説明

P−糖タンパク質およびその使用

【課題】P−糖タンパク質およびその使用の提供。
【解決手段】本発明は、イヌP−糖タンパク質およびイヌ特異的アミノ酸を含む関連P−糖タンパク質、ならびにこれらのポリペプチドをコードする核酸に関する。本発明はまた、イヌP−糖タンパク質のフラグメントおよび生物学的に機能的な改変体を含む。本発明はさらに、このようなイヌP−糖タンパク質の核酸およびポリペプチドを用いる方法、特に、薬物のバイオアベイラビリティを決定するための方法およびイヌPGPのインヒビターをスクリーニングするための方法に関する。イヌPGPの発現または機能を阻害することによって、イヌPGP活性を阻害するイヌPGPインヒビターもまた、含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、イヌ(Canis familiaris)のP−糖タンパク質に
関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
P−糖タンパク質(PGP;多剤トランスポーター、MDR1としてもまた公
知)は、ABCトランスポータースーパーファミリーのメンバーであり、そして
ヒトの腸、肝臓および他の組織で発現される。この酵素は、細胞膜を渡って低分
子を輸出する流出ポンプとしてはたらく。数年間、高レベルのPGP発現が癌化
学療法に対する腫瘍耐性に関する機構であることが知られている。PGPの腸発
現は、このトランスポーターの基質である薬物分子の経口バイオアベイラビリテ
ィに影響を及ぼし得る。PGPは、流出薬物を効率的に腸管腔へ戻し得、このよ
うにして循環へ侵入する薬物の量を減少する。
【0003】
PGPとの相互作用の測定は、特定の薬物が低いまたは高いバイオアベイラビ
リティを示す理由のより良い理解を提供し得る。PGPとの相互作用は、極性が
与えられた細胞系における薬物輸送の直接的アッセイまたは薬物刺激ATPas
e活性および蛍光基質輸送の阻害のような間接的アッセイのいずれかを用いて研
究され得る。
【0004】
従って、上記の薬物アッセイにおける使用のための、さらなるPGPポリペプ
チド(好ましくは、これは、ヒトPGPに密接に関連する)に関する必要性があ
る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
イヌ(Canis familiaris)のP−糖タンパク質をコードする
核酸が、ここで、同定され、単離され、クローン化され、そして配列決定された
。このPGPは、ヒトPGPと非常に関連している(高い割合の同一性を有する
)。本発明は、単離された核酸分子、これらの分子の特有のフラグメント、上記
のものを含む発現ベクター、およびこれらの分子を用いてトランスフェクトされ
た宿主細胞を提供する。本発明はまた、単離されたポリペプチドならびに薬物輸
送を減少する上記の核酸およびポリペプチドのインヒビターを提供する。このP
GPの核酸およびポリペプチドは、薬物のバイオアベイラビリティを評価するた
めのアッセイ、ならびにこの薬物の最適化または発見のためのアッセイにおいて
有用である。さらに、上記のものは、PGP活性によって特徴付けられる状態の
診断または処置において使用され得、そしてPGP活性を増加または減少するた
めの治療的に有用である方法に使用され得る。
例えば、本願発明は、以下の項目を提供する。
(項目1) 単離された核酸分子であって、以下:
(a)配列番号2のアミノ酸配列をコードする核酸分子、
(b)(a)の対立遺伝子改変体であって、ここで該対立遺伝子は、配列番号3および配列番号5を除く、対立遺伝子改変体、および
(c)(a)または(b)の相補体、
からなる群より選択される、単離された核酸分子。
(項目2) 前記単離された核酸分子が配列番号2をコードする、項目1に記載の単離された核酸分子。
(項目3) 前記単離された核酸が配列番号1のヌクレオチド配列を含む、項目1に記載の単離された核酸分子。
(項目4) 前記単離された核酸が配列番号1のコード領域を含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
(項目5) 前記対立遺伝子改変体が、配列番号23、配列番号25、および配列番号27からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードする核酸分子である、項目1に記載の単離された核酸分子。
(項目6) 前記対立遺伝子改変体が、配列番号23をコードする、請求項5に記載の単離された核酸分子。
(項目7) 前記対立遺伝子改変体が、配列番号25をコードする、請求項5に記載の単離された核酸分子。
(項目8) 前記対立遺伝子改変体が、配列番号27をコードする、請求項5に記載の単離された核酸分子。
(項目9) 前記核酸分子が、配列番号22、配列番号24、および配列番号26からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、項目5に記載の単離された核酸分子。
(項目10) 前記ヌクレオチド配列が配列番号22を含む、項目9に記載の単離された核酸分子。
(項目11) 前記ヌクレオチド配列が配列番号24を含む、項目9に記載の単離された核酸分子。
(項目12) 前記ヌクレオチド配列が配列番号26を含む、項目9に記載の単離された核酸分子。
(項目13) 前記核酸分子が、配列番号22、配列番号24、および配列番号26からなる群から選択されるヌクレオチド配列のコード領域を含む、請求項5に記載の単離された核酸分子。
(項目14) 単離されたP−糖タンパク質ポリペプチドまたはそのフラグメントであって、配列番号2の25位、192位、197位、212位、288位、329位、532位、696位、1273位および1355位;配列番号25の25位;ならびに、配列番号27の25位および1148位からなる群から選択されるイヌP−糖タンパク質の少なくとも1つのアミノ酸を含む、単離されたP−糖タンパク質ポリペプチドまたはそのフラグメント。
(項目15) 単離されたP−糖タンパク質ポリペプチドまたはそのフラ
グメントであって、配列番号2の3位、6位、8位、10位、12位、14〜2
6位、36位、38位、48位、52位、56位、64位、74位、78位、8
4〜92位、94位、96位、98位、99位、101位、103位、104位
、106位、108位、112位、115位、147位、187位、197位、
199位、233位、288位、321位、326位、347位、397位、4
50位、454位、455位、467位、472位、520位、633位、63
7位、643位、644位、650位、657位、658位、661位、666
位、667位、674〜677位、679位、685位、689位、691位、
693位、694位、703位、707位、717位、731位、736位、7
40位、744位、745位、756位、759位、763位、853位、91
4位、920位、942位、943位、946位、968〜970位、972位
、974位、983位、1005位、1010位、1017位、1025位、1
026位、1029位、1040位、1095位、1098位、1105位、1
144位、1148位、1149位、1158位、1162位、1165位、1
168位、1170位、1252位および1279位、ならびに配列番号27の
329位からなる群から選択されるイヌP−糖タンパク質の少なくとも1つのア
ミノ酸を含み、ここで該P−糖タンパク質は、イヌP−糖タンパク質の該少なく
とも1つのアミノ酸を除いて、ヒトP−糖タンパク質と同一である、単離された
P−糖タンパク質ポリペプチドまたはそのフラグメント。
(項目16) 前記ヒトP−糖タンパク質が、配列番号7および配列番号8の群から選択される、項目15に記載の単離されたP−糖タンパク質ポリペプチドまたはそのフラグメント。
(項目17) 前記ポリペプチドまたはそのフラグメントのアミノ酸配列が、配列番号2、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号2のフラグメント、配列番号23のフラグメント、配列番号25のフラグメントおよび配列番号27のフラグメントからなる群から選択されるアミノ酸配列である、請求項14〜16のいずれかに記載の単離されたP−糖タンパク質ポリペプチドまたはそのフラグメント。
(項目18) 項目14〜17のいずれかに記載の単離されたP−糖タンパク質ポリペプチドまたはそのフラグメントをコードする、単離された核酸分子。
(項目19) プロモーターに作動可能に連結された、項目1に記載の単離された核酸分子を含む、発現ベクター。
(項目20) プロモーターに作動可能に連結された、項目18に記載の単離された核酸分子を含む、発現ベクター。
(項目21) 項目19に記載の発現ベクターを用いて形質転換されたかまたはトランスフェクトされた、宿主細胞。
(項目22) 項目20に記載の発現ベクターを用いて形質転換されたかまたはトランスフェクトされた、宿主細胞。
(項目23) 項目14に記載の単離されたポリペプチドを選択的に結合する、因子。
(項目24) 前記因子が、ヒトP−糖タンパク質もイヌP−糖タンパク質も結合しない、項目23に記載の方法。
(項目25) 前記因子がポリペプチドである、項目23に記載の因子。
(項目26) 項目25に記載の因子であって、ここで、前記ポリペプチドは、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、Fab抗体フラグメント、F(ab)2抗体フラグメントおよびCDR3領域を含む抗体フラグメントからなる群より選択される、因子。
(項目27) 項目1または項目18に記載の単離された核酸分子を選択的に結合する、因子。
(項目28) 前記因子が、前記単離された核酸分子に選択的に結合するアンチセンス核酸である、項目27に記載の因子。
(項目29) 化合物のバイオアベイラビリティを予測する方法であって、該方法は、以下:
第1のP−糖タンパク質による試験化合物の膜貫通輸送を測定する工程、
該第1のP−糖タンパク質および第2のP−糖タンパク質による該試験化合物の膜貫通輸送を比較し、該試験化合物のバイオアベイラビリティを予測する工程であって、ここで、該第1のP−糖タンパク質および該第2のP−糖タンパク質による相対的な輸送量または輸送速度は、該試験化合物のバイオアベイラビリティを予測する、工程、
を包含する、方法。
(項目30) 前記第1のP−糖タンパク質が、イヌP−糖タンパク質および霊長類P−糖タンパク質からなる群より選択される、項目29に記載の方法。
(項目31) 前記第1のP−糖タンパク質が、項目14〜17に記載のポリペプチドである、項目29に記載の方法。
(項目32) 前記第2のP−糖タンパク質が、ヒトP−糖タンパク質である、項目29に記載の方法。
(項目33) 哺乳動物細胞中のP−糖タンパク質トランスポーター活性を阻害する方法であって、該方法は、該哺乳動物細胞を、該哺乳動物細胞におけるP−糖タンパク質トランスポーター活性を阻害するに有効な量の項目27に記載の因子と接触させる工程を包含する、方法。
(項目34) 被験体中の薬物のバイオアベイラビリティを増加する方法であって、該方法は、このような処置が必要な被験体に、薬物のバイオアベイラビリティを増加するに有効な量で項目27に記載の因子を投与する工程を包含する、方法。
(項目35) インヒビターが前記薬物を投与する前に投与される、請求項34に記載の方法。
(項目36) インヒビターが前記薬物と同時に投与される、項目34に記載の方法。
(項目37) 細胞中のP−糖タンパク質トランスポーター活性を増加する方法であって、該方法は、該細胞を、項目1に記載の核酸分子および項目18に記載の核酸分子からなる群より選択される分子と、該細胞におけるP−糖タンパク質トランスポーター活性を増加するに有効な量で接触させる工程を包含する、方法。
(項目38) P−糖タンパク質トランスポーター活性と関連する疾患の処置において有用な薬理学的因子に関するリード化合物を同定する方法であって、該方法は、以下:
項目14または15に記載のP−糖タンパク質を含む、細胞または他の膜包囲空間を提供する工程;
該細胞または他の膜包囲空間を、候補薬理学的因子の非存在下でP−糖タンパク質トランスポーター活性の第1の量をもたらす条件下で、該候補薬理学的因子と接触させる工程;
該P−糖タンパク質トランスポーター活性に対する該薬理学的因子の効果の尺度として、P−糖タンパク質トランスポーター活性の第2の量を決定する工程であって、ここで、該第1の量よりも少ないP−糖タンパク質トランスポーター活性の第2の量は、該候補薬理学的因子がP−糖タンパク質トランスポーター活性を減少する薬理学的因子に関するリード化合物であることを示し、そしてここで、該第1の量よりも多いP−糖タンパク質トランスポーター活性の第2の量は、該候補薬理学的因子がP−糖タンパク質トランスポーター活性を増加する薬理学的因子に関するリード化合物であることを示す、工程、を包含する、方法。
(項目39) 項目38に記載の方法であって、該方法は、検出可能な化合物を前記細胞または他の膜包囲空間に負荷する工程であって、ここで該化合物は、前記P−糖タンパク質トランスポーター活性の尺度として検出される、工程、をさらに包含する、方法。
(項目40) P−糖タンパク質を選択的に結合する化合物を同定する方法であって、
項目14または15に記載のP−糖タンパク質を化合物と接触させる工程、
該化合物の該P−糖タンパク質への結合を決定する工程、を包含する、方法。
(項目41) 前記P−糖タンパク質のP−糖タンパク質トランスポーター活性に対する前記化合物の効果を決定する工程をさらに包含する、項目40に記載の方法。
(項目42) 前記P−糖タンパク質のATPase活性に対する前記化合物の効果を決定する工程をさらに包含する、項目40に記載の方法。
(項目43) P−糖タンパク質のATPase活性を決定する方法であって、該方法は、以下:
項目21もしくは22に記載の宿主細胞またはその膜画分を、試験薬物と接触させる工程、および
該P−糖タンパク質のATPase活性を測定する工程、を包含する、方法。
(項目44) 前記ATPase活性を測定する工程が、異なる時間に少なくとも2回実施される、項目43に記載の方法。
(項目45) P−糖タンパク質による化合物の膜貫通輸送を決定する方法であって、該方法は、以下:
項目21もしくは22に記載の宿主細胞またはその膜画分を、試験薬物と接触させる工程、および
頂端側から側底側の方向および側底側から頂端側の方向からなる群より選択される少なくとも1つの輸送方向の傾斜条件下において、該試験薬物の輸送を測定する工程、を包含する、方法。
(項目46) 前記試験薬物の輸送を測定する工程が、異なる時間に少なくとも2回実施される、項目45に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の1つの局面に従って、(a)配列番号2のアミノ酸配列をコードする
核酸分子、(b)(a)の対立遺伝子改変体(ここで、この対立遺伝子改変体は
、配列番号3および配列番号5を除く)、および(c)(a)または(b)の相
補体からなる群より選択される単離された核酸分子が提供される。好ましい対立
遺伝子改変体は、配列番号23、配列番号25および配列番号27からなる群よ
り選択されるアミノ酸配列をコードする核酸分子、詳細には、配列番号22、配
列番号24および配列番号26からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含
む。好ましい実施形態において、この単離された核酸分子は、配列番号2をコー
ドするか、または配列番号1のヌクレオチド配列を含む。特に好ましい実施形態
において、この核酸分子は、上記のヌクレオチドのコード領域を含むか、あるい
はこれらからなる。
【0007】
本発明の他の局面に従って、単離されたP−糖タンパク質ポリペプチドまたは
そのフラグメントが提供される。このポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸2
5、192、197、212、288、329、532、696、1273およ
び1355;配列番号23のアミノ酸25;ならびに配列番号25のアミノ酸2
5および1148からなる群より選択されるイヌP−糖タンパク質の少なくとも
1つのアミノ酸を含む。他の単離されたP−糖タンパク質ポリペプチドまたはそ
のフラグメントは、配列番号2のアミノ酸3、6、8、10、12、14〜26
、36、38、48、52、56、64、74、78、84〜92、94、96
、98、99、101、103、104、106、108、112、115、1
47、187、197、199、233、288、321、326、347、3
97、450、454、455、467、472、520、633、637、6
43、644、650、657、658、661、666、667、674〜6
77、679、685、689、691、693、694、703、707、7
17、731、736、740、744、745、756、759、763、8
53、914、920、942、943、946、968〜970、972、9
74、983、1005、1010、1017、1025、1026、1029
、1040、1095、1098、1105、1144、1148、1149、
1158、1162、1165、1168、1170、1252および1279
;ならびに配列番号27のアミノ酸329からなる群より選択されるイヌP−糖
タンパク質の少なくとも1つのアミノ酸(ここで、P−糖タンパク質は、イヌP
−糖タンパク質の少なくとも1つのアミノ酸を除いて、ヒトP−糖タンパク質に
同一である)を含む。特定の実施形態において、ヒトP−糖タンパク質は、配列
番号7および配列番号8の群から選択される。さらに他の単離されたP−糖タン
パク質ポリペプチドまたはそのフラグメントは、カニクイザルP−糖タンパク質
とは異なるイヌP−糖タンパク質の少なくとも1つのアミノ酸(ここで、このP
−糖タンパク質は、イヌP−糖タンパク質の少なくとも1つのアミノ酸以外はカ
ニクイザルP−糖タンパク質に同一である)を含む。さらに他のポリペプチドは
、上記のイヌPGPポリペプチド、ヒトPGPポリペプチドおよびカニクイザル
PGPポリペプチドの組み合わせを含む。好ましい実施形態において、この単離
されたP−糖タンパク質ポリペプチドまたはそのフラグメントは、配列番号2、
配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号2のフラグメント、配列
番号23のフラグメント、配列番号25のフラグメント、および配列番号27の
フラグメントからなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
【0008】
本発明のさらに他の実施形態に従って、上記の単離されたP−糖タンパク質ポ
リペプチドまたはそのフラグメントをコードする単離された核酸分子が提供され
る。さらに、プロモーターに作動可能に連結された上記の単離された核酸分子を
含む発現ベクター、ならびにこの発現ベクターを用いて形質転換されたかまたは
トランスフェクトされた宿主細胞が含まれる。
【0009】
本発明の別の局面において、単離されたPGPポリペプチドを選択的に結合す
る因子が、提供される。好ましくは、この因子は、本明細書中に提供されるもの
以外はヒトP−糖タンパク質またはイヌP−糖タンパク質を結合しない。特定の
実施形態において、この因子は、ポリペプチド、好ましくはモノクローナル抗体
、ポリクローナル抗体、Fab抗体フラグメント、F(ab)2抗体フラグメン
トおよびCDR3領域を含む抗体フラグメントからなる群より選択されるもので
ある。上記の単離された核酸分子に選択的に結合する因子、好ましくは単離され
た核酸分子を選択的に結合するアンチセンス核酸分子がまた提供される。
【0010】
本発明の別の局面に従って、化合物のバイオアベイラビリティを予測する方法
が提供される。この方法は、第1のP−糖タンパク質による試験化合物の膜貫通
輸送を測定する工程、この第1のP−糖タンパク質および第2のP−糖タンパク
質によるこの試験化合物の膜貫通輸送を比較し、この試験化合物のバイオアベイ
ラビリティを予測する工程であって、ここで、第1のP−糖タンパク質および第
2のP−糖タンパク質による相対的な輸送量または輸送速度は、この試験化合物
のバイオアベイラビリティを予測する、工程、を包含する。特定の実施形態にお
いて、第1のP−糖タンパク質は、イヌP−糖タンパク質および霊長類P−糖タ
ンパク質からなる群より選択され、好ましくは上記のポリペプチドのうちの1つ
である。他の実施形態において、この第2のP−糖タンパク質は、ヒトP−糖タ
ンパク質である。
【0011】
本発明のさらに他の局面において、哺乳動物細胞においてP−糖タンパク質ト
ランスポーター活性を阻害する方法が、提供される。この方法は、哺乳動物細胞
を、この哺乳動物細胞におけるP−糖タンパク質トランスポーター活性を阻害す
るのに有効な量の上記因子のうちの1つと接触させる工程を包含する。
【0012】
被験体中の薬物のバイオアベイラビリティを増加するための方法がまた、本発
明に含まれる。この方法は、そのような処置が必要な被験体に、薬物のバイオア
ベイラビリティを増加するのに有効な量で上記因子のうちの1つを投与する工程
を包含する。このインヒビターは、この薬物を投与する前またはこの薬物と同時
に投与され得る。
【0013】
細胞中のP−糖タンパク質トランスポーター活性を増加する方法もまた、提供
される。この方法は、この細胞を、上記核酸分子からなる群より選択される分子
と、この細胞におけるP−糖タンパク質トランスポーター活性を増加するに有効
な量で接触させる工程を包含する。この細胞は、P−糖タンパク質が発現される
条件下で接触され得る。
【0014】
本発明のなお別の局面に従って、P−糖タンパク質トランスポーター活性と関
連する疾患の処置において有用な薬理学的因子に関するリード化合物を同定する
方法が提供される。この方法は、本明細書中に提供されるようなP−糖タンパク
質を含む、細胞または他の膜包囲空間を提供する工程;この細胞または他の膜包
囲空間を、候補薬理学的因子の非存在下でP−糖タンパク質トランスポーター活
性の第1の量をもたらす条件下で、この候補薬理学的因子と接触させる工程;お
よび、P−糖タンパク質トランスポーター活性に対するこの薬理学的因子の効果
の尺度として、P−糖タンパク質トランスポーター活性の第2の量を決定する工
程であって、ここで、第1の量よりも少ないP−糖タンパク質トランスポーター
活性の第2の量は、候補薬理学的因子がP−糖タンパク質トランスポーター活性
を減少する薬理学的因子に関するリード化合物であることを示し、そしてここで
、第1の量よりも多いP−糖タンパク質トランスポーター活性の第2の量は、候
補薬理学的因子がP−糖タンパク質トランスポーター活性を増加する薬理学的因
子に関するリード化合物であることを示す工程、を包含する。この方法は、検出
可能な化合物でこの細胞または他の膜包囲空間を負荷する工程であって、ここで
、この化合物は、P−糖タンパク質トランスポーター活性の尺度として検出され
る工程をさらに包含し得る。
【0015】
P−糖タンパク質を選択的に結合する化合物を同定する方法もまた、含まれる
。この方法は、本明細書中に提供されるP−糖タンパク質を化合物と接触させる
工程、およびこの化合物のP−糖タンパク質への結合を決定する工程を包含する
。この方法は、このP−糖タンパク質のP−糖タンパク質トランスポーター活性
に対する化合物の効果を決定する工程、またはこのP−糖タンパク質のATPa
se活性に対する化合物の効果を決定する工程をさらに包含し得る。
【0016】
本発明に従って提供されるさらなる方法は、P−糖タンパク質のATPase
活性を決定する方法を含む。この方法は、上記に提供されるような宿主細胞また
はその膜画分を、試験薬物と接触させる工程、およびこのP−糖タンパク質のA
TPase活性を測定する工程を包含する。特定の実施形態において、このAT
Pase活性を測定する工程は、異なる時間に少なくとも2回実施される。P−
糖タンパク質による化合物の膜貫通輸送を決定する方法もまた、提供される。こ
の方法は、上記に提供される宿主細胞またはその膜画分を、試験薬物と接触させ
る工程、および頂端側(apical)から側底側(basolateral)
の方向および側底側から頂端側の方向からなる群より選択される少なくとも1つ
の輸送方向の傾斜(sink)条件下において、試験薬物の輸送を測定する工程
を包含する。特定の実施形態において、この試験薬物の輸送を測定する工程は、
異なる時間に少なくとも2回実施される。
【0017】
本発明のこれらおよび他の局面は、より詳細に以下に記載される。
【0018】
(配列の簡単な説明)
配列番号1は、イヌP−糖タンパク質をコードするヌクレオチド配列(遺伝子
型C)である。
【0019】
配列番号2は、配列番号1によってコードされるイヌP−糖タンパク質のアミ
ノ酸配列である。
【0020】
配列番号3は、先行分野のイヌP−糖タンパク質をコードするヌクレオチド配
列(GenBank登録番号AF045016)である。
【0021】
配列番号4は、配列番号3によってコードされるイヌP−糖タンパク質のアミ
ノ酸配列である。
【0022】
配列番号5は、別の先行分野のイヌP−糖タンパク質をコードするヌクレオチ
ド配列(GenBank登録番号AF092810)である。
【0023】
配列番号6は、配列番号5によってコードされるイヌP−糖タンパク質のアミ
ノ酸配列である。
【0024】
配列番号7は、Genbank登録番号M14758を有する、先行分野のヒ
トP−糖タンパク質のアミノ酸配列である。
【0025】
配列番号8は、Genbank登録番号AF016535またはNM_000
927を有する第2の先行分野のヒトP−糖タンパク質のアミノ酸配列である。
【0026】
配列番号9は、ヒトPGP1に対して相同性のPCRプライマーのヌクレオチ
ド配列である。
【0027】
配列番号10は、イヌPGP2に対して相同性のPCRプライマーのヌクレオ
チド配列である。
【0028】
配列番号11は、イヌPGP1に対して相同性のPCRプライマーのヌクレオ
チド配列である。
【0029】
配列番号12は、ヒトPGP1に対して相同性のPCRプライマーのヌクレオ
チド配列である。
【0030】
配列番号13は、イヌPGP1に対して相同性のPCRプライマーのヌクレオ
チド配列である。
【0031】
配列番号14は、ヒトPGP1に対して相同性のPCRプライマーのヌクレオ
チド配列である。
【0032】
配列番号15は、イヌPGP1に対して相同性のPCRプライマーのヌクレオ
チド配列である。
【0033】
配列番号16は、ヒトPGP1に対して相同性のPCRプライマーのヌクレオ
チド配列である。
【0034】
配列番号17は、イヌPGP1に対して相同性のPCRプライマーのヌクレオ
チド配列である。
【0035】
配列番号18は、ベクターに対して相同性のPCRプライマーのヌクレオチド
配列である。
【0036】
配列番号19は、イヌPGP1に対して相同性のPCRプライマーのヌクレオ
チド配列である。
【0037】
配列番号20は、ヒトPGP1に対して相同性のPCRプライマーのヌクレオ
チド配列である。
【0038】
配列番号21は、イヌPGP1に対して相同性のPCRプライマーのヌクレオ
チド配列である。
【0039】
配列番号22は、イヌP−糖タンパク質をコードするヌクレオチド配列(遺伝
子型A)である。
【0040】
配列番号23は、配列番号22によってコードされるイヌP−糖タンパク質の
アミノ酸配列である。
【0041】
配列番号24は、イヌP−糖タンパク質をコードするヌクレオチド配列(遺伝
子型B)である。
【0042】
配列番号25は、配列番号24によってコードされるイヌP−糖タンパク質の
アミノ酸配列である。
【0043】
配列番号26は、イヌP−糖タンパク質をコードするヌクレオチド配列(遺伝
子型D)である。
【0044】
配列番号27は、配列番号25によってコードされるイヌP−糖タンパク質の
アミノ酸配列である。
【0045】
配列番号28は、Marathon cDNA増幅キットからのcDNA合成
プライマーのヌクレオチド配列である。
【0046】
配列番号29は、Marathon cDNA増幅キットからのcDNAアダ
プタープライマー1のヌクレオチド配列である。
【0047】
配列番号30は、イヌPGP1に対して相同性のPCRプライマーのヌクレオ
チド配列である。
【0048】
配列番号31は、イヌPGP1に対して相同性のPCRプライマーのヌクレオ
チド配列である。
【0049】
配列番号32は、イヌPGP1に対して相同性のPCRプライマーのヌクレオ
チド配列である。
【0050】
(発明の詳細な説明)
本発明は、1つの局面において、イヌのP−糖タンパク質(本明細書中でイヌ
PGPという)をコードする新規のcDNAの同定を含む。イヌPGP(「遺伝
子型C」と称する)のヌクレオチド配列は、配列番号1として示され、そしてこ
のイヌPGPのアミノ酸配列は、配列番号2として示される。
【0051】
遺伝子型CのイヌPGPの3つの対立遺伝子改変体が単離された(「遺伝子型
A」「遺伝子型B」および「遺伝子型D」)。遺伝子型Aのヌクレオチド配列お
よびアミノ酸配列は、それぞれ配列番号20および21として示される。遺伝子
型Aのアミノ酸配列は、配列番号2のヌクレオチド607でのC→A変化に基づ
くアミノ酸197(ヒスチジン→グルタミン)において、遺伝子型Cのアミノ酸
配列と異なる。遺伝子型Bのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は、それぞれ
配列番号22および23として示される。遺伝子型Bのアミノ酸配列は、配列番
号2のヌクレオチド91でのT→A変化に基づくアミノ酸25(アスパラギン→
ロイシン)において、およびに配列番号2のヌクレオチド607でのT→A変化
に基づくアミノ酸197(ヒスチジン→グルタミン)において、遺伝子型Cのア
ミノ酸配列と異なる。遺伝子型Aのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は、そ
れぞれ配列番号20および21として示される。遺伝子型Dのヌクレオチド配列
およびアミノ酸配列は、それぞれ配列番号24および25として示される。遺伝
子型Dのアミノ酸配列は、配列番号2のヌクレオチド91でのC→A変化に基づ
くアミノ酸25(アスパラギン→リジン)において、配列番号2のヌクレオチド
607でのC→A変化に基づくアミノ酸197(ヒスチジン→グルタミン)にお
いて、配列番号2のヌクレオチド1001でのC→A変化に基づくアミノ酸32
9(セリン→スレオニン)において、配列番号2のヌクレオチド3458でのC
→A変化に基づくアミノ酸1148(メチオニン→バリン)において、遺伝子型
Cのアミノ酸配列と異なる。
【0052】
密接に関連した2つのヒトPGP配列は、GenBankにアクセッション番
号AF045016(完全cDNA)およびAF092810(部分cDNA)
として寄託された。本明細書中に示されるポリペプチドのほとんどが公知のイヌ
PGPに同一であるが、本発明のイヌPGP(配列番号2、配列番号21、配列
番号23および配列番号25)は、先行技術の配列とは異なり、少なくとも1つ
の欠失を含む。P−糖タンパク質の非常に高度に保存されたタンパク質ドメイン
におけるこれらの対立遺伝子の差異は、全く予想されない。
【0053】
本発明は、1つの局面において、イヌPGP核酸およびポリペプチド、ならび
にこれらに関する治療を含む。本発明はまた、前述の核酸およびポリペプチド;
前述の核酸の相補体;および前述の核酸およびポリペプチドに選択的に結合する
分子の、単離された機能的に等価な改変体、有用なアナログおよびフラグメント
を含む。
【0054】
本発明のイヌPGP核酸およびポリペプチドは単離される。本明細書中で核酸
に関して使用される場合、用語「単離された(される)」は:(i)例えば、ポ
リメラーゼ連鎖反応(PCR)によってインビトロで増幅された(される);(
ii)クローニングによって組換え的に産生された(される);(iii)切断
およびゲル分離によるように精製された(される);または(iv)例えば、化
学合成によって合成された(される)、ことを意味する。単離された核酸は、当
該分野において周知の組換えDNA技術によって容易に操作可能であるものであ
る。従って、5’制限部位および3’制限部位が公知であるベクターまたはポリ
メラーゼ連鎖反応(PCR)プライマー配列が開示されたベクターに含まれるヌ
クレオチド配列は、単離されたと認識されるが、その天然の宿主中にそのネイテ
ィブな状態で存在する核酸配列は、単離されたと認識されない。単離された核酸
は、実質的に精製され得るが、実質的に精製される必要はない。例えば、クロー
ニングベクターまたは発現ベクター内に単離された核酸は、その核酸の存在する
細胞中にその物質のほんの少しのパーセントを含み得るという点で純粋ではない
。しかし、この用語が本明細書中で使用される場合、このような核酸は、単離さ
れた(される)である。なぜなら、当業者に公知の標準技術によって容易に操作
可能であるからである。本明細書中で使用される場合、単離された核酸は、天然
に存在する染色体ではない。
【0055】
ポリペプチドに関して本明細書中で使用される場合、「単離された(される)
」は、そのネイティブの環境から分離され、そしてその同定または使用を可能に
するに十分な量で存在することを意味する。タンパク質またはポリペプチドに関
していわれる場合、単離された(される)は、例えば:(i)発現クローニング
によって選択的に産生された(される)、または(ii)クロマトグラフィーま
たは電気泳動によるように精製された(される)、ことを意味する。単離された
タンパク質またはポリペプチドは、実質的に純粋であり得るが、実質的に純粋で
ある必要はない。用語「実質的に純粋」は、タンパク質またはポリペプチドが、
その意図された使用に実用的および適切である範囲で、天然にかまたはインビボ
の系で見出され得る他の物質が本質的にないことを意味する。実質的に純粋なポ
リペプチドは、当該分野において周知の技術によって産生され得る。単離された
タンパク質は薬学的調製物中に薬学的に受容可能なキャリアと混合され得るので
、タンパク質は、調製物の少ない重量%のみを含み得る。にもかかわらず、タン
パク質は、生存系において関与し得る物質から分離された(すなわち、他のタン
パク質から単離された)という点で、単離された(される)である。
【0056】
本明細書中で使用される場合、イヌPGP核酸は、単離された核酸分子をいう
。これは、イヌPGPポリペプチドをコードする。このような核酸分子は、配列
番号2、配列番号23、配列番号25および配列番号27ならびにこれらのフラ
グメントのアミノ酸配列を含む、イヌPGPポリペプチドをコードする。核酸分
子は、配列番号1のヌクレオチド配列、ならびに、遺伝コードの縮重に起因する
コドン配列において配列番号1の配列とは異なるヌクレオチド配列を含む。本発
明のイヌPGP核酸はまた、前述の核酸(配列番号22、24、26)の対立遺
伝子(以前から公知のイヌPGP対立遺伝子(例えば、配列番号3および5)の
核酸配列を除く)、およびコードされたポリペプチドの対立遺伝子、ならびに前
述の核酸およびポリペプチドのフラグメントの対立遺伝子を含む。このようなフ
ラグメントは、例えば、ハイブリダイゼーションアッセイにおけるプローブとし
て、および、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)におけるプライマーとして、使用
され得る。好ましいイヌPGP核酸は、配列番号1、配列番号22、配列番号2
4、配列番号26およびこれらのフラグメントの核酸配列を含む。前述の核酸の
相補体はまた、本発明によって含まれる。
【0057】
本明細書中で使用される場合、「イヌPGP活性」は、細胞膜を横切って低分
子を運び出すPGPポリペプチドの能力をいう。イヌPGP活性を阻害する分子
(アンタゴニスト)は、PGPを介して低分子の運び出しを阻害するものであり
、そしてイヌPGP活性を増加する分子(アゴニスト)は、PGPを介して低分
子の運び出しを増加するものである。イヌPGP活性における変化は、細胞から
の蛍光化合物の流出を含む、本明細書中に記載されるようなアッセイによって測
定され得る。
【0058】
本発明のイヌPGP核酸の対立遺伝子は、慣用的な技術によって同定され得る
。例えば、イヌPGPの対立遺伝子は、cDNAライブラリーとストリンジェン
トな条件下で、配列番号1のフラグメントを少なくとも含むプローブをハイブリ
ダイズすること、および陽性クローンを選択することによって単離され得る。従
って、本発明の1つの局面は、イヌPGPポリペプチドをコードする核酸配列お
よびストリンジェントな条件下で配列番号1からなる核酸分子にハイブリダイズ
する(以前から公知のイヌPGP対立遺伝子(例えば、配列番号3および5)の
核酸配列を除く)核酸配列である。本明細書中で使用される場合、用語「ストリ
ンジェントな条件」は、当業者が精通するパラメーターをいう。核酸ハイブリダ
イゼーションパラメーターは、このような方法を編集する参考文献中(例えば、
Molecular Cloning:A Laboratory Manua
l,J.Sambrookら編、第2版、Cold Spring Harbo
r Laboratory Press,Cold Spring Harbo
r,New York,1989、または、Current Protocol
s in Molecular Biology,F.M.Ausubelら編
、John Wiley&Sons,Inc,New York)に見出され得
る。より特定には、本明細書中で使用される場合、ストリンジェントな条件は、
例えば、ハイブリダイゼーション緩衝液(3.5×SSC、0.02% Fic
oll、0.02% ポリビニルピロリドン、0.02% ウシ血清アルブミン
、2.5mM NaH2PO4(pH7)、0.5% SDS、2mM EDTA
)中で65℃でのハイブリダイゼーションをいう。SSCは、0.15M 塩化
ナトリウム/0.15M クエン酸ナトリウム(pH7)であり;SDSは、ド
デシル硫酸ナトリウムであり;およびEDTAは、エチレンジアミン3酢酸であ
る。ハイブリダイゼーション後、その上にDNAが転写される膜は、2×SSC
で室温にて洗浄され、次いで、室温〜68℃までの0.1〜0.5×SSC/0
.1×SDSで洗浄される。
【0059】
同程度のストリンジェンシーを生じる、使用され得る他の条件、試薬、などが
存在する。当業者は、このような条件に精通しており、従って、本明細書中で示
されない。しかし、当業者が、これらの条件を、本発明のイヌPGP核酸の対立
遺伝子の明瞭な同定を可能にする様式で操作し得ることは明白である。当業者は
また、このような分子の発現のための細胞およびライブラリーのスクリーニング
、次いで慣用的な単離、引き続く適切な核酸分子の単離および配列決定について
の方法論に精通している。
【0060】
イヌPGP核酸についてのスクリーニングにおいて、サザンブロットは、放射
活性なプローブとともに前述のストリンジェントな条件を使用して実施され得る
。DNAが最終的に転写された膜の洗浄後に、この膜は、放射活性なシグナルを
検出するためにX線フィルムに対して置かれ得る。
【0061】
本発明のイヌPGP核酸はまた、ネイティブな物質中に存在する核酸に対して
代替的なコドンを含む縮重核酸を含む。例えば、セリン残基は、コドンTCA、
AGT、TCC、TCG、TCTおよびAGCによってコードされる。これら6
つのコドンの各々は、セリン残基をコードする目的について等価である。従って
、セリンをコードするヌクレオチドトリプレット(triplet)のいずれも
が、伸長するイヌPGPポリペプチドにセリン残基を組み込むための、インビト
ロまたはインビボでタンパク質合成装置を指向するために使用され得ることが、
当業者に明白である。同様に、他のアミノ酸残基をコードするヌクレオチド配列
トリプレットとして、以下が挙げられるがこれらに限定されない:CCA、CC
C、CCGおよびCCT(プロリンコドン);CGA、CGC、CGG、CGT
、AGAおよびAGG(アルギニンコドン);ACA、ACC、ACGおよびA
CT(スレオニンコドン);AACおよびAAT(アルギニンコドン);ならび
にATA、ATCおよびATT(イソロイシンコドン)。他のアミノ酸残基は、
多様なヌクレオチド配列によって同様にコードされ得る。従って、本発明は、遺
伝コードの縮重に起因するコドン配列において、生物学的に単離された核酸とは
異なる縮重核酸を含む。
【0062】
本発明はまた、改変された核酸分子を提供する。これは、1つ以上のヌクレオ
チドの付加、置換および欠失を含む。好ましい実施形態において、これらの改変
された核酸分子および/またはこれら核酸分子がコードするポリペプチドは、改
変されなかった核酸分子および/またはポリペプチドの少なくとも1つの活性ま
たは機能(例えば、トランスポーター活性など)を保持する。特定の実施形態に
おいて、改変された核酸分子は、改変されたポリペプチド、好ましくは、本明細
書中の他の場所で記載されるような保存的アミノ酸置換を有するポリペプチドを
コードする。改変された核酸分子は、改変されない核酸分子に構造的に関し、好
ましい実施形態において、改変されない核酸分子に十分に構造的に関し、その結
果、改変された核酸分子および改変されない核酸分子は、当業者に公知のストリ
ンジェントな条件下でハイブリダイズする。
【0063】
例えば、単一のアミノ酸変化を有するポリペプチドをコードする改変された核
酸分子は、調製され得る。これらの核酸分子の各々は、本明細書中で記載される
ような遺伝コードの縮重に対応するヌクレオチド変化を除いて、1、2または3
ヌクレオチド置換を有し得る。同様に、2アミノ酸変化を有するポリペプチドを
コードする改変された核酸分子は、例えば2〜6ヌクレオチド変化を有して調製
され得る。これらのような多数改変された核酸分子は、当業者によって容易に想
像され、例えば、アミノ酸2および3、2および4、2および5、2および6な
どをコードするコドン中のヌクレオチド置換を含む。前述の例において、2アミ
ノ酸の各組合せは、改変された核酸分子ならびにアミノ酸置換をコードする全て
のヌクレオチド置換のセット中に含まれる。さらなる置換(すなわち、3以上)
、付加、または欠失(例えば、停止コドンもしくはスプライシング部位の導入に
よって)を有するポリペプチドをコードするさらなる核酸分子はまた、調製され
得、そして当業者によって容易に想像されるように本発明によって含まれる。前
述の核酸またはポリペプチドのいずれもが、本明細書中に開示される核酸および
/またはポリペプチドに対する構造的な関係または活性の保持について、慣用的
な実験によって試験され得る。
【0064】
本発明はまた、配列番号1の単離されたフラグメントを提供する。これらのフ
ラグメントは、このような核酸を同定するためのサザンブロット分析におけるプ
ローブとして使用され得るか、またはこれらを利用するPCRのような増幅アッ
セイにおいて使用され得る。より小さいフラグメントは、12、13、14、1
5、16、17、18、20、22、25、30、40、50または75および
これらの間の全ての整数のヌクレオチドを含むフラグメントであり、例えば、核
酸増幅手順についてのプライマーとして有用である。当業者に公知であるように
、200、250、300、400以上のヌクレオチドのような大きいプローブ
は、サザンブロットのような特定の使用に好ましいが、小さいフラグメントは、
PCRのような使用に好ましい。フラグメントはまた、抗体を作製するためかま
たはポリペプチドフラグメントの結合を決定するための融合タンパク質を産生す
るために使用され得る。同様に、フラグメントは、例えば、抗体の調製、免疫ア
ッセイなどにおいて有用な、イヌPGPポリペプチドの融合されないフラグメン
トを産生するために利用され得る。前述の核酸フラグメントはさらに、イヌPG
P核酸およびポリペプチドの発現を阻害するためのアンチセンス分子として、以
下により詳細に記載されるように、特に治療目的に使用され得る。
【0065】
本発明はまた、イヌPGPの機能的に等価な改変体を含む。これは、イヌPG
Pの1以上の機能的な特性を残す改変体核酸およびポリペプチドを含む。例えば
、改変体は、分子を輸送する能力を保持するイヌPGPの細胞外ドメインおよび
膜貫通ドメインを含む融合タンパク質を含む。なお他の機能的に等価な改変体は
、配列番号1の配列に対するアミノ酸の短縮、欠失、点変異または付加を含み(
例えば、本明細書中に示される対立遺伝子)、これらは、配列番号2の機能を保
持する。機能的に等価な改変体はまた、除去されたかまたは別のP−糖タンパク
質からの同様のドメインによって置換された、N末端の一部を有するイヌPGP
(例えば、「ドメイン交換(swapping)」改変体)を含む。他の機能的
に等価な改変体は、このような改変体を調製する方法と同様に、当業者に公知で
ある。機能的に等価な改変体の活性は、本明細書中および他の種のP−糖タンパ
ク質を使用するアッセイを記載した参考文献中に提供される方法を使用して決定
され得る。このような改変体は、イヌPGPの輸送機能を結合および/または調
節する化合物の同定についてのアッセイにおいて、薬物のバイオアベイラビリテ
ィを評価するために、そして輸送活性が要求されるイヌPGPの部分を決定する
ためにとりわけ有用である。
【0066】
非機能的である改変体はまた、上記されるように調製され得る。このような改
変体は、例えば、トランスポーター活性を試験する実験におけるネガティブコン
トロールとして有用である。
【0067】
1つの実施形態において、イヌPGP核酸は、真核生物細胞または原核生物細
胞内にイヌPGP核酸の発現を指向する遺伝子発現配列に作動可能に連結される
。「遺伝子発現配列」は、任意の調節核酸配列(例えば、プロモーター配列また
はプロモーター−エンハンサー組合わせ(これは、作動可能に連結されるイヌP
GP核酸の効果的な転写および翻訳を容易にする))である。遺伝子発現配列は
、例えば、哺乳動物またはウイルスのプロモーター(例えば、構成的プロモータ
ーまたは誘導性プロモーター)であり得る。構成的哺乳動物プロモーターとして
は、以下が挙げられるがこれらに限定されない:ヒポキサンチンホスホリボシル
トランスフェラーゼ(HPTR)、アデノシンデアミナーゼ、ピルビン酸キナー
ゼの遺伝子についてのプロモーター、β−アクチンプロモーターおよび他の構成
的プロモーター。真核生物細胞に構成的に機能するウイルスプロモーターの例示
としては、以下が挙げられる:例えば、シミアンウイルス、パピローマウイルス
、アデノウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ラウス肉腫ウイルス、サ
イトメガロウイルス、モロニーマウス白血病ウイルスおよび他のレトロウイルス
の長末端反復(LTR)由来のプロモーター、および単純ヘルペスウイルスのチ
ミジンキナーゼプロモーター。他の構成的プロモーターは、当業者に公知である
。本発明の遺伝子発現配列として有用なプロモーターはまた、誘導性プロモータ
ーを含む。誘導性プロモーターは、誘導剤の存在下で発現される。例えば、メタ
ロチオネインプロモーターは、特定の金属イオンの存在下で転写および翻訳を促
進するように誘導される。他の誘導性プロモーターは、当業者に公知である。
【0068】
一般には、遺伝子発現配列は、必要ならば、それぞれ転写の開始および翻訳の
開始に関与する、5’非転写配列および5’非翻訳配列(例えば、TATAボッ
クス、キャッピング配列、CAAT配列など)を含む。特に、このような5’非
転写配列は、作動可能に連結されたイヌPGP核酸の転写制御についてのプロモ
ーター配列を含むプロモーター領域を含む。遺伝子発現配列は、必要ならば、所
望されるようにエンハンサー配列または上流のアクチベーター配列を含む。
【0069】
イヌPGP核酸配列および遺伝子発現配列は、これらが共有結合されてこの遺
伝子発現配列の影響下または制御下でイヌPGPコード配列を転写および/また
は翻訳する方向に置かれる場合、「作動可能に連結される(された)」といわれ
る。イヌPGP配列が機能的タンパク質に翻訳されることが所望される場合、2
つのDNA配列は、5’遺伝子発現配列中のプロモーターの誘導がイヌPGP配
列の転写を生じる場合、および2つのDNA配列の間の連結の特性が以下ではな
い場合、作動可能に連結されるといわれる:(1)フレームシフト変異の導入を
生じる、(2)イヌPGP配列の転写を指向するプロモーター領域の能力を緩衝
する、または(3)対応するRNA転写物がタンパク質中に翻訳される能力を緩
衝する。従って、遺伝子発現配列がイヌPGP核酸配列の転写を影響し得その結
果生じる転写物が所望のタンパク質またはポリペプチドに翻訳され得る場合、遺
伝子発現配列は、イヌPGP核酸配列に作動可能に連結される。
【0070】
本発明のイヌPGP核酸分子およびイヌPGPポリペプチド(以下に記載され
るイヌPGPインヒビターを含む)は、真核生物細胞または原核生物細胞に単独
でかまたはベクターと組合わせて送達され得る。その最も広い意味において、「
ベクター」は、以下を容易にし得る任意のビヒクルである:(1)標的細胞への
イヌPGP核酸またはポリペプチドの送達、(2)標的細胞によるイヌPGP核
酸またはポリペプチドの取り込み、または(3)標的細胞でのイヌPGP核酸分
子またはポリペプチドの発現。好ましくは、減少した分解を伴う、イヌPGP核
酸もしくはポリペプチドの標的細胞へのベクター輸送は、ベクターの非存在を生
じる分解の範囲に関する。必要ならば、「標的リガンド」は、ベクターに付着し
て、その標的リガンドに対する同属のレセプター(例えば、抗体によって認識さ
れるレセプター、抗原)をその表面上に発現する細胞に選択的にベクターを送達
し得る。この様式において、ベクター(イヌPGP核酸またはイヌPGPポリペ
プチドを含む)は、特定の細胞に選択的に送達され得る。一般には、本発明にお
いて有用なベクターは、2つのクラスに分けられる:生物学的ベクターおよび化
学的/物理的ベクター。生物学的ベクターは、標的細胞へのイヌPGP核酸の送
達、標的細胞によるイヌPGP核酸の取り込みについてより有用である。化学的
/物理的ベクターは、標的細胞へのイヌPGP核酸またはイヌPGPタンパク質
の送達、標的細胞によるイヌPGP核酸またはイヌPGPタンパク質の取り込み
についてより有用である。
【0071】
生物学的ベクターとしては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:プラ
スミド、ファージミド、ウイルス、本発明の核酸配列の挿入または組み込みによ
って操作されたウイルスまたは細菌の供給源由来の他のビヒクル、および本発明
の核酸配列に連結され得る遊離核酸フラグメント。ウイルスベクターは、生物学
的ベクターの好ましい型であり、以下のウイルス由来の核酸配列を含むがこれら
に限定されない:モロニーマウス白血病ウイルスのようなレトロウイルス;Ha
rveyマウス肉腫ウイルス;マウス哺乳動物腫瘍ウイルス;ラウス肉腫ウイル
ス;アデノウイルス;アデノ随伴ウイルス;SV40型ウイルス;ポリオーマウ
イルス;ポックスウイルス;レトロウイルス;エプスタイン−バーウイルス;パ
ピローマウイルス;ヘルペスウイルス;ワクシニアウイルス;およびポリオウイ
ルス。当該分野において名前はないが公知である他のベクターは、容易に利用さ
れ得る。
【0072】
好ましいウイルスベクターは、必須ではない遺伝子が目的の遺伝子と置換され
ている、非細胞傷害性真核生物ウイルスベースである。非細胞傷害性ウイルスは
、レトロウイルスを含み、このウイルスの生活環は、引き続くプロウイルスの宿
主細胞のDNAへの組み込みを有する、ゲノムウイルスRNAのDNAへの逆転
写を含む。一般には、レトロウイルスは、複製欠損(すなわち、所望のタンパク
質の合成を指向し得るが、感染性粒子を製造し得ない)である。このような遺伝
的に変化されたレトロウイルス発現ベクターは、インビボで高効率の遺伝子導入
について一般的な有用性を有する。複製欠損レトロウイルスを産生するための標
準的プロトコール(プラスミドへの外因性遺伝物質の組み込み工程、プラスミド
でのパッケージング細胞株のトランスフェクション工程、パッケージング細胞株
による組換えレトロウイルスの産生工程、組織培養培地からのウイルス粒子の回
収工程、およびウイルス粒子での標的細胞の感染工程を包含する)は、Krie
gler,M.,「Gene Transfer and Expressio
n, A Laboratory Manual」W.H.Freeman C
.O.,New York(1990)およびMurry,E.J.編、「Me
thods in Molecular Biology」第7巻、Human
a Press,Inc.,Clifton,New Jersey(1991
)に提供される。
【0073】
特定の適用についての別の好ましいウイルスは、二本鎖DNAウイルスである
アデノ随伴ウイルスである。アデノ随伴ウイルスは、複製欠損であるように操作
され得、そして広範な範囲の細胞型および種を感染し得る。これは、利点(例え
ば、熱安定性および脂質溶媒安定性;多様な系統の細胞における高頻度の形質転
換;および複数の一連の形質転換を可能にする重複感染阻害の欠失)をさらに有
する。すでに報告されるように、アデノ随伴ウイルスは、部位特異的様式でヒト
細胞性DNA中に組み込まれ得、これにより、挿入性変異の可能性および挿入さ
れた遺伝子の発現の可変性を最小化し得る。さらに、野生型アデノ随伴ウイルス
感染は、選択的圧力の非存在下で100パッセージを超える組織培養を継代した
。このことは、アデノ随伴ウイルスのゲノム組み込みは、比較的安定な事象であ
ることを意味する。アデノ随伴ウイルスはまた、染色体外様式で機能し得る。
【0074】
発現について必要な要素を全て含む発現ベクターは、市販されており、そして
当業者に公知である。例えば、Sambrookら、Molecular Cl
oning:A Laboratory Manual,第2版、Cold S
pring Harbor Laboratory Press,1989を参
照のこと。細胞は、イヌPGPポリペプチドまたはそのフラグメントもしくは改
変体をコードする異種DNA(RNA)の細胞への形質導入によって遺伝的に操
作される。この異種DNA(RNA)は、転写要素の作動可能な制御下に置かれ
、宿主細胞での異種DNAの発現を可能にする。
【0075】
哺乳動物細胞におけるmRNA発現についての好ましい系は、pRc/CMV
(Invitrogen,Carsbad,CAから入手可能)のような系であ
る。pRc/CMVは、G418耐性を与える遺伝子のような選択マーカー(安
定にトランスフェクトされた細胞株の選択を容易にする)およびヒトサイトメガ
ロウイルス(CMV)エンハンサー−プロモーター配列を含む。さらに、pCE
P4ベクターは(Invitrogen)は、霊長類細胞株またはイヌ細胞株に
おける発現について適切である。これは、多コピーの染色体外要素としてプラス
ミドの維持を容易にする、エプスタインバーウイルス(EBV)複製起点を含む
。別の発現ベクターは、インビトロでの効率的な転写を刺激するポリペプチド延
長因子1αのプロモーターを含むpEF−BOSプラスミドである。このプラス
ミドは、MishizumaおよびNagata(Nuc.Acids Res
.18:5322,1990)によって記載され、トランスフェクション実験に
おけるその使用は、例えば、Demoulin(Mol.Cell.Biol.
16:4710−4716,1996)によって開示される。なお別の好ましい
発現ベクターは、Stratford−Perricaudetによって記載さ
れるアデノウイルスであり、E1タンパク質およびE3タンパク質を欠損する(
J.Clin.Invest.90:626−630,1992)。
【0076】
生物学的ベクターに加えて、化学的/物理的ベクターは、イヌPGP核酸また
はポリペプチドを標的細胞に送達してそれにより取り込みを容易にするために使
用され得る。本明細書中で使用される場合、「化学的/物理的ベクター」は、単
離されたイヌPGP核酸またはポリペプチドを細胞に送達し得る、細菌性供給源
またはウイルス性供給源由来の分子以外の天然の分子または合成分子をいう。
【0077】
本発明の好ましい化学的/物理的ベクターは、膠様分散系である。膠様分散系
は、水中油乳濁液、ミセル、混合ミセル、およびリポソームを含む脂質ベースの
系を含む。本発明の好ましい膠様系は、リポソームである。リポソームは、イン
ビボまたはインビトロでの送達ベクターとして有用である人工膜ビヒクルである
。これは、サイズが0.2〜4.0μの範囲である巨大な多層状のビヒクル(L
UV)が巨大分子をカプセル化し得ることを示した。RNA、DNAおよびイン
タクトなビリオンは、水性の内部にカプセル化され得、そして生物学的に活性な
形態で細胞中に送達され得る(Fraleyら、Trends Biochem
.Sci.,第6巻第77頁(1981))。リポソームが効果的な核酸輸送ベ
クターであるためには、1以上の以下の特性が存在すべきである:(1)生物学
的活性の保持を有する、目的の核酸の高効率でのカプセル化;(2)非標的細胞
に比べて、標的細胞に対する優先的および実質的な結合;(3)ビヒクルの水性
内容物の標的細胞細胞質への高効率での送達;ならびに(4)遺伝情報の正確か
つ効果的な発現。
【0078】
リポソームは、特異的なリガンド(例えば、モノクローナル抗体、糖、糖脂質
、またはタンパク質)へのリポソームの連結によって特定の組織に標的化され得
る。特定の細胞へリポソームを標的化するために有用であり得るリガンドは、特
定の細胞型または組織型に依存する。さらに、ベクターが核酸をカプセル化する
場合、ベクターは、イヌPGP核酸を宿主細胞の核へ指向する核標的化ペプチド
と連結され得る。
【0079】
リポソームは、例えば、LIPOFECTINTMおよびLIPOFECTAC
TMとしてGibco BRLから市販される。これらは、N−[1−(2,3
ジオレイルオキシ)−プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロ
リド(DOTMA)およびジメチルジオクタデシルアンモニウムブロマイド(D
DAB)のようなカチオン性脂質で形成される。リポソームを作製するための方
法は、当該分野において公知であり、そして多くの刊行物に記載されている。
【0080】
標的細胞によるイヌPGP核酸の取り込みを容易にするために使用され得る他
の例示的組成物としては、リン酸カルシウムおよび細胞内輸送の他の化学的メデ
ィエーター、マイクロインジェクション組成物、エレクトロポレーションならび
に(例えば、イヌPGP核酸を標的細胞染色体内の予め選択された位置に組み込
むための)相同組換え組成物が挙げられる。
【0081】
本発明はまた、いわゆる発現キットを包含し、これは、技術者が所望の発現ベ
クターを調製することを可能にする。このような発現キットは、以前議論された
コード配列の少なくとも別個の部分を含む。必要とされる、以前に述べられた配
列が含まれる限り、所望の場合、他の成分が添加され得る。
【0082】
本発明は、発現ベクターにおけるイヌのPGP cDNA配列の使用、ならび
に宿主細胞および細胞株(これらは、原核生物(例えば、E.coli)、また
は真核生物(例えば、COS細胞、酵母発現系および、昆虫細胞における組換え
バキュロウイルス発現)である)をトランスフェクトすることを包含することも
認識され得る。哺乳動物細胞(例えば、ヒト、ブタ、ヤギ、霊長類など)が、特
に有用である。それらは、広範な種々な組織型であり得、そして始原細胞および
細胞株を含む。特定の例としては、腸細胞および肝細胞が挙げられる。この発現
ベクターは、適切な配列(すなわち、前記されるそれらの核酸)が、プロモータ
ーに作動可能に連結されることを必要とする。
【0083】
本発明はまた、配列番号2のアミノ酸配列およびそれらのフラグメントを含む
、単離されたイヌのPGPポリペプチド(これは、上記イヌのPGP核酸により
コードされる)を提供する。イヌのPGPポリペプチドはまた、対立遺伝子(例
えば、配列番号23、25、および27(配列番号3および5でないものを除く
)、機能的に等価な改変体およびアナログ(1、2、3、4、5、またはそれ以
上のアミノ酸により、開示されたイヌのPGPポリペプチド由来のアミノ酸配列
において変化するそれらの非対立遺伝子ポリペプチド)を包含し、但し、このよ
うなポリペプチドは、イヌのPGP活性を保持する。非機能的改変体もまた、本
発明により包含され;これらは、輸送体機能のアンタゴニストとして、アッセイ
におけるネガティブコントロールとしてなどに有用である。このような対立遺伝
子、改変体、アナログおよびフラグメントは、アッセイの成分として含む種々の
目的のための、例えば、単独または融合タンパク質として有用である。
【0084】
ポリペプチドのフラグメントは、好ましくは、イヌのPGPポリペプチドの異
なる機能的能力、特に種々の分子の輸送体として保持するそれらのフラグメント
である。イヌのPGPポリペプチドのフラグメントにおいて保持され得る他の機
能的能力としては、抗体との相互作用および他のポリペプチドとの相互作用(例
えば、タンパク質複合体において見出される)が挙げられる。当業者は、イヌの
PGPの機能的能力を保持するフラグメントを選択するための方法において十分
に精通する。このフラグメントの機能的能力の確認は、標準的な方法に従って、
フラグメントの合成および能力を試験することにより行われ得る。例えば、イヌ
のPGPフラグメントの輸送体活性を試験するために、分子輸送体が、測定され
得る細胞において、フラグメントを挿入または発現する。当該分野において標準
的であるこのような方法が、本明細書中にさらに記載される。
【0085】
本発明は、上記のイヌのPGPポリペプチドの改変体を包含する。本明細書中
に記載されるように、イヌのPGPポリペプチドの「改変体」は、イヌのPGP
ポリペプチドの主なアミノ酸配列に対する1つ以上の改変を含むポリペプチドで
ある。イヌのPGP改変体を作製する改変は、種々の理由のためにイヌのPGP
ポリペプチドに対して作製され得、これは以下を含む:1)イヌのPGPポリペ
プチドの活性(例えば、輸送)を低減するかまたは除去すること;2)イヌのP
GPポリペプチドの特性(例えば、発現系におけるタンパク質安定性またはタン
パク質−タンパク質結合の安定性)を増強すること;3)イヌのPGPポリペプ
チドに対する新規の活性または特性(例えば、抗原エピトープの添加または検出
可能部分の添加)を提供すること;または4)アミノ酸置換が分子輸送体活性に
影響するかまたはしないことを確立すること、を含む。イヌのPGPポリペプチ
ドに対する改変は、イヌのPGPポリペプチドをコードする核酸に対して代表的
に作製され、そしてアミノ酸部分または非アミノ酸部分の欠失、点変異、短縮、
アミノ酸置換および付加が挙げられ得る。あるいは、改変は、例えば、切断、リ
ンカー分子の付加、検出可能部分の付加(例えば、ビオチン)、脂肪酸の付加な
どにより、ポリペプチドに直接作製され得る。改変はまた、イヌのPGPアミノ
酸配列の全てまたは1部を含む融合タンパク質を含む。当業者は、タンパク質配
列における変化のタンパク質構造に関する効果を予測するための方法に精通し、
従って、公知の方法に従って、改変体イヌのPGPを「設計」し得る。このよう
な方法の1つの例は、DahiyatおよびMayo、Science 278
:82−87,1997に記載され、これにより、タンパク質は、新規に設計さ
れ得る。方法は、ポリペプチド配列の1つの部分のみを変更するために公知のタ
ンパク質に適用され得る。DahiyatおよびMayoの計算方法を適用する
ことにより、イヌのPGPポリペプチドの特異的な改変体が提案され、そして改
変体が所望の構造を保持するか否かを決定することが試験される。
【0086】
改変体としては、その生理学的活性に関連しないポリペプチドの特徴を変更す
るために特に改変されるイヌのPGPポリペプチドが挙げられる。例えば、シス
テイン残基は、所望しないジスルフィド結合を防ぐために置換され得るかまたは
欠失され得る。同様に、特定のアミノ酸は、発現系におけるプロテアーゼによる
タンパク質分解を除去することにより、イヌのPGPポリペプチドの発現を増強
するために変化され得る(例えば、KEX2プロテアーゼ活性が存在する酵母発
現系における二塩基性アミノ酸残基)。
【0087】
イヌのPGPポリペプチドをコードする核酸の変異は、コード配列のアミノ酸
リーディングフレームを好ましくは保存し、そして2次構造(例えば、ヘアピン
またはループ)を形成するためにハイブリダイズしそうな核酸における領域(こ
れは、改変体ポリペプチドの発現に対して有害であり得る)を好ましくは作製し
ない。
【0088】
変異は、アミノ酸置換を選択することによるか、またはこのポリペプチドをコ
ードする核酸において選択される部位の無作為な変異誘発により作製され得る。
次いで、改変体ポリペプチドは、どの変異体が所望の特性を有する改変体ポリペ
プチドを提供するかを決定するために発現され、そして1つ以上の活性について
試験される。さらなる変異体が、ポリペプチドのアミノ酸配列に関してサイレン
トであるが、特定の宿主における翻訳のために好ましいコドンを提供する改変体
に対して(または、非改変体イヌのPGPポリペプチド)に対して作製され得る
。例えば、E.coliにおける核酸の翻訳のために好ましいコドンが、当業者
に周知である。なお他の変異が、このポリペプチドの発現を増強するためにイヌ
のPGP遺伝子またはcDNAクローンの非コード配列に対して作製され得る。
【0089】
イヌのPGPポリペプチドの改変体の活性は、改変体イヌのPGPポリペプチ
ドをコードする遺伝子を、細菌または哺乳動物発現ベクターへクローニングし、
適切な宿主細胞中にこのベクターを導入し、改変体イヌのPGPポリペプチドを
発現し、そして本明細書中に開示されるようなイヌのPGPポリペプチドの機能
的能力について試験することにより、試験され得る。例えば、改変体イヌのPG
Pポリペプチドは、以下の例に示されるように、分子輸送体(例えば、流出)を
提供する能力について試験され得る。他の改変体ポリペプチドの調製は、他の活
性の試験に好まれ得、これは当業者に公知である。
【0090】
当業者はまた、保存的アミノ酸置換が、イヌのPGPポリペプチドにおいて、
前述のポリペプチドの機能的に等価な改変体(すなわち、イヌのPGPポリペプ
チドの機能的能力を保持する改変体)を提供するために作製され得ることを認識
する。本明細書中で使用される場合、「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸置
換が作製されるポリペプチドに特徴的な、相対的な電荷または相対的なサイズを
変更しないアミノ酸置換をいう。改変体は、このような方法を集めた参考文献(
例えば、Molecular Cloning:A Laboartory M
anual,J.Sambrookら、編、第2版、Cold Spring
Harbor Laboratory Press,Cold Spring
Harbor,New York,1989、またはCurrent Prot
ocols in Molecular Biology,F.M.Ausub
elら、編、John Wiley & Sons,Inc.,New Yor
k)において見出されるような、当業者に公知のポリペプチド配列を変更するた
めの方法に従って、調製され得る。イヌのPGPポリペプチドの例示的な機能的
に等価な改変体としては、配列番号2または配列番号4の保存的アミノ酸置換が
挙げられる。アミノ酸の保存的置換は、以下の群内のアミノ酸の中で作製される
置換を含む:(a)M、I、L、V;(b)F、Y、W;(c)K、R、H;(
d)A、G;(e)S、T;(f)Q、N;および(g)E、D。
【0091】
イヌのPGPの機能的に等価な改変体を産生するためのイヌのPGPポリペプ
チドのアミノ酸配列における保存的アミノ酸置換は、代表的に、イヌのPGPポ
リペプチドをコードする核酸配列(例えば、配列番号1)の変更により作製され
る。このような置換は、当業者に公知の種々の方法により作製され得る。例えば
、アミノ酸置換は、Kunkelの方法(Kunkel、Proc.Nat.A
cad.Sci.U.S.A.82:488−492、1985)に従って、P
CR指向性変異、部位指向性変異誘発により、またはイヌのPGPポリペプチド
をコードする遺伝子の化学合成により作製され得る。イヌのPGPポリペプチド
の機能的に等価なフラグメントの活性が、化合物の膜貫通輸送を媒介するために
、変更されたイヌのPGPポリペプチドをコードする遺伝子を、細菌性発現ベク
ターまたは哺乳動物発現ベクター中にクローニングし、このベクターを適切な宿
主細胞中に導入し、この変更されたイヌのPGPポリペプチドを発現し、そして
イヌのPGPポリペプチドの能力を試験することにより、試験され得る。化学的
に合成されるペプチドが、機能について直接試験され得る。
【0092】
当業者に周知の種々の方法論が、単離されたイヌのPGP分子を得るために利
用され得る。ポリペプチドは、クロマトグラフィー手段または免疫学的認識によ
り、このポリペプチドを天然に産生する細胞から精製され得る。あるいは、発現
ベクターは、このポリペプチドの産生を引き起こすために細胞に導入され得る。
別の手段において、mRNA転写物が、コードされたポリペプチドの産生を引き
起こすために、細胞に微小注入されてもよいし、またはその他の手段で細胞導入
されてもよい。無細胞系抽出物(例えば、網状赤血球溶解産物系)におけるmR
NAの翻訳もまた、ポリペプチドを産生するために使用され得る。当業者はまた
、イヌのPGPポリペプチドを単離するための公知の手段に容易に従い得る。こ
れらとしては、免疫クロマトグラフィー、HPLC、サイズ排除クロマトグフィ
ー、イオン交換クロマトグラフィーおよび免疫親和性クロマトグラフィーが挙げ
られるがこれらに限定されない。
【0093】
本明細書中に記載されるような発明は、多数の使用を有し、そのいくつかは、
その他で本明細書中に記載される。例えば、本発明は、例えば、標準的なプロト
コールを使用して単離され得る多量のポリペプチドを産生するための組換え核酸
の発現により、イヌのPGPポリペプチド分子の単離を可能にする。別の例とし
て、イヌのPGP遺伝子の単離は、イヌのPGPが、分子輸送のアッセイのため
の方法(例えば、薬物のバイオアベイラビリティ研究)において使用されること
を可能にする。これらの方法は、この薬物のバイオアベイラビリティを決定また
は予測するための方法として、最初の種のPGP(例えば、イヌ)による薬物の
輸送を、他の種のPGP(例えば、ヒト)による薬物の輸送に対する比較におい
て、決定することを含む。従って、薬物の代謝における動物研究全体の結果が、
薬物のP糖タンパク質輸送の、相対的速度または量の点で評価され得る。例えば
、イヌに投与される薬物が、優れた経口バイオアベイラビリティおよびイヌPG
Pによる低い輸送を有する場合、ヒトPGPによる輸送もまた低い場合に、ヒト
における薬物の経口バイオアベイラビリティは優れていることが予測され得る。
逆に、ヒトPGPによる薬物の輸送が高い場合、次いで、薬物のバイオアベイラ
ビリティは、低いことが予測される。
【0094】
本発明はまた、イヌのPGP核酸分子またはペプチドに選択的に結合する因子
ならびに本明細書中に記載されるようなポリペプチドおよび核酸の改変体および
フラグメントに結合する因子を包含する。この因子は、イヌのPGP、およびア
ンチセンス核酸に結合するポリペプチドを含み、この両方が、以下により詳細に
記載される。この因子は、イヌのPGP活性を阻害または増大し得る(それぞれ
、アンタゴニストおよびアゴニスト)。
【0095】
この因子のいくつかは、インヒビターである。イヌのPGPインヒビターは、
細胞膜を横切る分子のイヌのPGP媒介輸送を阻害する因子である。流出アッセ
イは、イヌのPGPインヒビターが、イヌのPGP活性を阻害する能力を有する
か否か、およびこの阻害が選択的であるか否かを、スクリーニングおよび/また
は決定するために実施され得る。流出の例示的アッセイは、実施例において、以
下に記載される。
【0096】
1つ実施形態において、イヌのPGPインヒビターは、細胞におけるイヌのP
GP(または他の種のPGP)の発現を減少するために、イヌのPGP核酸分子
に選択的に結合するアンチセンスオリゴヌクレオチドである。これは、実質的に
任意の医学的条件において所望され、ここで、PGP輸送活性の減少は、例えば
、細胞における細胞傷害性因子の維持を増加するために所望される。
【0097】
本明細書中に使用される場合、用語「アンチセンスオリゴヌクレオチド」また
は「アンチセンス」は、生理学的条件下で、特定の遺伝子を含むDNAまたはそ
の遺伝子のmRNA転写物にハイブリダイズし、そしてそれにより、その遺伝子
の転写および/またはそのmRNAの翻訳を阻害する、オリゴヌクレオチド、オ
リゴデオキシリボヌクレオチド、改変されたオリゴヌクレオチド、または改変さ
れたオリゴデオキシリボヌクレオチドであるオリゴヌクレオチドを記載する。こ
のアンチセンス分子が設計され、その結果、標的遺伝子または転写物とのハイブ
リダイゼーションに関して、標的遺伝子の転写または翻訳を仲介する。当業者は
、そのアンチセンスオリゴヌクレオチドの正確な長さおよびその標的との相補性
のその程度は、選択された特定の標的に依存し、これは、この標的の配列および
その配列を含む特定の塩基を含むことを認識する。アンチセンスオリゴヌクレオ
チドが、構築されかつ配置され、その結果、生理学的条件下で、標的と選択的に
結合する(すなわち、生理学的条件下で、標的細胞における任意の他の配列に対
してより多く、標的配列に実質的にハイブリダイズすることが好ましい。配列番
号1、または対立遺伝子(配列番号3および5を除く)もしくはホモログゲノム
配列および/もしくはcDNA配列に基づいて、当業者は、本発明に従って、使
用のために多数の適切なアンチセンス分子のいずれかを容易に選択し、かつ合成
し得る。阻害に関して、十分選択的であり、かつ強力であるために、このような
アンチセンスオリゴヌクレオチドが、この標的に相補的である、少なくとも10
、およびより好ましくは、少なくとも15の保存的塩基を含むべきであるが、特
定の場合、7塩基長と同じくらい短い改変されたオリゴヌクレオチドが、アンチ
センスオリゴヌクレオチドとして首尾よく使用された(Wagnerら、Nat
ure Biotechnol.14:840−844、1996)。最も好ま
しくは、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、20〜30塩基の相補的な配列を
含む。その遺伝子またはmRNA転写物の任意の領域に対するアンチセンスであ
るオリゴヌクレオチドが選択され得るが、好ましい実施形態において、このアン
チセンスオリゴヌクレオチドは、N末端部位または5’上流部位(例えば、翻訳
開始部位、転写開始部位、またはプロモーター部位)に対応する。さらに、3’
非翻訳領域が、標的化され得る。mRNAスプライシング部位に対する標的化も
また、当該分野において使用されていたが、代替のmRNAスプライシングが生
じる場合、あまり好まれ得ない。さらに、このアンチセンスは、好ましくは、m
RNA2次構造が期待されない部位(例えば、Sainioら、Cell Mo
l.Neurobiol.14(5):439−457、1994を参照のこと
)およびポリペプチドが結合することが期待されない部位に、好ましくは、標的
化される。従って、本発明はまた、配列番号1を含むイヌのPGP核酸に対応す
る対立遺伝子(配列番号3および5を除く)または相同なcDNAおよびゲノム
DNAに相補的であるアンチセンスオリゴヌクレオチドもまた提供する。
【0098】
実施形態の1つの組において、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、
「天然の」デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、またはその任意の組
み合わせからなり得る。つまり、あるネイティブなヌクレオチドの5’末端およ
び別のネイティブなヌクレオチドの3’末端が、ホスホジエステルヌクレオシド
内連結を介して、天然の系として共有結合され得る。これらのオリゴヌクレオチ
ドは、手動または自動合成により実施され得る、当該分野で認識される方法によ
り、調製され得る。それらはまた、ベクターにより、組換え的に産生され得る。
【0099】
しかし、好ましい実施形態において、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチ
ドはまた、「改変された」オリゴヌクレオチドを含み得る。つまり、このオリゴ
ヌクレオチドは、これらが、これらの標的にハイブリダイズすることを妨げない
が、それらの安定性または標的化を増強するか、またはその他に、それらの治療
的有効性を増強する多数の方法で改変され得る。
【0100】
本明細書中で使用される場合、用語「改変されたオリゴヌクレオチド」は、(
1)そのヌクレオチドの少なくとも2つが、合成ヌクレオシド内連結(すなわち
、1つのヌクレオチドの5’末端と別のヌクレオチドの3’末端との間のホスホ
ジエステル連結以外の連結)を介して共有結合され、そして/または(2)核酸
と通常会合しない化学基が、このオリゴヌクレオチドに共有結合されたオリゴヌ
クレオチドを記載する。好ましい合成ヌクレオシド内連結は、ホスホロチオエー
ト、アルキルホスホネート、ホスホロジチオエート、ホスフェートエステル、ア
ルキルホスホロチオエート(alkylphosphonothioate)、
ホスホラミデート、カルバメート、カルボネート、ホスフェートトリエステル、
アセトアミデート、カルボキシメチルエステルおよびペプチドである。
【0101】
用語「改変されたオリゴヌクレオチド」はまた、共有結合的に、改変された塩
基および/または糖を有するオリゴヌクレオチドを含む。例えば、改変されたオ
リゴヌクレオチドは、3’位置のヒドロキシル基以外および5’位置のリン酸基
以外の低分子量有機基に共有結合される骨格糖を有するオリゴヌクレオチドを含
む。従って、改変されたオリゴヌクレオチドが、2’−O−アルキル化リボース
基を含み得る。さらに、改変されたオリゴヌクレオチドは、リボースの代わりに
、アラビノースのような糖を含み得る。従って、本発明は、生理学的条件下で、
薬学的に受容可能なキャリアと一緒に、イヌのPGPポリペプチドをコードする
核酸と相補的であり、そしてそれとハイブリダイズする改変されたアンチセンス
分子を含む薬学的調製物を、企図する。
【0102】
イヌのPGPを結合する因子はまた、結合ペプチド、ならびにイヌのPGPポ
リペプチドおよびイヌのPGPポリペプチドを含む複合体に結合する他の分子を
含む。この結合分子がインヒビターである場合、この分子は、イヌのPGPに結
合し、その活性を阻害する。イヌのPGP結合因子が、イヌのPGPに結合する
か否かを決定するために、任意の公知の結合アッセイが使用され得る。例えば、
この結合因子は、表面に固定され得、次いで標識されたイヌのPGPポリペプチ
ドと接触され得る。次いで、イヌのPGP結合因子と相互作用するイヌのPGP
の量またはイヌのPGP結合因子に結合しない量は、イヌのPGP結合因子が、
イヌのPGPに結合するか否かを決定するために定量され得る。
【0103】
イヌのPGP結合因子は、イヌのPGPポリペプチドに選択的または優先的に
結合する多数のサイズおよび型の分子、ならびにイヌのPGPポリペプチドおよ
びそれらの結合パートナーの両方の複合体を含む。これらの分子は、種々の供給
源に由来し得る。例えば、イヌのPGP結合因子は、固定された形態において、
またはファージディスプレイライブラリーとして、溶液中で容易に調製され得る
変性ペプチドライブラリーをスクリーニングすることにより提供され得る。1つ
以上のアミノ酸を含むペプチドのコンビナトリアルライブラリーもまた、合成さ
れ得る。ペプチド合成部分および非ペプチド合成部分のライブラリーが、さらに
合成され得る。
【0104】
ファージディスプレイが、本発明にしたがった有用な結合ペプチドを同定する
ことにおいて特に有効であり得る。簡潔には、ファージライブラリー(例えば、
m13、fd、またはλファージを使用する)を調製し、従来の方法を使用して
、4〜約80個のアミノ酸残基由来の挿入物をディスプレイする。この挿入物は
、例えば、完全に変性したか、または偏ったアレイを示し得る。次いで、イヌの
PGPポリペプチドに結合するファージ保有挿入物を選択し得る。このプロセス
は、イヌのPGPポリペプチドに結合するファージの再選択のいくつかのサイク
ルを介して繰り返され得る。繰り返されるラウンドは、特定の配列を保有してい
るファージの富化に導く。DNA配列分析は、発現されたポリペプチドの配列を
同定するために行われ得る。イヌのPGPポリペプチドに結合する配列の最小の
線形部分が、決定され得る。1つ以上のさらなる変性残基をその上流または下流
に加えた最小の線形部分の一部または全てを含む挿入物を含む偏ったライブラリ
ーを使用して、この手順を繰り返し得る。酵母ツーハイブリッドスクリーニング
法はまた、イヌのPGPポリペプチドに結合するポリペプチドを同定するために
使用され得る。従って、本発明のイヌのPGPポリペプチドまたはそのフラグメ
ントが、ペプチドライブラリー(ファージディスプレイライブラリーを含む)を
スクリーニングするために、本発明のイヌのPGPポリペプチドのペプチド結合
パートナーを同定かつ選択するために、使用され得る。このような分子は、記載
されるように、スクリーニングアッセイのために、精製プロトコールのために、
イヌのPGPの機能と直接干渉するために、および当業者に明らかである他の目
的のために使用され得る。
【0105】
従って、本発明は、一般的に、薬理学的因子または異常なPGP活性と関連す
る状態の処置に有用である因子についてのリード化合物ならびにそこで同定され
る化合物および因子を同定する有効な方法を提供する。一般的に、スクリーニン
グ方法は、イヌのPGPを介した分子の輸送を阻害または増強する化合物につい
てのアッセイを包含する。このような方法は、化合物の、自動化されたハイスル
ープットスクリーニングに適合される。このような方法の例は、米国特許第5,
429,921号において記載される。
【0106】
薬理学的因子についての種々のアッセイが、提供され、これには、標識された
インビトロタンパク質結合アッセイ、検出可能な分子を使用した流出アッセイな
どが含まれる。例えば、タンパク質結合スクリーニングが、イヌのPGPへの候
補薬理学的因子の結合を迅速に調べるために使用される。この候補薬理学的因子
は、例えば、コンビナトリアルペプチドライブラリーに由来し得る。このような
アッセイのための従来の試薬は、当該分野で公知である。流出の例示的細胞ベー
スアッセイは、検出可能に標識された分子の流出が生じ得る条件下で、候補薬理
学的因子と、イヌのPGPを有する細胞とを接触することを含む。特定の条件は
、当該分野で周知であり、そして例えば、Sharomら、Biochem.P
harmacol.58:571−586、1999およびそこで引用される参
考文献に記載される。候補薬理学的因子の存在下における流出の減少は、この候
補薬理学的因子が、イヌのPGPの流出活性を減少することを示す。候補薬理学
的因子の存在下における流出の増加は、候補薬理学的因子が、イヌのPGPの流
出活性を増大することを示す。
【0107】
本発明の方法において使用されるイヌのPGPは、単離されたポリペプチドと
して(ここで候補薬理学的因子の結合が、測定されるべきである)、またはイヌ
のPGPポリペプチドを含む細胞または他の膜包囲空間として、アッセイ混合物
に添加され得る。後者のアッセイ構成において、細胞または他の膜包囲空間は、
予め負荷されるポリペプチドとして、または核酸としてイヌのPGPを含み得る
(例えば、イヌのPGPを含む発現ベクターでトランスフェクトされた細胞)。
本明細書中に記載されたアッセイにおいて、イヌのPGPポリペプチドが、組換
え的に産生され得るか、または生物学的抽出物から単離され得るが、好ましくは
、インビトロで合成される。イヌのPGPポリペプチドは、別のポリペプチド(
例えば、タンパク質−タンパク質結合を提供もしくは増強するか、またはアッセ
イ条件下で、イヌのPGPポリペプチドの安定性を増強することが可能なポリペ
プチド)との、イヌのPGPポリペプチドの融合物を含むキメラタンパク質を含
む。イヌのPGPポリペプチドに融合されたポリペプチドまたはそのフラグメン
トはまた、例えば、免疫学的認識によるか、または蛍光標識により、融合タンパ
ク質を容易に検出する手段を提供し得る。
【0108】
アッセイ混合物はまた、候補薬理学的因子を含む。代表的には、複数のアッセ
イ混合物が、種々の濃度に対して異なる応答を得るために、異なる因子の濃度と
平行して行われる。代表的に、これらの濃度の1つは、ネガティブコントロール
(すなわち、因子のゼロ濃度で、または、アッセイ検出の限度以下の因子の濃度
で)として働く。候補因子は、多数の化学クラスを含むが、代表的に、それらは
有機化合物である。好ましくは、候補薬理学的因子は、小さい有機化合物であり
、すなわち、それらは、50より大きいが、約2500未満の分子量を有する化
合物)である。候補因子は、ポリペプチドと構造的な相互作用に必要である官能
基の化学基を含み、そして代表的には、少なくとも1つのアミン基、カルボニル
基、ヒドロキシル基またはカルボキシル基、好ましくは少なくとも2つの官能基
の化学基およびより好ましくは少なくとも3つの官能基の化学基を含む。この候
補因子は、1つ以上の上記同定された官能基で置換された環状炭素または複素環
式構造および/または芳香族構造もしくは多芳香族構造を含み得る。候補因子は
また、生体分子(例えば、ペプチド、サッカリド、脂肪酸、ステロール、イソプ
レノイド、プリン、ピリミジン、上記の誘導体もしくは構造的アナログ、または
それらの組み合わせなど)であり得る。この因子が核酸である場合、この因子は
、代表的にはDNAまたはRNA分子であるが、非天然結合またはサブユニット
を有する改変された核酸もまた、企図される。
【0109】
候補因子は、合成化合物または天然化合物のライブラリーを含む広範な種々の
供給源から得られる。例えば、多数の手段が、広範な種々の有機化合物および生
体分子の無作為および指向された合成に利用可能であり、これは、無作為化され
たオリゴヌクレオチドの発現、合成有機コンビナトリアルライブラリー、無作為
ペプチドのファージディスプレイライブラリーなどを含む。あるいは、細菌抽出
物、真菌抽出物、植物抽出物および動物抽出物の形態における天然の化合物のラ
イブラリーが、利用可能であるかまたは容易に産生される。さらに、天然にそし
て合成的に産生されるライブラリーおよび化合物が、従来の化学的手段、物理学
的手段、および生化学的手段を通じて容易に改変され得る。さらに、既知の薬理
学的因子は、指向されるかまたは無作為の化学的改変(例えば、アシル化、アル
キル化、エステル化、アミド化(amidification)などに供され、
その因子の構造的アナログを産生し得る。
【0110】
従って、候補因子の供給源は、公知のP−糖タンパク質インヒビターに基づい
た分子のライブラリーであり、ここで、このインヒビターの構造は、より多くも
しくはより少ない化学的部分または異なった化学的部分を保有するように、分子
の1以上の位置において変化している。アナログインヒビターのライブラリーを
作成する際に分子になされる構造的変化は、方向付けられるか、無作為であるか
、あるいは、方向付けられるかまたは無作為の両方の置換および/または付加の
組合せであり得る。組換えライブラリーの調製の当業者は、既存のP−糖タンパ
ク質インヒビターに基づいたこのようなライブラリーを容易に調製し得る。
【0111】
種々の他の試薬はまた、混合物中に含まれ得る。これらとしては、塩、緩衝液
、中性タンパク質(例えば、アルブミン)、界面活性剤などの試薬が挙げられ、
これらは、最適なタンパク質−タンパク質および/またはタンパク質−核酸結合
を容易にするために使用され得る。このような試薬はまた、反応物成分の非特異
的またはバックグラウンドの相互作用を減少し得る。プロテアーゼインヒビター
、ヌクレアーゼインヒビター、抗微生物剤などのようなアッセイの効率を改善す
る他の試薬もまた使用され得る。
【0112】
前述のアッセイ材料の混合物は、候補薬学的因子の存在を除き、イヌPGPが
、薬物などの化合物の制御量の流出を媒介する条件下でインキュベートされる。
候補薬学的因子のイヌPGPへの結合を決定するために、混合物を結合を可能に
する条件下でインキュベートする。成分の添加の順序、インキュベーション温度
、インキュベーションの時間、およびアッセイの他のパラメーターは、容易に決
定され得る。このような実験法は単にアッセイパラメーターの最適化を含むのみ
であり、アッセイの基本的な組成物は含まない。インキュベーション温度は、代
表的には、約4℃と40℃の間である。インキュベーション時間は、好ましくは
、迅速なハイスループットスクリーニングを容易にするために最小化され、そし
て代表的には、1分と10時間との間である。
【0113】
インキュベーション後、流出のレベル、またはイヌPGPポリペプチドと候補
薬学的因子との間の特異的な結合のレベルを、使用者に利用可能な任意の簡便な
方法によって検出する。細胞遊離結合型アッセイについて、分離段階はしばしば
、非結合成分から結合成分を分離するために使用される。この分離段階は、種々
の方法によって達成され得る。簡便には、少なくとも1つの成分が固体基板上に
固定され、そこから非結合成分は簡単に分離され得る。固体基板は、広範な種々
の材料から作製され得、そして広範な種々の形状(例えば、マイクロタイタープ
レート、マイクロビーズ、ディップスティック、ビーズ粒子など)であり得る。
この基板は、好ましくは、SN比を最大にするために、主にバックグラウンド結
合を最小化するため、ならびに、分離の容易さおよび費用のために選択される。
【0114】
分離は、例えば、リザーバからビーズまたはディップスティックを除去するこ
とによって、マイクロタイタープレートウェルなどのリザーバを空にするかもし
くは希釈することによって、ビーズ、粒子、クロマトグラフィーカラムまたはフ
ィルターを洗浄溶液または溶媒を使用してリンスすることによって、もたれされ
得る。分離段階は、好ましくは、多数のリンスまたは洗浄を含む。例えば、固体
支持体がマイクロタイタープレートである場合、ウェルは洗浄溶液を使用して数
回洗浄され得、この洗浄溶液は、代表的には、塩、緩衝液、界面活性剤、非特異
的タンパク質などの、特定の結合において沈殿しないインキュベーション混合物
のこれらの成分を含む。固体基板が磁性ビーズである場合、このビーズは、洗浄
溶液を使用して1回以上洗浄され得、そして磁石を使用して単離され得る。
【0115】
膜貫通輸送アッセイなどの細胞ベースのアッセイのための任意の簡便な方法に
おいて、検出はもたらされ得る。直接的または間接的に検出可能な産物(例えば
、カルセイン(calcein)AMまたはローダミン123のような蛍光性分
子)の輸送が好ましい。細胞遊離結合アッセイについて、成分の1つは、通常、
検出可能な標識を含むかまたはこれに結合される。直接的検出(例えば、放射性
活性、ルミネセンス、光学密度または電子密度など)または間接的検出(例えば
、FLAGエピトープなどのエピトープタグ、西洋ワサビペルオキシダーゼなど
の酵素タグなど)を提供するような広範な種々の標識が使用され得る。この標識
は、イヌPGPポリペプチドまたは候補薬学的因子に結合し得る。
【0116】
種々の方法が標識を検出するために使用され得、標識の性質および他のアッセ
イ成分に依存する。例えば、固体基板に結合される間かまたは固体基板から続い
て分離される間、標識は検出され得る。標識は、光学密度または電子密度、放射
性放射、非放射性エネルギー伝達などを介して直接的に検出され得るかまたは抗
体結合体、ストレプトアビジン−ビオチン結合体などを使用して間接的に検出さ
れ得る。これらの標識を検出する方法は、当該分野で周知である。
【0117】
イヌPGP結合因子はまた、抗体であり得るかまたは機能的に活性な抗体フラ
グメントであり得る。抗体は、免疫学の科学の当業者にとって周知である。本明
細書で使用される場合、用語「抗体」は、インタクトな抗体分子だけではなく、
イヌPGP結合能力を保持する抗体分子のフラグメントも意味する。このような
フラグメントはまた、当該分野で周知であり、インビトロおよびインビボの両方
において調節的に使用される。特に、本明細書中で使用される場合、用語「抗体
」は、インタクトな免疫グロブリン分子だけでなく、周知の活性フラグメントF
(ab’)2、およびFabをも意味する。インタクトな抗体のFcフラグメン
トを欠くF(ab’)2およびFabフラグメントは、循環からより迅速にクリ
アーし、そして、インタクトな抗体のあまり非特異的でない組織結合を有し得る
(Wahlら、J.Nucl.Med.24:316−325(1983))。
【0118】
モノクローナル抗体は、免疫原としてイヌPGPまたはそのフラグメントを利
用して当該分野で公知の任意の方法を使用して作成され得る。あるいは、抗体は
、イヌPGP活性を阻害するイヌPGPに特異的なポリクローナル抗体であり得
る。ポリクローナル抗体の調製および使用はまた、当業者に公知である。
【0119】
当該分野で公知のように、抗体分子のごく一部;パラトープが、そのエピトー
プに対する抗体の結合に有意に関与している(一般的には、Clark,W.R
.(1986)The Experimental Foundations
of Medern Immunology Wiley & Sons,In
c.,New York;Roitt,I.(1991)Essential
Immunology,第7版、Blackwell Scientific
Publications,Oxfordを参照のこと)。pFc’およびFc
領域は、例えば、相補体カスケードのエフェクターであるが、抗原結合に関与し
ていない。pFc’領域が酵素的に切断されているかまたはpFc’領域なしで
産生された抗体(F(ab’)2フラグメントと命名される)は、インタクトな
抗体の抗原結合部位の両方を保持する。同様に、Fc領域が酵素的に切断された
かまたはFc領域なしで産生された抗体(Fabフラグメントと命名される)は
、インタクトな抗体分子の抗原結合部位の1つを保持する。さらに進むと、Fa
bフラグメントは、共有結合した抗体軽鎖およびFdと示される抗体重鎖の一部
からなる。Fdフラグメントは、抗体特異性の主要な決定因子であり(単一のF
dフラグメントは、抗体特異性を変更することなく10までの異なった軽鎖と関
連し得る)そしてFdフラグメントは単離の際、エピトープ結合能力を保持する

【0120】
抗体の抗原結合部分内には、当該分野で周知のように、相補性決定領域(CD
R)が存在し、これは、抗原のエピトープおよび枠組み領域(FR)と直接的に
相互作用し、この枠組み領域は、パラトープの三次構造を維持する(一般的には
、Clark,1986;Roitt,1991を参照のこと)。IgG免疫グ
ロブリンの重鎖Fdフラグメントおよび軽鎖の両方において、3つの相補性決定
領域(CDR1からCDR3)によってそれぞれ分離された4つの枠組み領域(
FR1からFR4)が存在する。CDR、特にCDR3領域、より特定には重鎖
CDR3が、抗体特異性の主な原因である。
【0121】
一般的には、インタクトな抗体は、「Fc」および「Fab」領域を含むとい
われている。このFc領域は、相補体活性化に関与しており、そして、抗原結合
に関与していない。Fc’領域が酵素的に切断されたかまたはFc’領域なしで
産生された抗体(「F(ab’)2」として命名される)は、インタクトな抗体
の抗原結合部位の両方を保持する。同様に、Fc領域が酵素的に切断されたかま
たはFc領域なしで産生された抗体(「Fab’」フラグメントとして命名され
る)は、インタクトな抗体の抗原結合部位の1つを保持する。Fab’フラグメ
ントは、共有結合した抗体軽鎖および抗体重鎖の一部からなり、「Fd」と示さ
れる。Fdフラグメントは、抗体特異性の主要な決定因子である(単一のFdフ
ラグメントは、抗体特異性を変更することなく10までの異なった軽鎖と関連し
得る)。単離されたFdフラグメントは、抗原エピトープに特異的に結合する能
力を保持する。
【0122】
上記に提供されたアッセイにおいて本発明に従って有用であると同定された抗
イヌPGPモノクローナル抗体の抗原結合Fab’部分、ならびに関連したFR
およびCDR領域の配列は、当該分野で慣例的なアミノ酸配列決定方法を使用し
て決定され得る。哺乳動物抗体の非CDR領域は、元の抗体のエピトープ特異性
を保持する限り、非特異的または異種特異的抗体の対応する領域と置換され得る
ことが確立されている。非ヒトCDRがヒトFRおよび/またはFc/pFc’
領域に共有結合され機能的な抗体を産生する「ヒト化」抗体の開発および使用の
ために、この技術は有用である。イヌPGP活性を阻害する非ヒト動物(例えば
、マウス)抗体が同定される場合、抗体をヒト化する技術は特に有用である。こ
れらの非ヒト化動物抗体は、本発明に従う方法において、ヒト被験体の処置にお
ける使用のためにヒト化され得る。マウス抗体をヒト化するための方法の例は、
米国特許第4,816,567号、同第5,225,539号、同第5,585
,089号、同第5,693,762号および同第5,859,205号におい
て提供される。他の抗体(抗原結合能力を有するインタクトな抗体のフラグメン
トを含む)は、しばしば、「キメラ」抗体といわれる。
【0123】
従って、当業者に明らかなように、本発明はまた、抗イヌPGPモノクローナ
ル抗体のF(ab’)2、およびFabフラグメント;抗イヌPGP抗体のFc
および/またはFRおよび/またはCDR1および/またはCDR2および/ま
たは軽鎖CDR3領域が相同なヒトまたは非ヒト配列によって置換されたキメラ
抗体;抗イヌPGP抗体のFRおよび/またはCDR1および/またはCDR2
および/または軽鎖CDR3領域が、相同なヒトまたは非ヒト配列によって置換
されたキメラF(ab’)2フラグメント抗体;ならびにFRおよび/またはC
DR1および/またはCDR2および/または軽鎖CDR3領域が相同なヒトま
たは非ヒト配列によって置換されたキメラFabフラグメント抗体を提供する。
【0124】
本発明に従って、イヌPGPインヒビターはまた、配列番号2由来の「ドミナ
ントネガティブな」ポリペプチドを含む。ドミナントネガティブなポリペプチド
は、細胞性機構と相互作用することにより、活性ポリペプチドが細胞性機構と相
互作用することを妨げるかまたは活性ポリペプチドと競合する、ポリペプチドの
不活性な改変体であり、これによって、活性ポリペプチドの効果を減少する。例
えば、リガンドと結合するが、リガンドの結合に応答してシグナルを伝達しない
ドミナントネガティブなレセプターは、リガンド発現の生物学的効果を減少し得
る。
【0125】
本発明のドミナントネガティブなイヌPGPポリペプチドの細胞中における発
現の最終結果は、分子輸送のようなPGP活性の減少である。当業者は、1つ以
上のドミナントネガティブな改変体ポリペプチドを作製する標準的な変異誘発技
術を使用して、イヌPGPポリペプチドのドミナントネガティブ改変体の能力を
評価し得る。例えば、イヌPGPポリペプチドの本明細書中に含まれる教示を考
えれば、当業者は、部位特異的変異誘発、走査変異誘発、部分的な遺伝子欠損ま
たは短縮などによって、イヌPGPポリペプチドの配列を改変し得る。例えば、
米国特許第5,580,723号およびSambrookら、Molecula
r Cloning:A Laboratory Manual,Second
Edition,Cold Spring Harbor Laborato
ry Press,1989を参照のこと。次いで、当業者は、変異誘発された
ポリペプチドの集団を、イヌPGP活性における減少および/またはこのような
活性の保持について試験し得る。イヌPGPポリペプチドのドミナントネガティ
ブな改変体を作製および試験するための方法は、当業者に明らかである。
【0126】
本発明の組成物の各々は、種々の治療目的または非治療目的に有用である。例
えば、本発明のイヌPGP核酸は、オリゴヌクレオチドプローブとして有用であ
る。このようなオリゴヌクレオチドプローブは、同一または実質的に類似の核酸
配列を有するゲノムライブラリークローンまたはcDNAライブラリークローン
を同定するために、本明細書中で使用され得る。ストリンジェントなハイブリダ
イゼーション条件下で所望の配列にハイブリダイズし得る、適切なオリゴヌクレ
オチドまたはオリゴヌクレオチドのセット、そのようなオリゴヌクレオチドまた
はオリゴヌクレオチドのセットの改変体もしくはそのフラグメントあるいはアン
チセンス相補体は、当該分野で周知の手段によって合成され得(例えば、Syn
thesis and Application of DNA and RN
A,S.A.Narang編、1987、Academic Press,Sa
n Diego,CAを参照のこと)、そして当該分野で公知の技術によって、
その所望の配列、その改変体またはフラグメントを同定および単離するためのプ
ローブとして使用され得る。核酸ハイブリダイゼーションおよびクローン同定の
技術は、Sambrookら、Molecular Cloning、A La
boratory Manual、第2版、Cold Spring Harb
or Laboratory Press,Plainview、NY(198
9)に開示される。所望の核酸配列、あるいはその改変体またはフラグメントの
検出を容易にするために(クローニング目的または配列の存在の単なる検出に関
わらず)、上記のプローブは、検出可能な基で標識され得る。このような検出可
能な基は、検出可能な物理的または化学的特性を有する任意の物質であり得る。
このような物質は、核酸ハイブリダイゼーションの分野で良く開発されており、
一般に、このような方法において有用な多くの標識が、本発明に適用され得る。
特に有用なのは、放射性標識である。十分なシグナルを提供しそして十分な半減
期を有する任意の放射性標識が、使用され得る。一本鎖の場合、オリゴヌクレオ
チドは、キナーゼ反応を使用して放射性標識され得る。あるいは、オリゴヌクレ
オチドはまた、ビオチン、酵素または蛍光基のような非放射性マーカーで標識さ
れた場合にも、核酸ハイブリダイゼーションプローブとして有用である。例えば
、Leary,J.J.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA
)80:4045(1983);Renz,M.ら、Nucl.Acids R
es.12:3435(1984);およびRenz,M.EMBO J.6:
817(1983)を参照のこと。
【0127】
さらに、イヌPGP核酸の相補体が、アンチセンスオリゴヌクレオチドとして
有用であり得る。例えば、これは、イヌPGP「ノックアウト」表現型を誘導す
るために、このアンチセンスオリゴヌクレオチドを動物に送達することによる。
遺伝子発現をブロックするためのアンチセンスRNAプローブの投与は、Lic
htenstein,C.,Nature 333:801−802(1988
)に議論される。
【0128】
あるいは、本発明のイヌPGP核酸は、非ヒトトランスジェニック動物を作製
するために使用され得る。「トランスジェニック動物」は、細胞内に人工的に挿
入されたDNAを含む細胞を有する動物であり、DNAは、その細胞から発生す
る動物のゲノムの一部となる。好ましいトランスジェニック動物は、霊長類、マ
ウス、ラット、ウシ、ブタ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、イヌおよびネコである。トラ
ンスジェニック実験に適切な動物は、Charles River(Wlimi
ngton,MA)、Taconic(Germantown,NY)、Har
lan Sprague Dawley(Indianapolis,IN)な
どの標準的な商業的供給源から入手され得る。特定の疾患に関連する特定の特性
を有するトランスジェニック動物は、それらの疾患に対する種々の薬物および処
置方法の影響を研究するために使用され得、従って、多くのヒト疾患の研究の遺
伝モデルとして機能し得る。従って、本発明は、細胞膜を通過する分子の輸送に
関与する障害の研究のためのモデルとしての、イヌPGPノックアウト動物およ
びトランスジェニック動物の使用を意図する。当業者に公知の種々の方法が、本
発明に関連するトランスジェニック動物の作製に利用可能である。
【0129】
内因性PGP/MDR1の不活性化または置換は、胚性幹細胞を使用する相同
組換え系によって達成され得る。PGP-/-ノックアウト表現型を有する、得ら
れたトランスジェニック非ヒト哺乳動物は、イヌPGPについてトランスジェニ
ックにされ得、そしてイヌPGPのモジュレーター(アゴニストまたはアンタゴ
ニスト/インヒビター)としての化合物のスクリーニングのモデルとして使用さ
れ得る。この様式で、このような治療薬物が同定され得る。
【0130】
さらに、イヌPGPの正常または変異体バージョンを生殖系列に挿入し、イヌ
PGPの正常または変異体形態を構成的または誘導的に発現するトランスジェニ
ック動物を作製し得る。これらの動物は、細胞におけるイヌPGPの役割および
機能を規定するための研究において有用である。
【0131】
本発明の組成物はまた、治療目的に有用である。従って、本発明は、哺乳動物
細胞においてイヌPGP活性を阻害するための方法を包含する。本発明はさらに
、細胞におけるイヌPGP活性を減少または増加するための方法を提供する。1
つの実施形態において、この方法は、哺乳動物細胞に、その哺乳動物細胞の分子
輸送を阻害するのに有効な量のイヌPGPの核酸またはポリペプチドを接触させ
る工程を包含する。このような方法は、例えば、薬物耐性および薬物バイオアベ
イラビリティの減少に関与する機構を解明する目的のために、インビトロで有用
である。
【0132】
本発明はまた、細胞または被験体においてPGP発現を増加するための方法を
包含する。イヌPGPの量は、細胞または被験体における膜貫通輸送を増加する
のに有効な量の本発明のPGP核酸またはPGPポリペプチドを、細胞に接触さ
せるかまたは被験体に投与することによって、このような細胞または被験体にお
いて増加され得る。PGP活性の増加は、本明細書中に記載のアッセイ(例えば
、膜貫通輸送のアッセイ)によって測定され得る。
【0133】
本発明の調製物は、有効量で投与され得る。有効量とは、単独でかまたはさら
なる用量と共に、所望の応答を生成する薬学的調製物の量である。もちろん、こ
のような量は、処置される特定の状態、その状態の重篤度、個々の患者のパラメ
ーター(年齢、身体的条件、サイズおよび体重を含む)、処置の継続時間、併用
治療(もしあれば)の特性、特定の投与経路、およびこのような医療従事者の知
識および技術内の因子に依存する。最大用量(すなわち、正確な医学的判断に従
う、最も高い安全用量)が使用されることが、一般的に好ましい。しかし、患者
が、医学的理由、心理学的理由または実質的に任意の他の理由のために、より低
用量または許容可能な用量を要求し得ることは、当業者に理解される。
【0134】
一般に、活性化合物の用量は、約0.01mg/kg/日〜1000mg/k
g/日である。50〜500mg/kgの範囲の用量が適切であり、そして1日
あたり1回または数回で投与されることが期待される。より低い用量は、他の投
与形態(例えば、静脈内投与)から生じる。被験体における応答が適用した初回
用量で不十分である場合には、より高い用量(すなわち、異なるより局在化した
送達経路による、効果的なより高い用量)が、患者の耐性が許容する程度に使用
され得る。1日あたり複数回の用量が、適切な全身の化合物レベルを達成するた
めに意図されるが、化合物が、徐放性医薬または持続放出医薬として調製される
場合には、より少数回の用量が代表的に与えられる。
【0135】
投与される場合、本発明の薬学的調製物は、薬学的に受容可能な量でかつ薬学
的に受容可能な組成物において適用され得る。このような調製物は、塩、緩衝化
剤、保存剤、適合性のキャリア、および必要に応じて他の治療剤を、慣用的に含
み得る。医薬において使用される場合、塩は、薬学的に受容可能であるが、薬学
的に受容可能でない塩が、その薬学的に受容可能な塩を調製するために都合よく
使用され得、そして本発明の範囲から排除されない。このような薬理学的かつ薬
学的に受容可能な塩としては、以下の酸から調製される塩が挙げられるが、これ
らに限定されない:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸
、サリチル酸、クエン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸など。また、薬学的に受容
可能な塩は、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩(例えば、ナトリウム塩
、カリウム塩またはカルシウム塩)として調製され得る。
【0136】
本発明に従う有用なイヌPGPインヒビターまたはイヌPGPの核酸およびポ
リペプチドは、必要に応じて、薬学的に受容可能なキャリアと合わせられ得る。
本明細書中で使用される場合、用語「薬学的に受容可能なキャリア」とは、ヒト
への投与に適切な、1以上の適合性の固体充填剤または液体充填剤、希釈剤ある
いは包囲物質を意味する。用語「キャリア」とは、適用を容易にするために活性
成分と合わせられる、有機成分または無機成分(天然性または合成性)を示す。
薬学的組成物の成分は、所望の薬学的効力を実質的に損なう相互作用が存在しな
い様式で、本発明の分子と、および互いに、混合され得る。
【0137】
薬学的組成物は、適切な緩衝化剤を含み得、これらとしては、酢酸(塩);ク
エン酸(塩);およびリン酸(塩)が挙げられる。
【0138】
薬学的組成物はまた、必要に応じて、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノー
ル、パラベンおよびチメロサールのような、適切な保存剤を含み得る。
【0139】
種々の投与経路が利用可能である。もちろん、選択される特定の様式は、選択
される特定の化合物、処置される状態の重篤度、および治療効力に必要とされる
投薬量に依存する。一般的に言うと、本発明の方法は、医学的に受容可能な任意
の投与様式を使用して行われ得、この様式は、臨床的に受容可能でない有害な効
果を引き起こすことなく効果的なレベルの活性化合物を生成する任意の様式を意
味する。このような投与様式としては、経口経路、直腸経路、局所経路、鼻内経
路、経皮(interdermal)経路または非経口経路が挙げられる。用語
「非経口」とは、皮下、静脈内、髄腔内、筋内または注入が挙げられる。静脈内
経路または筋内経路が、特にではないが、長期の治療および予防に適切である。
【0140】
薬学的組成物は、単位投薬形態で都合よく存在し得、そして薬学分野で周知の
任意の方法によって調製され得る。全ての方法は、活性因子を、1以上の補助的
成分を構成するキャリアと会合させる工程を包含する。一般に、組成物は、活性
化合物を、液体キャリア、細粒固体キャリアまたは両方と、均一かつ密接に会合
させ、次いで、必要に応じて、生成物を成形することによって調製される。
【0141】
経口投与に適切な組成物は、個別の単位(例えば、カプセル剤、錠剤、ロゼン
ジ)として存在し得、これらは各々、所定の量の活性化合物を含む。他の組成物
としては、水性の液体または非水性の液体(例えば、シロップ、エリキシルまた
はエマルジョン)中の懸濁液が挙げられる。
【0142】
非経口投与に適切な組成物は、都合よくは、イヌPGPインヒビターまたはイ
ヌPGPの核酸およびポリペプチドの滅菌水性調製物を含み、この調製物は、好
ましくは、レシピエントの血液と等張性である。この水性調製物は、適切な分散
剤または湿潤剤、および懸濁剤を使用して、公知の方法に従って処方され得る。
滅菌注射用調製物はまた、非毒性の非経口的に受容可能な希釈剤または溶媒中の
滅菌の注射可能な溶液または懸濁液(例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液
)であり得る。使用され得る受容可能なビヒクルおよび溶媒としては、とりわけ
、水、リンゲル溶液、および等張性の塩化ナトリウム溶液である。さらに、滅菌
の不揮発性油が、溶媒または懸濁媒体として都合よく使用される。この目的のた
めに、任意の無菌の(bland)不揮発性油が使用され得、これには、合成の
モノグリセリドまたはジグリセリドが挙げられる。さらに、オレイン酸のような
脂肪酸が、注射剤の調製物に使用され得る。経口投与、皮下投与、静脈内投与、
髄腔内投与、筋内投与などに適切なキャリア処方物は、Remington’s
Pharmaceutical Sciences,Mack Publis
hing Co.,Easton,Paに見い出され得る。
【0143】
他の送達系としては、時限放出(time−release)、遅延放出(d
elayed release)または持続放出(sustained rel
ease)送達系(例えば、上記で議論される生物学的/化学的ベクター)が挙
げられ得る。このような系は、活性化合物の繰り返しの投与を回避し得、これが
、被験体および主治医に対する簡便性を増加する。多くの型の放出送達系が利用
可能であり、当業者に公知である。長期持続放出移植片の使用が所望され得る。
本明細書中で使用される長期放出とは、その移植片が、少なくとも30日間、そ
して好ましくは60日間、治療レベルの活性成分を送達するように構築および配
置されることを意味する。長記持続放出移植片は、当業者に周知であり、そして
これらには、上記の放出系のいくらかが含まれる。
【0144】
本発明は、以下の実施例を参照してより完全に理解される。しかし、これらの
実施例は、本発明の実施形態を例示するために単に意図され、本発明の範囲を限
定すると解釈されない。
【0145】
(実施例)
(実施例1:イヌP−糖タンパク質の単離)
cDNAライブラリーを、標準的な手順に従って、イヌ(Canis fam
iliaris)mRNAを使用して調製した。ヒトP−糖タンパク質DNAプ
ローブを用いて、P−糖タンパク質クローンについて、このライブラリーをスク
リーニングした。クローンを、以下に記載されるような標準的な手順に従って、
単離し、精製し、そして配列決定した。
【0146】
肝臓および肺の組織を、ビーグル犬の組織サンプルから切除し、そして液体窒
素中で瞬間凍結した。
【0147】
イヌPGP1の890bpのフラグメントを、Stratageneに発注さ
れたλgt11ベクターcDNAライブラリーからPCR増幅した。Clont
echからの試薬を用いて、PCRを実施した。プライマーをカスタムデザイン
した(一方はヒトPGP1に対して相同な配列に対して特異的、他方はイヌPG
P2に相同な配列に対して特異的)。
【0148】
【化1】


PCRを、Perkin Elmer 9700サーモサイクラーで実施した
。PCRを、94℃にて2分間、次いで、94℃にて30秒間、40℃にて20
秒間、および72℃にて2分30秒間の40サイクルで実施し、次いで、72℃
にて3分間インキュベートした。PCR産物を、1%アガロースゲルにおいて泳
動し、そしてEtBrで染色した。917bpのDNAバンドを切り出し、そし
てQiagen Inc.からのQIAquick Gel Extracti
on kitを用いて精製した。
【0149】
次いで、このDNAを、InvitrogenからのOriginal TA
Cloning kitを用いてベクターpCR2.1に連結した。INVα
F’細胞を、連結保持物(retain)で形質転換し、コロニーを選択し、ア
ンピシリンを含む100mLのLブロス中で増殖させた。DNA精製を、Qia
genからのPlasmid Midi purification kitを
用いて実施した。挿入物を、ABI377シークエンサーを使用して配列決定し
た。この配列は、イヌPGPの890bpフラグメント(オープンリーディング
フレームにおける塩基816〜塩基1706)に対応する。
【0150】
他の5つのフラグメントを、以下に記載する手順における任意の差異を伴って
上述と同じ方法を使用して、単離し、クローン化し、そして配列決定した。
【0151】
イヌ肺組織からのRNA抽出を、ClontechからのNucliobon
d RNA Maxi Prep.purification kitを用いて
実施した。cDNAを、Life TechnologiesからのSuper
script Preamplification System for F
irst Strand cDNA Synthesisを用いて、RNA調製
物から合成した。
【0152】
【化2】


これは、オープンリーディングフレームにおける塩基1364〜塩基2345の
イヌPGPの981bpフラグメントに対応する。
【0153】
【化3】


これは、オープンリーディングフレームにおける塩基1635〜塩基3362の
イヌPGPの1728bpフラグメントに対応する。
【0154】
【化4】


これは、オープンリーディングフレームにおける塩基3004〜塩基3783の
イヌPGPの779bpフラグメントに対応する。
【0155】
イヌ肝臓組織からのRNA調製物を、先に使用したのと同じ方法を使用して、
実施した。cDNAを、このRNA調製物から、SMART IIオリゴヌクレ
オチドを用いて、ClontechからのSMART RACE cDNA A
mplification Kitを使用して作製した。PCR条件を、以下の
通りに変更した:94℃にて5分間、次いで、以下の5サイクル94℃にて30
秒間、および72℃にて2分間。次いで、94℃にて30秒間、70℃にて45
秒間、および72℃にて2分間の5サイクルを実施した。最後の30サイクルは
、94℃にて30秒間、68℃にて45秒間、および72℃にて2分間であった
。このPCRを、72℃にて7分間で終えた。
【0156】
【化5】


これは、オープンリーディングフレームにおける塩基3212〜塩基4264の
イヌPGPの3’末端フラグメントに対応する。
【0157】
イヌ肝臓組織由来のRNA調製物を、先に使用したのと同じ方法を使用して、
実施した。cDNAを、このRNA調製物から、遺伝子特異的プライマーDM1
680RL 5’−cgc agc cac tgt tcc caa cca
gcg cca ct−3’,29マー,配列番号19,イヌPGP1を用い
て、ClontechからのSMART RACE cDNA Amplifi
cation Kitを使用して作製した。
【0158】
【化6】


これは、オープンリーディングフレームにおける塩基−15〜塩基945のイヌ
PGPのATGフラグメントに対応する。
【0159】
(クローンのアセンブリ)
1Kbフラグメント(890bp)および981bpフラグメント
DNAプレップを、各フラグメントから作製した。両方のフラグメントを、N
coI制限酵素で切断した。1Kbフラグメントをまた、EcoRIで切断した
。981bpフラグメントをまた、BamHIで切断した。各フラグメントを精
製し、共に連結し、次いで末端を切断し、切断分子をゲル精製し、そしてEco
RIおよびBamHIで切断したpUC19中に連結した。
【0160】
1Kbフラグメント(890bp)/981bpフラグメントおよび1728
bpフラグメント
両方のフラグメントをBamHIで切断し、そして1728bpフラグメント
もまたXbaIで切断したことを除いて、これらのフラグメントを上記の通りに
アセンブルした。
【0161】
1Kbフラグメント(890bp)/981bpフラグメント/1728bp
フラグメントおよびATGフラグメント3’末端および779bpフラグメント
1Kbフラグメント(890bp)/981bpフラグメント/1728bp
フラグメントATGフラグメントおよび3’末端/779bpフラグメント
いくつかの場合では、フラグメントをそのヌクレオチド配列に従って、異なる
制限酵素で切断したことを除いて、これらのすべてのフラグメントを上記の通り
にアセンブルした。
【0162】
イヌP−糖タンパク質のヌクレオチド配列を、配列番号1として表す。コード
配列は、ヌクレオチド17〜3859からなり、1281アミノ酸のポリペプチ
ド(配列番号2)を産生する。
【0163】
(実施例2:イヌP−糖タンパク質の活性)
(材料および方法)
イヌPGP cDNA(配列番号1)を、ハイグロマイシンBに対する耐性を
付与するベクター中のLLC−PK1細胞のクローン化集団中に導入する。LL
C−PK1細胞を、American Type Culture Colle
ctionsから得て、そして7%胎仔ウシ血清を補充した培地199中で増殖
する。LLC−PK1細胞を、トランスフェクション前に再クローン化して、細
胞集団の均質性を確証する。簡潔には、イヌPGP cDNAを、p222CM
Vベクター中に組み込む。このベクターは、エプスタインバーウイルスについて
のOriP配列およびEBNA−1遺伝子産物に基づいたp220.2エピソー
ムベクター系に由来する(Sugdenら、Mol.Cell Biol.5:
410−413、1985;Yatesら、Nature(Lond.)313
:812−815、1985)。PGP cDNAを、サイトメガロウイルス(
CMV)極初期プロモーターの制御下におく。このベクターは、ハイグロマイシ
ンBに対する耐性を付与する。細胞(0.4mL中)およびDNA(10〜20
μg)を、2mmギャップ(gap)細胞、100V、2500μFキャパシタ
ンスおよび72ohm抵抗を使用して、BTX Electro cell m
anipulator model 600を用いるエレクトロポレーションに
よってトランスフェクトした。エレクトロポレーション後、細胞を、10%コン
フルエンスでマルチウェルプレート(48ウェル、Corning Costa
r)にプレーティングした。トランスフェクションの1〜2日後、ハイグロマイ
シンBを、最終濃度400〜600μg/mlで導入する。細胞に、2〜4日お
きに再給餌し、そして400〜600μg/mlハイグロマイシンB中で6〜8
日間増殖させ、この時点で野生型細胞のバルクを剥離した。ハイグロマイシンB
を、100μg/mlまで減少させ、そしてこの濃度のハイグロマイシンB中で
維持する。14〜18日後、このウェルを検査し、そして単一コロニーを含むウ
ェルをトリプシン処理し、そしてバルク培養物へとスケールアップする。PGP
の発現を、TranswellsTM中のビンブラスチン(0.1μM)輸送の分
極(polarization)によって測定する。
【0164】
LLC−PK1細胞に基づく輸送研究を、24ウェルTranswellsTM
(Corning Costar、カタログ番号3415)中で実施する。Tr
answellsTMを、側底側空間(basolateral space)に
0.6mL培地を添加し、そして頂端側空間(apical space)に0
.1mL培地を添加することによって調製する。細胞を、1挿入物あたり4×1
4細胞で播種し(代表的に0.05mL〜0.15mL中)、2〜4日おきに
新鮮培地で再給餌し、そして播種後4〜8日目に輸送研究に使用する。輸送アッ
セイを、10mM HEPESで緩衝化したハンクス平衡生理食塩水(HBSS
)中で実施する(pH7〜7.2)。細胞単層を、輸送アッセイにおいて使用す
る前に、HBSSでリンスする。輸送を、頂端側から側底側(A→B)および側
底側から頂端側(B→A)の方向の両方の傾斜条件下で測定する。1回の決定に
つき、少なくとも二連の単層を使用する。所望される時点で、サンプルを、レシ
ーバーチャンバー(頂端側チャンバーまたは側底側チャンバー)から回収する。
輸送された化合物の量の定量は、UVまたは質量分析検出での液体シンチレーシ
ョン計数(ビンブラスチン)またはHPLCによる。
【0165】
イヌPGP cDNAを、バキュロウイルスベクターを用いて、昆虫細胞中で
発現させる。(Sarkadiら、J.Biol.Chem.267:4854
−4858、1992)の方法に従って、膜を調製し、そして使用まで−80℃
で保存する。ATPaseアッセイを、96ウェルマイクロタイタープレートに
おいて実施する。アッセイを、(Sarkadiら、1992、およびDrue
kesら、Anal.Biochem.230:173−177、1995)の
方法の改変版を使用して実施する。
【0166】
96ウェルプレートの各ウェルについての詳細な方法は、以下を包含する:
50mM Tris−MES、2mM EGTA、50mM KCl、2mM
ジチオトレイトール、および5mMアジ化ナトリウムを含有する緩衝液中に40
μg膜、20μMベラパミル(ポジティブコントロール)または試験薬物、およ
び3〜5mM MgATPを含む0.06mlの反応混合物を、37℃で20分
間インキュベートする。100μMオルトバナジン酸ナトリウムを含む同一の反
応混合物を、並行してアッセイする。オルトバナジン酸塩は、ヌクレオチド結合
部位にMgADPを捕捉することによって、PGPを阻害する。従って、オルト
バナジン酸塩の存在下で測定されるATPase活性は、非PGP ATPas
e活性を表し、そしてオルトバナジン酸塩なしで生成された活性から差し引かれ
て、バナジン酸塩感受性ATPase活性を生成し得る。30μlの10%SD
S+消泡剤Aの添加によって、反応を停止する。2つのさらなる反応混合物(オ
ルトバナジン酸塩+および−)(しかし、MgATPを含まない)もまた調製し
、そして他のものと共にインキュベートし、次いで、SDSおよびMgATPを
補充して、時間=0分目の反応を表す。インキュベーションに次いで、15mM
酢酸亜鉛:10%アスコルビン酸(1:4)中の35mMモリブデン酸アンモニ
ウムを200μl添加し、そしてさらに20分間37℃にてインキュベートする
。無機ホスフェートの遊離を、800nmでのその吸光度によって検出し、そし
てホスフェートの検量線に対してこの吸光度を比較することによって、定量する

【0167】
リガンド結合アッセイおよび蛍光色素取り込みの阻害を測定するためのアッセ
イを、Sharomら(Biochem.Pharmacol.58:571−
586、1999)によって記載されたように実施する。
【0168】
(I.LLC−PK1細胞における安定なPGP発現)
イヌPGPの機能的発現を、ビンブラスチンの輸送の分極によって測定する。
コントロール細胞は、代表的に、1と3との間のB→A/A→B比を示す。PG
Pトランスフェクト細胞は、より高い比率を示す。cDNA由来のイヌの発現は
安定である。
【0169】
(II.PGP膜におけるATPase活性の活性化)
ATPaseアッセイの刺激によって、薬物とPGPとの任意の相互作用の濃
度依存性の迅速な測定が提供される。遊離の無機ホスフェートを、マイクロタイ
タープレート形式で実施される単純な分光光度学的アッセイによって測定する。
複数の薬物濃度を試験することによって、PGPに対する薬物の親和性を推定す
ること、およびその応答の飽和が観察されたか否かを推定することが可能となる

【0170】
(III.細胞単層を横断する薬物輸送)
ATPaseアッセイは、直接的には、薬物輸送を測定しない。ATPase
活性と実際の輸送との間の一致を試験するために、薬物の輸送速度を、コントロ
ールLLC−PK1およびイヌPGP細胞単層において測定する。各薬物濃度に
ついて、4つの測定をなす:
A:A→B コントロール細胞
B:B→A コントロール細胞
C:A→B PGP細胞
D:B→A PGP細胞。
【0171】
輸送の分極を、コントロール細胞(B/A)およびPGP細胞(D/C)にお
いて算出する。PGPの内因的活性(IA)を、コントロール細胞と比較してP
GP細胞中でPGPがB→A輸送を容易にした量(D−B)と、コントロール細
胞と比較してPGP細胞中でPGPがA→B輸送を妨害した量(A−C)との合
計として算出する。PGPの内因的クリアランスを、非飽和条件下の線のスロー
プを算出することか、または飽和が観察された場合に算出された見かけ上のKm
およびVmax値からのいずれかによって、濃度依存性データのプロットから算
出する。内因的クリアランスを、mL/m2/分として表す。
【0172】
ATPaseデータは、有用な濃度応答データを表す。例えば、いくつかの化
合物についての見かけ上のKm値は、ATPaseと輸送系との間で良好な一致
する。しかし、他の薬物はATPase活性を活性化するが、PGPによる輸送
は検出可能ではない。少なくとも、ATPaseアッセイは、下回るとPGPに
よる輸送に対する応答が薬物濃度に対して線形となる濃度範囲を同定し得る。こ
れは、PGPの内因的クリアランスを測定するための実験設計の単純化を可能に
し、これは、大量の化合物を試験する場合に重要な考慮事項となる。
【0173】
(IV.バイオアベイラビリティ)
バイオアベイラビリティ研究を、2つ以上の異なるPGP型を用いる上記アッ
セイの1つ以上を実施することによって行う。異なるPGP型は、異なる種(例
えば、イヌおよびヒト、カニクイザルおよびヒト、イヌおよびカニクイザルなど
)により得るか、または同一種の異なる対立遺伝子であり得る。これらのアッセ
イの結果を比較して、異なる種の個体または異なるPGP対立遺伝子を発現する
個体における薬物のバイオアベイラビリティを決定または推定する。1つの決定
の結果はまた、過去の(historical)コントロールとして、例えば、
ATPaseまたは輸送に関して以前に決定された値に対して比較され得る。
【0174】
(プロトコールおよび手順)
(RNAの単離)
凍結したビーグルの肝臓を乳鉢および乳棒を用いて粉砕した。粉砕化された組
織(300mg)を、ダンス型ホモジナイザーに移した。TRIsol試薬(3
mL;カタログ番号15596(Life Technologiesから))
を添加して、この組織をホモジネートし、次いで、室温で15分間インキュベー
トした。溶液のアリコート(1mL)を3つのミクロチューブ(microfu
ge tube)に移し、そして200μLのクロロホルムを各チューブに添加
した。各チューブを高設定で15秒間ボルテックスし、次いで、室温で3分間イ
ンキュベートし、次いで、10000gで15分間4℃にて遠心分離した。上部
の「水性」層を新しいミクロチューブに移し、一方、残存する下部および間の層
を捨てた。500μLのイソプロパノールを新しいチューブの各々に添加し、そ
してこのチューブを数回反転させることによって混合した。次いで、各チューブ
を室温で10分間インキュベートし、次いで、10000gでさらに10分間4
℃にて遠心分離した。小さな白色ペレットが観察され、そして上清を捨てた。1
mLの75%エタノールを各チューブに添加した。このチューブを手短にボルテ
ックスし、次いで、10000gで10分間4℃にて遠心分離した。上清を捨て
、そしてペレットを室温で5分間乾燥させた。50μLのDEPC処理滅菌脱イ
オン水を、各チューブに添加した。各ペレットを再懸濁し、そして各チューブの
内容物をプールした。
【0175】
再懸濁されたペレットの光学密度を、Hitachi U3010分光光度計
を用いて分析し、単離されたRNAの量を決定した。次いで、このRNAをDE
PC処理滅菌脱イオン水を用いて、0.55μg/μLの濃度まで希釈した。2
mLのこのRNAを2つのミクロチューブに均等に分けた。次いで、100μL
の5M NaClを各チューブに添加した。両方のチューブを15分間65℃ま
で加温し、次いで、氷上に5分間配置した。MessageMaker mRN
A Isolation System(カタログ番号10551−018(L
ife Technologiesから))からの500μLのOligo(d
T)Cellulose Suspensionを、両方のチューブに添加した
。次いで、これらのチューブを10分間37℃でインキュベートした。このチュ
ーブの内容物を、MessageMaker mRNA Isolation
Systemに提供されたFilter Syringeに移した。液体内容物
を排出した後、シリンジ中のペレットを、製造業者の指示書に従って、Wash
Buffer1およびWash Buffer2を使用して洗浄した。シリン
ジ中のRNAペレットを1mLのDEPC処理滅菌脱イオン水(65℃)中に再
懸濁し、次いで、2.5μLの50μg/mLグリコゲンおよび100μLの7
.5M酢酸アンモニウムを添加し、そして反転によって混合した。次いで、チュ
ーブの内容物を、2つのミクロチューブに移し、そして1mLのエタノールを各
チューブに添加した。両方のチューブの内容物を、反転によって混合し、次いで
、−20℃で一晩インキュベートした。
【0176】
このチューブを、10000gで30分間4℃にて遠心分離した。この上清を
捨て、そして200μLの75%エタノールを各チューブに添加した。このチュ
ーブを10秒間ボルテックスし、次いで、10000gで15分間4℃にて遠心
分離した。この上清を捨て、そして残存するすべての液体を注意深くピペッティ
ングで取り出した。このペレットを、10μLのDEPC処理滅菌脱イオン水中
に再懸濁した。
【0177】
(cDNAの調製)
cDNAを、以下のように、Marathon cDNA Amplific
ation Kit(カタログ番号K1802−1(Clontech Lab
oratories,Inc.,Palo Alto,CAから))を用いて調
製した。4μLの再懸濁mRNAを、新しいミクロチューブに移し、そして以下
のプライマー(10μM濃度)のうちの1つ(1μL)を添加した:Dm168
0RL cgc agc cac tgt tcc caa cca gcg
cca ct(配列番号19;カスタムデザイン,Operon Techno
logies,Inc.により合成)またはMarathon cDNA Am
plification KitからのcDNA Synthesis Pri
mer,nnt ttt ttt ttt ttt ttt ttt ttt
ttt ttt ttc gcc ggc gac tta aga tct
t(配列番号28)。チューブを70℃で2分間インキュベートし、次いで、氷
上に5分間配置した。2μLの5×First−Strand Buffer,
1μLの10mM dNTP Mixおよび1μLの20U/μL AMV R
everse Transcriptaseを各チューブに添加し、そして穏や
かに混合した。このチューブを42℃にて1時間インキュベートし、次いで、氷
上に配置した。2μLの各一本鎖cDNAを、PCRにおけるテンプレートとし
て使用した(以下の「PCR条件」を参照のこと)。48.4μLのDEPC処
理脱イオン水、16μLの5×Second−Strand Buffer,1
.6μLの10mM dNTP Mixおよび4μLの20×Second−S
trand Enzyme Cocktailを、残存するcDNAサンプルに
添加した。このチューブを、16℃にて1.5時間インキュベートした。2μL
の5U/μL T4 DNAポリメラーゼをこのチューブに添加し、次いで、こ
のチューブを16℃にてさらに45分間インキュベートした。20×EDTA/
Glycogen Mix(4μL)を添加し、次いで、QIAquick N
ucleotide Removal Kit(カタログ番号28304(QI
AGEN Inc.,Valencia,CAから))からの430μLのBu
ffer PNを添加した。次いで、このサンプルをQIAquick Spi
n Columnにローディングし、そして10000gで1分間遠心分離した
。収集チューブを空にし、そして750μLのPE Buffer(QIAGE
N)をQIAquick Spin Columnに添加し、これを再度100
00gで1分間遠心分離した。収集チューブを、もう一度空にし、そしてQIA
quick Spin Columnを10000gで1分間遠心分離して、カ
ラムメンブレンを乾燥させた。50℃まで加熱した50μLの滅菌脱イオン水を
QIAquick Spin Columnに添加し、そして室温で1分間イン
キュベートして、次いで、きれいなミクロチューブに、10000gで1分間遠
心分離した。
【0178】
核酸を沈殿するために、10.8μLの7.5M酢酸アンモニウムおよび14
4μLのエタノールをチューブに添加し、次いで、これを10000gで20分
間遠心分離した。この上清を除去し、次いで、300μLの75%エタノールを
添加した。チューブをボルテックスし、そして10000gで20分間遠心分離
した。この上清を除去し、そしてこのサンプルを12μLの滅菌脱イオン水中に
再懸濁した。5μLのこのcDNAを、きれいなミクロチューブに配置した。M
arathon cDNA Amplification Kitからの2μL
の10μM Marathon cDNA Adapter,2μL 5×DN
A Ligation Bufferおよび1μLの400U/μL T4 D
NA Ligaseを、このcDNAに添加し、そして穏やかに混合した。この
混合物を16℃にて一晩インキュベートした。リガーゼを、70℃で5分間、熱
不活化した。PCRを、テンプレートとしてこのサンプルを用いて実施した。
【0179】
(PCR条件)
PCRを、Clontech Advantage 2 kit(Clont
ech,palo Alto,CA)で供給された試薬を用いて実施した。簡潔
には、2μLのcDNAを200μL MicroAmp反応チューブ(カタロ
グ番号N801−0540,PE Biosystems)中に配置し、次いで
、34μLの滅菌脱イオン水、5μLの10×Clontech Advant
age 2 Polymerase Mix(カタログ番号4700−1 Cl
ontech Laboratories,Inc.)、3μLの10mM A
dvantage UltraPure PCR Deoxynucleoti
de Mix(カタログ番号8430−1 Clontech Laborat
ories,Inc.)、および各々2μLの順方向および逆方向プライマー(
10mM濃度)を添加した。プライマーは、以下のいずれかであった:Mara
thon cDNA Amplification KitからのMarath
on cDNA Adapter Primer 1,cca tcc taa
tac gac tca ctg tag ggc(配列番号29)、または
Operon Technologies Inc.によって作製された種々の
カスタム遺伝子特異的プライマー。カスタムプライマーとしては、以下が挙げら
れる(すべて、5’−3’として列挙した):Dm409FL:gga gcg
cga ggt cgg gat gga tc(配列番号20),Dm14
55RL:gca aat gct tca atg ctt ggg gat
gcc tgt cca a(配列番号30),Dm2037F:aga a
ac aga gaa tcg cca ttg ctc(配列番号13),D
m3920RL:gag ctg ggt tcc ttt gtc tcc
tac tct ggt gtt(配列番号31),Dp1216F:gaa
ctg tga ttg cgt ttg gag gac(配列番号9)およ
びDp2587R:gca aat gct ggt tgc agg cct
cc(配列番号32)。
【0180】
熱サイクルを、94℃にて30秒間、次いで、94℃にて5秒間および72℃
にて4分間の2サイクル、次いで、94℃にて5秒間および68℃にて4分間の
16サイクルで、Perkin Elmer 9700を使用して実施した。
【0181】
4つのフラグメントを、各遺伝子型についてのPCRによって獲得した。フラ
グメント1は、プライマーにMarathon cDNA Adapter P
rimer 1およびDm1455RLを使用して生成された。フラグメント2
は、プライマーDp1216FおよびDp2587Rを使用して生成された。フ
ラグメント3は、プライマーDm2037FおよびDm3920RLを使用して
生成された。フラグメント4は、プライマーDp3612FLおよびMarat
hon cDNA Adapter Primer 1を使用して生成された。
【0182】
(PCR後サンプリングプロセス)
電気泳動を、10×ゲルローディング緩衝液IV(Molecular Cl
oning:A Laboratory Manual,J.Sambrook
ら編,第2版,Cold Spring Harbor Laboratory
Press,Cold Spring Harbor,New York,1
989,6.12頁)を使用して、EtBrを含有する0.5×TBE緩衝液(
Sambrookら,B−23頁)中における1%アガロースゲルにおいて、す
べてのPCR産物に対して実施した。PCR産物を含有するゲルのフラグメント
を切り出し、そして2mLのミクロチューブ中に配置した。各フラグメントの質
量を決定し、そしてQIAquick Gel Extraction Kit
(カタログ番号28704(QIAGEN Inc.から))からの3μL/m
gのBuffer QX1を添加した。次いで、各チューブを、2分毎に混合し
つつ、50℃で10分間インキュベートした。1μL/mgのイソプロパノール
を各チューブに添加し、そして混合した。生じた溶液をQIAquick Ge
l Extraction KitからのQIAquick spin col
umnに移した。これらのカラムを、室温にて1分間10000gで遠心分離し
た。QIAquick Gel Extraction Kitからの750μ
LのBuffer PEを、各チューブに添加し、次いで、室温にて1分間10
000gで遠心分離した。各カラムを、再度、室温にて1分間10000gで遠
心分離して、あらゆる残留緩衝液を除去した。30μLの滅菌脱イオン水(50
℃)を各カラムに添加し、そして室温にて1分間インキュベートした。次いで、
各カラムをミクロチューブ中に配置し、そして1分間10000gで遠心分離し
た。
【0183】
次いで、6μLの精製PCR産物を、きれいなミクロチューブに移し、そして
1μLの10×Ligation Buffer,2μLのpCR2.1ベクタ
ーおよび1μLのT4 DNA Ligase(すべて、Original T
A Cloning Kit(カタログ番号K2000−J10)Invitr
ogen,Carlsbad,CAから)をこのミクロチューブに添加し、そし
て混合した。この反応物を、16℃で一晩インキュベートした。
【0184】
凍結したOne Shotコンピテント細胞(Invitrogen)の1つ
の50μLバイアルを、各連結反応のために、氷上で解凍した。3.5μLの連
結反応混合物を、コンピテント細胞に添加し、そして穏やかに混合した。この細
胞を、30分間氷上でインキュベートし、次いで、42℃で30秒間「熱ショッ
ク」を与えた。再度氷上で冷却した後、250μLのSOC培地(Invitr
ogen)を各バイアルに添加し、そしてこのバイアルを直接、37℃の水浴中
に1時間配置した。各形質転換反応物の50μLおよび200μLのアリコート
を、1%アガロース,1mg/mLグルコース,50ng/mLアンピシリンお
よび1.6ng/mL X−galを含有するLuria−Bertani M
edium(Sambrookら,A−1頁)に配置した。次いで、接種したプ
レートを、37℃で一晩インキュベートした。白色化コロニーを選択し、そして
50ng/mLアンピシリンを含有するL−B培地の個々の100mL培養物を
接種するために使用した。これを、100rpmで撹拌しつつ、37℃で一晩イ
ンキュベートした。
【0185】
プラスミドDNAを、以下のように製造業者の指示書に従って、QIAGEN
Midi Plasmid Kit(カタログ番号12143(QIAGEN
Inc.から))を用いて調製した。各100mLの培養物を、2つの50m
L円錐状バイアル中に等分し、そして3000gで10分間4℃にて遠心分離し
た。上清を注ぎ出し、そして4mLのBuffer P1を用いて、2つのバイ
アルの一方で、このペレットを再懸濁した。この上清を他のチューブに移し、そ
してこのペレットを再懸濁するために使用した。Buffer P2(4mL)
を添加し、混合し、そしてこの懸濁物を室温で5分間インキュベートした。Bu
ffer P3(4mL)を添加し、混合し、そして懸濁物を4℃で15分間イ
ンキュベートした。このサンプルを、3000gで15分間4℃にて遠心分離し
た。すべての上清を、4mLのBuffer QBTで予め処理されたQIAg
en−tip 100に移した。この上清をカラムから流出させた。Buffe
r QC(10mL)をこのカラムに添加し、そして流出させた。さらなる10
mLのBuffer QCを添加し、そして流出させた。最後に4mLのBuf
fer QFをカラムに添加して、そしてきれいな15mLの円錐状チューブ中
に流出させた。2.8mLのイソプロパノールを添加し、そしてこの溶液と混合
した。これを、ミクロチューブに等分し、4℃にて10分間インキュベートし、
そして10000gで15分間4℃にて遠心分離した。上清を除去し、次いで、
1mLの70%エタノールを各ミクロチューブに添加した。各チューブを、手短
にボルテックスし、次いで、10000gで15分間4℃にて遠心分離した。こ
の上清を除去し、そして100μLの滅菌1×TE緩衝液(Sambrookら
,B−20頁)を添加した。
【0186】
制限消化を、精製DNAにおいて実施した。フラグメントを切り出すために使
用された酵素は、以下の通りであった:フラグメント1,KpnI(カタログ番
号R0142S(New England Biolabs,Inc.,Bev
erly,MAから))およびNsiI(カタログ番号R0127S(New
England Biolabs,Inc.から));フラグメント2,Nsi
IおよびHindIII(カタログ番号R0104S(New England
Biolabs,Inc.から));フラグメント3,HindIIIおよび
PstI(カタログ番号V0279S(New England Biolab
s,Inc.から));ならびに、フラグメント4,PstIおよびNotI(
カタログ番号R0189S(New England Biolabs,Inc
.から))。すべての制限消化を、New England Biolabsに
よって推奨される消化緩衝液中で37℃にて実施した。
【0187】
電気泳動を、10×ゲルローディング緩衝液IV(Sambrookら、6.
12頁)を使用して、EtBrを含有する0.5×TBE緩衝液(Sambro
okら、B−23頁)中における1%アガロースゲルにおいて、すべての制限消
化産物に対して実施した。制限消化産物を含有するゲルのフラグメントを切り出
し、そして2mLのミクロチューブ中に配置した。DNAフラグメントを、製造
業者の指示に従って、QIAquick Gel Extraction Ki
t(カタログ番号28704(QIAGEN Inc.から))を使用して、ゲ
ルスライスから抽出した。各フラグメントの質量を決定し、そして3μL/mg
のBuffer QX1を添加した。次いで、各チューブを、2分毎に混合しつ
つ、10分間50℃でインキュベートした。1容量のイソプロパノールを各チュ
ーブに添加して、そして混合した。生じた溶液を、QIAquick spin
columnに移し、そして1分間10000gで室温にて遠心分離した。B
uffer PE(750μL)を各カラムに添加し、次いで、1分間1000
0gで室温にて遠心分離した。各カラムを、再度1分間10000gで室温にて
遠心分離して、あらゆる残留緩衝液を除去する。30μLの滅菌脱イオン水(5
0℃)を各カラムに添加し、そして1分間室温にてインキュベートする。次いで
、各カラムを、ミクロチューブ中に配置し、そして1分間10000gで遠心分
離する。
【0188】
2μLの各フラグメントを、ミクロチューブに添加し、同様に1μLの10×
Ligation Bufferおよび1μLのT4 DNA Ligase(
カタログ番号M0202S(New England Biolabs,Inc
.から))を添加した。この反応物を、16℃で一晩インキュベートした。制限
酵素KpnIおよびNotI(各々1μL)を反応に添加し、そして37℃で1
時間インキュベートした。電気泳動を、10×ゲルローディング緩衝液IVを用
いて、EtBrを含有する0.5×TBE緩衝液中において1%アガロースゲル
において実施した。アセンブルした産物を含有するフラグメントを切り出し、そ
して上記のようにQIAquick Gel Extraction Kitを
使用して、DNAフラグメントを抽出した。
【0189】
フラグメントを、以下のように、Original TA Cloning
Kitを使用して、ベクター中に連結した:6μLの精製DNAを、きれいなミ
クロチューブに移し、そして1μLの10×Ligation Buffer,
2μLのpCR2.1ベクター(予め、KpnIおよびNotIで消化),およ
び1μLのT4 DNA Ligaseを添加し、そして混合した。この反応物
を、16℃にて一晩インキュベートした。連結反応混合物(3.5μL)を用い
て、上記のようにOne Shotコンピテント細胞を形質転換するために使用
した。形質転換反応物の50μLおよび200μLのアリコートを、1%アガロ
ース,1mg/mLグルコース,50ng/mLアンピシリンおよび1.6ng
/mL X−galを含有するLuria−Bertani Mediumに配
置し、そして上記のように増殖した。白色化コロニーを、上記のように選択し、
そして増殖した。プラスミドDNAを、上記のようにQIAGEN Midi
Plasmid Kitを用いて単離し、そして精製した。DNAを、100μ
Lの滅菌1×TE緩衝液中に再懸濁した。次いで、このDNAを、Tufts
University Core FacilityによるABI 100 D
NAシーケンサー(ABIから)を使用して、配列決定した。
【0190】
(イヌP−糖タンパク質の4つの遺伝子型の同定)
実施例1において同定されたイヌP−糖タンパク質を、ここで、遺伝子型Cと
命名した。本実施例に記載されたようなビーグル肝臓から単離されたDNAの配
列決定によって、イヌP−糖タンパク質の3つのさらなる対立遺伝子改変体(遺
伝子型A、B、およびDと命名)の同定が可能となった。DNA配列における対
立遺伝子差異を、以下の表1に示す。
【0191】
【表1】


遺伝子型Aは、配列番号2に対して塩基番号607に、異なるヌクレオチドを
有する。これは、DNA配列におけるCからAへの塩基変化であり、これによっ
て、アミノ酸197位でのヒスチジンからグルタミンへのアミノ酸変化が引き起
こされる。遺伝子型Bは、配列番号2に対して塩基番号91および607で異な
るヌクレオチドを有する。91位での塩基変化は、TからAへであり、そしてア
ミノ酸25位でのアスパラギンからリシンへのアミノ酸変化を引き起こす。60
7位での塩基変化は、遺伝子型Aにおける変化と同一である。遺伝子型Dは、配
列番号2に対して塩基番号91、607、1001、および3458に、異なる
ヌクレオチドを有する。91位および607位での塩基変化は、遺伝子型Bにお
ける変化と同一である。1001位での塩基変化は、TからAへであり、そして
アミノ酸329位でのセリンからスレオニンへのアミノ酸変化を引き起こす。3
458位での塩基変化は、AからGへであり、そしてアミノ酸1148位でのメ
チオニンからバリンへのアミノ酸変化を引き起こす。
【0192】
以前に同定されたイヌP−糖タンパク質(配列番号3および4;GenBan
k登録番号AF045016)は、遺伝子型CイヌP−糖タンパク質ヌクレオチ
ド配列(配列番号1)とは異なる13個のヌクレオチドを有している。AATを
取り去る塩基89〜塩基91(配列番号1に対して)に3塩基欠失が存在し、こ
れによって、アミノ酸25位のアスパラギンの欠失が引き起こされる。590位
でのAからGへの塩基変化が存在し、これによって、アミノ酸192位でのイソ
ロイシンからバリンへのアミノ酸変化が引き起こされる。607位でのCからA
への塩基変化が存在し、これによって、アミノ酸197位でのヒスチジンからグ
ルタミンへのアミノ酸変化が引き起こされる。651位でのGからCへの塩基変
化が存在し、これによって、アミノ酸212位でのアルギニンからプロリンへの
アミノ酸変化が引き起こされる。878位でのGからAへの塩基変化が存在し、
これによって、アミノ酸288位でのグリシンからアルギニンへのアミノ酸変化
が引き起こされる。1001位でのTからAへの塩基変化が存在し、これによっ
て、アミノ酸329位でのセリンからスレオニンへのアミノ酸変化が引き起こさ
れる。1012位でのAからGへの塩基変化が存在する。これによっては、アミ
ノ酸変化は引き起こされない。これは、アミノ酸332位のグルタミンでのサイ
レントな点変異である。1611位でのAからGへの塩基変化が存在し、これに
よって、アミノ酸532位でのグルタミンからアルギニンへのアミノ酸変化が引
き起こされる。2098位でのAからTへの塩基変化が存在する。これによって
は、アミノ酸変化は引き起こされない。これは、アミノ酸694位のバリンでの
サイレントな点変異である。2102位でのCからTへの塩基変化が存在し、こ
れによって、アミノ酸696位でのプロリンからセリンへのアミノ酸変化が引き
起こされる。3808位でのCからTへの塩基変化が存在する。これによっては
、アミノ酸変化は引き起こされない。これは、アミノ酸1264位のアラニンで
のサイレントな点変異である。3833位でのGからAへの塩基変化が存在し、
これによって、アミノ酸1273位でのバリンからイソロイシンへのアミノ酸変
化が引き起こされる。4080位でのCからTへの塩基変化が存在し、これによ
って、アミノ酸1355位でのスレオニンからイソロイシンへのアミノ酸変化が
引き起こされる。
【0193】
前述の特許、特許出願、および参考文献の各々が、本明細書中で参考として援
用される。本発明を、特定の実施形態に関して記載してきたが、多くの改変およ
び変更が、本発明の意図から逸脱することなく当業者によってなされ得ることが
理解されるべきである。このような改変、変更、および等価物は、以下の特許請
求の範囲の範囲内にあることが意図される。
【数1】

【数2】

【数3】

【数4】

【数5】

【数6】

【数7】

【数8】

【数9】

【数10】

【数11】

【数12】

【数13】

【数14】

【数15】

【数16】

【数17】

【数18】

【数19】

【数20】

【数21】

【数22】

【数23】

【数24】

【数25】

【数26】

【数27】

【数28】

【数29】

【数30】

【数31】

【数32】

【数33】

【数34】

【数35】

【数36】

【数37】

【数38】

【数39】

【数40】

【数41】

【数42】

【数43】

【数44】

【数45】

【数46】

【数47】

【数48】

【数49】

【数50】

【数51】

【数52】

【数53】

【数54】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。

【公開番号】特開2012−61008(P2012−61008A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−284080(P2011−284080)
【出願日】平成23年12月26日(2011.12.26)
【分割の表示】特願2001−526923(P2001−526923)の分割
【原出願日】平成12年9月28日(2000.9.28)
【出願人】(500283734)ジェンテスト・コーポレーション (2)
【Fターム(参考)】