説明

N−ヒドロキシアルキル化アミドから(メタ)アクリレートを製造する接触法

本発明はN−ヒドロキシアルキル化アミドから(メタ)アクリレートを製造する接触法およびその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はN−ヒドロキシアルキル化アミドから(メタ)アクリレートを触媒作用により製造する方法およびその使用に関する。
【0002】
(メタ)アクリル酸エステルの製造は多くの場合に強酸または強塩基の存在でのアルコールを用いる(メタ)アクリル酸の接触エステル化によりまたは他の(メタ)アクリル酸エステルのエステル交換により行う。従って酸または塩基に反応しやすい(メタ)アクリル酸エステルはしばしばエステル化またはエステル交換により一般に意図的に製造できない。
【0003】
本発明の意味でのウレイドアルコールは少なくとも1個のN−(C=O)−N−基および少なくとも1個のヒドロキシル基(−OH)を有する化合物である。同様に本発明の意味でのN−ヒドロキシアルキル化アミドは少なくとも1個のZ−(C=O)−N−基および少なくとも1個のヒドロキシル基(−OH)を有する化合物であり、その際ヒドロキシル基はZ−(C=O)−N−基の窒素原子に結合し、Zは以下に説明するように定義される。
【0004】
この種のウレイドアルコールおよびN−ヒドロキシアルキル化アミドは酸または塩基の作用下できわめて容易に加水分解する。更に、特に(メタ)アクリレートの存在での塩基との反応の場合に、例えばマイケル付加の意味での副反応が考慮される、例えば欧州特許第1236994号、3頁、47行以降参照。
【0005】
欧州特許第1236994号はチタン、ジルコニウム、鉄または亜鉛のチタンアルコラートまたは1,3−ジカルボニルキレートの存在での(メタ)アクリレートのエステル交換によるウレイド(メタ)アクリレートの製造を記載する。
【0006】
これらの化合物の欠点は金属化合物が湿分に弱く、従って容易に失活することである。更に生成物中に残留する微量の触媒が場合により引き続く重合に影響し、従って生成物から費用をかけて除去しなければならない。このような除去は多くの場合に水性洗浄により行うことができ、従って生成物を引き続き乾燥しなければならない。
【0007】
特開昭62−185059号および特開昭62−175448号はアルカリ金属炭酸塩の存在での(メタ)アクリレートとアルキルアミノアルコールの反応を記載する。特開昭62−230755号はアルカリ金属燐酸塩の存在での(メタ)アクリレートとアルキルアミノアルコールの反応を記載する。
【0008】
この開示内容はアルキルおよびジアルキルアミノアルコールに限定され、ウレイドアルコールまたはN−ヒドロキシアルキル化アミドの示唆は記載されていない。
【0009】
米国特許第2871223号からウレイドアルコールと(メタ)アクリル酸クロリドの反応によるウレイド(メタ)アクリレートの製造が公知である。
【0010】
前記反応での(メタ)アクリル酸クロリドの使用は塩を形成し、この高い反応性のために選択されない反応、例えばジアクリル化を生じる。
【0011】
酵素によるエステル化またはエステル交換による(メタ)アクリル酸エステルの製造は、例えば欧州特許第1999229号から一般に知られている。
【0012】
Derango等、Biotechnol.Lett.1994、16、241−246号は2−ヒドロキシエチルカルバメートとビニルメタクリレートのエステル交換によるカルバモイルオキシエチルメタクリレートのリパーゼ触媒作用による製造を記載する。遊離ビニルアルコールが反応平衡からアセトアルデヒドとして除去されるので、所定のエダクトビニルメタクリレートにより完全な反応が達成される。この方法の欠点はビニルメタクリレートが商業的に入手できないことである。更にその際O−ヒドロキシアルキル化カルバモイルを使用し、ここで処理されるウレイドアルコールおよびN−ヒドロキシアルキル化アミドとは別の反応系である。
【0013】
WO2004/50888号においてO−ヒドロキシアルキル化カルバモイルを酵素により(メタ)アクリル酸(エステル)を使用してエステル化もしくはエステル交換する。この場合もここで処理されるウレイドアルコールおよびN−ヒドロキシアルキル化アミドとは別の反応系を使用する。
【0014】
本発明の課題は、N−ヒドロキシアルキル化アミドの(メタ)アクリレートを高い反応率および高い純度で単純なエダクトから製造できる他の方法を提供することである。この合成は温和な条件下で進行すべきであり、低い色数および高い純度を有する生成物が生じる。特に数回(メタ)アクリル化された生成物の割合を抑制すべきである。更に必要な触媒は簡単に分離することができ、例えば反応生成物の後処理工程の形の引き続く後処理を生じるべきでない。
【0015】
前記課題は、N−ヒドロキシアルキル化アミドから(メタ)アクリレートを製造する方法により解決され、前記方法において、環状N−ヒドロキシアルキル化アミド(C)
【化1】

または開環状N−ヒドロキシアルキル化アミド(O)
【化2】

[式中、
は酸素、硫黄、非置換または置換された燐またはモノ置換されたまたは置換されていない窒素(N−R)を表し、
およびRはそれぞれ互いに独立にC〜C20−アルキレン、C〜C12−シクロアルキレン、C〜C12−アリーレンまたは1個以上の酸素原子および/または硫黄原子によりおよび/または1個以上の置換されたまたは置換されていないイミノ基によりおよび/または1個以上のシクロアルキル、−(CO)−、−O(CO)O−、−(NH)(CO)O−、−O(CO)(NH)−、−O(CO)−または−(CO)O−基により中断されたC〜C20−アルキレンを表し、その際前記基はそれぞれアリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子および/または複素環により置換されていてもよく、または
−OHは式−[X−Hの基を表し、
、RおよびRは互いに独立にそれぞれ水素、C〜C18−アルキル、1個以上の酸素原子および/または硫黄原子によりおよび/または1個以上の置換されたまたは置換されていないイミノ基により中断されていてもよいC〜C18−アルキル、C〜C18−アルケニル、C〜C12−アリール、C〜C12−シクロアルキル、または5員から6員の、酸素原子、窒素原子および/または硫黄原子を有する複素環を表し、その際前記基はそれぞれアリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、へテロ原子および/または複素環により置換されていてもよく、その際RおよびRは一緒に5員から12員までの環を形成してもよく、
ただしZがOである場合は、Rは非置換C〜C18−アルキル、C〜C12−アリールまたはC〜C12−シクロアルキルであり、
kは1〜50の数であり、
はi=1〜kであり、互いに独立に、
−CH−CHO−、−CH−CH−N(H)−、−CH−CH−CH−N(H)−、−CH−CH(NH)−、−CH−CH(NHCHO)−、−CH−CH(CH)−O−、−CH(CH)−CH−O−、−CH−C(CH−O−、−C(CH−CH−O−、−CH−CH−CH−O−、−CH−CH−CH−CH−O−、−CH−CHVin−O−、−CHVin−CH−O−、−CH−CHPh−O−、および−CHPh−CH−O−の群から選択されてもよく、式中、Phはフェニルであり、Vinはビニルである]を、無機塩(S)および酵素(E)からなる群から選択される少なくとも1個の不均一触媒の存在で(メタ)アクリル酸を用いてエステル化するかまたは少なくとも1個の(メタ)アクリル酸エステル(D)を用いてエステル交換することを特徴とする。
【0016】
無機塩(S)および酵素(E)からなる群から選択される少なくとも1種の不均一触媒の存在で(メタ)アクリル酸を使用してエステル化し、または少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステル(D)を使用してエステル交換する。
【0017】
本発明の方法を使用してN−ヒドロキシアルキル化アミドの(メタ)アクリレートの製造が、高い収率で、温和な条件下で、良好な色数で、生成物を後処理する洗浄工程なしに可能である。
【0018】
(メタ)アクリル酸は本発明においてメタクリル酸およびアクリル酸であり、有利にメタクリル酸である。
【0019】
前記定義において、以下のものを表す。
場合によりアリール、アルキル、アリールオキシ、ヘテロ原子および/または複素環により置換されたC〜C20−アルキレン、例えば1,2−エチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、1,6−ヘキシレン、2−メチル−1,3−プロピレン、2−エチル−1,3−プロピレン、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン、2,2−ジメチル−1,4−ブチレン、
場合によりアリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子および/または複素環により置換されたC〜C12−シクロアルキレン、例えばシクロプロピレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロオクチレン、シクロドデシレン、
場合によりアリール、アルキル、アリールオキシ、ヘテロ原子および/または複素環により置換され、1個以上の酸素原子および/または硫黄原子および/または1個以上の置換されたまたは置換されていないイミノ基および/または1個以上のシクロアルキル、−(CO)−、−O(CO)O−、−(NH)(CO)O−、−O(CO)(NH)−、−O(CO)−または−(CO)O−基により中断されたC2〜C20−アルキレン、例えば1−オキサ−1,3−プロピレン、1,4−ジオキサ−1.6−ヘキシレン、1,4,7−トリオキサ−1,9−ノニレン、1−オキサ−1,4−ブチレン、1,5−ジオキサ−1,8−オクチレン、1−オキサ−1,5−ペンチレン、1−オキサ−1,7−ヘプチレン、1,6−ジオキサ−1,10−デシレン、1−オキサ−3−メチル−1,3−プロピレン、1−オキサ−3−メチル−1,4−ブチレン、1−オキサ−3,3−ジメチル−1,4−ブチレン、1−オキサ−3,3−ジメチル−1,5−ペンチレン、1,4−ジオキサ−3,6−ジメチル−1,6−ヘキシレン、1−オキサ−2−メチル−1,3−ピロピレン、1,4−ジオキサ−2,5−ジメチル−1,6−ヘキシレン、1−オキサ−1,5−ペンタ−3−エニレン、1−オキサ−1,5−ペンタ−3−イニレン、1,1−、1,2−、1,3−または1,4−シクロヘキシレン、1,2−または1,3−シクロペンチレン、1,2−、1,3−または1,4−フェニレン、4,4´−ビフェニレン、1,4−ジアザ−1,4−ブチレン、1−アザ−1,3−プロピレン、1,4,7−トリアザ−1,7−ヘプチレン、1,4−ジアザ−1,6−ヘキシレン、1,4−ジアザ−7−オキサ−1,7−ヘプチレン、4,7−ジアザ−1−オキサ−1,7−ヘプチレン、4−アザ−1−オキサ−1,6−ヘキシレン、1−アザ−4−オキサ−1,4−ブチレン、1−アザ−1,3−プロピレン、4−アザ−1−オキサ−1,4−ブチレン、4−アザ−1,7−ジオキサ−1,7−ヘプチレン、4−アザ−1−オキサ−4−メチル−1,6−ヘキシレン、4−アザ−1,7−ジオキサ−4−メチル−1,7−ヘプチレン、4−アザ−1,7−ジオキサ−4(2´−ヒドロキシエチル)−1,7−ヘプチレン、4−アザ−1−オキサ−(2´−ヒドロキシエチル)−1,6−ヘキシレンまたは1,4−ピペラジニレン、
場合によりアリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子および/または複素環により置換されたC〜C12−アリーレン、例えば1,2−、1,3−または1,4−フェニレン、4,4´−ビフェニレン、トルイレンまたはキシリレン、
〜C18−アルキルまたは場合により1個以上の酸素原子および/または硫黄原子および/または1個以上の置換されたまたは置換されていないイミノ基により中断されたC〜C18−アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2,4,4−トリメチルペンチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、1,1−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルブチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、α、α−ジメチルベンジル、ベンズヒドリル、p−トリルメチル、1−(p−ブチルフェニル)−エチル、p−クロロベンジル、2,4−ジクロロベンジル、p−メトキシベンジル、m−エトキシベンジル、2−シアノエチル、2−シアノプロピル、2−メトキシカルボニルエチル、2−エトキシカルボニルエチル、2−ブトキシカルボニルプロピル、1,2−ジ(メトキシカルボニル)−エチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、2−ブトキシエチル、ジエトキシメチル、ジエトキシエチル、1,3−ジオキソラン−2−イル、1,3−ジオキサン−2−イル、2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル、2−イソプロピルエチル、2−ブトキシプロピル、2−オクチルオキシエチル、クロロメチル、2−クロロエチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、1,1−ジメチル−2−クロロエチル、2−メトキシイソプロピル、2−エトキシエチル、ブチルチオメチル、2−ドデシルチオエチル、2−フェニルチオエチウ、2,2,2−トリフルオロエチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、6−ヒドロキシヘキシル、2−アミノエチル、2−アミノプロピル、3−アミノプロピル、4−アミノブチル、6−アミノヘキシル、2−メチルアミノエチル、2−メチルアミノプロピル、3−メチルアミノプロピル、4−メチルアミノブチル、6−メチルアミノヘキシル、2−ジメチルアミノエチル、2−ジメチルアミノプロピル、3−ジメチルアミノプロピル、4−ジメチルアミノブチル、6−ジメチルアミノヘキシル、2−ヒドロキシ−2,2−ジメチルエチル、2−フェノキシエチル、2−フェノキシプロピル、3−フェノキシプロピル、4−フェノキシブチル、6−フェノキシヘキシル、2−メトキシエチル、2−メトキシプロピル、3−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、6−メトキシヘキシル、2−エトキシエチル、2−エトキシプロピル、3−エトキシプロピル、4−エトキシブチル、または6−エトキシヘキシル、
場合により1個以上の酸素原子および/または硫黄原子および/または1個以上の置換されたまたは置換されていないイミノ基により中断されたC〜C18−アルケニル、例えばビニル、1−プロペニル、アリル、メタリル、1,1−ジメチルアリル、2−ブテニル、2−ヘキセニル、オクテニル、ウンデセニル、ドデセニル、オクタデセニル、2−フェニルビニル、2−メトキシビニル、2−エトキシビニル、2−メトキシアリル、3−メトキシアリル、2−エトキシアリル、3−エトキシアリル、または1−または2−クロロビニル、
場合により1個以上の酸素原子および/または硫黄原子および/または1個以上の置換されたまたは置換されていないイミノ基により中断されたC〜C12−アリール、例えばフェニル、トリル、キシリル、α−ナフチル、β−ナフチル、4−ジフェニル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、トリクロロフェニル、ジフルオロフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、イソプロピルフェニル、t−ブチルフェニル、ドデシルフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、エトキシフェニル、ヘキシルオキシフェニル、メチルナフチル、イソプロピルナフチル、クロロナフチル、エトキシナフチル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、2,6−ジクロロフェニル、4−ブロモフェニル、2−または4−ニトロフェニル、2,4−または2,6−ジニトロフェニル、4−ジメチルアミノフェニル、4−アセチルフェニル、メトキシエチルフェニルまたはエトキシメチルフェニル、
場合により1個以上の酸素原子および/または硫黄原子および/または1個以上の置換されたまたは置換されていないイミノ基により中断されたC〜C12−シクロアルキル,例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、ジエチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、メトキシシクロヘキシル、ジメトキシシクロヘキシル、ジエトキシシクロヘキシル、ブチルチオシクロヘキシル、クロロシクロヘキシル、ジクロロシクロヘキシル、ジクロロシクロペンチル、および飽和または不飽和二環系、例えばノルボルニルまたはノルボルネイル、および
場合により1個以上の酸素原子および/または硫黄原子および/または1個以上の置換されたまたは置換されていないイミノ基により中断された5員から6員の、酸素原子、窒素原子および/または硫黄原子を有する複素環、例えばフリル、チオフェニル、ピリル、ピリジル、インドリル、ベンゾキサゾリル、ジオキソリル、ジオキシル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ジメチルピリジル、メチルキノリル、ジメチルピリル、メトキシフリル、ジメチルピリジル、ジフルオロピリジル、メチルチオフェニル、イソプロピルチオフェニル、またはt−ブチルチオフェニル。
【0020】
の例は1,2−エチレン、1,2−プロピレン、1,1−ジメチル−1,2−エチレン、1−ヒドロキシメチル−1,2−エチレン、2−ヒドロキシ−1,3−プロピレン、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、1,6−ヘキシレン、2−メチル−1,3−プロピレン、2−エチル−1,3−プロピレン、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン、および2,2−ジメチル−1,4−ブチレン、1,2−シクロペンチレン、1,3−シクロペンチレン、1,2−シクロヘキシレン、1,3−シクロヘキシレン、およびオルトフェニレンであり、有利に1,2−エチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレンであり、特に1,2−エチレンおよび1,2−プロピレンであり、特に有利に1,2−エチレンである。
【0021】
の例は1,2−エチレン、1,2−プロピレン、1,1−ジメチル−1,2−エチレン、1−ヒドロキシメチル−1,2−エチレン、2−ヒドロキシ−1,3−プロピレン、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、1,6−ヘキシレン、2−メチル−1,3−プロピレン、2−エチル−1,3−プロピレン、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン、および2,2−ジメチル−1,4−ブチレン、1,2−シクロペンチレン、1,3−シクロペンチレン、1,2−シクロヘキシレン、1,3−シクロヘキシレンおよびオルトフェニレンであり、有利に1,2−エチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレンであり、特に1,2−エチレンおよび1,2−プロピレンであり、特に有利に1,2−エチレンである。
【0022】
およびRの例は、互いに独立に水素またはC〜C−アルキルであり、本発明の範囲でメチル、エチル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチルまたはt−ブチルであり、有利に水素、メチル、エチル、n−プロピルおよびn−ブチルであり、特に水素、メチル、エチル、およびn−ブチルであり、特に有利に水素,メチル、およびエチルであり、特に水素である。
【0023】
およびRが一緒に環を形成する場合は、RおよびRは一緒に1,4−ブチレン、1,5−ペンチレンまたは3−オキサ−1,5−ペンチレンを表す。
【0024】
の例は水素、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル、n−エイコシル、2−エチルヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、フェニル、ナフチル、またはベンジルである。
【0025】
は有利にOまたはNRであり、特にNRである。
【0026】
有利に環状アルコール(C)は開鎖アルコール(O)に向かい合って存在する。
【0027】
有利な個々の(C)は2´−ヒドロキシエチル−エチレン尿素、3´−ヒドロキシプロピル−エチレン尿素、2´−ヒドロキシプロピル−エチレン尿素、2´−ヒドロキシエチル−1,3−プロピレン尿素、2´−ヒドロキシプロピル−1,3−プロピレン尿素、3´−ヒドロキシプロピル−1,3−プロピレン尿素,2´−ヒドロキシエチル−1,2−プロピレン尿素、2´−ヒドロキシプロピル−1,2−プロピレン尿素、3´−ヒドロキシプロピル−1,2−プロピレン尿素、1−(2´−ヒドロキシエチル)イミダゾリジン−2,4−ジオン、1−(2´−ヒドロキシエチル)ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン、または3−(2−ヒドロキシエチル)−オキサゾリジン−2−オンである。特に有利に2´−ヒドロキシエチル−エチレン尿素,3´−ヒドロキシプロピル−エチレン尿素、2´−ヒドロキシエチル−1,3−プロピレン尿素、および3´−ヒドロキシプロピル−1,3−プロピレン尿素である。
【0028】
有利な個々の(O)はN−(2−ヒドロキシエチル)尿素,N−(2−ヒドロキシプロピル)尿素、N−(3−ヒドロキシプロピル)尿素、N´,N´−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)尿素、N´,N´−ジメチル−N−(2−ヒドロキシプロピル)尿素、N´,N´−ジエチル−N−(2−ヒドロキシエチル)尿素、N´,N´−ジエチル−N−(2−ヒドロキシプロピル)尿素、N´,N´−ジエチル−N−(3−ヒドロキシプロピル)尿素、N´,N´−ジ−n−ブチル−N−(2−ヒドロキシエチル)尿素、N´,N´−ジ−n−ブチル−N−(2−ヒドロキシプロピル)尿素N´,N´−ジ−n−ブチル−N−(2−ヒドロキシプロピル)尿素、およびN´,N´−ジ−n−ブチル−N−(3−ヒドロキシプロピル)尿素であり、特にN−(2−ヒドロキシエチル)尿素、N−(2−ヒドロキシプロピル)尿素、およびN−(3−ヒドロキシプロピル)尿素である。
【0029】
工程c)において(メタ)アクリル酸とのエステル化または有利にアルコール(C)または(O)と少なくとも1種の、有利に(メタ)アクリレート(D)とのエステル交換を、無機塩(S)および酵素(E)からなる群から選択される少なくとも1種の不均一触媒の存在で行う。
【0030】
化合物(D)は(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸と飽和アルコールのエステル,有利に(メタ)アクリル酸の飽和C〜C10−アルキルエステル、特に(メタ)アクリル酸の飽和C〜C−アルキルエステルであってもよい。
【0031】
飽和は本発明の範囲でC−C多重結合((メタ)アクリル単位中のC=C二重結合をもちろん除く)のない化合物を意味する。
【0032】
化合物(D)の例は(メタ)アクリル酸メチル、−エチル、−n−ブチル、−イソブチル、−t−ブチル、−n−オクチルおよび−2−エチルヘキシルエステル、1,2−エチレングリコールジ−および−モノ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ−および−モノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ−および−モノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリットテトラ(メタ)アクリレートである。
【0033】
特に(メタ)アクリル酸メチル−、−エチル、−n−ブチルおよび−2−エチルヘキシルエステルであり、有利に(メタ)アクリル酸メチル−、−エチル、および−n−ブチルエステルであり、特に(メタ)アクリル酸メチル−、および−エチルエステルであり、特に(メタ)アクリル酸メチルエステルである。
【0034】
本発明により使用できる無機塩(S)は7.0より多くなく,有利に6.1より多くなく,特に有利に4.0より多くないpK値を有する塩である。同時にpK値は1.0を下回るべきでなく、有利に1.5より少ないことはなく、特に有利に1.6より少ないことはない。
【0035】
不均一触媒は本発明の範囲で本発明により25℃での反応媒体中の溶解度が1g/lより大きくない、有利に0.5g/lより大きくない、特に有利に0.25g/lより大きくない触媒である。
【0036】
無機塩は有利に炭酸塩(CO2−)、炭酸水素塩(HCO)、燐酸塩(PO3−)、燐酸水素塩(HPO2−)、燐酸二水素塩(HPO)、硫酸塩(SO2−)、亜硫酸塩(SO2−)、およびカルボキシレート(R−COO−)からなる群から選択される少なくとも1個のアニオンを有し、RはC〜C18−アルキルまたは場合により1個以上の酸素原子および/または硫黄原子および/または1個以上の置換されたまたは置換されていないイミノ基により中断されたC〜C18−アルキルまたはC〜C12−アリールを表す。
【0037】
有利に炭酸塩および燐酸塩であり、特に有利に燐酸塩である。
【0038】
燐酸塩は例えば二燐酸塩、三燐酸塩およびポリ燐酸塩のような縮合生成物であると理解することもできる。
【0039】
無機塩は有利にアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、セリウム、鉄、マンガン、クロム、モリブデン、コバルト、ニッケルまたは亜鉛からなる群から選択される少なくとも1個のカチオンを有する。
【0040】
有利にアルカリ金属であり、特にリチウム、ナトリウム、またはカリウムである。
【0041】
特に有利な無機塩はLiPO、KPO、NaPO、KCOおよびNaCOおよびその水和物であり、特に有利にKPOである。
【0042】
POは本発明により水不含の形および三水和物、七水和物、または九水和物で使用する。
【0043】
無機塩により触媒作用されるエステル化またはエステル交換は一般に50〜140℃、有利に50〜100℃、特に60〜90℃、特に有利に60〜80℃で行う。
【0044】
エステル化の際に遊離される水またはエステル交換の際に生じる低沸点アルコールを場合により共沸混合物として蒸留分離する場合は、場合により反応を300hPaから常圧までの弱い真空下で行うことができる。
【0045】
(メタ)アクリル酸または(メタ)モアクリル酸エステルと、アルコール(C)または(D)のモル比は、無機塩により触媒作用されるエステル化またはエステル交換の際に一般に2〜6:1モル/モル、有利に2〜3.5:1モル/モル、特に2.5〜3.0:1モル/モルである。
【0046】
無機塩により触媒作用されるエステル化またはエステル交換の際の反応時間は一般に30分〜24時間、有利に45分〜18時間、特に3〜12時間、特に有利に5〜10時間である。
【0047】
反応媒体中の無機塩の含量は、使用される成分(C)または(D)の合計に対して、一般に約0.01〜5モル%、有利に0.1〜1.8モル%、特に0.3〜1.5モル%である。
【0048】
エステル化またはエステル交換の際に重合抑制剤(下記参照)が必然的に必要である。
【0049】
無機塩により触媒作用される反応の間に酸素含有ガス(下記参照)の存在が有利である。
【0050】
無機塩により触媒作用されるエステル化またはエステル交換の際に一般に500未満のAPHA,有利に200未満のAPHA、特に150APHA未満の色数(DINISO6271による)を有する生成物が得られる。
【0051】
本発明により使用される酵素(E)は例えばヒドロラーゼ(E.C.3.−.−.−)から選択され、これらのうち、特にエステラーゼ(E.C.3.1.−.−)、リパーゼ(E.C.3.1.1.3)、グリコシラーゼ(E.C.3.2.−.−)およびプロテアーゼ(E.C.3.4.−.−)から選択され、遊離した形でまたは担体に化学的にまたは物理的に固定された形で存在し、有利にリパーゼ、エステラーゼまたはプロテアーゼであり、特にエステラーゼ(E.C.3.1.−.−)である。特に有利にNovozyme(登録商標)435(カンジダアンタルクチアBからのリパーゼ)またはアルカリゲネス種、アスペルギルス種、ムコル種、ペニシリウム種、ゲオトリクム種、リゾプス種、ブルクホリデリア種、カンジダ種、シュードモナス種、テルモミセス種またはブタすい臓であり、特に有利にカンジダアンタルクチアBまたはブルクホルデリア種からのリパーゼである。
【0052】
(メタ)アクリレートとの酵素によるエステル化またはエステル交換は一般に20〜100℃、有利に20〜80℃、特に有利に30〜70°、特に有利に40〜60℃で行う。
【0053】
その際温度の上限はもちろん溶剤またはエステル交換の際に遊離されるアルコールの沸点である。
【0054】
エステル化の際に遊離される水またはエステル交換の際に生じる低沸点アルコールを場合により共沸混合物として蒸留分離する場合は、場合により反応を例えば300hPaから常圧までの弱い真空下で行うことができる。
【0055】
反応媒体中の酵素含量は使用される成分(C)または(O)および(D)の合計に対して一般に約0.1〜10質量%の範囲である。
【0056】
(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルと、アルコール(C)または(D)のモル比は酵素触媒作用されるエステル化またはエステル交換の際に一般に1〜50:1モル/モル、有利に5〜20:1モル/モルである。
【0057】
酵素により触媒作用されるエステル化またはエステル交換の際の反応時間は一般に6時間〜3日、有利に8時間〜2日および特に12〜24時間である。
【0058】
有利に反応時間を、アルコール中に含まれるすべてのヒドロキシ官能基の変換率が少なくとも70%,有利に少なくとも80%、特に少なくとも90%、特に有利に少なくとも95%、特に少なくとも97%になるように調節する。
【0059】
酵素により触媒作用される反応は場合により安定剤(下記参照)の不在で行うこともできるが、有利に少なくとも1種の安定剤の存在で実施する。
【0060】
酵素による触媒作用される反応の際に得られる反応生成物は一般に100APHAより少なく、有利に80APHA未満の色数を有する。
【0061】
酵素によりおよび無機塩により触媒作用される反応に関して他に記載しない場合は、以下の反応パラメーターが該当する。
【0062】
反応は有機溶剤またはその混合物中でまたは溶剤を添加せずに行うことができる。バッチは一般に十分に水を含まない、すなわち含水量10質量%未満、有利に5質量%未満、特に1質量%未満、特に有利に0.5質量%未満である。更にバッチは第一級および第二級アルコールを十分に含まない、すなわちアルコール含量10質量%未満、有利に5質量%未満、特に1質量%未満、特に有利に0.5質量%未満である。
【0063】
適当な有機溶剤はこの目的のために知られた溶剤、例えば第三級モノオール,例えばC〜C−アルコール、有利にt−ブタノール,t−アミルアルコール、ピリジン、ポリ−C〜C−アルキレングリコールジ−C〜C−アルキルエーテル、有利にポリエチレングリコールジ−C〜C−アルキルエーテル、例えば1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル500、C〜C−アルキレンカーボネート、特にプロピレンカーボネート、酢酸−C〜C−アルキルエステル、特に酢酸−t−ブチルエステル、THF、トルエン、1,3−ジオキソラン、アセトン、イソブチルメチルケトン、エチルメチルケトン、1,4−ジオキサン、t−ブチルメチルエーテル、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘキサン、ジメトキシメタン、1,1−ジメトキシエタン、アセトニトリル、およびその1相または多相混合物である。
【0064】
エステル交換の特に有利な実施態様において、反応をエダクトとして使用される(メタ)アクリル酸エステル中で実施する。反応の終了後に生成物(C)または(O)がエダクトとして使用される(メタ)アクリル酸エステル中の約10〜80質量%溶液として、特に20〜50質量%溶液として生じるように,特に有利に反応を実施する。
【0065】
エダクトは溶解して、固体として懸濁して、または反応媒体中にエマルションの形で存在する。有利に反応物質の最初の濃度は約0.1〜20モル/l、特に0.15〜10モル%/l、または0.2〜5モル/lの範囲である。
【0066】
反応は連続的に、例えば管状反応器中で,または攪拌反応器カスケード中で、または不連続的に行うことができる。
【0067】
反応はこの反応に適したすべての反応器中で行うことができる。これらの反応器は当業者に知られている。有利に反応を攪拌容器反応器または固定床反応器中で行う。
【0068】
反応バッチを混合するために、任意の方法を使用できる。特定の攪拌装置が必要でない。混合は,例えばガス、有利に酸素含有ガス(下記参照)を供給することにより行うことができる。反応媒体は単相または多相であってもよく、反応物質がこれに溶解し、懸濁しまたは乳化し、場合によりモレキュラーシーブと一緒に予め入れ、反応の開始時におよび場合により一回または数回反応の進行中に酵素調剤を添加する。温度は反応の間所望の値に調節し、所望の場合は、反応の進行中に上昇または低下することができる。
【0069】
反応を固定床反応器中で行う場合は,固定床反応器は有利に固定化酵素を装備し、その際反応混合物は酵素を充填したカラムにより供給する。反応を流動床反応器中で行うことも可能であり、その際酵素を担体に固定して使用する。反応混合物を連続的にカラムにより供給することができ、その際流動速度により滞留時間およびそれにより所望の変換率を調節できる。反応混合物を循環してカラムにより供給することができ、その際真空下で遊離されるアルコールを同時に蒸留分離することができる。
【0070】
エステル化の場合は水またはエステル交換の場合はアルキル(メタ)アクリレートから遊離するアルコールの除去を連続的に、または段階的に、自体公知の方法で、例えば真空、共沸除去、ストリッピング、吸収、パーバポレーションおよび膜による拡散または抽出により行う。
【0071】
ストリッピングは例えば酸素含有ガス,有利に空気または空気窒素混合物を反応混合物に通過することにより、場合により蒸留に付加的に行うことができる。
【0072】
吸収のために、有利にモレキュラーシーブまたはゼオライト(孔径、例えば約3〜10Åの範囲)、蒸留によるまたは適当な半透膜を使用する分離が適している。
【0073】
しばしば共沸混合物を形成する、アルキル(メタ)アクリレートおよびその基礎にあるアルコールから分離された混合物を直接アルキル(メタ)アクリレートを製造する装置に供給して、そこで(メタ)アクリル酸とのエステル化に更に使用することも可能である。
【0074】
酵素による触媒作用される反応の際に、発生する水またはアルコールを、使用される酵素の温度最適値にできるだけ近く沸騰する二成分または三成分へテロ共沸混合物により分離することが有利である。こうして除去されるアルコールを引き続き相分離または膜蒸気分離により除去することができる。
【0075】
反応の終了後、c)から得られた反応混合物を更に精製せずに更に使用するかまたは必要な場合は他の工程d)で精製することができる。
【0076】
一般に工程d)で使用される不均一触媒のみを反応混合物から分離し、反応生成物を場合により使用される有機溶剤から分離する。
【0077】
不均一触媒の分離は一般に濾過、電気濾過、吸収、延伸分離、またはデカンテーションにより行う。分離された不均一触媒は引き続き他の反応に使用できる。
【0078】
有機溶剤の分離は一般に蒸留、精留によりまたは固体の反応生成物の場合は濾過により行う。
【0079】
反応生成物の引き続く精製のために、クロマトグラフィーを行うことができる。
【0080】
しかし有利に工程d)で不均一触媒および場合により使用される溶剤のみを分離する。
【0081】
本発明による、特に酵素によるエステル化またはエステル交換の際の反応条件は温和である。低い温度およびそのほかは温和な条件により、他の場合は例えば化学的触媒に由来するかまたはそのほかの場合は安定剤の添加によってのみ回避することができる、使用される(メタ)アクリレートの好ましくないラジカル重合による、工程c)での副生成物の形成が回避される。本発明による反応の実施の際に(メタ)アクリル化合物(D)に、いずれにしても含まれる保存安定剤のほかに更に付加的な安定剤、例えばヒドロキノンモノメチルエーテル,フェノチアジン、フェノール、例えば2−t−ブチル−4−メチルフェノール、6−t−ブチル−2,4−ジメチルフェノールまたはN−オキシル、例えば4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシルまたはUvinul(登録商標)4040P、BASF社を、例えば50〜2000ppmの量で、少なくとも使用される(メタ)アクリレートにまたは反応混合物に添加することができる。
【0082】
有利にエステル化またはエステル交換は酸素含有ガス,有利に空気または空気−窒素混合物の存在で実施する。
【0083】
本発明により使用される不均一触媒は、生成物中の反応媒体に残留する最高でも重要でない微量の触媒中の本発明による不均一触媒の低い溶解度により、問題なく最終生成物から除去できる。これにより反応生成物を後処理するために、一般に簡単な濾過またはデカンテーションで十分であり、触媒を分離するための費用のかかる洗浄、中和等を本発明の方法により省くことができる。
【0084】
本発明により使用される触媒は副生成物を生じる傾向が少ない。無機塩はエステル化またはエステル交換に触媒作用するために、十分に塩基性であるが、例えば冒頭に記載したマイケル反応のような副反応に触媒作用するために塩基性でなく、本発明の方法によりマイケル付加物の割合を技術水準から公知の反応に比べて明らかに減少することができる。
【0085】
更に反応は本発明による反応条件下できわめて選択的であり、副生成物は一般に10%より少なく,有利に5%より少ない(変換率に対して)。
【0086】
がN−Hである化合物(C)および(O)と(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルとの反応の典型的な副生成物は、この窒素原子を介して結合した(メタ)アクリルアミド、この窒素原子を介して結合したマイケル付加物、遊離ヒドロキシル基を介して結合したマイケル付加物、および化合物(C)または(O)から基R5−Z1の内部または分子内分離から生じ、引き続き(D)を再びエステル化またはエステル交換できる生成物である。
【0087】
本発明の触媒の特別の利点は、数回、すなわち少なくとも2回(メタ)アクリル化された生成物の割合を抑制できることである。この種の生成物はモノ(メタ)アクリル化された所望の生成物から分離することが困難である。所望の生成物はモノマーまたは反応希釈剤として使用するので、数回(メタ)アクリル化された生成物の含有は好ましくなく,それはこの種の生成物が架橋して、重合中に生成物の分子量を予定できないほど上昇するからである。
【0088】
本発明により製造されるN−ヒドロキシアルキル化アミドの(メタ)アクリレートは例えばモノマーまたはコモノマーとして分散液、例えばアクリル分散液の製造に,、反応希釈剤として、例えば放射線硬化可能な被覆材料に、または染料に、有利に外部染料に、および製紙分野に使用する分散液に使用する。
【0089】
以下の実施例は本発明の特性を説明するが、これに限定されない。
【0090】
実施例
本発明において、部は他に記載されない場合は質量部である。
【0091】
装置は空気導入管、分離カラム、試料取り入れ位置、および内部温度測定センサーを有する500ml四口フラスコからなっていた。磁気攪拌機を使用して300rpmで攪拌した。
【0092】
分離カラムとして、ラッシヒリング(5×5mm)を有する20cmビグルーカラムを使用した。分離カラム上に還流調節器およびリービッヒ冷却器を有するカラムヘッドを取り付け、すべての試験においてポリマーが沈積せずに運転できた。
【0093】
個々のバッチは以下の一般的な作業説明により実施した。2−ヒドロキシエチルエチレン尿素(HEEH、130g、1.0モル)を溶融し、相当する量のメチルメタクリレート(MMA)で被覆した(5.0モル、560g)。内部温度1000℃に高温加熱して、触媒(0.8モル%、尿素に対する)を添加した。メチルメタクリレート(MMA)およびメタノールからの生じる共沸混合物を還流比2:1で蒸留分離した(65℃)。規則的な間隔で、蒸留液および底部生成物から試料を取り、分析した。メタノール発生の終了後に、試験時間6時間を達成するまで、なお還流比10;1で運転した。引き続き蒸留を中断し、底部生成物をガスクロマトグラフィーにより生成物、メタクリル酸2−(2−オキソ−イミダゾリン−1−イル)エチルエステルおよび生じた副成分(全体で)を検査した。測定された副成分は,例えばN−[2−(2−オキソオキサゾリジン−3−イル)−エチル]−メタクリルアミド、N−{2−[3−(メタクリロイル)−2−オキソイミダゾリジン−1−イル]−エチル}−メタクリルアミド、2−メチル−3−{3−[2−(メタクリロイルアミノ)−エチル]−2−オキソイミダゾリジン−1−イル}−プロピオン酸、および2−メチル−3−[2−(2−オキソ−イミダゾリジン−1−イル)−エトキシ]−プロピオン酸である。
【0094】
【表1】

【0095】
試験の比較は、触媒としての燐酸カリウムが現在の系より優れていることを明らかに示す。最低で二倍の空時収率および少ない架橋剤の割合で反応は高い選択率および高い変換率で進行する。触媒は良好に濾過できる結晶の形で冷却の際に晶出し、洗浄工程を省ける。
【0096】
【化3】

【0097】
2−ヒドロキシエチルエチレン尿素(HEEH、1.3g)10ミリモル、メチルメタクリレート100ミリモルもしくは400ミリモル、モレキュラーシーブ(5Å)2.0gおよびNovozym(登録商標)(カンジダアンタルチカBからの固定化リパーゼ、Novozym社)65〜260mgをねじりふたガラス中で40℃で72時間振り出した。無色の溶液が得られた。分析のために、場合による沈殿物を1.4−ジオキサン10mlの添加により溶解することにより均一な試料を製造した。HEEHからメタクリレートを生じる反応を前記GC法を使用してガスクロマトグラフィーにより決定した。
【0098】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
N−ヒドロキシアルキル化アミドから(メタ)アクリレートを製造する方法において、環状N−ヒドロキシアルキル化アミド(C)
【化1】

または開環状N−ヒドロキシアルキル化アミド(O)
【化2】

[式中、
は酸素、硫黄、非置換または置換された燐またはモノ置換されたまたは置換されていない窒素(N−R)を表し、
およびRはそれぞれ互いに独立にC〜C20−アルキレン、C〜C12−シクロアルキレン、C〜C12−アリーレンまたは1個以上の酸素原子および/または硫黄原子によりおよび/または1個以上の置換されたまたは置換されていないイミノ基によりおよび/または1個以上のシクロアルキル、−(CO)−、−O(CO)O−、−(NH)(CO)O−、−O(CO)(NH)−、−O(CO)−または−(CO)O−基により中断されたC〜C20−アルキレンを表し、その際前記基はそれぞれアリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子および/または複素環により置換されていてもよく、または
−OHは式−[X−Hの基を表し、
、RおよびRは互いに独立にそれぞれ水素、C〜C18−アルキル、1個以上の酸素原子および/または硫黄原子によりおよび/または1個以上の置換されたまたは置換されていないイミノ基により中断されていてもよいC〜C18−アルキル、C〜C18−アルケニル、C〜C12−アリール、C〜C12−シクロアルキル、または5員から6員の、酸素原子、窒素原子および/または硫黄原子を有する複素環を表し、その際前記基はそれぞれアリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、へテロ原子および/または複素環により置換されていてもよく、その際RおよびRは一緒に5員から12員までの環を形成してもよく、
ただしZがOである場合は、Rは非置換C〜C18−アルキル、C〜C12−アリールまたはC〜C12−シクロアルキルであり、
kは1〜50の数であり、
はi=1〜kであり、互いに独立に、
−CH−CHO−、−CH−CH−N(H)−、−CH−CH−CH−N(H)−、−CH−CH(NH)−、−CH−CH(NHCHO)−、−CH−CH(CH)−O−、−CH(CH)−CH−O−、−CH−C(CH−O−、−C(CH−CH−O−、−CH−CH−CH−O−、−CH−CH−CH−CH−O−、−CH−CHVin−O−、−CHVin−CH−O−、−CH−CHPh−O−、および−CHPh−CH−O−の群から選択されてもよく、式中、Phはフェニルであり、Vinはビニルである]を、無機塩(S)および酵素(E)からなる群から選択される少なくとも1個の不均一触媒の存在で(メタ)アクリル酸を用いてエステル化するかまたは少なくとも1個の(メタ)アクリル酸エステル(D)を用いてエステル交換することを特徴とするN−ヒドロキシアルキル化アミドから(メタ)アクリレートを製造する方法。
【請求項2】
が非置換またはモノ置換された窒素(N−R)である請求項1記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1種の無機塩(S)が7.0より大きくなく、1.0より小さくないpK値および25℃で1g/lより大きくない反応媒体中の溶解度を有する請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
無機塩が炭酸塩(CO2−)、炭酸水素塩(HCO)、燐酸塩(PO3−)、燐酸水素塩(HPO2−)、燐酸二水素塩(HPO)、硫酸塩(SO2−)、亜硫酸塩(SO2−)、およびカルボキシレート(R−COO)からなる群から選択される少なくとも1種のアニオンを有し、RはC〜C18−アルキルまたは1個以上の酸素原子および/または硫黄原子によりおよび/または1個以上の置換されたまたは置換されていないイミノ基により中断されていてもよいC〜C18−アルキルまたはC〜C12−アリールを表す請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
無機塩がアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、セリウム、鉄、マンガン、クロム、モリブデン、コバルト、ニッケルまたは亜鉛からなる群から選択される少なくとも1種のカチオンを有する請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
無機塩がLiPO、KPO,NaPO、KCO、およびNaCOおよびこれらの水和物からなる群から選択される請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
酵素がエステラーゼ(EC3.1−.−)、リパーゼ(EC3.1.1.3)、グリコシラー背(EC3.2−.−)およびプロテアーゼ(EC3.4−.−)からなる群から選択される請求項1または2記載の方法。
【請求項8】
酵素がNovozym(登録商標)435(カンジダアンタルクチアBからのリパーゼ)、アルカリゲネス種、アスペルギルス種、ムコル種、ペニシリウム種、ゲオトリクム種、リゾプス種、ブルクホルデリア種、カンジダ種、シュードモナス種、テルモミセス種またはブタ膵臓からのリパーゼからなる群から選択される請求項7記載の方法。
【請求項9】
生成物(C)または(O)が反応終了後にエダクトとして使用される(メタ)アクリル酸エステル中の約10〜80質量%溶液として生じるように反応を実施する請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
ポリ(メタ)アクリレート中の(コ)モノマーとしてのまたは放射線硬化での請求項1から8までのいずれか1項記載の方法により製造される化合物の使用。

【公表番号】特表2008−508205(P2008−508205A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522958(P2007−522958)
【出願日】平成17年7月13日(2005.7.13)
【国際出願番号】PCT/EP2005/007576
【国際公開番号】WO2006/012980
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】