説明

OLED連続コーティングマシン

【課題】有機エレクトロルミネセント材料(OLED)を有する基板、特にOLEDディスプレイ、スクリーン、パネル、等を特に連続生産するための装置及び方法を提供する。
【解決手段】装置は、真空スペースと、コーティングすべき上記基板を搬送するための、少なくとも一部が上記真空スペースに沿って配列されると共に上記基板用のキャリアを有する搬送デバイスとを備えている。上記搬送デバイスは、上記キャリアを搬送するための少なくとも1つのエンドレスループを備えている。上記真空スペースは、第1の部分(3)と第2の部分(4)とを有する少なくとも2つの部分に分割され、上記第1の部分には、上記キャリアを第1の方向(基板搬送方向)に搬送するための、上記搬送デバイスの第1の区域が設けられ、上記第2の部分には、上記キャリアを第2の方向(キャリア戻り搬送方向)に搬送するための、上記搬送デバイスの第2の区域が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のおいて書き部分に記載の装置、及び、有機エレクトロルミネセント材料(OLED)を備えた基板の生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
技術的駆動素子や娯楽電子機器の分野では、フラットパネルやフラットディスプレイの必要性が増大してきている。その種のフラットパネルの興味深い実現が、いわゆるOLEDディスプレイ又はスクリーンによってなされており、これは、電極間に挟まれたエレクトロルミネセント材料が、平坦で透明な基板上に堆積されることで、これを電極を介して駆動することにより、画像を形成するのに使用可能な発光が生じるようにしたものである。
【0003】
真空コーティングプロセスが、一般にはいわゆるクラスターツール内において、上記のようなOLEDスクリーンの生産のために使用される。そこには通常、中心の周りに様々なモジュールが配置されており、これらモジュール内では、中心に配置されたロボットにより、コーティングすべき基板を対応するモジュール内に挿入し、再び取り出し、そして次のモジュールへと搬送することで、異なるコーティングステップが行なわれる。この種の技術は、個々のモジュール内での純度の要求やプロセス条件に関しては確かな利点を提供するものであるが、対応するOLEDスクリーンを経済的に大量生産するためには意味のないことである。
【0004】
そのような理由で、各種の必要なコーティングステップの連続的な流れを容易にする、いわゆるインラインマシンのための提案が、先行技術の中で既になされている。その一例としては、特開2003−332052号公報、国際公開第03/090260号パンフレット(WO 03/090260 A2)、国際公開第03/043067号パンフレット(WO 03/043067 A1)がある。
【0005】
特開2003−332052号公報では、例えば赤色発光、緑色発光、青色発光のエレクトロルミネセント材料を堆積するための異なるコーティングステーションを環状に配置することが提案されており、これは、送り出しステーションでのリング(環)外で要求されるコーティングを構成するのに必要なマスクのための分離した洗浄ステーションを備えている。しかし、このようなマシン構成は、洗浄ステーションの分離配置に考慮を払う必要があるだけでなく、洗浄されたマスクを送り入れステーションへと搬送する分離した搬送経路のための多額の費用を必要とする。
【0006】
国際公開第03/090260号パンフレットには、基板上に多層コーティングを堆積するための装置が記載されており、この装置では、異なる層が堆積されるように、本質的に線形であるトラック上のコーティングマシンを通って基板を数回案内させるようにしている。これにより、連続したインラインマシンが実現されるが、このようなマシンは、コーティングマシンを通って基板を繰り返し移動させなければならないという不利点を有している。
【0007】
国際公開第03/043067号パンフレットには、有機エレクトロルミネセント発光デバイスを大量生産するための装置が記載されており、この装置では、コーティングすべき基板が、例えば真空コーティングマシンを通るトラック配列に沿って案内されるキャリア上に配置され、また、基板を備えたキャリアが、隣接するコーティング部屋の中に浸されることで、各種様々なコーティングプロセスを可能にしている。
【0008】
ここでもまた、コーティングプロセス中に一時的であっても、また、設計の観点からも、基板を個々のコーティング部屋の中に降ろすための費用が非常に高額となる。
更に、様々な部屋内における、コーティングの他、基板洗浄、構造化のためのマスク配置、マスク洗浄のような、全てのプロセスが、連続して行なわれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、有機エレクトロルミネセント材料(OLED)を有する基板、特にOLEDディスプレイ、スクリーン、パネル、又はその他のOLED発光素子、を特に連続生産するためのコーティングマシン又は装置において、先行技術の不利点を回避し、特に、OLED素子の大量生産のための簡素かつ好都合な可能性を提供すると共に、小スペースの要求と、OLED生産のための高品質標準を可能にすることを目的とする。特に、当該装置は製造が容易で、方法は操作が容易でなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的は、請求項1に記載の特徴を備えた装置、及び請求項20に記載の特徴を有する方法によって達成される。望ましい実施形態は、従属項に記載する。
提案される解決は、上記コーティングマシン又は装置が二重部屋(dual-chamber)の原理に基づいて構成されることを特徴とするものである。すなわち、真空コーティングマシンの真空スペースの全体が、好ましくはその長手軸に沿って2つの部分に分割され、その真空スペースの第1の部分は、コーティングされるべき基板の積まれたキャリアを、コーティングマシンを通って基板積みステーションから基板降ろしステーション及びその他へと搬送するのに使用され、マシンの第2の部分は、基板キャリア及び特には構造化(structuring)に必要なマスクを戻し搬送すると共に洗浄するのに利用される。これによれば、本当の連続動作を有する非常にコンパクトなマシンが、いわゆるインラインマシンとして実現可能であり、エンドレスループ内でキャリア及び/又はマスクを案内することにより、キャリア及びマスクの両方の備蓄が大幅に回避され、スループット及び効率が実質的に向上する、といった利点が得られる。
【0011】
更に、二重部屋の原理の長所により、特に真空発生のための、簡素な構造と簡素な操作が可能であり、特に二重部屋が万能モジュールとして形成可能であることから、必要に応じて、対応するプロセスツール及び他のデバイスを対応する二重部屋モジュール内に配置可能である。これは、転換(conversion)をも極めて容易にする。更に、このような構造は、基板又はキャリア及び/又は、コーティングを微細構造化するためのマスクを、真空内で連続的に搬送するのを容易にする。その結果、環境によるキャリア又はマスクの汚染
が回避される。
【0012】
更に、必要な場合は、汚染を回避すべく特定の領域を密封したり、マシンの部分的な通気のために、ロック(lock)部屋及び/又はロックデバイス及び分離デバイスを、個々の部屋間又は個々のモジュール間に設けることも可能である。
【0013】
キャリアを搬送するためのエンドレスループに加えて、搬送デバイスの第1の区域が、真空スペースの第1の部分に沿って基板搬送方向に延び、また、反対方向を向いた、搬送デバイスの第2の区域が、真空ルーム又は二重真空部屋の第2の部分の中をキャリア戻り搬送方向に延びており、好ましくは、マスクを搬送するための数個のエンドレスループが設けられ、コーティングの構造化又は微細構造化の目的を担うことが望ましく、かつ更に好ましい。マスクを搬送するための第2のエンドレスループの対応する搬送配列は、送り入れ領域から送り出し領域への基板搬送が行われる真空スペースのその部分にも第1の区域を有し、また、真空スペースの第2の部分内に戻り搬送のための第2の区域を有している。
【0014】
加えて、好ましくは少なくとも1つの搬送ブランチが設けられていてもよく、そこでは、基板キャリアのための搬送デバイス及び/又はマスクのための搬送配列が連続ループとして形成されておらず、その代わりに、同一方向及び/又は反対方向に平行な搬送区域が二重部屋内に設けられている。これだと、真空二重部屋の両部分が、基板キャリア上の基板をマスク載置ステーションへ向けて及びそこから遠ざかる方向へ搬送するのに使用可能であるので、特に送り入れ領域及び送り出し領域内で有利であり、その結果、効率を大きく向上させることができる。同様に、より多くの基板をコーティングプロセスへと素早く連続的に転換させることが可能であり、これにより、マシン効率が更に向上する。
【0015】
好ましくは、キャリア用の搬送デバイスと、マスク用の搬送配列(transport arrangements)が、部分的に同一の搬送手段及び操作デバイスを使用することで、少なくとも幾つかの搬送を共同で行なうようにする。特には、基板キャリアが、マスクの少なくとも部分的な戻り搬送のためのマスクキャリアとしての役割をも担うのが好ましい。
【0016】
好ましくは、搬送デバイス又は搬送配列の第1の区域から、搬送デバイス又は搬送配列の第2の区域への切り替え、及びその逆の切り替えが、基板積みステーション及び/又は基板降ろしステーション内及び/又はマスク載置ステーション及び/又はマスク除去ステーション内におけるエンドレスループ内で行なわれる。基板積みステーション及び/又は基板降ろしステーション内では、基板がキャリアに配置され、又はキャリアから除去され、マスク載置ステーション及び/又はマスク除去ステーション内では、マスクが基板に割り当てられ、又は基板上に配置され、又はそこから再度除去される。
【0017】
好ましい実施形態においては、ローテーションモジュールが設けられ、これは、1つのステーション内において、2つの隣接するコーティング領域のためのマスク交換だけでなく、コーティング区域から洗浄区域へのマスクの移送及びその逆の移送をも行い、対応するマスク載置及び/又は除去ステーション及び/又はマスク整列ステーション及びマスクの保持部品が、ローテーションモジュールに設けられる。
【0018】
ローテーションモジュールは、ロータリテーブルを有するロータリ機構を備え、このロータリテーブル上には、搬送デバイスの第1の区域及び第2の区域の両方からの基板キャリアのための移送位置を有する2つのピックアップが設けられている。そして、ロータリテーブルの180度の回転を介して、ピックアップがそれぞれ他の搬送区域の移送位置へと移動可能であり、また、ロータリテーブルの90度の回転により、隣接配置されたマスク及び/又は基板キャリアの交換領域へと移送するための移送位置へとピックアップが移動可能である。まず、マスクがマスク交換領域内において基板キャリアから除去され、続いて、基板キャリアがそれぞれ他の待機中のマスクに割り当てられて、載置された後、搬送系に沿って更に移動させられる。
【0019】
好ましくは、基板キャリア及び/又はマスクを交換可能なように、又は、操作プロセスの所定の異なる期間に装置のスループット及び効率の最適化がなされるように、マスク及び/又は基板キャリアマガジンを、基板キャリア及び/又はマスクの搬送ルートに沿って設けることも可能である。更に、上記マガジンは、マシンに積むのに利用されてもよい。好ましくは、そのような中間マガジンは、1つ又は特に数個の格納場所を有していてもよく、移送デバイス、マスク載置及び/又はマスク除去ステーション及び/又はローテーションモジュールに割り当てられる。各操作可能性毎に対応する回転運動及び/又は並進運動を提供する基板キャリア又はマスク移送ユニットを使用することにより、対応する基板キャリア及び/又はマスクが、搬送プロセスへと、そして再び搬送プロセスの外へと、単純に転換可能であり、更には、マガジンユニット間、例えば互いに配置された数個のマガジン間で交換可能である。
【0020】
マスク及び/又は基板キャリアマガジンと同様、追加のマスク及び/又は基板キャリア洗浄ステーションが、実際の搬送ルートの外のサイドブランチ内に設けられることで、実際の搬送ルートからの短い送り出しにより、マスク及び/又は基板キャリアの洗浄を行なうようにすることも可能である。これは、特に洗浄に加えて行なうことが可能であり、第2の区域又は真空部屋の第2の部分での戻り搬送中に行なうことが可能である。
【0021】
エンドレスループは、それぞれ、1つの連続動作搬送デバイスによって、又は、複数の操作(handling)デバイス及び搬送手段によって実現可能であり、そこでは、例えば基板及び/又はキャリア又はマスクが1つのデバイスから他へと移送される。同様に、マスク及び/又は基板キャリアの搬送が、完全に連続して、すなわち停止することなしに行なわれるか、又は、途中に停止を入れながら断続的に行なわれるか、及び/又はそれらの組み合わせであってもよい。よって、個々のステーションへの時々の戻り搬送が可能であり、同様に考えられる。従って、基板のコーティングや一般的な処理も、動的に、すなわち搬送中に行なわれてもよく、又は、基板を移動させずに静的に行なわれてもよい。その結果、互いに組み合わせ可能なコーティング又は処理のタイプには3つの基本的な可能性、すなわち連続して動的に行なうもの、時々動的に行なうもの、又は静的に行なうものが存在する。
【0022】
本発明の装置の実施形態により、OLED素子を生産するための所定の対応するプロセスでは、戻り搬送中に、コーティングの構造化に必要なマスク又はシャドウマスクを直接洗浄することや、必要なマスクの数を全体的に最小化するだけでなく、マスクの備蓄を回避したり減少させたりすることが可能である。
【0023】
本発明の更なる利点、特徴、及び構成は、添付図面を用いて以下に詳細に述べる、2つの実施形態から明らかである。図は、模式的な形式で示してある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は、白色光を発する有機LED(OLED)を生成するために構成された本発明の装置を示している。装置1は、連続した複数の二重真空部屋2を備えており、そのそれぞれが、部分(半分)3、4に分離され、かつ、隣接する部屋を有する真空スペースを形成している。装置の長手軸に沿って真空スペースを2つの部分3、4に分割することに加え、図1の実施形態では、真空スペースがマスク載置ステーション14及びマスク除去ステーション13によって更に2つの領域に小分割されており、この小分割部分が数個の領域に分割されることも可能である。しかし、部分3、4への長手方向の小分割と同様、マスク載置及び除去ステーション13、14による小分割は、異なる真空状態を保っていることを示していると理解されるべきではない。これは個々の場合においては可能であるが、その代わりに均一な真空状態が行き渡っていてもよい。小分割は、真空スペースが連続的には同一でないという意味にのみ理解されるべきである。しかし、二重真空部屋2は、そのそれぞれが部分3、4を有し、連続した搬送領域を形成しており、これは更に、マスク載置及び除去ステーション13、14によって途切れることがなく、その一方で、部分3、4間の移動が或る領域でのみ可能である。二重真空部屋2のモジュールによる真空スペースの小分割は、部分3、4への基本的な小分割に影響を与えることはない。
【0025】
加えて、ロック又は分離要素20を設けることによって分離がなされるようにしてもよく、このようにすることで、真空スペースの個々の領域の分離が容易になる。好ましくは、真空スペースが同様なモジュールで構成され、これらのモジュールが、マスク載置及び除去ステーション、又は基板積み及び降ろしステーション、コーティングステーション等として使用されるよう、異なる態様でインラインに設置されている。
【0026】
装置1は、全体的に線形な構造を有しており、その一端に基板送り入れデバイス5が設けられ、他端に基板送り出しデバイス6が設けられている。線形な構造に加えて、対応するカーブやコーナ部分での搬送を有する異なる構造を備えることも本質的に可能である。コーティングされるべき基板が、基板送り入れデバイス5及び基板送り出しデバイス6により、周囲状態又は異なる真空処理マシンから装置の真空スペース内へ又はその外へ転換されるようにすることが可能である。
【0027】
基板送り入れデバイス5の次には、詳述されていないロック又は分離デバイスの後に、基板積みステーション7が設けられており、ここでは、コーティングされるべき基板がキャリア40(図3を参照)上に配置され、コーティングプロセス中や装置1を通っての搬送中には、基板がキャリア上に位置される。同時に、図1の右下の部分図に示されるように、基板積みステーション7は移送デバイスを利用可能であり、これは、真空スペースの部分4から真空スペースの部分3への、及びその逆方向への、キャリア40の交換を容易にする。後に示すが、基板積みステーション内のキャリアは、その搬送方向を、キャリア戻り搬送方向から基板搬送方向へと切り替える。
【0028】
そのようにする代わりに(不図示)、基板積みステーションを基板送り入れデバイス内に設けることで、基板キャリア上に位置決めする際の基板の操作を真空中ではなく空気中で簡単に行なえるようにすることも可能である。その場合は、基板送り入れデバイスの後に移送モジュールのみを設置し、そこでは、部分4から戻ってきた基板キャリアが部分3へと移送され、続いて基板積みのための基板送り入れデバイス内へ搬送される。送り出し領域も、同様に配置可能である。
【0029】
基板積みステーション7の後にはマスク載置ステーション8が設置され、ここでは、マスク(シャドウマスク)(図3を参照)が、キャリア40に対して配置された基板上に載置され、又は同基板に割り当てられることで、それに続くコーティング中に、基板がマスクによって覆われた領域ではコーティングされず、その他の領域ではコーティングされるように、コーティングの構造化がなされるようにしている。加えて、ここでは、構造化が極めて正確な位置で行なわれるように、マスクが整列され、又は調整される。
【0030】
マスク載置ステーション8はまた、更に詳細には説明されない移送デバイスを備えることで、真空スペースの部分4からのマスクを真空スペースの部分3へと移送し、同時にマスクの搬送方向を戻り搬送方向から基板搬送方向へと切り替えることが可能になっている。操作及び保持デバイス(不図示)、基板積みステーション7、及びマスク載置ステーション8を備える所定の対応する構成を、1つのステーション内に組み入れることも可能である。
【0031】
マスク載置ステーション8の後には複数の二重真空部屋2が設置され、これらは、部分3の対応するコーティングプロセスのために設けられる。
図1に示された実施形態においては、コーティング領域9、10、11が設けられ、ここでは、領域9内の正孔注入層HIL、正孔輸送層HTL、及び電子ブロック層EBLや、領域10内の発光材料のような、対応する補助層(auxiliary layers)、更には、領域11内の電子注入層EIL、電子輸送層ETL、及び正孔ブロック層HBLのような更なる補助層が加えられる。
【0032】
上に基板とマスクを備えたキャリアがコーティング領域9〜11を通って移動した後、そこに接続されたマスク除去ステーション13内へと進み、ここでマスクが基板から除去される。マスク除去ステーション13も移送デバイスを有しており、これにより、除去されたマスクが真空スペースの部分4へと移送され、ここで、基板搬送(図1の実施形態では基板は左から右へと進行する)とは逆方向にマスク載置ステーション8へと戻り搬送される。途中にある二重真空部屋2の1つには、マスク洗浄ステーション12が設けられ、これは、マスクが戻り搬送されている時にマスクを直接洗浄して、コーティングステーション9〜11で加えられたコーティング材料を除去する。このようにして、マスクは、マスク載置ステーション8で即座に再利用可能となる。洗浄は、何らかの適切な方法で行なわれ得る。
【0033】
一方、基板を備えたキャリアは、マスク除去ステーション13の後に配置されているマスク載置ステーション14へと移動し、ここでは、マスク載置ステーション8の場合と同様、新しいマスクが順番に基板に与えられて、適切に調整されたマスクが熱蒸着による電極付加のために提供される。
【0034】
マスク載置ステーション14では、マスク載置ステーション8と全く同様に、対応するマスクが真空スペースの部分4から真空スペースの部分3へと移送され、マスクの搬送方向が切り替えられる。更に、マスク載置ステーション8と全く同様に、マスクがマスク載置ステーション14内で整列されることで、加えられるべきコーティング材料の構造化が、当該構造化を必要とする領域内で正確に行なわれる。
【0035】
マスク載置ステーション14の後の領域15内に二重真空部屋2が設けられることで、電極材料が基板上に熱蒸着させられる。当然ながら、他の蒸着プロセスを使用することも可能である。
【0036】
コーティングステーション15を通って移動した後、キャリア上の基板と、その上に配置されたマスクは、マスク除去ステーション17内へと進み、ここでマスクが順番に基板から除去され、真空スペースの部分4へと移送されることで、マスクが基板搬送とは逆方向に戻り搬送され、マスク載置ステーションで再び即座に利用できるよう洗浄ステーション16内で洗浄される。
【0037】
次の、キャリア用の基板積みステーション18において、基板がキャリアから除去されて、基板送り出しステーション6へと搬送される一方、キャリアは真空スペースの部分4へと搬送されて、基板積みステーション7へと逆に移動される。
【0038】
図示された好ましい実施形態におけるキャリアの戻り搬送中に、マスクとキャリアが共同して搬送され、この場合は、マスク除去ステーション17で戻り搬送用のマスクをピックアップし、同様にマスク載置ステーション14内に再び移送する。同様な方法で、マスク除去ステーション13内の真空スペースの部分4内での戻り搬送中には、キャリアがその前のコーティングプロセスからマスクをピックアップし、それをマスクピックアップステーション8へと搬送する。しかし、キャリア及びマスクの搬送のための分離手段を設けることも、戻り搬送のためには考え得る。
【0039】
図1の実施形態では、全般に、3つのエンドレスループが設けられている。もっと正確には、基板のキャリアのための第1のエンドレスループが設けられており、これは、真空スペースの部分3(図中の上段)内の基板積みステーション7から、マスク載置ステーション8、コーティングステーション9〜11、マスク除去ステーション13、マスクピックアップステーション14、及びコーティングステーション15を介して、基板降ろしステーション18まで移動し、ここでその搬送方向が切り替わり、そしてその後、基板搬送とは逆方向に基板積みステーション7まで順番に搬送される。この第1のエンドレスループに加えて、マスク搬送に係わる2つの第2のエンドレスループが設けられており、もっと正確には、1つはコーティングステーション9〜11でのコーティングプロセス用のマスクのためのものであり、もう1つはコーティングステーション15でのコーティングプロセス用のマスクのためのものである。コーティングステーション9〜11でのコーティングプロセス用のマスクは、マスク載置ステーション8からコーティングステーション9〜11を介しマスク除去ステーション13まで移動し、ここでマスクの搬送方向が切り替わり、そして、真空スペースの部分4内のマスク洗浄ステーション12を介しマスク載置ステーション8へと戻り搬送される。
【0040】
コーティングステーション15のコーティングプロセス用のもう1つのマスクは、真空スペースの部分3内のマスク載置ステーション14からコーティングステーション15を介しマスク除去ステーション17へと移動し、ここでその搬送方向が切り替わり、そして部分4内の洗浄ステーション16を介してマスク載置ステーション14へと戻り搬送される。
【0041】
これらのエンドレスループは、移動物体の用語で表現されており、キャリア又はマスクの観点から見た場合のエンドレスループであり、複数の操作及び移送デバイスによって形成可能である。しかし、1つの連続した運搬デバイスを特にキャリアの移動用に設けるということも考え得る。
【0042】
同様に、マスク、キャリア、基板等をピックアップして移動させるための種々異なるマニホルドデバイスが、基板積み及び降ろしステーション7、18や、一方のマスク載置及び除去ステーション8、14や、他方のマスク載置及び除去ステーション13、17用に考え得る。
【0043】
例えば、基板積み及び降ろしステーション7、18やマスク載置及び除去ステーション8、13、14、17用に考え得る移送デバイスは、単純なロータリ機構であり、すなわち、キャリアプレート70が軸80の周りに、もっと正確には180度まで、回転(rotate)又は枢軸回転(pivot)することで、キャリア70が一度その対応する側を真空スペースの部分3の方へ向くようにし、180度の回転の後、次に真空スペースの部分4の方へ向くようにする。基板の垂直方向整列、すなわち図1の平面に垂直な方向の整列及びそれと対応する垂直方向の搬送が与えられ、従って、枢軸回転可能なキャリアプレート70の回転軸80もまた、図の平面に垂直に配置されている。対応する図が図1の右下に示されており、キャリアプレート70が中心軸80を有し、その周りにキャリアプレート70が(双頭の)矢印で示されるように枢軸回転可能であることで、基板キャリア40が真空スペースの部分3、4間で回転可能となっている。
【0044】
このようにすることで、基板積み及び降ろしステーション7、18とマスク載置及び除去ステーション8、13、14、17、18との組み合わせ、例えばマスク除去ステーション13とマスク載置ステーション14の組み合わせを実現することも、特に簡単である。なぜならば、対応する中間保持デバイスだけが、受け入れて載置される部分として設けられるのに必要だからである。
【0045】
図2は、いわゆるRGBディスプレイの生産のための発明に係る装置の更なる実施形態を示しており、ここでは、赤色発光、青色発光、緑色発光のエレクトロルミネセント材料の画素が、互いに分離されて構造化された形態に生産されなければならない。同様に、対応するマスク載置及び除去ステーション124、125、126、127、128、129での異なるマスキングは、堆積されるべき赤色発光、緑色発光、青色発光のエレクトロルミネセント材料毎に用意されなければならない。同様に、洗浄ステーション130が赤色発光エレクトロルミネセント材料用のコーティングステーション121に割り当てられ、洗浄ステーション131が緑色コーティングステーション122に割り当てられ、そして、洗浄ステーション132が対応するマスク用の青色コーティングステーションに割り当てられる。
【0046】
コーティングステーション121、122、123は共に、エレクトロルミネセント材料用のコーティング領域110を形成している。加えて、図1の実施形態のコーティング領域9、11に対応するコーティング領域109、111も設けられており、ここでは、正孔注入層、正孔輸送層、EBL層、電子注入層、電子輸送層、及びHBL層のような、対応する補助層が与えられる。これらのコーティング領域109、111にも、そこで使用されるマスクのための洗浄ステーション112、133が割り当てられる。更に、電極コーティングステーション115に加えて、プラズマ活性化ステーション119が装置100の開始地点に設けられ、ここでは、基板又はその表面が次のコーティングのためにプラズマ活性化される。
【0047】
装置100も、その真空スペースに沿っており、その長手軸に沿って部分103と部分104の2つに分割され、そこに設けられた二重真空部屋102の部分103の中、又は同様に部分103のところには、対応する基板処理及びコーティングステーション109、110、111、115、119が設けられる一方、洗浄ステーション112、130、131、132、133、116が部分104の中、又はそのところに割り当てられ、又は配置されている。
【0048】
特にマスク載置及び除去ステーションの領域内において個々の領域を分離するための、図1の実施形態におけるロック又は分離デバイス20と同様、装置100の実施形態においても、対応するロック又は分離デバイス120が設けられており、これは、例えばプラズマ活性化ステーション119とコーティングステーション109の間に、対応する雰囲気を分離して基板用のロック領域を形成するために設けられている。
【0049】
そのようにした結果、装置100は、基板送り入れステーション105、基板積みステーション107、マスク載置ステーション108、及びキャリア用のエンドレスループを備えた構成を有している。このエンドレスループは、詳しくは述べないが、与えられた基板及び交換マスクを備えたキャリアを移動させる搬送手段を有し、まずプラズマ活性化ステーション119を通過し、続いてコーティングステーション109を通過し、その後、更なるコーティングステーション121、122、123、111、115を通過して、最後に基板降ろしステーション118でキャリアから基板を分離し、その基板を基板送り出しステーション106内に供給するか、又は次の処理デバイスで利用できるようにする。基板を有さず交換マスクを再び有するキャリアは、その後、真空スペースの第2の部分104内を、基板積みステーション107へ向けて、洗浄ステーション116、133、132、131、130、112をこの順番で通過しつつ、戻り搬送される。
【0050】
この第1のエンドレスループとは別に、デバイス106は、対応するマスクのための2つのエンドレスループを有しており、マスク載置ステーション108内の第1のマスクは、基板上又は基板に対するキャリア上に配置及び整列されることで、基板がプラズマ活性化ステーション119及びコーティングステーション109を通過する際に基板が保護されて、予め規定された領域の対応する領域内でのみ露出される。このマスクは、マスク除去ステーション113で基板又はキャリアから除去され、マスク洗浄ステーション112を通って真空部分スペース104内のマスク載置ステーション108へと戻り搬送される。基板の全表面のプラズマ活性化が望まれる場合は、マスク載置および整列ステーション108はプラズマ活性化ステーション119とコーティングステーション109の間に設けられてもよい。プラズマ活性化の代わりに、表面の洗浄及び/又は活性化のための他のプロセス技術、特に表面活性化技術が考えられ、そのような技術としては、UV、オゾン処理、又はイオンボンバードメントのようなものが考えられる。
【0051】
対応するマスクを搬送するための第2の種類の第2のエンドレスループがコーティング領域121のために設けられており、そこでは、マスクがマスク載置ステーション114内で載置されて調整され、マスク除去ステーション124内で基板又はキャリアから除去され、そして洗浄ステーション130内で洗浄される。
【0052】
第2の種類の第3、第4、第5、及び第6のエンドレスループが、コーティングステーション122、123、111、115に割り当てられており、ここでは、対応するマスク載置ステーション125、127、129、135のそれぞれにおいて、次のコーティングプロセス用のマスクが基板又はキャリア上に載置及び整列され、一方、対応するマスクが各コーティングステーションの後のマスク除去ステーション126、128、134、117で再び除去される。
【0053】
この動作モードは、図3及び図4の模式図によってもっと明確に示されており、図3は、図2の装置100の部分区域におけるキャリア40及びマスク50及び51又は52の搬送又は動きの流れを示している。図3に明らかなように、数個のキャリア及びマスクが第1のエンドレスループ内だけでなく第2のエンドレスループ内をも常に同時に移動することで、コーティングマシンでの高スループットが保証されている。マスク載置ステーション108、114、125、マスク除去ステーション13、124、及び基板積みステーション107内に(双頭の)矢印で示されるように、これらのステーション内で、キャリア40は、真空スペースの部分104内のキャリアのための搬送デバイスの第2の区域から、真空スペースの部分103内の搬送デバイスの第1の区域へと切り替えられ、マスクは、(マスク載置ステーション内では)真空スペースの部分104内のマスクのための搬送配列の第2の区域から真空スペースの部分103内のマスクの搬送配列の第1の区域へと切り替えられ、(マスク除去ステーション内では)それとは逆に切り替えられる。
【0054】
図4から特に明らかなように、模式的に示された第1のエンドレスループ140及び第2のエンドレスループ150は、キャリア用の搬送デバイスとマスク用の搬送配列を実現するために、同一の搬送手段及び操作デバイスを備えていることが好ましい。
【0055】
図4は、マスク除去ステーション124及びマスクピックアプステーション125内で赤色コーティングステーション121から緑色コーティングステーション122へと切り替える際のマスク移送を模式的に示したものであり、これは例えば図1に示した回転キャリアプレート70により行なわれる。マスク除去ステーション124では、赤色コーティング領域121からのマスクを備えたキャリアが、キャリアプレート70の回転により真空スペースの第1の部分103から真空スペースの第2の部分104へと移送され、ここでは、赤色コーティング領域のためのマスクが移送される。続いて、キャリアプレート70が戻り回転されることで、キャリアプレート70上のキャリア40(不図示)がその上に配置された基板と共に、真空スペースの第1の部分103の領域内に再び位置される。そこでは、続いて、キャリアを有する基板が緑色領域122のマスク載置ステーション125内に更に搬送され、ここでは、順番に、キャリアプレート70がまず180度回転されることで、キャリアを有する基板が真空スペースの部分104内に順番に配置される。そこで、キャリア又は基板が、真空スペースの部分104内を戻り搬送されて洗浄された緑色領域からのマスクを受取り、緑色マスクの配置及び整列の後、180度回転することにより真空スペースの部分103内へ戻り回転されることで、そこでは、基板を有するキャリアの搬送と、今は緑色領域からの緑色マスクの搬送とが、連続的に行なわれ得る。このタイプのシーケンスは、全てのコーティング及び基板処理ステーションの間で実現可能であり、また、基板積み及び降ろしステーションにおいても実現可能である。
【0056】
少なくとも1つの対応するマスクの短期間の中間格納を許容する、対応する操作手段を利用することで、図5に示されるように、1つのステーション内でマスク載置ステーションとマスク除去ステーションとを組み合わせることが考えられる。しかし、各種のコーティング領域の相互の汚染を避けるには、たとえこれが多少大きな出費を必要とするにしても、空間的に分離することが望ましい。しかし、そのような組み合わせは、汚染を心配する必要のないコーティングステーションや基板処理ステーションでは、又は対応する分離手段が設けられている場合には、実現可能である。
【0057】
図5の例では、ローテーション領域262及びマスク交換領域261を有するローテーションモジュール260が設けられている。コーティングが行なわれる搬送デバイスの部分203内のローテーションモジュール260内に、同様にコーティングされたマスクを有する基板キャリア266が導入され、一方、部分204内には、隣接するコーティング領域からの洗浄されたマスクを有する基板キャリア267が搬送方向とは逆方向に移送される。基板キャリア266、267をロータリテーブル263上でピックアップした後、後者が90度回転されることで、基板キャリア266、267が線形運動により隣接のマスク交換領域261へと移送可能である。そこで、外壁に配置されたマスク位置決めシステム264、265が、基板キャリア266、267からマスクを受取る。マスク位置決めシステム264、265がマスクを保持している間、基板キャリアがロータリテーブル263へ再び移動させられ、そこで180度回転され、再びマスク交換領域261内へ導入される。そこで、基板キャリア266は次のコーティング領域からの洗浄マスクを受取り、一方、コーティングされたマスクを有する基板キャリア267は90度更に回転された後、他のコーティング領域の洗浄領域内へ移動する。
【0058】
例えば送り入れ領域内でローテーションモジュールが使用される場合には、マスク洗浄ステーションが、ロータリ領域262におけるマスク交換領域261とは反対側に取り付けられてもよい。
【0059】
図6は、白色の有機光を発するダイオード(白色OLED)の生産のための本発明に係る更なる装置を模式的に示す。図6に示される装置200は、連続して配置された複数の二重真空部屋202を再び有しており、これは、ローテーションモジュール260、2つの方向転換モジュール275、及び数個の分離デバイス220によって、数地点でのみ互いに分離されている。
【0060】
ローテーションモジュール260は図1のマスク載置及び除去ステーションを置き換えたものであり、これを除けば、この装置はコーティング領域内が図1の装置に等しく、その結果、同一の端数字(the same end digits)が、同一要素又はそれに匹敵する要素のための用語のリストから選択されている。
【0061】
加えて、図6の装置200は、異なる基板送り入れ及び送り出しデバイス270、290が設けられているという点で、図1の装置1と異なる。
基板送り入れデバイス270はロボット273を有しており、これは基板を移送モジュール274内の基板キャリアへ移送する。移送モジュールは、その中の基板キャリアが像平面(image plane)に垂直な軸の周りに回転可能であり、また、線形運動を実行することで基板キャリアを二重真空部屋202の搬送区域278、279から受取り、及びこれらに移送することができるように、設計される。
【0062】
基板送り入れデバイス270の特別な構成は、二重真空部屋202内の両運搬区域278、279が基板を2つのマスク載置ステーション271へと送る役割を有しているという点にある。これは、コーティング領域内の逆平行(anti-parallel)な搬送と比べ、平行な搬送区域278、279内において一方向及び逆方向の搬送が可能であることを意味している。
【0063】
加えて、基板送りデバイス270の搬送区域278、279内において基板をマスク載置ステーション271へと送ることだけでなく、移送モジュール274の方向に基板キャリアを搬送することも可能である。同様に、基板洗浄ステーション272も設けられており、これは基板キャリアの洗浄の役割を有している。
【0064】
このタイプの基板送り配列により、効率及びスループットの顕著な向上が得られる。それは、コーティング領域を通るその通路上に、より多くの基板を送ることができるからである。特に、方向転換モジュール275を有する基板送り入れデバイス270は、コーティング領域内の搬送デバイスよりも非常に高いサイクルの頻度で作業可能である。
【0065】
更に、ローテーションモジュール260の領域内には、2つの基板キャリアマガジン281、282が設けられ、これらは基板キャリア移送モジュール283によって互いに接続されると共に、ローテーションモジュール260に接続されている。よって、この格納ユニット280は基板キャリアの中間バッファを容易にして、コーティングマシンを通る基板のスループットの最適化を容易にする。更に、欠陥のある基板キャリアの交換の可能性も存在する。加えて、格納ユニットは基板キャリアをマシンに積み込む役割を有することも可能である。その他、ローテーションモジュール260は、図5を参照して述べたように機能する。
【0066】
基板送り入れ領域と同様、基板送り出し領域290は、方向転換モジュール275、除去ステーション及び/又は中間格納276、及び、ロボット273と相互作用する基板キャリア操作又は移送モジュール274を有している。基板移送モジュール274及びロボット273は、活性雰囲気を有する、いわゆるグローブボックス(glove box)中に配置されている。
【0067】
基板送り出しデバイス290の場合においても、対応するマスク除去又は格納ユニット276が配置された、二重真空部屋202の2つの搬送区域が、基板キャリアの両方向に横断可能となっていることで、ここでも基板の迅速な送り出しが可能である。
【0068】
特に、個々の領域及び区域における搬送速度は、全デバイスの最適利用が容易になるように、異ならせることができる。よって、例えば、基板送り入れデバイス270及び基板送り出しデバイス290の搬送ブランチにおける速度は、コーティング領域209〜211及び215a、215bにおける搬送速度と異ならせることが可能である。加えて、搬送速度は、コーティング領域や区域においても異ならせることができ、すなわち、二重真空部屋の部分203と二重真空部屋の他の部分204とで異ならせることができる。従って、コーティング部分での搬送速度は、戻り搬送領域での搬送速度と異ならせることが可能である。これにより、全デバイスの最適利用が容易になる。
【0069】
詳しくは、図6の装置200は、基板が、基板移送ユニット274で利用可能になっているロボット273を介して、基板キャリアへ移送されるように機能する。そこから、基板の積まれた基板キャリアが、(詳しくは示されていない)ロックを介して、基板送り入れデバイス270の搬送区域278又は279へと、マスク載置ステーション271の方向へ搬送される。そこでは、洗浄ステーション212を通って部分204から戻ってきたマスクが基板上に載置される。マスクを備えた基板は、基板キャリアにより、方向転換モジュール275を通って、もっと正確には、例えば基板キャリアピックアップの対応するローテーションによって、真空部屋配列の部分203内に導入される。同時に、部分204からの洗浄されたマスクを有する、戻ってきた基板キャリアが、基板送り入れデバイス270へと移送可能であり、マスクはマスク載置ステーション271内で除去され、基板を有する基板キャリアが基板移送モジュール274から戻ってくるまで一時的に格納される。
【0070】
このようにして、図示の実施形態では、真空部屋の部分203内へと導入された基板がコーティング領域209、210a、210b、210c、211を通って移動し、ここで、例えば正孔注入層、正孔輸送層、赤色発光層、緑色発光層、青色発光層、正孔ブロック層、及び電子注入層がこの順序で与えられる。その後、マスクを上に配置した基板がローテーションモジュール260内でピックアップされ、ここで、マスクがマスク除去ステーション25内で除去され、続いて真空部屋の部分204内へ再び戻り搬送され、一方、マスク載置ステーション264内のコーティング基板が、コーティング部屋215a、215b内での次のコーティングプロセスに必要とされる新しいマスクを受取る。
【0071】
ローテーションモジュール260のマスク交換領域261に、2つの基板キャリアマガジン281、282を備えた基板キャリア移送モジュール283が接続されている。従って、基板キャリアはここで交換可能である。
【0072】
続いて、依然として真空部屋の部分203内にある、新しいマスクを有する基板が、更にコーティングステーション215a、215bを通って案内され、ここで、LiF蒸着、続いてアルミニウム蒸着、そして対応する堆積が行なわれる。その後、マスクを有する基板キャリア上の基板が、基板送り出しデバイス290の方向転換モジュール275へと移送され、そこからマスク除去ステーション276内へと進み、基板キャリアが基板移送ユニット274、273内で降ろされる。これは、いわゆるグローブボックス内の不活性ガス雰囲気中で行われる。
【0073】
図7は、第4の実施形態300を示しており、ここでもまた、先の実施形態のように、同様又は同一の部品が同一の端数字(the same end digits)を有している。装置300は、いわゆるRGB−OLEDを生産するためのコーティングマシンであり、よってここでは、異なる色のLEDが互いに並んで堆積される。従ってこのマシンは、本質的に実施形態100のマシンコンセプトに等しく、それとの違いは、マスク載置及び除去ステーション113、114、124、125、126、127、128、129、それに130、134、135が、対応するローテーションモジュール360によって置き換えられているという点である。これらは、順番に、ロータリ領域362と、マスク載置ステーション264並びにマスク除去及び中間格納ステーション365を有するマスク交換領域361とを備えている。図6の実施形態と同様、1つ又は2つの基板キャリアマガジン381、382を有する基板キャリア移送ユニット383が、数個のローテーションモジュール360内のマスク交換領域361に設けられている。
【0074】
基板送り入れデバイス305での基板送り入れや、それに続く、ロボット373による移送、基板送り出しデバイス306での基板送り出し、そしてロボット373への移送は、図2の実施形態と同様に進行する。しかし、ここでは方向転換モジュール390と移送モジュールのみが設けられており、これらは、真空部屋の部分304から部分303へ基板キャリアを移送することのみを容易にしている。基板の載置が基板送り入れデバイス305内で行なわれ、一方、基板の除去が基板送り出しデバイス306内で行なわれる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明に係る装置の平面図である。
【図2】本発明に係る装置の第2の実施形態の平面図である。
【図3】対応するキャリア及びマスクを有する図2の装置の部分図である。
【図4】図2及び図3の装置のプロセスシーケンス又は操作の一部の模式図である。
【図5】本発明の更なる実施形態におけるローテーションモジュールの平面図である。
【図6】本発明の装置の第3の実施形態を白色OLEDの生産形態で示す平面図である。
【図7】本発明の装置の第4の実施形態をRGB−OLEDコーティングの形態で示す平面図である。
【符号の説明】
【0076】
1、100、200、300 コーティングマシン
2、102、202、302 二重真空部屋
3、4;103、104;203、204;303、304 二重真空部屋の部分
5、105、305 基板送り入れデバイス
6、106、306 基板送り出しデバイス
7、107 基板積みステーション
8、14、108、114、125、127、129、138、271 マスク載置ステーション
9、109、209、309 正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層用のコーティング領域
10、109、110、111、121、122、123、210、321、322、323 発光材料用のコーティング領域
11、111、211、311 正孔ブロック層、電子注入層、電子輸送層用のコーティング領域
12、16、112、116、130、131、132、133、212、312 マスク用の洗浄ステーション
13、17、113、117、124、126、128、134 マスク除去ステーション
15、215a、215b 電極用のコーティング領域
18 基板降ろしステーション
20、120、220 ロック及び分離デバイス
40、266、267 基板キャリア
50、51、52 マスク
70 キャリアプレート
80 軸
119 プラズマ活性化
140 第1のエンドレスループ
150 第2のエンドレスループ
260、360 ローテーションモジュール
261、361 マスク交換領域
262、362 ローテーション領域
263 ロータリテーブル
264、265;364、365 マスク交換システム
270 基板送り入れデバイス
271 基板洗浄ステーション
272、273 ロボット
274 移送モジュール
275 方向転換モジュール
278、279 搬送ステップ
280 格納ユニット
281、282;381、382 基板キャリアマガジン
283、383 基板キャリア移送モジュール
290 基板送り出しデバイス
390 方向転換モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機エレクトロルミネセント材料(OLED)を有する基板、特にOLEDディスプレイ、スクリーン、パネル、又はその他の発光素子、を特に連続生産するための装置であって、真空スペースと、コーティングすべき前記基板を搬送するための、少なくとも一部が前記真空スペースに沿って配列されると共に前記基板用のキャリアを有する搬送デバイスとを備えた装置において、
前記搬送デバイスが前記キャリア(40)を搬送するための少なくとも1つのエンドレスループ(140)を備え、前記真空スペースが第1の部分(3、103)と第2の部分(4、104)とを有する少なくとも2つの部分に分割され、前記第1の部分には、前記キャリア(40)を第1の方向(基板搬送方向)に搬送するための、前記搬送デバイスの第1の区域が設けられ、前記第2の部分には、前記キャリアを第2の方向(キャリア戻り搬送方向)に搬送するための、前記搬送デバイスの第2の区域が設けられていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記真空スペースは互いに並んで配置された複数の部屋(2、102)からできており、該複数の部屋は、互いに分離可能であって、真空中での基板及び/又はキャリア(40)及び/又はマスク(50、51、52)の途切れることのない搬送を許容すること、及び/又は、ロック部屋及び/又はロックデバイス(20、120)が前記エンドレスループに沿って付加的に設けられることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記真空スペースを2つに分割することが二重真空部屋(2、102)によってなされ、該二重真空部屋はそれらの少なくとも一部が一方を他方の後ろに配置してなることを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項4】
マスク(50、51、52)を搬送するための第2のエンドレスループ、好ましくは数個の第2のエンドレスループ(150)が、前記真空スペース内に、好ましくは、特に赤色発光有機エレクトロルミネセント素子(121)、緑色発光有機エレクトロルミネセント素子(122)、及び青色発光有機エレクトロルミネセント素子(123)の有機エレクトロルミネセント材料の各堆積領域(10、110)毎に1つ設けられ、前記第2のエンドレスループは、特には、前記真空スペースの前記第1の部分(3、103)に設けられた第2のエンドレスループ(150)の搬送配列の第1の区域と、前記真空スペースの前記第2の部分(4、104)に設けられた第2のエンドレスループ(150)の搬送配列の第2の区域とを備えていることを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
少なくとも1つの、好ましくは数個の基板積みステーション(7、107)及び基板降ろしステーション(18、118)が、キャリア及び/又はマスク載置及び/又はマスク除去ステーション及び/又はマスク整列ステーション(8、13、14、17;108、113、114、117、124、125、126、127、128、129、134、135)からの基板を配置し又は降ろすために設けられていることを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
移送デバイスが、特に基板積みステーション(7、107)及び基板降ろしステーション(18、118)に、前記真空スペースの前記第1の部分(3、103)から前記第2の部分(4、104)へ、及びそれとは逆に、キャリア(40)及び/又はマスク(50、51、52)を交換するために設けられていることを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記第1のエンドレスループ(140)に沿って、
真空コーティングプロセス、特に化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、特にスパッタリングプロセス、プラズマコーティングプロセス、キャリアガス有り又は無しの蒸着プロセス、を備える1つ又はそれ以上のコーティングステーション(9、10、11、15;109、110、111、115)と、
キャリア及び/又はマスク及び/又は他の基板処理ステーション、特に基板活性化ステーション(119)、特にプラズマ活性化ステーション、及び/又は特にプラズマ活性化及び正孔注入(HIL)、正孔輸送(HTL)、及び電子ブロック(EBL)層に備えての、UV、オゾン、イオンボンバードメント又はスパーク放電処理のためのステーションのための、基板の洗浄ステーション(12、16;112、116、130〜133)と、
前記コーティングプロセスに適したマスク、及び/又はエレクトロルミネセント材料、特に赤色発光材料、青色発光材料、又は緑色発光材料のそれぞれの堆積に適したマスクを搬送するための第2のエンドレスループと、
前記コーティングプロセスに適したマスク、及び/又は電子注入(EIL)、電子搬送(ETL)、及び正孔ブロック(HBL)層の堆積に適したマスクを搬送するための更なる第2のエンドレスループと、
前記コーティングプロセスに適したマスク、及び/又は電極の堆積、特に真空コーティングプロセス、特に化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、特にスパッタリング技術、プラズマコーティングプロセス、キャリアガス有り又は無しの蒸着プロセスによる電極の堆積に適したマスクを搬送するための更なる第2のエンドレスループと、
前記コーティングプロセスに適したマスクを搬送するための更なる第2のエンドレスループと、
が設けられていることを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記コーティング及び基板処理ステーション(9、10、11、15;109、110、111、115、119)が、前記真空スペースの前記第1及び/又は第2の部分(4、104)における前記搬送デバイスの前記第1及び/又は第2の区域に沿ったマスク及び/又はキャリアのための、前記真空スペース及び/又は前記洗浄ステーション(12、16;112、116、130〜133)の前記第1の部分(3、103)における前記搬送デバイスの前記第1の区域に沿って配置されていることを特徴とする請求項7記載の装置。
【請求項9】
ローテーションモジュール(260)が設けられ、該ローテーションモジュールには、特に、隣接するコーティング領域からのマスクの載置及び除去ステーションが組み込まれ、ロータリ領域(262)及びマスク交換領域(261)が設けられ、ロータリ機構(263)が前記ロータリ領域内に設けられ、前記ロータリ機構は前記搬送区域(203、204)及び/又は前記マスク交換領域を切り替え可能であることを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
少なくとも1つの、好ましくは数個のマスク搬送マガジン及び/又は基板搬送マガジンが、特に移送デバイス、基板積み及び降ろしステーション、マスク載置及び/又は除去ステーション、及び/又はローテーションモジュール(260)に接続されて設けられていることを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記マスク交換領域(261)は2つのマスク交換位置を有し、第1のマスク交換位置(264)では、コーティングすべき基板上にマスクを載置するために正確なマスク整列でマスクの位置合わせが行なわれ、一方、他のマスク交換位置(265)では、キャリ上のマスクの戻り搬送のための単純なマスク載置のみが行なわれることを特徴とする請求項9記載の装置。
【請求項12】
前記ローテーションモジュールの後に、少なくとも1つの、好ましくは2つの相対する基板搬送マガジンを有する基板搬送マガジンが設けられ、少なくとも1つの基板搬送交換ユニットが、前記基板搬送マガジン及び/又はそれに隣接する機構部品から及びそれらへ基板キャリアを取り出して移送するために設けられていることを特徴とする請求項9乃至11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記ローテーションモジュールの後に、特に前記ローテーションモジュールの前記マスク交換領域の後、及び/又は前記ローテーションモジュール(260)のロータリ領域(262)(261)の後に、1つ又はそれ以上のマスク及び/又は基板洗浄ステーションが設けられていることを特徴とする請求項9乃至12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
前記装置の少なくとも1つの搬送ブランチが設けられ、該搬送ブランチでは、前記搬送方向及び/又は前記搬送配列が、前記搬送方向が少なくとも断続的に一方向となる2つの平行区域を有していることを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
前記搬送ブランチには、前記基板積みデバイス及び/又は前記基板降ろしデバイスの領域内に前記平行搬送区域の少なくとも断続的な一方向搬送が設けられていることを特徴とする請求項14記載の装置。
【請求項16】
前記エンドレスループ(140、150)及び/又は搬送デバイスは、1つの連続運搬デバイス及び/又は複数の操作及び移送デバイスを備えていることを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項17】
第1のエンドレスループ(140)及び第2のエンドレスループ(150)は、その少なくとも一部が、同じ運搬及び操作デバイスを使用していることを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項18】
前記搬送デバイスの前記第1の区域の開始地点にある前記第1のエンドレスループ(140)には基板送り入れデバイス(5、105)が設けられ、また、好ましくは前記搬送デバイスの前記第1の区域の終端地点には基板送り出しデバイス(6、106)が設けられていることを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項19】
前記装置は、連続的に動作する、本質的に線形の(インラインの)機械として形成されていることを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項20】
特に前記請求項のいずれかに記載の装置を用いて、有機エレクトロルミネセント材料(OLED)を備えた基板、特にOLEDディスプレイ、スクリーン、パネル、又はその他の発光素子を、特に連続生産するための方法であって、
a)基板積みステーション(7、107)内で、真空コーティングマシンを通って搬送するためのキャリア(40)上に基板を配置するステップと、
b)構造的なコーティングを堆積するために、マスク載置ステーション(8、14;108、114、125、127、129、135)内で、基板上に、又は基板に対するキャリア上に、マスクを載置するステップと、
c)特にエレクトロルミネセント材料の構造的なコーティングを実行するステップと、
d)マスク除去ステーション(13、17;113、124、126、128、134、117)内で前記マスクを除去し、更に、前記マスク載置ステーション(8、14;108、114、125、127、129、135)へ向けて反対方向に、特に逆平行な基板搬送方向に、前記マスクを即座に戻り搬送するステップと、
e)戻り搬送中に前記マスクを洗浄するステップと、
f)洗浄されたマスクを前記マスク載置ステーション(8、14;108、114、125、127、129、135)内に供給するステップと、
g)前記真空コーティングマシンから降ろし、又は更なるコーティングを実行するために、前記コーティングされた基板を有するキャリア(40)を更に搬送するステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項21】
前記マスクの戻り搬送が真空中で進行することを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項22】
ステップb)〜g)が連続して数回行なわれることを特徴とする請求項20又は21記載の方法。
【請求項23】
前記キャリアが、前記基板を降ろした後、反対方向に、好ましくは元の搬送方向とは逆平行な方向に、前記基板積みステーションへ向けて、特に少なくとも幾つかのマスクの搬送と共に、即座に戻り搬送されることを特徴とする請求項20乃至22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記マスク載置ステーション及び/又は前記マスク除去ステーションにおいて、前記基板搬送方向から前記戻り搬送方向へと、及びそれとは逆方向へと、前記マスクの移送が行われることを特徴とする請求項20乃至23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記キャリア及び/又は前記マスクが前記搬送経路に沿ったマガジン内に一時的に格納されることを特徴とする請求項20乃至24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
マスク及び/又は基板キャリアの洗浄が、戻り搬送中に、前記戻り搬送方向を維持したままで、又は、横に取り付けられた洗浄ステーション内において搬送を少し中断して、行なわれることを特徴とする請求項20乃至25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記エンドレスループ及び/又は前記搬送ブランチ及び/又は前記区域における搬送速度が異なることを特徴とする請求項20乃至26のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−302898(P2006−302898A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−116398(P2006−116398)
【出願日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(506136287)アプリート フィルムス ゲーエムベーハー ウント コー. カーゲー (5)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED FILMS GMBH & CO.KG
【Fターム(参考)】