説明

Li2O−Al2O3−SiO2−MgO−K2O−F系結晶性ガラス及び結晶化ガラス、ならびに該結晶性ガラス及び結晶化ガラスの製造方法

【課題】大量生産可能な、かつ結晶成長温度の低く製造コストが低く、建築材料に適用するLi2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶化ガラス及びその製造方法を提供する。
【解決手段】質量百分率でSiO2 50.0〜65.0%、Al23 10.0〜25.0%、MgO 6.0〜15.0%、Li2O 2.5〜4.0%、Na2O 0.5〜4.0%、K2O 2.1〜7.5%、F 1.2〜4.8%、TiO2 0.1〜4.0%、ZrO2 0.1〜4.0%、P25 0.5〜3.0%、BaO 0〜3.0%、As23 0.4〜1.5%、Rb2O 0.3〜1.6%、Cs2O 0.03〜0.4%、MnO2 0.06〜0.7%、Fe23 0.03〜0.3%、Sb23 0〜1.5%の組成を有するLi2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶化である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Li2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶性ガラス、及びLi2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶化ガラス、並びにこれらの結晶性ガラス及び結晶化ガラスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、Li2O−Al23−SiO2系結晶化ガラスは、カラーフィルター、あるいはイメージセンサー用基板等のハイテク製品用基板、電子部品焼成用セッター、電磁調理用トッププレート、光部品、電子レンジ用棚板、防火戸用窓ガラス、石油ストーブ、薪ストーブの前面窓ガラス等の材料として、広く使用されている。
【0003】
前記Li2O−Al23−SiO2系結晶化ガラスとしては、例えば、特許文献1〜特許文献7等の各公報において、β−石英固溶体(Li2O・Al23・nSiO2[ただしn≧2])、あるいはβ−スポジュメン固溶体(Li2O・Al23・nSiO2[ただしn≧4])を主結晶として析出してなるLi2O−Al23−SiO2系結晶化ガラスが開示されている。
【0004】
前記Li2O−Al23−SiO2系結晶化ガラスは、熱膨張係数が低く、また機械的強度も高いことから、優れた熱的特性を有している。
また、前記Li2O−Al23−SiO2系結晶化ガラスの原料を溶融し、成形した後、得られた結晶性ガラスを結晶化する工程において、熱処理条件を変更することにより、析出してくる結晶の種類を変更することができるため、同一組成のガラス原料から透明な結晶化ガラス(β−石英固溶体が析出する場合)と白色不透明な結晶化ガラス(β−スポジュメン固溶体が析出する場合)の両方を製造することができ、用途に応じて使い分けが可能という利点を有する。
【0005】
しかしながら、従来、前記Li2O−Al23−SiO2系結晶性ガラスを製造する際には、1600℃を超える高温で、場合によって、1700℃近い高温で、数時間〜20時間程度かけてガラス原料を溶融する必要があり、該高温に長時間耐え得る溶融炉、及び必要な燃料等を準備しなければならないという問題があった。
【0006】
また、白色不透明な結晶化ガラス(β−スポジュメン固溶体が析出する場合)を製造する際には、ガラス原料を溶融、成形して結晶性ガラスを得て、該結晶性ガラスにおいて核形成をした後、熱処理により結晶を成長させ結晶化を行うが、該結晶成長温度としては、これまで1000℃〜1300℃程度の高温に設定する必要があった。
【0007】
上記の理由で、Li2O−Al23−SiO2系結晶性ガラスとLi2O−Al23−SiO2系結晶化ガラスの製造コストが高かった。そのため、このシステムの結晶化ガラスを建材として、殆ど使われていなかった。
【0008】
また、特許文献8及び特許文献9に、リチアを含有するリチア雲母に近い鉱物を主要原料とした結晶化ガラス及びその製造方法が開示されている。
【0009】
特許文献8では、リチア雲母に近い鉱山廃棄物を主要原料として、80〜100%を配合に添加しており、溶解温度と結晶化温度とともに下げることができる。そして、廃棄物を充分利用して、コストを下げるだけではなく、環境保全の目的も達成することができる。
【0010】
しかし、特許文献8には、リチア雲母に近い鉱山廃棄物を主要原料として、80〜100%を配合に添加しており、配合に廃棄物の占める量が余り高すぎて配合中各成分の含有量を調整することが難しく、場合によって、調整できなくなる。そのため、製品中の各成分の含有量は、廃棄物中の各成分の含有量によって変化することになる。従って、製品の組成が不安定になり、これは製品の物性や品質が不安定になる原因である。
【0011】
また、特許文献9では、リチア含有鉱物を主要原料として、50〜81%を配合に添加しており、溶解温度と結晶化温度とともに下げることができる。そのため、コストを下げることができる。しかし、該特許文献9の特許請求範囲の請求項1の内容では、
「一種の結晶化ガラスは、その原料配合中には、リチア含有鉱物、酸化チタン等を含有し、その特徴としては、原料配合組成中に、リチア含有鉱物が50〜81質量%をしめ、酸化チタンが0.5〜4質量%をしめ、Li2Oが0.5〜8.1質量%をしめてある」と記載されている。
【0012】
文献の記載によると、リチア含有鉱物は4種類があり、その組成が表2に示すように相当に異なっている。特許文献9の特許請求範囲の請求項1の内容に「原料配合組成中に、リチア含有鉱物が50〜81質量%をしめ、酸化チタンが0.5〜4質量%をしめ、Li2Oが0.5〜8.1質量%をしめてある」と記載されている。このような表現では、配合組成があまり明確ではなく、また、リチア含有鉱物が50〜81質量%をしめるということと表1のデータを使って、計算すると、リチア含有鉱物から配合に入るLi2Oが配合の2.245〜6.869質量%を占めることになる。つまり、リチア含有鉱物から配合に入るLi2Oの量が少なくとも配合の2.245質量%である。この値は、特許文献9の特許請求範囲の0.5質量%より遥かに大きくなり、矛盾している。
【0013】
【表2】

【0014】
また、特許文献9の実施例の内容は次のようになる。
原料配合(wt%):
アルミナ珪酸リチア鉱物 78% ナトリウム長石 10.25% 炭酸リチウム 7.7% 酸化チタン 1.65% 酸化カルシウム 1% 酸化マグネシウム 1.4%
化学組成(wt%)
SiO2 68.02% Al23 17.68% Li2O 4.10%
CaO 1.47% MgO 2.89% Fe23 0.17%
Na2O 0.53% K2O 0.11% TiO2 1.74%
焼失 3.29%
【0015】
表2に示しているリチア含有鉱物の化学組成(wt%)中のSiO2含量を判断基準とする場合、上記実施例に一番近いのが葉長石であると判断することができる。従って、上述実施例に使用されたアルミナ珪酸リチア鉱物を葉長石と仮定すると、葉長石から配合に入ったSiO2が59.40%になる。また、文献記載による、ナトリウム長石の組成はSiO268.7%、Al2319.5%、Na2O11.8%である。
そうすると、実施例の配合にナトリウム長石から入ったSiO2が7.04%である。そこで、葉長石とナトリウム長石から配合に入ったSiO2が59.40%+7.04%=66.44%。このような方法で計算するとAl23が15.42%に、Li2Oが6.62%になる。明らかに、この結果は、実施例の原料配合化学組成中のSiO2、Al23、Li2Oの含量と合わないことが分かる。
【0016】
上記した実施例に使用されたアルミナ珪酸リチア鉱物をリチア雲母と仮定すると、リチア雲母から配合に入ったSiO2、Al23、Li2Oの含量がそれぞれ41.25%、20.88%、3.63%である。ナトリウム長石から入ったSiO2が7.04%、Al23が2.0%になる。炭酸リチウムから配合に入ったLi2Oが3.07%になる。この計算結果によると原料配合化学組成中のSiO2、Al23、Li2Oの含量がそれぞれ48.29%、22.88%、6.7%になる。明らかに、この結果は、実施例の原料配合化学組成中のSiO2、Al23、Li2Oの含量と合わないことが分かる。
【0017】
上記した実施例に使用されたアルミナ珪酸リチア鉱物をリチア輝石と仮定すると、同じ計算方法を使用すると、原料配合化学組成中のSiO2、Al23、Li2Oの含量がそれぞれ56.16%、24.17%、8.36%になることが分かる。明らかに、この結果は、実施例の原料配合化学組成中のSiO2、Al23、Li2Oの含量と合わないことが分かる。
【0018】
以上の結果から、明らかに、アルミナ珪酸リチア鉱物の成分組成が規格化されなければ、原料配合化学組成中のSiO2、Al23、Li2・・・各成分の含量を制御することができなくなる。従って、特許文献9においては、リチア含有鉱物の成分組成を規格化しなければ、製造工程中原料配合化学組成中のSiO2、Al23、Li2Oの各成分の含量を制御することができないと判断することができる。これで、製品の成分組成を安定させることができなくなる。成分組成の安定できない製品に、安定な物理、化学性質を与えることが難しいから、安定な製品品質を持たせることが困難である。
【0019】
【特許文献1】特公昭39−21049号
【特許文献2】特公昭40−20182号
【特許文献3】特開平1−308845号
【特許文献4】特開平6−329439号
【特許文献5】特開平9−188538号
【特許文献6】特開2001−48582号
【特許文献7】特開2001−48583号
【特許文献8】公開番号CN1091399A
【特許文献9】公開番号CN1101015A
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、
本発明における第1の目的は、大量生産可能なLi2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶性ガラスを提供することにある。
本発明における第2の目的は、結晶成長温度の低いLi2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶化ガラスを提供することにある。この種の結晶化ガラスは、優れた熱特性と機械強度を持つ。
本発明における第3の目的は、製造コストが低く、建築材料に適用するLi2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶化ガラスを提供することにある。
本発明における第4の目的は、成分組成、製品の物性及び化学的な性質、製品品質などが安定であり、リチア雲母又はリチア含有廃棄物を主要原料としたLi2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶性ガラス及びその結晶化ガラスを提供することにある。
本発明における第5の目的は、Li2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶性ガラス及び結晶化ガラスを提供する。その特徴としては、この種の結晶性ガラスから少なくともK(Li,Al)3(Al,Si)410(OH,F)2(Lepidolite)、KLiMg2Si4102(Tainiolite)、Li2Al2Si310、LiAlSi38、LixAlxSi3-x6(Virgilite)、β−LiAlSi26(β−スポジュメン固溶体Li2O・Al23・nSiO2[ただしn≧4])、Mg2Al4Si518(μ−cordierite)、KMg3(Si3AlO10)(OH)2(Phlogopite)、KMgAlSi410(OH)2(Leucophyllite)
の結晶の一種または二種以上を析出して結晶化ガラスになることである。
本発明における第6の目的は、上記したLi2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶性ガラス及び結晶化ガラスの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上述した課題を解決する手段は次のようになる。
本発明のLi2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶性ガラスは、
<1> 質量百分率でSiO2 50.0〜65.0%、Al23 10.0〜25.0%、MgO 6.0〜15.0%、Li2O 2.5〜4.0%、Na2O 0.5〜4.0%、K2O 2.1〜7.5%、F 1.2〜4.8%、TiO2 0.1〜4.0%、ZrO2 0.1〜4.0%、P25 0.5〜3.0%、BaO 0〜3.0%、As23 0.4〜1.5%、Rb2O 0.3〜1.6%、Cs2O 0.03〜0.4%、MnO2 0.06〜0.7%、Fe23 0.03〜0.3%、Sb23 0〜1.5%の組成を有することを特徴とするLi2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶性ガラス。
<2> 各成分の質量含有量がSiO2 50.0〜60.0%、Al23 20.0〜30.0%、MgO 0〜0.5%、Li2O 3.5〜5.0%、Na2O 1.0〜3.0%、K2O 7.0〜9.0%、F 4.0〜6.0%、Rb2O 1.0〜2.0%、Cs2O 0.1〜0.5%、MnO2 0.2〜0.8%、Fe23 0.1〜0.3%からなるリチア雲母又はリチア含有廃棄物が原料成分合計量に対して質量百分率で30〜80%占めることを特徴とする<1>に記載のLi2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶性ガラス。
【0022】
本発明のLi2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶化ガラスは、
<3> 質量百分率でSiO2 50.0〜65.0%、Al23 10.0〜25.0%、MgO 6.0〜15.0%、Li2O 2.5〜4.0%、Na2O 0.5〜4.0%、K2O 2.1〜7.5%、F 1.2〜4.8%、TiO2 0.1〜4.0%、ZrO2 0.1〜4.0%、P25 0.5〜3.0%、BaO 0〜3.0%、As23 0.4〜1.5%、Rb2O 0.3〜1.6%、Cs2O 0.03〜0.4%、MnO2 0.06〜0.7%、Fe23 0.03〜0.3%、Sb23 0〜1.5%の組成を有することを特徴とするLi2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶化ガラス。
<4> 各成分の質量含有量がSiO2 50.0〜60.0%、Al23 20.0〜30.0%、MgO 0〜0.5%、Li2O 3.5〜5.0%、Na2O 1.0〜3.0%、K2O 7.0〜9.0%、F 4.0〜6.0%、Rb2O 1.0〜2.0%、Cs2O 0.1〜0.5%、MnO2 0.2〜0.8%、Fe23 0.1〜0.3%からなるリチア雲母又はリチア含有廃棄物が原料成分合計量に対して質量百分率で30〜80%占めることを特徴とする<3>に記載のLi2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶化ガラス。
<5><1>又は<2>に記載のLi2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶性ガラスから少なくともK(Li,Al)3(Al,Si)410(OH,F)2(Lepidolite)、KLiMg2Si4102(Tainiolite)、Li2Al2Si310、LiAlSi38、LixAlxSi3-x6(Virgilite)、β−LiAlSi26(β−スポジュメン固溶体Li2O・Al23・nSiO2[ただしn≧4])、Mg2Al4Si518(μ−cordierite)、KMg3(Si3AlO10)(OH)2(Phlogopite)、KMgAlSi410(OH)2(Leucophyllite)
の結晶の一種または二種以上が析出されていることを特徴とするLi2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶化ガラス。
【0023】
本発明のLi2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶性ガラスの製造方法は、
<6>
1.質量百分率でSiO2 50.0〜65.0%、Al23 10.0〜25.0%、MgO 6.0〜15.0%、Li2O 2.5〜4.0%、Na2O 0.5〜4.0%、K2O 2.1〜7.5%、F 1.2〜4.8%、TiO2 0.1〜4.0%、ZrO2 0.1〜4.0%、P25 0.5〜3.0%、BaO 0〜3.0%、As23 0.4〜1.5%、Rb2O 0.3〜1.6%、Cs2O 0.03〜0.4%、MnO2 0.06〜0.7%、Fe23 0.03〜0.3%、、Sb23 0〜1.5%の組成を有するガラス原料を調合するA工程と、
2.A工程で得られたガラス原料を溶融するB工程と、
3.B工程で得られたガラスを成形して、Li2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶性ガラスとするC工程と、
を含むことを特徴とするLi2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶性ガラスの製造方法。
<7> 前記A工程が、
各成分の含有量がSiO2 50.0〜60.0%、Al23 20.0〜30.0%、MgO 0〜0.5%、Li2O 3.5〜5.0%、Na2O 1.0〜3.0%、K2O 7.0〜9.0%、F 4.0〜6.0%、Rb2O 1.0〜2.0%、Cs2O 0.1〜0.5%、MnO2 0.2〜0.8%、Fe23 0.1〜0.3%からなるリチア雲母又はリチア含有廃棄物原料を均一に攪拌するA−1工程と、
A−1工程で得られたリチア雲母又はリチア含有廃棄物原料に他の原料成分を添加して、質量百分率でSiO2 50.0〜65.0%、Al23 10.0〜25.0%、MgO 6.0〜15.0%、Li2O 2.5〜4.0%、Na2O 0.5〜4.0%、K2O 2.1〜7.5%、F 1.2〜4.8%、TiO2 0.1〜4.0%、ZrO2 0.1〜4.0%、P25 0.5〜3.0%、BaO 0〜3.0%、As23 0.4〜1.5%、Rb2O 0.3〜1.6%、Cs2O 0.03〜0.4%、MnO2 0.06〜0.7%、Fe23 0.03〜0.3%、、Sb23 0〜1.5%の組成を有するガラス原料を調合するA−2工程と、
からなることを特徴とする<6>に記載のLi2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶性ガラスの製造方法。
【0024】
本発明のLi2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶化ガラスの製造方法は、
<8>
1.質量百分率でSiO2 50.0〜65.0%、Al23 10.0〜25.0%、MgO 6.0〜15.0%、Li2O 2.5〜4.0%、Na2O 0.5〜4.0%、K2O 2.1〜7.5%、F 1.2〜4.8%、TiO2 0.1〜4.0%、ZrO2 0.1〜4.0%、P25 0.5〜3.0%、BaO 0〜3.0%、As23 0.4〜1.5%、Rb2O 0.3〜1.6%、Cs2O 0.03〜0.4%、MnO2 0.06〜0.7%、Fe23 0.03〜0.3%、、Sb23 0〜1.5%の組成を有するガラス原料を調合するA工程と、
2.A工程で得られたガラス原料を溶融するB工程と、
3.B工程で得られたガラスを成形して、Li2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶性ガラスとする工程と、
4.C工程によって得られたLi2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶性ガラスを結晶化熱処理によってLi2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶化ガラスを生成するD工程と、
を含むことを特徴とするLi2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶化ガラスの製造方法。
<9>前記A工程が、
各成分の質量含有量がSiO2 50.0〜60.0%、Al23 20.0〜30.0%、MgO 0〜0.5%、Li2O 3.5〜5.0%、Na2O 1.0〜3.0%、K2O 7.0〜9.0%、F 4.0〜6.0%、Rb2O 1.0〜2.0%、Cs2O 0.1〜0.5%、MnO2 0.2〜0.8%、Fe23 0.1〜0.3%からなるリチア雲母又はリチア含有廃棄物原料を均一に攪拌するA−1工程と、
A−1工程で得られたリチア雲母又はリチア含有廃棄物原料に他の原料成分を添加して、質量百分率でSiO2 50.0〜65.0%、Al23 10.0〜25.0%、MgO6.0〜15.0%、Li2O 2.5〜4.0%、Na2O 0.5〜4.0%、K2O 2.1〜7.5%、F 1.2〜4.8%、TiO2 0.1〜4.0%、ZrO2 0.1〜4.0%、P25 0.5〜3.0%、BaO 0〜3.0%、As23 0.4〜1.5%、Rb2O 0.3〜1.6%、Cs2O 0.03〜0.4%、MnO2 0.06〜0.7%、Fe23 0.03〜0.3%、、Sb23 0〜1.5%の組成を有するガラス原料を調合するA−2工程と、
からなることを特徴とする<8>に記載のLi2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶化ガラスの製造方法。
【発明の効果】
【0025】
原料配合化学組成中の成分の含量の制御が容易で製品の成分組成を安定化でき、その結果、安定な物理・化学的性質を与えることができるLi2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶性ガラス及び結晶化ガラス、ならびに該結晶性ガラス及び結晶化ガラスの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の結晶性ガラスと結晶化ガラスに関する、各成分の含有量を限定する理由は、次のようになる。以下,特に断りのない限り「%」は「質量%」を意味する。
【0027】
SiO2の含有量は50.0〜65.0%、好ましくは、55.0〜60.0%である。SiO2が50.0%より少ないとガラスが失透しやすくなり、成形が困難である。SiO2が65.0%より多いとガラス溶融温度が高くなり作業上不利となる。
【0028】
Al23の含有量は10.0〜25.0%、好ましくは15.0〜20.0%である。Al23が10.0%より少ないと結晶化が起こり難い、Al23が25.0%より多いとガラスが失透しやすくなり、また溶融性が低下する。
【0029】
MgOの含有量は6.0〜15.0%、好ましくは8.0〜14.0%である。MgOが6.0%より少ないとガラスの溶融が困難になり、結晶化が起こり難い、MgOが15.0%より多いとガラスが失透しやすくなり、成形が困難である。
【0030】
Li2Oの含有量は2.5〜4.0%、好ましくは3.0〜4.0%である。Li2Oが2.5%より少ないとLi2Oを含有する結晶を析出することが難しくなり、Li2Oが4.0%より多いとガラスが失透しやすくなり、成形が困難である。
【0031】
Na2Oの含有量は0.5〜4.0%、好ましくは1.5〜3.0%である。Na2Oが0.5%より少ないとガラスの溶融が困難となり、Na2Oが4.0%より多いと結晶化ガラスの化学的耐久性が低下する。
【0032】
2Oの含有量は2.1〜7.5%、好ましくは3.0〜6.0%である。K2Oが2.1%より少ないとガラスの溶融が困難となり、K2Oを含有する結晶を析出することが難しくなり、K2Oが7.5%より多いとガラスが失透しやすくなり、成形が困難であるとともに結晶化ガラスの化学的耐久性が低下する。
【0033】
核形成剤として添加するFは、融剤であると共に結晶構成成分であり、また、結晶析出温度を低下させる効果があると共に結晶成長を促進する効果もある。その含有量は1.2〜4.8%、好ましくは1.2〜2.5%である。Fが1.2%より少ないとFを含有する結晶を析出することが難しくなり、Fが4.8%より多いとガラスが失透しやすくなり、成形が困難である。
【0034】
核形成剤として添加するTiO2の含有量は0.1〜4.0%、好ましくは1.0〜3.0%である。TiO2が0.1%より少ないと核形成剤としての効果が期待できず、一方、TiO2が4.0%より多いとガラスが失透しやすくなると共に、結晶化ガラスに不純物の着色が発生し易くなる。
【0035】
核形成剤として添加するZrO2の含有量は0.1〜4.0%、好ましくは1.5〜3.0%である。ZrO2が0.1%より少ないと核形成剤としての効果が期待できず、一方、ZrO2が4.0%より多いとガラスの溶融が困難になると共に、ガラスが失透しやすくなる。
【0036】
25は核形成剤であるZrO2の難溶解性を改善する効果がある。その含有量は0.5〜3.0%、好ましくは1.0〜2.0%である。P25が0.5%より少ないと改善効果が顕著でない、P25が3.0%より多いと分相し易くなり、均一なガラスになり難くなる。
【0037】
BaOはガラスの溶融性を改善する効果があるが、耐火物に対する侵食性が強いため、3.0%まで添加することがよい。
【0038】
清澄剤として添加するAs23の含有量は0.4〜1.5%、好ましくは0.5〜1.0%である。As23が0.4%より少ないと清澄剤としての効果が顕著でない、As23が1.5%より多いと環境に対する汚染が酷くなる。
【0039】
Sb23 0〜1.5%はAs23と共に清澄剤であるが、As23と同じように、環境に対する悪い影響がある。また、清澄効果がAs23程よくないと共に、不純物の着色を引き起こし易いため、1.5%以上添加するとよくない。
【0040】
以下、本発明の結晶性ガラスと結晶化ガラスの製造方法を説明する。
まず、質量百分率でSiO2 50.0〜65.0%、Al23 10.0〜25.0%、MgO 6.0〜15.0%、Li2O 2.5〜4.0%、Na2O 0.5〜4.0%、K2O 2.1〜7.5%、F 1.2〜4.8%、TiO2 0.1〜4.0%、ZrO2 0.1〜4.0%、P25 0.5〜3.0%、BaO 0〜3.0%、As23 0.4〜1.5%、Rb2O 0.3〜1.6%、Cs2O 0.03〜0.4%、MnO2 0.06〜0.7%、Fe23 0.03〜0.3%、、Sb23 0〜1.5%の組成を有するガラス原料に調合して、均一に攪拌する工程である。リチア雲母又はリチア含有廃棄物を主な原料として添加する。
【0041】
リチア雲母又はリチア含有廃棄物としては、各成分の質量含有量がSiO2 50.0〜60.0%、Al23 20.0〜30.0%、MgO 0〜0.5%、Li2O 3.5〜5.0%、Na2O 1.0〜3.0%、K2O 7.0〜9.0%、F 4.0〜6.0%、Rb2O 1.0〜2.0%、Cs2O 0.1〜0.5%、MnO2 0.2〜0.8%、Fe23 0.1〜0.3%が好ましく、このリチア雲母又はリチア含有廃棄物を原料成分に対して、質量百分率で30〜80%、好ましくは、30〜50%、より好ましくは30〜40%添加する。リチア雲母又はリチア含有廃棄物の添加量が30%より少ないと、経済的価値が低いので好ましくなく、80%より多いと、組成調整が困難となるので好ましくない。
【0042】
次に、調合したガラス原料を溶融する。溶解温度を1450℃〜1550℃、好ましくは1500℃〜1550℃にし、溶解時間を5〜20時間、好ましくは5〜15時間にする。
【0043】
次に、溶融したガラスを成形して結晶性ガラスになり、そして、結晶性ガラスを熱処理することによって結晶化させて、機械的強度を持つと共に綺麗な天然大理石模様を呈する結晶化ガラスになる。熱処理は1〜10℃/min、好ましくは2〜5℃/minの速度で昇温し、700〜1000℃、好ましくは800〜900℃に1〜4時間、好ましくは1〜2時間程度保持する。
【0044】
以下、実施例によって本発明を説明する。
各実施例において、リチア含有廃棄物として下記に示す組成のリチア含有廃棄物を用い、原料成分に対して質量百分率でそれぞれの処理番号に示す配合%を占めるように添加量を調合した。
SiO2 52.46%
Al23 22.89%
Li2O 4.36%
F 5.01%、
Na2O 1.54%
2O 8.25%
Fe23 0.195%
MnO2 0.333%
Rb2O 1.21%
Cs2O 0.21%
【0045】
処理番号1− 30%
処理番号2− 35%
処理番号3− 40%
処理番号4− 45%
処理番号5− 50%
処理番号6− 55%
処理番号7− 60%
処理番号8− 70%
処理番号9− 80%
【0046】
実施例1
ガラス原料を表1に示す試料番号1の組成に調合した後坩堝に入れる。1550℃でガラス原料を溶融して、250mm×250mm×18mmの板状に成形する。冷却後、ガラス板を熱処理炉に入れて、200℃で10min間保持した後90℃/hrの速度で800℃まで昇温する。800℃で20min間保持した後60℃/hrの速度で900℃まで昇温する。900℃で20min間保持した後60℃/hrの速度で1000℃まで昇温する。1000℃で1時間保持した後炉冷する。結果として、
K(Li,Al)3(Al,Si)410(OH,F)2(Lepidolite)、KLiMg2Si4102(Tainiolite)、ZrO2等の結晶を析出した結晶化ガラスになった。結晶化ガラス板の外観が綺麗で、色が白である。
【0047】
実施例2
ガラス原料を表1に示す試料番号2の組成に調合した後坩堝に入れる。1550℃でガラス原料を溶融して、250mm×250mm×18mmの板状に成形する。冷却後、ガラス板を熱処理炉に入れて、200℃で10min間保持した後90℃/hrの速度で800℃まで昇温する。800℃で20min間保持した後60℃/hrの速度で900℃まで昇温する。900℃で20min間保持した後60℃/hrの速度で1000℃まで昇温する。1000℃で1時間保持した後炉冷する。結果として、
K(Li,Al)3(Al,Si)410(OH,F)2(Lepidolite)、KLiMg2Si4102(Tainiolite)等の結晶を析出した結晶化ガラスになった。結晶化ガラス板の外観が綺麗で、色がベージュである。
【0048】
実施例3
ガラス原料を表1に示す試料番号3の組成に調合した後坩堝に入れる。1580℃でガラス原料を溶融して、250mm×250mm×18mmの板状に成形する。その後、ガラス板を熱処理炉に入れて、500℃で10min間保持した後120℃/hrの速度で620℃まで昇温する。620℃で30min間保持した後90℃/hrの速度で740℃まで昇温する。740℃で40min間保持した後90℃/hrの速度で850℃まで昇温する。850℃で40min間保持した後炉冷する。結果として、
KLiMg2Si4102(Tainiolite)、ZrO2、Li2Al2Si310等の結晶を析出した結晶化ガラスになった。結晶化ガラス板の外観が綺麗で、色が白である。
【0049】
実施例4
ガラス原料を表1に示す試料番号4の組成に調合した後坩堝に入れる。1580℃でガラス原料を溶融して、250mm×250mm×18mmの板状に成形する。その後、ガラス板を熱処理炉に入れて、560℃で30min間保持した後120℃/hrの速度で650℃まで昇温する。650℃で40min間保持した後90℃/hrの速度で760℃まで昇温する。760℃で40min間保持した後炉冷する。結果として、
K(Li,Al)3(Al,Si)410(OH,F)2(Lepidolite)、KLiMg2Si4102(Tainiolite)、ZrO2、Li2Al2Si38等の結晶を析出した結晶化ガラスになった。結晶化ガラス板の外観が綺麗で、色が灰色である。
【0050】
実施例5
ガラス原料を表1に示す試料番号5の組成に調合した後坩堝に入れる。1560℃でガラス原料を溶融して、250mm×250mm×18mmの板状に成形する。その後、ガラス板を熱処理炉に入れて、620℃で30min間保持した後90℃/hrの速度で650℃まで昇温する。650℃で40min間保持した後90℃/hrの速度で830℃まで昇温する。830℃で40min間保持した後炉冷する。結果として、
K(Li,Al)3(Al,Si)410(OH,F)2(Lepidolite)、ZrO2、LiAlSi38等の結晶を析出した結晶化ガラスになった。結晶化ガラス板の外観が綺麗で、色が白である。
【0051】
実施例6
ガラス原料を表1に示す試料番号6の組成に調合した後坩堝に入れる。1560℃でガラス原料を溶融して、250mm×250mm×18mmの板状に成形する。その後、ガラス板を熱処理炉に入れて、550℃で20min間保持した後180℃/hrの速度で620℃まで昇温する。620℃で20min間保持した後120℃/hrの速度で660℃まで昇温する。660℃で30min間保持した後90℃/hrの速度で880℃まで昇温する。880℃で40min間保持した後炉冷する。結果として、
KLiMg2Si4102(Tainiolite)、ZrO2、LiAlSi38等の結晶を析出した結晶化ガラスになった。結晶化ガラス板の外観が綺麗で、色が白である。
【0052】
実施例7
ガラス原料を表1に示す試料番号7の組成に調合した後坩堝に入れる。1600℃でガラス原料を溶融して、250mm×250mm×18mmの板状に成形する。その後、ガラス板を熱処理炉に入れて、560℃で30min間保持した後90℃/hrの速度で650℃まで昇温する。650℃で1時間保持した後100℃/hrの速度で850℃まで昇温する。850℃で1時間保持した後炉冷する。結果として、LixAlxSi3-x6(Virgilite)、β−LiAlSi26(β−スポジュメン固融体)、Mg2Al4Si518(u−cordierite)等の結晶を析出した結晶化ガラスになった。結晶化ガラス板の外観が綺麗で、色が茶色である。
【0053】
実施例8
ガラス原料を表1に示す試料番号8の組成に調合した後坩堝に入れる。1600℃でガラス原料を溶融して、250mm×250mm×18mmの板状に成形する。
その後、ガラス板を熱処理炉に入れて、560℃で30min間保持した後90℃/hrの速度で650℃まで昇温する。650℃で1時間保持した後100℃/hrの速度で850℃まで昇温する。850℃で1時間保持した後炉冷する。結果として、LixAlxSi3-x6(Virgilite)、Mg2Al4Si518(u−cordierite)、KMg3(Si3AlO10)(OH)2(Phlogopite)等の結晶を析出した結晶化ガラスになった。結晶化ガラス板の外観が綺麗で、色がベージュである。
【0054】
実施例9
ガラス原料を表1に示す試料番号9の組成に調合した後坩堝に入れる。1600℃でガラス原料を溶融して、250mm×250mm×18mmの板状に成形する。
その後、ガラス板を熱処理炉に入れて、560℃で30min間保持した後90℃/hrの速度で650℃まで昇温する。650℃で1時間保持した後100℃/hrの速度で850℃まで昇温する。850℃で1時間保持した後炉冷する。結果として、LixAlxSi3-x6(Virgilite)、Mg2Al4Si518(u−cordierite)、KMgAlSi410(OH)2(Leucophyllite)等の結晶を析出した結晶化ガラスになった。結晶化ガラス板の外観が綺麗で、色がベージュである。
【0055】
表1中に各試料の配合組成、結晶相、結晶成長温度/時間、外観、色調等を纏めて示す。
【0056】
【表1】

【0057】
※表1中に示す各結晶相A〜Jはそれぞれ次の結晶を表示する。
A:K(Li,Al)3(Al,Si)410(OH,F)2(Lepidolite)
B:KLiMg2Si4102(Tainiolite)
C:ZrO2
D:Li2Al2Si310
E:LiAlSi38
F:LixAlxSi3-x6(Virgilite)
G:β−LiAlSi26(β−スポジュメン固融体)
H:Mg2Al4Si518(u−cordierite)
I:KMg3(Si3AlO10)(OH)2(Phlogopite)
J:KMgAlSi410(OH)2(Leucophyllite)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量百分率でSiO2 50.0〜65.0%、Al23 10.0〜25.0%、MgO 6.0〜15.0%、Li2O 2.5〜4.0%、Na2O 0.5〜4.0%、K2O 2.1〜7.5%、F 1.2〜4.8%、TiO2 0.1〜4.0%、ZrO2 0.1〜4.0%、P25 0.5〜3.0%、BaO 0〜3.0%、As23 0.4〜1.5%、Rb2O 0.3〜1.6%、Cs2O 0.03〜0.4%、MnO2 0.06〜0.7%、Fe23 0.03〜0.3%、Sb23 0〜1.5%の組成を有することを特徴とするLi2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶性ガラス。
【請求項2】
各成分の質量含有量がSiO2 50.0〜60.0%、Al23 20.0〜30.0%、MgO 0〜0.5%、Li2O 3.5〜5.0%、Na2O 1.0〜3.0%、K2O 7.0〜9.0%、F 4.0〜6.0%、Rb2O 1.0〜2.0%、Cs2O 0.1〜0.5%、MnO2 0.2〜0.8%、Fe23 0.1〜0.3%からなるリチア雲母又はリチア含有廃棄物が原料成分合計量に対して質量百分率で30〜80%占めることを特徴とする請求項1に記載のLi2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶性ガラス。
【請求項3】
質量百分率でSiO2 50.0〜65.0%、Al23 10.0〜25.0%、MgO 6.0〜15.0%、Li2O 2.5〜4.0%、Na2O 0.5〜4.0%、K2O 2.1〜7.5%、F 1.2〜4.8%、TiO2 0.1〜4.0%、ZrO2 0.1〜4.0%、P25 0.5〜3.0%、BaO 0〜3.0%、As23 0.4〜1.5%、Rb2O 0.3〜1.6%、Cs2O 0.03〜0.4%、MnO2 0.06〜0.7%、Fe23 0.03〜0.3%、、Sb23 0〜1.5%の組成を有することを特徴とするLi2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶化ガラス。
【請求項4】
各成分の質量含有量がSiO2 50.0〜60.0%、Al23 20.0〜30.0%、MgO 0〜0.5%、Li2O 3.5〜5.0%、Na2O 1.0〜3.0%、K2O 7.0〜9.0%、F 4.0〜6.0%、Rb2O 1.0〜2.0%、Cs2O 0.1〜0.5%、MnO2 0.2〜0.8%、Fe23 0.1〜0.3%からなるリチア雲母又はリチア含有廃棄物が原料成分合計量に対して質量百分率で30〜80%占めることを特徴とする請求項3に記載のLi2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶化ガラス。
【請求項5】
請求項1又は請求項2の記載のLi2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶性ガラスから少なくともK(Li,Al)3(Al,Si)410(OH,F)2(Lepidolite)、KLiMg2Si4102(Tainiolite)、Li2Al2Si310、LiAlSi38、LixAlxSi3-x6(Virgilite)、β−LiAlSi26(β−スポジュメン固溶体Li2O・Al23・nSiO2[ただしn≧4])、Mg2Al4Si518(μ−cordierite)、KMg3(Si3AlO10)(OH)2(Phlogopite)、KMgAlSi410(OH)2(Leucophyllite)
の結晶の一種または二種以上が析出されていることを特徴とするLi2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶化ガラス。
【請求項6】
1.質量百分率でSiO2 50.0〜65.0%、Al23 10.0〜25.0%、MgO 6.0〜15.0%、Li2O 2.5〜4.0%、Na2O 0.5〜4.0%、K2O 2.1〜7.5%、F 1.2〜4.8%、TiO2 0.1〜4.0%、ZrO2 0.1〜4.0%、P25 0.5〜3.0%、BaO 0〜3.0%、As23 0.4〜1.5%、Rb2O 0.3〜1.6%、Cs2O 0.03〜0.4%、MnO2 0.06〜0.7%、Fe23 0.03〜0.3%、Sb23 0〜1.5%の組成を有するガラス原料を調合するA工程と、
2.A工程で得られたガラス原料を溶融するB工程と、
3.B工程で得られたガラスを成形して、Li2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶性ガラスとするC工程と、
を含むことを特徴とするLi2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶性ガラスの製造方法。
【請求項7】
前記A工程が、
各成分の質量含有量がSiO2 50.0〜60.0%、Al23 20.0〜30.0%、MgO 0〜0.5%、Li2O 3.5〜5.0%、Na2O 1.0〜3.0%、K2O 7.0〜9.0%、F 4.0〜6.0%、Rb2O 1.0〜2.0%、Cs2O 0.1〜0.5%、MnO2 0.2〜0.8%、Fe23 0.1〜0.3%からなるリチア雲母又はリチア含有廃棄物原料を均一に攪拌するA−1工程と、
A−1工程で得られたリチア雲母又はリチア含有廃棄物原料に他の原料成分を添加して、質量百分率でSiO2 50.0〜65.0%、Al23 10.0〜25.0%、MgO 6.0〜15.0%、Li2O 2.5〜4.0%、Na2O 0.5〜4.0%、K2O 2.1〜7.5%、F 1.2〜4.8%、TiO2 0.1〜4.0%、ZrO2 0.1〜4.0%、P25 0.5〜3.0%、BaO 0〜3.0%、As23 0.4〜1.5%、Rb2O 0.3〜1.6%、Cs2O 0.03〜0.4%、MnO2 0.06〜0.7%、Fe23 0.03〜0.3%、、Sb23 0〜1.5%の組成を有するガラス原料を調合するA−2工程と、
からなることを特徴とする請求項6に記載のLi2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶性ガラスの製造方法。
【請求項8】
1.質量百分率でSiO2 50.0〜65.0%、Al23 10.0〜25.0%、MgO 6.0〜15.0%、Li2O 2.5〜4.0%、Na2O 0.5〜4.0%、K2O 2.1〜7.5%、F 1.2〜4.8%、TiO2 0.1〜4.0%、ZrO2 0.1〜4.0%、P25 0.5〜3.0%、BaO 0〜3.0%、As23 0.4〜1.5%、Rb2O 0.3〜1.6%、Cs2O 0.03〜0.4%、MnO2 0.06〜0.7%、Fe23 0.03〜0.3%、、Sb23 0〜1.5%の組成を有するガラス原料を調合するA工程と、
2.A工程で得られたガラス原料を溶融するB工程と、
3.B工程で得られたガラスを成形して、Li2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶性ガラスとするC工程と、
4.C工程によって得られたLi2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶性ガラスを結晶化熱処理によってLi2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶化ガラスを生成するD工程と、
を含むことを特徴とするLi2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶化ガラスの製造方法。
【請求項9】
前記A工程が、
各成分の質量含有量がSiO2 50.0〜60.0%、Al23 20.0〜30.0%、MgO 0〜0.5%、Li2O 3.5〜5.0%、Na2O 1.0〜3.0%、K2O 7.0〜9.0%、F 4.0〜6.0%、Rb2O 1.0〜2.0%、Cs2O 0.1〜0.5%、MnO2 0.2〜0.8%、Fe23 0.1〜0.3%からなるリチア雲母又はリチア含有廃棄物原料を均一に攪拌するA−1工程と、
A−1工程で得られたリチア雲母又はリチア含有廃棄物原料に他の原料成分を添加して、質量百分率でSiO2 50.0〜65.0%、Al23 10.0〜25.0%、MgO 6.0〜15.0%、Li2O 2.5〜4.0%、Na2O 0.5〜4.0%、K2O 2.1〜7.5%、F 1.2〜4.8%、TiO2 0.1〜4.0%、ZrO2 0.1〜4.0%、P25 0.5〜3.0%、BaO 0〜3.0%、As23 0.4〜1.5%、Rb2O 0.3〜1.6%、Cs2O 0.03〜0.4%、MnO2 0.06〜0.7%、Fe23 0.03〜0.3%、、Sb23 0〜1.5%の組成を有するガラス原料を調合するA−2工程と、
からなることを特徴とする請求項8に記載のLi2O−Al23−SiO2−MgO−K2O−F系結晶化ガラスの製造方法。

【公開番号】特開2007−126299(P2007−126299A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−317900(P2005−317900)
【出願日】平成17年11月1日(2005.11.1)
【出願人】(502295490)湖州大享玻璃制品有限公司 (6)
【Fターム(参考)】