説明

NSAIDとパラセタモールを含んだ組成物

非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)及びパラセタモールを含んだ、多くの固化した溶融物の粒子を含む粒状組成物を製造する方法であって、以下の工程を含む方法:
(a)溶融したNSAID遊離酸とパラセタモールを、任意で1以上の賦形剤と共に混合することによって、溶融混合物を形成する工程;及び
(b)溶融混合物を固化した溶融物の粒子に形成する工程。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、非ステロイド系抗炎症薬を含んだ組成物、その調製方法、及びその使用に関する。
非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)は、広く使用される種類の薬物である。これらは明確に定義された群の化合物であり、フェニルプロピオン酸、例えばイブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン及びフルルビプロフェンを含む。これらは主に、1以上の痛み、炎症及び発熱、例えば関節リウマチ、強直性脊椎炎、変形性関節炎、術後疼痛、産後の疼痛及び軟組織の損傷の治療に対して使用される。
NSAIDは一般的に酸性であり、実質的に不溶性の医薬品である。これらは、錠剤形態の経口医薬組成物として便利に投与される。医薬品として許容される賦形剤を、NSAIDと組み合わせるために選択し、賦形剤はNSAIDと相性が良く、及び共に満足のいく固さを有する錠剤を形成し、及び薬剤を吸収するために使用できるようにするため体内で速やかに薬剤を放出できるものでなければならない。
【0002】
上で定義した疾患に関連した主な問題は、特に痛みの治療におけるNSAIDの作用の開始を改良することである。製剤の速やかな崩壊が、医薬品を体内へすみやかに放出し、標準的な投与形態と比較してより速やかな治療作用を開始すると考えられる。従って、消化管で速やかに崩壊することに適合した、経口投与のための固形の投与形態をもたらすことが望まれる。しかしながら、NSAIDの多くが酸性の医薬品であり、従って吸収が、胃の中の酸性の条件下で問題となり得る。更に、文献が速やかな崩壊に適合した多くの製剤を提案してきたが、重要な問題がイブプロフェン及び他のNSAIDで生じ、それはそれらを比較的高い投与量、例えば投与単位当たり最大で800mgで投与する必要があるためである。従って、投与形態を錠剤とするために有用である賦形剤、及び更に速やかに崩壊することを確実にするために有用である賦形剤と共に、NSAIDを含んだ投与形態を提供するが、患者が飲み込むには大きすぎる又は標準的なラージスケールの製造方法に従って製造できない錠剤を提供することがないことが、問題として存在している。更に、固形の投与単位は、製造方法の苛酷さ(例えば、多孔回転ドラムにおけるフィルムコーティング及び充填等の工程で遭遇するもの)に耐えることができる十分な固さでなければならないが、製剤からの医薬品の速やかな放出を確実にするための適切な崩壊特性、及び適切な溶解特性も有しなければならない。克服しなければならない他の顕著な問題は、組成物が、打錠機のパンチに粘着することがなく、標準的な打錠機を用いて圧縮できることを確実にすることである。
【0003】
欧州特許出願第362728号(1990)は、容易に流動しかつ直接の錠剤化に関する改良された貯蔵及び処方特性を有したイブプロフェン粉末を得るための方法に関する。溶融したイブプロフェンを硬化させることは極端に難しく、それは約74.8℃で凝固する溶融したイブプロフェンは、その冷却に従って油状かつ粘性になり、過度に冷却される傾向があり、及び非常にゆっくり冷却する場合のみ、結晶状態に変化できるためである。EP362728によれば、イブプロフェン粒子を、シーディング(seeding)を用いて、接触冷却器(例えばローラー又は冷却ベルト)上で溶融したイブプロフェンを0-50℃で固化させる工程、次いで破砕する工程を介して得ることが提案される。接触冷却機上で凝固する溶融層を被覆することにより、シーディングを行うことができることを述べる。シード(seed)を粒子形態でローラーに加え又は溶融した生成物に組み入れることができる。溶融したイブプロフェンを調製するためのいかなる方法も、イブプロフェン粒子を製造するために使用できるが、その方法は、ドイツ特許出願第3802619号によるイブプロフェンの調製を介して得られた、溶融したイブプロフェン生成物に対して特に適切な方法である。その方法により生成したイブプロフェン粉末が、錠剤化の前に大量の付加的な賦形剤と混合することを要求することが、単一の実施例により示される。
【0004】
欧州特許出願第686392号(1995)は、低い融点を有する活性化合物を溶融押し出しする工程を含んだ、直接錠剤化できる粒子を製造するための熱プロセス、及び錠剤化できる粒子を与えるために細かく砕かれる均一で凝集しない押し出し物を得るための、上昇した温度で必要な錠剤補助剤に関する。押し出し機の混合及び混練により、混合物はコンパクトにされて、活性化合物の一部が溶融する温度で押し出し物を与える。押し出し物を、0.3-2.0mmの直径の細いストランドを得るために多孔板を介して押しつけ、冷却後に細かく砕いて所望の粒子径の粒子にする。結果得られた粒子は、滑剤のみを要求して、すぐに錠剤化できる。結果として、活性剤は、活性剤の固化した溶融物の中で、未溶融の結晶として存在する。その方法を用いて、全ての補助剤、例えば結合剤、崩壊補助剤、フィラー及び他の補助剤を、粒子に直接導入できることが述べられた。
【0005】
この関係において、The Boots Company PLCによるWO01/41733号は、崩壊剤が溶融したNSAIDに取り込まれ及び共に密接に合わせられ、次いで冷却し及び粉砕して粒子を製造する場合、最小量の錠剤化賦形剤を用いて錠剤化でき、かつ二酸化ケイ素がその中に取り込まれる場合有利な錠剤化、崩壊及び溶解特性を有することができる組成物が提供されることを開示する。この方法は、WO02/098391に開示されるように、十分に改良された。NSAIDは、溶融押し出し法において均一な押し出し物として形成された。好ましい冷却及び方法条件が記載される。
上記全ての方法は、唯一の主な治療剤としてNSAIDを含んだ錠剤化組成物の製造に関する。他の薬剤の存在が除かれていない一方で、その発明者らは全て主にNSAIDの製造に関している。
更に鎮痛活性剤をNSAIDに加えて含んだ医薬組成物、すなわち組み合わせた生成物を提供することが望まれるであろう。NSAIDと組み合わされてきたそのような鎮痛剤の一つは、鎮痛(痛みの軽減)及び解熱(熱の緩和)特性を表すが、本質的には抗炎症活性を表さないアセトアミノフェン(パラセタモールとしても知られる)である。このような生成物は、数ある中でも、痛み及び発熱、すなわち頭痛、筋肉及び関節痛、背中の痛み、せき、風邪及び流感の治療に対して極めて有効である。しかしながら、パラセタモールを含んだ経口投与形態(すなわち錠剤)の提供に関係したさらなる問題が存在する。
【0006】
特に、パラセタモールは、細かく柔らかい粉末であり、例えば、直接圧縮して錠剤にするためには適していない。従って、圧縮して固形の投与形態にする前に、パラセタモールを前処理することが必要である。典型的には、パラセタモールを、湿式増粒法にかけて、パラセタモールを粒状形態にし、次いで付加的な錠剤化賦形剤と混合して、結果得られた混合物を圧縮して錠剤を形成する。代わりに、典型的に前処理工程にかけられるパラセタモールの直接圧縮形態が、専門的な供給者から得られても良い。これら前処理の要求は、典型的には、パラセタモールの固形の投与形態を製造するための方法に関連した複雑さ及びコストを増加させる。更に、パラセタモールは、典型的には、比較的高い投与量、例えば投与単位当たり最大で500mg投与される。従って、投与形態を錠剤とするために有用である賦形剤、及び速やかな崩壊を確実にするために有用な賦形剤と共にパラセタモールを含む投与形態を提供するが、患者が飲み込むために大きすぎ又は標準的なラージスケールの製造プロセスにより製造できない錠剤を提供することがないことが、問題として存在する。適切には、この問題は、パラセタモールが、比較的高い投与量で投与されるであろう他の医薬品活性剤(すなわち、NSAID)と合わせられる場合、典型的に増幅する。
【0007】
本発明は、前記不利な点の少なくともいくらかを克服する、パラセタモールとNSAIDの両方を含んだ組成物の製造方法の提供を追求する。特に、本発明は、最小量の錠剤化賦形剤と共に錠剤化でき、かつ有利な錠剤化、崩壊及び溶解特性を有することができる組成物を提供することを追求する。
本発明者らは、溶融したNSAIDとその中に含まれるパラセタモールを含んだ混合物を固化し及び粒子にする場合、その粒子が典型的に、改良された流動特性、改良された圧縮性を示し、及び典型的に有利な崩壊及び溶解特性を示す錠剤に直接形成できることを見出した。
【0008】
従って、第一の側面により、本発明は、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)とパラセタモールを含んだ、多くの固化した溶融物の粒子を含んだ粒状組成物を製造する方法を提供し、その方法は以下の工程を含む:
(a)溶融したNSAID遊離酸とパラセタモールを、任意に1以上の賦形剤と共に混合することで、溶融混合物を形成する工程;及び
(b)溶融混合物を固化した溶融物の粒子にする工程。
このような方法は、本発明の方法として、以下に説明されるであろう。
【0009】
好ましくは、本発明の方法の工程(a)は、溶融押し出し機で行われる。好ましくは、工程(b)において、溶融混合物を冷却して、固化した溶融物を形成し、及びその固化した溶融物は、多くの固化した溶融物粒子にする。多くの固化した溶融物の粒子は、固化した溶融物を細かく砕くことで形成して良い。
意外にも、本発明の方法により得ることができる粒状組成物は、典型的に、改良された流動特性を示し、処理されていないパラセタモールとは異なり容易に圧縮可能である。適切には、粒状組成物は、最小量の錠剤化賦形剤を用いて、直接圧縮して錠剤にして良い。適切には、粒状組成物から形成する錠剤は、典型的に、パラセタモールとイブプロフェンのドライブレンドから形成した、より柔らかい錠剤と比べて増強した固さを示す。粒状組成物から形成した錠剤は、製造プロセス、すなわちフィルムコーティングのさらなる苛酷さに耐えるほど十分に硬い。好都合なことに、粒状組成物は固形の投与形態に処方するために適しており、それは粒状組成物が容易に圧縮できかつ打錠機のパンチに粘着する傾向が無いためである。適切には、本発明の方法により得ることができる粒状組成物に適用する圧縮プロセスの処理能力は、処理されていないパラセタモールとNSAIDのブレンドの適用と比べて、十分に増強される。更に、典型的には、本発明の方法においてパラセタモールを前処理(すなわち、その流動性を向上するための粒子化プロセスを適用)すること、又はパラセタモールに直接の圧縮形態を適用することを必要とせず、パラセタモールは、前処理することなく、大量生産方法で直接得られるであろう。適切には、本発明の方法は、全体コストを削減することを許容し、NSAIDとパラセタモールを含んだ固形の投与形態を製造するための、より複雑でない製造方法を提供するであろう。
【0010】
本発明の方法により得ることができる粒状組成物のさらなる利点は、投与形態、特に経口投与のための固形の投与形態を調製するために必要とされる付加的な錠剤化賦形剤が比較的少量となることであり、結果として、比較的高い濃度でNSAIDとパラセタモールを含んだ、より小さな投与形態を製造できることであり、それにより患者の薬剤服用遵守を増強する。
意外にも、本発明の方法から得ることができる粒状組成物から調製される医薬組成物、特に経口投与のための固形の投与形態は、価値ある崩壊特性を有することを見出した。更に、このような医薬組成物の結果得られる溶解は、典型的に、比較的短い時間の後に、水性媒体中に溶解された予想外に高いレベルのNSAIDとパラセタモールを示す。
【0011】
従って、本発明の方法は、典型的には、NSAIDとパラセタモールの処理における利点、改良した患者の薬剤服用順守、所望の崩壊及び溶解特性を有する固形の投与形態の向上した固さ、並びにNSAIDとパラセタモールから形成される錠剤のより低い全体コストを与える。
本発明の方法において、NSAID遊離酸を溶融する。結果、本明細書で使用するものとして、用語“溶融”及び“溶融した”は、NSAID遊離酸が、粒状組成物を形成する間、完全に又は少なくとも部分的に溶融されなければならないことを意味する。好ましくは、NSAID遊離酸を、粒状組成物を調製する間、完全に溶融する。
用語“NSAID遊離酸”により、本発明者らは、NSAIDが例えば塩の形成により誘導体化されない酸性基を含むことを意味する。結果、用語“NSAID遊離酸”は、それ自体が誘導体化されていないカルボン酸基を含んだNSAID(例えばプロピオン酸)及び/又は誘導体化されていない酸性のエノール基を含んだNSAID(例えばオキシカム)を含む。遊離酸の形態にあるNSAIDが、塩の形態にある同じNSAIDと物理的及び化学的に区別されることが、当業者により理解されるであろう。適切には、NSAID塩のみを溶融することにより(すなわち、いかなるNSAID遊離酸も溶融しないことにより)形成した溶融混合物は、本発明の方法に含まれない。好ましくは、溶融混合物を、NSAID遊離塩のみを溶融することにより形成する。適切には、本発明の方法により得られる溶融物の粒子は、実質的にNSAID塩を含まない。
【0012】
本発明は、種々のNSAID、特にCox-1を好ましく阻害するNSAIDを含んだ粒状成分の形成を許容する。
Cox-1を好ましく阻害するNSAIDの適切な種類は、以下のカテゴリーから選択して良い:
(1)プロピオン酸;
(2)酢酸;
(3)フェナム酸;
(4)ビフェニルカルボン酸;
(5)オキシカム。
【0013】
本発明で使用するために適切であるプロピオン酸は、イブプロフェン、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、フェンブフェン、ケトプロフェン、インドプロフェン、ピルプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラポプロフェン、ミロプロフェン、チオキサプロフェン、スプロフェン、アルミノプロフェン、チアプロフェン酸、フルプロフェン及びブクロキシ酸を含むが、これらに限定されない。プロピオン酸群の好ましい構成は、イブプロフェン、ナプロキセン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェン及びフェンブフェン、とりわけイブプロフェンを含む。
本発明で使用するために適切な酢酸は、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、ゾメピラック、ジクロフェナク、フェンクロフェナク、アルクロフェナク、イブフェナク、イソキセパク、フロフェナク、チオピナク、ジドメタシン、アセメタシン、フェンチアザク、クリダナク及びオキシピナクを含むが、これらに限定されない。酢酸群の好ましい構成は、トルメチンナトリウム、ゾメピナクナトリウム、スリンダク及びインドメタシンを含む。
【0014】
本発明で使用するためのフェナム酸は、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルミン酸及びトルフェナム酸を含むが、これらに限定されない。フェナム酸群の好ましい構成は、メフェナム酸及びメクロフェナム酸を含む。
本発明で使用するためのビフェニルカルボン酸は、ジフルニサル及びフルフェニサルを含むが、これらに限定されない。
本発明で使用するためのオキシカムは、メロキシカム、ピロキシカム、スドキシカム、イソキシカムを含むが、これらに限定されない。この群の好ましい構成は、ピロキシカム及びメロキシカムを含む。
【0015】
適切には、本発明で使用するためのNSAIDは、典型的には異性を示す。適切には、NSAIDの、ラセミ混合物を含んだ、全ての立体異性体、ジアステレオ異性体、エナンチオマー及びこれらの混合物が、本発明の範囲に含まれる。
本発明の方法における使用に対してより好ましい種類のNSAIDは、プロピオン酸、特に2-アリールプロピオン酸、とりわけ2-フェニルプロピオン酸である。
より好ましいプロピオン酸は、ナプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン及びケトプロフェン、特にこれらのラセミ混合物及びS(+)-エナンチオマーを含む。より好ましい2-アリールプロピオン酸は、フルルビプロフェン及びイブプロフェン、特にこれらのラセミ混合物及びS(+)-エナンチオマーを含む。さらにより好ましい2-アリールプロピオン酸は、ラセミ体のフルルビプロフェン及びラセミ体のイブプロフェン、とりわけラセミ体のイブプロフェンを含む。
【0016】
本発明の使用に対して好ましいNSAIDは、比較的低い融点を有し、それにより溶融プロセスは、大量のエネルギーを使用せず、従って製造コストを削減する。上記のように、好ましい種類の化合物は、一般的に実質的に不溶性であり及び乏しい味の特性を有する2-アリールプロピオン酸である。従って、低融点のNSAIDの典型的な融点は、30から300℃の範囲内になる。好ましいNSAIDは、30-200℃(例えばラセミ体のナプロキセン、融点156℃)、より好ましくは30-160℃、さらに好ましくは40-120℃(例えばラセミ体のフルルビプロフェン、融点114℃)、最も好ましくは40-100℃(例えばラセミ体のイブプロフェン(融点75-77℃)、S(+)-イブプロフェン(融点52-54℃)及びラセミ体のケトプロフェン(融点96℃))の範囲の融点を有する。好ましい低融点のNSAIDは、ナプロキセン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェンである。好ましくは、NSAIDは、そのラセミ体混合物又はエナンチオマー(とりわけS(+)-エナンチオマー)の形態にある。
本発明は、とりわけ、イブプロフェン薬物に適合する。用語“イブプロフェン薬物”は、好ましくは、ラセミ体のイブプロフェン、及びS(+)-イブプロフェンを含む。最も有利な結果物は、乏しい溶解特性と合わせて高い投与量を有する、その遊離酸形態にあるラセミ体のイブプロフェンを用いて得られる。
【0017】
適切には、粒状組成物及び溶融物の粒子は、本明細書で定義する1以上の異なったNSAIDを含んで良い。しかしながら、好ましくは、粒状組成物及び溶融物の粒子は、単一のNSAIDを含む。最も好ましくは、粒状組成物及び溶融物の粒子は、単一のエナンチオマーの形態にある単一のNSAID又はラセミ混合物としての、すなわちS(+)-イブプロフェンのみ又はラセミ体のイブプロフェンのみを含む。更に、以後記載するように、粒状組成物(すなわち溶融物の粒子)又はそれから形成される医薬組成物は、NSAIDとパラセタモールに加えて、1以上のさらなる医薬品活性剤を含んで良い。しかしながら、さらに好ましい粒状組成物(すなわち、溶融物の粒子)又はそれから形成される医薬組成物は、唯一の医薬品活性剤としてNSAIDとパラセタモールを、最も好ましくは本発明書で定義した単一のNSAIDとパラセタモールを含む。
【0018】
適切には、NSAID遊離酸を溶融した場合、液体を形成する。パラセタモールは169から172℃の融点を有し、適用されたNSAID遊離酸及び方法の操作条件に依存し、パラセタモールは、粒状組成物を形成する間、部分的又は完全に溶融して良い。好ましくは、パラセタモールは本質的に、粒状組成物を形成する間溶融しない。適切には、パラセタモールは、溶融したNSAID遊離酸内で部分的に溶解しても良い;しかしながら、パラセタモールの大部分は、典型的には溶融したNSAID遊離酸の中で分散される。従って、NSAID遊離酸は溶融し、及びパラセタモールとその中に含まれる他の任意の賦形剤を有した溶融相を形成する。溶融したNSAID遊離酸とパラセタモールの冷却において、NSAIDは、典型的には、パラセタモールを包む(enrobes)又は被覆する、連続した結晶タイプの固形相を形成する。固化した溶融物を製粉し、直接圧縮して最小量の錠剤化賦形剤を有する医薬品の投与形態にするために適切である粒子にして良い。すなわち、NSAID遊離酸は、少なくとも一部でその結晶性を失い、及びパラセタモールのキャリアーとして機能する。好ましくは、NSAID遊離酸が完全に溶融した場合、冷却時に溶融したNSAID遊離酸は、単一の連続相、すなわち単一の連続した結晶性固形物相を形成し、すなわちNSAIDの結晶構造は、異なる結晶構造を有するNSAIDに割り込まれない。これは、例えば、NSAIDが部分的にのみ溶融され、溶融したNSAIDの結晶構造が、溶融していないNSAIDにより割り込まれる場合に、ただし固化した溶融NSAIDの結晶構造が、溶融していないNSAIDの結晶構造と異なる(例えば粒子径)ために、NSAIDが単一の結晶構造を有しないことを条件として起こりうる。
【0019】
従って、本明細書で使用するものとして、“固化した溶融物の粒子”は、任意で1以上の錠剤化賦形剤とともに、溶融したNSAID遊離酸とパラセタモールを混合し、NSAIDの融点よりも低い温度まで冷却し、及び固形の塊を粒子にすることにより形成される粒子を意味する。粒状組成物は、多くのこのような粒子を含む。
意外にも、NSAID遊離酸を、粒状組成物の調製の間完全に溶融する場合、次いで粒状組成物から形成された結果得られる医薬組成物(すなわち、固形の投与形態)は、典型的に、NSAID遊離酸を部分的に溶融することにより形成した比較の医薬組成物に比べて、改良した溶解及び溶解性特性を示す。この点において、NSAID遊離酸が完全に溶融した粒状組成物から形成される医薬組成物は、NSAID遊離酸を部分的に溶融した粒状組成物から形成した比較の医薬組成物と比べて比較的短い時間で、水性媒体により高い濃度のNSAIDを放出する。
意外にも、NSAID遊離酸のみが、本発明の方法の工程(a)において溶融する必要があることを見出した。パラセタモールは、典型的には、溶融したNSAID遊離酸中に分散されるが、それ自身は溶融しない。
粒状組成物の改良した流動特性、処理可能性及び溶解特性に関する上記全ての利点は、パラセタモールが溶融しないにもかかわらず、典型的に維持される。便利には、本発明の方法は、パラセタモールが溶融しないような温度(すなわちパラセタモールの融点よりも十分低い温度)で行われ、それにより粒状組成物を形成する間、パラセタモールが分解する可能性を低減し及び/又は防ぐであろう。
【0020】
さらにより驚くべきことに、溶融物の粒子に存在するパラセタモールの質量が、溶融物の粒子に存在するイブプロフェンの質量よりも多い場合でさえ、このような利点が典型的に維持される。特に、溶融したNSAID遊離酸、パラセタモール及びいかなる他の任意の賦形剤を含んだ溶融混合物は、典型的に、必要とされる流動性を有し、これにより混合物は、溶融混合物が比較的少ない割合の溶融相(すなわち、溶融したNSAID遊離酸)を含むにも関わらず、混合物を標準的な技術により処理して溶融物の粒子にしてよい(すなわち、溶融混合物を押し出し機で形成し、次いで後に記載するように、押し出し機を出て冷却ベルト上に流れ出ることを許容しても良い)ことが見出された。意外にも、イブプロフェンよりもより多くの質量のパラセタモールを含んだ溶融物の粒子は、典型的には、処理していないパラセタモールと比べて十分に改良された流動特性及び圧縮特性を示す。従って、粒子を直接圧縮して、最小量の賦形剤を使用した所望の固さを有する錠剤にして良い。これは特に驚くべきであり、それはパラセタモールが乏しい圧縮性の物質であることが知られているためであり、更に、過剰なパラセタモールを含んだ溶融物の粒子は、パラセタモール単独と比べて十分に向上した圧縮性を示す。過剰なパラセタモールを含んだ溶融物の粒子から形成された医薬組成物(すなわち錠剤)は、所望の溶解速度を示し、それにより高いレベルのNSAIDとパラセタモールが、比較的短い時間の後に水性媒体、特に酸性の水性媒体に溶解する。適切には、このような医薬組成物は、それを必要とする患者により飲み込まれた場合、消化管又は胃の酸性の条件下で、高いレベルのNSAIDとパラセタモールを供給するであろう。便利には、これは、パラセタモールとNSAIDの治療作用の開始を増強するであろう。理論に過ぎないが、改良した溶解速度は、溶融物の粒子の物理的な構造によると考えられる。パラセタモールが過剰であることにより、固化した溶融物の粒子は、部分的に被覆され、かつNSAID遊離酸により互いが付着したパラセタモールの粒子を含む。パラセタモールは、酸性の水性条件下で容易に溶解する一方で、NSAID遊離酸は溶解しない。従って、水性条件下において、パラセタモールの粒子が溶解し始め、これら粒子の間のNSAIDの薄い層はバラバラになり、及びこれらの溶解がさらにより迅速に起こる。従って、このような粒状組成物のさらなる利点は、組成物が容易に溶解することである。
【0021】
適切には、このような特性は、イブプロフェンとパラセタモールを組み合わせた治療で高く望まれ、それはパラセタモールは、典型的に、NSAID(すなわち投与単位当たり200mg)と比べて、比較的高い投与量(すなわち投与単位当たり500mg)で投与されるためである。
従って、本発明の好ましい側面によれば、溶融物の粒子の合計質量に基づいて、固化した溶融物の粒子におけるパラセタモールの質量は、固化した溶融物の粒子におけるNSAIDの質量以上である。より好ましくは、溶融物の粒子の合計質量に基づいて、固化した溶融物の粒子におけるパラセタモールの質量は、固化した溶融物の粒子におけるNSAIDの質量より多い。
適切には、粒状組成物の合計質量に基づいて、粒状組成物におけるパラセタモールの質量は、粒状組成物中のNSAIDの質量以上、好ましくはNSAIDの質量より多い。
【0022】
好ましくは、固化した溶融物の粒子におけるパラセタモールとNSAIDの質量比率は、1:1より大きく、より好ましくは1.5:1以上、さらに好ましくは2:1以上である。好ましくは、固化した溶融物の粒子におけるパラセタモールとNSAIDの質量比率は、10:1以下、より好ましくは5:1以下、さらに好ましくは3:1以下である。
固化した溶融物の粒子におけるパラセタモールとNSAIDのとりわけ好ましい質量比率は、2.2:1から2.8:1、特に約2.5:1である。
好ましくは、粒状組成物におけるパラセタモールとNSAIDの質量比率は、1:1より大きく、好ましくは1.5:1以上、さらにより好ましくは2:1以上である。好ましくは、粒状組成物におけるパラセタモールとNSAIDの質量比率は、10:1以下、より好ましくは5:1以下、さらにより好ましくは3:1以下である。
粒状組成物におけるパラセタモールとNSAIDのとりわけ好ましい質量比率は、2.2:1から2.8:1、特に約2.5:1である。
【0023】
好ましくは、パラセタモールは、粒状組成物の合計質量に基づいて粒状組成物の、40質量%以上、より好ましくは45質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、さらにより好ましくは55質量%以上の量で存在する。
好ましくは、パラセタモールは、粒状組成物の合計質量に基づいて粒状組成物の、80質量%以下、より好ましくは75質量%以下、最も好ましくは70質量%以下の量で存在する。
好ましくは、パラセタモールは、固化した溶融物の粒子の合計質量に基づいて固化した溶融物の粒子の、40質量%以上、より好ましくは45質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、さらにより好ましくは55質量%以上の量で存在する。
好ましくは、パラセタモールは、固化した溶融物の粒子の合計質量に基づいた固化した溶融物の粒子の、80質量%以下、より好ましくは75質量%以下、最も好ましくは70質量%以下の量で存在する。
【0024】
好ましくは、NSAIDは、粒状組成物の合計質量に基づいた粒状組成物の、45質量%以下、より好ましくは40質量%以下の量で存在する。
好ましくは、NSAIDは、粒状組成物の合計質量に基づいた粒状組成物の、20質量%以上、より好ましくは25質量%以上の量で存在する。
好ましくは、NSAIDは、固化した溶融物の粒子の合計質量に基づいた固化した溶融物の粒子の、45質量%以下、より好ましくは40質量%以下の量で存在する。
好ましくは、NSAIDは、固化した溶融物の粒子の合計質量に基づいた固化した溶融物の粒子の、20質量%以上、より好ましくは25質量%以上の量で存在する。
【0025】
好ましくは、パラセタモール及び他のいかなる任意の錠剤化賦形剤は、溶融したNSAID遊離酸の中に均一に分散される。従って、均一な混合物が生成する。混合物を、以下に説明する方法により、固形物が生成するまで冷却して良い。混合物は冷却するに従って、より粘性になる。固化した混合物を、次いで粒子にする。
本発明の方法において、溶融物の粒子中に含まれるNSAID遊離酸、パラセタモール及び他の任意の賦形剤は、NSAID遊離酸を溶融する前に、固形の状態で混合して良い。代わりに、溶融物の粒子に含まれるパラセタモール及び/又は他の任意の賦形剤を、溶融したNSAID遊離酸に添加して良い。NSAID遊離酸を溶融する前に、1以上の付加的な成分を、NSAID遊離酸とパラセタモールと混合する方法、及び1以上の付加的な成分を、溶融したNSAID遊離酸とパラセタモールを含む溶融混合物に添加する方法も、本発明の範囲内である。とりわけ好ましい方法は、溶融物の粒子に含ませるNSAID遊離酸、パラセタモール及びいかなる任意の付加的な賦形剤を固形状態で組み合わせる工程、次いでNSAID遊離酸を溶融する工程を含む。溶融工程は、多くの方法、例えばNSAID遊離酸とパラセタモールを適切な容器中で加熱する工程で行っても良いが、好ましくは、溶融工程は、後に詳述するような溶融押し出し法により行う。
【0026】
適切には、溶融混合物は、NSAID遊離酸を溶融する工程、次いでパラセタモール及び任意で1以上の賦形剤を、溶融したNSAID遊離酸に添加する工程により形成して良い。好ましくは、溶融した混合物は、NSAID遊離酸、パラセタモール及び1以上の任意の賦形剤を、乾燥状態で混合する工程、次いでNSAID遊離酸を溶融する工程により形成する。
溶融混合物は、便利であることが分かっているいかなる方法で固化して良い。これは、急冷及び徐例の両方を含む。好ましくは、溶融混合物を、本明細書で記載するように急冷(すなわち急冷)する。典型的には、これは、溶融したNSAIDに、単一の連続した結晶相を形成することを許容する。例えば、溶融混合物は、冷却容器中で冷却しても良い。溶融混合物は、静的(static)又は連続して移動しても良い冷却トレー上に注いでも良い。静的トレーは、冷却キャビネット内に設置して良い。移動するトレーは又はベルトは、付加的な冷却手段、例えば冷却水を備えて良い。冷却した溶融混合物は、固体を形成し、及び連続して移動するベルトの一末端からはがれ落ちるようにベルトから取り外され(scrapped off)又は回収されて良い。
【0027】
NSAIDとパラセタモールの固化した溶融物を、多くの方法により粒子に形成して良い。例えば、粉々にして粒子にして良い。溶融物を製粉し及び/又はふるいにかけて良い。溶融物を、スプレー装置、例えば、溶融した材料を冷たい空気の流れの中にオリフィスからスプレーする噴霧等又はスプレー造粒機を通し、凍結/固化させ、次いで回収して良い。溶融物を押し出した場合、押し出し物を冷却し、次いで便利なサイズの断片に破壊し、次いで製粉し及び/又はふるいにかけてよい。代わりに、押し出し物を、孔を介して押しだし、錠剤化に適切なサイズの粒子に切り刻んで良い。
好ましい側面によれば、粒状組成物は、溶融押し出し法で形成される。このような装置は一般的に使用されており、及び当業者になじみあるものである。本発明で使用するために適切な押し出し機は、WO02/098391で開示され、及びAPV,UK,LtdからモデルナンバーAPMPC40が入手可能である。
【0028】
方法の第一工程において、NSAID遊離酸、パラセタモール及び他のいかなる任意の賦形剤を含んだ組成物は、加熱した押し出し機のバレルに供給される。少なくともNSAID遊離酸は押し出し機中で溶融され、それにより溶融したNSAID遊離酸、パラセタモール及び他の任意の賦形剤を含んだ溶融混合物が形成する。加圧条件下で、NSAID遊離酸は、その通常の融点よりも低い温度で溶融するであろう。最大限の温度は、溶融したNSAID、パラセタモール及びこれと合わせられるいかなるさらなる成分の安定性に従って決定される。NSAID遊離酸を、いかなる都合の良い温度まで加熱しても良い。一般的には、より高い温度でNSAID遊離酸がより迅速に溶融するが、これはNSAID遊離酸を加熱するために必要とされるエネルギー入力とバランスをとらなければならい。最も高い効率のため、NSAID遊離酸が、エネルギーコストを最小限に保つために、その融点より、50℃高い温度以下、好ましくは1-25℃高い温度、より好ましくは5-20℃高い温度まで加熱されることが一般的に想定される。好ましい加熱範囲は、30-160℃、より好ましくは35-140℃及び最も好ましくは40-120℃である。
本発明による好ましい態様において、NSAID遊離酸成分は溶融し、及びパラセタモールは固形の形態を維持する。従って、組成物は、NSAID遊離酸の融点よりも高いが、パラセタモールの融点より低い温度で好ましく加熱される。
【0029】
NSAID遊離酸は、一般的に、固形組成物に対する入り口及び溶融押し出し物に対する出口を備えた、加熱された押し出しバレル内で溶融される。溶融押し出し物により、存在する場合には選択された賦形剤と共に、NSAID遊離酸が溶融、好ましくは完全に溶融する組成物を意味する。他の賦形剤、及びパラセタモールは、実際は、それ自身が溶融しなくても良いが、押し出し機を介して溶融したNSAIDと共に移動し、その中に分散される。バレルは、好ましくは、異なる加熱ゾーンに分割されて良い。加えて、押し出し機中のスクリューの形状によるNSAIDにおける効果は、NSAID遊離酸の溶融に寄与し、それによりその外部で適用される温度の要求を低減する。従って、押し出し機のバレルは、NSAID遊離酸の融点よりも低い温度に加熱されてもよい。例えば、ラセミ体のイブプロフェンの通常の融点は75-77℃であるが、しかしながら、(例えば、押し出し機又は同じようなプロセス器具で遭遇するであろう)力/加圧の条件下で、イブプロフェンを溶融するために必要である外部で適用される加熱は、押し出し機内の内部の混合動作により発生した機械的な発熱により顕著に削減されるだろう。押し出し機が、NSAID遊離酸の融点よりも、25℃より低い温度、好ましくはNSAIDの融点よりも20℃低い温度からNSAID遊離酸の融点よりも50℃高い温度、より好ましくはNSAID遊離酸の融点よりも15℃低い温度からその融点より25℃高い温度、最も好ましくはNSAID遊離酸の融点の上下10℃の範囲における温度に加熱されるであろうことが一般的に想定される。いくつかの押し出し機は、押し出し機中で、異なるゾーンを異なる温度に加熱することを許容する。これらの温度は、本発明の方法の第一の工程(a)において、NSAID遊離酸を完全に溶融することを確実にするために望まれるように選択できる。好ましくは、組成物を、80-130℃、より好ましくは100-120℃の範囲の温度まで加熱して、NSAID遊離酸を溶融する。NSAID遊離酸がイブプロフェンである場合、イブプロフェンを、50-130℃、より好ましくは60-100℃の範囲に便利に加熱してよい。押し出し機のバレル内のイブプロフェンの温度は、好ましくは66-96℃、好ましくは70-82℃の範囲内である。
【0030】
押し出し機は、1以上の冷却ゾーンを備えても良い。冷却ゾーンは、押し出しされる材料に対する混練動作により派生する熱を除去するため、特に、押し出し機への及び押し出し機からの材料の良好な流動を確実にするために必要とされるだろう。
本発明による好ましい方法において、押し出し機は、冷却ゾーン及び加熱ゾーンを備える。より好ましくは、押し出し機の入り口部分で冷却ゾーンを備え、それにより押し出し機に入る材料が、押し出し機に沿って加熱ゾーンに運搬され又は移動するであろう。冷却ゾーンにおいて、押し出しする材料内で発生する内部の熱が除かれ、それにより押し出し機における材料の処理能力に不利となり得る組成物の部分的な溶融は起こりえない。好ましくは、押し出し機は、冷却された移動ゾーンと加熱された溶融ゾーンを備える。
とりわけ好ましい方法において、出口又は出口に隣接して押し出し機の末端部分で加熱ゾーンを備える。押し出した材料を加熱して、押し出し機の出口を通った押し出し物を十分に加熱して、それにより溶融した押し出し物と押し出し物の冷却手段の間の温度差が、冷却工程を最適化するために適切なように最大化されることを確実にしても良い。例えば、バレルを加熱して、押し出し物のNSAID遊離酸成分が、好ましくは完全に溶融又は実質的に完全に溶融するための出口を通過するようにしても良い。押し出し機中の圧力は、NSAID遊離酸の融点をより低くさせ得る。従って、好ましくは、出口を通過する押し出し物の温度は、NSAID遊離酸の通常の融点の上下20℃、好ましくはNSAID遊離酸の融点の上下10℃の範囲内である。
【0031】
押し出し機は、組成物中に熱を発生させるために配置された手段を備えた、少なくとも一つのスクリューシャフトを適切に備える。これは、通常、混連パドル及び螺旋状のスクリューの組み合わせにより達成されて良い。一般的には、入り口部分で螺旋状のスクリューを備えて、材料を入り口から運搬することが好ましい。材料を、スクリュー及び/又はパドルを用いて押し出し機のバレル内に押し出しても良い。1より多いスクリューシャフト、例えばツインスクリューシャフトを使用して、押し出す材料における押し出し効果を最大限にすることが好ましい。パドルの使用は、押し出す材料における剪断効果を最大にする。パドルを所望の角度または角度の組み合わせでずらして(offset)、NSAID成分を溶融するために適切なものとして、組成物中で内部熱を発生させても良い。パドルの形状及び/又はサイズは、要因、例えば押し出し機の直径及び/又は長さ、長さと直径の比率、押し出し速度、適用されるトルク及びNSAIDを溶融するために望まれる温度に依存するであろう。スクリュー及び/又はパドルは、望まれるように、混合ゾーン内の圧力を最大とするために、順方向及び/又は逆方向であっても良い。
好ましい配置は、押し出し機の入り口部分の螺旋状の転送スクリュー、異なるサイズ及びねじれの程度を有しても良い多くのパドル、及び押し出し機から押し出し物を搬出するための、出口部分のさらなる螺旋状の転送スクリューから成る。さらに好ましくは、出口部分の螺旋状の転送スクリューは、順方向の螺旋の後に、逆の螺旋を含んでも良い。
【0032】
本発明の方法において、第二の工程は、押し出した生成物の冷却を要求する。
好ましくは、溶融物は、急速に冷却(すなわち急冷)される。このような方法で冷却される材料は、典型的に、パラセタモール粒子が分散されたNSAID相を含む。NSAIDは、典型的には、パラセタモール粒子を被覆する連続した結晶相を形成する。
好ましくは、押し出し物は、2以上の薄いリボンを形成する。これは、冷却手段上、好ましくは冷却ベルト又は冷却ドラム上に、押し出し物の流れ又はリボンを形成する出口から、溶融した押し出し物を流路に通過させることにより好ましく達成される。
溶融した押し出し物のリボンは、前記冷却手段で急速に冷却され、すなわちリボンは5分以下、好ましくは3分以下、より好ましくは1分以下(例えば0-60秒)、好ましくは50秒以下(例えば1-50秒)、より好ましくは1-40秒、最も好ましくは1-30秒で固化する。
適切には、溶融した押し出し物の各リボンの幅は、リボンの厚さ(depth)よりも大きく、それにより冷却を最適化する。各リボンの幅は、少なくともある程度、溶融した押し出し物の粘度に依存するであろう。好ましくは、溶融した押し出し物の各リボンは、10mm以下、好ましくは最大で6mm(例えば0.1-6mm)、好ましくは0.5-5mm、例えば3-4mm、最も好ましくは1-3mm、例えば2mmの、冷却手段上での厚さを有する。
【0033】
冷却は、通常、冷却手段に最も近いリボンの側で最初に起こりえる。従って、通常は、リボンの下面が固化する一方で、リボンの上面はまだ溶融している。リボンが更に冷却されるにつれて、押し出し物はその厚さ全体が固化する。
出力を最大限にするために、多くのリボンが、例えば冷却ベルト上でそれぞれ平行に延ばされる。好ましくは、押し出し物のサイズにより、2より多いリボン、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上のリボンが存在する。リボンの数は、形成されたリボンの幅、及びリボンの最大の数を提供する冷却手段の全体の幅により制限される。溶融した押し出し物のリボンは冷却手段上で広がらず、従って、これらはほんの小さなリボン間のスペースを要求する。
急速な冷却を達成するため、溶融した押し出し物と冷却手段の間の顕著な温度差を有することが好ましく、例えば押し出し物は、例えば少なくとも25℃、好ましくは少なくとも35℃、より好ましくは少なくとも45℃、及び最も好ましくは少なくとも55℃で冷却手段と接触する。上記範囲の上限はNSAIDの融点により制限されるが、余分なエネルギーコストが方法のいかなる利点とバランスをとれなくするような、押し出した材料を過度に高い温度まで加熱することは望まれない。従って、上記各範囲の実際の上限は、100℃、より通常は80℃である。
【0034】
一般的には、溶融した押し出し物が、粒子を形成する前に、NSAID遊離酸の融点よりも低い温度まで冷却されるであろうことが予想される。溶融した組成物は、静的又は連続して移動しても良い冷却トレー上に注がれても良い。静的なトレーは、冷却キャビネット内に配置しても良い。移動するトレー又はベルトは、付加的な冷却手段、例えば冷却水を備えても良い。冷却された溶融物は、固体を形成し、及びベルトからはがれ落ち又は連続して移動するベルトの一末端から落ちるように回収されても良い。好ましくは、溶融した組成物を、溶融した混合物を移動する冷却ベルト、好ましくは連続して回転する冷却ベルト上を通過させることにより冷却して良い。好ましくは、ベルトは水で冷却される。所望により、ベルトの長さ、溶融した組成物の品質及びベルトの速度に従って、水を、ベルトの全長に又はその部分的な長さの下側に適用して良い。例えばNSAID成分が固化し始めるまで、溶融組成物を少なくとも最初に冷却手段により冷却することがとりわけ好ましい。有利には、ベルトは、その長さの実質的に全体に沿って水冷され、及びそれはNSAIDを固形状態に冷却することを許容するために必要とされる最小限の長さ(例えば、3-7m)である。
【0035】
上記のように、冷却された組成物は、典型的に、NSAID材料のマトリックス中に分散されたパラセタモールの粒子を含む。
固化した溶融物は、多くの方法により粒子に形成して良い。例えば、細かく砕き(pulverised)又は細かく砕いて(comminuted)粒子にして良い。固化した溶融物を、製粉し及び/又はふるいにかけても良い。固化した溶融物を移動するベルト又はドラムの上で冷却する場合、冷却した溶融物を便利な大きさにした断片(conveniently sized pieces)に砕いて、次いで製粉し及び/又はふるいにかけても良い。
粒状組成物をふるいにかけて、溶融物の粒子が効果的な錠剤化のために適切なサイズのものであることを確実にしても良い。溶融した組成物を冷却して製造した粒子は、好ましくは標準的なラージスケールの打錠機で錠剤化するために適切なサイズのものである。粒状組成物中の溶融物の粒子は、10-2000μm、より好ましくは50-1000μm、及び最も好ましくは100-400μmの範囲における平均粒径を有する。嵩密度が0.1-1gml-1、より好ましくは0.3-0.6gml-1の範囲である場合、有用な結果物が達成される。タップ密度(tapped density)が0.3-0.7gml-1(より好ましくは0.4-0.6gml-1)の範囲にある場合、さらに好ましい特性が得られる。さらに好ましくは、溶融物の粒子は、0.5-2.0g/mlの多孔率を有する。
【0036】
本発明の第二の側面によると、本明細書で定義したようなNSAID遊離酸、パラセタモール及び本明細書で定義したような1以上の任意の賦形剤を含んだ、多くの固化した溶融物の粒子を含む粒状組成物が提供される。
好ましくは、とりわけ、溶融物の粒子中の全てのNSAIDは、遊離酸の形態にある。好ましくは、パラセタモールは、NSAID遊離酸の固化した溶融物中に分散された粒子の形態にある。
好ましくは、溶融物の粒子中のパラセタモールの質量は、溶融物の粒子の合計質量に基づいて、溶融物の粒子中のNSAID遊離酸の質量以上、好ましくはNSAID遊離酸の質量より多い量である。溶融物の粒子中及び/又は粒状組成物中に存在して良い、より好ましいパラセタモールとNSAIDの質量比率、NSAIDの質量パーセント及びパラセタモールの質量パーセントは、前記の通りである。
【0037】
第三の側面によれば、本発明は、本明細書で定義したようなNSAID、パラセタモール及び本明細書で定義したような1以上の任意の賦形剤を含んだ多くの固化した溶融物の粒子を含む、粒状組成物を提供し、ここで、該粒状組成物は、本発明の第一の側面による方法で得ることができる。
好ましくは、本発明の第二の側面による粒状組成物又は本発明の第一の側面の方法で得ることができる組成物は、溶融物の粒子のみから成る。溶融物の粒子は、NSAIDとパラセタモールのみから成る。代わりに、溶融物の粒子は、更に、本明細書で定義したような1以上の賦形剤を含んでも良い。しかしながら、本発明の主な利点は、良好な溶解特性を有した速やかに崩壊する投与形態、例えば圧縮錠を達成するために必要とされる多くの賦形剤が、最小量であることが理解されるであろう。
溶融物の粒子中の含有物として高く好まれる賦形剤は、崩壊剤である。好ましくは、粒状組成物の固化した溶融物の粒子は、1以上の崩壊剤を含む。
【0038】
崩壊剤は、錠剤処方で使用される粒子外成分(extra-granular component)として、さらに又は代わりに存在しても良い。好ましくは、崩壊剤は粒状組成物中に存在し、さらに好ましくは、崩壊剤は、粒状組成物中にのみ存在する。崩壊剤が、溶融したNSAIDとパラセタモールを含んだ溶融混合物中に取り込まれ、最初にそれと共に合わせられ、混合物が冷却され及び製粉されて粒子を生成する場合、最小量の錠剤化の賦形剤を用いて錠剤化できかつ有利な錠剤化、崩壊及び溶解特性を有する医薬組成物が提供される。崩壊剤は、粒状組成物から形成された固形の投与形態、例えば錠剤を、消化管中で見られる条件下で速やかに崩壊させる効果を有する。崩壊剤の例は、小麦のデンプン、トウモロコシのデンプン、バレイショデンプン、ナトリウムデンプングリコレート、置換度の低いヒドロキシプロピルセルロース(low-substituted hydroxypropyl cellulose)、アルギン酸、架橋したポリビニルピロリドン、マグネシウムアルミニウムシリケート及びクロスカルメロースナトリウムの1以上を含む。好ましい崩壊剤は、水の作用で膨潤し、結果として粒状組成物中の成分及びそれから調製された固形の投与形態をバラバラにして及び水性の崩壊媒体中に放出すさせる薬剤である。好ましい崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、及びナトリウムデンプングリコレートの1以上、とりわけクロスカルメロースナトリウムを含む。
【0039】
好ましくは、崩壊剤は、粒状組成物の20質量%以下、好ましくは15質量%以下、さらにより好ましくは10質量%以下の量で存在する。好ましくは、崩壊剤は、粒状組成物の、1質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上、さらにより好ましくは3質量%以上の量で存在する。
好ましくは、崩壊剤は、固化した溶融物の粒子の、20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらにより好ましくは10質量%以下の量で存在する。好ましくは、崩壊剤は、固化した溶融物の粒子の、1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらにより好ましくは3質量%以上の量で存在する。
好ましくは、固化した溶融物の粒子中のNSAIDと崩壊剤の質量パーセントの比率は、20:1から2:1、より好ましくは15:1から5:1、最も好ましくは12:1から7:1である。
好ましくは、固化した溶融物の粒子中のパラセタモールと崩壊剤の質量パーセントの比率は、20:1から2:1、より好ましくは15:1から5:1、最も好ましくは12:1から7:1である。
任意に、粒状組成物、及び固化した溶融物の粒子は、更に、付加的な賦形剤、例えば希釈剤又は界面活性剤を含んで良い。好ましくは、粒状組成物及び固化した溶融物の粒子は、NSAID、パラセタモール及び崩壊剤のみを含む。
【0040】
粒状組成物が、ラージスケールでのシンプルでコスト効果の高い製造方法により、本発明に従って調製できることが理解されるであろう。本発明による粒状組成物から調製される製剤は、貯蔵において安定性でありかつ有利な溶解特性を有することが見出された。粒状組成物は、典型的に、所望の流動及び圧縮特性を示し、組成物は錠剤化方法の間、粘着又はキャッピング(capping)することなく、最小量の賦形剤を用いて錠剤化して、有利な崩壊特性と組み合わせた適切な固さを有する投与形態を提供することができる。更に、あるNSAIDについての乏しい味は、顕著に改善される。
固化した溶融物の粒子を直接処方しても良く、又はこれらを粒子外成分と組み合わせて、投与単位の形態にしても良い。
第四の側面により、本発明は、NSAID遊離酸、パラセタモール及び任意に1以上の賦形剤を含んだ多くの固化した溶融物の粒子を含んだ本明細書で定義したような粒状組成物を含む、経口投与のための投与単位の形態にある医薬組成物を提供する。好ましくは、投与単位の形態は、固形の投与単位の形態である。
【0041】
投与単位の形態を飲み込み、摂取する前に水に分散し又は口内で崩壊するように適合させても良い。好ましくは、投与単位の形態を適合させて、胃又は消化管内でNSAIDとパラセタモールを放出させる。最も好ましくは、投与単位の形態は、それを必要とする患者により飲み込まれる。
適切な投与単位の形態は、圧縮錠、チュアブルの錠剤、発泡性の製剤、トローチを含む。最も好ましくは、投与単位の形態は、圧縮錠、とりわけ発泡性ではない圧縮錠の形態のものである。
圧縮錠は、任意で、フィルムコート、例えば通常のセルロースポリマー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、又は通常の糖の被覆、例えばスクロース又はラクトースの被覆に基づいて被覆しても良い。
投与単位の形態におけるNSAIDの割合は、所望の治療効果に対して要求される投与量に依存するであろう。低い投与量の医薬品、例えばフルルビプロフェン及びケトプロフェンは、投与単位の形態の10質量%程度の少ない量で存在して良い。しかしながら、本発明の好ましい特徴は、高い投与量のNSAID、例えばイブプロフェンを、標準的な錠剤化技術(例えば、成分をドライブレンドして、次いで混合物を圧縮すること)により製造される比較の投与形態よりもより小さい投与形態で、パラセタモールと組み合わせて処方できることである。
【0042】
好ましくは、NSAIDは、投与単位の形態の合計質量に基づいて投与単位の形態の、10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらにより好ましくは20質量%以上の量で存在する。
好ましくは、NSAIDは、投与単位の形態の合計質量に基づいて投与単位の形態の、45質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらにより好ましくは35質量%以下、最も好ましくは30質量%以下の量で存在する。
好ましくは、パラセタモールは、投与単位の形態の合計質量に基づいて投与単位の形態の、35質量%以上、より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは45質量%以上、さらにより好ましくは50質量%以上、最も好ましくは55質量%以上の量で存在する。
好ましくは、パラセタモールは、投与単位の形態の合計質量に基づいて投与単位の形態の、80質量%以下、より好ましくは75質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下、さらにより好ましくは65質量%以下、最も好ましくは57質量%以下の量で存在する。
【0043】
好ましくは、NSAIDとパラセタモール、及び存在する場合には崩壊剤は、投与単位の形態の粒状組成物中にのみ存在する。粒状組成物の関係で規定したような、NSAIDとパラセタモールの質量比率、NSAIDと崩壊剤の質量比率、パラセタモールと崩壊剤の質量比率、及び崩壊剤の量は、投与単位の形態に対して等しく又は独立に適用される。
有効な治療のための投与単位は、各NSAIDに関して当業者に知られている。例えば、投与単位は、5mg、10mg、12.5mg、25mg、50mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、500mg、600mg及び800mgの程度までNSAIDを含む。誘導体が適用される場合、通常は、正確な投与単位を選択して、上記と同等のNSAID投与量を与える。本明細書で記載する治療のため、イブプロフェンの最大の一日投与量は、一般的には3200mgである。単一の一日投与量は、100mgであって良い。好ましい投与単位は、100-400mg、好ましくは100-300mg及びとりわけ200mgのイブプロフェンの範囲にある。フルルビプロフェンの最大の一日投与量は、一般的には300mgである。単一の投与量は、12.5mgであっても良い。好ましい投与単位は、12.5-150mg、より好ましくは25-100mg、及びとりわけ50mgのフルルビプロフェンの範囲にある。ナプロキセンの最大の一日投与量は、一般的に1500mgである。単一の一日投与量は、125mgであって良い。好ましい投与単位は、220-750mg、より好ましくは220-500mg、及びとりわけ220-250mgのナプロキセンの範囲内である。ケトプロフェンの最大の一日投与量は、一般的に200mgである。単一の一日投与量は、25mgであって良い。好ましい投与単位は、25-100mg、より好ましくは25-75mg及びとりわけ50mgのケトプロフェンの範囲内である。
【0044】
有効な治療のための投与単位は、パラセタモールについて当業者により知られている。例えば、投与単位は、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、650mg、700mg及び800mgを含んで良い。好ましい投与単位は、100から650mg、より好ましくは200から550mg、最も好ましくは250から500mgの範囲内である。
好ましい投与単位の形態は、500mgのパラセタモールと200mgのイブプロフェン、325mgのパラセタモールと200mgのイブプロフェン、及び1000mgのパラセタモールと400mgのイブプロフェンから成る。
好ましくは、本明細書で定義したような粒状組成物を、粒子外成分と組み合わせて、結果として投与単位の形態に処方する。粒子外成分は、固化した溶融物の粒子中には含まれていない、投与単位の形態に取り込まれる成分を含む。これらは、投与単位を調製する方法において同時に又はこれに続いて、固化した溶融物の粒子と混合して良い。本発明の具体的な利点は、粒子外成分の全ての成分を粒状組成物と同時に組み合わせて良いこと、及び更に粒状組成物と組み合わせる前に、粒子外成分における成分の特別な処理をしなくても良いことである。溶融物の粒子は、従来の混合及びブレンド技術を用いて粒子外成分と組み合わせて、それにより成分の均一な混合物を形成して良い。この方法を促進するために使用して良い装置の例は、Ribbon Blender、IBC Blender、V-Blender及びPlough Blenderである。均一な混合物は、典型的には、標準的な打錠機を使用して錠剤に圧縮してよいドライブレンドである。
【0045】
適切には、好ましい投与単位の形態は、以下を含む:
(a)NSAID遊離酸、パラセタモール及び任意で1以上の賦形剤を含んだ多くの固化した溶融物の粒子を含んだ、本明細書で定義したような粒状組成物;及び
(b)本明細書で定義したような1以上の成分を含む粒子外成分。
上記のように、最も好ましい投与単位の形態は、発泡性ではない圧縮錠である。
好ましくは、投与単位の形態は、投与単位の形態の合計質量に基づいて、60から99.5質量%、好ましくは75から95質量%、より好ましくは80から90質量%の粒状組成物を含む。
好ましくは、投与単位の形態は、投与単位の形態の合計質量に基づいて、0.5から40質量%、より好ましくは5から25質量%、さらにより好ましくは10から20質量%の粒子外成分を含む。
【0046】
粒子外成分に存在して良い、又は粒状組成物における賦形剤として適用して良い適切な成分は、以下のいかなるものも含む:
水溶性又は水不溶性希釈剤
適切な水溶性希釈材料は、糖(例えばスクロース、フルクトース、ラクトース、デキストロース)、シクロデキストリン、マルトデキストリン及び有機酸の塩(例えばクエン酸ナトリウム及びクエン酸カリウム)を含む。
適切な水不溶性希釈材料は、セルロース誘導体(例えば微結晶セルロース)、デンプン及びこれらの誘導体(例えばアルファ化デンプン)、ジカルシウムホスフェート、トリカルシウムホスフェート、カルシウムスルフェート、カルシウムカーボネートを含む。微結晶セルロース及びジカルシウムホスフェートが、好ましい水不溶性希釈剤である。
存在する場合には、希釈剤は、投与単位の形態の合計質量に基づいて投与単位の形態の、0.1から25質量%、より好ましくは0.1から20質量%、さらに好ましくは1から15質量%、最も好ましくは4から15質量%の量で存在して良い。
希釈剤は、溶融物の粒子及び/又は粒子外成分中に存在して良いが、好ましくは希釈剤が存在する場合、希釈剤はもっぱら投与単位の形態の粒子外成分の中にある。
【0047】
界面活性剤
好ましい界面活性剤は、ナトリウムラウリルスルフェート及びポロキサマーである。界面活性剤は、投与単位の形態の合計質量に基づいて投与単位の形態の、0.05から8質量%、より好ましくは0.1から5質量%、最も好ましくは0.2から2質量%範囲で使用して良い。界面活性剤は溶融物の粒子中に存在して良いが、好ましくは界面活性剤が投与単位の形態中に存在する場合、界面活性剤はもっぱら粒子外成分中に存在する。
【0048】
“芯剤”(wicking agent)
用語“芯剤”は、成形体、例えば錠剤内に毛管経路(capillary pathway)を形成し、成形体が水性環境下に置かれた場合、液体が毛管現象により経路を介して吸い上げられ、粒子間の結合が液体の侵入により破裂することにより成形体の崩壊を生じさせるいかなる賦形剤も意味する。芯剤は、水に不溶性であり、錠剤で使用される粒子外成分中にのみ好ましく存在する。
不溶性の芯剤は、無機材料、デンプン材料、セルロース材料、例えばヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)及びこれらの混合物から選択される。好ましくは、無機材料は、二酸化ケイ素、PTFE粉末、アルカリ金属シリケート、アルカリ土類金属シリケート、アルカリ金属カーボネート及びビカーボネート、及びアルカリ土類金属カーボネートを含む。例は、ナトリウムカーボネート、ナトリウムビカーボネート、カリウムカーボネート、マグネシウムカーボネート、カルシウムカーボネート、PTFE粉末、ナトリウムシリケート、カリウムシリケート、マグネシウムシリケート及びカルシウムシリケートを含む。好ましくは、デンプン材料は、デンプン、例えばバレイショデンプン、小麦のデンプン、米のデンプン、タピオカのデンプン及び修飾したデンプンを含むデンプン誘導体、例えばアルファ化デンプンを含む。より好ましくは、芯剤は、二酸化ケイ素及び/又はアルカリ土類金属カーボネート、とりわけカルシウムカーボネート、タルク、小麦のデンプン及びアルファ化デンプンの少なくとも一つを含む。最も好ましくは、芯剤は二酸化ケイ素を含む。
好ましくは、芯剤、とりわけ二酸化ケイ素は、投与単位の形態の合計質量に基づいて投与単位の形態の、0.05から10質量%、より好ましくは0.05から5質量%、更に好ましくは0.1から3質量%、最も好ましくは0.2から1質量%の量で存在する。
最も好ましくは、芯剤は、もっぱら、粒子外成分中に存在する。
【0049】
滑剤
イブプロフェン錠剤に対する通常の滑剤、例えばステアリン酸、ナトリウムラウリルスルフェート、ポリエチレングリコール、水素化植物油、ナトリウムステアリルフマレート、マグネシウムステアレート又はカルシウムステアレートを使用して良い。これらは、投与単位の形態の合計質量に基づいて、0.05から5質量%、好ましくは0.1から3質量%の量で、投与単位の形態中に取り込んでも良い。投与単位の形態中に存在する場合、滑剤を固化した溶融物の粒子及び/又は粒子外成分中に取り込んで良いが、好ましくは滑剤は、粒子外成分中にのみ存在する。
【0050】
さらなる薬理活性成分及び/又は促進剤(enhancing agent)
適切な薬剤は、痛み、炎症及び/又は発熱の治療に対して有用な組成物で通常使用されるいかなる他の成分も含んで良く、例えば、カフェイン又は他のキサンチン誘導体、他の鎮痛剤、例えばコデイン、骨格筋弛緩薬:抗ヒスタミン剤(例えば、アクリバスチン、アステミゾール、アザダディン、アゼラスチン、ブロモジフェニルヒドラミン、ブロムフェニラミン、カルビノキサミン、セチリジン、クロルフェニラミン、シプロヘプタジン、デキスブロモフェニラミン、デキスクロロフェニラミン、ジフェニルヒドラミン、エバスチン、ケトチフェン、ロドキサミド、ロラチジン、レボカバスチン、メキタジン、オキサトミド、フェニンダミン、フェニルトロキサミン、ピリラミン、セタスチン、タジフィリン、テメラスチン、テルフェニジン(terfenidine)、トリペレナミン又はトリプロリジン(好ましくは、鎮痛作用の少ない抗ヒスタミン薬が適用される));充血除去剤(例えば、プソイドエフェドリン、フェニルプロノールアミン及びフェニルフリン);咳止め(例えば、カラミフェン、コデイン又はデキストロメトルパン(dextromethorpan));去痰薬(例えば、グアイフェネシン、クエン酸カリウム、カリウムグアイアコルサフォネート(potassium guaiacolsuphonate)、カリウムスルフェート及びテルピンハイドレート);抗潰瘍ヒスタミンアンタゴニスト(例えばミソプロストール);及び/又は吐き気止め(例えば、ドンペリドン)を含む。さらなる薬理活性成分及び/又は促進剤は、溶融物の粒子及び/又は粒子外成分中に取り込んで良い。
【0051】
当業者に知られた他の通常の錠剤化賦形剤を、所望のように本発明の粒状組成物に取り込んでも良いが、本発明の主な利点が、良好な溶解特性を有する速やかに崩壊する投与形態、例えば圧縮錠を達成するために必要とされる多くの賦形剤を最小量とすることであることが理解されるであろう。
好ましい投与単位の形態、とりわけ圧縮錠、特に発泡性ではない圧縮錠は、以下を含む:
a)NSAIDとその中に均一に含まれるパラセタモールの、多くの固化した溶融物の粒子を含んだ、本明細書で定義するような粒状組成物;及び
b)投与単位の形態の合計質量に基づいて、0.05から5.0質量%の量で存在する、不溶性の芯剤を含んだ粒子外成分。
【0052】
さらに好ましい投与単位の形態、とりわけ圧縮錠組成物、特に発泡性ではない圧縮錠は、以下を含む:
a)NSAID、パラセタモール及びその中に均一に含まれる崩壊剤の、多くの固化した溶融物の粒子を含んだ粒状組成物;及び
b)投与単位の形態の合計質量に基づいて0.05から5.0質量%の量で存在する、不溶性の芯剤を含んだ粒子外成分。
好ましくは、不溶性の芯剤は、二酸化ケイ素を含む。
さらにより好ましい投与単位の形態、とりわけ圧縮錠、特に発泡性ではない圧縮錠は、以下を含む:
(a)イブプロフェン、パラセタモール及び崩壊剤の、多くの固化した溶融物の粒子を含んだ粒状組成物;及び
(b)投与単位の形態の合計質量に基づいて0.05から5質量%の量で存在する、不溶性の芯剤を含んだ粒子外成分。
【0053】
好ましくは、粒子外成分は、更に、投与単位の形態の合計質量に基づいて、4から15質量%の量で存在する希釈剤を含む。
好ましくは、本明細書で定義するような粒状組成物は、投与単位の形態の合計質量に基づいて投与単位の形態の、60から99.5質量%、より好ましくは75から95質量%、さらに好ましくは80から90質量%の量で存在する。
好ましくは、本明細書で定義するような粒子外成分は、投与単位の形態の合計質量に基づいて投与単位の形態の、0.5から40質量%、より好ましくは5から25質量%、最も好ましくは10から20質量%の量で存在する。
イブプロフェン、パラセタモール及び崩壊剤が、前記定義したような量で存在しても良いことが理解されるであろう。
適切には、本発明は、任意で本明細書で定義するような粒子外成分を有する、本明細書で定義するような前記粒状組成物を圧縮して、圧縮錠の形態を形成する工程を含んだ、圧縮した投与形態、特に発泡性でない圧縮した投与形態を形成する方法まで及ぶ。
【0054】
好ましくは、圧縮した投与形態は、発泡性ではない圧縮した投与形態、とりわけ発泡性ではない圧縮錠を含む。
NSAIDは、主に抗炎症、鎮痛及び解熱剤であるが、歯周の骨の欠損(periodontal bone loss)、痒み及びアルツハイマー病の治療を含む、他の治療用途に対しても提案されている。パラセタモールは、鎮痛及び解熱活性を有する。従って、本発明の投与単位の形態は、関節リューマチ、変形性関節炎、強直性脊椎炎、セロネガティブ関節症(seronegative arthropathies)、関節障害及び軟組織の損傷を含む、シクロオキシゲナーゼ阻害剤が有効である全ての治療用途の治療において使用することが意図される。これらは、術後疼痛、産後の疼痛、歯痛、月経困難症、頭痛、偏頭痛、リューマチの痛み、筋肉痛、背中の痛み、神経痛及び/又は筋骨格系疼痛、又は以下に関連する痛み又は不快感:呼吸器の感染症、風邪又はインフルエンザ、痛風又は朝のこわばりの治療において使用しても良い。
従って、第五の側面により、本発明は、薬剤で使用するための、本明細書で定義するような粒状組成物又は本明細書で定義するような投与単位の形態を提供する。
【0055】
従って、本発明の第六の側面において、痛み及び/又は炎症及び/又は発熱の治療で使用するための、本明細書で定義したような粒状組成物又は本明細書で定義するような投与単位の形態を提供する。
本発明の第七の側面により、本明細書で定義するような粒状組成物又は本明細書で定義するような投与単位の形態を、それを必要とする哺乳動物に投与することを含む、痛み及び/又は炎症及び/又は発熱の治療方法が提供される。
第八の側面により、本発明は、痛み及び/又は炎症及び/又は発熱の治療のための薬物の製造における、本明細書で定義するような粒状組成物の使用を提供する。
第九の側面により、本発明は、痛み及び/又は炎症又は発熱の治療のための薬剤の製造における、本明細書で定義するような投与単位の形態の使用を提供する。
第十の側面により、本発明は、パラセタモールの圧縮性を改良するための、溶融したNSAIDの使用を提供する。好ましくは、溶融したNSAIDは、パラセタモールの圧縮性を改良する。
【0056】
本発明の第一の側面の全ての特徴が、本発明の他の全ての側面の好ましい特徴を表すことが理解されるであろう。同様に、本発明の特定の側面の全ての特徴が、本発明の他の全ての側面の好ましい特徴を表す。
本発明は、以下の制限されない実施例で説明されるであろう。
【0057】
実施例において、ラセミ体のイブプロフェン及びフルルビプロフェンはBASF,Germanyから入手可能である;ナプロキセンはAlbemarle Corporation,USAから入手可能である;パラセタモール高密度粉末は、Mallinckrodt,USAから入手可能である;クロスカルメロースナトリウムはFMC Corporation, Brussels, BelgiumからAc-Di-Solの商品名の下入手可能である;フレンチチョーク(French chalk)は、Luzenac, Franceから入手可能である;コロイダル二酸化ケイ素(コロイダルシリカとしても知られる)は、Degussa, Frankfurt, GermanyからAerosil200の商品名の下入手可能である;ステアリン酸マグネシウムはHays Chemicals UKから入手可能である;ステアリン酸は、Hays Chemicals UKから入手可能である;微結晶セルロースは、FMC Corporation, Brussels, BelgiumからAvicelPH101の商品名で入手可能である;ジカルシウムホスフェートは、Univar Limited UKからEmcompressの商品名で入手可能である;ラクトースNF Fast Floは、HollandのDMNから入手可能である;ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、Dow Chemical Company,USAから入手可能である;及びオパスプレーホワイト(Opaspray White)はColorcon,USAから入手可能である。押し出し機は、APV,UK Ltdから入手可能なAVP MPC40ツインスクリュー押し出し機である。
【0058】
溶解測定
溶解は、米国薬局方Vol.23、ページ1791に開示された溶解方法を、50rpmのパドル及びホスフェートバッファー(pH7.2及び/又はpH6.0及び/又はpH8.5で選択した)を用いた器具2を用いて測定した。
破砕強度
破砕強度は、錠剤の固さの測定である。破砕強度は、錠剤がSchluniger 6D 錠剤試験器の電動のジョー(jaw)の間で壊れた時の、直径方向の破砕強度を記録することにより測定した。錠剤試験器のジョーは、23、24、25、27及び29の間隔設定で設定した。より高い間隔セッティング、より高い圧力が錠剤に対して適用される。
表1、2及び4において、太字の文字の値は、溶融物の粒状組成物の部分を形成する成分を示し、及び通常の文字の値は、粒子外成分の部分を形成する成分を示す。これら錠剤における絶対値は、各組成物中に存在する各成分の質量%を意味する。
【0059】
実施例1(a):粒状組成物の調製
全ての実施例に対する方法は、任意で粒子成分に存在して良い他の賦形剤と共に、パラセタモールとNSAID遊離酸をドライブレンドする工程、次いで混合物を100℃から165℃で押し出し機中で加熱して、NSAID遊離酸を完全に溶融し、それにより溶融したNSAIDをパラセタモール及び他の任意の賦形剤と混合する工程を含む。溶融した塊を、ステンレススチールのトレー又は10℃で冷却された移動するベルト上に注ぎ、冷却する。溶融した混合物は、典型的に60秒の間で固化する;冷却する間混合物をかき混ぜて良い。結果形成した固形の塊を、1mmの丸い孔を有するスクリーンを備えたコーンミルを通過させることにより製粉する。結果得られる粒子を回収する。
【0060】
実施例1(b):錠剤の調製
それぞれの粒子外成分(表1、2及び4において普通の文字で示される)、すなわち、コロイダル二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ラクトース、ジカルシウムホスフェート及び微結晶セルロースを、上記実施例1(a)から形成された粒状組成物と一斉にブレンダー中で約15分ブレンドする。ドライブレンドされた材料を、ロータリー式錠剤機(Fette P1200)に供給し、治療効量のNSAID医薬品及びパラセタモールを含んだ錠剤に圧縮した(1時間当たり100,000錠剤のマシンスピード及び6kNから25kNの圧縮力)。
【0061】
実施例2から8
錠剤を、実施例1について記載したような同じ方法で表1における成分から調製した。各製剤の圧縮質量は、所望の治療レベルのNSAIDとパラセタモールを含んだ錠剤を与えるように調整する。実施例1から8において、ラセミ体のイブプロフェンは、錠剤当たり200mgの量で存在する。その結果として、パラセタモールは、実施例1及び4から7については錠剤当たり500mg、及び実施例2、3及び8については錠剤当たり325mgの量で存在する。しかしながら、治療効量のNSAIDとパラセタモールの範囲を適用して良いことが理解されるであろう。
図1は、実施例1に対する錠剤化方法の間にかけられた圧縮力に対する、錠剤の破砕強度を示す。この関係において、許容される固さの錠剤は、標準的な圧縮圧力の広い範囲にわたって形成して良い。適切には、錠剤は、製造方法のさらなる苛酷さ、すなわちフィルムコーティングに耐えるため、十分に硬くかつ強固である。
【0062】
実施例9から16
錠剤を、実施例1で記載したような同じ方法で、表2の成分から調製した。各製剤の圧縮質量を、所望の治療レベルのNSAIDを含んだ錠剤を与えるために調整する。この関係において、ナプロキセンは実施例9から12において錠剤当たり250mgの量で存在し、メロキシカムは実施例15及び16において、錠剤当たり20mgの量で存在し、及びラセミ体のフルルビプロフェンは、実施例15及び16において錠剤当たり20mgの量で存在する。適切には、パラセタモールは、実施例9及び11において錠剤当たり317mgの量で、実施例10及び12において錠剤当たり488mg、及び実施例13から16において錠剤当たり237mgの量で存在する。
【0063】
フィルムコーティング
実施例1から16の錠剤を、以下を含むフィルムコート組成物で被覆して良い:
質量% mg/錠剤
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 65 13
オパスプレーホワイト 21.7 4.33
フレンチチョーク 13.3 2.67
【0064】
フィルムコーティング組成物は、Silversonスターラー(Silverson Machines Ltd, UK)を用いて、精製した水にヒドロキシプロピルメチルセルロース及びオパスプレーホワイトを溶解することで調製する。次いで、フレンチチョークを、結果得られた溶液中に分散する。錠剤のコアを、通常のパーフォレーティッドパン(perforated pan)例えばManesty Accelacota 150でフィルムコートする。
この関係において、実施例1の錠剤を、上記フィルムコーティング組成物を用いて被覆し、及び結果得られた錠剤の溶解特性を決定した。溶解の結果を、表3及び図2に示す。
【0065】
【表1】

【表2】

【表3】

【0066】
結果は、大量のイブプロフェン及びパラセタモールの両方が、たった10分後に可溶化したことを実証する。適切には、錠剤は、治療作用の増強した開始を与えるであろう。
【0067】
ラセミ体のイブプロフェン、高密度粉末のパラセタモール、並びにイブプロフェン、パラセタモール及びクロスカルメロースを含んだ固化した押し出し物の結晶構造
ラセミ体のイブプロフェン、高密度粉末のパラセタモール、ラセミ体のイブプロフェン及び高密度粉末のパラセタモールのドライブレンド、並びにイブプロフェンを溶融するがパラセタモールを溶融せずに形成したラセミ体のイブプロフェンと過剰なパラセタモールの固化した押し出し物の塊の結晶構造を、図3から6に示す。結晶構造は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて決定した。
パラセタモール及びイブプロフェンが、明確な結晶構造を有することが、図3、4及び5から明らかである。パラセタモールの結晶は、イブプロフェン結晶よりもサイズ及び形状においてより不規則である。パラセタモール結晶は、実質的に直方体であり、針の形状であるイブプロフェン結晶よりもより大きい。図3及び4において、パラセタモールがPとして表示される一方で、イブプロフェンはIとして表示される。対照的に、イブプロフェンと比べて過剰量のパラセタモールを含む固化した押し出した溶融物は、パラセタモール結晶(P)が実質的に明確であり、固化した溶融物のイブプロフェン(I)で結合し及び包まれることを示す。
【0068】
実施例17及び18−本発明の医薬組成物の、ドライブレンド製剤と比較して改良した流動特性及び圧縮性

ラセミ体のイブプロフェン及びパラセタモールを含んだ錠剤、実施例17及び18は、表4に概略されるような製剤から形成された。

【表4】

【0069】
実施例17の錠剤を、実施例1a及び1bで記載したような溶融押し出し法により形成した。実施例18の錠剤を、表3で列挙したような成分のドライブレンドから形成した。特に、30メッシュのスクリーンを通過した無水のコロイダル二酸化ケイ素は別として、未加工の材料を16メッシュのスクリーンを介してふるいにかけ、及びタンブルブレンダー上で15分間共にドライブレンドした。次いで、粉末のブレンドを、通常の18mm×8mmのカプレットツーリング(caplet tooling)を用いたManestyF3単一のパンチ錠剤圧縮上で圧縮して、660mgの質量の錠剤にした。混合物は一貫性して粘着性を示し、及び圧縮の間打錠機に対して高いレベルの粘着を示した。混合物は圧縮することが困難であった。
対照的に、表4に詳述される様な実施例17の製剤は、優れた流動特性(すなわち粘着しない)を示し、及び圧縮することが容易であった。1時間当たり100,000錠剤の速い速度でロータリー式錠剤機を操作することが可能であった。
【0070】
実施例17及び18からの錠剤の破砕強度は、錠剤をSchluniger 6D 錠剤試験器の電動のジョーの間で破壊した場合の、直径方向の破砕強度を記録することにより測定した。破砕強度は、錠剤の固さの測定である(すなわち、より高い破砕強度はより硬い錠剤に対応する)。錠剤試験器のジョーは、機器上で24、26、28及び29の間隔セッティング番号で設定した。
溶融押し出し法により形成した実施例17の材料は、6.9から7.1kP(平均7.0kP)の破砕強度を示した。一方で、ドライブレンドから形成した実施例18の錠剤は、2.0から3.2kP(平均2.7kP)の破砕強度を示した。
結果は、実施例17の錠剤を形成するために使用した溶融物の粒子は、改良した流動特性を示し、及び実施例18のラセミ体のイブプロフェン及びパラセタモールのドライブレンド製剤よりも、圧縮することがより容易であることを実証する。更に、溶融物の押し出し方法により形成した錠剤(実施例17)は、ドライブレンドの混合物から形成した対応する錠剤(実施例18)よりも顕著により強固でより硬い。従って、実施例17の錠剤は、製造方法の苛酷さ(すなわちフィルム又は糖のコーティング、充填等)に抵抗するためにより適している。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】図1は実施例に対する錠剤化方法の間にかけられた圧縮力に対する、錠剤の破砕強度を示す。
【図2】図2は、フィルムコーティングした実施例1の錠剤の溶解特性を示す。
【図3】図3は、ラセミ体のイブプロフェンの結晶構造を示す。
【図4】図4は、高密度粉末のパラセタモールの結晶構造を示す。
【図5】図5は、ラセミ体のイブプロフェン及び高密度粉末のパラセタモールの結晶構造を示す。
【図6】図6は、イブプロフェンを溶融するがパラセタモールを溶融せずに形成したラセミ体のイブプロフェンと過剰なパラセタモールの固化した押し出し物の塊の結晶構造を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)及びパラセタモールを含んだ、多くの固化した溶融物の粒子を含む粒状組成物を製造する方法であって、以下の工程を含む方法:
(a)溶融したNSAID遊離酸とパラセタモールを、任意で1以上の賦形剤と共に混合することによって、溶融混合物を形成する工程;及び
(b)溶融混合物を固化した溶融物の粒子にする工程。
【請求項2】
固化した溶融物の粒子におけるパラセタモールの質量が、固化した溶融物の粒子に存在するNSAIDの質量以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
固化した溶融物の粒子におけるパラセタモールとNSAIDの質量比率が、1.5:1以上である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
固化した溶融物の粒子におけるパラセタモールとNSAIDの質量比率が、2:1から3:1である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
パラセタモールが、固化した溶融物の粒子の合計質量に基づいて固化した溶融物の粒子の、40質量%から80質量%の量で存在する、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
NSAIDが、固化した溶融物の粒子の合計質量に基づいて固化した溶融物の粒子の、20質量%から45質量%の量で存在する、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
NSAID遊離酸が、溶融混合物中で完全に溶融される、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
パラセタモールが、溶融混合物の形成の間溶融しない、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
NSAID遊離酸が、2-アリールプロピオン酸を含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
2-アリールプロピオン酸が、ラセミ体のイブプロフェン又はS(+)-イブプロフェンを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
溶融混合物を、NSAID遊離酸、パラセタモール及び任意で1以上の賦形剤を含む混合物を溶融押し出しすることにより形成する、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
溶融混合物を、溶融混合物を冷却して固化した溶融物を形成し、及び固化した溶融物を粉砕して固化した溶融物の粒子を形成することにより固化した溶融物の粒子にする、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
工程(a)の溶融混合物が、NSAID遊離酸、パラセタモール及び崩壊剤を含む、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
崩壊剤が、固化した溶融物の粒子の合計質量に基づいて固化した溶融物の粒子の、1質量%から20質量%の量で存在する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
粒状組成物を圧縮して発泡性でない圧縮錠を形成する工程を更に含む、請求項1から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
請求項1から14のいずれか1項に記載するNSAID遊離酸、パラセタモール及び任意で請求項1から14のいずれか1項に記載する1以上の賦形剤を含んだ、多くの固化した溶融物の粒子を含む、粒状組成物。
【請求項17】
固化した溶融物の粒子におけるパラセタモールの質量が、固化した溶融物の粒子において存在するNSAIDの質量以上である、請求項16に記載する粒状組成物。
【請求項18】
固化した溶融物の粒子におけるパラセタモールとNSAIDの質量比率が、1.5:1以上である、請求項16又は17に記載の粒状組成物。
【請求項19】
固化した溶融物の粒子におけるパラセタモールとNSAIDの質量比率が、2:1から3:1である、請求項16から18のいずれか1項に記載の粒状組成物。
【請求項20】
パラセタモールが、固化した溶融物の粒子の合計質量に基づいて固化した溶融物の粒子の、40質量%から80質量%の量で存在する、請求項16から19のいずれか1項に記載の粒状組成物。
【請求項21】
NSAIDが、固化した溶融物の粒子の合計質量に基づいて固化した溶融物の粒子の、20質量%から45質量%の量で存在する、請求項16から20のいずれか1項に記載の粒状組成物。
【請求項22】
固化した溶融物の粒子が、NSAID遊離酸を完全に溶融することにより得ることができる、請求項16から21のいずれか1項に記載の粒状組成物。
【請求項23】
NSAID遊離酸が2-アリールプロピオン酸を含む、請求項16から22のいずれか1項に記載の粒状組成物。
【請求項24】
2-アリールプロピオン酸が、ラセミ体のイブプロフェン又はS(+)-イブプロフェンを含む、請求項16から23のいずれか1項に記載の粒状組成物。
【請求項25】
固化した溶融物の粒子が、NSAID遊離酸、パラセタモール及び崩壊剤を含む、請求項16から24のいずれか1項に記載の粒状組成物。
【請求項26】
崩壊剤が、固化した溶融物の粒子の合計質量に基づいて固化した溶融物の粒子の、1質量%から20質量%の量で存在する、請求項25に記載の粒状組成物。
【請求項27】
請求項1から14のいずれか1項に記載する方法により得ることができる、多くの固化した溶融物の粒子を含む、粒状組成物。
【請求項28】
請求項16から27のいずれか1項に記載する粒状組成物を含んだ投与単位の形態を含む医薬組成物。
【請求項29】
投与単位の形態が、固形の投与単位の形態、特に圧縮錠を含む、請求項28に記載する医薬組成物。
【請求項30】
投与単位の形態が更に粒子外成分を含む、請求項28又は29に記載の医薬組成物。
【請求項31】
投与単位の形態が、投与単位の形態の合計質量に基づいて、60から99.5質量%の粒状組成物を含む、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項32】
投与単位の形態が、投与単位の形態の合計質量に基づいて、0.5から40質量%の粒子外成分を含む、請求項30又は31に記載の医薬組成物。
【請求項33】
粒子外成分が、希釈剤、界面活性剤、芯剤及び滑剤から選択される1以上の賦形剤を含む、請求項28から32のいずれか1項に記載する医薬組成物。
【請求項34】
投与単位の形態が、更に薬理活性成分を含む、請求項28から33のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項35】
薬物において使用するための、請求項16から27のいずれか1項に記載する粒状組成物又は請求項28から34のいずれか1項に記載する医薬組成物。
【請求項36】
痛み及び/又は炎症及び/又は発熱の治療に使用するための、請求項16から27のいずれか1項に記載する粒状組成物又は請求項28から34のいずれか1項に記載する医薬組成物。
【請求項37】
請求項16から27のいずれか1項に記載する粒状組成物又は請求項28から34のいずれか1項に記載する医薬組成物を、必要とする哺乳動物に対して投与することを含む、痛み及び/又は炎症及び/又は発熱の治療方法。
【請求項38】
請求項16から27のいずれか1項に記載する粒状組成物又は請求項28から34のいずれか1項に記載する医薬組成物の、痛み及び/又は炎症及び/又は発熱の治療のための薬剤の製造における使用。
【請求項39】
NSAID遊離酸の、パラセタモールの圧縮性を改良するための使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2009−508916(P2009−508916A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531764(P2008−531764)
【出願日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際出願番号】PCT/GB2006/003297
【国際公開番号】WO2007/034135
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(501427803)レキット ベンキサー ヘルスケア (ユーケイ) リミテッド (11)
【Fターム(参考)】