説明

LED表示装置

【課題】ハーフミラーを用いて2つの原像のうち一方、もしくは2つの原像の合成像を表示するLED表示装置において、視認性を向上させること。
【解決手段】筐体10の内面には、第1原像源11と第2原像源12とが90度に配置され、第1原像源11と第2原像源12の間には、第1原像源11と45度の角度を成してハーフミラー13が配置されている。また、筐体10の、第2原像源12が配置されている面と対向する方の面は、光を透過する像出射面14となっている。また、筐体10の、第1原像源11が配置されている面と対向する方の面には、光吸収膜15が配置されている。ハーフミラー13により反射される第1原像源11からの光、およびハーフミラー13を透過する第2原像源12からの光は、光吸収膜15によって吸収される。そのため、表示の視認性が向上している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハーフミラーを用いて2つの原像のうち一方、もしくは2つの原像の合成像を表示する表示装置であり、光源としてLEDを用いるものである。
【背景技術】
【0002】
ハーフミラーを用い、2つの原像のうち一方を選択的に表示する、または2つの原像の合成像を表示する表示装置が、特許文献1、2などに記載されている。
【0003】
図7は、そのような表示装置の構造を示す断面図である。筐体100の内部には、原像源101と原像源102とが90度に配置され、原像源101と原像源102の間に、原像源101と45度の角度を成してハーフミラー103が配置されている。また、筐体100の、原像源102が配置されている面とは反対側の面は、光を透過する像出射面104となっている。原像源101からの光は一部ハーフミラー103によって反射され、像出射面104を透過する。また原像源102からの光は、一部ハーフミラー103を透過し、像出射面104を透過する。原像源101、102の制御により、原像源101による原像と原像源102による原像のどちらか一方、もしくは原像源101による原像と原像源102による原像との合成像を表示することができる。
【特許文献1】特開昭63−188184
【特許文献2】特開平10−239629
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、原像源101からの光のうち、ハーフミラーを透過する光と、原像源102からの光のうち、ハーフミラー103によって反射される光は、筐体内面で反射し、筐体内にこもるため、表示の視認性が悪化していた。
【0005】
そこで本発明の目的は、ハーフミラーを用い、2つの原像のうち一方を選択的に表示、または2つの原像の合成像を表示するLED表示装置において、表示の視認性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、像出射面を有した筐体と、筐体内に像出射面に対向する位置に設けられた、LEDを光源とする第1原像源と、筐体内に第1原像源に対し所定の角度を成して設けられた、LEDを光源とする第2原像源と、筐体内の第1原像源と第2原像源とに挟まれた位置に設けられたハーフミラーと、を有し、第1原像源からの光はハーフミラーを透過させることにより像出射面へ導き、第2原像源からの光はハーフミラーにより反射させて像出射面へ導くことにより、2つの原像のうち一方、もしくは2つの原像の合成像を像出射面側に表示させるLED表示装置において、筐体内面の、第2原像源と対向する位置に、光吸収膜が設けられていることを特徴とするLED表示装置である。
【0007】
第2の発明は、像出射面を有した筐体と、筐体内に像出射面に対向する位置に設けられた、LEDを光源とする第1原像源と、筐体内に第1原像源に対し所定の角度を成して設けられた、LEDを光源とする第2原像源と、筐体内の第1原像源と第2原像源とに挟まれた位置に設けられたハーフミラーと、を有し、第1原像源からの光はハーフミラーを透過させることにより像出射面へ導き、第2原像源からの光はハーフミラーにより反射させて像出射面へ導くことにより、2つの原像のうち一方、もしくは2つの原像の合成像を像出射面側に表示させるLED表示装置において、筐体は、第2原像源に対向する位置を筐体の外側方向に拡張した拡張部を有することを特徴とするLED表示装置である。
【0008】
第3の発明は、第2の発明において、拡張部の筐体内面には、光吸収膜が設けられていることを特徴とするLED表示装置である。
【0009】
本発明において、第1原像源および第2原像源は、たとえば、LED発光装置の発光面に、表示する原像の形に光を透過させる樹脂板を設けたもの、LED自体を画素として複数のLEDにより画像を表現するもの、LEDをバックライトとし、導光体により像を表示するもの、などを用いることができる。光源であるLEDには任意の発光色、任意の半導体材料のものを用いることができ、複数のLEDを実装したものであってもよい。
【0010】
また、第1、3の発明において、光吸収膜には、黒色の樹脂フィルタなどを用いることができる。また、第1、2原像源に用いるLEDの発光波長帯のみを吸収するフィルタであってもよい。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明によると、ハーフミラーにより反射された第1原像源からの光、およびハーフミラーを透過する第2原像源からの光は、光吸収膜により吸収されるため、筐体内に光がこもらない。したがって、第1原像源による原像または第2原像源による原像の一方を選択的に表示させた場合、もしくは、第1原像源による原像と第2原像源による原像とを合成させて表示させた場合の、表示の視認性を向上させることができる。
【0012】
また、第2の発明によると、ハーフミラーにより反射された第1原像源からの光、およびハーフミラーを透過する第2原像源からの光は、拡張部内の空間において散乱、減衰する。したがって、第1の発明と同様に、表示の視認性を向上させることができる。
【0013】
また、第3の発明のように、拡張部の筐体内面に光吸収膜を設けることによって、表示の視認性をさらに向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の具体的な実施例について図を参照しながら説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0015】
実施例1のLED発光装置1は、2つの原像を切り換えて表示することができるLED表示装置である。図1は、実施例1のLED表示装置1の構造を示す断面図である。LED表示装置1は、筐体10と、第1原像源11と、第2原像源12と、ハーフミラー13と、光吸収膜15と、によって構成されている。筐体10の内面には、第1原像源11と第2原像源12のそれぞれの法線の成す角が90度に配置され、第1原像源11と第2原像源12の間には、法線が第1原像源11の法線と45度の角度を成すようにハーフミラー13が配置されている。また、筐体10の、第2原像源12が配置されている面と対向する方の面は、光を透過する像出射面14となっている。また、筐体10の、第1原像源11が配置されている面と対向する方の面には、光吸収膜15が配置されている。光吸収膜15は、黒色の樹脂フィルタであり、可視光を効率的に吸収することができる。
【0016】
図2は、第1原像源11の構造を示す断面図である。第1原像源は、LED発光装置16と、意匠板17とからなる。LED発光装置16は、配線(図示しない)が表面に形成された配線基板18と、ワイヤ19a、19bによって配線基板上に実装されたLED20と、隔壁21と、封止樹脂22と、で構成されている。LED20は、III 族窒化物半導体からなる緑色発光のLEDである。意匠板17は、透光性の樹脂フィルムに、所望の意匠形状を反転させた形状に黒色の樹脂を印刷したものであり、LED発光装置16からの光を所望の形状に透過させ、所望の原像を得るものである。封止樹脂22には、拡散材が混入されていて、原像の発光強度の均一性を高めている。以下、第1原像源11により得られる原像を第1原像とする。
【0017】
第2原像源12の構造は、意匠板の意匠形状が第1原像源の意匠板17とは異なることと、緑色発光ではなく赤色発光のLEDを用いていること以外は同様の構造となっている。以下、第2原像源12により得られる原像を第2原像とする。
【0018】
第1原像源11の意匠板17の法線と、第2原像源12の意匠板17の法線は、90度を成している。
【0019】
第1原像源11、第2原像源12は制御装置に接続されている。制御装置は、第1原像源11と第2原像源12の双方のLEDを消灯するか、第1原像源11と第2原像源12のどちらか一方のLEDを点灯するように制御する。制御装置による制御は、制御装置に接続するセンサなどからの情報をもとに自動で制御するものであってもよいし、スイッチ等によって手動で制御するものであってもよい。
【0020】
制御装置によって第1原像源11のみを点灯すると、第1原像源11からの光は、一部ハーフミラー13を透過し、像出射面14を透過する。これにより、LED表示装置1は、緑色の第1原像を表示することができる。ここで、第1原像源11からの光は、一部ハーフミラー13によって反射される。従来はこの反射光が筐体内にこもり、視認性を悪化させていたが、LED表示装置1には光吸収膜15が設けられているため、反射光は吸収される。したがって、第1原像の視認性が向上している。
【0021】
一方、制御装置によって第2原像源12のみを点灯すると、第2原像源12からの光は一部ハーフミラー13によって反射され、像出射面14を透過する。これにより、LED表示装置1は、赤色の第2原像を表示することができる。ここで、第2原像源12からの光は、一部ハーフミラー13を透過するが、この透過光は光吸収膜15により吸収されるため、従来よりも第2原像の視認性が向上している。
【0022】
以上のように、LED表示装置1は、筐体10内の、第1原像源11が配置されている面と対向する方の面に光吸収膜15が設けられているため、第1、2原像の視認性が向上している。
【実施例2】
【0023】
図3は、実施例2のLED表示装置2の構造を示す断面図である。このLED表示装置2は、LED表示装置1の筐体10を、筐体30に替えたものである。この筐体30は、筐体10の第2原像源12に対向する側を外側方向に拡張した拡張部31を、筐体10に設けた構造である。この拡張部31によって、第2原像源12に対向する側の筐体内部が拡張している。この筐体30の拡張部31内面には、光吸収膜32が設けられている。この光吸収膜32は、光吸収膜15と同様に、黒色の樹脂フィルタである。第1原像源11と第2原像源12とは、実施例1と同様に、その法線が90度を成している。また、ハーフミラー13の法線は、第1原像源11の法線と45度を成している。
【0024】
ハーフミラー13によって反射された第1原像源11からの光、またはハーフミラーを透過する第2原像源12からの光は、拡張部31内部において拡散、減衰し、光吸収膜32によって吸収される。したがって、このLED表示装置2もまた、実施例1のLED表示装置1と同様に、第1、2原像の視認性が向上している。
【0025】
なお、実施例2において光吸収膜32は必ずしも必要ではなく、拡張部31を設けることのみによっても視認性を向上させることができる。しかし、拡張部31内面に光吸収膜32を設ける方が、視認性をさらに向上させることができるので望ましい。
【0026】
また、実施例のLED表示装置は、第1原像と第2原像のうち一方を選択的に表示させるものであるが、第1原像と第2原像との合成像を表示させることもできる。したがって、第1原像のみ、第2原像のみ、第1原像と第2原像との合成像、の3つの表示を制御装置によって選択的に切り換えるLED表示装置を実現することも可能である。
【0027】
また、実施例では光吸収膜として黒色の樹脂フィルタを用いているが、光源であるLEDの発光波長帯の光を効率的に吸収することができるものであれば、光吸収膜として他のものを使用することができる。たとえば、光吸収体を配合したインクを用いてもよい。
【0028】
また、実施例では光源として緑色発光のLEDと、赤色発光のLEDを用いているが、本発明は任意の発光色、任意の個数のLEDを用いることができる。たとえば、発光色の異なる複数個のLEDを用いた、発光色の制御が可能なLED発光装置や、蛍光体によって発光色を変化させたLED発光装置を光源とすることもできる。
【0029】
また、本発明における第1、2原像源は、図2に示した構造に限るものではなく、LEDを光源とする種々の構造のものを用いることが可能である。以下に他の現像源の例を示し、説明する。
【0030】
図4は、LEDを光源とする他の原像源50の構造を示す断面図である。この原像源50は、LEDを多数配列し、LEDを画素として画像を表現するLEDディスプレイである。図4に示すように、1画素は、プリント基板51上に実装された赤色LED52、緑色LED53、青色LED54と、これら3つのLEDを中空状態に覆うエポキシ樹脂からなるレンズ55と、で構成されている。赤色LED52、緑色LED53、青色LED54をそれぞれ独立に制御することでフルカラーの画素を実現している。各画素はマトリクス状に配列され、各画素のオン・オフ、オン時の表示色により画像を表現する。また、プリント基板51表面は黒色レジスト56に覆われていて、原像源50による画像のコントラストを高めている。
【0031】
図5は、LEDを光源とする他の原像源60の構造を示す断面図である。原像源60は、LEDバックライト61と、意匠板65とからなる。意匠板65は、隔壁63によってLEDバックライト61上部に離間して設置されている。LEDバックライト61は、図5に示すように、プリント基板68上に実装された赤色LED62a、緑色LED62b、青色LED62c、およびこれら3つのLEDを封止するシリコーン樹脂67を1発光素子として、多数の発光素子が形成されたものである。また、プリント基板68表面は白色レジスト69に覆われていて、光の反射率を高めている。意匠板65の透過部66は所望の意匠形状に形成されている。この原像源60は、LEDバックライト61からの光を透過部66によって透過させることによって画像を表示する。
【0032】
図6(a)は、LEDを光源とする他の原像源70の構造を示す断面図である。この原像源70は、透光性のアクリル樹脂からなる導光板71と、導光板71の両側面に配置された2つの側面発光型のLEDランプ72と、で構成されている。導光板71の裏面には凹部73が複数個設けられていて、導光板71の裏面全体をアルミ板74が覆っている。これにより凹部73は中空になっている。図6(b)は、LEDランプ72の構造を示す正面図である。LEDランプ72は赤色LED75、緑色LED76、青色LED77を光源とし、これら3つのLEDを囲む反射体78によって導光板71の側面方向に光を射出する。また、反射体78に囲われた空間内は封止樹脂79によって封止されている。LEDランプ72からの光は導光板71内部に入射し、凹部73によって反射されて導光板71表面から出射する。原像源70は、凹部73による反射光を用いるものであり、凹部73の配列、形状等によって画像を表現し、表示するものである。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明のLED表示装置は、エコドライブインジケータなどの車両用表示装置などとして用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施例1のLED表示装置1の構造を示す断面図。
【図2】原像源の構造を示す断面図。
【図3】実施例2のLED表示装置2の構造を示す断面図。
【図4】他の原像源の構造を示す断面図。
【図5】他の原像源の構造を示す断面図。
【図6】他の原像源の構造を示す図。
【図7】従来のLED表示装置の構造を示す断面図。
【符号の説明】
【0035】
10、30:筐体
11:第1原像源
12:第2原像源
13:ハーフミラー
14:像出射面
15、32:光吸収膜
16:LED発光装置
17:意匠板
31:拡張部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像出射面を有した筐体と、前記筐体内に前記像出射面に対向する位置に設けられた、LEDを光源とする第1原像源と、前記筐体内に前記第1原像源に対し所定の角度を成して設けられた、LEDを光源とする第2原像源と、前記筐体内の前記第1原像源と前記第2原像源とに挟まれた位置に設けられたハーフミラーと、を有し、前記第1原像源からの光は前記ハーフミラーを透過させることにより前記像出射面へ導き、前記第2原像源からの光は前記ハーフミラーにより反射させて前記像出射面へ導くことにより、2つの原像のうち一方、もしくは2つの原像の合成像を前記像出射面側に表示させるLED表示装置において、
前記筐体内面の、前記第2原像源と対向する位置に、光吸収膜が設けられていることを特徴とするLED表示装置。
【請求項2】
像出射面を有した筐体と、前記筐体内に前記像出射面に対向する位置に設けられた、LEDを光源とする第1原像源と、前記筐体内に前記第1原像源に対し所定の角度を成して設けられた、LEDを光源とする第2原像源と、前記筐体内の前記第1原像源と前記第2原像源とに挟まれた位置に設けられたハーフミラーと、を有し、前記第1原像源からの光は前記ハーフミラーを透過させることにより前記像出射面へ導き、前記第2原像源からの光は前記ハーフミラーにより反射させて前記像出射面へ導くことにより、2つの原像のうち一方、もしくは2つの原像の合成像を前記像出射面側に表示させるLED表示装置において、
前記筐体は、前記第2原像源に対向する位置を、前記筐体の外側方向に拡張した拡張部を有することを特徴とするLED表示装置。
【請求項3】
前記拡張部の前記筐体内面には、光吸収膜が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のLED表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−122503(P2009−122503A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−297828(P2007−297828)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】