説明

MRI装置及び画像表示装置

【課題】 所望の撮影条件における複数撮影部位のシリーズ画像データを効率よく選択して表示する。
【解決手段】 MRI装置の撮影野に対し被検体をその体軸方向に移動させて複数の撮影部位におけるシリーズ画像データを生成し、このシリーズ画像データに撮影条件等の付帯情報を付加する。画像データ抽出部81は、所望の撮影条件が付加された複数撮影部位のシリーズ画像データを抽出し、サムネールデータ生成部82は、抽出されたシリーズ画像データの代表サムネールデータを撮影部位毎に生成する。そして、サムネール表示データ生成部851は、前記代表サムネールデータを当該被検体の人体モデルにおける撮影部位に対応させたサムネール表示データを生成し、シリーズ表示データ生成部852は、サムネール表示データにて選択された代表サムネールデータに対応するシリーズ画像データを一覧表示するためのシリーズ表示データを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はMRI装置及び画像表示装置に係り、特に、被検体を体軸方向に移動しながら収集したMR信号に基づいて広範囲な画像データの生成や表示を可能とするMRI装置及び画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージング法(MRI)は、静磁場中に置かれた被検体組織の原子核スピンを、そのラーモア周波数をもつ高周波信号(RFパルス)で励起し、この励起に伴って発生する磁気共鳴信号(MR信号)から画像データを再構成するイメージング法である。
【0003】
MRI装置は、生体内から検出されるMR信号に基づいて画像データを生成する画像診断装置であり、解剖学的診断情報のみならず生化学的情報や機能診断情報など多くの診断情報を得ることができるため、今日の画像診断の分野では不可欠なものとなっている。
【0004】
図12は、被検体150からのMR信号を検出するためのコイルユニットが収納されたMRI装置のガントリ(架台)120aを模式的に示したものであり、ガントリ120aの中心部に設けられた撮影野130aの周囲には、この撮影野130aに配置された被検体150に対し静磁場及び傾斜磁場を形成する主磁石11a及び傾斜磁場コイル21aと、被検体150に対してRFパルスを照射する送信コイル31aと、RFパルスの照射に伴って被検体150から生ずるMR信号を検出する受信コイル33aが設けられている。
【0005】
一方、図示しない寝台の上面には、被検体150を載置する天板4aがその長手方向(Z軸方向)にスライド可能に取り付けられ、被検体150を天板4aと共に撮影野130aに移動することにより、その撮影部位が受信コイル33aの近傍に設定される。この場合、被検体150の撮影領域は受信コイル33aのZ軸方向に対する長さDによって決定される。
【0006】
近年、MRI装置を用いた撮影方法として、装置が有する受信コイル33aの長さDによって決定される撮影領域より更に広い領域において連続した画像データ(広範囲画像データ)を生成するために、被検体150を載置した天板4aをその長手方向に連続的あるいはステップ状に移動しながらMR信号を収集し、このMR信号を再構成処理して広範囲画像データの収集(生成と表示)を行なう方法が提案されている。(例えば、特許文献1参照)。この方法によれば、50cmの撮影野(D=50cm)を有するMRI装置を用いて身長150cmの被検体に対して全身撮影を行なう場合、被検体150を、例えば、体軸方向に対してステップ状に50cmずつ移動させながら3つの撮影部位で3枚の画像データを生成し、これらの画像データを合成表示あるいは並列表示することによって広範囲画像データの観察を行なっている。
【特許文献1】特開2001−95777号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、通常のMR撮影では、1つの撮影部位においてコロナル断面(被検体の正面から見た縦断面)、サジタル断面(被検体の側面から見た縦断面)、アキシャル断面(被検体の体軸に垂直な横断面)等の複数の撮影断面を設定し、更に、これらの撮影断面の各々に対して、例えば、T1強調画像、T2強調画像、MRA(MRアンギオ)画像等の複数の画像種の画像データが所定スライス間隔で複数枚収集される。尚、以下では、上述の撮影断面や画像種を纏めて撮影条件と呼び、この撮影条件の各々において所定スライス間隔で時系列的に収集される複数枚の画像データをシリーズ画像データと呼ぶ。
【0008】
更に、上述の特許文献1に記載された方法によって当該被検体に対する広範囲撮影を行なう場合、体軸方向に設定された複数の撮影部位の各々において上述の各撮影条件に対するシリーズ画像データの収集が行なわれるため、当該被検体に対して収集される画像データの枚数は膨大となり、所望の画像データを短時間で選択表示することが極めて困難となる。
【0009】
特に、広範囲撮影を行なう場合、先ず、最初の撮影部位において複数の撮影断面及び画像種のシリーズ画像データを収集し、次いで、被検体を体軸方向に移動して設定された第2の撮影部位、第3の撮影部位・・・においても同様の手順を繰り返すことにより各撮影条件におけるシリーズ画像データの収集を行なう。従って、同一の撮影条件におけるシリーズ画像データの収集は撮影部位の変更に伴なって不連続となり、時系列的に収集された一連の画像データの中から所望の撮影条件にて収集されたシリーズ画像データを複数の撮影部位に対応させて表示する際の画像データ選択は極めて煩雑な作業となるため、診断効率が著しく低下するという問題点を有していた。
【0010】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、被検体を載置した天板を移動することにより前記被検体の体軸方向における複数の撮影部位にて収集された広範囲のシリーズ画像データを並べて表示する際、シリーズ画像データの各々に対し付帯情報として付加された撮影部位や撮影条件の情報に基づいて所望の撮影条件における複数撮影部位のシリーズ画像データを効率よく選択して表示することが可能なMRI装置及び画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1に係る本発明のMRI装置は、MR撮影に対する複数の撮影条件を設定する撮影条件設定手段と、撮影野に配置された被検体の撮影部位に対し前記撮影条件に基づいて静磁場及び傾斜磁場を印加する磁場発生手段と、前記被検体を載置する天板と、前記天板を移動し前記被検体の撮影部位を前記撮影野に設定する天板移動手段と、前記静磁場及び傾斜磁場が印加された前記撮影部位に対し前記撮影条件に基づいてRFパルスを照射すると共に前記撮影部位から発生したMR信号を受信する送受信手段と、前記MR信号に基づいて画像データを生成する画像データ生成手段と、前記撮影条件及び前記撮影部位の情報を前記画像データに付加して保存する画像データ記憶手段と、前記画像データの中から所望の撮影条件の情報が付加されている画像データを抽出して表示する表示手段を備えたことを特徴としている。
【0012】
一方、請求項9に係る本発明の画像表示装置は、被検体の1つあるいは複数の撮影部位において生成され、撮影条件の情報が付加された画像データを保管する画像データ保管手段と、所望の撮影条件を選択する撮影条件選択手段と、前記画像データの中から前記所望の撮影条件の情報が付加されている画像データを抽出して表示する表示手段を備えたことを特徴としている。
【0013】
又、請求項10に係る本発明の画像表示装置は、被検体の撮影部位における隣接した複数のスライス断面に対して生成され、撮影条件及び撮影部位の情報が付加されたシリーズ画像データを保管する画像データ保管手段と、所望の撮影条件を選択する撮影条件選択手段と、前記画像データ記憶手段が保管する前記シリーズ画像データの中から前記撮影条件選択手段が選択した撮影条件の情報が付加されている1つあるいは複数の撮影部位におけるシリーズ画像データを抽出する画像データ抽出手段と、前記撮影部位におけるシリーズ画像データに基づいて代表サムネールデータを撮影部位毎に生成するサムネールデータ生成手段と、前記被検体の人体モデルを生成する人体モデル生成手段と、前記人体モデルに示された撮影部位に前記代表サムネールデータを対応させてサムネール表示データを生成するサムネール表示データ生成手段と、前記サムネール表示データにおいて選択された代表サムネールデータに対応するシリーズ画像データを配列してシリーズ表示データを生成するシリーズ表示データ生成手段と、前記サムネール表示データあるいは前記シリーズ表示データを表示するモニタを備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、被検体を載置した天板を移動することにより前記被検体の体軸方向における複数の撮影部位にて収集された広範囲のシリーズ画像データを並べて表示する際、シリーズ画像データの各々に対して付帯情報として付加された撮影部位や撮影条件の情報に基づいて所望の撮影条件における複数撮影部位のシリーズ画像データを効率よく選択して表示することが可能となる。このため、診断効率が大幅に向上し操作者の負担を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0016】
以下に述べる本発明の第1の実施例におけるMRI装置は、静磁場、傾斜磁場及びRF磁場が形成されたガントリの撮影野に対し天板に載置された被検体をその体軸方向に所定間隔で移動させることによって設定される複数の撮影部位の各々において複数の撮影条件におけるシリーズ画像データを生成し、このシリーズ画像データに上述の撮影条件及び撮影部位の情報を付加して一旦保存する。
【0017】
次に、所望の撮影条件が付加されている複数撮影部位におけるシリーズ画像データの中から所望の撮影条件が付加されているシリーズ画像データを抽出し、抽出した複数撮影部位におけるシリーズ画像データに対する代表サムネールデータを撮影部位毎に生成する。そして、得られた複数の代表サムネールデータを当該被検体の人体モデルに示された撮影部位に対応させて表示し、更に、表示された複数の代表サムネールデータの中から選択した代表サムネールデータに対応するシリーズ画像データを一覧表示する。
【0018】
尚、以下では、撮影断面としてコロナル断面、サジタル断面及びアキシャル断面を、又、画像種としてT1強調画像、T2強調画像及びMRA画像を例として説明するが、これらに限定されるものではない。例えば、上述のT1強調画像やT2強調画像の代わりに、又は、加えてプロトン密度像であってもよい。
【0019】
(装置の構成)
本発明の実施例におけるMRI装置の構成につき図1乃至図7を用いて説明する。尚、図1は、本実施例におけるMRI装置の全体構成を示すブロック図であり、図4は、このMRI装置が備える表示部の機能ブロック図である。
【0020】
図1に示したMRI装置500は、被検体150に対して磁場を発生する静磁場発生部1及び傾斜磁場発生部2と、被検体150に対しRFパルスの照射とMR信号の受信を行なう送受信部3と、被検体150を載置する天板4と、この天板4を被検体150の体軸方向に移動する天板移動機構部5を備えている。
【0021】
更に、MRI装置500は、後述する入力部9から入力された撮影条件や被検体の体軸方向における撮影部位の情報を取得する付帯情報取得部6と、送受信部3において受信されたMR信号を再構成処理して画像データを生成する画像データ生成部7と、生成した画像データを表示する表示部8と、被検体情報の入力、画像データの撮影条件や撮影部位の設定及び選択、各種コマンド信号の入力等を行なう入力部9と、MRI装置500における上述の各ユニットを制御する制御部10を備えている。
【0022】
静磁場発生部1は、例えば、常伝導磁石あるいは超電導磁石等によって構成される主磁石11と、この主磁石11に電流を供給する静磁場電源12を備え、図示しないガントリ(図12参照)の撮影野に配置された被検体150に対して強力な静磁場を形成する。尚、上述の主磁石11は、永久磁石によって構成されていてもよい。
【0023】
一方、傾斜磁場発生部2は、互いに直交するX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に対して傾斜磁場を形成する傾斜磁場コイル21と、傾斜磁場コイル21の各々に対してパルス電流を供給する傾斜磁場電源22を備えている。
【0024】
傾斜磁場電源22は、制御部10から供給されたシーケンス制御信号に基づいて被検体150が置かれた撮影野に対して符号化を行なう。即ち、傾斜磁場電源22は、シーケンス制御信号に基づいてX軸方向,Y軸方向及びZ軸方向の傾斜磁場コイル21に供給するパルス電流を制御することにより各々の方向に対して傾斜磁場を形成する。このとき、X軸方向,Y軸方向及びZ軸方向の傾斜磁場は合成されて互いに直交するスライス選択傾斜磁場Gs、位相エンコード傾斜磁場Ge及び読み出し(周波数エンコード)傾斜磁場Grが所望の方向に形成され、これらの傾斜磁場は、主磁石11によって形成された静磁場に重畳されて被検体150に印加される。
【0025】
次に、送受信部3は、被検体150に対してRFパルスを照射する送信コイル31及び送信部32と、被検体150にて発生したMR信号を受信する受信コイル33及び受信部34を有している。但し、送信コイル31の機能と受信コイル33の機能を1つのコイルで兼ね備えた送受信コイルを用いてもよい。
【0026】
送信部32は、制御部10の後述するシーケンス制御部102から供給されたシーケンス制御信号に基づき、主磁石11の静磁場強度によって決定される磁気共鳴周波数(ラーモア周波数)と同じ周波数の搬送波を有し所定の選択励起波形で変調されたRFパルス電流を生成する。又、送信コイル31は、送信部32から供給されたRFパルス電流によって駆動され被検体150の撮影部位に対してRFパルスを照射する。
【0027】
一方、受信コイル33は、被検体150が発生したMR信号を高感度で検出するために、例えば、小口径のコイルが複数個(Nc個)配列された所謂アレイコイルによって構成されている。又、受信部34は、図示しないNcチャンネルの増幅回路、中間周波変換回路、検波回路、A/D変換器及びフィルタリング回路を備え、受信コイル33が検出した微小なMR信号を増幅し、更に、中間周波変換、位相検波、フィルタリング等の信号処理を行った後A/D変換を行なう。但し、前記増幅回路は、受信コイル33が検出したMR信号を高S/Nで増幅するために、通常、受信コイル33の近傍に設けられている。
【0028】
そして、主磁石11、傾斜磁場コイル21、送信コイル31及び受信コイル33は、既に図12において示したようにMRI装置500のガントリに設けられ、このガントリの中央部には撮影野が形成される。即ち、ガントリの中心には天板4と共に被検体150が挿入される撮影野が設けられ、この撮影野の周囲には受信コイル33、送信コイル31、傾斜磁場コイル21及び主磁石11がZ軸を共軸として同心円状に配置されている。
【0029】
次に、天板4は、ガントリの近傍に設置された図示しない寝台の上面においてZ軸方向にスライド自在に取り付けられ、天板4に載置された被検体150を体軸方向(Z軸方向)に移動することにより被検体150の撮影部位を撮影野に設定する。この場合、前記撮影部位が撮影野の近傍に設けられた受信コイル33に対向するように天板4の移動が制御される。
【0030】
一方、天板移動機構部5は、例えば、上述の寝台に取り付けられ、制御部10の後述する天板移動制御部103から供給される天板移動トリガ信号に基づいて天板移動用駆動信号を生成し、この天板移動用駆動信号によって天板4をZ軸方向に所定間隔で移動する。
【0031】
次に、付帯情報取得部6は、入力部9から入力され後述する制御部10の主制御部101における記憶回路に保存されている当該被検体のMR撮影における撮影条件や撮影部位の情報を取得する。図2は、シリーズ画像データの付帯情報として付帯情報取得部6が取得した撮影部位及び撮影条件の種類を示したものであり、撮影部位として頭部(L=1)、胸部(L=2)、腹部(L=3)及び脚部(L=4)がある。
【0032】
一方、撮影条件には既に述べたように撮影断面と画像種があり、撮影断面としてコロナル断面(M=1)、サジタル断面(M=2)及びアキシャル断面(M=3)が、又、画像種としてT1強調画像(N=1)、T2強調画像(N=2)及びMRA画像(N=3)がある。
【0033】
図3は、被検体150に対するコロナル断面とサジタル断面を示したものであり、図3(a)は、天板4の上面に対して平行に設定されたMc個のコロナル断面Cr−1乃至Cr−Mcを、又、図3(b)は、天板4の上面に対して垂直に設定されたMs個のサジタル断面Sg−1乃至Sg−Msを示している。
【0034】
図1に戻って、画像データ生成部7は、MR信号記憶部71と、高速演算部72と、画像データ記憶部73を備え、MR信号記憶部71には、送受信部3の受信部34において中間周波変換、位相検波、更にはA/D変換された各撮影条件及び各撮影部位におけるNcチャンネルのMR信号が順次記憶される。
【0035】
一方、高速演算部72は、MR信号記憶部71から読み出したMR信号に対し2次元フーリエ変換による画像再構成処理を行なって画像データを生成し、更に、この画像データに付帯情報取得部6から供給された前記画像データの撮影条件や撮影部位等の付帯情報を付加して画像データ記憶部73に保存する。このとき、同一の撮影条件及び撮影部位において時系列的に生成された複数枚の画像データ(即ち、シリーズ画像データ)の各々には同一の付帯情報が付加されて保存される。
【0036】
次に、表示部8の詳細につき図4の機能ブロック図を用いて説明する。図4に示した表示部8は、上述の画像データ記憶部73に保存された各種の撮影条件及び撮影部位におけるシリーズ画像データの中から所望の撮影条件及び撮影部位におけるシリーズ画像データあるいは画像データを選択して表示する機能を有し、画像データ抽出部81と、サムネールデータ生成部82と、標準人体モデルデータ記憶部83と、人体モデル生成部84と、表示データ生成部85と、変換回路86及びモニタ87を備えている。
【0037】
画像データ抽出部81は、入力部9から制御部10を介して供給された被検体情報、撮影条件、撮影部位等の選択情報に基づき、この選択情報に対応する付帯情報を有した画像データあるいはシリーズ画像データを画像データ生成部7の画像データ記憶部73から選択(抽出)する。
【0038】
一方、サムネールデータ生成部82は、画像データ抽出部81が抽出した各撮影部位のシリーズ画像データを用いて代表サムネールデータを撮影部位毎に生成する。この場合、所定の撮影部位におけるシリーズ画像データの全てに対してサムネールデータを生成し、これらのサムネールデータの中から例えば中央部のサムネールデータを代表サムネールデータとして選択してもよく、又、所定の撮影部位におけるシリーズ画像データの中から中央部の画像データを代表画像データとして選択し、この代表画像データを用いて代表サムネールデータを生成してもよい。
【0039】
次に、標準人体モデルデータ記憶部83は、標準的な人体モデルの情報が予め保管されている記憶回路を有している。この人体モデルは、人体の写真や絵図であってもよく、又、MRI装置やX線CT装置のような画像診断装置によって得られた標準的な画像データであってもよい。一方、人体モデル生成部84は、入力部9から入力された被検体情報に基づいて上述の標準人体モデルのデータを補正し当該被検体に適合した人体モデルを生成する。例えば、被検体の身長に基づいて標準人体モデルの長さを伸縮して好適な人体モデルを生成する。
【0040】
次に、表示データ生成部85は、サムネール表示データ生成部851と、シリーズ表示データ生成部852と、診断用表示データ生成部853を備えている。
【0041】
サムネール表示データ生成部851は、サムネールデータ生成部82から供給された各撮影部位における代表サムネールデータと人体モデル生成部84から供給された当該被検体の人体モデルを用いてサムネール表示データを生成する。
【0042】
図5は、コロナル断面(CR)に対するサムネール表示データの具体例を示したものであり、このサムネール表示データは、例えば、撮影条件である画像種や撮影断面が示される撮影条件表示領域Rc−1と、人体モデルS1が表示される人体モデル表示領域Rc−3と、前記人体モデルS1に設定された撮影部位S2−1乃至S2−4におけるコロナル断面の代表サムネールデータPc−1乃至Pc−4が表示される代表サムネール表示領域Rc−2によって構成されている。
【0043】
又、図6に示したサジタル断面(SG)に対するサムネール表示データは、例えば、画像種や撮影断面が示される撮影条件表示領域Rs−1と、人体モデルS1が表示される人体モデル表示領域Rs−3と、前記人体モデルS1に設定された撮影部位S2−1乃至S2−4におけるサジタル断面の代表サムネールデータPs−1乃至Ps−4が表示される代表サムネール表示領域Rs−2によって構成されている。
【0044】
次に、図4のシリーズ表示データ生成部852は、上述のサムネール表示データにおいて選択された1つあるいは複数の代表サムネールデータに対応したシリーズ画像データを一覧表示するためのシリーズ表示データを生成する。
【0045】
このシリーズ表示データ生成部852が生成するシリーズ表示データの具体例を図7に示す。例えば、撮影条件としてコロナル断面(CR)とT1強調画像が選択され、このとき生成されたサムネール表示データ(図5参照)において、頭部の代表サムネールデータPc−1、胸部の代表サムネールデータPc−2及び腹部の代表サムネールデータPc−3が選択された場合、上述の画像データ抽出部81は、選択された代表サムネールデータの各々に対応したシリーズ画像データを図1に示した画像データ生成部7の画像データ記憶部73から抽出してシリーズ表示データ生成部852に供給する。そして、このシリーズ画像データの供給を受けたシリーズ表示データ生成部852は、図7に示すような頭部のコロナル断面におけるシリーズ画像データC1−1乃至C1−Mcと、胸部のコロナル断面におけるシリーズ画像データC2−1乃至C2−Mcと、腹部のコロナル断面におけるシリーズ画像データC3−1乃至C3−Mcが配列されたシリーズ表示データを生成する。
【0046】
この場合、水平方向に配置された各撮影部位におけるシリーズ画像データを垂直方向に繋げることにより所望の撮影条件における広範囲のシリーズ画像データを生成することができる。但し、図7では、説明を簡単にするためにMc=9の場合について示しているがこれに限定されない。
【0047】
一方、診断用表示データ生成部853は、必要に応じて上述のシリーズ表示データを構成する1枚あるいは複数枚の画像データを拡大表示して観察する際、入力部9からの選択情報に基づいて画像データ抽出部81が画像データ記憶部73から抽出した該画像データに被検体情報等を付加して診断用表示データを生成する。
【0048】
次に、変換回路86は、上述のサムネール表示データ、シリーズ表示データ及び診断用表示データを所定の表示フォーマットに変換し、更に、D/A変換とテレビフォーマット変換を行なって生成した映像信号をCRTあるいは液晶パネルからなるモニタ87に表示する。尚、上述の表示データ生成部85が生成したサムネール表示データ、シリーズ表示データ及び診断用表示データをモニタ87において夫々独立に表示してもよいが、2つあるいは3つの表示データを合成表示あるいは並列表示してもよい。
【0049】
次に、入力部9は、操作卓上にスイッチ、キーボード、マウス等の各種入力デバイスや表示パネルを備えたインタラクティブなインターフェースであり、被検体情報の入力、撮影条件の設定及び選択、撮影部位の設定及び選択、天板4の移動間隔の設定、各撮影断面のスライス間隔の設定、シリーズ画像データ枚数の設定、表示データの選択、各種コマンド信号の入力等を行なう。
【0050】
制御部10は、主制御部101、シーケンス制御部102及び天板移動制御部103を備えている。主制御部101は、図示しないCPUと記憶回路を備え、MRI装置500を統括して制御する機能を有している。そして、主制御部101の記憶回路には、入力部9にて入力された入力情報、設定情報及び選択情報等が保存される。一方、主制御部101のCPUは、入力部9から入力された上述の情報に基づくパルスシーケンス情報(例えば傾斜磁場コイル21や送信コイル31に供給するパルス電流の大きさ、供給時間、供給タイミングなどに関する情報)を生成しシーケンス制御部102に供給する。
【0051】
シーケンス制御部102は、主制御部101から供給されたパルスシーケンス情報に基づいてシーケンス制御信号を生成し、傾斜磁場発生部2の傾斜磁場電源22や送受信部3の送信部32を制御する。
【0052】
又、天板移動制御部103は、主制御部101から供給されたパルスシーケンス情報あるいはシーケンス制御部102から供給されたシーケンス制御信号に基づき、天板4の移動に対する駆動信号を生成し天板移動機構部5に供給する。
【0053】
(広範囲画像データの収集手順)
次に、当該被検体の体軸方向に広範囲な画像データの生成手順につき図8のフローチャートを用いて説明する。
【0054】
MRI装置500の操作者は、入力部9において被検体氏名、被検体ID,性別、身長、体重等の被検体情報を入力し(図8のステップS1)、更に、撮影条件としての撮影断面及び画像種と撮影部位の設定を行なう。具体的には、撮影断面としてコロナル断面(CR)、サジタル断面(SG)及びアキシャル断面(AX)とその順序を設定し、画像種としてT1強調画像、T2強調画像及びMRA画像とその順序を設定する。更に、撮影部位として頭部、胸部、腹部及び脚部とその順序を設定する(図8のステップS2)。
【0055】
次いで、操作者は、入力部9にて天板移動の指示信号を入力する。制御部10の主制御部101を介して前記指示信号を受信した天板移動制御部103は、天板移動機構部5に対して駆動信号を供給し、天板4に載置した被検体150の最初の撮影部位(例えば、頭部)がMRI装置500のガントリに設けられた撮影野の略中央部に位置するように天板4を移動する(図8のステップS3)。
【0056】
上述の設定が終了したならば、操作者は、入力部9にて広範囲撮影モードを選択し、更に、撮影開始コマンド信号を入力することにより広範囲撮影が開始される(図8のステップS4)。即ち、上述のステップS2における設定情報に基づき、先ず、頭部(L=1)のコロナル断面(M=1)におけるT1強調画像(N=1)の撮影が開始される。
【0057】
例えば、SE(spin echo)法によりT1強調画像データを収集する場合、図1に示した傾斜磁場発生部2の傾斜磁場電源22は、制御部10のシーケンス制御部102から供給されたシーケンス制御信号に基づいてX軸方向,Y軸方向及びZ軸方向の傾斜磁場コイル21に対するパルス電流を制御し、被検体150の撮影部位におけるコロナル断面Cr−1を設定するためのスライス選択傾斜磁場Gsとこの撮影スライス面から得られたMR信号に対しその発生位置を符号化するための位相エンコード傾斜磁場Ge及び読み出し(周波数エンコード)傾斜磁場Grを印加する。
【0058】
そして、例えば、Na×Naの画像データを生成する場合、Na種類の磁場強度を有する位相エンコード傾斜磁場Geの印加を繰り返し期間TRでNa回繰り返すと共に、所定の磁場強度を有した読み出し(周波数エンコード)傾斜磁場Geの印加を繰り返し期間TRで繰り返す。
【0059】
一方、送信部32は、最初のスライス選択傾斜磁場Gsの印加中に送信コイル31に対してRFパルス電流を供給して90度RFパルスを被検体150の撮影部位に照射し、更に、この照射から時間TE/2後における第2のスライス選択傾斜磁場Gsの印加中に180度RFパルスを同一部位に照射する。次いで、送受信部3の受信コイル33及び受信部34は、180度RFパルスの照射から時間TE/2後に被検体150から生ずるMR信号を受信して画像データ生成部7のMR信号記憶部71に一旦保存する(図8のステップS5)。
【0060】
尚、上述の90度RFパルス及び180度RFパルスは、被検体組織の原子核スピンを90度及び180度回転するために必要なエネルギーを前記原子核スピンに供給するためのRF波であり、時間TEは、90度RFパルスの照射からMR信号が検出されるまでの時間を、又、TRは、MR信号の検出周期を示している。
【0061】
一方、T1及びT2は生体組織が有する原子核スピンの縦緩和時間及び横緩和時間であり、T1強調画像を収集する場合はTR=T1、TE≪T2に設定され、T2強調画像を収集する場合はTR≫T1、TE=T2に設定される。
【0062】
そして、位相エンコード傾斜磁場Geの磁場強度をNa回更新することによりNa個のMR信号が収集されたならば、画像データ生成部7の高速演算部72は、夫々がNa個のデータ点を有するNa個のMR信号を2次元フーリエ変換してコロナル断面Cr−1におけるNa×Na画素の画像データC1−1を生成し(図8のステップS6)、得られた画像データに被検体情報、撮影条件、撮影部位等の付帯情報を付加して画像データ記憶部73に保存する(図8のステップS7)。
【0063】
次いで、上述のコロナル断面Cr−1に対し所定間隔で隣接したコロナル断面Cr−2乃至Cr−Mcに対しても同様の手順によって画像データC1−2乃至C1−Mcの生成と保存が行なわれる。
【0064】
頭部のコロナル断面(M=1)におけるT1強調画像の収集が終了したならば、制御部10の主制御部101は、撮影断面をサジタル断面(M=2)に更新してT1強調画像を収集し、更に、アキシャル断面(M=3)におけるT1強調画像の収集を行なう(図8のステップS8)。
【0065】
そして、頭部(L=1)の各撮影断面におけるT1強調画像(N=1)の収集が終了したならば、同様の手順によって頭部の各撮影断面における画像種を更新してT2強調画像(N=2)及びMRA画像(N=3)の収集を行ない(図8のステップS9)、更に、撮影部位を更新して胸部(L=2)、腹部(L=3)及び脚部(L=4)の各撮影断面におけるT1強調画像、T2強調画像及びMRA画像の収集を行なう(図8のステップS10)。
【0066】
図9は、上述の手順によって時系列的に収集されたシリーズ画像データを模式的示にしたものであり、説明を簡単にするために各撮影部位のコロナル断面(CR)及びサジタル断面(SG)におけるT1強調画像及びT2強調画像のみを示している。即ち、頭部におけるT1/CR、T1/SG、T2/CR、T2/SGの各シリーズ画像データが順次収集され、同様にして、胸部、腹部、脚部の各撮影部位に対してもT1/CR、T1/SG、T2/CR、T2/SGの各シリーズ画像データが収集される。
【0067】
(広範囲画像データの表示手順)
次に、上述の方法によって収集された体軸方向に広範囲な画像データの表示手順につき図10のフローチャートを用いて説明する。
【0068】
広範囲画像データの表示に先立ち、操作者は入力部9において表示の対象となる画像データの撮影断面(例えば、コロナル断面(CR))と画像種(例えば、T1強調画像)を選択する(図10のステップS21)。但し、この場合、全ての撮影断面や画像種を選択しても構わない。
【0069】
入力部9から制御部10の主制御部101を介して上述の選択情報を受信した表示部8の画像データ抽出部81は、選択された撮影断面及び画像種に対応する付帯情報を有した複数撮影部位のシリーズ画像データを画像データ生成部7の画像データ記憶部73から抽出し、サムネールデータ生成部82に供給する(図10のステップS22)。
【0070】
次いで、サムネールデータ生成部82は、画像データ抽出部81から供給されたシリーズ画像データを用いて各撮影部位における代表サムネールデータを生成して表示データ生成部85のサムネール表示データ生成部851に供給する(図10のステップS23)。
【0071】
一方、人体モデル生成部84は、標準人体モデルデータ記憶部83に予め保管されている標準人体モデルの情報を読み出し、更に、入力部9から入力された被検体情報あるいは上述のシリーズ画像データに付加された被検体情報に基づき上述の標準人体モデルのデータを補正して当該被検体に適合した人体モデルを生成する。そして、得られた人体モデルをサムネール表示データ生成部851に供給する(図10のステップS24)。
【0072】
そして、サムネール表示データ生成部851は、サムネールデータ生成部82から供給された各撮影部位のコロナル断面におけるT1強調画像の代表サムネールデータPc−1乃至PC−4と人体モデル生成部84から供給された当該被検体の人体モデルを用い、図5に示すサムネール表示データを生成する。そして、変換回路86は、上述のサムネール表示データを所定の表示フォーマットに変換し、更に、D/A変換とテレビフォーマット変換を行なって生成した映像信号をモニタ87に表示する(図10のステップS25)。
【0073】
次いで、操作者は、モニタ87に表示された代表サムネールデータPc−1乃至Pc−4の中から所望の代表サムネールデータ(例えば、頭部の代表サムネールデータPc−1、胸部の代表サムネールデータPc−2及び腹部の代表サムネールデータPc−3)を入力部9の入力デバイスを用いて選択することによりシリーズ画像データの撮影部位を選択する(図10のステップS26)。
【0074】
そして、この選択情報を制御部10の主制御部101を介して受信した表示部8の画像データ抽出部81は、頭部、胸部及び腹部のコロナル断面におけるT1強調画像のシリーズ画像データを画像データ記憶部73から読み出してシリーズ表示データ生成部852に供給する。
【0075】
一方、シリーズ表示データ生成部852は、画像データ抽出部81から供給された上述のシリーズ画像データを用いて図7に示すシリーズ表示データを生成し、変換回路86を介してモニタ87に表示する(図10のステップS27)。
【0076】
更に、モニタ87に表示された各撮影部位のシリーズ画像データに含まれる所望の画像データを拡大表示する場合、操作者は、モニタ上のシリーズ画像データの中から所望の画像データを入力部9の入力デバイスを用いて選択し(図10のステップS28)、この選択情報を受信した画像データ抽出部81は、当該画像データを画像データ記憶部73から読み出して診断用表示データ生成部853に供給する。そして、診断用表示データ生成部853は、前記画像データに被検体情報等の付帯情報を付加して診断用表示データを生成し、変換回路86を介してモニタ87に表示する(図10のステップS29)。
【0077】
以上述べた本発明の第1の実施例によれば、画像データの各々に対して付帯情報として付加された撮影部位や撮影条件の情報に基づいて所望の撮影条件あるいは撮影部位における画像データを容易に選択することができる。
【0078】
特に、被検体を載置した天板を移動することにより前記被検体の体軸方向における複数の撮影部位にて収集した広範囲のシリーズ画像データを連続して表示する際、シリーズ画像データの各々に付帯情報として付加された撮影部位や撮影条件の情報に基づいて所望の撮影条件における複数撮影部位のシリーズ画像データを効率よく選択して表示することが可能となる。
【0079】
又、所望の撮影部位におけるシリーズ画像データを選択する際、撮影部位毎に生成されたシリーズ画像データの代表サムネールデータを用いてシリーズ画像データの選択が行なわれるため選択作業は更に容易となる。
【0080】
更に、上述の代表サムネールデータは、当該被検体の人体モデルに示された撮影部位に対応させて表示されるため、代表サムネールデータから撮影部位を判定することが困難な場合であっても所望の撮影部位に対する代表サムネールデータを正確に選択することが可能となる。
【0081】
以上の理由により、診断精度と診断効率が大幅に向上し操作者の負担を軽減することができる。
【0082】
尚、上述の第1の実施例では、画像データ生成部7が生成したシリーズ画像データの全てに付帯情報を付加する場合について述べたが、これに限定されるものではなく、例えば、最初のスライス断面において得られた画像データのみに付帯情報を付加してもよい。
【0083】
又、画像データに付帯情報を付加して保存する場合について述べたが、付帯情報は前記画像データの各々に対応した記憶回路に保存する場合も含む。
【0084】
一方、上述の実施例では、受信コイル33を送信コイル31と共にガントリ内に固定して配置する場合について述べたが、天板4に載置された被検体150の撮影部位に対向させて配置してもよい。
【実施例2】
【0085】
以下に述べる本発明の第2の実施例における画像表示装置は、被検体情報や撮影条件等の付帯情報と共に保管されている複数撮影部位におけるシリーズ画像データの中から所望の撮影条件が付加されているシリーズ画像データを抽出する。次いで、抽出した複数撮影部位におけるシリーズ画像データに対する代表サムネールデータを撮影部位毎に生成し、これらの代表サムネールデータを当該被検体の人体モデルに示された撮影部位に対応させて表示する。そして、表示された複数の代表サムネールデータの中から選択した代表サムネールデータに対応するシリーズ画像データを一覧表示する。
【0086】
(装置の構成)
本発明の実施例における画像表示装置の全体構成につき図11のブロック図を用いて説明する。但し、図11において、図1及び図3に示したMRI装置500のユニットと同様の機能を有するユニットには同一の符号を付加する。
【0087】
即ち、図11に示した画像表示装置600は、別途設置されたMRI装置において収集された当該被検体の各種シリーズ画像データが記憶媒体あるいはネットワークを介して保管されている画像データ記憶部7xと、上述の各種シリーズ画像データの中から選択されたシリーズ画像データに基づいて生成した表示データを表示する表示部8xと、被検体情報の入力、画像データの撮影条件や撮影部位の設定及び選択、各種コマンド信号の入力等を行なう入力部9xと、画像表示装置600における上述の各ユニットを制御するシステム制御部10xを備えている。
【0088】
そして、画像データ記憶部7xに保管されている上述のシリーズ画像データの各々には、このシリーズ画像データの収集時における撮影条件(例えば、撮影断面と画像種)、撮影部位、被検体情報等が付帯情報として付加されている。
【0089】
一方、表示部8xは、上述の画像データ記憶部7xに保存された各種の撮影条件及び撮影部位におけるシリーズ画像データの中から所望の撮影条件及び撮影部位におけるシリーズ画像データを選択して表示する機能を有し、入力部9xからシステム制御部10xを介して供給される被検体情報、撮影条件、撮影部位等の選択情報に基づき、この選択情報を付帯情報とする画像データあるいはシリーズ画像データを画像データ記憶部7xから抽出する画像データ抽出部81と、画像データ抽出部81が抽出した各撮影部位のシリーズ画像データを用いて代表サムネールデータを撮影部位毎に生成するサムネールデータ生成部82と、標準的な人体モデルの情報が予め保管されている標準人体モデルデータ記憶部83と、入力部9xから入力された被検体情報に基づいて上述の標準人体モデルのデータを補正し当該被検体に適合した人体モデルを生成する人体モデル生成部84を備えている。
【0090】
更に、表示部8xは、画像データ抽出部81が抽出したシリーズ画像データやサムネールデータ生成部82が生成したサムネールデータに基づいて各種の表示データを生成する表示データ生成部85と、この表示データを所定の表示フォーマットに変換し、更に、D/A変換とテレビフォーマット変換を行なって映像信号を生成する変換回路86と、得られた映像信号を表示するモニタ87を備えている。
【0091】
そして、上述の表示データ生成部85は、サムネールデータ生成部82から供給された各撮影部位における代表サムネールデータと人体モデル生成部84から供給された当該被検体の人体モデルを用いてサムネール表示データを生成するサムネール表示データ生成部851と、このサムネール表示データにおいて選択された1つあるいは複数の代表サムネールデータに対応したシリーズ画像データを一覧表示するためのシリーズ表示データを生成するシリーズ表示データ生成部852と、必要に応じて上述のシリーズ表示データを構成する1枚あるいは複数枚の画像データを選択して拡大表示するための診断用表示データを生成する診断用表示データ生成部853を有している。
【0092】
尚、上述の画像表示装置600による広範囲画像データの表示手順は、図10に示したMRI装置500による広範囲画像データの表示手順と略同様であるため説明を省略する。
【0093】
以上述べた本発明の第2の実施例によれば、第1の実施例と同様にして、被検体を載置した天板を移動することにより前記被検体の体軸方向における複数の撮影部位にて収集した広範囲のシリーズ画像データを連続して表示する際、シリーズ画像データの各々に付帯情報として付加された撮影部位や撮影条件の情報に基づいて所望の撮影条件における複数撮影部位のシリーズ画像データを効率よく選択して表示することが可能となる。
【0094】
又、所望の撮影部位におけるシリーズ画像データを選択する際、撮影部位毎に生成された代表サムネールデータを用いてシリーズ画像データの選択が行なわれるため選択作業は更に容易となり、更に、上述の代表サムネールデータは、当該被検体の人体モデルに示された撮影部位に対応させて表示されるため、代表サムネールデータから撮影部位を判定することが困難な場合であっても所望の撮影部位に対する代表サムネールデータを正確に選択することが可能となる。このため、診断精度と診断効率が大幅に向上し操作者の負担を軽減することができる。
【0095】
更に、本実施例における画像表示装置600は、MRI装置に対して独立に構成されているため、複数のMRI装置が収集した画像データあるいは過去に収集した画像データの何れに対しても好適な広範囲画像データとして表示することが可能となる。
【0096】
以上、本発明の実施例について述べてきたが、本発明は、上述の実施例に限定されるものではなく変形して実施してもよい。例えば、表示データ生成部85のシリーズ表示データ生成部852は、シリーズ画像データの代わりにサムネールデータ生成部82が生成した前記シリーズ画像データのサムネールデータを用いてシリーズ表示データを生成してもよい。
【0097】
更に、上述のシリーズ画像データの代わりに、複数撮影部位の所定スライス断面において収集された画像データを並べてシリーズ表示データを生成しても構わない。
【0098】
一方、サムネール表示データ生成部851は、代表サムネールデータの代わりに、この代表サムネールデータに対応した画像データを用いてサムネール表示データを生成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の第1の実施例におけるMRI装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】同実施例における撮影部位及び撮影条件を示す図。
【図3】同実施例の被検体に対するコロナル断面とサジタル断面を示す図。
【図4】同実施例のMRI装置が備える表示部の機能ブロック図。
【図5】同実施例のコロナル断面に対するサムネール表示データの具体例を示す図。
【図6】同実施例のサジタル断面に対するサムネール表示データの具体例を示す図。
【図7】同実施例におけるシリーズ表示データの具体例を示す図。
【図8】同実施例における広範囲画像データの生成手順を示すフローチャート。
【図9】同実施例において時系列的に収集されたシリーズ画像データを模式的示す図。
【図10】同実施例における広範囲画像データの表示手順を示すフローチャート。
【図11】本発明の第2の実施例における画像表示装置の機能ブロック図。
【図12】MRI装置の撮影野と被検体の撮影領域との関係を示す図。
【符号の説明】
【0100】
1…静磁場発生部
11…主磁石
12…静磁場電源
2…傾斜磁場発生部
21…傾斜磁場コイル
22…傾斜磁場電源
3…送受信部
31…送信コイル
32…送信部
33…受信コイル
34…受信部
4…天板
5…天板移動機構部
6…付帯情報取得部
7…画像データ生成部
71…MR信号記憶部
72…高速演算部
73、7x…画像データ記憶部
8、8x…表示部
81…画像データ抽出部
82…サムネールデータ生成部
83…標準人体モデルデータ記憶部
84…人体モデル生成部
85…表示データ生成部
851…サムネール表示データ生成部
852…シリーズ表示データ生成部
853…診断用表示データ生成部
86…変換回路
87…モニタ
9、9x…入力部
10…制御部
10x…システム制御部
101…主制御部
102…シーケンス制御部
103…天板移動制御部
500…MRI装置
600…画像表示装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
MR撮影に対する複数の撮影条件を設定する撮影条件設定手段と、
撮影野に配置された被検体の撮影部位に対し前記撮影条件に基づいて静磁場及び傾斜磁場を印加する磁場発生手段と、
前記被検体を載置する天板と、
前記天板を移動し前記被検体の撮影部位を前記撮影野に設定する天板移動手段と、
前記静磁場及び傾斜磁場が印加された前記撮影部位に対し前記撮影条件に基づいてRFパルスを照射すると共に前記撮影部位から発生したMR信号を受信する送受信手段と、
前記MR信号に基づいて画像データを生成する画像データ生成手段と、
前記撮影条件及び前記撮影部位の情報を前記画像データに付加して保存する画像データ記憶手段と、
前記画像データの中から所望の撮影条件の情報が付加されている画像データを抽出して表示する表示手段を
備えたことを特徴とするMRI装置。
【請求項2】
前記撮影条件設定手段は、MR撮影における撮影断面あるいは画像種の少なくとも何れかを設定することを特徴とする請求項1記載のMRI装置。
【請求項3】
撮影部位設定手段を備え、前記撮影部位設定手段は、前記被検体の体軸方向に対し複数の撮影部位を設定することを特徴とする請求項1記載のMRI装置。
【請求項4】
撮影条件選択手段を備え、前記表示手段は、前記画像データ記憶手段において保存されている前記画像データの中から前記撮影条件選択手段が選択した撮影条件の情報が付加されている1つあるいは複数の撮影部位における画像データを抽出して表示することを特徴とする請求項1記載のMRI装置。
【請求項5】
前記画像データ生成手段は、前記撮影部位の隣接した複数のスライス断面における画像データをシリーズ画像データとして生成することを特徴とする請求項1記載のMRI装置。
【請求項6】
前記表示手段は、前記画像データ記憶手段が保存する前記シリーズ画像データの中から前記撮影条件選択手段が選択した撮影条件の情報が付加されている1つあるいは複数の撮影部位におけるシリーズ画像データを抽出する画像データ抽出手段と、
前記撮影部位におけるシリーズ画像データに基づいて代表サムネールデータを撮影部位毎に生成するサムネールデータ生成手段と、
前記被検体の人体モデルを生成する人体モデル生成手段と、
前記人体モデルに示された撮影部位に前記代表サムネールデータを対応させてサムネール表示データを生成するサムネール表示データ生成手段と、
前記サムネール表示データにおいて選択された代表サムネールデータに対応するシリーズ画像データを配列してシリーズ表示データを生成するシリーズ表示データ生成手段と、
前記サムネール表示データあるいは前記シリーズ表示データを表示するモニタを
備えたことを特徴とする請求項5記載のMRI装置。
【請求項7】
被検体情報入力手段と標準人体モデルデータ記憶手段を備え、前記人体モデル生成手段は、前記標準人体モデルデータ記憶手段に予め保管されている標準人体モデルのデータを前記被検体情報入力手段から入力された被検体情報に基づいて補正し前記被検体の人体モデルを生成することを特徴とする請求項6記載のMRI装置。
【請求項8】
前記標準人体モデルは、人体の写真や絵図、あるいは画像診断装置によって収集された画像データの何れかであることを特徴とする請求項7記載のMRI装置。
【請求項9】
被検体の1つあるいは複数の撮影部位において生成され、撮影条件の情報が付加された画像データを保管する画像データ保管手段と、
所望の撮影条件を選択する撮影条件選択手段と、
前記画像データの中から前記所望の撮影条件の情報が付加されている画像データを抽出して表示する表示手段を
備えたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項10】
被検体の撮影部位における隣接した複数のスライス断面に対して生成され、撮影条件及び撮影部位の情報が付加されたシリーズ画像データを保管する画像データ保管手段と、
所望の撮影条件を選択する撮影条件選択手段と、
前記画像データ記憶手段が保管する前記シリーズ画像データの中から前記撮影条件選択手段が選択した撮影条件の情報が付加されている1つあるいは複数の撮影部位におけるシリーズ画像データを抽出する画像データ抽出手段と、
前記撮影部位におけるシリーズ画像データに基づいて代表サムネールデータを撮影部位毎に生成するサムネールデータ生成手段と、
前記被検体の人体モデルを生成する人体モデル生成手段と、
前記人体モデルに示された撮影部位に前記代表サムネールデータを対応させてサムネール表示データを生成するサムネール表示データ生成手段と、
前記サムネール表示データにおいて選択された代表サムネールデータに対応するシリーズ画像データを配列してシリーズ表示データを生成するシリーズ表示データ生成手段と、
前記サムネール表示データあるいは前記シリーズ表示データを表示するモニタを
備えたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項11】
被検体情報入力手段と標準人体モデルデータ記憶手段を備え、前記人体モデル生成手段は、前記標準人体モデルデータ記憶手段に予め保管されている標準人体モデルのデータを前記被検体情報入力手段から入力された被検体情報に基づいて補正して前記被検体の人体モデルを生成することを特徴とする請求項10記載の画像表示装置。
【請求項12】
前記標準人体モデルは、人体の写真や絵図、あるいは画像診断装置によって収集された画像データの何れかであることを特徴とする請求項11記載の画像表示装置。
【請求項13】
前記撮影条件選択手段は、MR撮影における撮影断面あるいは画像種の少なくとも何れかを選択することを特徴とする請求項10記載の画像表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2007−244624(P2007−244624A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−71922(P2006−71922)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】