説明

LTE−アドバンスド・ネットワークにおけるセル間干渉調整のためのABSの決定方法

【課題】LTE−アドバンスド・ネットワークにおけるセル間干渉調整のためのABSの決定方法を提供すること。
【解決手段】LTE−A(Long Term Evolution−Advanced)ネットワークは、単位面積当たりのスペクトル効率を改善するためにマクロ及びピコ基地局(BS)が共存するヘテロジーニアスネットワークである。ここで説明されているシステム及び方法は、マクロBSとピコ・ユーザ機器(UE)の間の干渉調整問題に対する解決法の提供を試行している。特に、システム及び方法は、LTE−A規格によってサポートされているABS(almost blank subframe)の概念に基づいて干渉調整を処理している。マクロBSは、システム全体のスループットが最適化されるよう、それらのABS構成をマクロBSが連携して選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(背景技術)
LTE−A(Long Term Evolution−Advanced)ネットワークは、多種多様なセットの基地局(BS:Base Station)を配置し、セル・サイズを縮小することによってスペクトル効率を改善するべく設計されている。図1は、一例示的ヘテロジーニアスセルラ・ネットワークを示したもので、領域内のユーザ機器(UE:User Equipment)102にサービスするためにマクロBS100及びピコBS101が共存している。マクロBSは、大きい伝送出力(典型的な値は、マクロ・セル103をカバーするために46dBmである)を使用して、規則的に、且つ、計画された方法で配置されており、また、重畳しているピコBSは、比較的小さい送信電力(典型的な値は30dBmである)を使用して、乏しいカバレージで領域に配置されている(例えばピコ・セル104を提供してマクロ・セルのエッジをカバーしている)。このような重畳BS配置によってカバレージを改善することができ、また、スペクトルの空間再利用を増やすことによって容量利得を提供することができる。
【0002】
ユーザ機器(UE)がオンにされると、ユーザ機器(UE)は、そのユーザ機器(UE)が接続するために適切なセル(ヘテロジーニアスセルラ・ネットワーク内のマクロ・セル又はピコ・セルのいずれであってもよい)を探索する。UEは、選択すべきセルを決定するために、その周辺領域に存在しているBSからの参照信号(RS:Reference Signal)を測定する。UEは、参照信号受信電力(RSRP:Reference Signal Received Power)に基づいて、自身を最大RSRPのBSに接続する。
【0003】
図2は、マクロBS及びピコBSからの参照信号を測定しているUEの実例を示したものである。UE200は、それぞれマクロBS201及びピコBS202からの参照信号RS1及びRS2を測定する。RS1のRSRPの方がRS2のRSRPより大きい場合、UE200は、203で示されているように自身をマクロBSに接続する。UE200は、セル選択プロセスを周期的に実施する。後続する周期でRS1のRSRPがRS2のRSRPより小さくなると、UE200は、UE200にサービスするセルとして代わりにピコ・セルを選択することになる。UE200は、その近隣の他のBSのRSRP値を含む測定情報を周期的にその関連するセルに報告することに留意されたい。このような情報は、将来のセル選択のために使用されることになる。
【0004】
マクロBSは、その送信電力が大きいため、ヘテロジーニアスネットワーク内では、ピコBSによってサービスされるピコUEは、マクロBSからの激しい干渉に煩わされる。ピコUEに対する干渉を小さくするために、マクロBSは、特定のサブフレームをミュートすることができ、これらのサブフレームは、ABS(almost blank subframe)と呼ばれている。ABS(Almost Blank Subframe)内では、ほとんどのリソースエレメント(RE:Resource Element)が空白であり、ごく少量のREが若干のシステム情報を運んでいる(例えばセル特有RS及び同期信号)。ミュートされたサブフレームによる干渉レベルは低いため、マクロBSがABSを伝送している場合、ピコUEは、より速いデータ伝送速度を達成することができる。
【0005】
図3は、一例示的LTE−Aフレームを示したものである。LTE−Aフレーム300は、サブフレーム301に分割することができる。LTE−Aフレームには、通常、0から9の指標が付けられた10個のサブフレームが含まれている。マクロBSを使用したABS構成の場合、この実例ではサブフレーム1、2、7及び8がABSとして構成されている。1つのBSによって構成されるABSパターンは、LTE−Aネットワーク内のX2インタフェースを介して隣接するBSに示すことができることに留意されたい。ピコBSは、ピコUEの合計スループット(とりわけセルエッジUEスループット)が改善されるよう、マクロBSによって構成されるABSパターンに基づいて、サブフレーム1、2、7及び8内のそれらのセルエッジUEにデータ・パケットを伝送し、且つ、残りのサブフレーム内のそれらのセル中央UEにサービスする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
例示的実施例の態様にはマクロ基地局が含まれており、マクロ基地局には、被干渉ユーザ機器(UE)の数に基づいてサブフレームを調整する要求を伝送するX2インタフェース・モジュールと、ミュートするサブフレームを選択する、ABS(almost blank subframe)構成モジュールが含まれている。X2インタフェース・モジュールは、選択されたミュートされるサブフレームに関する情報を伝送する。
【0007】
例示的実施例の追加態様には、被干渉ユーザ機器(UE)の数に基づいてサブフレームを調整する要求を伝送するステップと、ミュートするサブフレームを選択するステップと、選択されたミュートされるサブフレームに関する情報を伝送するステップとを含む方法が含まれている。
【0008】
例示的実施例の追加態様にはマクロ基地局が含まれており、マクロ基地局には、ミュートする最初のサブフレームを被干渉ユーザ機器(UE)の数の報告に基づいて選択する、ABS(almost blank subframe)構成モジュールが含まれている。
【0009】
これら及び/又は他の態様は、添付図面に関する以下の本発明の実施例の記載から、より容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一例示的ヘテロジーニアスセルラ・ネットワークを示す図である。
【図2】マクロBS及びピコBSからの参照信号を測定するUEの実例を示す図である。
【図3】一例示的LTE−Aフレームを示す図である。
【図4】2つの強力な干渉源にさらされているピコUEの実例を示す図である。
【図5】一例示的実施例による、ABSを調整することによって干渉を処理するための流れ図である。
【図6】マクロBSによって干渉される被干渉ピコUEの実例を示す図である。
【図7】一例示的実施例によるマクロ基地局のブロック図である。
【図8】一例示的実施例によるピコ基地局のブロック図である。
【図9】一例示的実施例によるユーザ機器のブロック図である。
【図10】一例示的実施例による第1のステージの流れ図である。
【図11】一例示的実施例による、第1のステージにおけるマクロBSとその隣接するピコBSとの間の相互作用を示す図である。
【図12】一例示的実施例による第2のステージの流れ図である。
【図13】一例示的実施例による、第2のステージにおけるピコBSと2つのマクロBSの間の相互作用を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ABSは、ピコUEに対する干渉が小さくなるよう、マクロBSによって構成することができ、したがってLTE−Aネットワーク内におけるピコUEのスループットが改善される。ピコUEのスループットは、個々のフレーム内に構成されるABSの数が多いほど高くなる。しかしながら、フレーム内のABSの数が多くなると、マクロUEが利用することができるサブフレームが少なくなり、したがってマクロUEのスループットが低下する。したがって例示的実施例は、マクロUEのスループット及びピコUEのスループットが良好に均衡し、且つ、システム全体のスループットが最適化されるよう、マクロBSのための適切なABS比率の選択を試行する。ここで、ABS比率は、フレーム内におけるサブフレームの総数に対するABSの数として定義される。
【0012】
ABS比率以外に、ABSパターン(つまり個々のフレーム内のABSの位置又はサブフレームインデックス)も、マクロBSによるピコUEの干渉を調整するために考慮される。図4は、ピコ基地局(BS)405に接続されたピコUE404が2つの強力な干渉源、つまりマクロBS1 400及びマクロBS2 401を有するシナリオを示したものである。この実例では、これらの2つのマクロBS400及び401は異なるABS比率を有しており、したがってこれらのマクロBSは、402及び403で示されているように、ABSの位置が互いに整列するようにそれらのABSパターンを構成しなければならない。UEのチャネル測定限界及びフィードバック限界が与えられると、これらの2つのマクロBSは、これらの2つのマクロBSによる干渉が完全に一致して整列するよう、同じABS比率及びパターンを有するように構成することができることに留意されたい。
【0013】
例示的実施例は、次の2つの条件、つまりマクロUEのスループットとピコUEのスループットの間に良好な均衡を有すること、及びピコUEの同じグループに干渉するマクロBSが、同じABSパターン又は少なくとも整列したABSパターンを利用することを保証すること、の2つの条件を満足する、ABSベースの干渉調整を提供するべく試行する。
【0014】
本明細書において説明されている例示的実施例は、LTE−Aネットワーク内におけるマクロBSのピコUEに対する干渉の調整を対象としている。図5は、一例示的実施例による、ABSを調整することによって干渉を処理するための流れ図を示したものである。500で開始され、定義済みABSパターン・セットが生成され、且つ、マクロBSに記憶される。個々のマクロBSは、そのABSパターンを2つのステージで構成する。
【0015】
第1のステージ501で、隣接するピコBSからの被干渉ピコUE報告に基づいて最初のABSパターンが選択される。
【0016】
第2のステージ502で、ピコBSの要求に基づいてABSパターンが調整される。
【0017】
マクロBSの被干渉ピコUEは、マクロBSによって干渉されるピコUEであって、リンク(マクロBSからピコUEへの)の干渉レベル(RSRPによって測定される)が定義済み閾値より高いピコUEとして定義される。
【0018】
図6は、マクロBSによって干渉される被干渉ピコUEの実例を示したものである。ピコBS602に接続された、2つのマクロBS(マクロBS1 600及びマクロBS2 601)からの干渉に煩わされている4つのピコUE603、604、605及び606が存在している。この実例では、強力な干渉リンク607(そのRSRP値は定義済み閾値TIより大きい)が示されている。この実例では、ピコUE1 603及びピコUE2 604は、2つの干渉リンクに対するマクロBSの干渉レベルが閾値TIより高いため、マクロBS1 600に対する2つの被干渉UEである。同様に、ピコUE1 603及びピコUE3 605は、マクロBS2 601に対する2つの被干渉UEである。さらに、ピコUE1 603は、マクロBS1 600及びマクロBS2 601に対する共通の被干渉UEである。マクロBS1 600に対する非被干渉UEは、ピコUE3 605及びピコUE4 606であり、一方、マクロBS2 601に対する非被干渉UEは、ピコUE2 604及びピコUE4 606である。
【0019】
例示的実施例によるハードウェア構成
【0020】
図7は、一例示的実施例によるマクロ基地局のブロック図を示したものである。マクロBS700にはいくつかのモジュールが利用されている。ABS構成モジュール701は、ABSパターンの構成又は特定のサブフレームのミューティングに関連する処理を取り扱っている。X2インタフェース・モジュール702は、マクロBS700が他のマクロBS及びピコBSと情報を交換する際の通信交換及びプロトコルを取り扱っている。メモリ703は、定義済みABSパターン・セットを記憶している。パケット伝送モジュール704は、ABS構成モジュール701によって決定されるABS構成に従ってマクロUEへのパケットの伝送を取り扱っている。これらのモジュールは、1つ又は複数のプロセッサ上で実施することができる。
【0021】
図8は、一例示的実施例によるピコBSのブロック図を示したものである。ピコBS800にはいくつかのモジュールが利用されている。干渉管理モジュール801は、ピコBSに接続されている被干渉UEに対する干渉のレベルに関する処理を取り扱っており、この処理には、干渉が所定の閾値を超えたことの決定、及び干渉源の識別が含まれている。X2インタフェース・モジュール802は、ピコBS800が他のマクロBS及びピコBSと情報を交換する際の通信交換及びプロトコルを取り扱っている。メモリ803は、被干渉UE ID及びそれらに関連する隣接するマクロBSの表を記憶している。パケット伝送モジュール804は、対応する、隣接するマクロBSのABSパターンに従って、ピコUEへのパケットの伝送、及びピコUEからのパケットの伝送を取り扱っている。
【0022】
図9は、一例示的実施例によるユーザ機器のブロック図を示したものである。UE900にはいくつかのモジュールが利用されている。無線資源制御(RRC)モジュール901は、UEの近隣のBS(マクロBS及びピコBSを含む)からのRSRP値を測定し、且つ、UE接続を実施するために利用されている。測値報告モジュール902は、UEの対応する、接続されているBS(マクロBS又はピコBSのいずれであってもよい)にRSRP値を報告する。パケット伝送モジュール903は、UEの対応する、接続されているBSからのパケットの受取りを取り扱っている。メモリ904は、測値報告モジュール902のためのデータ(例えばRRCモジュールからのRSRP値)、及びパケット伝送モジュール903のためのデータを記憶している。
【0023】
例示的実施態様
【0024】
例示的実施例では、定義済みセットのいくつかのABSパターンが生成され、次に、すべてのマクロBSに記憶され、個々のABSパターンは特定のABS比率に対応している。定義済みABSパターン・セットでは、個々のABS比率は、1つで、且つ、唯一の固定パターンを有していることに留意されたい。表Iは、ABSパターン・セットの実例を示したもので、このセットは、0%から60%までのABS比率に対応する7つのABSパターンを有している。
【0025】
【表1】

【0026】
個々のピコBSは、その隣接するマクロBS毎に被干渉ピコUE IDをリストにした表を維持している。上の図6に示されている実例の場合、表IIは、2つのマクロBSに対する被干渉ピコUE IDを含んだ表を示しており、与えられているRSRP値は、単に説明用にすぎず、また、被干渉UEに対する閾値は、実例として10に設定されている。
【0027】
【表2】

【0028】
マクロBSは、それらのABSパターンを周期的に、且つ、同期方式で決定する。個々のマクロBSは、周期毎に、使用すべきABSパターンを定義済みパターン・セットから2つのステージで推定する。
【0029】
図10は、例示的実施例による第1のステージの流れ図を示したものである。図7〜9の構成要素を参照する。
【0030】
第1のステージの1001で、個々のマクロBS700が、その接続されているUEの数、及びその隣接するピコBSに接続されているその被干渉UEの数に基づいて、メモリ703から最初のABSパターンを選択する。この最初のABSパターンは、マクロBSのABS構成モジュール701によって選択することができる。マクロBS700は、X2インタフェース・モジュール702又は他の通信方法を使用して、その隣接するピコBSに、これらのピコBSに接続されているその被干渉ピコUEの数に対する要求を送る。X2インタフェース・モジュール802でマクロBS700からの要求を受け取るピコBS800は、702で示されているように、接続されているUE900から測値を収集する。ピコBSは、干渉管理モジュール801を利用して測値を収集することができる。ピコBS800は、メモリ803に記憶されている、表IIに示されている被干渉UE IDを含んだ表に基づいて、X2インタフェース・モジュール802を介してマクロBSに対する被干渉UEの数を報告する。マクロBSが隣接するピコBSから所望の報告を受け取ると、ABS構成モジュール701は、被干渉ピコUEの数
【数1】


をその隣接するピコ・セル全体にわたって平均し、それは、
【数2】


によって与えられる。上式でNは、マクロBSkに対する隣接するピコBSの総数であり、また、
【数3】


は、m番目に隣接するピコBSから報告される被干渉ピコUEの数である。また、ピコBSは、被干渉UEの数を引き出すことができ、また、それらの接続されているUEの測値報告に基づいてマクロBSに報告することも可能であることに留意されたい。Aは、マクロBSkに接続されているマクロUEの数を表していると仮定する。マクロBSkは、
【数4】


によって与えられるRに最も近いABS比率を有する最初のABSパターンを選択する。上式でα∈(0、1]は、マクロUEとピコUEの間のスループット均衡を捕獲するシステム・パラメータであり、また、αの値が大きいほど、より高いスループット利得がピコUEに提供される。マクロBSが適切なABSパターンを決定すると、マクロBSは、そのABSパターンを隣接するピコBSに知らせる。
【0031】
図11は、一例示的実施例による、第1のステージにおけるマクロBSとその隣接するピコBSとの間の相互作用を示したものである。1100でマクロBS700がピコBS800に要求を送る。1101でピコBS800が被干渉UEの数をマクロBS700に報告する。1102でマクロBS700が選択されたABSパターンをピコBS800に知らせる。マクロBSは、メモリからパターンを選択することができ、或いはミュートするサブフレームを個々に選択することができる。
【0032】
図12は、例示的実施例による第2のステージの流れ図を示したものである。図7〜9の構成要素を参照する。第2のステージでマクロBS700は、ピコBS800の要求に基づいて、第1のステージで得られたそれらのABSパターンを調整する。この調整は、個々のBSのABS構成モジュール701によって実施することができる。第2のステージでピコBS800は、異なるABSパターンを使用して2つのマクロBS間のABSパターン調整/整列のプロセスを初期化することができる。
【0033】
1200でピコBS800がマクロBS700に対する共通被干渉UE900の数をチェックする。図6に示されている実例では、ピコBS800のセル内で伝送する2つのマクロBS700(マクロBS1及びマクロBS2)が存在している。ピコBS800は、干渉管理モジュール801を利用して共通被干渉UEの数をチェックすることができる。UE900は、測値報告モジュール902を利用してピコBS800への報告を作成し、且つ、パケット伝送モジュール903を使用してそれをピコBS800に報告することができる。
【0034】
共通被干渉UE900の数が定義済み閾値Tpより多い場合、1201でピコBS800が2つのマクロBS700のうちの一方(この実例でマクロBS1)に要求を送る。この要求は、ピコBS800のX2インタフェース・モジュール802によって送ることができ、また、個々のマクロBS700のX2インタフェース・モジュール702によって受け取ることができる。
【0035】
1202でマクロBS700(この実例ではマクロBS1)が、被干渉UE900の数が所定の閾値Tm1より多いかどうかチェックする。マクロBS700は、ABS構成モジュール701を使用してその数が所定の閾値より多いかどうか決定することができる。
【0036】
共通被干渉UE900の数が所定の閾値Tm1より多いことが決定されると、ABSの調整を要求するために1203でマクロBS700(この実例ではマクロBS1)がABSを調整するための要求を他の干渉マクロBS700(この実例ではマクロBS2)に伝送する。この要求は、X2インタフェース・モジュール702を介して送ることができる。
【0037】
1204で他の干渉マクロBS700(この実例ではマクロBS2)が、共通被干渉UEの数が閾値Tm2より多いかどうかを決定する。他の干渉マクロBS700は、ABS構成モジュール701を使用してその数が所定の閾値より多いかどうか決定することができる。
【0038】
1205で、他の干渉マクロBS700(この実例ではマクロBS2)が、ABS構成モジュール701を使用してそのABSパターンを更新し、且つ、X2インタフェース・モジュール702を使用して、要求マクロBS700(この実例ではマクロBS1)に更新されたパターンを知らせる。このABSパターン更新は、式(3)に従って行うことができる。
【0039】
1206で、要求マクロBS700(この実例ではマクロBS1)は、X2インタフェース・モジュール702から受け取った更新パターンに基づいてそのABSパターンを更新する。マクロBS700は、X2インタフェース・モジュール702を使用して、隣接するピコBS800(上記要求を送った最初のピコBSを含む)に更新されたABSパターンを知らせることができる。
【0040】
図13は、一例示的実施例による、第2のステージにおけるピコBSと2つのマクロBSの間の相互作用を示したものである。1303でピコBS1302がそのセル内の2つのマクロBS(マクロBS1 1300及びBS2 1301として示されている)に対する共通被干渉UEの数をチェックする。その数が定義済み閾値Tpより多い場合、ピコBS1302は、2つのマクロBSのうちの一方、例えばマクロBS1 1300に要求を送る。要求メッセージには、ABSパターンを調整しなければならない2つのマクロBSのセルID、及び共通被干渉UEの数が含まれている。
【0041】
1303で示されているようにマクロBS1 1300がピコBS1302から要求を受け取ると、マクロBS1 1300は、共通被干渉UEの数(ピコBS1302によって送られる要求メッセージから得られる)が定義済み閾値Tm1より多いかどうかチェックする。共通被干渉UEの数が定義済み閾値Tm1より多い場合、1304で示されるように、マクロBS1 1300は、他のマクロBS、つまりマクロBS2 1301にABSを調整するための要求を送る。この要求メッセージには、それに接続されているマクロUEの数A、その被干渉UEの平均数、つまり式(1)で与えられる
【数5】


及び2つのマクロBSに対する共通被干渉UEの数(ピコBSからの要求メッセージから得られる)が含まれている。
【0042】
1304で示されているようにマクロBS2 1301がマクロBS1 1300から要求を受け取ると、マクロBS2 1301は、共通被干渉UEの数(マクロBS1によって送られる要求メッセージから得られる)が定義済み閾値Tm2より多いかどうかチェックする。共通被干渉UEの数が定義済み閾値Tm2より多い場合、マクロBS2 1301は、そのABSパターンを、
【数6】


によって計算することができるR’に最も近いABS比率を有するABSパターンに変更する。マクロBS2 1301が新しいABSパターンを決定すると、1305で示されるように、マクロBS2 1301は、構成メッセージを送ることにより、この新しく構成されたABSパターンをマクロBS1 1300に知らせる。
【0043】
マクロBS1 1300がマクロBS2 1301から構成メッセージを受け取ると、マクロBS1 1300は、1306で示されているようにその新しいABSパターンについてピコBS1302に知らせ、且つ、その新しいABSパターンに従ってそのABSパターンを変更する。
【0044】
この詳細な説明のいくつかの部分は、コンピュータ内における動作のアルゴリズム及び記号表現の形で示されている。これらのアルゴリズムによる記述及び記号表現は、データ処理分野の技術者によって使用される、その革新の本質を他の技術者に最も有効に伝えるための手段である。アルゴリズムは、望ましい最終状態即ち結果をもたらす一連の定義済みステップである。本発明においては、実行されるステップには、実質のある結果を達成するために、実質のある量の物理的操作が必要である。
【0045】
必ずしもその必要はないが、通常、これらの量は、電気信号又は磁気信号の形態、或いは記憶、転送、接続、比較さもなければ操作することができる命令の形態を取る。主として共通利用の理由で、しばしば、これらの信号をビット、値、エレメント、記号、文字、用語、数字、命令、等々と呼ぶことが好都合であることが分かっている。しかしながら、これら及び同様の用語は、すべて適切な物理量と接続されるべきであること、また、これら及び同様の用語は、すべて、これらの量に適用される便利なラベルにすぎないことを心に留め置かれたい。
【0046】
他に特に言及されていない限り、説明から明らかであるように、記述全体を通して、「処理する」、「計算する」、「演算する」、「決定する」、「表示する」、等々などの用語を利用している説明には、コンピュータ・システムのレジスタ及びメモリ内で物理(電子)量として表されているデータを操作して、同様にコンピュータ・システムのメモリ又はレジスタ或いは他の情報記憶、転送又は表示デバイス内で物理量として表される他のデータに変換するコンピュータ・システム又は他の情報処理デバイスの行為及び処理を含むことができることを理解されたい。
【0047】
また、例示的実施例は、本明細書における動作を実行するための装置に関連していてもよい。この装置は、必要な目的のために専用に構築することができ、或いは1つ又は複数のコンピュータ・プログラムによって選択的に起動又は再構成される1つ又は複数の汎用コンピュータを含むことができる。このようなコンピュータ・プログラムは、それらに限定されないが、光ディスク、磁気ディスク、リード・オンリ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ、固体デバイス及びドライバ、又は電子情報の記憶に適した任意の他のタイプの媒体などのコンピュータ可読記憶媒体に記憶することができる。本明細書において示されているアルゴリズム及びディスプレイは、何らかの特定のコンピュータ又は他の装置に固有に関連していない。
【0048】
様々な汎用システムは、本明細書における教示によるプログラム及びモジュールと共に使用することができ、或いは、所望の方法ステップを実施するためのより専用化された装置を構築することが好都合であると理解することができる。さらに、本発明は、何らかの特定のプログラミング言語を参照して説明されていない。様々なプログラミング言語を使用して、本明細書において説明されている本発明の教示を実施することができることは理解されよう。1つ又は複数のプログラミング言語の命令は、1つ又は複数の処理デバイス、例えば中央処理装置(CPU)、プロセッサ又はコントローラによって実行することができる。
【0049】
当分野で知られているように、上で説明した動作は、ハードウェア、ソフトウェア、又はソフトウェアとハードウェアの何らかの組合せによって実施することができる。本発明の実施例の様々な態様は、回路及び論理デバイス(ハードウェア)を使用して実施することができ、一方、他の態様は、機械可読媒体上に記憶された命令(ソフトウェア)を使用して実施することができ、この命令がプロセッサによって実行されると、プロセッサは、本発明の実施例を実施する方法を実行することになる。さらに、本発明のいくつかの実施例はハードウェアのみによって実施することができ、一方、他の実施例はソフトのみによって実施することができる。さらに、上で説明した様々な機能は、単一のユニットの中で実施することができ、或いは任意の数の方法で複数のコンポーネントにわたって分散させることも可能である。ソフトウェアによって実施される場合、コンピュータ可読媒体上に記憶されている命令に基づいて、汎用コンピュータなどのプロセッサによって方法を実行することができる。命令は、必要に応じて、圧縮及び/又は暗号化フォーマットで媒体上に記憶することも可能である。
【0050】
さらに、本明細書を考察し、且つ、本明細書において開示されている本発明を実践することにより、当業者には本発明の他の実施態様が明らかになるであろう。上で説明した実施例の様々な態様及び/又はコンポーネントは、単一で、或いは任意の組合せで使用することができる。本明細書及び実例は、単に例示的なものとして解釈すべきことが意図されており、本発明の真の範囲及び精神は、以下の特許請求の範囲によって示されている。
【符号の説明】
【0051】
100、201、700 マクロBS
101、202、602、800、1302 ピコBS
102、200、900 ユーザ機器(UE)
103 マクロ・セル
104 ピコ・セル
203 UE200が自身をマクロBSに接続する
300 LTE−Aフレーム
301 サブフレーム
400、600、1300 マクロBS1
401、601、1301 マクロBS2
402、403 ABSの位置が互いに整列したABSパターン構成
404、603、604、605、606 ピコUE
405 ピコ基地局(BS)
500 ABSを調整することによって干渉を処理するための流れ図の開始
501 第1のステージ
502 第2のステージ
603 ピコUE1
604 ピコUE2
605 ピコUE3
606 ピコUE4
607 干渉リンク
701 ABS構成モジュール
702、802 X2インタフェース・モジュール
703、803、904 メモリ
704、804、903 パケット伝送モジュール
801 干渉管理モジュール
901 無線資源制御(RRC)モジュール
902 測値報告モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被干渉ユーザ機器(UE)の数に基づいてサブフレームを調整する要求を伝送するX2インタフェース・モジュールと、
ミュートするサブフレームを選択する、ABS(almost blank subframe)構成モジュールと
を備えるマクロ基地局であって、
前記X2インタフェース・モジュールが、前記選択された、ミュートされたサブフレームに関する情報を伝送する、マクロ基地局。
【請求項2】
前記ABS構成モジュールが、複数のABSパターンから1つのABSパターンを選択することによって、ミュートするサブフレームを選択し、また、前記X2インタフェース・モジュールが、前記選択されたABSパターンを伝送することによって、前記選択されたミュートされるサブフレームに関する情報を伝送する、請求項1に記載のマクロ基地局。
【請求項3】
前記ABS構成モジュールが共通被干渉UEの数を決定し、且つ、その数が閾値より多くなると前記要求を伝送する、請求項1に記載のマクロ基地局。
【請求項4】
前記X2インタフェース・モジュールが、ミュートするサブフレームに関する情報を受け取り、また、前記ABS構成モジュールが、ミュートするサブフレームに関する前記情報に従って、ミュートするサブフレームを選択する、請求項1に記載のマクロ基地局。
【請求項5】
ミュートするサブフレームに関する前記情報が、更新されたABSパターンを含み、また、前記ABS構成モジュールが、複数のABSパターンから前記更新されたABSパターンを選択することによって、ミュートするサブフレームを選択する、請求項4に記載のマクロ基地局。
【請求項6】
前記X2インタフェース・モジュールが、前記更新されたABSパターンを伝送することによって、前記選択されたミュートされるサブフレームに関する情報を伝送する、請求項5に記載のマクロ基地局。
【請求項7】
前記X2インタフェース・モジュールが、ABSを調整する要求を受け取ると、サブフレームを調整する前記要求を伝送する、請求項1に記載のマクロ基地局。
【請求項8】
被干渉ユーザ機器(UE)の数に基づいてサブフレームを調整する要求を伝送するステップと、
ミュートするサブフレームを選択するステップと、
前記選択されたミュートされるサブフレームに関する情報を伝送するステップと
を含む方法。
【請求項9】
ミュートするサブフレームを選択する前記ステップが、複数のABSパターンから1つのABSパターンを選択するステップを含み、また、前記選択されたミュートされるサブフレームに関する情報を伝送する前記ステップが、前記選択されたABSパターンを伝送するステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
共通被干渉UEの数と、被干渉UEの数との比率を決定するステップと、
前記比率が閾値より大きくなると前記要求を伝送するステップと
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
ミュートするサブフレームに関する情報を受け取るステップと、
ミュートするサブフレームに関する前記情報に従って、ミュートするサブフレームを選択するステップと
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
ミュートするサブフレームに関する情報を受け取る前記ステップが、更新されたABSパターンを受け取るステップを含み、また、ミュートするサブフレームを選択する前記ステップが、複数のABSパターンから前記更新されたABSパターンを選択するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記選択されたミュートされるサブフレームに関する情報を伝送する前記ステップが前記更新されたABSパターンを伝送するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ABSを調整する要求を受け取ると、サブフレームを調整する前記要求を伝送する前記ステップが行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
ミュートする最初のサブフレームを被干渉ユーザ機器(UE)の数の報告に基づいて選択する、ABS(almost blank subframe)構成モジュール
を備えるマクロ基地局。
【請求項16】
被干渉ユーザの数を報告する要求を伝送するX2インタフェース・モジュールをさらに備える、請求項15に記載のマクロ基地局。
【請求項17】
X2インタフェース・モジュールが少なくとも1つの隣接するピコ基地局に前記要求を伝送する、請求項16に記載のマクロ基地局。
【請求項18】
前記ABS構成モジュールが、複数のABSパターンから1つのABSパターンを選択することによって、ミュートする最初のサブフレームを選択する、請求項15に記載のマクロ基地局。
【請求項19】
前記ABS構成モジュールが、被干渉UEの平均数と、前記基地局に接続されたUEの数及び被干渉UEの前記平均数の合計との比率に基づいて前記ABSパターンを選択する、請求項18に記載のマクロ基地局。
【請求項20】
前記比率が、被干渉UEの前記平均数、及び前記基地局に接続されたUEの数に対するスループット均衡のためのシステム・パラメータをさらに含む、請求項19に記載のマクロ基地局。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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