説明

MRI装置およびMRI装置用の高周波コイル

【課題】 非円筒形の形状を有したイメージング対象で生じるMR信号を均一かつ高感度に検出可能とする。
【解決手段】導電材料より成り、互いに対向して配置された2つのエンドリングEf,Ebと、導電材料をロッド状に形成して成り、両端部がエンドリングEf,Ebにそれぞれ接続されたロッドR1〜R4と、導電部材をロッド状に形成して成り、ロッドR1〜R4のうちの1本に両端が接続された延長ロッドR3x,R4xとを備える。延長ロッドR3x,R4xは、エンドリングEf,EbおよびロッドR1〜R4により形成される第1のイメージング領域の外側に第2のイメージング領域を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非円筒形の形状を有した撮影対象の撮影を可能とするMRI装置およびMRI装置用の高周波コイルに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージング(MRI)法は、静磁場中に置かれた生体組織の原子核スピンを、そのラーモア周波数をもつ高周波信号で励起し、この励起に伴って発生する磁気共鳴信号(MR信号)に基づいて画像データを再構成する。MRI装置は、MRI法により診断情報を得る画像診断装置である。MRI装置は、解剖学的情報のみならず生化学的情報や機能情報等多くの診断情報を得ることができるため、今日の画像診断の分野では不可欠なものとなってきている。
【0003】
MRI装置によって高画質の画像データを生成するためには、生体に生じる微弱なMR信号を効率よく検出する必要があり、そのために多くの技術的な工夫がなされている。MR信号の検出に使用される高周波コイルは、静磁場の方向によって異なるタイプが使用される。静磁場が水平方向である場合には、サドルコイルが使用される。静磁場が垂直方向である場合には、ソレノイドコイルが使用される。なお、高周波信号を送信するための高周波コイルとMR信号を受信するための高周波コイルとを個別に設けることもあるが、上記の送信のタイミングと受信のタイミングとは異なるため、同一の高周波コイルを用いることも可能である。
【0004】
一方、高感度な高周波コイルとして、QD方式の体積コイルが知られている。水平方向の静磁場用の体積コイルは、バードケイジ型が一般的である。バードケイジ型は、2つのエンドリングと、少なくとも4本のロッド(エレメント)とを含む。ロッドは、静磁場方向(水平方向)にほぼ平行な状態で配置され、両端が2つのエンドリングにそれぞれ接続される。特に、ロッドが4本である場合には、スロッテッド・チューブ・レゾネータとも呼ばれている。このような体積コイルは、その内部に、高周波磁場分布が比較的均一な円筒形のイメージング領域が形成される。
【0005】
ところで、バードケイジ型の高周波コイルの内部にてイメージング対象をイメージングする場合、各ロッドが可能な限りイメージング対象の表面に接近することが望ましい。しかしながら、下腿および足を含む部位のような非円筒形の形状を有したイメージング対象をイメージングする場合、足の大きさに応じた内径を有する高周波コイルを用いなくてはならないため、下腿とロッドとが離れてしまう。このような状況では、高周波コイルを照射コイルとして用いる場合には、より小さな内径の高周波コイルを使用する場合と比較して大きな送信電力が要求される。高周波コイルを受信コイルとして用いる場合には、検出されるMR信号のS/Nが劣化する。
【0006】
一方、MR信号を感度よく検出する方法として表面コイルを用いる方法が開発されている。しかし、表面コイルにおける感度分布は、通常不均一でありその補正も容易ではないため、良質な画像データを得ることが困難であった。
【0007】
このような問題点を解決する方法として、図15に示すような円筒形高周波コイル500が特許文献1に開示されている。この円筒形高周波コイル500は、エンドリング504を下腿501の太さに対応した内径を持つものとしている。そしてロッド503の一部を、足502の形状に対応させて外側に屈曲させている。この円筒形高周波コイル500によれば、下腿501および足502の全域に渡ってロッド503を接近させることができる。
【特許文献1】米国特許第5277183号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら円筒形高周波コイル500では、ロッド503を屈曲して形成された領域にロッド503を流れる電流によって形成される高周波磁場の空間的分布は不均一となる。高周波磁場の不均一は、再構成される画像データの品質に影響する。
【0009】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、非円筒形の形状を有したイメージング対象で生じるMR信号を均一かつ高感度に検出可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の目的を達成するために第1の本発明は、磁気共鳴イメージング装置用の高周波コイルにおいて、導電材料より成り、互いに対向して配置された2つのエンド部材と、導電材料をロッド状に形成して成り、両端部が前記2つのエンド部材にそれぞれ接続された複数のロッド部材と、導電部材をロッド状に形成して成り、前記ロッド部材のうちの1本に両端が接続された付加部材とを具備し、前記付加部材は、前記エンド部材および前記ロッド部材により形成される第1のイメージング領域の外側に第2のイメージング領域を形成するように配置した。
【0011】
前記の目的を達成するために第2の本発明は、磁気共鳴イメージング装置用の高周波コイルにおいて、導電材料より成り、互いに対向して配置された2つのエンド部材と、導電材料をロッド状に形成して成り、両端部が前記2つのエンド部材にそれぞれ接続された少なくとも複数のロッド部材と、導電部材をロッド状に形成して成り、前記ロッド部材のうちの1本に両端が接続された付加部材と、前記前記複数のロッド部材および前記付加部材のそれぞれに挿入されたインピーダンス素子とを具備し、前記付加部材は、前記エンド部材および前記ロッド部材により形成される第1のイメージング領域の外側に第2のイメージング領域を形成するように配置した。
【0012】
前記の目的を達成するために第3の本発明は、磁気共鳴イメージング装置用の高周波コイルにおいて、導電材料より成り、互いに対向して配置された2つのエンド部材と、導電材料をロッド状に形成して成り、両端部が前記2つのエンド部材にそれぞれ接続された少なくとも4本のロッド部材と、導電部材をロッド状に形成して成り、前記ロッド部材のうちの1本に両端が接続された第1の付加部材と、導電部材をロッド状に形成して成り、前記ロッド部材のうちの前記第1の付加部材が接続されるのとは異なる1本に両端が接続された第2の付加部材とを具備し、前記ロッド部材を互いにほぼ平行させるとともに、前記ロッド部材のうちの第1および第2のロッド部材を対向する2辺とするように仮想した第1の平面と前記ロッド部材のうちの第3および第4のロッド部材を対向する2辺とするように仮想した第2の平面とをほぼ直交させ、前記第1および第2の付加部材は前記第1および第3のロッド部材にそれぞれ接続し、前記第1の付加部材は第1の交叉部を形成するように交叉させ、前記第1の交叉部と前記第1のロッド部材との間に位置する前記第1の付加部材の一部と前記第1のロッド部材とを辺として仮想した第3の平面と、前記第1の付加部材の残りの一部を辺として仮想した第4の平面とが異なる方向を向け、かつ前記第4の平面は前記第1の平面にほぼ平行させ、前記第2の付加部材は第2の交叉部を形成するように交叉させ、前記第2の交叉部と前記第3のロッド部材との間に位置する前記第2の付加部材の一部と前記第3のロッド部材とを辺として仮想した第5の平面と、前記第2の付加部材の残りの一部を辺として仮想した第6の平面とが異なる方向を向け、かつ前記第6の平面は前記第2の平面にほぼ平行させた。
【0013】
前記の目的を達成するために第4の本発明は、静磁場、勾配磁場および高周波磁場が形成された領域に載置されたイメージング対象から放射されるMR信号に基づいて画像データを再構成する磁気共鳴イメージング装置において前記高周波磁場を形成するため、および前記MR信号を検出するための少なくとも一方に前記第1乃至第3の発明のいずれかの高周波コイルを用いることとした。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、非円筒形の形状を有したイメージング対象で生じるMR信号を均一かつ高感度に検出可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態につき説明する。
【0016】
本実施形態の第1の特徴は、一般的なバードケイジ型の高周波コイルに含まれる2本のロッドに2つの延長ロッドをそれぞれ付加することにより、円筒形のメインイメージング領域の外側に付加イメージング領域を形成することにある。付加イメージング領域は、例えば足の爪先部をイメージングするのに好適である。
【0017】
また、本実施形態の第2の特徴は、ロッドおよび延長ロッドを流れる高周波電流を個別に調整することにより、メインイメージング領域に形成される高周波磁場と付加イメージング領域に形成される高周波磁場とを均一に制御することにある。
【0018】
なお、以下では、人間の下腿および足をイメージング対象とする場合について述べるが、これに限定されるものではなく他のイメージング対象であっても構わない。
【0019】
本発明の実施形態につき図1乃至図14を用いて説明する。なお、図1は本実施形態におけるMRI装置100の全体構成を示すブロック図であり、図2乃至図14は、高周波コイルを説明するための図である。
【0020】
MRI装置100は、静磁場発生部1、勾配磁場発生部2、送受信部3、演算・記憶部4、寝台5、入力部6、表示部7および制御部8を備えている。
【0021】
静磁場発生部1は、主磁石11および静磁場電源12を含む。主磁石11としては、例えば超電導磁石が使用される。静磁場電源12は、主磁石11に電流を供給する。主磁石11は、静磁場電源12から供給された電流によって動作し、被検体150の周囲に強力な静磁場を形成する。
【0022】
勾配磁場発生部2は、勾配磁場コイルユニット21および勾配磁場電源22を含む。勾配磁場コイルユニット21は、互いに直交するX、YおよびZの各軸に対応する3種類のコイルが組み合わされている。勾配磁場電源22は、勾配磁場コイルユニット21の3種類のコイルに個別に電流を供給する。勾配磁場電源22は、制御部8から供給される制御信号に応じて、3種類のコイルのそれぞれに対応する電流を個別に変化させる。これにより、X、YおよびZの各軸に沿った勾配磁場を、それぞれ任意の勾配を持つように設定できる。X,YおよびZの各軸の傾斜磁場は、例えば、スライス選択用の傾斜磁場Gs、位相エンコード用の傾斜磁場Geおよびリードアウト用の傾斜磁場Grにそれぞれ対応する。傾斜磁場Gsは、任意にイメージング断面を決めるために利用される。傾斜磁場Geは、空間的位置に応じて磁気共鳴信号の位相を変化させるために利用される。傾斜磁場Grは、空間的位置に応じて磁気共鳴信号の周波数を変化させるために利用される。これらの勾配磁場は、主磁石11が形成する静磁場に重畳される。
【0023】
送受信部3は、高周波コイル31、送信器32および受信器33を含む。高周波コイル31は、送信器32から高周波信号の供給を受けて、被検体150にRFパルスを照射する。高周波コイル31は、被検体150から放射されたMR信号を検出する。送信器32は、基準信号発生器、変調器および電力増幅器等を備えている。送信器32は、主磁石11の静磁場強度によって決定される磁気共鳴周波数(ラーモア周波数)と同じ周波数を有した基準信号を選択励起波形で変調することによって上記の高周波信号を発生する。受信器33には、高周波コイル31によって検出されたMR信号が入力される。受信器33は、MR信号に対して信号処理を施したのちに、A/D変換する。上記の信号処理は、中間周波変換、位相検波、ならびにフィルタリング等である。受信器33はさらに、高周波コイル31によって検出された位相が90°異なる2つのMR信号に対して整相(位相合わせ)を行なうための90°移相器を備えている。
【0024】
演算・記憶部4は、高速演算回路41と記憶回路42とを含む。高速演算回路41は、受信器33から制御部8を介して送られてきたMR信号に対して、2次元フーリエ変換による再構成を行ない、実空間の画像データを生成する。記憶回路42は、MR信号記憶回路421と、画像データ記憶回路422とを含む。MR信号記憶回路421は、受信器33から送られてきたMR信号を記憶する。画像データ記憶回路422は、高速演算回路41により生成された画像データを記憶する。
【0025】
寝台5は、所望の撮影位置を設定するために、被検体150をその体軸方向の任意の位置に移動させる。寝台5は、主磁石11に形成された開口部から主磁石11の外に被検体150を搬出可能である。
【0026】
入力部6は、スイッチ、キーボード、あるいはマウス等の各種入力デバイスと、表示パネルとを含んだコンソールを備える。入力部6は、操作者により指定される各種の指示や情報を入力する。入力部6が入力する指示や情報は、例えば患者ID、撮影開始の指示、、撮影方式やパルスシーケンス等の撮影条件、表示方法に関する情報、寝台5の移動に対する指示等である。
【0027】
表示部7は、表示用記憶回路、変換回路およびモニタを含んでいる。画像データ記憶回路422に保存された画像データが、制御部8によって表示部7に供給される。また、入力部6から入力された各種の文字や数字等の付帯情報が、制御部8によって表示部7に供給される。表示部7は、これら供給された画像データと付帯情報とを表示用記憶回路において合成して表示用の画像データを生成する。変換回路は、表示用の画像データに対してD/A変換およびテレビフォーマット変換を施し、画像信号を得る。モニタは、画像信号に応じて画像を表示する。なおモニタとしては、CRTあるいは液晶表示器等が使用される。
【0028】
制御部8は、主制御回路81およびシーケンス制御回路82を含む。主制御回路81は、CPUと記憶回路とを含み、装置全体を統括して制御する。主制御回路81の記憶回路は、入力部6で入力された撮影方式、パルスシーケンス、あるいは画像データの表示方法等に関する情報を記憶する。主制御回路81のCPUは、入力部6において入力された情報に基づくパルスシーケンス情報をシーケンス制御回路82に対して供給する。パルスシーケンス情報は、例えば、勾配磁場コイルユニット21や高周波コイル31に印加する高周波電流の大きさ、印加時間、印加タイミング等を表す。シーケンス制御回路82は、CPUと記憶回路を備える。シーケンス制御回路82の記憶回路は、主制御回路81から供給されたパルスシーケンス情報を記憶する。シーケンス制御回路82のCPUは、パルスシーケンス情報にしたがって勾配磁場電源22、送信器32および受信器33を制御する。
【0029】
次に、高周波コイル31につき詳細に説明する。
【0030】
図2は、高周波コイル31の外観を示す斜視図である。図3は、高周波コイル31の概略構成を示す斜視図である。図4は、高周波コイル31の概略構成を図3中に示される矢印の方向から見た様子を示す図である。
【0031】
高周波コイル31は、図2に示すケース311に、図3,4に示すエンドリングEf,Eb、ロッドR1,R2,R3,R4および延長ロッドR3x,R4xを収容して構成されている。
【0032】
ケース311は、円筒状をなす主部311aと、立方体状をなす突部311bとからなる。主部311aは、下腿を挿入可能で、かつ主部311aの内壁と下腿とが近接するような内径を持つ。突部311bは、主部311aに下腿を挿入した際に足の爪先部が位置する場所に配置される。突部311bは、内部に空間が形成されており、この空間は主部311aの内部の空間に繋がっている。突部311bの内部の空間は、図2に示すように爪先部を挿入することが可能で、かつ突部311bの内壁と爪先部とが近接するような大きさを持つ。
【0033】
エンドリングEf,EbおよびロッドR1,R2,R3,R4は、主部311aの内部の空間の周りに位置するように図3に示す状態で主部311aに収容されている。延長ロッドR3x,R4xは、突部311bの内部の空間の周りに位置するように図3に示す状態で突部311bに収容されている。
【0034】
エンドリングEf,Ebは、それぞれ導電材料をリング状に形成したものである。エンドリングEf,Ebは、互いに相似な形状であり、互いに対向して配置されている。エンドリングEf,Ebのそれぞれの内側に仮想される平面は、互いに平行している。
【0035】
ロッドR1,R2,R3,R4は、それぞれ導電材料を直線のロッド状に形成したものである。ロッドR1,R2,R3,R4のそれぞれの一旦は、エンドリングEfに等間隔で接続される。ロッドR1,R2,R3,R4のそれぞれの他端は、エンドリングEbに等間隔で接続される。ロッドR1,R2,R3,R4は、いずれもエンドリングEf,Ebが並ぶ方向に沿って配置される。すなわち、ロッドR1,R2,R3,R4は、互いに平行する。そしてこのような配置により、ロッドR1,R3を2辺として仮想される平面P1とロッドR2,R4を2辺として仮想される平面P2とは、互いに直交する。
【0036】
延長ロッドR3x,R4xは、それぞれ導電材料をロッド状に形成したものである。延長ロッドR3xは、両端がロッドR3に接続される。延長ロッドR4xは、両端がロッドR4に接続される。延長ロッドR3x,R4xは、次に示す条件を満たすような形状に折り曲げられている。
【0037】
(1) 延長ロッドR3xどうしが交叉し、交叉部CR1を形成する。
【0038】
(2) 延長ロッドR3xのうちで交叉部CR1とロッドR3との間に位置する部分とロッドR3とを辺として仮想される平面P3と、延長ロッドR3xのうちの残りの部分を辺として仮想的される平面P4とが形成される。
【0039】
(3) 平面P4は、平面P1にほぼ平行し、平面P3には平行しない。
【0040】
(4) 延長ロッドR4xどうしが交叉し、交叉部CR2を形成する。
【0041】
(5) 延長ロッドR4xのうちで交叉部CR2とロッドR4との間に位置する部分とロッドR4とを辺として仮想される平面P5と、延長ロッドR4xのうちの残りの部分を辺として仮想される平面P6とが形成される。
【0042】
(6) 平面P6は、平面P2にほぼ平行し、平面P5には平行しない。
【0043】
(7) 平面P4と平面P6とは、突部311bの内部の空間の中で互いに直交する。
【0044】
このような構造により高周波コイル31は、主部311aの内部の空間および突部311bの内部の空間に、第1および第2のイメージング領域をそれぞれ形成している。これら第1および第2のイメージング領域は、互いに繋がっている。
【0045】
以上が、高周波コイル31の原理的な構造である。
【0046】
なお、各種形状および位置関係は、上記が理想であるが、形状が上記から変化したり、位置関係が上記からずれたりしても良い。
【0047】
図5は、高周波コイル31の具体的な構成を示す図。この図5に示す構成は、上述した原理的な構造を基礎にして達成されている。
【0048】
高周波コイル31の図5に示す構成が図2と異なっているのは、ロッドR1,R2,R3,R4の両端がそれぞれ折り曲げられていることと、コンデンサC11,C12,C13,C14,C15,C21,C22,C23,C24,C25,C33,C34,C35,C43,C44,C45,C34x,C44xを含んでいることである。
【0049】
ロッドR1,R2,R3,R4は、それぞれの両端が同一方向に直角に折り曲げられている。ロッドR1,R2,R3,R4は、互いに相似な形状である。そしてロッドR1の一端とロッドR3の一端、ロッドR1の他端とロッドR3の他端、ロッドR2の一端とロッドR4の一端、ならびにロッドR2の他端とロッドR4の他端が、それぞれ直線上に並んでいる。ロッドR1,R2,R3,R4の中間部の相対的な位置関係は、原理的な構造と同じである。
【0050】
コンデンサC13,C15は、ロッドR1の両端部の近傍にそれぞれ配置されている。コンデンサC23,C25は、ロッドR2の両端部の近傍にそれぞれ配置されている。コンデンサC33,C35は、ロッドR3の両端部の近傍にそれぞれ配置されている。コンデンサC43,C45は、ロッドR4の両端部の近傍にそれぞれ配置されている。コンデンサC14,C24,C34,C44は、ロッドR1,R2,R3,R4のそれぞれの中央部の近傍に配置されている。これにより、コンデンサC13,C14,C15は、ロッドR1によって直列接続されている。コンデンサC23,C24,C25は、ロッドR2によって直列接続されている。コンデンサC33,C34,C35は、ロッドR3によって直列接続されている。コンデンサC43,C44,C45は、ロッドR4によって直列接続されている。
【0051】
なお、コンデンサC34は、延長ロッドR3xの両端が接続された位置の間に配置される。コンデンサC44は、延長ロッドR4xの両端が接続された位置の間に配置される。
【0052】
コンデンサC13の両端部は、送信器32および受信器33に接続されたケーブルにインピーダンスマッチング用のコンデンサC11およびC12をそれぞれ介して接続される。コンデンサC23の両端部は、送信器32および受信器33に接続されたケーブルにインピーダンスマッチング用のコンデンサC21およびC22をそれぞれ介して接続される。
【0053】
すなわち、送信器32において発生された高周波電流は、ケーブルを介してコンデンサC13の両端またはコンデンサC23の両端から高周波コイル31に供給される。高周波コイル31により検出されたMR信号は、コンデンサC13の両端またはコンデンサC23の両端からケーブルを介して受信器33に供給される。なお以下においては、コンデンサC11およびコンデンサC12を介するチャネルを第1の給電チャネルと称し、コンデンサC21およびコンデンサC22を介するチャネルを第2の給電チャネルと称する。
【0054】
図6は、図5に示される高周波コイルの電気的等価回路図である。
【0055】
図6に示すように、コンデンサC11,C12,C13,C21,C22,C23,C34xおよびC44xとしては、それぞれ容量可変タイプの素子が使用される。また、図5では図示を省略していたが、高周波コイル31は、アイソレーション用のコンデンサC01,C02を含む。これらのコンデンサC01,C02としても、それぞれ容量可変タイプの素子が使用される。
【0056】
コンデンサC01の両端は、コンデンサC13とコンデンサC14との間に位置するロッドR1の部位と、コンデンサC43とコンデンサC44との間に位置するロッドR4の部位とにそれぞれ接続される。コンデンサC02の両端は、コンデンサC23とコンデンサC24との間に位置するロッドR2の部位と、コンデンサC33とコンデンサC34との間に位置するロッドR3の部位とにそれぞれ接続される。
【0057】
コンデンサC13,C23は、第1および第2の給電チャネルのそれぞれに対するチューニング(共振周波数の調整)のために使用される。すなわちコンデンサC13の容量は、ロッドR1,R3や延長ロッドR3xに直列挿入されたコンデンサ容量と各ロッドおよびエンドリングが有するインダクタンス成分によって決定される共振周波数が高周波電流のラーモア周波数とほぼ一致するように調整される。ただし、図6では、ロッドR1,R2,R3,R4および延長ロッドR3x,R4xが有するインダクタンスは図示を省略している。
【0058】
コンデンサC11,C12,C21,C22は、第1および第2の給電チャネルのそれぞれのインピーダンスと送信器32および受信器33のインピーダンスとをマッチングさせるために使用される。例えば、コンデンサC11,C12,C21,C22の容量を調整することにより、第1および第2の給電チャネルのインピーダンスは50オームに設定される。
【0059】
第1の給電チャネルおよび第2の給電チャネルには、位相が互いに90度だけ異なる高周波電流が送信器32からそれぞれ供給される。そして、このような給電により、第1のイメージング領域および第2のイメージング領域のそれぞれにおいて回転高周波磁場が形成される。これにより、給電チャネルが1つの場合と比較して1/2の電力で均一なRFパルスの照射が可能となる。
【0060】
一方、高周波コイル31から第1の給電チャネルおよび第2の給電チャネルへは、位相が互いに90度異なる2つのMR信号がそれぞれ出力される。2つのMR信号は、受信器33で、整相(90度の位相差を0度に補正)された上で加算される。これにより、給電チャネルが1つの場合と比較して√2倍の感度(S/N)が得られ、均一な画像データの生成が可能となる。
【0061】
すなわち、コンデンサC01,C02の容量を調整することにより、送信器32からコンデンサC11,C12を介して第1の給電チャネルに送られた高周波電流は、ロッドR1およびロッドR3と、延長ロッドR3xとに供給され、コンデンサC21,C22を介して第2の給電チャネルに送られた高周波電流は、ロッドR2およびロッドR4と、延長ロッドR4xとに供給される。
【0062】
次に、延長ロッドR3x,R4xを流れる高周波電流と、この高周波電流によって形成される高周波磁場について説明する。
【0063】
図7は、第1の給電チャネルからの給電により高周波コイル31に高周波電流が生じる様子を示す図である。図8は、図7に示される高周波電流によって高周波磁場が形成される様子を示す図である。
【0064】
コンデンサC11を介して送信器32から供給された高周波電流は、例えばエンドリングEf、ロッドR3および延長ロッドR3x、エンドリングEb、さらにはロッドR1といった順で流れた後に、コンデンサC12を介して送信器32に戻る。このとき、ロッドR3およびロッドR1を流れる高周波電流に基づいて、図8に示すような高周波磁場B1が第1のイメージング領域に対して形成される。さらに、延長ロッドR3xを流れる高周波電流に基づいて、高周波磁場B2が第2のイメージング領域に対して形成される。
【0065】
一方、図9は、第2の給電チャネルからの給電により高周波コイル31に高周波電流が生じる様子を示す図である。図10は、図8に示される高周波電流によって高周波磁場が形成される様子を示す図である。
【0066】
コンデンサC21を介して送信器32から供給された高周波電流は、例えばエンドリングEf、ロッドR4および延長ロッドR4x、エンドリングEb、さらにはロッドR2といった順で流れた後に、コンデンサC22を介して送信器32に戻る。このとき、ロッドR2およびロッドR4を流れる高周波電流に基づいて、図10に示すような高周波磁場B1′が第1のイメージング領域に対して形成される。さらに、延長ロッドR4xを流れる高周波電流に基づいて、高周波磁場B2′が第2のイメージング領域に対して形成される。
【0067】
次に、第2のイメージング領域に対し高周波磁場B2が形成される作用について更に詳しく説明する。
【0068】
図11(a)は、延長ロッドR3xを、延長ロッドR3xとロッドR3の一部とが矩形のループを形成するように配置した場合の等価回路を示す図である。交叉部CR1を形成していることは、図11(a)に示す状態の延長ロッドR3xを図11(b)に示すように捻ったことと同等である。さらに交叉部CR1で折り曲げていることにより、実際の延長ロッドR3xの等価回路は図11(c)に示すものとなっている。
【0069】
延長ロッドR3xは、延長ロッドR3xaと延長ロッドR3xbとによって構成され、第2のイメージング領域における高周波磁場B2は、延長ロッドR3xaによる高周波磁場と延長ロッドR3xbによる高周波磁場とが合成されて形成される。しかしながら、延長ロッドR3xbによる高周波磁場のほうが延長ロッドR3xaによる高周波磁場よりも影響が支配的であるため、ここでは延長ロッドR3xbによる高周波磁場を高周波磁場B2としている。高周波磁場B2の向きを高周波磁場B1の向きにより精度良く合わせるためには、平面P3と平面P4との間の角度を調整すれば良い。
【0070】
コンデンサC34xの容量を変化させることにより高周波磁場B2の強度が変化する。つまり、コンデンサC34xの容量を適切に調整することによって、高周波磁場B1の強度と高周波磁場B2の強度とを等しくすることができる。
【0071】
以上、延長ロッドR3xにより形成される高周波磁場B2について述べたが、延長ロッドR4xにより形成される高周波磁場B2′についても同様である。
【0072】
なお、高周波磁場B2,B2’の強度が高周波磁場B1,B1’の強度にそれぞれ等しくなるようにコンデンサC34x,C44xの容量を変更した場合、これに伴なって各給電チャネルのインピーダンスや共振周波数も変化する。このため、コンデンサC34x,C44xの容量を変更する際には、コンデンサC11,C12,C21,C22の容量変更による給電チャネルのインピーダンス調整、コンデンサC13,C23の容量変更による共振周波数調整(チューニング)、さらには、コンデンサC01,C02の容量変更による給電チャネル間のアイソレーション調整を行なう必要がある。また、インピーダンスや共振周波数の差異が大きいために上述のコンデンサのみによる調整が不可能な場合には、各ロッドに直列挿入された他のコンデンサの容量値も併せて調整することが望ましい。
【0073】
また最終的には、給電チャネル1,2から見た高周波コイル31は等価となるため、高周波磁場B1と高周波磁場B1′とはほぼ等しくなり、また高周波磁場B2と高周波磁場B2′とはほぼ等しくなる。
【0074】
以上、イメージング対象に対してRFパルスを照射する際に高周波コイル31により高周波磁場を形成する様子について説明したが、イメージング対象で生じたMR信号の検出においても同様である。すなわち、高周波コイル31は、送信時に形成される高周波磁場と同様な磁場を伴うMR信号の検出が可能である。つまり、高周波コイル31は、第1のイメージング領域に関しては、高周波磁場B1と同じ方向の磁場を伴うMR信号と、高周波磁場B1′と同じ方向の磁場を伴うMR信号とを検出できる。高周波コイル31は、第2のイメージング領域に関しては、高周波磁場B2と同じ方向の磁場を伴うMR信号と、高周波磁場B2′と同じ方向の磁場を伴うMR信号とを検出できる。そして、これらのMR信号に関する感度は均一である。
【0075】
このように本実施形態によれば、第1および第2のイメージング領域に、それぞれ高周波磁場を形成することが可能である。かつ第1および第2のイメージング領域のそれぞれでMR信号を検出することが可能である。そして第1および第2のイメージング領域のいずれも、その領域内における高周波磁場の空間分布を均一にすることができる。かつ第1および第2のイメージング領域のいずれも、MR信号の検出感度を均一にすることができる。かくして、第1および第2のイメージング領域を、それぞれの領域内での画質を均一にしてイメージングすることが可能となる。
【0076】
さて、米国特許第5277183号明細書に開示されている高周波コイルの場合には、屈曲したロッドに流れる高周波電流を独立に制御することが不可能である。このため、直線状ロッドによって形成された円筒形のイメージング領域における高周波磁場と、屈曲したロッドによって新たに形成されたイメージング領域における高周波磁場を均一にすることができない。このため、図15に示した高周波コイルでは、上記の2つのイメージング領域のそれぞれで画質が変化してしまう。
【0077】
しかしながら本実施形態によれば、第1および第2のイメージング領域のそれぞれの高周波磁場を互いに均一にすることができる。かつ第1および第2のイメージング領域のそれぞれのMR信号の検出感度を互いに均一にすることができる。かくして、第1および第2のイメージング領域の全域を、画質を均一にしてイメージングすることが可能となる。
【0078】
さらに本実施形態によれば、第1および第2のイメージング領域のそれぞれに、互いに直交する方向の高周波磁場を形成することができる。かつ第1および第2のイメージング領域のそれぞれにおいて、互いに直交する磁場を伴うMR信号を検出することができる。かくして、第1および第2のイメージング領域のいずれに関しても、QD方式による高画質なイメージングが可能である。
【0079】
さらに本実施形態によれば、第1および第2のイメージング領域にそれぞれ形成される高周波磁場の方向は互いに同じである。かつ第1および第2のイメージング領域のそれぞれで、互いに同じ方向の磁場を伴うMR信号を検出することができる。かくして、第1および第2のイメージング領域のそれぞれに関する画質を均一にすることができる。
【0080】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、次のような種々の変形実施が可能である。
【0081】
(第1の変形例)
図12は、延長ロッドR3xが付加されたロッドR3の変形例を示したものであり、図12(a)は外観図を、図12(b)は電気的等価回路図を示す。
【0082】
図12(a)に示した変形例では、ロッドR3’がロッドR3と並行して設けられている。エンドリングEf、エンドリングEb、ロッドR3、追加ロッドR3’および延長ロッドR3xは、それぞれ薄い銅板によって構成されている。そして、ロッドR3、追加ロッドR3’および延長ロッドR3xに対して、コンデンサC34,C34’,C34xがそれぞれ挿入されている。
【0083】
なおこの場合には、ロッドR4やロッドR1およびR2に対しても、追加ロッドを付加することが望ましい。なお、1つのロッドに複数の追加ロッドを付加しても良い。
【0084】
このように追加ロッドを付加することにより、第1のイメージング領域を形成するロッドの数を部分的に増やすことができ、これにより第1のイメージング領域における磁場の均一性を向上させることができる。また、各種ロッドを薄板状の導体により形成することにより、第1のイメージング領域における磁場の均一性を向上させることができる。
【0085】
(第2の変形例)
図13は、延長ロッドR3x,R4xを着脱可能とした高周波コイルの構成の第1例を電気的等価回路図において表す図である。
【0086】
この高周波コイルは、図13(a)に示すメインユニット31aと、図13(b)に示す着脱ユニット31bと、図13(c)に示す着脱ユニット31cとを含む。
【0087】
メインユニット31aは、高周波コイル31におけるコンデンサC33とコンデンサC34との間およびコンデンサC34とコンデンサC35との間のそれぞれでロッドR3を切断するとともに、コンデンサC43とコンデンサC44との間およびコンデンサC44とコンデンサC45との間のそれぞれでロッドR4を切断し、ロッドR3の一部、ロッドR4の一部、コンデンサC34,C44,C34x,C44xおよび延長ロッドR3x,R4xを高周波コイル31から取り除いて得られる構成を持つ。なお、ロッドR3の一部に相当する部位を、ロッドR3a,R3bと記す。ロッドR4の一部に相当する部位を、ロッドR4a,R4bと記す。ロッドR3a,R3bの端部には、ジョイントJ11,J12が取り付けられている。ロッドR4a,R4bの端部には、ジョイントJ13,J14が取り付けられている。
【0088】
着脱ユニット31bは、メインユニット31aにおいて高周波コイル31から取り除かれた部分により構成される。なお、ロッドR3,R4に相当する部位を、ロッドR3c,R4cとそれぞれ記す。ロッドR3cの両端には、ジョイントJ21,J22がそれぞれ取り付けられている。ロッドR4cの両端には、ジョイントJ23,J24がそれぞれ取り付けられている。
【0089】
着脱ユニット31bは、メインユニット31aにおいて高周波コイル31から取り除かれたロッドR3,R4の一部にそれぞれ相当するロッドR3d,R4dと、コンデンサC36,C46とを備える。さらにロッドR3dの両端には、ジョイントJ31,J32がそれぞれ取り付けられている。ロッドR4dの両端には、ジョイントJ33,J34がそれぞれ取り付けられている。コンデンサC36,C46は、ロッドR3d,R4dにそれぞれ挿入されている。
【0090】
ジョイントJ21,J22,J23,J24をジョイントJ11,J12,J13,J14にジョイントさせることによって着脱ユニット31bをメインユニット31aに装着すれば、高周波コイル31と同様に機能する高周波コイルが構成される。延長ロッドR3x,R4xが不要であるときには、ジョイントJ31,J32,J33,J34をジョイントJ11,J12,J13,J14にジョイントさせることによって着脱ユニット31cをメインユニット31aに装着する。コンデンサC36,C46の特性は、ロッドR1と、ロッドR2と、ロッドR3a,R3b,R3dがジョイントされることにより形成されるロッドと、ロッドR4a,R4b,R4dがジョイントされることにより形成されるロッドとが、第1のイメージング領域での送受信のためにバランス良く機能するように定めれば良い。
【0091】
(第3の変形例)
図14は、延長ロッドR3x,R4xを着脱可能とした高周波コイルの構成の第2例を電気的等価回路図において表す図である。
【0092】
この高周波コイルは、図14(a)に示すメインユニット31dと、図14(b)に示す着脱ユニット31eとを含む。
【0093】
メインユニット31dは、高周波コイル31における延長ロッドR3x,R4xを、それらの両端部で切断し、延長ロッドR3x,R4xおよびコンデンサC34x,C44xを高周波コイル31から取り除くとともに、コンデンサC34,C44に代えて容量可変タイプのコンデンサC37,C47を備えることによって得られる構成を持つ。延長ロッドR3x,R4xが切り離された箇所には、ジョイントJ15,J16,J17,J18がそれぞれ取り付けられている。
【0094】
着脱ユニット31eは、メインユニット31dにおいて高周波コイル31から取り除かれた部分により構成される。延長ロッドR3xの両端には、ジョイントJ41,J42がそれぞれ取り付けられている。ロッドR4xの両端には、ジョイントJ43,J44がそれぞれ取り付けられている。
【0095】
ジョイントJ41,J42,J43,J44をジョイントJ15,J16,J17,J18にジョイントさせることによって着脱ユニット31eをメインユニット31dに装着すれば、高周波コイル31と同様に機能する高周波コイルが構成される。このときにコンデンサC37,C47の容量は、コンデンサC34,C44の容量と同じに設定される。
【0096】
延長ロッドR3x,R4xが不要であるときには、着脱ユニット31eを装着せずに、メインユニット31dを単独で動作させる。このときにコンデンサC37,C47の容量は、ロッドR1,R2,R3,R4が、第1のイメージング領域での送受信のためにバランス良く機能するように定めれば良い。
【0097】
(その他の変形例)
ロッドR1,R2,R3,R4に挿入されたコンデンサの容量、あるいはロッドR1,R2,R3,R4に付加した追加ロッドに挿入されたコンデンサの容量により高周波磁場B1およびB2を調整してもよい。
【0098】
ロッドR1,R2,R3,R4に平行するロッドを増加させても良い。増加するロッドの数は、任意であって良い。
【0099】
エンドリングEf,Ebをそれぞれ2分割するとともに、それらをジョイント可能としても良い。すなわち、高周波コイル31を互いに着脱可能な2つのユニットに分割しても良い。このようにすれば、2つのユニットを分割することにより、高周波コイル31へのイメージング対象の挿入作業が容易となる。
【0100】
エンドリングEf,Ebに代えて、リング状ではないループ状の部材を用いても良い。
【0101】
エンドリングEbは、板状の部材に代えても良い。
【0102】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の実施形態におけるMRI装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】図1に示される高周波コイルの外観を示す斜視図。
【図3】図1に示される高周波コイルの概略構成を示す斜視図。
【図4】図3に示される高周波コイルの概略構成を図3中に示される矢印の方向から見た様子を示す図。
【図5】図1に示される高周波コイルの具体的な構成を示す図。
【図6】図5に示される高周波コイルの電気的等価回路図。
【図7】第1の給電チャネルからの給電により図5に示される高周波コイルに高周波電流が生じる様子を示す図。
【図8】図7に示される高周波電流によって高周波磁場が形成される様子を示す図。
【図9】第2の給電チャネルからの給電により図5に示される高周波コイルに高周波電流が生じる様子を示す図。
【図10】図9に示される高周波電流によって高周波磁場が形成される様子を示す図。
【図11】図5に示される延長ロッドにおける電磁気的な作用を説明するための図。
【図12】第1の変形例における高周波コイルの構成を示す図。
【図13】第2の変形例における高周波コイルの構成を示す図。
【図14】第3の変形例における高周波コイルの構成を示す図。
【図15】円筒形高周波コイルの従来の構成例を示す図。
【符号の説明】
【0104】
1…静磁場発生部、2…勾配磁場発生部、3…送受信部、4…演算・記憶部、5…寝台、6…入力部、7…表示部、8…制御部、31…高周波コイル、31a,31d…メインユニット、31b,31c,31e…着脱ユニット、100…MRI装置、150…被検体、311…ケース、311a…主部、311b…突部、C01,C02,C11〜C15,C21〜C25,C33〜C35,C43〜C45,C34x,C44x,C34’…コンデンサ、CR1,CR2…交叉部、Ef,Eb…エンドリング、J11〜J18,J21〜J24,J31〜J34,J41〜J44…ジョイント、P1〜P6…平面、R1〜R4,R3’…ロッド、R3x,R4x…延長ロッド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気共鳴イメージング装置用の高周波コイルにおいて、
導電材料より成り、互いに対向して配置された2つのエンド部材と、
導電材料をロッド状に形成して成り、両端部が前記2つのエンド部材にそれぞれ接続された複数のロッド部材と、
導電部材をロッド状に形成して成り、前記ロッド部材のうちの1本に両端が接続された付加部材とを具備し、
前記付加部材は、前記エンド部材および前記ロッド部材により形成される第1のイメージング領域の外側に第2のイメージング領域を形成するように配置されたことを特徴とする高周波コイル。
【請求項2】
前記付加部材は、それぞれ異なるロッド部材に接続されて複数が備えられ、
前記第2のイメージング領域は前記複数の付加部材により形成されることを特徴とする請求項1に記載の高周波コイル。
【請求項3】
前記複数の付加部材のうちの2つは、この2つの付加部材が前記第2のイメージング領域にそれぞれ形成する第1および第2の高周波磁場が互いにほぼ直交するように配置されることを特徴とする請求項2に記載の高周波コイル。
【請求項4】
前記複数のロッド部材は、前記第1のイメージング領域に互いにほぼ直交する第3および第4の高周波磁場を形成し、
前記2つの付加部材は、前記第1および第2の高周波磁場が、前記第3および第4の高周波磁場とそれぞれほぼ同一方向となるように配置されることを特徴とする請求項3に記載の高周波コイル。
【請求項5】
前記複数の付加部材のうちの2つは、内部に第1および第2の平面をそれぞれ仮想することが可能なループ部をそれぞれ備え、
かつ前記2つの付加部材は、第1および第2の平面が互いにほぼ直交するように配置されることを特徴とする請求項2に記載の高周波コイル。
【請求項6】
前記複数のロッド部材は、少なくとも4本のロッド部材を含み、これら4本のロッド部材は、そのうちの2本のロッド部材を2辺として仮想される第3の平面と残りの2本のロッド部材を2辺として仮想される第4の平面とがほぼ直交するように配置され、
前記2つの付加部材は、前記第1および第2の平面が、前記第3および第4の平面にそれぞれ平行するように配置されることを特徴とする請求項5に記載の高周波コイル。
【請求項7】
前記2つのエンド部材および前記複数のロッド部材は、前記第1のイメージング領域を円筒形状とするように形状および配置が定められていることを特徴とする請求項1に記載の高周波コイル。
【請求項8】
前記2つのエンド部材は、それぞれリング状をなし、
前記ロッド部材は、前記2つのエンド部材を両端として仮想される円筒形状の円柱面に沿って配置されることを特徴とする請求項1に記載の高周波コイル。
【請求項9】
導電部材をロッド状に形成して成り、前記付加部材が接続された前記ロッド部材に接続され、前記ロッド部材とともに前記第1のイメージング領域を形成する追加ロッド部材をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の高周波コイル。
【請求項10】
磁気共鳴イメージング装置用の高周波コイルにおいて、
導電材料より成り、互いに対向して配置された2つのエンド部材と、
導電材料をロッド状に形成して成り、両端部が前記2つのエンド部材にそれぞれ接続された少なくとも複数のロッド部材と、
導電部材をロッド状に形成して成り、前記ロッド部材のうちの1本に両端が接続された付加部材と、
前記前記複数のロッド部材および前記付加部材のそれぞれに挿入されたインピーダンス素子とを具備し、
前記付加部材は、前記エンド部材および前記ロッド部材により形成される第1のイメージング領域の外側に第2のイメージング領域を形成するように配置されたことを特徴とする高周波コイル。
【請求項11】
前記インピーダンス素子は、前記第1のイメージング領域における高周波磁場の分布と前記第2のイメージング領域における高周波磁場の分布とがほぼ均一になるように、特性および配置が決められていることを特徴とする請求項10に記載の高周波コイル。
【請求項12】
前記付加部材は、それぞれ異なるロッド部材に接続されて複数が備えられ、
前記インピーダンス素子は、前記複数の付加部材のそれぞれに挿入され、
前記第2のイメージング領域は前記複数の付加部材により形成されることを特徴とする請求項10に記載の高周波コイル。
【請求項13】
前記付加部材が接続されたロッド部材に挿入された前記インピーダンス素子は、前記付加部材の両端がそれぞれ接続された位置の間に配置されることを特徴とする請求項10に記載の高周波コイル。
【請求項14】
前記インピーダンス素子は、前記複数のロッド部材のそれぞれに複数づつが挿入されていることを特徴とする請求項10に記載の高周波コイル。
【請求項15】
前記インピーダンス素子の少なくとも一部は、インピーダンスを変化させることが可能な素子であることを特徴とする請求項10に記載の高周波コイル。
【請求項16】
前記インピーダンス素子は、コンデンサであることを特徴とする請求項10に記載の高周波コイル。
【請求項17】
磁気共鳴イメージング装置用の高周波コイルにおいて、
導電材料より成り、互いに対向して配置された2つのエンド部材と、
導電材料をロッド状に形成して成り、両端部が前記2つのエンド部材にそれぞれ接続された少なくとも4本のロッド部材と、
導電部材をロッド状に形成して成り、前記ロッド部材のうちの1本に両端が接続された第1の付加部材と、
導電部材をロッド状に形成して成り、前記ロッド部材のうちの前記第1の付加部材が接続されるのとは異なる1本に両端が接続された第2の付加部材とを具備し、
前記ロッド部材は互いにほぼ平行し、前記ロッド部材のうちの第1および第2のロッド部材を対向する2辺とするように仮想した第1の平面と前記ロッド部材のうちの第3および第4のロッド部材を対向する2辺とするように仮想した第2の平面とがほぼ直交し、
前記第1および第2の付加部材は前記第1および第3のロッド部材にそれぞれ接続され、
前記第1の付加部材は第1の交叉部を形成するように交叉し、前記第1の交叉部と前記第1のロッド部材との間に位置する前記第1の付加部材の一部と前記第1のロッド部材とを辺として仮想した第3の平面と、前記第1の付加部材の残りの一部を辺として仮想した第4の平面とが異なる方向を向き、かつ前記第4の平面は前記第1の平面にほぼ平行し、
前記第2の付加部材は第2の交叉部を形成するように交叉し、前記第2の交叉部と前記第3のロッド部材との間に位置する前記第2の付加部材の一部と前記第3のロッド部材とを辺として仮想した第5の平面と、前記第2の付加部材の残りの一部を辺として仮想した第6の平面とが異なる方向を向き、かつ前記第6の平面は前記第2の平面にほぼ平行することを特徴とする高周波コイル。
【請求項18】
静磁場、勾配磁場および高周波磁場が形成された領域に載置されたイメージング対象から放射されるMR信号に基づいて画像データを再構成する磁気共鳴イメージング装置において、
前記高周波磁場を形成するため、および前記MR信号を検出するための少なくとも一方に請求項1に記載した高周波コイルを用いることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項19】
静磁場、勾配磁場および高周波磁場が形成された領域に載置されたイメージング対象から放射されるMR信号に基づいて画像データを再構成する磁気共鳴イメージング装置において、
前記高周波磁場を形成するため、および前記MR信号を検出するための少なくとも一方に請求項10に記載した高周波コイルを用いることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項20】
静磁場、勾配磁場および高周波磁場が形成された領域に載置されたイメージング対象から放射されるMR信号に基づいて画像データを再構成する磁気共鳴イメージング装置において、
前記高周波磁場を形成するため、および前記MR信号を検出するための少なくとも一方に請求項17に記載した高周波コイルを用いることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−619(P2007−619A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−145750(P2006−145750)
【出願日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】