説明

NKT細胞に対する抗原としての糖脂質及びその類似体

本発明は、NKT(ナチュラルキラーT)細胞に対するリガンドとして役立つことができる免疫原性化合物及び免疫応答調節におけるその使用方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、NKT(ナチュラルキラーT)細胞に対するリガンドとして役立つことができる免疫原性化合物及び免疫応答調節におけるその使用方法に関する。
【発明の背景】
【0002】
CD1分子群は、機能において古典的MHC分子群に類似している高度に保存された抗原提示タンパク質の1つのファミリーである。古典的MHC分子群がペプチドを提示するのに対して、CD1タンパク質群は、様々な脂質や糖脂質を結合してTリンパ球に表示する。5つの既知のアイソフォームは、ヌクレオチド配列及びアミノ酸配列間の類似性に基づき、2つのグループ、即ちグループI(ヒトのCD1a、CD1b、CD1c、及びCD1e)とグループII(ヒト及びマウスのCD1d)に分類される。
【0003】
多種多様な脂質や糖脂質が、4つのアイソフォームのそれぞれに特異的に結合することが示されている。マウス(m)CD1dの最初の結晶構造は、その構造が主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスIタンパク質に密接に関連している折りたたみコンホメーションをとることを明らかにした。更にその構造は、mCD1dが結合溝に位置するA’とF’と称する2つの疎水性ポケットに長い脂質末端を収容し得ることを明らかにした。更に2つの構造、hCD1bとhCDの構造がこのモデルを確認した。抗原の糖脂質をロードしたときに、CD1が脂質部分を疎水性の溝に結合し、親水性の糖部分をT細胞受容体と接触可能にすることを証明することによりこのモデルを確認したのである。
【0004】
哺乳類及びマイコバクテリアの脂質が、ヒトのCD1a、CD1b、CD1c、及びCD1dにより提示されることが知られている[Porcelli,S.A.&Modlin,R.L.(1999)Annu.Rev.Immunol.17,297−329]。α−GalCerは、海洋海綿動物アゲラスマウリチアヌス(Agelas mauritianus)に見出された脂質であり、現在まで最も広範囲に研究されてきたCD1dに対するリガンドである。α−GalCerは、CD1dに結合されたとき、マウスのVα14iナチュラルキラーT(Vα14iNKT)細胞及びヒトのホモローグVα24iNKT細胞による、速やかなTh1及びTh2サイトカイン産生を刺激する。しかしながら、なぜ海洋起源のα−ガラクトシルセラミドがそのような強力なアゴニストであるかということが謎であるように、哺乳類におけるα−ガラクトシルセラミドの生理的意義も不明なままである。細菌性リン脂質(PIM)、腫瘍由来ガングリオシドGD3、α−GalCerのC結合類似体、異なる脂質鎖長を有するα−GalCer類似体、及びヒトの腫瘍抽出物中に見出されたホスホエタノールアミンなどの、他の既知のリガンドは、CD1d拘束性NKT細胞のうちの比較的小さい集団のみを刺激する。
【0005】
ナチュラルキラー(NK)細胞は、一般に正常末梢血中に約10〜15%の単核球画分を含む。歴史的に、NK細胞は最初、事前に免疫したり活性化することなくある種の腫瘍細胞を溶解させる能力によって発見された。NK細胞はまた、サイトカイン産生において重要な役割を果たし、それが、腫瘍の制御、感染症及びおそらくは、胎児着床に関係している可能性がある。
【発明の要約】
【0006】
本発明は、或る実施態様においては、式1:
【化1】

(式中、
R=COOR又はCHOR
=H又はアルキル基;
=H又はSO
=H又はOH;
’=H又はOH;
=H、不飽和又は飽和アルキル基;
’=H、不飽和又は飽和アルキル基;及び
=OH、アセトアミド基、又はハロゲン原子であって、
但し、R=CHOR、R=H、RがOHであり、且つR’がHである場合は、R=アキシアル位にあるアセトアミド基、ハロゲン原子、若しくはOH、又はR=H、9個以下の炭素原子を有する不飽和若しくは飽和アルキル鎖、又はR’=H、20個以下の炭素原子を有する不飽和若しくは飽和アルキル鎖)
の構造によって表される化合物;又は薬学的に許容可能なその塩を提供する。
【0007】
その他の実施態様においては、本発明は、式2:
【化2】

(式中、
R=COOR又はCHOR
=H又はアルキル基;
=H又はSO
=H又はOH;
’=H又はOH;及び
=H、不飽和又は飽和アルキル基;及び
’=H、不飽和又は飽和アルキル基であって、
但し、R=CHOR、R=H、RがOHであり、且つR’がHである場合は、R=H、9個以下の炭素原子を有する不飽和若しくは飽和アルキル鎖、又は、R’=H、20個以下の炭素原子を有する不飽和若しくは飽和アルキル鎖)
の構造によって表されるもの;又は薬学的に許容可能なその塩を提供する。
【0008】
その他の実施態様においては、本発明は、式3:
【化3】

(式中、
R=COOR又はCHOR
=H又はアルキル基;
=SO;及び
n=整数)
の構造によって表されるもの;
又は薬学的に許容可能なその塩、
を提供する。
【0009】
その他の実施態様においては、本発明は、式4:
【化4】

の構造によって表されるもの、
又は薬学的に許容可能なその塩、
を提供する。
【0010】
その他の実施態様においては、塩は、とりわけ、ナトリウム塩であることができる。
【0011】
その他の実施態様においては、本発明は、式5:
【化5】


の構造によって表されるものを提供する。
【0012】
その他の実施態様においては、本発明は、式6:
【化6】

の構造によって表されるものを提供する。
【0013】
その他の実施態様においては、本発明は、式7:
【化7】

の構造によって表されるものを提供する。
【0014】
その他の実施態様においては、本発明は、式8:
【化8】

の構造によって表されるものを提供する。
【0015】
或る実施態様においては、本発明は、式9:
【化9】

(式中、
R=COOR又はCHOR
=H又はアルキル基;
=H又はSO
=OH;
’=H又はOH;及び
=H、不飽和又は飽和アルキル基;及び
’=H、不飽和又は飽和アルキル基であって、
但し、R=CHOR、R=H、RがOHであり、且つR’がHである場合は、R=H、9個以下の炭素原子を有する不飽和若しくは飽和アルキル鎖、又はR’=H、20個以下の炭素原子を有する不飽和若しくは飽和アルキル鎖)
の構造によって表されるもの;又は薬学的に許容可能なその塩を提供する。
【0016】
その他の実施態様においては、本発明は、式10:
【化10】

の構造によって表されるもの、又は薬学的に許容可能なその塩を提供する。
【0017】
その他の実施態様においては、その塩は、とりわけ、ナトリウム塩であることができる。
【0018】
本発明は、或る実施態様においては、式11:
【化11】

(式中、R=COOR又はCHOR
=H又はアルキル基;
=H又はSO
=H又はOH;
=H、不飽和又は飽和アルキル基;
=OH、アセトアミド基、又はハロゲン原子;及び
=X−A
A=
ジアルキルフェニル基;
【化12】

X=アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、置換したフラン基、又は非置換のフラン基;
Y=N又はC
R7=ハロゲン原子、H、フェニル基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基又はCF3;及び
R8=メチル基又はH)
の構造によって表される化合物、又は薬学的に許容可能なその塩を提供する。
【0019】
その他の実施態様においては、本発明は、式12:
【化13】

の構造によって表される化合物、又は薬学的に許容可能なその塩を提供する。
【0020】
その他の実施態様においては、本発明は、式3:
【化14】

の構造によって表されるもの、又は薬学的に許容可能なその塩を提供する。
【0021】
その他の実施態様においては、本発明は、式4:
【化15】

の構造によって表されるもの、又は薬学的に許容可能なその塩を提供する。
【0022】
その他の実施態様においては、塩は、とりわけ、ナトリウム塩であることができる。
【0023】
その他の実施態様においては、本発明は、式15:
【化16】

の構造によって表されるものを提供する。
【0024】
その他の実施態様においては、本発明は、式16:
【化17】

の構造によって表されるものを提供する。
【0025】
或る実施態様においては、本発明の化合物のいずれか1つが、NKT(ナチュラルキラーT)細胞に対するリガンドであることができる。その他の実施態様においては、リガンドは、CD1分子との複合体中にあることができる。その他の実施態様においては、CD1分子は、CD1dである。その他の実施態様においては、リガンドは、表面にCD161+NKマーカー及びインバリアントT細胞抗原受容体(TCR)を発現しているNKT細胞を刺激する。
【0026】
その他の実施態様においては、本発明は、とりわけ、本発明の化合物のいずれか1つを含む組成物又はワクチンを提供する。その他の実施態様においては、組成物又はワクチンは、とりわけ、少なくとも1種の細胞集団を含むことができる。その他の実施態様においては、細胞集団は、とりわけ、NKT細胞、抗原提示細胞、又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0027】
その他の実施態様においては、本発明は、とりわけ、NKT細胞を本発明の化合物のいずれか1つと接触させることを含む、NKT細胞を刺激する方法を提供する。
【0028】
その他の実施態様においては、本発明は、本発明の方法のいずれか1つによって得られる細胞集団を提供する。
【0029】
その他の実施態様においては、本発明は、対象(subject)の免疫応答を刺激、阻害、抑制又は調節する方法を提供し、前記方法は、とりわけ、対象の中でNKT細胞を本発明の化合物のいずれか1つと接触させる工程を含む。
【0030】
その他の実施態様においては、本発明による化合物は、CD1分子との複合体中にあることができる。その他の実施態様においては、CD1分子は、CD1dであることができる。その他の実施態様においては、その複合体は、樹状細胞上に表示されることができる。その他の実施態様においては、その複合体は、いずれかの抗原提示細胞上に表示されることができる。
【0031】
本発明の或る実施態様においては、NKT細胞は、サイトカインを分泌する。その他の実施態様においては、NKT細胞は、ヒトのVα24iNKT細胞であることができる。その他の実施態様においては、NKT細胞は、マウスのVα14iNKT細胞であることができる。
【0032】
本発明の或る実施態様においては、対象は、免疫無防備状態であることができる。その他の実施態様においては、対象は感染していることができる。その他の実施態様においては、対象は、HIVに感染している。その他の実施態様においては、対象は、マイコバクテリアに感染している。その他の実施態様においては、対象は、マラリアに感染している。その他の実施態様においては、対象はHIV、マイコバクテリア、又はマラリアに感染している。
【0033】
本発明の或る実施態様においては、対象は、癌で苦しんでいる。本発明の或る実施態様においては、対象は、癌の危険度の高い状態にある。本発明の或る実施態様においては、対象は、前癌前駆細胞を有する。
【0034】
本発明の或る実施態様においては、免疫応答は、Th1又はTh2の方向に偏っている。その他の実施態様においては、対象は、自己免疫疾患に罹っているか又はその危険度の高い状態にある。その他の実施態様においては、免疫応答の偏りは、自己免疫疾患の抑制、阻害又は廃止に帰着する。その他の実施態様においては、対象は、不適切な又は望ましくない免疫応答を有する。その他の実施態様においては、その応答は炎症である。その他の実施態様においては、不適切な又は望ましくない応答は、対象の感染症、疾患又は症状を悪化させる。
【0035】
その他の実施態様においては、本発明は、とりわけ、本発明による化合物のいずれか1つを含むアジュバントを提供する。
【0036】
その他の実施態様においては、本発明は、対象の中で化合物、組成物、又はワクチンの免疫原性を増強する方法を提供する。前記方法は、とりわけ、本発明によるアジュバントを更に含む化合物、組成物又はワクチンを対象に投与することを含み、そこでアジュバントが化合物、組成物又はワクチンの免疫原性を増強する。
【0037】
その他の実施態様においては、本発明は、対象のサイトカイン産生を刺激又は増強する方法を提供する。前記方法は、とりわけ、本発明の化合物のいずれか1つを対象に投与することを含み、それにより対象の中でNKT細胞が化合物と接触してサイトカインを分泌する。その他の実施態様においては、サイトカインはインターフェロンγ又はインターロイキン4であることができる。
【0038】
更に、或る実施態様においては、本発明は、式4:
【化18】

の構造によって表される化合物、又は薬学的に許容可能なその塩の製造方法を提供する。前記方法は、とりわけ、ベンジリデン保護基を除去する工程、及び式(4a):
【化19】

の構造によって表される化合物又はその塩(式中、PGはヒドロキシ保護基である)を水素化する工程を含む。その他の実施態様においては、ヒドロキシ保護基はベンジル基であることができる。
【0039】
或る実施態様においては、式(4a)で表される化合物は、とりわけ、式(4b):
【化20】

(式中、PGはヒドロキシ保護基であり、RはHである)
の構造によって表される化合物のガラクトース部分の3”OHの選択的硫酸化を行なう工程を含む方法によって得ることができる。その他の実施態様においては、ヒドロキシ保護基はベンジル基であることができる。
【0040】
本発明の或る実施態様においては、式(4b)(式中、RはHである)で表される化合物は、とりわけ、式(4b)(式中、Rはレブリニル基である)で表される化合物のレブリニル保護基を除去することにより、式(4b)(式中、RはHである)を得る工程を含む方法によって得ることができる。
【0041】
本発明の或る実施態様においては、式(4b)(式中、Rはレブリニル基である)で表される化合物は、とりわけ、式(4c):
【化21】

(式中、RはH又はレブリニル基である)の構造によって表される化合物をヘキサコサン酸と反応させることにより、式(4b)(式中、Rはレブリニル基である)で表される化合物を得る工程を含む方法によって得ることができる。
【0042】
本発明の或る実施態様においては、式(4c)(式中、RはH又はレブリニル基である)で表される化合物は、とりわけ、式(4d):
【化22】

(式中、Rはレブリニル基である)
の構造によって表される化合物のアジド基を還元することにより、式(4c)(式中、RはH又はレブリニル基である)で表される化合物を得る工程を含む方法によって得ることができる。
【0043】
本発明の或る実施態様においては、式(4d)(式中、Rはレブリニル基)で表される化合物は、とりわけ、式(4e):
【化23】

(式中、PGはヒドロキシ保護基であり、LGは離脱基であり、Rはレブリニル基である)
の構造によって表される化合物を、式(4f):
【化24】

(式中、PGはヒドロキシ保護基である)
の構造によって表される化合物と反応させて、
α−グリコシド結合を形成することにより、式(4d)(式中、Rはレブリニル基である)で表される化合物を得る工程を含む方法によって得ることができる。その他の実施態様においては、離脱基は、とりわけ、
【化25】

であることができる。
【0044】
或る実施態様においては、本発明は、式(10):
【化26】

の構造によって表される化合物又は薬学的に許容可能なその塩の製造方法を提供する。前記方法は、とりわけ、式(10a):
【化27】

の構造によって表される化合物のガラクトース部分の3”OHの選択的硫酸化を行なう工程を含む。その他の実施態様においては、硫酸化は、BuSnOの存在下に行なうことができる。
【0045】
本発明の或る実施態様において、式(10a)で表される化合物は、とりわけ、ヒドロキシ保護基を除去する工程、及び式(10b):
【化28】

(式中、PG及びPGはヒドロキシ保護基である)
の構造によって表される化合物を水素化することにより、式(10a)で表される化合物を得る工程を含む方法によって得ることができる。その他の実施態様においては、PGは、とりわけ、ベンジル基であることができる。その他の実施態様においては、PG1は、ベンゾイル基であることができる。本発明の或る実施態様においては、式(10b)で表される化合物は、とりわけ、式(10c):
【化29】

(式中、PGはヒドロキシ保護基である)
の構造によって表される化合物を、式(10d):
【化30】

(式中、PGはヒドロキシ保護基であり、LGは離脱基である)
の構造によって表される化合物と反応させることにより、式(10b)で表される化合物を得る工程を含む方法によって得ることができる。その他の実施態様においては、離脱基は、とりわけ、
【化31】

であることができる。
【0046】
本発明の或る実施態様においては、式(10c)で表される化合物は、とりわけ、式(10e):
【化32】

(式中、PG及びPGはヒドロキシ保護基である)
の構造によって表される化合物のアジド基を還元する工程;得られたアミンをヘキサコサン酸と反応させる工程;及びヒドロキシ保護基PGを除去することにより、式(10c)で表される化合物を得る工程を含む方法によって得ることができる。その他の実施態様においては、PGは、とりわけ、TIPSであることができる。
【0047】
或る実施態様においては、本発明は、式(17):
【化33】

の構造によって表される化合物、又は薬学的に許容可能な塩の製造方法を提供する。前記方法は、とりわけ、式(17a):
【化34】

の構造によって表される化合物のガラクトース部分の3”OHの選択的硫酸化を行なうことにより、式(17)の構造によって表される化合物を得る工程を含む。その他の実施態様においては、硫酸化はBuSnOの存在下に行なうことができる。
【0048】
本発明の或る実施態様においては、式(17a)で表される化合物は、とりわけ、式(17b):
【化35】

(式中、PG及びPGはヒドロキシ保護基である)
の構造によって表される化合物のヒドロキシ保護基を除去することにより、式(17a)で表される化合物を得る工程を含む方法によって得ることができる。その他の実施態様においては、PGは、とりわけ、ベンゾイル基であることができる。その他の実施態様においては、PGは、とりわけ、ベンゾイル基であることができる。本発明の或る実施態様においては、式(17b)で表される化合物は、とりわけ、式(17c):
【化36】

(式中、PG及びPGはヒドロキシ保護基であり、PGはアミノ保護基である)
の構造によって表される化合物のアミンを脱保護する工程、及びネルボン酸と反応させることにより、式(17b)で表される化合物を得る工程を含む方法によって得ることができる。その他の実施態様においては、アミノ保護基は、とりわけ、tBocであることができる。
【0049】
更に、或る実施態様においては、本発明は、式(13):
【化37】

の構造によって表される化合物又は薬学的に許容可能なその塩(式中、RはCHOHであり、RはHである)の製造方法を提供する。前記方法は、とりわけ、ベンジルジオール保護基を除去する工程、及び式(13a):
【化38】

の構造によって表される化合物又はその塩(式中、PGはヒドロキシ保護基であり、RはHである)を水素化する工程を含む。その他の実施態様においては、ヒドロキシ保護基はベンジル基であることができる。
【0050】
本発明の或る実施態様においては、式(13a)(式中、ROはSOである)で表される化合物は、とりわけ、式(13a)の構造によって表される化合物のガラクトース部分の3”OHの選択的硫酸化を行なう工程を含む方法によって得ることができる。
【0051】
本発明の或る実施態様においては、式(13a)(式中、RはHである)で表される化合物は、とりわけ、式(13b)(式中、Rはレブリニル基である)で表される化合物のレブリニル保護基を除去することにより、式(13a)(式中、RはHである)で表される化合物を得る工程を含む方法によって得ることができる。
【0052】
本発明の或る実施態様においては、式(13b)(式中、Rはレブリニル基である)で表される化合物は、とりわけ、式(13c):
【化39】

(式中、Rはレブリニル基である)
の構造によって表される化合物を酸型のRと反応させることにより、式(13b)(式中、Rはレブリニル基である)で表される化合物を得る工程を含む方法によって得ることができる。
【0053】
本発明の或る実施態様においては、式(13c)(式中、Rはレブリニル基である)で表される化合物は、とりわけ、式(13d):
【化40】

(式中、Rはレブリニル基である)
の構造によって表される化合物のアジド基を還元することにより、式(13c)で表される化合物を得る工程を含む方法によって得ることができる。
【0054】
本発明の或る実施態様においては、式(13d)(式中、Rはレブリニル基である)で表される化合物は、とりわけ、式(13e):
【化41】

(式中、PGはヒドロキシ保護基であり、LGは離脱基であり、Rはレブリニル基である)
の構造によって表される化合物を、式(13f):
【化42】

(式中、PGはヒドロキシ保護基である)
の構造によって表される化合物と反応させて、α−グリコシド結合を形成することにより、式(13d)(式中、Rはレブリニル基である)で表される化合物を得る工程を含む方法によって得ることができる。その他の実施態様においては、離脱基は、とりわけ、
【化43】

であることができる。
【0055】
或る実施態様においては、本発明は、式(14):
【化44】

の構造によって表される化合物又は薬学的に許容可能なその塩の製造方法を提供する。前記方法は、とりわけ、式(13):
【化45】

(式中、RはHであり、RはCHOHである)
の構造によって表される化合物のガラクトース部分の3”OHの選択的硫酸化を行なう工程を含む。その他の実施態様においては、硫酸化は、BuSnOの存在下に行なうことができる。
【0056】
本発明の或る実施態様においては、式(13)で表される化合物は、とりわけ、ヒドロキシ保護基を除去する工程、及び式(13g):
【化46】

(式中、PG及びPGはヒドロキシ保護基である)
の構造によって表される化合物を水素化することにより、式(13)(式中、RはHであり、RはCHOHである)で表される化合物を得る工程を含む方法によって得ることができる。その他の実施態様においては、PGは、とりわけ、ベンジル基であることができる。その他の実施態様においては、PGは、とりわけ、ベンゾイル基であることができる。本発明の或る実施態様においては、式(13g)で表される化合物は、とりわけ、式(13h):
【化47】

(式中、PGはヒドロキシ保護基である)
の構造によって表される化合物を、式(13i):
【化48】

(式中、PGはヒドロキシ保護基であり、LGは離脱基である)
の構造によって表される化合物と反応させることにより、式(13g)で表される化合物を得る工程を含む方法によって得ることができる。その他の実施態様においては、離脱基は、とりわけ、
【化49】

であることができる。
【0057】
本発明の或る実施態様においては、式(13h)で表される化合物は、式(13j):
【化50】

(式中、PG及びPGはヒドロキシ保護基である)
の構造によって表される化合物のアジド基を還元する工程;得られたアミンを酸型のRと反応させる工程;及びヒドロキシ保護基PGを除去することにより、式(13h)で表される化合物を得る工程を含む方法によって得ることができる。その他の実施態様においては、PGは、とりわけ、TIPSであることができる。
【0058】
本発明の或る実施態様においては、式(13g)で表される化合物は、とりわけ、式(13k):
【化51】

(式中、PG及びPGはヒドロキシ保護基であり、PGはアミノ保護基である)
の構造によって表される化合物のアミンを脱保護する工程、及び酸型のRと反応させることにより、式(13g)で表される化合物を得る工程を含む方法によって得ることができる。その他の実施態様においては、アミノ保護基は、とりわけ、tBocであることができる。
【0059】
本発明の或る実施態様においては、「アルキル」基は、直鎖状、分岐状、及び環状アルキル基を含む、飽和脂肪族炭化水素基を指す。或る実施態様においては、アルキル基は1〜30個の炭素原子を有する。その他の実施態様においては、アルキル基は1〜25個の炭素原子を有する。その他の実施態様においては、アルキル基は1〜20個の炭素原子を有する。その他の実施態様においては、アルキル基は1〜10個の炭素原子を有する。その他の実施態様においては、アルキル基は1〜5個の炭素原子を有する。その他の実施態様においては、アルキル基は10〜25個の炭素原子を有する。その他の実施態様においては、アルキル基は15〜25個の炭素原子を有する。アルキル基は、非置換であるか、又はハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基、アミド基、アルキルアミド基、ジアルキルアミド基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、チオ基及びチオアルキキル基から選択される1つ又は複数の基によって置換することができる。
【0060】
本発明の実施態様によれば、本明細書及び特許請求の範囲の全体にわたり使用されるアルキル基という用語は、「非置換のアルキル基」及び/又は「置換したアルキル基」の両方を含むことができ、後者は炭化水素骨格の1個又は複数個の炭素原子上の水素原子を置き換えた置換基を有するアルキル部分を指すことができる。その他の実施態様においては、そのような置換基は、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシル基、シリルオキシ基、カルボニル基、及びエステル基、ホスホリル基、アミン基、アミド基、イミン基、チオール基、チオエーテル基、チオエステル基、スルホニル基、アミノ基、ニトロ基、又は有機金属部分を含むことができる。炭化水素鎖上に置換した部分を、適切な場合には、それ自体置換することができることは、当業者によって理解されよう。例えば、置換したアルキル基の置換基は、置換型の及び非置換型のアミン基、イミン基、アミド基、ホスホリル基 (ホスホネート基及びホスフィン基を含む)、スルホニル基(サルフェート基及びスルホネート基を含む)、及びシリル基、並びにエーテル基、チオエーテル基、セレノエーテル基、カルボニル基(ケトン基、アルデヒド基、カルボキシレート基、及びエステル基を含む)、−CF、及び−CNを含むことができる。もちろん、他の置換基を付与することができる。その他の実施態様においては、シクロアルキル基は更に、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、チオアルキル基、アミノアルキル基、カルボニル置換したアルキル基、CF、及びCNで置換することができる。もちろん、他の置換基を付与することができる。
【0061】
本発明の実施態様によれば、本明細書で使用する「保護基」という語句は、潜在的に反応性の官能基を一時的に修飾して、望ましくない化学転換から保護することを意味する。前記保護基の例としては、それぞれ、カルボン酸のエステル、アルコールのシリルエーテル、並びにアルデヒド及びケトンのアセタール及びケタールが含まれる。もちろん、他の適切な保護基を使用することができる。
【0062】
本発明の或る実施態様においては、保護基は、とりわけ、ヒドロキシ保護基であることができる。本発明の或る実施態様においては、ヒドロキシ保護基は、とりわけ、アルキル基、アリール基、アラルキル基、シリル基、又はアシル基であることができる。その他の実施態様においては、保護基は、とりわけ、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基(TBS)、トリイソプロピルシリル基(TIPS)、又はtert−ブチルジフェニルシリル基であることができる。もちろん、任意の他の適切な保護基を使用することができる。或る実施態様においては、アラルキル基は非置換又は置換したものであることができる。その他の実施態様においては、アラルキル基は、とりわけ、アリールメチル基であることができる。その他の実施態様においては、保護基は、とりわけ、ベンジル基であることができる。その他の実施態様においては、保護基は、とりわけ、メトキシベンジル基であることができる。その他の実施態様においては、メトキシベンジル基は、とりわけ、p-メトキシベンジル基であることができる。
【0063】
本発明の或る実施態様においては、アミノ保護基は、アミノ保護基のいずれかであることができる(例えば“Protection for the amino group”in T.W.Green & P.G.M.Wuts,Protective groups in organic synthesis,3rd Ed.,1999,494−653を参照のこと)。
【0064】
本発明の或る実施態様においては、保護基は、とりわけ、アミノ保護基であることができる。本発明の或る実施態様においては、アミノ保護基は、とりわけ、カルバメート基、アミド基又はN−スルホニルアミド基であることができる。その他の実施態様においては、アミノ保護基は、とりわけ、ベンジルオキシカルボニル基(Cbz)、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基(Fmoc)、t−ブチルオキシカルボニル基(tBoc)、ビフェニルイソプロピルオキシカルボニル基、t−アミルオキシカルボニル基、イソボルニルオキシカルボニル基、α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル基又は2−シアノ−t−ブチルオキシカルボニル基であることができる。その他の実施態様においては、アミノ保護基(PG)は、とりわけ、ベンジルオキシカルボニル基(Cbz)であることができる。
【0065】
更に、或る実施態様においては、本発明は、医薬組成物を提供する。前記医薬組成物は、とりわけ、本発明の化合物のいずれか1つ又はそれらの任意の組み合わせを、1つ又は複数の薬学的に許容可能な賦形剤と一緒に含むものである。
【0066】
更に、或る実施態様においては、本発明は、対象の免疫応答を刺激、阻害、抑制又は調節する方法を提供する。前記方法は、とりわけ、本発明の化合物の任意の1つ又はそれらのいずれかの組み合わせを、対象に投与することを含むことができる。
【0067】
更に、1つの実施態様においては、本発明は、対象の免疫応答を刺激、阻害、抑制又は調節する方法を提供する。前記方法は、とりわけ、本発明の化合物のいずれか1つ又はそれらの任意の組み合わせを、1つ又は複数の薬学的に許容可能な賦形剤と一緒に含む医薬組成物を、とりわけ、対象に投与することを含む。
【0068】
更に、1つの実施態様においては、「医薬組成物」は、対象の免疫応答を刺激、阻害、抑制又は調節するために有用な、治療的有効量の1つ又は複数の本発明の化合物を、適当な賦形剤及び/又は担体と一緒にしたものを意味することができる。或る実施態様においては、「治療的有効量」は、所与の病態及び投与計画に対して治療効果を与える量を指すことができる。或る実施態様においては、そのような組成物を、この技術分野で知られている任意の方法によって投与することができる。
【0069】
或る実施態様においては、本発明の組成物は、経口又は非経口投与形態、(例えば、コーティングしない錠剤、コーティングした錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、分散剤又は懸濁剤)で製剤化される。その他の実施態様においては、本発明の組成物は、静脈内投与用に製剤化される。その他の実施態様においては、本発明の化合物は、経皮投与用に軟膏剤、クリーム剤又はゲル剤の形態に製剤化される。その他の実施態様においては、本発明の化合物は、鼻に適用するためのエアゾル剤又はスプレー剤として製剤化される。その他の実施態様においては、本発明の組成物は、液体投与形態で製剤化される。適当な液体投与形態の例は、水、薬学的に許容可能な油脂、アルコール又は他の有機溶媒(エステルを含む)中の液剤若しくは懸濁剤を含み、乳剤、シロップ剤若しくはエリキシル剤、液剤及び/又は懸濁剤を含む。
【0070】
適当な賦形剤及び担体は、本発明の実施態様によれば、固体又は液体であることができ、その型は一般に、使用される投与の型に基づいて選択される。組成物を送達するためにリポソームも使用することができる。適当な固体担体は、ラクトース、スクロース、ゼラチン及び寒天を含む。経口投与形態は、適当な結合剤、滑沢剤、希釈剤、崩壊剤、着色剤、香味剤、流動誘発剤、及び融解剤を含むことができる。液体の投与形態は、例えば、適当な溶媒、保存剤、乳化剤、懸濁化剤、希釈剤、甘味剤、増粘剤、及び融解剤を含むことができる。非経口及び静脈内形態はまた、注射の型又は選択した薬物送達系の型に適合させるように無機物及び他の物質をも含むのがよい。もちろん、他の賦形剤を使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施態様による、α−ガラクトシルセラミド、スルファチド及び3−O−スルホ−α/β−ガラクトシルセラミド10、24の構造を示す図である。
【0072】
【図2】(a)本発明の実施態様による化合物IVの製造、及び(b)本発明の実施態様による化合物4の製造を示す図である。
【0073】
【図3】本発明の実施態様による、化合物XVの調製を示す図である。
【0074】
【図4】(a)本発明の実施態様による化合物XVIIIの調製、及び(b)本発明の実施態様による化合物10の調製を示す図である。
【0075】
【図5】本発明の実施態様による、糖脂質及びその類似体の構造を示す図である。
【0076】
【図6】ここで実施される本発明の実施態様による、スフィンゴシンの合成を模式的に示す図である。試薬及び条件;a)C2H3MgBr,THF,アンチ:シン 3.5:1 61%;b)(i)第2世代グラブス触媒,CH2Cl2,ペンタデセン,71%;(ii)BzCl,ピリジン,90%;(iii)アンバーリスト15H+型,MeOH70%.
【0077】
【図7】本明細書で行なう本発明の実施態様による、いくつかの糖脂質の合成を模式的に示す図である。試薬及び条件;a)32,TMSOTf,67%;b)(i)TFA,DCM,(ii)HBTU,ミリスチン酸又は2−(S)−ヒドロキシミリスチン酸,n−モルホリン,≒92% 2工程;c)H,20%Pd(OH)2,(ii)LiOH,H2O:THF:MeOH,38%,2工程;d)36,TMSOTf,60%;e)(i)TFA,DCM,(ii)HBTU,ミリスチン酸又は2−(S)−ヒドロキシミリスチン酸、,n−モルホリン,≒92% 2工程;f)(i)NaOMe,MeOH,(ii)Pd/C,H,EtOH,90% 2工程;g)40,TMSOTf,62%.h)(i)TFA,DCM,(ii)HBTU,ネルボン酸,n−モルホリン,60% 2工程;i)(i)NaOMe,MeOH,定量的,(ii)BuSnO,MeOH,(iii)MeN・SO,THF,95%;j−k)(i)LDA,TMSOOTMS,(ii)H+,MeOH,30%,2工程;次いでLiOH,HO:MeOH:THF,81%;l)ノボザイム435,CH=CHOAc,54%(S異性体に基づく).
【0078】
【図8】本発明の実施態様による、糖脂質で得られたIL−2分泌プロファイルを示す図である。(a)α−GalCer及び類似体と比較して、3−O−スルホ−GalCerで得たIL−2分泌プロファイル。(b)スフィンゴモナス(Sphingomonas)GSLs及び類似体による用量依存性のIL−2分泌。
【0079】
【図9】本発明の実施態様による、糖脂質に対するヒトNKT細胞の応答を示す図である。ヒトVα24iNKT細胞は、合成スフィンゴモナス(Sphingomonas)糖脂質及びスルファチド糖脂質に応答する。それは、4x10個の自己未成熟CD14+樹状細胞に、10μg/mlの表示された糖脂質抗原をパルスして培養した後の、IFN−γ(a)及びIL−4(b)の放出という形で応答するのである。陰性対照は、糖脂質を添加せずに培養した類似の数のNKT細胞及び樹状細胞を含むものであった。データは、一対のウェルについての平均値±S.D.を表す;(c)CD14DCs(4x10/ウェル)及び20μg/mlの様々な糖脂質存在下にヒトCD161NK+NKT細胞(2x10/ウェル)によるインビトロでのINF−γ分泌;(d)CD14DCs(4x10/ウェル)及び20μg/mlの様々な糖脂質存在下にヒトCD161NK+NKT細胞(2x10/ウェル)によるインビトロでのIL−4分泌。
【0080】
【図10】本発明の実施態様による、10Mの表示された糖脂質抗原をアンロード又はロードしたヒトCD1d二量体を有するヒトVα24iヒトNKT細胞系のフローサイトメトリー分析を示す図である。細胞はまた、抗ヒトCD3−PerCPでも染色された。
【0081】
【図11】本発明の実施態様による、コンピュータで作った、mCD1dの結晶構造にドッキングしたGSL−1モデルを示す図である。2つのアシル末端がタンパク質の疎水性ポケット中にうまく納まり、糖鎖ヘッドグループがNKT細胞認識のために提示されるのを可能にしている。
【0082】
【図12】本発明の実施態様による、表示された糖脂質を提示されたマウスNKT細胞から得たIL−2分泌プロファイルを示す図である。
【0083】
【図13】本発明の実施態様による、表示された他の糖脂質を提示されたマウスNKT細胞から得たIL−2分泌プロファイルを示す図である。
【0084】
【図14】表示された糖脂質を、表示された濃度で供給され、提示されたヒトNKT細胞からのIFN−γ分泌を示す図である。
【図15】表示された糖脂質を、表示された濃度で供給され、提示されたヒトNKT細胞からのIFN−γ分泌を示す図である。
【図16】表示された糖脂質を、表示された濃度で供給され、提示されたヒトNKT細胞からのIFN−γ分泌を示す図である。
【0085】
【図17】表示された糖脂質を、より高濃度で供給され、提示されたヒトNKT細胞からのIFN−γ分泌を示す図である。
【図18】表示された糖脂質を、より高濃度で供給され、提示されたヒトNKT細胞からのIFN−γ分泌を示す図である。
【0086】
【図19】CD1dトランスフェクトHela細胞との関連で、表示された濃度で糖脂質を提示されたヒトNKT細胞からの同様なIFN−γ分泌を示す図である。
【0087】
【図20】は、樹状細胞(A)又はトランスフェクトHela細胞(B)との関連で、表示された濃度で糖脂質を提示されたヒトNKT細胞からのIL−4分泌を示す図である。
【0088】
【図21】は、α−GalCer(緑色)/hCD1d複合体の結晶構造と実施例10からの化合物84(黄色)のドッキング結果を重ね合わせた図を示す図である。図が見やすいようにα2ヘリックスを取り外してある。ドッキングした化合物の全体の結合モチーフは、結晶構造から特には逸脱しなかった。末端フェニル基84は、Tyr73の芳香環と相互作用をする距離内にある。
【本発明の詳細な説明】
【0089】
本発明は、或る実施態様においては、式1:
【化52】

(式中、
R=COOR又はCHOR
=H又はアルキル基;
=H又はSO
=H又はOH;
’=H又はOH;
=H、不飽和又は飽和アルキル基;
’=H、不飽和又は飽和アルキル基;及び
=OH、アセトアミド基、又はハロゲン原子であり、
但し、R=CHOR、R=H、RがOHであり、且つR’がHである場合は、R=アキシアル位にあるアセトアミド基、ハロゲン原子、若しくはOH、又はR=H、9個以下の炭素原子を有する不飽和若しくは飽和アルキル鎖、又はR’=H、20個以下の炭素原子を有する不飽和若しくは飽和アルキル鎖)
の構造によって表される化合物;又は薬学的に許容可能なその塩を提供する。
【0090】
その他の実施態様においては、本発明は、式2:
【化53】

(式中、
R=COOR又はCHOR
=H又はアルキル基;
=H又はSO
=H又はOH;
’=H又はOH;及び
=H、不飽和又は飽和アルキル基;及び
’=H、不飽和又は飽和アルキル基であって、
但し、R=CHOR、R=H、RがOHであり、且つR’がHである場合は、R=H、9個以下の炭素原子を有する不飽和若しくは飽和アルキル鎖、又はR’=H、20個以下の炭素原子を有する不飽和若しくは飽和アルキル鎖)
の構造によって表されるもの;又は薬学的に許容可能なその塩を提供する。
【0091】
或る実施態様においては、Rのアルキル鎖は1個の炭素原子を有し、その他の実施態様においては、Rのアルキル鎖は1〜5個の炭素原子を有し、又はその他の実施態様においては、2〜6個、又はその他の実施態様においては、3〜7個、又はその他の実施態様においては、4〜8個、又はその他の実施態様においては、5〜9個の炭素原子を有する。或る実施態様においては、Rのアルキル鎖は、10〜25個の炭素原子を有し、その他の実施態様においては、Rのアルキル鎖は10〜15の炭素原子を有する。
【0092】
その他の実施態様においては、R’のアルキル鎖は1個の炭素原子を有し、その他の実施態様においては、R’のアルキル鎖は1〜10個の炭素原子を有し、又はその他の実施態様においては、10〜15個、又はその他の実施態様においては、5〜13個、又はその他の実施態様においては、8〜15個、又はその他の実施態様においては、10〜25個の炭素原子を有し、又はその他の実施態様においては、20〜30個の炭素原子を有する。
【0093】
その他の実施態様においては、本発明は、式3:
【化54】

(式中、
R=COOR又はCHOR
=H又はアルキル基;
=SO;及び
n=整数)
の構造によって表されるもの;
又は薬学的に許容可能なその塩、
を提供する。
【0094】
その他の実施態様においては、nは1〜5の範囲の整数であり、又はその他の実施態様においては、5〜10、又はその他の実施態様においては、10〜15、又はその他の実施態様においては、10〜20、又はその他の実施態様においては、1〜15、又はその他の実施態様においては、15〜25の炭素原子、又はその他の実施態様においては、10〜30である。
【0095】
その他の実施態様においては、本発明は、式4:
【化55】

の構造によって表されるもの、
又は薬学的に許容可能なその塩、
を提供する。
【0096】
その他の実施態様においては、その塩は、とりわけ、ナトリウム塩であることができる。
【0097】
その他の実施態様においては、本発明は、式5:
【化56】

の構造によって表されるものを提供する。
【0098】
その他の実施態様においては、本発明は、式6:
【化57】

の構造によって表されるものを提供する。
【0099】
その他の実施態様においては、本発明は、式7:
【化58】

の構造によって表されるものを提供する。
【0100】
その他の実施態様においては、本発明は、式8:
【化59】

の構造によって表されるものを提供する。
【0101】
或る実施態様においては、本発明は、式9:
【化60】

(式中、
R=COOR又はCHOR
=H又はアルキル基;
=H又はSO
=OH;
’=H又はOH;及び
=H、不飽和又は飽和アルキル基;及び
’=H、不飽和又は飽和アルキル基であり、
但し、R=CHOR、R=H、RがOHであり、且つR’がHである場合は、R=H、9個以下の炭素原子を有する不飽和又は飽和アルキル鎖、又はR’=H、20個以下の炭素原子を有する不飽和又は飽和アルキル鎖)
の構造によって表されるもの;又は薬学的に許容可能なその塩を提供する。
【0102】
その他の実施態様においては、本発明は、式10:
【化61】

の構造によって表されるもの、又は薬学的に許容可能なその塩を提供する。
【0103】
その他の実施態様においては、その塩は、とりわけ、ナトリウム塩であることができる。
【0104】
更に、或る実施態様においては、本発明は、式(4):
【化62】

の構造によって表される化合物、又は薬学的に許容可能なその塩の製造方法を提供する。前記方法は、とりわけ、ベンジリデン保護基を除去する工程、及び式(4a):
【化63】

の構造によって表される化合物又はその塩(式中、PGはヒドロキシ保護基である)を水素化する工程を含む。その他の実施態様においては、ヒドロキシ保護基はベンジル基であることができる。
【0105】
或る実施態様においては、式(4a)で表される化合物は、とりわけ、式(4b):
【化64】

(式中、PGはヒドロキシ保護基であり、RはHである)
の構造によって表される化合物のガラクトース部分の3”OHの選択的硫酸化を行なう工程を含む方法によって得ることができる。その他の実施態様においては、ヒドロキシ保護基はベンジル基であることができる。
【0106】
本発明の或る実施態様においては、式(4b)(式中、RはHである)で表される化合物は、とりわけ、式(4b)(式中、Rはレブリニル基である)で表される化合物のレブリニル保護基を除去することにより、式(4b)(式中、RはHである)を得る工程を含む方法によって得ることができる。
【0107】
本発明の或る実施態様においては、式(4b)(式中、Rはレブリニル基である)で表される化合物は、とりわけ、式(4c):
【化65】

(式中、RはH又はレブリニル基である)
の構造によって表される化合物をヘキサコサン酸と反応させることにより、式(4b)(式中、Rはレブリニル基である)で表される化合物を得る工程を含む方法によって得ることができる。
【0108】
本発明の或る実施態様においては、式(4c)(式中、RはH又はレブリニル基である)で表される化合物は、とりわけ、式(4d):
【化66】

(式中、Rはレブリニル基である)
の構造によって表される化合物のアジド基を還元することにより、式(4c)(式中、RはH又はレブリニル基である)で表される化合物を得る工程を含む方法によって得ることができる。
【0109】
本発明の或る実施態様においては、式(4d)(式中、Rはレブリニル基)で表される化合物は、とりわけ、式(4e):
【化67】

(式中、PGはヒドロキシ保護基であり、LGは離脱基であり、Rはレブリニル基である)
の構造によって表される化合物を、式(4f):
【化68】

(式中、PGはヒドロキシ保護基である)
の構造によって表される化合物と反応させて、
α−グリコシド結合を形成することにより、式(4d)(式中、Rはレブリニル基である)で表される化合物を得る工程を含む方法によって得ることができる。その他の実施態様においては、離脱基は、とりわけ、
【化69】

であることができる。
【0110】
或る実施態様においては、本発明は、式(10):
【化70】

の構造によって表される化合物又は薬学的に許容可能なその塩の製造方法を提供する。前記方法は、とりわけ、式(10a):
【化71】

の構造によって表される化合物のガラクトース部分の3”OHの選択的硫酸化を行なう工程を含む。その他の実施態様においては、硫酸化は、BuSnOの存在下に行なうことができる。
【0111】
本発明の或る実施態様においては、式(10a)で表される化合物は、とりわけ、ヒドロキシ保護基を除去する工程、及び式(10b):
【化72】

(式中、PG及びPGはヒドロキシ保護基である)
の構造によって表される化合物を水素化することにより、式(10a)で表される化合物を得る工程を含む方法によって得ることができる。その他の実施態様においては、PGは、とりわけ、ベンジル基であることができる。その他の実施態様においては、PG1は、とりわけ、ベンゾイル基であることができる。本発明の或る実施態様においては、(10b)で表される化合物は、とりわけ、式(10c):
【化73】

(式中、PGはヒドロキシ保護基である)
の構造によって表される化合物を、式(10d):
【化74】

(式中、PGはヒドロキシ保護基であり、LGは離脱基である)
の構造によって表される化合物と反応させることにより、式(10b)で表される化合物を得る工程を含む方法によって得ることができる。その他の実施態様においては、離脱基は、とりわけ、
【化75】

であることができる。
【0112】
本発明の或る実施態様においては、式(10c)で表される化合物は、とりわけ、式(10e):
【化76】

(式中、PG及びPGはヒドロキシ保護基である)
の構造によって表される化合物のアジド基を還元する工程;得られたアミンをヘキサコサン酸と反応させる工程;及びヒドロキシ保護基PGを除去することにより、式(10c)で表される化合物を得る工程を含む方法によって得ることができる。その他の実施態様においては、PGは、とりわけ、TIPSであることができる。
【0113】
或る実施態様においては、本発明は、式(11):
【化77】

の構造によって表される化合物、又は薬学的に許容可能な塩の製造方法を提供する。前記方法は、とりわけ、式(11a):
【化78】

の構造によって表される化合物のガラクトース部分の3”OHの選択的硫酸化を行なうことにより、式(10)の構造によって表される化合物を得る工程を含む。その他の実施態様においては、硫酸化はBuSnOの存在下に行なうことができる。
【0114】
本発明の或る実施態様においては、式(11a)で表される化合物は、とりわけ、式(11b):
【化79】

(式中、PG及びPGはヒドロキシ保護基である)
の構造によって表される化合物のヒドロキシ保護基を除去することにより、式(11a)で表される化合物を得る工程を含む方法によって得ることができる。その他の実施態様においては、PGは、とりわけ、ベンゾイル基であることができる。その他の実施態様においては、PGは、とりわけ、ベンゾイル基であることができる。
【0115】
本発明の或る実施態様においては、式(10b)で表される化合物は、とりわけ、式(11c):
【化80】

(式中、PG及びPGはヒドロキシ保護基であり、PGはアミノ保護基である)
の構造によって表される化合物のアミンを脱保護する工程、及びネルボン酸と反応させることにより、式(11b)で表される化合物を得る工程を含む方法によって得ることができる。その他の実施態様においては、アミノ保護基は、とりわけ、tBocであることができる。
【0116】
或る実施態様においては、本発明の化合物のいずれか1つが、NKT(ナチュラルキラーT)細胞に対するリガンドであることができる。その他の実施態様においては、リガンドは、CD1分子との複合体中にあることができる。その他の実施態様においては、CD1分子は、CD1dである。その他の実施態様においては、リガンドは、表面にCD161+NKマーカー及びインバリアントT細胞抗原受容体(TCR)を発現しているNKT細胞を刺激する。
【0117】
その他の実施態様においては、本発明は、とりわけ、本発明の化合物のいずれか1つを含む組成物又はワクチンを提供する。その他の実施態様においては、組成物又はワクチンは、とりわけ、少なくとも1種の細胞集団を含むことができる。その他の実施態様においては、細胞集団は、とりわけ、NKT細胞、抗原提示細胞、又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0118】
その他の実施態様においては、本発明は、NKT細胞を刺激する方法を提供し、前記方法は、とりわけ、NKT細胞を本発明の化合物のいずれか1つと接触させることを含む。
【0119】
その他の実施態様においては、本発明は、本発明の方法のいずれか1つによって得られる細胞集団を提供する。
【0120】
その他の実施態様においては、本発明は、対象の免疫応答を刺激、阻害、抑制又は調節する方法を提供する。前記方法は、とりわけ、対象の中でNKT細胞を本発明の化合物のいずれか1つと接触させる工程を含む。
【0121】
その他の実施態様においては、本発明による化合物は、CD1分子との複合体中にあることができる。その他の実施態様においては、CD1分子は、CD1dであることができる。その他の実施態様においては、その複合体は、樹状細胞上に表示されることができる。その他の実施態様においては、その複合体は、任意の抗原提示細胞上に表示されることができる。
【0122】
本発明の或る実施態様においては、NKT細胞は、サイトカインを分泌する。その他の実施態様においては、NKT細胞は、ヒトのVα24iNKT細胞であることができる。その他の実施態様においては、NKT細胞は、マウスのVα14iNKT細胞であることができる。
【0123】
本発明の或る実施態様においては、対象は、免疫無防備状態であることができる。その他の実施態様においては、対象は感染している。その他の実施態様においては、対象は、HIVに感染している。その他の実施態様においては、対象は、マイコバクテリアに感染している。その他の実施態様においては、対象は、マラリアに感染している。その他の実施態様においては、対象はHIV、マイコバクテリア、又はマラリアに感染している。
【0124】
本発明の或る実施態様においては、対象は、癌で苦しんでいる。本発明の或る実施態様においては、対象は、癌の危険度の高い状態にある。本発明の或る実施態様においては、対象は、前癌前駆細胞を有する。
【0125】
本発明の或る実施態様においては、免疫応答は、Th1又はTh2の方向に偏っている。その他の実施態様においては、対象は、自己免疫疾患に罹っているか又はその危険度の高い状態にある。その他の実施態様においては、免疫応答の偏りは、自己免疫疾患の抑制、阻害又は廃止に帰着する。その他の実施態様においては、対象は、不適切な又は望ましくない免疫応答を有する。その他の実施態様においては、その応答は炎症である。その他の実施態様においては、不適切な又は望ましくない応答は、対象の感染症、疾患又は症状を悪化させる。
【0126】
その他の実施態様においては、本発明は、とりわけ、本発明による化合物のいずれか1つを含むアジュバントを提供する。
【0127】
その他の実施態様においては、本発明は、対象の中で化合物、組成物、又はワクチンの免疫原性を増強する方法を提供する。前記方法は、とりわけ、本発明によるアジュバントを更に含む、化合物、組成物又はワクチンを対象に投与することを含み、そこでアジュバントが化合物、組成物又はワクチンの免疫原性を増強する。
【0128】
その他の実施態様においては、本発明は、対象のサイトカイン産生を刺激又は増強する方法を提供する。前記方法は、とりわけ、本発明の化合物のいずれか1つを対象に投与することを含み、それにより対象の中でNKT細胞が化合物と接触してサイトカインを分泌する。その他の実施態様においては、サイトカインはインターフェロンγ又はインターロイキン4であることができる。
【0129】
その他の実施態様においては、本発明は、NKT細胞を本発明の化合物と接触させることにより得られるNKT細胞を提供する。或る実施態様においては、そのような接触は、抗原提示細胞の存在下にあり、その他の実施態様においては、抗原提示細胞は、CD1分子を発現し、そこで化合物、又はその断片が、CD1分子との関連で表示される。
【0130】
或る実施態様においては、「NKT細胞」又は「ナチュラルキラー細胞」という語句は、サイトカイン産生の原因となり、サイトカイン産生を刺激し、若しくはサイトカイン産生に寄与する、及び/又はその他の実施態様においては、細胞毒性であるT細胞集団を指す。或る実施態様においては、NKT細胞は、均一な集団であり、又はその他の実施態様においては、不均一な集団である。
【0131】
NKT細胞は、NK細胞受容体及びT細胞受容体の両方を有する成熟リンパ球の例外的なサブセットである。マウスNKT細胞は、NK1.1受容体及びTCRαβ受容体を発現し、特に骨髄及び肝臓に密集している。その細胞は、インバリアントなα鎖を含むことができる、極めて限定されたTCRレパートリーを発現することができる。NKT細胞に対するリガンドは非多型性であることができ、非古典的MHCクラスI分子は、TAP(抗原プロセシング関連輸送体)非依存性経路によりプロセシングした特異抗原を提示することができる。
【0132】
或る実施態様においては、抗原はCD1分子との関連で提示され、CD1分子は、或る実施態様においては、CD1dである。更に以下に記載するような、本発明の方法の実施態様を表すような他の応用のうちで、活性化NKT細胞は、腫瘍細胞又は腫瘍細胞系を含む様々な細胞に対してNK様パーフォリン依存性の細胞毒性を表示することができるし、腫瘍の転移を抑制することができる。
【0133】
本発明のT細胞は、その細胞表面上に、CD161及びVα24iTCRを発現することができる。或る実施態様においては、T細胞は、CD161high発現体として分類することができ、又はその他の実施態様においては、T細胞は、CD161low発現体として分類することができ、又はその他の実施態様においては、それらの組み合わせとして分類することができる。
【0134】
本明細書に記載するように、及びこの技術分野でよく知られているように、本発明のNKT細胞及び本発明の方法により得られるNKT細胞は、任意の数の又は組み合わせの細胞表面マーカーを発現することができるし、本発明の一部と考えられるべきであることは理解されよう。
【0135】
或る実施態様においては、T細胞亜集団は、「インバリアントNKT細胞」であり、それは、胸腺の成熟T細胞の主要画分、マウス肝臓の主要T細胞亜集団、及び/又は5%以下の脾臓T細胞を表すことができる。
【0136】
その他の実施態様においては、T細胞亜集団は、「非インバリアントNKT細胞」であることができ、それは、ヒト及びマウスの骨髄並びにヒト肝臓のT細胞集団を含むことができる。例えば、様々なTCRsを発現するCD1d反応性の非インバリアントT細胞である。非インバリアントNKT細胞はまた、大量のIL−4及びIFN−γを産生することもできる。
【0137】
或る実施態様においては、本発明のNKT細胞は、CD161及びVα24iTCRの発現に対するポジティブセレクションによって得られる。その他の実施態様においては、T細胞は、この技術分野でよく知られているネガティブセレクション法によって得ることができる。
【0138】
或る実施態様においては、本発明のNKT細胞は、例えば、末梢血、白血球分離血液製剤、アフェレシス血液製剤、末梢リンパ節、腸管関連リンパ系組織、脾臓、胸腺、臍帯血、腸間膜リンパ節、肝臓、免疫損傷部位(例えば滑液)、すい臓、脳脊髄液、腫瘍試料、肉芽腫組織などのインビボの供給源からか、又は、そのような細胞を得ることができるいずれか他の供給源から得ることができる。或る実施態様においては、NKT細胞は、ヒト供給源から得られる。それは、その他の実施態様においては、ヒト胎児、新生児、小児、又は成人の供給源からであることができる。その他の実施態様においては、本発明のNKT細胞は、例えば、ブタ若しくはサル、又は目的のいずれかの他の動物などの動物の供給源から得ることができる。その他の実施態様においては、本発明のNKT細胞は、正常な対象から得ることができ、又はその他の実施態様においては、疾患にかかった対象から、又はその他の実施態様においては、目的の疾患にかかりやすい対象から得ることができる。
【0139】
或る実施態様においては、本発明のT細胞及び/又は更に以下に記載する本発明の細胞は、組織から単離される。そして、その他の実施態様においては、このような目的で、分散又は懸濁のために適当な溶液を使用することができる。その他の実施態様においては、本発明のT細胞及び/又は更に以下に記載する本発明の細胞は、溶液中で培養することができる。
【0140】
そのような溶液は、その他の実施態様においては、正常食塩溶液、PBS、若しくはハンクス平衡塩類溶液などの平衡塩類溶液であることができ、又はそれぞれの溶液が本発明のその他の実施態様を表すような他の溶液であることができる。溶液には、他の実施態様においては、ウシ胎仔血清、ウシ血清アルブミン(BSA)、正常ヤギ血清、又は他の天然に生ずる因子を補うことができ、そして、その他の実施態様においては、許容可能な緩衝液と併せて供給することができる。緩衝液は、他の実施態様においては、当業者に知られているような、HEPES、リン酸緩衝液、又は乳酸緩衝液などであることができる。
【0141】
その他の実施態様においては、T細胞又は本発明の細胞を入れることができる溶液は、無血清培地中にあることができ、これは、その他の実施態様においては、市販品として入手可能であることができる。そのような培地は例えば、X−VIVO10(商標)又はX−VIVO15(商標)(Bio Whittaker,Walkersville,Md.)などの動物性タンパク質を含まない基礎培地、造血肝細胞−SFM培地(GibcoBRL,Grand Island,N.Y.)、又は細胞の生存能力を促進し又は維持する任意の処方の培地などである。使用する無血清培地は、その他の実施態様においては、次の特許文献に記載されているものである:WO95/00632;米国特許第5,405,772号明細書;PCT US94/09622。無血清培地は、その他の実施態様においては、臨床グレードのウシ血清アルブミンを含むことができ、ウシ血清アルブミンは、その他の実施態様においては、約0.5〜5%濃度にあることができ、又は、その他の実施態様においては、約1.0%(w/v)濃度にあることができる。Buminate(登録商標)(Baxter Hyland,Glendale,Calif.)などのヒト血清由来の臨床グレードのアルブミンを、その他の実施態様においては、使用することができる。
【0142】
その他の実施態様においては、本発明のT細胞は、アフィニティベースの分離法により分離することができる。アフィニティ分離のための技術は、他の実施態様においては、抗体被覆磁性粒子を使用する磁性分離、アフィニティクロマトグラフィー、モノクローナル抗体に結合した細胞毒性試薬若しくはモノクローナル抗体と併せて使用される細胞毒性試薬(例えば補体及び細胞毒素)、及びプレートなどの固体マトリックスに付着した抗体を用いる「パンニング」、又はいずれかの他の便利な技術を含むことができる。他の実施態様においては、分離技術はまた、複数のカラーチャネル、鋭角(low angle)及び鈍角(obtuse)の光散乱検出チャネル、インピーダンスチャネルなどの様々な程度の精巧な機構を有することができる蛍光活性化セルソーターの使用も含むことができる。本発明のNKT細胞の分離を可能にするいずれの技術も使用することができること、そして本発明の一部と考えるべきことは理解されよう。
【0143】
その他の実施態様においては、分離方法に用いられるアフィニティ試薬は、前記表示された細胞表面分子に対する特異的受容体又はリガンドであることができる。
【0144】
その他の実施態様においては、本明細書に利用する抗体は、標識に結合することができ、その他の実施態様においては、分離のために使用することができる。標識には、他の実施態様においては、直接的分離を可能にする磁性粒子、例えば支持体に結合したアビジン若しくはストレプトアビジンと一緒に取り出すことができるビオチン、又は分離しやすさを可能にするために蛍光活性化セルソーターなどと共に使用することができる蛍光色素、及びこの技術分野でよく知られている他のものを含むことができる。蛍光色素は、或る実施態様においては、例えば、フィコエリトリン、アロフィコシアニン、フルオレセイン、テキサスレッド、又はそれらの組み合わせなどのフィコビリタンパク質を含むことができる。
【0145】
或る実施態様においては、抗体を利用する細胞分離は、利用可能な細胞表面抗原に結合するのに十分な時間の間、細胞懸濁液に抗体を添加することを必要とするものである。培養は、様々な時間で行なうことができ、例えば或る実施態様においては、5分間、又はその他の実施態様においては、15分間、又はその他の実施態様においては、30分間、又はその他の実施態様においては、45分間、又はその他の実施態様においては、60分間、又はその他の実施態様においては、90分間であることができる。非特異的結合を最小に抑えて、抗体による特異的標識に帰着する任意の長さの時間が、本発明のこの態様に対して想定されていることを考慮すべきである。
【0146】
非特異的結合を最小に抑えて、抗体による特異的標識に帰着する任意の長さの時間が、本発明のこの態様に対して想定されていることを考慮すべきである。
【0147】
その他の実施態様においては、細胞の染色強度を、フローサイトメトリーによってモニターすることができる。その場合、レーザーにより、蛍光色素の定量的濃度(これは抗体が結合した細胞表面抗原の量に比例する)を検出する。フローサイトメトリー又はFACSはまた、その他の実施態様においては、抗体の染色強度、及び細胞サイズや光散乱などの他のパラメーター、に基づき細胞集団を分離するために使用することができる。
【0148】
その他の実施態様においては、標識細胞は、CD161及びVα24iTCRの発現に基づき分離される。分離した細胞は、細胞の生存能力を維持する任意の適切な培地であって、その他の実施態様においては、捕集管の底部に血清のクッションを含むことができる培地中に集めることができる。
【0149】
その他の実施態様においては、本発明のT細胞を含む培養液は、その細胞が応答する別のサイトカイン又は増殖因子を含むことができる。或る実施態様においては、サイトカイン又は増殖因子は、NKT細胞の生存、増殖、機能、又はそれらの組み合わせを促進する。サイトカイン及び増殖因子は、他の実施態様においては、ポリペプチド及び非ポリペプチド因子を含むことができる。
【0150】
或る実施態様においては、本発明のNKT細胞集団は、抗原特異的である。
【0151】
或る実施態様においては、用語「抗原特異的」は、特定の抗原の供給、又は、その他の実施態様においては、その抗原の断片の供給により、或る実施態様においては、CD1と関連している抗原を提示したときに、或る実施態様においては、特異的細胞増殖に帰着するような集団の特性を指す。或る実施態様においては、抗原は、本発明の任意の化合物である。
【0152】
その他の実施態様においては、抗原又はその断片の供給により結果として、NKT細胞がインターロイキン2を産生し、又はその他の実施態様においては、インターフェロンγを産生し、又はその他の実施態様においては、インターロイキン4を産生し、又はその他の実施態様においては、それらの組み合わせを産生することになる。或る実施態様においては、NKT細胞集団は、モノクローナルT細胞受容体を発現する。その他の実施態様においては、NKT細胞集団は、ポリクローナルT細胞受容体を発現する。
【0153】
或る実施態様においては、T細胞には、1つ又は複数の特異性があり、その他の実施態様においては、抗原供給源由来の抗原混合物を認識する特異性を含むことができる。或る実施態様においては、本発明の化合物の混合物を、様々な特異性のあるNKT細胞をシミュレートするために使用することができる。
【0154】
或る実施態様においては、NKT細胞集団は、自己免疫応答を抑制する。或る実施態様においては、用語「自己免疫応答」は、自家又は自己抗原に対して向けられた免疫応答を指す。或る実施態様においては、自己免疫応答は、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、糖尿病、重症筋無力症、悪性貧血、アジソン病、紅斑性狼瘡、ライター症候群、アトピー性皮膚炎、又はグレーブス病である。或る実施態様においては、対象に引き起こされた自己免疫疾患は、複数の自己抗原を認識する自己反応性T細胞の結果である。
【0155】
その他の実施態様においては、NKT細胞集団は、炎症反応を抑制する。或る実施態様においては、用語「炎症反応」は、或る実施態様においては、炎症によって引き起こされる任意の応答を指し、又はその他の実施態様においては、その症状が炎症を含む任意の応答を指す。一例としては、炎症反応は、敗血症ショックの結果であることができ、又はその他の実施態様においては、慢性関節リウマチの一機能であることができる。炎症反応は、対象の全体的炎症性障害の一部である可能性があり、及びその他の実施態様においては、炎症反応は、心疾患、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、クローン病、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス、多発性筋炎、敗血症ショック、移植片対宿主病、宿主対移植片病、喘息、鼻炎、乾癬、癌関連悪液質、又は湿疹を含むことができる。或る実施態様においては、上に記載したように、対象の炎症は、対象の複数の抗原を認識するT細胞の結果であることができる。或る実施態様においては、本発明のNKT細胞は、複数の抗原が認識される場合、単一抗原に対して特異的であることができる。しかしそれでもNKT細胞集団が対象の炎症を効果的に抑制する。或る実施態様においては、炎症の抑制は、特定のサイトカインプロファイル産生の結果として免疫応答を調節することによるものである。或る実施態様においては、NKT細胞は、炎症反応をダウンモジュレートするのに役立つサイトカインを産生する。
【0156】
その他の実施態様においては、本発明のNKT細胞集団は、アレルギー反応を抑制する。或る実施態様においては、用語「アレルギー反応」は、通常は無害無毒な抗原又はアレルゲンに対する免疫系の攻撃を指す。アレルギーは、或る実施態様においては、枯草熱、喘息、アトピー性湿疹、及びウルシ・ツタウルシ・イエダニ・蜂花粉・ナッツ・貝・ペニシリン若しくは他の医薬品又はアレルギー反応を誘導する任意の他の化合物若しくは諸化合物に対するアレルギーを含むが、これらに限定されない。或る実施態様においては、複数のアレルゲンがアレルギー反応を誘導し、本発明のNKT細胞によって認識される抗原が、そのいずれかの抗原であることができる。或る実施態様においては、アレルギー反応の抑制は、特定のサイトカインプロファイルの産生の結果として免疫応答を調節することによるものである。或る実施態様においては、NKT細胞は、アレルギー反応をダウンモジュレートするのに役立つサイトカインを産生する。
【0157】
その他の実施態様においては、「Th1]応答を誘導することが対象において有利であり、対象がいわゆる「Th2」型応答が発生している疾患を有するような状況において、本発明のNKT細胞が利用される。NKT細胞の導入により、或る実施態様においては、NKT細胞から産生したサイトカインプロファイルに対応して、Th1型応答の方へシフトする結果となる。
【0158】
或る実施態様においては、用語「Th2型応答」は、強いな抗体応答の発生を支持する適応免疫応答の一部としてTヘルパー細胞によって誘導されるサイトカイン発現のパターンを指す。典型的には、Th2型応答は、例えば、対象の寄生虫感染症において有益である。典型的には、Th2応答は、例えば、インターロイキン4産生又はインターロイキン10産生によって認識される。
【0159】
或る実施態様においては、用語「Th1型応答」は、強いな細胞性免疫の発生を支持する適応免疫応答の一部としてTヘルパー細胞によって誘導されるサイトカイン発現のパターンを指す。典型的には、Th1型応答は、例えば、対象の細胞内感染症において有益である。典型的には、Th1応答は、例えば、インターロイキン2産生又はインターフェロンγ産生によって認識される。
【0160】
その他の実施態様においては、Th1型応答が発生したとき、逆のことが起こる。その時、Th2型応答が対象により有利な結果を与え、その場合、本発明のNKT細胞、ワクチン又は組成物がより有利なサイトカインプロファイルへのシフトを提供する。一例はハンセン病に存在する。その場合、本発明のNKT細胞、ワクチン又は組成物がTh1サイトカインシフトを刺激し、その結果、Th2型応答と関連して、はるかに重度の疾患であるらい腫型ハンセン病とは反対に、類結核型ハンセン病が生じる。
【0161】
その他の実施態様においては、本発明のNKT細胞及び本発明の方法により得られるNKT細胞は、ワクチン又は組成物の一部であることができる。そのようなワクチン及び/又は組成物は、本発明の任意の適用可能な方法において使用することができ、それらの実施態様を表す。
【0162】
例えば、或る実施態様においては、対象の免疫応答を刺激、阻害、抑制又は調節する本発明の方法は、対象の中でNKT細胞を本発明の化合物と接触させることを含むが、またNKT細胞を組成物中の化合物と接触させることを含むこともでき、又はその他の実施態様においては、NKT細胞を少なくとも1つの本発明の化合物を含むワクチンと接触させることを含むこともできる。
【0163】
例えば、疾患を予防するために、及び/又は疾患を改善するために、及び/又は疾患の進行を変えるために、対象を免疫化する目的のためなどの、免疫原性を増大させる方法のための、本発明のNKT細胞、ワクチン又は組成物の使用のいずれかは、本発明の一部と考えるべきであることは理解されよう。
【0164】
感染性ウイルスに対しては防御免疫反応の刺激が望ましく、それは本発明の方法により、又は本発明のNKT細胞、ワクチン若しくは組成物を利用して達成されるが、感染性ウイルスの例は以下のものを含む:レトロウイルス科(Retroviridae)(例えば、HIV−1(HTLV−III、LAV若しくはHTLV−III/LAV、又はHIV−IIIとも呼ばれる)などのヒト免疫不全ウイルス;及びHIV−LPなどの他の臨床分離株;ピコルナウイルス科(Picornaviridae)(例えば、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス;エンテロウイルス、ヒトコクサッキーウイルス、ライノウイルス、エコーウイルス);カリシウイルス科(Calciviridae)(例えば、胃腸炎を起こす株);トガウイルス科(Togaviridae)(例えば、馬脳炎ウイルス、風疹ウイルス);フラビウイルス科(Flaviridae)(例えば、デングウイルス、脳炎ウイルス、黄熱病ウイルス);コロナウイルス科(Coronaviridae)(例えば、コロナウイルス);ラブドウイルス科(Rhabdoviridae)(例えば、水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス);フィロウイルス科(Filoviridae)(例えば、エボラウイルス);パラミクソウイルス科(Paramyxoviridae)(例えば、パラインフルエンザウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス);オルトミクソウイルス科(Orthomyxoviridae)(例えば、インフルエンザウイルス);ブニヤウイルス科(Bungaviridae)(例えば、ハンタンウイルス属、ブニヤウイルス、フレボウイルス及びナイロウイルス属);アレナウイルス科(Arena viridae)(例えば、出血熱ウイルス);レオウイルス科(Reoviridae)(例えば、レオウイルス、オルビウイルス及びロタウイルス);ビルナウイルス科(Birnaviridae);ヘパドナウイルス科(Hepadnaviridae)(例えば、B型肝炎ウイルス);パルボウイルス科(Parvoviridae)(例えば、パルボウイルス);パポバウイルス科(Papovaviridae)(例えば、乳頭腫ウイルス、ポリオーマウイルス);アデノウイルス科(Adenoviridae)(大部分のアデノウイルス);ヘルペスウイルス科(Herpesviridae)(単純ヘルペスウイルス(HSV)1及び2、帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、ヘルペスウイルス);ポックスウイルス科(Poxviridae)(天然痘ウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス);及びイリドウイルス科(Iridoviridae)(例えば、アフリカブタ熱ウイルス);並びに分類していないウイルス(例えば、海綿状脳症の病因学的作用因子、デルタ肝炎の作用因子(B型肝炎ウイルスの欠損サテライトと考えられている)、非A非B型肝炎の作用物質(クラス1=内部的に感染する;クラス2=非経口的に感染する(即ちC型肝炎));ノーウォークウイルス及び関連ウイルス、並びにアストロウイルス)。
【0165】
感染性細菌に対しては防御免疫反応の刺激が望ましく、それは本発明の方法により、又は本発明のNKT細胞、ワクチン若しくは組成物を利用して達成されるが、感染性細菌の例は以下のものを含む:ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borellia burgdorferi)、レジオネラ・ニューモフィリア(Legionella pneumophilia)、マイコバクテリア種(Mycobacteria sps)(例えば、結核菌(M.tuberculosis)、エム・アビウム(M.avium)、エム・イントラセルラレ(M.intracellulare)、エム・カンサイイ(M.kansaii)、エム・ゴルドネ(M.gordonae))、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、化膿連鎖球菌(A群溶連菌)(Streptococcus pyogenes(Group A Streptococcus))、ストレプトコッカス・アガラクティエ(B群溶連菌)(Streptococcus agalactiae(Group B Streptococcus))、ストレプトコッカス(ビリダンス群)(Streptococcus(viridans group))、大便連鎖球菌(Streptococcus faecalis)、ストレプトコッカス・ボビス(Streptococcus bovis)、ストレプトコッカス(嫌気性種)(Streptococcus(anaerobic sps.))、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、病原性カンピロバクター種(pathogenic Campylobactersp.)、腸球菌種(Enterococcus sp.)、クラミジア種(Chlamidia sp.)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、バチルス・アントラチス(Bacillus antracis)、ジフテリア菌(corynebacterium diphtheriae)、コリネバクテリア種(corynebacterium sp.)、ブタ丹毒菌(Erysipelothrix rhusiopathiae)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringers)、破傷風菌(Clostridium tetani)、エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、パスツレラ・ムルトシダ(Pasturella multocida)、バクテロイデス属sp.(Bacteroides sp.)、フソバクテリウム・ヌクレアツム(Fusobacterium nucleatum)、ストレプトバチルス・モニリホルミス(Streptobacillus moniliformis)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidium)、トレポネーマ・ペルテヌエ(Treponema pertenue)、レプトスピラ属(Leptospira)、アクチノミセス・イスラエリイ(Actinomyces israelli)及び野兎病菌(Francisella tularensis)。
【0166】
感染性菌類に対しては防御免疫反応の刺激が望ましく、それは本発明の方法により、又は本発明のNKT細胞、ワクチン若しくは組成物を利用して達成されるが、感染性菌類の例は以下のものを含む:クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、ヒストプラズマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、コクシジオイデス・イミティス(Coccidioides immitis)、ブラストミセス・デルマチジス(Blastomyces dermatitidis)、クラミジア・トラコマティス(Chlamydia trachomatis)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)。他の感染性生物(即ち原生生物)は以下のものを含む:プラスモジウム種(Plasmodium sp.)、リーシュマニア属sp.(Leishmania sp.)、住血吸虫属sp.(Schistosoma sp.)及びトキソプラズマ種(Toxoplasma sp.)。
【0167】
本発明のNKT細胞集団、ワクチン又は組成物の使用による、いずれかの免疫応答の調節が、本発明の一部と考えられるべきであること、及び本発明の実施態様と考えられるべきであることは理解されよう。
【0168】
その他の実施態様においては、本発明のNKT細胞集団は、当業者には理解されるであろうが、単離され、培養で増大され、又は別の方法で操作されることができる。或る実施態様においては、本発明の方法によって誘導されたNKT細胞は、更に操作して、所定の物質を発現させることができる。或る実施態様においては、NKT細胞集団は、特定の接着分子又は他のターゲッティング分子を発現するように操作することができる。前記分子は、細胞を対象に与えたとき、所定の部位へのNKT細胞集団のターゲッティングを容易にすることができる。例えば、粘膜表面の免疫応答を調節するためにNKT細胞活性が望まれるとき、粘膜のホーミングで役割を演ずることが示されているαβ接着分子を発現するように、本発明の単離されたNKT細胞集団を更に操作することができる。例えば、組織の特定部位に発現したタンパク質、又はその他の実施態様においては、目的の部位などに位置する特定の細胞上に発現したタンパク質に対する特異的な抗体などの他のターゲッティング分子を発現するように、細胞を操作することができる。細胞を操作するために多数の方法がこの技術分野でよく知られており、ベクター又は裸のDNAの使用を含むことができる。その場合、目的のターゲッティング分子をコードする核酸が、よく記述された多数の方法のいずれかによって導入される。
【0169】
目的の核酸配列は、細胞内へのその配列の望ましい導入方法に応じて、特定のベクター内でサブクローニングすることができる。いったん核酸セグメントが、特定のベクター中にサブクローニングされると、それにより、それは組み換えベクターになる。目的の配列をコード化するポリヌクレオチドセグメントは、動物細胞を形質導入/形質転換するのに適しており、形質転換した細胞内に組み換え産物の発現を導くのに適した、市販品として入手可能な発現ベクターシステム中に連結することができる。存在するプロモーター又はエンハンサーの配列を交換し、複製し、若しくは変異させるために、及び/又は例えば、追加の選択マーカーをコード化する配列若しくはレポーターポリペプチドをコード化する配列などの、いずれかの追加のポリヌクレオチド配列を導入するために、そのような市販品として入手可能な発現ベクターシステムを、通常使用される組み換え技術により容易に修正できることは理解されるであろう。
【0170】
前記組み換えベクターを細胞中に導入するためのこの技術分野で周知の技術が多数存在する。例えば、以下のようであるがこれに限定されるものではない:
直接DNA取り込み技術、及びウイルス、プラスミド、直線状DNA若しくはリポソームを介した形質導入、受容体を介した取り込み、並びにリン酸カルシウムを介した導入法及びDEAE−デキストランを介した導入法を用いるマグネトポレーション法(magnetoporation)、電気穿孔、リポソームを介したトランスフェクション、直接注入、並びに受容体を介した取り込み(更に詳細については、例えば“Methods in Enzymology”Vol.1−317,Academic Press,Current Protocols in Molecular Biology,Ausubel F.M.et al.(eds.)Greene Publishing Associates,(1989)and in Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition,Sambrook et al.Cold Spring Harbor Laboratory Press,(1989)又は他の標準的実験マニュアルを参照のこと)。核酸被覆粒子を用いるボンバードメント法も想定される。
【0171】
細胞中へ核酸を導入する特定の発現ベクターシステム及び方法の有効性は、この技術分野で通常使用される標準的方法により評価することができる。例えば、細胞中に導入されたDNAは、フィルターハイブリダイゼーション技術(例えば、サザンブロット法)によって検出することができ、導入したDNAの転写によって産生したRNAは、例えば、ノーザンブロット法、RNアーゼプロテクション法、又は逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)によって検出することができる。遺伝子産物は、適切なアッセイ法、例えば産生タンパク質の免疫検出法(特異抗体を用いるなど)によって、又は遺伝子産物の機能的活性を検出する機能的アッセイ(酵素アッセイなど)によって検出することができる。細胞によって発現される所定の遺伝子産物が容易にアッセイ可能でない場合、使用する調節要素及びベクターに結合したレポーター遺伝子を用いて、発現システムを先ず最適化することができる。レポーター遺伝子は、遺伝子産物をコード化し、遺伝子産物が容易に検出され、それによりシステムの有効性を評価するのに用いることができる。この技術分野で使用される標準的レポーター遺伝子は、β−ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、ルシフェラーゼ及びヒト成長ホルモン、又は本明細書に記載するいずれかのマーカータンパク質をコード化する諸遺伝子を含む。
【0172】
その他の実施態様においては、本発明は、単離され、培養で増大されたNKT細胞集団を産生する方法であって、Vα14i、又はVα24iT細胞を樹状細胞及び本発明の化合物と所定時間接触させることにより抗原特異的T細胞増大を得ること、及びこうして得た増大されたT細胞を単離することにより、単離され、培養で増大された細胞を産生することを含む方法を提供する。
【0173】
或る実施態様においては、単離され、培養で増大されたNKT細胞集団を産生する方法は、更にサイトカイン又は増殖因子を樹状細胞、NKT細胞培養に添加する工程を含む。或る実施態様においては、NKT細胞によるインターロイキン2、インターフェロンγ又はインターロイキン4の分泌は、NKT細胞が本発明の方法に使用される時点で検出される。
【0174】
樹状細胞は、CD1との関連で、本発明の化合物を提示するときに、NKT細胞のサイトカイン産生を刺激した。本発明のその他の実施態様においては、刺激されたNKT細胞は、樹状細胞の成熟を誘導することができ、これはTCR及びCD1d/糖脂質相互作用により、及びCD40/CD40L相互作用の関与により仲介される。次にこれが、その他の実施態様においては、樹状細胞によるIL−12分泌、及び/又は、とりわけ、MHC分子、DEC−205、又は補助刺激分子(B7ファミリーなど)のアップレギュレーションを促進することができる。本発明の結果としての樹状細胞成熟は、その他の実施態様においては、適応免疫応答増大につながり、これは、その他の実施態様においては、本発明の化合物のアジュバント活性を含む。
【0175】
或る実施態様においては、用語「樹状細胞」(DC)は、CD1との関連で、T細胞に抗原提示可能な抗原提示細胞を指す。或る実施態様においては、本発明の方法に利用される樹状細胞は、いくつかのDCサブセットのいずれかであることができ、DCサブセットは、或る実施態様においては、リンパ性の、又は、その他の実施態様においては、骨髄性の、骨髄前駆細胞から分化するものである。或る実施態様においては、DC発生は、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、又はその他の実施態様においては、インターロイキン(IL)3の使用により刺激することができ、それが、その他の実施態様においては、DC生存を増強することができる。
【0176】
その他の実施態様においては、DCsは、骨髄から単離された増殖前駆細胞から発生させることができる。その他の実施態様においては、DCsは、Caux and Banchereauにより1992年のNatureに記述されたように、CD34+前駆細胞から単離することができ、又はRomani et al,J.Exp.Med.180:83−93’94及びBender et al,J.Immunol.Methods,196:121−135,’96 1996に記述されたように、単球から単離することができる。その他の実施態様においては、DCsは、例えば、O’Doherty et al,J.Exp.Med.178:1067−1078 1993及びImmunology 82:487−493 1994に記述されたように血液から単離される。前記文献の全ての方法が参照することにより全面的に本明細書に組み込まれる。
【0177】
或る実施態様においては、本発明の方法に利用されるDCsは、例えば、CD11cなどの骨髄性マーカーを発現することができ、その他の実施態様においては、IL−3受容体−α(IL−3Rα)鎖(CD123)を発現することができる。その他の実施態様においては、DCsは、I型インターフェロン(IFNs)を産生することができる。或る実施態様においては、本発明の方法に利用されるDCsは、補助刺激分子を発現する。その他の実施態様においては、本発明の方法に利用されるDCsは、追加の接着分子を発現することができ、これは、或る実施態様においては、追加の補助刺激分子として役立つことができ、又はその他の実施態様においては、更に以下に記載するように本発明の方法により送達されるときに、DCsをインビボで特定部位にターゲッティングするのに役立つことができる。
【0178】
或る実施態様においては、DCsは、例えば、体内の大部分の固体組織、末梢血、リンパ節、腸管関連リンパ系組織、脾臓、胸腺、皮膚、免疫傷害部位(例えば、滑液)、膵臓、脳脊髄液、腫瘍試料、肉芽腫性組織などのインビボ供給源、又はこの種の細胞を得ることができる他のいずれかの供給源から得ることができる。或る実施態様においては、樹状細胞は、ヒト供給源から得られる。ヒト供給源は、その他の実施態様においては、ヒト胎児、新生児、小児、又は成人の供給源からであることができる。その他の実施態様においては、本発明の方法において使用される樹状細胞は、例えば、ブタ若しくはサル、又は目的のいずれかの他の動物などの、動物の供給源から得ることができる。その他の実施態様においては、本発明の方法において使用される樹状細胞は、正常な対象から得ることができ、又はその他の実施態様においては、疾患に罹った対象から、又はその他の実施態様においては、目的の疾患に罹りやすい対象から得ることができる。
【0179】
樹状細胞の分離は、その他の実施態様においては、本明細書に記載する分離方法のいずれかにより達成することができる。或る実施態様においては、ポジティブ及び/又はネガティブアフィニティーベースのセレクションが行なわれる。或る実施態様においては、ポジティブセレクションはCD86発現に基づき、ネガティブセレクションはGR1発現に基づく。
【0180】
その他の実施態様においては、本発明の方法において使用される樹状細胞は、インビトロで、GM−CSF及びIL−4の存在下に、単球を培養することによって発生させることができる。
【0181】
或る実施態様においては、本発明の方法において使用される樹状細胞は、CD83を発現することができ、或る実施態様においては、DEC−205/CD205などの自己抗原の取り込みを増加するエンドサイトーシス受容体を発現することができ、又はDC−LAMP(CD208)細胞表面マーカーを発現することができ、又はその他の実施態様においては、様々なレベルの抗原提示MHCクラスI及びII産物を発現することができ、又はその他の実施態様においては、CD40、CD54、CD58若しくはCD86を含むアクセサリー分子(接着分子及び補助刺激分子)を発現することができ、又はそれらのいずれかの組み合わせを発現することができる。その他の実施態様においては、樹状細胞は、様々なレベルのCD115、CD14、CD68又はCD32を発現することができる。
【0182】
或る実施態様においては、成熟樹状細胞が本発明の方法に使用される。或る実施態様においては、用語「成熟樹状細胞」は、CD115、CD14、CD68又はCD32発現が減少している樹状細胞集団、その他の実施態様においては、CD86発現が増大している細胞集団、又はそれらの組み合わせを指す。その他の実施態様においては、成熟樹状細胞は、p55、CD83、CD40若しくはCD86のうちの一つ又は複数の発現の増大、又はそれらの組み合わせの発現の増大を示すものである。その他の実施態様においては、本発明の方法に使用する樹状細胞は、細胞表面上にDEC−205受容体を発現するものである。その他の実施態様においては、DCsの成熟は、例えば、CD40の連結、CpGオリゴデオキシリボヌクレオチドの添加、IL−1、TNFα若しくはTOLL様受容体リガンドの連結、細菌性リポグリカン若しくは細菌性多糖の添加、又はTRAF−6若しくはNF−κBなどの細胞内経路の活性化により達成することができる。
【0183】
或る実施態様においては、DC成熟を誘導することは、予め選択した抗原のエンドサイトーシス受容体送達と組み合わせて行なうことができる。或る実施態様においては、抗原のエンドサイトーシス受容体送達は、DEC−205受容体の使用によることができる。
【0184】
或る実施態様においては、樹状細胞の成熟状況は、例えば、1)p55、CD83、CD40若しくはCD86抗原のうち一つ又は複数のものの発現の増加;2)CD115、CD14、CD32又はCD68抗原の喪失;又は3)PBMCsの成熟を促進して未成熟樹状細胞にするサイトカインの除去に続く接着の増加及びベール(veils)の喪失を特徴とするマクロファージ表現型への復帰、のうちの1つ又は複数のことを、例えば免疫組織化学、FACS分析、及びその他などのこの技術分野でよく知られている方法によって、検出することによって確認することができる。
【0185】
或る実施態様においては、本発明の方法のために使用される樹状細胞は、補助刺激分子を発現することができるか又は、その他の実施態様においては、補助刺激分子を発現するように操作することができる。或る実施態様においては、本発明の方法に使用する樹状細胞は、CD86high又はCD80high発現のために濃縮される。
【0186】
その他の実施態様においては、本発明の方法に使用する樹状細胞は、抗原特異的なNKT細胞を増大するその能力について選択される。或る実施態様においては、DCsは、この目的のために前駆細胞又は血液から単離される。その他の実施態様においては、大量のDEC−205/CD205を発現する樹状細胞が、この目的のために使用される。
【0187】
NKT細胞の増大は、或る実施態様においては、抗原特異的である。或る実施態様においては、本発明の化合物は、樹状細胞をNKT細胞と接触させると同時に培養液に供給される。その他の実施態様においては、既にプロセスされた抗原を有する樹状細胞を、NKT細胞と接触させる。
【0188】
或る実施態様においては、用語「標的細胞を接触させる」は、本明細書において、表示されたものに細胞を直接的にも間接的にも暴露することを指す。或る実施態様においては、NKT細胞と本発明の化合物、サイトカイン、増殖因子、樹状細胞、又はそれらの組み合わせとの接触は、直接的又は間接的である。或る実施態様においては、細胞を接触させることは、微量注入法などのこの技術分野でよく知られたいずれかの手段による細胞への直接的注入を含むことができる。また、その他の実施態様においては、細胞への供給は、細胞を取り巻く培地中に与えることにより、又はこの技術分野でよく知られているいずれかの経路により及び本明細書に記載するようにして、対象に投与することによるなど、間接的であることも想定されている。
【0189】
樹状細胞に抗原をプライミングする方法は、当業者によく知られており、例えば、Hsu et al.,Nature Med.2:52−58(1996);又はSteinman et al.International application PCT/US93/03141に記述されたようにして達成される。
【0190】
或る実施態様においては、樹状細胞のNKT細胞との接触の前に、本発明の化合物を樹状細胞培養液に添加する。或る実施態様においては、本発明の化合物は、濃度約0.1〜約200μg/mlで使用される。或る実施態様においては、10〜50μg/mlで使用される。樹状細胞は、或る実施態様においては、NKT細胞との培養の前に、又はその他の実施態様においては、NKT細胞との培養と同時に、取り込み及び提示を可能にするのに十分な時間、抗原存在下に培養される。その他の実施態様においては、化合物を対象に投与し、且つその他の実施態様においては、化合物を樹状細胞にターゲッティングさせる。この場合、以下に記載する方法について、インビボでの取り込みが起こる。
【0191】
抗原取込み及び抗原プロセシングは、或る実施態様においては、24時間以内に起きることもあり、又はその他の実施態様においては、例えば、4日を含み4日までなどのより長時間が必要であることもあり、又はその他の実施態様においては、例えば約1〜2時間などのより短時間が必要であることもある。
【0192】
或る実施態様においては、NKT細胞は、樹状細胞と一緒に培養することができる。この場合、樹状細胞とT細胞の比は10:1〜1:1〜1:10であり、この比は、ある実施態様においては、使用するNKT細胞集団の純度に依存する。或る実施態様においては、本発明のいくつかの方法に対して、約20,000〜100,000個の細胞/ウェル(96ウェル平底プレート)のNKT細胞系を、又は1mlにつき5百万個のT細胞を、又はその他の実施態様においては、200,000〜400,000個の細胞/ウェルの濃縮されたNKTを対象に投与する。
【0193】
或る実施態様においては、本発明のいくつかの方法に対して、約5百万個のT細胞を対象に投与する。
【0194】
その他の実施態様においては、本発明の方法において樹状細胞によって増大されたNKT細胞は、樹状細胞に関して、自己、同系又は同種である。
【0195】
その他の実施態様においては、本発明の方法において使用される樹状細胞は、自己免疫疾患又は障害、癌、感染症に罹った対象から単離される。前記感染症は、或る実施態様においては、HIV、マイコバクテリア感染症又はマラリア感染症である。
【0196】
その他の実施態様においては、本発明の方法において使用される樹状細胞は、不適切な又は望ましくない免疫応答を有する対象から単離される。又はその他の実施態様においては、本発明の方法において使用される樹状細胞は、アレルギー反応を有する対象から単離される。
【0197】
或る実施態様においては、NKT細胞は、疾患特異的様式で免疫応答を調節するために使用することができる。任意の免疫応答において、サイトカイン産生を増強すること、又はインターフェロンγ、インターロイキン2及び/又はインターロイキン4を含む特定のサイトカインプロファイルを誘導することが望ましい場合は、従って、本発明のNKT細胞を利用することができ、且つ本発明の実施態様を表すことは理解されよう。
【0198】
その他の実施態様においては、本発明の方法は更に、予め単離したNKT細胞を、添加された樹状細胞及び本発明の化合物とともに所定時間培養する工程であって、それにより、更にNKT細胞の増大、サイトカイン産生、又はそれらの組み合わせに帰着する工程を含むことができる。
【0199】
その他の実施態様においては、本発明は、対象の疾患の開始を遅らせ、発症率を減少させ又は対象の疾患を抑制する方法を提供する。前記方法は、培養液中で、NKT細胞を樹状細胞及び本発明の化合物と所定時間接触させる工程であって、それによりNKT細胞増大、サイトカイン産生又はそれらの組み合わせに帰着する工程、及びこうして得たNKT細胞を対象に投与する工程であって、NKT細胞が、対象の疾患の開始を遅らせ、発症率を減少させ又は対象の疾患を抑制することにより、対象の疾患の開始を遅らせ、発症率を減少させ又は対象の疾患を抑制する工程を含む方法である。
【0200】
或る実施態様においては、本発明で対象に投与するための細胞を、組成物中に提供することができる。これらの組成物を、或る実施態様においては、経口的に又は静脈内に投与することができる。投与のための組成物は、或る実施態様においては、滅菌溶液であることができ、又は他の実施態様においては、水性又は非水性の懸濁剤又は乳剤であることができる。或る実施態様においては、組成物は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、注射可能な有機エステル(例えばオレイン酸エチル)、又はシクロデキストリンを含むことができる。その他の実施態様においては、組成物はまた、湿潤剤、乳化剤及び/又は分散剤を含むこともできる。その他の実施態様においては、組成物はまた、滅菌水又は任意の他の滅菌注射媒体を含むこともできる。その他の実施態様においては、組成物は、更に下に記載するように、免疫応答刺激が望ましいような本明細書に記載の方法のいくつかのために、当業者によく知られているアジュバント(例えば、ビタミンC、抗酸化剤など)を含むことができる。
【0201】
或る実施態様においては、本発明の化合物、細胞、ワクチン又は組成物は、注射により対象に投与することができる。或る実施態様においては、注射は、この技術分野で知られている任意の手段によることができ、例えば、リンパ内注射、又は皮下注射を含むことができる。
【0202】
その他の実施態様においては、本発明において投与するNKT細胞及び樹状細胞は、特定の部位へのターゲッティングのための接着分子を発現することができる。或る実施態様においては、NKT細胞及び/又は樹状細胞は、所望の分子を発現するように操作することができ、又はその他の実施態様においては、所望の分子を発現するように刺激することができる。或る実施態様においては、本発明において投与するDC細胞は更に、接着分子に加えて、ケモカイン受容体を発現することができ、及びその他の実施態様においては、ケモカイン受容体の発現は、プライミングのためにDC細胞を二次リンパ器官に引き付けるのに役立つことができる。その他の実施態様においては、これらの部位へのDCsのターゲッティングは、リンパ管内注射又はリンパ節内注射により二次リンパ器官に直接にDCsを注射することにより達成できる。
【0203】
或る実施態様においては、抗原は、定常状態でインビボの樹状細胞に送達される。これが、その他の実施態様においては、疾患特異的なNKT細胞の増大につながる。定常状態での抗原送達は、或る実施態様においては、Bonifaz,et al.(2002)Journal of Experimental Medicine 196:1627−1638;Manavalan et al.(2003)Transpl Immunol.11:245−58に記述されたようにして達成することができる。
【0204】
その他の実施態様においては、インビボの選択型樹状細胞は、NKT細胞をプライミングするために機能する。
【0205】
或る実施態様においては、本発明は、不適切な又は望ましくない応答である免疫応答を調節する方法を提供する。或る実施態様においては、免疫応答は、宿主に対して有害なサイトカインプロファイルによって特徴付けられる。
【0206】
或る実施態様においては、本発明のNKT細胞は、特定疾患の治療と同時に受容者(recipient)に投与することができ、例えば、所与の癌に対する補助治療として役立つように標準的抗癌治療と同時に投与することができる。その他の実施態様においては、本発明のNKT細胞は、他の治療の投与前に投与することができる。
【0207】
その他の実施態様においては、本発明は、免疫応答を調節する方法であって、ある病原体による感染症に向けられ、その免疫応答が対象を保護しないような免疫応答を調節する方法を提供する。
【0208】
或る実施態様においては、病原体が対象を模倣して、自己免疫反応を開始する可能性がある。その他の実施態様においては、病原体による感染症は、結果として宿主を傷害する炎症を生じる。或る実施態様においては、その反応は、炎症性腸疾患を生じ、又はその他の実施態様においては、胃炎を生じる。これは、その他の実施態様においては、ピロリ菌(H.pylori)感染の結果である可能性がある。
【0209】
その他の実施態様においては、免疫応答は結果的に、宿主に有益でないサイトカインプロファイルを生じる。或る実施態様においては、そのサイトカインプロファイルが疾患を悪化させる。或る実施態様においては、例えば、らい腫型ハンセン病においてなど、Th1応答が宿主に有利であるとき、Th2応答が開始される。その他の実施態様においては、例えば、卵抗原への応答が住血吸虫症であるように、Th1応答が開始されて、対象中に持続する。
【0210】
この観点によれば、及び或る実施態様においては、NKT細胞の投与では、対象に開始される免疫応答を変化させ、対象にとって有利ではなかった。その他の実施態様においては、本方法は更に、病原体からの保護に更に関連する作用物質を対象に投与する工程を含む。
【0211】
或る実施態様においては、用語「調節すること」は、特定の免疫応答を、特定の状況に望ましいように、開始、増強、延長、阻害、抑制又は予防することを指す。或る実施態様においては、調節することは、サイトカイン発現を減らす結果となり、免疫応答を減らすこと、又は免疫応答を予防することを提供する。その他の実施態様においては、調節することは、免疫応答に抑制活性を有する特異的サイトカインを産生する結果となり、又はその他の実施態様においては、特に炎症反応に抑制活性を有する特異的サイトカインを産生する結果となる。その他の実施態様においては、調節することは、サイトカイン発現を増強する結果となり、免疫応答を増強すること、又は免疫応答を刺激することを提供する。その他の実施態様においては、調節することは、免疫応答に刺激活性を有する特異的サイトカインを産生する結果となり、又はその他の実施態様においては、感染症への応答、又は特に腫瘍形成への応答に刺激活性を有する特異的サイトカインを産生する結果となる。
【0212】
或る実施態様においては、本発明は、対象の免疫応答を調節する方法であって、インビボの樹状細胞集団を本発明の化合物と接触させる工程を含み、それにより樹状細胞集団が対象の中でNKT細胞と接触し、そこでNKT細胞の接触がNKT細胞集団からのサイトカイン産生を促進し、それにより対象の免疫応答を調節するものである方法を提供する。
【0213】
或る実施態様においては、用語「調節すること」は、免疫応答を刺激すること、増強すること又は変更することを指す。或る実施態様においては、用語「免疫応答を増強すること」は、哺乳動物により既に組み込まれている免疫応答のいずれかの改善を指す。その他の実施態様においては、用語「免疫応答を刺激すること」は、所定の抗原に対する免疫応答が未だ開始されていない、哺乳動物の所定の抗原に対する免疫応答を開始することを指す。免疫応答の調節への言及が、その他の実施態様においては、それぞれTh2ヘルパー細胞とTh1ヘルパー細胞の存在を伴う免疫系の体液性アームと細胞介在性アームを両方とも含むことができ、又は、その他の実施態様においては、それぞれのアームを個別に含むことができることは理解されよう。免疫応答の更なる議論については、例えば、Abbas et al.Cellular and Molecular Immunology,3rd Ed.,W.B.Saunders Co.,Philadelphia,Pa.(1997)を参照のこと。
【0214】
免疫応答の調節は、或る実施態様においては、免疫系のアームのいずれか又は両方に対する特異的サイトカイン及び/又はケモカイン産生の変化又は増強を測定することによって判断することができる。或る実施態様においては、体液性免疫応答の刺激又は増強に帰着する免疫応答の調節は、IL−6の増加に反映され、IL−6は例えば、ELISA又はRIAなどのこの技術分野でよく知られている多数の方法のいずれかによって測定することができる。その他の実施態様においては、細胞介在性免疫応答の刺激又は増強に帰着する免疫応答の調節は、IFN−γ若しくはIL−12又はその両方の増加に反映され、これらは同様にして測定することができる。
【0215】
或る実施態様においては、免疫応答の刺激、増強又は変更は、サイトカインプロファイルの変化と関係している。その他の実施態様においては、免疫応答の刺激、増強又は変更は、サイトカイン発現の変化と関係している。そのような変化は、この技術分野でよく知られている多数の方法のいずれかによって、容易に測定することができる。前記方法は、本明細書に記載するように、ELISA、RIA、ウェスタンブロット分析、ノーザンブロット分析、PCR分析、RNアーゼプロテクションアッセイ、及びその他を含む。
【0216】
その他の実施態様においては、感染は潜伏感染である。
【0217】
その他の実施態様においては、免疫応答は、対象の疾患進行を阻害し、又はその他の実施態様においては、免疫応答は、対象の悪性形質転換を阻害又は予防する。
【0218】
或る実施態様においては、本発明の方法による悪性形質転換の阻害又は予防は、本発明の化合物に加えて、腫瘍特異抗原の使用により達成される。或る実施態様においては、腫瘍特異抗原は、例えば、新生物イベント又は前新生物イベントの結果として発現される変異タンパクであることができる。或る実施態様においては、抗原は、例えば変更されたrasなどの悪性腫瘍細胞と関係した分子である。腫瘍特異抗原が同定されている腫瘍の非限定的例は、メラノーマ、B細胞リンパ腫、子宮癌又は子宮頸癌を含む。
【0219】
本発明の方法に対して、或る実施態様においては、本願発明の方法に、ヒトメラノーマ特異抗原gp75抗原などのメラノーマ抗原を使用することができ、又はその他の実施態様においては、子宮頸癌において、乳頭腫ウイルス抗原を使用することができる。B細胞リンパ腫由来の腫瘍特異イディオタイプタンパク質、又はその他の実施態様においては、リンパ腫を引き起こすエプスタイン・バスウイルス(Epstein−Bass virus)由来の抗原ペプチド若しくは抗原タンパク質も同様に使用することができる。
【0220】
その他の実施態様においては、抗原ペプチド若しくはタンパク質は、乳癌、卵巣癌、膵臓癌、結腸癌、前立腺癌、及び肺癌の抑制/阻害のためのHER2/neu又は絨毛胎児性抗原(chorio−embryonic antigen)(CEA)(前記の諸癌はこれらの抗原を発現する)から由来するものである。同様に、MUC−1などのムチン型抗原を様々な癌腫に対して使用できる;MAGE、BAGE、及びMart−1抗原をメラノーマに対して使用することができる。或る実施態様においては、本方法は具体的な癌患者に合わせることができる。即ち、抗原ペプチド又はタンパクの選択は、どの抗原(単数又は複数)が患者の癌細胞に発現されているか、これは他の実施態様においては、外科的生検又は血液細胞試料に続く免疫組織化学によって予め測定することができるのであるが、このことに基づく。
【0221】
或る実施態様においては、本発明の方法により治療される対象は、前癌前駆細胞を有し、及び/又は癌のリスクが高い状態にある。この種の要素はこの技術分野でよく知られており、所与の表面マーカー又は癌タンパク質の不適切な発現、増生細胞の存在を含んでいるか、又は対象が所与の癌に苦しむ少なくとも一人の家族を有するか、又は当業者に認識されているように、対象が、例えば放射線への暴露、ある種のウイルス感染、タバコ製品の喫煙などの癌発症の危険増大と関連するライフスタイルを有するものである。
【0222】
疾患、障害又は病態が、所与のサイトカインプロファイルの産生によって肯定的に影響されるものであり、又はその他の実施態様においては、NKT細胞の存在によって肯定的に影響され、及び本発明の方法により非常に積極的に影響されるものである場合、そのような疾患、障害又は病態が本発明の一部と考えられるべきであることは理解されよう。
【0223】
以下の非限定的な諸実施例は、本発明のいくつかの実施態様を説明するのに役立つものである。
【0224】
《実施例》
多数の糖脂質を合成し(図5)、NKT細胞活性化について試験した。これらは、細菌起源の糖脂質(化合物5、6、17、及び18)、ガラクトース部分とアシル基に修飾したα−GalCer類似体、及びCD1に対する唯一周知の混合リガンド(promiscuous ligand)であるスルファチドの変形体を含む。細菌性糖脂質は、スフィンゴモナス・ウィッチ(Sphingomonas wittichii)の外膜から単離された糖脂質[Kawahara,K.,Kubota,M.,Sato,N.,Tsuge,K.& Seto,Y.(2002)FEMS Microbiol.Lett.214,289−294]及びライム病スピロヘータであるボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)からの糖脂質を含む。CD1d欠損(CD1d)マウスは、ビー・ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)による感染に対して障害された宿主抵抗性を有することが示されており、ビー・ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)の糖脂質は可能性のある天然CD1d抗原として更なる研究に対する興味ある化合物となっている[Kumar,H.,Belperron,A.,Barthold,S.W.&Bockenstedt,L.K.(2000)J.Immunol.165,4797−4801]。その2つの主要な糖脂質の構造が最近、コレステリル6−O−アシル−β−D−ガラクトピラノシド5(ビー・ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)糖脂質1、BbGL−I)及び1,2−ジ−O−アシル−3−O−α−D−ガラクトピラノシル−sn−グリセリン6(BbGL−II)として明らかにされた。スフィンゴモナス(Sphingomonas)糖脂質、2つの新規α−結合スフィンゴ糖脂質5及び6(それぞれGSL−1及びGSL−2)は、極性のヘッドグループとしてガラクトシルウロン酸を含むので、炭水化物部分においてα−GalCerとは最も著しく異なる[Ben−Menachem,G.,Kubler−Kielb,J.,Coxon,B.,Yergey,A.&Schneerson,R.(2003)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 100,7913−7918]。しかしながら、これらの糖脂質は、細菌起源であるので、CD1d介在NKT細胞活性化のための天然リガンドとして、より生理的に関連している。生物学的実験は更に、ガラクトウロニック(galactouronic)スフィンゴ脂質が、1.2(Vα14Vβ8.2DN3A4)NKT細胞ハイブリドーマのIL−2分泌を刺激することを示している。α−GalCer類似体の4,3−O−スルホ−ガラクトシルセラミド(3−O−スルホ−GalCer)もまた、著しいIL−2分泌を引き起こし、Vα14iNKT細胞応答が、ガラクトースの3−OH位の修飾に対して感受性が低いことを示した。それに対して、ガラクトースの2−OH位になされた任意の修飾は、生物学的活性をすべて消滅させた。しかしながら、他の合成類似体のほとんどのものは活性であった。加えて、ヒトVα24iNKT細胞のGSL−1及びGSL−2並びにスルファチドに対する反応性は、保存された。
【実施例1】
【0225】
《糖脂質α−ガラクトシルセラミド類似体の合成:3−O−スルホ−α−ガラクトシルセラミド》
試薬の調製
試薬
化学薬品はすべて試薬級として購入し、更に精製することなく使用した。ジクロロメタン(CHCl,DCM)は、水素化カルシウム上で蒸留し、テトラヒドロフラン(THF)は、ナトリウム/ベンゾフェノン上で蒸留した。無水メタノール(MeOH)及びピリジン(Py)は、市販業者から購入した。
【0226】
一般的なアッセイの説明:
反応は、シリカゲル60F254ガラスプレート上の分析用薄層クロマトグラフィー(TLC)でモニターし、UV(254nm)下に、及び/又は酸性モリブデン酸アンモニウム第二セリウムで発色させることによって目に見えるようにした。フラッシュカラムクトマトグラフィーは、シリカゲル60Geduran(35−75μm EM Science)で行なった。HNMRスペクトルは、20℃で、400−、500−、又は600−HzNMRスペクトロメーターで記録した。化学シフト(単位ppm)は、重水素化溶媒中テトラメチルシラン(δ 0ppm)と比較して測定した。結合定数(単数又は複数)は、単位ヘルツ(Hz)で、一次元スペクトルから測定した。13C結合水素試験(13C Attatched Proton Test)(C−Apt)スペクトルは、NMR−400、500又は600スペクトロメーター(100、125又は150Hz)で得、CDCl(δ 77.23ppm)又はPy−d(δ 123.87ppm)のいずれかでキャリブレーションを行なった。
【0227】
《p−メチルフェニル2−O−ベンジル−4,6−O−ベンジリデン−3−O−レブリニル−1−チオ−D−ガラクトピラノシド(II)》
3グラムのI(6.45mmol)をDCMに溶解した。LevOH(0.9ml,1.35eq)、EDC(1.6g,1.3eq)及びDMAP(197mg,0.25eq)を添加した。ホイルで覆って、反応を一晩進行させておいた。次いで、反応物をDCMで希釈し、水、飽和重炭酸ナトリウム溶液、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒除去後、混合物をカラムクトマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc:DCM 3:1:1)により精製して、IIを2.83g、78%収率で得た。
【0228】
H(CDCl500MHz)δ=7.61−7.03(m,14H),5.48(s,1H),4.98(dd,J=3.7Hz,J=9.6Hz,1H),4.77(d,J=11.0Hz,1H),4.63(d,J=9.5Hz,1H),4.51(d,J=11Hz,1H),4.36−4.32(m,2H),3.99−3.97(m,1H),3.90−3.86(m,1H),3.51(s,1H),2.56−2.50(m,2H),2.46−2.40(m,2H),2.31(s,3H),2.09,(s,3H);13CNMR(125MHz,CDCl)δ=206.05,172.09,138.18,137.76,137.64,133.11,129.61,128.98,128.57,128.22,128.01,127.68,127.57,126.45,100.83,86.53,75.41,75.05,73.77,73.71,69.09,37.70,29.60,27.99;HRMS(MALDI−FTMS)C3234SNa[M+Na]に対する計算値585.1923,実測値585.1900.
【0229】
《2−O−ベンジル−4,6−O−ベンジリデン−3−O−レブリニル−D−ガラクトピラノシド(III)》
II(600mg,1.07mmol)をアセトン50mLに溶解した。反応混合物を0℃まで冷却して、NBS(228mg,1.28mmol,1.2当量)を添加した。反応混合物はすぐに橙色に変わった。10分後、反応を固体NHCl添加によりクエンチした。混合物を水及び酢酸エチルで希釈して、水層を酢酸エチル(3x)で抽出した。合わせた有機層をブラインで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥して、蒸発させた。残渣をカラムクトマトグラフィー(ヘキサン:エチルEtOAc:DCM 1:1:1)にかけて、7を442mg(91%)得た。
【0230】
H(CDCl500MHz)δ=7.50−7.25(m,10H),5.48(d,J=4.8,1H),5.38(s,1H),5.32(dd,J=3.7Hz,J=10.3Hz,1H),4.94−4.90(m,1H),4.73−4.62(m,3H),4.36(d,J=3.3Hz,1H),4.05(dd,J=3.3Hz,10.3Hz,1H),4.00−3.98(m,2H),3.93,(s,1H),3.52−3.51(m,1H),2.71−2.53(m,4H),2.08(s,3H);13CNMR(125MHz,CDCl)δ=206.43,177.73,172.35,172.24,138.41,137.78,137.63,137.57,128.89,128.85,128.38,128.21,128.03,127.75,127.67,127.51,126.15,126.12,100.61,97.50,91.98,77.57,74.68,74.10,73.82,73.56,73.38,73.28,70.55,69.17,68.93,66.24,62.18,37.82,37.79,29.67,289.38,28.11,28.04;HRMS(MALDI−FTMS)C2529[M+H]に対する計算値457.1862実測値457.1856.
【0231】
《O−(2−O−ベンジル−4,6−O−ベンジリデン−3−O−レブリニル−D−ガラクトピラノシル)トリクロロアセトイミデート(IV)》
DCM4mlに溶解したIII(188.5mg,0.46mmol)の溶液に、CClCN(0.46ml,4.62mmol)及びDBU(31μl,0.21mmol)を添加した。室温で2時間後、暗色溶液を濃縮し、次いでフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc(2:1)及び1%トリエチルアミン)により精製して、8(211mg,77%)を得た。
【0232】
H(CDCl500MHz)δ=7.59−7.34(m,10H),5.61(s,1H),5.45(dd,J=3.2Hz,10.7Hz,1H),4.80−4.72(m,2H),4.60(d,J=3.3Hz,2H),4.38−4.33(m,2H),4.13−4.10(dd,J=1.8Hz,12.5Hz,1H),4.05(s,1H),2.79−2.72(m,2H),2.65(m,2H),2.16(s,3H);13CNMR(125MHz,CDCl)δ=206.43,177.73,172.35,172.27,138.41,137.78,137.63,137.57,128.89,128.85,128.38,128.21,128.03,127.86,127.75,127.67,127.51,126.15,126.12,100.61,97.50,91.98,77.57,74.68,74.10,73.56,73.38,73.28,70.55,69.17,68.93,66.24,6218,37.8237.79,29.67,29.38,28.11,28.04.
【0233】
《2−アジド−3,4−ジ−O−ベンジル−1−O−(2−O−ベンジル−4,6−O−ベンジリデン−3−O−レブリニル−α−D−ガラクトピラノシル)−D−リボ−オクタデカ−6−エン−1−オール(VI).》
無水THF2.5mL中のトリクロロアセトイミデートIV(150mg,0.25mmol,1.5当量))及びスフィンゴシン誘導体V(86mg,0.16mmol)の溶液を、新しく乾燥した粉末AW−300モレキュラーシーブ上に添加して、−20℃まで冷却した。TMSOTf(23μL,0.8当量)を溶液にゆっくり添加して、混合物を2.5時間で0℃まで加温した。反応をEtN(0.1mL)添加によりクエンチし、混合物をEtOAcで希釈して、セライトを通して濾過した。有機層を飽和NaHCO水溶液及びブラインで洗浄し、乾燥(NaSO)して、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクトマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc 6:1)により精製して、VI(57mg,消費されたアクセプターVに基づき46%)をシロップ状物として得て、V(18mg)を回収した。
【0234】
HNMR(CDCl,400MHz):δ=7.49−7.23(m20H),5.56−5.45(m3H),5.32(dd,1H,J=3.5Hz,10.5Hz),4.98(d,1H,J=3.1Hz),4.70−4.51(m,6H),4.38(m,1H),4.13−3.82(m,5H),3.71−3.62(m,4H),2.75−2.40(m,6H),2.08(s,3H),2.06−1.97(m,2H),1.25(bs,18H),0.88(t,3H,J=7.0Hz);13CNMR(125MHz,CDCl)δ=206.30,172.25,138.21,137.93,137.67,132.60,128.89,128.37,128.35,128.33,129.29,128.08,127.27,128.08,127.78,127.73,127.69,127.63,127.60,127,17,124.69,100.65,98.61,79.41,78.95,74.06,73.65,73.41,73.10,71.94,70.79,69.02,68.21,62.41,61.97,37.93,31.89,29.71−29.32,28.19,27.58,22.66,14.10;ESI−MS(正イオンモード):m/z982.4[M+Na]
【0235】
《3,4−ジ−O−ベンジル−1−O−(2−O−ベンジル−4,6−O−ベンジリデン−α−D−ガラクトピラノシル)−2−ヘキサコシルアミノ−D−リボ−オクタデカ−6−エン−1−オール(X).》
アジ化物VI(57mg,0.059mmol)を無水THF2.0mLに溶解し、0℃まで冷却した。PMe(1.0M/トルエン0.4mL,0.4mmol)を溶液に添加し、反応物を室温まで加温して、一晩撹拌した。出発物質がほとんど消失した後、1MNaOH水溶液0.8mLを混合物に添加して、5時間撹拌した。次いでCHClを溶液に添加し、混合物をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥して、濃縮した。残渣を、更に精製することなく次の工程に使用した。ヘキサコサン酸(35mg,0.088mmol,1.5当量)をCHCl(2.0ml)に懸濁し、次いでDEPBT(26mg0.087mmol,1.5当量)及びDIEA(15μL,1.5当量)を添加した。混合物を1時間激しく振盪して、透明な淡黄色溶液を得、その後これに上記の粗製アミン混合物VIIIa及びVIIIbを添加した。溶液を室温で一晩撹拌し、次いでEtOAcで希釈して、飽和NaHCO及びブラインで洗浄した。有機相をNaSOで乾燥し、濃縮して、固体(IXa及びIXb,57mg)を得、これをPy−HOAc溶液(3:1v/v,0.30M NHNH・HOAcを含む)2mLに溶解して、室温で1.5時間撹拌した。上と同様に通常の処理をした後、残渣をシリカゲルカラムクトマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc 2:1)により精製して、X(40mg,3工程を通して56%)を固体として得た。
【0236】
HNMR(CDCl,400MHz)δ=7.47−7.23(m20H),5.67(d,1H,J=8.6Hz),5.51−5.44(m,3H),4.95(d,1H,J=2.7Hz),4.77−4.49(m,6H),4.40(m,1H),4.21(d,1H,J=2.7Hz),4.12−4.07(m,2H),3.94−3.58(m,8H),2.45(m,2H),2.08−1.88(m,4H),1.49(m,2H),1.25(bs,62H),0.88(t,6H,J=7.0Hz);13CNMR(CDCl,100MHz):δ=173.14,138.50,138.33,137.74,132.57,129.32,128.62,128.40,128.08,127.95,127.85,126.45,125.20,101.37,99.04,79.97,79.22,76.29,73.48,73.41,71.79,69.50,68.86,68.19,62.94,50.26,36.96,32.13,29.91−29.56,28.14,27.78,25.93,22.90,14.34;HRMS(MALDI−FTMS)C78119NONa[M+Na]に対する計算値1236.8777,実測値1236.8741.
【0237】
《3,4−ジ−O−ベンジル−1−O−(2−O−ベンジル−4,6−O−ベンジリデン−3−O−スルホ−α−D−ガラクトピラノシル)−2−ヘキサコシルアミノ−D−リボ−オクタデカ−6−エン−1−オール,ナトリウム塩(XI).》
X(40mg,0.033mmol)/Py(2.5mL)溶液に、SO・Py錯体(79mg,0.5mmol,15当量)を添加した。混合物を室温で2.5時間撹拌した。NaHCO(62mg)水溶液(2.5mL)を添加して反応をクエンチした。反応混合物をCHClで希釈し、ブラインで洗浄し、乾燥(NaSO)して、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクトマトグラフィー(CHCl:MeOH 15:1)により精製して、XI(39mg,90%)を固体として得た。
【0238】
HNMR(CDCl/CDOD1:1,400MHz)δ=7.87(d,1H,J=8.9Hz),7.58−7.17(m,20H),5.59(s,1H),5.43(m,2H),4.96(m,3H),4.82(m,1H),4.73(d,1H,J=2.3Hz),4.62−4.58(m,2H),4.52−4.44(m,2H),4.19−3.99(m,5H),3.78(bs,2H),3.66(bs,1H),3.56(m,1H),2.47(m,1H),2.34(m,1H),2.13(t,2H,J=7.0Hz),2.01(m,2H),1.54(bs,2H),1.27(bs,62H),0.89(t,6H,J=7.0Hz);13CNMR(CDCl/CDOD1:1,100MHz):δ=173.92,138.30,137.66,137.57,131.42,128.43,128.01−127.03,125.95,125.66,100.59,98.99,80.16,79.75,75.04,74.84,73.97,73.60,73.49,71.09,68.74,67.00,62.70,49.71,49.62,31.56,29.29−29.02,27.01,25.59,22.27,13.44;HRMS(MALDI−FTMS)C78118NO12SNaK[M+K]に対する計算値1354.7909,実測値1354.7933.
【0239】
《2−ヘキサコシルアミノ−1−O−(3−O−スルホ−α−D−ガラクトピラノシル)−D−リボ−1,3,4−オクタデカントリオール,ナトリウム塩(4).》
XI(39mg,0.030mmol)をHOAc−MeOH(1:1v/v,6mL,)に溶解した。パラジウム黒80mgを添加し、反応溶液をバルーンにより水素で飽和させた。室温で20時間撹拌後、触媒をセライト上の濾過により除去し、CHCl/MeOH(1:1)で十分に洗浄した。溶媒を蒸発させて、残渣を得、これを再びCHCl/MeOH(1:1)混合溶媒に溶解し、次いで飽和NaHCO(3mL)を添加して、室温で半時間撹拌した。溶媒除去後、残渣をシリカゲルカラムクトマトグラフィー(CHCl:MeOH6:1)により精製して、4(24mg,83%)を淡黄色固体として得た。
【0240】
HNMR(CDCl/CDOD1:1,400MHz)δ=4.95(d,1H,J=3.5Hz),4.49(dd,1H,J=2.7Hz,10.2Hz),4.35(m,1H),4.17(m,1H),4.02(dd,1H,J=2.7Hz,9.8Hz),3.88−3.85(m,2H),3.80−3.72(m,4H),3.69−3.65(m,2H),3.61−3.57(m,1H),2.24(t,2H,J=7.4Hz),1.59(m,4H),1.27(bs,68H),0.89(t,6H,J=7.0Hz);13CNMR(CDCl/CDOD1:1,100MHz):δ=174.31,99.08,77.57,73.42,71.64,70.44,67.81,67.19,66.48,61.28,49.90,35.89,31.51,31.32,29.29−28.94,25.53,22.22,13.34;HRMS(MALDI−FTMS)C5098NO12SNa[M+Na]に対する計算値982.6599,実測値982.6585.
【0241】
合成図式
スルファチド及びα−ガラクトシルセラミドは、類似の構造を有し、CD1によりT細胞に提示されたとき、免疫刺激活性及び免疫調節活性を所有する。スルファチドとα−ガラクトシルセラミドのハイブリッド分子であるサルフェート誘導体3−O−スルホ−α/β−ガラクトシルセラミド10及び4(図1)が類似の活性を有するかどうかを測定するために、両分子を合成して、免疫刺激活性について評価した。
【0242】
3−O−スルホ−a−ガラクトシルセラミド4の合成のためには、ガラクトース部分の3”OHにおける選択的硫酸化が重要な工程である。一般に、糖環の3−ヒドロキシル基の部位選択的硫酸化は、活性中間体としてジブチルスタンニレンアセタールを利用するが、しかしながらこの方法は、β−ガラクトシドにのみ適用することができる;α−ガラクトシドに対しては、ジブチルスタンニレンアセタールは、2−ヒドロキシル基とアノマー酸素との間に錯体を形成して、求電子剤との反応により2”−O−誘導体を与えることができる。
【0243】
この問題に対処するために、3”−lev及び2”−ベンジル−4”,6”−ベンジリデン基で、トリクロロアセトイミデート供与体IVを保護した(図2)。一時的な保護基Levは、グリコシル化後にヒドラジン存在下に選択的に除去することができる。2,4,6位のベンジル基及びベンジリデン基は、次のα−グリコシド結合形成を方向づける(Figueroa−Perez,S.et al Carbohydrate Res.2000,328,95;Plettenburg,O.et al.J.Org.Chem.2002,67,4559)。
【0244】
図2Aに示すように、IVの製造は周知のチオグリコシドIを用いて出発し、3工程を通して収率50%であった。この合成では、スフィンゴシンのビルディングブロックを用い、助触媒として用いたTMSOTf存在下に供与体IVをアクセプターVにカップリングさせて、α−グリコシドVIを適度な収率で得た。
【0245】
NaOH溶液中でPMeを用いるVIのシュタウディンガー還元を使用して、イミノ−ホスホラン中間体VIIを加水分解した。しかしながらLev基はこの条件下では生き残ることができず、約50%のLev基が開裂して、アミン混合物VIIIa及びVIIIb(1:1)(HNMRにより測定)を与えた。VIIIaは、遊離のC−3ヒドロキシル基を有するので、アミンVIIIaと脂肪酸との縮合における選択的カップリング試薬を選ぶことが非常に重要である。
【0246】
DEPBT[3−(ジエトキシホスホリルオキシ)−(1,2,3)−ベンゾトリアジン−4(3H)−オン]は、保護されていないヒドロキシル基の存在下にアミド結合を選択的に形成することができるので、これを反応混合物中でVIIIa、VIIIb、及びヘキサコサン酸とともに使用して、IXa及びIXbを得、次にヒドラジンを用いて残ったLev基を脱保護して、所望のガラクトシルセラミドXを3工程にわたる収率56%で得た。3”−OHが遊離の糖脂質XをPy・SO3と処理して、サルフェート誘導体XIを高収率で得、これをパラジウム黒とともに水素化し、NaHCO(水溶液)で中和して化合物4を収率78%で得た(図2B)。
【実施例2】
【0247】
《糖脂質α−ガラクトシルセラミド類似体の合成:3−O−スルホ−β−ガラクトシルセラミド》
10の合成のために、パーベンゾイル化トリクロロアセトイミデート供与体40をスフィンゴシンアクセプターVのグリコシル化に使用して、β−ガラクトシルセラミド誘導体XIIを得た(図3)。XIIのシュタウディンガー還元後に、アミンXVを単離することなく、錯体混合物を得た。パーベンゾイル化ガラクトシルセラミドは、塩基性条件に敏感であるので、イミノ−ホスホラン中間体XIVを分解するための還元処理手順に対して、NaOH溶液のかわりにNaHSO溶液を使用した。しかしながら、XIVのXVへの加水分解は非常に遅く、今度はより長い反応時間が、グリコシド結合の分解の原因となり、そのせいで複雑な生成物が形成された。
【実施例3】
【0248】
《糖脂質α−ガラクトシルセラミド類似体の合成:3−O−スルホ−β−ガラクトシルセラミド》
3−O−スルホ−β−ガラクトシルセラミドを合成するためにもう一つの合成戦略を使用した。この戦略では、先ずアジ化物を還元して、グリコシル化の工程の前に、脂肪酸をカップリングした(図4A)。化合物XVIIIをスフィンゴシン誘導体XVIから製造した(Plettenburg,O.et al.J.Org.Chem.2002,67,4559)。2工程を通して収率54%であった。
【0249】
助触媒としてTMSOTfを用いて、セラミドアクセプターXVIIIを供与体40と反応させて、β−グリコシドXIXを収率54%で得た。XIXの脱ベンゾイル化と水素化の後、β−ガラクトシルセラミドXXを定量的な収率で得た。最後にXXをBuSnO/MeN・SOにより硫酸化して、その後NaHCOで中和して、生成物10を収率80%で得た(図4B)(Compostella,F et al.Tetrahedron 2002,58,8703)。
【実施例4】
【0250】
《ヒトNKT細胞系による糖脂質の認識がサイトカイン分泌に帰着する:》
材料及び方法
糖脂質
α−GalCerを記述されているようにして得た[Plettenburg,O.,et al.(2002)J.Org.Chem.67,4559−64]。中間体29、36及び40(図3及び4)を記述されているようにして得た[Plettenburg,O.,et al.(2002)supra;Williams,L.,et al.(1996)Tetrahedron 52,11673−11694;Deng,S.Y.,B et al.(1999)J.Org.Chem.64,7265−7266]。化合物5、6、19、30、33、37、及び41(図3及び4)を本明細書に以下に記載するようにして得た。19、10及び4以外の残りの化合物、及びそれらの中間体は本明細書に上に記載したようにして得た。
【0251】
スフィンゴシンアクセプター
スフィンゴシンアクセプター(30)のための合成図式を図6に示す。化合物29(3.31g,13.5mmol)(Williams,L.,et al.supra)を乾燥THF70mlに溶解した。溶液を、−40℃まで冷却し、ビニルグリニャール溶液(1M/THF溶液31ml)を1時間にわたり滴下ロートにより添加した。温度を、−20℃〜−40℃に維持した。反応混合物を室温まで温まるままにし、もう1時間撹拌した。飽和(NHSO溶液60mlの添加により反応をクエンチし、蒸発乾固した。残渣を水で希釈して、酢酸エチル(3x)で抽出した。合わせた有機層をブラインで抽出し、MgSOで乾燥し、蒸発させて、黄色油状物を得た。カラムクトマトグラフィー(Hex:EtOAc 3:1)によりシンジアステレオマー(2.11g,8.2mmol,アンチ/シン=3.5:1)を収率61%で得た。次いでシンジアステレオマー(300mg,1.16mmol)を、アルゴン下に、還流冷却器を備えた二口フラスコ中の乾燥ジクロロメタン1mlに溶解した。ペンタデセン486mg(3.48mmol)を注射器により添加した。グラッブス第2世代触媒(Strem Chemicalsから購入)20mg(2mol%)/ジクロロメタン1ml溶液を添加し、溶液を速やかな還流下に40時間加熱した。反応混合物を蒸発させ、次いで直接にクロマトグラフを行い(Hex:EtOAc 6:1)、所望の生成物(0.82mmol,71%)を得た。
【0252】
糖脂質の合成
合成図式を図4に示す。無水EtO4ml及び無水THF2ml中のトリクロロアセトイミデート32(160.4mg,0.258mmol)及びスフィンゴシンアクセプター31(100mg,0.198mmol)の溶液を、新しく乾燥した4Åモレキュラーシーブ上に添加し、−50℃まで冷却した。トリメチルシリルメチルトリフルオロメタンスルホネート(TMSOTf)(3.33mg,0.0198mmol)を添加し、混合物を、−50℃で1時間撹拌した。混合物を、−20℃まで温まるままにし、TMSOTfを更に3.33mg添加した。次いで混合物を室温までゆっくり温まるままにし、3時間撹拌した。次いで溶液をEtOAcで希釈し、セライトを通して濾過した。有機層を飽和NaHCO水溶液及びブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)して、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクトマトグラフィー(トルエン:EtOAc 12:1)により精製して、33を128mg(67.5%,0.134mmol)得た。
【0253】
EtOAc6mlに溶解した化合物34(36mg,0.03mmol)を、EtOAc1ml中の20wt%水酸化パラジウム36mgに添加し、水素で飽和させた。反応容器を水素でパージし、混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を濾過し、溶媒を蒸発させた。上記の水素化した化合物を、THF2ml、水1ml、及びメタノール1mlに溶解した。LiOH(9mg,0.14mmol)を溶液に添加し、反応物を室温で4時間撹拌した。NaCO100mgを添加し、混合物を30分間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残った残渣をシリカゲルカラムクトマトグラフィー(CHCl:MeOH 4:1)で精製して、1を7.8mg(38%,0.0114mmol,2工程)得た。
【0254】
化合物42(14mg,0.017mmol)を脱保護した後、MeOH1mlに溶解したBuSnO(6.5mg,0.0259mmol)を添加した。混合物をアルゴン下に2時間還流した。溶媒を蒸発させた後、THF1mlに溶解したMeN・SO(5mg,0.035mmol)を添加し、反応を室温で6時間進行させておいた。次いで溶媒を減圧下に除去し、残渣をCHCl/MeOH 1:1(1mL)に溶解し、イオン交換カラム(Dowex50X8Na+型)上にのせた。CHCl/MeOH 1:1で溶離した後、混合物を濃縮し、カラムクトマトグラフィー(CHCl:MeOH 5:1)により精製して、18(14.4mg,95%)を得た。
【0255】
1.2ハイブリドーマアッセイ
記述されているように、インバリアントVa14iT細胞抗原受容体α鎖を有するCD1d反応性T細胞ハイブリドーマを使用した(Sidobre,S.,et al.(2004)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101,12254−12259)。記述されているように、T細胞ハイブリドーマを、可溶性CD1dでコートしたプレートか、又はCD1dトランスフェクトA20Bリンパ腫細胞でコートしたプレートかのいずれかに添加された表示された糖脂質で刺激した(Elewaut,D.,et al..(2003)J.Exp.Med.198,1133−1146)。T細胞活性化の指標として、16時間培養後ELISAアッセイにより、組織培養培地中へのIL−2放出を測定した。
【0256】
Vα24iヒトNKT細胞系の発生
Vα24iT細胞受容体及びCD161を発現する、ヒトNKT細胞系を次のようにして発生させた:それぞれ磁性ビーズに結合した抗CD161モノクローナル抗体、及び抗CD14モノクローナル抗体(Miltenyi biotec,Auburn,CA)を順次使用して、ロイコパックス(leukopaks)からCD161細胞及びCD14細胞を単離した。CD14から、300U/mlのGM−CSF(R&D systems,Minneapolis,MN)及び100U/mlのIL−4(R&D systems,Minneapolis,MN)存在下に、2日間培養後、未成熟樹状細胞を発生させた。2000ラドを照射後、未成熟樹状細胞を、100ng/mlのα−ガラクトシルセラミド及び10IU/mlのIL−2(Invitrogen,Carlsbad CA)存在下に、10〜14日間、同系のCD161細胞とともに共培養した。α−ガラクトシルセラミドをパルスして、照射した未成熟樹状細胞で、CD161細胞を2度目に刺激した後、NKT細胞系は、フローサイトメトリーにより、CD161及びV24iTCRの両方(99%純度)を発現することを示した。
【0257】
ヒトNKT細胞系を用いたインビトロでのサイトカイン分泌アッセイ
Vα24iヒトNKT細胞系によるIFN−γ及びIL−4分泌を、16時間培養後、ELISA法によって測定した(BD Pharmingen,San Diego,CA)。これらのアッセイのために、1x10個のVα24iヒトNKT細胞を、96ウェル平底プレート中、10μg/mlの糖脂質化合物存在下に、4x10個の照射した未成熟CD14樹状細胞とともに共培養した。
【0258】
結果
糖部分又は脂質部分のいずれかにα−GalCerに類似した構造を含む、細菌起源の糖脂質(5、6、8、17)(図5に表される)、又はその類似体が、CD1dによりNKT細胞を活性化するかどうかを試験するために、これらの糖脂質を合成して、アッセイを行なった。類似体7及び8(図5)を製造して、糖に対するカルボキシル基の効果及び脂質に対するα−ヒドロキシル基の効果を探るために用いた。化合物19、10及び4は、α又はβ−グリコシド結合とともに3’−サルフェート基を含む。20〜23は、α−GalCerの2’−修飾の効果を探るために製造した。脂質部分を修飾したα−GalCer類似体も、CD1dとの相互作用及びその後のNKT細胞活性化に対する効果を探るために製造した。
【0259】
細胞融合により固定化したマウスVα14iNKT細胞は、合成糖脂質のT細胞活性化能力をアッセイする便利な方法を提供した。図8aに示すように、3−O−スルホ−α−GalCer,4は、10μg/mlで使用したとき、ハイブリドーマから著しいIL−2放出を刺激した。しかしながら、用量反応曲線は、この化合物が、このモデルでは、αGalCerよりもいくらか活性が低い(データを示さず)ことを示した。これに対して、試験したガラクトースの2OH位の修飾はどれも皆(化合物10〜13)、すべての生物活性をなくした。これらのデータは、糖脂質に対するVα14iNKT細胞応答が明らかに、3位の修飾に対してよりも2位の修飾に対して、より敏感であることを示している。
【0260】
ビー・ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)糖脂質(17〜18)並びに化合物24及び25は、1.2ハイブリドーマアッセイにおいて適度に活性であった。しかしながら、IL−2分泌は、ハイブリドーマ細胞を刺激するために大量の糖脂質を用いたときにのみ検出することができた(データを示さず)。
【0261】
ハイブリドーマのスフィンゴモナス(Sphingomonas)糖脂質に対する応答をアッセイするために、CD1dコートしたプレートを使用した(図8b)。すべての化合物に対して、かなりのレベルのIL−2分泌を観察することができる。糖ヘッドグループの構造は、ハイブリドーマ活性化に著しく影響した。ガラクツロン酸誘導体と比較した時、α−GalCer及びガラクトース類似体7は一貫して、より大きなIL−2分泌を要求した。活性に影響するのはまた、脂肪族アミド末端の(S)−2−ヒドロキシ基であった。完全飽和の末端は、より大いに好ましいものであった。これはα−ヒドロキシ基が最適ではないことを示唆する。事実、(S)−2−ヒドロキシ基は、α−ヒドロキシル脂肪族アミド基のないガラクツロン酸化合物である5と比較した時、IL−2分泌を活性化する能力の低いガラクトース類似体である化合物8に比較して、活性に対してより大きい効果を有するように思われた。7及び8が天然産物であることは知られていないけれども、両方とも化合物5及び6の前駆体である可能性がある。
【0262】
10μg/mlの糖脂質及び10IU/mlのIL−2存在下に、照射した同系のCD14未成熟樹状細胞で刺激した後に、Vα24iNKT細胞系からのIFN−γ及びIL−4分泌を評価した(図9a)。各糖脂質化合物によるNKT細胞系の刺激で、陰性対照に比較したとき、著しいIFN−γ及びIL−4分泌の結果が得られた。強力なNKT細胞アゴニストであるα−GalCerによる刺激の後に、より大きなIFN−γ及びIL−4分泌が観察されたのに対して、1〜10μg/mlの3−O−スルホ−α−ガラクトシルセラミドにより刺激されたNKT細胞からのIFN−γ及びIL−4分泌は、α−GalCerによる分泌の約半分であったが、しかし他の糖脂質によって誘導された分泌の2倍であった。β−結合スルファチド19及び10ではまた、IFN−γ産生及びIL−4産生の両方を誘導することが観察された。事実、サイトカイン分泌レベルは、GSLsに匹敵した。
【0263】
図8C及び8Dに示すように、糖脂質が3−スルホ−α−GalCer4であったとき、CD14DCsによる糖脂質提示に対する応答において、ヒトNKT細胞のインターフェロンγ分泌は、濃度10〜20μg/mLで、α−GalCerに比較して優れていた。化合物4はIL−4及びIFN−γ分泌を効果的に刺激した。これは、ガラクトース部分の3”−OH位のサルフェートでの修飾がNKT細胞刺激において有用であったことを示している。
【0264】
NKT細胞活性化は、糖脂質抗原分子のアノマー炭素の立体配置に敏感であった。3−スルホ−β−GalCer10は、グリコシド結合のβ−結合によるNKTリンパ球に対する親和性が最小〜無であった。これは、グリコシドのα−結合がCD1抗原結合にとって必須であることを示している。
【0265】
アセチル側鎖又は短縮した骨格を有する他のα−GalCer類似体も試験を行い、いくらかの活性が観察された(図8C及び8D、並びにデータを示さず)。
【実施例5】
【0266】
《ヒトNKT細胞系は、CD1dとの関連で糖脂質に結合する》
材料及び方法
ヒトNKT細胞系を用いたインビトロでのCD1d−二量体アッセイ
可溶性二価ヒトCD1d−IgG1融合タンパク質(ヒトCD1d−IgG1二量体,BD Pharmingen)1mgを、製造業者の手順書に従い、32oCで中性pHで、10Mの各糖脂質とともに一晩インキュベートした。糖脂質をロードしたCD1d−IgG1二量体を、ヒトNKT細胞とともに4℃で60分間インキュベートし、そのあとPE結合抗マウスIgG1mAb(A85−1)とともにインキュベートした。細胞をまた、PerCP結合抗CD3mAb(BD Pharmingen,San Diego,CA)で表面染色した。
【0267】
結果
糖脂質がNKT細胞系を刺激したけれども、必ずしも、糖脂質がCD1d分子により提示され、NKT細胞により発現されたVα24iT細胞受容体のトリガーとなることができるということにはならない。従って、単一細胞レベルでVα24iT細胞受容体に対する糖脂質抗原反応性を証明するために、種々の糖脂質をロードしたヒトCD1d二量体を有するヒトNKT細胞系を染色して、陰性対照としてアンロードしたCD1d二量体を使用した。それぞれの糖脂質ロード二量体がほぼ普遍的にヒトNKT細胞を染色したのに対して、アンロード二量体はこれらの細胞を染色しなかった(図10)。
【実施例6】
【0268】
《GSL−mCD1d複合体のコンピュータモデリング》
材料と方法
モデル構築
mCD1dの結晶構造と複合体化したGSL1のモデル(Zeng,Z.,et al.(1997)Science 277,339−45)を、オートドック(Autodock)3.0(Morris,G.M.,et al.(1998)J.Comput.Chem.19,1639−1662)によって構築した。
【0269】
結果
細菌性糖脂質1のCD1dとの相互作用を更に理解するために、GSL1のmCD1dとの複合体モデルを構築して、図11に示す。このモデルによれば、脂肪族アシル鎖はF’ポケット中に伸び、スフィンゴシン鎖はA’ポケットの方へ伸びた。これにより、極性のヘッドグループが、T細胞抗原受容体による認識のために露出された状態に配向されることが可能になった。mCD1dとスフィンゴ糖脂質との間に数多くの好ましい接触を観察することができる。そのうちで、可能な水素結合は、糖のカルボキシレートとAsp80の骨格カルボニルとの間の相互作用、並びに脂肪酸末端のアミド窒素とAsp80側鎖との相互作用を含んでいた。
【0270】
脂質末端長さの点で、mCD1dがNKT細胞反応性にいくらか適応していると考えられたのに対して、脂質長さの変化、組成、又は脂肪酸上へのα−ヒドロキシル基の添加は、図11に見るように、糖の配向にわずかの変化を引き起こし、それによりT細胞受容体によるCD1d/糖脂質複合体に影響する可能性がある。ガラクトースの代わりにガラクツロン酸を用いると、同様の結果を生じる可能性がある。6−OHをカルボン酸に酸化することにより引き起こされる摂動は、NKT細胞の反応性に適度な変化しか引き起こさず、従ってこのモデルは、別のリガンドを設計する有効な手段を提供する。
【実施例7】
【0271】
《糖脂質α−ガラクトシルセラミド類似体の合成》
多数の糖脂質を合成して、NKT細胞活性化について試験した。合成図式を以下の図式1に示す:
【化81】

【0272】
他の化合物を、Xing GW et al.Bioorg Med Chem.2005 Apr 15;13(8):2907−16;及びWu D.et al.,Proc Natl Acad Sci USA.2005 Feb 1;102(5):1351−6に記述されているようにして合成した。
【0273】
化学薬品はすべて、試薬級として購入し、更に精製することなく使用した。ジクロロメタン(CHCl)は、水素化カルシウム上で蒸留した。テトラヒドロフラン(THF)及びエーテルは、金属ナトリウム/ベンゾフェノンケチル上で蒸留した。無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)は、Aldrichから購入した。グリコシル化用モレキュラーシーブ(MS)は、AW300(Aldrich)であり、焔により活性化した。反応は、EMシリカゲル60F254プレートにおける分析用薄層クロマトグラフィー(TLC)でモニターし、UV(254nm)下に、及び/又は酸性モリブデン酸アンモニウム第二セリウム若しくはニンヒドリンで発色させることにより目に見えるようにした。フラッシュカラムクトマトグラフィーは、シリカゲル60Geduran(35−75um,EM Science)で行なった。HNMRスペクトルは、20℃で、Bruker DRX−500(500MHz)スペクトロメーター又はBruker DRX−600(600MHz)スペクトロメーターで記録した。化学シフト(δppm)は、CDCl中のテトラメチルシランの内部標準シグナル(δ=0ppm)により帰属させた。13CNMRスペクトルは、Bruker DRX−500(125MHz)スペクトロメーター又はBruker DRX−600(150MHz)スペクトロメーター上で結合水素試験(Attatched Proton Test)(APT)を用いて得、キャリブレーション用にCDClシグナル(δ=77.00ppm)を用い、δppm目盛で報告した。結合定数(J)は、単位Hzで報告する。分裂パターンは、次の略語を用いて記載する:s,一重線;brs,幅広い一重線;d,二重線;t,三重線;q,四重線;m,多重線。HNMRスペクトルは、次の順序で報告する:化学シフト;プロトンの数;多重度;結合定数。
【化82】

【0274】
ウィッティッヒ試薬を1−ブロモペンタデカン及びトリフェニルホスフィンからトルエン中5日間還流して調製した。撹拌したウィッティッヒ試薬a(6.1g,11mmol)/THF(30mL)溶液に、−78℃で、n−BuLi(1.6mol/L/ヘキサン,6.4mL,10mmol)を滴下し、次いで溶液を室温で1時間撹拌した。1時間後、溶液を、−78℃まで冷却し、GarnerアルデヒドA(2.1g,9.2mmol)/THF(20mL)を添加した。室温で1時間撹拌後、溶液を氷−水に注ぎ入れ、AcOEtで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥して、蒸発乾固した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクトマトグラフィー(トルエン100%)により精製して、B(2.6g,66%)を淡黄色油状物として得た。HNMR(600MHz,CDCl)δ5.36−5.52(2H,m),4.51−4.75(1H,m),4.05(1H,dd,J=6.3Hz,8.6Hz),3.63(1H,dd,J=3.3Hz,8.6Hz),1.94−2.21(2H,m),1.20−1.66(39H,m),0.88(1H,t,J=6.9Hz).13CNMR(150MHz,CDCl)δ151.97,131.98(brs),130.70(brs),130.28(brs),129.36(brs),93.94(brs),93.38(brs),79.69(brs),69.04,54.55,31.90,29.72,29.67,29.65,29.63,29.59,29.49,29.33,29.29,28.46,22.66,14.08.HRMS(ESI−TOF)C2649NONa[M+Na]に対する計算値446.3604,実測値446.3602.
【0275】
化合物Cの合成:
【化83】

【0276】
撹拌したBuOH及びHO(1:1,30mL)中のB(2.6g,6.0mmol)及び1−メチルモルホリンN−オキシド(1.1g,9.0mmol)の溶液に、OsO(2.5w/v/BuOH,3.1mL)を室温で添加した。溶液を一晩撹拌し、NaSO水溶液でクエンチした。溶液をAcOEtで2回抽出し、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥して、蒸発乾固した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクトマトグラフィー(CHCl〜CHCl:MeOH 20:1)により精製して、C(1.6g,56%)を白色固体として得た。HNMR(600MHz,CDCl)δ4.13−4.21(2H,m),3.95−4.03(1H,m),3.55−3.65(1H,m),3.29−3.42(2H,m),1.38−1.68(17H,m),1.21−1.38(24H,m),0.88(3H,t,J=7.1Hz).13CNMR(125MHz,CDCl)δ:153.93,93.97,81.35,74.89,73.85,65.26,59.41,32.27,31.87,29.65,29.63,29.59,29.31,28.31,26.80,26.18,23.94,22.64,14.07.HRMS(ESI−TOF)C2651NONa[M+Na]に対する計算値480.3659,実測値480.3659.
【0277】
化合物Dの合成:
【化84】

【0278】
撹拌したピリジン(5mL)中のC(328mg,0.72mmol)及びDMAP(触媒)の溶液に、BzCl(0.20mL,1.8mmol)を添加し、室温で一晩撹拌した。溶液に、飽和NaHCO水溶液を添加し、AcOEtで抽出し、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥して、蒸発乾固した。残渣を、シリカゲルフラッシュカラムクトマトグラフィー(Hex.:AcOEt 10:1)により精製して、ジベンゾイル化生成物(471mg)を無色油状物として得た。撹拌した乾燥MeOH(5mL)中のこの化合物の溶液に、TFA(10mL)を0℃で滴下した。2時間後、溶液を蒸発乾固し、トルエンと一緒に3回蒸発させた。残渣を、ジオキサン(15mL)及び飽和NaHCO水溶液(15mL)に溶解した。撹拌した溶液に、NaCO(155mg)及びBocO(320mg,1.5mmol)を添加し、一晩撹拌した。この溶液をAcOEtで抽出し、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥して、蒸発乾固した。残渣を、シリカゲルフラッシュカラムクトマトグラフィー(Hex.:AcOEt 5:1)により精製して、D(301mg,3工程を通して67%)を無色油状物として得た。HNMR(500MHz,CDCl)δ:8.05(2H,d,J=7.2Hz),7.95(2H,d,J=7.1Hz),7.63(1H,t,J=7.5Hz),7.46−7.54(3H,m),7.38(2H,t,J=7.5Hz),5.50(1H,d,J=9.6Hz),5.40(1H,dd,J=2.4Hz,9.3Hz),5.33(1H,d,J=9.5Hz),4.00−4.07(1H,m),3.64−3.67(2H,m),2.55−2.65(1H,m),1.96−2.10(2H,m),1.48(9H,s),1.20−1.45(24H,m),0.88(3H,t,J=7.0Hz).13CNMR(125MHz,CDCl)δ:167.03,166.15,155.54,133.73,133.04,129.95,129.64,129.15,128.75,128.63,128.36,80.00,73.81,73.72,60.40,51.46,31.90,29.67,29.65,29.63,29.59,29.53,29.51,29.34,28.30,25.72,22.67,14.11.HRMS(ESI−TOF)C3755NONa[M+Na]に対する計算値648.3871,実測値648.3866.
【0279】
化合物Eの合成:
【化85】

【0280】
撹拌したEtO−THF(7:1,34mL)中のD(1.5g,2.5mmol)、d(1.8g,3.0mmol)及びAW300(2.0g)の溶液を、−40℃まで冷却し、BF・OEt(0.63mL,5mmol)を添加した。溶液を周囲温度で4時間撹拌してから、室温まで加温した。溶液を濾過し、飽和NaHCO水溶液を添加し、AcOEtで抽出した。有機層をMgSOで乾燥して、蒸発乾固した。残渣を、シリカゲルフラッシュカラムクトマトグラフィー(Hex:AcOEt 5:1)により精製して、結合した生成物(980mg,38%)を無色油状物として得た。
【0281】
撹拌したEtOH(30mL)中の前記化合物(980mg,0.95mmol)の溶液に、10%Pd−C(490mg)を添加しH雰囲気下に一晩激しく撹拌した。溶液を濾過し、濃縮乾固した。残渣及びDMAP(触媒)を、ピリジン(10mL)及びAcO(10mL)で溶解し、室温で一晩撹拌した。溶液を濃縮し、AcOEtで溶解し、ブラインで洗浄して、蒸発乾固した。残渣を、シリカゲルフラッシュカラムクトマトグラフィー(Hex.:AcOEt 2:1)により精製して、E(790mg,87%)を無色油状物として得た。HNMR(600MHz,CDCl)δ:8.00(2H,d,J=7.3Hz),7.93(2H,d,J=7.5Hz),7.60(1H,t,J=7.4Hz),7.52(1H,t,J=7.4Hz),7.47(2H,t,J=7.8Hz),7.37(2H,t,J=7.7Hz),5.66(1H,dd,J=2.3Hz,9.6Hz),5.41−5.48(2H,m),5.29−5.33(2H,m),5.16(1H,dd,J=3.6Hz,10.9Hz),4.82(1H,d,J=3.5Hz),4.26(1H,t,J=9.8Hz),4.17(1H,t,J=6.7Hz),4.06(1H,dd,J=6.1Hz,11.3Hz),4.00(1H,dd,J=7.1Hz,11.3Hz),3.78(1H,dd,J=2.4Hz,10.7Hz),3.49(1H,dd,J=2.4Hz,10.7Hz),2.10(3H,s),2.02(3H,s),1.99(3H,s),1.98(3H,s),1.90−1.99(2H,m),1.52(9H,s),1.20−1.37(24H,m),0.88(3H,t,J=7.0Hz).13CNMR(150MHz,CDCl)δ:170.58,170.28,170.11,170.01,166.11,164.97,155.11,133.34,132.90,129.92,129.70,129.56,129.37,129.52,128.22,97.35,80.28,73.88,71.81,67.84,67.70,67.60,66.97,66.50,61.67,49.94,31.83,29.60,29.58,29.56,29.51,29.43,29.27,29.20,28.27,28.13,25.63,22.60,20.60,20.58,20.52,20.49,14.05.HRMS(ESI−TOF)C5173NO16Na[M+Na]に対する計算値978.4821,実測値978.4814.
【0282】
脂肪酸鎖類似体合成の一般手順は次のとおりであった:
【化86】

【0283】
撹拌したE(240mg,0.25mmol)/CHCl(2.4mL)溶液に、0℃でTFA(2.4mL)を添加し、周囲温度で2時間撹拌した。溶液を蒸発乾固し、トルエンと一緒に3回蒸発させて、脱保護したアミンを得た。この化合物をCHClに溶解し、更に精製することなく次の反応に使用した。
【0284】
脱保護したアミン(0.021mmol)/CHCl(1.0mL)に、R−COOH(0.031mmol)、HBTu(12mg,0.031mmol)及びNMM(31mg,0.3mmol)を添加して、室温で一晩撹拌した。溶液を、シリカゲルフラッシュカラムクトマトグラフィー(Hex.:AcOEt 2:1)により精製して、カップリングした生成物を非晶質固体として得た。
【0285】
これらの化合物をMeOH(2.0mL)に溶解して、0.5mol/LのNaOMe/MeOH(4滴)を添加した。溶液を室温で一晩撹拌して、蒸発乾固した。残渣を、シリカゲルフラッシュカラムクトマトグラフィー(CHCl:MeOH 10:1)により精製して、R1,2を得た。
【0286】
化合物R1,2を上記方法に類似した方法で合成した。
【化87】

【0287】
の中間体:収量28mg(65%).HNMR(600MHz,CDCl):8.00(2H,dd,J=1.2Hz,8.2Hz),7.91(2H,dd,J=1.2Hz,8.3Hz),7.61(1H,t,J=7.4Hz),7.53(1H,t,J=7.4Hz),7.47(2H,t,J=7.8Hz),7.38(2H,t,J=7.8Hz),7.25−7.28(2H,m),7.15−7.20(3H,m),6.57(1H,d,J=9.7Hz),5.69(1H,dd,J=2.4Hz,9.9Hz),5.43(1H,d,J=3.3Hz),5.33(1H,dd,J=3.4Hz,10.9Hz),5.29−5.32(1H,m),5.15(1H,dd,J=3.6Hz,10.9Hz),4.81(1H,d,J=3.6Hz),4.62(1H,tt,J=2.5Hz,9.9Hz),4.11(1H,dd,J=6.6Hz,13.3Hz),4.05(1H,dd,J=6.0Hz,11.0Hz),3.96(1H,dd,J=7.0Hz,11.3Hz),3.73(1H,dd,J=2.8Hz,10.9Hz),3.49(1H,dd,J=2.4Hz,10.9Hz),2.64(2H,t,J=7.8Hz),2.35(2H,t,J=7.7Hz),2.10(3H,s),1.994(3H,s),1.986(3H,s),1.94(3H,s),1.89−1.93(2H,m),1.66−1.78(4H,m),1.42−1.48(2H,m),1.18−1.35(24H,m),0.87(3H,t,J=7.1Hz).13CNMR(150MHz,CDCl):172.90,170.59,170.39,170.21,170.15,166.50,165.03,142.53,133.49,133.07,129.87,129.77,129.62,129.30,128.62,128.38,128.32,128.24,125.62,97.29,74.14,71.45,67.90,67.53,67.32,67.10,66.68,61.74,48.18,36.65,35.76,31.90,31.22,29.65,29.63,29.60,29.56,29.53,29.34,29.32,28.99,27.86,25.69,25.57,22.67,20.67,20.62,20.58,20.50,14.11.HRMS(ESI−TOF)C3664NO[M+H]に対する計算値1030.5522,実測値1030.5507.
【化88】

【0288】
:収量14mg(79%).HNMR(500MHz,CDCl−MeOH4:1):7.25−7.29(2H,m),7.15−7.19(3H,m),4.90(1H,d,J=3.9Hz),4.17−4.21(1H,m),3.94(1H,d,J=3.2Hz),3.87(1H,d,J=4.7Hz),3.67−3.81(6H,m),3.51−3.56(2H,m),2.61(2H,t,J=7.8Hz),2.20(2H,t,J=7.6Hz),1.44−1.70(6H,m),1.21−1.41(26H,m),0.88(3H,t,J=7.0Hz).13CNMR(125MHz,CDCl−MeOH4:1):174.08,142.25,128.10,128.01,125.42,99.49,74.64,71.86,70.49,70.04,69.53,68.70,67.27,61.69,50.17,36.14,35.46,32.49,31.67,30.93,29.54,29.49,29.46,29.40,29.11,29.00,28.67,25.60,25.40,22.42,13.76.HRMS(ESI−TOF)C3664NO[M+H]に対する計算値654.4575,実測値654.4568.
【化89】

【0289】
の中間体:収量28mg(65%).HNMR(600MHz,CDCl)δ:7.99(2H,d,J=7.7Hz),7.91(2H,d,J=7.9Hz),7.61(1H,t,J=7.4Hz),7.53(1H,t,J=7.4Hz),7.47(2H,t,J=7.7Hz),7.37(2H,t,J=7.7Hz),7.24−7.28(2H,m),7.14−7.18(3H,m),6.62(1H,d,J=9.8Hz),5.71(1H,dd,J=2.3Hz,9.9Hz),5.43(1H,d,J=3.2Hz),5.35(1H,dd,J=3.3Hz,10.9Hz),5.29−5.31(1H,m),5.15(1H,dd,J=3.6Hz,10.9Hz),4.81(1H,d,J=3.6Hz),4.59−4.64(1H,m),4.09−4.12(1H,m),4.06(1H,dd,J=5.9Hz,11.2Hz),3.97(1H,dd,J=7.0Hz,11.3Hz),3.73(1H,dd,J=2.7Hz,10.8Hz),3.48(1H,dd,J=2.2Hz,10.9Hz),2.60(2H,t,J=7.8Hz),2.35(2H,t,J=7.7Hz),2.10(3H,s),2.005(3H,s),1.996(3H,s),1.94(3H,s),1.89−1.93(2H,m),1.59−1.76(4H,m),1.19−1.43(30H,m),0.87(3H,t,J=7.0Hz).13CNMR(150MHz,CDCl):172.99,170.60,170.38,170.23,170.16,166.52,165.03,142.80,133.47,133.07,129.87,129.76,129.61,129.30,128.61,128.36,128.31,128.18,125.52,97.24,74.16,71.35,67.93,67.52,67.29,67.12,66.70,61.77,48.15,36.71,35.92,31.89,31.47,29.66,29.63,29.60,29.56,29.53,29.34,29.30,29.26,29.23,29.19,27.80,25.72,25.67,22.66,20.67,20.63,20.58,20.49,14.11.HRMS(ESI−TOF)C6084NO15[M+H]に対する計算値1058.5835,実測値1058.5819.
【化90】

【0290】
:収量14mg(79%).HNMR(500MHz,CDCl−MeOH4:1)δ:7.25−7.29(2H,m),7.15−7.18(3H,m),4.91(1H,d,J=3.8Hz),4.17−4.22(1H,m),3.94(1H,d,J=3.2Hz),3.87(1H,d,J=4.7Hz),3.67−3.81(6H,m),3.51−3.56(2H,m),2.60(2H,t,J=7.7Hz),2.19(2H,t,J=7.7Hz),1.49−1.70(6H,m),1.20−1.41(30H,m),0.88(3H,t,J=7.0Hz).13CNMR(125MHz,CDCl−MeOH4:1):174.18,142.54,128.11,127.97,125.34,99.49,74.64,71.86,70.48,70.05,69.54,68.71,67.28,61.71,50.17,36.28,36.23,35.67,32.47,31.67,31.24,29.54,29.49,29.47,29.41,29.11,29.04,29.01,28.92,25.60,25.57,22.42,13.76.HRMS(ESI−TOF)C3868NO[M+H]に対する計算値682.4888,実測値682.4880.
【0291】
一般に、フィトスフィンゴシン骨格は、Savage及び共同研究者により記述された方法の修正方法により構築した[R.D.Goff,et al.J.Am.Chem.Soc.,2004,126,13602−13603]。GarnerアルデヒドAを、Berovaの方法に従い臭化ホスホニウムBから調整したウィッティッヒ試薬とカップリングさせて[O.Shirota,et al.,Tetrahedron,1999,55,13643−13658]、シスオレフィンBを収率66%で得た。オレフィンBを四酸化オスミウムと処理して、対応するジオールC及びその望ましくない異性体を得た。ジオールCの2つのヒドロキシル基をベンゾイル基で保護し、次いでイソプロピリデン基を連続的TFA処理により除去し、そのあと無水Bocで保護して、フィトスフィンゴシンアクセプターDを3工程にわたる収率67%で得た。
【0292】
BF・OEt存在下にフィトスフィンゴシンアクセプターD及び供与体dのグリコシル化により、大部分がα立体配置の生成物を得た。より多様な化合物のセットへの接近可能性を保証するために、最終脱保護工程としての水素化を回避した。ガラクトース保護基を除去し、次いでアセテートで保護して、重要な中間体Eを3工程にわたる収率33%で得た。
【0293】
化合物EをTFAで脱保護して、脱保護したアミンを得た。次いで様々な脂肪酸鎖類似体をアミンにカップリングさせて、アセチル基の除去後、Rを得た。
【実施例8】
【0294】
《マウスNKT細胞系による糖脂質の認識は、IL−2分泌に帰着する:》
材料及び方法
糖脂質
化合物KRN7000は購入した(Kirin,Japan)。残りの化合物は上に記載したようにして合成した。
【0295】
1.2ハイブリドーマアッセイ
記述されているように、インバリアントVa14iT細胞抗原受容体α鎖を有するCD1d反応性T細胞ハイブリドーマを使用した(Sidobre,S.,et al.(2004)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101,12254−12259)。記述されているように、T細胞ハイブリドーマを、CD1dトランスフェクトA20Bリンパ腫細胞に添加された0.0001〜1μg/mlの表示された糖脂質で刺激した(Elewaut,D.,et al..(2003)J.Exp.Med.198,1133−1146)。T細胞活性化の指標として、16時間培養後ELISAアッセイにより、組織培養培地中へのIL−2及びIFN−γ放出を測定した。
【0296】
ヒトNKT細胞系を用いたインビトロでのサイトカイン分泌アッセイ
Vα24iヒトNKT細胞系によるIL−2分泌を、16時間培養後、ELISA法により測定した(BD Pharmingen,San Diego,CA)。これらのアッセイのために、1x10個のVα24iヒトNKT細胞を、96ウェル平底プレート中、10μg/mlの糖脂質化合物存在下に、4x10個の照射した未成熟なCD14樹状細胞とともに共培養した[Wu et al.PNAS 2005 102:1351]。
【0297】
結果
α−GalCerの脂質部分に修飾を有する糖脂質が化合物の免疫原性に影響するかどうかを試験するために、脂質領域に様々な修飾を有する一連の糖脂質を合成して、アッセイした。
【0298】
細胞融合により固定化したマウスVα14iNKT細胞は、合成糖脂質がT細胞を活性化する能力をアッセイするための便利な方法を提供した。図12に示すように、1μg/mlで使用したときに、多数の化合物(60、61、62、64、65、74、77)が、ハイブリドーマからの著しいIL−2放出を刺激したけれども、KRN7000(α−GalCer)が最大量のIL−2放出を刺激すると思われた。
【0299】
様々な濃度で与えたときの別の一連の化合物のIL−2放出を刺激する能力について評価した(図13)。この場合、これらの化合物のうちのいくつかが、特に末端フェニル置換基を有する化合物が、KRN7000(α−GalCer)に比較して、より大きくIL−2放出を刺激した。
【0300】
最も簡単なベンゾイル類似体58は、わずかばかりの活性を示した。ベンゼン環上への電子供与基(68;4−OCH3、69;4−CH3)又は電子吸引基(70;4−Cl,59;4−CF3)いずれかの導入により、活性が増加した。他のベンゾイル類似体、4−ピリジル80、3−ピリジル71、インドール類似体81並びにビフェニル類似体72、63及び80もまた、同様の傾向を示した。しかしながら、それでもこれらの活性はα−GalCerの約半分にとどまった。
【0301】
ベンジル類似体60、61、69、73及び74は、ベンゾイル類似体と比較して、改良されたIL−2産生を示した。これらの化合物のうち、60、61及び69などのより小さい芳香族基の方が、より大きい芳香族基を有する類似体73、74の活性よりも良好な活性を示した。チオフェン類似体69の活性及びベンゼン類似体60の活性は同等であった。
【0302】
フェニルエチレン類似体62、77、87及び88は、ベンジル類似体と比較して、同等の又は更により強力なIL−2産生を示した。4−CF3類似体87及び4−イソブチル類似体82は、4−OCH3類似体62及び4−F類似体88と比較して、わずかに良好な活性を所有した。フェニル基を3−ピリジル基で置換した86は、IL−2産生が劇的に減少した。これはベンゾイル類似体(58及び71)の傾向に矛盾していた。加えて、スペーサー基としてのトランス二重結合の導入は、飽和類似体(75及び77)と比較してIL−2産生を著しく減少させた。ビフェニル類似体93もまた、活性減少を示した。ピペリジニルエチル類似体91のような塩基性官能基の導入は、サイトカイン産生の著しい減少を示した。この結果は、結合ポケット中での塩基性アミン部分と疎水性残基との間の反発のためである可能性がある。4−フルオロフェノキシメチル類似体65は、対応する炭素類似体88と同様の活性を与えた。それに対して、2,6−ジメチル置換類似体66は活性減少を示した。これは、結合ポケットが、かさばった置換基を受け入れるのに十分大きくはないことを示唆している。それぞれ4−ビフェニルメチル基、2,2−ジフェニルメチル基及び9−フルオレニル基のようなかさばった置換基を有する化合物72、89及び90では、同様の結果が観察された。
【0303】
スペーサー鎖長の更なる伸長は、これらの条件下で最善の結果を与えた。3−フェニルプロピル類似体82の活性は適度であった。しかしながら、5−フェニルペンチル類似体83、7−フェニルヘプチル類似体84及び10−フェニルオクチル類似体85はすべて、IL−2産生の著しい増加を示した。化合物83〜85はα−GalCerよりもはるかに強力であった。
【実施例9】
【0304】
《ヒトNKT細胞系による糖脂質の認識はNKT細胞のIFN−γ及びIL−4分泌に帰着する》
材料及び方法
Vα24iヒトNKT細胞系の発生
Vα24iT細胞受容体及びCD161を発現するヒトNKT細胞系は、次のようにして発生させた:抗CD161モノクローナル抗体、及び抗CD14モノクローナル抗体それぞれを磁性ビーズに結合し(Miltenyi biotec,Auburn,CA)、順次に使用して、ロイコパック(leukopaks)からCD161細胞及びCD14細胞を単離した。CD14細胞から、300U/mlのGM−CSF(R&D systems,Minneapolis,MN)及び100U/mlのIL−4(R&D systems,Minneapolis,MN)存在下に、2日間インキュベートした後、未成熟樹状細胞を発生させた。2000ラドを照射後、未成熟樹状細胞を、同系のCD161細胞とともに、100〜0.1ng/mlのα−ガラクトシルセラミド及び10IU/mlのIL−2(Invitrogen,Carlsbad CA)存在下に、10〜14日間共培養した。α−ガラクトシルセラミドをパルスして、照射した未成熟樹状細胞とともに、CD161細胞を2度目に刺激した後、NKT細胞系は、フローサイトメトリーにより、CD161及びV24iTCRの両方(99%純度)を発現することを示した。
【0305】
いくつかの例で、Hela細胞を、ヒトCD1dコンストラクションでトランスフェクトし[Xing et al.2005.Bioorg Med Chem 13:2907]、それぞれの化合物を表示された濃度でパルスすることにより、NKT細胞系に対し糖脂質を提示するために使用した。
【0306】
Vα24iヒトNKT細胞系によるIFN−γ分泌は、16時間培養後にELISA法(BD Pharmingen,San Diego,CA)により測定した。これらのアッセイに対して、1x10個のVα24iヒトNKT細胞を、96ウェル平底プレート中、10μg/mlの糖脂質化合物存在下に、4x10個の照射した未成熟CD14d樹状細胞とともに共培養した。
【0307】
結果
10、1及び0.1μg/mlのそれぞれの糖脂質並びに10IU/mlのIL−2(図14、15及び16)存在下に、照射した同系のCD14樹状細胞で刺激した後、Vα24iNKT細胞系からのIFN−γ分泌を評価した。
【0308】
糖脂質化合物の多くによるNKT細胞の刺激では、陰性対照に比較して、かなり多くのIFN−γ分泌という結果を得た。そしていくつかの特定の化合物が、α−GalCerに比べて、更により大きなIFN−γ分泌を与えた。
【0309】
図17及び18に示すように、別の糖脂質化合物を製造して、濃度100〜0.1ng/mLで、α−GalCerに比べて、CD14DCsによる糖脂質提示に対する応答におけるヒトNKT細胞によるインターフェロンγ分泌について評価した。これらの図において、化合物83、84及び85は、評価したすべての用量で、KRN及び他の化合物に比べて一貫してより大きいIFN−γ分泌を刺激した。
【0310】
ヒトCD1dを発現するHela細胞はまた、ヒトNKT細胞への糖脂質の提示において有効であり、NKT細胞IFN−γ分泌の点で類似したプロファイルを有していた(図19)。
【0311】
IFN−g分泌の刺激に有効な化合物は、IL−4分泌をも刺激することが見出された(図20)。
【0312】
アルキル鎖がより長い類似体83〜85は、IFN−γ産生及びIL−4産生の両方に対して、アルキル鎖がより短い類似体よりも強力であった。7−フェニルヘプチル類似体83は、高いIFN−γ/IL−4活性比を示し、これらの化合物のうちで最良の化合物であった。しかしながら、化合物73及び77は、IL−4産生に対してより選択的であるのに対して、82はIFN−γ産生に対して特異的である。
【実施例10】
【0313】
《糖脂質認識に対する可能な構造的基礎》
最近の糖脂質−CD1dタンパク質結晶構造は、脂肪族アシル鎖類似体を含む本化合物のフェニル基と相互作用をすることができる可能性のある様々な芳香族残基、Tyr73、Phe114、Phe70及びTrp114の存在を明らかにした。これらの結晶構造によれば、スペーサー鎖を有しないベンゾイル類似体8〜14は、あまり短かすぎてこれらの芳香族残基と相互作用することができないと思われた。フェニル類似体とヒトCD1dとの間の相互作用を更に調べるために、オートドック(Autodock)3.0[G.M.Morris,et al.,J.Comp.Chem.,1998,19,1639−1662]を用いて、hCD1d疎水性溝中のこれらの化合物の結合をモデル化した(図21)。化合物40〜42は、個別にドッキングさせた。その結果はhCD1dに結合したα−GalCerの結晶構造と著しくは異ならなかった[M.Koch,et al.,Nat.Immunol.,2005,6,819−826]。各例において、フィトスフィンゴシン末端は、F’ポケット中に伸長し、A’ポケットは脂肪族アシル鎖により占有され、ガラクトースのヘッドグループがほとんどすべて同じ立体配置で提示された状態にあった。しかしながら、α−GalCer類似体への末端フェニル基の導入は、化合物40、41とフェノール環Tyr73との間及び42とTrp40との間の更なる特異的相互作用を促進すると思われた。
【0314】
ビフェニル類似体16〜18及びシンナモイル類似体30、32は、曲げやすい脂肪族アシル鎖を欠き、何らかの特異的相互作用をするのに十分なほど深くA’ポケット中に伸長することができなかった可能性がある。ベンジル類似体19〜22、フェニルエチレン類似体24〜28、及び4−フルオロフェノキシメチル類似体34などのスペーサー鎖長の伸長は、恐らく芳香族側鎖Tyr73とのπ−π相互作用により強固に結合することを可能にした。ペンタメチレン類似体83、ヘプタメチレン類似体84及びデカメチレン類似体85などのスペーサー鎖長の更なる伸長は、より強固な結合に、より適していた。これらの結果は、π−π相互作用の導入が、恐らくより強固なリガンド−CD1dタンパク質複合体の形成を介して、IL−2産生を増強するということを示唆する。
【0315】
芳香族基を有するこれらの脂肪族アシル鎖類似体は、対応する簡単な脂肪族アシル鎖類似体よりも強力な活性を所有すると思われた。それぞれ5、7、10個の炭素スペーサー鎖を有する化合物83〜85は、C26脂肪族アシル鎖を有するα−GalCerとともに、他の基のそれよりもより強力なIL−2産生を示した。これらの結果は、脂肪族アシル鎖上への末端芳香族基の導入が、CD1dタンパク質の疎水性ポケット中の芳香族残基と脂質末端との間の相互作用を通して活性増強を引き起こすことを示唆する。
【0316】
本発明が上記本明細書に詳細に示し記載したことにより限定されないということは当業者により理解されるであろう。むしろ、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲により定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1:
【化1】

(式中、
R=COOR又はCHOR
=H又はアルキル基;
=H又はSO
=H又はOH;
’=H又はOH;
=H、不飽和又は飽和アルキル基;
’=H、不飽和又は飽和アルキル基;及び
=OH、アセトアミド基又はハロゲン原子であり、
但し、R=CHOR、R=H、RがOHであり、且つR’がHである場合は、R=アキシアル位にあるアセトアミド基、ハロゲン原子若しくはOH、又は、R=H、9個以下の炭素原子を有する不飽和若しくは飽和アルキル鎖、又はR’=H、20個以下の炭素原子を有する不飽和若しくは飽和アルキル鎖)
の構造によって表される化合物;
又は薬学的に許容可能なその塩。
【請求項2】
式2:
【化2】

(式中、
R=COOR又はCHOR
=H又はアルキル基;
=H又はSO
=H又はOH;
’=H又はOH;及び
=H、不飽和又は飽和アルキル基;
及び
’=H、不飽和又は飽和アルキル基であり、
但し、R=CHOR、R=H、RがOHであり、且つR’がHである場合は、R=H、9個以下の炭素原子を有する不飽和若しくは飽和アルキル鎖、又はR’=H、20個以下の炭素原子を有する不飽和若しくは飽和アルキル鎖)
の構造によって表される、請求項1に記載の化合物;
又は薬学的に許容可能なその塩。
【請求項3】
式3:
【化3】

(式中、
R=COOR又はCHOR
=H又はアルキル基;
=SO
n=整数)
の構造によって表される、請求項2に記載の化合物;
又は薬学的に許容可能なその塩。
【請求項4】
式4:
【化4】

によって表される、請求項3に記載の化合物;
又は薬学的に許容可能なその塩。
【請求項5】
塩がナトリウム塩である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
式5:
【化5】

の構造によって表される、請求項2に記載の化合物。
【請求項7】
式6:
【化6】

の構造によって表される、請求項2に記載の化合物。
【請求項8】
式7:
【化7】


の構造によって表される、請求項2に記載の化合物。
【請求項9】
請式8:
【化8】

の構造によって表される化合物。
【請求項10】
式9:
【化9】

(式中、
R=COOR又はCHOR
=H又はアルキル基;
=H又はSO
=OH;
’=H又はOH;及び
=H、不飽和又は飽和アルキル基;
及び
’=H、不飽和又は飽和アルキル基であり、
但し、R=CHOR、R=H、且つR’がHである場合は、R=H、9個以下の炭素原子を有する不飽和若しくは飽和アルキル鎖、又は、R’=H、20個以下の炭素原子を有する不飽和若しくは飽和アルキル鎖)
の構造によって表される、請求項1に記載の化合物;
又は薬学的に許容可能なその塩。
【請求項11】
式10:
【化10】

によって表される、請求項10に記載の化合物;又は薬学的に許容可能なその塩。
【請求項12】
塩がナトリウム塩である、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
NKT(ナチュラルキラーT)細胞に対するリガンドであり、且つCD1分子との複合体中にある、請求項1のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
請求項1に記載の化合物を含む、組成物又はワクチン。
【請求項15】
少なくとも1種の細胞集団を更に含む、請求項14に記載の組成物又はワクチン。
【請求項16】
前記細胞集団が、NKT細胞、抗原提示細胞、又はそれらの組み合わせを含む、請求項14に記載の組成物又はワクチン。
【請求項17】
式11:
【化11】

(式中、R=COOR又はCHOR
=H又はアルキル基;
=H又はSO
=H又はOH;
=H、不飽和又は飽和アルキル基;
=OH、アセトアミド基、又はハロゲン原子;及び
=X−A
A=
ジアルキルフェニル基;
【化12】

X=アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、置換したフラン基、又は非置換のフラン基;
Y=N又はC
R7=ハロゲン原子、H、フェニル基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基又はCF3;及び
R8=メチル基又はH)
の構造によって表される化合物、
又は薬学的に許容可能なその塩。
【請求項18】
式12:
【化13】

の構造によって表される、請求項17に記載の化合物;又は薬学的に許容可能なその塩。
【請求項19】
式13:
【化14】

の構造によって表される、請求項18に記載の化合物;又は薬学的に許容可能なその塩。
【請求項20】
式14:
【化15】

の構造によって表される、請求項19に記載の化合物;又は薬学的に許容可能なその塩。
【請求項21】
塩がナトリウム塩である、請求項17に記載の化合物。
【請求項22】
式15:
【化16】

の構造によって表される、請求項17に記載の化合物。
【請求項23】
式16:
【化17】

の構造によって表される、請求項17に記載の化合物。
【請求項24】
NKT(ナチュラルキラーT)細胞に対するリガンドであり、且つCD1分子との複合体中にある、請求項17に記載の化合物。
【請求項25】
請求項17に記載の化合物を含む、組成物又はワクチン。
【請求項26】
少なくとも1種の細胞集団を更に含む、請求項25に記載の組成物又はワクチン。
【請求項27】
前記細胞集団が、NKT細胞、抗原提示細胞、又はそれらの組み合わせを含む、請求項26に記載の組成物又はワクチン。
【請求項28】
NKT細胞を請求項1又は17に記載の化合物と接触させることを含む、NKT細胞を刺激する方法。
【請求項29】
前記化合物がCD1分子との複合体中にある、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記CD1分子がCD1dである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記複合体が樹状細胞上に表示される、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
請求項28に記載の方法によって得られる、単離したNKT細胞集団。
【請求項33】
前記対象の中でNKT細胞を請求項1又は17に記載の化合物と接触させることを含む、対象の免疫応答を刺激、阻害、抑制又は調節する方法。
【請求項34】
前記化合物がCD1分子との複合体中にある、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記CD1分子がCD1dである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記複合体が樹状細胞上に表示される、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記NKT細胞がサイトカインを分泌する、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記NKT細胞がヒトのVα24iNKT細胞である、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記対象が免疫無防備状態である、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
前記対象が感染している、請求項33に記載の方法。
【請求項41】
前記対象が癌で苦しむか又は癌の危険度の高い状態にある、請求項33の方法。
【請求項42】
前記対象が前癌前駆細胞を有する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記対象が自己免疫疾患に罹っているか又はその危険度の高い状態にある、請求項33に記載の方法。
【請求項44】
前記対象が不適切な又は望ましくない免疫応答を有する、請求項33に記載の方法。
【請求項45】
前記の不適切な又は望ましくない応答が、前記対象の感染症、疾患又は症状を悪化させる、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
請求項1又は17に記載の化合物を含むアジュバント。
【請求項47】
対象の中で化合物、組成物、又はワクチンの免疫原性を増強する方法であって、請求項46に記載のアジュバントを更に含む化合物、組成物又はワクチンを、前記対象に投与することを含み、そこで前記アジュバントが前記化合物、組成物又はワクチンの免疫原性を増強する、前記方法。
【請求項48】
対象のサイトカイン産生を刺激又は増強する方法であって、請求項1又は17のいずれか一項に記載の化合物を前記対象に投与することを含み、それにより前記対象の中でNKT細胞が前記化合物と接触してサイトカインを分泌する、前記方法。
【請求項49】
前記サイトカインが、インターフェロンγ又はインターロイキン4である、請求項48に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9a】
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【図9b】
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【図9c】
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【図9d】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20a】
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【図20b】
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【図21】
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【公表番号】特表2008−525495(P2008−525495A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548576(P2007−548576)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/047017
【国際公開番号】WO2006/071848
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(507207007)ザ ロックフェラー ユニバーシティ (1)
【氏名又は名称原語表記】THE ROCKEFELLER UNIVERSITY
【出願人】(593052785)ザ スクリップス リサーチ インスティテュート (91)
【Fターム(参考)】