説明

MRI装置

【課題】ベローズや圧力センサや光センサのような検出器を用いずに被検体の体動情報を取得して撮影条件を最適化できるMRI装置を提供する。
【解決手段】呼吸同期撮影を行うMRI装置であって、被検体の呼吸による体動情報をナビゲータ・パルスシーケンスにより取得し、取得した被検体の体動情報に基づいて呼吸波形や呼吸周期などを表示し、表示された呼吸波形、呼吸周期、1分間の呼吸数又は呼気時間に基づいて呼吸同期撮影のための本スキャン・パルスシーケンスの条件を設定する、MRI装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置に関し、さらに詳しくは、ベローズや圧力センサや光センサのような検出器を用いる必要がなく且つ被検体の体動情報を操作者が容易に知ることが出来るMRI装置および被検体の体動情報に応じて撮影条件を自動的に最適化できるMRI装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ベローズや圧力センサや光センサのような検出器を用いて被検体の呼吸情報を取得し、その呼吸情報に基づいて呼吸に同期した撮影を実施するMRI装置が知られている(例えば特許文献1、2参照。)。
他方、ナビゲータ(navigator)・パルスシーケンスにより被検体の体動位置を検出し、その体動位置と体動近似関数から本スキャン時の体動位置を予測し、予測した体動位置に合わせて撮影スライス位置および位相エンコード量を制御する技術が知られている(例えば特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平05−049621号公報
【特許文献2】特開2002−028148号公報
【特許文献3】特開2006−26076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1や特許文献2の従来技術では、ベローズや圧力センサや光センサのような検出器により取得した被検体の体動情報を操作者が容易に知りうるため、その体動情報を参考にして操作者が本スキャン・パルスシーケンスの条件を設定できる利点がある。
しかし、ベローズや圧力センサや光センサのような検出器が必要であり、構成が煩雑になる問題点がある。
他方、特許文献3に記載の従来技術では、ベローズや圧力センサや光センサのような検出器を用いる必要がない。
しかし、被検体の体動情報が操作者に知らされないため、体動情報を参考にして本スキャン・パルスシーケンスの条件を操作者が設定できない問題点がある。
そこで、本発明の目的は、ベローズや圧力センサや光センサのような検出器を用いる必要がなく且つ被検体の体動情報を操作者が容易に知ることが出来るMRI装置を提供することにある。また、被検体の体動情報に応じて撮影条件を自動的に最適化できるMRI装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の観点では、本発明は、被検体の呼吸による体動情報をナビゲータ・パルスシーケンスにより取得するナビゲータ手段と、前記ナビゲータ手段により取得した体動情報に基づいて呼吸波形を表示する呼吸波形表示手段とを具備したことを特徴とするMRI装置を提供する。
上記第1の観点によるMRI装置では、ナビゲータ・パルスシーケンスにより被検体の体動情報を取得するので、ベローズや圧力センサや光センサのような検出器を用いる必要がない。そして、取得した体動情報を基に呼吸波形を作成し表示するので、その呼吸波形を参考にして操作者が本スキャン・パルスシーケンスの条件(例えば撮影時間や撮影タイミング)を設定できる。
【0006】
第2の観点では、本発明は、被検体の呼吸による体動情報をナビゲータ・パルスシーケンスにより取得するナビゲータ手段と、前記ナビゲータ手段により取得した体動情報に基づいて呼吸周期を表示する呼吸周期表示手段とを具備したことを特徴とするMRI装置を提供する。
上記第2の観点によるMRI装置では、ナビゲータ・パルスシーケンスにより被検体の体動情報を取得するので、ベローズや圧力センサや光センサのような検出器を用いる必要がない。そして、取得した体動情報を基に呼吸周期を算出し表示するので、その呼吸周期を参考にして操作者が本スキャン・パルスシーケンスの条件(例えば撮影時間や撮影タイミング)を設定できる。
【0007】
第3の観点では、本発明は、前記第2の観点によるMRI装置において、前記呼吸周期表示手段は、所定時間内の体動のサイクル時間の平均値を呼吸周期として表示することを特徴とするMRI装置を提供する。
上記第3の観点によるMRI装置では、所定時間内の体動のサイクル時間の平均値を呼吸周期とするので、体動のサイクル時間に若干の変動があっても不都合を生じない。
【0008】
第4の観点では、本発明は、被検体の呼吸による体動情報をナビゲータ・パルスシーケンスにより取得するナビゲータ手段と、前記ナビゲータ手段により取得した体動情報に基づいて1分間の呼吸数を表示する呼吸数表示手段とを具備したことを特徴とするMRI装置を提供する。
上記第4の観点によるMRI装置では、ナビゲータ・パルスシーケンスにより被検体の体動情報を取得するので、ベローズや圧力センサや光センサのような検出器を用いる必要がない。そして、取得した体動情報を基に1分間の呼吸数を算出し表示するので、その呼吸数を参考にして操作者が本スキャン・パルスシーケンスの条件(例えば撮影時間)を設定できる。
【0009】
第5の観点では、本発明は、被検体の呼吸による体動情報をナビゲータ・パルスシーケンスにより取得するナビゲータ手段と、前記ナビゲータ手段により取得した体動情報に基づいて呼気時間を表示する呼気時間表示手段とを具備したことを特徴とするMRI装置を提供する。
上記第5の観点によるMRI装置では、ナビゲータ・パルスシーケンスにより被検体の体動情報を取得するので、ベローズや圧力センサや光センサのような検出器を用いる必要がない。そして、取得した体動情報を基に呼気時間を算出し表示するので、その呼気時間を参考にして操作者が本スキャン・パルスシーケンスの条件(例えば撮影時間)を設定できる。
【0010】
第6の観点では、本発明は、前記第5の観点によるMRI装置において、前記呼気時間表示手段は、体動の振幅内の所定位置を吸気側から呼気側へと通過したのち呼気側から吸気側へと通過するまでの経過時間を呼気時間とすることを特徴とするMRI装置を提供する。
上記第6の観点によるMRI装置では、体動の振幅を基に呼気時間を算出することが出来る。
【0011】
第7の観点では、本発明は、前記第5または第6の観点によるMRI装置において、前記呼気時間表示手段は、所定時間内の呼気時間の平均値を表示することを特徴とするMRI装置を提供する。
上記第7の観点によるMRI装置では、所定時間内の呼気時間の平均値を表示するので、体動のサイクル時間に若干の変動があっても不都合を生じない。
【0012】
第8の観点では、本発明は、前記第5または第6の観点によるMRI装置において、前記呼気時間表示手段は、所定時間内の呼気時間の最小値を表示することを特徴とするMRI装置を提供する。
上記第8の観点によるMRI装置では、所定時間内の呼気時間の最小値を表示するので、呼気時間より長い撮影時間となることを回避しやすくなる。
【0013】
第9の観点では、本発明は、前記第1から前記第8のいずれかの観点によるMRI装置において、操作者が前記ナビゲータ手段を作動させるための指示を操作者が入力するための操作手段を具備したことを特徴とするMRI装置を提供する。
上記第9の観点によるMRI装置では、操作者が所望のタイミングでナビゲータ・パルスシーケンスを実行させることが出来る。
【0014】
第10の観点では、本発明は、前記第1から前記第9のいずれかの観点によるMRI装置において、前記ナビゲータ手段により取得した被検体の体動情報が適正か否かを判定し不適正な場合にその旨を報知する警報手段を具備したことを特徴とするMRI装置を提供する。
上記第10の観点によるMRI装置では、被検体の呼吸が乱れた場合などに操作者に警告することが出来る。
【0015】
第11の観点では、本発明は、前記第10の観点によるMRI装置において、体動情報が不適正な場合にナビゲータ・パルスシーケンスの条件を再設定可能とする条件再設定手段を具備したことを特徴とするMRI装置を提供する。
上記第11の観点によるMRI装置では、被検体の呼吸が乱れた場合などにナビゲータ・パルスシーケンスの条件を再設定することが出来る。
【0016】
第12の観点では、本発明は、被検体の呼吸による体動情報をナビゲータ・パルスシーケンスにより取得するナビゲータ手段と、前記ナビゲータ手段により取得した体動情報に基づいて撮影時間を最適化する撮影時間最適化手段とを具備したことを特徴とするMRI装置を提供する。
上記第12の観点によるMRI装置では、撮影時間が自動的に最適化されるので、操作者の負担が軽くなる。
【0017】
第13の観点では、本発明は、前記第12の観点によるMRI装置において、前記撮影時間最適化手段は、撮影時間中の体動が所定の許容値に収まるように撮影時間を決定することを特徴とするMRI装置を提供する。
上記第13の観点によるMRI装置では、撮影時間中の体動が所定の許容値に収まるように撮影時間が自動的に最適化されるので、操作者の負担が軽くなり、体動によるアーチファクトを抑制できる。
【0018】
第14の観点では、本発明は、前記第13の観点によるMRI装置において、前記撮影時間最適化手段は、最適化した撮影時間に応じてスライス枚数を調整することを特徴とするMRI装置を提供する。
上記第14の観点によるMRI装置では、最適化した撮影時間に適合したスライス枚数に自動的に調整されるので、操作者の負担が軽くなる。
【0019】
第15の観点では、本発明は、被検体の呼吸による体動情報をナビゲータ・パルスシーケンスにより取得するナビゲータ手段と、前記ナビゲータ手段により取得した体動情報および設定された撮影時間に基づき撮影タイミングを最適化する撮影タイミング最適化手段とを具備したことを特徴とするMRI装置を提供する。
上記第15の観点によるMRI装置では、撮影タイミングが自動的に最適化されるので、操作者の負担が軽くなる。
【0020】
第16の観点では、本発明は、前記第15の観点によるMRI装置において、前記撮影タイミング最適化手段は、撮影時間中の体動が最も小さくなるように撮影タイミングを決定することを特徴とするMRI装置を提供する。
上記第16の観点によるMRI装置では、撮影時間中の体動が最も小さくなるように撮影タイミングが自動的に最適化されるので、操作者の負担が軽くなり、体動によるアーチファクトを抑制できる。
【0021】
第17の観点では、本発明は、前記第1から前記第16のいずれかの観点によるMRI装置において、前記ナビゲータ・パルスシーケンスは、ラインスキャン型のパルスシーケンスまたは2D選択励起型のパルスシーケンスまたは位相コントラスト型のパルスシーケンスであることを特徴とするMRI装置を提供する。
上記第17の観点によるMRI装置では、既存のナビゲータ技術を利用して横隔膜の動きを好適に検出できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のMRI装置によれば、ベローズや圧力センサや光センサのような検出器を用いる必要がなく且つ被検体の体動情報を操作者が容易に知ることが出来る。また、撮影条件が自動的に最適化されるので、操作者の負担が軽くなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、実施例1に係るMRI装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、実施例1に係るナビゲータ・スキャン処理を示すフロー図である。
【図3】図3は、呼吸波形などの表示を示す模式図である。
【図4】図4は、呼吸周期などの算定方法を示す説明図である。
【図5】図5は、実施例1に係る本スキャン処理を示すフロー図である。
【図6】図6は、撮影時間の最適化を示す説明図である。
【図7】図7は、撮影タイミングの最適化を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0025】
図1は、実施例1に係るMRI装置100の機能構成を示すブロック図である。
このMRI装置100において、マグネットアセンブリ1は、内部に被検体を挿入するための空間部分(ボア)を有し、この空間部分を取りまくようにして、X軸勾配磁場を形成するX軸勾配コイル1Xと、Y軸勾配磁場を形成するY軸勾配コイル1Yと、Z軸勾配磁場を形成するZ軸勾配コイル1Zと、被検体内の原子核のスピンを励起するためのRFパルスを与える送信コイル1Tと、被検体からのNMR信号を検出する受信コイル1Rと、静磁場を形成する永久磁石対1Mとを具備している。
なお、永久磁石対1Mの代わりに超電導マグネットを用いてもよい。
【0026】
X軸勾配コイル1XはX軸勾配コイル駆動回路3Xに接続され、Y軸勾配コイル1YはY軸勾配コイル駆動回路3Yに接続され、Z軸勾配コイル1ZはZ軸勾配コイル駆動回路3Zに接続され、送信コイル1TはRF電力増幅器4に接続されている。
X軸勾配コイル駆動回路3XはX軸グラジエントアンプを含み、Y軸勾配コイル駆動回路3YはY軸グラジエントアンプを含み、Z軸勾配コイル駆動回路3ZはZ軸グラジエントアンプを含み、RF電力増幅器4はRFアンプを含んでいる。
【0027】
シーケンス記憶回路8は、計算機7からの指令に従い、記憶しているパルスシーケンスに基づいて勾配コイル駆動回路3X,3Y,3Zを操作し、勾配コイル1X,1Y,1Zから勾配磁場を発生させると共に、ゲート変調回路9を操作し、RF発振回路10の搬送波出力信号を所定タイミング・所定包絡線形状・所定位相のパルス状信号に変調し、それをRFパルスとしてRF電力増幅器4に加え、RF電力増幅器4でパワー増幅した後、送信コイル1Tに印加する。
【0028】
受信コイル1Rは、前置増幅器5に接続されている。
前置増幅器5は、受信コイル1Rで受信された被検体からのNMR信号を増幅し、位相検波器12に入力する。位相検波器12は、RF発振回路10の出力する参照信号により前置増幅器5からのNMR信号を位相検波して、AD変換器11に与える。AD変換器11は、位相検波後のアナログ信号をデジタルデータに変換して、計算機7に入力する。
【0029】
計算機7は、操作卓13から入力された情報を受け取るなどの全体的な制御を受け持つと共に、AD変換器11からデジタルデータを読み込み、演算処理を行って画像を生成し、その画像やメッセージを表示装置6に表示する。
計算機7は、CPUおよびメモリを含んでいる。
【0030】
図2は、MRI装置100によるナビゲータ・スキャン処理の手順を示すフロー図である。
ステップW1では、パルスシーケンスの種類(例えばラインスキャン型のパルスシーケンスまたは2D選択励起型のパルスシーケンスまたは位相コントラスト型のパルスシーケンス)や励起する空間領域(例えば横隔膜近傍)など、ナビゲータ・パルスシーケンスの条件を設定する。
【0031】
ステップW2では、ナビゲータ・スキャンの開始が操作卓13から操作者により指示されたかチェックし、指示されたならステップW3へ進み、指示されていないならステップW1に戻る。
【0032】
ステップW3では、ナビゲータ・パルスシーケンスにより被検体の呼吸による体動情報を取得する。
【0033】
ステップW4では、取得した体動情報が適正か否かを判定し、適正ならステップW5へ進み、不適正ならステップW7へ進む。例えば、体動の振幅や周期が過小または過大でなければ適正と判定し、そうでなければ不適正と判定する。
【0034】
ステップW5では、例えば図3に示すように、呼吸波形Cと、トリガラインLと、呼吸周期Bと、呼吸数Nと、呼気時間Eとを表示装置6に表示する。
呼吸波形Cは、例えば横隔膜の位置の時間変化の波形である。
トリガラインLは、例えば、図4に示すように体動の振幅の吸気側極値点Pmaxと呼気側極値点Pminの間を5:1に分割するラインである。
呼吸周期Bは、例えば最新の15秒間の体動のサイクル時間の平均値である。例えば、図4に示すように呼吸波形CがトリガラインLを体動の吸気側から呼気側へと通過する時点Pt1,Pt3,Pt5の時間間隔B1,B2が体動のサイクル時間である。
呼吸数Nは、例えば呼吸周期Bで1分を除算した商である。
呼気時間Eは、例えば、図4に示すように呼吸波形CがトリガラインLを体動の吸気側から呼気側へと通過したのち呼気側から吸気側へと通過するまでの経過時間E1,E2の、例えば最新の15秒間の、平均値または最小値とする。
【0035】
ステップW6では、ナビゲータ・スキャンの終了が操作卓13から操作者により指示されたかチェックし、指示されたなら処理を終了し、指示されていないならステップW3に戻る。
【0036】
ステップW7では、取得した体動情報が不適正であるメッセージとナビゲータ・スキャンの条件の再設定を行うか終了するかを問い合わせるメッセージを表示装置6に表示する。
【0037】
ステップW8では、ナビゲータ・スキャンの条件の再設定が操作卓13から操作者により指示されたならステップW1に戻り、終了が指示されたなら処理を終了する。
【0038】
図5は、MRI装置100による本スキャン処理の手順を示すフロー図である。
ステップV1では、表示装置6に表示された呼吸波形,トリガライン,呼吸周期,呼吸数および呼気時間を参考にして、操作者が撮影時間,スライス枚数,撮影タイミングなど、本スキャン・パルスシーケンスの条件を設定する。
【0039】
ステップV2では、撮影時間の最適化が操作卓13から操作者により指示されたかチェックし、指示されたならステップV3へ進み、指示されていないならステップV4へ進む。
【0040】
ステップV3では、撮影時間を最適化する。例えば、図6の(a)に示すように操作者が設定した撮影時間T1では呼気期間から吸気期間まで跨ってしまうような場合、図6の(b)に示すように呼吸波形CがトリガラインLより呼気側に入るような撮影時間T2に変更する。これにより、撮影時間T2中の体動が振幅Pmax-Pminの1/6(=許容値)に収まることになる。そして、この撮影時間T2に応じてスライス枚数や繰返時間TRなどを調整する。
なお、トリガラインLとは独立に許容値を定め、撮影時間中の体動がその許容値に収まるように撮影時間を最適化してもよい。
【0041】
ステップV4では、撮影タイミングの最適化が操作卓13から操作者により指示されたかチェックし、指示されたならステップV5へ進み、指示されていないならステップV6へ進む。
【0042】
ステップV5では、撮影タイミングを最適化する。例えば、図7の(a)に示すように呼吸波形CがトリガラインLを体動の吸気側から呼気側へと通過する時点Ptで撮影を開始した場合の撮影時間T中の体動よりも、図7の(b)に示すように時点Ptから遅延時間dをおいて撮影を開始した場合の撮影時間T中の体動が小さくなるならば、時点Ptから遅延時間dをおいて撮影を開始するように撮影タイミングを変更する。これにより、撮影時間T中の体動を最小に抑えることが出来る。
【0043】
ステップV6では、設定された又は最適化された本スキャン・パルスシーケンスにより被検体の呼吸に同期した撮影を行う。そして、処理を終了する。
【0044】
実施例1のMRI装置100によれば次の効果が得られる。
(1)ベローズや圧力センサや光センサのような検出器を用いる必要がない。
(2)呼吸波形等を表示するので、その表示を参考にして操作者が本スキャン・パルスシーケンスの条件を設定できる。
(3)操作者が所望のタイミングでナビゲータ・パルスシーケンスを実行させることが出来る。
(4)ナビゲータ・パルスシーケンス実行中に被検体の呼吸が乱れた場合などにおいて操作者に警告できる。
(5)撮影時間や撮影タイミングが自動的に最適化されるので、操作者の負担が軽くなる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明のMRI装置は、呼吸同期撮影に利用できる。
【符号の説明】
【0046】
100 MRI装置
C 呼吸波形

【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸同期撮影を行うMRI装置であって、
被検体の呼吸による体動情報をナビゲータ・パルスシーケンスにより取得するナビゲータ手段と、
前記ナビゲータ手段により取得した体動情報に基づいて呼吸波形、呼吸周期、1分間の呼吸数又は呼気時間を表示する表示手段と、
前記表示手段に表示された呼吸波形、呼吸周期、1分間の呼吸数又は呼気時間に基づいて呼吸同期撮影のための本スキャン・パルスシーケンスの条件を設定する設定手段とを具備したことを特徴とするMRI装置。
【請求項2】
請求項1に記載のMRI装置において、
前記表示手段は、所定時間内の体動のサイクル時間の平均値を前記呼吸周期として表示することを特徴とするMRI装置。
【請求項3】
請求項1に記載のMRI装置において、
前記表示手段は、体動の振幅内の所定位置を吸気側から呼気側へと通過したのち呼気側から吸気側へと通過するまでの経過時間を前記呼気時間として表示することを特徴とするMRI装置。
【請求項4】
請求項1または請求項3に記載のMRI装置において、
前記表示手段は、所定時間内の呼気時間の平均値を前記呼気時間として表示することを特徴とするMRI装置。
【請求項5】
請求項1または請求項3に記載のMRI装置において、
前記表示手段は、所定時間内の呼気時間の最小値を前記呼気時間として表示することを特徴とするMRI装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のMRI装置において、
操作者が前記ナビゲータ手段を作動させるための指示を操作者が入力するための操作手段を具備したことを特徴とするMRI装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載のMRI装置において、
前記ナビゲータ手段により取得した被検体の体動情報が適正か否かを判定し不適正な場合にその旨を報知する警報手段を具備したことを特徴とするMRI装置。
【請求項8】
請求項7に記載のMRI装置において、
体動情報が不適正な場合にナビゲータ・パルスシーケンスの条件を再設定可能とする条件再設定手段を具備したことを特徴とするMRI装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載のMRI装置において、
前記ナビゲータ・パルスシーケンスは、ラインスキャン型のパルスシーケンスまたは2D選択励起型のパルスシーケンスまたは位相コントラスト型のパルスシーケンスであることを特徴とするMRI装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−236044(P2012−236044A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−162317(P2012−162317)
【出願日】平成24年7月23日(2012.7.23)
【分割の表示】特願2007−10937(P2007−10937)の分割
【原出願日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】