熱を伝達させるため、この部分では熱抵抗を低下させることが困難であり、そのためLED素子の冷却効率(放熱効率)が向上させられないといった問題があった。
【0011】
この発明は、上記の技術的課題に着目してなされたものであり、構成を簡素化でき、またヒートパイプによる放熱効率を向上させることのできるLED素子の放熱構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、電圧が印加されることにより発光する半導体と、その半導体に導通された電極端子とを有するLED素子の放熱構造において、前記LED素子で発生した熱を作動流体によって輸送して放熱するヒートパイプを備えるとともに、そのヒートパイプの少なくとも一部が導電性を有するように構成され、前記電極端子の少なくとも一つが前記ヒートパイプの導電性部分を介して電源に電気的に接続されていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項2の発明は、電圧が印加されることにより発光する半導体と、その半導体に導通された電極端子とを有するLED素子の放熱構造において、前記LED素子で発生した熱を作動流体によって輸送して放熱するヒートパイプを備え、そのヒートパイプの少なくとも一部が導電性を有するように構成され、前記LED素子が前記導電性を有する部分に対して電気的に絶縁された状態で前記電極端子の少なくとも一つが前記ヒートパイプの導電性を有する部分に電気的に接続されていて、前記電極端子を介して前記LED素子の熱を前記ヒートパイプに伝達するとともにそのヒートパイプを介して前記LED素子を電源に導通させていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記LED素子が前記ヒートパイプの外面に電気的に絶縁された状態で熱伝達可能に接触していることを特徴とする、LED素子の放熱構造である。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記LED素子における前記ヒートパイプに対して熱を放散する放熱面の面積より広い面積で前記ヒートパイプに接触している熱伝導板を更に備え、前記LED素子はその熱伝導板を介して前記ヒートパイプに熱伝達可能に接触していることを特徴とする、LED素子の放熱構造である。
【発明の効果】
【0016】
この発明の請求項1の発明によれば、LED素子で発生した熱を作動流体によって輸送して放熱するヒートパイプを備えるとともに、そのヒートパイプの少なくとも一部が導電性を有するように構成され、電極端子の少なくとも一つがヒートパイプの導電性部分を介して電源に電気的に接続されているため、LED素子で発生した熱をヒートパイプによって放熱できるとともにヒートパイプから電極端子を介してLED素子に電圧を印加できる。LED素子に対して給電する配線をヒートパイプが兼ねるので、全体としての構成を、放熱特性を損なうことなく、簡素化することができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、LED素子で発生した熱を作動流体によって輸送して放熱するヒートパイプを備え、そのヒートパイプの少なくとも一部が導電性を有するように構成され、電極端子の少なくとも一つが前記ヒートパイプの導電性部分を介して電源に電気的に接続されており、電源からの電力がヒートパイプと電極端子とを介してLED素子に伝えられて、LED素子に電圧が印加されるため、LED素子で発生した熱をヒートパイプによって放熱できるとともにヒートパイプから電極端子を介してLED素子に電圧を印加できる。
【0018】
請求項3の発明によれば、LED素子がヒートパイプの外面に電気的に絶縁された状態で接触しているため、そのLED素子に接触したヒートパイプの外面でLED素子で発生した熱を吸収してヒートパイプによって放熱できる。
【0019】
請求項4の発明によれば、LED素子におけるヒートパイプに対して熱を放散する放熱面の面積より広い面積で前記ヒートパイプに接触している熱伝導板を更に備え、LED素子はその熱伝導板を介してヒートパイプに熱伝達可能に接触しているため、熱伝導板によって効率よくLED素子で発生した熱をヒートパイプに伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明に係るLED素子の放熱構造の一例を示す模式図である。
【図2】図1に示した例におけるこの発明に係るLED素子の放熱構造およびこれに備えられる電気絶縁シートおよび放熱板を示す模式図である。
【図3】この発明に係るLED素子の放熱構造のさらに他の例を示す模式図である。
【図4】図3に示した例におけるこの発明に係るLED素子の放熱構造およびこれに備えられる電気絶縁シートおよび放熱板を示す模式図である。
【図5】この発明に係るLED素子の放熱構造のまたさらに他の例を示す模式図である。
【図6】LEDモジュールをヒートパイプに直接接触させて取り付けた構造の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。この発明に係るLED素子の放熱構造は、電極端子に接続されて電圧が印加されて発光および発熱をする、照明器具などに用いられるLED素子の放熱(冷却)を熱抵抗の低いヒートパイプによって行うものである。また、LED素子をヒートパイプで冷却しつつ、電極端子にヒートパイプを導電(通電)可能に接続することによってLED素子に電力を供給するものである。さらに、ヒートパイプは電極端子に熱伝導可能に取り付けられて、LED素子の熱をヒートパイプの放熱部から放熱するものである。
【0022】
図1にこの発明に係るLED素子の放熱構造の一例における主要部が示されている。符号1は、LED素子であり、そのカソード側の電極とアノード側の電極とに正常に発光するように極性を合わせて電気的に接続されてカソード側の電極に負、アノード側の電極に正の電圧が印加されることにより発光する。このLED素子1は、カソード端子およびアノード端子(いずれも図示せず)を有しており、発色などに応じてシリコン層(図示せず)が積層されてP型部(P型半導体)とN型部(N型半導体)とが設けられ、それらカソード端子、アノード端子およびシリコン層が熱伝導性が高く電気絶縁性を備えた材質、例えばセラミックなどのダイや基板もしくは端子などに実装されて構成されている。以下、LED素子1は、カソード端子、アノード端子およびシリコン層が基板2に実装されているものとする。また、基板2には、LED素子1を発光させるための配線や素子などが実装される場合もある。LED素子1は、照明用や表示用の用途で使用され、カソード側とアノード側との両電極に電圧が印加されて発光するとともに、全入力電力のうち可視光領域の放射以外の部分は赤外領域の放射(発熱)か直接熱に変換され、また、LED素子1や基板2などに備えられた配線や素子に電流が流れることにより、LED素子1は発熱する。
【0023】
LED素子1は基板2に構造的結合により係合もしくは接着剤により接着されて取り付けられて物理的に固定される。基板2は、アルミや樹脂などの材質で構成されている。これらLED素子1と基板2とからLEDモジュール(もしくはLEDパッケージ)3が構成されている。なお、このLEDモジュール3では、基板2上に複数のLED素子1が直列に接続されており、もしくは基板2上に複数のLED素子1を並列に接続する場合には最も順方向降下電圧(簡単に言えば、電流が流れ始める電圧)の低い素子のみに電流が集中して発光量が不均一になるなどの問題があるため、抵抗や能動素子で定電流制御した回路を一単位とし、この単位回路を並列に接続されている構成であってよい。
【0024】
また、基板2は、ヒートスプレッダ(熱伝導板もしくは熱拡散板とも言う)4a,4bにLED素子1からの熱を伝導可能に固定されている。この基板2は、ヒートスプレッダ4a,4bにビスなどによって締結されている構成であってよい。また、基板2に実装されたLED素子1のカソード端子およびアノード端子には金属端子(電極端子)2a,2bの一方端が接続されており、この金属端子2a,2bの他方端がヒートスプレッダ4a,4bに接続されている。ヒートスプレッダ4a,4bは熱伝導性および導電性を有した材料、例えば銅などによって構成されている。ヒートスプレッダ4a,4bは板状の2つの部材の端面同士を90度程度のアングルが設けられて接合して構成され、もしくは板状の部材を90度程度のアングルが付けられて折り曲げて形成されており、言うなれば、L字アングル部材として構成されている。このヒートスプレッダ4a,4bのアングルが設けられた一方の板面同士が面一とされて平面4cが構成され、この平面4cに前述の基板2が電気的に絶縁した状態で取り付けられる。その電気的な絶縁状態は、スペースをあけること、絶縁被膜(図示せず)を介在させることなどによって達成できる。このヒートスプレッダ4a,4bの平面4cと基板2との接触面には、熱伝導グリスが塗布される構成であってよい。
【0025】
一方、このヒートスプレッダ4a,4bのアングルが設けられた他方の板面同士は、隙間が設けられて対向して配置されて対向面4d,4eを構成している。この対向した対向面4d,4eは、隙間が設けられて対向して配置されている。この対向した対向面4d,4e同士の隙間には、この対向面4d,4eの一方側から他方側もしくはその逆方向に電流が流れるのを完全に阻む、すなわち絶縁するように絶縁体5が設けられる。この絶縁体5は、例えばポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂等からなり、その厚さは例えば1〜30μmとされたものであってよい。
【0026】
また、ヒートスプレッダ4a,4bにおける面一にされて基板2が取り付けられた平面4cの裏側面4f,4gと対向して配置された対向面4d,4eの裏側面4h,4iとには、並列して並べられた2本のヒートパイプ6が接触して取り付けられている。このヒートスプレッダ4a,4bの裏側面4f,4g,4h,4iに接触しているヒートパイプ6の部分が、ヒートパイプ6の吸熱部位6aとなっている。このようにヒートスプレッダ4a,4bは、L字アングル部材として構成されて裏側面4f,4g,4h,4iにヒートパイプ6が接触して取り付けられることから、接触面積を増大させて熱伝導性を高め、また、導電性においても、ヒートパイプ6との接触面積が増大されて電気抵抗を低下させる構成となっている。
【0027】
ヒートパイプ6は、通常の市販のものであってよく、内部に作動流体が封入されて吸熱部位(高温部)から放熱部位(低温部)に潜熱により熱エネルギーを運搬できる構成であってよい。また、ヒートパイプ6は、ヒートスプレッダ4a,4bの形状やヒートパイプ6を設置するための筐体(図示せず)などに設けられた設置部位の形態に合わせてその形状が加工され、その材質は、純度の高い銅などの金属製で熱伝導性および導電性が優れたものとなっている。さらに、ヒートパイプ6は、その長手方向などに電流を流して、電力を伝達できる構成となっている。またさらに、ヒートパイプ6には、導線7a,7bの一方端側が導電可能に接続されている。したがって、ヒートパイプ6は、LED素子1に電圧を印加させる電気回路の一部となっている。導線7a,7bの他方端側は、基板2や金属端子2a,2bに電流を流すように電源8に接続されている。このように電源8から導線7a,7bを介してヒートパイプ6に導電可能に接続されて、さらに、ヒートパイプ6がヒートスプレッダ4a,4bに導電が可能に接触して取り付けられて、ヒートスプレッダ4a,4bに金属端子2a,2bが接続されてLED素子1に電圧を印加できる構成となっている。
【0028】
図2に示すようにヒートパイプ6は、ヒートスプレッダ4a,4bの裏側面4f,4g,4h,4iに接触している吸熱部位6aから延長および屈曲されて放熱部位6bが設けられている。屈曲されて延長されたヒートパイプ6の放熱部位6bには、電気絶縁シート9a,9bが接触して取り付けられ、さらにそのヒートパイプ6と接触している面とは反対側の上層部には放熱板10a,10bが設けられている。電気絶縁シート9a,9bは熱伝導性を有し、ヒートパイプ6から放熱板10a,10bへの導電を阻止し、すなわち絶縁することのできる材質で、シート状に構成されている。放熱板10a,10bは、アルミなどを板状もしくはシート状にしたもので構成されている。そして、図示しない筐体に熱を伝導して外部に放熱する、もしくは筐体の外部に放熱する構成となっている。なお、図示しない筐体がヒートシンク(図示せず)などを備え、そのヒートシンクに放熱板10a,10bから熱が伝導されて外部に熱を放熱する構成であってもよい。
【0029】
つぎに、LED素子1の動作について説明するとともに、この発明に係るLED素子の放熱構造の一例における作用について説明する。図示しない制御装置などにより電源8の電圧が制御されて、電源8に導電可能に接続された導線7a,7bに電流が流れる。導線7a,7bに電流が流れて、導線7a,7bに導電可能に接続されたヒートパイプ6に電流が流れる。また、ヒートパイプ6に電流が流れると、ヒートパイプ6に導電可能に接触して取り付けられたヒートスプレッダ4a,4bに電流が流れる。ヒートスプレッダ4a,4bには金属端子2a,2bの他方端が接続され、金属端子2a,2bの一方端がLED素子1に接続されて、金属端子2a,2bに電流が流れる。そして、LED素子1に電圧が印加されて電流が流れ、LED素子1が発光する。
【0030】
このようにLED素子1に電圧が印加されて発光させると、全入力電力のうち可視光領域の放射以外の部分は赤外領域の放射(発熱)か直接熱に変換され、また、LED素子1や基板2などに備えられた配線や素子に電流が流れることにより、LED素子1は発熱して温度上昇する。LED素子1が駆動できる最大温度は、ジャンクション温度(Tj)といわれる半導体におけるP型部(P型半導体)とN型部(N型半導体)とのPN接合部の温度によって決まる。これ以上、温度を上げるとPN接合が破壊される限界の温度を最大ジャンクション温度(Tjmax)と呼び、この最大ジャンクション温度(Tjmax)を超えないように、この発明に係るLED素子の放熱構造の一例では、前述のようにLED素子1に電圧を印加させる回路の一部となる熱抵抗の低いヒートパイプ6によってLED素子1で発生した熱の放熱(冷却)が行われる。このとき、基板2内に実装された配線や素子の熱もヒートパイプ6によって熱の放熱(冷却)が行われる。
【0031】
LED素子1に電圧が印加されて発熱して温度上昇すると、LED素子1で発生した熱が基板2と金属端子2a,2bとに伝達される。LED素子1から基板2と金属端子2a,2bとに伝達された熱は、熱伝導グリスがヒートスプレッダ4a,4bの平面4cと基板2との接触面に塗布される構成である場合には熱伝導グリスを介して、そうでない場合には直接にヒートスプレッダ4a,4bに伝達される。ヒートスプレッダ4a,4bに伝達された熱は、ヒートスプレッダ4a,4bの裏側面4f,4g,4h,4iに接触して取り付けられたヒートパイプ6の吸熱部位6aに伝達される。
【0032】
ヒートパイプ6の吸熱部位6aに伝達された熱は、吸熱部位6aにおいてヒートパイプ6の内部でパイプ中に凝縮性の液体(作動流体)が蒸発(潜熱が吸収)され、放熱部位6b(図2)において作動流体の凝縮(潜熱の放出)のサイクルが発生して熱を移動(運搬)させる。放熱部位6bでパイプ内部の蒸気が冷却されるとパイプ内部を毛細管構造により(もしくは重力で)液体(作動流体)が吸熱部位6aに戻される。ヒートパイプ6の放熱部位6bからの放熱は、図2に示すようにヒートパイプ6に流れる電流が筐体(図示せず)の外部に漏洩しないように電気絶縁シート9a,9bを介して放熱板10a,10bから筐体(図示せず)を経由して外部に放熱される。
【0033】
このように、この発明に係るLED素子の放熱構造の一例では、LED素子1に電源8からヒートパイプ6を経由して電力が供給でき、このLED素子1を発光させることができるとともに、LED素子1に電力を供給して発光させることによりLED素子1で発生した熱を基板2および金属端子2a,2bを介してヒートパイプ6の吸熱部位6aで吸収して放熱(冷却)することができる。LED素子1からヒートパイプ6の吸熱部位6aで吸収された熱は、電気絶縁シート9a,9bを介して放熱板10a,10bに伝達され、図示しない筐体の外部に放熱することができる。
【0034】
この発明は、ヒートパイプを、LED素子の熱を放熱部に輸送する手段およびLED素子に給電するための手段として構成されている点に特徴があり、上述した図1および図2に示す例では、正負両側の金属端子2a,2bをヒートパイプ6に接続した構成としたが、これは、2本のヒートパイプ6を使用していることに伴う構成であり、したがって1本のヒートパイプ6を使用する場合には、正負いずれか一方の金属端子2a(もしくは2b)をヒートパイプ6に電気的に接続し、そのヒートパイプ6を介してLED素子1を電源8に電気的に接続することになる。金属端子2a,2bとヒートパイプ6との接続は、要は、両者が電気的に導通した状態で連結されていればよいので、金属端子2a,2bをヒートパイプ6の表面に接触させた状態で、ハンダや接着剤あるいは固定バンドなどの従来知られている適宜の固定手段によって両者を一体化することにより行えばよい。その例を図3に示してある。なお、図3において、前述した図1および図2に示す構成と同一の構成については図1および図2に付した符号と同一の符号を付してある。
【0035】
図3において、符号1は、LED素子であり、このLED素子1は、前述の図1および図2に示した構成と同様のものである。LED素子1は、前述の図1および図2に示した構成と同様に基板2に実装されている。この基板2も前述の図1および図2に示した構成と同様のものである。これらLED素子1と基板2とからLEDモジュール(もしくはLEDパッケージ)3が構成されている。
【0036】
基板2に実装されたLED素子1のカソード端子およびアノード端子には金属端子(電極端子)2a,2bの一方端が接続されている。また、LED素子1が実装された基板2には、ヒートパイプ31が備えられ、その吸熱部位31aが熱伝導可能に接触して取り付けられている。なお、基板2とヒートパイプ31とは電気的に絶縁されており、またこれら両者の間の熱伝達を促進する場合には、熱伝導グリスが塗布される構成であってよい。したがって、LED素子1からこれが実装された基板2を介してヒートパイプ31の吸熱部位31aに熱伝達される構成となっている。
【0037】
一方の金属端子2aが導線30aに接続されている。また、他方の金属端子2bがヒートパイプ31に熱伝達および導電が可能に接続されている。さらにヒートパイプ31には、導線30bの一方端が導電可能に接続されている。またさらに、導線30aと導線30bとの他方端には電源8が接続されている。
【0038】
図3に示すように構成した場合であっても、前述した図1および図2に示す例と同様に、そのヒートパイプ31の両端部に放熱部位を設けて、前記LED素子で生じた熱を外部に放散させるように構成することができる。図4はその例を示しており、ヒートパイプ31は、基板2と接触している吸熱部位31aから延長および屈曲されて放熱部位31bが設けられている。放熱部位31bには、前述した図1および図2に示した例と同様に、電気絶縁シート9a,9bが接触して取り付けられ、さらにそのヒートパイプ31と接触している面とは反対側の上層部には放熱板10a,10bが設けられている。そして、図示しない筐体に熱を伝達して外部に放熱し、もしくは筐体の外部に放熱する構成となっている。
【0039】
図3および図4に示すように構成した放熱構造の作用について説明すると、図示しない制御装置などにより電源8の電圧が制御されて、電源8に導電可能に他方端が接続された導線30a,30bに電流が流れ、また導線30aに電流が流れて、導線30aに導電可能に一方端が接続された金属端子2aに電流が流れる。一方、導線30bに電流が流れ、導線30bに導電可能に一方端が接続されたヒートパイプ31に電流が流れる。ヒートパイプ31に電流が流れると、ヒートパイプ31に一方端が接続された金属端子2bに電流が流れる。こうして金属端子2a,2bに電流が流れると、LED素子1に電圧が印加されて、LED素子1が発光する。
【0040】
このようにLED素子1に電圧が印加されて発光させると、全入力電力のうち可視光領域の放射以外の部分は赤外領域の放射(発熱)か直接熱に変換され、また、LED素子1や基板2などに備えられた配線や素子に電流が流れることにより、LED素子1は発熱して温度上昇する。最大ジャンクション温度(Tjmax)を超えないように、前述のようにLED素子1の熱を基板2を介して熱抵抗の低いヒートパイプ31によって放熱(冷却)が行われる。このとき、基板2内に実装された配線や素子の熱もヒートパイプ31によって熱の放熱(冷却)が行われる。
【0041】
LED素子1に電圧が印加されて発熱して温度上昇すると、LED素子1で発生した熱が基板2と金属端子2aとに伝達される。また、ヒートパイプ31に電流が流れると、ヒートパイプ31に導電可能に接触して取り付けられたLED素子1から基板2と金属端子2aとに伝達された熱は、熱伝導グリスが基板2とヒートパイプ31との接触面に塗布される構成である場合には熱伝導グリスを介して、そうでない場合には直接にヒートパイプ31の吸熱部位31aに伝達される
【0042】
ヒートパイプ31の吸熱部位31aに伝達された熱は、吸熱部位31aにおいて内部の作動流体に潜熱として吸収され、放熱部位31b(図4)において作動流体から潜熱として放出されて、潜熱の吸収と放出とのサイクルが発生して熱を移動(運搬)させる。放熱部位31bでパイプ内部の蒸気が冷却されるとパイプ内部を毛細管構造(もしくは重力)により液体(作動流体)が吸熱部位31aに戻される。ヒートパイプ31の放熱部位31bからの放熱は、図4に示すようにヒートパイプ31に流れる電流が筐体(図示せず)の外部に漏洩しないように電気絶縁シート9a,9bを介して放熱板10a,10bから筐体(図示せず)を経由して外部に放熱される。
【0043】
このように、この発明に係るLED素子の放熱構造の一例では、LED素子1に電源8からヒートパイプ31を経由して電力が供給でき、このLED素子1を発光させることができるとともに、LED素子1に電力を供給して発光させることによりLED素子1で発生した熱を基板2および金属端子2bを介してヒートパイプ31の吸熱部位31aで吸収して放熱(冷却)することができる。LED素子1からヒートパイプ31の吸熱部位31aで吸収された熱は、電気絶縁シート9a,9bを介して放熱板10a,10bに伝達され、図示しない筐体の外部に放熱することができる。
【0044】
つぎに、図5を参照して、この発明に係るLED素子の放熱構造のさらに他の例について説明する。なお、前記図1に示したこの発明に係るLED素子の放熱構造の一例とは、ヒートスプレッダ4a,4bを備えていない構成であるほかは、ほぼ同様の構成であるため、同様の構成のものについては同じ符号を用いて説明する。図5において符号1は、LED素子であり、このLED素子1は、前述の図1および図2に示した構成と同様のものである。LED素子1は、前述の図1および図2に示した構成と同様に基板2に実装されている。この基板2も前述の図1および図2に示した構成と同様のものである。これらLED素子1と基板2とからLEDモジュール(もしくはLEDパッケージ)3が構成されている。
【0045】
基板2に実装されたLED素子1のカソード端子およびアノード端子には金属端子(電極端子)2a,2bの一方端が接続されており、この金属端子2a,2bの他方端がヒートパイプ41に熱伝導性および導電性を有して接続されている。また、基板2は、2本のヒートパイプ41に電気的に絶縁された状態で固定されている。その電気的な絶縁状態は、スペースをあけること、絶縁被膜(図示せず)を介在させることなどによって達成できる。この基板2とヒートパイプ41との間の熱伝達を促進する場合には、その接触面2cに熱伝導グリスが塗布される構成であってよい。また、2本のヒートパイプ41が並列して並べられている間には、絶縁体5が挟まれて備えられている。そして、基板2の接触面2cからヒートパイプ41へと熱伝導される構成となっている。
【0046】
さらに、各ヒートパイプ41には、導線7a,7bの一方端側が導電可能に接続されている。したがって、ヒートパイプ41は、LED素子1に電圧を印加させる電気回路の一部となっている。導線7a,7bの他方端側は、基板2や金属端子2a,2b、ヒートパイプ41に電流を流すように電源8に接続されている。このように電源8から導線7a,7bを介してヒートパイプ41に導電可能に接続されて、ヒートパイプ41に金属端子2a,2bが接続されてLED素子1に電圧を印加できる構成となっている。
【0047】
図5に示す各ヒートパイプ41から放熱させるための構成は、前述した図4に示す構成とすることができる。すなわち、ヒートパイプ41は、基板2に接触している吸熱部位41aから延長および屈曲されて放熱部位41bが設けられている。屈曲されて延長されたヒートパイプ41の放熱部位41bには、電気絶縁シート9a,9bが接触して取り付けられ、さらにそのヒートパイプ41と接触している面とは反対側の上層部には放熱板10a,10bが設けられている。電気絶縁シート9a,9bは熱伝導性を有し、ヒートパイプ41から放熱板10a,10bへの導電を阻止でき、すなわち絶縁することのできる材質で、シート状に構成されている。そして、図示しない筐体に熱を伝導して外部に放熱する、もしくは筐体の外部に放熱する構成となっている。なお、図示しない筐体がヒートシンク(図示せず)などを備え、そのヒートシンクに放熱板10a,10bから熱が伝導されて外部に熱を放熱する構成であってもよい。
【0048】
図5に示すように構成した場合であっても、図示しない制御装置などにより電源8の電圧が制御されて、電源8に導電可能に接続された導線7a,7bに電流が流れる。導線7a,7bに電流が流れて、導線7a,7bに導電可能に他方端が接続された金属端子2a,2bに電流が流れる。金属端子2a,2bに電流が流れると、金属端子2a,2bの一方端が接続されたLED素子1に電圧が印加されて、電流が流れ、LED素子1が発光する。
【0049】
このようにLED素子1に電圧が印加されて発光させると、全入力電力のうち可視光領域の放射以外の部分は赤外領域の放射(発熱)か直接熱に変換され、また、LED素子1や基板2などに備えられた配線や素子に電流が流れることにより、LED素子1は発熱して温度上昇する。最大ジャンクション温度(Tjmax)を超えないように、前述のようにLED素子1の熱を基板2を介して熱抵抗の低いヒートパイプ41によって放熱(冷却)が行われる。このとき、基板2内に実装された配線や素子の熱もヒートパイプ41によって熱の放熱(冷却)が行われる。
【0050】
LED素子1に電圧が印加されて発熱して温度上昇すると、LED素子1で発生した熱が基板2と金属端子2a,2bとに伝達される。LED素子1から基板2と金属端子2a,2bとに伝達された熱は、熱伝導グリスが基板2とヒートパイプ41との接触面に塗布される構成である場合には熱伝導グリスを介してヒートパイプ41の吸熱部位41aに伝達される。
【0051】
ヒートパイプ41の吸熱部位41aに伝達された熱は、吸熱部位41aにおいて内部の作動流体に潜熱として吸収され、放熱部位41b(図4)において作動流体から潜熱として放出されて、潜熱の吸収と放出とのサイクルが発生して熱を移動(運搬)させる。放熱部位41bでパイプ内部の蒸気が冷却されるとパイプ内部を毛細管構造(もしくは重力)により液体(作動流体)が吸熱部位41aに戻される。ヒートパイプ41の放熱部位41bからの放熱は、図4に示すようにヒートパイプ41に流れる電流が筐体(図示せず)の外部に漏洩しないように電気絶縁シート9a,9bを介して放熱板10a,10bから筐体(図示せず)を経由して外部に放熱される。
【0052】
このように、図5に示す例では、LED素子1で発生した熱を基板2および金属端子2a,2bを介してヒートパイプ41の吸熱部位41aで吸収して放熱(冷却)することができる。LED素子1からヒートパイプ41の吸熱部位41aで吸収された熱は、電気絶縁シート9a,9bを介して放熱板10a,10bに伝達され、図示しない筐体の外部に放熱することができる。同時に、ヒートパイプ41を介してLED素子1に対して給電することができ、LED素子1に給電するためのリード線などの配線を省いて全体としての構成を簡素化することができる。
【0053】
なお、ヒートパイプにLEDモジュール(もしくはLEDパッケージ)を直接取り付けた構造の一例を参考して示すと図6のとおりである。図6において、符号1はLED素子であり、このLED素子1は、前述の図1および図2に示した構成と同様のものであって、基板2に実装されている。この基板2も前述の図1および図2に示した構成と同様のものである。これらLED素子1と基板2とからLEDモジュール(もしくはLEDパッケージ)3が構成されている。
【0054】
基板2に実装されたLED素子1のカソード端子およびアノード端子には金属端子(電極端子)2a,2bが接続されており、この金属端子2a,2bの他端が導線20a,20bに接続されている。導線20a,20bは、電源8に接続され、したがってその導線20a,20bを介してLED素子1に給電するように構成されている。また、LED素子1が実装された基板2は、ヒートパイプ21に熱伝達可能に接触し、かつ固定されている。なお、基板2とヒートパイプ21との接触面には、熱伝導グリスが塗布される構成であってよい。
【0055】
図6に示すように構成した場合であっても、そのヒートパイプ21を前述した図4に示すように構成して外部に放熱させるように構成することができる。すなわち、ヒートパイプ21は、基板2と接触している吸熱部位21aから延長および屈曲されて放熱部位21bが設けられている。放熱部位21bには、電気絶縁シート9a,9bが接触して取り付けられ、さらにそのヒートパイプ21と接触している面とは反対側の上層部には放熱板10a,10bが設けられている。
【0056】
図示しない制御装置などにより電源8の電圧が制御されて、電源8に導電可能に接続された導線20a,20bに電流が流れると、導線20a,20bに導電可能に他方端が接続された金属端子2a,2bに電流が流れる。金属端子2a,2bに電流が流れると、金属端子2a,2bの一方端が接続されたLED素子1に電圧が印加されて、電流が流れ、LED素子1が発光する。
【0057】
このようにLED素子1に電圧が印加されて発光させると、全入力電力のうち可視光領域の放射以外の部分は赤外領域の放射(発熱)か直接熱に変換され、また、LED素子1や基板2などに備えられた配線や素子に電流が流れることにより、LED素子1は発熱して温度上昇する。最大ジャンクション温度(Tjmax)を超えないように、LED素子1の熱を基板2を介して熱抵抗の低いヒートパイプ21によって放熱(冷却)が行われる。このとき、基板2内に実装された配線や素子の熱もヒートパイプ21によって熱の放熱(冷却)が行われる。
【0058】
LED素子1に電圧が印加されて発熱して温度上昇すると、LED素子1で発生した熱が基板2と金属端子2a,2bとに伝達される。LED素子1から基板2と金属端子2a,2bとに伝達された熱は、熱伝導グリスが基板2とヒートパイプ21との接触面に塗布される構成である場合には熱伝導グリスを介してヒートパイプ21の吸熱部位21aに伝達される。
【0059】
ヒートパイプ21の吸熱部位21aに伝達された熱は、吸熱部位21aにおいて内部でパイプ中の作動流体に潜熱として吸収され、放熱部位21b(図4)において作動流体から潜熱として放出されて、潜熱の吸収と放出とのサイクルが発生して熱を移動(運搬)させる。放熱部位21bでパイプ内部の蒸気が冷却されるとパイプ内部を毛細管構造により液体(作動流体)が吸熱部位21aに戻される。ヒートパイプ21の放熱部位21bからの放熱は、図4に示すようにヒートパイプ21に流れる電流が筐体(図示せず)の外部に漏洩しないように電気絶縁シート9a,9bを介して放熱板10a,10bから筐体(図示せず)を経由して外部に放熱される。
【0060】
このように、LED素子1で発生した熱を基板2および金属端子2a,2bを介してヒートパイプ21の吸熱部位21aで吸収して放熱(冷却)することができる。LED素子1からヒートパイプ21の吸熱部位21aで吸収された熱は、電気絶縁シート9a,9bを介して放熱板10a,10bに伝達され、図示しない筐体の外部に放熱することができる。
【0061】
なお、上述した各具体例において、LED素子1で発生した熱を潜熱により放熱し、LED素子1に電圧を印加する回路を構成するデバイスをヒートパイプ6,21,31,41とする構成としたが、この発明においてはLED素子1で発生した熱を潜熱により効率よく放熱できるとともに、LED素子1に電圧を印加する回路を構成できればよく、例えば、電気を伝導することのできるベーパチャンバなどであってもよい。また、上記の各具体例では、ヒートパイプのコンテナが銅などの導電性材料で構成され、したがってそのコンテナに電極端子を接続した例を示したが、この発明では絶縁材料でコンテナを構成したヒートパイプを使用することができ、その場合には外面の少なくとも一部に導電性被膜を形成するなど、導電性部分を設ければよい。
【符号の説明】
【0062】
1…LED素子、 2a,2b…電極端子(金属端子)、 6,31,41…ヒートパイプ、 8…電源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧が印加されることにより発光する半導体と、その半導体に導通された電極端子とを有するLED素子の放熱構造において、
前記LED素子で発生した熱を作動流体によって輸送して放熱するヒートパイプを備えるとともに、
そのヒートパイプの少なくとも一部が導電性を有するように構成され、
前記電極端子の少なくとも一つが前記ヒートパイプの導電性部分を介して電源に電気的に接続されている
ことを特徴とする、LED素子の放熱構造。
【請求項2】
電圧が印加されることにより発光する半導体と、その半導体に導通された電極端子とを有するLED素子の放熱構造において、
前記LED素子で発生した熱を作動流体によって輸送して放熱するヒートパイプを備え、
そのヒートパイプの少なくとも一部が導電性を有するように構成され、
前記LED素子が前記導電性を有する部分に対して電気的に絶縁された状態で前記電極端子の少なくとも一つが前記ヒートパイプの導電性部分を介して電源に電気的に接続されていて、前記電極端子を介して前記LED素子の熱を前記ヒートパイプに伝達するとともにそのヒートパイプを介して前記LED素子を電源に導通させている
ことを特徴とする、LED素子の放熱構造。
【請求項3】
前記LED素子が前記ヒートパイプの外面に電気的に絶縁された状態で熱伝達可能に接触していることを特徴とする請求項1または2に記載の、LED素子の放熱構造。
【請求項4】
前記LED素子における前記ヒートパイプに対して熱を放散する放熱面の面積より広い面積で前記ヒートパイプに接触している熱伝導板を更に備え、前記LED素子はその熱伝導板を介して前記ヒートパイプに熱伝達可能に接触している
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の、LED素子の放熱構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−258771(P2011−258771A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132296(P2010−132296)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】