説明

N−ビアリールアミド化合物

本発明は、N−ビアリールアミド化合物、それらの製造方法、および疾患の処置および/または予防用の、そして知覚力、集中力、学習力および/または記憶力の改善用の医薬を製造するためのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、N−ビアリールアミド化合物、それらの製造方法、および疾患の処置および/または予防用の、そして知覚力、集中力、学習力および/または記憶力の改善用の医薬を製造するためのそれらの使用に関する。
【0002】
ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)は、体内で産生されるメッセンジャーのアセチルコリンによって活性化されるイオンチャネルの大型ファミリーを形成する(Galzi and Changeux, Neuropharmacol. 1995, 34, 563-582)。機能的nAChRは5個のサブユニットからなり、それらは異なってもよく(α1−9およびβ1−4、γ、δ、εサブユニットの、ある一定の組合せ)、同一であってもよい(α7−9)。このことは、筋肉、神経系および他の器官において分布の異なる様々なサブタイプの形成を導く(McGehee and Role, Annu. Rev. Physiol. 1995, 57, 521-546)。nAChRの活性化は、陽イオンの細胞内への流入、そして神経細胞または筋肉細胞の刺激を導く。個々のnAChRサブタイプの選択的活性化は、この刺激を対応するサブタイプを有する細胞タイプに限定し、従って、例えば筋肉中のnAChRの刺激などの、望まざる副作用を回避できる。ニコチンによる臨床実験および様々な動物モデルにおける実験は、中枢のニコチン性アセチルコリン受容体が学習および記憶の過程に関与することを示している(例えば、Rezvani and Levin, Biol. Psychiatry 2001, 49, 258-267)。アルファ7サブタイプのニコチン性アセチルコリン受容体(α7nAChR)は、海馬や大脳皮質などの、学習と記憶に重要な脳の領域で特に高濃度である(Seguela et al., J. Neurosci. 1993, 13, 596-604)。α7nAChRは、特に高いカルシウムイオン透過性を有し、グルタミン酸作動性神経伝達を増大させ、軸索の成長に影響を与え、かくして、神経の可塑性を調節する(Broide and Leslie, Mol. Neurobiol. 1999, 20, 1-16)。
【0003】
ある種のキヌクリジンカルボキシアニリド化合物は、抗不整脈剤および局所麻酔剤として記載されている(例えば、FR1.566.045、GB1578421 および Oppenheimer et al. Life Sci. 1991, 48, 977-985 参照)。
【0004】
WO01/60821は、学習および知覚の障害の処置用の、α7nAChRに親和性のあるビアリールカルボキサミド化合物を開示している。
【0005】
WO03/043991、WO93/055878およびWO04/013136は、キヌクリジンアミン誘導体を開示しており、WO03/051874、WO03/078431およびDE10162442.5は、学習および知覚の障害の処置用のα7−nAChRアゴニストとして適するキヌクリジン酸誘導体を開示している。
【0006】
本発明は、式
【化1】

式中、
は、式−NR−CO−NR、−NR−CO−CO−OR、−NH−SO、−SONHRまたは−NH−CO−Rの基である
[ここで、
は、水素またはC−C−アルキルであり、
およびRは、相互に独立して、水素、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキルまたはフェニルであり、これは、ハロゲン、シアノ、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシの群から相互に独立して選択される3個までの基により置換されていることもあるか、または、
およびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって5員ないし6員の複素環を形成し、
は、水素、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキルまたはアリールであり、ここで、C−C−アルキルは、アリールにより置換されていることもあり、
は、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、5員ないし6員の複素環、アリールまたは5員ないし6員のヘテロアリールであり、ここで、C−C−アルキルは、アリールにより置換されていることもあり、
は、水素、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、5員ないし6員の複素環、アリールまたは5員ないし6員のヘテロアリールであり、ここで、C−C−アルキルは、アリールにより置換されていることもあり、
は、C−C−シクロアルキル、C−C−アルキルまたはフェニルであり、ここで、C−C−アルキルはC−C−アルコキシにより置換されており、フェニルは、ハロゲン、シアノ、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシの群から相互に独立して選択される1個ないし3個の基により置換されている]、
の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物に関する。
【0007】
本発明の化合物は、式(I)の化合物およびそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物;式(I)に包含され、後述する化合物が、まだ塩、溶媒和物および塩の溶媒和物でない場合、式(I)に包含され、後述する式を有する化合物およびそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、および式(I)に包含され、例示的実施態様として後述する化合物およびそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である。
【0008】
本発明の化合物は、それらの構造によっては、立体異性体(エナンチオマー、ジアステレオマー)で存在し得る。従って、本発明は、エナンチオマーまたはジアステレオマーおよびそれらの各々の混合物に関する。立体異性的に純粋な構成分を、そのようなエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物から、既知のやり方で単離できる。
本発明の化合物は、それらの塩、溶媒和物または塩の溶媒和物の形態であってもよい。
【0009】
本発明のために好ましいは、本発明の化合物の生理的に許容し得る塩である。
本発明の化合物の生理的に許容し得る塩は、本化合物の無機酸、カルボン酸またはスルホン酸との酸付加塩であり得る。特に好ましい例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸または安息香酸との塩である。
【0010】
しかしながら、言及し得る塩はまた、常套の塩基との塩であり、例えば、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウムまたはカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウムまたはマグネシウム塩)、またはアンモニアもしくは有機アミン(例えば、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N−メチルモルホリン、ジヒドロアビエチルアミン、1−エフェナミン(ephenamine)またはメチルピペリジンなど)から誘導されるアンモニウム塩である。
【0011】
本発明のために、溶媒和物は、固体または液体状態で溶媒分子との配位により錯体を形成する化合物の形態に使用される用語である。水和物は、配位が水と起こる、溶媒和物の特別な形態である。
【0012】
加えて、本発明はまた、本発明の化合物のプロドラッグも包含する。用語「プロドラッグ」は、それら自体は生物学的に活性でも不活性でもよいが、それらの体内残存時間中に、(例えば、代謝または加水分解により)本発明の化合物に変換される化合物を包含する。
【0013】
本発明のために、置換基は、一般的に次の意味を有する:
アリールは、ナフチルまたはフェニル、好ましくはフェニルを表す。
−C−およびC−C−アルコキシは、各々1個ないし6個および1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシ基を表す。1個ないし4個、特に好ましくは1個ないし3個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシ基が好ましい。例として、そして好ましくは、次のものに言及し得る:メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、tert.ブトキシ、n−ペントキシおよびn−ヘキソキシ。
【0014】
−C−およびC−C−アルキルは、各々1個ないし6個および1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基を表す。1個ないし4個、特に好ましくは1個ないし3個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基が好ましい。例として、そして好ましくは、次のものに言及し得る:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、tert.ブチル、n−ペンチルおよびn−ヘキシル。
【0015】
−C−、C−C−およびC−C−シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロブチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルを表す。好ましく言及し得るものは、シクロプロピル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルであり、そして特に好ましいのは、シクロペンチルおよびシクロヘキシルである。
【0016】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を表す。フッ素、塩素および臭素が好ましい。フッ素および塩素が特に好ましい。
【0017】
5員ないし6員のヘテロアリールは、5個ないし6個の環原子を有し、S、Oおよび/またはNの系列から4個まで、好ましくは2個までのヘテロ原子を有する芳香族の基を表す。ヘテロアリール基は、炭素原子またはヘテロ原子を介して結合していてよい。例として、そして好ましくは、次のものに言及し得る:チエニル、フリル、ピロリル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、ピリジル、ピリミジニルおよびピリダジニル。
【0018】
5員ないし6員の複素環は、5個ないし6個の環原子を有し、N、O、S、SO、SO、好ましくはNおよびOの系列から3個まで、好ましくは2個までのヘテロ原子またはヘテロ基を有する複素環の基を表す。複素環の基は、飽和または部分不飽和であり得る。飽和複素環の基が好ましい。複素環の基は、炭素原子またはヘテロ原子を介して結合していてよい。例として、そして好ましくは、次のものに言及し得る:ピロリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、チオピラニル、モルホリニル。
【0019】
本発明の化合物中の基が置換されていることもある場合、断りのない限り、その基は、1個またはそれ以上の同一かまたは異なる置換基を有し得る。3個までの同一かまたは異なる置換基による置換が好ましい。
【0020】
好ましいのは、式中、
が、式−NR−CO−NR、−NR−CO−CO−OR、−NH−SO、−SONHRまたは−NH−CO−Rの基である
[ここで、
は、水素またはC−C−アルキルであり、
およびRは、相互に独立して、水素、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキルまたはフェニルであり、これは、フッ素、塩素、臭素、シアノ、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシの群から相互に独立して選択される2個までの基により置換されていることもあるか、または、
およびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって5員ないし6員の複素環を形成し、
は、水素、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキルまたはアリールであり、ここで、C−C−アルキルは、アリールにより置換されていることもあり、
は、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、5員ないし6員の複素環、アリールまたは5員ないし6員のヘテロアリールであり、ここで、C−C−アルキルは、アリールにより置換されていることもあり、
は、水素、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、5員ないし6員の複素環、アリールまたは5員ないし6員のヘテロアリールであり、ここで、C−C−アルキルは、アリールにより置換されていることもあり、
は、C−C−シクロアルキル、C−C−アルキルまたはフェニルであり、ここで、C−C−アルキルは、C−C−アルコキシにより置換されており、フェニルは、フッ素、塩素、臭素、シアノ、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシの群から相互に独立して選択される1個ないし2個の基により置換されている]、
式(I)の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である。
【0021】
同様に好ましいのは、式中、
が、式−NH−CO−NHR、NH−CO−CO−OH、−NH−SO、−SONHRまたは−NH−CO−Rの基である
[ここで、
は、水素、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキルまたはフェニルであり、これは、C−C−アルコキシにより置換されていることもあり、
は、C−C−アルキルまたはフェニルであり、ここで、C−C−アルキルは、フェニルにより置換されていることもあり、
は、水素またはC−C−アルキルであり、これは、フェニルにより置換されていることもあり、
は、C−C−シクロアルキル、メトキシメチルまたはフェニルであり、これは、フッ素または塩素により置換されている]、
式(I)の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である。
【0022】
同様に好ましいのは、式
【化2】

式中、Rは上記の意味を有する、
の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である。
【0023】
上述の好ましい範囲の2つまたはそれ以上の組合せが、ことさら特に好ましい。
【0024】
本発明はさらに、本発明の化合物の製造方法に関し、その方法は、以下を特徴とする。
[A]式
【化3】

(式中、Xは、ヒドロキシまたは適する脱離基、例えば、塩素またはペンタフルオロフェノキシである)
の化合物を、式
【化4】

(式中、Rは、上述の意味を有する)
の化合物と、不活性溶媒中、適するならば縮合剤の存在下、適するならば塩基の存在下に反応させる、
または、
[B]式(II)の化合物を、最初に式
【化5】

(式中、Yは、適する脱離基、例えば、トリフレートまたはハロゲン、好ましくは臭素またはヨウ素である)
の化合物と、適するならば不活性溶媒中、適するならば縮合剤の存在下、適するならば塩基の存在下で反応させ、式
【化6】

(式中、Yは、上述の意味を有する)
の化合物を得、次いで、後者を、式
【化7】

(式中、Rは、上述の意味を有し、そして、Rは、水素またはメチルであるか、または、2つの基が一緒になってCHCHまたはC(CH−C(CH架橋を形成する)
の化合物と、不活性溶媒中、適する触媒の存在下、塩基の存在下、カップリング反応で反応させる、
そして、得られる本発明の化合物を、適するならば適切な(i)溶媒および/または(ii)塩基もしくは酸と反応させ、これらの溶媒和物、塩および/または塩の溶媒和物を得る。
【0025】
Xが脱離基であるならば、好ましいのは、塩素、メシルオキシおよびイソブチルオキシカルボニルオキシ、特に塩素である。
【0026】
工程(II)+(III)→(I)および(II)+(IV)→(V)のための不活性溶媒の例は、塩化メチレン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、1,2−ジクロロエタンもしくはトリクロロエチレンなどのハロ炭化水素、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテルもしくはジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、ベンゼン、キシレン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサンもしくは石油留分などの炭化水素、またはニトロメタン、酢酸エチル、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルもしくはピリジンなどの他の溶媒である。ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、塩化メチレンまたはクロロホルムが好ましい。
【0027】
工程(II)+(III)→(I)および(II)+(IV)→(V)のための縮合剤は、例えば、N,N'−ジエチル−、N,N'−ジプロピル−、N,N'−ジイソプロピル−、N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N−(3−ジメチルアミノイソプロピル)−N'−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)、N−シクロヘキシルカルボジイミド−N'−プロピルオキシメチルポリスチレン(PS−カルボジイミド)などのカルボジイミド類、または、カルボニルジイミダゾールなどのカルボニル化合物、または、2−エチル−5−フェニル−1,2−オキサゾリウム−3−サルフェートもしくは2−tert−ブチル−5−メチルイソオキサゾリウムパークロレートなどの1,2−オキサゾリウム化合物、または、2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリンなどのアシルアミノ化合物、または、プロパンホスホン酸無水物、または、イソブチルクロロホルメート、または、ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスホリルクロリド、または、ベンゾトリアゾリルオキシ−トリ(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、または、O−(ベンゾトリアゾ−ル−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、2−(2−オキソ−1−(2H)−ピリジル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TPTU)、または、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、または、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、またはこれらの混合物である。
【0028】
適するならば、これらの縮合剤を、例えば1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)などの補助求核剤の存在下で使用するのが有利であり得る。
【0029】
ジメチルホルムアミド中の、HATU、またはN−(3−ジメチルアミノイソプロピル)−N'−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)の組合せが特に好ましい。
【0030】
工程(II)+(III)→(I)および(II)+(IV)→(V)のための塩基の例は、例えば、ナトリウムもしくはカリウムの炭酸もしくは重炭酸塩などのアルカリ金属炭酸塩、または、トリエチルアミンなどのトリアルキルアミン、もしくはN−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、4−ジメチルアミノピリジンもしくはジイソプロピルエチルアミンなどの有機塩基である。
【0031】
工程(II)+(III)→(I)および(II)+(IV)→(V)は、好ましくは、室温ないし50℃の温度範囲で、大気圧下で実行する。
【0032】
工程(V)+(VI)→(I)のための不活性溶媒の例は、ジオキサン、テトラヒドロフランもしくは1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、ベンゼン、キシレンもしくはトルエンなどの炭化水素、ニトロベンゼン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドもしくはN−メチルピロリドンなどの他の溶媒である。例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドもしくは1,2−ジメトキシエタンなどの溶媒が好ましい。
【0033】
工程(V)+(VI)→(I)に適する触媒は、例えば、鈴木カップリングに通例のパラジウム触媒であり、触媒について好ましいのは、例えば、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、パラジウム(II)アセテートまたはビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)クロリドである(例えば、A. Suzuki, Acc. Chem. Res. 1982, 15, 178ff; Miyaura et al., J. Am. Chem. Soc. 1989, 111, 314 参照)。
【0034】
工程(V)+(VI)→(I)に適する塩基は、例えば酢酸カリウム、炭酸セシウム、カリウムもしくはナトリウム、水酸化バリウム、カリウムtert−ブトキシド、フッ化セシウムまたはリン酸カリウムである。炭酸セシウムまたは炭酸ナトリウムが好ましい。
【0035】
工程(V)+(VI)→(I)は、好ましくは、室温ないし130℃の温度範囲で、大気圧下で実行する。
【0036】
一般式(II)および(VI)の化合物は、知られているか、または、適切な前駆体から既知方法により合成できる[例えば、一般式(II)の化合物について:Kato et al., Chem. Pharm. Bull. 1995, 43, 1351-1357; Orlek et al., J. Med. Chem. 1991, 34, 2726-2735; Plate et al., Bioorg. Med. Chem. 2000, 8, 449-454;一般式(VI)の化合物について:D.S. Matteson, in: Stereodirected Synthesis with Organoboranes, edited by K. Hafner, C.W. Rees, B.M. Trost, J.-M. Lehn, P. v. Rague Schleyer, Springer-Verlag, Heidelberg 1995; H.C. Brown, G.W. Kramer, A.B. Levy, M.M. Midland, Organic Synthesis via Boranes, Wiley, New York 1975; A. Pelter, K. Smith, H.C. Brown, Borane Reagents, Academic Press, London 1988 参照]。
【0037】
式(III)および(IV)の化合物は、同様に、知られているか、または、適切な前駆体から既知方法により合成できる(例えば、Comprehensive Heterocyclic Chemistry, Katritzky et al., editors, Elsevier, 1996 参照)。従って、例えば、安息香酸誘導体は、次の合成スキームに示す通りに、対応するカルボニルアジドの対応するアニリン誘導体への転位(クルチウス(Curtius)分解)により変換できる(例えば、S. Deprets, G. Kirsch, Eur. J. Org. Chem. 2000, 7, 1353ff 参照):
合成スキーム
【化8】

【0038】
本発明の化合物は、ヒトおよび/または動物において疾患を処置および/または予防するための医薬として使用するのに適する。
本発明の化合物は、予想し得なかった価値ある薬理効果の範囲を示す。
それらは、α7nAChRのリガンド、特にアゴニストとして傑出している。
【0039】
本発明の化合物は、それらの薬理的特性のために、単独で、または認識障害、特にアルツハイマー病の処置および/または予防用の他の医薬と組み合わせて、用いることができる。α7nAChRアゴニストとしてのそれらの選択的効果のために、本発明の化合物は、特に、例えば、軽度認識障害、加齢関連学習記憶障害、加齢関連記憶喪失、血管性痴呆、頭蓋大脳性外傷、卒中、卒中後に発生する痴呆(卒中後痴呆)、外傷後の頭蓋大脳性外傷、一般的集中障害、学習記憶に問題をもつ小児の集中障害、注意欠陥多動性障害、アルツハイマー病、レビー小体痴呆、ピック病を含む前頭葉変性を伴う痴呆、パーキンソン病、進行性核麻痺、皮質基質変性を伴う痴呆、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病、多発性硬化症、視床変性、クロイツフェルト・ヤコブ病痴呆、HIV痴呆、統合失調症、痴呆を伴う統合失調症またはコルサコフ精神病などの状態/疾患/症候群において生じるもののような認識障害の後に、知覚力、集中力、学習力または記憶力を改善するのに特に適する。
【0040】
本発明はさらに、本発明の化合物の有効量を使用することによる、障害、特に上述の障害の処置および/または予防方法に関する。
【0041】
本発明の化合物は、単独で、または、神経変性障害の後遺症の予防および処置用の他の有効成分と組み合わせて、用いることができる。神経変性障害の言及し得る好ましい例は、アルツハイマー病およびパーキンソン病である。
【0042】
本発明の化合物は、単独で、または、急性および/または慢性疼痛(分類には、"Classification of Chronic Pain, Descriptions of Chronic Pain Syndromes and Definitions of Pain Terms", 2nd edition, Meskey and Begduk, editors; IASP Press, Seattle, 1994 を参照)の予防および処置用、特に癌に誘導される疼痛、および、例えば、糖尿病性神経障害、ヘルペス後神経痛、末梢神経損傷、中枢性疼痛(例えば、脳虚血の結果として)および三叉神経痛に関連するもののような慢性神経因性疼痛、および、例えば、腰痛、背中の痛み(下背部痛)またはリウマチ性疼痛などの他の慢性疼痛の処置用の他の医薬と組み合わせて、用いることができる。加えて、これらの有効成分は、いかなる起源の一次急性疼痛、およびそこから生じる二次的疼痛状態の治療にも、そして以前は急性であったが慢性化した疼痛状態の治療にも適する。
【0043】
本発明の化合物のインビトロでの効果は、以下のアッセイで示すことができる:
1.ラットの脳の膜への[H]−メチルリカコニチン結合の阻害による、試験物質のα7nAChR親和性の測定
H]−メチルリカコニチン結合アッセイは、Davies et al. (Neuropharmacol. 1999, 38, 679-690)により記載された方法の変法である。
ラットの脳組織(海馬または全脳)を、ホモジナイゼーション緩衝液(10%w/v、0.32Mショ糖、1mM EDTA、0.1mMフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)、0.01%(w/v)NaN、pH7.4、4℃)中、ガラスホモジナイザー中、600rpmでホモジナイズする。ホモジネートを遠心分離し(1000xg、4℃、10分間)、上清を除去する。ペレットを再懸濁(20%w/v)し、懸濁液を遠心分離する(1000xg、4℃、10分間)。2つの上清を合わせ、遠心分離する(15000xg、4℃、30分間)。このペレットを、P2画分と称する。
【0044】
P2ペレットを、2回、結合緩衝液(50mM Tris−HCl、1mM MgCl、120mM NaCl、5mM KCl、2mM CaCl、pH7.4)で洗浄し、遠心分離する(15000xg、4℃、30分間)。
このP2膜を結合緩衝液に再懸濁し、250μl(膜タンパク質の量0.1−0.5mg)の体積で、1−5nM[H]−メチルリカコニチン、0.1%(w/v)BSA(ウシ血清アルブミン)および様々な濃度の試験物質の存在下、21℃で2.5時間インキュベートする。非特異的結合を、1μM □−ブンガロトキシンまたは100μMニコチンまたは10μM MLA(メチルリカコニチン)の存在下でのインキュベーションにより決定する。
【0045】
PBS(20mM NaHPO、5mM KHPO、150mM NaCl、pH7.4、4℃)4mlを添加し、事前に0.3%(v/v)ポリエチレンイミン(PEI)中に3時間置いたタイプA/Eガラス繊維濾紙(Gelman Sciences)を通して濾過することにより、インキュベーションを停止する。PBS(4℃)4mlで濾紙を2回洗浄し、結合した放射能をシンチレーション計測により測定する。全アッセイは3重に実行する。化合物のIC50(受容体に結合したリガンドの50%が置き換えられる、試験物質の濃度)、[H]−メチルリカコニチンの解離定数Kおよび濃度Lから、試験物質の解離定数Kを決定する(K=IC50/(1+L/K))。
【0046】
H]−メチルリカコニチンの代わりに、例えば、[125I]−α−ブンガロトキシンなどの他のα7nAChR選択的放射性リガンド、または他のnAChRの阻害剤と一緒に非選択的nAChR放射性リガンドを用いることも可能である。
【0047】
本発明の化合物の効果に関する代表的なインビトロのデータを、表Aに示す:
表A
【表1】

【0048】
本発明の化合物の認識障害の処置への適合性は、以下の動物モデルで示すことができる:
2.物体認識試験
物体認識試験は、記憶力試験である。それは、既知物体と未知物体を区別するラット(およびマウス)の能力を測定する。
この試験は、Blokland et al., NeuroReport 1998, 9, 4205-4208; A. Ennaceur, J. Delacour,. Behav. Brain Res. 1988, 31, 47-59; A. Ennaceur, K. Meliani., Psychopharmacology 1992, 109, 321-330; および Prickaerts et al., Eur. J. Pharmacol. 1997, 337, 125-136 に記載されている通りに実行する。
【0049】
第1ランでは、ラットを、それら以外は空である比較的大きいサイズの観察域において、2つの同一物体に直面させる。ラットは、両物体を詳細に調べる;即ち、臭いをかぎ回ったり、触ったりする。第2ランでは、24時間の間隔の後、ラットを再び観察域に置く。今度は既知物体の一方を新しい未知物体で置きかえておく。ラットが既知物体を認識するならば、それは未知物体を調べるのに集中するであろう。しかしながら、24時間後では、ラットは、通常第1ランでどちらの物体を調べたかを忘れてしまっており、両物体を同程度に調べるであろう。学習力および記憶力の改善効果を有する物質の投与は、ラットが第1ランで24時間前に見た物体を既知と認識するように導くであろう。それは、新しい未知物体を、既知のものよりも詳細に調べるであろう。この記憶力は、識別指数で表現される。識別指数0は、ラットが両物体、即ち古いものと新しいものを、等しい時間調べることを意味する;即ち、それは古い物体を認識せず、両物体が未知で新しいかのように反応することを意味する。0より大きい識別指数は、ラットが古い物体よりも新しい物体を長く調べることを、即ち、ラットが古い物体を認識したことを意味する。
【0050】
3.社会的認識試験:
社会的認識試験は、試験物質の学習力または記憶力改善効果を調べる試験である。
群れで飼育した成体ラットを、試験開始30分前に、一匹ずつ試験ケージに入れる。試験開始4分前に、試験動物を観察箱に入れる。この適応時間の後、幼若動物を試験動物と共に入れ、成体動物が幼若動物を調べる総時間を2分間測定する(試行1)。年少の動物に対して明らかに向けられた全行動、即ち、その間年長の動物が年少の動物から1cm以上離れずにした、肛門性器の調査、追跡および毛繕い、を測定する。その後幼若の動物を取り出し、成体を試験ケージに残す(24時間の保留のためには、この動物をそのホームケージへ戻す)。最初の試験の前または後に、試験動物を物質で処置する。処置の時機により、年少の動物に関する学習または情報の蓄積は、その物質に影響され得る。一定期間(保留)の後、試験を繰り返す(試行2)。試行1および2で測定される調査時間の差が大きいほど、成体動物が年少動物をよく覚えていることを意味する。
【0051】
本発明の化合物は、ヒトおよび動物用の医薬としての使用に適する。
本発明はまた、不活性、非毒性の医薬的に適する賦形剤および担体の他に、1種またはそれ以上の本発明の化合物を含有するか、または、1種またはそれ以上の本発明の化合物からなる医薬製剤、およびこれらの製剤の製造方法を含む。
【0052】
本発明の化合物は、これらの製剤中に、混合物全体の0.1ないし99.5重量%、好ましくは0.5ないし95重量%の濃度で存在すべきである。
本発明の化合物の他に、本医薬製剤は、他の有効医薬成分を含有してもよい。
上述の医薬製剤は、既知方法により、常套のやり方で、例えば賦形剤または担体を使用して、製造できる。
【0053】
新規有効成分は、既知方法で、不活性、非毒性の医薬的に適する担体または溶媒を使用して、錠剤、被覆錠剤、丸剤、顆粒剤、エアゾル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤および液剤などの常套の製剤に変換できる。これらの場合、治療的に活性な化合物は、各場合で混合物全体の約0.5ないし90重量%の濃度で、即ち、上述の用量範囲に達するのに十分な量で、存在すべきである。
【0054】
製剤は、例えば、適するならば乳化剤および/または分散剤を使用して、有効成分を溶媒および/または担体で希釈することにより製造する。例えば、水を希釈剤として使用するとき、適するならば有機溶媒を補助溶媒として使用することが可能である。
【0055】
投与は常套のやり方で、好ましくは経口、経皮または非経腸、特に経舌または静脈内で行う。しかしながら、例えばスプレーを利用して口または鼻を通して吸入によって、または皮膚を介して局所的に行うこともできる。
【0056】
約0.001ないし10mg/体重kg、経口投与では好ましくは約0.005ないし3mg/体重kgの量を投与するのが、有効な結果を達成するのに有利であると一般的に判明した。
【0057】
それでもやはり、適するならば、特に、体重または投与様式、医薬に対する個体の挙動、その製剤の性質および投与を行う時間または間隔に応じて、上述の量からはずれることが必要であり得る。従って、上述の最小量より少なくても十分な場合があり得、一方上述の上限を超えなければならない場合もある。大量に投与する場合、これらを一日にわたり数回の単回用量に分割することが望ましい。
【0058】
略号:
【表2】

【0059】
HPLCおよびLC−MSの方法:
方法1:
器具:DAD 検出を有するHP 1100;カラム:Kromasil RP-18, 60 mm x 2 mm, 3.5 μm;溶離剤A:HClO5ml/HO1L、溶離剤B:アセトニトリル;勾配:0分2%B、0.5分2%B、4.5分90%B、6.5分90%B;流速:0.75ml/分;温度:30℃;UV検出:210nm。
【0060】
方法2:
MS器具タイプ:Micromass ZQ;HPLC器具タイプ:Water Alliance 2790;カラム:Grom-Sil 120 ODS-4 HE 50 mm x 2 mm, 3,0 μm;溶離剤B:アセトニトリル+0.05%蟻酸;溶離剤A:水+0.05%蟻酸;勾配:0.0分5%B→2.0分40%B→4.5分90%B→5.5分90%B;オーブン:45℃;流速:0.0分0.75ml/分→4.5分0.75ml/分→5.5分1.25ml/分;UV検出:210nm。
【0061】
方法3:
MS器具タイプ:Micromass ZQ;HPLC器具タイプ:HP 1100 series; UV DAD;カラム:Grom-Sil 120 ODS-4 HE 50 mm x 2 mm, 3,0 μm;溶離剤A:水+50%蟻酸500μl/L、溶離剤B:アセトニトリル+50%蟻酸500μl/L;勾配:0.0分0%B→2.9分70%B→3.1分90%B→4.5分90%B;オーブン:50℃;流速:0.8ml/分;UV検出:210nm。
【0062】
出発化合物:
実施例1A
(rac)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−カルボニトリル
【化9】

3−キヌクリジノン20.4g(163mmol)および(4−トルエンスルホニル)メチルイソシアニド41.4g(212mmol)を、1,2−ジメトキシエタン435mlおよび乾燥エタノール16mlに、氷冷しながら導入する。カリウムtert−ブトキシド45.7g(407mmol)を温度が10℃より高く上がらないようにゆっくりと添加する。次いで混合物を40℃で2.5時間加熱する。RTに冷却後、得られる固体を濾過する。濾液を濃縮し、中性アルミナでクロマトグラフィーする(移動相:ジクロロメタン→酢酸エチル→酢酸エチル/メタノール50:1)。ラセミ体生成物22.9g(定量的)を、わずかに純粋でない形態で得る。
【0063】
実施例2A
(R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−カルボニトリル
【化10】

実施例1A由来ラセミ体のエナンチオマー分離を、キラル相のHPLC;[カラム:Daicel Chiralpak AD 250 mm x 20 mm;溶離剤:水5%、アセトニトリル87%、ジエチルアミン2%を含むアセトニトリル8%;流速:10ml/分;検出:220nm;注入量:0.3ml]により行う。表題化合物8.7g(理論値の87%)をラセミ体の1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−カルボニトリル20gの分離から単離する。
=6.19分[Chiralpak AD 250 mm x 4.6 mm, 10 μm;溶離剤:水5%、ジエチルアミン2%を含むアセトニトリル95%;温度:30℃;流速:1.0ml/分]
【0064】
実施例3A
(R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−カルボン酸
【化11】

(R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−カルボニトリル(実施例2A)7.50g(55.1mmol)を、濃塩酸78mlと一緒に還流下で4時間加熱する。溶媒を減圧下で除去し、トルエンで数回蒸留して残っている水を除去する。依然として無機塩を含有する表題物質12.9gを得、これ以上精製せずに反応させる。
【0065】
実施例4A
(3R)−N−(4−ブロモフェニル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−カルボキサミド
【化12】

(R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−カルボン酸(実施例3A)9.17g(47.8mmol)を、塩化チオニル160mlと一緒に還流下で1時間加熱する。過剰の塩化チオニルを減圧下で除去し、トルエンと一緒に共沸蒸留することにより残渣を除去する。こうして得られる酸塩化物を、4−ブロモアニリン8.19g(47.6mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン24.6ml(190.4mmol)と一緒に、DMF59ml中、RTで72時間撹拌する。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物をシリカゲル60上のクロマトグラフィー(移動相:ジクロロメタン→ジクロロメタン/メタノール/トリエチルアミン70:30:2)により精製する。生成物画分を一緒にし、真空で濃縮し、残渣を高真空下で乾燥させる。表題化合物5.5g(理論値の37%)を単離する。絶対配置を結晶構造の単結晶解析により割り当てた。
1H-NMR (200 MHz, DMSO-d6): δ = 10.06 (s, 1H), 7.70-7.40 (m, 4H), 3.30-3.10 (m, 1H), 2.94-2.45 (m, 6H), 2.15-2.04 (m, 1H), 1.73-1.45 (m, 3H), 1.45-1.15 (m, 1H).
HPLC(方法1):R=3.84分
MS(ESIpos):m/z=309(M+H)
【0066】
実施例5A
(3R)−キヌクリジン−3−カルボニルクロリド塩酸塩
【化13】

塩化オキサリル8.18g(64.43mmol)を、トルエン10ml中の(R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−カルボン酸(実施例3A)2.0g(12.89mmol)の溶液に滴下して添加する。室温で18時間撹拌した後、反応混合物を真空で濃縮し、トルエンと2回共蒸留する。高真空下で乾燥させ、表題化合物2.31g(理論値の85.2%)を得る。これをこれ以上精製せずにさらに反応させる。
【0067】
実施例6A
(3R)−N−(4'−ニトロビフェニル−4−イル)キヌクリジン−3−カルボキサミド塩酸塩
【化14】

炭酸カリウム480mg(3.50mmol)を、アルゴン下で製造したジオキサンとDMFの10:1混合物11ml中の(3R)−キヌクリジン−3−カルボニルクロリド塩酸塩(実施例5A)490mg(2.33mmol)および4−アミノ−4'−ニトロビフェニル250mg(1.17mmol)の混合物に添加する。反応混合物を100℃で18時間撹拌し、次いで濃縮する。残渣をメタノールに懸濁し、濾過する。濾過残渣を水で洗浄し、アセトニトリルと1N塩酸の3:1混合物20mlと混合し、再度濃縮し、高真空下で乾燥させる。上記の濾液を分取HPLCにより精製する。生成物画分を濃縮し、アセトニトリルと1N塩酸の3:1混合物5mlに取り、再度濃縮し、高真空下で乾燥させる。表題化合物291mg(理論値の61.7%)を濾過残渣から得、さらに65mg(理論値の12.4%)を濾液からこのやり方で得る。
HPLC(方法1):R=4.13分
MS(ESIpos):m/z=352(M+H)
【0068】
実施例7A
(3R)−N−(4'−アミノビフェニル−4−イル)キヌクリジン−3−カルボキサミド二塩酸塩
【化15】

メタノール10mlおよび2N塩酸5ml中の(3R)−N−(4'−ニトロビフェニル−4−イル)キヌクリジン−3−カルボキサミド(実施例6A)739mg(2.10mmol)の溶液を、大気圧下で、炭素上の5%パラジウム448mg(0.21mmol)の存在下、2h水素化する。珪藻土を通して濾過し、続いてメタノールで洗浄し、濾液を濃縮し、高真空下で乾燥させる。表題化合物755mg(理論値の89.2%)を得る。
HPLC(方法1):R=3.04分
MS(ESIpos):m/z=322(M+H)
【0069】
実施例8A
(3R)−N−(3'−アミノビフェニル−4−イル)キヌクリジン−3−カルボキサミド二塩酸塩
【化16】

DMF3ml中の(3R)−N−(4−ブロモフェニル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−カルボキサミド(実施例4A)200mg(0.58mmol)、3−アミノフェニルボロン酸半硫酸塩(hemisulfate)215.2mg(0.58mmol)、3N水酸化ナトリウム溶液579μl(1.74mmol)およびPdCl(dppf)21.2mg(0.03mmol)の脱気混合物を、90℃で18時間加熱する。RTに冷却し、続いて分取HPLCにより精製する。生成物画分を濃縮し、1N塩酸3mlと混合し、再度濃縮する。高真空下で乾燥させ、表題化合物146mg(理論値の39.4%)を得、これ以上精製せずにさらに反応させる。
【0070】
実施例9A
N−ベンジル−4'−ニトロビフェニル−4−スルホンアミド
【化17】

ベンジルアミン0.28ml(2.52mmol)を、DMF2.0ml中の4'−ニトロビフェニル−4−スルホニルクロリド150mg(0.50mmol)の溶液に添加する。室温で18時間後、水2.5mlを反応混合物に添加する。得られる沈殿を吸引濾過し、高真空下で乾燥させる。表題化合物159mg(理論値の74.4%)を得、これ以上精製せずにさらに反応させる。
LC−MS(方法3):R=3.83分;m/z=369(M+H)
【0071】
実施例10A
4'−アミノ−N−ベンジルビフェニル−4−スルホンアミド
【化18】

塩化スズ(II)二水和物416.5mg(1.85mmol)を、DMF2.0ml中のN−ベンジル−4'−ニトロビフェニル−4−スルホンアミド(実施例9A)136mg(0.37mmol)の溶液に添加する。室温で18時間後、反応混合物を分取HPLCにより精製する。生成物画分を真空で濃縮し、高真空下で乾燥させる。表題化合物117mg(理論値の84.3%)を得る。
HPLC(方法1):R=3.91分
MS(ESIpos):m/z=339(M+H)
【0072】
実施例11A
N−イソプロピル−4'−ニトロビフェニル−4−スルホンアミド
【化19】

イソプロピルアミン0.22ml(2.52mmol)を、DMF2.0ml中の4'−ニトロビフェニル−4−スルホニルクロリド150mg(0.50mmol)の溶液に添加する。室温で18時間後、水2.5mlを反応混合物に添加する。得られる沈殿を吸引濾過し、高真空下で乾燥させる。表題化合物126mg(理論値の64.4%)を得、これ以上精製せずにさらに反応させる。
LC−MS(方法3):R=3.66分;m/z=321(M+H)
【0073】
実施例12A
4'−アミノ−N−イソプロピルビフェニル−4−スルホンアミド
【化20】

塩化スズ(II)二水和物288.8mg(1.28mmol)を、DMF2.0ml中のN−イソプロピル−4'−ニトロビフェニル−4−スルホンアミド(実施例11A)100mg(0.26mmol)の溶液に添加する。室温で18時間後、反応混合物を分取HPLCにより精製する。生成物画分を真空で濃縮し、高真空下で乾燥させる。表題化合物47mg(理論値の63.2%)を得る。
HPLC(方法1):R=3.57分
MS(DCI):m/z=291(M+H)
【0074】
例示的実施態様:
実施例1
[(4'−{[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イルカルボニル]アミノ}ビフェニル−4−イル)アミノ](オキソ)酢酸塩酸塩
【化21】

炭酸カリウム300mg(2.14mmol)を、アルゴン下で製造したジオキサンとDMFの10:1混合物11ml中の(3R)−キヌクリジン−3−カルボニルクロリド塩酸塩(実施例5A)300mg(1.43mmol)および[(4'−アミノビフェニル−4−イル)アミノ](オキソ)酢酸[CAS登録番号100872−66−0]180mg(0.71mmol)の混合物に添加する。100℃で18時間後、反応混合物を真空で濃縮し、残渣を水およびアセトニトリルに溶解し、分取HPLCにより精製する。濃縮した生成物画分を、アセトニトリルと1N塩酸の2:1混合物5mlと混合し、再度濃縮する。高真空下で乾燥させ、表題化合物64mg(理論値の20.3%)を得る。
HPLC(方法1):R=3.40分
MS(ESIpos):m/z=350(M+H)
【0075】
実施例2
(3R)−N−{4'−[(メチルスルホニル)アミノ]ビフェニル−4−イル}キヌクリジン−3−カルボキサミド塩酸塩
【化22】

炭酸カリウム300mg(2.14mmol)を、アルゴン下で製造したジオキサンとDMFの10:1混合物11ml中の(3R)−キヌクリジン−3−カルボニルクロリド塩酸塩(実施例5A)300mg(1.43mmol)およびN−(4'−アミノビフェニル−4−イル)メチルスルホンアミド[CAS登録番号82315−47−7]187mg(0.71mmol)の混合物に添加する。100℃で18時間後、反応混合物を真空で濃縮し、残渣を水およびアセトニトリルに溶解し、分取HPLCにより精製する。濃縮した生成物画分を、アセトニトリルと1N塩酸の2:1混合物5mlと混合し、再度濃縮する。高真空下で乾燥させ、表題化合物186mg(理論値の58.3%)を得る。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 10.45 (s, 1H), 10.19 (br. s, 1H), 9.80 (s, 1H), 7.71 (m, 2H), 7.61 (m, 4H), 7.28 (m, 2H), 3.60 (dd, 1H), 3.42-3.10 (m, 6H), 3.01 (s, 3H), 2.45 (m, 1H), 1.93 (m, 2H), 1.76 (m, 2H).
HPLC(方法1):R=3.59分
MS(ESIpos):m/z=400(M+H)
【0076】
実施例3
(3R)−N−{3'−[(メチルスルホニル)アミノ]ビフェニル−4−イル}キヌクリジン−3−カルボキサミド塩酸塩
【化23】

トリエチルアミン63.6μl(0.46mmol)およびメタンスルホニルクロリド21.2μl(0.27mmol)を、DMF1ml中の(3R)−N−(3'−アミノビフェニル−4−イル)キヌクリジン−3−カルボキサミド二塩酸塩(実施例8A)60mg(0.09mmol)の溶液に室温で添加する。室温で18時間後、反応混合物をアセトニトリルと水の1:1混合物で希釈し、分取HPLCにより精製する。生成物画分を濃縮し、1N塩酸1mlに取り、再度濃縮し、高真空下で乾燥させる。表題化合物14mg(理論値の35.2%)を得る。
HPLC(方法1):R=3.70分
LC−MS(方法2):R=2.45分;m/z=400(M+H)
【0077】
実施例4
(3R)−N−{4'−[(エチルスルホニル)アミノ]ビフェニル−4−イル}キヌクリジン−3−カルボキサミド塩酸塩
【化24】

エタンスルホニルクロリド39.1mg(0.30mmol)およびトリエチルアミン84.8μl(0.61mmol)を、DMF0.5ml中の((3R)−N−(4'−アミノビフェニル−4−イル)キヌクリジン−3−カルボキサミド二塩酸塩(実施例7A)60mg(0.15mmol)の溶液に添加する。室温で18時間後、反応混合物を分取HPLCにより精製する。生成物画分を濃縮し、アセトニトリルと1N塩酸の1:1混合物2mlと混合し、再度濃縮し、高真空下で乾燥させる。表題化合物26mg(理論値の35.2%)を得る。
HPLC(方法1):R=3.71分
MS(ESIpos):m/z=414(M+H)
【0078】
実施例5
(3R)−N−{4'−[(フェニルスルホニル)アミノ]ビフェニル−4−イル}キヌクリジン−3−カルボキサミド塩酸塩
【化25】

ピリジン1.0ml中の((3R)−N−(4'−アミノビフェニル−4−イル)キヌクリジン−3−カルボキサミド二塩酸塩(実施例7A)80mg(0.20mmol)およびフェニルスルホニルクロリド71.7mg(0.41mmol)の溶液を、室温で18時間撹拌する。反応混合物を真空で濃縮し、残渣を分取HPLCにより精製する。生成物画分を濃縮し、1N塩酸3mlと混合し、再度濃縮し、高真空下で乾燥させる。表題化合物52mg(理論値の51.5%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 10.40 (s, 1H), 10.37 (s, 1H), 9.85 (br. s, 1H), 7.80 (m, 2H), 7.66 (m, 2H), 7.63-7.49 (m, 7H), 7.17 (m, 2H), 3.61 (dd, 1H), 3.43-3.17 (m, 5H), 3.11 (m, 1H), 2.41 (m, 1H), 1.92 (m, 2H), 1.73 (m, 2H).
HPLC(方法1):R=4.05分
MS(ESIpos):m/z=462(M+H)
【0079】
実施例6
(3R)−N−{4'−[(ベンジルスルホニル)アミノ]ビフェニル−4−イル}キヌクリジン−3−カルボキサミド塩酸塩
【化26】

ピリジン1.0ml中の((3R)−N−(4'−アミノビフェニル−4−イル)キヌクリジン−3−カルボキサミド二塩酸塩(実施例7A)80mg(0.20mmol)およびフェニルメタンスルホニルクロリド77.4mg(0.41mmol)の溶液を室温で18時間撹拌する。反応混合物を真空で濃縮し、残渣を分取HPLCにより精製する。生成物画分を濃縮し、1N塩酸3mlと混合し、再度濃縮し、高真空下で乾燥させる。表題化合物34mg(理論値の32.7%)を得る。
HPLC(方法1):R=4.12分
MS(ESIpos):m/z=476(M+H)
【0080】
実施例7
(3R)−N−[4'−(アミノスルホニル)ビフェニル−4−イル]キヌクリジン−3−カルボキサミド塩酸塩
【化27】

炭酸カリウム213.5mg(1.54mmol)を、アルゴン下で製造したジオキサンとDMFの10:1混合物5.5ml中の(3R)−キヌクリジン−3−カルボニルクロリド塩酸塩(実施例5A)216.3mg(1.03mmol)および(4'−アミノ−4−ビフェニル)スルホンアミド127.8mg(0.51mmol)の混合物に添加する。100℃で18時間後、さらに216.3mg(1.03mmol)の(3R)−キヌクリジン−3−カルボニルクロリド塩酸塩を添加する。さらに100℃で18時間後、生成物をアセトニトリル/水(2:1)の添加により沈殿させる。高真空下で乾燥させ、表題化合物148mg(理論値の71.9%)を得る。
1H-NMR (200 MHz, DMSO-d6): δ = 10.06 (s, 1H), 7.92-7.80 (m, 4H), 7.79-7.68 (m, 4H), 7.39 (s, 2H), 3.22 (dd, 1H), 2.93-2.58 (m, 6H), 2.09 (m, 1H), 1.60 (m, 3H), 1.33 (m, 1H).
HPLC(方法1):R=3.40分
MS(ESIpos):m/z=386(M+H)
【0081】
実施例8
(3R)−N−{4'−[(イソプロピルアミノ)スルホニル]ビフェニル−4−イル}キヌクリジン−3−カルボキサミド塩酸塩
【化28】

炭酸カリウム64.3mg(0.46mmol)を、アルゴン下で製造したジオキサンとDMFの10:1混合物2.2ml中の(3R)−キヌクリジン−3−カルボニルクロリド塩酸塩(実施例5A)65.1mg(0.31mmol)および4'−アミノ−N−イソプロピルビフェニル−4−スルホンアミド(実施例12A)45.0mg(0.15mmol)の混合物に添加する。100℃で18時間後、反応混合物を真空で濃縮する。残渣を水およびアセトニトリルに溶解し、分取HPLCにより精製する。生成物画分を濃縮し、アセトニトリルと1N塩酸の2:1混合物5mlと混合し、再度濃縮し、高真空下で乾燥させる。表題化合物21mg(理論値の29.2%)を得る。
HPLC(方法1):R=3.93分
MS(ESIpos):m/z=428(M+H)
【0082】
実施例9
(3R)−N−{4'−[(ベンジルアミノ)スルホニル]ビフェニル−4−イル}キヌクリジン−3−カルボキサミド塩酸塩
【化29】

炭酸カリウム73.5mg(0.60mmol)を、アルゴン下で製造したジオキサンとDMFの10:1混合物2.2ml中の(3R)−キヌクリジン−3−カルボニルクロリド塩酸塩(実施例5A)74.5mg(0.35mmol)および4'−アミノ−N−ベンジルビフェニル−4−スルホンアミド(実施例10A)60mg(0.18mmol)の混合物に添加する。100℃で18時間後、さらに74.5mg(0.35mmol)の(3R)−キヌクリジン−3−カルボニルクロリド塩酸塩を添加する。100℃でさらに24時間後、反応混合物を真空で濃縮する。残渣を水およびアセトニトリルに溶解し、分取HPLCにより精製する。生成物画分を濃縮し、アセトニトリルと1N塩酸の2:1混合物5mlと混合し、再度濃縮し、高真空下で乾燥させる。表題化合物64mg(理論値の70.5%)を得る。
HPLC(方法1):R=4.17分
MS(ESIpos):m/z=476(M+H)
【0083】
実施例10
(3R)−N−(4'−{[(メチルアミノ)カルボニル]アミノ}ビフェニル−4−イル)キヌクリジン−3−カルボキサミド
【化30】

メチルイソシアネート17.4mg(0.30mmol)およびトリエチルアミン84.8μl(0.61mmol)を、DMF0.5ml中の((3R)−N−(4'−アミノビフェニル−4−イル)キヌクリジン−3−カルボキサミド二塩酸塩(実施例7A)60mg(0.15mmol)の溶液に添加する。室温で18時間後、水5mlを反応混合物に添加する。生じる沈殿を吸引濾過し、水で洗浄し、高真空下で乾燥させる。表題化合物47mg(理論値の73.5%)を得る。
HPLC(方法1):R=3.44分
MS(ESIpos):m/z=379(M+H)
【0084】
実施例11
(3R)−N−(4'−{[(シクロペンチルアミノ)カルボニル]アミノ}ビフェニル−4−イル)キヌクリジン−3−カルボキサミド塩酸塩
【化31】

シクロペンチルイソシアネート33.8mg(0.30mmol)およびトリエチルアミン84.8μl(0.61mmol)を、DMF0.5ml中の((3R)−N−(4'−アミノビフェニル−4−イル)キヌクリジン−3−カルボキサミド二塩酸塩(実施例7A)60mg(0.15mmol)の溶液に添加する。室温で18時間後、水5mlを反応混合物に添加する。得られる沈殿を吸引濾過し、水で洗浄し、高真空下で乾燥させる。さらなる精製のために分取HPLCを実行する。生成物画分を濃縮し、1N塩酸3mlと混合し、再度濃縮し、高真空下で乾燥させる。表題化合物28mg(理論値の39.2%)を得る。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 10.33 (s, 1H), 9.95 (s, 1H), 8.51 (s, 1H), 7.67 (m, 2H), 7.58 (m, 2H), 7.50 (m, 2H), 7.44 (m, 2H), 6.29 (br. S, 1H), 3.96 (m, 1H), 3.60 (m, 1H), 3.37 (m, 1H), 3.29-3.08 (m, 5H), 2.43 (m, 1H), 1.92 (m, 2H), 1.84 (m, 2H), 1.77 (m, 2H), 1.64 (m, 2H), 1.55 (m, 2H), 1.38 (m, 2H).
HPLC(方法1):R=4.05分
MS(ESIpos):m/z=433(M+H)
【0085】
実施例12
(3R)−N−(4'−{[(エチルアミノ)カルボニル]アミノ}ビフェニル−4−イル)キヌクリジン−3−カルボキサミド
【化32】

エチルイソシアネート21.6mg(0.30mmol)およびトリエチルアミン84.8μl(0.61mmol)を、DMF0.5ml中の((3R)−N−(4'−アミノビフェニル−4−イル)キヌクリジン−3−カルボキサミド二塩酸塩(実施例7A)60mg(0.15mmol)の溶液に添加する。室温で18時間後、水5mlを反応混合物に添加する。得られる沈殿を吸引濾過し、水で洗浄し、高真空下で乾燥させる。表題化合物57mg(理論値の88.0%)を得る。
HPLC(方法1):R=3.62分
MS(ESIpos):m/z=393(M+H)
【0086】
実施例13
(3R)−N−[4'−({[(3−メトキシフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)ビフェニル−4−イル]キヌクリジン−3−カルボキサミド塩酸塩
【化33】

3−メトキシフェニルイソシアネート45.4mg(0.30mmol)およびトリエチルアミン84.8μl(0.61mmol)を、DMF0.5ml中の((3R)−N−(4'−アミノビフェニル−4−イル)キヌクリジン−3−カルボキサミド二塩酸塩(実施例7A)60mg(0.15mmol)の溶液に添加する。室温で18時間後、水5mlを反応混合物に添加する。得られる沈殿を吸引濾過し、水で洗浄し、高真空下で乾燥させる。さらなる精製のために分取HPLCを実行する。生成物画分を濃縮し、1N塩酸3mlと混合し、再度濃縮し、高真空下で乾燥させる。表題化合物22mg(理論値の27.6%)を得る。
HPLC(方法1):R=4.19分
MS(ESIpos):m/z=471(M+H)
【0087】
実施例14
(3R)−N−{4'−[(3−クロロベンゾイル)アミノ]ビフェニル−4−イル}キヌクリジン−3−カルボキサミド塩酸塩
【化34】

ピリジン1.0ml中の((3R)−N−(4'−アミノビフェニル−4−イル)キヌクリジン−3−カルボキサミド二塩酸塩(実施例7A)50mg(0.13mmol)および3−クロロベンゾイルクロリド44.4mg(0.25mmol)の溶液を、室温で3時間撹拌する。反応混合物を真空で濃縮し、残渣を分取HPLCにより精製する。生成物画分を濃縮し、1N塩酸3mlと混合し、再度濃縮し、高真空下で乾燥させる。表題化合物62mg(理論値の98.5%)を得る。
HPLC(方法1):R=4.41分
MS(ESIpos):m/z=460(M+H)
【0088】
実施例15
(3R)−N−{4'−[(3−フルオロベンゾイル)アミノ]ビフェニル−4−イル}キヌクリジン−3−カルボキサミド塩酸塩
【化35】

ピリジン1.0ml中の((3R)−N−(4'−アミノビフェニル−4−イル)キヌクリジン−3−カルボキサミド二塩酸塩(実施例7A)50mg(0.13mmol)および3−フルオロベンゾイルクロリド40.2mg(0.25mmol)の溶液を、室温で3時間撹拌する。反応混合物を真空で濃縮し、残渣を分取HPLCにより精製する。生成物画分を濃縮し、1N塩酸3mlと混合し、再度濃縮し、高真空下で乾燥させる。表題化合物48mg(理論値の73.4%)を得る。
1H-NMR (200 MHz, DMSO-d6): δ = 10.48 (s, 1H), 10.43 (s, 1H), 10.21 (br. s, 1H), 7.92-7.80 (m, 3H), 7.79-7.57 (m, 8H), 7.49 (m, 1H), 3.61 (m, 1H), 3.44-3.08 (m, 6H), 2.46 (m, 1H), 1.92 (m, 2H), 1.75 (m, 2H).
HPLC(方法1):R=4.21分
MS(ESIpos):m/z=444(M+H)
【0089】
実施例16
(3R)−N−{4'−[(2−メトキシアセチル)アミノ]ビフェニル−4−イル}キヌクリジン−3−カルボキサミド塩酸塩
【化36】

ピリジン1.0ml中の((3R)−N−(4'−アミノビフェニル−4−イル)キヌクリジン−3−カルボキサミド二塩酸塩(実施例7A)50mg(0.13mmol)およびメトキシアセチルクロリド27.5mg(0.25mmol)の溶液を、室温で18時間撹拌する。反応混合物をDMSO3mlと混合し、分取HPLCにより精製する。生成物画分を濃縮し、1N塩酸5mlと混合し、再度濃縮し、高真空下で乾燥させる。表題化合物16mg(理論値の29.4%)を得る。
HPLC(方法1):R=3.63分
MS(ESIpos):m/z=394(M+H)
【0090】
実施例17
(3R)−N−{4'−[(シクロペンチルカルボニル)アミノ]ビフェニル−4−イル}キヌクリジン−3−カルボキサミド塩酸塩
【化37】

ピリジン1.0ml中の((3R)−N−(4'−アミノビフェニル−4−イル)キヌクリジン−3−カルボキサミド二塩酸塩(実施例7A)50mg(0.13mmol)およびシクロペンタンカルボニルクロリド38.5μl(0.32mmol)の溶液を、室温で18時間撹拌する。反応混合物をDMSO3mlと混合し、分取HPLCにより精製する。生成物画分を濃縮し、1N塩酸5mlと混合し、再度濃縮し、高真空下で乾燥させる。表題化合物22mg(理論値の38.2%)を得る。
HPLC(方法1):R=4.18分
MS(ESIpos):m/z=418(M+H)

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

式中、
は、式−NR−CO−NR、−NR−CO−CO−OR、−NH−SO、−SONHRまたは−NH−CO−Rの基である
[ここで、
は、水素またはC−C−アルキルであり、
およびRは、相互に独立して、水素、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキルまたはフェニルであり、これは、ハロゲン、シアノ、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシの群から相互に独立して選択される3個までの基により置換されていることもあるか、または、
およびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって5員ないし6員の複素環を形成し、
は、水素、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキルまたはアリールであり、ここで、C−C−アルキルは、アリールにより置換されていることもあり、
は、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、5員ないし6員の複素環、アリールまたは5員ないし6員のヘテロアリールであり、ここで、C−C−アルキルは、アリールにより置換されていることもあり、
は、水素、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、5員ないし6員の複素環、アリールまたは5員ないし6員のヘテロアリールであり、ここで、C−C−アルキルは、アリールにより置換されていることもあり、
は、C−C−シクロアルキル、C−C−アルキルまたはフェニルであり、ここで、C−C−アルキルはC−C−アルコキシにより置換されており、フェニルは、ハロゲン、シアノ、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシの群から相互に独立して選択される1個ないし3個の基により置換されている]、
の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項2】
式中、
が、式−NR−CO−NR、−NR−CO−CO−OR、−NH−SO、−SONHRまたは−NH−CO−Rの基である
[ここで、
は、水素またはC−C−アルキルであり、
およびRは、相互に独立して、水素、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキルまたはフェニルであり、これは、フッ素、塩素、臭素、シアノ、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシの群から相互に独立して選択される2個までの基により置換されていることもあるか、または、
およびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって5員ないし6員の複素環を形成し、
は、水素、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキルまたはアリールであり、ここで、C−C−アルキルは、アリールにより置換されていることもあり、
は、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、5員ないし6員の複素環、アリールまたは5員ないし6員のヘテロアリールであり、ここで、C−C−アルキルは、アリールにより置換されていることもあり、
は、水素、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、5員ないし6員の複素環、アリールまたは5員ないし6員のヘテロアリールであり、ここで、C−C−アルキルは、アリールにより置換されていることもあり、
は、C−C−シクロアルキル、C−C−アルキルまたはフェニルであり、ここで、C−C−アルキルは、C−C−アルコキシにより置換されており、フェニルは、フッ素、塩素、臭素、シアノ、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシの群から相互に独立して選択される1個ないし2個の基により置換されている]、
請求項1に記載の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項3】
式中、
が、式−NH−CO−NHR、−NH−CO−CO−OH、−NH−SO、−SONHRまたは−NH−CO−Rの基である
[ここで、
は、水素、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキルまたはフェニルであり、これは、C−C−アルコキシにより置換されていることもあり、
は、C−C−アルキルまたはフェニルであり、ここで、C−C−アルキルは、フェニルにより置換されていることもあり、
は、水素またはC−C−アルキルであり、これは、フェニルにより置換されていることもあり、
は、C−C−シクロアルキル、メトキシメチルまたはフェニルであり、これは、フッ素または塩素により置換されている]、
請求項1および請求項2のいずれかに記載の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項4】

【化2】

式中、Rは請求項1に示す意味を有する、
の、請求項1、請求項2または請求項3のいずれかに記載の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化合物の製造方法であって、
[A]式
【化3】

(式中、Xは、ヒドロキシまたは適する脱離基、例えば、塩素またはペンタフルオロフェノキシである)
の化合物を、式
【化4】

(式中、Rは、請求項1に記載の意味を有する)
の化合物と、不活性溶媒中、適するならば縮合剤の存在下、適するならば塩基の存在下に反応させる、
または、
[B]式(II)の化合物を、最初に式
【化5】

(式中、Yは、適する脱離基、例えば、トリフレートまたはハロゲン、好ましくは臭素またはヨウ素である)
の化合物と、適するならば不活性溶媒中、適するならば縮合剤の存在下、適するならば塩基の存在下で反応させ、式
【化6】

(式中、Yは、上述の意味を有する)
の化合物を得、次いで、後者を、式
【化7】

(式中、Rは、請求項1に記載の意味を有し、そして、Rは、水素またはメチルであるか、または、2つの基が一緒になってCHCHまたはC(CH−C(CH架橋を形成する)
の化合物と、不活性溶媒中、適する触媒の存在下、塩基の存在下、カップリング反応で反応させる、
そして、得られる式Iの化合物を、適するならば適切な(i)溶媒および/または(ii)塩基もしくは酸と反応させ、これらの溶媒和物、塩および/または塩の溶媒和物を得る、
を特徴とする、方法。
【請求項6】
疾患の処置および/または予防のための請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
少なくとも1種の医薬的に許容し得る本質的に非毒性の担体または賦形剤と混合された少なくとも1種の請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化合物を含む、医薬。
【請求項8】
知覚力、集中力、学習力および/または記憶力の改善用の医薬を製造するための、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項9】
知覚力、集中力、学習力および/または記憶力の障害の処置および/または予防用の医薬を製造するための、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項10】
少なくとも1種の請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化合物の有効量を投与することによる、ヒトおよび動物における知覚力、集中力、学習力および/または記憶力の障害の処置および/または予防方法。
【請求項11】
知覚力、集中力、学習力および/または記憶力の障害の処置および/または予防のための、請求項7に記載の医薬。

【公表番号】特表2007−500152(P2007−500152A)
【公表日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521462(P2006−521462)
【出願日】平成16年7月19日(2004.7.19)
【国際出願番号】PCT/EP2004/008037
【国際公開番号】WO2005/012299
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(503412148)バイエル・ヘルスケア・アクチェンゲゼルシャフト (206)
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare AG
【Fターム(参考)】