説明

N−置換アミノポリシロキサンの安定性溶液、その製造および使用

基Rが、互いに独立にそれぞれベンジルまたはビニルベンジルであり、基Yが、同一かまたは異なり、Yが、アルコキシ基またはヒドロキシル基またはO1/2であり、Aが、有機カルボン酸であり、0≦a≦2、0≦b≦1、c≧0.125、0.125≦(a+b)≦3およびx≧2である式(I)で示され、実質的にT型構造単位の形で存在する、低級アルコール中の有機酸と陽イオンN−置換アミノポリシロキサンとの水素塩の低いクロリド含量を有する安定性溶液。製造は、陽イオンN−置換アミノポリシロキサンの相応する塩酸塩から、NaOHまたはNaアルコキシドとの反応または有機カルボン酸のナトリウム塩との反応、沈殿およびNaClの除去によって行なわれる。前記溶液は、無機充填剤、ガラス繊維または金属粒子での有機ポリマーの強化に関連して、または有機ポリマーでの無機表面の被覆に関連して有機表面と無機表面との間で付着促進剤として使用され、この場合には、800nmまでのアミノポリシロキサン膜厚が達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低級アルコール中のT構造単位の形で実質的に存在する、有機酸と陽イオンN−置換アミノポリシロキサンとの水素塩(hydrosalts)の低いクロリド含量を有する安定性溶液、前記溶液の製造、ならびに種々の支持体材料を被覆するための付着促進剤としての前記溶液の使用に関する。
【0002】
オルガノシラン重縮合物の溶液ならびにその製造および使用は、多数の刊行物中に記載されている。
【0003】
金属、例えば銅および鉄をポリオレフィンまたはエポキシ樹脂で被覆する際の官能化されたアミノプロピルトリメトキシシランによる付着の促進は、米国特許第4902556号明細書、欧州特許出願公開第0353766号明細書および米国特許第4849294号明細書中に報告されている。欧州特許出願公開第0338128号明細書、WO 88/00527、米国特許第4499152号明細書、米国特許第4382991号明細書、米国特許第4330444号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第2802242号明細書および欧州特許出願公開第0845040号明細書の記載によれば、付着力は、ガラス表面上で促進される。種々の有機ポリマー中での酸化物充填剤のための付着促進剤は、特開平01−259369号公報および欧州特許出願公開第0176062号明細書中に記載されている。
【0004】
1%未満の活性物質の低い濃度を有するこのような物質の水性配合物は、特開昭62−243624号公報、米国特許第4499152号明細書、米国特許第4382991号明細書、米国特許第4330444号明細書およびドイツ連邦共和国特許出願公開第2802242号明細書中に記載されている。
【0005】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第2648240号明細書には、無機物質の間にカップリング剤として使用するのに適している水溶性のシリルアルキルアミンクロリドが記載されている。
【0006】
米国特許第5591818号明細書および欧州特許出願公開第0590270号明細書には、官能性アミノシラン水素塩を加水分解するかまたはアミノシランを加水分解により重合し、その後に官能性アルキルハロゲン化物との反応によって官能化することにより製造されるオルガノシランおよびその重縮合物が開示されている。前記化合物は、安定な水性エマルジョンとして配合されることができ、有機材料と無機材料との間の付着促進剤として使用されることができる。
【0007】
米国特許第5073195号明細書には、多孔質表面を処理して多孔質表面を撥水性にするための組成物が開示されており、この場合この組成物は、シランカップリング剤およびシリコン原子上にC1〜C6−アルキル基を有するアルキルトリアルコキシシランの水溶液である。この溶液は、支持材料、例えば木材、コンクリート、消石灰、砂岩または建築材料の他の非反応性表面を処理するために使用される。
【0008】
欧州特許出願公開第0538551号明細書の記載は、有機珪素化合物を含有し、無機材料、殊に建築材料を含浸することを目的とするエマルジョンに向けられている。このエマルジョンは、水、アルコキシシランのオリゴマーを有するかまたは有しない少なくとも1つのアルコキシシラン、1つ以上の陰イオン界面活性剤、ならびにシリコン官能性界面活性剤および常用の助剤を有する。界面活性剤群は、有機溶剤中でのNa塩の形での界面活性剤基との反応によって塩酸塩の形でアルキルアルコキシシラン中に導入される。適当なエマルジョンは、8〜50MPaおよび10〜70MPaの圧力で2つの段階を有する高圧ホモジナイザーを使用することによって得られ、この場合第2圧力段階での圧力減少は、20%に達する。1μm未満の液滴寸法が得られる。
【0009】
1984年1月16から19日に開催された、ドイツ連邦共和国プラスチック工業連合の強化プラスチック/複合体振興協会の第39回の年次会議でE.P.Plueddemannは、カップリング剤およびプライマーとしてのシラノールおよびシロキサンについて報告した。
【0010】
米国特許第3734763号明細書において、Plueddemannは、陽イオン不飽和のアミノ官能性シランカップリング剤を記載している。(CH3O)3Si(CH23NHCH2CH2NH2および(CH3O)3Si(CH23NHCH2CH2NHCH264−CH=CH2は、制御された加水分解に掛けられた。水解物は、部分縮合されてよい。前記米国特許明細書には、数多くの有機官能性アミンおよびアミノシランと有機官能性アルキルハロゲン化物との有機溶剤中での反応が記載されている。生成物は、有機界面活性剤と無機界面活性剤との間の付着促進剤として使用されてもよいし、プライマーとして使用されてもよい。
【0011】
本発明の目的は、陽イオンN−置換アミノポリシロキサンの低いクロリド含量を有する安定性溶液の形成および該安定性溶液の製造に関する。
【0012】
この目的は、式(I)
【化1】

〔式中、基Rは、互いに独立にそれぞれベンジルまたはビニルベンジルであり、基Yは、同一かまたは異なり、Yは、アルコキシ基またはヒドロキシル基またはO1/2であり、Aは、有機カルボン酸であり、0≦a≦2、殊にa=0、1または2、0≦b≦1、殊にb=0または1、c≧0.125、好ましくは0.25〜4、よりいっそう好ましくは0.5〜2、極めて好ましくは0.75〜1.5、殊に1、0.125≦(a+b)≦3、好ましくは0.25≦(a+b)≦2、よりいっそう好ましくは0.5≦(a+b)≦1、およびx≧2、好ましくは3〜20、よりいっそう好ましくは4、5、6、7、8、10または12である〕で示されるが、しかし、式(II)
【化2】

〔式中、基R′は、式[R−NH(2-a)(CH22NH(1-b)−(CH23−〕azを満足させ、z≧1、好ましくは1または2であり、R、A、aおよびbは、上記の定義と同じである。〕のT型構造単位の形で存在する、低級アルコール中の有機酸と陽イオンN−置換アミノポリシロキサンとの水素塩の低いクロリド含量を有する安定性溶液によって達成される。
【0013】
また、この目的は、式(I)
【化3】

〔式中、基Rは、互いに独立にそれぞれベンジルまたはビニルベンジルであり、基Yは、同一かまたは異なり、Yは、アルコキシ基またはヒドロキシル基またはO1/2であり、Aは、有機カルボン酸であり、0≦a≦2、0≦b≦1、c≧0.125およびx≧2である〕で示され、実質的に式(II)
【化4】

〔式中、基R′は、式[R−NH(2-a)(CH22NH(1-b)−(CH23−〕を基礎とし、基R′の少なくとも1つは、式[R−NH(2-a)(CH22NH(1-b)Rb−(CH23−〕・Azを満足させ、z≧1であり、R、A、aおよびbは、上記の定義と同じである。〕のT型構造単位の形で存在する、有機酸と陽イオンN−置換アミノポリシロキサンとの水素塩の低いクロリド含量を有する安定性溶液の製造法であって、
(i)相応する塩酸塩を低級アルコール中の溶液中で、NaOHと反応させ、沈殿したNaClを分離し、生じる遊離アミンを有機酸Aと反応させるか;または
(ii)相応する塩酸塩を低級アルコール中の溶液中で有機酸Aのナトリウム塩と反応させ、沈殿したNaClを分離するか;または
(iii)相応する塩酸塩を低級アルコール中の溶液中で低級アルコールのナトリウムアルコキシドと反応させ、沈殿したNaClを分離し、生じる遊離アミンを有機酸Aと反応させ;および
(iv)低級アルコール中の陽イオンN−置換アミノポリシロキサンの有機酸Aの水素塩の溶液を回収することを特徴とする、有機酸と陽イオンN−置換アミノポリシロキサンとの水素塩の低いクロリド含量を有する安定性溶液の製造法によって達成される。
【0014】
この溶液は、溶液の全質量に対してクロリドを1.0質量%未満、好ましくは0.5質量%未満含有する。
【0015】
溶液中の陽イオンN−置換アミノポリシロキサンの量は、溶液の全質量に対して0.1〜80質量%、好ましくは30質量%〜60質量%、よりいっそう好ましくは40質量%〜50質量%であることができる。
【0016】
更に、本発明による溶液は、溶液の全質量に対して14質量%〜99.9質量%、好ましくは19質量%〜99.8質量%を有する。
【0017】
この場合、溶液の成分または構成要素は、そのつど総和で100質量%である。
【0018】
濃度は、低級アルコールを除去するかまたは添加することによって調節されてよい。
【0019】
本発明による化合物の構造は、複雑である。それというのも、この本発明による化合物は、T型構造を有するシロキサンならびに場合によっては異なるN置換基を有するシロキサンの混合物を有するからである。
【0020】
陽イオンN−置換アミノポリシロキサンのオリゴマー化度[x、式(I)参照]は、一般に2以上、殊に3〜20である。6、8、10および12のオリゴマー化度を有する立体構造、例えばピラミッド形または正六面体は、特に好ましいが;しかし、相応する移行形が発生してもよく、見出されうる。
【0021】
生成物は、一般に90%を上廻るこのようなT形構造単位を含有する。これは、29Si NMR分光分析から明らかである。
アミン窒素原子上の置換基の分布は、GC/MS分析により測定することができる。
【0022】
意外なことに、付加的にベンジル基は、三重の置換に向かう傾向にあるが、しかし、第1級アミノ基および第2級アミノ基上での置換によりジ置換された生成物も起こる。ビニルベンジル基での置換の場合には、三重の置換は、見出されなかった。
【0023】
置換基Rおよび選択された反応成分および陽イオンアミノポリシロキサンの製造中の反応条件(温度、反応時間およびpH)を選択することによって、有効な窒素原子上での置換基の分布の制御および置換が第1級アミノ基上の末端で起こるだけでなく、第2級アミノ基上でも起こることの保証が可能である。
【0024】
加水分解による重合によって適当に官能化されたアミノシランヒドロハロゲン化物の加水分解による重合またはアミノシランの加水分解による重合およびその後のオリゴマーシロキサンおよびポリマーシロキサンを形成させるための官能性アルキルハロゲン化物の反応による官能化によって官能化されたアミノポリシロキサンの塩酸塩の製造は、欧州特許出願公開第0590270号明細書中に記載されている。
【0025】
第2級窒素原子上での置換を保証するために、オルガノシランモノマーと水との制御されたオリゴマー化が実施され、この場合反応は、アクティブな加熱により高められた温度で少なくとも2時間に亘って行なわれる。適当な安定剤は、特に定義された濃度で使用される。
【0026】
引続き、ナトリウムメトキシドとの反応およびその後の酸での中和が行なわれる。
【0027】
水素塩を形成するための有機酸(A)は、例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸、クエン酸、蓚酸、乳酸およびその混合物から選択される。酢酸が特に好ましい。
【0028】
本発明による溶液は、好ましくは10未満のpH、よりいっそう好ましくは6〜9のpHを有する。
【0029】
塩酸塩を製造する場合でさえも使用される低級アルコールは、本発明による有機カルボン酸の水素塩を製造するための溶剤としても有利に使用される。
【0030】
低級アルコールは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノール、n−ブタノールおよび第三ブタノールおよびその混合物から選択される。
【0031】
有機カルボン酸を用いて水素塩を形成することによって陽イオンN−置換アミノポリシロキサンを安定化すること以外に、有利には、さらに安定剤を溶液の全質量に対して0.01質量%〜6質量%、好ましくは0.05質量%〜4質量%、よりいっそう好ましくは0.1質量%〜1質量%の量で使用することが可能である。
【0032】
適当な安定剤の例は、3,5−ジ−第三ブチルカテコール、2,5−ジ−第三ブチルヒドロキノン、4−第三ブチルピロカテコール、2,4−ジ−第三ブチルフェノール、ヒドロキノンモノメチルエーテルおよび2,6−ジ−第三ブチル−p−クレゾールを含む。
【0033】
本発明による安定化された溶液は、場合によっては水での希釈を続ける場合には、有利に異なる支持材料を被覆するために好適である。
【0034】
従って、例えば殊に約40質量%の活性物質含量を有する、本発明による溶液0.1〜100質量部、好ましくは2〜20質量部は、水300質量部と混合されることができ、この混合物は、有利に2分間未満で、直ちに適用される澄明な調製物を誘発する。
【0035】
使用される支持材料は、ガラス、ガラス繊維、金属およびその酸化物、例えばアルミニウム、銅および鋼、電気メッキされた表面、チタン、ジルコニウム、チタンとジルコニウムの混合酸化物、シリコン、無機充填剤、例えばAl(OH)3、Mg(OH)2、雲母、Al23および合成ポリマー、殊に極性および官能性ポリマー、例えばポリアミドおよびポリエステル、ならびに極性ポリマー、例えば場合によっては物理的前処理によって官能化されていてよいポリオレフィン、ならびに相応する官能基を有する天然物質、例えば紙、木綿、絹および皮革であってよい。
【0036】
本発明による陽イオンN−置換アミノポリシロキサンの溶液は、有機表面と無機表面との間で付着促進剤として使用されてよい。前記溶液は、無機充填剤、ガラス繊維または金属粒子での有機ポリマーの強化に関連して、または無機酸化物充填剤での有機ポリマーの強化に関連して使用されてもよい。また、前記溶液は、有機ポリマーでの無機表面の被覆または有機ポリマーでの金属、金属酸化物またはガラスの被覆に使用されてよい。
【0037】
全く意外なことに、T構造は、支持材料への適用時に破壊され、実質的にモノマーの官能化シランから塗布された被覆よりも均質で厚手の被覆を生じることが見い出された。
【0038】
モノマーシランを使用する場合には、10〜50nm、好ましくは約20nmだけの被覆を得ることが可能である。しかし、本発明によるオリゴマーのアミノポリシロキサンを用いた場合には、800nmまで、殊に20〜200nmの膜厚が可能である。
【0039】
膜厚は、陰極線噴霧化の下で被膜が磨耗除去される時間により定めることができる。
【0040】
任意の1つの理論に束縛されることなく、被膜は網状組織から形成され、この網状組織中で有機基Rは、上向きに配向され、被膜の表面で蓄積されるものと推測される。
この濃度勾配は、元素Si、OおよびCを測定する、オージェ分光法により測定されることができる。
【0041】
本発明は、対象に制限されることなく、次の実施例に関連して詳説される。
【0042】
実施例
実施例は、それぞれ強力凝縮器、攪拌機、滴下漏斗、温度計、温度制御型油浴、窒素雰囲気、氷浴冷却および圧力型濾過器または吸引濾過器を装備した、それぞれ1リットルまたは2リットルの能力を有する四頸フラスコを使用することにより実施される。
【0043】
実施例1:
本質的にN′−アミノエチル−N−ビニルベンジル−N−アミノプロピルポリシロキサンヒドロアセテートの製造
N′−アミノエチル−N−アミノプロピルトリメトキシシラン145gとメタノール84.7gを混合する。その後に、水17.5を添加する。その後に、この反応混合物を1時間攪拌する。油浴を50℃の温度に設定する。この温度に達した際に、塩化ビニルベンジル99.5gを1時間に亘って計量供給する。液相は、64℃の温度に達する。その後の反応時間は、2時間に及ぶ。その後、メタノール中のナトリウムメトキシドの濃度30質量%の溶液120.3gを急速に滴加する。反応混合物をこの滴加中に氷浴により冷却する。生じる塩化ナトリウム塩を圧力型吸引濾過装置上で濾別する。NaClをメタノール52gで洗浄する。すすぎ洗いに使用されるメタノールを濾液と合わせ、安定化し、酢酸39g中の溶液の4−(第三ブチル)ピロカテコール0.5gで中和する。これにより、メタノール中の生成物溶液500gを生じる(理論値の100%)。NaCl58.5gを単離する。目標の生成物の実際の収量は、440g(88%)に達する。損失は、分離された塩の汚染結果として現れる。目標の生成物の実際の収量は、440g(88%)に達する。損失は、分離された塩の汚染結果として現れる。
【0044】
物理的データ:pH7.0、引火点約11℃、Si含量3.5質量%、密度0.94g/ml、N含量3.4質量%、粘度19mPa・s、塩酸塩0.34質量%。
【0045】
実施例2:
本質的にN′−アミノエチル−N−ビニルベンジル−N−アミノプロピルポリシロキサンヒドロアセテートの製造
N′−アミノエチル−N−アミノプロピルトリメトキシシラン312gとメタノール158gを混合する。その後に、水158を添加する。その後に、この反応混合物を1時間攪拌する。油浴を50℃の温度に設定する。この温度に達した際に、塩化ビニルベンジル177gを1時間に亘って計量供給する。液相は、64℃の温度に達する。その後の反応時間は、2時間に及ぶ。その後、メタノール中のナトリウムメトキシドの濃度30質量%の溶液252gを急速に滴加する。反応混合物をこの滴加中に氷浴により冷却する。生じる塩化ナトリウム塩を圧力型吸引濾過装置上で濾別する。NaClをメタノール104gで洗浄する。すすぎ洗いに使用されるメタノールを濾液と合わせ、安定化し、酢酸88g中の溶液の2,6−ジ−第三ブチル−p−クレゾール0.25gで中和する。これにより、メタノール中の生成物溶液1000gを生じる(理論値の100%)。NaCl129gを単離する。目標の生成物の実際の収量は、940g(94%)に達する。損失は、分離された塩の汚染結果として現れる。
【0046】
物理的データ:pH7.0、引火点約10℃、Si含量3.7質量%、密度0.944g/ml、N含量3.7質量%、粘度11mPa・s、塩酸塩0.30質量%。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの低級アルコールおよび式(I)
【化1】

〔式中、基Rは、互いに独立にそれぞれベンジルまたはビニルベンジルであり、基Yは、同一かまたは異なり、Yは、アルコキシ基またはヒドロキシル基またはO1/2であり、Aは、有機カルボン酸であり、0≦a≦2、0≦b≦1、c≧0.125、0.125≦(a+b)≦3およびx≧2である〕で示され、実質的に式(II)
【化2】

〔式中、基R′は、式[R−NH(2-a)(CH22NH(1-b)−(CH23−〕を基礎とし、基R′の少なくとも1つは、式[R−NH(2-a)(CH22NH(1-b)−(CH23−〕・Azを満足させ、z≧1であり、R、A、aおよびbは、上記の定義と同じである。〕のT型構造単位の形で存在する、有機酸と陽イオンN−置換アミノポリシロキサンとの少なくとも1つの水素塩を含有する、低いクロリド含量を有する安定性溶液。
【請求項2】
有機酸Aが蟻酸、酢酸、プロピオン酸、クエン酸、蓚酸、乳酸およびその混合物から選択されている、請求項1記載の安定性溶液。
【請求項3】
低級アルコールがメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノール、n−ブタノールおよび第三ブタノールおよびその混合物から選択されている、請求項1または2記載の安定性溶液。
【請求項4】
安定性溶液が他の成分として、3,5−ジ−第三ブチルカテコール、2,5−ジ−第三ブチルヒドロキノン、4−第三ブチルピロカテコール、2,4−ジ−第三ブチルフェノール、ヒドロキノンモノメチルエーテルおよび2,6−ジ−第三ブチル−p−クレゾールおよびその混合物から選択された少なくとも1つの安定剤を含有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の安定性溶液。
【請求項5】
有機酸と陽イオンアミノシロキサンとの水素塩の量が溶液の全質量に対して0.1質量%〜80質量%である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の安定性溶液。
【請求項6】
クロリドの量が溶液の全質量に対して1質量%未満である、請求項1から5までのいずれか1項に記載の安定性溶液。
【請求項7】
アルコールの量が溶液の全質量に対して14質量%〜99.9質量%である、請求項1から6までのいずれか1項に記載の安定性溶液。
【請求項8】
10未満のpHを有する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の安定性溶液。
【請求項9】
少なくとも1つの低級アルコールおよび式(I)
【化3】

〔式中、基Rは、互いに独立にそれぞれベンジルまたはビニルベンジルであり、基Yは、同一かまたは異なり、Yは、アルコキシ基またはヒドロキシル基またはO1/2であり、Aは、有機カルボン酸であり、0≦a≦2、0≦b≦1、c≧0.125、0.125≦(a+b)≦3およびx≧2である〕で示され、実質的に式(II)
【化4】

〔式中、基R′は、式[R−NH(2-a)(CH22NH(1-b)−(CH2)3−]を基礎とし、基R′の少なくとも1つは、式[R−NH(2-a)(CH22NH(1-b)−(CH23−〕・Azを満足させ、z≧1であり、R、A、aおよびbは、上記の定義と同じである。〕のT型構造単位の形で存在する、有機酸と陽イオンN−置換アミノポリシロキサンとの少なくとも1つの水素塩を含有する、低いクロリド含量を有する安定性溶液の製造法において
(i)相応する塩酸塩を低級アルコール中の溶液中で、NaOHと反応させ、沈殿したNaClを分離し、生じる遊離アミンを有機酸Aと反応させるか;または
(ii)相応する塩酸塩を低級アルコール中の溶液中で有機酸Aのナトリウム塩と反応させ、沈殿したNaClを分離するか;または
(iii)相応する塩酸塩を低級アルコール中の溶液中で低級アルコールのナトリウムアルコキシドと反応させ、沈殿したNaClを分離し、生じる遊離アミンを有機酸Aと反応させ;および
(iv)低級アルコール中の陽イオンN−置換アミノポリシロキサンの有機酸Aの水素塩の溶液を回収することを特徴とする、有機酸と陽イオンN−置換アミノポリシロキサンとの少なくとも1つの水素塩を含有する、低いクロリド含量を有する安定性溶液の製造法。
【請求項10】
有機カルボン酸Aが蟻酸、酢酸、プロピオン酸、クエン酸、蓚酸、乳酸およびその混合物から選択される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
低級アルコールがメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノール、n−ブタノールおよび第三ブタノールおよびその混合物から選択される、請求項9または10記載の方法。
【請求項12】
有機酸A中に溶解され、3,5−ジ−第三ブチルカテコール、2,5−ジ−第三ブチルヒドロキノン、4−第三ブチルピロカテコール、2,4−ジ−第三ブチルフェノール、ヒドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−第三ブチル−p−クレゾールおよびその混合物から選択された付加的な安定剤を工程(iv)の前に添加する、請求項9から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
溶液の全質量に対して1質量%未満のクロリド含量を有する、請求項9から12までのいずれか1項の記載による得ることができる、陽イオンN−置換アミノポリシロキサンの水素塩の低いクロリド含量を有する安定性溶液。
【請求項14】
有機表面と無機表面との間の付着促進剤としての、請求項1から8までのいずれか1項または請求項13に記載の溶液または請求項9から12までのいずれか1項の記載による製造された陽イオンN−置換アミノポリシロキサンの溶液の使用。
【請求項15】
無機充填剤、ガラス繊維または金属粒子での有機ポリマーの強化に関連しての、請求項1から8までのいずれか1項または請求項13に記載の溶液または請求項9から12までのいずれか1項に記載の方法により製造された陽イオンN−置換アミノポリシロキサンの溶液の使用。
【請求項16】
無機酸化物充填剤での有機ポリマーの強化に関連しての請求項14記載の溶液の使用。
【請求項17】
有機ポリマーでの無機表面の被覆に関連しての、請求項1から8までのいずれか1項または請求項13に記載の溶液または請求項9から12までのいずれか1項に記載の方法により製造された陽イオンN−置換アミノポリシロキサンの溶液の使用。
【請求項18】
有機ポリマーでの金属、金属酸化物またはガラスに関連しての請求項17記載の使用。
【請求項19】
20nm超ないし800nmのN−置換アミノポリシロキサン膜厚が形成される、請求項16または17記載の使用。

【公表番号】特表2008−500306(P2008−500306A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−513906(P2007−513906)
【出願日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【国際出願番号】PCT/EP2005/052168
【国際公開番号】WO2005/118599
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(501073862)デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Bennigsenplatz 1, D−40474 Duesseldorf, Germany
【Fターム(参考)】