説明

OLEDで使用するためのポリマーマトリックス中に包埋された遷移金属カルベン錯体

本発明は、少なくとも1つの遷移金属カルベン錯体を含有するポリマー材料を有機発光ダイオード(OLED)において用いる使用、少なくとも1つの選択される遷移金属カルベン錯体を含有するポリマー材料、本発明によるポリマー材料の製造方法、本発明により使用される又は本発明による少なくとも1つのポリマー材料を含有する発光層、本発明による発光層を有する有機発光ダイオード(OLED)並びに本発明による有機発光ダイオードを有する装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種の遷移金属カルベン錯体を含有するポリマー材料を有機発光ダイオード(OLED)において用いる使用、少なくとも1種の選択された遷移金属カルベン錯体を含有するポリマー材料、本発明によるポリマー材料の製造方法、少なくとも1種の本発明により使用される又は少なくとも1種の本発明によるポリマー材料を含有する発光層、本発明による発光層を有する有機発光ダイオード(OLED)並びに本発明による有機発光ダイオードを有する装置に関する。
【0002】
発光ダイオード(OLED)においては、電流によって励起された場合に光を放出する材料の特性が用いられる。OLEDは、特に陰極線管及び液晶ディスプレイの代替として、平面ディスプレイの製造のために関心が持たれている。そのコンパクトな構造及び本来より低い電流消費に基づいて、OLEDを含む装置は、特に可搬用途、例えば携帯機器、ラップトップなどで使用するために適している。
【0003】
電流による励起に際して光を発する多数の材料が提案されている。
【0004】
スピン統計的理由から、三重項発光体のエネルギー効率と出力効率は、一重項発光体と比較して極めて高い。
【0005】
従って、三重項発光体をOLEDにおいて使用することは関心が持たれている。先行技術により使用される三重項発光体は、一般に、有機金属錯体である。この有機金属錯体を発光層としてOLEDにおいて使用する際に、該有機金属錯体は、通常は、真空中での有機金属錯体の蒸着によって施与される。しかしながら蒸着法は、OLEDの大量生産のためには最適ではなく、大画面ディスプレイを有する装置の製造に関しては制限がなされる。
【0006】
従って、発光層を形成させるために溶液から被膜形で施与することができる、例えばインクジェット印刷、スピンコート又は浸漬塗布によって施与することができるポリマーの発光材料を提供することが望まれ、これは、大画面ディスプレイを容易にかつ廉価に製造することを可能にする。発光層を被膜形で施与することは、またフルカラーディスプレイ(RGBディスプレイ)の製造のためにも関心が持たれている。
【0007】
従って、OLEDにおける発光体材料として特に関心が持たれているものは、三重項発光体を含有するポリマー材料である。
【0008】
WO03/080687号は、ポリマー主鎖を有し、そこに金属錯体がスペーサーを介して結合されているポリマー化合物に関する。このポリマー化合物を用いると、白色発光材料を調製することができ、かつ所望の色のルミネセンスを可能にすることができる。従って、該ポリマー化合物はOLEDにおいて使用される。金属錯体としては、Ir、Pt、Rh又はPdの金属錯体が使用される。前記錯体は、配位子として、有利には環状の窒素含有配位子並びにアセチルアセトナト配位子を有し、後者を介してポリマー主鎖に結合がなされる。
【0009】
DE−A10109027号は、ハロゲンで官能化されている、ロジウム錯体及びイリジウム錯体に関する。前記のロジウム錯体及びイリジウム錯体は、燐光発光体である。そのハロゲン官能に基づき、該錯体は、更に官能化されていてよく、又は相応のポリマーの製造に際して(コ)モノマーとして使用することができる。例えば、該官能化された錯体は、ポリフルオレン、ポリスピロビフルオレン、ポリパラフェニレン、ポリカルバゾール又はポリチオフェン中に重合導入されていてよい。
【0010】
EP−A1245659号は、ポリマーの発光性物質であって、数平均分子量103〜108を有するポリスチレンを有し、そのポリスチレンが主鎖又は側鎖中に金属錯体を含有し、該錯体が励起された三重項状態から発光を示す物質に関する。遷移金属カルベン錯体の使用は挙げられていない。
【0011】
従って、本願の課題は、三重項発光体を含有し、かつOLEDにおける発光層として適したポリマー材料であって、該材料の施与が溶液から可能である材料を提供することである。該材料は、電磁スペクトルの青色領域、赤色領域及び緑色領域におけるエレクトロルミネセンスのために適しているべきであり、それによりフルカラーディスプレイの製造が可能である。
【0012】
前記課題は、少なくとも1種のポリマーと、
式I
【化1】

[式中、
1は、Co、Rh、Ir、Nb、Pd、Pt、Fe、Ru、Os、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Cu、Ag及びAuからなる群から選択される金属原子であって、相応の金属原子について可能な各々の酸化段階の金属原子であり、
carbenは、中性又はモノアニオン性であってよく、かつ一座、二座又は三座であってよいカルベン配位子であり、該カルベン配位子は、またビスカルベン配位子又はトリスカルベン配位子であってもよく、
Lは、モノアニオン性又はジアニオン性の配位子、有利にはモノアニオン性の配位子であって、一座又は二座であってよい配位子であり、
Kは、中性の一座又は二座の配位子であり、
nは、カルベン配位子の数であり、その際、nは、少なくとも1であり、かつn>1の場合に式Iのカルベン配位子は、同一又は異なってよく、
mは、配位子Lの数であり、その際、mは、0又は≧1であってよく、かつm>1の場合に配位子Lは、同一又は異なってよく、
oは、配位子Kの数であり、その際、oは、0又は≧1であってよく、かつo>1の場合に配位子Kは、同一又は異なってよく、
その際、n+m+oの合計は、使用される金属原子の酸化段階及び配位数と、配位子のcarben、L及びKの配座数と、配位子のcarben及びLの電荷とに依存するが、但し、nは、少なくとも1である]で示される少なくとも1種の遷移金属錯体とを含有するが、前記少なくとも1種のポリマーがポリ(N−ビニルカルバゾール)又はポリシランではないポリマー材料を有機発光ダイオードにおいて使用することによって解決される。
【0013】
二座の配位子とは、遷移金属原子M1に2ヶ所で配位されている配位子を表す。本願の範囲では、概念"2つの配座"と概念"二座"とは同義である。
【0014】
一座の配位子とは、配位子の1ヶ所で遷移金属原子M1と配位する配位子を表す。
【0015】
本発明により使用されるポリマー材料は、発光体材料として使用することができ、その際、配位子骨格、中心金属又はポリマーを変更して、所望のポリマー材料の特性に適合させることができる。本発明によるポリマー材料をOLEDにおける発光体材料として使用することが好ましい。
【0016】
本発明により使用されるポリマー材料は、OLEDにおける発光層として使用するために極めて適している。発光層は、溶液から、例えばインクジェット印刷、スピンコート又は浸漬塗布によって施与することができるので、本発明により使用されるポリマー材料を用いれば容易にかつ廉価に大画面ディスプレイを製造することができる。前記の本発明により使用されるポリマー材料は、同様に、フルカラーディスプレイ(RGBディスプレイ)の製造のために関心が持たれている。
【0017】
ポリマー材料とは、本願の範囲では、少なくとも1種の式Iの遷移金属錯体と少なくとも1種のポリマーとの混合物を意味するのと同様に、少なくとも1種の式Iの遷移金属錯体と共有結合されている少なくとも1種のポリマーをも表す。式Iの遷移金属錯体が、少なくとも1種のポリマーと共有結合されている場合に、配位子のL、K及び/又はcarbenの1種、有利には1〜3種、特に有利には1又は2種は、該ポリマーに対して1又は複数の結合位置、有利には1〜3の結合位置、特に有利には1又は2の結合位置を有する。該錯体が1より多い結合位置を有する場合に、同一の配位子のL、K又はcarbenに該結合位置が存在してよく、又は式Iの遷移金属錯体が1より多くの配位子L、K又はcarbenを有する場合には、異なる配位子L、K又はcarbenに該結合位置が存在してよい。
【0018】
特に有利には、一般式Iの遷移金属錯体は、Os、Rh、Ir、Ru、Pd及びPtからなる群から選択される金属原子M1を有し、その際、Os(IV)、Rh(III)、Ir(I)、Ir(III)、Ru(III)、Ru(IV)、Pd(II)及びPt(II)が好ましい。特に有利に使用される金属原子は、Ru、Rh、Ir及びPtであり、有利にはRu(III)、Ru(IV)、Rh(III)、Ir(I)、Ir(III)及びPr(II)である。殊に有利には、金属原子M1としてIr又はPtが使用され、好ましくはIr(III)又はPt(II)が使用され、特に好ましくはIr(III)が使用される。
【0019】
好適なモノアニオン性又はジアニオン性の配位子L、有利にはモノアニオン性の配位子Lであって、一座又は二座であってよい配位子Lは、通常は、一座又は二座の、モノアニオン性又はジアニオン性の配位子として使用される配位子である。
【0020】
好適なモノアニオン性の一座の配位子は、例えばハロゲン化物イオン、特にCl-及びBr-、擬ハロゲン化物イオン、特にCN-、シクロペンタジエニル(Cp-)(その際、シクロペンタジエニル基は、アルキル置換基、有利にはメチル又はt−ブチルで置換されていてよい)、インデニル(その際、インデニル基は、場合によりアルキル置換基、有利にはメチルで置換されていてよい)、遷移金属M1とσ結合を介して結合されるアルキル基、例えばCH3、遷移金属M1とσ結合を介して結合されるアルキル−アリール基、例えば便じる、アルコレート、例えばOCH3-、トリフルオロスルホネート、カルボキシレート、チオレート、アミドである。
【0021】
好適なモノアニオン性の二座の配位子は、例えばβ−ジケトネート、例えばアセチルアセトネート及びその誘導体、ピコリネート、アミノ酸アニオン並びにWO02/15645号に挙げられる二座のモノアニオン性の配位子であり、その際、アセチルアセトネート及びピコリネートが好ましい。
【0022】
好適な中性の一座又は二座の配位子Kは、有利には、ホスフィン、有利にはトリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン又はアルキルアリールホスフィン、特に有利にはPAr3(その際、Arは、置換又は非置換のアリール基であり、かつPAr3中の3つのアリール基は、同一又は異なってよい)、特に有利にはPPh3、PEt3、PnBu3、PEt2Ph、PMe2Ph、PnBu2Ph;ホスホネート及びその誘導体、アルセネート及びその誘導体、ホスファイト、CO;ピリジン(ピリジンは、アルキル基又はアリール基で置換されていてよい);ニトリル及び、M1とπ錯体を形成するジエン、有利にはη4−1,4−ジベンジル−1,3−ブタジエン、η4−1,3−ペンタジエン、η4−1−フェニル−1,3−ペンタジエン、η4−1,4−ジベンジル−1,3−ブタジエン、η4−2,4−ヘキサジエン、η4−3−メチル−1,3−ペンタジエン、η4−1,4−ジトリル−1,3−ブタジエン、η4−1,4−ビス(トリメチルシリル)−1,3−ブタジエン及びη2−もしくはη4−シクロオクタジエン(それぞれ1,3及びそれぞれ1,5)、η2−シクロオクテン、特に有利には1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、1−フェニル−1,3−ペンタジエン、2,4−ヘキサジエン、ブタジエン、η2−シクロオクテン、η4−1,3−シクロオクタジエン及びη4−1,5−シクロオクタジエンである。
【0023】
特に有利な中性の一座の配位子は、PPh3、P(OPh)3、AsPh3、CO、ピリジン及びニトリルからなる群から選択される。好適な中性の二座の配位子は、特に有利にはη4−1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、η4−1−フェニル−1,3−ペンタジエン、η4−2,4−ヘキサジエン、η4−シクロオクタジエン及びη2−シクロオクタジエン(それぞれ1,3及びそれぞれ1,5)である。
【0024】
使用される金属M1の配位数並びに使用される配位子L、K及びcarbenの性質と数とに依存して、相応の金属錯体の種々の異性体は、同じ金属M1の場合に、かつ使用される配位子K、L及びcarbenの同じ性質と数との場合に存在してよい。例えば、配位数6を有する金属M1との錯体(従って六座錯体)、例えばIr(III)錯体の場合に、一般組成MA24の錯体である場合には、シス/トランス異性体が可能であり、同様に、一般組成MA33の錯体である場合には、fac/mer異性体(facial/meridional異性体)も可能である。配位数4を有する金属M1との正方平面型錯体、例えばPt(II)錯体の場合に、一般組成MA22の錯体である場合には、シス/トランス異性体が可能である。記号A及びBは、それぞれ配位子の結合位置であり、その際、一座配位子だけでなく、二座配位子も存在することができる。非対称の二座配位子は、上述の一般組成によれば、群A及び群Bを有する。
【0025】
当業者には、シス/トランス異性体あるいはfac/mer異性体が何を意味するかは知られている。八座錯体の場合に、シス異性体は、組成MA24の錯体である場合には、両方の群Aは隣接した八面体の頂点を占有しており、一方で、トランス異性体である場合には、両方の群Aが、八面体の互いに向かい合った頂点を占有していることを意味する。組成MA33の錯体の場合に、同じ種類の3つの群は、八面体表面に頂点を有する(facial異性体)か、又は経線を有する、すなわち3つの配位子結合位置の2つが互いにトランス位にある(meridional異性体)。八座の金属錯体におけるシス/トランス異性体あるいはfac/mer異性体の定義に関しては、例えばJ.Huheey,E.Keiter,R.Keiter,Anorganische Chemie:Prinzipien von Struktur und Reaktivitaet、Ralf Steudel訳の第二改訂拡張版,Berlin;New York:de Gruyter,1995,第575,576頁を参照のこと。
【0026】
正方平面錯体の場合には、シス異性体は、組成MA22の錯体である場合には、両方の群Aも両方の群Bも、隣接した四面体の頂点を占有し、一方で、トランス異性体である場合には、両方の群Aも両方の群Bも、それぞれ互いに対角に向かい合った四面体の頂点を占有していることを意味する。正方平面金属錯体におけるシス/トランス異性体の定義に関しては、例えばJ.Huheey,E.Keiter,R.Keiter,Anorganische Chemie:Prinzipien von Struktur und Reaktivitaet、Ralf Steudel訳の第二改訂拡張版,Berlin;New York:de Gruyter,1995,第557〜559頁を参照のこと。
【0027】
カルベン配位子の数nは、遷移金属錯体であって、その遷移金属原子が配位数6を有するIr(III)である場合には、1〜3、有利には2又は3、特に有利には3である。nが1より大きくなりうる場合に、カルベン配位子は、同一又は異なってよい。
【0028】
カルベン配位子の数nは、遷移金属錯体であって、その遷移金属原子が配位数4を有するPt(II)である場合には、1又は2、有利には2である。nが1より大きくなりうる場合に、カルベン配位子は、同一又は異なってよい。
【0029】
モノアニオン性配位子Lの数mは、上述の場合には、0〜2、有利には0〜1、特に有利には0である。mが1より大きくなりうる場合に、配位子Lは、同一又は異なってよく、有利には配位子Lは同一である。
【0030】
中性配位子Kの数oは、Ir(III)の配位数6又はPt(II)の配位数4が、カルベン配位子及び配位子Lにより既に達成されているかどうかに依存している。Ir(III)が使用される場合に、nが2であり、かつ2つのモノアニオン性の二座のカルベン配位子が使用される場合には、oは上述の場合には同様に0である。Pt(II)が使用される場合に、nが2であり、かつ2つのモノアニオン性の二座のカルベン配位子が使用される場合には、oはこの場合には同様に0である。
【0031】
少なくとも1つの遷移金属錯体とポリマーとが共有結合している場合に、その結合は、1又は複数の配位子K、L及びcarbenを介して行われうる。
【0032】
有利には、少なくとも1つのカルベン配位子を介した結合が行われる。
【0033】
少なくとも1つの式Iの遷移金属錯体と少なくとも1つのポリマーとの共有結合は、式Iの遷移金属錯体の1又は複数の好適な結合位置を介して、ポリマーの1又は複数の結合位置と行われる。当業者には、以下に挙げる実施態様において、少なくとも1つの式Iの遷移金属錯体に存在する結合位置の100%が、ポリマーに存在する結合位置の100%と反応し得ないことは知られている、例えば不完全に反応することは知られている。すなわち、以下に挙げられる実施態様においてポリマーと共有結合した式Iの遷移金属錯体には、場合により、ポリマーと遷移金属錯体のいずれにも未反応の結合位置を有するか、あるいはポリマーと遷移金属錯体のいずれかに未反応の結合位置を有する実施態様も含む。以下の実施態様においては、明瞭化の理由から、100%の結合の理想的な場合であるが、一般に100%の結合は行われないので、少なくとも1つの式Iの遷移金属錯体とポリマーとの共有結合後に、少なくとも1つの式Iの遷移金属錯体及び/又はポリマーにおいて未反応の結合位置が存在しうることを顧慮すべきである。
【0034】
ポリマーへの結合が1つより多くの結合位置を介して行われる、特に2又は3つの結合位置を介して行われる場合に、これらの結合位置は、同一の又は異なる配位子に存在してよい。有利には、全ての結合位置は、カルベン配位子に存在する。
【0035】
少なくとも1つのポリマーの好適な結合位置及び少なくとも1つの式Iの遷移金属錯体の好適な結合位置は、例えばハロゲン、例えばBr、I又はCl、アルキルスルホニルオキシ、例えばトリフルオロメタンスルホニルオキシ、アリールスルホニルオキシ、例えばトルエンスルホニルオキシ、ホウ素含有基、OH、COOH、活性化されたカルボキシル基、例えば酸ハロゲン化物、酸無水物又はエステル、−N≡N+-(その際、X-は、ハロゲン化物イオン、例えばCl-又はBr-を意味する)、SH、SiR2′′X(その際、Xは、F、Cl及びBrから選択されるハロゲンを意味する)及びNHR(その際、R及びR′′は、水素、アリール又はアルキルを意味する)からなる群から選択され、かつ前記基は、単結合を介して直接的に配位子L、K又はcarben、有利にはcarbenあるいはポリマーに結合されていてよく、又は前記基は、リンカー、つまり−(CR′2q−(その際、R′は、無関係に水素、アルキル又はアリールを意味し、かつqは1〜15、有利には1〜11であり、そのリンカー−(CR′2q−の1又は複数のメチレン基は−O−、−S−、−N(R)−、−Si(R2)−、−CON(R)−、−CO−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−CH=CH−又は−C≡C−によって交換されていてよく、その際、Rは水素、アリール又はアルキルを意味する)を介して、配位子L、K又はcarben、有利にはcarbenあるいはポリマーの1つに結合されているか、又はリンカーとしてのC6〜C18−アリーレン基(該基は、場合によりアルキル基、アリール基、ハロゲン、CN又はNO2のような置換基で置換されていてよい)を介してそれらに結合されていてよい。上述の基は、この場合に、それぞれのポリマー上の官能基が、それぞれの少なくとも1つの遷移金属錯体上の官能基と反応可能であるように選択される。好適な反応可能な組み合わせは、当業者には公知であり、以下に挙げられている。
【0036】
一実施態様では、本発明により使用されるポリマー材料は、式IA
【化2】

[式中、記号は以下の意味を有する:
Do1は、C、N、O、P及びS、N、O、P及びS、特に有利にはNからなる群から選択されるドナー原子であり;
rは、Do1がCの場合に2であり、Do1がN又はPの場合に1であり、かつDo1がO又はSの場合に0であり;
1、Y2は、それぞれ互いに無関係に、水素又は、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基及びアルケニル基、有利にはアルキル基及びアリール基からなる群から選択される炭素含有基であるか、又は
1及びY2は、一緒になって、ドナー原子Do1と窒素原子Nとの間に架橋を形成し、該架橋は、少なくとも2つの原子、有利には2〜3つの原子、特に有利には2つの原子を有し、そのうち少なくとも1つは炭素原子であり、かつ他の原子は、窒素原子又は炭素原子であることが好ましく、その際、該架橋は、飽和又は不飽和、有利には不飽和であってよく、かつ架橋の少なくとも2つの原子は、置換又は非置換であってよい;基Y1及びY2の置換基は、一緒になって、全体で3〜5つ、有利には4つの原子を有する架橋を形成してよく、そのうち1又は2つの原子は、ヘテロ原子、有利にはNであってよく、かつ残りの原子は、炭素原子であるので、Y1及びY2は、この架橋と一緒になって、5員ないし6員の、有利には6員の間を形成し、該環は、場合により2つの二重結合を、又は6員又は7員環の場合には、3つの二重結合を有してよく、かつ場合によりアルキル基又はアリール基で置換されていてよく、かつ場合によりヘテロ原子、有利にはNを有してよく、その際、アルキル基又はアリール基で置換された又は非置換の6員の芳香族環が好ましく、又は有利な6員の芳香族環は、場合により少なくとも1つのヘテロ原子、有利にはNを有してよい他の環、有利には6員の芳香族環と縮合されており;
3、Y4は、それぞれ互いに無関係に、水素基、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はアルケニル基;有利には水素、アルキル基、ヘテロアリール基又はアリール基であり、その際、
1、Y2、Y3及びY4は、同時に水素でありえない]で示される少なくとも1つの遷移金属錯体を有する。記号M1、L、K並びにn、m及びoは、既に上述した。
【0037】
本願の範囲においては、概念アリール残基又はアリール基、ヘテロアリール残基又はヘテロアリール基、アルキル残基又はアルキル基、アルケニル残基又はアルケニル基は、以下の意味を有する:
アリール残基(又はアリール基)とは、6〜30個の炭素原子、有利には6〜18個の炭素原子の基本骨格を有する基であって、1つの芳香環又は複数の縮合された芳香環から構成されている基を表す。好適な基本骨格は、例えばフェニル、ナフチル、アントラセニル又はフェナントレニルである。前記の基本骨格は、非置換であってよい(すなわち、置換可能な全ての炭素原子は水素原子を有する)、又は基本骨格の1つ、複数又は全ての置換可能な位置は置換されていてよい。好適な置換基は、例えばアルキル基、有利には1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、特に有利にはメチル、エチル又はi−プロピル、アリール基、有利にはC6〜C22−アリール基、特に有利にはC6〜C18−アリール基、殊に有利にはC6〜C14−アリール基、すなわちフェニル、ナフチル、フェナントレニル又はアントラセニル基本骨格を有するアリール基であって、更に置換又は非置換であってよいアリール基、ヘテロアリール基、有利にはヘテロアリール基であって、少なくとも1つの窒素原子を有するヘテロアリール基、特に有利にはピリジル基、アルケニル基、有利にはアルケニル基であって、二重結合を1つ有するアルケニル基、特に有利には1つの二重結合を有しかつ1〜8個の炭素原子を有するアルケニル基又はドナー作用もしくはアクセプタ作用を有する基である。ドナー作用を有する基とは、+I効果及び/又は+M効果を有する基を表し、かつアクセプター作用を有する基とは、−I効果及び/又は−M効果を有する基を表す。ドナー作用もしくはアクセプター作用を有する好適な基は、ハロゲン基、有利にはF、Cl、Br、特に有利にはF、アルコキシ基、アルコキシ基、カルボニル基、エステル基、アミン基、アミド基、CH2F基、CHF2基、CF3基、CN基、チオ基又はSCN基である。有利には、アリール残基又はアリール基は、C6〜C14−アリール基であり、該アリール基は、場合により上述の置換基の少なくとも1つで置換されている。特に有利には、C6〜C14−アリール基は、上述の置換基の1又は2つを有し、その際、C6−アリール基の場合に、1つの置換基は、アリール基の他の結合位置に対してオルト位、メタ位又はパラ位に配置されており、かつ2つの置換基の場合に、それぞれアリール基の他の結合位置に対してメタ位又はオルト位に配置されているか又は1つの基がオルト位で1つの基がメタ位で配置されていてよい。
【0038】
ヘテロアリール残基又はヘテロアリール基とは、アリール基の基本骨格において少なくとも1つの炭素が1つのヘテロ原子によって交換されている点で前記のアリール基と異なる基を表す。
【0039】
有利なヘテロ原子は、N、O及びSである。殊に有利には、アリール基の基本骨格の1又は2つの炭素原子は、ヘテロ原子によって交換されている。特に、ピリジルのような系及び5員の複素芳香族化合物、例えばピロール、フランから選択される骨格が好ましい。該基本骨格は、その基本骨格の1つ、複数又は全ての置換可能な位置で置換されていてよい。好適な置換基は、既にアリール基に関して挙げたのと同じ置換基である。
【0040】
アルキル残基又はアルキル基とは、1〜20個の炭素原子、有利には1〜10個の炭素原子、特に有利には1〜8個の炭素原子を有する基を表すべきである。前記のアルキル基は、分枝鎖状又は非分枝鎖状であってよく、かつ場合により1又は複数のヘテロ原子、有利にはN、O、Si又はSによって中断されていてよい。更に、前記のアルキル基は、アリール基に関して挙げた置換基1又は複数で置換されていてよい。同様に、該アルキル基は、1つ又は複数のアリール基を有することも可能である。この場合に、前記のアリール基の全てが適している。特に、メチル及びイソプロピルからなる群から選択されるアルキル基が好ましい。
【0041】
アルケニル残基又はアルケニル基とは、少なくとも2個の炭素原子を有する上述のアルキル基に相当するが、アルキル基の少なくとも1つのC−C単結合が1つのC−C二重結合によって交換されていることが異なる基を表すべきである。有利には、アルケニル基は、1又は2つの二重結合を有する。
【0042】
少なくとも2つの原子を有し、そのうち少なくとも1つが炭素原子であり、かつ他の原子が有利には窒素原子又は炭素原子である架橋であって、飽和又は有利には不飽和であってよく、かつ少なくとも2つの架橋の原子が置換又は非置換であってよい架橋とは、以下の基を表すべきである:
− 2つの炭素原子を有するか1つの炭素原子と1つの窒素原子を有する架橋であって、炭素原子もしくは炭素原子と窒素原子とが二重結合によって互いに結合されているので、以下の式の1つを有し、有利には2つの炭素原子を有する架橋:
【化3】

[式中、
13及びR14は、互いに無関係に水素、アルキル又はアリールを意味するか、又は
13及びR14は、一緒になって、全体で3〜5個、有利には4個の原子を有する架橋を形成し、そのうち場合により1又は2つの原子が、ヘテロ原子、有利にはNであってよく、かつ残りの原子は炭素原子なので、この基は、5員ないし7員、有利には6員の環を形成し、該環は、場合により、既に存在する二重結合の他に、1つの他の二重結合を、又は6員又は7員の環の場合には、2つの他の二重結合を有してよく、かつ場合によりアルキル基又はアリール基で置換されていてよく、又は縮合されていてよい]。その場合に、6員の芳香族環であることが好ましい。該環は、アルキル基又はアリール基で置換されているか又は非置換であってよい。更に、前記の芳香族環、有利には前記の6員の芳香族環に、1又は複数の他の芳香族環が縮合されていてよい。この場合に、それぞれ考えられる縮合が可能である。これらの縮合された基は、更に置換されていてよく、有利にはアリール基の一般的な定義で挙げた基で置換されていてよい。
【0043】
− 2つの炭素原子を有する架橋であって、炭素原子が1つの単結合によって互いに結合されているので、以下の式を有する架橋:
【化4】

[式中、
4、R5、R6及びR7は、互いに無関係に、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルケニルを意味し、有利には水素、アルキル又はアリールを意味する]。
【0044】
式IAの少なくとも1つの遷移金属錯体とポリマーとが1又は複数のカルベン配位子を介して共有結合している場合に、該結合は、基Y1、Y2、Y3又はY4の少なくとも1つを介して行われてよく、前記基は、ポリマーに対して、少なくとも1つ、有利には1〜3つ、特に有利には1又は2つの結合位置を有する。有利には、基Y1、Y2、Y3又はY4の少なくとも1つは、アリール基又はヘテロアリール基であり、前記基は、少なくとも1つ、有利には1〜3つ、特に有利には1又は2つの、ポリマーに対する結合位置を有する。Y1及びY2が、アリール基の一部である架橋を形成する場合に、このアリール基は、1〜3つ、有利には1又は2つの、ポリマーに対する結合位置を有してよい。結合位置が1つより多い場合に、錯体の結合位置は、異なる基Y1、Y2、Y3又はY4、有利にはY3又はY4に存在するか、又は同一の基に存在してよい。同様に、例えば結合位置が2つである場合に、該結合位置は2つの異なるカルベン配位子に、例えばそれぞれのカルベン配位子のそれぞれのY3又はY4にか又はそれぞれのカルベン配位子のY1及びY2から形成されるアリール基に存在することが可能である。しかしながらまた、2つの結合位置がそれぞれのカルベン配位子の異なる基に、例えば1つのカルベン配位子のY3と他のカルベン配位子のY1及びY2から形成されるアリール基に存在することも可能である。
【0045】
殊に、式IAの遷移金属錯体中のM1は、Ir(III)又はPt(II)、特に有利にはIr(III)であることが好ましい。
【0046】

【化5】

は、殊に有利には、
【化6】

[式中、記号は以下の意味を有する:
4、R5、R6、R7、R8、R9及びR11は、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル又は、ハロゲン基、有利にはF、Cl、Br、特に有利にはF、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニル基、エステル基、アミン基、アミド基、CH2F基、CHF2基、CF3基、CN基、チオ基及びSCN基から有利には選択されるドナー作用もしくはアクセプター作用を有する置換基であり;その際、式aの基においては、基R4、R5、R6又はR7の1つ又は2つが、式bの基においては、基R8又はR9の1つ又は2つが、式dの基においては、基R11が、1つの又は(式a及び式bの基においては)1つ又は2つの、ポリマーとの共有結合に適した基によって交換されていてよく;有利には、式bの基においては、基R8又はR9の1つ又は2つが、式dの基においては、基R11が、1つの又は(式bの基においては)1つ又は2つの、ポリマーとの共有結合に適した基によって交換されていてよく;
10は、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、有利にはアルキル、ヘテロアリール又はアリールであるか、又はそれぞれ2つの基R2は、一緒になって1つの縮合された環を形成し、該環は、場合により、少なくとも1つのヘテロ原子、有利にはNを有してよく、有利には、それぞれ2つの基R10は、一緒になって、1つの縮合された芳香族のC6環を形成し、その際、この芳香族環、有利にはこの6員の芳香族環に、場合により1又は複数の他の芳香族環が縮合されていてよく、その際、それぞれ考えられる縮合が可能であり、かつ縮合された基は更に置換されていてよく;又はR10は、ドナー作用又はアクセプター作用を有する基、有利にはハロゲン基、有利にはF、Cl、Br、特に有利にはF;アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニル基、エステル基、アミノ基、アミド基、CHF2、CH2F、CF3、CN、チオ基及びSCNから選択される基を意味し;
vは、0〜4、有利には0、1又は2、殊に有利には0であり、その際、vが0である場合には、式c中のアリール基の全ての4つの可能な置換基は、水素原子であり、その際、式cの基はそのアリール基で、場合により存在する基R10の他に、1つ又は2つの、ポリマーとの共有結合に適した基を有してよい]からなる群から選択される。
【0047】
基Y3及びY4は、既に前記で定義した。
【0048】
本発明の更なる有利な一実施態様では、一般式Iの中性の遷移金属錯体における少なくとも1つのカルベン配位子は、二座及び/又はモノアニオン性のカルベン配位子である。殊に、少なくとも1つのカルベン配位子は、モノアニオン性の二座のカルベン配位子であることが好ましい。
【0049】
殊に有利には、式Iの遷移金属錯体における少なくとも1つのカルベン配位子は、以下の式(II)
【化7】

[式中、記号は以下の意味を有する:
Do1は、C、P、N、O及びS、有利にはP、N、O及びS、特に有利にはNからなる群から選択されるドナー原子であり;
Do2は、C、N、P、O及びSからなる群から選択されるドナー原子であり;
rは、Do1がCの場合に2であり、Do1がN又はPの場合に1であり、かつDo1がO又はSの場合に0であり;
sは、Do2がCの場合に2であり、Do2がN又はPの場合に1であり、かつDo2がO又はSの場合に0であり;
Xは、シリレン、アルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン又はアルケニレン、有利にはアルキレン又はアリーレン、特に有利にはC1〜C3−アルキレン又はC6−1,4−アリーレンからなる群から選択されるスペーサーであり、その際、4つの他の炭素原子の少なくとも1つは、場合により、メチル基、エチル基、n−プロピル基もしくはi−プロピル基又は、ハロゲン基、有利にはF、Cl、Br、特に有利にはF、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニル基、エステル基、アミノ基、アミド基、CHF2、CH2F、CF3、CN、チオ基及びSCN基から選択されるドナー作用もしくはアクセプター作用を有する基で置換されていてよく、殊に有利にはメチレン、エチレン又は1,4−フェニレンであり;
pは、0又は1、有利には0であり;
qは、0又は1、有利には0であり;
1、Y2は、それぞれ互いに無関係に、水素又は、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基及びアルケニル基;有利にはアルキル基、ヘテロアリール基及びアリール基からなる群から選択される炭素含有基であるか、又は
1及びY2は、一緒になって、ドナー原子Do1と窒素原子Nとの間に架橋を形成し、該架橋は、少なくとも2つの原子、有利には2〜3つの原子、特に有利には2つの原子を有し、そのうち少なくとも1つは炭素原子であり、その際、少なくとも1つの他の原子は、有利には窒素原子であり、その際、該架橋は、飽和又は不飽和であり、有利には不飽和であってよく、かつ該架橋の少なくとも2つの原子は置換又は非置換であってよく;基Y1及びY2の置換基は、一緒になって、全体で3〜5つ、有利には4つの原子を有する架橋を形成してよく、そのうち1又は2つの原子はヘテロ原子、有利にはNであってよく、かつ残りの原子は炭素原子であるので、Y1及びY2は、前記の架橋と一緒になって、5員ないし6員の、有利には6員の環を形成し、該環は、場合により2つ又は(6員又は7員の環の場合には)3つの二重結合を有してよく、かつ場合によりアルキル基又はアリール基で置換されていてよく、かつ場合によりヘテロ原子、有利にはNを有してよく、その際、アルキル基もしくはアリール基で置換されているか又は非置換の6員の芳香族環が好ましく、又は有利な6員の芳香族環は、場合により少なくとも1つのヘテロ原子、有利にはNを有してよい他の環、有利には6員の芳香族環と縮合されており;
3は、水素基、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はアルケニル基、有利には水素、アルキル基、ヘテロアリール基又はアリール基又は
【化8】

(式中、Do2'、q′、s′、R3'、R1'、R2'、X′及びp′は、無関係に、Do2、q、s、R3、R1、R2、X及びpと同じ意味を有する)であり;
1、R2は、互いに無関係に、水素、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はアルケニル基、有利には水素、アルキル基、ヘテロアリール基又はアリール基であるか;又は
1及びR2は、一緒になって、全体で3〜5つ、有利には4つの原子を有する架橋を形成し、そのうち1又は2つの原子は、ヘテロ原子、有利にはNであってよく、かつ残りの原子は炭素原子であるので、基
【化9】

は、5員ないし6員の、有利には6員の環を形成し、該環は、場合により、既に存在する二重結合の他に、1つ又は(6員又は7員の環の場合には)2つの他の二重結合を有してよく、かつ場合によりアルキル基又はアリール基で置換されていてよく、かつ場合によりヘテロ原子、有利にはNを有してよく、その際、アルキル基もしくはアリール基で置換された又は非置換の6員の芳香族環が好ましく、又は有利な6員の芳香族環は、場合により少なくとも1つのヘテロ原子、有利にはNを有してよい他の環と、有利には6員の芳香族環と縮合されており;
3は、水素、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はアルケニル基、有利には水素、アルキル基、ヘテロアリール基又はアリール基である]を有する。
【0050】
式IIで示され、その式中、p及び/又はqが0である配位子が好ましく、すなわち式IIの配位子中には、スペーサーX及び/又はドナー原子Do2は存在しない。
【0051】

【化10】

は、殊に有利には、
【化11】

[式中、記号は以下の意味を有する:
4、R5、R6、R7、R8、R9及びR11は、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル又は、ハロゲン基、有利にはF、Cl、Br、特に有利にはF、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニル基、エステル基、アミン基、アミド基、CH2F基、CHF2基、CF3基、CN基、チオ基及びSCN基、有利には水素、アルキル、ヘテロアリール又はアリールから有利には選択されるドナー作用もしくはアクセプター作用を有する置換基であり;その際、式aの基においては、基R4、R5、R6又はR7の1つ又は2つが、式bの基においては、基R8又はR9の1つ又は2つが、式dの基においては、基R11が、1つの又は(式a及び式bの基においては)1つ又は2つの、ポリマーとの共有結合に適した基によって交換されていてよく;有利には、式bの基においては、基R8又はR9の1つ又は2つが、式dの基においては、基R11が、1つの又は(式bの基においては)1つ又は2つの、ポリマーとの共有結合に適した基によって交換されていてよく;
10は、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、有利にはアルキル又はアリールであるか、又はそれぞれ2つの基R2は、一緒になって1つの縮合された環を形成し、該環は、場合により、少なくとも1つのヘテロ原子、有利にはNを有してよく、有利には、それぞれ2つの基R10は、一緒になって、1つの縮合された芳香族のC6環を形成し、その際、この芳香族環、有利にはこの6員の芳香族環に、場合により1又は複数の他の芳香族環が縮合されていてよく、その際、それぞれ考えられる縮合が可能であり、かつ縮合された基は更に置換されていてよく;又はR10は、ドナー作用又はアクセプター作用を有する基、有利にはハロゲン基、有利にはF、Cl、Br、特に有利にはF;アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニル基、エステル基、アミノ基、アミド基、CHF2、CH2F、CF3、CN、チオ基及びSCNから選択される基を意味し;
vは、0〜4、有利には0、1又は2、殊に有利には0であり、その際、vが0である場合には、場合によりR10で置換された式cにおけるアリール基の4つの炭素原子は、水素原子を有し、その際、式cの基はそのアリール基で、場合により存在する基R10の他に、1つ又は2つの、ポリマーとの共有結合に適した基を有してよく、
3は、既に上記に定義した]からなる群から選択される。
【0052】
式IIのカルベン配位子の基
【化12】

は、有利には
【化13】

[式中、記号は以下の意味を有する:
Zは、CH又はNであり、その際、Zは、該基とカルベン配位子との結合位置に対してo位、m位又はp位に配置されていてよく;
12は、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はアルケニル基、有利にはアルキル基又はアリール基であるか、又はそれぞれ2つの基R12は、一緒になって1つの縮合された環を形成し、該環は、場合により少なくとも1つのヘテロ原子、有利にはNを有してよく、有利にはそれぞれ2つの基R12は、一緒になって、1つの縮合された芳香族のC6環を形成し、その際、この芳香族環、有利にはこの6員の芳香族環に、場合により1又は複数の他の芳香族環が縮合されていてよく、その際、考えられる縮合が可能であり、かつ縮合された基は更に置換されていてよく;又はR12は、ドナー作用もしくはアクセプター作用を有する基、有利にはハロゲン基、有利にはF、Cl、Br、特に有利にはF;アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニル基、エステル基、アミノ基、アミド基、CHF2、CH2F、CF3、CN、チオ基及びSCNからなる群から選択される基を意味し;
tは、0〜3であり、その際、tが1より大きい場合に、基R12は、同一又は異なってよく、有利にはtは0又は1であり、その際、該基は、場合により存在する基R12の他に、1又は2つの、ポリマーとの共有結合に適した基を有してよい]を意味する。
【0053】
式IIのカルベン配位子において、Y3は、上記に定義した基と同一又はそれとは異なってよく、かつ以下の、既に上述した意味を有してよい:
3は、水素基、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はアルケニル基、有利には水素、アルキル基、ヘテロアリール基又はアリール基又は
【化14】

[式中、Do2'、q′、s′、R3'、R1'、R2'、X′及びp′は、無関係に、Do2、q、s、R3、R1、R2、X及びpと同じ意味を有する]を意味する。
【0054】
式IIで示され、その式中、Y4、すなわち式
【化15】

の基が、構造
【化16】

を意味し、かつY3
【化17】

を意味するカルベン配位子の他に、式中、Y4、すなわち式
【化18】

の基が、構造
【化19】

を意味し、Y3が水素基、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はアルケニル基、有利には水素、アルキル基、ヘテロアリール基又はアリール基を意味するカルベン配位子が適している。
【0055】
記号の定義は、上述の定義に相当する。
【0056】
式IAの少なくとも1つの遷移金属錯体とポリマーとが結合する場合に、その結合は、有利には、式IIのカルベン配位子1つ又は複数を介して行われ、該カルベン配位子は、式
【化20】

の少なくとも1つの基を基Y3又はY4として有し、その際、この少なくとも1つの基は、ポリマーへの結合位置少なくとも1つを有する。式IAの遷移金属錯体の結合が1つの結合位置を介して行われる場合に、この結合は、基
【化21】

又は基
【化22】

のいずれかに存在する。結合位置が2つである場合に、両方の結合位置は、同じ基に存在するか又は上述の基のそれぞれ1つに存在してよく、後者が好ましい。同様に、それらの2つの結合位置が2つの異なるカルベン配位子に存在することも可能である。それらの結合位置は、それぞれ同じ基に存在してよく、例えばそれぞれ異なるカルベン配位子中の基Y3に存在するか又は異なる基に存在してよく、例えばカルベン配位子中で基Y3にかつ別のカルベン配位子中で基Y4に存在してよい。
【0057】
殊に、
【化23】

[式中、記号は以下の意味を有する:
Z、Z′は、同一又は異なって、CH又はNであり;
12、R12'は、同一又は異なって、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はアルケニル基、特に有利にはアルキル基又はアリール基であるか又はそれぞれ2つの基R12もしくはR12'は、一緒になって1つの縮合された環を形成し、該環は、場合により少なくとも1つのヘテロ原子、有利にはNを有してよく、有利にはそれぞれ2つの基R12もしくはR12'は、一緒になって1つの縮合された芳香族のC6環を形成し、その際、この芳香族環、有利にはこの6員の芳香族環に、場合により1又は複数の芳香族環が縮合されていてよく、その際、それぞれ考えられる縮合が可能であり、かつ縮合された基は更に置換されていてよく;又はR12もしくはR12'は、ドナー作用もしくはアクセプター作用を有する基、有利にはハロゲン基、有利にはF、Cl、Br、特に有利にはBr又はF;アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニル基、エステル基、アミノ基、アミド基、CHF2、CH2F、CF3、CN、アリールオキシ基、チオ基及びSCNからなる群から選択される基を意味し;
t及びt′は、同一又は異なって、有利には同一であって、0〜3であり、その際、tもしくはt′が1より大きい場合には、基R12もしくはR12'は、同一又は異なってよく、有利にはtもしくはt′は、0又は1であり、基R12もしくはR12'は、tもしくはt′が1である場合には、カルベン炭素原子に隣接した窒素原子との結合位置に対してオルト位、メタ位又はパラ位に存在し;その際、場合により基R12及びR12'を有するアリール基は、場合により存在する基R12及びR12'の他に、1又は2つの、ポリマーとの共有結合に適した基を有してよく;
4、R5、R6、R7、R8、R9及びR11は、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル又はドナー作用もしくはアクセプター作用を有する置換基、有利にはハロゲン基、有利にはF、Cl、Br、特に有利にはF、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニル基、エステル基、アミン基、アミド基、CH2F基、CHF2基、CF3基、CN基、チオ基及びSCN基、有利には水素、アルキル、ヘテロアリール又はアリールから選択される置換基であり;その際、式aの基においては、基R4、R5、R6又はR7の1又は2つが、式bの基においては、基R8又はR9の1又は2つが、そして式dの基においては、基R11が、1つ又は(式a及び式bの基においては)1又は2つの、ポリマーとの共有結合に適した基によって交換されていてよく;有利には、式bの基においては、基R8又はR9の1又は2つが、そして式dの基においては、基R11が、1つ又は(式bの基においては)1又は2つの、ポリマーとの共有結合に適した基によって交換されていてよく;
10は、アルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルケニル、有利にはアルキル、ヘテロアリール又はアリールであるか、又はそれぞれ2つの基R10は、一緒になって1つの縮合された環を形成し、該環は、場合により、少なくとも1つのヘテロ原子、有利には窒素を有してよく、有利にはそれぞれ2つの基R10は一緒になって1つの縮合された芳香族のC6環を形成し、その際、この芳香族環、有利にはこの6員の芳香族環に、場合により1又は複数の他の芳香族環が縮合されていてよく、その際、それぞれ考えられる縮合が可能であり、かつ縮合された基は更に置換されていてよく;又はR10は、ドナー作用もしくはアクセプター作用を有する基、有利にはハロゲン基、有利にはF、Cl、Br、特に有利にはF;アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニル基、エステル基、アミノ基、アミド基、CHF2、CH2F、CF3、CN、チオ基及びSCNからなる群から選択される基を意味し;
vは、0〜4、有利には0、1又は2、殊に有利には0であり、その際、vが0である場合には、場合によりR10で置換された式cにおけるアリール基の4つの炭素原子は、水素原子を有し、その際、式cの基は、そのアリール基に、場合により存在する基R10の他に、1又は2つの、ポリマーとの共有結合に適した基を有してよい]からなる群から選択される式IIの少なくとも1つのカルベン配位子が好ましい。
【0058】
従って、有利に使用される式(I)の遷移金属錯体は、式IIの少なくとも1つのカルベン配位子を有する錯体であり、その際、式IIのカルベン配位子の有利な実施態様は、上述のものである。
【0059】
従って、特に有利な一般式の遷移金属錯体は、一般式(IB)
【化24】

を有する錯体である。
【0060】
記号の意味は、上述の、遷移金属(I)及びカルベン配位子(II)に関して挙げた意味に相当する。有利な実施態様は、同様に上述したとおりである。
【0061】
式IBの遷移金属錯体は、配位数6を有する金属原子M1が使用される場合には、facial異性体又はmeridional異性体として又はfacial異性体とmeridional異性体の任意の量比からなる異性体混合物として存在するが、それはその錯体が上述のような組成MA33を有する場合である。式IBの遷移金属錯体のfacial異性体又はmeridional異性体の特性に依存して、1つの異性体純粋なfacial異性体又は異性体純粋なmeridional異性体を使用するか、又はfacial異性体とmeridional異性体とからなり、その際、異性体の一方が過剰に存在するか又は異性体が同じ量で存在する異性体混合物を使用することが好ましいことがある。例えば、式IBで示され、nが3を意味し、かつm及びoが0を意味する遷移金属錯体のfacial異性体とmeridional異性体が可能である。式IBの遷移金属錯体が組成MA24を有する場合については、該遷移金属錯体は、上述のような任意の量比のシス/トランス異性体の形で存在してよい。式IBの遷移金属錯体のシス異性体又はトランス異性体の特性に依存して、異性体純粋なシス異性体又は異性体純粋なトランス異性体を使用するか、又はシス異性体とトランス異性体とからなり、その際、異性体の一方が過剰に存在するか又は異性体が同じ量で存在する異性体混合物を使用することが好ましいことがある。式IBの錯体のシス/トランス異性体は、例えば、M1が配位数6を有する金属原子であり、かつnが2を意味し、かつmが2を意味し、その際、両方の一座配位子Lが同じであり、kつoが0である場合か又はoが2を意味し、かつ両方の一座配位子Kが同じであり、かつmが0である場合に可能である。
【0062】
式IBの遷移金属錯体は、配位数4を有する金属原子M1が使用され、それが正方平面錯体を形成する場合には、シス異性体又はトランス異性体として又はシス異性体又はトランス異性体からなる任意の量比の異性体混合物として存在しうるが、それはその錯体が上述のような組成MA22を有する場合である。例えば、式IBの遷移金属錯体のシス/トランス異性体は、nが2を意味し、かつm及びoが0を意味する場合に可能である。
【0063】
遷移金属原子が配位数6を有するIr(III)である遷移金属錯体については、有利なモノアニオン性の二座のカルベン配位子の数nは、少なくとも1で最大3である。有利には、有利に使用されるモノアニオン性の二座のカルベン配位子の数は、2又は3、特に有利には3である。その際、nが1より大きい場合には、カルベン配位子は、同一又は異なってよい。遷移金属原子が配位数4を有するPt(II)である遷移金属錯体については、モノアニオン性の二座の配位子の数nは、1又は2、有利には2である。
【0064】
特に、M1が、配位数6を有するIr(III)である遷移金属錯体が好ましい。殊に、nは前記のIr(III)錯体の場合には3であり、mは0であり、oは0であり、qは0であり、pは0であり、Do1がNであり、rが1であることが好ましく、その際、他の記号は、既に上述した意味を有する。
【0065】
特に、
【化25】

[式中、記号は既に、有利には好適なカルベン配位子に関して挙げた意味を有する]からなる群から選択される式IBaないしIBdの遷移金属錯体が好ましい。式IBaないしIBdの錯体の場合には、Ir(III)に存在する3つの配位子は同一又は異なってよく、その際、共有結合している場合に、少なくとも1つの配位子は、両方の他の配位子とは異なることを顧慮すべきである。特に、それらは、ポリマーへの結合位置を有するか又は有さないかの点で、あるいは式IBaないしIBdの錯体が1つより多くの結合位置を有する場合には配位子のどの位置に結合位置が存在するかの点で異なっていてよい。
【0066】
殊に有利には、前記のIr(III)錯体とは、式b、c及びdの錯体である。特に、式b及び式cで示され、その式中、Z及びZ′がCHであり、R8及びR9がH又はアルキルであり、t、t′及びvが0を意味し、かつその他の基は既に前記に、有利には好適なカルベン配位子に関して挙げた意味を有するIr(III)錯体が好ましい。ポリマーに共有結合が行われる場合には、場合により基R12、R12'及びR10を有するアルキル基1又は複数は、ポリマーとの結合に適した基1又は2つを有してよい。
【0067】
ポリマーとの結合は、有利には上述の基
【化26】

の少なくとも1つを介して行われる。
【0068】
好適なポリマーは、例えばポリ−p−フェニレン−ビニレン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、ポリフルオランテン及びその誘導体並びにポリアセチレン及びその誘導体、ポリスチレン及びその誘導体、ポリ(メタ)アクリレート及びその誘導体、例えばポリメチルメタクリレートである。特に、ポリフルオランテン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体及びポリ−p−フェニレン−ビニレン及びその誘導体及びポリ(メタ)アクリレート及びその誘導体、例えばポリメチルメタクリレートが好ましい。更に、上述のポリマーのモノマー単位を有するコポリマーが適している。この場合に、コポリマーは、上述のポリマーの種々のモノマー単位を有してよく、例えばフルオレン単位及びフルオランテン単位から構成されるコポリマーであってよく、更に、該コポリマーは、上述のポリマーの1又は複数のモノマー単位と、更なる好適な当業者に公知のモノマー単位とから構成されていてよい。上述のホモポリマー及びコポリマーの製造は、当業者に公知である。以下で、ポリマーという概念は、ホモポリマーもコポリマーも意味する。
【0069】
有利な一実施態様では、本発明は、式Iの少なくとも1つの遷移金属錯体を有し、ポリマーと共有結合されているポリマー材料の使用に関する。少なくとも1つの遷移金属錯体と少なくとも1つのポリマーとの共有結合は、当業者に公知のどの結合によって実施してもよい。一方で、例えば少なくとも1つの遷移金属錯体とポリマーとの少なくとも1つの直接的な共有結合が可能であり、例えば単結合、二重結合、−O−基、−S−基、−N(R)−基、−CON(R)−基、−N=N−基、−CO−基、−C(O)−O−基又は−O−C(O)−基を介したものが可能である。
【0070】
他方で、例えばリンカーを介した結合が可能であり、例えばC1〜C15−アルキレン基、有利にはC1〜C11−アルキレン基を介した結合が可能であり、その際、該アルキレン基の1又は複数のメチレン基は、−O−、−S−、−N(R)−、−Si(R2)−、−CON(R)−、−CO−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−N=N−、−CH=CH−又は−C≡C−によって交換されていてよく、その際、化学的に目的にかなう基が形成され、かつ該アルキレン基は、アルキル基、アリール基、ハロゲン、CN又はNO2のような置換基で置換されていてよく、その際、Rは水素、アルキル又はアリールを意味し;又はアルキル基、アリール基、ハロゲン、CN又はNO2のような置換基で場合により置換されていてよいC6〜C18−アリーレン基を介した結合が可能である。
【0071】
本発明により使用されるポリマー材料は、種々の様式で製造することができる。
【0072】
a)ポリマー材料であって、少なくとも1つの式Iの遷移金属錯体と少なくとも1つのポリマーとを含有する混合物を有するポリマー材料は、一般に、個々の成分の混合によって製造される。好適な混合装置及び混合法は当業者に公知である。例えば、規定量の式Iの遷移金属錯体と好適なポリマーの溶液とを混合してよい。好適なポリマーは、上述のとおりである。ポリマーの溶液の製造に適した溶剤は、使用されるポリマーに依存し、かつ当業者に公知である。溶剤の除去後に、本発明により使用される、式Iの遷移金属錯体と好適なポリマーとの混合物を含有するポリマー材料が得られる。選択的に、遷移金属錯体とポリマーとを固体状態で、溶剤を添加せずに互いに混合してよい。
【0073】
本発明により使用される、少なくとも1つの式Iの遷移金属錯体と少なくとも1つのポリマーとを含有する混合物を有するポリマー材料においては、遷移金属錯体の量は、使用されるポリマー自体がエレクトロルミネセンスを示すか示さないかに依存する。使用されるポリマー自体がエレクトロルミネセンスを示す場合には、式Iの遷移金属錯体の量は、一般に、ポリマーと式Iの遷移金属錯体とからなる全量に対して、0.5〜50質量%、有利には1〜30質量%、特に有利には1〜20質量%である。使用されるポリマー自体がエレクトロルミネセンスを示さない場合には、式Iの遷移金属錯体の量は、一般に、5〜50質量%、有利には10〜40質量%、特に有利には15〜35質量%である。ポリマーと式Iの遷移金属錯体とからなる全量は、100質量%である。
【0074】
使用されるポリマーは、一般に、GPC(ポリスチレン標準を用いたゲル透過クロマトグラフィー)によって測定して、102〜106、有利には103〜5×105、特に有利には104〜3×105を有する。
【0075】
b)本発明により使用されるポリマー材料であって、式Iの少なくとも1つの遷移金属錯体が少なくとも1つのポリマーと共有結合しているポリマー材料の製造は、以下に挙げる方法によって実施することができる:
ba)少なくとも1つの官能化されたポリマー
"ポリマー"−(T)p′
と、式IIIで示され、式中、Qが配位子K、配位子L又は配位子carbenと、有利には配位子carbenと共有結合されている官能化された遷移金属錯体
【化27】

[式中、記号は以下の意味を有する:
1は、Co、Rh、Ir、Nb、Pd、Pt、Fe、Ru、Os、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Cu、Ag及びAuからなる群から選択される金属原子であって、相応の金属原子について可能なそれぞれの酸化段階の金属原子であり;
carbenは、中性又はモノアニオン性及び一座、二座又は三座であってよいカルベン配位子であり;該カルベン配位子は、ビスカルベン配位子又はトリスカルベン配位子であってもよい;
Lは、モノアニオン性又はジアニオン性の配位子、有利にはモノアニオン性の配位子であり、該配位子は、一座又は二座であってよい;
Kは、ホスフィン、有利にはトリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン又はアルキルアリールホスフィン、特に有利にはPAr3(その際、Arは、置換又は非置換のアリール基であり、かつPAr3中の3つのアリール基は、同一又は異なってよい)、特に有利にはPPh3、PEt3、PnBu3、PEt2Ph、PMe2Ph、PnBu2Ph;ホスホネート及びその誘導体、アルセネート及びその誘導体、ホスファイト、CO;ピリジン(ピリジンは、アルキル基又はアリール基で置換されていてよい);ニトリル及び、M1とπ錯体を形成するジエン、有利にはη4−1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、η4−1,3−ペンタジエン、η4−1−フェニル−1,3−ペンタジエン、η4−1,4−ジベンジル−1,3−ブタジエン、η4−2,4−ヘキサジエン、η4−3−メチル−1,3−ペンタジエン、η4−1,4−ジトリル−1,3−ブタジエン、η4−1,4−ビス(トリメチルシリル)−1,3−ブタジエン及びη2−もしくはη4−シクロオクタジエン(それぞれ1,3及びそれぞれ1,5)、有利には1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、1−フェニル−1,3−ペンタジエン、2,4−ヘキサジエン、ブタジエン、η2−シクロオクテン、η4−1,3−シクロオクタジエン及びη4−1,5−シクロオクタジエンからなる群から選択される中性の一座又は二座の配位子であり;
nは、カルベン配位子の数であり、その際、nは、少なくとも1であり、かつnが1より大きい場合に式Iの錯体中のカルベン配位子は同一又は異なってよく;
mは、配位子Lの数であり、その際、mは0又は≧1であってよく、かつ配位子Lは、mが1より大きい場合には、同一又は異なってよく;
oは、配位子Kの数であり、その際、oは0又は≧1であってよく、かつ配位子Kは、oが1より大きい場合には、同一又は異なってよく;
その際、n+m+oの合計は、使用される金属原子の酸化段階及び配位数と、配位子のcarben、L及びKの配座数と、配位子carben及びLの電荷とに依存するが、但し、nは、少なくとも1であり;かつ
Q及びTは、互いに共有結合するのに適した基であり、その際、基Qは、配位子L、K又はcarbenの1つに、有利にはcarbenに共有結合されており、かつ基Tは、ポリマーの1つの末端基又は中心単位に共有結合されており;
s′は、1〜3の整数であり、その際、s′が1より大きい場合に、基Qは、同じ又は異なる配位子K、L又はcarbenに、有利にはcarbenに結合されており;
p′は、ポリマー中の基Tの数であり、その際、p′は、ポリマーの分子量に依存し、かつp′は、ポリマーと遷移金属錯体とからなる全量に対して、ポリマー自体がエレクトロルミネセンスを示す場合には、使用される遷移金属錯体の量が、一般に、0.5〜50質量%、有利には1〜30質量%、特に有利には1〜20質量%であるように選択され、かつポリマー自体がエレクトロルミネセンスを示さない場合には、ポリマーと遷移金属錯体とからなる全量に対して、遷移金属錯体の量が、一般に、5〜50質量%、有利には10〜40質量%、特に有利には15〜35質量%であるように選択される]とを反応させる。
【0076】
記号K、L、M1、carben、m、n及びoの有利な定義は、既に上述したものである。更に、カルベン配位子との有利な結合位置は既に上述のとおりであり、その際、式IIIの遷移金属錯体中の基Qが、前記結合位置を占有する。
【0077】
好適な官能化されたポリマーは、ポリフルオランテン、ポリフルオレン、ポリ−p−フェニレン−ビニレン、ポリアセチレン、ポリカルバゾール、ポリチオフェン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリレート、特にポリメチルメタクリレート並びに前記ポリマーの誘導体であって、少なくとも1つの官能基Tで官能化されているものからなる群から選択される。官能化されたポリマーは、既に上述したホモポリマー又はコポリマーであってよい。
【0078】
使用される官能化されたポリマーは、一般に、GPC(ポリスチレン標準を用いた)によって測定して、102〜106、有利には103〜5×105、特に有利には104〜3×105を有する。
【0079】
有利な遷移金属錯体は、式IIIAaないし式IIIAd:
【化28】

[式中、記号R4、R5、R6、R7、R10、R11、R12、R12'、Y3、v、t、t′、z及びz′は、既に上述の意味を有し、その際、式IIIAaの錯体においては、基R4、R5、R6又はR7の1又は2つが、式IIIAbの錯体においては、基R8又はR9の1又は2つが、そして式IIIAdの錯体においては、基R11が、1つ又は(式IIIAa及び式IIIAbの錯体においては)1又は2つの、ポリマーとの共有結合に適した基Qによって置換されていてよく;かつ
式IIIAa、式IIIAb、式IIIAc及びIIIAdのそれぞれの錯体中の全ての基Qの合計は、それぞれs′である、すなわち式IIIAa、式IIIAb及びIIIAdの錯体においては、e、f、e′、f′及び場合によりQにより交換された基R4、R5、R6、R7、R8、R9及びR11の数は、それぞれ0、1、2又は3であり、その際、それぞれの錯体中の基Qの合計は、s′であり;かつ式IIIAcの錯体においては、w、w′、w′′、w′′′、x及びx′は、それぞれ0、1、2又は3であり、その際、該錯体中の基Qの合計はs′であり;
Qは、官能化されたポリマーと結合するのに適した基であり;
その際、場合により基Qを有するIr(III)上のカルベン配位子は、同一又は異なってよい]で示される遷移金属錯体である。特に、カルベン配位子の1つだけが1又は複数の基Qを有し、一方で他のカルベン配位子が基Qを有さないことが可能である。選択的に、2又は3つのカルベン配位子が、それぞれ1つ又は場合により複数の基Qを有するが、異なる位置で有することが可能である。
【0080】
特に、式IIIAb及び式IIIAcの遷移金属錯体が好ましい。
【0081】
使用される官能化されたポリマーの官能T並びに基Qの定義は、望まれる結合に依存している。遷移金属錯体とポリマーとの好適な共有結合は、既に上述したものである。
【0082】
Q並びに官能化されたポリマー上の少なくとも1つの官能Tは、有利には、例えばハロゲン、例えばBr、I又はCl、アルキルスルホニルオキシ、例えばトリフルオロメタンスルホニルオキシ、アリールスルホニルオキシ、例えばトルエンスルホニルオキシ、ホウ素含有基、OH、COOH、活性化されたカルボキシル基、例えば酸ハロゲン化物、酸無水物又はエステル、−N≡N+-(その際、X-は、ハロゲン化物イオン、例えばCl-又はBr-を意味する)、SH、SiR2′′X(その際、Xは、F、Cl及びBrから選択されるハロゲンを意味する)及びNHR(その際、R及びR′′は、水素、アリール又はアルキルを意味する)からなる群から選択され、かつ前記基は、単結合を介して直接的に配位子L、K又はcarben、有利にはcarbenあるいはポリマーに結合されていてよく、又は前記基は、リンカー、つまり−(CR′2q−(その際、R′は、無関係に水素、アルキル又はアリールを意味し、かつqは1〜15、有利には1〜11であり、そのリンカー−(CR′2q−の1又は複数のメチレン基は−O−、−S−、−N(R)−、−Si(R2)−、−CON(R)−、−CO−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−CH=CH−又は−C≡C−によって交換されていてよく、その際、Rは水素、アリール又はアルキルを意味する)を介して、配位子L、K又はcarben、有利にはcarbenあるいはポリマーの1つに結合されているか、又はリンカーとしてのC6〜C18−アリーレン基(該基は、場合によりアルキル基、アリール基、ハロゲン、CN又はNO2のような置換基で置換されていてよい)を介してそれらに結合されていてよい。上述の基は、この場合に、それぞれのポリマー上の官能基Qが、それぞれの少なくとも1つの遷移金属錯体上の官能基と反応可能であるように選択される。好適な反応可能な組み合わせは、当業者に公知である。
【0083】
例えば、遷移金属錯体とポリマーとの結合は、エステル結合を介して行われてよく、その際、Qは式IIIにおいてはOH又はCOOHのいずれかを意味し、かつ官能化されたポリマーは相応して官能基TとしてOHもしくはCOOHを有する。
【0084】
更に、遷移金属錯体とポリマーとの結合は、アミド結合の形で可能であり、その際、Qは、活性化されたカルボキシル基、例えば酸ハロゲン化物基、有利には酸塩化物基、酸無水物基又はエステル基であるか又はNHRを意味し、かつ官能化されたポリマーは、相応して、官能基Tとして、少なくとも1つの活性化されたカルボキシル基、例えば酸ハロゲン化物基、有利には酸塩化物基、酸無水物基又はエステル基又はNHRを有する。Rは、水素、アルキル又はアリールを意味する。
【0085】
更に、遷移金属錯体とポリマーとの結合は、アゾカップリングによって行われてよく、その際、Q又はTは、−N≡N+-を意味し、その際、X-は、ハロゲン化物イオン、例えばCl-又はBr-である。別の基T又はQは、水素である。ジアザオニウム塩と電子豊富な芳香族化合物とのカップリングを行うことを顧慮すべきである。好適な電子豊富な芳香族化合物とその製造並びに好適なジアゾニウム塩の製造は、当業者に公知である。
【0086】
更に、遷移金属錯体とポリマーとの単結合を介した結合が可能であり、その結合はカップリング反応によって結合させることができる。好適なカップリング反応は、当業者に公知である。例えば、Kumadaカップリング、Negishiカップリング、Yamamotoカップリング又はSuzuki反応によって、ニッケル又はパラジウム化合物の存在下でカップリングさせることが可能である。前記の場合に、Qもしくは官能化されたポリマーの官能基Tは、ハロゲン、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルホニルオキシ又はホウ素含有基から選択される。
【0087】
ホウ素含有基は、式−B(O−[C(R152n−O又はB(OR162で示され、その式中、R15及びR16は、同一又は異なって、互いに無関係にH又はC1〜C20−アルキルであり、nは、2〜10の整数を意味し、有利にはR15及びR16は、同一又は異なって、水素又はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、s−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、s−ヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル又はn−オクタデシル、有利にはC1〜C12−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、s−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、s−ヘキシル又はn−デシル、特に有利にはC1〜C4−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル又はt−ブチル、殊に有利にはメチルであり、かつnは、有利には2〜5の整数であるホウ素含有基が好ましい。殊に、式−B(O−[C(CH322)−Oのホウ素含有基が好ましい。
【0088】
有利な一実施態様では、本発明により使用される、式Iの遷移金属錯体がポリマーと共有結合を介して結合されているポリマー材料は、カップリング反応、有利にはKumadaカップリング、Negishiカップリング、Yamamotoカップリング又はSuzuki反応によって、ニッケル又はパラジウム化合物の存在下に製造される。
【0089】
この場合に、ニッケル化合物又はパラジウム化合物は、特に有利には、0の酸化段階にあるか、又はパラジウムの場合には、Pd(II)塩と配位子とからなる混合物、例えばPd(ac)2及びPPh3で存在する。殊に有利には、市販されるテトラキス(トリフェニルホスファン)パラジウム[Pd(P(C6534]並びに市販されるニッケル化合物、例えばNi(C243、Ni(1,5−シクロオクタジエン)2("Ni(cod)2")、Ni(1,6−シクロデカジエン)2又はNi(1,5,9−オールトランス−シクロデカジエン)2が使用される。特に有利には、[Pd(P(C6534]及びNi(cod)2が使用される。カップリングの実施のために、使用される触媒に応じて、過剰なP(C653あるいは1,5−シクロオクタジエンを添加してよい。
【0090】
パラジウム又はニッケル化合物の存在下でのNegishiカップリングの実施に際しては、通常の触媒量、すなわち使用される式IIIの遷移金属錯体の量に対して、0.1〜10モル%のPd又はNiで十分である。カップリングはハロゲン化物と有機亜鉛との間で行われ、それは通常、ハロゲン化物とZn粉との反応によって又はリチウム化された物質種と塩化亜鉛との反応によって得られる。従って、Negishiカップリングの場合には、Q及びTは、ハロゲンであり、その際、遷移金属錯体又はポリマーのいずれかを、本来のカップリング反応前にZn粉と反応させる。又は、Q又はTのいずれかがハロゲンであり、かつそれぞれ別の基は、Liであり、該基を、塩化亜鉛と反応させる。
【0091】
Suzuki反応の実施に際しては、一般に、使用される式IIIの遷移金属錯体の量に対して、0.1〜10モル%のPdが使用される。カップリングは、ホウ素含有化合物、有利には式−B(O−[C(CH322−O)の基を有するホウ素含有化合物又はホウ酸又はジアルキルボレートとハロゲン化物との間で行われる。従って、Suzukiカップリングの場合には、Qはハロゲンであり、かつTはホウ素含有基であるか、又はTはハロゲンであり、かつQはホウ素含有基である。ハロゲンの代わりに、QあるいはTはSuzukiカップリングの場合には、アルキルスルホニル又はアリールスルホニルを意味することができる。
【0092】
Kumadaカップリングは、使用される式IIIの遷移金属錯体の量に対して、0.1〜10モル%のNi又はPdの存在下で行われる。カップリングは、ハロゲンとグリニャール化合物との間で行われ、それは通常、ハロゲン化物とマグネシウムとの反応によって製造される。従って、Kumadaカップリングの場合には、Q及びTは、ハロゲンであり、その際、官能化された遷移金属錯体又は官能化されたポリマーのいずれかを、本来のカップリング反応前にマグネシウムと反応させる。
【0093】
Yamamotoカップリングの実施に際して、一般に、使用される式IIIの遷移金属錯体の量に対して化学量論的な量のNi−カプリング試薬、有利にはNi(cod)2が使用される。しかしながら触媒的実施は、生ずるNi(ハロゲン)2塩を、例えば活性化亜鉛によって再び還元し、更に循環に戻す場合には可能である。カップリングは2つのハロゲン化物の間で行われる。Yamamotoカップリングの場合には、Q及びTは従ってハロゲンである。ハロゲンの代わりに、QあるいはTはYamamotoカップリングの場合には、アルキルスルホニル又はアリールスルホニルを意味することができる。
【0094】
該カップリングは、一般に、有機溶剤、例えばトルエン、エチルベンゼン、メタ−キシレン、オルト−キシレン、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン、ジオキサン又は前記溶剤の混合物中で行われる。1又は複数の溶剤から、カップリング反応前に通常の方法に従って微量の湿分が除去される。
【0095】
一般に、該カップリング反応は保護ガス下に実施され、その際、窒素又は希ガス、特にアルゴンが適している。
【0096】
塩基の存在下で実施されるカップリング、特にSuzukiカップリングにおいては、例えば有機アミンが使用され、特にトリエチルアミン、ピリジン又はコリジンが適している。
【0097】
同様に、塩基の存在下で実施されるカップリング、有利にはSuzukiカップリングを、塩基性の塩、例えばアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシレート、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属炭酸塩又はアルカリ金属重炭酸塩の存在下で、場合によりクラウンエーテル、例えば18−クラウン−6の存在下で実施することが可能である。更に、該カップリング反応は、アルカリ金属炭酸塩の水溶液を用いた二相反応として、場合により相転移触媒の存在下で実施することができる。前記の場合には、有機溶剤から反応前に湿分を除去する必要はない。更に、アルコキシレート又は水酸化物が塩基として適している。
【0098】
通常は、該カップリング反応は、10分から2日の間、有利には2時間〜24時間の間継続する。圧力条件は重要ではなく、大気圧が好ましい。一般に、該カップリング反応は、より高い温度、有利には80℃と有機溶剤もしくは溶剤混合物の沸点との間の温度で行われる。一方の官能化された遷移金属錯体の基Qの合計ともう一方の官能化されたポリマーの基Tとのモル比は、一般に、1:1〜30:1、有利には1:1〜15:1、特に有利には1.2:1〜6:1である。
【0099】
官能化されたポリマーは、1又は複数の官能基Tを有してよい。すなわち、複数の一官能化又は多官能化された式IIIの遷移金属錯体と1又は複数の多官能化されたポリマーとを結合させることができる。官能化されたポリマーと一官能化もしくは多官能化された遷移金属錯体とのモル比は、従って、どれほどの官能化された遷移金属錯体とどれほどの官能化されたポリマーとを結合させるべきかと、ポリマーと遷移金属錯体の結合位置の数とに依存する。
【0100】
使用される官能化されたポリマーは、当業者に公知の方法により製造することができる。
【0101】
使用される式IIIの官能化された金属錯体は、同様に当業者に公知の方法に従って製造することができる。好適な製造方法は、例えば概要文献のW.A.Hermann他著のAdvances in Organometallic Chemistry、第48巻、第1〜69頁、W.A.Hermann他著のAngew.Chem.1997,109,2256〜2282及びG.Bertrand他著のChem.Rev.2000,100,39〜91並びにそこで引用される文献に挙げられている。
【0102】
一実施態様では、式IIIの官能化された遷移金属錯体を、相応のカルベン配位子に相応する配位子前駆体を脱プロトン化し、引き続き好適な、所望の金属を含有する金属錯体と反応させることによって製造される。その他に、遷移金属錯体を、Wanzlick−オレフィンを直接的に使用することにより製造することが可能である。
【0103】
好適な配位子前駆体は、当業者に公知である。有利には、それはカチオン性前駆体である。
【0104】
式IIIの遷移金属錯体の製造のための好適な製造方法は、本願と同時に出願された、事前公開されていないPCT出願、発明の名称"有機発光ダイオード(OLED)用の発光体としてのカルベン配位子を有する遷移金属錯体"及び整理番号"…"に開示された遷移金属錯体の製造方法と同様にして行われる。その製造では、配位子K、L又はcarben、有利にはcarbenの1つは、基Qを有することが顧慮されるべきである。
【0105】
以下の反応式1及び2において、式IIIで示され、式中、QがBrを意味する化合物のカルベン配位子の2つの製造方法を例示する:
【化29】

【0106】
反応式1
【化30】

【0107】
反応式2
反応式1及び2で示される配位子の製造のための反応条件は当業者に公知である。
【0108】
bb)
本発明により使用されるポリマー材料であって、式Iの遷移金属錯体を有し、それがポリマーと共有結合されている材料の製造は、式IIIの遷移金属化合物を官能化されたポリマーに導入することの他に、更に二官能性又は三官能性の単位を有する少なくとも1つの遷移金属カルベン錯体をポリマーの主鎖中に導入することによって実施することができる。前記の場合に、一般に、既に生じた官能化されたポリマーの反応は行われず、ポリマーの製造は、二官能性又は三官能性の単位を有する少なくとも1つの遷移金属錯体の存在下で行われる。
【0109】
従って、本願の更なる対象は、ポリマーと共有結合した式Iの少なくとも1つの遷移金属錯体を含むポリマー材料であって、重合活性基を有するモノマーと式IVで示されSが1もしくは複数の配位子K、L又はcarben、有利にはcarbenと結合されているコモノマー
【化31】

[式中、記号は以下の意味を有する:
1は、Co、Rh、Ir、Nb、Pd、Pt、Fe、Ru、Os、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Cu、Ag及びAuからなる群から選択される金属原子であって、相応の金属原子について可能な各々の酸化段階の金属原子であり、
carbenは、中性又はモノアニオン性であってよく、かつ一座、二座又は三座であってよいカルベン配位子であり、該カルベン配位子は、またビスカルベン配位子又はトリスカルベン配位子であってもよく、
Lは、モノアニオン性又はジアニオン性の配位子、有利にはモノアニオン性の配位子であって、一座又は二座であってよい配位子であり、
Kは、中性の一座又は二座の配位子であり、
nは、カルベン配位子の数であり、その際、nは、少なくとも1であり、かつn>1の場合に式Iの錯体中のカルベン配位子は、同一又は異なってよく、
mは、配位子Lの数であり、その際、mは、0又は≧1であってよく、かつm>1の場合に配位子Lは、同一又は異なってよく、
oは、配位子Kの数であり、その際、oは、0又は≧1であってよく、かつo>1の場合に配位子Kは、同一又は異なってよく、
その際、n+m+oの合計は、使用される金属原子の酸化段階及び配位数と、配位子のcarben、L及びKの配座数と、配位子のcarben及びLの電荷とに依存するが、但し、nは、少なくとも1であり;
Sは、モノマーの重合活性基と重合可能な基であって、配位子L、K又はcarben、有利にはcarbenに結合されている基であり、
s′′は、1〜3の整数であり、その際、s′′>1である場合に、基Sは、同じもしくは異なる配位子K、L又はcarben、有利にはcarbenに結合されている]との共重合によって製造できるポリマー材料を用いる使用である。
【0110】
一実施態様では、その際、基Sは、式IVの遷移金属錯体中の同じカルベン配位子に又は式IVの遷移金属錯体の異なるカルベン配位子に結合されていてよい。
【0111】
式IVAaないしIVAdで示され、基Sが同じカルベン配位子又は異なるカルベン配位子に結合されている遷移金属錯体
【化32】

[式中、記号R4、R5、R6、R10、R11、R12、R12'、Y3、v、t、t′、z及びz′は上述の意味を有し、かつ
Sは、モノマーの重合活性基と重合可能な基であり、かつ
q、r、y、q′、r′、y′は、0〜3を意味し、その際、q+r+y+q′+r+y′=s′′であり、かつs′′は、1〜3の整数を意味し、
その際、場合により基(S)q'、(S)r'及び/又は(S)y'を有する、Ir(III)上の2つのカルベン配位子は、同一又は異なってよい]のが好ましい。特に、両方のカルベン配位子の1つだけが1又は複数の基Sを有し、一方で他のカルベン配位子が基Sを有さないことが可能である。選択的に、両方のカルベン配位子は、それぞれ1つ又は場合により複数の基Sを有するが、異なる位置で有することが可能であり、例えば1つのカルベン配位子において、q′が0でありかつr′が1であり、そしてもう1つのカルベン配位子においてq′が1でありかつr′が0であることが可能である。
【0112】
特に、式IVAb及び式IVAcの遷移金属錯体が好ましい。
【0113】
重合活性基及び重合活性基と重合可能な基とは、互いに重合可能な全ての基を表すべきである。有利には、重合活性基及び重合活性基と重合可能な基Sは、ホルミル基、ホスホニウム基、ハロゲン基、例えばBr、I、Cl、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ハロメチル基、アセトニトリル基、アルキルスルホニルオキシ基、例えばトリフルオロメタンスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、例えばトルエンスルホニルオキシ基、アルデヒド基、OH基、アルコキシ基、COOH基、活性化カルボキシル基、例えば酸ハロゲン化物、酸無水物又はエステル、アルキルホスホネート基、スルホニウム基及びホウ素含有基、有利にはハロゲン基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニルオキシ基、環状オレフィン基及びホウ素含有基からなる群から選択される。
【0114】
上述の重合活性基は、単結合を直接介して、それぞれ配位子L、K又はcarbenの1つ、有利にはcarbenに結合されていてよく、又は該基は、リンカー、つまり−(CR′2q''−(その際、R′は、無関係に水素、アルキル又はアリールを意味し、かつq′′は、1〜15、有利には1〜11であり、かつリンカー−(CR′2q''−の1又は複数のメチレン基は、−O−、−S−、−N(R)−、−Si(R2)−、−CON(R)−、−CO−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−CH=CH−又は−C≡C−によって交換されていてよく、その際、Rは、水素、アリール又はアルキルを意味する)を介して又はリンカーとしてのC6〜C18−アリーレン基(該基は、場合によりアルキル基、アリール基、ハロゲン、CN又はNO2のような置換基で置換されていてよい)を介して結合されていてよい。当業者には、リンカーと重合活性基との好適な組合せは知られている。上記基は、その際、遷移金属錯体上のその都度の重合活性基と、使用されるモノマーのその都度の重合活性基とが反応可能なように選択される。好適な反応可能な組み合わせは、当業者に公知である。
【0115】
好適なホウ素含有基は、既にQの定義で挙げたホウ素含有基である。
【0116】
本発明により使用されるポリマー材料の製造のために適した重合法は、以下に挙げられるものである:
− アルデヒド基とホスホニウム塩の基とのWittig反応に従った反応による共重合;
− アルデヒド基とアルキルホスホネート基とのHorner−Wadsworth−Emmons反応に従った共重合;
− ビニル基とハロゲン化物基とのHeck反応に相応する反応による共重合;
− 2つのハロメチル基のデヒドロハロゲン化に相応する重縮合;
− 2つのスルホニウム塩の基のスルホニウム塩の分解のための方法に相応する反応による重縮合;
− アルデヒド基と−CH2CN基とのKnoevenagel反応に相応する共重合;
− 2つ以上のアルデヒド基のMcMurry反応に相応する共重合。
【0117】
他の好適な重合法は、以下の重合法である:
− Suzukiカップリング、Kumadaカップリング又はYamamotoカップリングに相応する共重合;
− 酸化剤、例えばFeCl3を使用した共重合;
− 電解重合;
− 開環メタセシス重合(ROMP)。
【0118】
上述の重合法のうち、Wittig反応、Heck反応、Homer−Wadsworth−Emmons反応、Knoevenagel反応、Suzukiカップリング、Kumadaカップリング及びYamamotoカップリングが好ましい。特に有利には、共重合は、Suzuki反応、Yamamotoカップリング又はKumadaカップリングによって行われる。重合活性基と、重合活性基と重合可能な基との好適な組合せは当業者に公知である。
【0119】
モノマーの重合活性基と、重合活性基と重合可能な、遷移金属錯体の基Sとの好適な組み合わせ(それぞれAとB)であって、それぞれのモノマーが2つの重合活性基を有し、かつ遷移金属錯体が2つの基Sを有する(s=2)場合についての好適な組み合わせ:
【表1】

【0120】
その際、各モノマーと各遷移金属錯体とは、それぞれ基A及び基Bを有してよく、又は各モノマーもしくは各遷移金属錯体は、2つの基Aを有し、そして各遷移金属錯体もしくは各モノマーは、2つの基Bを有する。
【0121】
前記の共重合の反応条件は、同様に当業者に公知である。特に好ましいSuzuki反応、Kumadaカップリング及びYamamotoカップリングについての反応条件は、既にba)で挙げたものと同じである。Suzuki反応に関する好適な方法条件は、更に、例えばWO00/53656号に挙げられ、かつYamamotoカップリングに関する好適な方法条件は、更に、例えばUS5,708,130号に挙げられている。
【0122】
好ましい重合活性基及び重合活性基と重合可能な基Sは、ハロゲン基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基及びホウ素含有基から選択される。上記の基の好ましい実施態様は、既に上述したものである。
【0123】
重合活性基を有するモノマーと、重合活性基と重合可能な基Sを有する式IVのコモノマーとの共重合のための方法は、有利には、ニッケル触媒又はパラジウム触媒の存在下で実施される。有利なニッケル触媒及びパラジウム触媒は、既にba)で上述したものであり、好適な触媒量も同等である。
【0124】
更に、1つのエチレン性不飽和基を有するモノマーと、1つのエチレン性不飽和基を基Sとして有する(s=1)遷移金属錯体とのラジカル重合が可能である。有利には、好適なエチレン性不飽和基は、ビニル基、アクリロイル基及びメタクリロイル基である。
【0125】
ラジカル重合に適した反応条件は、当業者に公知である。好適な方法条件は、例えばEP−A0637899号、EP−A0803171号及びWO96/22005号に挙げられている。
【0126】
重合活性基を有するモノマーと、重合活性基と重合可能な基Sを有する式IVの遷移金属錯体との比率は、遷移金属錯体の量が、一般に、ポリマーと遷移金属錯体との全量に対して、0.5〜50質量%、有利には1〜30質量%、特に有利には1〜20質量%であるように選択される。使用されるポリマー自体がエレクトロルミネセンスを示す場合について。使用されるポリマー自体がエレクトロルミネセンスを示さない場合には、遷移金属錯体の量は、一般に、ポリマーと遷移金属錯体との全量に対して、5〜50質量%、有利には10〜40質量%、特に有利には15〜35質量%である。ポリマーと遷移金属錯体とからなる全量は、100質量%である。
【0127】
使用される式IVの官能化された金属錯体は、当業者に公知の方法に従って製造することができる。好適な製造方法は、例えば概要文献のW.A.Hermann他著のAdvances in Organometallic Chemistry、第48巻、第1〜69頁、W.A.Hermann他著のAngew.Chem.1997,109,2256〜2282及びG.Bertrand他著のChem.Rev.2000,100,39〜91並びにそこで引用される文献に挙げられている。
【0128】
一実施態様では、式IVの官能化された遷移金属錯体を、相応のカルベン配位子に相応する配位子前駆体を脱プロトン化し、引き続き好適な、所望の金属を含有する金属錯体と反応させることによって製造される。その他に、遷移金属錯体を、Wanzlick−オレフィンを直接的に使用することにより製造することが可能である。
【0129】
好適な配位子前駆体は、当業者に公知である。有利には、それはカチオン性前駆体である。
【0130】
式IVの遷移金属錯体の製造のための好適な製造方法は、本願と同時に出願された、事前公開されていないPCT出願、発明の名称"有機発光ダイオード(OLED)用の発光体としてのカルベン配位子を有する遷移金属錯体"と整理番号"…"に開示された遷移金属錯体の製造方法と同様にして行われる。その製造では、配位子K、L又はcarbenの1又は複数、有利にはcarbenは、基Sを有することが顧慮されるべきである。
【0131】
以下の反応式3において、式IVで示され、SがOTfを意味する化合物のカルベン配位子の製造方法を例示する。
【0132】
【化33】

【0133】
反応式3
反応式3に従った配位子の製造のために好適な反応条件は、当業者に公知である。
【0134】
本発明により使用されるポリマー材料は、有機発光ダイオードにおいて使用するのに極めて適している。これらの有機材料は、高いエネルギー効率と出力効率とを有する三重項発光体である。該三重項発光体をポリマー中に組み込むことによって、本発明により使用されるポリマー材料を、溶液から被膜の形で、例えばスピンコート、インクジェット印刷又は浸漬塗布によって適用することが可能である。従って、本発明により使用されるポリマー材料を用いれば、大画面ディスプレイを容易にかつ廉価に製造することが可能である。
【0135】
本願の更なる対象は、少なくとも1つのポリマーと少なくとも1つの遷移金属錯体とを含有するポリマー材料であって、前記ポリマーは、ポリ−p−フェニレン−ビニレン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、ポリフルオランテン及びその誘導体並びにポリアセチレン及びその誘導体並びにポリアセチレン及びその誘導体、ポリスチレン及びその誘導体、ポリ(メタ)アクリレート及びその誘導体、及び前記のポリマーのモノマー単位を有するコポリマーからなる群から選択され、かつ前記遷移金属錯体は、式
【化34】

[式中、記号は以下の意味を有する:
1は、Co、Rh、Ir、Nb、Pd、Pt、Fe、Ru、Os、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Cu、Ag及びAuからなる群から選択される金属原子であって、相応の金属原子について可能な各々の酸化段階の金属原子であり、
Lは、モノアニオン性又はジアニオン性の配位子、有利にはモノアニオン性の配位子であって、一座又は二座であってよい配位子であり、
Kは、中性の一座又は二座の配位子であり、
nは、カルベン配位子の数であり、その際、nは、少なくとも2であり、かつ式Iの錯体中のカルベン配位子は、同一又は異なってよく、
mは、配位子Lの数であり、その際、mは、0又は≧1であってよく、かつm>1の場合に配位子Lは、同一又は異なってよく、
oは、配位子Kの数であり、その際、oは、0又は≧1であってよく、かつo>1の場合に配位子Kは、同一又は異なってよく、
その際、n+m+oの合計は、使用される金属原子の酸化段階及び配位数と、配位子のcarben、L及びKの配座数と、配位子のcarben及びLの電荷とに依存するが、但し、nは、少なくとも2であり;
Do1は、C、P、N、O及びS、有利にはP、N、O及びS、特に有利にはNからなる群から選択されるドナー原子であり;
Do2は、C、N、P、O及びSからなる群から選択されるドナー原子であり;
rは、Do1がCの場合に2であり、Do1がN又はPの場合に1であり、かつDo1がO又はSの場合に0であり;
sは、Do2がCの場合に2であり、Do2がN又はPの場合に1であり、かつDo2がO又はSの場合に0であり;
Xは、シリレン、アルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン又はアルケニレン、有利にはアルキレン又はアリーレン、特に有利にはC1〜C3−アルキレン又はC6−1,4−アリーレンからなる群から選択されるスペーサーであり、その際、4つの他の炭素原子の少なくとも1つは、場合により、メチル基、エチル基、n−プロピル基もしくはi−プロピル基又は、ハロゲン基、有利にはF、Cl、Br、特に有利にはF、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニル基、エステル基、アミノ基、アミド基、CHF2、CH2F、CF3、CN、チオ基及びSCN基から選択されるドナー作用もしくはアクセプター作用を有する基で置換されていてよく、殊に有利にはメチレン、エチレン又は1,4−フェニレンであり;
pは、0又は1、有利には0であり;
qは、0又は1、有利には0であり;
1及びY2は、一緒になって、ドナー原子Do1と窒素原子Nとの間に架橋を形成し、該架橋は、少なくとも2つの原子、有利には2〜3つの原子、特に有利には2つの原子を有し、そのうち少なくとも1つは炭素原子であり、その際、少なくとも1つの他の原子は、有利には窒素原子であり、その際、該架橋は、飽和又は不飽和であり、有利には不飽和であってよく、かつ該架橋の少なくとも2つの原子は置換又は非置換であってよく、その際、該架橋が2つの炭素原子を有しかつ飽和である場合に、2つの炭素原子の少なくとも1つが置換されており;基Y1及びY2の置換基は、一緒になって、全体で3〜5つ、有利には4つの原子を有する架橋を形成してよく、そのうち1又は2つの原子はヘテロ原子、有利にはNであってよく、かつ残りの原子は炭素原子であるので、Y1及びY2は、前記の架橋と一緒になって、5員ないし6員の、有利には6員の環を形成し、該環は、場合により2つ又は(6員又は7員の環の場合には)3つの二重結合を有してよく、かつ場合によりアルキル基又はアリール基で置換されていてよく、かつ場合によりヘテロ原子、有利にはNを有してよく、その際、アルキル基もしくはアリール基で置換されているか又は非置換の6員の芳香族環が好ましく、又は有利な6員の芳香族環は、場合により少なくとも1つのヘテロ原子、有利にはNを有してよい他の環、有利には6員の芳香族環と縮合されており;
3は、水素基、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はアルケニル基、有利には水素、アルキル基、ヘテロアリール基又はアリール基又は
【化35】

(式中、Do2'、q′、s′、R3'、R1'、R2'、X′及びp′は、無関係に、Do2、q、s、R3、R1、R2、X及びpと同じ意味を有する)であり;
1、R2は、互いに無関係に、水素、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はアルケニル基、有利には水素、アルキル基、ヘテロアリール基又はアリール基であるか;又は
1及びR2は、一緒になって、全体で3〜5つ、有利には4つの原子を有する架橋を形成し、そのうち1又は2つの原子は、ヘテロ原子、有利にはNであってよく、かつ残りの原子は炭素原子であるので、基
【化36】

は、5員ないし6員の、有利には6員の環を形成し、該環は、場合により、既に存在する二重結合の他に、1つ又は(6員又は7員の環の場合には)2つの他の二重結合を有してよく、かつ場合によりアルキル基又はアリール基で置換されていてよく、かつ場合によりヘテロ原子、有利にはNを有してよく、その際、アルキル基もしくはアリール基で置換された又は非置換の6員の芳香族環が好ましく、又は有利な6員の芳香族環は、場合により少なくとも1つのヘテロ原子、有利にはNを有してよい他の環と、有利には6員の芳香族環と縮合されており;
3は、水素、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はアルケニル基、有利には水素、アルキル基、ヘテロアリール基又はアリール基である]で示される遷移金属錯体であり、その際、少なくとも1つのポリマーが式IBの遷移金属錯体との混合物の形で存在してよく又は式IBの遷移金属錯体と共有結合されていてよいポリマー材料である。
【0136】
式IBの遷移金属錯体における記号の好ましい及び殊に好ましい実施態様は、既に、本発明により使用されるポリマー材料中で使用される遷移金属錯体に関して上述している。
【0137】
式IBの遷移金属錯体の中心金属M1での置換型に依存し、そして配位数6の中心金属、例えばIr(III)を使用する場合には、八座の遷移金属錯体は、そのfacial異性体又はmeridional異性体の形で又はfacial異性体とmeridional異性体との任意の量比の混合物として存在してよい。式IBの遷移金属錯体のfacial異性体又はmeridional異性体の特性に依存して、1つの異性体純粋なfacial異性体又は異性体純粋なmeridional異性体を使用するか、又はfacial異性体とmeridional異性体とからなり、その際、異性体の一方が過剰に存在するか又は異性体が同じ量で存在する異性体混合物を使用することが好ましいことがある。facial異性体及びmeridional異性体の形成のための前提は、既に前記に説明した。従って、本願の対象は、fac/mer異性体混合物の他に、本発明による遷移金属錯体IBの純粋なfacial異性体又はmeridional異性体を、これらが使用される中心金属での置換型に基づき存在しうるのであれば、含有するポリマー材料である。式IBの遷移金属錯体のfacial異性体又はmeridional異性体の特性に依存して、1つの異性体純粋なfacial異性体又は異性体純粋なmeridional異性体を使用するか、又はfacial異性体とmeridional異性体とからなり、その際、異性体の一方が過剰に存在するか又は両方の異性体が同じ量で存在する異性体混合物を使用することが好ましいことがある。個々の異性体は、相応の異性体混合物から、例えばクロマトグラフィー、昇華又は結晶化によって単離することができる。異性体の分離のための相応の方法は、当業者に公知である。
【0138】

【化37】

であって、遷移金属錯体IBが
【化38】

[式中、記号は以下の意味を有する:
4、R5、R6、R7、R8、R9及びR11は、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル又は、ハロゲン基、有利にはF、Cl、Br、特に有利にはF、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニル基、エステル基、アミン基、アミド基、CH2F基、CHF2基、CF3基、CN基、チオ基及びSCN基、有利には水素、アルキル、ヘテロアリール又はアリールから有利には選択されるドナー作用もしくはアクセプター作用を有する置換基であり;その際、式aの基においては、基R4、R5、R6又はR7の1つ又は2つが、式bの基においては、基R8又はR9の1つ又は2つが、式dの基においては、基R11が、1つの又は(式a及び式bの基においては)1つ又は2つの、ポリマーとの共有結合に適した基によって交換されていてよく;有利には、式bの基においては、基R8又はR9の1つ又は2つが、式dの基においては、基R11が、1つの又は(式bの基においては)1つ又は2つの、ポリマーとの共有結合に適した基によって交換されていてよく;
10は、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、有利にはアルキル又はアリールであるか、又はそれぞれ2つの基R2は、一緒になって1つの縮合された環を形成し、該環は、場合により、少なくとも1つのヘテロ原子、有利にはNを有してよく、有利には、それぞれ2つの基R10は、一緒になって、1つの縮合された芳香族のC6環を形成し、その際、この芳香族環、有利にはこの6員の芳香族環に、場合により1又は複数の他の芳香族環が縮合されていてよく、その際、それぞれ考えられる縮合が可能であり、かつ縮合された基は更に置換されていてよく;又はR10は、ドナー作用又はアクセプター作用を有する基、有利にはハロゲン基、有利にはF、Cl、Br、特に有利にはF;アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニル基、エステル基、アミノ基、アミド基、CHF2、CH2F、CF3、CN、チオ基及びSCNから選択される基を意味し;
vは、0〜4、有利には0、1又は2、殊に有利には0であり、その際、vが0である場合には、場合によりR10で置換された式cにおけるアリール基の4つの炭素原子は、水素原子を有し、その際、式cの基はそのアリール基で、場合により存在する基R10の他に、1つ又は2つの、ポリマーとの共有結合に適した基を有してよく、
3は、既に上記に定義した]からなる群から選択される基が好ましい。
【0139】

【化39】

は、有利には
【化40】

[式中、記号は以下の意味を有する:
Zは、CH又はNであり、その際、Zは、該基とカルベン配位子との結合位置に対してo位、m位又はp位に配置されていてよく;
12は、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はアルケニル基、有利にはアルキル基又はアリール基であるか、又はそれぞれ2つの基R12は、一緒になって1つの縮合された環を形成し、該環は、場合により少なくとも1つのヘテロ原子、有利にはNを有してよく、有利にはそれぞれ2つの基R12は、一緒になって、1つの縮合された芳香族のC6環を形成し、その際、この芳香族環、有利にはこの6員の芳香族環に、場合により1又は複数の他の芳香族環が縮合されていてよく、その際、考えられる縮合が可能であり、かつ縮合された基は更に置換されていてよく;又はR12は、ドナー作用もしくはアクセプター作用を有する基、有利にはハロゲン基、有利にはF、Cl、Br、特に有利にはF;アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニル基、エステル基、アミノ基、アミド基、CHF2、CH2F、CF3、CN、チオ基及びSCNからなる群から選択される基を意味し;
tは、0〜3であり、その際、tが1より大きい場合に、基R12は、同一又は異なってよく、有利にはtは0又は1であり、その際、該基は、場合により存在する基R12の他に、1又は2つの、ポリマーとの共有結合に適した基を有してよい]を意味する。
【0140】
式IIのカルベン配位子において、Y3は、上記に定義した基と同一又はそれとは異なってよく、かつ以下の、既に上述した意味を有してよい:
3は、水素基、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はアルケニル基、有利には水素、アルキル基、ヘテロアリール基又はアリール基又は
【化41】

[式中、Do2'、q′、s′、R3'、R1'、R2'、X′及びp′は、無関係に、Do2、q、s、R3、R1、R2、X及びpと同じ意味を有する]を意味する。
【0141】
式IIで示され、その式中、Y4、すなわち式
【化42】

の基が、構造
【化43】

を意味し、かつY3
【化44】

を意味するカルベン配位子の他に、式中、Y4、すなわち式
【化45】

の基が、構造
【化46】

を意味し、Y3が水素基、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はアルケニル基、有利には水素、アルキル基、ヘテロアリール基又はアリール基を意味するカルベン配位子が適している。
【0142】
記号の定義は、上述の定義に相当する。
【0143】
式IBの少なくとも1つの遷移金属錯体とポリマーとが結合する場合に、その結合は、有利には、式IIのカルベン配位子1つ又は複数を介して行われ、該カルベン配位子は、式
【化47】

の少なくとも1つの基を基Y3又はY4として有し、その際、この少なくとも1つの基は、ポリマーへの結合位置少なくとも1つを有する。式IBの遷移金属錯体の結合が1つの結合位置を介して行われる場合に、この結合は、基
【化48】

又は基
【化49】

のいずれかに存在する。結合位置が2つである場合に、両方の結合位置は、同じ基に存在するか又は上述の基のそれぞれ1つに存在してよく、後者が好ましい。同様に、それらの2つの結合位置が2つの異なるカルベン配位子に存在することも可能である。それらの結合位置は、それぞれ同じ基に存在してよく、例えばそれぞれ異なるカルベン配位子中の基Y3に存在するか又は異なる基に存在してよく、例えばカルベン配位子中で基Y3にかつ別のカルベン配位子中で基Y4に存在してよい。
【0144】
特に有利には、本発明による遷移金属錯体は、
【化50】

[式中、記号は以下の意味を有する:
Z、Z′は、同一又は異なって、CH又はNであり;
12、R12'は、同一又は異なって、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はアルケニル基、特に有利にはアルキル基又はアリール基であるか又はそれぞれ2つの基R12もしくはR12'は、一緒になって1つの縮合された環を形成し、該環は、場合により少なくとも1つのヘテロ原子、有利にはNを有してよく、有利にはそれぞれ2つの基R12もしくはR12'は、一緒になって1つの縮合された芳香族のC6環を形成し、その際、この芳香族環、有利にはこの6員の芳香族環に、場合により1又は複数の芳香族環が縮合されていてよく、その際、それぞれ考えられる縮合が可能であり、かつ縮合された基は更に置換されていてよく;又はR12もしくはR12'は、ドナー作用もしくはアクセプター作用を有する基、有利にはハロゲン基、有利にはF、Cl、Br、特に有利にはBr又はF;アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニル基、エステル基、アミノ基、アミド基、CHF2、CH2F、CF3、CN、アリールオキシ基、チオ基及びSCNからなる群から選択される基を意味し;
t及びt′は、同一又は異なって、有利には同一であって、0〜3であり、その際、tもしくはt′が1より大きい場合には、基R12もしくはR12'は、同一又は異なってよく、有利にはtもしくはt′は、0又は1であり、基R12もしくはR12'は、tもしくはt′が1である場合には、カルベン炭素原子に隣接した窒素原子との結合位置に対してオルト位、メタ位又はパラ位に存在し;その際、場合により基R12及びR12'を有するアリール基は、場合により存在する基R12及びR12'の他に、1又は2つの、ポリマーとの共有結合に適した基を有してよく;
4、R5、R6、R7、R8、R9及びR11は、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル又はドナー作用もしくはアクセプター作用を有する置換基、有利にはハロゲン基、有利にはF、Cl、Br、特に有利にはF、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニル基、エステル基、アミン基、アミド基、CH2F基、CHF2基、CF3基、CN基、チオ基及びSCN基、有利には水素、アルキル、ヘテロアリール又はアリールから選択される置換基であり;その際、式aの基においては、基R4、R5、R6又はR7の1又は2つが、式bの基においては、基R8又はR9の1又は2つが、そして式dの基においては、基R11が、1つ又は(式a及び式bの基においては)1又は2つの、ポリマーとの共有結合に適した基によって交換されていてよく;有利には、式bの基においては、基R8又はR9の1又は2つが、そして式dの基においては、基R11が、1つ又は(式bの基においては)1又は2つの、ポリマーとの共有結合に適した基によって交換されていてよく;
10は、アルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルケニル、有利にはアルキル、ヘテロアリール又はアリールであるか、又はそれぞれ2つの基R10は、一緒になって1つの縮合された環を形成し、該環は、場合により、少なくとも1つのヘテロ原子、有利には窒素を有してよく、有利にはそれぞれ2つの基R10は一緒になって1つの縮合された芳香族のC6環を形成し、その際、この芳香族環、有利にはこの6員の芳香族環に、場合により1又は複数の他の芳香族環が縮合されていてよく、その際、それぞれ考えられる縮合が可能であり、かつ縮合された基は更に置換されていてよく;又はR10は、ドナー作用もしくはアクセプター作用を有する基、有利にはハロゲン基、有利にはF、Cl、Br、特に有利にはF;アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニル基、エステル基、アミノ基、アミド基、CHF2、CH2F、CF3、CN、チオ基及びSCNからなる群から選択される基を意味し;
vは、0〜4、有利には0、1又は2、殊に有利には0であり、その際、vが0である場合には、場合によりR10で置換された式cにおけるアリール基の4つの炭素原子は、水素原子を有し、その際、式cの基は、そのアリール基に、場合により存在する基R10の他に、1又は2つの、ポリマーとの共有結合に適した基を有してよい]からなる群から互いに無関係に選択される少なくとも2つのカルベン配位子を有する。
【0145】
特に有利には、式IBの遷移金属錯体は、Rh(III)、Ir(III)、Ru(III)、Ru(IV)及びPt(II)、有利にはPt(II)又はIr(III)からなる群から選択される金属原子M1を有する。特に有利には、金属原子M1として、Irが、有利にはIr(III)が使用される。
【0146】
殊に有利な一実施態様においては、式IBの遷移金属錯体中のM1は、Ir(III)であり、nは3であり、かつm及びoは0である。
【0147】
式IBの遷移金属錯体は、当業者に公知の方法と同様にして製造することができる。好適な製造方法は、例えば概要文献のW.A.Hermann他著のAdvances in Organometallic Chemistry、第48巻、第1〜69頁、W.A.Hermann他著のAngew.Chem.1997,109,2256〜2282及びG.Bertrand他著のChem.Rev.2000,100,39〜91並びにそこで引用される文献に挙げられている。
【0148】
一実施態様では、式IIIの官能化された遷移金属錯体を、相応のカルベン配位子に相応する配位子前駆体を脱プロトン化し、引き続き好適な、所望の金属を含有する金属錯体と反応させることによって製造される。その他に、遷移金属錯体を、Wanzlick−オレフィンを直接的に使用することにより製造することが可能である。
【0149】
好適な配位子前駆体は、当業者に公知である。有利には、それはカチオン性前駆体である。
【0150】
式IIIの遷移金属錯体の製造のための好適な製造方法は、本願と同時に出願された、事前公開されていないPCT出願、発明の名称"有機発光ダイオード(OLED)用の発光体としてのカルベン配位子を有する遷移金属錯体"及び整理番号"…"に開示された遷移金属錯体の製造方法と同様にして行われる。その製造では、配位子K、L又はcarben、有利にはcarbenの1つは、基Q又はSを有することが顧慮されるべきである。
【0151】
特に有利には、式IBaないしIBdの遷移金属錯体は、
【化51】

[式中、記号は以下の意味を有する:
Z、Z′は、同一又は異なって、CH又はNであり;
12、R12'は、同一又は異なって、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はアルケニル基、特に有利にはアルキル基又はアリール基であるか又はそれぞれ2つの基R12もしくはR12'は、一緒になって1つの縮合された環を形成し、該環は、場合により少なくとも1つのヘテロ原子、有利にはNを有してよく、有利にはそれぞれ2つの基R12もしくはR12'は、一緒になって1つの縮合された芳香族のC6環を形成し、その際、この芳香族環、有利にはこの6員の芳香族環に、場合により1又は複数の他の芳香族環が縮合されていてよく、その際、それぞれ考えられる縮合が可能であり、かつ縮合された基は更に置換されていてよく;又はR12もしくはR12'は、ドナー作用もしくはアクセプター作用を有する基、有利にはハロゲン基、有利にはF、Cl、Br、特に有利にはBr又はF;アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニル基、エステル基、アミノ基、アミド基、CHF2、CH2F、CF3、CN、アリールオキシ基、チオ基及びSCNからなる群から選択される基を意味し;
t及びt′は、同一又は異なって、有利には同一であって、0〜3であり、その際、tもしくはt′が1より大きい場合には、基R12もしくはR12'は、同一又は異なってよく、有利にはtもしくはt′は、0又は1であり、基R12もしくはR12'は、tもしくはt′が1である場合には、カルベン炭素原子に隣接した窒素原子との結合位置に対してオルト位、メタ位又はパラ位に存在し;その際、場合により基R12及びR12'を有するアリール基は、場合により存在する基R12及びR12'の他に、1又は2つの、ポリマーとの共有結合に適した基を有してよく;
4、R5、R6、R7、R8、R9及びR11は、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル又はドナー作用もしくはアクセプター作用を有する置換基、有利にはハロゲン基、有利にはF、Cl、Br、特に有利にはF、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニル基、エステル基、アミン基、アミド基、CH2F基、CHF2基、CF3基、CN基、チオ基及びSCN基、有利には水素、アルキル、ヘテロアリール又はアリールから選択される置換基であり;その際、式aの基においては、基R4、R5、R6又はR7の1又は2つが、式bの基においては、基R8又はR9の1又は2つが、そして式dの基においては、基R11が、1つ又は(式a及び式bの基においては)1又は2つの、ポリマーとの共有結合に適した基によって交換されていてよく;有利には、式bの基においては、基R8又はR9の1又は2つが、そして式dの基においては、基R11が、1つ又は(式bの基においては)1又は2つの、ポリマーとの共有結合に適した基によって交換されていてよく;
10は、アルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルケニル、有利にはアルキル、ヘテロアリール又はアリールであるか、又はそれぞれ2つの基R10は、一緒になって1つの縮合された環を形成し、該環は、場合により、少なくとも1つのヘテロ原子、有利には窒素を有してよく、有利にはそれぞれ2つの基R10は一緒になって1つの縮合された芳香族のC6環を形成し、その際、この芳香族環、有利にはこの6員の芳香族環に、場合により1又は複数の他の芳香族環が縮合されていてよく、その際、それぞれ考えられる縮合が可能であり、かつ縮合された基は更に置換されていてよく;又はR10は、ドナー作用もしくはアクセプター作用を有する基、有利にはハロゲン基、有利にはF、Cl、Br、特に有利にはF;アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニル基、エステル基、アミノ基、アミド基、CHF2、CH2F、CF3、CN、チオ基及びSCNからなる群から選択される基を意味し;
vは、0〜4、有利には0、1又は2、殊に有利には0であり、その際、vが0である場合には、場合によりR10で置換された式cにおけるアリール基の4つの炭素原子は、水素原子を有し、その際、式cの基は、そのアリール基に、場合により存在する基R10の他に、1又は2つの、ポリマーとの共有結合に適した基を有してよい]からなる群から選択される。
【0152】
本発明によるポリマー材料であって少なくとも1つのポリマーと式IBの少なくとも1つの遷移金属錯体との混合物の形のポリマー材料は、式IBの少なくとも1つの遷移金属錯体と少なくとも1つのポリマーとを混合することによって製造される。従って本発明の更なる対象は、本発明によるポリマー材料であって少なくとも1つのポリマーと式IBの少なくとも1つの遷移金属錯体との混合物の形のポリマー材料の製造法において、式IBの少なくとも1つの遷移金属錯体と少なくとも1つのポリマーとを混合することによる製造方法である。少なくとも1つのポリマーと式IBの少なくとも1つの遷移金属錯体との混合物の製造のための、使用される成分の方法条件及び量比は、既に、本発明により使用されるポリマー材料の製造に関して挙げている。
【0153】
方法条件、有利にはポリマーと遷移金属とが共有結合しているポリマー材料の製造のために使用される成分と使用される成分の量比は、既に、本発明により使用されるポリマー材料の製造に関して挙げている。
【0154】
本発明の更なる対象は、ポリマーと遷移金属錯体とが共有結合している本発明によるポリマー材料の製造方法において、少なくとも1つの官能化されたポリマー
"ポリマー"−(T)p'
と、1又は複数の基Qで官能化された、Qが少なくとも1つの配位子K、配位子L又は式II
【化52】

で示されるカルベン配位子と共有結合されている式IIIB
【化53】

[式中、記号は以下の意味を有する:
1は、Co、Rh、Ir、Nb、Pd、Pt、Fe、Ru、Os、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Cu、Ag及びAuからなる群から選択される金属原子であって、相応の金属原子について可能な各々の酸化段階の金属原子であり、
Lは、モノアニオン性又はジアニオン性の配位子、有利にはモノアニオン性の配位子であって、一座又は二座であってよい配位子であり、
Kは、中性の一座又は二座の配位子であり、
nは、カルベン配位子の数であり、その際、nは、少なくとも2であり、かつ式IIIBの錯体中のカルベン配位子は、同一又は異なってよく、
mは、配位子Lの数であり、その際、mは、0又は≧1であってよく、かつm>1の場合に配位子Lは、同一又は異なってよく、
oは、配位子Kの数であり、その際、oは、0又は≧1であってよく、かつo>1の場合に配位子Kは、同一又は異なってよく、
その際、n+m+oの合計は、使用される金属原子の酸化段階及び配位数と、カルベン配位子及び配位子のL及びKの配座数と、カルベン配位子及び配位子のLの電荷とに依存するが、但し、nは、少なくとも1であり;かつ
Do1は、C、P、N、O及びS、有利にはP、N、O及びS、特に有利にはNからなる群から選択されるドナー原子であり;
Do2は、C、N、P、O及びSからなる群から選択されるドナー原子であり;
rは、Do1がCの場合に2であり、Do1がN又はPの場合に1であり、かつDo1がO又はSの場合に0であり;
sは、Do2がCの場合に2であり、Do2がN又はPの場合に1であり、かつDo2がO又はSの場合に0であり;
Xは、シリレン、アルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン又はアルケニレン、有利にはアルキレン又はアリーレン、特に有利にはC1〜C3−アルキレン又はC6−1,4−アリーレンからなる群から選択されるスペーサーであり、その際、4つの他の炭素原子の少なくとも1つは、場合により、メチル基、エチル基、n−プロピル基もしくはi−プロピル基又は、ハロゲン基、有利にはF、Cl、Br、特に有利にはF、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニル基、エステル基、アミノ基、アミド基、CHF2、CH2F、CF3、CN、チオ基及びSCN基から選択されるドナー作用もしくはアクセプター作用を有する基で置換されていてよく、殊に有利にはメチレン、エチレン又は1,4−フェニレンであり;
pは、0又は1、有利には0であり;
qは、0又は1、有利には0であり;
1及びY2は、一緒になって、ドナー原子Do1と窒素原子Nとの間に架橋を形成し、該架橋は、少なくとも2つの原子、有利には2〜3つの原子、特に有利には2つの原子を有し、そのうち少なくとも1つは炭素原子であり、その際、少なくとも1つの他の原子は、有利には窒素原子であり、その際、該架橋は、飽和又は不飽和であり、有利には不飽和であってよく、かつ該架橋の少なくとも2つの原子は置換又は非置換であってよく、その際、該架橋が2つの炭素原子を有しかつ飽和である場合に、2つの炭素原子の少なくとも1つが置換されており;基Y1及びY2の置換基は、一緒になって、全体で3〜5つ、有利には4つの原子を有する架橋を形成してよく、そのうち1又は2つの原子はヘテロ原子、有利にはNであってよく、かつ残りの原子は炭素原子であるので、Y1及びY2は、前記の架橋と一緒になって、5員ないし6員の、有利には6員の環を形成し、該環は、場合により2つ又は(6員又は7員の環の場合には)3つの二重結合を有してよく、かつ場合によりアルキル基又はアリール基で置換されていてよく、かつ場合によりヘテロ原子、有利にはNを有してよく、その際、アルキル基もしくはアリール基で置換されているか又は非置換の6員の芳香族環が好ましく、又は有利な6員の芳香族環は、場合により少なくとも1つのヘテロ原子、有利にはNを有してよい他の環、有利には6員の芳香族環と縮合されており;
3は、水素基、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はアルケニル基、有利には水素、アルキル基、ヘテロアリール基又はアリール基又は
【化54】

(式中、Do2'、q′、s′、R3'、R1'、R2'、X′及びp′は、無関係に、Do2、q、s、R3、R1、R2、X及びpと同じ意味を有する)であり;
1、R2は、互いに無関係に、水素、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はアルケニル基、有利には水素、アルキル基、ヘテロアリール基又はアリール基であるか;又は
1及びR2は、一緒になって、全体で3〜5つ、有利には4つの原子を有する架橋を形成し、そのうち1又は2つの原子は、ヘテロ原子、有利にはNであってよく、かつ残りの原子は炭素原子であるので、基
【化55】

は、5員ないし6員の、有利には6員の環を形成し、該環は、場合により、既に存在する二重結合の他に、1つ又は(6員又は7員の環の場合には)2つの他の二重結合を有してよく、かつ場合によりアルキル基又はアリール基で置換されていてよく、かつ場合によりヘテロ原子、有利にはNを有してよく、その際、アルキル基もしくはアリール基で置換された又は非置換の6員の芳香族環が好ましく、又は有利な6員の芳香族環は、場合により少なくとも1つのヘテロ原子、有利にはNを有してよい他の環と、有利には6員の芳香族環と縮合されており;
3は、水素、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はアルケニル基、有利には水素、アルキル基、ヘテロアリール基又はアリール基であり;かつ
Q及びTは、互いに共有結合するのに適した基であり、その際、基Qは、配位子L、K又はcarbenの1つに結合されており、かつ基Tは、ポリマーの1つの末端基又は中心単位に共有結合されており;
s′は、1〜3の整数であり、その際、s′が1より大きい場合に、基Qは、同じ又は異なる配位子K、L又はcarbenに、有利にはcarbenに結合されており;
p′は、ポリマー中の基Tの数であり、その際、p′は、ポリマーの分子量に依存し、かつp′は、ポリマーと遷移金属錯体とからなる全量に対して、ポリマー自体がエレクトロルミネセンスを示す場合には、使用される遷移金属錯体の量が、一般に、0.5〜50質量%、有利には1〜30質量%、特に有利には1〜20質量%であるように選択され、かつポリマー自体がエレクトロルミネセンスを示さない場合には、ポリマーと遷移金属錯体とからなる全量に対して、遷移金属錯体の量が、一般に、5〜50質量%、有利には10〜40質量%、特に有利には15〜35質量%であるように選択される]で示される少なくとも1つの遷移金属錯体とを反応させることによる製造方法である。
【0155】
Q及びTは、有利には、ハロゲン、例えばBr、I又はCl、アルキルスルホニルオキシ、例えばトリフルオロメタンスルホニルオキシ、アリールスルホニルオキシ、例えばトルエンスルホニルオキシ、ホウ素含有基、OH、COOH、活性化されたカルボキシル基、例えば酸ハロゲン化物、酸無水物又はエステル、−N≡N+-(その際、X-は、ハロゲン化物イオン、例えばCl-又はBr-を意味する)、SH、SiR2′′X及びNHR(その際、R及びR′′は、水素、アリール又はアルキルを意味する)からなる群から選択され、かつ前記基は、単結合を介して直接的に配位子L、K又はcarben、有利にはcarbenあるいはポリマーに結合されていてよく、又は前記基は、リンカー、つまり−(CR′2q−(その際、R′は、無関係に水素、アルキル又はアリールを意味し、かつqは1〜15であり、そのリンカー−(CR′2q−の1又は複数のメチレン基は−O−、−S−、−N(R)−、−CON(R)−、−CO−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−CH=CH−又は−C≡C−によって交換されていてよく、その際、Rは水素、アリール又はアルキルを意味する)を介して、配位子L、K又はcarben、有利にはcarbenあるいはポリマーの1つに結合されているか、又はリンカーとしてのC6〜C18−アリーレン基(該基は、場合によりアルキル基、アリール基、ハロゲン、CN又はNO2のような置換基で置換されていてよい)を介してそれらに結合されていてよい。
【0156】
方法条件、有利にはポリマーと遷移金属とが共有結合しているポリマー材料の製造のために使用される成分と使用される成分の量比は、既に、本発明により使用されるポリマー材料の製造に関して挙げている。
【0157】
本発明の更なる対象は、ポリマーと遷移金属錯体とが共有結合している、式IIBの少なくとも1つの遷移金属錯体を含むポリマー材料の製造方法において、重合活性基を有するモノマーと、Sが1又は複数の配位子K、配位子L又は式II
【化56】

で示されるカルベン配位子と結合されている式IVB
【化57】

[式中、記号は以下の意味を有する:
1は、Co、Rh、Ir、Nb、Pd、Pt、Fe、Ru、Os、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Cu、Ag及びAuからなる群から選択される金属原子であって、相応の金属原子について可能な各々の酸化段階の金属原子であり、
Lは、モノアニオン性又はジアニオン性の配位子、有利にはモノアニオン性の配位子であって、一座又は二座であってよい配位子であり、
Kは、中性の一座又は二座の配位子であり、
nは、カルベン配位子の数であり、その際、nは、少なくとも2であり、かつ式Iの錯体中のカルベン配位子は、同一又は異なってよく、
mは、配位子Lの数であり、その際、mは、0又は≧1であってよく、かつm>1の場合に配位子Lは、同一又は異なってよく、
oは、配位子Kの数であり、その際、oは、0又は≧1であってよく、かつo>1の場合に配位子Kは、同一又は異なってよく、
その際、n+m+oの合計は、使用される金属原子の酸化段階及び配位数と、カルベン配位子及び配位子のL及びKの配座数と、カルベン配位子及び配位子のLの電荷とに依存するが、但し、nは、少なくとも1であり;かつ
Do1は、C、P、N、O及びS、有利にはP、N、O及びS、特に有利にはNからなる群から選択されるドナー原子であり;
Do2は、C、N、P、O及びSからなる群から選択されるドナー原子であり;
rは、Do1がCの場合に2であり、Do1がN又はPの場合に1であり、かつDo1がO又はSの場合に0であり;
sは、Do2がCの場合に2であり、Do2がN又はPの場合に1であり、かつDo2がO又はSの場合に0であり;
Xは、シリレン、アルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン又はアルケニレン、有利にはアルキレン又はアリーレン、特に有利にはC1〜C3−アルキレン又はC6−1,4−アリーレンからなる群から選択されるスペーサーであり、その際、4つの他の炭素原子の少なくとも1つは、場合により、メチル基、エチル基、n−プロピル基もしくはi−プロピル基又は、ハロゲン基、有利にはF、Cl、Br、特に有利にはF、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニル基、エステル基、アミノ基、アミド基、CHF2、CH2F、CF3、CN、チオ基及びSCN基から選択されるドナー作用もしくはアクセプター作用を有する基で置換されていてよく、殊に有利にはメチレン、エチレン又は1,4−フェニレンであり;
pは、0又は1、有利には0であり;
qは、0又は1、有利には0であり;
1及びY2は、一緒になって、ドナー原子Do1と窒素原子Nとの間に架橋を形成し、該架橋は、少なくとも2つの原子、有利には2〜3つの原子、特に有利には2つの原子を有し、そのうち少なくとも1つは炭素原子であり、その際、少なくとも1つの他の原子は、有利には窒素原子であり、その際、該架橋は、飽和又は不飽和であり、有利には不飽和であってよく、かつ該架橋の少なくとも2つの原子は置換又は非置換であってよく、その際、該架橋が2つの炭素原子を有しかつ飽和である場合に、2つの炭素原子の少なくとも1つが置換されており;基Y1及びY2の置換基は、一緒になって、全体で3〜5つ、有利には4つの原子を有する架橋を形成してよく、そのうち1又は2つの原子はヘテロ原子、有利にはNであってよく、かつ残りの原子は炭素原子であるので、Y1及びY2は、前記の架橋と一緒になって、5員ないし6員の、有利には6員の環を形成し、該環は、場合により2つ又は(6員又は7員の環の場合には)3つの二重結合を有してよく、かつ場合によりアルキル基又はアリール基で置換されていてよく、かつ場合によりヘテロ原子、有利にはNを有してよく、その際、アルキル基もしくはアリール基で置換されているか又は非置換の6員の芳香族環が好ましく、又は有利な6員の芳香族環は、場合により少なくとも1つのヘテロ原子、有利にはNを有してよい他の環、有利には6員の芳香族環と縮合されており;
3は、水素基、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はアルケニル基、有利には水素、アルキル基、ヘテロアリール基又はアリール基又は
【化58】

(式中、Do2'、q′、s′、R3'、R1'、R2'、X′及びp′は、無関係に、Do2、q、s、R3、R1、R2、X及びpと同じ意味を有する)であり;
1、R2は、互いに無関係に、水素、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はアルケニル基、有利には水素、アルキル基、ヘテロアリール基又はアリール基であるか;又は
1及びR2は、一緒になって、全体で3〜5つ、有利には4つの原子を有する架橋を形成し、そのうち1又は2つの原子は、ヘテロ原子、有利にはNであってよく、かつ残りの原子は炭素原子であるので、基
【化59】

は、5員ないし6員の、有利には6員の環を形成し、該環は、場合により、既に存在する二重結合の他に、1つ又は(6員又は7員の環の場合には)2つの他の二重結合を有してよく、かつ場合によりアルキル基又はアリール基で置換されていてよく、かつ場合によりヘテロ原子、有利にはNを有してよく、その際、アルキル基もしくはアリール基で置換された又は非置換の6員の芳香族環が好ましく、又は有利な6員の芳香族環は、場合により少なくとも1つのヘテロ原子、有利にはNを有してよい他の環と、有利には6員の芳香族環と縮合されており;
3は、水素、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はアルケニル基、有利には水素、アルキル基、ヘテロアリール基又はアリール基であり;かつ
Sは、モノマーの重合活性基と重合可能な基であって、配位子L、K又はcarbenの1つ、有利にはcarben結合されている基であり;
s′′は、1〜3の整数であり、その際、s′′が1より大きい場合に、基Sは、同じ又は異なる配位子K、L又はcarbenに結合されている]で示されるコモノマーとを反応させることによる製造方法である。
【0158】
ポリマーと共有結合されている、式IIBの少なくとも1つの遷移金属錯体を含むポリマー材料を、重合活性基を有するモノマーと、式IVBのコモノマーとの共重合によって製造するための方法条件、有利には使用される成分及び使用される成分の量比は、既に、本発明により使用されるポリマー材料の製造に関して挙げており、あるいは既に、ポリマーと共有結合されている、式IIの遷移金属錯体を有するポリマー材料を、重合活性基を有するモノマーと、式IVのコモノマーとの共重合によって製造することに関して挙げたものと同じである。
【0159】
本発明によるポリマー材料は、有機発光ダイオードにおいて使用するのに極めて適している。これらの有機材料は、高いエネルギー効率と出力効率とを有する三重項発光体である。該三重項発光体をポリマー中に組み込むことによって、本発明によるポリマー材料を、溶液から被膜の形で、例えばスピンコート、インクジェット印刷又は浸漬塗布によって適用することが可能である。従って、本発明によるポリマー材料を用いれば、大画面ディスプレイを容易にかつ廉価に製造することが可能である。
【0160】
従って、本願の更なる対象は、本発明により使用されるポリマー材料又は本発明によるポリマー材料を、有機発光ダイオード(OLED)において用いる使用である。有利には、本発明により使用されるポリマー材料又は本発明によるポリマー材料はOLEDにおいて発光体物質として使用されるのは、該材料が、電磁スペクトルの可視領域で発光(エレクトロルミネセンス)を示すためである。本発明により使用されるポリマー材料又は本発明によるポリマー材料を発光体物質として使用することで、電磁スペクトルの赤色、緑色並びに青色の領域でエレクトロルミネセンスを示す材料を調製することが可能である。従って、本発明により使用されるポリマー材料又は本発明によるポリマー材料を発光体物質として使用することで、技術的に使用可能なフルカラーディスプレイを提供することが可能である。
【0161】
有機発光ダイオードは、基本的に、複数の層から構成され、一例を図1に示しており、そこでは、以下のこと:
1.アノード
2.ホール輸送層
3.発光層
4.電子輸送層
5.カソード
を意味する。
【0162】
しかしながら、OLEDは、上記の層の全てを有さなくてもよく、例えば層(1)(アノード)、(3)(発光層)及び(5)(カソード)を有するOLEDも同様に適しており、その際、層(2)(ホール輸送層)及び層(4)(電子輸送層)の機能は、隣接する層によって担われる。層(1)、(2)、(3)及び(5)もしくは層(1)、(3)、(4)及び(5)を有するOLEDは、同様に適している。
【0163】
該ポリマー材料は、有利には、発光層中で発光体物質として使用される。従って、本発明の更なる対象は、少なくとも1つのポリマー材料を発光体物質として含有する発光層である。有利なポリマー材料は、既に上述している。
【0164】
前記のOLED層の各々は、更に2又はそれ以上の層から構成されていてよい。例えば、ホール輸送層は、電極からホールが注入される層と、ホールがホール注入層から発光層へと輸送される層とから構成されていてよい。電子輸送層は、同様に、複層からなっていてよく、例えば電子が電極を通じて注入される層と、電子注入層から電子が得られ、そして発光層中に輸送される層とから成ってよい。これらの前記の層は、エネルギー準位、耐熱性及び電荷担体移動度並びに前記の層と有機層又は金属電極とのエネルギー差のような要素に応じてそれぞれ選択される。当業者は、OLEDの構造を、本発明により発光物質として使用されるポリマー材料に最適に適合されるように選択することができる。
【0165】
特に効率的なOLEDを得るためには、ホール輸送層のHOMO(最高占有分子軌道)をアノードの仕事関数に合わせることが望ましく、かつ電子輸送層のLUMO(最低非占有分子軌道)をカソードの仕事関数に合わせることが望ましい。
【0166】
本願の更なる対象は、本発明による1つの発光層を有するOLEDである。OLED中の更なる層は、通常はかかる層で使用され、かつ当業者に公知の任意の材料から構成されていてよい。
【0167】
アノード(1)は、正の電荷担体を提供する電極である。該電極は、例えば、金属、種々の金属の混合物、金属合金、金属酸化物又は種々の金属酸化物の混合物を含有する材料から構成されてよい。選択的に、アノードは、導電性ポリマー、例えばポリアニリン又はその誘導体又はポリチオフェン又はその誘導体であってよい。好適な金属は、元素の周期系の第11族、第4族、第5族及び第6族の金属並びに第8族ないし第10族の遷移金属を含む。アノードが光透過性であることが望ましい場合に、一般に元素の周期系の第12族、第13族及び第14族の混合金属酸化物、例えばインジウム−スズ酸化物(ITO)が使用される。同様に、アノード(1)は、有機材料、例えばポリアニリンを含有することができ、これらは例えばNature,Vol.357,第477頁〜第479頁(1992年6月11日)に記載されている。少なくともアノード又はカソードのいずれかは、形成された光を出力結合できるために、少なくとも部分的に透明であることが望ましい。
【0168】
本発明によるOLEDの層(2)のために適したホール輸送材料は、例えばKirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technologie,第4版、第18巻、第837〜第860頁、1996に開示されている。ホール輸送性の分子もポリマーも、ホール輸送材料として使用することができる。通常使用されるホール輸送性分子は、4,4′−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン(TPD)、1,1−ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(TAPC)、N,N′−ビス(4−メチルフェニル)−N,N′−ビス(4−エチルフェニル)−[1,1′−(3,3′−ジメチル)ビフェニル]−4,4′−ジアミン(ETPD)、テトラキス−(3−メチルフェニル)−N,N,N′,N′−2,5−フェニレンジアミン(PDA)、α−フェニル−4−N,N−ジフェニルアミノスチレン(TPS)、p−(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン(DEH)、トリフェニルアミン(TPA)、ビス[4−(N,N−ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル)(4−メチル−フェニル)メタン(MPMP)、1−フェニル−3−[p−(ジエチルアミノ)スチリル]−5−[p−(ジエチルアミノ)フェニル]ピラゾリン(PPR又はDEASP)、1,2−トランス−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン(DCZB)、N,N,N′,N′−テトラキス(4−メチルフェニル)−(1,1′−ビフェニル)−4,4′−ジアミン(TTB)及びポルフィリン化合物並びにフタロシアニン、例えば銅フタロシアニンからなる群から選択される。通常使用されるホール輸送性ポリマーは、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、例えば(フェニルメチル)ポリシラン、ポリアニリン及びその誘導体、ポリシロキサン及びその誘導体であって、芳香族アミン基を主鎖又は側鎖に有するもの、ポリチオフェン及びその誘導体、有利にはPEDOT(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、特に有利にはPEDOTであってPSS(ポリスチレンスルホネート)でドープされたもの、ポリピロール及びその誘導体、ポリ(p−フェニレン−ビニレン)及びその誘導体からなる群から選択される。好適なホール輸送材料のための例は、例えばJP−A63070257号、JP−A63175860号、JP−A2135359号、JP−A2135361号、JP−A2209988号、JP−A3037992号及びJP−A3152184号に挙げられている。同様に、ホール輸送性ポリマーは、ホール輸送性分子をポリマー中に、例えばポリスチレン、ポリアクリレート、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサン及びポリカーボネート中にドープすることによって得ることも可能である。ホール輸送性分子は、そのために、ポリマー型バインダーとして用いられる上記ポリマー中に分散される。好適なホール輸送性分子は、既に前記に挙げた分子である。有利なホール輸送材料は、上記のホール輸送性ポリマーである。特に有利には、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、ポリシロキサン誘導体であってその主鎖又は側鎖中に芳香族アミノ基を有するもの並びにポリチオフェン含有誘導体、特にPEDOT−PSSである。ホール輸送材料として挙げられた化合物の製造は、当業者に公知である。
【0169】
本発明によるOLEDの層(4)に適した電子輸送性材料は、オキシノイド化合物でキレート化された金属、例えばトリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(Alq3)、フェナントロリンを基礎とする化合物、例えば2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(DDPA=BCP)又は4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(DPA)及びアゾール化合物、例えば2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)及び3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)、アントラキノンジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、ポリキノリン及びその誘導体、フルオレンオン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体及びポリフルオレン及びその誘導体を含む。好適な電子輸送性材料のための例は、例えばJP−A63070257号、JP−A63175860号、JP−A2135359号、JP−A2135361号、JP−A2209988号、JP−A3037992号及びJP−A3152184号に開示されている。有利な電子輸送性材料は、アゾール化合物、ベンゾキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体である。特に有利には、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、Alq3、BCP及びポリキノリンである。非ポリマー型の電子輸送性材料を、ポリマー型バインダーとしてのポリマーと混合することができる。好適なポリマー型バインダーは、電磁スペクトルの可視領域で強い吸光を示さないポリマーである。好適なポリマーは、既に、ホール輸送性材料に関してポリマー型バインダーとして挙げたポリマーである。この場合に、層(4)は、電子輸送の軽減のためにも、OLEDの層の境界面での励起子の消光を回避するために緩衝層又は障壁層として使用することができる。有利には、層(4)は、電子の移動度を改善し、そして励起子の消光を低減させる。
【0170】
前記に、ホール輸送性材料及び電子輸送性材料として挙げた材料によって、幾つかの複数の機能を満たすことができる。例えば、電子伝導性材料の幾つかは、該材料が低いところにあるHOMOを有する場合には、同時にホールブロッキング性材料である。
【0171】
電荷輸送層は、使用される材料の輸送特性を改善させるために、一方で、層厚を大規模に構成するために(ピンホール/短絡の回避)、そして他方で、デバイスの駆動電圧を低減させるために、電子ドーピングされていてもよい。例えば、ホール輸送材料を電子受容体でドープしてよく、例えばフタロシアニンもしくはアリールアミン、例えばTPD又はTDTAをテトラフルオロ−テトラシアノ−キノジメタン(F4−TCNQ)でドープしてよい。電子輸送材料を、例えばアルカリ金属でドープしてよく、例えばAlq3をリチウムでドープしてよい。電子ドーピングは、当業者に公知であり、例えばW.Gao、A.Kahn著のJ.Appl.Phys.,第94巻、第1号、2003年7月1日、p−ドープされた有機層及びA.G.Werner、F.Li、K.Harada、M.Pfeiffer、T.Fritz、K.Leo著のAppl.Phys.Lett.,第82巻、第25号、2003年6月23日;Pfeiffer他著のOrganic Electronics 2003,4,89−103に開示されている。
【0172】
カソード(5)は、電子又は負の電荷担体の供給に用いられる電極である。カソードは、アノードより低い仕事関数を有するあらゆる金属又は非金属であってよい。カソードに適した材料は、元素の周期系の第1族のアルカリ金属、例えばLi、Cs、第2族のアルカリ土類金属、第12族の金属からなり、希土類金属及びランタノイド及びアクチノイドを含む群から選択される。更に、アルミニウム、インジウム、カルシウム、バリウム、サマリウム及びマグネシウムのような金属並びにそれらの組合せ物(合金)を使用することができる。更に、リチウムを含有する有機金属化合物又はLiFを、有機層とカソードとの間に適用して、駆動電圧を低減させることができる。
【0173】
本発明によるOLEDは、付加的に、当業者に公知の更なる層を有してよい。例えば、層(2)と発光層(3)との間に、正電荷の輸送を軽減させ、かつ/又は層の互いのバンドギャップを整合させる層を適用することができる。選択的に、前記の更なる層は保護層としても用いることができる。同様に、発光層(3)と層(4)との間に、負電荷の輸送を軽減させ、かつ/又は層間の互いのバンドギャップを整合させるために付加的な層が存在してよい。選択的に、前記の層は保護層としても用いることができる。
【0174】
有利な一実施態様においては、本発明によるOLEDは、層(1)〜(5)の他に、以下に挙げられる更なる層:
− アノード(1)とホール輸送層(2)との間のホール注入層;
− ホール輸送層(2)と発光層(3)との間の電子及び/又は励起子についての障壁層;
− 発光層(3)と電子輸送層(4)との間のホール及び/又は励起子についての障壁層;
− 電子輸送層(4)とカソード(5)との間の電子注入層
の少なくとも1つを有する。
【0175】
しかしながら、OLEDは、上記の層の全てを有さなくてもよく、例えば層(1)(アノード)、(3)(発光層)及び(5)(カソード)を有するOLEDも同様に適しており、その際、層(2)(ホール輸送層)及び層(4)(電子輸送層)の機能は、隣接する層によって担われる。層(1)、(2)、(3)及び(5)もしくは層(1)、(3)、(4)及び(5)を有するOLEDは、同様に適している。
【0176】
これらの層を(例えば電気化学的調査に基づいて)好適な材料を選択せねばならないことは当業者に公知である。個々の層について適当な材料は、当業者に公知であり、例えばEP−A1245659号に開示されている。
【0177】
更に、本発明によるOLEDの前記の層の各々は、2つ又はそれ以上の層から構成されていてよい。更に、層(1)、(2)、(3)、(4)及び(5)の幾つか又は全ては、電荷担体輸送の効率を高めるために表面処理されていてよい。前記の層の各々についての材料の選択は、有利には、高い効率を有するOLEDが得られるようになされる。
【0178】
本発明によるOLEDの製造は、当業者に公知の方法に従って実施することができ、一般に該OLEDは、個々の層を好適な基板上に積層式に蒸気堆積(蒸着)することによって製造される。好適な基体は、例えばガラス又はポリマー被膜である。蒸着のためには、通常の技術、例えば熱的蒸発、化学蒸着などを使用することができる。代替法では、特にポリマーを使用する場合には、、好適な溶剤中の溶液又は分散液から有機層を被覆することができ、その際、当業者に公知の被覆技術が使用される。更に、層の適用のために印刷法が適しており、その際、好適な印刷技術は当業者に公知である。
【0179】
本発明により使用されるポリマー材料又は本発明によるポリマー材料の適用のために、蒸着は必要とされない。本願によるポリマー材料は、一般に、先行する層上で直接重合させ、その際、本発明により使用されるポリマー材料又は本発明によるポリマー材料の少なくとも1つを含有又はそれからなる所望の被膜(所望の層)が形成する。更なる一実施態様では、本発明により使用されるポリマー材料又は本発明によるポリマー材料の適用は、溶液から行われ、その際、有機溶剤として、例えばエーテル、塩素化炭化水素、例えば塩化メチレン、及び芳香族炭化水素、例えばトルエン、キシレン、クロロベンゼンが適している。適用自体は、慣用の技術によって実施でき、例えばスピンコート、浸漬塗布、被膜形成するナイフ塗布(スクリーン印刷技術)、インクジェット印刷機を用いた適用又はスタンプ印刷によって、例えばPDMS(これは光化学的にパターン形成されたシリコーンゴムスタンプによるスタンプ印刷)によって実施できる。
【0180】
一般に、種々の層は、以下の厚さを有する:アノード(1)500〜5000Å、有利には1000〜2000Å;ホール輸送層(2)50〜1000Å、有利には200〜800Å;発光層(3)10〜1000Å、有利には100〜800Å;電子輸送層(4)10〜1000Å、有利には100〜800Å;カソード(6)200〜10000Å、有利には300〜5000Å。本発明によるOLED中のホールと電子の再結合領域の位置及び従ってOLEDの発光スペクトルは、各層の相対厚によって影響されうる。つまり、電子輸送層の厚さは、有利には、電子/ホール再結合領域が発光層中にあるように選択されることが望ましい。OLED中の個々の層の層厚の比率は、使用される材料に依存する。場合により使用される付加的な層の層厚は、当業者に公知である。
【0181】
本発明により使用されるポリマー材料又は本発明によるポリマー材料を本発明によるOLEDの発光層中で発光体物質として使用することによって、OLEDを高い効率で得ることができる。本発明によるOLEDの効率は、更に、他の層の最適化によって改善することができる。例えば、高効率のカソード、例えばCa、Ba又はLiFを使用することができる。駆動電圧の低減又は量子効率の向上を引き起こす成形された基体及び新規の電荷輸送材料は、同様に本発明によるOLED中で使用することができる。更に、OLED中で付加的な層を使用することができる。更に、種々の層のエネルギー準位を調整するために、かつエレクトロルミネセンスを軽減するために、OLED中に付加的な層が存在してよい。
【0182】
本発明によるOLEDは、エレクトロルミネセンスが有用な全ての装置で使用することができる。好適な装置は、有利には、定置式ディスプレイ及び可搬式ディスプレイから選択される。定置式ディスプレイは、例えばコンピュータ、テレビのディスプレイ、プリンタのディスプレイ、調理機器のディスプレイ並びに宣伝用ボード、照明及び標識板である。可搬式ディスプレイは、例えば携帯機器、ラップトップ、車両のディスプレイ並びにバス及び電車の目的地表示板である。
【0183】
更に、本発明により使用されるポリマー材料又は本発明によるポリマー材料は、OLED中で逆構造で使用することができる。有利には、本発明により使用されるポリマー材料又は本発明によるポリマー材料は、この逆OLED中ではまたしても発光層中で使用される。逆OLEDの構造及びそこで通常使用される材料は当業者に公知である。
【0184】
次の実施例は本発明を更に説明する。
【0185】
実施例:
1. 発光体材料の製造
a)配位子の製造
【化60】

【0186】
合成は、1,2−フェニレンジアミンから出発して実施する。そのアミノ官能にアセチル基を導入した後に、得られたアミドを、Synthetic Communications,2000,30,3651−3668からの指示に従って、銅触媒を用いたプロトコールによってフェニル基を導入した。精製せずに、該材料を沸騰したエタノール性KOH溶液中で処置した。該生成物は、クロマトグラフィーによって得られた。
【0187】

【0188】
必要なイミダゾリウム塩の製造は、N,N′−ジフェニルベンゼン−1,2−ジアミンをトリエチルギ酸オルトエステルによってアンモニウムテトラフルオロボレートの存在下で処理することによって実施した。
【0189】

【0190】
b)Ir錯体(2)の製造
合成変法I
【化61】

【0191】
100mLの3つ口フラスコ中で、0.99g(2.8ミリモル)のベンゾイミダゾリウム塩(化合物(3))を20mLのTHF中に懸濁した。この淡黄色の懸濁液に、0.32gのKOtBuを10mLのTHF中に溶かした溶液を室温で添加した。該バッチを、室温で45分間撹拌し、引き続き濃縮乾燥した。再び25mLのトルエン中に取った後に、この懸濁液を、310mgの[(μ−Cl)(η4−1,5−cod)Ir]2(0.46ミリモル)を30mLのトルエン中に溶かした溶液に添加した。引き続き、該バッチを、室温で15分間、80℃で一晩、還流下に8時間、室温で週末にわたって、そして還流下に5時間加熱した。冷却した後に、沈殿物を分離し、そして濾液を濃縮した。得られた黄色の粉末を、カラムクロマトグラフィー精製に供した。白色の粉末が得られた(410mg、43%)。
【0192】
合成変法II
100mLの3つ口フラスコ中に、1.32g(3.7ミリモル)のベンゾイミダゾリウム塩(化合物(3))を25mLのトルエン中で装入した。室温で、30分以内に、7.5mLのカリウム−ビストリメチルシリルアミド(トルエン中0.5M、3.7ミリモル)を添加し、そして該バッチを室温で30分間撹拌した。310mg(0.46ミリモル)の[(μ−Cl)(η4−1,5−cod)Ir]2を、30mLのトルエン中に溶解させ、そして室温で、該塩混合物を滴加混合した。該バッチを、室温で1時間撹拌し、次いで70℃で2時間撹拌し、そして引き続き一晩還流下で撹拌した。濾過後に、濃縮乾燥させ、褐色の残留物をカラムクロマトグラフィー精製に供した。白色の粉末が得られた(0.75g、82%)。
【0193】
Ir錯体(2)は、動力学的に好ましいmeridional(mer)異性体と熱動力学的に好ましいfacial(fac)異性体からなる混合物として形成する。
【0194】

【0195】
DTA(fac/mer異性体混合物):空気中で測定した場合に、約350℃で迅速な分解を示す。不活性ガス中での試料の分解は、約380℃で開始する(測定条件:空気中:28.0/5.0(K/分)/750.0、不活性ガス中:30.0/5.00(K/分)/710)。
【0196】
c)式(2)のIr錯体のfac異性体とmer異性体のクロマトグラフィー分離
DC(溶出剤はトルエン)において、2つのスポットが確認でき、その際、fac異性体はRF=0.5で移動し、そしてmer異性体はほぼRF=0.35で移動する。
【0197】
0.46gの分離すべき材料を、トルエン中で少量のCH2Cl2を添加しつつ、約30〜40℃に加熱して溶解させた。引き続き、両方の異性体を、シリカゲル(0.063〜0.200mm、J.T.Baker社)を介して溶出剤としてトルエンを用いてクロマトグラフィーにより小さなフラクション下で分離した(カラムの寸法:30cm長、直径:6cm)。
【0198】

【0199】
2. 式(2)の遷移金属カルベン錯体と好適なポリマーとの混合によるポリマー材料の製造
発光体として、式2の錯体(実施例1bと1cを参照)を使用する。好適なポリマーとして、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を使用する。
【0200】
PMMA被膜について、2mgの色素(Ir錯体(2)、実施例1b及び1c)を、10%(質量%)のPMMA溶液(CH2Cl2中のPMMA)1ml当たりに溶解させ、そして60μmのドクターブレードを用いてスライドガラス上に皮膜を塗被した。その皮膜は直ちに乾燥する。トルエン中での測定(分光法グレード)を、10mg/lの濃度で実施した。溶液中の酸素を除去するために、測定前に5分間にわたり窒素(O2含分<150ppm)を該溶液に導通させ、測定の間に液体表面上に窒素を導いた。全ての測定は、室温で実施した。
【0201】
3. 本発明によるポリマー材料を発光体層として有するOLEDの製造
アノードとして使用されるITO基板を、まずイソプロパノールとアセトン中で煮沸によって清浄化する。その間に、超音波処理をする。引き続き、該基板を、洗浄器においてLCD生産用の市販の清浄剤(Deconex(登録商標)20NS及び中和剤25ORGANACID(登録商標))で洗う。場合により残る有機残留物を除去するために、該基板を25分間にわたり連続的なオゾン流に晒す。前記処理は、ITOの仕事関数が高まるので、ホール注入も向上する。
【0202】
引き続き、PEDT:PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホネート))(Baytron(登録商標)P VP AI 4083)を水溶液から試験体上にスピンコートする。この場合に、46nmの厚さが生ずる。次いで、クロロベンゼン中に溶解されたPMMA(ポリメタクリル酸メチルエステル)及び発光体物質(錯体2、実施例1b及び1c)から構成される発光体層を後続させる。PMMAをクロロベンゼン中に溶かした2パーセントの溶液を使用する。ドーパント(発光体)を、種々の濃度でそこに添加する。
【0203】
28%溶液により、スピンコート後に約61nmの厚さがもたらされ、そして40%溶液により、77nmの厚さがもたらされる。これらの溶液については、発光体の異性体混合物(fac/mer)(それぞれ実施例1b)であって、facial異性体が主成分である混合物を使用した。更に、また異性体純粋なfac発光体(実施例1c)を使用して30%溶液を製造した。この溶液により、スピンコート後に27nmの層厚がもたらされる。
【0204】
電荷担体のバランスをより良くするために、次いで40nmのBCP(2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)を蒸着させる。BCPは、その良好な電子伝導性について知られており、更にその低いところにあるHOMOによってホールがブロックされるため、ホールはPMMAを抜け出すことは困難にのみ可能であるにすぎない。引き続き、1nmのフッ化リチウムと130nmのアルミニウムをカソードとして堆積させる。
【0205】
素子(OLED)の特性決定のために、次いでエレクトロルミネセンス−スペクトルを種々の電流もしくは電圧で記録する。更に、電流−電圧特性曲線を、放射された光量を組み合わせて測定する。光量は、次いで輝度計を用いて較正することによって光度量に換算することができる。
【0206】
前記の素子(OLED)について、従って以下の電気光学データが得られる:
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0207】
【図1】図1は、本発明による複数の層から構成される有機発光ダイオードの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0208】
1 アノード、 2 ホール輸送層、 3 発光層、 4 電子輸送層、 5 カソード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のポリマーと、式I
【化1】

[式中、記号は以下の意味を有する:
1は、Co、Rh、Ir、Nb、Pd、Pt、Fe、Ru、Os、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Cu、Ag及びAuからなる群から選択される金属原子であって、相応の金属原子について可能な各々の酸化段階の金属原子であり、
carbenは、中性又はモノアニオン性であってよく、かつ一座、二座又は三座であってよいカルベン配位子であり、該カルベン配位子は、またビスカルベン配位子又はトリスカルベン配位子であってもよく、
Lは、モノアニオン性又はジアニオン性の配位子、有利にはモノアニオン性の配位子であって、一座又は二座であってよい配位子であり、
Kは、中性の一座又は二座の配位子であり、
nは、カルベン配位子の数であり、その際、nは、少なくとも1であり、かつn>1の場合に式Iの錯体中のカルベン配位子は、同一又は異なってよく、
mは、配位子Lの数であり、その際、mは、0又は≧1であってよく、かつm>1の場合に配位子Lは、同一又は異なってよく、
oは、配位子Kの数であり、その際、oは、0又は≧1であってよく、かつo>1の場合に配位子Kは、同一又は異なってよく、
その際、n+m+oの合計は、使用される金属原子の酸化段階及び配位数と、配位子のcarben、L及びKの配座数と、配位子のcarben及びLの電荷とに依存するが、但し、nは、少なくとも1である]で示される少なくとも1種の遷移金属錯体とを含有するが、前記少なくとも1種のポリマーがポリ(N−ビニルカルバゾール)又はポリシランではないポリマー材料を有機発光ダイオードにおいて用いる使用。
【請求項2】
請求項1記載の使用であって、式Iの少なくとも1つの遷移金属錯体及び少なくとも1つのポリマーを含有する混合物を含む使用。
【請求項3】
請求項1記載の使用であって、少なくとも1つのポリマーと共有結合されている式Iの少なくとも1つの遷移金属錯体を含む使用。
【請求項4】
請求項2又は3記載の使用であって、ポリマーが、ポリ−p−フェニレン−ビニレン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、ポリフルオランテン及びその誘導体並びにポリアセチレン及びその誘導体、ポリスチレン及びその誘導体、ポリ(メタ)アクリレート及びその誘導体、及び前記ポリマーのモノマー単位を有するコポリマーからなる群から選択されることを特徴とする使用。
【請求項5】
請求項3又は4記載の使用であって、少なくとも1つの遷移金属錯体とポリマーとの共有結合が、少なくとも1つの遷移金属錯体とポリマーとの少なくとも1つの直接的な共有結合を介して、有利には単結合、二重結合、−O−基、−S−基、−N(R)−基、−CON(R)−基、−N=N−基、−CO−基、−C(O)−O−基又は−O−C(O)−基(その際、Rは、水素、アルキル又はアリールを意味する)を介して行われるか、又はリンカーを介して、有利にはC1〜C15−アルキレン基(その際、該アルキレン基の1又は複数のメチレン基は、−O−、−S−、−N(R)−、−CON(R)−、−CO−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−N=N−、−CH=CH−又は−C≡C−によって交換されていてよく、その際、化学的に目的にかなう基が形成され、かつ該アルキレン基は、アルキル基、アリール基、ハロゲン、CN又はNO2のような置換基で置換されていてよく、その際、Rは、水素、アルキル又はアリールを意味する)を介して又は、アルキル基、アリール基、ハロゲン、CN又はNO2のような置換基で場合により置換されていてよいC6〜C18−アリーレン基を介して行われることを特徴とする使用。
【請求項6】
請求項2又は4記載の使用であって、ポリマー材料が、請求項1記載の式Iの少なくとも1つの遷移金属錯体と少なくとも1つのポリマーとを混合することによって製造できることを特徴とする使用。
【請求項7】
請求項3から5までのいずれか1項記載の使用であって、ポリマー材料が、少なくとも1つの官能化されたポリマー
"ポリマー"−(T)p'
と、1又は複数の基Qで官能化された、Qが1又は複数の配位子K、配位子L又は配位子carbenと共有結合されている式III
【化2】

[式中、記号は以下の意味を有する:
1は、Co、Rh、Ir、Nb、Pd、Pt、Fe、Ru、Os、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Cu、Ag及びAuからなる群から選択される金属原子であって、相応の金属原子について可能な各々の酸化段階の金属原子であり、
carbenは、中性又はモノアニオン性及び一座、二座又は三座であってよいカルベン配位子であり、該カルベン配位子は、ビスカルベン配位子又はトリスカルベン配位子であってよく;
Lは、モノアニオン性又はジアニオン性の配位子、有利にはモノアニオン性の配位子であって、一座又は二座であってよい配位子であり、
Kは、中性の一座又は二座の配位子であり、
nは、カルベン配位子の数であり、その際、nは、少なくとも1であり、かつ式Iの錯体中のカルベン配位子は、n>1の場合には、同一又は異なってよく、
mは、配位子Lの数であり、その際、mは、0又は≧1であってよく、かつm>1の場合に配位子Lは、同一又は異なってよく、
oは、配位子Kの数であり、その際、oは、0又は≧1であってよく、かつo>1の場合に配位子Kは、同一又は異なってよく、
その際、n+m+oの合計は、使用される金属原子の酸化段階及び配位数と、配位子のcarben、L及びKの配座数と、配位子のcarben及びLの電荷とに依存するが、但し、nは、少なくとも1であり;かつ
Q及びTは、互いに共有結合するのに適した基であり、その際、基Qは、配位子L、K又はcarbenの1つに結合されており、かつ基Tは、ポリマーの1つの末端基又は中心単位に共有結合されており;
s′は、1〜3の整数であり、その際、s′が1より大きい場合に、基Qは、同じ又は異なる配位子K、L又はcarbenに、有利にはcarbenに結合されており;
p′は、ポリマー中の基Tの数であり、その際、p′は、ポリマーの分子量に依存し、かつp′は、ポリマーと遷移金属錯体とからなる全量に対して、ポリマー自体がエレクトロルミネセンスを示す場合には、使用される遷移金属錯体の量が、一般に、0.5〜50質量%、有利には1〜30質量%、特に有利には1〜20質量%であるように選択され、かつポリマー自体がエレクトロルミネセンスを示さない場合には、ポリマーと遷移金属錯体とからなる全量に対して、遷移金属錯体の量が、一般に、5〜50質量%、有利には10〜40質量%、特に有利には15〜35質量%であるように選択される]で示される少なくとも1つの遷移金属錯体とを反応させることにより製造できることを特徴とする使用。
【請求項8】
請求項7記載の使用であって、Q及びTが、ハロゲン、例えばBr、I又はCl、アルキルスルホニルオキシ、例えばトリフルオロメタンスルホニルオキシ、アリールスルホニルオキシ、例えばトルエンスルホニルオキシ、ホウ素含有基、OH、COOH、活性化されたカルボキシル基、例えば酸ハロゲン化物、酸無水物又はエステル、−N≡N+-(その際、X-は、ハロゲン化物イオン、例えばCl-又はBr-を意味する)、SH、SiR2′′X及びNHR(その際、R及びR′′は、水素、アリール又はアルキルを意味する)からなる群から選択され、かつ前記基は、単結合を介して直接的に配位子L、K又はcarbenの1つ、有利にはcarbenあるいはポリマーに結合されていてよく、又は前記基は、リンカー、つまり−(CR′2q−(その際、R′は、無関係に水素、アルキル又はアリールを意味し、かつqは1〜15であり、そのリンカー−(CR′2q−の1又は複数のメチレン基は−O−、−S−、−N(R)−、−CON(R)−、−CO−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−CH=CH−又は−C≡C−によって交換されていてよく、その際、Rは水素、アリール又はアルキルを意味する)を介して、配位子L、K又はcarbenの1つあるいはポリマーに結合されているか、又はリンカーとしてのC6〜C18−アリーレン基(該基は、場合によりアルキル基、アリール基、ハロゲン、CN又はNO2のような置換基で置換されていてよい)を介してそれらに結合されていてよいことを特徴とする使用。
【請求項9】
請求項3から5までのいずれか1項記載の使用であって、ポリマーと共有結合した式Iの少なくとも1つの遷移金属錯体を含むポリマー材料が、重合活性基を有するモノマーと式IVで示されSが1もしくは複数の配位子K、L又はcarbenと結合されているコモノマー
【化3】

[式中、記号は以下の意味を有する:
1は、Co、Rh、Ir、Nb、Pd、Pt、Fe、Ru、Os、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Cu、Ag及びAuからなる群から選択される金属原子であって、相応の金属原子について可能な各々の酸化段階の金属原子であり、
carbenは、中性又はモノアニオン性であってよく、かつ一座、二座又は三座であってよいカルベン配位子であり、該カルベン配位子は、またビスカルベン配位子又はトリスカルベン配位子であってもよく、
Lは、モノアニオン性又はジアニオン性の配位子、有利にはモノアニオン性の配位子であって、一座又は二座であってよい配位子であり、
Kは、中性の一座又は二座の配位子であり、
nは、カルベン配位子の数であり、その際、nは、少なくとも1であり、かつn>1の場合に式Iの錯体中のカルベン配位子は、同一又は異なってよく、
mは、配位子Lの数であり、その際、mは、0又は≧1であってよく、かつm>1の場合に配位子Lは、同一又は異なってよく、
oは、配位子Kの数であり、その際、oは、0又は≧1であってよく、かつo>1の場合に配位子Kは、同一又は異なってよく、
その際、n+m+oの合計は、使用される金属原子の酸化段階及び配位数と、配位子のcarben、L及びKの配座数と、配位子のcarben及びLの電荷とに依存するが、但し、nは、少なくとも1であり;
Sは、モノマーの重合活性基と重合可能な基であって、配位子L、K又はcarben、有利にはcarbenに結合されている基であり、
s′′は、1〜3の整数であり、その際、s′′>1である場合に、基Sは、同じもしくは異なる配位子K、L又はcarbenに結合されている]との共重合によって製造できることを特徴とする使用。
【請求項10】
請求項9記載の使用であって、重合活性基及び重合活性基と重合可能な基Sが、ホルミル基、ホスホニウム基、ハロゲン基、例えばBr、I、Cl、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ハロメチル基、アセトニトリル基、アルキルスルホニルオキシ基、例えばトリフルオロメタンスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、例えばトルエンスルホニルオキシ基、アルデヒド基、OH基、アルコキシ基、COOH基、活性化カルボキシル基、例えば酸ハロゲン化物、酸無水物又はエステル、アルキルホスホネート基、スルホニウム基及びホウ素含有基からなる群から選択されることを特徴とする使用。
【請求項11】
請求項10記載の使用であって、該基が、ハロゲン基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基及びホウ素含有基から選択されることを特徴とする使用。
【請求項12】
請求項7から11までのいずれか1項記載の使用であって、反応を、Suzukiカップリング、Kumadaカップリング又はYamamotoカップリングによって行うことを特徴とする使用。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか1項記載の使用であって、ポリマー材料を発光体物質として使用することを特徴とする使用。
【請求項14】
少なくとも1つのポリマーと少なくとも1つの遷移金属錯体とを含有するポリマー材料であって、前記ポリマーは、ポリ−p−フェニレン−ビニレン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、ポリフルオランテン及びその誘導体並びにポリアセチレン及びその誘導体、ポリスチレン及びその誘導体、ポリ(メタ)アクリレート及びその誘導体、及び前記のポリマーのモノマー単位を有するコポリマーからなる群から選択され、かつ前記遷移金属錯体は、式
【化4】

[式中、記号は以下の意味を有する:
1は、Co、Rh、Ir、Nb、Pd、Pt、Fe、Ru、Os、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Cu、Ag及びAuからなる群から選択される金属原子であって、相応の金属原子について可能な各々の酸化段階の金属原子であり、
Lは、モノアニオン性又はジアニオン性の配位子、有利にはモノアニオン性の配位子であって、一座又は二座であってよい配位子であり、
Kは、中性の一座又は二座の配位子であり、
nは、カルベン配位子の数であり、その際、nは、少なくとも2であり、かつ式Iの錯体中のカルベン配位子は、同一又は異なってよく、
mは、配位子Lの数であり、その際、mは、0又は≧1であってよく、かつm>1の場合に配位子Lは、同一又は異なってよく、
oは、配位子Kの数であり、その際、oは、0又は≧1であってよく、かつo>1の場合に配位子Kは、同一又は異なってよく、
その際、n+m+oの合計は、使用される金属原子の酸化段階及び配位数と、配位子のcarben、L及びKの配座数と、配位子のcarben及びLの電荷とに依存するが、但し、nは、少なくとも2であり;
Do1は、C、P、N、O及びS、有利にはP、N、O及びS、特に有利にはNからなる群から選択されるドナー原子であり;
Do2は、C、N、P、O及びSからなる群から選択されるドナー原子であり;
rは、Do1がCの場合に2であり、Do1がN又はPの場合に1であり、かつDo1がO又はSの場合に0であり;
sは、Do2がCの場合に2であり、Do2がN又はPの場合に1であり、かつDo2がO又はSの場合に0であり;
Xは、シリレン、アルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン又はアルケニレン、有利にはアルキレン又はアリーレン、特に有利にはC1〜C3−アルキレン又はC6−1,4−アリーレンからなる群から選択されるスペーサーであり、その際、4つの他の炭素原子の少なくとも1つは、場合により、メチル基、エチル基、n−プロピル基もしくはi−プロピル基又は、ハロゲン基、有利にはF、Cl、Br、特に有利にはF、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニル基、エステル基、アミノ基、アミド基、CHF2、CH2F、CF3、CN、チオ基及びSCN基から選択されるドナー作用もしくはアクセプター作用を有する基で置換されていてよく、殊に有利にはメチレン、エチレン又は1,4−フェニレンであり;
pは、0又は1、有利には0であり;
qは、0又は1、有利には0であり;
1及びY2は、一緒になって、ドナー原子Do1と窒素原子Nとの間に架橋を形成し、該架橋は、少なくとも2つの原子、有利には2〜3つの原子、特に有利には2つの原子を有し、そのうち少なくとも1つは炭素原子であり、その際、少なくとも1つの他の原子は、有利には窒素原子であり、その際、該架橋は、飽和又は不飽和であり、有利には不飽和であってよく、かつ該架橋の少なくとも2つの原子は置換又は非置換であってよく、その際、該架橋が2つの炭素原子を有しかつ飽和である場合に、2つの炭素原子の少なくとも1つが置換されており;基Y1及びY2の置換基は、一緒になって、全体で3〜5つの原子を有する架橋を形成してよく、そのうち1又は2つの原子はヘテロ原子であってよく、かつ残りの原子は炭素原子であるので、Y1及びY2は、前記の架橋と一緒になって、5員ないし6員の環を形成し、該環は、場合により2つ又は(6員又は7員の環の場合には)3つの二重結合を有してよく、かつ場合によりアルキル基又はアリール基で置換されていてよく、かつ場合によりヘテロ原子を有してよく、
3は、水素基、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はアルケニル基、有利には水素、アルキル基、ヘテロアリール基又はアリール基又は
【化5】

(式中、Do2'、q′、s′、R3'、R1'、R2'、X′及びp′は、無関係に、Do2、q、s、R3、R1、R2、X及びpと同じ意味を有する)であり;
1、R2は、互いに無関係に、水素、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はアルケニル基、有利には水素、アルキル基、ヘテロアリール基又はアリール基であるか;又は
1及びR2は、一緒になって、全体で3〜5つ、有利には4つの原子を有する架橋を形成し、そのうち1又は2つの原子は、ヘテロ原子、有利にはNであってよく、かつ残りの原子は炭素原子であるので、基
【化6】

は、5員ないし6員の、有利には6員の環を形成し、該環は、場合により、既に存在する二重結合の他に、1つ又は(6員又は7員の環の場合には)2つの他の二重結合を有してよく、かつ場合によりアルキル基又はアリール基で置換されていてよく、かつ場合によりヘテロ原子、有利にはNを有してよく、その際、アルキル基もしくはアリール基で置換された又は非置換の6員の芳香族環が好ましく、又は有利な6員の芳香族環は、場合により少なくとも1つのヘテロ原子、有利にはNを有してよい他の環と、有利には6員の芳香族環と縮合されており;
3は、水素、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はアルケニル基、有利には水素、アルキル基、ヘテロアリール基又はアリール基である]で示される遷移金属錯体であり、その際、少なくとも1つのポリマーが式IBの遷移金属錯体との混合物の形で存在してよく又は式IBの遷移金属錯体と共有結合されていてよいポリマー材料。
【請求項15】
請求項14記載のポリマー材料であって、式IBの遷移金属錯体が、式IBa、IBb、IBc及びIBd:
【化7】

[式中、記号は以下の意味を有する:
Z、Z′は、同一又は異なって、CH又はNであり;
12、R12'は、同一又は異なって、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はアルケニル基、特に有利にはアルキル基又はアリール基であるか又はそれぞれ2つの基R12もしくはR12'は、一緒になって1つの縮合された環を形成し、該環は、場合により少なくとも1つのヘテロ原子、有利にはNを有してよく、有利にはそれぞれ2つの基R12もしくはR12'は、一緒になって1つの縮合された芳香族のC6環を形成し、その際、この芳香族環、有利にはこの6員の芳香族環に、場合により1又は複数の芳香族環が縮合されていてよく、その際、それぞれ考えられる縮合が可能であり、かつ縮合された基は更に置換されていてよく;又はR12もしくはR12'は、ドナー作用もしくはアクセプター作用を有する基、有利にはハロゲン基、有利にはF、Cl、Br、特に有利にはBr又はF;アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニル基、エステル基、アミノ基、アミド基、CHF2、CH2F、CF3、CN、アリールオキシ基、チオ基及びSCNからなる群から選択される基を意味し;
t及びt′は、同一又は異なって、有利には同一であって、0〜3であり、その際、tもしくはt′が1より大きい場合には、基R12もしくはR12'は、同一又は異なってよく、有利にはtもしくはt′は、0又は1であり、基R12もしくはR12'は、tもしくはt′が1である場合には、カルベン炭素原子に隣接した窒素原子との結合位置に対してオルト位、メタ位又はパラ位に存在し;その際、場合により基R12及びR12'を有するアリール基は、場合により存在する基R12及びR12'の他に、1又は2つの、ポリマーとの共有結合に適した基を有してよく;
4、R5、R6、R7、R8、R9及びR11は、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル又はドナー作用もしくはアクセプター作用を有する置換基、有利にはハロゲン基、有利にはF、Cl、Br、特に有利にはF、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニル基、エステル基、アミン基、アミド基、CH2F基、CHF2基、CF3基、CN基、チオ基及びSCN基、有利には水素、アルキル、ヘテロアリール又はアリールから選択される置換基であり;その際、式aの基においては、基R4、R5、R6又はR7の1又は2つが、式bの基においては、基R8又はR9の1又は2つが、そして式dの基においては、基R11が、1つ又は(式a及び式bの基においては)1又は2つの、ポリマーとの共有結合に適した基によって交換されていてよく;有利には、式bの基においては、基R8又はR9の1又は2つが、そして式dの基においては、基R11が、1つ又は(式bの基においては)1又は2つの、ポリマーとの共有結合に適した基によって交換されていてよく;
10は、アルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルケニル、有利にはアルキル、ヘテロアリール又はアリールであるか、又はそれぞれ2つの基R10は、一緒になって1つの縮合された環を形成し、該環は、場合により、少なくとも1つのヘテロ原子、有利には窒素を有してよく、有利にはそれぞれ2つの基R10は一緒になって1つの縮合された芳香族のC6環を形成し、その際、この芳香族環、有利にはこの6員の芳香族環に、場合により1又は複数の他の芳香族環が縮合されていてよく、その際、それぞれ考えられる縮合が可能であり、かつ縮合された基は更に置換されていてよく;又はR10は、ドナー作用もしくはアクセプター作用を有する基、有利にはハロゲン基、有利にはF、Cl、Br、特に有利にはF;アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニル基、エステル基、アミノ基、アミド基、CHF2、CH2F、CF3、CN、チオ基及びSCNからなる群から選択される基を意味し;
vは、0〜4、有利には0、1又は2、殊に有利には0であり、その際、vが0である場合には、場合によりR10で置換された式cにおけるアリール基の4つの炭素原子は、水素原子を有し、その際、式cの基は、そのアリール基に、場合により存在する基R10の他に、1又は2つの、ポリマーとの共有結合に適した基を有してよい]で示される遷移金属錯体の群から選択されることを特徴とするポリマー材料。
【請求項16】
請求項14又は15記載のポリマー材料を、少なくとも1つのポリマーと式IBの少なくとも1つの遷移金属錯体との混合物の形で製造するにあたり、請求項14又は15記載の式IBの少なくとも1つの遷移金属錯体と請求項14記載の少なくとも1つのポリマーとを混合することによって製造する方法。
【請求項17】
請求項14又は15記載の、ポリマーと遷移金属とが共有結合されているポリマー材料を製造するにあたり、少なくとも1つの官能化されたポリマー
"ポリマー"−(T)p'
と、1又は複数の基Qで官能化された、Qが少なくとも1つの配位子K、配位子L又は式II
【化8】

で示されるカルベン配位子と共有結合されている式IIIB
【化9】

[式中、記号は以下の意味を有する:
1は、Co、Rh、Ir、Nb、Pd、Pt、Fe、Ru、Os、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Cu、Ag及びAuからなる群から選択される金属原子であって、相応の金属原子について可能な各々の酸化段階の金属原子であり、
Lは、モノアニオン性又はジアニオン性の配位子、有利にはモノアニオン性の配位子であって、一座又は二座であってよい配位子であり、
Kは、中性の一座又は二座の配位子であり、
nは、カルベン配位子の数であり、その際、nは、少なくとも2であり、かつ式IIIBの錯体中のカルベン配位子は、同一又は異なってよく、
mは、配位子Lの数であり、その際、mは、0又は≧1であってよく、かつm>1の場合に配位子Lは、同一又は異なってよく、
oは、配位子Kの数であり、その際、oは、0又は≧1であってよく、かつo>1の場合に配位子Kは、同一又は異なってよく、
その際、n+m+oの合計は、使用される金属原子の酸化段階及び配位数と、カルベン配位子及び配位子のL及びKの配座数と、カルベン配位子及び配位子のLの電荷とに依存するが、但し、nは、少なくとも2であり;かつ
Do1は、C、P、N、O及びS、有利にはP、N、O及びS、特に有利にはNからなる群から選択されるドナー原子であり;
Do2は、C、N、P、O及びSからなる群から選択されるドナー原子であり;
rは、Do1がCの場合に2であり、Do1がN又はPの場合に1であり、かつDo1がO又はSの場合に0であり;
sは、Do2がCの場合に2であり、Do2がN又はPの場合に1であり、かつDo2がO又はSの場合に0であり;
Xは、シリレン、アルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン又はアルケニレン、有利にはアルキレン又はアリーレン、特に有利にはC1〜C3−アルキレン又はC6−1,4−アリーレンからなる群から選択されるスペーサーであり、その際、4つの他の炭素原子の少なくとも1つは、場合により、メチル基、エチル基、n−プロピル基もしくはi−プロピル基又は、ハロゲン基、有利にはF、Cl、Br、特に有利にはF、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニル基、エステル基、アミノ基、アミド基、CHF2、CH2F、CF3、CN、チオ基及びSCN基から選択されるドナー作用もしくはアクセプター作用を有する基で置換されていてよく、殊に有利にはメチレン、エチレン又は1,4−フェニレンであり;
pは、0又は1、有利には0であり;
qは、0又は1、有利には0であり;
1及びY2は、一緒になって、ドナー原子Do1と窒素原子Nとの間に架橋を形成し、該架橋は、少なくとも2つの原子、有利には2〜3つの原子、特に有利には2つの原子を有し、そのうち少なくとも1つは炭素原子であり、その際、少なくとも1つの他の原子は、有利には窒素原子であり、その際、該架橋は、飽和又は不飽和であり、有利には不飽和であってよく、かつ該架橋の少なくとも2つの原子は置換又は非置換であってよく、その際、該架橋が2つの炭素原子を有しかつ飽和である場合に、2つの炭素原子の少なくとも1つが置換されており;基Y1及びY2の置換基は、一緒になって、全体で3〜5つの原子を有する架橋を形成してよく、そのうち1又は2つの原子はヘテロ原子であってよく、かつ残りの原子は炭素原子であるので、Y1及びY2は、前記の架橋と一緒になって、5員ないし6員の環を形成し、該環は、場合により2つ又は(6員又は7員の環の場合には)3つの二重結合を有してよく、かつ場合によりアルキル基又はアリール基で置換されていてよく、かつ場合によりヘテロ原子を有してよく、
3は、水素基、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はアルケニル基、有利には水素、アルキル基、ヘテロアリール基又はアリール基又は
【化10】

(式中、Do2'、q′、s′、R3'、R1'、R2'、X′及びp′は、無関係に、Do2、q、s、R3、R1、R2、X及びpと同じ意味を有する)であり;
1、R2は、互いに無関係に、水素、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はアルケニル基、有利には水素、アルキル基、ヘテロアリール基又はアリール基であるか;又は
1及びR2は、一緒になって、全体で3〜5つ、有利には4つの原子を有する架橋を形成し、そのうち1又は2つの原子は、ヘテロ原子、有利にはNであってよく、かつ残りの原子は炭素原子であるので、基
【化11】

は、5員ないし6員の、有利には6員の環を形成し、該環は、場合により、既に存在する二重結合の他に、1つ又は(6員又は7員の環の場合には)2つの他の二重結合を有してよく、かつ場合によりアルキル基又はアリール基で置換されていてよく、かつ場合によりヘテロ原子、有利にはNを有してよく、その際、アルキル基もしくはアリール基で置換された又は非置換の6員の芳香族環が好ましく、又は有利な6員の芳香族環は、場合により少なくとも1つのヘテロ原子、有利にはNを有してよい他の環と、有利には6員の芳香族環と縮合されており;
3は、水素、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はアルケニル基、有利には水素、アルキル基、ヘテロアリール基又はアリール基であり;かつ
Q及びTは、互いに共有結合するのに適した基であり、その際、基Qは、配位子L、K又はcarbenの1つに結合されており、かつ基Tは、ポリマーの1つの末端基又は中心単位に共有結合されており;
s′は、1〜3の整数であり、その際、s′が1より大きい場合に、基Qは、同じ又は異なる配位子K、L又はcarbenに、有利にはcarbenに結合されており;
p′は、ポリマー中の基Tの数であり、その際、p′は、ポリマーの分子量に依存し、かつp′は、ポリマーと遷移金属錯体とからなる全量に対して、ポリマー自体がエレクトロルミネセンスを示す場合には、使用される遷移金属錯体の量が、一般に、0.5〜50質量%、有利には1〜30質量%、特に有利には1〜20質量%であるように選択され、かつポリマー自体がエレクトロルミネセンスを示さない場合には、ポリマーと遷移金属錯体とからなる全量に対して、遷移金属錯体の量が、一般に、5〜50質量%、有利には10〜40質量%、特に有利には15〜35質量%であるように選択される]で示される少なくとも1つの遷移金属錯体とを反応させることによって製造する方法。
【請求項18】
請求項17記載の方法において、Q及びTは、ハロゲン、例えばBr、I又はCl、アルキルスルホニルオキシ、例えばトリフルオロメタンスルホニルオキシ、アリールスルホニルオキシ、例えばトルエンスルホニルオキシ、ホウ素含有基、OH、COOH、活性化されたカルボキシル基、例えば酸ハロゲン化物、酸無水物又はエステル、−N≡N+-(その際、X-は、ハロゲン化物イオン、例えばCl-又はBr-を意味する)、SH、SiR2′′X及びNHR(その際、R及びR′′は、水素、アリール又はアルキルを意味する)からなる群から選択され、かつ前記基は、単結合を介して直接的に配位子L、K又はcarbenの1つ、有利にはcarbenあるいはポリマーに結合されていてよく、又は前記基は、リンカー、つまり−(CR′2q−(その際、R′は、無関係に水素、アルキル又はアリールを意味し、かつqは1〜15であり、そのリンカー−(CR′2q−の1又は複数のメチレン基は−O−、−S−、−N(R)−、−CON(R)−、−CO−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−CH=CH−又は−C≡C−によって交換されていてよく、その際、Rは水素、アリール又はアルキルを意味する)を介して、配位子L、K又はcarbenの1つ、有利にはcarbenあるいはポリマーに結合されているか、又はリンカーとしてのC6〜C18−アリーレン基(該基は、場合によりアルキル基、アリール基、ハロゲン、CN又はNO2のような置換基で置換されていてよい)を介してそれらに結合されていてよいことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項14又は15記載の、ポリマーと共有結合されている式IIBの少なくとも1つの遷移金属錯体を含むポリマー材料の製造にあたり、重合活性基を有するモノマーと、Sが1又は複数の配位子K、配位子L又は式II
【化12】

で示されるカルベン配位子と結合されている式IVB
【化13】

[式中、記号は以下の意味を有する:
1は、Co、Rh、Ir、Nb、Pd、Pt、Fe、Ru、Os、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Cu、Ag及びAuからなる群から選択される金属原子であって、相応の金属原子について可能な各々の酸化段階の金属原子であり、
Lは、モノアニオン性又はジアニオン性の配位子、有利にはモノアニオン性の配位子であって、一座又は二座であってよい配位子であり、
Kは、中性の一座又は二座の配位子であり、
nは、カルベン配位子の数であり、その際、nは、少なくとも2であり、かつ式Iの錯体中のカルベン配位子は、同一又は異なってよく、
mは、配位子Lの数であり、その際、mは、0又は≧1であってよく、かつm>1の場合に配位子Lは、同一又は異なってよく、
oは、配位子Kの数であり、その際、oは、0又は≧1であってよく、かつo>1の場合に配位子Kは、同一又は異なってよく、
その際、n+m+oの合計は、使用される金属原子の酸化段階及び配位数と、カルベン配位子及び配位子のL及びKの配座数と、カルベン配位子及び配位子のLの電荷とに依存するが、但し、nは、少なくとも2であり;かつ
Do1は、C、P、N、O及びS、有利にはP、N、O及びS、特に有利にはNからなる群から選択されるドナー原子であり;
Do2は、C、N、P、O及びSからなる群から選択されるドナー原子であり;
rは、Do1がCの場合に2であり、Do1がN又はPの場合に1であり、かつDo1がO又はSの場合に0であり;
sは、Do2がCの場合に2であり、Do2がN又はPの場合に1であり、かつDo2がO又はSの場合に0であり;
Xは、シリレン、アルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン又はアルケニレン、有利にはアルキレン又はアリーレン、特に有利にはC1〜C3−アルキレン又はC6−1,4−アリーレンからなる群から選択されるスペーサーであり、その際、4つの他の炭素原子の少なくとも1つは、場合により、メチル基、エチル基、n−プロピル基もしくはi−プロピル基又は、ハロゲン基、有利にはF、Cl、Br、特に有利にはF、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニル基、エステル基、アミノ基、アミド基、CHF2、CH2F、CF3、CN、チオ基及びSCN基から選択されるドナー作用もしくはアクセプター作用を有する基で置換されていてよく、殊に有利にはメチレン、エチレン又は1,4−フェニレンであり;
pは、0又は1、有利には0であり;
qは、0又は1、有利には0であり;
1及びY2は、一緒になって、ドナー原子Do1と窒素原子Nとの間に架橋を形成し、該架橋は、少なくとも2つの原子、有利には2〜3つの原子、特に有利には2つの原子を有し、そのうち少なくとも1つは炭素原子であり、その際、少なくとも1つの他の原子は、有利には窒素原子であり、その際、該架橋は、飽和又は不飽和であり、有利には不飽和であってよく、かつ該架橋の少なくとも2つの原子は置換又は非置換であってよく、その際、該架橋が2つの炭素原子を有しかつ飽和である場合に、2つの炭素原子の少なくとも1つが置換されており;基Y1及びY2の置換基は、一緒になって、全体で3〜5つの原子を有する架橋を形成してよく、そのうち1又は2つの原子はヘテロ原子であってよく、かつ残りの原子は炭素原子であるので、Y1及びY2は、前記の架橋と一緒になって、5員ないし6員の環を形成し、該環は、場合により2つ又は(6員又は7員の環の場合には)3つの二重結合を有してよく、かつ場合によりアルキル基又はアリール基で置換されていてよく、かつ場合によりヘテロ原子を有してよく、
3は、水素基、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はアルケニル基、有利には水素、アルキル基、ヘテロアリール基又はアリール基又は
【化14】

(式中、Do2'、q′、s′、R3'、R1'、R2'、X′及びp′は、無関係に、Do2、q、s、R3、R1、R2、X及びpと同じ意味を有する)であり;
1、R2は、互いに無関係に、水素、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はアルケニル基、有利には水素、アルキル基、ヘテロアリール基又はアリール基であるか;又は
1及びR2は、一緒になって、全体で3〜5つ、有利には4つの原子を有する架橋を形成し、そのうち1又は2つの原子は、ヘテロ原子、有利にはNであってよく、かつ残りの原子は炭素原子であるので、基
【化15】

は、5員ないし6員の、有利には6員の環を形成し、該環は、場合により、既に存在する二重結合の他に、1つ又は(6員又は7員の環の場合には)2つの他の二重結合を有してよく、かつ場合によりアルキル基又はアリール基で置換されていてよく、かつ場合によりヘテロ原子、有利にはNを有してよく、その際、アルキル基もしくはアリール基で置換された又は非置換の6員の芳香族環が好ましく、又は有利な6員の芳香族環は、場合により少なくとも1つのヘテロ原子、有利にはNを有してよい他の環と、有利には6員の芳香族環と縮合されており;
3は、水素、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はアルケニル基、有利には水素、アルキル基、ヘテロアリール基又はアリール基であり;かつ
Sは、モノマーの重合活性基と重合可能な基であって、配位子L、K又はcarbenの1つ、有利にはcarbenに結合されている基であり;
s′′は、1〜3の整数であり、その際、s′′が1より大きい場合に、基Sは、同じ又は異なる配位子K、L又はcarbenに結合されている]で示されるコモノマーとを共重合させることによって製造する方法。
【請求項20】
請求項19記載の方法において、重合活性基及び重合活性基と重合可能な基Sが、ホルミル基、ホスホニウム基、ハロゲン基、例えばBr、I、Cl、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ハロメチル基、アセトニトリル基、アルキルスルホニルオキシ基、例えばトリフルオロメタンスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、例えばトルエンスルホニルオキシ基、アルデヒド基、OH基、アルコキシ基、COOH基、活性化カルボキシル基、例えば酸ハロゲン化物、酸無水物又はエステル、アルキルホスホネート基、スルホニウム基及びホウ素含有基からなる群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項1から13のいずれか1項又は請求項14又は15に記載の少なくとも1つのポリマー材料を含有する発光層。
【請求項22】
請求項21記載の発光層を有する有機発光ダイオード。
【請求項23】
請求項22記載の有機発光ダイオードを含む、定置式ディスプレイ、例えばコンピュータ、テレビのディスプレイ、プリンターのディスプレイ、調理機器のディスプレイ並びに宣伝用ボード、照明、標識板及び可動式ディスプレイ、例えば携帯機器、ラップトップ、車両のディスプレイ並びにバス及び電車の行き先表示板からなる群から選択される装置。

【図1】
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【公表番号】特表2008−510051(P2008−510051A)
【公表日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−526384(P2007−526384)
【出願日】平成17年8月17日(2005.8.17)
【国際出願番号】PCT/EP2005/008913
【国際公開番号】WO2006/018292
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】