説明

NAM音対応玩具装置、NAM音対応玩具システム

【課題】第三者に気付かれることなく玩具の動作を制御し、または自由な発話内容を発声可能とする玩具を実現する。
【解決手段】発声器官の運動に伴う共振フィルタ特性変化により調音された、声帯の規則変動を伴わない、外部からは非可聴な呼吸音の体内軟部組織を伝導する振動音である非可聴つぶやき音(NAM音)に対応する信号に応じて、スピーカー2から音を出力したり、モータを駆動して尻尾10を揺動する等の動作を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は音声を用いることで、玩具の動作、発声を制御する音声玩具システムに関し、特に耳介の後方下部の、頭蓋骨の乳様突起直下の、胸鎖乳突筋上の皮膚表面に装着され、発声器官の運動に伴う共振フィルタ特性変化により調音された、声帯の規則振動を伴わない、外部からは非可聴な呼吸音の体内軟部組織を伝導する振動音である非可聴つぶやき音(Non-Audible Murmur;NAM)を採取するマイクロフォン(NAMマイク)から採取される非可聴つぶやき音(NAM音)を用いるNAM音対応玩具装置、NAM音対応玩具システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、玩具を用いながら、口、唇の発話動作を最小限に抑え、別の声を出し、あたかも玩具が話しているかのような印象を、それを見ている観客に与える芸の一つに腹話術というものがある。
一方、ボディに設けた知覚センサにより動作させる擬似生物玩具が知られている。例えば特許文献1には、ボディに設けた知覚センサから得られた外部情報を基に、眼球、くちばし、スピーカー等のアクチュエーターを動作させ、音声を発声させる擬似生物玩具が提示されている。
【0003】
また、音声により動作を制御する玩具が知られている。例えば特許文献4には音声の長短の組み合わせを認識することであたかも音声を認識して動作させることができる音声リモコン動作玩具が提示されている。
また、本体に音声発声装置を内蔵させた人形型アクセサリーが知られている。例えば特許文献2には、外側から操作可能なスイッチにより音声発声装置が作動させられるようにした人形型アクセサリーが開示されている。
【0004】
また、人形玩具の動作を人為的に動かし、その動作に対応して音声を出力する人形玩具が知られている。例えば特許文献5には、挿入された手により人形の口を制御し、口の開閉に応じて音声を出力するという人形玩具が提示されている。
また、従来、玩具としては、人が実際に入り動作する着ぐるみや、お面などがある。例えば特許文献3には、面体と装着体とで構成されているお面玩具が提示されている。そこでは、面体と装着体との間に設けられた発音ユニットが、面体に加えられた圧力または振動によって予め作成された「シュワッチ」などの合成音を再生するお面玩具が提示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−197367号公報
【特許文献2】特開平9−215870号公報
【特許文献3】特開平9−291408号公報
【特許文献4】実用新案登録第3075546号公報
【特許文献5】実用新案登録第3076098号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら特許文献1では人為的な動作制御を行わせることが難しい。また、特許文献4では制御に可聴音声を使うため、第三者にその動作内容が明確に伝わり、例えば腹話術のように第三者にその動作内容が伝わらず玩具を制御したい場面では、その面白さが半減するという問題がある。
特許文献2や特許文献5では、出力する音声データを人形型アクセサリーが予め保持していなくてはならず、発声内容に制限があるという問題がある。
【0007】
特許文献1及び特許文献4では、操作者と玩具が同時に発話することができず、腹話術であることが予め知られている場合など、第三者には驚きを与えることができず、面白さが減少するという問題がある。
また、特許文献1及び特許文献4では、操作者が同時に制御できる玩具の数が限られているという問題がある。さらに、特許文献1及び特許文献4、では玩具が自律的に動いているように見せる場合も全て操作者が行わなくてはならず、操作者に多大な訓練を要するとともに、第三者に玩具が自律的に動作しているようには見えにくいという問題があった。
【0008】
一方、特許文献3では、予め作成された音のみを再生するだけであり、任意な内容を発声できないという問題があった。また、特許文献3では、意思通達を意図した発話をするためには自分の声を使わなくてはならず、遊戯性を損ねるという問題があった。さらに、特許文献3では、合成音を再生するためには、面体に圧力ないし振動を人為的に与えなくてはならず、ユーザーに負荷を与えるという問題があった。
【0009】
ところで、きぐるみのような被り物を使って特定のキャラクタを演じている場合、キャラクタ・イメージを崩さぬために、中に入っている人物は発話することが叶わないという問題があった。さらに、きぐるみのような被り物を使って特定のキャラクタを演じている場合は、予め作成されたシナリオ、他所で発声される音声にあわせて動作するなど、自律的な動きができず、他所で発声される音声ときぐるみ演者によるキャラクタの動作とのタイミングがずれ、演技が不自然になるという問題があった。
そこで、本発明は、上記従来の未解決の問題に着目してなされたものであり、その目的は第三者に気付かれることなく玩具の動作を制御し、または自由な発話内容を発声可能とするNAM音対応玩具装置、NAM音対応玩具システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1によるNAM音対応玩具装置は、発声器官の運動に伴う共振フィルタ特性変化により調音された、声帯の規則変動を伴わない、外部からは非可聴な呼吸音の体内軟部組織を伝導する振動音である非可聴つぶやき音(NAM音)に対応して所定動作を行うことを特徴とする。このように構成すれば、入力する音声に非可聴つぶやき音(NAM音)を用いることで第三者に発話内容を知られることなく玩具の動作を制御することができる。
【0011】
本発明の請求項2によるNAM音対応玩具装置は、請求項1において、前記玩具は、音声を出力するためのスピーカーを有し、前記所定動作は、前記NAM音に対応した音声を前記スピーカーから出力する動作であることを特徴とする。このように構成すれば、入力する音声に非可聴つぶやき音(NAM音)を用いることで第三者に発話内容を知られることなく、玩具から別の音声を発声させることができる。
【0012】
本発明の請求項3によるNAM音対応玩具装置は、請求項2において、前記音声を前記スピーカーから出力するタイミング及び出力する時間の少なくとも一方を制御する音声出力時間制御手段を更に含むことを特徴とする。このように構成すれば、変換された非可聴つぶやき音(NAM音)を指定した時間分だけ遅らせて発話させることで、操作者と玩具とが同時に発声することを実現できる。
【0013】
本発明の請求項4によるNAM音対応玩具装置は、請求項2又は3において、前記NAM音に対応した音声を、前記玩具に対応する別の音声に変換する音声変換手段を更に含み、前記音声変換手段によって変換された後の音声を前記スピーカーから出力することを特徴とする。このように構成すれば、入力する音声に非可聴つぶやき音(NAM音)を用いることで第三者に発話内容を知られることなく、玩具から別の音声を発声させることができる。
【0014】
本発明の請求項5によるNAM音対応玩具装置は、請求項2又は3において、前記NAM音に対応した音声の内容を認識する音声認識手段を更に含み、前記所定動作は、前記音声認識手段の認識結果に対応する動作であることを特徴とする。このように構成すれば、変換された非可聴つぶやき音(NAM音)に基づき、それを音声認識することで発話されている言葉を決定し、その認識内容に応じた音を音声合成することで明瞭な発話が実現できる。
【0015】
本発明の請求項6によるNAM音対応玩具装置は、請求項5において、前記音声認識手段の認識結果に対応する合成音声を生成する合成音声生成手段を更に含み、前記所定動作は、前記合成音声生成手段によって生成された合成音声を出力する動作であることを特徴とする。このように構成すれば、音声合成するときに用いる音声に特定のキャラクタの音声を用いることで、特定のキャラクタを表現することができる。
【0016】
本発明の請求項7によるNAM音対応玩具装置は、請求項1から請求項6のいずれか1項において、入力される信号が、前記NAM音に対応する信号か可聴音に対応する信号かを判定する判定手段を更に含み、前記判定手段の判定結果に応じて前記所定動作を行うことを特徴とする。このように構成すれば、通常発声音のときには玩具に供えられた発声装置、動作装置が自律的に動くことで、あたかも玩具が自律的に動作しているように演出することができる。
【0017】
本発明の請求項8によるNAM音対応玩具装置は、請求項1から請求項7のいずれか1項において、前記NAM音に対応した駆動信号で駆動されるモータを更に含み、前記モータによって自装置の少なくとも一部を動かすようにしたことを特徴とする。このように構成すれば、発声した非可聴つぶやき音(NAM音)を認識することで、発声内容に従った玩具の動作を制御できる。
【0018】
本発明の請求項9によるNAM音対応玩具装置は、請求項1から請求項8のいずれか1項において、人形、ロボット、動物、家電、これらを擬人化したもの、ぬいぐるみ、被り物、及び、お面のうちのいずれか1つに対応する筐体を更に含むことを特徴とする。このようにすれば、これらに対応するキャラクタをリアルに演じることができる。
【0019】
本発明の請求項10によるNAM音対応玩具システムは、請求項1から請求項9までのいずれか1項のNAM音対応玩具装置と、前記NAM音声を入力するためのNAM音入力手段とを含み、該NAM音対応玩具装置は、前記NAM音入力手段によって入力されたNAM音に対応して前記所定動作を行うことを特徴とする。このように構成すれば、入力する音声に非可聴つぶやき音(NAM音)を用いることで第三者に発話内容を知られることなく玩具の動作を制御することができる。
【0020】
本発明の請求項11によるNAM音対応玩具システムは、請求項10において、入力者の耳介の後方下部の、頭蓋骨の乳様突起直下の、胸鎖乳突筋上の皮膚表面位置に、前記NAM音入力手段を固定する固定手段を更に含むことを特徴とする。このように構成すれば、NAMマイクを故意に装着するのではなく、玩具を装着したときに自動的に装着させることで、ユーザーが毎回NAMマイクを装着する負荷を低減することができる。
【0021】
本発明の請求項12によるNAM音対応玩具システムは、請求項1から請求項9までのいずれか1項のNAM音対応玩具装置を複数含み、更に、前記複数のNAM音対応玩具装置の少なくとも1つを指定する装置選択指令を含むNAM音声を入力するためのNAM音入力手段を含み、前記複数のNAM音対応玩具装置のうち、前記装置選択指令に対応するNAM音対応玩具装置のみが前記所定動作を行うことを特徴とする。このように構成すれば、複数の玩具の発話を制御することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、発声器官の運動に伴う共振フィルタ特性変化により調音された、声帯の規則変動を伴わない、外部からは非可聴な呼吸音の体内軟部組織を伝導する振動音である非可聴つぶやき音(NAM音)に対応する信号に応じて所定動作を行うので、第三者に判明することなく玩具を制御することができるため、例えば腹話術のような人形の動作と発話を、訓練することなく素人でも容易に行えるという効果がある。
【0023】
また、第三者に判明することなく玩具を制御することができるため、あたかも玩具が自発的に動作しているように見せることができ、娯楽性を増すことができる。
さらに、第三者に判明することなく、自分のものとは異なる音声で発することが可能となるため、あたかも特定のキャラクタが発生しているかのように見せることができ、娯楽性を増すことができる。
【0024】
なお、NAM音を使うことにより、環境雑音が音声に入りにくくなるため、玩具の動作を、音声認識を通じて制御する場合にも、環境雑音による認識誤りを防ぐことができ、効果的に制御することができる。すなわち、観客がかけ声を発した場合や、雑踏の中で演技する場合でも認識誤りを防ぎ、誤った音声が出力されることはない。したがって、同一画面を見ながらプレイする対戦型ゲーム装置に本システムを適用し、NAM音によってコマンドを入力するようにすれば、対戦相手の発声するコマンドを誤って認識することはなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において参照する各図では、他の図と同等部分は同一符号によって示されている。
まず非可聴つぶやき(NAM)とは、発声器官の運動に伴う共振フィルタ特性変化により調音された、声帯の規則変動を伴わない、外部からは非可聴な呼吸音の体内軟部組織を伝導する振動音である。
【0026】
本発明の実施形態によるNAM音対応玩具システムは、図1(a)に示されているように、NAM音を入力するためのNAM音入力部50と、このNAM音入力部50によって入力されたNAM音に対応する信号に応じて所定動作を行う玩具100とを含んで構成されている。
NAM音入力部50は、本システムの操作者に装着され、非可聴つぶやき音(NAM音)を入力とし、対応する電気信号を出力する。このNAM音入力部50は、具体的には、同図(b)に示されているように、操作者4に装着されたNAMマイク5である。
【0027】
玩具100は、後述する各実施例において説明するように、例えば腹話術人形、動物やキャラクタのぬいぐるみやお面等である。この玩具100は内蔵スピーカーや内蔵モータを具備しており、NAM音に対応する信号が入力されると、内蔵スピーカーから音を出力したり内蔵モータを駆動したりする制御を行う。
以下、各実施例について説明する。
【実施例1】
【0028】
図2は本発明のNAM音対応玩具システムの実施例である腹話術玩具システムを示す図である。同図において、本実施例の腹話術玩具システムは、NAM音を入力するためのNAMマイク5と、入力されたNAM音に対応する信号に応じて所定動作を行う腹話術人形1とを含んで構成されている。
NAMマイク5は、操作者4に装着されている。その装着位置は、耳介の後方下部の、頭蓋骨の乳様突起直下の、胸鎖乳突筋上の皮膚表面である。
【0029】
腹話術人形1の筐体内には、入力されたNAM音を可聴な音に変換する音声変換装置3と、音声を出力するスピーカー2とが設けられている。スピーカー2は、腹話術人形1の喉付近に取り付けられている。
このような構成において、操作者4は腹話術人形1に喋らせたい発話内容を、唇の動作を最小限に抑えて第三者には聞こえぬようにし、非可聴つぶやき音(NAM音)6でつぶやく。この非可聴つぶやき音(NAM音)6はNAMマイク5により採取され、腹話術人形内部に装備された、音声変換装置3に送信される。音声変換装置3では入力されたNAM音6を可聴な音に変換し、それを腹話術人形の喉に取り付けられたスピーカー2に送る。スピーカー2からは可聴音声7が出力される。
【0030】
以上の処理と並行し、操作者4はスピーカー2から出力される可聴音声7に応じて腹話術人形1の口を動かすことで、腹話術を実現することができる。
ここで、NAM音6をNAMマイク5から音声変換装置3に送信する方式は、有線、無線のいずれの方式でもよい。また、音声変換装置3は、同図に示されているように腹話術人形1側に設けてもよいし、操作者4が装着する等により操作者4側に設けてもよい。
なお、腹話術人形を動かす方法は、例えば、口形状変化制御装置を使ってもよいし、手動で動かしても構わない。また口形状変化制御装置を使う場合、その口形状変化制御装置の駆動を開始するタイミング、駆動している時間の情報を音声変換装置3から得てもよい。
【実施例2】
【0031】
図3は本発明のNAM音対応玩具システムの実施例である音声リモコン愛玩動物玩具システムを示す図である。本実施例の音声リモコン愛玩動物玩具システムは、NAM音を入力するためのNAMマイク5と、入力されたNAM音に対応する信号に応じて所定動作を行う愛玩動物玩具11と、NAM音に対応する信号を愛玩動物玩具11に無線送信する無線通信装置8aとを含んで構成されている。
NAMマイク5は、操作者4に装着されている。その装着位置は、耳介の後方下部の、頭蓋骨の乳様突起直下の、胸鎖乳突筋上の皮膚表面である。
【0032】
愛玩動物玩具11は、本例では尻尾10を含む猫型の筐体を有しており、その筐体内に、無線通信装置8aから無線送信される信号を受信する無線通信装置8bと、受信した音声の内容を解析して認識する音声認識処理部12と、音声認識処理部12による音声認識結果に応じて行うべき動作を判定する動作判定部13と、動作判定部13による判定結果に応じて尻尾10を揺動駆動するためのモータ等からなる尻尾動作制御装置9と、動作判定部13による判定結果に応じて音声を生成する音声発声装置14と、音声発声装置14によって生成される音声を出力するスピーカー2とが設けられている。スピーカー2は、腹話術人形1の喉付近に取り付けられている。
【0033】
このような構成において、操作者4は腹話術人形1に喋らせたい発話内容を、唇の動作を最小限に抑えて第三者には聞こえぬようにし、非可聴つぶやき音(NAM音)6で、動作を制御するコマンド(例えば「尻尾を振れ」や、鳴き声に似せた「ニャー」等)をつぶやく。この非可聴つぶやき音(NAM音)6はNAMマイク5により採取され、無線通信装置8aにより、遠方に離れた位置にある愛玩動物玩具に無線で送信される。
【0034】
愛玩動物玩具11内の無線通信装置8bは当該無線信号を受信すると、音声認識処理部12に送信する。音声認識処理部12は送信された音声の内容を解析し、その内容を動作判定部13に送信する。
動作判定部13は受信した内容に基づき、尻尾10を動かす場合には尻尾動作制御部へコマンドを送信し、音を出す場合には音声発声装置14にコマンドを送信し、「ニャー」と鳴かせる。
【0035】
受信した音声自体が例えば猫の鳴き声に似せた「ニャー」であり、音声認識処理部12での認識処理が失敗し、動作内容の判定を行えないような場合には、受信した音声がコマンドではなく、実際に発話するものであると判定し、受信した音声を出力する。この場合に発声する音声は、受信した音声自体の他、音声変換した音声や、仮名単位の音声認識処理で得られた情報をもとに音声合成処理で作成された音声でもよい。
【0036】
以上から分かるように、NAM音により愛玩動物玩具を制御することにより、第三者には自立的に動作しているように思える玩具を提供することができる。つまり娯楽性をもった玩具を提供することができる。
なお、制御コマンドの送信方式は、有線、無線のいずれの方式でもよい。
また、無線通信装置8aと無線通信装置8bとの間で送受信される信号は、NAM音そのものでもよいし、NAM音を符号化したデータでもよい。要するに、非可聴つぶやき音(NAM音)に対応する信号が送受信されればよい。
さらに音声認識処理部12、動作判定部13は玩具側に設けてもよいが、操作者側に設けてもよい。
【実施例3】
【0037】
図4は本発明のNAM音対応玩具システムの実施例である腹話術玩具システムを示す図である。同図において、本実施例の腹話術玩具システムは、NAM音を入力するためのNAMマイク5と、入力されたNAM音に対応する信号に応じて所定動作を行う腹話術人形1とを含んで構成されている。
NAMマイク5は、操作者4に装着されている。その装着位置は、耳介の後方下部の、頭蓋骨の乳様突起直下の、胸鎖乳突筋上の皮膚表面である。
【0038】
腹話術人形1の筐体内には、入力されたNAM音を可聴な音に変換する音声変換装置3と、音声変換装置3による変換後の音声の出力タイミングや出力時間を制御する音声出力時間制御装置15と、音声を出力するスピーカー2とが設けられている。スピーカー2は、腹話術人形1の喉付近に取り付けられている。
このような構成において、操作者4は腹話術人形1に喋らせたい発話内容を、唇の動作を最小限に抑えて第三者には聞こえぬようにし、非可聴つぶやき音(NAM音)6でつぶやく。この非可聴つぶやき音(NAM音)6はNAMマイク5により採取され、腹話術人形1の内部に設けられている音声変換装置3に送信される。音声変換装置3では入力されたNAM音6を可聴な音に変換し、それを音声出力時間制御装置15に送る。音声出力時間制御装置15では予め指定された時間だけ遅らせて、受信した音声信号をスピーカー2に送る。スピーカー2からは可聴音声7が出力される。
【0039】
以上の処理と並行し、操作者4はスピーカー2から出力される可聴音声7に応じて腹話術人形1の口を動かすことにより、腹話術を実現することができる。
ここで、NAM音6をNAMマイク5から音声変換装置3に送信する方式は、有線、無線のいずれの方式でもよい。また、音声変換装置3や音声出力時間制御装置15は、同図に示されているように腹話術人形1側に設けてもよいし、操作者4が装着する等により操作者4側に設けてもよい。
なお、腹話術人形を動かす方法は、例えば、口形状変化制御装置を使ってもよいし、手動で動かしても構わない。また口形状変化制御装置を使う場合、その口形状変化制御装置の駆動を開始するタイミング、駆動している時間の情報を音声変換装置3又は音声出力時間制御装置15から得てもよい。
【実施例4】
【0040】
図5は本発明のNAM音対応玩具システムの実施例である腹話術玩具システムを示す図である。同図において、本実施例の腹話術玩具システムは、NAM音を入力するためのNAMマイク5と、入力されたNAM音に対応する信号に応じて所定動作を行う腹話術人形1とを含んで構成されている。
NAMマイク5は、操作者4に装着されている。その装着位置は、耳介の後方下部の、頭蓋骨の乳様突起直下の、胸鎖乳突筋上の皮膚表面である。
【0041】
腹話術人形1の筐体内には、入力されたNAM音を可聴な音に変換する音声変換装置3と、音声変換装置3による変換後の音声について音声認識処理を行う音声認識処理部12と、音声認識処理部12の認識結果を基に、それを表現する合成音を作成する音声合成処理部16と、音声を出力するスピーカー2とが設けられている。スピーカー2は、腹話術人形1の喉付近に取り付けられている。
【0042】
このような構成において、操作者4は腹話術人形1に喋らせたい発話内容を、唇の動作を最小限に抑えて第三者には聞こえぬようにし、非可聴つぶやき音(NAM音)6でつぶやく。この非可聴つぶやき音(NAM音)6はNAMマイク5により採取され、腹話術人形内部に設けられた音声変換装置3に送信される。音声変換装置3では入力されたNAM音6を可聴な音に変換し、それを音声認識処理部12に送る。
【0043】
音声認識処理部12は受信した音声に対して、音素、仮名を単位とした発話構成単位で認識処理を行い、発声内容を仮名で表現する。そして、認識した仮名を音声合成処理部16に送信する。音声認識処理部12から音声合成処理部16は受信した仮名を基に、それを表現する合成音を作成しスピーカー2に送信する。スピーカー2からは可聴音声7が出力される。
【0044】
以上の処理と並行し、操作者4はスピーカー2から出力される可聴音声7に応じて腹話術人形1の口を動かすことにより、腹話術を実現することができる。
ここで、NAM音6をNAMマイク5から音声変換装置3に送信する方式は、有線、無線のいずれの方式でもよい。また、音声変換装置3、音声認識処理部12、音声合成処理部16は、同図に示されているように腹話術人形1側に設けてもよいし、操作者4が装着する等により操作者4側に設けてもよい。
なお、腹話術人形を動かす方法は、例えば、口形状変化制御装置を使ってもよいし、手動で動かしても構わない。また口形状変化制御装置を使う場合、その口形状変化制御装置の駆動を開始するタイミング、駆動している時間の情報を音声変換装置3又は音声合成処理部16から得てもよい。
【実施例5】
【0045】
図6は本発明のNAM音対応玩具システムの実施例である腹話術玩具システムを示す図である。同図において、本実施例の腹話術玩具システムは、NAM音を入力するためのNAMマイク5と、入力されたNAM音に対応する信号に応じて所定動作を行う複数の腹話術人形1a〜1cとを含んで構成されている。
NAMマイク5は、操作者4に装着されている。その装着位置は、耳介の後方下部の、頭蓋骨の乳様突起直下の、胸鎖乳突筋上の皮膚表面である。
【0046】
腹話術人形1aの筐体内には、入力されたNAM音を可聴な音に変換する音声変換装置3と、音声変換装置3による変換後の音声について音声認識処理を行う音声認識処理部12と、音声認識処理部12の認識結果を基に、受信した音声が自身に関するものであるのかどうかを判定する音声出力決定装置17と、音声認識処理部12の認識結果を基に、それを表現する合成音を作成する音声合成処理部16と、音声を出力するスピーカー2とが設けられている。スピーカー2は、腹話術人形1の喉付近に取り付けられている。他の腹話術人形1b及び1cの筐体内にも同様な構成が設けられているものとする。
【0047】
このような構成において、操作者4は腹話術人形1に喋らせたい発話内容を、唇の動作を最小限に抑えて第三者には聞こえぬようにし、非可聴つぶやき音(NAM音)6でつぶやく。この非可聴つぶやき音(NAM音)6はNAMマイク5により採取され、各腹話術人形1aから1cの内部に設けられた、音声変換装置3に送信される。
音声変換装置3では入力されたNAM音6を可聴な音に変換し、それを音声認識処理部12に送る。音声認識処理部12は受信した音声に対して、認識処理を行い、発声内容を仮名で表現する。そして、認識した仮名を音声合成処理部16、および音声出力決定装置17に送信する。
【0048】
音声出力決定装置17は認識された内容に基づき、受信した音声が自身に関するものであるのかどうかを判定し、その判定結果を音声合成処理部16に送信する。音声合成処理部16は音声出力決定装置17から発声すべき指示を受信した場合のみ、音声認識処理部12から受信した仮名から合成音を作成し、作成した合成音をスピーカー2に送信する。スピーカー2からは可聴音声7が出力される。
【0049】
上記の処理において、本例では、喋らせたい腹話術人形を選択するために、操作者4は、腹話術人形の名前をつぶやいた後に、喋らせたい発話内容をつぶやく。ここで、腹話術人形1aの名前が「太郎」、腹話術人形1bの名前が「次郎」、腹話術人形1cの名前が「三郎」とすると、例えば「太郎、おはよう」とつぶやくことで、音声出力決定装置17の判定結果により、名前が「太郎」である腹話術人形1aのみに「おはよう」と喋らせることができる。すなわち、名前が「次郎」である腹話術人形1b及び名前が「三郎」である腹話術人形1cは、それらの内部の音声出力決定装置17から発声すべき指示が送信されないので、それらに設けられているスピーカー2からは可聴音声7は出力されない。つまり、操作者4が選択指令を入力すると、その指令に対応する人形のみが動作することになる。
【0050】
以上の処理と並行し、操作者4はスピーカー2から出力される可聴音声7に応じて、対応する腹話術人形の口を動かす。例えば、名前が「太郎」である腹話術人形1aのみに喋らせる指示をした場合には、腹話術人形1aの口を動かす。このように操作することにより、複数の人形を用いた腹話術を実現することができる。このように、複数の腹話術人形のうち、指示したもののみが喋るように動作させることができるので、複数の腹話術人形に別々の動作を行わせることもできる。
【0051】
また、腹話術人形の名前を複数つぶやいた後に、喋らせたい発話内容をつぶやくことにより、腹話術人形同士が同時に同じ内容を喋るように動作させることができる。全員が同時に喋らせる場合は、名前の代わりに「オール」とつぶやき、「オール、おはよう」等と喋るようにしてもよい。こうすることで、腹話術人形1a〜1cの全ての名前をつぶやくことを省略できる。もっとも、名前をつぶやかない場合は、全員が同時に喋ることに決めておいてもよい。
【0052】
ここで、NAM音6をNAMマイク5から音声変換装置3に送信する方式は、有線、無線のいずれの方式でもよい。また、音声変換装置3は、同図に示されているように腹話術人形1側に設けてもよいし、操作者4が装着する等により操作者4側に設けてもよい。また、音声認識処理部12において認識する音声は音声変換された音でもよく、または非可聴つぶやき音(NAM音)でもよい。さらに、音声認識処理部12は、認識した結果全てを音声合成処理部16に送信してもよく、その一部だけを音声合成処理部16に送信してもよい。
なお、腹話術人形を動かす方法は、例えば、口形状変化制御装置を使ってもよいし、手動で動かしても構わない。また口形状変化制御装置を使う場合、その口形状変化制御装置の駆動を開始するタイミング、駆動している時間の情報を音声変換装置3または音声合成処理部16から得てもよい。
【実施例6】
【0053】
図7は本発明のNAM音対応玩具システムの実施例である腹話術玩具システムを示す図である。同図において、本実施例の腹話術玩具システムは、NAM音を入力するためのNAMマイク5と、入力されたNAM音に対応する信号に応じて所定動作を行う腹話術人形1とを含んで構成されている。
NAMマイク5は、操作者4に装着されている。その装着位置は、耳介の後方下部の、頭蓋骨の乳様突起直下の、胸鎖乳突筋上の皮膚表面である。
【0054】
腹話術人形1の筐体内には、入力された音声が非可聴つぶやき音(NAM音)6か可聴音声70かを判定する無声有声判断装置18と、受信した音声が可聴音声70である場合に動作指示を送信する玩具動作決定装置19と、音声データベース23中の音声データを再生する録音音声再生制御装置20と、端部が腹話術人形1の頭部に接続された支柱24と、動作パターンデータベース22中の動作パターンに基づき、支柱24を回転駆動する等、腹話術人形1の各部を動かすためのモータ(図示せず)を駆動する玩具動作制御装置21と、音声を出力するスピーカー2とが設けられている。スピーカー2は、腹話術人形1の喉付近に取り付けられている。
また、腹話術人形1の筐体内には、音声データベース23と、動作パターンデータベース22とが設けられている。
【0055】
このような構成において、操作者4は腹話術人形1に喋らせたい発話内容を、唇の動作を最小限に抑えて第三者には聞こえぬようにした非可聴つぶやき音(NAM音)6か、又は可聴音声70で、発声する。発声された非可聴つぶやき音(NAM音)6、又は可聴音声7は、NAMマイク5により採取され、腹話術人形内部に装備された、無声有声判断装置18に送信される。
【0056】
無声有声判断装置18では、入力された音声が非可聴つぶやき音(NAM音)6か可聴音声70かを判定し、その判定結果を玩具動作決定装置19に送信する。玩具動作決定装置19は受信した音声が可聴音声70である場合に、玩具動作制御装置21又は録音音声再生制御装置20に動作指示を送信する。
録音音声再生制御装置20は音声データベース23中の音声データを、操作者4の発声とは無関係に再生する。この再生された音声データは、可聴音声7として、スピーカー2から出力される。
【0057】
以上の処理と並行して、玩具動作制御装置21は動作パターンデータベース22中の動作パターンに基づき、操作者4の発声とは無関係に玩具の部位を動かし、自律的に動作させる。または、玩具動作制御装置21は操作者4の発声に基づき、支柱24を上下に駆動することで使い頷かせたりして、操作者4が発声している間、聞いているように見える動作をさせたり、発声が途切れたら、操作者の方を向くなどの動作をさせる。
ここで、NAM音6をNAMマイク5から音声変換装置3に送信する方式は、有線、無線のいずれの方式でもよい。
なお、腹話術人形には、例えば、口形状変化制御装置を使ってもよい。その場合、口形状変化制御装置の駆動を開始するタイミング、駆動している時間の情報は録音音声再生制御装置20から得てもよい。
【実施例7】
【0058】
図8は本発明のNAM音対応玩具システムの実施例である等身大ぬいぐるみシステムを示す図である。同図(a)において、本実施例の等身大ぬいぐるみシステムは、ぬいぐるみ頭部25と、図示せぬ胴体着ぐるみ部とから構成されている。ぬいぐるみ頭部25は、例えば、映画、TVドラマ、アニメーション、コミック等に登場する人物やキャラクタの頭部を模して作製されている。その他の人形、ロボット、動物、家電、これらを擬人化したものであってもよい。
【0059】
ぬいぐるみ頭部25の内部構成例が同図(b)に示されている。同図に示されているように、ぬいぐるみ頭部25の筐体内には、NAMマイク5と、入力されたNAM音を可聴な音に変換する音声変換装置3と、音声変換装置3による変換後の音声について音声認識処理を行う音声認識処理部12と、音声認識処理部12の認識結果を基に、それを表現する合成音を作成する音声合成処理部16と、音声を出力するスピーカー2とが設けられている。スピーカー2は、ぬいぐるみ頭部25の口付近に取り付けられている。
【0060】
NAMマイク5は、ぬいぐるみ頭部25の内部に設けられている補強材26によって固定されている。この補強材26には、皮膚に装着しやすい材質を用い、NAMマイクが、操作者の耳介の後方下部の、頭蓋骨の乳様突起直下の、胸鎖乳突筋上の皮膚表面に装着されるように誘導する。この補強材26は、皮膚との間で音響インピーダンスの不整合が生じないように、シリコーンゴムなどの人間の軟体組織に近い音響インピーダンスを有する生体適合性物質で構成するのが望ましい。これにより、胸鎖乳突筋上の皮膚表面近辺から漏れ伝わる音声を、NAMマイク5が直接皮膚から採った音声に加えることができるし、良好な装着感も期待できる。
【0061】
ぬいぐるみ頭部25の部分断面が同図(c)に示されている。同図に示されているように、ぬいぐるみ頭部25の内部に設けられている補強材26によって、NAMマイク5が設置されている。NAMマイク5の設置位置は、ぬいぐるみ頭部25を装着する操作者の、耳介の後方下部の、頭蓋骨の乳様突起直下の、胸鎖乳突筋上の皮膚表面の位置であるものとする。このため、同図(b)に示されているように操作者4がぬいぐるみ頭部25を装着すると、NAMマイク5が、補強材26により、耳介の後方下部の、頭蓋骨の乳様突起直下の、胸鎖乳突筋上の皮膚表面位置に固定される。
【0062】
このような構成において、操作者4はぬいぐるみ頭部25に対応するキャラクタに喋らせたい発話内容を、第三者には聞こえぬように、非可聴つぶやき音(NAM音)6でつぶやく。この非可聴つぶやき音(NAM音)6はNAMマイク5により採取され、腹話術人形内部に装備された、音声変換装置3に送信される。
音声変換装置3では入力されたNAM音6を可聴な音に変換し、それを音声認識処理部12に送る。音声認識処理部12は受信した音声に対して、音素、仮名を単位とした発話構成単位で認識処理を行い、発声内容を仮名で表現する。そして、認識した仮名を音声合成処理部16に送信する。音声合成処理部16は受信した仮名を基に、それを表現する合成音を作成しスピーカー2に送信する。スピーカー2からは可聴音声が出力される。
【0063】
以上の処理と並行し、操作者4はスピーカー2から出力される音声に応じて体を動かすことで、あたかもぬいぐるみが表現しているキャラクタが動いているように見せることができ、より娯楽性が高い玩具を提供することができる。ここで、そのキャラクタに対応する音声、例えばアニメーションのキャラクタであればその声を演じている声優の声を音声合成処理部16から出力すれば、アニメーションと同じ声のリアルなキャラクタを演じることができる。その場合、操作者が可聴音声を発声すると、その可聴音声が観客に聞こえてしまいリアル性が欠けてしまうのに対し、本システムではNAM音を用いているので、操作者の発声内容が観客に聞こえることはなく、リアルな演技を実現できる。しかも、腹話術玩具システムの場合とは異なり、唇の動きが外部からほとんど見えないので、唇の動作を最小限に抑えるなどの配慮は不要である。
【0064】
なお、NAM音6をNAMマイク5から音声変換装置3に送信する方式は、有線、無線のいずれの方式でもよい。
また、音声変換装置3、音声認識処理部12、音声合成処理部16は、同図に示されているように、ぬいぐるみ頭部側に設けてもよいし、操作者4が装着する等により操作者4側に設けてもよい。
以上の処理において、音声合成処理部16には、キャラクタ等の声に対応する音声データが予め記憶されている。この記憶内容である音声データは、メモリチップなどの着脱によってその内容を更新してもよいし、通信によって外部装置からダウンロードしてその内容を更新するようにしてもよい。このようにすれば、キャラクタを演ずる声優が交代した場合にも対応することができる。
【実施例8】
【0065】
図9は本発明のNAM音対応玩具システムの実施例であるお面システムの一例を示したものである。同図(a)において、本実施例のお面システムは、お面部27と、お面を被る操作者にお面部27を密着固定するためのひも部28とから構成されている。お面部27は、例えば、映画、TVドラマ、アニメーション、コミック等に登場する人物やキャラクタの顔面部を模して作製されている。その他の人形、ロボット、動物、家電、これらを擬人化したものであってもよい。
【0066】
お面部27に設けられるNAMマイク5の位置が同図(b)に示されている。同図を参照すると、NAMマイク5は、お面部27の裏面側に設けられている補強材26の一端に設置されている。NAMマイク5の設置位置は、お面部27を装着する操作者の、耳介の後方下部の、頭蓋骨の乳様突起直下の、胸鎖乳突筋上の皮膚表面の位置であるものとする。補強材26の他端は、お面部27に接続されている。補強材26には合成樹脂などの素材を用い、弾力性を奏する形状とする。このため、同図(c)に示されているように操作者4がお面部27を装着すると、NAMマイク5が、補強材26により、耳介の後方下部の、頭蓋骨の乳様突起直下の、胸鎖乳突筋上の皮膚表面位置に接して固定される。
【0067】
同図(c)に示されているように、お面部27には、NAMマイク5と、入力されたNAM音を可聴な音に変換する音声変換装置3と、音声変換装置3による変換後の音声について音声認識処理を行う音声認識処理部12と、音声認識処理部12の認識結果を基に、それを表現する合成音を作成する音声合成処理部16と、音声を出力するスピーカー2とが設けられている。スピーカー2は、ぬいぐるみ頭部25の口付近に取り付けられている。
【0068】
このような構成において、操作者4はお面部27に対応するキャラクタに喋らせたい発話内容を、第三者には聞こえぬように、非可聴つぶやき音(NAM音)6でつぶやく。この非可聴つぶやき音(NAM音)6はNAMマイク5により採取され、腹話術人形内部に装備された、音声変換装置3に送信される。
音声変換装置3では入力されたNAM音6を可聴な音に変換し、それを音声認識処理部12に送る。音声認識処理部12は受信した音声に対して、音素、仮名を単位とした発話構成単位で認識処理を行い、発声内容を仮名で表現する。そして、認識した仮名を音声合成処理部16に送信する。音声合成処理部16は受信した仮名を基に、それを表現する合成音を作成しスピーカー2に送信する。スピーカー2からは可聴音声が出力される。
【0069】
以上の処理と並行し、操作者4はスピーカー2から出力される音声に応じて体を動かすことで、あたかも操作者自身が、お面が表現しているキャラクタであるかのように見せることができ、より娯楽性が高い玩具を提供することができる。ここで、そのキャラクタに対応する音声、例えばアニメーションのキャラクタであればその声を演じている声優の声を音声合成処理部16から出力すれば、アニメーションと同じ声のリアルなキャラクタを演じることができる。その場合、操作者が可聴音声を発声すると、その可聴音声が観客に聞こえてしまいリアル性が欠けてしまうのに対し、本システムではNAM音を用いているので、操作者の発声内容が観客に聞こえることはなく、リアルな演技を実現できる。しかも、腹話術玩具システムの場合とは異なり、唇の動きが外部からほとんど見えないので、唇の動作を最小限に抑えるなどの配慮は不要である。
【0070】
なお、NAM音6をNAMマイク5から音声変換装置3に送信する方式は、有線、無線のいずれの方式でもよい。
また、音声変換装置3、音声認識処理部12、音声合成処理部16は、同図に示されているように、お面部側に設けてもよいし、操作者4が装着する等により操作者4側に設けてもよい。
以上の処理において、音声合成処理部16には、キャラクタ等の声に対応する音声データが予め記憶されている。この記憶内容である音声データは、メモリチップなどの着脱によってその内容を更新してもよいし、通信によって外部装置からダウンロードしてその内容を更新するようにしてもよい。このようにすれば、キャラクタを演ずる声優が交代した場合にも対応することができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、腹話術玩具システム、音声リモコン愛玩動物玩具システムなどに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施形態によるNAM音対応玩具システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施例にかかる腹話術玩具システムの構成を示す図である。
【図3】本発明の実施例にかかる音声リモコン愛玩動物玩具システムの構成を示す図である。
【図4】本発明の実施例にかかる腹話術玩具システムの構成を示す図である。
【図5】本発明の実施例にかかる腹話術玩具システムの構成を示す図である。
【図6】本発明の実施例にかかる腹話術玩具システムの構成を示す図である。
【図7】本発明の実施例にかかる腹話術玩具システムの構成を示す図である。
【図8】本発明の実施例にかかる等身大ぬいぐるみシステムの構成を示す図である。
【図9】本発明の実施例にかかるお面システムの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0073】
1、1a〜1c 腹話術人形
2 スピーカー
3 音声変換装置
4 操作者
5 NAMマイク
6 つぶやき音
7、70 可聴音声
8a、8b 無線通信装置
9 尻尾動作制御装置
10 尻尾
11 愛玩動物玩具
12 音声認識処理部
13 動作判定部
14 音声発声装置
15 音声出力時間制御装置
16 音声合成処理部
17 音声出力決定装置
18 無声有声判断装置
19 玩具動作決定装置
20 録音音声再生制御装置
21 玩具動作制御装置
22 動作パターンデータベース
23 音声データベース
24 支柱
25 ぬいぐるみ頭部
26 補強材
27 お面部
28 ひも部
50 NAM音入力部
100 玩具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発声器官の運動に伴う共振フィルタ特性変化により調音された、声帯の規則変動を伴わない、外部からは非可聴な呼吸音の体内軟部組織を伝導する振動音である非可聴つぶやき音(NAM音)に対応して所定動作を行うことを特徴とするNAM音対応玩具装置。
【請求項2】
前記玩具は、音声を出力するためのスピーカーを有し、前記所定動作は、前記NAM音に対応した音声を前記スピーカーから出力する動作であることを特徴とする請求項1記載のNAM音対応玩具装置。
【請求項3】
前記音声を前記スピーカーから出力するタイミング及び出力する時間の少なくとも一方を制御する音声出力時間制御手段を更に含むことを特徴とする請求項2記載のNAM音対応玩具装置。
【請求項4】
前記NAM音に対応した音声を、前記玩具に対応する別の音声に変換する音声変換手段を更に含み、前記音声変換手段によって変換された後の音声を前記スピーカーから出力することを特徴とする請求項2又は3記載のNAM音対応玩具装置。
【請求項5】
前記NAM音に対応した音声の内容を認識する音声認識手段を更に含み、前記所定動作は、前記音声認識手段の認識結果に対応する動作であることを特徴とする請求項2又は3記載のNAM音対応玩具装置。
【請求項6】
前記音声認識手段の認識結果に対応する合成音声を生成する合成音声生成手段を更に含み、前記所定動作は、前記合成音声生成手段によって生成された合成音声を出力する動作であることを特徴とする請求項5記載のNAM音対応玩具装置。
【請求項7】
入力される信号が、前記NAM音に対応する信号か可聴音に対応する信号かを判定する判定手段を更に含み、前記判定手段の判定結果に応じて前記所定動作を行うことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のNAM音対応玩具装置。
【請求項8】
前記NAM音に対応した駆動信号で駆動されるモータを更に含み、前記モータによって自装置の少なくとも一部を動かすようにしたことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のNAM音対応玩具装置。
【請求項9】
人形、ロボット、動物、家電、これらを擬人化したもの、ぬいぐるみ、被り物、及び、お面のうちのいずれか1つに対応する筐体を更に含むことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のNAM音対応玩具装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか1項のNAM音対応玩具装置と、前記NAM音声を入力するためのNAM音入力手段とを含み、該NAM音対応玩具装置は、前記NAM音入力手段によって入力されたNAM音に対応して前記所定動作を行うことを特徴とするNAM音対応玩具システム。
【請求項11】
入力者の耳介の後方下部の、頭蓋骨の乳様突起直下の、胸鎖乳突筋上の皮膚表面位置に、前記NAM音入力手段を固定する固定手段を更に含むことを特徴とする請求項10記載のNAM音対応玩具システム。
【請求項12】
請求項1から請求項9までのいずれか1項のNAM音対応玩具装置を複数含み、更に、前記複数のNAM音対応玩具装置の少なくとも1つを指定する装置選択指令を含むNAM音声を入力するためのNAM音入力手段を含み、前記複数のNAM音対応玩具装置のうち、前記装置選択指令に対応するNAM音対応玩具装置のみが前記所定動作を行うことを特徴とするNAM音対応玩具システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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