説明

NANO−YAG:Ce蛍光体組成物およびその調製方法

本明細書において開示するのは、スペクトルの黄色領域で放出し、一般式(Y,A)(Al,B)(O,C)12:Ce3+を有し、ここで、AがTb、Gd、Sm、La、Sr、Ba、Caおよび/またはMgであり、Yを置換し、BがSi、Ge、B、Pおよび/またはGaであり、Alを置換し、CがF、Cl、Nおよび/またはSであり、ここで、CがOを置換する、セリウムでドーピングしたガーネット蛍光体である。固相反応法に対し、本願共沈法は、より均質な混合環境を提供し、YAGマトリクスにおけるCe3+付活剤の分布を向上させる。そのような均一な分布は、増加した放出強度の恩典を有する。調製状態の蛍光体の初期粒子サイズは、約200nmであり、分布が狭い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明の態様は、液体混合方法によって調製される、セリウムでドーピングしたガーネット系蛍光体に関するものである。
【0002】
背景技術
(三価セリウムによって付活されると)YAG:Ceとして公知のイットリウムアルミネートガーネット蛍光体は、いわゆる「白色LED」商業市場で使用される周知の蛍光体である。シリケート、硫酸塩、ニトリドシリケートおよびオキソニトリドシリケートに基づく蛍光体と比較して、YAGは、青色着色励起放射の比較的高い吸収効率、高い量子効率(約90パーセントを上回るQE)、高い温度および高い湿度の環境における良好な安定性ならびに広範な放出スペクトルを有する。しかし、励起放射の波長が約460nm未満のレベルに減少すると、YAGの放出強度が低下する。
【0003】
当技術分野では、YAG蛍光体は、一般に、固相反応法を介し、(約1600℃を上回る)高い温度で調製される。原材料の不充分な混合および低い反応性のため、複数の中間相、例えば、YAl(YAM)およびYAlO(YAP)を簡単に生成組成物に組み入れることができる。加えて、得られた蛍光体の粒子サイズは均一ではなく、例えば、分布の平均サイズ(D50)が約5マイクロメートルに位置付けられるとき、通常、約1〜10マイクロメートル超の広範な分布範囲を呈する。
【0004】
固相反応法と比較して、共沈法は、粒子サイズの狭い分布において、実質的に純粋なYAG相を比較的低い温度で調整する利点を有する。他方、共沈させた蛍光体の発光特性は、固相反応法によって調製されたそれらの蛍光体の特性と同程度に良好であるか、おそらくはなおより良い。
【0005】
要望されるのは、約445nm〜455nmの放出ピーク波長を有する青色ダイオードによって励起されたときに、放出ピークが約540nm〜560nmの波長を中心とするときにおける、YAGの放出強度の改良である。これにより、高い輝度の白色LEDが生成される。青色ダイオードから白色ダイオードへの外部変換放出をさらに改良するため、蛍光体粒子サイズを放出波長未満、好ましくは、400nm未満に減少させることにより、散乱損失をさらに低減することが要望される。
【0006】
発明の概要
本発明の態様は、式:
(Y,A)(Al,B)(O,C)12:Ce3+を有し;ここで
AがTb、Gd、Sm、La、Sr、Ba、Caからなる群から選択され、ここで、Aが約0.1〜100パーセントの範囲にわたる量でYを置換し;
BがSi、Ge、B、PおよびGaからなる群から選択され、ここで、Bが約0.1〜100パーセントの範囲にわたる量でAlを置換し;ならびに
CがF、Cl、NおよびSからなる群から選択され、ここで、Cが約0.1〜100パーセントの範囲にわたる量でOを置換する、
セリウムでドーピングしたガーネット系蛍光体に関する。
【0007】
これらのセリウムでドーピングしたガーネット系蛍光体は、多くの恩典を提供する共沈方法によって生成する。一つの恩典として、この方法では、ハロゲンを蛍光体の結晶格子に組み入れることができ、向上した放出強度および放出の波長を制御する能力がもたらされる。共沈法は、そのうえ、より均質な混合環境を提供し、他の成分、例えば、YAGマトリクスにおけるCe3+付活剤の分布を向上させる。
【0008】
本願の共沈法は、そのうえ、粒子サイズの有益な制御を提供する。本態様によると、粒子サイズ分布が約10nm〜約1μmの範囲にわたる。代替態様では、D50平均粒子サイズが約200nm〜約700nmの範囲にわたる。
【0009】
検討した共沈調製法のパラメータ(例えば、格子中のFの介在および粒子サイズ制御)に加え、焼結温度および雰囲気を変数として扱った。焼結温度を増加させると、結晶化度が増加することが判明した。還元雰囲気では、不活性雰囲気に対して放出強度が向上した。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】約1〜約8パーセントの範囲にわたるフッ素(F)濃度で酸素を置換した、Ce:YAl(O,F)12の正規化放出スペクトルであり、この蛍光体は、フッ素の濃度が増加するにつれ、ピーク波長がより短い波長に移行することを示す;
【図2】約1〜約8パーセントの範囲にわたるフッ素濃度で酸素を置換した、Ce:YAl(O,F)12の放出スペクトルであり、図は、F濃度が増加するにつれ、ピーク強度が増加することを示す;
【図3】Ce:YAl(O,F)12ファミリーの化合物の放出スペクトルであり、この実験における変数は、出発材料として使用した特定のフッ素含有化合物である;
【図4】異なるCl濃度でドーピングしたCe:YAl(OCl)12からの正規化放出スペクトルの集合であり、データは、Clドーピングの異なるレベルで放出ピーク波長が実質的に同じままであることを示す;
【図5】xが0〜0.08で変動する、Ce:Y(Al1−xSi12ファミリーの化合物からの正規化放出スペクトルの集合であり;このデータは、シリコン濃度が増加するにつれ、ピーク波長がより短い波長(より高いエネルギ)に移行することを示す;
【図6】5%H雰囲気中において異なる温度で焼結したCe:YAl12の放出スペクトルを示し:焼結温度が増加するにつれ、放出ピーク強度が増加した;
【図7】5%H雰囲気中において異なる温度で焼結したCe:YAl12のX線回折(XRD)パターンを示し:焼結温度が増加するにつれ、結晶化度が改良する;
【図8】同じ温度(1400℃)であるが、雰囲気を変動させて焼結したCe:YAl12の放出スペクトルであり、5%濃度のHがCe:YAGを生成するための最良の焼結雰囲気であることを示す;ならびに
【図9A】共沈法によって調製したCe:YAG化合物の走査型電子顕微鏡(SEM)の顕微鏡写真であり;共沈法を使用した調製状態の蛍光体の初期粒子サイズは、約200nmであり、分布が狭い。
【図9B】固相反応法によって調製したCe:YAG化合物の走査型電子顕微鏡(SEM)の顕微鏡写真である。
【0011】
発明を実施するための形態
本明細書において開示するのは、スペクトルの黄色領域で放出する、セリウムでドーピングしたガーネット蛍光体である。これらの蛍光体は、一般式(Y,A)(Al,B)(O,C)12:Ce3+によって記載することができ、ここで、AがTb、Gd、Sm、La、Sr、Ba、Caおよび/またはMgであり、ここで、Aが約0.1〜100パーセントの範囲にわたる量でYを置換し;BがSi、Ge、B、Pおよび/またはGaであり、ここで、Bが約0.1〜100パーセントの範囲にわたる量でAlを置換し;CがF、Cl、Nおよび/またはSであり、ここで、Cが約0.1〜100パーセントの範囲にわたる量でOを置換する。
【0012】
代替態様では、黄色を放出する、セリウムでドーピングしたガーネット蛍光体を式Y(Al1−xSi(O1−y12:Ce3+によって記載し、ここで、Cが先と同じ意味を有し、xが約0.001〜約0.2の範囲にわたり、yが約0.001〜約0.2の範囲にわたる。
【0013】
代替態様では、黄色を放出する、セリウムでドーピングしたガーネット蛍光体は、約445nm〜約460nmの範囲にわたるピーク波長を有する放射によって励起されたときに発光し、黄色放出光のピーク波長範囲が約540〜560nmの範囲にわたり、ここで、蛍光体の成分がイットリウム、アルミニウム、シリコン、酸素およびフッ素を含む。
【0014】
代替態様では、黄色を放出する、セリウムでドーピングしたガーネット蛍光体は、約445nm〜約460nmの範囲にわたるピーク波長を有する放射によって励起されたときに発光し、黄色放出光のピーク波長範囲が約540〜560nmの範囲にわたり、ここで、粒子サイズ分布が約10nm〜約1μmの範囲にわたる。
【0015】
代替態様では、黄色を放出する、セリウムでドーピングしたガーネット蛍光体は、約445nm〜約460nmの範囲にわたるピーク波長を有する放射によって励起されたときに発光し、黄色放出光のピーク波長範囲が約540〜560nmの範囲にわたり、ここで、D50平均粒子サイズが約200nm〜約700nmの範囲にわたる。
【0016】
代替態様では、黄色を放出する、セリウムでドーピングしたガーネット蛍光体は、約445nm〜約460nmの範囲にわたるピーク波長を有する放射によって励起されたときに発光し、黄色放出光のピーク波長範囲が約540〜560nmの範囲にわたり、ここで、蛍光体は、式Y(Al1−xSi(O1−y12:Ce3+によって表される化合物を含み、ここで、xが約0.001〜約0.2の範囲にわたり、yが約0.001〜約0.2の範囲にわたり、粒子サイズ分布が約10nm〜約1μmの範囲にわたる。
【0017】
本願蛍光体を生成する方法は、:
1)所望の量のCe(NO・6HO、Y(NO・6HO、Al(NO・9HOならびに出発材料であるNHX、AlXおよび/またはYXのいずれか(ここで、Xがハロゲン、例えば、FまたはClである)を計量し、その後、脱イオン化水に溶解する工程;
2)工程1)の溶液を滴下方式でアンモニア溶液に添加する工程;
3)工程2)の溶液を約1時間にわたってエイジングし、その後、得られた沈殿物をろ過および蒸留水で洗浄する工程;
4)工程3)の沈殿物を約6時間にわたり、約150℃で乾燥させる工程;ならびに
5)工程4)の乾燥沈殿物を冷却および穏やかに粉砕し、この生成物をアルミナ坩堝に移し、粉砕した生成物を還元雰囲気中において約1100℃〜1500℃で焼結する工程
を含む。
【0018】
代替態様では、方法は、さらに、工程1)から得られた溶液に(CHO)Siを添加する工程を含む。また、上記例では、Aを含有する出発材料が硝酸塩である必要はなく、Aを含有する出発材料が酸化物、水酸化物、炭酸塩および硫酸塩などであることもできる。
【0019】
代替手順では、ゾルゲル様の重合工程は、シリコン含有モノマーの添加を液体工程中に含むことができる。本方法を使用し、式Ce:Y(Al1−xSi12を有する蛍光体を生成するとき、方法は、:
1)所望の量のCe(NO・6HO、Y(NO・6HO、Al(NO・9HOを脱イオン化水に溶解する工程;
2)工程1)から得られた溶液に(CHO)Siを添加する工程;
3)工程2)の溶液を滴下方式でアンモニア溶液に添加する工程;
4)工程3)の溶液を約1時間にわたってエイジングし、その後、得られた沈殿物をろ過および蒸留水で洗浄する工程;
5)工程4)の沈殿物を約6時間にわたり、約150℃で乾燥させる工程;ならびに
6)工程4)の乾燥沈殿物を冷却および穏やかに粉砕し、この生成物をアルミナ坩堝に移し、粉砕した生成物を還元雰囲気中において約1100℃〜1500℃で焼結する工程
を含む。
【0020】
この後者の方法は、工程1から得られた溶液にハロゲン含有化合物を添加する工程を含むこともできる。
【0021】
以下の実験では、本発明者らが行った実験の結果を記載する。最初のセットの実験は、式Ce:YAl(O,F)を有する結晶の酸素格子サイト上のハロゲン、例えばFまたはClの置換に関するものであり、異なるフッ素含有化合物を出発材料として使用する効果を含む。次のセットの実験では、これらのアルミネート系ガーネット、具体的には、化合物Ce:Y(Al1−xSi12においてAlをSiに置き換える効果を検討する。本開示の最後の三つのセクションでは、粒子サイズを含む、蛍光体の光学特性および形態に対する焼結温度の効果を考察する。
【0022】
Ce:YAl(O,F)12における酸素のフッ素置換
上記した共沈法を使用して一般式(Ce1−xAl12を有する蛍光体の粉末試料を調製した。この蛍光体の調製で使用した出発材料は、約99.9パーセントを上回る純度を有する粉末であった。出発材料は、Ce(NO・6HO、Y(NO・6HOおよびAl(NO・9HOならびにNHX、AlXおよび/またはYXであり、ここで、Xがハロゲン、例えば、フッ素(F)または塩素(Cl)である。上記した二つの手順のうちの最初の手順を使用し、(Ce1−xAl12蛍光体を生成した。
【0023】
上記した実験により生成したCe3+:YAG蛍光体粒子の結晶構造および形態について、Cu Kα放射を使用するRigakuのMiniFlex X線回折装置を用いてX線解析および走査型電子顕微鏡(JEOLのJSM-6330F電界放出走査型電子顕微鏡)によって検討した。Ce:YAG蛍光体粒子の励起スペクトルは、励起源としてキセノンアークランプを使用する、SHIMADZUのRF-1501分光蛍光光度計を使用して測定した。Ce3+:YAG蛍光体粒子生成物のフォトルミネッセンススペクトルは、Ocean OpticsのUSB2000分光器を使用し、蛍光体を450nm LEDで励起して測定した。本実験では、焼成前に発生する液相で蛍光体前駆体にフッ素を添加した。
【0024】
これらの実験の結果を図1〜3に示す。図1は、式Ce:YAl(O,F)12を有し、ここで、フッ素(F)の濃度が0、1、3、5および8パーセントである、化合物のファミリーからの放出スペクトルの集合を示す。ピーク放出波長に対し、フッ素濃度の増加の効果を例証するため、これらの曲線を正規化している。フッ素濃度が約1から約8パーセントに増加するにつれ、蛍光体は、ピーク放出波長がより短い波長に移行することを示した。このデータから、後により詳細に検討する概念である、フッ素が酸素を置換していることが確認される。
【0025】
Ce:YAl(O,F)12シリーズの蛍光体からの放出スペクトルの同じ集合を図2に示し、ここでもまた、フッ素濃度が約1〜約8パーセントの範囲にわたるが、今回はフォトルミネッセンス強度に対するフッ素の効果を示すため、データを正規化しなかった。この図は、ピーク強度の増加がF濃度の増加から生じることを示し、ここでもまた、これは、結晶の格子においてフッ素が酸素原子を置換した直接の結果であると考えられる。したがって、Fの介在が二つの効果を有することが明らかである。
【0026】
フッ素源による発光特性への関与の有無の問題を図3で検討した。この図は、Ce:YAl(O,F)12ファミリーの化合物の放出スペクトルを示し、この実験における変数は、出発材料として使用した特定のフッ素含有化合物である。フッ素含有出発材料のタイプが光学特性に対して認識可能な効果を有するとは思われなかったものの、出発材料であるYFは、出発材料であるAlFおよびNHFで生成した蛍光体に対し、わずかに減少した強度を持つ蛍光体を生成することが明らかであった。
【0027】
図1および2のデータは、フッ素含有量が1パーセント程度に小さいとき、放出ピーク強度が飛躍的に増加することを示す。同時に、F濃度が増加するにつれ、放出ピーク波長が短い波長に移行する。これらの結果は、液体処理の結果として結晶格子に挿入されるフッ素に起因し、この挿入は、置換型または格子間型の性質のいずれかのものであることができると想定される。挿入が置換型である場合、フッ素が格子内のO2−位置を占めるとみられる。これが該当する場合、その後、電荷平衡を考慮すると、酸素サイト空孔の存在があることもできる。
【0028】
データのさらなる検討から、波長および強度に対する効果は、約5原子パーセントを下回るフッ素濃度で最も明確であることが分かる。フッ素の量が約5パーセントを上回るとき、カチオン空孔が飽和し、フッ素含有出発化合物は、液体成分よりも固相反応フラックスとして振る舞う。
【0029】
図4に結果を示す、別個のセットの実験では、フッ素に対して塩素を比較した。Fアニオンが振る舞う方式と同様に、Ce:YAG生成プロセスでは、少量のClもフラックスとして機能することができる。フッ素アニオンが置換型でO2−アニオンを置き換え、YAG格子に組み入れられ、したがって、材料の結晶場に影響し、YAGホストにおいてCe3+のピーク放出波長を移行させることができる、F状況とは異なり、Clアニオンは、O2−位置を占める能力を有することが明らかではない。これは、そのイオン半径が1.81ÅであるClが1.40ÅのO2−半径よりもはるかに大きく、一方、Fは、そのイオン半径が1.33Åであり、O2−アニオンとまさに約同じサイズであるためであることができる。
【0030】
Ce:YAGタイプ蛍光体におけるSiによるAlの置き換え
少量のSiを出発溶液に添加し、一般式Ce:Y(Al1−xSi12を有する蛍光体を形成した。この実験結果を図5に示す。ここでは、x=0のとき;換言すれば、SiによるAlの置換がないとき、蛍光体のピーク放出波長は、約575nmである。3、5および8パーセントのドーピングレベルでは、ピーク放出波長が550nm以下のより短い波長に移行し、これらの各組成物は、お約この位置を中心とする。
【0031】
焼結温度
焼結温度の影響を図6に示す。結果は、1200℃から1300℃、1400℃へと焼結温度が増加すると、可能性として、焼結温度がより高ければ、形成されるYAG結晶の純度がより高いため、放出強度が実質的に増加することを示す。また、いずれかの特定の理論に拘束されることを望むものではないものの、より高い焼結温度に伴うのは、YAG格子内のCe3+のより均質な分布であると考えられる。YAG格子内のCe3+の均質な分布が放出強度の増加の少なくとも一つの理由である、図7のX線回折パターンにより、改良された結晶化度を示す。
【0032】
焼結雰囲気
焼結雰囲気の影響を図8に示す。結果は、焼結雰囲気が当然のことながら窒素および酸素である空気から、完全に不活性であるアルゴン、100パーセント水素雰囲気、約5パーセント水素および95パーセント窒素の還元雰囲気に変化するにつれ、フォトルミネッセンス強度が実質的に増加することを示す。空気およびアルゴン曲線の形状は、還元雰囲気である100パーセント水素および5パーセント水素−95パーセント窒素のものと異なり、Ce3+の一部がCe4+に酸化されるという事実に起因する。
【0033】
粒子サイズ
多数の蛍光体生成方法論の目標は、均一な粒子サイズを生成することであり、本願の共沈法を使用し、容易に達成可能なものである。本願において調製した蛍光体で観察された例示的な粒子サイズ分布は、約200nm〜300nmであった。これは、図9B(固相反応法)と比較して図9AのSEM画像(共沈法)が示すように、比較的狭い分布である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
(Y,A)(Al,B)(O,C)12:Ce3+を有し;ここで
AがTb、Gd、Sm、La、Sr、Ba、Caからなる群から選択され、ここで、Aが約0.1〜100パーセントの範囲にわたる量でYを置換し;
BがSi、Ge、B、PおよびGaからなる群から選択され、ここで、Bが約0.1〜100パーセントの範囲にわたる量でAlを置換し;ならびに
CがF、Cl、NおよびSからなる群から選択され、ここで、Cが約0.1〜100パーセントの範囲にわたる量でOを置換する、
セリウムでドーピングしたガーネット系蛍光体。
【請求項2】
蛍光体が、約445nm〜約460nmの範囲にわたるピーク波長を有する放射によって励起されたときに、約540〜560の範囲にわたる光を放出するように構成され、蛍光体の成分がイットリウム、アルミニウム、シリコン、酸素およびフッ素を含む、請求項1記載のセリウムでドーピングしたガーネット系蛍光体。
【請求項3】
蛍光体が、約445nm〜約460nmの範囲にわたるピーク波長を有する放射によって励起されたときに、約540〜560の範囲にわたる光を放出するように構成され、粒子サイズ分布が約10nm〜約1μmの範囲にわたる、請求項1記載のセリウムでドーピングしたガーネット系蛍光体。
【請求項4】
蛍光体が、約445nm〜約460nmの範囲にわたるピーク波長を有する放射によって励起されたときに、約540〜560の範囲にわたる光を放出するように構成され、D50平均粒子サイズが約200nm〜約700nmの範囲にわたる、請求項1記載のセリウムでドーピングしたガーネット系蛍光体。
【請求項5】
蛍光体が、約445nm〜約460nmの範囲にわたるピーク波長を有する放射によって励起されたときに、約540〜560の範囲にわたる光を放出するように構成され、蛍光体が式Y(Al1−xSi(O1−y12:Ce3+によって表され;xが約0.001〜約0.2の範囲にわたり;yが約0.001〜約0.2の範囲にわたり;粒子サイズ分布が約10nm〜約1μmの範囲にわたる、請求項1記載のセリウムでドーピングしたガーネット系蛍光体。
【請求項6】
式:
(Y,A)(Al,B)(O,C)12:Ce3+を有し;ここで
AがTb、Gd、Sm、La、Sr、Ba、Caからなる群から選択され、ここで、Aが約0.1〜100パーセントの範囲にわたる量でYを置換し;
BがSi、Ge、B、PおよびGaからなる群から選択され、ここで、Bが約0.1〜100パーセントの範囲にわたる量でAlを置換し;ならびに
CがF、Cl、NおよびSからなる群から選択され、ここで、Cが約0.1〜100パーセントの範囲にわたる量でOを置換する、
セリウムでドーピングしたガーネット系蛍光体を調製する方法であって、:
1)所望の量のCe(NO・6HO、Y(NO・6HO、Al(NO・9HOならびにNHX、AlXおよびYXからなる群から選択され、ここで、XがFおよびClからなる群から選択される、化合物を脱イオン化水に溶解する工程;
2)工程1)の溶液を滴下方式でアンモニア溶液に添加する工程;
3)工程2)の溶液をエイジングし、その後、得られた沈殿物をろ過および蒸留水で洗浄する工程;
4)工程3)の沈殿物を乾燥させる工程;ならびに
5)工程4)の乾燥生成物を還元雰囲気中において約1100℃〜1500℃で焼結する工程
を含む、方法。
【請求項7】
さらに、工程1)から得られた溶液に(CHO)Siを添加する工程を含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
Aを含有する出発材料が、硝酸塩、酸化物、水酸化物、炭酸塩および硫酸塩からなる群から選択される、請求項6記載の方法。
【請求項9】
式:
(Al1−xSi12:Ce3+を有し;ここで
xが約0〜約0.1の範囲にわたる、
セリウムでドーピングしたガーネット系蛍光体を調製する方法であって、;
1)所望の量のCe(NO・6HO、Y(NO・6HO、Al(NO・9HOを脱イオン化水に溶解する工程;
2)工程1)から得られた溶液に(CHO)Siを添加する工程;
3)工程2)の溶液を滴下方式でアンモニア溶液に添加する工程;
4)工程3)の溶液をエイジングし、その後、得られた沈殿物をろ過および蒸留水で洗浄する工程;
5)工程4)の沈殿物を乾燥させる工程;ならびに
6)工程5)の乾燥生成物を還元雰囲気中において約1100℃〜1500℃で焼結する工程
である、方法。
【請求項10】
さらに、工程1から得られた溶液にハロゲン含有化合物を添加する工程を含む、請求項9記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【公表番号】特表2010−507008(P2010−507008A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533393(P2009−533393)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/022360
【国際公開番号】WO2008/051486
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(506358764)インテマティックス・コーポレーション (40)
【氏名又は名称原語表記】INTEMATIX CORPORATION
【Fターム(参考)】