説明

N置換ピリジニウム化合物の調製のための方法及び物質

本発明は、Nヘテロアリール置換ピリジニウム塩(Zincke塩)を使用し、それを求核アミンと反応させることによってN置換ピリジニウム化合物を合成するための方法に関する。この反応において、Zincke塩のピリジニウム環は、開環と続く閉環を誘導するアミンと反応し、アミンの窒素がN置換ピリジニウム環の一部となる。好ましくは、アミンは第一級アミンである。例えば上記反応に使用することができる新規なプリン置換ピリジル化合物もまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明は、Nヘテロアリール置換ピリジニウム塩(Zincke塩)を使用し、それを求核アミンと反応させることにより、N置換ピリジニウム化合物を合成する方法に関する。この反応では、Zincke塩のピリジニウム環が、開環と続く閉環を誘導するアミンと反応し、アミンの窒素がN置換ピリジニウム環の一部となる。好ましくは、アミンは第一級アミンである。例えば上記反応において使用できる新規なプリン置換ピリジル化合物もまた開示される。
【0002】
ピリジニウム化合物は、例えばドラッグデザインにおいて、又は有機合成のための一般的中間体として、特に天然物合成において、特別な興味がある(Cheng, W.-C.等, Organic Preparations and Procedures International 34 (2002) 585-608)。
【0003】
ある種の置換ピリジニウム化合物は、NAD又はNADアナログそれぞれの合成において多大な有用性を有している(Walt, D.R.等, Journal of the American Chemical Society 106 (1984) 234-239;国際公開第2007/012494号;独国特許出願公開第102006035020号;Hockova, D.等, Collection of Czechoslovak Chemical Communications 61 (1996) 1538-1548)。
【0004】
ある種のヘテロアリール置換ピリジニウム化合物は知られており(Bredereck, H.等, Angewandte Chemie 72 (1960) 708)、例えばソルバトクロミズムについて研究されている(Masternak, A.等, Journal of Physical Chemistry A 109 (2005) 759-766)。
【0005】
離脱基としてカルボキシピリジンを有するトリアジニル反応性染料は綿の染色のための染料として知られている(Sugimoto, T., Journal of the Society of Dyers and Colourists 108 (1992) 497-500)。この場合、染色手順中にトリアジニル染料が求核試薬と反応させられるとき、ピリジニウム部分が 離脱基として作用する。開環を含むZincleのような経路は、染料の固定では生じない。よって、綿の染色に使用されるヘテロアリール置換ピリジニウム塩はZincle反応において有用であるとは思われない。
【0006】
置換ピリジニウム化合物の製造における標準的な合成経路は、ピリジン誘導体のアルキル化を介する。しかしながら、この反応は第一級ハロゲン化アルキルを使用する場合にだけ簡便である。第二級又は第三級ハロゲン化アルキルが使用される場合には、望まれない副反応として脱離が生じ、収率が一般に低い。更に、不斉炭素原子にハロゲン原子が結合したハロゲン化アルキルを用いてアルキル化が実施される場合、求核置換反応中にラセミ化が生じうる。
【0007】
これらの全ての制約は、アルキル又はアリールアミンとのZincke塩の反応に基づく「Zincke反応」を使用して解消される。Zincke塩は、第一級アミン(R−NH2)と反応可能な活性化されたピリジニウム塩である。この反応では、開環が誘導され、これにR置換ピリジニウム化合物への閉環が続く。Zincke反応はまたヒドラジン類、ヒドロキシルアミン類及びカルボン酸又はスルホン酸ヒドラジド類を用いて実施することができる。これらのタイプのZincke反応は溶液及び固相有機合成に使用されている(Eda, M.等, J. Org. Chem. 65 (2000) 5131-5135)。
【0008】
当該技術分野において、所望のZincke塩を調製するための主要な方法は、ピリジニウム化合物を2,4ジニトロハロベンゾールと、好ましくは2,4ジニトロクロロベンゾール及び2,4ジニトロブロモベンゾールと反応させることによる。
【0009】
技術水準の方法の上記説明から明らかなように、現在使用されている活性化試薬は、毒性であり、爆発性であり、ないしは危険であり、よって小規模の研究用途に限られている。例えばマイクロ波アシスト合成を使用して、環境に優しい形でZincke反応を実施する試みは散在している。しかしながら、この試みは尚も爆発性のジニトロフェニル化合物に依存しており、費用のかかる予防策を採らないでこの方法をスケールアップすることはできない(Vianna, G.H.R.等, Letters in Organic Chemistry 5 (2008) 396-398)。
【0010】
従って、例えば危険な活性化試薬を避けることによってN置換ピリジニウム化合物の合成を改良するかなりの必要性が存在する。新規なあまり気にかけなくてもよい活性化試薬は、より大きなスケールでかかる化合物のより安全な生産手順及びより簡単で危険性が少なく、より効率的な生産を可能にするであろう。
【発明の概要】
【0011】
ピリジニウム化合物が適切な芳香族複素環化合物と反応し得、Zinckeタイプの塩を形成することが本発明の発明者によって今発見された。驚いたことに、これらのヘテロアリール置換ピリジニウム塩が、第一級アミン求核試薬との反応、つまりZinckeタイプの反応において有用であることを示すことができた。意外にも、Zincke塩の形成とN−ヘテロアリールピリジニウム化合物との第一級アミン類のZincke反応の双方が高収率を示す。有利なことには、Zincke塩形成とZincke反応の双方を、従来の手順と比較してそれほど激しくない反応条件下で実施することができ、それらを容易にスケールアップできる。Zincke反応が完了した後にZincke タイプの反応のヘテロアリール副産物が通常は低溶解度を示し、沈殿することは更なる利点である。従って、それを反応混合物から容易に分離することができ、これがN置換ピリジニウム化合物の分離を助ける。
【0012】
これらの全ての知見に基づいて、従来から知られている課題の多くを避け、解消することができる。
【0013】
本発明は、a)Nヘテロアリール置換ピリジニウム塩(Zincke塩)を提供し、b)工程(a)のZincke塩を適切な条件下でアミン(R−NH2)と反応させ、c)それによって、第一級アミンのR残基で置換されたN置換ピリジニウム化合物を得る工程を具備するN置換ピリジニウム化合物の合成方法に関する。
【0014】
また開示されるものは新規なZinckeタイプの塩である。これらのZinckeタイプの塩は、例えばN置換ピリジニウム化合物の合成に使用することができる。
【0015】
本発明において開示されている方法において製造されるある種の置換ピリジニウム化合物は、それぞれNAD又はカルバ−NADのようなNADアナログの合成において非常に有用である。
【発明の詳細な説明】
【0016】
第一の実施態様では、本発明は、 Nヘテロアリール置換ピリジニウム塩(Zincke塩)を提供し、b)工程(a)のZincke塩を適切な条件下で第一級アミン(R−NH2)と反応させ、c)それによって、第一級アミンのR残基で置換されたN置換ピリジニウム化合物を得る工程を具備するN置換ピリジニウム化合物の合成方法に関する。
Zinckeタイプの塩は、離脱基で置換されている電子欠損複素環式芳香族化合物とピリジン類を反応させることによって調製される。
【0017】
この発明に係る「電子欠損複素環式芳香族化合物」又は「電子不足複素環式芳香族化合物」は、離脱基に対してオルト又はパラ位にある最小二つのsp2 N原子を有する不飽和芳香族環系によって特徴づけられる6員の複素環式芳香族化合物である。
「離脱基」は、6員の不飽和芳香族環系の反応中心に結合した適切な基である。離脱基を担持する反応中心は、(sp2 Nに対してオルト位の)sp2窒素原子に隣接したsp2炭素原子である。
【0018】
「Zincke塩」又は「Zinckeタイプの塩」は、ピリジニウム環の窒素原子に電子吸引部分を担持するピリジニウム化合物である。本発明に係るZinckeタイプの塩では、電子吸引基は電子欠損複素環式芳香族部分である。
この発明に係る「電子欠損複素環式芳香族部分」又は「電子不足複素環式芳香族部分」は、Zinckeタイプの塩のピリジニウム環に対してオルト又はパラ位にある最小二つのsp2 N原子を有する不飽和芳香族環系によって特徴づけられる6員の複素環式芳香族部分である。
【0019】
「Zincke塩」又は「Zinckeタイプの塩」なる用語は、N置換ピリジニウム化合物の形成に至るアミン求核試薬とのZincke塩の反応に関する。
当業者であれば、複素環式芳香族化合物に対する必要条件は、それが、離脱基として作用する置換基を担持する電子欠損複素環式芳香族化合物であることである旨を理解するであろう。芳香族複素環式化合物の電子欠損性は求核置換反応に有利に作用し、ピリミジン類との反応、つまりZincke塩の形成を可能にする。
【0020】
例えば非常に高い温度を避けるような激しくない条件下での反応を可能にするためには、またマイクロ波合成のようなスケールアップできない合成法を避けるためには、反応中心、つまり、離脱基が結合している原子が、ピリジン類との反応がかなり容易になされるように活性化されなければならない。離脱基の活性化は、この場合はピリジン窒素原子の求核攻撃が生じる反応中心がより正に荷電しているので、離脱基に対してオルト及びパラ位にsp2窒素原子を有する複素環式化合物を選択することによって達成される。
【0021】
かかるN−ヘテロアリール置換ピリジニウム化合物は、アミン求核試薬と反応させられる場合、原理的には二通りの反応経路が可能である:ピリジニウム部分の開環又はピリジニウム部分が離脱基として作用する求核置換である。従って、離脱基の活性化の度合いがよくバランスされなければならない。我々は、ヘテロアリール部分として特に有用であるのはプリン類及び置換トリアジン類であることを見出した。プリン又はトリアジン炭素原子上の置換基は、ピリジニウム求核試薬に対する反応性が十分に高く、開環/閉環経路が求核置換よりも好ましいように、選択される。他の重要な役割は、与えられた溶媒中の溶解度が、Zincke反応の結果であるアミン置換プリン又はトリアジンが沈殿し、よって、好ましくは濾過によって、所望のN置換ピリジニウム化合物から分離するのが容易であるように、仕向けられることである。大規模な合成では、例えば使用される複素環化合物の材料コストが更なる選択基準である。異なったピリジン化合物に対しては複素環式化合物との異なった組み合わせ及び異なった溶媒が最良の選択である場合があることは当業者には明らかである。如何なる過度の実験を行わなくとも、当業者であれば所望のピリジニウム化合物及び候補芳香族複素環式化合物の適切な組み合わせを選択することができるであろう。
【0022】
本発明の一実施態様では、Zinckeタイプの塩は、離脱基として作用する置換基に対してオルト又はパラ位にある最小2個のsp2 N原子を有する不飽和芳香族環系を有する電子欠損芳香族複素環式化合物の興味あるピリジンとの反応により、生成される。この反応では、式Iに記載のZinckeタイプの塩が形成される。
【0023】
Zinckeタイプの塩は、正に荷電した式Iに示されたヘテロアリール置換ピリジニウム部分及び対イオンからなる。
【0024】
Zincke塩の生成に使用される複素環式芳香族化合物の典型的で好ましい例は、クロロトリアジン類、6−クロロ−プリン類、4−クロロ−ピリミジン類及び4−クロロ−キナゾリン類である。該6員の複素環式芳香族環は、反応中心のsp2炭素原子以外のsp2炭素原子において、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、ヒドロキシル、アルキル、アリール及びハロゲンから独立して選択される置換基で置換されていてもよく、あるいは2個の隣接するsp2炭素原子が、プリン類又はキナゾリン類におけるように、更なる芳香族又は複素環式芳香族環のメンバーでありうる。これらの複素環式芳香族化合物もまたZincke塩の合成において、よって本発明に係る続くZinckeタイプの反応において使用される好ましい複素環式芳香族化合物を表す。
【0025】
上述のように、電子欠損複素環式芳香族化合物は離脱基を担持する。好ましい離脱基は、Cl、Br、4−メチルフェニル−スルホニルオキシ、トリフルオロメチル−スルホニルオキシ、及びメチル−スルホニルオキシである。好ましくは、Clは離脱基として使用される。
【0026】
対イオンの種類は離脱基によって決定される。従って、適切で好ましい対イオンは塩化物、臭化物、トシレート、メシレート及びトリフレートである。ある反応では、硫酸ドデシル又はテトラフルオロボレートのように非求核対イオンに対イオンを交換することは有用であり、また好ましい実施態様を表す。
【0027】
一実施態様では、本発明は、N置換ピリジニウム化合物の合成方法において、
a)対イオンを有する式I

によるZincke塩を提供し、
ここで、R1は、H、アルキル、アリール、2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヒドロキシアルキル、アリールアルキル、N保護アミノアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルケニル、アリールアルキニルC=XNH2、C=XNHアルキル、C=XN(アルキル)2、C=XNHアリール、C=XN(アリール)2、C=Xアリール、C=Xアルキル、COOアルキルから選択され、
ここで、R2は、H、アルキル、アリール、ピリド−4−イル、アルキルピリジニウム−4−イル、2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヒドロキシアルキル、アリールアルキル、保護アミノアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、C=XNH2、C=XNHアルキル、C=XN(アルキル)2、C=XNHアリール、C=XN(アリール)2、C=Xアリール、C=Xアルキル、COOアルキル、アルキルスルファニル及び

から選択され、
ここで、R1又はR2の少なくとも一はH又はアルキルであり、あるいは残基R1及びR2は共にブタン−1,4ジイル、又は互いに結合して6員環を形成するブタジエン−1,4−ジイル部分であり、
ここで、R1又はR2において独立して、アルキルは、直鎖状又は分枝状C1−C6アルキル又はC5−C6シクロアルキルであり、アルケニルは直鎖状又は分枝状C2−C6アルケニルであり、アルキニルは直鎖状又は分枝状C2−C6アルキニルであり、アリールはフェニル又はナフチルであり、
ここで、X=S又はOであり、
ここで、YはN又はCであり、YがNである場合には、R3が存在せず、YがCである場合にはR3はH、C1−C3アルキルであるか、又はR4及びR3とR4が結合する2個のsp2炭素原子と共に、1又は2の窒素原子を含んでいてもよい5員又は6員の芳香族環系を形成し、
ここで、R4はH、C1−C3アルキル、ヒドロキシ、O−C1−C3アルキル、アミノ、C1−C3アルキル−アミノ、フェニルアミノ、フェニルであるか、又はR3及びR3とR4が結合する2個のsp2炭素原子と共に、1又は2の窒素原子を含んでいてもよい5員又は6員の芳香族環系を形成し、
ここで、R5はH、C1−C3アルキル、ヒドロキシ、O−C1−C3アルキル、アミノ、C1−C3アルキル−アミノ、フェニルアミノ、フェニル又はハロゲンであり、
ここで、式Iがビピリジル化合物を表す場合、Y’、R1’、R3’、R4’及びR5’の各々が、対応するY、R1、R3、R4及びR5と同じであり;
b)工程(a)のZincke塩を式II

の第一級アミンと反応させ、
ここで、R6は、−NH2部分に結合したsp2又はsp3炭素原子を含む第一級有機アミンの一部であり、
又はここで、R6は、−NH2と共にヒドラジン、ヒドロキシルアミン、スルホニルヒドラジド又はカルボヒドラジドである残基であり、
c)これによって、対イオンを有し、R1、R2、及びR6が上の定義の通りである式III

のN置換ピリジニウム化合物 を得る、工程を具備する方法に関する。
【0028】
当業者であれば、本発明に係る方法を実施するための適切な反応条件の選択には全く困難性はないであろう。適切な反応条件の範囲は、例えば与えられた実施例によって記載される。
【0029】
好ましい実施態様では、R1又はR2において、互いに独立して、アルキルは、直鎖状又は分枝状C1−C6アルキル又はC5−C6シクロアルキルであり、アルケニルは直鎖状又は分枝状C2−C6アルケニルであり、アルキニルは直鎖状又は分枝状C2−C6アルキニルであり、アリールはフェニル又はナフチルである。
【0030】
当業者であれば、非常に様々なピリジニウム系化合物のN置換の対して本発明に係る方法を使用することができることは直ぐに理解するであろう。式IのR1及びR2それぞれの上記定義に包含されない化合物でさえも使用することができる可能性が高い。
【0031】
本発明に係る方法において使用されるZinckeタイプの塩におけるピリジニウム部分の好ましい例は、a)パラ置換ピリジン類、例えばピリド−4−イル、アルキルピリジニウム−4−イル、2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル、C=ONH2、C=ONEt2、COOアルキル、ナフチル、フェニル、アントラセン−9−イル、2−(9−アントラセニル)エテニル、メチル、プロピル、t−ブチル、N−トリフルオロアセチル−2−アミノ−エチル、3−ヒドロキシプロピル、メチルスルファニル、又は電子欠損複素環と双方のN原子上のビピリジン類を反応させることから生じる「二量体Zincke」塩;b)フェニル、メチル、C=ONH2、C=ONEt2.[(メトキシイミノ)メチル]−、COOEt、メトキシ、(13−ヒドロキシトリデシル)−、[(9E)−12−Nboc−アミノ]−9−ドデセン−1−イル]、ヒドロキシメチル、(2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)−のような置換基を担持するメタ置換ピリジン類;c)パラ及びメタ置換基を有するピリジン類、例えばR1及びR2がメチルであり、又は共に環を形成するもの、例えばイソキノリニウム−Zincke塩及びその誘導体、例えば8−メチル又は6,7−ジメトキシイソキノリニウム誘導体である。
【0032】
好ましい一実施態様では、パラ及びメタ置換基が互いに結合し、ピリジニウム環と共にイソキノリニウム環又はその誘導体を形成する。
【0033】
好ましい一実施態様では、本発明に係る方法において使用されるピリジン部分は式Iの定義に入らないがメタ位に二つのメチル基を有する。
【0034】
好ましくは、式IのR1又はR2の何れかは、フェニル、CONH2、CSNH2、カルボキシ−(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルキル及び2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イルから選択される。また好ましいのは、それぞれR1又はR2のいずれかがCONH2又はCSNH2であり、他方が水素である。また好ましいのは、R1がCONH2であり、R2がHである。
【0035】
好ましい一実施態様では、式Iに記載のピリジニウム環は、メタ位に一つの置換基だけを担持する。好ましくは、メタ位のこの置換基はC=ONH2、C=SNH2、C=OCH3、2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル、(C1−C6)−アルキル又はフェニルから選択される。
【0036】
好ましい実施態様では、N置換ピリジニウム化合物の合成において、YがNであり、R4及びR5の双方がそれぞれ独立してC1からC3アルキル基を有するアルコキシである式Iに記載のZinckeタイプの塩が使用される。好ましくは、本発明に係る方法において使用されるZinckeタイプの塩は、2−クロロ−4,6−ジメトキシ−トリアジン、及び2−クロロ−4,6−ジアミノ−トリアジンに基づく。当業者には分かるように、そのN置換誘導体(例えばシマジン、アトラジン、アニラジン、プロパジン)もまた本発明に係る方法において使用することができる。
【0037】
更に好ましい実施態様では、本発明に係る方法において、XがCである、つまりそれが適切なピリミジンに基づく式Iに記載のZinckeタイプの塩が使用される。好ましい一実施態様では、R3及びR4双方が水素又はC1からC3アルキルであり、R5がNH2又はN−ジアルキル(C1からC3)である。Zinckeタイプの塩の製造での使用、及び本発明に係る方法における上記塩の後での使用に好ましい他のピリミジン類は、6−クロロ−2,4−ジメトキシピリミジン、2,4−ジクロロピリミジン、4−クロロ−2,6−ジアミノピリミジン、4−アミノ−2,6−ジクロロピリミジン、4−クロロ−2,6−ジメチルピリミジン及び2−アミノ−4−クロロ−ピリミジン類からなる群から選択される。
【0038】
更に好ましい実施態様では、本発明に係る方法において、XがCであり、R3及びR4が芳香族環を形成する式Iに記載のZinckeタイプの塩が使用される。
【0039】
更に好ましい実施態様では、本発明に係る方法において、YがCであり、R3及びR4が互いに結合し、R3とR4が結合するsp2炭素原子と共にイミダゾール環を形成する式Iに記載のZinckeタイプの塩が使用され、つまり、この場合、Zincke塩はプリン環系に基づく。好ましくは、本発明に係る方法において使用されるZinckeタイプの塩はプリン又は置換プリンの活性化に基づく。好ましくは、6−クロロプリン、2−アミノ−6−クロロプリン又は2,6ジクロロプリンが使用される。
【0040】
更に好ましい実施態様では、本発明に係る方法において、YがCであり、R3及びR4が互いに結合し、R3とR4が結合するsp2炭素原子と共に芳香族6員環系を形成する式Iに記載のZinckeタイプの塩が使用され、つまり、この場合、Zincke塩はキナゾリン環系に基づく。本発明に係る方法において使用される好ましいキナゾリン類は、2,4−ジクロロ−6,7−ジメトキシキナゾリン及び4−クロロ−6,7−ジメトキシ−キナゾリンである。
【0041】
環境的な側面のため、好ましくはハロゲン化有機廃棄物を避けるためにハロゲン原子を一個だけ有するZinckeタイプの塩が本発明に係る方法において使用される。
【0042】
好ましい実施態様では、本発明は式IV、V、VI及びVIIによって定まる化合物からなる群から選択されるZinckeタイプの塩に関する。

ここで、
XはO又はSであり、
R1はメチル、エチル、O−メチル、O−エチル、NH2、N−ジメチル、N−ジエチルであり、
R2はNH2である;

ここで、
XはO又はSであり、
R1はメチル、エチル、O−メチル、O−エチル、NH2、N−ジメチル、N−ジエチルであり、
R2はNH2又はClである;

ここで、
XはO又はSであり、
R1はメチル、エチル、O−メチル、O−エチル、NH2、N−ジメチル、N−ジエチルであり、
R2及びR3は独立してO−C1−C3アルキル又はNH2である;

ここで、
XはO又はSであり、
R1はメチル、エチル、O−メチル、O−エチル、NH2、N−ジメチル、N−ジエチルであり、
R2及びR3は独立してO−C1−C3アルキルであり、R7=H又はClである。
【0043】
好ましい実施態様では、本発明は式IVによるZinckeタイプの塩に関する。
好ましい実施態様では、本発明は式VによるZinckeタイプの塩に関する。
好ましい実施態様では、本発明は式VIによるZinckeタイプの塩に関する。
好ましい実施態様では、本発明は式VIIによるZinckeタイプの塩に関する。
更に好ましい実施態様では、本発明に係る方法において、式IV、V、VI又はVIIによるZinckeタイプの塩が使用される。
【0044】
更に好ましい実施態様では、本発明に係る方法において、R1が水素であり、R2がCONH2である式Iに記載のZinckeタイプの塩が使用される。そのようなZinckeタイプの塩が使用される場合、本発明に係る合成方法は、N置換ニコチンアミド誘導体を生じる。置換ニコチンアミドの生成においては、好ましくは2−アミノ−6−クロロ−プリン、2−アミノ−4−クロロピリミジン、4−クロロ−6,7−ジメトキシキナゾリン又は2−クロロ−4,6−ジメトキシトリアジンに基づくZinckeタイプの塩が使用される。
【0045】
好ましい一実施態様では、本発明に係る方法において、6−クロロプリンがピリジニウム化合物と反応させられ、得られた1−(プリン−6−イル)−ピリジニウム塩が第一級アミンと反応させられる。
更に好ましい実施態様では、ニコチンアミドが2−アミノ−6−クロロ−プリンと反応させられてZincke塩1−(2アミノ−プリン−6イル)3カルボキサミドピリジニウムクロリドが製造され、続いてこのZincke塩が第一級アミンと反応させられる。
【0046】
上述のように、Zincke反応は任意の適切な求核アミン(R−NH2)を用いて実施されうる。アミンR−NH2におけるRの性質は非常に広いものでよい。当業者には分かるように、Rは、好ましくは、それに結合したアミノ基が、本発明に係る方法において、Zincke塩のピリジニウム部分のC2又はC6炭素原子を攻撃するには非常に十分である求核性を有するように選択されるであろう。
【0047】
塩基性度及び求核性の経験的概念は関連しているが厳密には比例しないにしても、化学者はアミン類の相対的反応性について少なくとも大まかな洞察を得るためにpKa値を使用している(例えばJaramillo, P.等, Journal of Physical Organic Chemistry 20 (2007) 1050-1057を参照)。
【0048】
pKa値は複数のアミン類に対して知られている(Dissociation Constants of Organic Bases in Aqueous Solution, (Pure and Applied Chemistry), Perrin, D.D., London (1965) pp. 473を参照)。
好ましい実施態様では、アミンR−NH2は1.7(下限値含む)から12(上限値含む)のpKa値を有している。
【0049】
好ましくは、Rは、アミンが式II(R6−NH2)に定義された第一級アミンであるように選択される。当業者が本発明に係る方法において使用するための適切な第一級アミンR6−NH2を選択することに困難性はない。このようにして、R6置換窒素を有する所望のピリジニウム化合物を生成することが可能である。
【0050】
典型的には、第一級アルキルアミンは10−11のpKaを有している。アミノ基に結合したR6中にsp3炭素原子を有する第一級アルキルアミン(R6−NH2)は本発明に係る好ましい実施態様を表す。
第一級アミン(R6−NH2)がアミノ基に結合したR6中にsp2炭素原子を有している場合、かかる第一級アミンの求核性は、基準化合物との比較によって容易に評価することができる。
【0051】
好ましい実施態様では、本発明によれば、アリールアミン又はヘテロアリールアミン R6−NH2(後者は塩基性環窒素原子を含まない)に対するpKa値は、4−シアノアニリンに対して決定されたものと同じであるか又はこの化合物に対して測定されたpKaより上である。滴定によるpKa値の決定は十分に確立された方法であり、pKa値定量に特化された自動滴定装置が市販されている。好ましい実施態様では、pKaは製造者(Sirius Analytical Ltd. Riverside, East Sussex, UK)によって提供される説明書に従ってSirius T3を用いて決定される。
【0052】
環窒素原子を有し、該環窒素原子が最も塩基性の部位であるアミノ置換窒素複素環式化合物では、環外アミノ基の塩基性を直接測定することはできない。この場合、手順は、Deady, L.W.等, Aust. J. Chem 37 (1984) 1625-1630に記載された手順が適用されなければならない。ヘテロアリールアミンが塩基性環窒素を有するアミノ置換窒素複素環式化合物である場合、pKaは好ましくは4アミノピリジンに対して決定されたものと同じであるか又はこの化合物に対して測定されたpKaより上である。
【0053】
一実施態様では、R6は、−NH2部分に結合したsp2又はsp3炭素原子を有する第一級有機アミンの一部であり、又はR6は、−NH2と共にヒドラジン、ヒドロキシルアミン、スルホニルヒドラジド又はカルボヒドラジドである残基である。
【0054】
好ましくは、R6は−NH2と共に第一級有機アミンであり、又はR6は−OH、−NH2、−N(C1−C6アルキル)2、−NHC=Oアリール、−NHSO2アリール、−NHSO2−(C1−C6)アルキル、N、O、S又はN−(C1−C6)−アルキル又は保護されたNから選択される一つの置換されていてもよいヘテロ原子を有する−NHC=O(C4−C13)−ヘテロアリール、−NHSO2、N、O、S又はN−C1−Cアルキル又は保護されたNから選択される一つの置換ヘテロ原子を有するC4−C13−ヘテロアリールからなる群から選択され、ここで、Nはトシル−又はboc−保護基によって保護される。
【0055】
第一級有機アミンは、sp3又はsp2炭素原子に一価結合を介して結合するアミノ基である。
R6が、−NH2部分に結合しているsp2又はsp3炭素原子を含む第一級有機アミンの一部である場合、該sp2炭素原子は好ましくは芳香族又は複素環式芳香族部分の一部であり、又は前記sp3炭素原子は好ましくは炭素非環式部分、複素非環式部分、炭素環式又は複素環式部分の一部である。
【0056】
好ましい実施態様では、R6がアルキル,アルケニル、アルキニル、ヘテロシクロアルキル, アリール, ヘテロアリールからなる群から選択されるか、又は式IIはアミノアルコール、アミノ酸、フラノシルアミン又はシクロペンチルアミンを表す。
【0057】
当業者には分かるように、R6に更なる主に求核性の基を有する化合物でさえ使用できる。この場合、更なる求核基は適切な保護基によって保護されなければならない。保護基は当該技術分野でよく知られており、標準的な教科書(Greene, T., Protective groups in organic synthesis, John Wiley&Sons, Inc. (1981) New York, Chichester, Brisbane, Toronto)において概説されている。好ましくは、例えばN保護アルキル中のアミノ基は、トシル−、boc−、フタロイル−又はトリフルオロアセチル保護基によって保護される。メルカプト基は好ましくはジスルフィドとして保護される。
【0058】
R6において、アルキルは好ましくは直鎖状又は分枝状(C1−C20)−アルキル又はモノ−、ビ−又はトリシクロ(C3−C10)−アルキルであり;アルケニルは好ましくは直鎖状又は分枝状(C3−C20)アルケニル又はモノ−、ビ−又はトリシクロ(C5−C10)−アルケン−1−イルでアミノ基がsp3炭素原子に結合しているものであり;アルキニルは好ましくは直鎖状又は分枝状(C3−C20)−アルキニルで、アミノ基がsp3炭素原子に結合しているものであり;ヘテロシクロアルキルは好ましくはO、NC1−C3アルキル、保護されたNから選択される一つの置換されていてもよいヘテロ原子を有する(C5−C6)−シクロアルキルであり;アリールは好ましくはC6−C14アリール部分であり;ヘテロアリールは好ましくはN、O、S又はN−C1−C6アルキル又は保護されたNから選択される一つの置換されていてもよいヘテロ原子を有するC4−C13ヘテロアリール部分である。命名法C4からC13は、全数5から14の環原子で、その一つが上述のヘテロ原子であるヘテロアリール環に関する。
【0059】
アルキルアルケニル、シクロアルケニル、シクロアルカニル、ポリシクロアルカン、又はヘテロシクロアルカンから誘導されるアミン類で、次の選択された例が、式IIに記載の第一級有機アミン及び本発明に係る方法におけるその使用の好ましい実施態様を表す:
a)アルキル及びアルケニルアミン類は好ましくは(S)−フェニルアラニノール、D−フェニルエチルアミン、4−ピリジンメタンアミン、プロピルアミン、2−アミノ−1−フェニル−1,3−プロパンジオール、3−ピリジントリデカンアミン、(3−ビニル−4−イソプロポキシベンジル)アミン、2−フェニルグリシン、セリン、イソロイシン、β−アラニル−L−ヒスチジン、9−(3−ピリジニル)−,3−ノネン−1−アミン、6−アミノ−β−(アミノメチル)−9H−プリン−9−ブタノール及びp−(アミノメチル)ベンゼンスルホンアミドからなる群から選択され;
b)シクロアルケンは好ましくは(1R,4S,6S)4−アミノ−6−ヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−メタノール−1−(ジヒドロゲンホスフェート)であり、
c)シクロアルカンは好ましくはシクロヘキシルアミン、トランス−2−フェニルシクロプロピルアミン、又は(1S,2R,3S,5S)−3−アミノ−5−(ヒドロキシメチル)−1,2−シクロペンタンジオールであり、
d)ポリシクロアルカンは好ましくはトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−1−アミンであり、そして
e)ヘテロシクロアルカン類は好ましくは4−アミノ−3−メチル−1−(フェニルメチル)−3−ピペリジノール、(2S)−2−アミノメチルピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル;2−アミノ−1,5−アンヒドロ−2−デオキシ−6−(ジヒドロゲンホスフェート)D−アルトリトール;2−アミノ−1,5−アンヒドロ−2,3−ジデオキシ−、及び6−(ジヒドロゲンホスフェート)D−アラビノ−ヘキシトールから選択される。
【0060】
R6がアリール部分を表す場合、式IIに記載の対応するアリールアミンは好ましくは4−アミノベンゾニトリル、2−ヒドロキシ−4−アミノ安息香酸;p−ヘキサデシルアニリン、2,5−ジメチルアニリン;p−フェニレンジアミン、1,4−ジアミノ−2,5−ジメチルベンゼン、4−ハロゲノアニリン;3−ブロモ−4−イソプロポキシアニリン、4−イソプロポキシ−3−ビニルアニリン、1−ナフチルアミン、4−(アミノベンジル)ホスホン酸ジエチルエステル;p−アミノフェノール;p−アミノベンジルアルコール、4−(ピリジン−4−イルメチル)フェニルアミン;4−アミノフェニルスルホン酸、4−アミノ安息香酸;4−(アセチルアミノ)アニリン;ジメチル−5−アミノイソフタレート;p−アミノアセトフェノン;2,2−ジメチル−1,3−ベンゾジオキソール−5−アミンから選択される。
【0061】
好ましくは、R6がヘテロアリール部分である場合、つまり式IIに記載の化合物がヘテロアリールである場合、式IIに記載の化合物は好ましくは6−アミノ−キノリン、4−アミノ−ピリジン及び3−アミノ−ピリジンからなる群から選択される。
【0062】
好ましくは、本発明に係る方法において使用される第一級アミンは、アミノ基が立体中心に結合している純粋なエナンチオマー第一級アミンである。これは、本発明に係る方法が所望のピリジニウム化合物の立体特異的生産を可能にするので、好ましい。
当業者には分かるように、かかる第一級アミン類はZincke反応を妨害しないか又はZincke反応の条件下で不安定である更なる置換基を含みうる。好ましい実施態様では、本発明に係る方法において使用される式IIに記載の化合物は置換アルキルアミンである。
【0063】
本発明に係る方法における使用のために好ましい式II記載の化合物は、アミノアルコール類及びアミノ酸の純粋な立体異性体である。
好ましくは、アミノアルコールは、任意の天然に生じるか又は任意の市販の非天然のアミノ酸から誘導される。好ましくは、アミノアルコールは、セリノール、スレオニノール、フェニルアラニノール、2,5ジアミノ1−ペンタノール、(オルニチン由来)2,6ジアミノ−1−ヘキサノール(リジン由来)からなる群から選択される。
【0064】
式IIに係る化合物がアミノ酸である場合、アミノ酸は、任意の天然に生じるか又は任意の市販の非天然のアミノ酸から選択されうる。好ましい実施態様では、アミノ酸は天然に生じるアミノ酸か又は天然には生じないアミノ酸である。好ましくは、式IIに係る化合物は、セリン、スレオニン、フェニルアラニン、オルニチン、リジン、ロイシンから選択されるアミノ酸である。
【0065】
所望の場合、更なる他の実施態様では、アミノ基が保護されていないジ−又はポリアミン類を、ジ−ピリジニウム又はポリ−ピリジニウム化合物を形成するために、Zinckeタイプの塩の二以上の均等物と反応させることができる。
また好ましい第一級アミン類は、フラノシル糖部分又はそのようなフラノシル糖部分のアナログで置換されたアミン類であり、それは場合によってはOH基でリン酸化され、又は保護されたヒドロキシル基で妥協する一方、保護基はベンジル、アセチル、シリル及びトリチルであり、又はOH基の代わりにF又はメトキシ基で妥協する。好ましくは、NAD又はニコチンアミドモノヌクレオシド及びそのアナログの合成に適したフラノシル糖又はそのようなアナログが使用される。
【0066】
ジニトロフェニルZincke塩との組み合わせでフラノシルアミン類を使用するNAD又はニコチンアミドモノヌクレオシド及びそのアナログの合成は次の文献に詳細に記載されている:Kam, B.L.等, Biochemistry 26 (1987) 3453-3461;Sicsic, S.等, European Journal of Biochemistry 155 (1986) 403-407;Kam, B.L.等, Carbohydrate Research 77 (1979) 275-280、及び米国特許第4411995号。
好ましいフラノシルアミン類はD及びLリボース、キシロース及びアラビノースのβ及びαアノマーである。
【0067】
また好ましいものは、フラノシルアミン類のカルバアナログであるシクロペンチルアミン類である。好ましくは、これらのアナログは、β−D−リボフラノシルアミン類、−2−デオキシリボフラノシルアミン、又は−2,3−ジデオキシリボフラノシルアミンからなる群から選択され、後者は好ましくは(1R,2S,3R,4R)−2,3ジヒドロキシ−4−ヒドロキシメチル−1−アミノシクロペンタン、(1S,3R,4R)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−シクロ−ペンタンメタノール、又は(1R−シス)−3−アミノ−シクロペンタン−メタノールから選択される。
【0068】
更に好ましい実施態様では、本発明に係る方法において、Zinckeタイプの塩が第一級アミン(R6−NH2)と反応させられ、ここで、該第一級アミンは(1R,2S,3R,4R)−2,3ジヒドロキシ−4−ヒドロキシメチル−1アミノシクロペンタンである。本発明の適切なZincke塩をこの第一級アミンと反応させると、ニコチンアミド−カルバリボシド(3−カルバモイル−1−((1R,2S,3R,4R)−2,3−ジヒドロキシ−4−ヒドロキシメチル−シクロペンチル)−ピリジニウムクロリドの生成に至る。ニコチンアミド−カルバリボシドは、カルバアナログのNADへの合成に対して重要である化合物である。カルバ−NADとその好ましい用途は国際公開第2007/012494号に詳細に記載されている。国際公開第2007/012494号の完全な開示は出典明示によりここに含められる。
【0069】
他の好ましい置換第一級アミン類は、3−アミノテトラヒドロフラン類又は保護された3−アミノ−ピロリジン類、例えば(2R,4R)−4−アミノテトラヒドロフラン−2−メタノール(2,3−ジデオキシリボシルアミンの複素環式アナログ)シクロヘキシルアミン類及びシクロヘキサ−2−エニルアミン類、例えばGoulioukina, N.等, Helvetica Chimica Acta 90 (2007) 1266-1278に開示されたような6環の糖アナログから選択される。
【0070】
リン酸化アミノ糖類の好ましい例は、(1R,4S,6S)4−アミノ−6−ヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−メタノール−1−(ジヒドロゲンホスフェート)、2−アミノ−1,5−アンヒドロ−2−デオキシ−6−(ジヒドロゲンホスフェート)D−アルトリトール、2−アミノ−1,5−アンヒドロ−2,3−ジデオキシ−及び6−(ジヒドロゲンホスフェート)D−アラビノ−ヘキシトールである。
【0071】
当業者には分かるように、R6に更なる主に求核性の基を有する化合物でさえ使用できる。この場合、更なる求核基は適切な保護基によって保護されなければならない。保護基は当該技術分野でよく知られており、標準的な教科書(Greene, T., Protective groups in organic synthesis, John Wiley&Sons, Inc. (1981) New York, Chichester, Brisbane, Toronto)において概説されている。好ましくは、アミノ基は、boc−、フタロイル−又はトリフルオロアセチル保護基によって保護され、メルカプト基はジスルフィドとして保護される。
【0072】
別の実施態様では、式Iに係るZinckeタイプの塩が、遊離のNH2基を有する化合物とのZincke反応において使用される。この別の実施態様では、R6は、−OH、−NH2、−N(C1−C6アルキル)2、−NHC=Oアリール、−NHSO2アリール、−NHSO2−(C1−C6)アルキル、N、O、S又はN−C1−C6アルキル又は保護されたNから選択される一つの置換されていてもよいヘテロ原子を有する−NHC=O(C4−C13)−ヘテロアリール、N、O、S又はN−C1−Cアルキル又は保護されたNから選択される一つの置換されていてもよいヘテロ原子を有する−NHSO2−(C4−C13)−ヘテロアリールから選択される。この実施態様では、式IIは好ましくはヒドラジン、ヒドロキシルアミン又はヒドラジドを表す。この実施態様では、好ましくは、次の化合物がZinckeタイプの反応において使用される:a)ヒドラジド類;例えば2−(ピリジン−3−イル)アセトヒドラジド、3−インドリル酢酸ヒドラジド;1,3−ベンゾジオキソール−5−酢酸ヒドラジド、3−フェニルプロパン酸ヒドラジド、フェノキシ酢酸ヒドラジド、シクロヘキサンカルボン酸ヒドラジド又はヘプタン酸ヒドラジド;安息香酸ヒドラジド;4−アミノ安息香酸ヒドラジド;3−(アミノスルホニル)−4−クロロ−安息香酸ヒドラジド;4−ピリジンカルボン酸ヒドラジド;3−ピリジンカルボン酸ヒドラジド;2−ピリジンカルボン酸ヒドラジド;又は酢酸ヒドラジド、b)スルホン酸ヒドラジド類、例えばフェニルスルホン酸ヒドラジド、4−メトキシベンゼンスルホン酸ヒドラジド;メチルスルホン酸ヒドラジド、及びc)ヒドラジン類、例えば1−アミノ−2−(メトキシメチル)ピロリジン、2−ヒドラジニル−ピリジン又は2ヒドラジニルイッソキノリン。
【0073】
更に好ましい実施態様では、4,4’−ビピリジン類は電子欠損複素環式芳香族化合物の二つの均等物と反応させられてN,N’−ビスヘテロアリールビスピリジニウム塩を生じる。このような「ビスZincke塩」はアミン類と反応させられてN,N’二置換ビピリジン類にすることができ、これはビオロゲン類として知られている。ビオロゲン類は非常に興味深い電気化学的性質を示す。ビオロゲン類の合成は、Inagaki, Y.等, Journal of Materials Chemistry 16 (2006) 345-347;Liu, Y.等, Organic Letters 10 (2008) 765-768に記載されている。
【0074】
N,N’−ビスヘテロアリールビスピリジニウム塩がビスアミン類と反応させられると、ポリビオロゲン類が生じ、これはエレクトロクロミック材料として又は半導体として幅広い用途を有している(例えば国際公開第2008/022966号;欧州特許出願公開第2023418号及び米国特許出願公開第2009/128882号を参照)。更に好ましい実施態様では、よって、本発明はN,N’−ビスヘテロアリールビスピリジニウム塩をビスアミンと反応させることによってポリビオロゲンを製造する方法に関する。
【0075】
上記から、式IIに係る多くの異なった化合物がZincke反応と適合性であることが明らかである。
本発明において開示される新規な手順は、2,4−ジニトロフェニルZincke塩での標準的な手順と比較して幾つかの利点を有している。2−アミノ−6−クロロプリン又は2−クロロ−4,6−ジメトキシトリアジンのような芳香族複素環式化合物は安価であり直ぐに入手できる。それらは非爆発性化合物であり、よってZincke塩形成及びZincke反応を、過度の予防策を採らなくとも容易にスケールアップすることができる。
【0076】
次の実施例は本発明の理解を助けるために提供されるもので、本発明の真の範囲は添付の特許請求の範囲に記載される。本発明の精神を逸脱しないで記載された手順において変更を加えることができることは理解される。
【実施例】
【0077】
実施例1
1−(2アミノ−プリン−6イル)3カルボキサミドピリジニウムクロリド

967g(5.7mol)の2−アミノ−6−クロロプリン(Carbosynth Batch FA025810801)及び562g(4.6mol)のニコチンアミド(Fluka72340)を95−97℃で攪拌しながら7時間、5lのジメチルホルムアミド中で加熱した。混合物を室温で一晩保存した。混合物を濾過し、残留物を3lのアセトン中に懸濁させた;懸濁液を室温で1時間攪拌した。混合物を濾過し、残留物を真空下で2日間乾燥させた。
収量1200g
TLC(HPTLC−ジオールプレート,メルク番号1.12668.0001)1−ブタノール/酢酸/水10/3/5,Rf=0.41
【0078】
ニコチンアミドとの反応において複素環式芳香族化合物として2−アミノ−6−クロロ−ピリジンを使用すると、100℃又は更にはそれ以下で容易に実施できる。生成物は室温への冷却後に単に沈殿し、濾過によって容易に分離することができた。得られたZincke塩の(1R,2S,3R,4R)−2,3ジヒドロキシ−4−ヒドロキシメチル−1アミノシクロペンタンとのZincke反応を極性溶媒中で実施した(実施例2を参照)。
得られた「副産物」2,6ジアミノプリンは、pHを調節し続く濾過によって容易に除去される。
【0079】
実施例2
3−カルバモイル−1−((1R,2S,3R,4R)−2,3−ジヒドロキシ−4−ヒドロキシメチル−シクロペンチル)−ピリジニウム;クロリド

537g(2.93mol)の(1R,2S,3R,4R)−2,3−ジヒドロキシ−ヒドロキシメチル−1−アミノ−シクロペンタン塩酸塩(Chirotec 004−003),900g(3.09mol)の1−(2アミノ−プリン−6yl)3カルボキサミドピリジニウムクロリド(「プリンZincke塩」)及び1.1L(9.1mol)のN−エチルジイソプロピルアミン(Fluka03440)を7.5Lのメタノールに加えた。混合物を攪拌下で2時間、60℃に加熱した。室温まで冷却した後、混合物を、Seitzフィルターを使用して濾過した。
【0080】
濾液を、ロータリーエバポレーターを使用して蒸発させ、得られた残留物を7.5Lの水に溶解させた。2MのHClでpH4.2に調節した後、黄色沈殿物が形成された。混合物を4℃で一晩保存し、濾過し、濾液に活性炭を加えた。室温で30分攪拌した後、Seitzフィルターを使用して混合物を濾過した。僅かに黄色の濾液を、ロータリーエバポレーターを使用して蒸発させ、800gのオレンジ色の油を得たが、これは更なる反応のために十分に純粋であった。
更なる生成のために、残留物をメタノールに溶解させ、酢酸エチルで沈殿させることができる。
TLC:(HPTLC−ジオールブレート,メルク番号1.12668.0001)1−ブタノール/酢酸/水 10/3/5 Rf=0.39
この粗生成物は実施例5及び6に示されるNADアナログの合成に適している。
より高い純度はカチオン交換器を使用し水で溶出させるイオン交換クロマトグラフィーによって得ることができた。
【0081】
実施例3
1−(4,6ジメトキシ−トリアジン−2イル)3カルボキサミドピリジニウムクロリド

9.2g(51.5mol)の2クロロ4.6ジメトキシトリアジン及び6.2g(5.0mol)のニコチンアミド(Fluka72340)を、80℃で攪拌しながら0.5時間、40mlのジメチルホルムアミド中で加熱した。混合物を室温で2時間保存した。混合物を濾過し、残留物をアセトンで二回洗浄した。生成物を真空下で2日間乾燥させた。
収量12.4g
【0082】
ニコチンアミドとの反応において複素環式芳香族化合物として2−クロロ−4,6−ジメトキシトリアジンを使用すると、上で示されるように、100℃よりかなり下、例えば80℃でDMF中で実施することができる。生成物は室温への冷却後沈殿し、よって濾過によって容易に分離することができた。得られたZinke塩の(1R,2S,3R,4R)−2,3ジヒドロキシ−4−ヒドロキシメチル−1アミノシクロペンタンとのZincke反応は極性溶媒中で実施された(実施例4を参照)。
【0083】
実施例4
3−カルバモイル−1−((1R,2S,3R,4R)−2,3−ジヒドロキシ−4−ヒドロキシメチル−シクロペンチル)−ピリジニウム;クロリド
1.6g(8.5mmol)の(1R,2S,3R,4R)−2,3−ジヒドロキシ−ヒドロキシメチル−1−アミノ−シクロペンタン塩酸塩(Chirotec 004−003)、3.4g(10mmol)の1−(4,6ジメトキシ−トリアジン−2イル)3カルボキサミドピリジニウムクロリド(「トリアジンZincke塩」)及び3.2mlのN−エチルジイソプロピルアミン(Fluka03440)を50mlのメタノール中に入れた。混合物を攪拌しながら2時間60℃まで加熱した。室温への冷却後、D4−フリットを使用して混合物を濾過した。
ロータリーエバポレーターを使用して濾液を蒸発させ、得られた残留物を30mlのメタノールに溶解させ、250mlの酢酸エチル中に激しく攪拌しながら滴下した。混合物を室温で1時間保存した。上清をデカンテーションによって除去した。粗生成物を真空(1mbar)下で乾燥させた。
【0084】
実施例5
3−カルバモイル−1−((1R,2S,3R,4R)−2,3−ジヒドロキシ−4−ヒドロキシメチル−シクロペンチル)−ピリジニウム;クロリドのカルバニコチンアミドへの転換
1g(2.16mmol)の3−カルバモイル−1−((1R,2S,3R,4R)−2,3−ジヒドロキシ−4−ヒドロキシメチル−シクロペンチル)−ピリジニウム;クロリド、0.242g(0.4mmol)のATP二ナトリウム塩、300mgのMgCl2×6H2O(1.,45mmol)16Uリボシルキナーゼ、1.45g(4.43mmol)のクレアチンホスフェート及び4.27kUのクレアチンキナーゼを25mlの滅菌水に溶解させた。混合物を35℃で一晩保温した。ついで、2.42g(4mmol)のATP二ナトリウム塩、440mgのMgCl2×6H2O(2.16mmol)及び32Uのニコチンアミドモノヌクレオチドアデノシルトランスフェラーゼ(NMN−AT)を加えた。混合物を35℃で一晩保温した。ついで、それを5分間90℃まで加熱し、冷却後、濾過した。精製は国際公開第2007/012494に記載されているようにイオン交換クロマトグラフィーを使用して実施した。
例えば実施例2又は4で得られたもののような3−カルバモイル−1−((1R,2S,3R,4R)−2,3−ジヒドロキシ−4−ヒドロキシメチル−シクロペンチル)−ピリジニウム;クロリドに対して、カルバNADの正確な質量をHPLC MS/ESIネガティブモードで見出した。
【0085】
実施例6
1−(2アミノ−プリン−6イル)3チオカルボキサミドピリジニウムクロリド及び3−チオカルバモイル−1−((1R,2S,3R,4R)−2,3−ジヒドロキシ−4−ヒドロキシメチル−シクロペンチル)−ピリジニウム;クロリド

実施例1に記載されたものと同じ方法を使用して、チオニコチンアミドを1−(2アミノ−プリン−6イル)3チオカルボキサミドピリジニウムクロリドに転化させることができた;これはついで実施例2に記載された方法により3−チオカルバモイル−1−((1R,2S,3R,4R)−2,3−ジヒドロキシ−4−ヒドロキシメチル−シクロペンチル)−ピリジニウム;クロリドに転化させされる。
【0086】
実施例7
Zinckeタイプの塩の形成のための他の芳香族複素環式化合物
実施例1及び実施例3にそれぞれ記載されたものと類似の方法を使用して、本発明に係る方法における使用に適したZincke塩を得るためにニコチンアミドと併用して異なった芳香族複素環式化合物を試験した。2−アミノ−4−クロロ−ピリミジン及び1,4−ジクロロ−6,7ジメトキシキナゾリンをまた本発明に係るZinck塩に転化させることができ、その後、これらのZincke塩を、実施例2及び4に示された方法と同様にして、3−カルバモイル−1−((1R,2S,3R,4R)−2,3−ジヒドロキシ−4−ヒドロキシメチル−シクロペンチル)−ピリジニウム;クロリドに反応させることができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
N置換ピリジニウム化合物の合成方法において、
a)対イオンを有する式I

によるZincke塩を提供し、
ここで、R1は、H、アルキル、アリール、2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヒドロキシアルキル、アリールアルキル、N保護アミノアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルケニル、アリールアルキニルC=XNH2、C=XNHアルキル、C=XN(アルキル)2、C=XNHアリール、C=XN(アリール)2、C=Xアリール、C=Xアルキル、COOアルキルから選択され、
ここで、R2は、H、アルキル、アリール、ピリド−4−イル、アルキルピリジニウム−4−イル、2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヒドロキシアルキル、アリールアルキル、保護アミノアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、C=XNH2、C=XNHアルキル、C=XN(アルキル)2、C=XNHアリール、C=XN(アリール)2、C=Xアリール、C=Xアルキル、COOアルキル、アルキルスルファニル及び

から選択され、
ここで、R1又はR2の少なくとも一はH又はアルキルであり、あるいは残基R1及びR2は共にブタン−1,4ジイル、又は互いに結合して6員環を形成するブタジエン−1,4−ジイル部分であり、
ここで、R1又はR2において独立して、アルキルは、直鎖状又は分枝状C1−C6アルキル又はC5−C6シクロアルキルであり、アルケニルは直鎖状又は分枝状C2−C6アルケニルであり、アルキニルは直鎖状又は分枝状C2−C6アルキニルであり、アリールはフェニル又はナフチルであり、
ここで、X=S又はOであり、
ここで、YはN又はCであり、YがNである場合には、R3が存在せず、YがCである場合にはR3はH、C1−C3アルキルであるか、又はR4及びR3とR4が結合する2個のsp2炭素原子と共に、1又は2の窒素原子を含んでいてもよい5員又は6員の芳香族環系を形成し、
ここで、R4はH、C1−C3アルキル、ヒドロキシ、O−C1−C3アルキル、アミノ、C1−C3アルキル−アミノ、フェニルアミノ、フェニルであるか、又はR3及びR3とR4が結合する2個のsp2炭素原子と共に、1又は2の窒素原子を含んでいてもよい5員又は6員の芳香族環系を形成し、
ここで、R5はH、C1−C3アルキル,ヒドロキシ、O−C1−C3アルキル、アミノ、C1−C3アルキル−アミノ、フェニルアミノ、フェニル又はハロゲンであり、
ここで、式Iがビピリジル化合物を表す場合、Y’、R1’、R3’、R4’及びR5’の各々が、対応するY、R1、R3、R4及びR5と同じであり;
b)工程(a)のZincke塩を式II

の第一級アミンと反応させ、
ここで、R6は、−NH2部分に結合したsp2又はsp3炭素原子を含む第一級有機アミンの一部であり、
又はここで、R6は、−NH2と共にヒドラジン、ヒドロキシルアミン、スルホニルヒドラジド又はカルボヒドラジドである残基であり、
c)これによって、対イオンを有し、R1、R2、及びR6が上の定義の通りである式III

のN置換ピリジニウム化合物 を得る、
工程を具備する方法。
【請求項2】
YがNであり、R4及びR5が共にそれぞれ独立してC1からC3アルキル基を有するアルコキシである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
YがCである場合、R3が水素である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
YがCであり、R3及びR4が共に水素であり、R5がNH2である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
YがCであり、R3及びR4が、R3とR4が結合する2個のsp2炭素原子と共に5員又は6員の芳香族環又は複素環を形成し、R5がNH2である請求項1に記載の方法。
【請求項6】
YがCであり、R3及びR4が、R3とR4が結合する2個のsp2炭素原子と共にイミダゾール環を形成し、R5がNH2である請求項5に記載の方法。
【請求項7】
それぞれR1又はR2の何れかがCONH2又はCSNH2であり、他方が水素である請求項1から6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
R2がCONH2であり、R1が水素である請求項1から7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
R5がClである請求項1に記載の方法。
【請求項10】
R6が、アルキル,アルケニル、アルキニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールからなる群から選択され、又は式IIがアミノアルコール、アミノ酸、フラノシルアミン又はシクロペンチルアミンを表す請求項1から9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
式IIの第一級アミンが3−アミノ−5−ヒドロキシメチル−シクロペンタン−1,2−ジオールである請求項1から10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
式IV、V、VI及びVIIに記載の化合物からなる群から選択されるZinckeタイプの塩。

(ここで、
XはO又はSであり、
R1はメチル、エチル、O−メチル、O−エチル、NH2、N−ジメチル、N−ジエチルであり、
R2はNH2である);

(ここで、
XはO又はSであり、
R1はメチル、エチル、O−メチル、O−エチル、NH2、N−ジメチル、N−ジエチルであり、
R2はNH2又はClである);

(ここで、
XはO又はSであり、
R1はメチル、エチル、O−メチル、O−エチル、NH2、N−ジメチル、N−ジエチルであり、
R2及びR3は独立してO−C1−C3アルキル又はNH2である);

(ここで、
XはO又はSであり、
R1はメチル、エチル、O−メチル、O−エチル、NH2、N−ジメチル、N−ジエチルであり、
R2及びR3は独立してO−C1−C3アルキルであり、R7=H又はClである)。
【請求項13】
請求項1に記載の方法における請求項12に記載のZinckeタイプの塩の使用。

【公表番号】特表2013−500288(P2013−500288A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−522012(P2012−522012)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【国際出願番号】PCT/EP2010/004522
【国際公開番号】WO2011/012269
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(306021192)エフ・ホフマン−ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト (58)
【Fターム(参考)】